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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/063 20060101AFI20230424BHJP
   B62D 49/00 20060101ALI20230424BHJP
   B60K 15/067 20060101ALI20230424BHJP
   B60K 37/00 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
B60K15/063 A
B62D49/00 Q
B60K15/067
B60K37/00 G
B60K37/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019110933
(22)【出願日】2019-06-14
(65)【公開番号】P2020203514
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100141298
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 文典
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】大茂 芳照
(72)【発明者】
【氏名】田中 隆浩
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-029126(JP,A)
【文献】特開2013-233874(JP,A)
【文献】特開平08-011556(JP,A)
【文献】特開2003-009608(JP,A)
【文献】特開2011-152889(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0075375(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/063
B62D 49/00
B60K 15/067
B60K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンネット内には、タンクフレームに支持された燃料タンクが配設され、
前記燃料タンクの後方側には、前記燃料タンクの後方側部位を覆う状態で、前記タンクフレームに取り付けられたダッシュボードが配設されており、
前記燃料タンクの前記後方側部位は、前記タンクフレームの後端よりも後方に突出している作業車両。
【請求項2】
前記タンクフレームは、前記燃料タンクの左右両側部に沿って上下方向に延びる左右一対の側部フレーム部位が左右方向で最も外方側に配設され、
前記左右一対の側部フレーム部位は、平面視において、左右方向で前記燃料タンクの左右両側部よりも機体の内方側又は前記燃料タンクの左右両側部と略同一位置に配設されている請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記燃料タンクは、樹脂製に構成され、且つ、その一部が被覆部材にて覆われており、
前記燃料タンクにおいて前記被覆部材にて覆われていない部位には、断熱材が配設されている請求項1又は2に記載の作業車両。
【請求項4】
運転席に着座する運転者からの視認可能範囲において、前記ダッシュボードの外方側端部が、ステアリングホイールの外方側端部に近接する状態で、ステアリングホイールの外方側端部の形状に沿うように備えられている請求項1~3の何れか1項に記載の作業車両。
【請求項5】
前記タンクフレームに取り付けられたアクセルレバーが備えられている請求項1~4の何れか1項に記載の作業車両。
【請求項6】
前記アクセルレバーは、その先端側が左右方向で機体の外方側に屈曲する形状に形成され、且つ、その先端側が左右方向で前記ダッシュボードの外方側端部よりも機体の外方側に位置する状態で配設されている請求項5に記載の作業車両。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクとダッシュボードとが備えられた作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の作業車両では、ダッシュボードが、燃料タンクの後方側に配設され、燃料タンクが、その前方側部位をボンネットの後部に延設させ、且つ、その後方側部位をダッシュボードの前部に延設させる状態で備えられている(例えば、特許文献1参照。)
【0003】
特許文献1に記載の作業車両では、ダッシュボードを燃料タンクの後方側に取り付けるに当たり、燃料タンクの後部を覆う燃料タンクカバーが備えられ、その燃料タンクカバーにダッシュボードが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6386979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の作業車両では、ダッシュボードを取り付けるために、燃料タンクの後部を覆う燃料タンクカバーを備えているので、ダッシュボードの大型化や機体の前後長が長くなることが考えられ、この点で改善の余地があった。
【0006】
燃料タンクカバーを備えることで、ダッシュボードは、その燃料タンクカバーを覆うだけの大きさが必要となるので、ダッシュボードの大型化を招くことになる。また、燃料タンクカバーを備えることで、それだけダッシュボートの位置が後方側となるので、機体の前後長が長くなる。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、ダッシュボードの小型化を図りながら、機体の前後長を極力短くすることができ、コンパクトな作業車両を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、ボンネット内には、タンクフレームに支持された燃料タンクが配設され、
