(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】処理液調製装置、基板処理装置、処理液調製方法および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20230424BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230424BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20230424BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
H01L21/306 E
H01L21/306 R
H01L21/304 647Z
H01L21/304 648K
H01L21/304 648G
H01L21/304 642A
H01L21/304 643A
H01L21/68 N
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2019079402
(22)【出願日】2019-04-18
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】相原 友明
(72)【発明者】
【氏名】冨田 毅
(72)【発明者】
【氏名】奥田 次郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 智貴
(72)【発明者】
【氏名】太田 喬
(72)【発明者】
【氏名】武明 励
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-154665(JP,A)
【文献】特開2004-221540(JP,A)
【文献】特開2019-050349(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
H01L 21/304
H01L 21/683
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燐酸液を貯留する貯留部と、
前記貯留部の前記燐酸液の比重を示す値を計測する計測部と、
前記計測部の計測した値を記憶する記憶部と
を備え、
前記記憶部は、前記貯留部の前記燐酸液が突沸する突沸状態と前記燐酸液が突沸しない非突沸状態との境界状態であるときに前記計測部によって計測された前記燐酸液の比重を示す基準値を記憶
し、
前記貯留部は、第1燐酸液を貯留する第1貯留部と、第2燐酸液を貯留する第2貯留部とを含み、
前記記憶部は、前記第1燐酸液が突沸する突沸状態と前記第1燐酸液が突沸しない非突沸状態との境界状態であるときに第1計測部によって計測された前記第1燐酸液の比重を示す第1基準値を記憶し、
前記記憶部は、前記第2燐酸液が突沸する突沸状態と前記第2燐酸液が突沸しない非突沸状態との境界状態であるときに第2計測部によって計測された前記第2燐酸液の比重を示す第2基準値を記憶する、処理液調製装置。
【請求項2】
前記貯留部は、前記基準値と比べて前記燐酸液の比重を示す値が大きくなるように前記燐酸液を調製する、請求項1に記載の処理液調製装置。
【請求項3】
前記貯留部の前記燐酸液を撮像する撮像部をさらに備える、請求項1または2に記載の処理液調製装置。
【請求項4】
前記第1燐酸液は、前記第1基準値に基づいて調製され、
前記第2燐酸液は、前記第2基準値に基づいて調製される、請求項
1から3のいずれかに記載の処理液調製装置。
【請求項5】
前記第2貯留部は、前記第2貯留部において調製した燐酸液を前記第1貯留部に供給する、請求項
4に記載の処理液調製装置。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれかに記載の処理液調製装置と、
前記処理液調製装置において調製された燐酸液を用いて基板を処理する基板処理部と
を備える、基板処理装置。
【請求項7】
前記基板処理部は、
前記基板を保持して回転する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された基板に前記燐酸液を供給するノズルと
を有する、請求項
6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記基板処理部は、
前記基板を複数積載可能な基板積載部と、
前記処理液調製装置において調製された燐酸液を貯留する処理槽と
を有する、請求項
6に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記基板処理部は、前記基板を複数積載可能な基板積載部を有し、
前記基板積載部は、前記処理液調製装置の前記貯留部の前記燐酸液に浸漬する、請求項
6に記載の基板処理装置。
【請求項10】
処理液調製装置と、
前記処理液調製装置において調製された燐酸液を用いて基板を処理する基板処理部と
を備える、基板処理装置であって、
前記処理液調製装置は、
燐酸液を貯留する貯留部と、
前記貯留部の前記燐酸液の比重を示す値を計測する計測部と、
前記計測部の計測した値を記憶する記憶部と
を備え、
前記記憶部は、前記貯留部の前記燐酸液が突沸する突沸状態と前記燐酸液が突沸しない非突沸状態との境界状態であるときに前記計測部によって計測された前記燐酸液の比重を示す基準値を記憶し、
前記基板処理部は、
前記基板を保持して回転する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された基板に前記燐酸液を供給するノズルと
を有する、基板処理装置。
【請求項11】
前記貯留部における前記燐酸液の比重を示す値は、前記ノズルに供給される燐酸液の状態に基づいて設定される、請求項
10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
貯留された燐酸液が突沸する突沸状態と前記燐酸液が突沸しない非突沸状態との境界状態に前記燐酸液を設定する工程と、
前記境界状態に設定された前記燐酸液の比重を示す基準値を計測する工程と、
前記基準値を記憶する工程と
を包含
し、
前記境界状態に前記燐酸液を設定する工程は、第1燐酸液が突沸しない非突沸状態との境界状態に前記第1燐酸液を設定する工程と、第2燐酸液が突沸しない非突沸状態との境界状態に前記第2燐酸液を設定する工程とを含み、
前記基準値を計測する工程は、前記境界状態に設定された前記第1燐酸液の比重を示す第1基準値を計測する工程と、前記境界状態に設定された前記第2燐酸液の比重を示す第2基準値を計測する工程とを含み、
前記基準値を記憶する工程は、前記第1基準値を記憶する工程と、前記第2基準値を記憶する工程とを含む、処理液調製方法。
【請求項13】
前記基準値と比べて前記燐酸液の比重を示す値が大きくなるように前記燐酸液を調製する工程をさらに包含する、請求項12に記載の処理液調製方法。
【請求項14】
前記境界状態に前記燐酸液を設定する工程は、前記燐酸液を撮像する工程を含む、請求項12または13に記載の処理液調製方法。
【請求項15】
前記第1基準値に基づいて前記第1燐酸液を調製する工程と、
前記第2基準値に基づいて前記第2燐酸液を調製する工程と
をさらに包含する、請求項
12から14のいずれかに記載の処理液調製方法。
【請求項16】
前記第2燐酸液を前記第1燐酸液と混合する工程をさらに包含する、請求項
15に記載の処理液調製方法。
【請求項17】
請求項
12から16のいずれかに記載の処理液調製方法にしたがって燐酸液を調製する工程と、
前記処理液調製方法において調製された燐酸液を用いて基板を処理する工程と
を包含する、基板処理方法。
【請求項18】
前記基板を処理する工程は、
前記基板を保持して回転する工程と、
前記回転する基板に前記燐酸液を供給する工程と
を含む、請求項
17に記載の基板処理方法。
【請求項19】
前記基板を処理する工程は、前記燐酸液を処理槽に供給し、前記処理槽の前記燐酸液に前記基板を浸漬する工程を含む、請求項
17に記載の基板処理方法。
【請求項20】
前記基板を処理する工程は、前記燐酸液を調製した貯留槽に前記基板を浸漬する、請求項
17に記載の基板処理方法。
【請求項21】
処理液調製方法にしたがって燐酸液を調製する工程と、
前記処理液調製方法において調製された燐酸液を用いて基板を処理する工程と
を包含し、
前記処理液調製方法は、
貯留された燐酸液が突沸する突沸状態と前記燐酸液が突沸しない非突沸状態との境界状態に前記燐酸液を設定する工程と、
前記境界状態に設定された前記燐酸液の比重を示す基準値を計測する工程と、
前記基準値を記憶する工程と
を包含し、
前記基板を処理する工程は、
前記基板を保持して回転する工程と、
前記回転する基板に前記燐酸液を供給する工程と
を含む、基板処理方法。
【請求項22】
前記燐酸液を供給する工程において、前記貯留される燐酸液の比重を示す値は、ノズルに供給される燐酸液の状態に基づいて設定される、請求項
