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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】防火扉
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20230424BHJP
   E06B 3/72 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B3/72
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019061340
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020159123
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000159032
【氏名又は名称】菊水化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】駒田 はるか
(72)【発明者】
【氏名】安藤 洋志
(72)【発明者】
【氏名】井上 和也
(72)【発明者】
【氏名】小張 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】広田 正之
【審査官】素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-037617(JP,A)
【文献】特表2007-509256(JP,A)
【文献】特開平11-173022(JP,A)
【文献】実開昭63-073485(JP,U)
【文献】特開2016-166503(JP,A)
【文献】特開平04-315691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00 - 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四周状のフレームを含む骨材と、
前記四周状のフレームに固定された表面材と、
前記表面材に囲まれた空間に充填された耐火芯材と、
からなり、
前記耐火芯材は、前記四周状のフレームに囲まれた部位に設けた主耐火芯材を含み、
前記主耐火芯材は、2枚以上の板状の耐火材を、見付面同士を重ね合わせることで多層に形成されたブロックであり、前記主耐火芯材の見付面、見込面は、前記耐火材の見付面、見込面から形成され、
各耐火材の2つの見付面及び4つの見込面からなる6面には吸熱層が形成されており、
前記主耐火芯材の前記見付面及び前記見込面は前記吸熱層を備え、前記主耐火芯材の内部には、隣接する耐火材の夫々の見付面に形成した吸熱層からなる重層の吸熱層が形成されている、
防火扉。
【請求項2】
前記主耐火芯材は、扉体の高さ方向に複数段で設けてあり、前記骨材は、前記複数の主耐火芯材の間に設けた中横フレームを含む、
請求項1に記載の防火扉。
【請求項3】
前記骨材は、前記扉体の戸先側に設けた中縦フレームを含み、前記主耐火芯材は、前記四周状のフレームの上フレーム、下フレーム、戸尻側縦フレーム、前記中縦フレームに囲まれた部位に設けてある、
請求項に記載の防火扉。
【請求項4】
前記耐火芯材は、前記骨材の内部に充填された内側耐火芯材を含み、前記内側耐火芯材と前記骨材の内面の間に吸熱層が設けあり、前記内側耐火芯材と前記骨材の内面は吸熱層を介して接触している、
請求項1~いずれか1項に記載の防火扉。
【請求項5】
前記耐火芯材は、前記骨材の見付面と前記表面材の間に位置する外側耐火芯材を含んでいる、
請求項1~いずれか1項に記載の防火扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火扉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、防火戸には防火性能に限らず、避難時に有害となる火災側から非火災側への熱の伝達を防ぐよう遮熱性能が要求される傾向にある。
【0003】
防火戸は、扉体とドア枠から構成されるが、一般に、扉体の構造は、表面材と力骨及び中骨からなり、表面材に対して四周に力骨を固定し、高さ方向に延びる中骨を幅方向に等間隔で設ける。さらに、遮熱性能を付与する場合には、扉体内部に断熱材や耐火材を芯材として充填することが考えられるが、表面材、力骨、中骨は金属製(典型的には鋼製)なので、火災側の温度が上昇すると、扉体自体を媒介して輻射、対流、伝導により、火災側の熱が非火災側へ伝達されてしまうおそれがある。これによって、熱を受けた非火災側の可燃物が着火し、火災が拡大するおそれや、防火扉自体の熱により避難経路の通行を妨げてしまうおそれがある。特許文献1に記載された防火扉は、多孔質材及び自由水を含有してなる断熱材を用いることで、火災時に断熱性を確保するようにしている。この手段だと、火災側から非火災側への熱の伝達は、特別な構成の芯材(断熱材)に依存することになる。
【文献】特開2016-166503
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、加熱面側から非加熱面側へ扉体を伝わって熱が伝達されることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するべく本発明が採用した技術手段は、
四周状のフレームを含む骨材と、
前記四周状のフレームに固定された表面材と、
前記表面材に囲まれた空間に充填された耐火芯材と、
からなり、
前記耐火芯材は、前記四周状のフレームに囲まれた部位に設けた主耐火芯材を含み、
前記主耐火芯材の見付面には吸熱層が設けてある、
防火扉、である。
【0006】
1つの態様では、前記吸熱層は、加熱によって吸熱効果を呈する吸熱材によって形成されている。
1つの態様では、前記吸熱材は、吸熱塗料であり、前記吸熱層は、塗布された吸熱塗料によって形成される。
1つの態様では、前記吸熱材は、水酸化アルミニウムを含有している。
1つの態様では、前記主耐火芯材と前記表面材は吸熱層を介して接触している。
1つの態様では、前記主耐火芯材は、耐火性の断熱材からなる。
1つの態様では、前記断熱材は、ロックウールである。
【0007】
1つの態様では、前記主耐火芯材は、2枚以上の板状の耐火材から多層に形成されており、前記耐火材の見付面同士は吸熱層を介して接触ないし近接している。
1つの態様では、前記板状の耐火材は、ロックウールである。
1つの態様では、前記主耐火芯材の見込面の一部あるいは全部には吸熱層が設けてある。
【0008】
1つの態様では、前記主耐火芯材は、扉体の高さ方向に複数段で設けてあり、前記骨材は、前記複数の主耐火芯材の間に設けた中横フレームを含む。
中横フレームを設けることで、扉体内部に充填した主耐火芯材が脱落して扉体内部の上方に隙間が生じることを防止する。扉体内部の上方に隙間が生じると、熱気が対流して非火災側の温度上昇を招くおそれがある。
1つの態様では、前記骨材は、前記扉体の戸先側に設けた中縦フレームを含み、前記主耐火芯材は、前記四周状のフレームの上フレーム、下フレーム、戸尻側縦フレーム、前記中縦フレームに囲まれた部位に設けてある。
1つの態様では、かかる部位は中横フレームによって上下に区画されており、主耐火芯材が扉体の高さ方向に複数段で設けられる。
【0009】
1つの態様では、前記耐火芯材は、前記骨材の内部に充填された内側耐火芯材を含み、前記内側耐火芯材と前記骨材の内面の間に吸熱層が設けあり、前記内側耐火芯材と前記骨材の内面は吸熱層を介して接触している。
1つの態様では、前記主耐火芯材の見込面には吸熱層が形成されており、前記主耐火芯材の見込面は、吸熱層を介して、前記内側耐火芯材が充填された前記骨材の見込面と当接している。
1つの態様では、前記内側耐火芯材は、耐火性の断熱材からなる。
1つの態様では、前記断熱材は、ロックウールである。
【0010】
1つの態様では、前記耐火芯材は、前記骨材の見付面と前記表面材の間に位置する外側耐火芯材を含んでいる。
1つの態様では、前記外側耐火芯材は、ケイ酸カルシウム板である。
1つの態様では、前記防火扉の戸先側部位には錠前が内蔵されており、前記四周状のフレームの戸先側縦フレームを形成する骨材の見付面と前記表面材との間に位置する戸先側の外側耐火芯材は、前記見付面を越えて扉体中央側に延びており、前記錠前の設置位置と表面材との間に位置するように延びている。
【0011】
