(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】車両検知器、料金収受システム、車両検知方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/04 20060101AFI20230424BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20230424BHJP
G01S 17/93 20200101ALI20230424BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
G08G1/04 A
G07B15/00 M
G01S17/93
G08G1/09 R
(21)【出願番号】P 2019115563
(22)【出願日】2019-06-21
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】山西 直哉
(72)【発明者】
【氏名】中山 博之
(72)【発明者】
【氏名】尾張 伸行
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-009854(JP,A)
【文献】特開2003-208640(JP,A)
【文献】特開2019-066933(JP,A)
【文献】特開2017-010316(JP,A)
【文献】特開2002-024987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36、23/00-25/00
G07B 15/00
G01S 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発進制御機に隣接する
退出検知位置において車両の通過を検知する車両検知器であって、
前記発進制御機の開閉バーの閉鎖位置における最下端ラインから上方を含む
第1走査領域
と、前記最下端ラインから下方の第2走査領域それぞれについてレーザ光を走査して対象物までの距離を計測し、計測信号を出力するレーザスキャナと、
前記車両が前記退出検知位置を通過したときに前記発進制御機に前記開閉バーの閉鎖信号を出力する車線制御装置に対し、前記第2走査領域における前記計測信号に基づいて前記車両が前記退出検知位置を通過したか否かを判断して通知するとともに、前記発進制御機に対し、前記第1走査領域における前記計測信号に基づいて、
前記車両の積載物が前記退出検知位置を通過したか否かを判断して通知し、前記積載物が前記退出検知位置を通過するまで前記発進制御機が前記開閉バーを閉鎖しないように制御する制御部と、
を備える車両検知器。
【請求項2】
前記
第1走査領域は、前記最下端ラインから前記開閉バーの開放位置における最前端ラインまでの領域である、
請求項1に記載の車両検知器。
【請求項3】
前記レーザスキャナは、前記最下端ラインと前記最前端ラインの交点を中心として前記レーザ光を走査し、
前記制御部は、前記交点から前記対象物までの距離が前記交点から前記開閉バーの先端までの距離よりも短い場合、前記発進制御機が前記開閉バーを閉鎖しないように制御する、
請求項2に記載の車両検知器。
【請求項4】
前記レーザスキャナは、前記発進制御機よりも車線の下流側に位置する、
請求項1から3の何れか一項に記載の車両検知器。
【請求項5】
車線の進入検知位置においてレーザ光を走査して対象物までの距離を計測するレーザスキャナを有し、前記レーザスキャナの計測信号に基づいて車両を検知する上流側車両検知器と、
前記進入検知位置よりも下流側に設けられ、開閉バーにより前記車両の発進及び停止を制御する発進制御機と、
請求項1から4の何れか一項に記載の車両検知器である下流側車両検知器と、
前記車両が退出検知位置を通過したときに前記発進制御機に前記開閉バーの閉鎖信号を出力する車線制御装置と、
を備え、
前記下流側車両検知器の前記レーザスキャナは、前記上流側車両検知器の前記レーザスキャナと異なる高さに配置される、
料金収受システム。
【請求項6】
発進制御機に隣接する
退出検知位置において車両の通過を検知する車両検知方法であって、
前記発進制御機の開閉バーの閉鎖位置における最下端ラインから上方を含む
第1走査領域
と、前記最下端ラインから下方の第2走査領域それぞれについてレーザ光を走査して対象物までの距離を計測し、計測信号を出力するレーザスキャンステップと、
前記車両が前記退出検知位置を通過したときに前記発進制御機に前記開閉バーの閉鎖信号を出力する車線制御装置に対し、前記第2走査領域における前記計測信号に基づいて前記車両が前記退出検知位置を通過したか否かを判断して通知するとともに、前記発進制御機に対し、前記第1走査領域における前記計測信号に基づいて、
前記車両の積載物が前記退出検知位置を通過したか否かを判断して通知し、前記積載物が前記退出検知位置を通過するまで前記発進制御機に対し前記開閉バーを閉鎖しないように制御する制御ステップと、
を有する車両検知方法。
【請求項7】
車線の進入検知位置においてレーザ光を走査して対象物までの距離を計測し、計測結果に基づいて車両を検知する上流側車両検知ステップと、
前記進入検知位置よりも下流側の発進制御機に隣接する
退出検知位置において前記車両の有無を検知する下流側車両検知ステップと、
を有し、
前記下流側車両検知ステップは、
前記発進制御機の開閉バーの閉鎖位置における最下端ラインから上方を含む