21に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液調製装置、基板処理装置、処理液調製方法および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板を処理する基板処理装置が知られている。例えば、基板処理装置は半導体基板またはガラス基板の製造に用いられる。絶縁層としてシリコン窒化層をエッチングするために基板を燐酸処理することがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、シリカ濃度とともに燐酸濃度を測定することで、エッチング液として所定の濃度でシリカを含有する燐酸溶液を用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、1つの浴槽で燐酸液を生成させているが、複数の貯留槽で同じ処理特性の燐酸液を生成することが要望されている。例えば、複数の貯留槽で同じ処理特性の燐酸液を生成することにより、大量の基板を連続して安定的に処理できる。しかしながら、実際には、計測機器の計測結果に基づいて燐酸液の濃度を較正しようとしても、燐酸濃度計の機器間差があるため、複数の貯留槽に貯留する燐酸液を互いに等しい濃度(比重)に設定することは困難であった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、他の燐酸液との較正を高精度に可能にする処理液調製装置、基板処理装置、処理液調製方法および基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、処理液調製装置は、貯留部と、計測部と、記憶部とを備える。前記貯留部は、燐酸液を貯留する。前記計測部は、前記貯留部の前記燐酸液の比重を示す値を計測する。前記記憶部は、前記計測部の計測した値を記憶する。前記記憶部は、前記貯留部の前記燐酸液が突沸する突沸状態と前記燐酸液が突沸しない非突沸状態との境界状態であるときに前記計測部によって計測された前記燐酸液の比重を示す基準値を記憶する。前記貯留部は、第1燐酸液を貯留する第1貯留部と、第2燐酸液を貯留する第2貯留部とを含む。前記記憶部は、前記第1燐酸液が突沸する突沸状態と前記第1燐酸液が突沸しない非突沸状態との境界状態であるときに第1計測部によって計測された前記第1燐酸液の比重を示す第1基準値を記憶する。前記記憶部は、前記第2燐酸液が突沸する突沸状態と前記第2燐酸液が突沸しない非突沸状態との境界状態であるときに第2計測部によって計測された前記第2燐酸液の比重を示す第2基準値を記憶する。
【0007】
ある実施形態において、前記貯留部は、前記基準値と比べて前記燐酸液の比重を示す値が大きくなるように前記燐酸液を調製する。
【0008】
ある実施形態において、前記処理液調製装置、前記貯留部の前記燐酸液を撮像する撮像部をさらに備える。
【0010】
ある実施形態において、前記第1燐酸液は、前記第1基準値に基づいて調製され、前記第2燐酸液は、前記第2基準値に基づいて調製される。
【0011】
ある実施形態において、前記第2貯留部は、前記第2貯留部において調製した燐酸液を前記第1貯留部に供給する。
【0012】
本発明の別の局面によれば、基板処理装置は、上記に記載の処理液調製装置と、前記処理液調製装置において調製された燐酸液を用いて基板を処理する基板処理部とを備える。
【0013】
ある実施形態において、前記基板処理部は、前記基板を保持して回転する基板保持部と、前記基板保持部に保持された基板に前記燐酸液を供給するノズルとを有する。
【0015】
ある実施形態において、前記基板処理部は、前記基板を複数積載可能な基板積載部と、前記処理液調製装置において調製された燐酸液を貯留する処理槽とを有する。
【0016】
ある実施形態において、前記基板処理部は、前記基板を複数積載可能な基板積載部を有し、前記基板積載部は、前記処理液調製装置の前記貯留部の前記燐酸液に浸漬する。
本発明のさらに別の局面によれば、基板処理装置は、処理液調製装置と、前記処理液調製装置において調製された燐酸液を用いて基板を処理する基板処理部とを備える。前記処理液調製装置は、貯留部と、計測部と、記憶部とを備える。前記貯留部は、燐酸液を貯留する。前記計測部は、前記貯留部の前記燐酸液の比重を示す値を計測する。前記記憶部は、前記計測部の計測した値を記憶する。前記記憶部は、前記貯留部の前記燐酸液が突沸する突沸状態と前記燐酸液が突沸しない非突沸状態との境界状態であるときに前記計測部によって計測された前記燐酸液の比重を示す基準値を記憶する。前記基板処理部は、前記基板を保持して回転する基板保持部と、前記基板保持部に保持された基板に前記燐酸液を供給するノズルとを有する。
ある実施形態において、前記貯留部における前記燐酸液の比重を示す値は、前記ノズルに供給される燐酸液の状態に基づいて設定される。
【0017】
本発明のさらに別の局面によれば、処理液調製方法は、貯留された燐酸液が突沸する突沸状態と前記燐酸液が突沸しない非突沸状態との境界状態に前記燐酸液を設定する工程と、前記境界状態に設定された前記燐酸液の比重を示す基準値を計測する工程と、前記基準値を記憶する工程とを包含する。前記境界状態に前記燐酸液を設定する工程は、第1燐酸液が突沸しない非突沸状態との境界状態に前記第1燐酸液を設定する工程と、第2燐酸液が突沸しない非突沸状態との境界状態に前記第2燐酸液を設定する工程とを含む。前記基準値を計測する工程は、前記境界状態に設定された前記第1燐酸液の比重を示す第1基準値を計測する工程と、前記境界状態に設定された前記第2燐酸液の比重を示す第2基準値を計測する工程とを含む。前記基準値を記憶する工程は、前記第1基準値を記憶する工程と、前記第2基準値を記憶する工程とを含む。
【0018】
ある実施形態において、前記処理液調製方法は、前記基準値と比べて前記燐酸液の比重を示す値が大きくなるように前記燐酸液を調製する工程をさらに包含する。
【0019】
ある実施形態において、前記境界状態に前記燐酸液を設定する工程は、前記燐酸液を撮像する工程を含む。
【0021】
ある実施形態において、前記処理液調製方法は、前記第1基準値に基づいて前記第1燐酸液を調製する工程と、前記第2基準値に基づいて前記第2燐酸液を調製する工程とをさらに包含する。
【0022】
ある実施形態において、前記処理液調製方法は、前記第2燐酸液を前記第1燐酸液と混合する工程をさらに包含する。
【0023】
本発明のさらに別の局面によれば、基板処理方法は、上記に記載の処理液調製方法にしたがって燐酸液を調製する工程と、前記処理液調製方法において調製された燐酸液を用いて基板を処理する工程とを包含する。
【0024】
ある実施形態において、前記基板を処理する工程は、前記基板を保持して回転する工程と、前記回転する基板に前記燐酸液を供給する工程とを含む。
【0026】
ある実施形態において、前記基板を処理する工程は、前記燐酸液を処理槽に供給し、前記処理槽の前記燐酸液に前記基板を浸漬する工程を含む。
【0027】
ある実施形態において、前記基板を処理する工程は、前記燐酸液を調製した貯留槽に前記基板を浸漬する。
本発明のさらに別の局面によれば、基板処理方法は、処理液調製方法にしたがって燐酸液を調製する工程と、前記処理液調製方法において調製された燐酸液を用いて基板を処理する工程とを包含する。前記処理液調製方法は、貯留された燐酸液が突沸する突沸状態と前記燐酸液が突沸しない非突沸状態との境界状態に前記燐酸液を設定する工程と、前記境界状態に設定された前記燐酸液の比重を示す基準値を計測する工程と、前記基準値を記憶する工程とを包含する。前記基板を処理する工程は、前記基板を保持して回転する工程と、前記回転する基板に前記燐酸液を供給する工程とを含む。
ある実施形態では、前記燐酸液を供給する工程において、前記貯留される燐酸液の比重を示す値は、ノズルに供給される燐酸液の状態に基づいて設定される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、他の燐酸液との較正を高精度にできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本実施形態の処理液調製装置を備えた基板処理装置の模式図である。
【
図2】(a)~(d)は本実施形態の処理液調製装置における貯留槽への水の供給と、燐酸液の比重を示す値および燐酸液の状態を示す模式図である。
【
図3】(a)~(d)は本実施形態の処理液調製装置における第1貯留槽および第2貯留槽への水の供給と、燐酸液の比重を示す値および燐酸液の状態を示す模式図である。
【
図4】(a)~(c)は本実施形態の処理液調製装置における第1貯留槽および第2貯留槽への水の供給と、燐酸液の比重を示す値および燐酸液の状態を示す模式図である。
【
図5】(a)~(c)は本実施形態の基板処理装置における燐酸液の調製を説明するための模式図である。
【
図6】本実施形態の処理液調製装置を備えた基板処理装置のフローを説明するためのフロー図である。
【
図7】本実施形態の処理液調製装置を備えた基板処理装置の模式図である。
【
図8】本実施形態の処理液調製装置を備えた基板処理装置の模式図である。
【
図9】本実施形態の処理液調製装置を備えた基板処理装置の模式図である。
【
図10】本実施形態の基板処理装置を備えた基板処理システムの模式図である。
【
図11】本実施形態の処理液調製装置を備えた基板処理装置のフローを説明するためのフロー図である。
【
図12】本実施形態の処理液調製装置を備えた基板処理装置の模式図である。
【
図13】(a)~(f)は本実施形態の処理液調製装置を備えた基板処理装置における燐酸液の流れの変化を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明による処理液調製装置および処理液調製方法の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0031】
図1を参照して、本発明による処理液調製装置100を備えた基板処理装置200の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の基板処理装置200の模式図である。基板処理装置200は、基板Wを処理する。基板処理装置200は、基板Wに対して、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去および洗浄のうちの少なくとも1つを行うように基板Wを処理する。
【0032】
基板Wは、薄い板状である。典型的には、基板Wは、薄い略円板状である。基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板および太陽電池用基板などを含む。
【0033】
基板処理装置200は、燐酸液を含む処理液で基板Wを処理する。典型的には、燐酸処理により、基板Wの絶縁層として機能するシリコン窒化層がエッチングされる。ここでは、基板処理装置200は、基板Wを燐酸液で1枚ごとに処理する。
【0034】
