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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】クランクシャフト、及びロータリ圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/356 20060101AFI20230424BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20230424BHJP
   F04C 23/00 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
F04C18/356 E
F04C29/00 D
F04C23/00 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019110262
(22)【出願日】2019-06-13
(65)【公開番号】P2020200818
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】小川 真
(72)【発明者】
【氏名】木全 央幸
(72)【発明者】
【氏名】江崎 郁男
(72)【発明者】
【氏名】宇野 将成
(72)【発明者】
【氏名】島谷 紘史
(72)【発明者】
【氏名】藤原 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】笹川 千賀子
(72)【発明者】
【氏名】山下 拓馬
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-093489(JP,U)
【文献】特開2012-077728(JP,A)
【文献】特開2012-149545(JP,A)
【文献】特開2016-089625(JP,A)
【文献】特開2016-145528(JP,A)
【文献】中国実用新案第201568304(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 18/356
F04C 29/00
F04C 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリ圧縮機に設けられ、軸線回りに回転するクランクシャフトであって、
前記軸線に沿って延びるとともに、該軸線を中心とする円柱状のシャフト本体と、
該シャフト本体に一体に設けられ、前記軸線の径方向に偏心しているとともに、前記シャフト本体よりも大きな径寸法を有する第一クランク軸と、
前記第一クランク軸の前記軸線方向他方側を向く面から突出し、前記軸線方向から見て該第一クランク軸よりも小さな面積を有する上部接触部と、
前記第一クランク軸の前記軸線方向一方側を向く面から突出し、前記軸線方向から見て該第一クランク軸よりも小さな面積を有するとともに、前記上部接触部よりも大きな面積を有する下部接触部と、
を備え
前記上部接触部は、前記軸線方向から見て、前記第一クランク軸の外周面よりも径寸法の大きな円弧状の第一端面と、前記第一クランク軸の外周面と同軸かつ同一の径寸法を有する第一外周面とによって画成され、かつ、前記シャフト本体の外周面と前記第一外周面とは一部で互いに接しており、
前記下部接触部は、前記軸線方向から見て、前記第一クランク軸の外周面よりも径寸法の大きな円弧状の第二端面と、前記第一クランク軸の外周面と同軸かつ同一の径寸法を有する第二外周面とによって画成され、かつ、前記シャフト本体の外周面と前記第二外周面とは一部で互いに接しており、
前記第二端面と軸線との間の距離は、第一端面と軸線との間の距離よりも大きく設定されている
クランクシャフト。
【請求項2】
前記上部接触部は、前記軸線方向から見て前記シャフト本体と重複し、前記下部接触部は、前記軸線方向から見て前記シャフト本体と重複している請求項1に記載のクランクシャフト。
【請求項3】
前記上部接触部における前記第一クランク軸の偏心方向を向く第一端面は、前記軸線方向から見て前記第一クランク軸の外周面よりも大きな径寸法を有する円弧状をなしている請求項1又は2に記載のクランクシャフト。
【請求項4】
前記軸線を含む断面視において、前記第一端面は前記軸線から離間するに従って、前記第一クランク軸側に向かって延びている請求項3に記載のクランクシャフト。
【請求項5】
前記下部接触部における前記第一クランク軸の偏心方向を向く第二端面は、前記軸線方向から見て前記第一クランク軸の外周面よりも大きく、かつ前記第一端面よりも大きな径寸法を有する円弧状をなしている請求項3又は4に記載のクランクシャフト。
【請求項6】
前記軸線を含む断面視において、前記第二端面は前記軸線から離間するに従って、前記第一クランク軸側に向かって延びている請求項5に記載のクランクシャフト。
【請求項7】
ロータリ圧縮機に設けられ、軸線回りに回転するクランクシャフトであって、