第1走査領域
、前記最下端ラインから下方の第2走査領域それぞれについてレーザ光を走査して対象物までの距離を計測し、計測信号を出力するレーザスキャンステップと、
前記車両が前記退出検知位置を通過したときに前記発進制御機に前記開閉バーの閉鎖信号を出力する車線制御装置に対し、前記第2走査領域における前記計測信号に基づいて前記車両が前記退出検知位置を通過したか否かを判断して通知するとともに、前記発進制御機に対し、前記第1走査領域における前記計測信号に基づいて、
前記車両の積載物が前記退出検知位置を通過したか否かを判断して通知し、前記積載物が前記退出検知位置を通過するまで前記発進制御機に対し前記開閉バーを閉鎖しないように制御する制御ステップと、
を有し、
前記下流側車両検知ステップの前記レーザスキャンステップは、前記上流側車両検知ステップと異なる高さから前記レーザ光の走査を行う、
車両検知方法。
【請求項8】
発進制御機に隣接する
退出検知位置において車両の通過を検知する車両検知器のコンピュータを機能させるプログラムであって、前記コンピュータに、
前記発進制御機の開閉バーの閉鎖位置における最下端ラインから上方を含む
第1走査領域
と、前記最下端ラインから下方の第2走査領域それぞれについてレーザ光を走査して対象物までの距離を計測し、計測信号を出力するレーザスキャンステップと、
前記車両が前記退出検知位置を通過したときに前記発進制御機に前記開閉バーの閉鎖信号を出力する車線制御装置に対し、前記第2走査領域における前記計測信号に基づいて前記車両が前記退出検知位置を通過したか否かを判断して通知するとともに、前記発進制御機に対し、前記第1走査領域における前記計測信号に基づいて、
前記車両の積載物が前記退出検知位置を通過したか否かを判断して通知し、前記積載物が前記退出検知位置を通過するまで前記発進制御機に対し前記開閉バーを閉鎖しないように制御する制御ステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両検知器、料金収受システム、車両検知方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路の料金所には、車両から通行料金を収受するための料金収受システムが設けられている。このような料金収受システムには、料金所の車線の下流側に、車両の発進及び停止を制御するための発進制御機が設けられている場合がある(例えば、特許文献1を参照)。発進制御機は、車両から通行料金の収受が完了していない場合は開閉バーを下ろして車線を閉塞し、車両の車線からの退出を禁止する。また、発進制御機は、車両から通行料金の収受を完了すると開閉バーを上げて車線を開放し、車両の車線からの退出を許可する。また、発進制御機の近傍には、車両の有無を検知可能な車両検知器が設けられている。車両検知器により料金収受処理が完了した車両の通過が検知されると、発進制御機は車両が車線から退出したと認識して開閉バーを下ろし、料金収受処理を終えていない後続車両が車線から退出しないようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両には、車体の最後端(車尾)よりも後方に突出する長尺積載物が搭載されている場合がある。このような長尺積載物が車両検知器よりも高い位置に搭載されていると、車両検知器は、車両の車尾が通過したことを検知したときに、この車両に搭載された長尺積載物が通過したか否かを正確に検知することができない可能性がある。そうすると、発進制御機が開閉バーを下ろす際に、未通過の長尺積載物に開閉バーが衝突してしまうことがある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、積載物の有無を検知して、発進制御機の開閉バーが車両の積載物に衝突することを抑制することができる車両検知器、料金収受システム、車両検知方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用している。
本発明の第1の態様によれば、発進制御機(15)に隣接する位置において車両の通過を検知する車両検知器(16)は、前記発進制御機(15)の開閉バー(150)の閉鎖位置における最下端ラインから上方を含む走査領域についてレーザ光を走査して対象物までの距離を計測し、計測信号を出力するレーザスキャナ(160)と、前記計測信号に基づいて、前記発進制御機(15)が前記開閉バー(150)を閉鎖しないように制御する制御部(162)と、を備える。
このようにすることで、車両検知器は、開閉バーの動作範囲に積載物が存在するか否かを検知して、車両の積載物が通過していないときに開閉バーが下ろされないように、発進制御機に対し閉鎖信号の受け付けを制限させることができる。これにより、車両検知器は、開閉バーが車両の積載物に衝突することを抑制することができる。
【0007】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様に係る車両検知器(16)において、前記走査領域は、前記最下端ラインから前記開閉バー(150)の開放位置における最前端ラインまでの領域である。
このようにすることで、車両検知器は、開閉バーの開放位置から閉鎖位置までの動作範囲全域において、積載物が存在するか否かを精度よく検知することができる。
【0008】