前記燃料タンクの後方側には、前記燃料タンクの後方側部位を覆う状態で、前記タンクフレームに取り付けられたダッシュボードが配設されている点にある。
【0009】
本構成によれば、ダッシュボートは、タンクフレームに取り付けられ、燃料タンクの後方側部位を覆う状態で燃料タンクの後方側に配設されているので、ダッシュボードと燃料タンクとの間に別の部材を介在させることなく、燃料タンクとダッシュボードとを隙間無く取り付けることができる。よって、ダッシュボードとしては、燃料タンクを覆うだけの大きさを備えていればよく、ダッシュボードの小型化を図ることができるので、機体の前後長を極力短くすることができ、コンパクトな作業車両を提供することができる。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、前記タンクフレームは、前記燃料タンクの左右両側部に沿って上下方向に延びる左右一対の側部フレーム部位が左右方向で最も外方側に配設され、
前記左右一対の側部フレーム部位は、平面視において、左右方向で前記燃料タンクの左右両側部よりも機体の内方側又は前記燃料タンクの左右両側部と略同一位置に配設されている点にある。
【0011】
本構成によれば、タンクフレームにおける側部フレーム部位が、左右方向で最も外方側に配設されているので、ダッシュボードとしては、左右方向でその側部フレーム部位を覆うだけの大きさが必要となる。しかしながら、側部フレーム部位は、平面視において、左右方向で燃料タンクの左右両側部よりも機体の内方側又は燃料タンクの左右両側部と略同一位置に配設されているので、側部フレーム部位を、左右方向で極力内方側に配設させることができる。よって、側部フレーム部位を覆うダッシュボードは、左右方向での大きさを極力小さく抑えることができ、左右方向でのダッシュボードの小型化を図ることができる。
【0012】
本発明の第3特徴構成は、前記燃料タンクは、樹脂製に構成され、且つ、その一部が被覆部材にて覆われており、
前記燃料タンクにおいて前記被覆部材にて覆われていない部位には、断熱材が配設されている点にある。
【0013】
燃料タンクの燃料容量の増大を図るために、燃料タンクの厚みの薄肉化を図ることが考えられる。しかしながら、燃料タンクの厚みを薄肉とすると、燃料タンクの耐火性が低下することが考えられる。そこで、本構成によれば、燃料タンクに断熱材を配設することで、耐火性の向上を図り、燃料タンクの厚みの薄肉化を図って、燃料容量の増大を図ることができる。
【0014】
断熱材を配設するに当たり、燃料タンクの全体に対して配設するのではなく、燃料タンクの一部が被覆部材にて覆われているので、燃料タンクにおいて被覆部材にて覆われていない部位に断熱材を配設している。これにより、断熱材を配設する部位をできるだけ小さくして、構成の簡素化及びコストの低減を図ることができる。
【0015】
本発明の第4特徴構成は、運転席に着座する運転者からの視認可能範囲において、前記ダッシュボードの外方側端部が、ステアリングホイールの外方側端部に近接する状態で、ステアリングホイールの外方側端部の形状に沿うように備えられている点にある。
【0016】
本構成によれば、運転者の視認可能範囲において、ダッシュボードの外方側端部が、ステアリングホイールの外方側端部に近接する状態で、ステアリングホイールの外方側端部の形状に沿うので、ステアリングホイールよりも外方側にてダッシュボードにて遮られる範囲を極力小さくすることができ、運転者の視認性の向上を図ることができる。
【0017】
本発明の第5特徴構成は、前記タンクフレームに取り付けられたアクセルレバーが備えられている点にある。
【0018】
本構成によれば、タンクフレームには、アクセルレバーが取り付けられているので、アクセルレバーを支持するための構成を別途備える必要がなく、構成の簡素化を図ることができる。
【0019】
本発明の第6特徴構成は、前記アクセルレバーは、その先端側が左右方向で機体の外方側に屈曲する形状に形成され、且つ、その先端側が左右方向で前記ダッシュボードの外方側端部よりも機体の外方側に位置する状態で配設されている点にある。
【0020】
本構成によれば、アクセルレバーの先端側は、機体の外方側に屈曲されており、左右方向でダッシュボードの外方側端部よりも機体の外方側に位置している。これにより、運転者がアクセルレバーを操作する際に、ダッシュボード等が邪魔になることがなく、アクセルレバーの操作性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】トラクタの全体概略側面図
図2】エンジンルーム及び燃料タンクを示す斜視図
図3】エンジンルーム及び燃料タンクを示す側面図
図4】遮熱体及び揺動支持体を示す斜視図
図5】遮熱体及び揺動支持体の分解斜視図
図6】揺動支持体カバー部の取付状態を示す図
図7】揺動支持体カバー部の取り外し状態を示す図
図8】燃料タンク及びタンクフレームの斜視図
図9】燃料タンク及びタンクフレームの平面図
図10】燃料タンク及びタンクフレームの側面図
図11】タンクフレームを示す斜視図
図12】タンクフレームに対してダッシュボードを取り付けるときの状態を示す図
図13】タンクフレームにダッシュボードを取り付けた状態を示す図
図14】タンクフレームと燃料タンクとの取付状態を示す図
図15】タンクフレームに対するアクセルレバーの取付状態を示す図
図16】運転席に着座した運転者の前方側の視認可能範囲を示す図
図17】センターマーク部を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る作業車両の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、作業車両としてトラクタ1を適用しているが、トラクタ以外の、乗用田植機、コンバイン、乗用草刈機、ホイールローダ等の各種の作業車両を適用することができる。
【0023】