前記軸線に沿って延びるとともに、該軸線を中心とする円柱状のシャフト本体と、
該シャフト本体に一体に設けられ、前記軸線の径方向に偏心しているとともに、前記シャフト本体よりも大きな径寸法を有する第一クランク軸と、
前記第一クランク軸の前記軸線方向他方側を向く面から突出し、前記軸線方向から見て該第一クランク軸よりも小さな面積を有する上部接触部と、
前記シャフト本体上で、前記第一クランク軸と前記軸線方向に間隔をあけて設けられるとともに、該第一クランク軸とは異なる方向に偏心し、前記シャフト本体よりも大きな径寸法を有する第二クランク軸と、
前記第二クランク軸の前記軸線方向一方側を向く面から突出し、前記軸線方向から見て該第二クランク軸よりも小さな面積を有するとともに、前記上部接触部よりも大きな面積を有する下部接触部と、
を備え、
前記上部接触部は、前記軸線方向から見て、前記第一クランク軸の外周面よりも径寸法の大きな円弧状の第一端面と、前記第一クランク軸の外周面と同軸かつ同一の径寸法を有する第一外周面とによって画成され、かつ、前記シャフト本体の外周面と前記第一外周面とは一部で互いに接しており、
前記下部接触部は、前記軸線方向から見て、前記第二クランク軸の外周面よりも径寸法の大きな円弧状の第二端面と、前記第二クランク軸の外周面と同軸かつ同一の径寸法を有する第二外周面とによって画成され、かつ、前記シャフト本体の外周面と前記第二外周面とは一部で互いに接しており、
前記第二端面と軸線との間の距離は、第一端面と軸線との間の距離よりも大きく設定されている
クランクシャフト。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のクランクシャフトと、
前記クランクシャフトの回転に伴って冷媒を圧縮する圧縮機構部と、
前記クランクシャフトを回転可能に支持する上部軸受部、及び下部軸受部と、
を備え、
前記上部軸受部は前記上部接触部に接触し、前記下部軸受部は前記下部接触部に接触しているロータリ圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランクシャフト、及びロータリ圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば空調装置における冷媒の圧縮に用いられる装置として、ロータリ圧縮機が知られている。この種の圧縮機の具体例として、下記特許文献1に記載されたものが挙げられる。特許文献1に記載された圧縮機は、シャフトと、シャフトの偏心部に装着されたローラと、ローラを収容するシリンダ室を有するシリンダと、シリンダの端面に配置される上部軸受、及び下部軸受と、これらを収容するハウジングと、を備えている。シャフトは軸受によって両端で支持されている。また、圧縮機の運転中、シャフトの偏心部と上部軸受、及び下部軸受とは、潤滑油膜を介して互いに摺接している。
【0003】
ここで、上記のような圧縮機では、圧縮された冷媒がハウジング内の下方から上方に向かって上昇する。これにより、シャフトには上方に向かう力が加えられる。この力に起因して、ローラは偏心部に対して摺動することでその場に留まる一方で、偏心部はシャフトの軸線方向に変位する。その結果、上部軸受や下部軸受に対して偏心部が断続的に接触することで、騒音や振動を生じる場合がある。そこで、上記のように偏心部と上部軸受、及び下部軸受との間に潤滑油膜を介在させて、上部軸受、及び下部軸受に対する偏心部の変位を減衰させる必要がある。潤滑油膜が形成される面積が大きいほど、より大きな減衰効果が得られる。つまり、偏心部の断面積が大きいほど、この減衰効果は大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-223034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、偏心部の断面積を大きくするほど、シャフト、及びローラに働く遠心力も大きくなってしまう。その結果、圧縮機の運転効率が低下してしまう可能性がある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、振動がより一層低減されるとともに、効率がより一層向上したクランクシャフト、及びロータリ圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、クランクシャフトは、ロータリ圧縮機に設けられ、軸線回りに回転するクランクシャフトであって、前記軸線に沿って延びるとともに、該軸線を中心とする円柱状のシャフト本体と、該シャフト本体に一体に設けられ、前記軸線の径方向に偏心しているとともに、前記シャフト本体よりも大きな径寸法を有する第一クランク軸と、前記第一クランク軸の前記軸線方向他方側を向く面から突出し、前記軸線方向から見て該第一クランク軸よりも小さな面積を有する上部接触部と、前記第一クランク軸の前記軸線方向一方側を向く面から突出し、前記軸線方向から見て該第