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特許7267057シート設置装置および該シート設置装置の設置方法並びに該シート設置装置の一時撤去方法
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  • 特許-シート設置装置および該シート設置装置の設置方法並びに該シート設置装置の一時撤去方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】シート設置装置および該シート設置装置の設置方法並びに該シート設置装置の一時撤去方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/32 20060101AFI20230424BHJP
   E04G 5/00 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
E04G21/32 B
E04G5/00 301E
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019058250
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020159019
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 明子
(72)【発明者】
【氏名】栗原 淳
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 誠
(72)【発明者】
【氏名】加藤 建史
(72)【発明者】
【氏名】秋山 裕行
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-090018(JP,U)
【文献】特開平10-280697(JP,A)
【文献】特開平08-232476(JP,A)
【文献】特開平02-252862(JP,A)
【文献】特開2015-212512(JP,A)
【文献】特開2018-048552(JP,A)
【文献】特開平05-332028(JP,A)
【文献】登録実用新案第3187675(JP,U)
【文献】特開2010-159617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/32
E04G 5/00
E04G 21/24
E04G 21/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延設されて空間を仕切る第一のシートと、前記第一のシートを下方へ繰り出したり上方へ収納したりする繰出し収納機構と、前記第一のシートの側方側に並設される第二のシートと、を備え、
前記第一のシートは、空間を仕切るようにして下方へ繰り出されるシート本体と、前記シート本体の下端側で不動部位に離脱可能に固定される係脱固定部とを一体的に具備し、
前記繰出し収納機構には、構造物に対し着脱可能な係脱部が設けられ
前記第二のシートは、上下方向へわたるシート本体と、前記第一のシートの側端側に着脱可能なシート着脱部と、前記構造物を構成する縦パイプに着脱可能に止着される止着部とを一体的に有し、
前記止着部は、前記第二のシートの横幅方向において、前記シート着脱部とは離間した位置であって、前記第二のシートにおける前記シート本体の裏面に止着されていることを特徴とするシート設置装置。
【請求項2】
前記繰出し収納機構は、前記第一のシートをその上方側で巻取ったり繰出したりする巻取軸を備えることを特徴とする請求項1記載のシート設置装置。
【請求項3】
前記繰出し収納機構は、下端側が前記第一のシートの下端側に止着された紐状部材を備え、前記紐状部材を上方へ牽引することにより、前記第一のシートをたくし上げて収納することを特徴とする請求項1記載のシート設置装置。
【請求項4】
前記係脱部は、前記構造物に対し係脱可能なフック状に形成されていることを特徴とする請求項1~3何れか1項記載のシート設置装置。
【請求項5】
前記係脱部は、前記繰出し収納機構に対し、横幅方向へ位置調整可能に設けられていることを特徴とする請求項1~4何れか1項記載のシート設置装置。
【請求項6】