トラクタ1は、図1に示すように、機体(車体)2と、駆動可能な操舵輪として機能する左右の前輪3と、駆動可能な左右の後輪4とが備えられている。機体2は、前部フレーム5、クラッチハウジング6やミッションケース7等を一体的に連結して前後方向に延びるように構成され、左右の前輪3及び後輪4にて支持されている。エンジン8からの動力は、クラッチハウジング6内の主クラッチ等を介してミッションケース7内の変速装置等に伝達され、ミッションケース7内の変速装置等により変速された変速後の動力が、前輪3や後輪4に伝達されている。
【0024】
機体2の前方側には、エンジン8(図2及び図3参照)等を収納するボンネット9が備えられ、ボンネット9の後方で機体2の前後方向の中間部には、ダッシュボード81、ステアリングホイール11及び運転席12等を有する操縦部10が備えられている。操縦部10は、防振部材を介して機体2に防振支持されている。
【0025】
ボンネット9は、その下方側及び後方側を開放する状態で、前方側、左右方向の両側、及び、上方側を覆う箱状に形成され、その内部にエンジン8等を収納させるエンジンルーム21(図2及び図3参照)が形成されている。ボンネット9は、その後端部を支点として、上下方向に揺動自在であり、エンジンルーム21を閉塞する状態(図1の実線にて示す状態)とエンジンルーム21を開放する状態(図1の一点鎖線にて示す状態)とに切替自在に構成されている。
【0026】
ボンネット9内のエンジンルーム21には、図2及び図3に示すように、機体2の前後方向の前方側から、バッテリ23、ラジエータ24、冷却ファンの外周を覆うファンシュラウド25、エンジン8が備えられている。バッテリ23、ラジエータ24、ファンシュラウド25、及び、エンジン8は、左右一対の前部フレーム5に支持されており、エンジン8は、前部フレーム5に固定支持されている。前部フレーム5の前方側端部には、エンジンルーム21を閉塞する状態にボンネット9をロックするロック機構22が備えられている。
【0027】
図3に示すように、エンジン8の右側上部には、吸気パイプ26にて吸気される空気の異物を除去するエアクリーナ27が備えられている。吸気パイプ26は、ファンシュラウド25よりも前方側に延びる姿勢で備えられ、吸気した空気をエアクリーナ27を介してエンジン8に供給している。エンジン8の左側には、マフラー28が備えられ、マフラー28から排気パイプ29が前方下方側に延びる姿勢で備えられ、エンジン8からの排気ガスを、機体2の左前方下方側に排気している。
【0028】
ボンネット9内のエンジンルーム21には、図2及び図3に示すように、エンジン8の後方側に燃料タンク30が配設されている。燃料タンク30は、樹脂製に構成され、上方側部位30aが下方側部位30bよりも前方側に延設されており、側面視で上下逆のL字状に形成されている。燃料タンク30は、上方側部位30aがエンジン8の上方に位置する状態で、エンジン8の後方側に配設されている。燃料タンク30は、エンジン8の上方に位置する上方側部位30aを備えることで、燃料タンク30の容量を大きくしている。燃料タンク30の右上方側には、燃料タンク30への供給口31が備えられ、その供給口31を開閉自在な供給口キャップ32が取り付けられている。
【0029】
ボンネット9内のエンジンルーム21には、図2及び図3に示すように、エンジン8と燃料タンク30との間を遮蔽する遮熱体40が備えられている。遮熱体40は、エンジン8に支持された状態で、エンジン8と燃料タンク30(エンジン8よりも後方側空間)との間を遮蔽することで、エンジン8からの熱がエンジン8よりも後方側に移動するのを防止している。
【0030】
図2及び図3に加えて、遮熱体40の斜視図を示す図4、及び、遮熱体40の分解斜視図を示す図5に示すように、遮熱体40は、エンジン8に取り付けられて支持される支持部41と、エンジンルーム21(ボンネット9内)の左側において上下方向に延びる左側部延設部42と、エンジンルーム21の右側において上下方向に延びる右側部延設部43と、左側部延設部42と右側部延設部43との間を閉塞する中央閉塞部44とが備えられている。
【0031】
支持部41は、図5に示すように、左右方向に延びる板状体にて構成され、締結具Bを用いて、エンジン8の後方側端部に連結固定されている。支持部41は、上端部、左端部、及び、右端部の夫々から後方側に延びる後方延設部位41a,41b,41cが備えられている。左側部延設部42は、上方側ほど前方側に位置する傾斜姿勢で上下方向に延びる板状体にて構成されている。右側部延設部43も、左側部延設部42と同様に、上方側ほど前方側に位置する傾斜姿勢で上下方向に延びる板状体にて構成され、その上端部から前方側に延びる前方延設部位43aが備えられている。
【0032】
中央閉塞部44は、図5に示すように、板状体を折り曲げて形成された屈曲状に形成されている。中央閉塞部44は、上方側ほど前方側に位置する傾斜姿勢で左右方向に延びる第1閉塞部位44aと、第1閉塞部位44aの上端部から前方側に折り曲げて延びる第2閉塞部位44bと、第2閉塞部位44bの前端部から上方側に折り曲げて延びる第3閉塞部位44cと、第3閉塞部位44cの左端部から後方側に折り曲げて延びる第4閉塞部位44dとが備えられている。
【0033】
中央閉塞部44における第1閉塞部位44aは、図3に示すように、エンジン8の後方側と燃料タンク30の下方側部位30bの前面部との間を遮蔽するように配設されている。左側部延設部42及び右側部延設部43(図5参照)は、燃料タンク30の下方側部位30bの左右両側部とそれよりも左右方向の外方側との間を遮蔽するように配設されている。これにより、遮熱体40において、中央閉塞部44における第1閉塞部位44a、左側部延設部42及び右側部延設部43が、エンジン8と燃料タンク30の下方側部位30bとの間を遮蔽する下方側遮蔽部位を構成している。
【0034】