本発明の第3の態様によれば、第2の態様に係る車両検知器(16)において、前記レーザスキャナ(160)は、前記最下端ラインと前記最前端ラインの交点を中心として前記レーザ光を走査し、前記制御部(162)は、前記交点から前記対象物までの距離が前記交点から前記開閉バー(150)の先端までの距離よりも短い場合、前記発進制御機(15)が前記開閉バー(150)を閉鎖しないように制御する。
このようにすることで、車両検知器は、開閉バーの動作範囲内に積載物が存在するか否かを簡易且つ高速に検知することができる。
【0009】
本発明の第4の態様によれば、第1から第3の何れか一の態様に係る車両検知器(16)において、前記レーザスキャナ(160)は、前記発進制御機(15)よりも車線の下流側に位置する。
このようにすることで、車両検知器は、積載物が発進制御機よりも下流側に通過したか否かをより確実に検知することができる。これにより、車両検知器は、開閉バーが車両の積載物に衝突する可能性を更に低減させることができる。
【0010】
本発明の第5の態様によれば、料金収受システム(1)は、車線の進入検知位置においてレーザ光を走査して対象物までの距離を計測するレーザスキャナ(110,111)を有し、前記レーザスキャナ(110,111)の計測信号に基づいて車両を検知する上流側車両検知器(11)と、前記進入検知位置よりも下流側に設けられ、開閉バー(150)により前記車両の発進及び停止を制御する発進制御機(15)と、第1から第4の何れか一の態様に係る車両検知器である下流側車両検知器(16)と、を備える。前記下流側車両検知器(16)の前記レーザスキャナ(160)は、前記上流側車両検知器(11)の前記レーザスキャナ(110,111)と異なる高さに配置される。
料金収受システムは、このように上流側車両検知器と、下流側車両検知器とのそれぞれの目的に応じて異なる高さにレーザスキャナを配置するので、上流側車両検知器及び下流側車両検知器それぞれが要求される性能を満たすことができる。また、上流側車両検知器及び下流側車両検知器それぞれの検知結果に基づいて動作する機器の機能及び性能を向上させることができる。
【0011】
本発明の第6の態様によれば、発進制御機(15)に隣接する位置において車両の通過を検知する車両検知方法は、前記発進制御機(15)の開閉バー(150)の閉鎖位置における最下端ラインから上方を含む走査領域についてレーザ光を走査して対象物までの距離を計測し、計測信号を出力するレーザスキャンステップと、前記計測信号に基づいて、前記発進制御機(15)に対し前記開閉バー(150)を閉鎖しないように制御する制御ステップと、を有する。
【0012】
本発明の第7の態様によれば、車両検知方法は、車線の進入検知位置においてレーザ光を走査して対象物までの距離を計測し、計測結果に基づいて車両を検知する上流側車両検知ステップと、前記進入検知位置よりも下流側の発進制御機(15)に隣接する位置において前記車両の有無を検知する下流側車両検知ステップと、を有する。前記下流側車両検知ステップは、前記発進制御機(15)の開閉バー(150)の閉鎖位置における最下端ラインから上方を含む走査領域についてレーザ光を走査して対象物までの距離を計測し、計測信号を出力するレーザスキャンステップと、前記計測信号に基づいて、前記発進制御機(15)に対し前記開閉バー(150)を閉鎖しないように制御する制御ステップと、を有する。前記下流側車両検知ステップの前記レーザスキャンステップは、前記上流側車両検知ステップと異なる高さから前記レーザ光の走査を行う。
【0013】
本発明の第8の態様によれば、発進制御機(15)に隣接する位置において車両の通過を検知する車両検知器(16)のコンピュータ(900)を機能させるプログラムは、前記コンピュータ(900)に、前記発進制御機(15)の開閉バー(150)の閉鎖位置における最下端ラインから上方を含む走査領域についてレーザ光を走査して対象物までの距離を計測し、計測信号を出力するレーザスキャンステップと、前記計測信号に基づいて、前記発進制御機(15)に対し前記開閉バー(150)を閉鎖しないように制御する制御ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る車両検知器、料金収受システム、車両検知方法、及びプログラムによれば、車両及び積載物の有無を検知して、発進制御機の開閉バーが車両の積載物に衝突することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る上流側車両検知器の構成の一例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る下流側車両検知器の構成の一例を示す第1の図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る下流側車両検知器の構成の一例を示す第2の図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る料金収受システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る車両検知器のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る料金収受システム1について、図を参照しながら説明する。
【0017】