一クランク軸よりも小さな面積を有するとともに、前記上部接触部よりも大きな面積を有する下部接触部と、を備え、前記上部接触部は、前記軸線方向から見て、前記第一クランク軸の外周面よりも径寸法の大きな円弧状の第一端面と、前記第一クランク軸の外周面と同軸かつ同一の径寸法を有する第一外周面とによって画成され、かつ、前記シャフト本体の外周面と前記第一外周面とは一部で互いに接しており、前記下部接触部は、前記軸線方向から見て、前記第一クランク軸の外周面よりも径寸法の大きな円弧状の第二端面と、前記第一クランク軸の外周面と同軸かつ同一の径寸法を有する第二外周面とによって画成され、かつ、前記シャフト本体の外周面と前記第二外周面とは一部で互いに接しており、前記第二端面と軸線との間の距離は、第一端面と軸線との間の距離よりも大きく設定されている
【0008】
上記構成によれば、第一クランク軸の軸線方向他方側を向く面、及び一方側を向く面にそれぞれ上部接触部、及び下部接触部が設けられている。これら上部接触部、及び下部接触部は、軸線方向から見て第一クランク軸よりも小さな面積を有している。したがって、例えばこれら上部接触部、及び下部接触部が第一クランク軸と同等の面積を有している構成に比べて、シャフト本体に働く遠心力を低減することができる。さらに、これら上部接触部、及び下部接触部は、軸線方向から見てシャフト本体よりも大きな径寸法を有していることから、例えば当該上部接触部、及び下部接触部と他の部材との間に介在する潤滑油膜の面積をより大きく確保することができる。加えて、下部接触部は上部接触部よりも大きな面積を有することから、軸線方向一方側に向かうクランクシャフト自体の荷重をより安定的に受け止めることができる。
【0009】
上記クランクシャフトでは、前記上部接触部は、前記軸線方向から見て前記シャフト本体と重複し、前記下部接触部は、前記軸線方向から見て前記シャフト本体と重複していてもよい。
【0010】
上記構成によれば、上部接触部、及び下部接触部が、軸線方向から見てシャフト本体と重複している。したがって、例えば上部接触部、及び下部接触部が、軸線方向から見てシャフト本体と離れた位置に設けられている構成に比べて、シャフト本体に働く遠心力の大きさをより小さく抑えることができる。
【0011】
上記クランクシャフトでは、前記上部接触部における前記第一クランク軸の偏心方向を向く第一端面は、前記軸線方向から見て前記第一クランク軸の外周面よりも大きな径寸法を有する円弧状をなしていてもよい。
【0012】
上記構成によれば、上部接触部の第一端面が第一クランク軸の外周面よりも大きな径寸法を有する円弧状をなしている。これにより、例えば当該第一端面が軸線方向から見て直線状をなしている場合に比べて、シャフト本体に働く遠心力の影響をより小さく抑えることができる。
【0013】
上記クランクシャフトでは、前記軸線を含む断面視において、前記第一端面は前記軸線から離間するに従って、前記第一クランク軸側に向かって延びていてもよい。
【0014】
上記構成によれば、軸線を含む断面視において、第一端面は軸線から離間するに従って、第一クランク軸側に向かって斜めに延びている。これにより、例えば潤滑油を供給する場合、潤滑油は当該第一端面に案内されることで、上部接触部と他の部材との間に行き渡りやすくなる。
【0015】
上記クランクシャフトでは、前記下部接触部における前記第一クランク軸の偏心方向を向く第二端面は、前記軸線方向から見て前記第一クランク軸の外周面よりも大きく、かつ前記第一端面よりも大きな径寸法を有する円弧状をなしていてもよい。
【0016】
上記構成によれば、下部接触部の第二端面が第一クランク軸の外周面よりも大きな径寸法を有する円弧状をなしている。これにより、例えば当該第二端面が軸線方向から見て直線状をなしている場合に比べて、シャフト本体に働く遠心力の影響をより小さく抑えることができる。
【0017】
上記クランクシャフトでは、前記軸線を含む断面視において、前記第二端面は前記軸線から離間するに従って、前記下部接触部側に向かって延びていてもよい。
【0018】
上記構成によれば、軸線を含む断面視において、第二端面は軸線から離間するに従って、第一クランク軸側に向かって斜めに延びている。これにより、例えば潤滑油を供給する場合、潤滑油は当該第二端面に案内されることで、下部接触部と他の部材との間に行き渡りやすくなる。
【0019】