基板処理装置200は、処理液調製装置100と、基板処理部210とを備える。処理液調製装置100は、処理液を調製する。処理液は、燐酸液を含む。処理液調製装置100は、燐酸液の温度および比重を所定の状態に調製する。処理液調製装置100は、調製した処理液を基板処理部210に供給する。
【0035】
基板処理部210は、処理液調製装置100から供給された処理液で基板Wを処理する。ここでは、基板処理部210は、枚葉処理装置である。基板処理部210は、基板Wを1枚ずつ燐酸液で処理する。なお、基板処理部210が基板Wを処理する場合、燐酸液に気体が含まれていると、基板Wを均一に処理できないことがある。このため、処理液調製装置100から基板処理部210に供給される燐酸液には気体が含まれていないことが好ましい。
【0036】
基板処理部210は、チャンバー212と、基板保持部214と、ノズル216と、カップ218とを含む。チャンバー212は基板Wを収容する。チャンバー212には基板Wが1枚ずつ収容される。基板Wは、チャンバー212内に収容され、チャンバー212内で処理される。
【0037】
基板保持部214は、基板Wを保持する。また、基板保持部214は、基板Wを保持した状態で基板Wとともに回転する。例えば、基板保持部214は、基板Wの端部を挟持する挟持式であってもよい。
【0038】
あるいは、基板保持部214は、基板Wを裏面から保持する任意の機構を有してもよい。例えば、基板保持部214は、バキューム式であってもよい。この場合、基板保持部214は、非デバイス形成面である基板Wの裏面(下面)の中央部を上面に吸着させることにより基板Wを水平に保持する。あるいは、基板保持部214は、複数のチャックピンを基板Wの周端面に接触させる挟持式とバキューム式とを組み合わせてもよい。
【0039】
ノズル216は、チャンバー212内に収容される。ノズル216は、基板保持部214に保持されている基板Wに向けて燐酸液を吐出する。
【0040】
カップ218は、基板Wに供給された燐酸液を回収する。詳細は後述するが、カップ218によって回収された処理液は、処理液調製装置100に戻る。
【0041】
処理液調製装置100は、燐酸液を貯留する貯留部102を備える。貯留部102において、燐酸液は調製される。燐酸液は、燐酸および水を含有する。貯留部102は、燐酸液を所定の温度および比重に調製する。
【0042】
ここでは、貯留部102は、第1貯留部110と、第2貯留部120とを含む。第1貯留部110には、処理液として燐酸液が貯留されている。第2貯留部120には、処理液として燐酸液が貯留されている。なお、第1貯留部110の燐酸液と第2貯留部120の燐酸液とは、第1貯留部110および第2貯留部120の調製が完了するまで混合されない。ただし、第1貯留部110および第2貯留部120の調製が完了した後、第1貯留部110の燐酸液および第2貯留部120の燐酸液は互いに混合されてもよい。なお、第1貯留部110の燐酸液および第2貯留部120の燐酸液が混合される際、第1貯留部110の燐酸液の比重は、第2貯留部120の燐酸液の比重とほぼ等しいことが好ましい。また、第1貯留部110の燐酸液の温度は、第2貯留部120の燐酸液の温度とほぼ等しいことが好ましい。
【0043】
ここでは、第1貯留部110は、基板処理部210に燐酸液を供給する。第2貯留部120は、第1貯留部110に燐酸液を補充する。また、ここでは、第2貯留部120は、基板処理部210において用いられた処理液を回収する。
【0044】
なお、本明細書において、第1貯留部110において調製される燐酸液を第1燐酸液と記載することがある。また、第2貯留部120において調製される燐酸液を第2燐酸液と記載することがある。
【0045】
第1貯留部110は、第1貯留槽112と、第1配管113と、第1計測部114とを含む。第1貯留槽112は、処理液として燐酸液を貯留する。
【0046】
第1配管113は、第1貯留槽112と基板処理部210とを連絡する。また、第1配管113は、途中で第1貯留槽112に戻る循環配管113aを有する。
【0047】
第1計測部114は、第1貯留槽112に取り付けられる。第1計測部114は、第1貯留槽112の貯留された燐酸液の比重を示す値を計測する。第1計測部114は、第1貯留槽112の背圧を計測する。
【0048】
例えば、第1計測部114の先端は、第1貯留槽112の燐酸液面から所定の深さの位置に配置されている。第1計測部114では、第1計測部114の先端にガスを供給して第1貯留槽112の燐酸液内に気泡を形成する。これにより、第1貯留槽112に貯留される燐酸液の液圧は、第1貯留槽112の液面から所定の深さの位置に配置された第1計測部114の先端部におけるガス圧として検出される。ガスとして、典型的には、窒素ガスが用いられる。ガス圧と燐酸液との関係を予め測定しておき、ガス圧と燐酸液との関係を示すルックアップテーブルを事前に作成しておくことにより、ガスによる気泡の形成されるガス圧に応じて燐酸液の比重を計測できる。
【0049】
なお、第1計測部114は、必ずしも燐酸液の比重自体の値を計測しなくてもよい。例えば、第1計測部114は、燐酸液の比重と比例して変化する値を計測してもよい。ただし、本明細書において、便宜上、燐酸液の比重を示す値を計測することを燐酸液の比重を計測すると記載することがある。
【0050】
第1貯留部110は、ポンプ115a、ヒータ115b、フィルタ115c、バルブ115d、バルブ115eをさらに含む。ポンプ115a、ヒータ115b、フィルタ115c、バルブ115dは、第1配管113に配置されている。バルブ115eは、循環配管113aに配置されている。
【0051】
ポンプ115aは、燐酸液を一旦吸い込んだ後、吸い込んだ燐酸液を下流に向けて押し出す。ポンプ115aにより、燐酸液は、第1配管113内に押し出される。ヒータ115bは、第1燐酸液を加熱する。ヒータ115bが燐酸液を加熱することにより、第1燐酸液の温度は130℃以上に設定できる。第1燐酸液の温度は、130℃以上200℃以下に設定されてもよく、150℃以上180℃以下に設定されてもよい。
【0052】
フィルタ115cは、第1燐酸液の浮遊物を濾過する。バルブ115dは、第1燐酸液の流れを制御する。バルブ115dが開くことにより、燐酸液は、基板処理部210に向かって流れる。バルブ115dが閉じることにより、燐酸液は、処理液調製装置100から基板処理部210に向かって流れなくなる。
【0053】
また、バルブ115eは、燐酸液の流れを制御する。バルブ115dが開くことにより、燐酸液は、第1貯留槽112に向かって流れるため、燐酸液を循環できる。バルブ115eが閉じることにより、燐酸液の循環が停止される。
【0054】
例えば、バルブ115dが閉じた状態でバルブ115eが開いていることにより、第1貯留部110の燐酸液は、循環配管113aを介して循環する。このとき、ヒータ115bが循環する燐酸液を加熱することにより、第1貯留部110の燐酸液を所定の温度に設定できる。
【0055】
また、バルブ115dおよびバルブ115eが開いていることにより、第1貯留部110の燐酸液は、循環配管113aを介して循環するとともに第1配管113を介して基板処理部210に供給される。このため、基板処理部210は、所定温度の燐酸液で基板Wを処理できる。
【0056】
また、第1貯留部110は、第1水供給部116aと、第1燐酸供給部116bと、第1ガス供給部116cとをさらに含む。第1水供給部116aは、第1貯留槽112に水を供給する。例えば、燐酸液が循環する場合、燐酸液がヒータ115bによって水の沸点を超えた高温に加熱されると、燐酸液からは沸点の低い水が優先的に蒸発する。このため、燐酸液が循環する際に、燐酸液の温度および比重を一定に維持するために、第1水供給部116aは、一定量の水を継続的に供給してもよい。
【0057】
燐酸の比重は水の比重よりも高いため、燐酸液中の燐酸成分が多いと、燐酸液の比重が増加する。反対に、燐酸液中の水成分が多いと、燐酸液の比重が減少する。
【0058】
また、燐酸の沸点は水の沸点よりも高いため、燐酸液中の燐酸成分が多いと、燐酸液は沸騰しにくくなる。反対に、燐酸液中の水成分が多いと、燐酸液は沸騰しやすくなる。このため、燐酸液の温度が一定であっても、燐酸液の成分に応じて燐酸液の状態は変化する。例えば、燐酸液中の水成分が多いと、燐酸液は突沸しやすい。したがって、第1水供給部116aから供給される水の量を制御することにより、燐酸液の突沸状態および非突沸状態を制御できる。
【0059】
第1燐酸供給部116bは、第1貯留槽112に燐酸液を供給する。典型的には第1貯留槽112に第1燐酸液を貯留する際に、第1燐酸供給部116bは、第1貯留槽112に燐酸液を供給する。
【0060】
第1ガス供給部116cは、第1貯留槽112にガスを供給する。例えば、第1ガス供給部116cは、第1貯留槽112に窒素ガスを供給する。
【0061】
例えば、第1貯留槽112内の燐酸液の比重は、第1計測部114の計測結果に基づいて、第1水供給部116aから供給される水の量および/または第1燐酸供給部116bから供給される燐酸の量を制御することで制御される。
【0062】
第1貯留槽112は、本体槽112aと、循環槽112bとを有する。循環槽112bは、本体槽112aに隣接して配置されている。本体槽112aは、循環槽112bから溢れる燐酸液が流れ込むように配置される。本体槽112aの容積は、循環槽112bの容積よりも大きい。
【0063】
循環槽112bには、循環配管113aの先端が位置している。循環配管113aを通過した燐酸液は、第1貯留槽112の循環槽112bに戻り、循環槽112bから溢れて本体槽112aに達し、再び、第1配管113を通過する。また、循環槽112bには、第1計測部114が取り付けられる。
【0064】
第1貯留部110は、液面センサ114aをさらに備えてもよい。液面センサ114aは、第1貯留槽112内の燐酸液の液面の高さを検知する。
【0065】
第2貯留部120は、第1貯留部110に対応する構成を有している。第2貯留部120は、第2貯留槽122と、第2配管123と、第2計測部124と、ポンプ125aと、ヒータ125bと、フィルタ125cと、バルブ125dと、バルブ125eと、第2水供給部126aと、第2燐酸供給部126bと、第2ガス供給部126cとを含む。冗長な説明を避けるために第2貯留部120についての重複する記載を省略する。