1つの態様では、前記外側耐火芯材の間には、前記錠前の上下に位置して、前記戸先側の外側耐火芯材の間には戸先側内部耐火芯材が設けてある。
1つの態様では、前記戸先側内部耐火芯材は、中央の第1要素(例えば、ロックウール)と、第1要素を挟むように設けた第2要素(ケイ酸カルシウム板)とからなり、前記第1要素と前記第2要素は吸熱層を介して接触しており、前記第2要素は、前記外側耐火芯材に接触している。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る防火扉において、四周状のフレームに囲まれた部位に設けた主耐火芯材
の見付面に吸熱層を設けることで、火災時の熱による吸熱反応によって、加熱面側から非加熱面側へ扉体を伝わって熱が伝達されることを抑制することができる。
【0013】
本発明に係る防火扉において、さらに、扉体を構成する各要素の当接面に位置して吸熱層を設けることで、火災時の熱による吸熱反応によって、加熱面側から非加熱面側へ各要素を伝わって熱が伝達されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ドア装置を室外側から見た正面図である。
図2図1に係るドア装置のA-A縦断面図である。
図3図1に係るドア装置のB-B縦断面図である。
図4図1に係るドア装置のC-C横断面図である。
図4A図4の戸先側部位の拡大図である。
図5図1に係るドア装置のD-D横断面図である。
図6】第2耐火芯材が充填された骨材と第3耐火芯材のブロックを示す図である。
図7】第1耐火芯材を示す図である。
図8】第4耐火芯材を示す図である。
図9】多層構造の第1耐火芯材における吸熱層の遮熱効果を示すモデル図であって、左図は、各層の境界に吸熱層を設けたモデル、右図は、第1耐火芯材の表面にのみ吸熱層を設けたモデルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[A]ドア装置の全体構成
図1は実施形態に係るドア装置を室外側から見た正面図であって、ドア装置は、縦長方形状のドア枠1と、ドア枠1によって形成された開口部を開閉する扉体2とからなる。本実施形態では、扉体2は遮熱扉ないし防火扉であり、ドア装置は防火性能が要求される開口部に設置される。
【0016】
ドア枠1は、上枠10、下枠11、戸先側縦枠12、戸尻側縦枠13から縦長方形状に形成されている。上枠10、戸先側縦枠12、戸尻側縦枠13には、扉体2の開放側に向かって開口する溝部が三方に亘って形成されており、溝部には、気密ゴムからなる上側気密部材S1(図3参照)、戸先側気密部材S2、戸尻側気密部材S3(図5参照)が設けてあり、上側気密部材S1、戸先側気密部材S2、戸尻側気密部材S3が三方の戸当たり部となっている。開口部全閉時には、閉鎖姿勢にある扉体2の上面、下面、戸先側見込面、戸尻側見込面がそれぞれ、上枠10、下枠11、戸先側縦枠12、戸尻側縦枠13の見込面に近接対向しており、扉体2の三方(戸先側部位、戸尻側部位、上側部位)の周縁部位が上側気密部材S1、戸先側気密部材S2、戸尻側気密部材S3に当接するようになっている。
【0017】
本実施形態に係る扉体2は、四周状のフレームを含む金属製の骨材と、四周状のフレームに固定された金属製の第1表面材20及び第2表面材21と、第1表面材20及び第2表面材21に囲まれた空間に充填された耐火芯材と、から構成されている。本実施形態に係る耐火芯材は、扉体2の内部空間において最も大きな容積を占める第1耐火芯材ないし主耐火芯材(ロックウールRW1~3からなるブロック8A~8D)、第2耐火芯材(各骨材の内部空間に充填されたロックウールRW4~RW7、RW12、RW13)、第3耐火芯材(各骨材と第1表面材20、第2表面材21との間に配置された耐火芯材7A~7L)、第4耐火芯材(ロックウールRW8~RW11と耐火芯材7E´、7F´からなるブロック14A~14D)を含む。
【0018】
骨材は、四周状のフレームを形成する上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6と、扉体2の戸先側に設けられた1本の縦中骨すなわち中縦フレーム5´と、中縦フレーム5´と戸尻側縦フレーム6の間の空間に設けられた3本の横中骨すなわち中横フレーム4´とからなる。戸先側縦フレーム5と中縦フレーム5´の間の空間には、所定高さに位置して錠前(第1錠24、第2錠25、第3錠26)が収容されている。
【0019】
第1表面材20は、薄肉の鋼鈑を折り曲げて形成されており、扉体2の室外側見付面を形成する主面部200と、主面部200の周辺部位を折り曲げて形成された上辺201、下辺202、戸先側の第1側辺203、戸尻側の第2側辺204と、からなる。以下の説明では、扉体2の1つの構成要素として当該扉体2を構成する第1表面材20の主面部200を第1見付面200と称する。
【0020】
第2表面材21は、薄肉の鋼鈑を折り曲げて形成されており、扉体2の室内側見付面を形成する主面部210と、主面部210の周辺部位を折り曲げて形成された上辺211、下辺212、戸先側の第1側辺213、戸尻側の第2側辺214と、からなる。以下の説明では、扉体2の1つの構成要素として当該扉体2を構成する第2表面材21の主面部210を第2見付面210と称する。
【0021】
第1表面材20の上辺201と第2表面材21の上辺211は、上フレーム3(上面部32)に固定されており、第1表面材20の上辺201と第2表面材21の上辺211から扉体2の上面が形成されており、第1表面材20の下辺202と第2表面材21の下辺212は、下フレーム4(下面部42)に固定されており、第1表面材20の下辺202と第2表面材21の下辺212から扉体2の下面が形成されており、第1表面材20の第1側辺203と第2表面材21の第1側辺213は、戸先側縦フレーム5(見込面部52)に固定されており、第1表面材20の第1側辺203と第2表面材21の第1側辺213から扉体2の戸先側見込面が形成されており、第1表面材20の第2側辺204と第2表面材21の第2側辺214は、戸尻側縦フレーム6(見込面部62)に固定されており、第1表面材20の第2側辺204と第2表面材21の第2側辺214から扉体2の戸尻側見込面が形成されている。
【0022】
図1に示すように、扉体2は、戸尻側部位に設けた丁番22によってドア枠1の戸尻側縦枠13に回動可能に支持されている。扉体2の室外側見付面(第1表面材20の第1見付面200)、室内側見付面(第2表面材21の第2見付面210)の戸先側部位にはハンドル23(室内側見付面のハンドルについては図示せず)が設けてある。扉体2の戸先側部位には、高さ方向の中間に位置して第1錠24が内蔵されている。さらに、扉体2の戸先側部位の上方部位に位置して第2錠25、下方部位に位置して第3錠26が内蔵されている。
【0023】
第1錠24は、所定厚さ(見込寸法)及び所定幅(見付寸法)を備え、正面視方形状の錠ケース240と、錠ケース240に内蔵されたラッチ、デッドボルトを備えている。ドア枠1の戸先側縦枠12の見込面120(図4(A)参照)の所定高さには、第1錠24のストライクが設けてある。ラッチは付勢手段によって扉体2の戸先側見付面から突出してストライクのラッチ受孔に係止して扉体2の閉鎖姿勢を維持し、ハンドル23の回動操作に連動して突出したラッチを扉体2の戸先側見込面内に退避させて係止状態を解錠することで扉体2を開放させる。デッドボルトは、扉体2の室内側見付面に設けた操作つまみ(図示せず)の回動、室外側見付面に設けた鍵孔241に挿入した鍵の回動によって、ストライクのデッドボルト受孔に対して係止姿勢と解除姿勢をとるようになっている。
【0024】
第2錠25は、所定厚さ(見込寸法)及び所定幅(見付寸法)を備え、正面視方形状の錠ケース250と、錠ケース250に内蔵されたラッチを備えており、デッドボルトは備えていない。第3錠26は、所定厚さ(見込寸法)及び所定幅(見付寸法)を備え、正面視方形状の錠ケース260と、錠ケース260に内蔵されたラッチを備えており、デッドボルトは備えていない。本実施形態では、第1錠24の錠ケース240、第2錠25の錠ケース250、第3錠26の錠ケース260は、同じ厚さ(見込寸法)及び幅(見付寸法)を備えている。ドア枠1の戸先側縦枠12の見込面の上方部位には第2錠25のラッチのストライクが設けてあり、下方部位には第3錠26のラッチのストライクが設けてある。第2錠25及び第3錠26のラッチは付勢手段によって扉体2の戸先側見付面から突出してストライクのラッチ受孔に係止して扉体2の閉鎖姿勢を維持している。本実施形態では、開口部全閉姿勢時に扉体2が高さ方向の3箇所においてラッチでドア枠1の戸先側縦枠12に係止することによって、火災時の熱による扉体2の反りを可及的に防止し、扉体2とドア枠1との間に防火ないし防煙及び遮熱において不利な隙間が形成されることを防止する。