(全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る料金収受システムの全体構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る料金収受システム1は、有料道路の入口又は出口の料金所に設けられ、料金所の車線Lを走行する車両Aから、電子式料金収受システム(ETC:Electronic Toll Collection System(登録商標)、「自動料金収受システム」ともいう)の技術を利用して通行料金を収受する。なお、以下の説明において、車線Lの延在方向(
図1の±X方向)を「車線方向」、車線方向と水平に直交する方向(
図1の±Y方向)を「車線幅方向」とも記載する。
【0018】
図1に示すように、車線Lの路側に敷設されたアイランドI上には、料金収受システム1を構成する機器として、上流側車両検知器11と、中間位置車両検知器12と、路側アンテナ13と、車線制御装置14と、発進制御機15と、下流側車両検知器16と、が設けられている。
【0019】
上流側車両検知器11は、車線方向の最も上流側(-X側)の進入検知位置X1に設けられ、車線Lに進入する車両Aを検知する。本実施形態に係る上流側車両検知器11は、第1レーザスキャナ110と、第2レーザスキャナ111と、制御部112と、を備えている。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態に係る上流側車両検知器の構成の一例を示す図である。
図1及び
図2に示すように、第1レーザスキャナ110は、進入検知位置X1に配置され、車線幅方向(±Y方向)に沿って角度を変えながらレーザ光を走査する。第1レーザスキャナ110は、一回の走査毎に、走査角度とレーザ光の反射光を受光するまでの時間とに基づいて、レーザ光の反射位置までの距離を計測し、その結果を計測信号として出力する。
【0021】
なお、第1レーザスキャナ110は、車線Lの路面からの高さH1の位置を中心としてレーザ光を走査する。本実施形態では、高さH1は、特定車種の最低高さ(例えば大型車の最低高さ2000mm)と等しい値に設定される。これにより、第1レーザスキャナ110は、水平方向にレーザ光を出射したときの反射位置までの距離に基づいて、車両Aの車高が高さH1以上であるか否か、即ち、車種が特定車種(大型車)以上の車種であるか、小さい車種(普通車、軽自動車等)であるかを判別可能な計測信号を出力することができる。
【0022】
第2レーザスキャナ111は、
図1に示すように、進入検知位置X1及び検知位置X1’よりも下流側(+X側)の検知位置X1’において、第1レーザスキャナ110と同じ高さH1の位置を中心としてレーザ光を走査する。第2レーザスキャナ111は第1レーザスキャナ110と同様の機能構成を有している。
【0023】
制御部112は、第1レーザスキャナ110及び第2レーザスキャナ111の計測信号に基づいて、車両Aが進入検知位置X1及び検知位置X1’に存在するか否かを検知する。
【0024】
中間位置車両検知器12は、
図1に示すように、進入検知位置X1よりも下流側(+X側)の中間検知位置X2に設けられ、車両Aが中間検知位置X2に到達したか否かを検知する。中間位置車両検知器12は、レーザスキャナ120と、制御部122とを備えている。なお、本実施形態に係るレーザスキャナ120は、上流側車両検知器11の第1レーザスキャナ110と同様の機能構成を有している。また、制御部122は、レーザスキャナ120の計測信号に基づいて、車両Aが中間検知位置X2に存在するか否かを検知する。
【0025】
路側アンテナ13は、
図1に示すように、中間位置車両検知器12よりも下流側(+X側)に設けられ、車両Aに搭載された車載器(不図示)との間で、当該車両Aの通行料金の収受処理に係る各種指令、データの送受信を無線通信により行う。なお、路側アンテナ13の通信領域は、上流側車両検知器11から中間位置車両検知器12までの間に設定される。なお、路側アンテナ13の配置は、路側アンテナ13の設置向き、電波の指向性に応じて、配置は変更してもよい。例えば路側アンテナ13が車線Lの上流側から下流側に向かって電波を放射する態様である場合、路側アンテナ13は中間位置車両検知器12よりも上流側に設けられてもよい。
【0026】
車線制御装置14は、料金収受システム1の各機器を制御するための装置である。また、車線制御装置14は、路側アンテナ13を介して車載器と無線通信を行うことにより、車両Aの通行料金を収受する処理を行う。
【0027】
発進制御機15は、
図1に示すように、路側アンテナ13よりも下流側(+X側)に設けられ、開閉バー150を昇降させて車線Lを開放又は閉塞する。発進制御機15は、例えば通行料金を収受する処理が完了するまで、車両Aが車線Lから退出しないようにする等の目的で設けられている。
【0028】
下流側車両検知器16は、
図1に示すように、発進制御機15よりも下流側(+X側)の退出検知位置X3に設けられる。なお、車両Aには、車尾よりも後方(-X側)に突出する積載物FR(長尺積載物)が搭載されている場合がある。本実施形態に係る下流側車両検知器16は、車両Aが退出検知位置X3を通過したか否かを検知するとともに、車両Aに搭載された積載物FRが退出検知位置X3を通過したか否かを検知する。また、下流側車両検知器16は、レーザスキャナ160と、制御部162とを備えている。
【0029】