【0066】
第2貯留部120の第2配管123は、第2貯留槽122と第1貯留槽112とを連絡する。また、バルブ125dは、第2貯留槽122から第1貯留槽112に向かう燐酸液の流れを制御する。バルブ125dが開くことにより、燐酸液は、第1貯留槽112に向かって流れる。バルブ125dが閉じることにより、燐酸液は、第2貯留部120から第1貯留部110に向かって流れなくなる。
【0067】
また、バルブ125eが開くことにより、燐酸液は、第2貯留槽122に向かって流れるため、燐酸液を循環できる。バルブ125eが閉じることにより、燐酸液の循環が停止される。
【0068】
例えば、バルブ125dが閉じた状態でバルブ125eが開いていることにより、第2貯留部120の燐酸液は、循環配管123aを介して循環する。このとき、ヒータ125bが循環する燐酸液を加熱することにより、第2貯留部120の燐酸液を所定の温度に設定できる。
【0069】
また、バルブ125dおよびバルブ125eが開いていることにより、第2貯留部120の燐酸液は、循環配管123aを介して循環するとともに第2配管123を介して第1貯留部110に供給される。このため、第2貯留部120は、第1貯留部110の燐酸液を補充できる。
【0070】
また、第2配管123は、途中で第2貯留槽122に戻る循環配管123aを有する。さらに、第2貯留部120は、基板処理部210と第2貯留槽122とを連絡する戻り配管123bを有する。戻り配管123bには、基板処理部210においてカップ126によって回収された処理液が流れる。戻り配管123bを通過する処理液は、第2貯留槽122の本体槽122aに戻る。
【0071】
処理液調製装置100は、制御部104と、記憶部106とをさらに備える。制御部104は、プロセッサを含む。プロセッサは、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、プロセッサは汎用演算機を有してもよい。例えば、制御部104は、第1貯留部110の第1計測部114、液面センサ114a、ポンプ115a、ヒータ115b、フィルタ115c、バルブ115d、バルブ115e、第1水供給部116a、第1燐酸供給部116bおよび第1ガス供給部116cを制御する。また、制御部104は、第2貯留部120の第2計測部124、液面センサ124a、ポンプ125a、ヒータ125b、フィルタ125c、バルブ125d、バルブ125e、第2水供給部126a、第2燐酸供給部126bおよび第2ガス供給部126cを制御する。
【0072】
記憶部106は、データおよびコンピュータプログラムを記憶する。記憶部106は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部106はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部104は、記憶部106の記憶しているコンピュータプログラムを実行して、処理液調製方法を実行する。
【0073】
なお、記憶部106には、予め手順の定められたコンピュータプログラムが記憶されており、処理液調製装置100は、コンピュータプログラムに定められた手順に従って動作する。
【0074】
なお、基板処理部210は、配管213と、バルブ213aと、配管215と、バルブ215aとをさらに備える。配管213は、第1貯留部110の第1配管113と、チャンバー212とを接続する。バルブ213aは、配管213に配置される。バルブ213aは、配管213内の燐酸液の流れを制御する。バルブ213aが開くことにより、燐酸液は、チャンバー212に向かってノズル216を介して基板Wに吐出される。バルブ213aが閉じることにより、燐酸液は、チャンバー212に向かって流れなくなる。
【0075】
配管215は、チャンバー212と、第2貯留部120の戻り配管123bとを接続する。バルブ215aは、配管215に配置される。バルブ215aは、配管215内の燐酸液の流れを制御する。バルブ215aが開くことにより、燐酸液は、チャンバー212から第2貯留部120に向かって流れる。バルブ215aが閉じることにより、燐酸液は、第2貯留部120に向かって流れなくなる。
【0076】
また、基板処理部210は、制御部204と、記憶部206とをさらに備える。制御部204は、プロセッサを含む。プロセッサは、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、プロセッサは汎用演算機を有してもよい。例えば、制御部204は、バルブ213a、基板保持部214、バルブ215aおよびノズル216を制御する。
【0077】
記憶部206は、データおよびコンピュータプログラムを記憶する。記憶部206は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部206はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部104は、記憶部206の記憶しているコンピュータプログラムを実行して、基板処理方法を実行する。
【0078】
記憶部206には、予め手順の定められたコンピュータプログラムが記憶されており、基板処理部210は、コンピュータプログラムに定められた手順に従って動作する。
【0079】
なお、制御部104と、記憶部106と、制御部204と、記憶部206とは、一体的に構成されてもよい。例えば、制御部104と、記憶部106と、制御部204と、記憶部206とは、一体的に構成されて装置制御部201として基板処理装置200を制御してもよい。
【0080】
本実施形態の処理液調製装置100において、記憶部106は、第1貯留部110の第1燐酸液が突沸状態と非突沸状態との境界状態であるときの第1計測部114の計測値を記憶する。第1燐酸液が境界状態であるときの計測部の計測値は、第1燐酸液固有の基準状態として利用可能である。このため、第1計測部114の計測値を利用することで、第1燐酸液を他の燐酸液と同じ状態に較正できる。例えば、第1計測部114の計測値を利用することで、第1貯留部110の第1燐酸液を第2貯留部120の第2燐酸液と同じ状態に調製できる。
【0081】
また、記憶部106は、第2貯留部120の第2燐酸液が突沸状態と非突沸状態との境界状態であるときの第2計測部124の計測値を記憶する。第2燐酸液が境界状態であるときの計測部の計測値は、第2燐酸液固有の基準状態として利用可能である。このため、第2計測部124の計測値を利用することで、第2燐酸液を第1燐酸液と同じ状態に調製できる。
【0082】
上述したように、第1貯留部110および第2貯留部120の燐酸液は、ヒータ115bおよびヒータ125bによって加熱される。燐酸液の温度が一定である場合、燐酸液中の燐酸および水の比率に応じて、燐酸液の処理特性は異なる。燐酸液中の水成分が多いほど、燐酸液の比重が低くなる。また、燐酸液の温度が一定条件下にあれば、燐酸液中の水成分が多いほど、基板Wのエッチングレートを向上できる。また、燐酸液中の燐酸成分が多いほど、燐酸液の比重が高くなるとともに、燐酸液の温度を容易に上昇できる。なお、燐酸液の成分(または比重)が一定であれば、燐酸液の温度が高いほど基板Wのエッチングレートを向上できる。
【0083】
次に、
図1および
図2を参照して、本実施形態の処理液調製装置100における第1貯留槽112への水の供給と、第1貯留部110の燐酸液の比重を示す値および燐酸液の状態を説明する。
図2(a)~
図2(d)は、本実施形態の処理液調製装置100における第1貯留槽112への水の供給と、第1貯留部110の燐酸液の比重を示す値および燐酸液の状態を示す模式図である。
【0084】
なお、
図2(a)~
図2(d)では、燐酸液の温度は一定に維持している。例えば、燐酸液の温度は、130℃以上180℃以下である。また、燐酸液の状態は、第1配管113の一部において観察できる。燐酸液の状態は、第1配管113の一部で目視にて確認してもよい。
【0085】
図2(a)に示すように、第1水供給部116aから第1貯留槽112に比較的多くの水が供給されると、燐酸液の水成分が比較的多くなる。この場合、第1計測部114は、第1燐酸液の比重として比較的低い値を計測する。ここでは、計測値は33.9である。このとき、第1燐酸液は沸騰しており、部分的に気化している。
【0086】
図2(b)に示すように、第1水供給部116aから第1貯留槽112に供給される水の量を若干減少させると、燐酸液の水成分がやや少なくなる。この場合、第1計測部114は、第1燐酸液の比重としてやや高い値を計測する。ここでは、計測値は34.0である。このときも、第1燐酸液は沸騰しており、部分的に気化している。
【0087】
図2(c)に示すように、第1水供給部116aから第1貯留槽112に供給される水の量をさらに減少させると、燐酸液の水成分がさらに少なくなる。この場合、第1計測部114は、第1燐酸液の比重としてさらに高い値を計測する。ここでは、計測値は34.1である。このときも、第1燐酸液は沸騰しており、部分的に気化している。
【0088】
図2(d)に示すように、第1水供給部116aから第1貯留槽112に供給される水の量をさらに減少させると、燐酸液の水成分がさらに少なくなる。この場合、第1計測部114は、第1貯留部110の燐酸液の比重はさらに高い値を計測する。ここでは、計測値は34.2である。このとき、第1燐酸液は沸騰せずに透明なままである。
【0089】
図2(a)~
図2(d)を参照した説明から理解されるように、燐酸液の温度が一定であっても、燐酸液の成分の変化とともに燐酸液の比重とともに燐酸液の状態が変化する。詳細には、燐酸液の水分が少ないほど、燐酸液の比重が増加し、燐酸液は沸騰しにくい。
【0090】