中央閉塞部44における第2閉塞部位44bは、図3に示すように、エンジン8の上方側と燃料タンク30の上方側部位30aの下端部との間を遮蔽するように配設されている。中央閉塞部44における第3閉塞部位44cは、燃料タンク30の上方側部位30aの前端部とそれよりも前方側との間を遮蔽するように配設されている。中央閉塞部44における第4閉塞部位44d、左側部延設部42及び右側部延設部43(図5参照)は、燃料タンク30の上方側部位30aの左右両側部とそれよりも左右方向の外方側との間を遮蔽するように配設されている。これにより、遮熱体40において、中央閉塞部44における第2閉塞部位44b、中央閉塞部44における第3閉塞部位44c、中央閉塞部44における第4閉塞部位44d、及び、右側部延設部43における前方延設部位43aが、エンジン8と燃料タンク30の上方側部位30aとの間を遮蔽する上方側遮蔽部位を構成している。
【0035】
このように、燃料タンク30の容量を大きくするために、エンジン8の上方側に配置される上方側部位30aを備えても、その上方側部位30aだけでなく、下方側部位30bについても、エンジン8との間を遮熱体40にて遮蔽することができる。よって、エンジン8の熱がエンジン8よりも後方側空間に移動するのを遮熱体40にて適切に防止することができる。
【0036】
遮熱体40は、エンジン8の後部に連結支持されているので、エンジン8と遮熱体40とが一体的に振動する。よって、遮熱体40と燃料タンク30との間での干渉を防止するための空間Eが設けられている。ちなみに、燃料タンク30の一部が遮熱体40と対向する状態で覆われているが、燃料タンク30において遮熱体40にて覆われた全ての部位に空間Eが設けられている。遮熱体40と燃料タンク30との間に空間Eを設けることで、遮熱体40と燃料タンク30との間に伝熱を防止するための空気層を形成することができる。よって、遮熱体40を備えるだけでなく、空気層の断熱効果を得ることができ、エンジン8の熱が燃料タンク30等のエンジン8よりも後方側空間に配置される機器に伝達されるのを適切に防止することができる。
【0037】
このように、遮熱体40と燃料タンク30との間に設ける空間Eによって、干渉の防止と伝熱防止との両方の機能を発揮することができるので、別途、干渉を防止するための専用空間や、伝熱を防止するための空気層を形成するための専用空間を個別に設けなくもよい。よって、前後方向において、燃料タンク30やダッシュボード81等のエンジン8よりも後方側に配置される部材(操縦部側の部材)を、極力前方側に配置させることができるので、トラクタ1の機体2の前後長を短くすることができ、トラクタ1のコンパクト化を図ることができる。
【0038】
遮熱体40において、図5に示すように、左側部延設部42と中央閉塞部44とは、溶接等により連結されており、一体的に備えられている。これにより、遮熱体40は、支持部41と、左側部延設部42及び中央閉塞部44の一体物と、右側部延設部43とが別体にて構成されている。左側部延設部42及び中央閉塞部44の一体物と支持部41とは、図4及び図5に示すように、左側部延設部42の下端部が支持部41における左端部の後方延設部位41bにボルトナット等の締結具Bにて連結されている。右側部延設部43と支持部41とは、右側部延設部43の下端部が支持部41における右端部の後方延設部位41cに締結具Bにて連結されている。左側部延設部42及び中央閉塞部44の一体物と右側部延設部43とは、中央閉塞部44における第3閉塞部位44cの右側端部と右側部延設部43における前方延設部位43aの前端部とが締結具Bにより連結され、且つ、中央閉塞部44における第2閉塞部位44bの右側端部と右側部延設部43の上下中間部とが締結具Bにより連結されている。
【0039】
このように、遮熱体40は、左側部延設部42及び中央閉塞部44の一体物と、右側部延設部43とが別体にて構成されていることから、左側分割体と右側分割体とに左右方向に分割自在に構成されている。左側分割体が、左側部延設部42及び中央閉塞部44の一体物から構成され、右側分割体が、右側部延設部43から構成されている。左側部延設部42及び中央閉塞部44の一体物と右側部延設部43との締結具Bによる連結箇所は、遮熱体40の左右方向の端部(右端部)であるので、エンジンルーム21(ボンネット9内)においても、左右方向の端部(右端部)となっている。これにより、燃料タンク30を先に取り付けた状態であっても、支持部41をエンジン8に連結し、左右方向に分割された左側部延設部42及び中央閉塞部44の一体物と右側部延設部43とを支持部41に連結し、左側部延設部42及び中央閉塞部44の一体物と右側部延設部43とを連結することができる。よって、燃料タンク30を先に取り付けた状態において、左側分割体と右側分割体とに分割された遮熱体40を左右方向の端部にて連結して、遮熱体40を後付けすることができる。
【0040】
遮熱体40は、図4及び図5に示すように、エンジン8と燃料タンク30との間を遮蔽するための部材を備えるだけでなく、遮熱体40から前方側に延びる支持フレーム50と、ボンネット9を上下方向に揺動自在に支持するための揺動支持体51とが備えられている。
【0041】
支持フレーム50は、その後端部が中央閉塞部44の第3閉塞部位44cに締結具Bにより連結されており、前方側に延びる姿勢にて備えられている。支持フレーム50の前端部は、図2及び図3に示すように、ファンシュラウド25の上端部に締結具Bにより連結され、ファンシュラウド25を支持している。
【0042】
支持フレーム50の前後方向の中間部には、図2及び図3に示すように、エンジンルーム21を開放状態に維持する状態でボンネット9を支持するためのダンパー52の前端部が枢支連結されている。ちなみに、図示は省略するが、ダンパー52の後端部は、ボンネット9側に枢支連結されており、図1の一点鎖線にて示すように、ボンネット9を開放状態とした場合に、ダンパー52が突っ張り作用を発揮することで、ボンネット9が開放状態に維持されている。
【0043】
揺動支持体51は、図4及び図5に示すように、左右方向に延びる状態で遮熱体40における左側部延設部42と右側部延設部43とに亘る状態で連結された第1揺動支持体53と、前後方向に延びる第2揺動支持体54と、ボンネット9に連結されてボンネット9を上下方向に揺動させるためのヒンジ部55とが備えられている。