【0025】
ハンドル23の回動と第1錠24のラッチ、第2錠25のラッチ、第3錠26のラッチの動作は連動しており、扉体2の閉鎖状態において、水平姿勢にあるハンドル23を下方に回動させることで、ラッチ受孔に対して係止姿勢(突出姿勢)にある第1錠24のラッチ、第2錠25のラッチ、第3錠26のラッチが扉体2の戸先側見付面内に退避する方向に移動して解除姿勢(退避姿勢)となり、したがって、扉体2の閉鎖姿勢時において、ハンドル23の回動操作に連動して突出姿勢にある3本のラッチを扉体2の戸先側見付面内に同時に退避させて係止状態を解錠することで扉体2を開放させる。
【0026】
より具体的には、第1錠24と第2錠25の間、第1錠24と第3錠26の間は扉体2内を垂直姿勢で延びるロッド(図示せず)によって連動連結されており、ロッドの下動あるいは上動に連動して、係止姿勢にあるラッチが解除姿勢となる。このようないわゆる3点ラッチ錠は、例えば、特開2013-72179号、特開2013-249644号に開示されており、ロッドとラッチの具体的な連動構成例についてはこれらの文献の記載を参照することができる。本実施形態では、デッドボルト及びラッチを備えた第1錠24、ラッチのみを備えた第2錠25、第3錠26の合計3つの錠を用いているが、第1錠24のみの1つの錠でもよく、あるいは、4つ以上の錠を採用してもよい。
【0027】
扉体2の上面、下面、戸先側見込面、戸尻側見込面には、第1表面材20の上辺201と第2表面材21の上辺211との間、第1表面材20の下辺202と第2表面材21の下辺212との間、第1表面材20の第1側辺203と第2表面材21の第1側辺213との間、第1表面材20の第2側辺204と第2表面材21の第2側辺214との間に跨るように熱膨張耐火部材16(図4(A)に代表して示す)が設けてあり、螺子17(図4(A)に代表して示す)によって、上辺201、211と共に上フレーム3の上面部32に固定され、下辺202、212と共に下フレーム4の下面部42に固定され、戸先側の第1側辺203、213と共に戸先側縦フレーム5の見込面部52に固定され、戸尻側の第2側辺204、214と共に戸尻側縦フレーム6の見込面部62に固定される。火災時には、火災時の熱で熱膨張耐火部材16が発泡して膨張することで、扉体2の上面、戸先側見込面、戸尻側見込面と、ドア枠1の上枠10、戸先側縦枠12、戸尻側縦枠13の見込面との間の隙間を塞ぐようになっている。
【0028】
本実施形態に係る扉体2は、加熱面側から非加熱面側へ表面材や骨材を伝わって熱が伝達されることを抑制するために、内部空間には、断熱性の耐火芯材が充填されている。本実施形態に係る耐火芯材は、第1表面材20、第2表面材21に囲まれた扉体2の内部空間において、上フレーム3と、下フレーム4と、中横フレーム4´と、中縦フレーム5´と、戸尻側縦フレーム6で囲まれた空間に位置して、扉体2のほぼ全厚に亘って設けた第1耐火芯材(ロックウールRW1~RW3からなるブロック8A~8D)と、各骨材(上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6、中縦フレーム5´、中横フレーム4´)の内部に充填された第2耐火芯材(ロックウールRW4~RW7、RW12、RW13)と、各骨材(上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6、中縦フレーム5´、中横フレーム4´)の見付面と第1表面材20の主面部200、第2表面材21の主面部210との間に位置して設けた第3耐火芯材7(7A~7L)と、戸先側縦フレーム5と中縦フレーム5´の間の空間に位置して、第3耐火芯材7(7E、7F)と第1錠24、第2錠25、第3錠26との間に位置して設けた第4耐火芯材(7E´、7F´、RW8~RW11からなるブロック14A~14D)とからなる。
【0029】
第1耐火芯材は、ロックウールRW1~RW3から組み立てられたブロック8A、ブロック8B、ブロック8C、ブロック8Dとして用意される。第2耐火芯材(ロックウールRW4、RW5、RW7、RW12~RW13)が充填された各骨材(上フレーム3、下フレーム4、戸尻側縦フレーム6、中縦フレーム5´、中横フレーム4´)と第3耐火芯材7(7A~7L、7E、7Fを除く)をそれぞれ組み立てることでブロック9A~9Eが用意される。第4耐火芯材は、RW8~RW11、7E´、7F´から組み立てられたブロック14A~14Dとして用意され、ロックウールRW6が充填された戸先側縦フレーム5、第3耐火芯材(7E、7F)及び第1錠24、第2錠25、第3錠26と共に扉体2の戸先側部位(錠前に対応する見付幅)の内部空間に設けられる。
【0030】
本実施形態に係る防火扉では、以下に詳述するように、四周状のフレームに囲まれた部位に設けた第1耐火芯材の各ロックウールRW1~RW3の見付面に吸熱層a1~a6を設けることで、火災時の熱による吸熱反応によって、加熱面側から非加熱面側へ扉体を伝わって熱が伝達されることを抑制する。さらに、扉体の芯材を構成する各要素の当接面に位置して吸熱層a7~a16を設けることで、火災時の熱による吸熱反応によって、加熱面側から非加熱面側へ各要素を伝わって熱が伝達されることを抑制する。
【0031】
[B]第2耐火芯材が充填された骨材
本実施形態に係る扉体2の骨材は、上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6からなる四周の力骨と、扉体2の戸先側に位置する縦中骨すなわち中縦フレーム5´と、横中骨すなわち中横フレームと4´、からなる。各骨材ないしフレーム3~6、5´、4´は、金属製(典型的には鋼製)で断面視コ字形状の長尺部材であり、凹状の内部空間には断熱材としてロックウールRW4~RW7、RW12、RW13が充填されている。ロックウールRW4~RW7、RW12、RW13は第2耐火芯材を構成している。以下、第2耐火芯材が充填された骨材の構成について、主として図6を参照しつつ、詳細に説明する。
【0032】
扉体2の上フレーム3は、第1見付面部30と、第2見付面部31と、上面部32とから断面視コ字状に形成されている。第1見付面部30と、第2見付面部31と、上面部32とから形成された凹部内には充填材としてのロックウールRW4が充填されている。ロックウールRW4の表面には、下面を除いて吸熱塗料が塗布されており、上フレーム3の内面とロックウールRW4との間には吸熱層a11、a12、a13が形成されており、上フレーム3の内面とロックウールRW4は吸熱層a11、a12、a13を介して接している。
【0033】
扉体2の下フレーム4は、第1見付面部40と、第2見付面部41と、下面部42とから断面視コ字状に形成されている。第1見付面部40と、第2見付面部41と、下面部42とから形成された凹部内には充填材としてのロックウールRW5が充填されている。ロックウールRW4の表面には、上面を除いて吸熱塗料が塗布されており、下フレーム4の内面とロックウールRW5との間には吸熱層a11、a12、a13が形成されており、下フレーム4の内面とロックウールRW5は吸熱層a11、a12、a13を介して接している。
【0034】
扉体2の戸先側縦フレーム5は、第1見付面部50と、第2見付面部51と、見込面部52とから断面視コ字状に形成されている。第1見付面部50と、第2見付面部51と、見込面部52とから形成された凹部内には充填材としてのロックウールRW6が充填されている。ロックウールRW6の表面には、戸尻側見込面を除いて吸熱塗料が塗布されており、戸先側縦フレーム5の内面とロックウールRW6との間には吸熱層a11、a12、a13(図6を援用)が形成されており、戸先側縦フレーム5の内面とロックウールRW6は吸熱層a11、a12、a13を介して接している。戸先側縦フレーム5の第1見付面部50と、第2見付面部51の高さ方向の所定部位は、錠ケース240、250、260を受け入れるために切り欠かれており、錠前に対応する内部空間にはロックウールRW6は充填されていない。本実施形態では、戸先側縦フレーム5の見込面部52の上下端は、第1見付面部50と、第2見付面部51の上端、下端をそれぞれ越えて上側延出片、下側延出片(図示せず)が形成されており、それぞれ、上フレーム3の戸先側端面、下フレーム4の戸先側端面に位置して、ロックウールRW4の戸先側端面、ロックウールRW5の戸先側端面に近接対向ないし接触している。
