(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20230424BHJP
A47L 9/04 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
A47L9/28 Z
A47L9/28 T
A47L9/28 V
A47L9/04 A
(21)【出願番号】P 2019154266
(22)【出願日】2019-08-27
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】戸倉 祥平
【審査官】家辺 信太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-289863(JP,A)
【文献】特開平03-244421(JP,A)
【文献】特開2002-166090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機と、
第1回転ブラシと、
第2回転ブラシと、
前記第1回転ブラシと前記第2回転ブラシとを走行方向の前後に平行に収容するとともに、被掃除面に対向する下部に吸込口を有する収容部と、
前記収容部の壁部に開口して設けられた吸気口と、
前記吸気口から吸い込まれた空気を前記電動送風機に向けて案内する風路と、
前記第1回転ブラシを回転させる第1モータと、
前記第1モータと電気的に並列に設けられ、前記第2回転ブラシを回転させる第2モータと、
前記第1モータに流れる過電流を検出する第1検出部と、
前記第2モータに流れる過電流を検出する第2検出部と、
前記第1検出部の検出結果および前記第2検出部の検出結果
を取得し、前記第1検出部の検出結果と前記第2検出部の検出結果とのうち少なくとも一方に基づき、前記第1モータおよび前記第2モータを制御する制御部と、
を備えた電気掃除機。
【請求項2】
前記第1モータおよび前記第2モータを駆動する電力が供給される共通電力線と、
前記共通電力線に接続され、前記第1モータが設けられた第1分岐電力線と、
前記共通電力線に対して前記第1分岐電力線とは電気的に並列に接続され、前記第2モータが設けられた第2分岐電力線と、
前記第1分岐電力線に設けられた第1検出用回路と、
前記第2分岐電力線に設けられた第2検出用回路と、
をさらに備え、
前記第1検出部は、前記第1検出用回路の出力に基づき、前記第1モータに流れる過電流を検出し、
前記第2検出部は、前記第2検出用回路の出力に基づき、前記第2モータに流れる過電流を検出する、
請求項1に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記第1回転ブラシと前記第2回転ブラシは、互いに逆方向に回転し、
前記制御部は、前記第1検出部により過電流が検出された場合、前記第2検出部の検出結果に関わらず、前記第1モータおよび前記第2モータの両方の駆動を抑制し、前記第2検出部により過電流が検出された場合、前記第1検出部の検出結果に関わらず、前記第1モータおよび前記第2モータの両方の駆動を抑制する、
請求項1または請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1検出部により過電流が検出された場合、前記第2検出部の検出結果に関わらず、前記第1モータの駆動と前記第2モータの駆動とを互いに同じだけ抑制する、
請求項3に記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1検出部により過電流が検出された場合、前記第1モータおよび前記第2モータを間欠制御または位相制御することにより、前記第1モータおよび前記第2モータに入力される電流の大きさを小さくする、
請求項3または請求項4に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記第1モータと電気的に逆並列に接続された第1ダイオードと、
前記第2モータと電気的に逆並列に接続された第2ダイオードと、
前記第1ダイオードおよび前記第2ダイオードが実装された回路基板と、
前記第1モータ、前記第2モータ、および前記回路基板を収容した吸込口体ケースと、
をさらに備え、
前記第1モータは、前記吸込口体ケースの第1側端部と前記吸込口体ケースの中央部との間に配置され、前記第2モータは、前記第1側端部とは反対側に位置した前記吸込口体ケースの第2側端部と前記吸込口体ケースの中央部との間に配置され、前記回路基板は、前記第1モータと前記第2モータとの間に配置されている、
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記吸込口体ケースの外部に設けられて前記電動送風機を含む掃除機本体を備え、
前記吸気口は、前記吸込口体ケースに設けられ、前記第1回転ブラシと前記第2回転ブラシとの間に開口し、
前記風路は、前記吸気口から吸い込まれた空気を