図3は、本発明の一実施形態に係る下流側車両検知器の構成の一例を示す第1の図である。
図4は、本発明の一実施形態に係る下流側車両検知器の構成の一例を示す第2の図である。
図1、
図3、及び
図4に示すように、レーザスキャナ160は、退出検知位置X3に配置され、車線幅方向(±Y方向)に沿って角度を変えながらレーザ光を走査する。レーザスキャナ160は、発進制御機15の開閉バー150の閉鎖位置(破線で示す位置)における最下端ラインE1と、開閉バー150の開放位置(実線で示す位置)における最後端ラインE2との交点Pを中心としてレーザ光を走査する。即ち、レーザスキャナ160は、上流側車両検知器11の第1レーザスキャナ110及び第2レーザスキャナ111が配置されている高さ(
図2の高さH1)とは異なる高さ(最下端ラインE1に一致する高さ)に配置される。
【0030】
レーザスキャナ160は、車両Aに搭載された積載物FRが退出検知位置X3を通過したか否かを検知するために、
図3に示すように開閉バー150の閉鎖位置における最下端ラインE1から上方を含む走査領域R1についてレーザ光を走査して対象物(積載物FR)までの距離を計測し、計測信号を出力する。本実施形態では、走査領域R1は、開閉バー150の最下端ラインE1から最後端ラインE2までの領域であって、且つ、交点Pから距離LN1以内の領域である。距離LN1は、交点Pから開閉バー150の先端150Aまでの長さである。また、他の実施形態では、走査領域R1は、開閉バー150の閉鎖位置における最下端ラインE1から、開放位置における最前端ラインE3(開閉バー150の車線L側を向く端部)までの領域であってもよい。このとき、レーザスキャナ160は、最下端ラインE1と最前端ラインE3との交点(不図示)を中心としてレーザ光を走査する。したがって、レーザスキャナ160がアイランドIから車線L側に突出しないように配置可能である場合、このように走査領域R1を最下端ラインE1から最前端ラインE3までの領域に限定してもよい。
【0031】
また、レーザスキャナ160は、車両Aが退出検知位置X3を通過したか否かを検知するために、
図4に示すように、開閉バー150の閉鎖位置における最下端ラインE1より下方の領域を含む走査領域R2についても同様にレーザ光を走査して、対象物までの距離を計測し、計測信号を出力する。
図4の例のように、走査領域R2は開閉バー150の最下端ラインE1よりも上方の領域を含んでいてもよい。即ち、走査領域R1及びR2は重複していてもよい。なお、レーザスキャナ160は、一回の走査で走査領域R1及びR2の双方を走査する。
【0032】
制御部162は、レーザスキャナ160の計測信号に基づいて、車両A及び積載物FRが退出検知位置X3を通過したか否かを判断する。また、制御部162は、積載物FRが退出検知位置X3に存在すると判断した場合、発進制御機15が開閉バー150を閉鎖しないように制御する。
【0033】
(機能構成)
図5は、本発明の一実施形態に係る料金収受システムの機能構成を示す図である。
以下、
図5を参照しながら、料金収受システム1の各機器の機能構成について説明する。
【0034】
上流側車両検知器11の制御部112は、第1レーザスキャナ110及び第2レーザスキャナ111それぞれから出力された計測信号に基づいて、進入検知位置X1及び検知位置X1’に車両Aが存在するか否かを検知し、その検知結果を車両検知信号として車線制御装置14に出力する。
【0035】
例えば上流側車両検知器11の制御部112は、進入検知位置X1に車両Aが存在しないときに計測した走査角度それぞれに対する第1レーザスキャナ110から反射位置(車線Lの路面等)までの基準距離を予め記憶しておく。そして、制御部112は、第1レーザスキャナ110がこの基準距離よりも短い距離を計測した場合、進入検知位置X1に車両Aが存在することを検知する。
【0036】
また、制御部112は、第2レーザスキャナ111についても同様の処理を行い、検知位置X1’に車両Aが存在するか否かを検知する。このように、上流側車両検知器11が進入検知位置X1及び検知位置X1’双方において車両Aの存在の有無を検知することにより、進入検知位置X1における車両Aの前進及び後進を検知することができる。例えば、上流側の第1レーザスキャナ110、下流側のレーザスキャナ111の順に車両Aの存在を検知した場合、車両Aは前進していると判断することができる。なお、上流側車両検知器11による車両Aの前進及び後進の検知が不要である場合(例えば不図示の踏板により前進及び後進の検知を行う場合)は、第1レーザスキャナ110を省略してもよい。
【0037】
中間位置車両検知器12の制御部122は、上流側車両検知器11の制御部112と同様の処理を行うことにより中間検知位置X2に車両Aが存在するか否かを検知し、その検知結果を車両検知信号として車線制御装置14に出力する。
【0038】
下流側車両検知器16の制御部162は、レーザスキャナ160から出力された計測信号に基づいて、退出検知位置X3に車両Aが存在するか否かを検知し、その検知結果を車両検知信号として車線制御装置14に出力する。また、制御部162は、レーザスキャナ160から出力された計測信号に基づいて、退出検知位置X3に積載物FRが存在するか否かを検知し、その検知結果を積載物検知信号として発進制御機15に出力する。
【0039】