【0035】
扉体2の戸尻側縦フレーム6は、第1見付面部60と、第2見付面部61と、見込面部62とから断面視コ字状に形成されている。第1見付面部60と、第2見付面部61と、見込面部62とから形成された凹部内には充填材としてのロックウールRW7が充填されている。ロックウールRW7の表面には、戸先側見込面を除いて吸熱塗料が塗布されており、戸尻側縦フレーム6の内面とロックウールRW7との間には吸熱層a11、a12、a13が形成されており、戸尻側縦フレーム6の内面とロックウールRW7は吸熱層a11、a12、a13を介して接している。本実施形態では、戸尻側縦フレーム6の見込面部62の上下端は、第1見付面部60と、第2見付面部61の上端、下端をそれぞれ越えて上側延出片、下側延出片(図示せず)が形成されており、それぞれ、上フレーム3の戸尻側端面、下フレーム4の戸尻側端面に位置して、ロックウールRW4の戸尻側端面、ロックウールRW5の戸尻側端面に近接対向ないし接触している。
【0036】
中縦フレーム5´は、第1見付面部50´と、第2見付面部51´と、見込面部52´とから断面視コ字状に形成されている。第1見付面部50´と、第2見付面部51´と、見込面部52´とから形成された凹部内には充填材としてのロックウールRW12が充填されている。ロックウールRW12の表面には、戸尻側見込面を除いて吸熱塗料が塗布されており、中縦フレーム5´の内面とロックウールRW12との間には吸熱層a11、a12、a13が形成されており、中縦フレーム5´の内面とロックウールRW12は吸熱層a11、a12、a13を介して接している。
【0037】
中横フレーム4´は、第1見付面部40´と、第2見付面部41´と、下面部42´とから断面視コ字状に形成されている。第1見付面部40´と、第2見付面部41´と、下面部42´とから形成された凹部内には充填材としてのロックウールRW13が充填されている。ロックウールRW13の表面には、上面を除いて吸熱塗料が塗布されており、中横フレーム4´の内面とロックウールRW13との間には吸熱層a11、a12、a13が塗布されており、中横フレーム4´の内面とロックウールRW13は吸熱層a11、a12、a13を介して接している。
【0038】
吸熱層a11、a12、a13を形成する吸熱材(本実施形態では吸熱塗料)は、加熱によって吸熱作用を呈する物質であり、例えば、吸熱物質として水酸化アルミニウムを含有する塗料である。このような吸熱物質は、例えば、特開2014-88277に開示されている。火災時の加熱によって、火災時の高温に晒されることによって、吸熱層a11、a12、a13が吸熱反応することに伴う吸熱効果によって、扉体2の骨材(フレーム3~6、5´、4´)及びそれらの周辺の温度上昇を抑えることができる。
【0039】
扉体2の骨材(フレーム3~6、5´、4´)の内部空間に第2耐火芯材(ロックウールRW4~RW7、RW12、RW13)を充填したことで、骨材(フレーム3~6、5´、4´)の一方の見付面から他方の見付面への対流による熱の伝達を抑制している。本実施形態では、第2耐火芯材として耐火性の断熱材であるロックウールRW4~RW7、RW12、RW13を開示したが、第2耐火芯材の材質はロックウールに限定されるものではなく、例えば、グラスウールや石膏等であってもよい。
【0040】
[C]第3耐火芯材
本実施形態では、力骨を形成する四周状のフレームの見込寸法、すなわち、上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6の見込寸法は、扉体2の見込寸法(厚さ)よりも小さい寸法となっており、第1表面材20と四周状のフレームの間、第2表面材21と四周状のフレームの間には、板状の第3耐火芯材7A~7Hが設けてある。金属製の第1表面材20、第2表面材21と金属製の四周状のフレームとの間に第3耐火芯材7A~7Hを挟むことで、扉体2の一方の見付面から他方の見付面への熱伝達を抑制している。
【0041】
中骨を形成する中縦フレーム5´、中横フレーム4´の見込寸法は、扉体2の見込寸法(厚さ)よりも小さい寸法となっており、第1表面材20と中縦フレーム5´、中横フレーム4´の間、第2表面材21と中縦フレーム5´、中横フレーム4´の間には、板状の第3耐火芯材7I~7Lが設けてある。金属製の第1表面材20、第2表面材21と中縦フレーム5´、中横フレーム4´との間に第3耐火芯材7I~7Lを挟むことで、扉体2の一方の見付面から他方の見付面への熱伝達を抑制している。
【0042】
本実施形態では、第3耐火芯材7はケイ酸カルシウム板(典型的にはプライマー処理されている)から形成されているが、第3耐火芯材7の材料は限定されず、遮熱性を備えた他の不燃材料を採用してもよい。このような不燃性の耐火材料として、石膏ボード、繊維強化セメント板等を例示することができる。本実施形態に係る第2耐火芯材7について、以下に詳細に説明する。
【0043】
第3耐火芯材7A~7Lは、扉体2の第1表面材20、第2表面材21と、各骨材(フレーム3~6、5´、4´)の見付面との間に位置して設けられる。本実施形態では、第3耐火芯材7は、第1表面材20と上フレーム3との間に設けられる耐火芯材7A、第2表面材21と上フレーム3との間に設けられる耐火芯材7B、第1表面材20と下フレーム4との間に設けられる耐火芯材7C、第2表面材21と下フレーム4との間に設けられる耐火芯材7D、第1表面材20と戸先側縦フレーム5との間に設けられる耐火芯材7E、第2表面材21と戸先側縦フレーム5との間に設けられる耐火芯材7F、第1表面材20と戸尻側縦フレーム6との間に設けられる耐火芯材7G、第2表面材21と戸尻側縦フレーム6との間に設けられる耐火芯材7H、第1表面材20と中縦フレーム5´との間に設けられる耐火芯材7I、第2表面材21と中縦フレーム5´との間に設けられる耐火芯材7J、第1表面材20と中横フレーム4´との間に設けられる耐火芯材7K、第2表面材21と中横フレーム4´との間に設けられる耐火芯材7L、からなる。
【0044】
第3耐火芯材7A~7Lは、扉体2の幅方向ないし高さ方向に延びる第1見付面及び第2見付面と、周囲の4つの端面、すなわち、上面、下面、長さ方向一端の端面、長さ方向一端の端面と、からなる長尺状の板体である。本実施形態では、耐火芯材7A、7B、7C、7Dは同一形状・同一寸法の断面形状を備えており、耐火芯材7G、7H、7I、7Jは同一形状・同一寸法の断面形状を備えており、耐火芯材7K、7Lは同一形状・同一寸法の断面形状を備えている。耐火芯材7E、7Fは同一形状・同一寸法を備えており、耐火芯材7A、7B、7C、7D、7G、7H、7I、7J、7K、7Lよりも僅かに小さい見込寸法(厚さ)となっている。耐火芯材7A~7Lは、各骨材(上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6、中縦フレーム5´、中横フレーム4´)を挟むように両側の見付面に位置して設けられ、第1見付面が扉体2の第1見付面200に接触し、第2見付面が各骨材の見付面に接触する。以下、より具体的に説明する。
【0045】
耐火芯材7A、7Bの高さ寸法、見付寸法(幅寸法)は、上フレーム3の高さ寸法、見付寸法と同じであり、耐火芯材7Aの第1見付面が扉体2の第1見付面200に接触し、第2見付面が上フレーム3の第1見付面部30に接触し、耐火芯材7Bの第1見付面が扉体2の第2見付面210に接触し、第2見付面が上フレーム3の第2見付面部31に接触している。
【0046】
耐火芯材7C、7Dの高さ寸法、見付寸法(幅寸法)は、下フレーム4の高さ寸法、見付寸法と同じであり、耐火芯材7Cの第1見付面が扉体2の第1見付面200に接触し、第2見付面が下フレーム4の第1見付面部40に接触し、耐火芯材7Dの第1見付面が扉体2の第2見付面210に接触し、第2見付面が下フレーム4の第2見付面部41に接触している。
【0047】
耐火芯材7E、7Fの高さ寸法は、戸先側縦フレーム5の高さ寸法と同じであるが、耐火芯材7E、7Fの見付寸法は、戸先側縦フレーム5の見付寸法よりも大きい。耐火芯材7Eの第1見付面が扉体2の第1見付面200に接触し、第2見付面が戸先側縦フレーム5の第1見付面部50に接触し、耐火芯材7Fの第1見付面が扉体2の第2見付面210に接触し、第2見付面が戸先側縦フレーム5の第2見付面部51に接触している。
【0048】