前記吸込口体ケースの内部を通じて前記掃除機本体に向けて案
内し、
前記回路基板は、前記吸込口体ケースを平面視した場合に前記風路と重なる位置に配置されている、
請求項6に記載の電気掃除機。
【請求項8】
電源からの電流が前記第1モータと前記第2モータとに向けて分かれる分岐点と、
前記第1モータと前記分岐点との間に設けられ、前記第1モータ側から前記分岐点に向かう電流の逆流を抑制する第1電流逆流抑制部品と、
前記第2モータと前記分岐点との間に設けられ、前記第2モータ側から前記分岐点に向かう電流の逆流を抑制する第2電流逆流抑制部品と、
をさらに備えた、
請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の電気掃除機。
【請求項9】
前記第1モータおよび前記第2モータを駆動する電力が供給される共通電力線と、
前記共通電力線に接続され、前記第1モータが設けられた第1分岐電力線と、
前記共通電力線に対して前記第1分岐電力線とは電気的に並列に接続され、前記第2モータが設けられた第2分岐電力線と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記第1検出部では過電流が検出されるが、前記第2検出部では過電流が検出されない場合、前記共通電力線から前記第1分岐電力線に流入する電流と、前記第2分岐電力線から前記第1分岐
電力線に逆流する電流との合計が閾値以下になるように、少なくとも前記第1モータを間欠制御または位相制御する、
請求項1
または請求項2に記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電気掃除機は、吸込口体に回転ブラシを1つ備える。また、吸込口体に回転ブラシを2つ備えた電気掃除機が提案されている。
ところで、電気掃除機は、信頼性のさらなる向上が期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、信頼性の向上を図ることができる電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電気掃除機は、電動送風機と、第1回転ブラシと、第2回転ブラシと、収容部と、吸気口と、風路と、第1モータと、第2モータと、第1検出部と、第2検出部と、制御部とを持つ。前記収容部は、前記第1回転ブラシと前記第2回転ブラシとを走行方向の前後に平行に収容するとともに、被掃除面に対向する下部に吸込口を有する。前記吸気口は、前記収容部の壁部に開口して設けられている。前記風路は、前記吸気口から吸い込まれた空気を前記電動送風機に向けて案内する。前記第1モータは、前記第1回転ブラシを回転させる。前記第2モータは、前記第1モータと電気的に並列に設けられ、前記第2回転ブラシを回転させる。前記第1検出部は、前記第1モータに流れる過電流を検出する。前記第2検出部は、前記第2モータに流れる過電流を検出する。前記制御部は、前記第1検出部の検出結果および前記第2検出部の検出結果を取得し、前記第1検出部の検出結果と前記第2検出部の検出結果とのうち少なくとも一方に基づき、前記第1モータおよび前記第2モータを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態の電気掃除機の全体構成を示す斜視図。
【
図3】
図2に示された吸込口体のF3-F3線に沿う断面図。
【
図5】第1の実施形態の吸込口体の内部を示す斜視図。
【
図6】第1の実施形態の吸込口体の内部を示す平面図。
【
図7】第1の実施形態の吸込口体に関係する回路構成を示す電気回路図。
【
図8】第1の実施形態の制御に関する機能構成を示すブロック図。
【
図9】第2の実施形態の吸込口体に関係する回路構成を示す電気回路図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の電気掃除機を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして重複する説明は省略する場合がある。本明細書で「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0008】
本明細書では、電気掃除機を使用するユーザを基準に前後、左右、上下を定義する。本明細書で「同じ」および「平行」とは、「略同じ」および「略平行」の場合を含む。本明細書で「接続」とは、電気的な接続である場合も含む。
【0009】
(第1の実施形態)
まず、
図1から
図8を参照し、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態は、吸込口体に2つの回転ブラシ(第1回転ブラシおよび第2回転ブラシ)が設けられ、第1回転ブラシを回転させる第1モータに流れる過電流と、第2回転ブラシを回転させる第2モータに流れる過電流とのうち少なくとも一方が検出された場合に、第1モータおよび第2モータの両方の駆動を抑制する例である。以下、このような第1の実施形態について詳しく説明する。