例えば、制御部162は、走査領域R2について、車線L上に車両Aが存在しないときに計測した走査角度それぞれに対する交点Pから反射位置(車線Lの路面等)までの基準距離を予め計測しておく。そして、制御部162は、レーザスキャナ160が走査領域R2において基準距離よりも短い距離を計測した場合、退出検知位置X3に車両Aが存在すると判断する。
【0040】
また、制御部162は、レーザスキャナ160が走査領域R1において距離LN1よりも短い距離を計測した場合、退出検知位置X3に積載物FRが存在すると判断する。このとき、制御部162は、発進制御機15に対し積載物FRが存在することを示す積載物検知信号を出力して、開閉バー150を閉鎖しないように制御する。
【0041】
車線制御装置14は、上流側車両検知器11及び中間位置車両検知器12から出力された車両検知信号に基づいて、路側アンテナ13の制御を行う。具体的には、車線制御装置14は、上流側車両検知器11が車両Aの進入検知位置X1’への到達を検知すると、路側アンテナ13に無線通信を開始する制御信号(電波放射ON信号)を出力する。一方、車線制御装置14は、中間位置車両検知器12が車両Aの中間検知位置X2の通過を検知する(中間位置車両検知器12が車両Aの存在を検知した後、再び非検知に戻る)と、路側アンテナ13に無線通信を終了する制御信号(電波放射OFF信号)を出力する。
【0042】
また、車線制御装置14は、発進制御機15の開閉バー150を開閉する制御を行う。具体的には、車線制御装置14は、路側アンテナ13を介して車両Aの通行料金を収受する処理が完了すると、発進制御機15に開閉バー150を開放する制御信号(開放信号)を出力する。また、車線制御装置14は、下流側車両検知器16が車両Aの車線Lからの退出(退出検知位置X3を通過したこと)を検知すると、車両Aの後続車両が料金収受前に車線Lから退出してしまわないように、発進制御機15に開閉バーを閉鎖する制御信号(閉鎖信号)を出力する。
【0043】
発進制御機15は、車線制御装置14からの制御信号に従って、開閉バー150の開放動作及び閉鎖動作を行う。なお、発進制御機15は、下流側車両検知器16から退出検知位置X3に積載物FRが存在することを示す積載物検知信号が出力された場合、車線制御装置14からの閉鎖信号を受け付けない、又は、受け付けても閉鎖を実行しないようにする。
【0044】
(処理フロー)
図6は、本発明の一実施形態に係る料金収受システムの処理の一例を示すシーケンス図である。
以下、
図6を参照しながら料金収受システムにおける処理の流れについて説明する。
【0045】
まず、上流側車両検知器11は、進入検知位置X1’において車両Aの存在の有無を検知する検知処理を行い、その検知結果を車両検知信号として車線制御装置14に出力する(ステップS1)。なお、上流側車両検知器11は、この検知処理S1を常時、繰り返し実行しているものとする。
【0046】
次に、車線制御装置14は、上流側車両検知器11より進入検知位置X1’に車両Aが存在することを示す車両検知信号を受信した場合(ステップS2)、路側アンテナ13に電波放射ON信号を出力する(ステップS3)。
【0047】
路側アンテナ13は、電波放射ON信号を受信すると、車両Aに搭載された車載器との間で無線通信を開始する。そうすると、車線制御装置14は、路側アンテナ13を介して車載との間で通行料金を収受するための各種処理を行う(ステップS4)。
【0048】
次に、車線制御装置14は、料金収受処理(ステップS4)が完了すると、発進制御機15に開閉バー150の開放信号を出力する(ステップS5)。
【0049】
発進制御機15は、車線制御装置14から開放信号を受信すると、開閉バー150を開放位置に移動させて、車両Aの退出を許可する(ステップS6)。また、発進制御機15は、開閉バー150の開放動作完了後、車線制御装置14へ開放通知を行う(ステップS7)。これにより、車線制御装置14は、開閉バー150が正しく開放されたことを知ることができる。
【0050】
また、中間位置車両検知器12は、中間検知位置X2において車両Aの存在の有無を検知する検知処理を行い、その検知結果を車両検知信号として車線制御装置14に出力する(ステップS8)。なお、中間位置車両検知器12は、この検知処理S8を常時、繰り返し実行しているものとする。
【0051】
次に、車線制御装置14は、中間位置車両検知器12より中間検知位置X2を車両Aが通過したことを示す車両検知信号を受信した場合(ステップS9)、車両Aが路側アンテナ13の通信領域から退出したと判断して、路側アンテナ13に電波放射OFF信号を出力する(ステップS10)。そうすると、路側アンテナ13は、車載器と通信を行うための電波放射を停止する。
【0052】
また、下流側車両検知器16は、退出検知位置X3において車両A及び積載物FRの存在の有無を検知する検知処理を行い、その検知結果を車両検知信号及び積載物検知信号として車線制御装置14及び発進制御機15に出力する(ステップS11)。なお、下流側車両検知器16は、この検知処理S11を常時、繰り返し実行しているものとする。
【0053】
次に、発進制御機15は、下流側車両検知器16より退出検知位置X3に積載物FRが存在することを示す積載物検知信号を受信した場合(ステップS12)、積載物FRが退出検知位置X3を通過していないと判断して、閉鎖信号の受け付けを停止する(ステップS13)。例えば、このとき、発進制御機15は、車線制御装置14から出力された閉鎖信号を破棄するようにしてもよいし、閉鎖信号を伝達するための信号線を一時的に切断するようにしてもよい。