前記第一のシートの前記係脱固定部は、不動部位に予め止着固定される固定部と、前記固定部に着脱可能であって前記第一のシートにおける前記シート本体の下端側に接続された嵌脱部とを具備していることを特徴とする請求項1~5何れか1項記載のシート設置装置。
【請求項7】
前記第一のシートの前記係脱固定部は、下方側の不動部位に載置固定される錘体を具備することを特徴とする請求項1~5何れか1項記載のシート設置装置。
【請求項8】
前記シート着脱部は、上下方向に間隔を置いて複数設けられていることを特徴とする請求項1~7何れか1項記載のシート設置装置。
【請求項9】
前記止着部は、前記第二のシートにおける前記シート本体に上下方向に間隔を置いて複数止着されていることを特徴とする請求項1~8何れか1項記載のシート設置装置。
【請求項10】
前記止着部は、長尺状の部材からなり、その長手方向の中央部が前記第二のシートにおける前記シート本体に止着され、前記構造物を構成する前記縦パイプに巻かれるようにして着脱可能に止着されることを特徴とする請求項1~9何れか1項記載のシート設置装置。
【請求項11】
請求項1~10何れか1項記載のシート設置装置の設置方法であって、二以上の前記第一のシートを横幅方向に間隔を空けて設置する工程と、隣接する前記第一のシートの間で前記第二のシートを前記構造物に止着する工程と、この第二のシートを隣接する前記第一のシートに接続する工程とを含むことを特徴とするシート設置装置の設置方法。
【請求項12】
請求項1~10何れか1項記載のシート設置装置の一時撤去方法であって、前記第一のシート及び前記第二のシートが設置された状態から前記第二のシートを残して前記第一のシートを撤去する工程を含むことを特徴とするシート設置装置の一時撤去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建物や足場等の構造物を覆うようにしてシートを設置する設置装置、および該シート設置装置の設置方法並びに該シート設置装置の一時撤去方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、矩形状のシート体と、このシート体の周辺に設けられた多数のベルトと、各ベルトを締結するベルト締結体とを備え、前記ベルトを仮設足場を構成するパイプ等に巻き付けて前記ベルト締結体により締結するようにした養生シートがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-12979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によれば、シート体を仮設足場に設置する際には、多数のベルトをパイプ等に巻き付けてベルト締結体により締結する必要がある。また、シート体を撤去する際には、多数のベルトをそれぞれパイプ等から外し、仮設足場から外されたシート体を折畳んで収納する必要がある。
特に、設置後に台風等による強風が予想される場合には、シート体を一時的に撤去する必要が生じ、その作業に手間取る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
上下方向に延設されて空間を仕切る第一のシートと、前記第一のシートを下方へ繰り出したり上方へ収納したりする繰出し収納機構と、前記第一のシートの側方側に並設される第二のシートと、を備え、前記第一のシートは、空間を仕切るようにして下方へ繰り出されるシート本体と、前記シート本体の下端側で不動部位に離脱可能に固定される係脱固定部とを一体的に具備し、前記繰出し収納機構には、構造物に対し着脱可能な係脱部が設けられ、前記第二のシートは、上下方向へわたるシート本体と、前記第一のシートの側端側に着脱可能なシート着脱部と、前記構造物を構成する縦パイプに着脱可能に止着される止着部とを一体的に有し、前記止着部は、前記第二のシートの横幅方向において、前記シート着脱部とは離間した位置であって、前記第二のシートにおける前記シート本体の裏面に止着されていることを特徴とするシート設置装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、シートの設置及び撤去を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係るシート設置装置の一例を示す正面側斜視図である。
図2】同シート設置装置を示す背面側斜視図である。