【0044】
第1揺動支持体53は、図4及び図5に示すように、遮熱体40において左側部延設部42の上端部と右側部延設部43の上端部とに亘るブリッジ状の板状体にて構成されている。第1揺動支持体53の左側端部が左側部延設部42の上端部に締結具Bにより連結され、且つ、第1揺動支持体53の右側端部が右側部延設部43の上端部に締結具Bにより連結されている。第1揺動支持体53の左右方向の中央部には、下方側に凹入させた凹部53aが形成されている。
【0045】
第2揺動支持体54は、図4及び図5に示すように、その後端部が第1揺動支持体53の凹部53aに溶接等により連結されている。よって、第1揺動支持体53と第2揺動支持体54とは一体的に備えられている。第2揺動支持体54の前端部が、中央閉塞部44の第3閉塞部位44cに締結具Bによる支持フレーム50の後端部との共締めにて連結されている。中央閉塞部44における第3閉塞部位44cの中央部には、ダンパー52を前後方向に沿う姿勢で配置させるための切欠部56が形成されている。
【0046】
第2揺動支持体54の後端部には、図5に示すように、ヒンジ部55を取り付けるための取付部57が備えられ、ヒンジ部55は、取付部57に対して締結具Bにより連結自在に構成されている。ヒンジ部55は、取付部57に対して、位置及び角度を調整自在に連結されている。例えば、締結用の孔部を締結用のボルトよりも大径としたり、締結用の孔部を長孔状とすることで、ヒンジ部55を取付部57に対して位置及び角度を調整自在に連結している。ヒンジ部55は、ボンネット9の後端部において、ボンネット9に連結されている。これにより、取付部57に対してヒンジ部55の位置及び角度を調整することで、ボンネット9の取付位置及び取付角度を調整することができる。
【0047】
ヒンジ部55は、図4及び図5に示すように、遮熱体40に連結される遮熱体側ヒンジ部58と、ボンネット9側に連結されるボンネット側ヒンジ部59(図4では点線にて示している)とが備えられている。遮熱体側ヒンジ部58とボンネット側ヒンジ部59との間で左右方向に沿う軸心周りで揺動自在とすることで、ボンネット9を上下方向に揺動自在に支持している。遮熱体側ヒンジ部58は、左右方向の両端側に上方側に突出する突出部位60が備えられ、突出部位60には、後方側ほど上方側に位置する溝部61が形成されている。ボンネット側ヒンジ部59は、左右方向に沿う揺動軸部62が備えられている。ボンネット9を取り付ける場合には、ボンネット側ヒンジ部59の揺動軸部62を、遮熱体側ヒンジ部58における左右の溝部61に亘って係合させることで、ボンネット側ヒンジ部59が、遮熱体側ヒンジ部58に対して揺動軸部62周りで揺動自在に連結され、ボンネット9を上下方向に揺動自在に支持することができる。
【0048】
このように、遮熱体40は、エンジン8と燃料タンク30との間を遮蔽する機能だけでなく、ファンシュラウド25を支持する機能、ボンネット9を開放状態に保持するためのダンパー52を支持する機能、及び、ボンネット9を揺動自在に支持するための機能が備えられている。
【0049】
遮熱体40の揺動支持体51にてボンネット9を揺動自在に支持するに当たり、図4及び図5に示すように、遮熱体40における左側部延設部42及び右側部延設部43が、遮熱体40における中央閉塞部44よりも板厚の大きな板状体を用いており、中央閉塞部44よりも高い剛性を有している。揺動支持体51における第1揺動支持体53が、左側部延設部42及び右側部延設部43に連結されているので、左側部延設部42及び右側部延設部43の剛性を向上させることで、ボンネット9を揺動させる際の支持強度を向上させることができる。また、中央閉塞部44は、板状体を折り曲げた屈曲形状に形成されているので、この屈曲形状による面剛性の向上を図ることができ、この点からも、ボンネット9を揺動させる際の支持強度を向上させることができる。板厚の大きな板状体を用いるのは、左側部延設部42及び右側部延設部43だけでなく、支持部41についても板厚の大きな板状体を用いており、エンジン8による遮熱体40の支持強度の向上を図っている。
【0050】
上述の如く、ボンネット9を取り付けるに当たり、取付部57に対するヒンジ部55の連結位置を調整することで、ボンネット9の取付位置及び取付角度を調整自在に構成されている。このように、ボンネット9を取り付けるときだけでなく、揺動支持体51にてボンネット9を揺動自在に支持させて、ボンネット9を既に取り付けた取付状態においても、ボンネット9の取付位置及び取付角度の調整を行えるように構成されている。
【0051】
揺動支持体51にてボンネット9を揺動自在に支持させて、ボンネット9を取り付けた取付状態において、揺動支持体51を覆う被覆状態とする取付状態(図6図13参照)と、揺動支持体51を開放させる開放状態とする取り外し状態(図7参照)とに着脱自在な揺動支持体カバー部63が備えられている。図6は、揺動支持体カバー部63を取付状態とした平面図を示しており、図7は、揺動支持体カバー部63を取り外し状態とした平面図を示している。
【0052】
遮熱体側ヒンジ部58の突出部位60には、図4及び図5に示すように、その上端部にカバー部取付部64が備えられている。カバー部取付部64は、左右方向に延びる板状体にて構成され、その左右方向の両端部にビス等の取付具C用の取付孔部65が形成されている。揺動支持体カバー部63は、図6に示すように、左右方向に延びる形状に形成され、取付部57に対するヒンジ部55の連結箇所を覆うだけの大きさを有している。揺動支持体カバー部63を、取付部57に対するヒンジ部55の連結箇所を含むヒンジ部55の一部を覆う状態に位置させて、取付具Cを取付孔部65に挿入させることで、ヒンジ部55の一部を覆う状態に揺動支持体カバー部63を取り付けることができる。それに対して、取付具Cを取付孔部65から取り外して揺動支持体カバー部63を取り外すことで、取付部57に対するヒンジ部55の連結箇所を含むヒンジ部55の一部を開放させることができる。揺動支持体カバー部63を取り外した状態では、取付部57に対して既に取り付けたヒンジ部55の連結箇所が開放されているので、取付部57に対するヒンジ部55の連結位置を調整して、ボンネット9の取付位置及び取付角度の調整を行うことができる。