本発明の一態様に係るクランクシャフトは、ロータリ圧縮機に設けられ、軸線回りに回転するクランクシャフトであって、前記軸線に沿って延びるとともに、該軸線を中心とする円柱状のシャフト本体と、該シャフト本体に一体に設けられ、前記軸線の径方向に偏心しているとともに、前記シャフト本体よりも大きな径寸法を有する第一クランク軸と、前記第一クランク軸の前記軸線方向他方側を向く面から突出し、前記軸線方向から見て該第一クランク軸よりも小さな面積を有する上部接触部と、前記シャフト本体上で、前記第一クランク軸と前記軸線方向に間隔をあけて設けられるとともに、該第一クランク軸とは異なる方向に偏心し、前記シャフト本体よりも大きな径寸法を有する第二クランク軸と、前記第二クランク軸の前記軸線方向一方側を向く面から突出し、前記軸線方向から見て該第二クランク軸よりも小さな面積を有するとともに、前記上部接触部よりも大きな面積を有する下部接触部と、を備え、前記上部接触部は、前記軸線方向から見て、前記第一クランク軸の外周面よりも径寸法の大きな円弧状の第一端面と、前記第一クランク軸の外周面と同軸かつ同一の径寸法を有する第一外周面とによって画成され、かつ、前記シャフト本体の外周面と前記第一外周面とは一部で互いに接しており、前記下部接触部は、前記軸線方向から見て、前記第二クランク軸の外周面よりも径寸法の大きな円弧状の第二端面と、前記第二クランク軸の外周面と同軸かつ同一の径寸法を有する第二外周面とによって画成され、かつ、前記シャフト本体の外周面と前記第二外周面とは一部で互いに接しており、前記第二端面と軸線との間の距離は、第一端面と軸線との間の距離よりも大きく設定されている。
【0020】
上記構成によれば、第一クランク軸の軸線方向他方側を向く面、及び一方側を向く面にそれぞれ上部接触部、及び下部接触部が設けられている。これら上部接触部、及び下部接触部は、軸線方向から見て第一クランク軸よりも小さな面積を有している。したがって、例えばこれら上部接触部、及び下部接触部が第一クランク軸と同等の面積を有している構成に比べて、シャフト本体に働く遠心力を低減することができる。さらに、これら上部接触部、及び下部接触部は、軸線方向から見てシャフト本体よりも大きな径寸法を有していることから、例えば当該上部接触部、及び下部接触部と他の部材との間に介在する潤滑油膜の面積をより大きく確保することができる。加えて、下部接触部は上部接触部よりも大きな面積を有することから、軸線方向一方側に向かうクランクシャフト自体の荷重をより安定的に受け止めることができる。
さらに、上記構成によれば、第二クランク軸をさらに備える二気筒のロータリ圧縮機に対して、上記のクランクシャフトを適用することができる。特に、上部接触部は軸線方向一方側の第一クランク軸側に設けられ、下部接触部は軸線方向他方側の第二クランク軸側に設けられる。これにより、上部接触部は第一クランク軸と他の部材との間で生じる振動を潤滑油膜の作用によって減衰させる。下部接触部は第二クランク軸と他の部材との間で生じる振動を潤滑油膜の作用によって減衰させるとともに、軸線方向一方側に向かうクランクシャフト自体の荷重を安定的に受け止めることができる。
【0021】
本発明の一態様に係るロータリ圧縮機は、上記いずれか一の態様に係るクランクシャフトと、前記クランクシャフトの回転に伴って冷媒を圧縮する圧縮機構部と、前記クランクシャフトを回転可能に支持する上部軸受部、及び下部軸受部と、を備え、前記上部軸受部は前記上部接触部に接触し、前記下部軸受部は前記下部接触部に接触している。
【0022】
上記構成によれば、振動や騒音が低減されるとともに、効率が向上したロータリ圧縮機を提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、振動がより一層低減されるとともに、効率がより一層向上したクランクシャフト、及びロータリ圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第一実施形態に係る圧縮機の構成を示す断面図である。
図2】本発明の第一実施形態に係るクランクシャフトの構成を示す側面図である。
図3図2のA-A線における矢視図である。
図4図2のB-B線における矢視図である。
図5】本発明の第二実施形態に係るクランクシャフトの構成を示す側面図である。
図6】本発明の第三実施形態に係るクランクシャフトの構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第一実施形態]
本発明の第一実施形態について、図1から図4を参照して説明する。なお、以降の説明における「同一」、「同等」との表現は、寸法や形状が実質的に同一、又は同等であることを示し、設計上の公差や製造上の誤差は許容される。図1に示すように、本実施形態に係る圧縮機100(ロータリ圧縮機)は、アキュムレータ24と、吸入管26A、26Bと、圧縮機本体10と、を備えている。圧縮機本体10は、軸線Oに沿って延びるクランクシャフト16と、クランクシャフト16を回転させるモータ18と、クランクシャフト16の回転に伴って冷媒を圧縮する圧縮機構部10Aと、クランクシャフト16、モータ18、及び圧縮機構部10Aを覆うハウジング11と、を備えている。
【0026】
圧縮機構部10Aは、モータ18によって回転されるクランクシャフト16と、クランクシャフト16の回転に伴って偏心回転するピストンロータ13A、13B(第一ピストンロータ13A、第二ピストンロータ13B)を収容する圧縮室Rが内部に形成されたシリンダ12A、12Bと、を備えている。
【0027】