耐火芯材7G、7Hの見付寸法、高さ寸法は戸尻側縦フレーム6の見付寸法、高さ寸法と同じであり、耐火芯材7Gの第1見付面が扉体2の第1見付面200に接触し、第2見付面が戸尻側縦フレーム6の第1見付面部60に接触し、耐火芯材7Hの第1見付面が扉体2の第2見付面210に接触し、第2見付面が戸尻側縦フレーム6の第2見付面部61に接触している。
【0049】
耐火芯材7I、7Jの見付寸法、高さ寸法は、中縦フレーム5´の見付寸法、高さ寸法と同じであり、耐火芯材7Iの第1見付面が扉体2の第1見付面200に接触し、第2見付面が中縦フレーム5´の第1見付面部50´に接触し、耐火芯材7Jの第1見付面が扉体2の第2見付面210に接触し、第2見付面が中縦フレーム5´の第2見付面部51´に接触している。
【0050】
耐火芯材7K、7Lの高さ寸法、見付寸法は、中横フレーム4´の高さ寸法、見付寸法と同じであり、耐火芯材7Kの第1見付面が扉体2の第1見付面200に接触し、第2見付面が中横フレーム4´の第1見付面部40´に接触し、耐火芯材7Lの第1見付面が扉体2の第2見付面210に接触し、第2見付面が中横フレーム4´の第2見付面部41´に接触している。
【0051】
[D]第2耐火芯材が充填された骨材と第3耐火芯材からなるブロック
本実施形態では、上フレーム3と耐火芯材7A、7Bから上側のブロック9Aが形成され、下フレーム4と耐火芯材7C、7Dから下側のブロック9Bが形成され、戸尻側縦フレーム6と耐火芯材7G、7Hから戸尻側のブロック9Cが形成され、中縦フレーム5´と耐火芯材7I、7Jから戸先側の中縦ブロック9Dが形成され、中横フレーム4´と耐火芯材7K、7Lから複数の中横ブロック9Eが形成されている。このようなブロック9A~9Eを形成することで、扉体2の組立効率を向上させることができる。本明細書において、「ブロック」とは、扉体2の組立に先立って、複数の要素が一体化された塊を意味する。第2耐火芯材が充填された骨材と第3耐火芯材は、接着手段(例えば、両面接着テープや接着剤)によって一体化されてブロックを形成する。図6に示すように、ブロック9A~9Eは、見付面90、91、見込面92、93、長さ方向端面94、95を備えた長尺状の直方体である。
【0052】
耐火芯材7Aの上面、耐火芯材7Bの上面、上フレーム3の上面部32からブロック9Aの上面(見込面92)が形成されている。耐火芯材7Aの下面、耐火芯材7Bの下面、上フレーム3の第1見付面部30の下端と、上フレーム3の第2見付面部31の下端と、上フレーム3に充填されたロックウールRW4の下面からブロック9Aの下面(見込面93)が形成されている。耐火芯材7Aの戸先側端面、耐火芯材7Bの戸先側端面、上フレーム3(第1見付面部30と、第2見付面部31と、上面部32)の長さ方向の戸先側端面からブロック9Aの戸先側見込面(長さ方向端面94)が形成されており、上フレーム3に充填されたロックウールRW4の戸先側端面は、ブロック9Aの戸先側見込面の近傍に位置している。耐火芯材7Aの戸尻側端面、耐火芯材7Bの戸尻側端面、上フレーム3(第1見付面部30と、第2見付面部31と、上面部32)の長さ方向の戸尻側端面からブロック9Aの戸尻側見込面(長さ方向端面95)が形成されており、上フレーム3に充填されたロックウールRW4の戸尻側端面は、ブロック9Aの戸尻側見込面の近傍に位置している。なお、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6の上端に上側延出片を設けない場合には、ロックウールRW4の戸先側端面、戸尻側端面がそれぞれ、ブロック9Aの戸先側見込面(長さ方向端面94)、戸尻側見込面(長さ方向端面95)と一致していてもよい(図6)。
【0053】
耐火芯材7Cの上面、耐火芯材7Dの上面、下フレーム4の第1見付面部40の上端と、下フレーム4の第2見付面部41の上端と、下フレーム4に充填されたロックウールRW5の上面からブロック9Bの上面(見込面93)が形成されている。耐火芯材7Cの下面、耐火芯材7Dの下面、下フレーム4の下面部42からブロック9Bの下面(見込面92)が形成されている。耐火芯材7Cの戸先側端面、耐火芯材7Dの戸先側端面、下フレーム4(第1見付面部40と、第2見付面部41と、下面部42)の長さ方向の戸先側端面からブロック9Bの戸先側見込面(長さ方向端面94)が形成されており、下フレーム4に充填されたロックウールRW5の戸先側端面は、ブロック9Bの戸先側見込面の近傍に位置している。耐火芯材7Cの戸尻側端面、耐火芯材7Dの戸尻側端面、下フレーム4(第1見付面部40と、第2見付面部41と、下面部42)の長さ方向の戸尻側端面からブロック9Bの戸尻側見込面(長さ方向端面95)が形成されており、下フレーム4に充填されたロックウールRW5の戸尻側端面は、ブロック9Bの戸尻側見込面の近傍に位置している。なお、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6の下端に下側延出片を設けない場合には、ロックウールRW5の戸先側端面、戸尻側端面がそれぞれ、ブロック9Bの戸先側見込面(長さ方向端面94)、戸尻側見込面(長さ方向端面95)と一致していてもよい(図6)。
【0054】
耐火芯材7Gの戸先側端面、耐火芯材7Hの戸先側端面、戸尻側縦フレーム6の第1見付面部60の戸先側端と、戸尻側縦フレーム6の第2見付面部61の戸先側端と、戸尻側縦フレーム6に充填したロックウールRW7の戸先側端面からブロック9Cの戸先側見込面(見込面93)が形成されている。耐火芯材7Gの戸尻側端面、耐火芯材7Hの戸尻側端面、戸尻側縦フレーム6の見込面部62からブロック9Cの戸尻側見込面(見込面92)が形成されている。耐火芯材7Gの上面、耐火芯材7Hの上面、戸尻側縦フレーム6(第1見付面部60と、第2見付面部61と、見込面部62)の高さ方向の上端と、ロックウールRW7の上端面からブロック9Cの上端面(長さ方向端面94)が形成されている。耐火芯材7Gの下面、耐火芯材7Hの下面、戸尻側縦フレーム6(第1見付面部60と、第2見付面部61と、見込面部62)の高さ方向の下端と、ロックウールRW7の下端面からブロック9Cの下端面(長さ方向端面95)が形成されている。
【0055】
耐火芯材7Iの戸尻側端面、耐火芯材7Jの戸尻側端面、中縦フレーム5´の第1見付面部50´の戸尻側端と、中縦フレーム5´の第2見付面部51´の戸尻側端と、中縦フレーム5´に充填したロックウールRW12の戸尻側端面からブロック9Dの戸尻側見込面(見込面93)が形成されている。耐火芯材7Iの戸先側端面、耐火芯材7Jの戸先側端面、中縦フレーム5´の見込面部52´からブロック9Dの戸先側見込面(見込面92)が形成されている。耐火芯材7Iの上面、耐火芯材7Jの上面、中縦フレーム5´(第1見付面部50´と、第2見付面部51´と、見込面部52´)の高さ方向の上端と、ロックウールRW12の上端面からブロック9Dの上端面(長さ方向端面94)が形成されている。耐火芯材7Iの下面、耐火芯材7Jの下面、中縦フレーム5´(第1見付面部50´と、第2見付面部51´と、見込面部52´)の高さ方向の下端と、ロックウールRW12の下端面からブロック9Dの下端面(長さ方向端面95)が形成されている。ブロック9Dの戸先側見込面には、吸熱層a16が形成されている(図4図5参照)。吸熱層a16は、ブロック9Dの戸先側見込面に吸熱塗料を塗布することで形成される。
【0056】
耐火芯材7Kの上面、耐火芯材7Lの上面、中横フレーム4´の第1見付面部40´の上端と、中横フレーム4´の第2見付面部41´の上端と、中横フレーム4´に充填されたロックウールRW13の上面からブロック9Eの上面(見込面93)が形成されている。耐火芯材7Kの下面、耐火芯材7Lの下面、中横フレーム4´の下面部42´からブロック9Eの下面(見込面92)が形成されている。耐火芯材7Kの戸先側端面、耐火芯材7Lの戸先側端面、中横フレーム4´(第1見付面部40´と、第2見付面部41´と、下面部42´)の長さ方向の戸先側端面とロックウールRW13の戸先側端面からブロック9Eの戸先側見込面(長さ方向端面94)が形成されている。耐火芯材7Kの戸尻側端面、耐火芯材7Lの戸尻側端面、中横フレーム4´(第1見付面部40´と、第2見付面部41´と、下面部42´)の長さ方向の戸尻側端面とロックウールRW13の戸尻側端面からブロック9Eの戸尻側見込面(長さ方向端面95)が形成されている。
【0057】