【0010】
<1.全体構成>
図1は、第1の実施形態の電気掃除機1の全体構成を示す斜視図である。電気掃除機1は、例えば、いわゆるスティック型の電気掃除機であり、電源としての二次電池15が内蔵されたコードレスタイプの電気掃除機である。ただし、電気掃除機1は、上記例に限らず、車輪を含む掃除機本体を有したキャニスタ型など他の形式の電気掃除機でもよい。
【0011】
電気掃除機1は、例えば、掃除機本体10、延長管20、および吸込口体(床ブラシ)30を備えている。掃除機本体10は、例えば、本体ケース11、把持部12、集塵装置13、電動送風機14、二次電池15、および第1制御基板16を有する。
【0012】
本体ケース11は、掃除機本体10の外郭を形成している。本体ケース11は、電動送風機14、二次電池15、および第1制御基板16を収容している。本体ケース11は、後述する延長管20の一端が接続される延長管接続部11aを有する。
【0013】
把持部12は、本体ケース11の上後端部に設けられている。把持部12は、電気掃除機1を用いて被掃除面Fを掃除する場合に、ユーザにより把持される部位である。把持部12は、電気掃除機1の運転に関するユーザの操作を受け付ける操作受付部12aを有する。操作受付部12aは、例えば、複数のボタンを含む。
【0014】
集塵装置13は、本体ケース11に着脱可能に装着されている。集塵装置13は、後述する電動送風機14の働きにより掃除機本体10に吸い込まれた空気に含まれる塵埃を分離する装置である。集塵装置13は、例えば含塵空気を旋回させることで塵埃を分離する遠心分離式の集塵装置でもよく、含塵空気をフィルタに通すことで塵埃を分離する濾過式の集塵装置でもよい。
【0015】
電動送風機14は、ファンモータまたはメインモータと呼ばれるモータと、モータにより回転されるインペラとを含み、駆動されることで負圧を発生させる。電動送風機14は、発生させた負圧により後述する吸込口体30の吸込口30aから掃除機本体10の集塵装置13へ含塵空気を吸い込み、集塵装置13で塵埃が分離された空気を電気掃除機1の外部に排気する。
【0016】
二次電池15は、電気掃除機1が動作するために必要な電力を電気掃除機1に供給する。例えば、二次電池15は、電動送風機14、第1制御基板16、後述する第1モータ(第1ブラシモータ)35、第2モータ(第2ブラシモータ)36、および第2制御基板37などに電力を供給する。
【0017】
第1制御基板16は、配線パターンが設けられた回路基板と、回路基板に実装された複数の電子部品とを含む。これら電子部品は、例えば、コンピュータプログラムを実行するハードウェアプロセッサ、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)などのうち1つ以上の部品を含む。第1制御基板16は、電気掃除機1の動作を制御する制御部83(後述)の一部または全部を実現する。
【0018】
延長管20は、例えば長尺状に形成されており、第1端部20aと、第2端部20bとを有する。延長管20の第1端部20aは、掃除機本体10の延長管接続部10aに気密に接続される。延長管20の第2端部20bは、吸込口体30に気密に接続される。延長管20の内部には、掃除機本体10と吸込口体30とを電気的に接続する接続配線が設けられている。
【0019】
吸込口体30は、被掃除面Fに沿って移動される部分である。以下、本実施形態の吸込口体30について詳しく説明する。
【0020】
<2.吸込口体>
図2は、本実施形態の吸込口体30を示す斜視図である。吸込口体30は、例えば、接続管31、吸込口体ケース32、第1回転ブラシ33、第2回転ブラシ34、第1モータ(第1ブラシモータ)35(
図5参照)、第2モータ(第2ブラシモータ)36(
図5参照)、および第2制御基板37(
図5参照)を有する。
【0021】
接続管31は、吸込口体ケース32と延長管20の第2端部20bとを気密に接続する部分である。接続管31は、吸込口体ケース32に回動可能に接続されている。接続管31により吸込口体ケース32と延長管20とが接続されることで、吸込口体ケース32の吸込口30aから延長管20を経由して掃除機本体10に至る風路が形成される。
【0022】
吸込口体ケース32は、横長、すなわち左右方向に長手状に形成されている。吸込口体ケース32は、被掃除面Fに対向する下部に、吸込口30aを有する。吸込口30aの全部または大部分は下方に向いて開口している。吸込口30aは、掃除機本体10の電動送風機14が駆動されることで、被掃除面Fの塵埃を吸い込む開口部である。
【0023】
図3は、