【0053】
燃料タンク30は、図8及び図11に示すように、タンクフレーム71にて支持されており、タンクフレーム71が、操縦部10(図1参照)におけるフロアフレームに連結されて上下方向に延びる起立状態で、燃料タンク30の後方側に配設されている。タンクフレーム71は、上下方向に延びる板状の第1フレーム72と、第1フレーム72の後方側に配設された板状の第2フレーム73と、第2フレーム73の上方側に配設されたパイプ状の第3フレーム74と、タンクフレーム71において上下方向の中間位置に配設された板状の第4フレーム75とが備えられている。
【0054】
第1フレーム72は、図8及び図11に示すように、その下端部がフロアフレームに連結され、左右方向の中央部及び下方側が開口されたブリッジ状に形成されている。第2フレーム73は、第1フレーム72における開口の周囲から後方側に延びる姿勢にて備えられ、ステアリングホイール11(図1参照)を支持するように構成されている。
【0055】
第3フレーム74は、パイプを折り曲げて形成された屈曲状に構成されている。第3フレーム74は、上方側に延びる左右一対の側部フレーム部位74aと、左右一対の側部フレーム部位74aの上端部同士を連結する上部フレーム部位74bとが備えられている。側部フレーム部位74aは、図10に示すように、下方側から、上方側ほど後方側に位置するように後方側に傾斜した後、上方側ほど前方側に位置する前方側に傾斜する屈曲状に形成されている。上部フレーム部位74bは、図8及び図11に示すように、左右方向に沿って延びる直線状に形成されている。
【0056】
第4フレーム75は、図8及び図11に示すように、上下方向において、第1フレーム72の上端部よりも上方側で、且つ、第3フレーム74の下方側部位に相当する位置に配設されている。第4フレーム75は、第3フレーム74における左右一対の側部フレーム部位74aに亘る状態で、前後方向及び左右方向に延びる姿勢で備えられている。
【0057】
燃料タンク30は、図8及び図11に示すように、第3フレーム74及び第4フレーム75にて囲まれた空間に配設されている。燃料タンク30は、第3フレーム74及び第4フレーム75に取り付けられた状態で、タンクフレーム71に支持されている。第3フレーム74における上部フレーム部位74bには、左右一対の第1取付部D1が備えられている。図9及び図14に示すように、燃料タンク30側のタンク側取付部33と第1取付部D1とを締結具Bにより連結することで、燃料タンク30の上部が第3フレーム74に取り付けられている。タンク側取付部33と第1取付部D1との間に弾性体等の防振材Aが介在されており、燃料タンク30が第3フレーム74にて防振支持されている。第4フレーム75は、図8及び図10に示すように、燃料タンク30の下端部に対向する状態で備えられており、燃料タンク30の下端部を受け止め支持する状態で燃料タンク30の下端部に取り付けられている。図示は省略するが、燃料タンク30の下端部と第4フレーム75との間にも防振材が介在されており、燃料タンク30が第4フレーム75にて防振支持されている。
【0058】
このように、燃料タンク30は、タンクフレーム71に防振支持されているが、タンクフレーム71は、燃料タンク30を支持する機能だけでなく、操縦部10におけるダッシュボード81(図1参照)を支持する機能が備えられている。
【0059】
ダッシュボード81は、図13に示すように、中央部82と左側部83と右側部84との3つの部材を組み合わせて構成されている。ダッシュボード81の中央部82には、メーターパネル85が備えられ、ダッシュボード81の右側部84には、アクセルレバー91、及び、キースイッチ100が備えられている。
【0060】
ダッシュボード81は、図12及び図13に示すように、タンクフレーム71に取り付けられ、燃料タンク30の後方側に配設されている。燃料タンク30は、図10に示すように、後方側に延出された後方側部位30cが備えられており、燃料タンク30の後方側部位30cがダッシュボード81にて覆われている。ダッシュボード81は、図12の一点鎖線にて示すように、タンクフレーム71における第3フレーム74に取り付けられている。
【0061】
第3フレーム74には、図11及び図12に示すように、上方側から順に、左右一対の第2取付部D2、左右一対の第3取付部D3、左右一対の第4取付部D4、左右一対の第5取付部D5が備えられている。第2取付部D2は、第3フレーム74における上部フレーム部位74bの中央部から上方側に延出する上方側延出部D2aに連結された左右延出部D2bの左右両端部に備えられている。第3取付部D3は、第3フレーム74における上部フレーム部位74bの第1取付部D1から左右方向の外方側に延びる姿勢で備えられている。第4取付部D4は、第3フレーム74における側部フレーム部位74aの中間部から上方側に延びる姿勢で備えられている。第5取付部D5は、第3フレーム74における側部フレーム部位74aの下方側部位から前方側に延びる姿勢で備えられている。
【0062】
これにより、図12の一点鎖線にて示すように、ダッシュボード81に備えられたダッシュボード側取付部86を、締結具Bや取付具Cを用いて、第2~第5取付部D2~D5の夫々に対して取り付けることで、ダッシュボード81を、タンクフレーム71における第3フレーム74に取り付けている。
【0063】
このように、燃料タンク30とダッシュボード81との間に別の部材を介在させることなく、燃料タンク30の後方側部位30cを覆うように燃料タンク30の後方側にダッシュボード81を隙間なく取り付けることができる。よって、ダッシュボード81の配置位置を極力前方側としながら、前後方向でダッシュボード81のコンパクト化を図ることができる。