図1を参照して説明したように、処理液調製装置100では、第1計測部114は第1貯留部110の燐酸液の比重を示す値を計測し、第2計測部124は第2貯留部120の燐酸液の比重を示す値を計測する。ただし、第1計測部114および第2計測部124には機器ごとに差があるため、仮に、第1貯留部110の燐酸液および第2貯留部120の燐酸液の比重が等しい場合でも、第1計測部114の計測結果が第2計測部124の計測結果と等しくならないことがある。反対に、第1計測部114の計測結果が第2計測部124の計測結果と等しくても、第1貯留部110の燐酸液および第2貯留部120の燐酸液の比重が等しくないことがある。この場合、第1計測部114の計測値および第2計測部124の計測値が互いに整合するように第1貯留部110の燐酸液および第2貯留部120の燐酸液を調製しても、第1燐酸液の比重は第2燐酸液の比重とは異なることになる。このように、比重の異なる2つの燐酸液を混合すると、燐酸液の比重は当初の予定した比重とは異なることになり、処理液の処理特性が変化してしまう。
【0091】
次に、
図1~
図3を参照して、本実施形態にしたがって処理液を調製する前の処理液調製装置100の制御を説明する。
図3(a)~
図3(d)は、第1貯留槽112および第2貯留槽122への水の供給と、第1貯留部110および第2貯留部120の燐酸液の比重を示す値および燐酸液の状態を示す模式図である。
【0092】
図3(a)に示すように、第1計測部114の計測値が第2計測部124の計測値がいずれも同じ値(33.9)になるように第1水供給部116aおよび第2水供給部126aからの水の量を制御する。この場合、第1配管113を流れる燐酸液および第2配管123を流れる燐酸液はいずれも激しく突沸している。配管のうちの側方には気泡が形成されており、配管の中央のみに燐酸液が流れる。このとき、第1燐酸液および第2燐酸液は、いずれも
図2(a)に示した状態に相当する。
【0093】
図3(b)に示すように、第1計測部114の計測値および第2計測部124の計測値がいずれも同じ値(34.0)になるように第1水供給部116aおよび第2水供給部126aからの水の量が減少するように制御する。この場合、第1配管113を流れる燐酸液および第2配管123を流れる燐酸液はいずれも突沸している。ただし、第1配管113を流れる燐酸液の突沸は比較的激しいのに対して、第2配管123を流れる燐酸液の突沸は比較的弱い。このとき、第1燐酸液は、
図2(b)に示した状態に相当し、第2燐酸液は、
図2(c)に示した状態に相当する。
【0094】
図3(c)に示すように、第1計測部114の計測値および第2計測部124の計測値がいずれも同じ値(34.1)になるように第1水供給部116aおよび第2水供給部126aからの水の量が減少するように制御する。この場合、第1配管113を流れる燐酸液は依然として突沸した状態であるのに対して第2配管123を流れる燐酸液は突沸していない。このとき、第1燐酸液は、
図2(c)に示した状態に相当し、第2燐酸液は、
図2(d)に示した状態に相当する。
【0095】
図3(d)に示すように、第1計測部114の計測値および第2計測部124の計測値がいずれも同じ値(34.2)になるように第1水供給部116aおよび第2水供給部126aからの水の量が減少するように制御する。この場合、第1配管113を流れる燐酸液および第2配管123を流れる燐酸液はいずれも突沸しない。このとき、第1燐酸液および第2燐酸液は、いずれも
図2(d)に示した状態に相当する。
【0096】
図3(a)~
図3(d)を参照して説明したように、第1計測部114の計測値および第2計測部124の計測値が等しくなるように第1貯留槽112および第2貯留槽122を制御しても、第1燐酸液および第2燐酸液は異なる状態になる。これは、第1計測部114と第2計測部124との間の機器間差によるものである。このため、第1計測部114の計測結果と第2計測部124nの計測結果とが整合するように第1水供給部116aおよび第2水供給部126aからの水の量を制御しても、第1貯留部110の燐酸液および第2貯留部120の燐酸液の比重を揃えることはできない。
【0097】
本実施形態の処理液調製装置100では、第1貯留部110の燐酸液および第2貯留部120の燐酸液を共通の状態に設定した状態で、第1計測部114が第1貯留部110の燐酸液の比重を示す値を計測するとともに、第2計測部124が第2貯留部120の燐酸液の比重を示す値を計測する。これらの比重は、第1貯留部110の燐酸液および第2貯留部120の燐酸液を共通の状態を示すものであるため、第1計測部114と第2計測部124との間の機器間差の影響を受けない。その後、これらの計測結果を基準として、第1貯留部110の燐酸液および第2貯留部120の燐酸液を調製することが好ましい。
【0098】
次に、
図1~
図4を参照して、本実施形態の処理液調製方法を説明する。
図4(a)~
図4(c)は、本実施形態の処理液調製装置100における第1貯留槽112および第2貯留槽122への水の供給、第1貯留部110および第2貯留部120の燐酸液の比重を示す値および燐酸液の状態を示す模式図である。本実施形態では、第1貯留部110の燐酸液および第2貯留部120の燐酸液をいずれも突沸状態と非突沸状態との境界状態に設定した状態で、第1計測部114は第1貯留部110の燐酸液の比重を示す値を計測し、第2計測部124は第2貯留部120の燐酸液の比重を示す値を計測する。典型的には、この状態において、第1計測部114の計測値は、第2計測部124の計測値とは異なる。
【0099】
図4(a)に示すように、第1貯留部110の燐酸液の状態が第2貯留部120の燐酸液の状態とほぼ等しくなるように、第1水供給部116aおよび第2水供給部126aからの水の量を制御する。ここでは、第1貯留部110の燐酸液および第2貯留部120の燐酸液のいずれもが、突沸状態と非突沸状態との境界のうちの突沸状態になるように第1水供給部116aおよび第2水供給部126aからの水の量を制御する。このとき、第1貯留部110の燐酸液および第2貯留部120の燐酸液は、
図2(c)に示したように、若干突沸している。
【0100】
例えば、
図4(a)において、第1計測部114によって計測された第1貯留部110の計測値は34.1であり、第2計測部124によって計測された第1貯留部110の計測値は34.0である。
【0101】
また、
図4(b)に示すように、第1貯留部110の燐酸液の状態が第2貯留部120の燐酸液の状態とほぼ等しくなるように、第1水供給部116aおよび第2水供給部126aからの水の量を制御する。ここでは、第1貯留部110の燐酸液および第2貯留部120の燐酸液のいずれもが、突沸状態と非突沸状態との境界のうちの非突沸状態になるように第1水供給部116aおよび第2水供給部126aからの水の量を制御する。このとき、第1貯留部110の燐酸液および第2貯留部120の燐酸液は、
図2(d)に示したように、突沸していない。
【0102】
例えば、
図4(b)において、第1計測部114によって計測された第1燐酸液の比重を示す値は34.2であり、第2計測部124によって計測された第2燐酸液の比重を示す値は34.1である。
【0103】
なお、第1貯留部110の燐酸液の調製条件では、第1計測部114の計測値が34.1と34.2との間である場合、第1貯留部110の燐酸液は、突沸状態と非突沸状態との境界状態となる。このとき、第1燐酸液の状態は、第2燐酸液の状態と等しい。したがって、記憶部106(
図1)は、第1計測部114の計測値から、第1貯留部110の基準値として34.2を記憶する。また、記憶部106(
図1)は、第2計測部124の計測値から、第2貯留部120の基準値として34.1を記憶する。
【0104】
なお、実際に基板処理部210で用いる燐酸液の比重は、基準値に対応する比重よりも高いことが好ましい。これにより、基板処理部210の温度が多少低くても、燐酸液が気化して処理液に泡が発生することを抑制できる。
【0105】
図4(c)に示すように、第1計測部114の計測値および第2計測部124の計測値は、いずれも基準値から所定値だけ比重が増加するように、第1水供給部116aおよび第2水供給部126aからの水の量が減少するように制御する。ここでは、所定値は0.3である。このため、第1計測部114の計測値は34.5であり、第2計測部124の計測値は34.4である。以上のように、基板処理に用いる燐酸液の計測値は、燐酸液の較正の基準となる基準値とは異なってもよい。
【0106】
なお、第1貯留部110の燐酸液に供給する際の第1計測部114の計測値は、基板処理部210を流れる燐酸液を観察して決定することが好ましい。
【0107】
以下、
図5を参照して本実施形態の基板処理装置200における燐酸液の調製について説明する。
図5(a)~
図5(c)は、基板処理装置200の模式図である。なお、
図5(a)~
図5(c)は、
図1の基板処理装置200の一部を示す模式図である。ここでは、基板処理部210を流れる燐酸液の状態を確認する。例えば、基板処理部210におけるノズル216を通過する直前の燐酸液の状態を確認する。
【0108】
図5(a)に示すように、第1計測部114の計測値が第1基準値(34.2)である場合、第1燐酸液は非突沸状態である。ここでは、第1貯留部110の燐酸液は突沸していないのに対して、基板処理部210の燐酸液は突沸している。第1貯留部110の燐酸液は、
図2(d)に示した状態に相当し、基板処理部210の燐酸液は、
図2(b)に示した状態に相当する。この場合、第1貯留部110の燐酸液の比重を示す値がさらに増加するように第1水供給部116aからの水の量を減少する。
【0109】
図5(b)に示すように、第1貯留部110の燐酸液の比重を示す値がさらに増加して、第1計測部114の計測値が34.4である場合、第1貯留部110の燐酸液は突沸していないのに対して基板処理部210の燐酸液の突沸の程度は減少したが、基板処理部210の燐酸液は突沸状態のままである。第1貯留部110の燐酸液は、
図2(d)に示した状態に相当し、基板処理部210の燐酸液は、
図2(c)に示した状態に相当する。この場合、第1貯留部110の燐酸液の比重を示す値がさらに増加するように第1水供給部116aからの水の量を減少する。