図2に示された吸込口体30のF3-F3線に沿う断面図である。吸込口体ケース32は、第1収容部41と、第2収容部42とを有する。第1収容部41は、吸込口体ケース32の下部に設けられ、吸込口体ケース32の下面が上方に向けて窪むことで形成されている。第1収容部41は、吸込口30aを通じて吸込口体ケース32の外部に(例えば吸込口体ケース32の下方に)開放されている。第1収容部41には、第1回転ブラシ33および第2回転ブラシ34が設けられている。第2収容部42は、第1収容部41の上方に位置し、吸込口体ケース32の内部に設けられている。第2収容部42には、第1モータ35、第2モータ36、および第2制御基板37が収容されている。
【0024】
図3に示すように、吸込口体30は、吸気口43と、ダクト44とを有する。吸気口43は、第1収容部41と第2収容部42との間に位置した壁部(第1収容部41の天井壁)に設けられ、下方に向けて開口している。吸気口43は、第1回転ブラシ33と第2回転ブラシ34との間に開口している。ダクト44は、例えば第2収容部42の内部に設けられ、吸気口43の上方から接続管31まで延びている。ダクト44は、吸気口43から吸い込まれた含塵空気を接続管31に向けて(すなわち掃除機本体10に向けて)案内する風路45を形成している。掃除機本体10の電動送風機14が駆動されることで、吸込口体30の下方に存在する空気は、被掃除面Fの塵埃とともに吸気口43に吸い込まれ、風路45、接続管31、および延長管20を通って掃除機本体10に導かれる。
【0025】
図4は、吸込口体30を示す下面図である。吸気口43およびダクト44は、吸込口体30の左右方向において、吸込口体ケース32の中央部32cのみに設けられている。吸気口43の左右方向の幅W2(例えば最大幅)は、吸込口体ケース32の左右方向の幅W1(例えば最大幅)の半分以下である。ダクト44の左右方向の幅W3(例えば最大幅)は、吸込口体ケース32の左右方向の幅W1(例えば最大幅)の半分以下である。
【0026】
次に
図3に戻り、第1回転ブラシ33および第2回転ブラシ34について説明する。第1回転ブラシ33は、吸込口30aに設けられ、被掃除面Fに沿って配置されている。第1回転ブラシ33は、吸込口体30の前端部に設けられている。第1回転ブラシ33の長手方向は、吸込口体30の長手方向(左右方向)と平行である。第1回転ブラシ33は、吸込口体30を下方から見た場合、前側から後側へ向かう回転方向(
図3で反時計回りの方向)で回転する。
【0027】
第1回転ブラシ33は、回転シャフト33aと、回転シャフト33aに取り付けられた筒部33bと、筒部33bの外周面に取り付けられた複数の第1起毛帯33cとを有する。第1起毛帯33cは、複数の起毛が埋植された長尺な帯状体である。第1起毛帯33cは、第1回転ブラシ33の回転に伴い、被掃除面Fに接触し、被掃除面Fから塵埃を掻き出すまたは絨毯などの毛先を立たせる。
【0028】
第2回転ブラシ34は、吸込口30aに設けられ、被掃除面Fに沿って配置されている。第2回転ブラシ34は、吸込口体30の前後方向において、第1回転ブラシ33の後方に設けられている。第2回転ブラシ34の長手方向は、第1回転ブラシ33の長手方向と平行である。第2回転ブラシ34は、吸込口体30を下方から見た場合、後側から前側へ向かう回転方向(
図3で時計回りの方向)で回転する。すなわち、第1回転ブラシ33と第2回転ブラシ34は、互いに逆方向に回転する。
【0029】
第2回転ブラシ34は、回転シャフト34aと、回転シャフト34aに取り付けられた筒部34bと、筒部34bの外周面に取り付けられた複数の第2起毛帯34cとを有する。第2起毛帯34cは、複数の起毛が埋植された長尺な帯状体である。例えば、第2起毛帯34cは、第1起毛帯33cと比べて硬質の起毛で形成されている。第2起毛帯34cは、第2回転ブラシ34の回転に伴い、被掃除面Fに接触し、被掃除面Fから塵埃を掻き出すまたは絨毯などの毛先を立たせる。
【0030】
本実施形態では、第2回転ブラシ34の直径は、第1回転ブラシ33の直径よりも小さい。すなわち、被掃除面Fと第1回転ブラシ33との接触面積は、被掃除面Fと第2回転ブラシ34との接触面積よりも大きい。このため、被掃除面Fと第1回転ブラシ33との間の負荷は、被掃除面Fと第2回転ブラシ34との間の負荷よりも大きい場合が多い。言い換えると、第1回転ブラシ33を回転させる負荷は、第2回転ブラシ34を回転させる負荷よりも大きい場合が多い。ただし、被掃除面Fの種類(例えば絨毯の毛の長さ)などによっては、第2回転ブラシ34を回転させる負荷は、第1回転ブラシ33を回転させる負荷よりも大きくなり得る。
【0031】
図5は、吸込口体30の内部を示す斜視図である。第1モータ35は、第1回転ブラシ33を回転させるモータである。例えば、第1モータ35は、吸込口体30の左右方向において、吸込口体ケース32の第1側端部32a(例えば左側端部)と、吸込口体ケース32の中央部32cとの間に配置されている。第1モータ35は、第1モータ35の駆動軸を水平方向に沿わせて配置されている。第1モータ35の駆動軸と、第1回転ブラシ33との間には、第1モータ35の回転を第1回転ブラシ33に伝える第1伝達機構51が設けられている。第1伝達機構51は、例えばベルトとプーリによる伝達機構であるが、これに代えて歯車による伝達機構などであってもよい。