圧縮機構部10Aは、円筒形状のハウジング11内に、ディスク状のシリンダ12A、12Bが上下2段に設けられた、いわゆる2気筒タイプのロータリ圧縮機である。ハウジング11は、シリンダ12A、12Bを囲うことで、圧縮された冷媒が排出される吐出空間Vを形成する。シリンダ12A、12Bの内部には、各々、シリンダ内壁面の内側よりも小さな外形を有する円筒状の第一ピストンロータ13A、第二ピストンロータ13Bが配置されている。第一ピストンロータ13A、第二ピストンロータ13Bは、各々、クランクシャフト16におけるクランク軸14A、14B(第一クランク軸14A、第二クランク軸14B)に挿入固定されている。
【0028】
上段側のシリンダ12Aの第一ピストンロータ13Aと、下段側の第二ピストンロータ13Bとは、その位相が互いに180°だけ異なるように設けられている。即ち、第一ピストンロータ13Aは、第二ピストンロータ13Bの偏心方向とは反対の方向に偏心している。また、上下のシリンダ12A、12Bの間には、ディスク状の仕切板15が設けられている。仕切板15により、上段側のシリンダ12A内の空間Rと、下段側の空間Rとが互いに区画されて、それぞれ圧縮室R1とR2とされている。
【0029】
シリンダ12A、12B(圧縮機構部10A)は、上部軸受部17A、及び下部軸受部17Bによってハウジング11に固定されている。より具体的には、上部軸受部17Aは圧縮機構部10Aの上部に固定された円盤状をなしており、その外周面はハウジング11の内周面に固定されている。下部軸受部17Bは圧縮機構部10Aの下部に固定された円盤状をなしており、その外周面はハウジング11の内周面に固定されている。即ち、圧縮機構部10Aは、ハウジング11に直接的に固定されておらず、上部軸受部17A、及び下部軸受部17Bを介してハウジング11に固定されている。
【0030】
圧縮機本体10には、圧縮機本体10への供給に先立って冷媒を気液分離するアキュムレータ24がステー25を介してハウジング11に固定されている。アキュムレータ24と圧縮機本体10との間には、アキュムレータ24内の冷媒を圧縮機本体10に吸入させるための吸入管26A、26Bが設けられている。吸入管26A、26Bの一端はアキュムレータ24の下部に接続され、他端は開口22A、22Bを通して、シリンダ12A、12Bにそれぞれ形成された吸入ポート23A、23Bに連通している。
【0031】
次に、クランクシャフト16の構成について詳述する。図1に示すように、クランクシャフト16は、シリンダ12Aに固定された上部軸受部17A、及びシリンダ12Bに固定された下部軸受部17Bにより、軸線O回りに回転可能に支持されている。図2に示すように、クランクシャフト16は、シャフト本体16Hと、第一ピストンロータ13Aがはめ込まれる第一クランク軸14Aと、第二ピストンロータ13Bがはめ込まれる第二クランク軸14Bと、上部シャフト16Aと、中間シャフト16Bと、下部シャフト16Cと、上部接触部30と、下部接触部40と、を有している。
【0032】
上部シャフト16Aは、軸線Oに沿って延びている。第一クランク軸14Aは、軸線O方向における上部シャフト16Aの一方側の端部に一体に設けられている。第一クランク軸14Aは、上述のように軸線Oに対する径方向に偏心するとともに、上部シャフト16Aよりも大きな径寸法を有する円盤状をなしている。第一クランク軸14Aは、上述の圧縮室R1内に収容される。中間シャフト16Bは、軸線Oに沿って延びるとともに、軸線O方向における第一クランク軸14Aの一方側に取り付けられている。中間シャフト16Bは、上記の上部シャフト16Aと同等の径寸法を有している。第一クランク軸14Aには第一ピストンロータ13Aが取り付けられている。第一ピストンロータ13Aは、第一クランク軸14Aを外周側から覆う円環状をなしている。軸線O方向における第一ピストンロータ13Aの寸法は、軸線O方向における第一クランク軸14Aの寸法よりも大きい。即ち、第一ピストンロータ13Aの軸線O方向他方側の端部は、第一クランク軸14Aの他方側の端面から軸線O方向に突出している。
【0033】
第二クランク軸14Bは、軸線O方向における中間シャフト16Bの一方側に設けられている。第二クランク軸14Bは、中間シャフト16Bよりも大きな径寸法を有するとともに、第一クランク軸14Aと同等の径寸法を有する円盤状をなしている。第二クランク軸14Bの外周面には、第二クランク軸14Bを外周側から覆う円環状の第二ピストンロータ13Bが取り付けられている。軸線O方向における第二ピストンロータ13Bの寸法は、軸線O方向における第二クランク軸14Bの寸法よりも大きい。即ち、第二ピストンロータ13Bの軸線O方向一方側の端部は、第二クランク軸14Bの一方側の端面から軸線O方向に突出している。下部シャフト16Cは、軸線Oに沿って延びるとともに、当該軸線O方向における第二クランク軸14Bの一方側に取り付けられている。下部シャフト16Cは、上記の上部シャフト16A、及び中間シャフト16Bと同一の径寸法を有している。