【0110】
図5(c)に示すように、第1計測部114の計測値が第1基準値(34.5)である場合、第1貯留部110の第1燐酸液は非突沸状態であるとともに基板処理部210の燐酸液は非突沸状態になる。第1貯留部110の燐酸液は、
図2(d)に示した状態に相当し、基板処理部210の燐酸液は、
図2(d)に示した状態に相当する。このように、第1貯留部110の第1燐酸液は、基板処理部210の燐酸液が非突沸状態になるように調製されることが好ましい。
【0111】
ただし、第1貯留部110の第1燐酸液の比重を示す値が高いほど、基板Wのエッチングレートが低下する。このため、第1貯留部110の第1燐酸液の比重を示す値は、基板処理部210の燐酸液が突沸しない範囲内で比較的低いことが好ましい。
【0112】
なお、
図5(a)~
図5(c)を参照した上述の説明では、基板処理部210の燐酸液としてノズル216を通過する直前の燐酸液の状態を観察したが、本実施形態はこれに限定されない。基板処理部210の燐酸液として配管213中の燐酸液の状態を観察してもよい。
【0113】
以下、
図1~
図6を参照して、本実施形態の処理液調製装置100のフローを説明する。
図6は、処理液調製装置100のフローを説明するためのフロー図である。
【0114】
ステップS102において、第1貯留部110の燐酸液が突沸状態と非突沸状態との境界状態になるように設定する。また、第2貯留部120の燐酸液が突沸状態と非突沸状態との境界状態になるように設定する。
【0115】
例えば、第1貯留部110の燐酸液および第2貯留部120の燐酸液は、
図4(a)に示したように、突沸状態と非突沸状態との境界のうちの突沸状態になるように第1水供給部116aおよび第2水供給部126aからの水の量を制御した後で、第1水供給部116aおよび第2水供給部126aからの水の量を減少させて、第1貯留部110の燐酸液および第2貯留部120の燐酸液は、
図4(b)に示したように、突沸状態と非突沸状態との境界のうちの非突沸状態になるように制御してもよい。あるいは、第1貯留部110の燐酸液および第2貯留部120の燐酸液は、
図4(b)に示したように、突沸状態と非突沸状態との境界のうちの非突沸状態になるように第1水供給部116aおよび第2水供給部126aからの水の量を制御した後で、第1水供給部116aおよび第2水供給部126aからの水の量を増加させて、
図4(a)に示したように、突沸状態と非突沸状態との境界のうちの突沸状態になるように制御してもよい。
【0116】
ステップS104において、第1貯留部110の燐酸液が突沸状態と非突沸状態との境界状態であるときに、第1計測部114が境界状態の燐酸液の比重を示す値を第1基準値として計測する。同様に、第2貯留部120の燐酸液が突沸状態と非突沸状態との境界状態であるときに、第2計測部124が境界状態の燐酸液の比重を示す値を第2基準値として計測する。
【0117】
ステップS106において、記憶部106は、第1計測部114によって計測された比重を記憶する。また、記憶部106は、第2計測部124によって計測された比重を記憶する。
【0118】
ステップS108において、第1貯留部110は、第1貯留部110の燐酸液の比重を示す値が第1基準値から所定値だけずれるように調製する。典型的には、第1貯留部110は、第1貯留部110の燐酸液の比重を示す値が基準値から増大するように第1燐酸液を調製する。
【0119】
なお、調製後の計測値と基準値との差分が小さい場合、追加して供給される水の量が少ないため、燐酸液は高い温度を保つことができる。ただし、比重の計測値が基準値から所定値だけ増大するように燐酸液を調製するため、原則として、燐酸液には突沸は生じないが、意図せぬ要因による突沸の可能性をさらに低減させるために、差分はある程度大きいことが好ましい。
【0120】
また、第2貯留部120は、燐酸液の比重を示す値が第2基準値から所定値だけずれるように調製する。典型的には、第2貯留部120は、第2貯留部120の燐酸液の比重を示す値が基準値から増大するように燐酸液を調製する。
【0121】
以上のように、本実施形態によれば、第1貯留部110の燐酸液の比重を第2貯留部120の燐酸液の比重と揃えることができ、第1貯留部110の燐酸液を第2貯留部120の燐酸液と同様に較正できる。このため、第2貯留部120の燐酸液を第1貯留部110の燐酸液と混合させても、第1貯留部110の燐酸液の処理特性は変動せず、基板処理部210は、連続して安定的に基板Wを処理できる。
【0122】
なお、
図1に示した処理液調製装置100では、第1貯留部110の燐酸液および第2貯留部120の燐酸液の状態は、目視にて確認したが、本実施形態はこれに限定されない。第1貯留部110の燐酸液および第2貯留部120の燐酸液の少なくとも一方の状態は撮像機器で確認されてもよい。
【0123】
次に、
図7を参照して、本実施形態の処理液調製装置100を備える基板処理装置200を説明する。
図7は、基板処理装置200の模式図である。なお、
図7に示した基板処理装置200は、処理液調製装置100が第1撮像部118および第2撮像部128をさらに備えることを除いて、
図1を参照して上述した基板処理装置200と同様の構成を有している。このため、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0124】
基板処理装置200は、処理液調製装置100と、基板処理部210とを備える。処理液調製装置100は、貯留部102を備える。貯留部102は、第1貯留部110および第2貯留部120を含む。第1貯留部110は、第1貯留槽112、第1配管113に加えて第1撮像部118をさらに含む。第1撮像部118は、第1配管113の少なくとも一部を撮像する。第1撮像部118は、第1配管113の透明部分を撮像することが好ましい。
【0125】
第2貯留部120は、第2貯留槽122、第2配管123に加えて第2撮像部128をさらに含む。第2撮像部128は、第2配管123の少なくとも一部を撮像する。第2撮像部128は、第2配管123の透明部分を撮像することが好ましい。
【0126】
制御部104は、第1撮像部118および第2撮像部128を制御する。例えば、制御部104は、第1撮像部118の撮像結果および第2撮像部128の撮像結果を解析する。一例では、第1水供給部116aから流れる水の量を変更しながら、第1撮像部118の撮像結果に基づいて、第1燐酸液が、
図2(c)に示した状態である場合と第1燐酸液が
図2(d)に示した状態である場合であることを特定する。このように、第1貯留部110の燐酸液を突沸状態と非突沸状態との境界状態に設定した状態で、第1計測部114は第1貯留部110の燐酸液の比重を示す値を計測し、記憶部106は、第1計測部114の計測結果を記憶してもよい。
【0127】
また、第2水供給部126aから流れる水の量を変更しながら、第2撮像部128の撮像結果に基づいて、第2燐酸液が、
図2(c)に示した状態である場合と第2燐酸液が
図2(d)に示した状態である場合であることを特定する。このように、第2貯留部120の燐酸液を突沸状態と非突沸状態との境界状態に調製した状態で、第2計測部124は第2貯留部120の燐酸液の比重を示す値を計測し、記憶部106は、第2計測部124の計測結果を記憶してもよい。
【0128】
なお、
図1および
図7に示した基板処理装置200では、図面が過度に複雑になることを避けるために、処理液調製装置100は、1つの基板処理部210に処理液を供給したが、本実施形態はこれに限定されない。処理液調製装置100は、複数の基板処理部210に処理液を供給してもよい。この場合、処理液調製装置100から基板処理部210に供給される燐酸液の比重および温度は、複数の基板処理部210のうちの処理液調製装置100から最も遠い(すなわち、処理液調製装置100からの配管距離の長い)処理部において燐酸液に気泡が発生しないように設定されることが好ましい。
【0129】
なお、
図1および
図7に示した基板処理装置200では、処理液調製装置100は、枚葉型の基板処理部210に処理液を供給したが、本実施形態はこれに限定されない。処理液調製装置100は、バッチ型の基板処理部に処理液を供給してよい。
【0130】
次に、
図8を参照して、本実施形態の処理液調製装置100を備える基板処理装置200を説明する。
図8は、基板処理装置200の模式図である。なお、
図8の基板処理装置200は、基板処理部220がバッチ型である点を除いて、
図1を参照して上述した基板処理装置200と同様の構成を有しており、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0131】
基板処理装置200は、処理液調製装置100と、基板処理部220とを備える。処理液調製装置100は、基板処理部220のための処理液を調製し、基板処理部220に処理液を供給する。基板処理部220は、基板Wを処理する。基板処理部220は、バッチ式である。
【0132】
基板処理部220は、処理槽222と、基板積載部224とを備える。処理槽222には、処理液調製装置100から燐酸液が供給され、処理槽222は、燐酸液を貯留する。基板積載部224は、基板Wを積載する。典型的には、基板積載部224は、複数の基板Wを積載する。基板積載部224は、基板Wを積載した状態で処理槽222に浸漬する。これにより、基板Wは、処理液で処理される。
【0133】
以上のように、本実施形態の処理液調製装置100は、バッチ型の基板処理部220に処理液を供給する。処理液調製装置100は、バッチ処理にも好適に用いられる。
【0134】
なお、
図8に示した基板処理装置200では、処理液調製装置100は、バッチ型の基板処理部220の処理槽222に処理液を供給したが、本実施形態はこれに限定されない。処理液調製装置100において基板が処理されてもよい。
【0135】
以下、
図9を参照して、本実施形態の処理液調製装置100を備えた基板処理装置200を説明する。
図9は、本実施形態の基板処理装置200の模式図である。なお、