【0032】
第2モータ36は、第2回転ブラシ34を回転させるモータである。例えば、第2モータ36は、吸込口体30の左右方向において、吸込口体ケース32の第2側端部32b(例えば右側端部)と、吸込口体ケース32の中央部32cとの間に配置されている。第2側端部32bは、第1側端部32aとは反対側の端部である。第2モータ36は、第2モータ36の駆動軸を水平方向に沿わせて配置されている。第2モータ36の駆動軸と、第2回転ブラシ34との間には、第2モータ36の回転を第2回転ブラシ34に伝える第2伝達機構52が設けられている。第2伝達機構52は、例えばベルトとプーリによる伝達機構であるが、これに代えて歯車による伝達機構などであってもよい。
【0033】
本実施形態では、第1モータ35と第2モータ36は、互いに同じ仕様のモータである。すなわち、第1モータ35と第2モータ36とは、同一サイズ、同一重量、同一能力のモータである。第1モータ35と第2モータ36とが同じ仕様のモータであると、吸込口体30の左右方向の重量バランスが均等になりやすい。これにより、ユーザの使用感を向上させることができる。
【0034】
第2制御基板37は、配線パターンが設けられた回路基板37aと、回路基板37aに実装された複数の電子部品37bとを含む。これら電子部品37bは、例えば、第1逆起電圧防止ダイオード61、第2逆起電圧防止ダイオード62、第1逆流防止ダイオード63、第2逆流防止ダイオード64、第1安全スイッチ部品65、および第2安全スイッチ部品66を含む。これら部品の詳細については後述する。また、電子部品37bは、例えば、コンピュータプログラムを実行するハードウェアプロセッサ、LSI、ASIC、FPGA、PLDなどのうち1つ以上の部品を含む。
【0035】
第2制御基板37(回路基板37a)は、第1モータ35と第2モータ36との間に配置されている。言い換えると、第2制御基板37(回路基板37a)は、吸込口体ケース32の左右方向の中央部32cに配置されている。
【0036】
図6は、吸込口体30の内部を示す平面図である。本実施形態では、第2制御基板37(回路基板37a)は、吸込口体ケース32を平面視した場合(上方から見た場合)に風路45と重なる位置に配置されている。第2制御基板37(回路基板37a)は、例えば、ダクト44に接している(
図3参照)。本明細書で「回路基板37aがダクト44に接する」とは、回路基板37aがダクト44の風路45を形成している部分に直接接している場合に限定されず、ダクト44に設けられた固定用のボスなどに回路基板37aが接している場合なども含む。
【0037】
図6に示すように、吸込口体ケース32の左右方向において、第1逆起電圧防止ダイオード61および第2逆起電圧防止ダイオード62は、第1逆流防止ダイオード63と、第1安全スイッチ部品65との間に配置されている。第1逆起電圧防止ダイオード61および第2逆起電圧防止ダイオード62は、第1逆流防止ダイオード63および第2逆流防止ダイオード64と比べて、吸込口体ケース32の左右方向の中央部32c近くに配置されている。言い換えると、第1逆起電圧防止ダイオード61および第2逆起電圧防止ダイオード62は、第1逆流防止ダイオード63および第2逆流防止ダイオード64と比べて、発熱体である第2モータ36から遠くに配置されている。これにより、第1逆起電圧防止ダイオード61および第2逆起電圧防止ダイオード62は、第1逆流防止ダイオード63および第2逆流防止ダイオード64と比べて、第2モータ36の発熱の影響を受けにくくなっている。
【0038】
また別の観点で見ると、第1逆起電圧防止ダイオード61および第2逆起電圧防止ダイオード62は、吸込口体ケース32の中央部32cに対して発熱体である第1モータ35とは反対側に配置されている。これにより、第1逆起電圧防止ダイオード61および第2逆起電圧防止ダイオード62は、第1モータ35の発熱の影響を受けにくくなっている。第1モータ35および第2モータ36は、吸込口体30において発熱量が最も大きな部品である。
【0039】
<3.電気回路構成>
次に、吸込口体30に関係する回路構成について説明する。
図7は、吸込口体30に関係する回路構成を示す電気回路図である。電気掃除機1は、例えば、共通電力線P、第1分岐電力線P1、第2分岐電力線P2、ブラシ駆動用スイッチ部品71、制御用電力線P3、ブラシ駆動用補助スイッチ部品72、第1モータ35、第2モータ36、第1逆起電圧防止ダイオード61、第2逆起電圧防止ダイオード62、第1安全スイッチ部品65、第2安全スイッチ部品66、第1検出用回路73、第2検出用回路74、第1逆流防止ダイオード63、および第2逆流防止ダイオード64を含む。