図3】繰出し収納機構の一例を拡大して示す側面図である。
図4】係脱固定部の一例を示す斜視図である。
図5】同シート設置装置の設置手順の一例を(a)(b)に順次に示す正面図である。
図6】同シート設置装置を一時撤去する手順の一例を(a)(b)に順次に示す正面図である。
図7】本発明に係るシート設置装置の他例を示す側面図であり、(a)は第一のシートを展開した状態を示し、(b)は第一のシートを上方側へ収納した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第一の特徴は、上下方向に延設されて空間を仕切る第一のシートと、前記第一のシートを下方へ繰り出したり上方へ収納したりする繰出し収納機構とを備え、前記第一のシートは、空間を仕切るようにして下方へ繰り出されるシート本体と、前記シート本体の下端側で不動部位に離脱可能に固定される係脱固定部とを一体的に具備し、前記繰出し収納機構には、構造物に対し着脱可能な係脱部が設けられている(図1図7参照)。
ここで、前記不動部位には、例えば、構造物自体や、構造物を覆う足場等の部材、床面や地面等が挙げられる。
また、前記構造物には、例えば、建設現場の仮設足場や、建造物、建築物、車両、船舶等が挙げられる。
【0009】
第二の特徴として、シート収納性を向上するために、前記繰出し収納機構は、前記第一のシートをその上方側で巻取ったり繰出したりする巻取軸を備える(図1及び図3参照)。
【0010】
第三の特徴として、簡素構造によりシート収納性を向上するために、前記繰出し収納機構は、下端側が前記第一のシートの下端側に止着された紐状部材を備え、前記紐状部材を上方へ牽引することにより、前記第一のシートをたくし上げて収納する(図7参照)。
【0011】
第四の特徴として、構造物に対する着脱性を向上するために、前記係脱部は、構造物に対し係脱可能なフック状に形成されている(図1図3参照)。
【0012】
第五の特徴として、構造物に対する着脱性をより向上するために、前記係脱部は、前記繰出し収納機構に対し、横幅方向へ位置調整可能に設けられている(図2参照)。
【0013】
第六の特徴として、一時撤去の際の作業性を向上するために、前記第一のシートの前記係脱固定部は、不動部位に予め止着固定される固定部と、前記固定部に着脱可能であって前記シート本体の下端側に接続された嵌脱部とを具備している(図4参照)。
【0014】
第七の特徴として、シート下端側を固定する作業性を向上するために、前記第一のシートの前記係脱固定部は、下方側の不動部位に載置固定される錘体を具備する(図示せず)。
【0015】
第八の特徴は、一時撤去の際の作業性をより向上するために、前記第一のシートの側方側に並設される第二のシートを備え、前記第二のシートは、前記第一のシートの側端側に着脱可能なシート着脱部と、構造物に止着される止着部とを一体的に有する(図1及び図2参照)。
【0016】
第九の特徴として、第二のシートの止着作業性を向上するために、前記シート着脱部は、上下方向に間隔を置いて複数設けられている(図2参照)。
【0017】
第十の特徴は、設置作業性が良好な上記シート設置装置の設置方法であって、二以上の前記第一のシートを横幅方向に間隔を空けて設置する工程と、隣接する前記第一のシートの間で前記第二のシートを構造物に止着する工程と、この第二のシートを隣接する前記第一のシートに接続する工程とを含む(図5参照)。
【0018】
第十一の特徴は、一時撤去作業性が良好な上記シート設置装置の一時撤去方法であって、前記第一のシート及び前記第二のシートが設置された状態から前記第二のシートを残して前記第一のシートを撤去する工程を含む(図6参照)。
【0019】
<第一の実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明において、「シート厚さ方向」とは、繰出され展開した状態の第一のシートの厚さ方向を意味する。また、「シート幅方向」とは、第一のシートが繰出される方向と略直交する方向であって、シート厚さ方向ではない方向を意味する。
【0020】
本実施態様のシート設置装置Aは、上下方向に延設されて空間を仕切る第一のシート10と、第一のシート10を下方へ繰り出したり上方へ収納したりする繰出し収納機構20と、繰出し収納機構20を構造物Pに対し着脱する係脱部30と、第一のシート10の側方側に並設される第二のシート50とを具備する(図1参照)。