なお、戸先側縦フレーム5と耐火芯材7E、7Fは扉体2の組立に先立って予め固定されていない。ロックウールRW6が充填された戸先側縦フレーム5においては、戸先側縦フレーム5の第1見付面部50の戸尻側端と、戸先側縦フレーム5の第2見付面部51の戸尻側端と、戸先側縦フレーム5に充填されたロックウールRW6から戸尻側見込面が形成されており、第1見付面部50と、第2見付面部51と、見込面部52の高さ方向の上端とロックウールRW6の上端面から上端面が形成され、第1見付面部50と、第2見付面部51と、見込面部52の高さ方向の下端とロックウールRW6の下端面から下端面が形成されている。なお、戸先側縦フレーム5と、耐火芯材7E、7Fの一方のみ(例えば、耐火芯材7E)を予め固定してブロックを形成してもよい。
【0058】
[E]第1耐火芯材
第1耐火芯材は、ロックウールRW1~RW3を組み立てて形成されたブロック8A~8Dとして用意される。図7には、ブロック8A~8Dを総称して、「8」で示している。扉体2の第1表面材20及び第2表面材21、上フレーム3と、下フレーム4と、中縦フレーム5´と、戸尻側縦フレーム6で囲まれた空間は、当該空間において異なる高さで水平に延びる3本の中横フレーム4´によって4つの空間に区画されており、区画された各空間に、ブロック8A、8B、8C、8Dが充填されている。本実施形態では、ブロック8A~8Cは同一形状・寸法を備えており、ブロック8Dは、ブロック8A~8Cに比べて高さ寸法のみが異なる低背のブロックとなっている。なお、ブロック8A~8Dを均等のブロックから形成してもよい。
【0059】
第1耐火芯材の構成について、図7に基づいて説明する。ブロック8は、3枚の板状のロックウールRW1、RW2、RW3を、見付面同士を重ね合わせることで多層構造となっている。すなわち、本実施形態に係るブロック8は、ロックウールRW1からなる第1層、ロックウールRW2からなる第2層、ロックウールRW3からなる第3層からなる多層構造となっている。
【0060】
図7に示すように、ブロック8A~8Cは、第1見付面80、第2見付面81、上面82、下面83、戸先側側面84、戸尻側側面85の6面を備えた直方体であり、6面の外面には吸熱塗料が塗布されており、吸熱層a1、a2、a7~a10が形成されている。本実施形態では、ロックウールRW1、RW2、RW3はそれぞれ6面に吸熱塗料が塗布されており、全面に吸熱塗料が塗布されたロックウールRW1、RW2、RW3を重ね合わせることでブロック8が形成されており、ロックウールRW1とロックウールRW2の見付面同士、ロックウールRW2とロックウールRW3の見付面同士は、それぞれ吸熱層a3、a4、吸熱層a5、a6を介して重なっている。
【0061】
具体的には、ブロック8の第1見付面80には吸熱層a1が形成されており、第2見付面81には吸熱層a2が形成されており、ロックウールRW1とロックウールRW2の境界には吸熱層a3、a4が形成されており、ロックウールRW2とロックウールRW3の境界には吸熱層a5、a6が形成されており、上面82には吸熱層a7が形成されており、下面83には吸熱層a8が形成されており、戸先側側面84には吸熱層a9が形成されており、戸尻側側面85には吸熱層a10が形成されている。
【0062】
ブロック8の第1見付面80は吸熱層a1を介して、扉体2の第1見付面(第1表面材20の主面部200)と接触しており、ブロック8の第2見付面81は吸熱層a2を介して、扉体2の第2見付面(第2表面材21の主面部210)と接触している。ブロック8の内部には、扉体2の見込方向(厚さ方向)に間隔を存して、吸熱層a3、a4、吸熱層a5、a6が形成されている。
【0063】
図9に、多層構造の第1耐火芯材における吸熱層の遮熱効果を示すモデル図を示す。左図は、各層の境界に吸熱層を設けたモデル、右図は、第1耐火芯材の表面にのみ吸熱層を設けたモデルを示し、各図は、左側を火災側(受熱側)、右側を非火災側とした温度勾配の概念図である。左図では、多層構造の外側の見付面に吸熱層a1、a2が形成されており、さらに、第1層(RW1)と第2層(RW2)、第2層(RW2)と第3層(RW3)がそれぞれ吸熱層a3、a4、吸熱層a5、a6を介して隣接している。右図では、多層構造の外側の見付面に吸熱層a1´、a2´が形成されており、第1層(RW1´)と第2層(RW2´)、第2層(RW2´)と第3層(RW3´)はそれぞれ直接接触している。左図のモデルの第1層(RW1)、第2層(RW2)、第3層(RW3)、右図のモデルの第1層(RW1´)、第2層(RW2´)、第3層(RW3´)は同厚であり、各層(RW1、RW2、RW3、RW1´、RW2´、RW3´)における温度の下げ勾配は層の位置(火災側か非火災側か)に依存せずに実質的に同じである。吸熱層a1~a6は同厚であり、a1+a3+a4=a1´、a2+a5+a6=a2´である。ここで、吸熱層を形成する吸熱材は、例えば、200度以上で吸熱反応を呈するため、非火災側の温度が200度程度を想定すると、右図のモデルの吸熱層a2´における温度の下げ勾配は比較的小さくなる。これに対して、左図のモデルは、吸熱層の吸熱効果によって各層(特に中間層である吸熱層a3~a6)で温度の下げ勾配を大きくすることができ、右図のモデルに比べて、熱の移動速度を遅延させることができると考えられる。
【0064】
第1耐火芯材を構成するブロック8Aは、扉体2の第1表面材20及び第2表面材21、上フレーム3と、中縦フレーム5´と、戸尻側縦フレーム6と、中横フレーム4´で囲まれた空間に充填されている。ブロック8Aの第1見付面80は吸熱層a1を介して、扉体2の第1見付面(第1表面材20の主面部200)と接触しており、ブロック8Aの第2見付面81は吸熱層a2を介して、扉体2の第2見付面(第2表面材21の主面部210)と接触している。ブロック8Aの第1見付面(吸熱層a1)と第2見付面(吸熱層a2)との間には、耐火性の断熱材としてのロックウールRW1、吸熱層a3、a4、ロックウールRW2、吸熱層a5、a6、ロックウールRW3が多層に形成されており、扉体2の第1見付面200と第2見付面210の間の遮熱効果を奏する。
【0065】
ブロック8Aの上面はブロック9Aの下面に吸熱層a7を介して接触しており、ブロック8Aの下面はブロック9Eの上面に吸熱層a8を介して接触しており、ブロック8Aの戸先側端面はブロック9Dの戸尻側見込面に吸熱層a9を介して接触しており、ブロック8Aの戸尻側端面はブロック9Cの戸先側見込面に吸熱層a10を介して接触している。
【0066】
第1耐火芯材を構成するブロック8B、8Cは、扉体2の第1表面材20及び第2表面材21、中縦フレーム5´と、戸尻側縦フレーム6と、2本の中横フレーム4´で囲まれた空間に充填されている。ブロック8B、8Cの第1見付面80は吸熱層a1を介して、扉体2の第1見付面(第1表面材20の主面部200)と接触しており、ブロック8B、8Cの第2見付面81は吸熱層a2を介して、扉体2の第2見付面(第2表面材21の主面部210)と接触している。ブロック8B、8Cの第1見付面(吸熱層a1)と第2見付面(吸熱層a2)との間には、耐火性の断熱材としてのロックウールRW1、吸熱層a3、a4、ロックウールRW2、吸熱層a5、a6、ロックウールRW3が設けてあり、扉体2の第1見付面200と第2見付面210の間の遮熱効果を奏する。
【0067】
ブロック8B、8Cの上面はブロック9Eの下面に吸熱層a7を介して接触しており、ブロック8B、8Cの下面はブロック9Eの上面に吸熱層a8を介して接触しており、ブロック8B、8Cの戸先側端面はブロック9Dの戸尻側見込面に吸熱層a9を介して接触しており、ブロック8B、8Cの戸尻側端面はブロック9Cの戸先側見込面に吸熱層a10を介して接触している。
【0068】
第1耐火芯材を構成するブロック8Dは、扉体2の第1表面材20及び第2表面材21、中縦フレーム5´と、戸尻側縦フレーム6と、中横フレーム4´と、下フレーム4、で囲まれた空間に充填されている。ブロック8Dの第1見付面80は吸熱層a1を介して、扉体2の第1見付面(第1表面材20の主面部200)と接触しており、ブロック8Dの第2見付面81は吸熱層a2を介して、扉体2の第2見付面(第2表面材21の主面部210)と接触している。ブロック8Dの第1見付面(吸熱層a1)と第2見付面(吸熱層a2)との間には、耐火性の断熱材としてのロックウールRW1、吸熱層a3、a4、ロックウールRW2、吸熱層a5、a6、ロックウールRW3が設けてあり、扉体2の第1見付面200と第2見付面210の間の遮熱効果を奏する。
【0069】