【0040】
共通電力線Pは、電源である掃除機本体10の二次電池15に電気的に接続されている。共通電力線Pには、第1モータ35および第2モータ36を駆動する電力が二次電池15から供給される。なお、電気掃除機1が外部の商用電源に接続されて使用される場合は、共通電力線Pには上記商用電源の電力から生成された所望の電力が供給される。共通電力線Pの下流端である分岐点D1には、第1分岐電力線P1と第2分岐電力線P2とが接続されている。第2分岐電力線P2は、共通電力線Pに対して、第1分岐電力線P1と電気的に並列に接続されている。分岐点D1では、二次電池15からの電流が第1モータ35と第2モータ36とに向けて分かれる。
【0041】
ブラシ駆動用スイッチ部品71は、共通電力線Pに設けられている。ブラシ駆動用スイッチ部品71は、共通電力線Pを導通状態と非導通状態との間で切り替えることで、第1モータ35および第2モータ36の駆動のON/OFFを制御する。ブラシ駆動用スイッチ部品71は、例えば、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)である。ブラシ駆動用スイッチ部品71の入力端子は、共通電力線Pの上流部分Paを介して二次電池15に接続されている。ブラシ駆動用スイッチ部品71の出力端子は、共通電力線Pの下流部分Pbを介して第1分岐電力線P1および第2分岐電力線P2に接続されている。ブラシ駆動用スイッチ部品71の制御端子(ゲート端子)には、制御用電力線P3の第1端が接続されている。
【0042】
制御用電力線P3の途中には接続点Cが設けられている。接続点Cは、抵抗R1を介して共通電力線Pの上流部分Paに接続されている。また、接続点Cは、抵抗R2を介してブラシ駆動用補助スイッチ部品72の入力端子に接続されている。
【0043】
ブラシ駆動用補助スイッチ部品72は、ブラシ駆動用スイッチ部品71の制御端子に所定の電圧を印可するための部品である。ブラシ駆動用補助スイッチ部品72は、例えばトランジスタを含む。ブラシ駆動用補助スイッチ部品72の入力端子には、制御用電力線P3の第2端が接続されている。ブラシ駆動用補助スイッチ部品72の出力端子は、グランドに接続されている。ブラシ駆動用補助スイッチ部品72の制御端子には、第1モータ35および第2モータ36を駆動させるための駆動信号が後述する制御部83から供給される。
【0044】
ブラシ駆動用補助スイッチ部品72は、上記駆動信号が供給された場合に、非導通状態から導通状態に切り替わり、制御用電力線P3をグランドに電気的に接続する。これにより、上記駆動信号が供給された場合、共通電力線Pから制御用電力線P3に電流が流れ、ブラシ駆動用スイッチ部品71の制御端子に所定の電圧が印加される。これにより、ブラシ駆動用スイッチ部品71が非導通状態から導通状態に切り替わり、二次電池15から第1分岐電力線P1および第2分岐電力線P2に電力が供給される。
【0045】
第1モータ35は、第1分岐電力線P1に設けられている。第1モータ35は、ブラシ駆動用スイッチ部品71が導通状態に切り替わることで、第1分岐電力線P1を介して二次電池15から電力が供給されて駆動する。
【0046】
第2モータ36は、第2分岐電力線P2に設けられている。言い換えると、第2モータ36は、第1モータ35と電気的に並列に設けられている。第2モータ36は、ブラシ駆動用スイッチ部品71が導通状態に切り替わることで、第2分岐電力線P2を介して二次電池15から電力が供給されて駆動する。
【0047】
第1逆起電圧防止ダイオード61は、第1モータ35と電気的に逆並列に接続されている。第1逆起電圧防止ダイオード61は、第1モータ35のOFF時に生じるサージ電圧から第1モータ35を保護するダイオードである。第1逆起電圧防止ダイオード61は、「第1ダイオード」の一例である。
【0048】
第2逆起電圧防止ダイオード62は、第2モータ36と電気的に逆並列に接続されている。第2逆起電圧防止ダイオード62は、第2モータのOFF時に生じるサージ電圧から第2モータ36を保護するダイオードである。第2逆起電圧防止ダイオード62は、「第2ダイオード」の一例である。
【0049】
第1安全スイッチ部品65は、第1分岐電力線P1に設けられている。第1安全スイッチ部品65は、第1モータ35とグランドとの間に直列に設けられている。第1安全スイッチ部品65は、例えばトランジスタを含む。第1安全スイッチ部品65の制御端子には、吸込口体30の下面に設けられた機械式スイッチ(不図示)が被掃除面Fに接した場合に制御信号が入力される。第1安全スイッチ部品65は、上記制御信号が入力された場合に、非導通状態から導通状態に切り替わる。これにより、第1モータ35が駆動可能な状態になる。言い換えると、吸込口体30が被掃除面Fから離れた状態では、第1モータ35は駆動しない。これにより、安全性がより高められている。
【0050】