【0034】
上部シャフト16Aは、上部軸受部17Aから上方(すなわち、圧縮機構部10Aから見てモータ18が位置する方向)に突出している。上部シャフト16Aには、当該クランクシャフト16を回転駆動させるためのモータ18のロータ19Aが一体に設けられている。ロータ19Aの外周部に対向して、ステータ19Bが、ハウジング11の内周面に固定して設けられている。
【0035】
上部接触部30は、上述の上部軸受部17Aと潤滑油膜を介して摺接している。上部接触部30は、第一クランク軸14Aの軸線O方向他方側を向く面から、軸線O方向他方側に向かって突出している。上部接触部30の突出寸法(即ち、軸線O方向における寸法)は、上述の第一ピストンロータ13Aの第一クランク軸14Aに対する軸線O方向の突出寸法と同一である。上部接触部30は、軸線O方向から見て、第一クランク軸14Aよりも小さな面積を有している。さらに、図3に示すように、上部接触部30は、軸線O方向から見て、シャフト本体16Hと重複する扇形状をなしている。より具体的には、上部接触部30の軸線O方向他方側を向く面(上面30s)は、第一クランク軸14Aの外周面よりも径寸法の大きな円弧状の第一端面30aと、第一クランク軸14Aの外周面と同軸かつ同一の径寸法を有する第一外周面30bとによって画成されている。第一端面30aは、第一クランク軸14Aの中心付近を通るとともに、シャフト本体16Hから離間する方向に凸となる曲面状をなしている。シャフト本体16Hの外周面と上部接触部30の第一外周面30bとは一部で互いに接している。また、本実施形態では、第一端面30aは、軸線Oを含む断面視において、当該軸線Oと同一の方向に延びている(図2参照)。
【0036】
下部接触部40は、上述の下部軸受部17Bと潤滑油膜を介して摺接している。下部接触部40は、第二クランク軸14Bの軸線O方向一方側を向く面から、軸線O方向一方側に向かって突出している。下部接触部40の突出寸法(即ち、軸線O方向における寸法)は、上述の第二ピストンロータ13Bの第二クランク軸14Bに対する軸線O方向の突出寸法と同一である。下部接触部40は、軸線O方向から見て、第二クランク軸14Bよりも小さく、かつ上記の上部接触部30よりも大きな面積を有している。さらに、図3に示すように、下部接触部40は、軸線O方向から見て、シャフト本体16Hと重複する扇形状をなしている。より具体的には、下部接触部40の軸線O方向一方側を向く面(下面40s)は、第二クランク軸14Bの外周面よりも径寸法の大きな円弧状の第二端面40aと、第二クランク軸14Bの外周面と同軸かつ同一の径寸法を有する第二外周面40bとによって画成されている。第二端面40aは、第二クランク軸14Bの中心付近を通るとともに、シャフト本体16Hから離間する方向に凸となる曲面状をなしている。シャフト本体16Hの外周面と下部接触部40の第二外周面40bとは一部で互いに接している。また、本実施形態では、第二端面40aは、軸線Oを含む断面視において、当該軸線Oと同一の方向に延びている(図2参照)。さらに、軸線O方向から見て、下部接触部40の下面40sの面積は、上部接触部30の上面30sの面積よりも大きい。この構成により、軸線Oを中心として上部接触部30に働く遠心力が過度に増大することを防ぎつつ、下面40sの面積を可能な限り大きく確保されるため、振動や騒音に対するダンピング効果が高められる。また、第二端面40aと軸線Oとの間の距離は、第一端面30aと軸線Oとの間の距離よりも大きい。なお、第一外周面30bと第二外周面40bとは互いに同一の径寸法を有している。さらに、第一端面30aと第二端面30aはともに、第一外周面30b、及び第二外周面40bよりも曲率半径が大きい。即ち、上部接触部30、及び下部接触部40は、軸線O方向から見て、曲率半径の異なる2つの円弧によって形成された形状をなしている。また、第二端面40aの曲率半径は、第一端面30aの曲率半径よりも大きいため、上述のように、軸線O方向から見て、下部接触部40の下面40sの面積は、上部接触部30の上面30sの面積よりも大きくなっている。
【0037】
続いて、本実施形態に係る圧縮機100の動作について説明する。圧縮機100を運転するに当たっては、外部からの電力供給によってまずモータ18を駆動する。モータ18の駆動に伴って、クランクシャフト16が軸線O回りに回転する。クランクシャフト16の回転に伴って第一クランク軸14A、第二クランク軸14Bがクランクシャフト16の中心軸線(軸線O)回りに旋回する。この旋回に追従するようにして、第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bが圧縮室R1、R2内で偏心回転する。このとき、上部接触部30は上部軸受部17Aに対して潤滑油膜を介して摺接する。また、下部接触部40は下部軸受部17Bに対して潤滑油膜を介して摺接する。第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bの偏心回転によって、圧縮室R1、R2の容積が変化し、当該圧縮室R1、R2内に取り込まれた冷媒が圧縮される。圧縮された冷媒は、ハウジング11内の吐出空間Vを経て外部に取り出される。