図9に示した基板処理装置200は、処理液調製装置100が基板Wを処理するための貯留槽として用いられるとともに、第2貯留部120の燐酸液が第1貯留部110の燐酸液と混合されない点を除いて、
図8を参照して上述した基板処理装置200と同様の構成を有しており、冗長を避ける目的で重複する記載を省略する。
【0136】
基板処理装置200は、処理液調製装置100と、基板積載部230とを備える。処理液調製装置100は、第1貯留部110と、第2貯留部120とを含む。第1貯留部110は、調製した燐酸液を生成する。また、第2貯留部120は、調製した燐酸液を生成する。なお、本実施形態の基板処理装置200では、第2貯留部120の燐酸液が第1貯留部110の燐酸液と混合されない。
【0137】
基板積載部230は、基板Wを積載する。典型的には、基板積載部230は、複数の基板Wを積載する。基板積載部230は、基板Wを積載して処理液調製装置100の燐酸液に浸漬する。
【0138】
基板積載部230は、第1積載部232と、第2積載部234とを含む。第1積載部232は、基板Wを保持した状態で、第1貯留部110の第1貯留槽112に浸漬する。第2積載部234は、基板Wを保持した状態で、第2貯留部120の第2貯留槽122に浸漬する。
【0139】
典型的には、第1積載部232が第1貯留部110の第1貯留槽112に浸漬する前に、第1貯留部110の燐酸液は所定の温度および比重に設定される。同様に、第2積載部234が第2貯留部120の第2貯留槽122に浸漬する前に、第2貯留部120の燐酸液は所定の温度および比重に設定される。この場合でも、第2貯留部120の燐酸液は、第1貯留部110の燐酸液と同様に境界状態の計測値を基準として調製することにより、第2貯留部120の燐酸液による基板Wの処理を第1貯留部110の燐酸液による基板Wの処理と揃えることができる。
【0140】
以上のように、本実施形態の処理液調製装置100は、基板Wを処理するための貯留槽として用いてもよい。処理液調製装置100は、バッチ処理装置の貯留槽としても好適に用いられる。
【0141】
なお、
図1~
図9を参照した上述の説明では、基板処理装置200は複数の貯留部を含んだが、本実施形態はこれに限定されない。基板処理装置200に含まれる貯留部は1つであってもよい。
【0142】
以下、
図10を参照して、本実施形態の基板処理装置200を備えた基板処理システム300を説明する。
図10は、基板処理システム300の模式図である。
図10に示すように、基板処理システム300は、基板処理装置200Aと、基板処理装置200Bとを備える。基板処理装置200Aおよび基板処理装置200Bは、処理液調製装置100Aおよび処理液調製装置100Bにそれぞれ含まれる処理槽が1つである点を除いて
図1を参照して上述した基板処理装置200と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0143】
典型的には、基板処理装置200Aおよび基板処理装置200Bは互いに離れた場所に配置される。例えば、基板処理装置200Aおよび基板処理装置200Bは同じ国の異なる場所に配置されてもよい。あるいは、基板処理装置200Aおよび基板処理装置200Bは異なる国に配置されてもよい。
【0144】
基板処理装置200Aは、処理液調製装置100Aと、基板処理部210Aとを備える。ここでは、処理液調製装置100Aは、第1貯留部110を有する。第1貯留部110において第1燐酸液は調製される。
【0145】
基板処理装置200Bは、処理液調製装置100Bと、基板処理部210Bとを備える。ここでは、処理液調製装置100Aは、第2貯留部120を有する。第2貯留部120において第2燐酸液は調製される。
【0146】
基板処理システム300は、さらに、基板処理装置200Aおよび基板処理装置200Bと通信可能な情報処理装置310を備えてもよい。情報処理装置310は、例えば、サーバーである。例えば、基板処理装置200Aは、情報処理装置310を介して基板処理装置200Bと情報を通信可能である。
【0147】
例えば、基板処理装置200Aは、第1燐酸液の境界状態における燐酸液の比重を示す第1基準値を計測した後、基板処理装置200Aは、情報処理装置310に第1基準値を示す情報を送信する。情報処理装置310は、基板処理装置200Aから第1基準値を示す情報を受信して記憶する。また、必要に応じて、情報処理装置310は、基板処理装置200Aの第1基準値を基板処理装置200Bに送信する。その後、基板処理装置200Bでも第2燐酸液の境界状態における燐酸液の比重を示す第2基準値を計測する。その後、基板処理装置200Bの燐酸液は、基板処理装置200Aの燐酸液と同様に基準値を基準として較正する。これにより、基板処理装置200Bの第2燐酸液を基板処理装置200Aの第1燐酸液と同様に較正できる。
【0148】
なお、
図10を参照した上述の説明では、基板処理システム300は、基板処理装置200A、200Bを備えたが、基板処理装置200Aおよび基板処理装置200Bは同時刻に存在しなくてもよい。例えば、基板処理装置200Aは、1カ月前の燐酸液の境界状態の第1基準値を記憶しており、基板処理装置200Bは、基板処理装置200Aの第1基準値と自ら計測した第2基準値とを利用して、基板処理装置200Aの計測から1カ月後に、基板処理装置200Aの第1燐酸液と同様に第2燐酸液を較正してもよい。
【0149】
このように、基板処理装置200Aおよび基板処理装置200Bが同じ時刻に存在しなくても、基板処理装置200Bの処理液調製装置100Bは、処理液調製装置100Bの燐酸液が突沸状態と非突沸状態との境界状態であるときの第2基準値と第1基準値とを利用することで、処理液調製装置100Bの第2燐酸液を処理液調製装置100Aの燐酸液と同じ条件に揃えることができる。
【0150】
以下、
図11を参照して、処理液調製装置100Aのフローを説明するためのフロー図である。なお、
図11では、
図10の処理液調製装置100Aのフローを示すが、基板処理装置200Bに含まれる処理液調製装置100Bも同様のフローで動作してもよい。
【0151】
ステップS202において、第1貯留部110の燐酸液が突沸状態と非突沸状態との境界状態にする。
【0152】
ステップS204において、第1貯留部110の燐酸液が突沸状態と非突沸状態との境界状態であるときに、第1計測部114は、第1貯留部110の燐酸液の境界状態の比重を示す値(第1基準値)を計測する。
【0153】
ステップS206において、記憶部106は、第1計測部114の計測値(第1基準値)を記憶する。
【0154】
以上のように、本実施形態によれば、記憶部106は、第1貯留部110の燐酸液の境界状態における第1計測部114の計測値(第1基準値)を記憶する。このため、第2貯留部120の燐酸液の比重を第1貯留部110の燐酸液の比重と揃えることができ、第1貯留部110の燐酸液に対して第2貯留部120の燐酸液を較正できる。
【0155】
以下、
図12を参照して、本実施形態の処理液調製装置100を備えた基板処理装置200を説明する。
図12は、本実施形態の処理液調製装置100を備えた基板処理装置200の模式図である。なお、
図12に示した基板処理装置200は、処理液調製装置100が第1貯留部110および第2貯留部120に加えて第3貯留部130および新液供給部140をさらに備える点を除いて、
図1を参照して上述した基板処理装置200と同様の構成を有しており、冗長を避けるために重複する記載を省略する。
【0156】
基板処理装置200は、処理液調製装置100と、基板処理部210とを備える。処理液調製装置100の貯留部102は、第1貯留部110および第2貯留部120に加えて第3貯留部130をさらに備える。また、処理液調製装置100は、新液供給部140をさらに備える。
【0157】
上述したように、第2貯留部120は、第2燐酸液を調製し、第1貯留部110に第2燐酸液を補充する。同様に、第3貯留部130は、第3燐酸液を調製し、第1貯留部110に第3燐酸液を補充する。ただし、第3貯留部130が第3燐酸液を補充するタイミングは、第2貯留部120が第2燐酸液を補充するタイミングとは異なる。
【0158】
新液供給部140は、第2貯留部120および第3貯留部130に燐酸液を供給する。なお、第2貯留部120が第1貯留部110に第2燐酸液を補充しない期間に、新液供給部140は、第2貯留部120に燐酸液を供給する。また、第3貯留部130が第1貯留部110に第3燐酸液を補充しない期間に、新液供給部140は、第3貯留部130に燐酸液を供給する。なお、ここでは、新液供給部140では、燐酸液は所定の温度および比重に調製されない。
【0159】
第3貯留部130は、第1貯留部110および/または第2貯留部120に対応する構成を有している。第3貯留部130は、第3貯留槽132と、第3配管133と、第3計測部134と、ポンプ135aと、ヒータ135bと、フィルタ135cと、バルブ135dと、バルブ135eと、第3水供給部136aと、第3燐酸供給部136bと、第3ガス供給部136cとを含む。冗長な説明を避けるために第3貯留部130についての重複する記載を省略する。
【0160】
第3貯留部130の第3配管133は、第3貯留槽132と第1貯留槽112とを連絡する。また、バルブ135dは、第3貯留槽132から第1貯留槽112に向かう燐酸液の流れを制御する。バルブ135dが開くことにより、燐酸液は、第1貯留槽112に向かって流れる。バルブ135dが閉じることにより、燐酸液は、第3貯留部130から第1貯留部110に向かって流れなくなる。
【0161】
また、バルブ135eが開くことにより、燐酸液は、第3貯留槽132に向かって流れるため、燐酸液を循環できる。バルブ135eが閉じることにより、燐酸液の循環が停止される。
【0162】
例えば、バルブ135dが閉じた状態でバルブ135eが開いていることにより、第3貯留部130の燐酸液は、循環配管133aを介して循環する。このとき、ヒータ135bが循環する燐酸液を加熱することにより、第3貯留部130の燐酸液を所定の温度に設定できる。