第2安全スイッチ部品66は、第2分岐電力線P2に設けられている。第2安全スイッチ部品66は、第2モータ36とグランドとの間に直列に設けられている。第2安全スイッチ部品66は、例えばトランジスタを含む。第2安全スイッチ部品66の制御端子には、上記機械式スイッチが被掃除面Fに接した場合に制御信号が入力される。第2安全スイッチ部品66は、上記制御信号が入力された場合に、非導通状態から導通状態に切り替わる。これにより、第2モータ36が駆動可能な状態になる。言い換えると、吸込口体30が被掃除面Fから離れた状態では、第2モータ36は駆動しない。これにより、安全性がより高められている。
【0051】
第1検出用回路73は、第1分岐電力線P1に設けられている。例えば、第1検出用回路73は、第1安全スイッチ部品65とグランドとの間に直列に設けられている。第1検出用回路73は、第1分岐電力線P1に接続された分岐点D2と、分岐点D2とグランドとの間に設けられた抵抗R3と、分岐点D2と出力端との間に設けられた抵抗R4とを含む。第1検出用回路73は、第1分岐電力線P1を流れる電流と大きさが比例する第1検出用電流を出力する。これに代えて、第1検出用回路73は、シャント抵抗を有し、第1分岐電力線P1を流れる電流と大きさが比例する第1検出用電圧を出力してもよい。
【0052】
第2検出用回路74は、第2分岐電力線P2に設けられている。例えば、第2検出用回路74は、第2安全スイッチ部品66とグランドとの間に直列に設けられている。第2検出用回路74は、第2分岐電力線P2に接続された分岐点D3と、分岐点D3とグランドとの間に設けられた抵抗R5と、分岐点D3と出力端との間に設けられた抵抗R6とを含む。第1検出用回路73は、第2分岐電力線P2を流れる電流と大きさが比例する第2検出用電流を出力する。これに代えて、第2検出用回路74は、シャント抵抗を有し、第2分岐電力線P2を流れる電流と大きさが比例する第2検出用電圧を出力してもよい。
【0053】
第1逆流防止ダイオード63は、第1分岐電力線P1に設けられている。第1逆流防止ダイオード63は、第1モータ35と分岐点D1との間に直列に接続されている。第1逆流防止ダイオード63は、アノードを分岐点D1に向け、カソードを第1モータ35に向けて第1分岐電力線P1の途中に接続されている。第1逆流防止ダイオード63は、第1モータ35側から分岐点D1に向かう電流の逆流(すなわち、第1分岐電力線P1から分岐点D1を経由して第2分岐電力線P2へ向かう電流の逆流)が生じることを抑制する。第1逆流防止ダイオード63は、「第1電流逆流抑制部品」の一例である。なお「第1電流逆流抑制部品」は、ダイオードに限らず、電流の逆流が生じる場合に非導通状態に切り替えられるトランジスタなどでもよい。
【0054】
第2逆流防止ダイオード64は、第2分岐電力線P2に設けられている。第2逆流防止ダイオード64は、第2モータ36と分岐点D1との間に直列に接続されている。第2逆流防止ダイオード64は、アノードを分岐点D1に向け、カソードを第2モータ36に向けて第2分岐電力線P2の途中に接続されている。第2逆流防止ダイオード64は、第2モータ36側から分岐点D1に向かう電流の逆流(すなわち、第2分岐電力線P2から分岐点D1を経由して第1分岐電力線P1へ向かう電流の逆流)が生じることを抑制する。第2逆流防止ダイオード64は、「第2電流逆流抑制部品」の一例である。なお「第2電流逆流抑制部品」は、ダイオードに限らず、電流の逆流が生じる場合に非導通状態に切り替えられるトランジスタなどでもよい。
【0055】
<4.制御に関する機能構成>
次に、制御に関する機能構成について説明する。
図8は、制御に関する機能構成を示すブロック図である。電気掃除機1は、例えば、第1検出部81、第2検出部82、および制御部83を有する。第1検出部81および第2検出部82は、例えば、第2制御基板37に実装された1つ以上の電子部品37bにより実現される。制御部83は、例えば、第1制御基板16に実装された1つ以上の電子部品により実現される。ただし、第1検出部81および第2検出部82は、第1制御基板16に実装された電子部品により実現されもよい。また、制御部83の一部は、第2制御基板37に実装された電子部品37bにより実現されてもよい。
【0056】
第1検出部81には、第1検出用回路73の出力である第1検出用電流(または第1検出用電圧)が入力される。第1検出部81は、第1検出用回路73の出力に基づき、第1モータ35に流れる電流の電流値を検出する。この電流値は、「第1モータ35に流れる電流の大きさに関する値」の一例である。なお、「第1モータ35に流れる電流の大きさに関する値」は、電流値に限らず、第1モータ35に流れる電流の電圧値でもよい。この場合、制御部83は、上記電圧値に基づき、第1モータ35および第2モータ36の駆動に関する制御を行う。
【0057】