ブロック8Dの上面はブロック9Eの下面に吸熱層a7を介して接触しており、ブロック8Dの下面はブロック9Bの上面に吸熱層a8を介して接触しており、ブロック8Dの戸先側端面はブロック9Dの戸尻側見込面に吸熱層a9を介して接触しており、ブロック8Dの戸尻側端面はブロック9Cの戸先側見込面に吸熱層a10を介して接触している。
【0070】
[F]第4耐火芯材
第4耐火芯材は、RW8~RW11、7E´、7F´から組み立てられたブロック14A~14Dとして用意される。図8には、ブロック14A~14Dを総称して、「14」で示している。図8に示すように、第4耐火芯材(ブロック14A~14D)は、第1見付面140、第2見付面141、上面142、下面143、戸先側端面144、戸尻側端面145を備えた板状のブロックである。本実施形態では、耐火芯材7E´、7F´はケイ酸カルシウム板であるが、耐火芯材7E´、7F´は、例えば、外面に吸熱層を備えたロックウールから形成してもよい。
【0071】
第4耐火芯材は、厚さ方向中央の板状体であるロックウールRW8~RW11と、板状体を挟むように設けた耐火芯材7E´、耐火芯材7F´とからなり、板状体の第1見付面と耐火芯材7E´の見付面の間には吸熱層a14が形成されており、板状体の第2見付面と耐火芯材7F´の見付面の間には吸熱層a15が形成されている。
【0072】
第4耐火芯材(ブロック14A~14D)は、第1見付面140が耐火芯材7Eの内側の見付面に当接し、第2見付面141が耐火芯材7Fの内側の見付面に当接し、戸先側端面144が、ロックウールRW6が充填された戸先側縦フレーム5の戸尻側見込面に当接し、戸尻側端面145は、耐火芯材7E、7Fの戸尻側端面と面一になっており、吸熱層a16を介してブロック9Dの戸先側見込面に当接する。
【0073】
第4耐火芯材(ブロック14A~14D)の見付寸法(幅寸法)、見込寸法(厚さ)は、錠ケース240、250、260の収納空間の見付寸法と見込寸法と略同じであり、ブロック14A~14Dは、扉体2の戸先側部位(錠前に対応する見付幅)の内部空間において、錠ケース240、250、260の上下に位置して配置される。また、第4耐火芯材(ブロック14A~14D)の見込寸法は、戸先側縦フレーム5の見込寸法(本実施形態では、他のフレーム3、4、6、4´、5´の見込寸法よりも僅かに大きい)と略同じである。以下、より具体的に説明する。
【0074】
ブロック14Aは、扉体2の戸先側部位(錠前に対応する見付幅)の内部空間において、上フレーム3、戸先側縦フレーム5、中縦フレーム5´、耐火芯材7E、7F、第2錠25の上面に囲まれた空間に設けられる。ブロック14Aの上面は、耐火芯材7E、7Fの上面と面一になっており、耐火芯材7E、7Fの上面とブロック9Aの下面に当接しており、ブロック14Aの下面は、第2錠ケース250の上面に当接しており、ブロック14Aの第1見付面140は、耐火芯材7Eの見付面に当接しており、ブロック14Aの第2見付面141は、耐火芯材7Fの見付面に当接しており、ブロック14Aの戸先側見込面144は、ロックウールRW6が充填された戸先側縦フレーム5の戸尻側見込面に当接しており、ブロック14Aの戸尻側見込面145は、耐火芯材7E、7Fの戸尻側端面と共に、吸熱層a16を介してブロック9Dの戸先側見込面に当接する。
【0075】
ブロック14Bは、扉体2の戸先側部位(錠前に対応する見付幅)の内部空間において、戸先側縦フレーム5、中縦フレーム5´、耐火芯材7E、7F、第2錠25の下面、第1錠24の上面に囲まれた空間に設けられる。ブロック14Bの上面は第2錠ケース250の下面に当接しており、ブロック14Bの下面は、第1錠ケース240の上面に当接しており、ブロック14Bの第1見付面140は、耐火芯材7Eの見付面に当接しており、ブロック14Bの第2見付面141は、耐火芯材7Fの見付面に当接しており、ブロック14Bの戸先側見込面144は、ロックウールRW6が充填された戸先側縦フレーム5の戸尻側見込面に当接しており、ブロック14Bの戸尻側見込面145は、耐火芯材7E、7Fの戸尻側端面と共に、吸熱層a16を介してブロック9Dの戸先側見込面に当接する。
【0076】
ブロック14Cは、扉体2の戸先側部位(錠前に対応する見付幅)の内部空間において、戸先側縦フレーム5、中縦フレーム5´、耐火芯材7E、7F、第1錠24の下面、第3錠26の上面に囲まれた空間に設けられる。ブロック14Cの上面は第1錠ケース240の下面に当接しており、ブロック14Cの下面は、第3錠ケース260の上面に当接しており、ブロック14Cの第1見付面140は、耐火芯材7Eの見付面に当接しており、ブロック14Cの第2見付面141は、耐火芯材7Fの見付面に当接しており、ブロック14Cの戸先側見込面144は、ロックウールRW6が充填された戸先側縦フレーム5の戸尻側見込面に当接しており、ブロック14Cの戸尻側見込面145は、耐火芯材7E、7Fの戸尻側端面と共に、吸熱層a16を介してブロック9Dの戸先側見込面に当接する。
【0077】
ブロック14Dは、扉体2の戸先側部位(錠前に対応する見付幅)の内部空間において、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、中縦フレーム5´耐火芯材7E、7F、第3錠26の下面に囲まれた空間に設けられる。ブロック14Dの上面は第3錠ケース260の下面に当接しており、ブロック14Dの下面は、耐火芯材7E、7Fの下面と面一となっており、耐火芯材7E、7Fの下面と共にブロック9Bの上面に当接しており、ブロック14Dの第1見付面140は、耐火芯材7Eの見付面に当接しており、ブロック14Dの第2見付面141は、耐火芯材7Fの見付面に当接しており、ブロック14Dの戸先側見込面144は、ロックウールRW6が充填された戸先側縦フレーム5の戸尻側見込面に当接しており、ブロック14Dの戸尻側見込面145は、耐火芯材7E、7Fの戸尻側端面と共に、吸熱層a16を介してブロック9Dの戸先側見込面に当接する。
【0078】
[G]扉体の製造方法
扉体2の製造方法について説明する。第1表面材20、第2表面材21、ブロック8A~8D、ブロック9A~9E、ブロック14A~14D、戸先側縦フレーム5、耐火芯材7E、7F、第1錠24、第2錠25、第3錠26及びロッド(図示せず)からなる錠前を用意する。
【0079】
吸熱塗料が外面に塗布された板状のロックウールRW1~RW3を張り合わせることで、ブロック8A~8Dを用意する。ブロック8A~8Dにおいて、板状のロックウールRW1~RW3の外面及び境界面には吸熱層a1~a10が形成されている。
【0080】
上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6、中縦フレーム5´、中横フレーム4´の内部空間に、三面に吸熱塗料が塗布されたロックウールRW4~RW7、RW12、RW13を充填することで、内部空間にロックウールRW4~RW7、RW12、RW13が充填された上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6、中縦フレーム5´、中横フレーム4´を用意する。上フレーム3、下フレーム4、戸先側縦フレーム5、戸尻側縦フレーム6、中縦フレーム5´、中横フレーム4´の内面とRW4~RW7、RW12、RW13の間には吸熱層a11~a13が形成されている。
【0081】
扉体2の組立てに先立って、熱膨張耐火部材16を、上フレーム3の上面部32の外面、下フレーム4の下面部42の外面、戸先側縦フレーム5の見込面部52の外面、戸尻側縦フレーム6の見込面部62の外面に貼り付ける。熱膨張耐火部材16は所定幅で接着層を備えたテープ状の長尺部材である。
【0082】
ロックウールRW4、RW5、RW7、RW12、RW13が充填された上フレーム3、下フレーム4、戸尻側縦フレーム6、中縦フレーム5´、中横フレーム4´と、耐火芯材7A、7B、耐火芯材7C、7D、耐火芯材7G、7H、耐火芯材7I、7J、耐火芯材7K、7Lを接着することでブロック9A~9Eを形成しておく。
【0083】
(1)第1表面材20の主面部200を床面等の平らな面に載置する。この時、第1表面材20の主面部200の裏面が上方に向き、上辺201、下辺202、第1側辺203、第2側辺204が垂直状に立ち上がっている。
【0084】
(2)第1表面材20の主面部200の裏面の周囲にブロック9A、ブロック9B、ブロック9C、耐火芯材7Eを四周状に載置する。
【0085】
(3)第1表面材20の主面部200の裏面の所定部位に、ブロック9D、ブロック9Eを載置する。