【0038】
ここで、上記のような圧縮機100では、圧縮された冷媒がハウジング11内を下方から上方に向かって上昇する。これにより、クランクシャフト16には上方に向かう力が加えられる。この力に起因して、第一ピストンロータ13A、及び第二ピストンロータ13Bは第一クランク軸14A、及び第二クランク軸14Bにそれぞれ摺動することでその場に留まる一方で、第一クランク軸14A、及び第二クランク軸14Bは軸線O方向に変位する。その結果、上部軸受部17A、及び下部軸受部17Bに対して第一クランク軸14A、及び第二クランク軸14Bが断続的に接触することで、騒音や振動を生じる場合がある。そこで、上記のように第一クランク軸14Aと上部軸受部17Aとの間、及び第二クランク軸14Bと下部軸受部17Bとの間に潤滑油幕を介在させて、上部軸受部17Aに対する第一クランク軸14Aの変位、及び下部軸受部17Bに対する第二クランク軸14Bを減衰させる必要がある。潤滑油膜が形成される面積が大きいほど、より大きな減衰効果が得られる。つまり、第一クランク軸14A、及び第二クランク軸14Bの断面積が大きいほど、この減衰効果は大きくなる。しかしながら、断面積を大きくするほど、当該第一クランク軸14A、及び第二クランク軸14Bに働く遠心力も大きくなってしまう。その結果、損失が増大して圧縮機100の運転効率が低下してしまう可能性がある。
【0039】
そこで、本実施形態では、第一クランク軸14Aの軸線O方向他方側を向く面、及び第二クランク軸14Bの軸線O方向一方側を向く面にそれぞれ上部接触部30、及び下部接触部40が設けられている。これら上部接触部30、及び下部接触部40は、軸線O方向から見て第一クランク軸14A、又は第二クランク軸14Bよりも小さな面積を有している。したがって、例えばこれら上部接触部30、及び下部接触部40が第一クランク軸14A、又は第二クランク軸14Bと同等の面積を有している構成に比べて、シャフト本体16Hに働く遠心力を低減することができる。さらに、これら上部接触部30、及び下部接触部40は、軸線O方向から見てシャフト本体16Hよりも大きな径寸法を有していることから、例えば当該上部接触部30と上部軸受部17Aとの間、及び下部接触部40と下部軸受部17Bとの間に介在する潤滑油膜の面積をより大きく確保することができる。加えて、軸線O方向から見て、下部接触部40は上部接触部30よりも大きな面積を有することから、軸線O方向一方側に向かうクランクシャフト16自体の荷重をより安定的に受け止めることができる。その結果、クランクシャフト16の振動を低減できるとともに、遠心力による損失を低減し、圧縮機100の効率を向上させることができる。
【0040】
さらに、上記構成によれば、上部接触部30、及び下部接触部40が、軸線O方向から見てシャフト本体16Hと重複している。したがって、例えば上部接触部30、及び下部接触部40が、軸線O方向から見てシャフト本体16Hと離れた位置に設けられている構成に比べて、シャフト本体16Hに働く遠心力の大きさをより小さく抑えることができる。
【0041】
加えて、上記構成によれば、上部接触部30の第一端面30aが第一クランク軸14Aの外周面よりも大きな径寸法を有する円弧状をなしている。これにより、例えば当該第一端面30aが軸線O方向から見て直線状をなしている場合に比べて、シャフト本体16Hに働く遠心力の影響をより小さく抑えることができる。
【0042】
また、上記構成によれば、下部接触部40の第二端面40aが第一クランク軸14A、又は第二クランク軸14Bの外周面よりも大きな径寸法を有する円弧状をなしている。これにより、例えば当該第二端面40aが軸線O方向から見て直線状をなしている場合に比べて、シャフト本体16Hに働く遠心力の影響をより小さく抑えることができる。
【0043】
さらに、上記構成によれば、第一クランク軸14Aと第二クランク軸14Bとを備える二気筒の圧縮機100に対して、上記のクランクシャフト16を適用することができる。特に、上部接触部30は軸線O方向一方側の第一クランク軸14Aの上面30sに設けられ、下部接触部40は軸線O方向他方側の第二クランク軸の下面40sに設けられる。これにより、上部接触部30は第一クランク軸14Aと他の部材(上部軸受部17A)との間で生じる振動を潤滑油膜の作用によって減衰させる。下部接触部40は第二クランク軸14Bと他の部材(下部軸受部17B)との間で生じる振動を潤滑油膜の作用によって減衰させるとともに、軸線O方向一方側に向かうクランクシャフト自体の荷重を安定的に受け止めることができる。
【0044】