【0064】
ダッシュボード81を取り付ける対象のフレームが、第3フレーム74となっており、ダッシュボード81が、燃料タンク30の左右両側を覆うとともに、第3フレーム74も左右両側から覆う状態で取り付けられている。よって、第3フレーム74の配設位置が、左右方向で機体2の内方側にあるほど、ダッシュボード81の左右方向での大きさを小さくすることができる。
【0065】
燃料タンク30は、左右方向でボンネット9内のエンジンルーム21の全長に亘る状態で備えられ、その燃料容量の大容量化が図られている。図8及び図9に示すように、燃料タンク30の左側部及び右側部は、面一の面状ではなく、凹凸を有する形状に形成されている。第3フレーム74は、燃料タンク30の左側部、上面部、右側部に沿う姿勢で、燃料タンク30を覆う状態で備えられている。第3フレーム74における左右一対の側部フレーム部位74aが、燃料タンク30の左右両側部に沿って上下方向に延びる状態で、図9に示すように、タンクフレーム71において左右方向で最も外方側に配設されている。左右一対の側部フレーム部位74aは、燃料タンク30の左右両側部において、凹凸形状の凹部に相当する箇所に配設されている。これにより、左右一対の側部フレーム部位74aは、図9に示すように、平面視において、燃料タンク30の左右両側部30dよりも機体2の内方側又は燃料タンク30の左右両側部30dと略同一位置に配設されている。よって、左右一対の側部フレーム部位74aを左右方向で機体2の内方側に配設させることができ、ダッシュボード81の左右方向での大きさを小さくすることができる。
【0066】
このように、ダッシュボード81の左右方向での大きさを小さくすることで、図16に示すように、運転席12(図1参照)に着座する運転者からの前方側での視認可能範囲において、左右方向でダッシュボード81の外方側への突出量が小さくなり、運転者の視認性を向上させることができる。ダッシュボード81は、その外周部の形状が角部が極力存在しない湾曲形状に形成されている。しかも、ダッシュボード81は、左右方向での大きさを小さくするだけでなく、ダッシュボード81の外方側端部81aが、ステアリングホイール11の外方側端部に近接する状態で、ステアリングホイール11の外方側端部の形状に沿うように備えられている。ダッシュボード81のコンパクト化を図ることにより、運転席12に着座する運転者からの視認可能範囲において、ボンネット9の後端部9aが、ステアリングホイール11の外方側端部に接近して近接位置する状態となっている。このようにして、運転席12に着座する運転者からの視認可能範囲において、ダッシュボード81及びボンネット9にて遮られる範囲をより小さくすることができ、運転者の視認性を向上させることができる。
【0067】
燃料タンク30は、図10に示すように、上方側部位30aと下方側部位30bとに加えて、後方側に膨出する後方側部位21cを有している。これにより、燃料タンク30の燃料容量の大容量化を図っている。更に、燃料容量を大きくするために、樹脂製の燃料タンク30の肉厚を極力薄くすることが考えられる。しかしながら、燃料タンク30の肉厚を薄くすると、燃料タンク30の耐火性が低下することが考えられる。そこで、燃料タンク30の薄肉化を図り、更なる燃料容量の増大を図りながら、耐火性の低下を防止するために、燃料タンク30に断熱材34(図10においてグレーにて示す)を配設している。
【0068】
燃料タンク30は、後方側部位30cがダッシュボード81に覆われており、上方側部位30a及び下方側部位30bの一部(例えば、前方側)が、遮熱体40にて覆われている。燃料タンク30の一部は、ダッシュボード81や遮熱体40等の被覆部材にて覆われているものの、それ以外の部分が被覆部材にて覆われていない。そこで、燃料タンク30においてダッシュボード81や遮熱体40等の被覆部材にて覆われていない部位には、断熱材34が配設されている。例えば、ダッシュボード81や遮熱体40等の被覆部材にて覆われていない部位での燃料容量がQであれば、燃料容量がQ/2以上となる部位(図10においてグレーにて示す領域)に断熱材34を配設している。また、エンジン8に近い燃料タンク30の前方側領域や下方側領域等、火が回り込み易い領域に断熱材34を配設している。これにより、断熱材34を配設する領域が無駄に大きくなるのを防止しながら、燃料タンク30の耐火性の向上を図っている。
【0069】
タンクフレーム71には、図11図13に示すように、燃料タンク30を支持する機能に加えて、ダッシュボード81を支持する機能を備えているが、更に、アクセルレバー91を支持する機能も備えられている。
【0070】
第3フレーム74には、図11に示すように、左右一対の側部フレーム部位74aの夫々において、上下方向の中間部に上下方向に延びる板状の第6取付部D6が備えられている。右側の側部フレーム部位74aには、第6取付部D6の内方側に上下方向に延びる板状の第7取付部D7が備えられている。アクセルレバー91は、図15に示すように、第7取付部D7に取り付けられている。第3フレーム74の側部フレーム部位74aは、上方側ほど後方側に位置する後方側に傾斜する形状に形成されており、その後方側傾斜の上端部に相当する位置に第7取付部D7が配設されている。これにより、アクセルレバー91を取り付ける第7取付部D7の配設位置は、第3フレーム74において最も後方側となり、ダッシュボード81よりも後方側に突出させる状態の所望位置(図13及び図16参照)にアクセルレバー91を適切に配設することができる。
【0071】
図15に示すように、第7取付部D7の外方側には、締結具Bにより第1取付プレート92が連結されている。第1取付プレート92と第2取付プレート93とがアクセルレバー91を挟み込む状態で連結されている。第1取付プレート92と第2取付プレート93とにより、アクセルレバー91が左右方向に沿う揺動軸部94周りで揺動自在に支持されている。
【0072】