【0054】
また、発進制御機15におけるステップS12~S13の処理と並行して、車線制御装置14は、下流側車両検知器16より退出検知位置X3に車両Aが存在することを示す車両検知信号を受信した場合(ステップS14)、車両Aが退出検知位置X3を通過中であると判断する。この間、車線制御装置14は、車両Aが退出検知位置X3を通過するまで待機する。
【0055】
次に、車線制御装置14は、下流側車両検知器16より退出検知位置X3に車両Aが存在しない(通過した)ことを示す車両検知信号を受信した場合(ステップS15)、車両Aが退出検知位置X3を通過済みであると判断し、発進制御機15に開閉バー150の閉鎖信号を出力する(ステップS16)。なお、車線制御装置14は、発進制御機15から開閉バー150の閉鎖動作が完了したことを示す閉鎖通知を受信するまで、所定時間おきに閉鎖信号を出力し続ける。
【0056】
発進制御機15は、下流側車両検知器16から積載物FRが存在することを示す積載物検知信号を受信し続けている間、閉鎖信号の受け付けを停止した状態を継続する(ステップS13)。したがって、この期間に車線制御装置14から出力された閉鎖信号は、発進制御機15により破棄されるか、信号線の切断により発進制御機15に入力されなくなる。このため、発進制御機15の開閉バー150は、車両Aの車体が退出検知位置X3を通過した後も、下流側車両検知器16により積載物FRの通過が検知されるまで、開放位置から移動しない。
【0057】
次に、発進制御機15は、下流側車両検知器16から積載物FRが存在しない(通過した)ことを示す積載物検知信号を受信すると(ステップS17)、積載物FRが退出検知位置X3を通過したと判断して、閉鎖信号の受け付けを開始する(ステップS18)。
【0058】
発進制御機15は、閉鎖信号の受け付け開始後、車線制御装置14から閉鎖信号を受信すると、開閉バー150を閉鎖位置に移動させて、車両Aの後続車両の退出を禁止する(ステップS19)。また、発進制御機15は、開閉バー150の閉鎖動作完了後、車線制御装置14へ閉鎖通知を行う(ステップS20)。これにより、車線制御装置14は、開閉バー150が正常に閉鎖されたことを知ることができる。
【0059】
(ハードウェア構成)
図7は、本発明の一実施形態に係る車両検知器のハードウェア構成の一例を示す図である。
以下、
図7を参照して、本実施形態に係る上流側車両検知器11、中間位置車両検知器12、及び下流側車両検知器16のハードウェア構成について説明する。
【0060】
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、インタフェース904を備える。
【0061】
上述の上流側車両検知器11、中間位置車両検知器12、及び下流側車両検知器16は、それぞれコンピュータ900に実装される。そして、上述した上流側車両検知器11、中間位置車両検知器12、及び下流側車両検知器16の各部の動作は、プログラムの形式でそれぞれのコンピュータ900が有する補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理に伴い取得、生成した各種情報を記憶するための記憶領域を主記憶装置902に確保する。また、CPU901は、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置903に確保する。
【0062】
なお、コンピュータ900は、インタフェース904を介して、外部記憶装置910と接続されており、上記記憶領域は、外部記憶装置910に確保されてもよい。
【0063】
なお、少なくとも一つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース904を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。
【0064】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0065】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る下流側車両検知器16は、発進制御機15に隣接する退出検知位置X3において車両Aの通過を検知する車両検知器であって、発進制御機15の開閉バー150の閉鎖位置における最下端ラインE1から上方を含む走査領域R1についてレーザ光を走査して対象物までの距離を計測し、計測信号を出力するレーザスキャナ160と、計測信号に基づいて、発進制御機15が開閉バー150を閉鎖しないように制御する制御部162と、を備える。
このようにすることで、下流側車両検知器16は、開閉バー150の動作範囲に積載物FRが存在するか否かを検知して、車両Aの積載物FRが通過していないときに開閉バー150が下ろされないように、発進制御機15に対し閉鎖信号の受け付けを制限させることができる。これにより、下流側車両検知器16は、開閉バー150が車両Aの積載物FRに衝突することを抑制することができる。
【0066】
また、走査領域R1は、最下端ラインE1から開閉バー150の開放位置における最後端ラインE2までの領域である。
このようにすることで、下流側車両検知器16は、開閉バー150の開放位置から閉鎖位置までの動作範囲全域において、積載物FRが存在するか否かを精度よく検知することができる。