【0021】
図示例によれば、構造物Pは、複数の縦パイプP1、横パイプP2、上下方向に間隔を置いて略平行する複数の足場板(図示せず)等によって、建築現場等の仮設足場を構成している。そして、第一のシート10及び繰出し収納機構20は、構造物Pを覆う養生シートとして用いられる。
【0022】
第一のシート10は、空間を仕切るようにして下方へ繰り出されるシート本体11と、シート本体11の下端側で不動部位に離脱可能に固定される係脱固定部13と、第二のシート50に着脱するためのシート着脱部40の片半部41とを一体的に具備している。
【0023】
シート本体11は、可撓性を有する帯状もしくは矩形状のシート材であり、構造物Pの上下端側にわたる長尺状に形成される。
このシート本体11を構成するシート材は、布製や合成樹脂製のシート材(例えば、塩化ビニル樹脂シート材等)や、ガラスクロスやシリカクロス等の難燃性布地、ガラス繊維を含んだ合成樹脂シート材、その他のシート材等とすることが可能である。
【0024】
係脱固定部13は、シート本体11の下端側に止着された棒状の錘体13cと、不動部位である下側の横パイプP2に対し予め止着固定される固定部13aと、固定部13aに嵌脱可能であってシート本体11の下端側に接続された嵌脱部13bとを具備している。
【0025】
錘体13cは、シート本体11の横幅方向の略全長にわたって連続する棒状部材である。この錘体13cは、例えば、金属等の硬質材料からなるパイプ材や軸状部材等によって形成される。
この錘体13cは、シート本体11の下端側に横幅方向へ連続して接続され、その自重によりシート本体11を下方へ引っ張るとともに、シート本体11の撓みを抑制する。
【0026】
固定部13aは、図4に示す一例によれば、横パイプP2に係止される係止部材13a1と、この係止部材13a1の上端側に接続される被嵌脱部材13a2とから構成される。
【0027】
係止部材13a1は、下方へ向かって二股状に分かれた可撓性部材であり、例えば、帯状物や紐状物等から構成される。
この係止部材13a1の好ましい一例では、二股状に分かれた一片部と他片部に、それぞれ、ベルベットファスナー(面テープや面ファスナー等と呼称される場合もある。)の片半部と他半部が設けられる。これら一片部と他片部は、図4に示すように、横パイプP2の下側で着脱可能に接続される。
【0028】
なお、係止部材13a1の他例としては、前記ベルベットファスナーをホックやボタン等の他の係脱具に置換することも可能である。更に、他例としては、係止部材13a1を、横パイプP2の下側で結ばれる紐状物とすることも可能である。
【0029】
また、嵌脱部13bは、シート本体11の下端側に止着された止着部材13b1と、止着部材13b1の下端側に止着された嵌脱部材13b2とから構成される。
【0030】
止着部材13b1は、例えば、可撓性の帯状物又は紐状物から構成され、第一のシート10のシート本体11を貫通するようにして、第一のシート10に止着されている。この止着部材13b1は、縫合や接着、溶着等の他の止着手段によりシート本体11に止着することも可能である。
【0031】
嵌脱部材13b2は、固定部13a側の被嵌脱部材13a2に対し手動で嵌脱する部材である。これら嵌脱部材13b2と被嵌脱部材13a2には、バックルと呼称される着脱具を用いることが可能である。その他、ベルベットファスナーや、ホック、ボタン、磁石等の着脱具を用いることも可能である。
【0032】
また、繰出し収納機構20は、第一のシート10をその上方側で巻取ったり繰出したりする巻取軸21と、この巻取軸21を支持する支持体22とを備えている(図1及び図3参照)。
【0033】
巻取軸21は、支持体22によって回転自在に支持された軸状部材であり、その外周部に第一のシート10の上端側を止着している。
この巻取軸21の一端側には、図示しないスプロケットが一体的に設けられ、このスプロケットには環状操作体23の上半部側が掛け巻かれている。
環状操作体23は、例えばチェーン等の長尺無端輪状の部材であり、その下端側が支持体22の下方へ自由垂下状に延設される。この環状操作体23は、操作者等により引っ張られて回転し、その回転力を前記スプロケット及び巻取軸21に伝達する。
【0034】