【0086】
(4)第1表面材20の主面部200の裏面において、ブロック9A、ブロック9C、ブロック9D、ブロック9Eで囲まれた領域にブロック8Aを載置し、上下のブロック9E、ブロック9C、ブロック9Dで囲まれた領域にブロック8Bを載置し、上下のブロック9E、ブロック9C、ブロック9Dで囲まれた領域にブロック8Cを載置し、ブロック9E、ブロック9C、ブロック9D、ブロック9Bで囲まれた領域にブロック8Dを載置する。
【0087】
(5)耐火芯材7Eに対して、戸先側縦フレーム5を載置する。戸先側縦フレーム5の所定位置に第1錠24、第2錠25、第3錠26を設け、ブロック9Aと第2錠25の間にブロック14Aを設け、第1錠24と第2錠25の間にブロック14Bを設け、第1錠24と第3錠26の間にブロック14C設け、第3錠とブロック9Bの間にブロック14Dを設ける。ブロック14B、14Cにロッドをセットする。
【0088】
(6)扉体の戸先側部位の戸先側縦フレーム5及びブロック14A~14Dの上に、耐火芯材7Fを載置する。
【0089】
(7)第1表面材20の上辺201と上フレーム3の上面部32間に熱膨張耐火部材16を挟んだ状態で、螺子17を用いて上辺201を上面部32に固定する。第1表面材20の下辺202と下フレーム4の下面部42間に熱膨張耐火部材16を挟んだ状態で、螺子17を用いて下辺202を下面部42に固定する。第1表面材20の第1側辺203と戸先側縦フレーム5の見込面部52間に熱膨張耐火部材16を挟んだ状態で、螺子17を用いて第1側辺203を見込面部52に固定する。第1表面材20の第2側辺204と戸尻側縦フレーム6の見込面部62間に熱膨張耐火部材16を挟んだ状態で、螺子17を用いて第2側辺204を見込面部62に固定する。このビス固定は、ブロック9A、ブロック9B、ブロック9C、戸先側縦フレーム5の四周を設置した時点で行ってもよい。
【0090】
(8)第2表面材21を被せる。第2表面材21の主面部210の裏面が、ブロック9A、ブロック9B、ブロック9C、ブロック9D、ブロック9E、ブロック8A~8D、耐火芯材7Fの見付面に当接し、上辺211、下辺212、第1側辺213、第2側辺214の内面が、ブロック9A、ブロック9B、ブロック9Cの見込面、耐火芯材7Fの戸先側端面に当接ないし近接する。
【0091】
(9)第2表面材21の上辺211と上フレーム3の上面部32間に熱膨張耐火部材16を挟んだ状態で、螺子17を用いて上辺211を上面部32に固定する。第2表面材21の下辺212と下フレーム4の下面部42間に熱膨張耐火部材16を挟んだ状態で、螺子17を用いて下辺212を下面部42に固定する。第2表面材21の第1側辺213と戸先側縦フレーム5の見込面部52間に熱膨張耐火部材16を挟んだ状態で、螺子17を用いて第1側辺213を見込面部52に固定する。第2表面材21の第2側辺214と戸尻側縦フレーム6の見込面部62間に熱膨張耐火部材16を挟んだ状態で、螺子17を用いて第2側辺214を見込面部62に固定する。
【0092】
このように、扉体2は、第1表面材20、第2表面材21、ブロック8A~8D、ブロック9A~9E、ブロック14A~14D、戸先側縦フレーム5、耐火芯材7E、7F、第1錠24、第2錠25、第3錠26及びロッド(図示せず)からなる錠前を組み立てることで製造されるが、各工程の順序は上記の順序に限定されるものではなく、一部の工程の順序を入れ替えてもよいことが当業者に理解される。また、各工程において、各要素が当接する面同士を適宜接着剤等で接着してもよいことが、当業者に理解される。本実施形態では、ブロック8A~8D、ブロック9A~9E、ブロック14A~14Dを用意することで、組立時の作業効率を向上させているが、これらのブロックを用意せずに各要素を組み立てて扉体2を製造してもよい。
【0093】
[H]ドア装置の防火構造
このように組み立てられた扉体2において、第1見付面200の内面には、ブロック9A~9Eの耐火芯材7A、7C、7G、7I、7Kの見付面、ブロック8A~8Dの吸熱層a1が当接しており、第2見付面210の内面には、ブロック9A~9Eの耐火芯材7B、7D、7H、7J、7Lの見付面、ブロック8A~8Dの吸熱層a2が当接している。既述のように、ブロック8A~8DはロックウールRW1~RW3の多層構造となっており、各層の境界には吸熱層a3、a4、吸熱層a5、a6が形成されている。また、以下に述べるように、各要素の当接面に吸熱層を形成して要素間の熱伝達効率を下げることで、加熱面側から非加熱面側へ扉体を伝わって熱が伝達されることを抑制する。
【0094】
上側のブロック9Aの下面の戸先側部位には、戸先側縦フレーム5の上端面、耐火芯材7E、7Fの上端面、ブロック14Aの上面、ブロック9Dの上面が当接し、ブロック9Aの下面の戸尻側部位には、ブロック9Cの上面が当接し、ブロック9Aの下面には、ブロック8Aの上面が吸熱層a7を介して当接している。ブロック9Aを形成する上フレーム3の内部空間には、吸熱層a11~a13を介してロックウールRW4が充填されている。
【0095】
下側のブロック9Bの上面の戸先側部位には、戸先側縦フレーム5の下端面、耐火芯材7E、7Fの下端面、ブロック14Dの下面、ブロック9Dの下面が当接し、ブロック9Bの上面の戸尻側部位には、ブロック9Cの下面が当接し、ブロック9Bの上面には、ブロック8Dの下面が吸熱層a8を介して当接している。ブロック9Bを形成する下フレーム4の内部空間には、吸熱層a11~a13を介してロックウールRW5が充填されている。
【0096】
戸尻側のブロック9Cの戸先側見込面には、ブロック8A~8Dの戸尻側見込面が吸熱層a10を介して当接しており、また、ブロック9Eの戸尻側端面が当接している。ブロック9Cを形成する上フレーム3の内部空間には、吸熱層a11~a13を介してロックウールRW7が充填されている。ブロック9Eを形成する中横フレーム4´の内部空間には、吸熱層a11~a13を介してロックウールRW13が充填されている。
【0097】
ブロック9Dの戸尻側見込面には、ブロック8A~8Dの戸先側見込面が吸熱層a9を介して当接しており、また、ブロック9Eの戸先側端面が当接している。ブロック9Dの戸先側見込面には、ブロック14A~14Dの戸尻側見込面、耐火芯材7E、7Fの戸尻側端面が、吸熱層a16を介して当接している。ブロック9Dを形成する中縦フレーム5´の内部空間には、吸熱層a11~a13を介してロックウールRW12が充填されている。
【0098】
ロックウールRW6が充填された戸先側縦フレーム5の戸尻側見込面は、ブロック14A~14Dの戸先側見込面が当接しており、戸先側縦フレーム5の第1見付面部50には耐火芯材7Eが当接し、第2見付面部51には耐火芯材7Fが当接されている。
【0099】
本実施形態において、扉体2の構成要素である第1表面材20、第2表面材21、ブロック8A~8D、ブロック9A~9E、ブロック14A~14D、戸先側縦フレーム5、耐火芯材7E、7Fは、要素同士が適宜当接ないし接触することで扉体2が構成されているが、扉体2の遮熱性能に影響を与えない程度に近接していても良い場合があることが当業者に理解され、その場合には、「当接」、「接触」を「近接」に置き換えることができる。
【0100】
また、扉体2の全閉姿勢時に火災が発生した場合には、扉体2の見込面に四周状に設けた熱膨張耐火部材16が発泡して膨張することで、扉体2の上面、戸先側見込面、戸尻側見込面と、ドア枠1の上枠10、戸先側縦枠12、戸尻側縦枠13の見込面との間の隙間を塞いで、屋内外の炎や煙の流れを防ぐようになっている。
【符号の説明】
【0101】
1 ドア枠
2 扉体
20 第1表面材
200 主面部、第1見付面
21 第2表面材
210 主面部、第2見付面
24 第1錠
25 第2錠
26 第3錠
3 上フレーム
4 下フレーム
5 戸先側縦フレーム
6 戸尻側縦フレーム
4´ 中横フレーム
5´ 中縦フレーム
7A~7L 第3耐火芯材(外側耐火芯材)
7E´、7F´ 耐火芯材(戸先側の外側耐火芯材、第4耐火芯材)
8(8A~8D) ブロック(第1耐火芯材)、主耐火芯材
9A~9E ブロック
14A~14D ブロック(第4耐火芯材)
RW1~RW3 ロックウール(第1耐火芯材)、主耐火芯材、板状の耐火材
RW4~RW7、RW12、RW13 ロックウール(内側耐火芯材、第2耐火芯材)
RW8~RW11 ロックウール(第4耐火芯材)
a1~a15 吸熱層
図1
図2
図3
図4
図4A
図5
図6
図7
図8
図9