【0067】
また、レーザスキャナ160は、最下端ラインE1と最後端ラインE2の交点Pを中心としてレーザ光を走査し、制御部162は、対象物までの距離が交点Pから開閉バー150の先端150Aまでの距離よりも短い場合、発進制御機15が開閉バー150を閉鎖しないように制御する。
このようにすることで、下流側車両検知器16は、計測信号に基づいて対象物の三次元位置を特定するための座標変換等の複雑な処理を行うことなく、開閉バー150の動作範囲内に積載物FRが存在するか否かを簡易且つ高速に検知することができる。
【0068】
また、レーザスキャナ160は、発進制御機15よりも車線方向の下流側(
図1の+X側)に位置する。
このようにすることで、下流側車両検知器16は、積載物が発進制御機15よりも下流側に通過したか否かをより確実に検知することができる。これにより、下流側車両検知器16は、開閉バー150が車両Aの積載物FRに衝突する可能性を更に低減させることができる。
【0069】
また、本実施形態に係る料金収受システム1は、車線Lの進入検知位置X1及び検知位置X1’においてレーザ光を走査して対象物までの距離を計測する第1レーザスキャナ110及び第2レーザスキャナ111を有し、第1レーザスキャナ110及び第2レーザスキャナ111の計測信号に基づいて車両Aを検知する上流側車両検知器11と、進入検知位置X1よりも下流側に設けられ、開閉バー150により車両Aの発進及び停止を制御する発進制御機15と、下流側車両検知器16と、を備える。下流側車両検知器16のレーザスキャナ160は、上流側車両検知器11の第1レーザスキャナ110及び第2レーザスキャナ111と異なる高さに配置される。
本実施形態に係る料金収受システム1は、このように上流側車両検知器11と、下流側車両検知器16とのそれぞれの目的に応じて異なる高さにレーザスキャナを配置するので、上流側車両検知器11及び下流側車両検知器16それぞれが要求される性能を満たすことができる。また、上流側車両検知器及び下流側車両検知器それぞれの検知結果に基づいて動作する機器の機能及び性能を向上させることができる。
【0070】
また、上流側車両検知器11の第1レーザスキャナ110及び第2レーザスキャナ111は、特定車種の最低高さと等しい値である高さH1に配置される。
これにより、上流側車両検知器11は、進入検知位置X1’において車両Aの到達及び通過の検知のみならず、車両Aが特定車種以上の大きさの車種であるか否かを容易に検出することができる。
【0071】
また、下流側車両検知器16のレーザスキャナ160は、上流側車両検知器11の第1レーザスキャナ110及び第2レーザスキャナ111よりも低い位置である、開閉バー150の最下端ラインE1に一致する高さに配置される。
このようにレーザスキャナ160が低い位置に配置されることにより、レーザスキャナ160に付着したゴミや汚れの除去、修理等のメンテナンス作業が容易となる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
【0073】
例えば上述の実施形態において、中間位置車両検知器12のレーザスキャナ120が、上流側車両検知器11の第1レーザスキャナ110及び第2レーザスキャナ111と同じ高さH2に配置される例について記載したが、これに限られることはない。中間位置車両検知器12のレーザスキャナ120は、下流側車両検知器16のレーザスキャナ160と同じ高さ(即ち、開閉バー150の最下端ラインE1の位置)に配置されてもよいし、第1レーザスキャナ110、第2レーザスキャナ111、及びレーザスキャナ160全てと異なる高さに配置されてもよい。
【0074】
また、上述の実施形態において、下流側車両検知器16のレーザスキャナ160が発進制御機15よりも車線方向の下流側(
図1の+X側)に配置される例について記載したが、これに限られることはない。他の実施形態では、下流側車両検知器16のレーザスキャナ160が発進制御機15よりも車線方向の上流側(
図1の-X側)に配置されてもよい。この場合、車線制御装置14は、例えば、下流側車両検知器16から車両Aが退出検知位置X3を通過したことを示す車両検知信号を受信してから所定の時間が経過した後に、発進制御機15に開閉バー150の閉鎖信号を出力するようにしてもよい。
【0075】
また、上述の実施形態において、料金収受システム1が電子式料金収受システムの技術を利用して、無線通信を介して通行料金を収受する処理を行う例について記載したが、これに限られることはない。他の実施形態では、料金収受システム1は、路側アンテナ13及び車線制御装置14に代えて、車両Aの搭乗者から通行料金の支払いを受け付ける料金自動収受機を備える構成であってもよい。この場合、車線制御装置14に代えて、料金自動収受機が車両検知信号を受信するとともに、発進制御機15に対し開閉バーの開放信号及び閉鎖信号を出力する。
【符号の説明】
【0076】
1 料金収受システム
11 上流側車両検知器
110 第1レーザスキャナ(レーザスキャナ)
111 第2レーザスキャナ(レーザスキャナ)
112 制御部
12 中間位置車両検知器
120 レーザスキャナ
122 制御部
13 路側アンテナ
14 車線制御装置
15 発進制御機
150 開閉バー
16 下流側車両検知器(車両検知器)
160 レーザスキャナ
162 制御部