また、巻取軸21には、必要に応じて、第一のシート10の繰出しを、任意の位置で停止したり再開したりする係脱機構が設けられる。この係脱機構は、例えば、巻取軸21に同軸状に設けられた爪車と、この爪車に対し係脱可能に係合する爪部材とを具備した構成とすればよい。
また、巻取軸21の他例としては、繰出し動作と巻取動作のうちの一方又は双方を電動で行う態様としてもよい。この場合、巻取軸21を回転させる電動モータを繰出し収納機構20に組み込んだ態様としてもよいし、外部から電動ドライバ等の電動回転工具を接続し該電動回転工具により巻取軸21を回転させる態様としてもよい。
【0035】
支持体22は、巻取軸21の両端側を回転自在に支持する横長の枠状(図示例によれば平面視コ字枠状)に形成される。
【0036】
係脱部30は、横パイプP2に対し引っ掛け可能なフック状に形成される。この係脱部30は、支持体22に対し、レール部材22aを介して横幅方向へ移動して、位置調整されるように設けられる。
【0037】
レール部材22aは、例えば、係脱部30の基端側(図示の下端側)部分に対し凹凸状に嵌りあって、係脱部30を引抜け不能かつ横スライド可能に支持する。
【0038】
なお、係脱部30には、横パイプP2に掛けられた状態で、安易に上方へ外れないように、必要に応じて脱落防止手段が具備される。この脱落防止手段は、例えば、係脱部30が横パイプP2に掛けられた後に、横パイプP2に対し下方側から近接する部材とすればよい。
【0039】
第二のシート50は、上下方向へわたるシート本体51と、構造物Pの縦パイプP1に止着される止着部52と、シート本体51を第一のシート10の側端側に着脱するシート着脱部40の他半部42とを一体的に有する(図2参照)。
【0040】
シート本体51は、第一のシート10のシート本体11と同様の可撓性シート材から上下方向へわたる長尺帯状に形成される。
このシート本体51の上下方向の長さは、第一のシート10のシート本体11と略同じである。
【0041】
止着部52は、シート本体51の裏面に上下方向に間隔を置いて複数止着されている。各止着部52は、上述した係止部材13a1(図4参照)と略同様の長尺状可撓性部材であり、その長手方向の中央部が、シート本体51裏面に止着されている。
この止着部52は、縦パイプP1に巻かれるようにして着脱可能に止着される。その止着手段は、係止部材13a1と同様にベルベットファスナーを用いた態様や、縦パイプP1に結び付けられる態様、その他の着脱具を用いた態様等とすればよい。
【0042】
複数の止着部52の上下方向の間隔は、着脱作業性の良好な一例としては、構造物Pを構成する複数の足場板(図示せず)の上下間隔に対応するように設定される。この構成によれば、作業者等が、各足場にて、対応する止着部52の着脱作業を行うことができる。
【0043】
シート着脱部40は、上下方向へ長尺な片半部41と、該片半部41に着脱される他半部42とから構成される。このシート着脱部40には、例えば、線ファスナーやジッパー等と呼称されるものを用いればよい。
このシート着脱部40の片半部41は、第一のシート10の側端側に、上下方向に間隔を置いて複数止着される。他半部42は、複数の片半部41にそれぞれ対応するように、第二のシート50の側端側に複数止着される。
このように、図示例では、特に好ましい態様として、複数のシート着脱部40を上下方向に断続的に配設したが、他例としては、前記複数のシート着脱部40に置換して、上下方向に連続する単一長尺状のシート着脱部を用いることも可能である。
【0044】
次に、上記構成のシート設置装置Aを構造物Pに設置する方法と、シート設置装置Aを一時的に撤去する方法について、詳細に説明する。
【0045】
シート設置装置Aの設置方法は、二以上(図示例によれば二つ)の第一のシート10を横幅方向に間隔wを空けて設置する工程と、隣接する二つの第一のシート10,10の間で第二のシート50を構造物に止着する工程と、この第二のシート50を隣接する第一のシート10,10の間に接続する工程とを含む。
【0046】
詳細に説明すれば、図5(a)に示すように、縦パイプP1を間に置くようにして、その両側に二つの第一のシート10,10が並べられ、これら二つの第一のシート10,10の上端側が、それぞれ係脱部30を介して上側の横パイプP2に掛止される。
【0047】
そして、各第一のシート10について、シート本体11が下方へ繰り出され、シート本体11下端側の係脱固定部13が横パイプP2に止着固定される。
