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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】電池ホルダ
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/244 20210101AFI20230424BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20230424BHJP
【FI】
H01M50/244 A
H01M50/296
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019059778
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020161334
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】金子 真介
【審査官】渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-071175(JP,A)
【文献】特開2017-107725(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20
G01C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測量装置に電池を実装するための電池ホルダであって、前記電池は先端面に接点と、両側面に下面に沿って形成された装着溝とを有し、前記電池ホルダはフランジ部と、該フランジ部から延出する合成樹脂製の電池ケースとを有し、該電池ケースの両側壁の前記装着溝と対応する位置にそれぞれ片持支持の係止片を前記電池ケースと一体成形し、前記電池を前記電池ケースに嵌込むと前記係止片は該係止片自体の弾性変位を介して前記装着溝に係合し、該係止片は前記電池を前記電池ケースに保持し、
前記電池ケースからの前記電池の取出し時には、前記係止片は該係止片自体の弾性変位を介して前記装着溝から離脱し、
前記電池が実装された前記電池ホルダを前記測量装置の電源ユニット収納庫に挿入すると、前記係止片が該電源ユニット収納庫の内壁に当接し、前記係止片の弾性変位が拘束される様構成された電池ホルダ。
【請求項2】
前記電池ケースは上方が開放された直方体形状をしており、前記電池ケースの先端部の下側が全幅に亘って欠切され、前記接点を露出させる開口部を有し、前記電池は前記電池ケースに上方から実装され、前記電池が実装された前記電池ホルダを前記電源ユニット収納庫に水平方向から挿入し、前記電池を前記測量装置に実装すると共に前記接点と前記測量装置側の接点とを接続させる様構成した請求項1に記載の電池ホルダ。
【請求項3】
前記フランジ部にロック部が設けられ、該ロック部はロック摘みと、該ロック摘みと共に回転するロックプレートとを有し、該ロックプレートは両端部に係合孔を有し、該係合孔は前記電池ホルダの前記電源ユニット収納庫への挿入により、該電源ユニット収納庫に設けられたロックピンに嵌合し、前記ロック摘みの回転により前記係合孔と前記ロックピンとが係合する様構成された請求項1に記載の電池ホルダ。
【請求項4】
前記係止片の内面には前記装着溝と嵌合する内面突起が形成され、前記係止片の外面には前記電源ユニット収納庫の内壁に当接可能な外面突起が形成された請求項1に記載の電池ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電源ユニットを容易に着脱可能な電池ホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
製造コストの低減を図る為、異種装置間で、部品、ユニットの共通化が促進されている。
【0003】
部品、ユニットの共通化を図る場合、異種装置が同時に開発される場合は、部品、ユニットの共通化を含んだ開発計画となる為、部品、ユニットの形状、取付け構造等共通化を可能とする設計を行うことができる。然し乍ら、完成時期の異なる異種装置間では、各装置毎に最適な部品、ユニットが採用される為、部品、ユニットの共通化が困難な場合がある。
【0004】
例えば、電源ユニットに使用される電池の性能は日々向上しているが、電池の性能向上と共に小型化が図られ、又電池の形状も変化している。
【0005】
従って、従前の装置を含めて電池或は電源ユニットの共通化を図るのは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3428182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、異種装置間で電池の共通化を可能とする電池ホルダを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、測量装置に電池を実装するための電池ホルダであって、前記電池は先端面に接点と、両側面に下面に沿って形成された装着溝とを有し、前記電池ホルダはフランジ部と、該フランジ部から延出する電池ケースとを有し、該電池ケースは両側面の前記装着溝と対応する位置にそれぞれ片持支持に形成された係止片を有し、前記電池を前記電池ケースに嵌込むと前記係止片は弾性変位を介して前記装着溝に係合し、該係止片は前記電池を前記電池ケースに保持し、前記電池ホルダを前記測量装置の電源ユニット収納庫に挿入すると、前記係止片が該電源ユニット収納庫側の部材に当接し、前記係止片の弾性変位が拘束される様構成された電池ホルダに係るものである。
【0009】