第1取付プレート92には、アクセルレバー91の揺動範囲を規制する第1ストッパピン95と第2ストッパピン96とが備えられている。第1ストッパピン95は、アクセルレバー91に当接することで、アクセルレバー91の増速側(前方側)への揺動範囲を規制している。第2ストッパピン96は、アクセルレバー91に当接することで、アクセルレバー91の減速側(後方側)への揺動範囲を規制している。
【0073】
このように、運転者は、図13及び図15に示すように、第1ストッパピン95と第2ストッパピン96とにより規制される揺動範囲内にてアクセルレバー91を揺動操作することになる。しかしながら、例えば、組み付け誤差やトラクタ1の種類等によって、アクセルレバー91の揺動範囲を調整する必要が生じる。そこで、第1ストッパピン95には、その外周部に外嵌されたリング状の調整部材97が備えられている。調整部材97にてアクセルレバー91に当接させることで、アクセルレバー91の増速側の揺動範囲を小さい側に調整することができる。このように、調整部材97を備えることで、アクセルレバー91の揺動範囲を調整することができる。調整部材97の厚み等を変更することで、アクセルレバー91の揺動範囲を所望の範囲に調整することができる。ちなみに、調整部材97は、第1ストッパピン95に備えた場合を示しているが、第2ストッパピン96に調整部材97を備えることもできる。
【0074】
アクセルレバー91は、タンクフレーム71における第3フレーム74に取り付けられており、図13に示すように、ダッシュボード81の右側部84に形成されたレバー用開口部98を通して、ダッシュボード81よりも後方側に突出する状態で備えられている。
【0075】
アクセルレバー91は、図15に示すように、その先端側91aが左右方向で機体2の外方側(右側)に屈曲する形状に形成されている。これにより、ダッシュボード81をタンクフレーム71に取り付けた状態では、図16に示すように、アクセルレバー91が、ステアリングホイール11の右側において、その先端側91aが左右方向でダッシュボード81の外方側端部81aよりも機体2の外方側に位置する状態で配設されている。ステアリングホイール11の左側には、トラクタ1の前進と後進とを切り替えるための前後進切替レバー101が配設されている。
【0076】
タンクフレーム71には、更に、サイドミラー110を支持するための機能が備えられている。図11に示すように、第3フレーム74における側部フレーム部位74aには、上下方向の中間部に、第6取付部D6が備えられており、この第6取付部D6にサイドミラー110が取り付けられる。ダッシュボード81の右側部84には、図12及び図13に示すように、サイドミラー用開口部111が形成されており、ダッシュボード81を取り付けた状態において、サイドミラー用開口部111を通して第6取付部D6に対して締結具B等を用いてサイドミラー110を取り付けることができる。
【0077】
この実施形態では、サイドミラー110が右側のみ備えられているが、図11に示すように、第3フレーム74における左側の側部フレーム部位74aにも、第6取付部D6が備えられており、図示は省略するが、ダッシュボード81の左側部83にも、右側部84と同様のサイドミラー用開口部111が形成されている。よって、この左側の第6取付部D6に、左側のサイドミラー用開口部111を通して、左側のサイドミラー110を取り付けることができる。左側のサイドミラー110を取り付けない場合には、ダッシュボード81の左側部83に形成されたサイドミラー用開口部111が、閉塞部材にて閉塞されている。
【0078】
トラクタ1のボンネット9には、その前方上端部に、図1及び図16に示すように、センターマーク部120が備えられている。センターマーク部120は、左右方向でボンネット9の中央部に相当する位置に配設されており、左右方向で機体2の中央部がどこにあるかを運転者が認識するための目印となっている。センターマーク部120は、銘板のシール状に構成されており、接着剤等により所望位置に接着固定されている。センターマーク部120は、図17に示すように、外周側部位120aと内方側部位120bとで色や表面処理を異ならせることで、運転者が内方側部位120bを視認し易くしている。このように、センターマーク部120を銘板のシール状に構成することで、センターマーク部120の取付作業が簡易になるとともに、ボンネット9の形状に応じたセンターマーク部120とすることができる。
【0079】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。
尚、以下に説明する各実施形態の構成は、夫々単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0080】
(1)作業車両の構成は種々の変更が可能である。
例えば、作業車両は、エンジン8と走行用の電動モータとを備えるハイブリット仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車両は、走行部として、左右の後輪4に代えて左右のクローラを備えるセミクローラ仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車両は、左右の後輪4が操舵輪として機能する後輪ステアリング仕様に構成されていてもよい。
【0081】
(2)上記実施形態では、燃料タンク30を樹脂製としているが、樹脂製に限らず、金属製等、その他の材料を用いて燃料タンク30を構成することもできる。
【符号の説明】
【0082】
1 トラクタ(作業車両)
2 機体(車体)
9 ボンネット
11 ステアリングホイール
12 運転席
30 燃料タンク
34 断熱材
40 遮熱体(被覆部材)
71 タンクフレーム
74a 側部フレーム部位
81 ダッシュボード(被覆部材)
91 アクセルレバー
91a アクセルレバーの先端側

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17