【0163】
また、バルブ135dおよびバルブ135eが開いていることにより、第3貯留部130の燐酸液は、循環配管133aを介して循環するとともに第3配管133を介して第1貯留部110に供給される。このため、第3貯留部130は、第1貯留部110の燐酸液を補充できる。
【0164】
さらに、第3貯留部130は、基板処理部210と第3貯留槽132とを連絡する戻り配管133bを有する。戻り配管133bには、基板処理部210においてカップ136によって回収された処理液が流れる。戻り配管133bを通過する処理液は、第3貯留槽132の本体槽132aに戻る。
【0165】
また、基板処理部210の配管215には、バルブ215aとともにバルブ215bが設けられる。配管215は、チャンバー212と、第2貯留部120の戻り配管123bと、第3貯留部130の戻り配管133bとを接続する。バルブ215bは、配管215内の燐酸液の流れを制御する。バルブ215bが開くことにより、燐酸液は、チャンバー212から第3貯留部130に向かって流れる。バルブ215aが閉じることにより、燐酸液は、第3貯留部130に向かって流れなくなる。
【0166】
新液供給部140は、貯留槽142と、配管143と、燐酸供給部146とを有する。燐酸供給部146は、燐酸液を供給する。貯留槽142には、燐酸が貯留される。
【0167】
配管143は、貯留槽142と、第2貯留槽122および第3貯留槽132とを連絡する。配管143には、バルブ143aおよびバルブ143bが設けられる。バルブ143aは、配管143内の燐酸液の流れを制御する。バルブ143aが開くことにより、燐酸液は、貯留槽142から第2貯留槽122に向かって流れる。バルブ143aが閉じることにより、燐酸液は、第2貯留槽122に向かって流れなくなる。
【0168】
バルブ143bは、配管143内の燐酸液の流れを制御する。バルブ143bが開くことにより、燐酸液は、貯留槽142から第3貯留槽132に向かって流れる。バルブ143bが閉じることにより、燐酸液は、第3貯留槽132に向かって流れなくなる。
【0169】
本実施形態の基板処理装置200によれば、第2貯留部120および第3貯留部130は、交互に第1貯留部110に燐酸液を供給する。このため、第1貯留部110は、連続して基板処理部210に燐酸液を供給できる。また、第2貯留部120および第3貯留部130は、基板処理部210からの処理液を交互に回収する。このため、第2貯留部120および第3貯留部130は、基板処理部210からの処理液を所定の温度および比重に調製して有効に活用できる。さらに、第2貯留部120および第3貯留部130は、新液供給部140からの燐酸液を交互に供給されて、所定の温度および比重に効率的に調製できる。
【0170】
以下、
図13を参照して、
図12に示した基板処理装置200における燐酸液の流れの変化を説明する。
図13(a)~
図13(f)は、
図12に示した基板処理装置200における燐酸液の流れの変化を説明するための模式図である。なお、
図13(a)~
図13(f)では、図面が過度に複雑になることを避けるために、処理液調製装置100の第1貯留部110、第2貯留部120、第3貯留部130、新液供給部140および基板処理部210を模式的に示すともに、燐酸液の流れる配管のみを示していることに留意されたい。
【0171】
さらに、
図13(a)~
図13(f)では、第1貯留部110、第2貯留部120および第3貯留部130内の燐酸液の量の変化を矢印で示している。上向きの矢印は、燐酸液の量が増加することを示し、下向きの矢印は、燐酸液の量が減少することを示す。
【0172】
図13(a)に示すように、第1貯留部110は基板処理部210に燐酸液を供給することを開始する。第1貯留部110は、基板処理部210に燐酸液を供給するとともに燐酸液を循環することで、第1貯留部110の燐酸液の温度は一定に維持される。
【0173】
第2貯留部120は、燐酸液を循環することで、第2貯留部120の燐酸液の温度は一定に維持される。
【0174】
第3貯留部130は、燐酸液を循環することで、第3貯留部130の燐酸液の温度は一定に維持される。また、第3貯留部130は、基板処理部210において使用された処理液を回収する。基板処理部210において使用された処理液は、配管を通って第3貯留部130に到達する。処理液は、第3貯留部130において循環されて、所定の温度に維持される。
【0175】
第1貯留部110、第2貯留部120および第3貯留部130の燐酸液は同じ温度に設定される。なお、第1貯留部110、第2貯留部120および第3貯留部130の燐酸液は、第1貯留部110が基板処理部210に燐酸液を供給することを開始する前に行われた境界状態の基準値を基準として調製される。上述したように、第1貯留部110の第1計測部114、第2貯留部120の第2計測部124および第3貯留部130の第3計測部134の計測結果は異なっていてもよい。なお、
図13(a)~
図13(f)にわたって、第1貯留部110、第2貯留部120および第3貯留部130の燐酸液は、第1貯留部110が基板処理部210に燐酸液を供給することを開始する前に行われた境界状態の計測結果を基準に調製される。
【0176】
図13(b)に示すように、第1貯留部110は基板処理部210に燐酸液を供給し続ける。第1貯留部110は、基板処理部210に燐酸液を供給するとともに燐酸液を循環することで、第1貯留部110の燐酸液の温度は一定に維持される。
【0177】
第2貯留部120は、第1貯留部110に燐酸液を供給する。また、第2貯留部120は、第1貯留部110に燐酸液を供給するとともに燐酸液を循環することで、第2貯留部120の燐酸液の温度は一定に維持される。
【0178】
第3貯留部130は、基板処理部210において使用された処理液を回収し続ける。また、第3貯留部130は、燐酸液を循環することで、第3貯留部130の燐酸液の温度は一定に維持される。
【0179】
図13(c)に示すように、第1貯留部110は基板処理部210に燐酸液を供給し続ける。第1貯留部110は、基板処理部210に燐酸液を供給するとともに燐酸液を循環することで、第1貯留部110の燐酸液の温度は一定に維持される。
【0180】
第2貯留部120は、燐酸液を循環することで、第2貯留部120の燐酸液の温度は一定に維持される。また、第2貯留部120は、基板処理部210において使用された処理液を回収する。基板処理部210において使用された処理液は、配管を通って第2貯留部120に到達する。処理液は、第2貯留部120において循環されて、所定の温度に維持される。
【0181】
第3貯留部130は、燐酸液を循環することで、第3貯留部130の燐酸液の温度は一定に維持される。また、第3貯留部130には、新液供給部140から新たな燐酸液が供給される。
【0182】
図13(d)に示すように、第1貯留部110は基板処理部210に燐酸液を供給し続ける。第1貯留部110は、基板処理部210に燐酸液を供給するとともに燐酸液を循環することで、第1貯留部110の燐酸液の温度は一定に維持される。
【0183】
第2貯留部120は、基板処理部210において使用された処理液を回収し続ける。また、第2貯留部120は、燐酸液を循環することで、第2貯留部120の燐酸液の温度は一定に維持される。
【0184】
第3貯留部130は、第1貯留部110に燐酸液を供給する。また、第3貯留部130は、第1貯留部110に燐酸液を供給するとともに燐酸液を循環することで、第3貯留部130の燐酸液の温度は一定に維持される。
【0185】
図13(e)に示すように、第1貯留部110は基板処理部210に燐酸液を供給し続ける。第1貯留部110は、基板処理部210に燐酸液を供給するとともに燐酸液を循環することで、第1貯留部110の燐酸液の温度は一定に維持される。
【0186】
第2貯留部120は、燐酸液を循環することで、第2貯留部120の燐酸液の温度は一定に維持される。また、第2貯留部120には、新液供給部140から新たな燐酸液が供給される。
【0187】
第3貯留部130は、燐酸液を循環することで、第3貯留部130の燐酸液の温度は一定に維持される。また、第3貯留部130は、基板処理部210において使用された処理液を回収する。基板処理部210において使用された処理液は、配管を通って第3貯留部130に到達する。処理液は、第3貯留部130において循環されて、所定の温度に維持される。
【0188】
図13(f)に示すように、第1貯留部110は基板処理部210に燐酸液を供給し続ける。第1貯留部110は、基板処理部210に燐酸液を供給するとともに燐酸液を循環することで、第1貯留部110の燐酸液の温度は一定に維持される。
【0189】
第2貯留部120は、第1貯留部110に燐酸液を供給する。また、第2貯留部120は、第1貯留部110に燐酸液を供給するとともに燐酸液を循環することで、第2貯留部120の燐酸液の温度は一定に維持される。
【0190】
第3貯留部130は、基板処理部210において使用された処理液を回収し続ける。また、第3貯留部130は、燐酸液を循環することで、第3貯留部130の燐酸液の温度は一定に維持される。
【0191】
その後、さらに、
図13(c)~
図13(f)のように燐酸液の流れを切り替えることにより、所定の比重の燐酸液を基板処理部210に連続的に供給できる。以上のように、本実施形態によれば、第2貯留部120および第3貯留部130は、交互に基板処理部210において使用された処理液を回収するとともに、第1貯留部110に燐酸液を供給する。
【0192】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0193】
本発明は、処理液調製装置および処理液調製方法に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0194】
100 処理液調製装置
102 貯留部
104 制御部
106 記憶部
110 第1貯留部
120 第2貯留部
200 基板処理装置
210 基板処理部
W 基板