又本発明は、前記電池ケースは上方が開放された直方体形状をしており、前記電池ケースの先端部の下側が全幅に亘って欠切され、前記接点を露出させる開口部を有し、前記電池は前記電池ケースに上方から実装され、前記電池が実装された前記電池ホルダを前記電源ユニット収納庫に水平方向から挿入し、前記電池を前記測量装置に実装すると共に前記接点と前記測量装置側の接点とを接続させる様構成した電池ホルダに係るものである。
【0010】
又本発明は、前記フランジ部にロック部が設けられ、該ロック部はロック摘みと、該ロック摘みと共に回転するロックプレートとを有し、該ロックプレートは両端部に係合孔を有し、該係合孔は前記電池ホルダの前記電源ユニット収納庫への挿入により、該電源ユニット収納庫に設けられたロックピンに嵌合し、前記ロック摘みの回転により前記係合孔と前記ロックピンとが係合する様構成された電池ホルダに係るものである。
【0011】
更に又本発明は、前記係止片の内面には前記装着溝と嵌合する内面突起が形成され、前記係止片の外面には前記電源ユニット収納庫の内壁に当接可能な外面突起が形成された電池ホルダに係るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、測量装置に電池を実装するための電池ホルダであって、前記電池は先端面に接点と、両側面に下面に沿って形成された装着溝とを有し、前記電池ホルダはフランジ部と、該フランジ部から延出する電池ケースとを有し、該電池ケースは両側面の前記装着溝と対応する位置にそれぞれ片持支持に形成された係止片を有し、前記電池を前記電池ケースに嵌込むと前記係止片は弾性変位を介して前記装着溝に係合し、該係止片は前記電池を前記電池ケースに保持し、前記電池ホルダを前記測量装置の電源ユニット収納庫に挿入すると、前記係止片が該電源ユニット収納庫側の部材に当接し、前記係止片の弾性変位が拘束される様構成されたので、電池ホルダを介して取付け構造の異なる電池の測量装置への実装が可能となり、異種装置間で電池の共通化が可能となるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る実施例の全体斜視図である。
図2】本実施例の電池ホルダと電池との関係を示す斜視図である。
図3】電池の下方からの斜視図である。
図4】係止片を示す電池ケースの部分斜視図である。
図5】電池を電池ホルダに実装した状態の前方、上方からの斜視図である。
図6】電池を電池ホルダに実装した状態の前方、下方からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0015】
図1を参照して本実施例の概略を説明する。本実施例では測量装置の一例として、パイプを設置する場合に使用されるパイプレーザを示している。
【0016】
図1は測量装置1の後方からの斜視図であり、図1中、2は測量装置本体、3は電源ユニット、4は電池ホルダ、5は電池を示している。
【0017】
前記電源ユニット3は、前記測量装置本体2の後方から装脱される様になっている。
【0018】
前記測量装置本体2は後方に開口する電源ユニット収納庫7を有し、該電源ユニット収納庫7の開口の周囲には前記測量装置本体2の後端面より内部側に後退した突当て面8が形成されている。
【0019】
前記突当て面8より更に内部側に後退したフランジ面10に、開口を挾んだ2箇所(図示では左右2箇所)にロックピン11が突設されている。
【0020】
前記電源ユニット3は前記電池ホルダ4及び前記電池5から構成され、該電池5は上方から前記電池ホルダ4に実装される様になっている。
【0021】
前記電池ホルダ4は、フランジ部13及び前方に延出する電池ケース14からなっている。該電池ケース14は浅底の凹部が形成され、該凹部に前記電池5が上方から嵌め込まれる。該電池5の前面(図中、測量装置本体2側の先端面)には電気接点(後述)が設けられている。
【0022】
前記フランジ部13は前記突当て面8に当接し、該突当て面8の後退部分を充足する様になっている。又、前記フランジ部13は前記電源ユニット収納庫7の開口を閉塞する蓋12を有し、該蓋12にはシール9が設けられ、該シール9は前記開口の周縁に当接可能となっている。尚、前記シール9は前記突当て面8側に設けられてもよい。
【0023】
更に前記フランジ部13にはロック部16(図2参照)が設けられている。該ロック部16はロック摘み15及びロックプレート21(図2参照)を有し、該ロック摘み15は前記フランジ部13に於いて、軸心方向の変位はなく、回転のみ可能に保持される。前記ロックプレート21は、両端部に前記ロックピン11と係合する係合孔22を有し、前記ロック摘み15によって回転される様になっている。
【0024】
前記電源ユニット3を前記電源ユニット収納庫7に実装し、完全に実装した状態で前記電池5の接点が測量装置本体2側の接点と接合する様になっている。前記電源ユニット3を実装した状態で、前記ロック摘み15を回転させることで、前記ロックプレート21が前記ロックピン11に係合し、前記電源ユニット3を前記測量装置本体2にロックすると共に液密にシールする構造となっている。
【0025】
先ず、本実施例に用いられる電池5について、図2図3を参照して説明する。尚、図2中、左が後方、右が前方となっている。
【0026】
該電池5は直方体形状であり、他機種にも使用される汎用電池となっている。
【0027】
該電池5の前面下部には接点17が設けられている。該接点17は相手側の接点に押圧されることで接点間の接触が行われる様になっている。
【0028】
前記電池5の両側面下端には、前後2箇所、計4箇所に該電池5を装着する為の装着溝18が形成されている。又、前記電池5の後面下端には、位置決め用の凹部19が形成されている。