これら二つの第一のシート10,10の間隔wは、後の工程で第二のシート50が隣接するシート本体11,11間に接続されるように、適宜に調整される。この調整は、各繰出し収納機構20を、係脱部30に対し横方向へスライドさせればよい。
【0048】
そして、各第一のシート10の下端側が、係脱固定部13を介して下側の横パイプP2に接続される。
【0049】
次に、両側の第一のシート10,10のシート本体11,11間に位置するように、第二のシート50が設置される。第二のシート50は、上下方向の複数箇所で、止着部52によって縦パイプP1に止着される。また、第二のシート50の幅方向の両端側は、上下方向に間隔を置いた複数のシート着脱部40によって、両側の第一のシート10,10に接続される(図5(b)参照)。
なお、第二のシート50を縦パイプP1に止着する工程は、第二のシート50を第一のシート10に接続する工程の前とすればよいが、後にすることも可能である。
【0050】
また、シート設置装置Aの一時退去方法は、第一のシート10及び第二のシート50が設置された状態から、第二のシート50を残して第一のシート10を撤去する。
【0051】
詳細に説明すれば、先ず、図6に示すように、各第一のシート10について、下端側の係脱固定部13が固定部13aと嵌脱部13bに分離され、シート本体11が繰出し収納機構20によって巻き取られる。分離された固定部13aは、下側の横パイプP2に接続されたままの状態に放置される(図6(a)(b)参照)。
【0052】
次に、両側の第一のシート10,10は、それぞれ、上側の横パイプP2から外され、第二のシート50が、縦パイプP1に止着された状態のまま放置される(図6(b)参照)。
【0053】
よって、上記構成のシート設置装置Aおよびシート設置装置Aの設置方法並びにシート設置装置Aの一時撤去方法によれば、シートを折畳む作業や折畳んだシートを収納する作業等が少なく、シートを構造物Pに対し着脱する箇所も少ない。このため、シートの設置作業及び撤去作業等を容易に行うことができる。
特に、設置後、強風等のために、第一のシート10を一時的に撤去する場合には、第二のシート50を残すことになるが、残され放置された第二のシート50は、比較的幅の狭い帯状であるため、強風等による悪影響が少ない。
【0054】
<第二の実施態様>
次に、図7に示すシート設置装置Bについて説明する。
このシート設置装置Bは、上記シート設置装置Aについて、その一部を変更したものであるため、主にその変更部分について詳述し、シート設置装置Aと略同様に機能する構成は同一の符号を付けて詳細説明を省略する。
【0055】
シート設置装置Bは、シート設置装置Aについて、繰出し収納機構20を繰出し収納機構60に置換したものである。
【0056】
繰出し収納機構60は、係脱部30と一体的な支持体61と、この支持体61から下方へ延設された紐状部材62とを備え、紐状部材62を上方へ牽引することにより、第一のシート10をたくし上げて収納するように構成される。
【0057】
支持体61は、上記支持体22と略同形状の長尺状の枠体である。この支持体61には、第一のシート10の上端部が止着されている。また、支持体61には、紐状部材62を巻き取ったり繰出したりするように巻取軸61aが支持される。
【0058】
巻取軸61aは、支持体61の内側で、双方向へ回転するように支持され、その外周面に紐状部材62の上端部を止着している。
この巻取軸61aは、上記シート設置装置Aと同様に、環状操作体23によって回転するようにしてもよいし、電動モータ等によって回転するようにしてもよい。
【0059】
紐状部材62は、可撓性の長尺部材であればよい。この紐状部材62には、例えば、金属製ワイヤーや、合成樹脂製ワイヤー、その他の材質のワイヤーやチェーン、紐等が用いられる。
この紐状部材62は、図7に示すように、第一のシート10に対し、上下方向に間隔を置いた複数箇所で挿通される略波縫い状に設けられる。この紐状部材62の上端部は巻取軸61a外周面に止着され、下端部はシート本体11の下端側に止着される。
【0060】
上記構成のシート設置装置Bでは、第一のシート10が下方へ延設された状態(図7(a)参照)において、紐状部材62を巻取軸61aにより巻き取り牽引すれば、第一のシート10がたくし上げられ、支持体61側へ寄せられるようにして収納される(図7(b)参照)。