以上、本発明の第一実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0045】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、図5を参照して説明する。なお、上記の第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図5に示すように、本実施形態では、上部接触部30A、及び下部接触部40Aの構成が上記第一実施形態とは異なっている。
【0046】
具体的には、軸線Oを含む断面視において、上部接触部30Aの第一端面30a´は、軸線Oから離間するに従って、第一クランク軸14A側に向かって斜めに延びている。第一端面30a´は、上部接触部30Aにおける第一クランク軸14Aの偏心方向を向く面である。この第一端面30a´は、上部接触部30Aの上面30sに対して傾斜している。したがって、上述の上部軸受部17Aと第一端面30a´との間には、断面視においてくさび形の空間が形成される。
【0047】
また、軸線Oを含む断面視において、下部接触部40Aの第二端面40a´は、軸線Oから離間するに従って、第二クランク軸14B側に向かって斜めに延びている。第二端面40a´は、下部接触部40Aにおける第二クランク軸14Bの偏心方向を向く面である。この第二端面40a´は、下部接触部40Aの下面40sに対して傾斜している。したがって、上述の下部軸受部17Bと第二端面40a´との間には、断面視においてくさび形の空間が形成される。
【0048】
上記構成によれば、例えば第一端面30a´上に潤滑油を供給する場合、潤滑油は当該第一端面30a´に案内されることで、上部接触部30Aと上部軸受部17Aとの間に行き渡りやすくなる。また、第二端面40a´上に潤滑油を供給する場合、潤滑油は当該第二端面40a´に案内されることで、下部接触部40Aと下部軸受部17Bとの間に行き渡りやすくなる。その結果、上部接触部30Aと上部軸受部17Aとの間、及び下部接触部40Aと下部軸受部17Bとの間に潤滑油を十分に供給することができるため、当該潤滑油による上述の減衰効果をより効果的に発揮させることができる。これにより、圧縮機100の振動や騒音をより一層低減することができる。
【0049】
以上、本発明の第二実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。
【0050】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について、図6を参照して説明する。なお、上記の各実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図6に示すように、本実施形態では、クランクシャフト16が、上記の第二クランク軸14Bを備えず、一つの第一クランク軸14Aのみを備えている。つまり、このクランクシャフト16は、単気筒の圧縮機100に適用される。第一クランク軸14Aの軸線O方向他方側に上記と同様の上部接触部30Bが設けられ、軸線O方向一方側に上記と同様の下部接触部40Bが設けられている。上記の各実施形態と同様に、軸線O方向から見た場合の下部接触部40Bの面積は、上部接触部30Bの面積よりも大きい。この構成によれば、上記の第一実施形態で説明したものと同様の作用効果を、単気筒の圧縮機100においても得ることができる。
【0051】
以上、本発明の第三実施形態について説明した。なお、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、上記の構成に種々の変更や改修を施すことが可能である。例えば、第二実施形態で説明した第一端面30a´、及び第二端面40a´の構成を、第三実施形態における単気筒用のクランクシャフト16に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0052】
100・・・圧縮機
10・・・圧縮機本体
10A・・・圧縮機構部
11・・・ハウジング
12A、12B・・・シリンダ
13A・・・第一ピストンロータ
13B・・・第二ピストンロータ
14A・・・第一クランク軸
14B・・・第二クランク軸
16・・・クランクシャフト
16A・・・上部シャフト
16B・・・中間シャフト
16C・・・下部シャフト
17A・・・上部軸受部
17B・・・下部軸受部
18・・・モータ
19A・・・ロータ
19B・・・ステータ
22A、22B・・・開口
23A、23B・・・吸入ポート
24・・・アキュムレータ
25・・・ステー
26A、26B・・・吸入管
30,30A,30B・・・上部接触部
30a,30a´・・・第一端面
30b・・・第一外周面
30s・・・上面
40,40A,40B・・・下部接触部
40a,40a´・・・第二端面
40b・・・第二外周面
40s・・・下面
O・・・軸線
V・・・吐出空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6