【0029】
前記装着溝18は横倒しのL字形状を有し、該装着溝18は底面と平行な水平溝部18aと該水平溝部18aと直角に連続し、下面に開口する垂直溝部18bから構成される。
【0030】
前記電池5自体が有する通常の実装方法としては、該電池5が実装される装置側に突起(図示せず)が設けられ、該突起が前記垂直溝部18bに進入する様前記電池5が上方から設置され、設置後電池5を水平方向にスライドさせ、前記突起が前記水平溝部18aに嵌合することで前記電池5が保持されると共に前記接点17が相手側接点に接触する様になっている。
【0031】
一方、本実施例では、前記水平溝部18aのみが用いられて前記電池5が保持される。
【0032】
前記電池ケース14について説明する。
【0033】
該電池ケース14は、合成樹脂製であり、概略、上方が開放された浅底の直方体形状をしており、前方端部の下側が全幅に亘って欠切され、開口部23が形成される。
【0034】
前記電池ケース14の底面後端部の中央には、前記凹部19に嵌合する凸部24が形成されている。
【0035】
又、電池ケース14の各側壁14aの前後2箇所に係止片25が形成される。
【0036】
図4にも示される様に、該係止片25は片持支持に形成され、該係止片25の内面には内面突起25aが突設され、該係止片25の外面には外面突起25bが突設される。
【0037】
前記係止片25は、前記電池ケース14の材質の有する弾性によって先端部が弾性変位可能となっている。又、弾性変位量は、少なくとも前記内面突起25aの突出量分が確保されている。
【0038】
前記係止片25の前後方向の位置は、図2に示される様に、前記水平溝部18aとなっている。
【0039】
前記電池5が上方から前記電池ケース14に嵌合すると、前記内面突起25aが前記水平溝部18aの土手18cを乗越え前記水平溝部18aに嵌合し、前記電池5を保持する。同時に、前記凸部24が前記凹部19に嵌合し、前記電池5は前記電池ケース14、即ち電池ホルダ4に保持されると共に該電池ホルダ4に対して位置決めされる。又、前記電池5を取外すときは、前記電池ホルダ4に対して前記電池5へ上方への力を加えることで、前記係止片25が弾性変位し、前記内面突起25aが前記水平溝部18aから外れ、前記電池5を取外すことができる。即ち、該電池5は前記電池ホルダ4に対して上方から簡単に着脱することができる。
【0040】
前記電池5が前記電池ホルダ4に実装された状態を図5図6に示す。
【0041】
前記電池5が前記電池ホルダ4に実装された状態では、前記開口部23より前記接点17が露出する様になっている。前記電池5が実装された前記電池ホルダ4はユニット化され、前記電源ユニット3として取扱うことができる。
【0042】
該電源ユニット3を前記測量装置本体2に実装する場合は、前記電源ユニット3を前記電源ユニット収納庫7に水平方向から実装する。前記電源ユニット3が前記電源ユニット収納庫7に実装されると、前記外面突起25bが前記電源ユニット収納庫7側の部材、例えば内壁に当接し、前記係止片25の弾性変位が抑止される。即ち、前記内面突起25aの前記水平溝部18aからの離脱方向の変位が拘束され、前記係止片25は前記内面突起25aと前記水平溝部18aとの係合を介して、前記電池5を確実、強固に保持する。
【0043】
前記電源ユニット3が前記電源ユニット収納庫7に完全に実装されると、前記接点17が前記測量装置本体2側の接点と接触し、前記電池5から前記測量装置本体2への給電が可能となる。
【0044】
更に、前記係合孔22は前記ロックピン11と嵌合し、前記ロック摘み15を回転することで前記ロックプレート21も回転し、前記係合孔22と前記ロックピン11とが係合し、前記電源ユニット3は前記測量装置本体2にロックされると共に前記電源ユニット3と前記測量装置本体2とは前記シール9によってシールされる。
【0045】
尚、前記係合孔22と前記ロックピン11との係合については、種々考えられるが、一例として、前記ロックピン11が大径の頭部と小径の基部を有する2段ピンであり、前記係合孔22が大径部と該大径部に連続する小径部を有する達磨形状をしており、前記ロックピン11の頭部が前記係合孔22の大径部に挿通した状態で、前記ロックプレート21を回転し、前記基部に前記係合孔22の小径部を嵌合させれば、ロック状態が得られる等である。
【0046】
本実施例によれば、電池5を上方からの一動作で簡単に電池ホルダ4に着脱でき、更に電池5と電池ホルダ4とでユニット化した電源ユニット3を水平方向からの一動作で測量装置本体2に簡単に装脱できる。従って、電池5自体が有する取付け構造、取付け方法によらず、電池5を測量装置1に実装することができ、電池5の共通化を可能とする。
【0047】
尚、上記実施例では電池5が側面にL字状の装着溝18を有する場合を説明したが、L字状に限らず電池5の下面に沿って形成された溝部を有すれば本実施例が適用可能となる。
【0048】
又、前記係止片25は、電池ホルダ4の前記電源ユニット収納庫7への実装状態で前記電源ユニット収納庫7の壁面、或は該電源ユニット収納庫7に設けられた部材によって変位が拘束されればよく、前記外面突起25bは省略することもできる。
【符号の説明】
【0049】
1 測量装置
2 測量装置本体
3 電源ユニット
4 電池ホルダ
5 電池
7 電源ユニット収納庫
11 ロックピン
14 電池ケース
17 接点
18 装着溝
18a 水平溝部
18b 垂直溝部
18c 土手
24 凸部
25 係止片
25a 内面突起
25b 外面突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6