また、逆に、巻取軸61aから紐状部材62を繰出せば、たくし上げられていた第一のシート10が、下方へ展開されて平坦状になる(図7(a)参照)。
よって、シート設置装置Bによれば、上述したシート設置装置Aと同様に、シートの設置作業及び撤去作業等を容易に行うことができる。
【0061】
なお、シート設置装置Bにおいて、第一のシート10の好ましい態様としては、横方向へわたる折り目を上下方向に間隔を置いて複数設ける。このようにすれば、第一のシート10をたくし上げる作業をスムーズに行うことができる上、たくし上げられた第一のシート10を、図7(b)に示すように、意匠性の良好な縦断面蛇腹状に収納することができる。
【0062】
<他の変形例>
【0063】
上記実施の形態によれば、第一のシート10の下端側の係脱固定部13を下側の横パイプP2に止着し固定するようにしたが、係脱固定部13の他例としては、下方側の不動部位に載置固定される錘体とすることも可能である。この構成は、例えば、上記シート設置装置Aから固定部13a及び嵌脱部13bを省き、錘体13cの重量を適宜に設定すればよい。
この構成によれば、錘体13cを地面や床面等の不動部位に載置するという簡単な作業によって、第一のシート10の下端側を固定することができる。
【0064】
また、上記実施の形態によれば、錘体13cを横幅方向へ連続する棒状の部材としたが、他例としては、この錘体13cを、横幅方向に分割配置された複数の錘体に置換することも可能である。
【0065】
また、上記実施態様によれば、構造物Pを構成する縦パイプP1や横パイプP2に対し、第一のシート10や第二のシート50を止着するようにしたが、他例としては、縦パイプP1から径方向外側へ突出して足場板を受ける図示しない凸部(受け金具や受け具等と呼称される場合がある。)に対し、第一のシート10や第二のシート50が止着されるようにしてもよい。
更に他例としては、構造物Pを構成する足場板や、構造物P自体、その他の不動部位に、第一のシート10や第二のシート50が止着されるようにすることも可能である。
【0066】
また、図7に示すシート設置装置Bでは、紐状部材62を巻取軸61aに巻き取って牽引するようにしたが、他例としては、紐状部材62を手動で引っ張って牽引する態様や、紐状部材62を滑車に掛けて牽引する態様等とすることも可能である。
【0067】
また、上記実施態様によれば、構造物Pを建築現場等の足場としたが、他例としては、構造物Pを足場以外の構造物とし、この構造物に対しシート設置装置Aやシート設置装置Bが設置されるようにすることも可能である。
すなわち、シート設置装置A,Bの設置対象である構造物は、一般住宅や、集合住宅、オフィスビル、工場建屋、公共施設等の建造物自体や、車両、船舶等とすることが可能である。
【0068】
また、上記実施態様のによれば、上記シート設置装置を養生シートの設置装置として用いたが、他例としては、上記シート設置装置を、防鳥用フェンスや、球技等のプレイスペースを覆う防球ネット、その他のスポーツネット、フェンス、シート等の設置装置として用いることも可能である。
【0069】
また、上記実施態様によれば、第一のシート10及び第二のシート50を同一平面内に配設したが、他例としては、これらシートを出隅コーナ部を挟んで配置した態様や、これらシートを入隅コーナ部を挟んで配置した態様等とすることも可能である。例えば、コーナ部や角部を挟む態様では、そのコーナ部や角部にある縦パイプP1に対し第二のシート50を設置し、その両隣接部に、それぞれ、第一のシート10を設置すればよい。
【0070】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0071】
10:第一のシート
20:繰出し収納機構
11:シート本体
13:係脱固定部
13a:固定部
13b:嵌脱部
13c:錘体
20,60:繰出し収納機構
21,61a:巻取軸
22,61:支持体
22a:レール部材
23:環状操作体
30:係脱部
40:シート着脱部
50:第二のシート
51:シート本体
52:止着部
62:紐状部材
A,B:シート設置装置
P:構造物
P1:縦パイプ
P2:横パイプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7