また、第1検出部81は、第1モータ35に流れる電流の電流値を、不図示の記憶部に記憶された所定の閾値と比較し、第1モータ35に流れる過電流を検出する。すなわち、第1検出部81は、第1モータ35に流れる電流の電流値が所定の閾値以上である場合、第1モータ35に流れる電流が過電流であると判定する。なお、第1検出部81は、第1モータ35に流れる電流の電流値を求め、求めた電流値を閾値と比較することに代えて、第1検出用回路73の出力そのものを所定の基準と比較することで、第1モータ35に流れる過電流の有無のみを検出してもよい。
【0058】
第2検出部82には、第2検出用回路74の出力である第2検出用電流(または第2検出用電圧)が入力される。第2検出部82は、第2検出用回路74の出力に基づき、第2モータ36に流れる電流の電流値を検出する。この電流値は、「第2モータ36に流れる電流の大きさに関する値」の一例である。なお、「第2モータ36に流れる電流の大きさに関する値」は、電流値に限らず、第2モータ36に流れる電流の電圧値でもよい。この場合、制御部83は、上記電圧値に基づき、第1モータ35および第2モータ36の駆動に関する制御を行う。
【0059】
また、第2検出部82は、第2モータ36に流れる電流の電流値を、不図示の記憶部に記憶された所定の閾値と比較し、第2モータ36に流れる過電流を検出する。すなわち、第2検出部82は、第2モータ36に流れる電流の電流値が所定の閾値以上である場合、第2モータ36に流れる電流が過電流であると判定する。第2モータ36に流れる過電流を検出するための閾値は、例えば第1モータ35に流れる過電流を検出するための閾値と同じ値である。なお、第2検出部82は、第2モータ36に流れる電流の電流値を求め、求めた電流値を閾値と比較することに代えて、第2検出用回路74の出力そのものを所定の基準と比較することで、第2モータ36に流れる過電流の有無のみを検出してもよい。
【0060】
制御部83は、第1検出部81の検出結果および第2検出部82の検出結果に基づき、第1モータ35および第2モータ36を制御する。本実施形態では、制御部83は、第1検出部81により過電流が検出された場合、第2検出部82の検出結果に関わらず、第1モータ35および第2モータ36の両方の駆動を抑制する。また、制御部83は、第2検出部82により過電流が検出された場合、第1検出部81の検出結果に関わらず、第1モータ35および第2モータ36の両方の駆動を抑制する。
【0061】
例えば、制御部83は、第1検出部81により過電流が検出された場合、第2検出部82の検出結果に関わらず、第1モータ35の駆動と第2モータ36の駆動とを互いに同じだけ抑制する。ここで言う「同じだけ」とは、回転数を同じだけ低下させる場合に限定されず、第1モータ35に入力される電流の減少率と、第2モータ36に入力される電流の減少率とが同じ場合なども含む。
【0062】
例えば、制御部83は、第1検出部81により過電流が検出された場合、第1モータ35および第2モータ36を間欠制御することにより、第1モータ35および第2モータ36に入力される電流の大きさを小さくする。
【0063】
本実施形態では、制御部83は、第1検出部81により過電流が検出された場合、ブラシ駆動用スイッチ部品71に対して制御信号を断続的に出力することで、ブラシ駆動用スイッチ部品71がON/OFFを繰り返すPWM(Pulse Width Modulation)制御を行う。これにより、第1モータ35および第2モータ36に電力が供給される通電時間が短くなり、第1モータ35および第2モータ36に入力される電流の大きさが小さくなる。これに代えて、制御部83は、第1検出部81により過電流が検出された場合、位相制御を行う(進角を調整する)ことで、第1モータ35および第2モータ36に入力される電流の大きさを小さくしてもよい。なお、間欠制御または位相制御の制御量(第1および第2のモータ35,36に入力される電流の大きさの低下量)は、1つの固定値であってもよいし、第1および第2の検出部81,82により検出された過電流の大きさに応じて変更可能な複数の値(複数の制御量)が予め設定されていてもよい。すなわち、第1および第2の検出部81,82により検出された過電流の大きさが大きいほど、第1および第2のモータ35,36に入力される電流の大きさを大きく低下させるように、第1および第2のモータ35,36に対する間欠制御または位相制御が行われてもよい。
【0064】
同様に、制御部83は、第2検出部82により過電流が検出された場合、第1検出部81の検出結果に関わらず、第1モータ35の駆動と第2モータ36の駆動とを互いに同じだけ抑制する。例えば、制御部83は、第2検出部82により過電流が検出された場合、第1モータ35および第2モータ36を間欠制御することにより、第1モータ35および第2モータ36に入力される電流の大きさを小さくする。
【0065】
本実施形態では、制御部83は、第2検出部82により過電流が検出された場合、ブラシ駆動用スイッチ部品71に対して制御信号を断続的に出力することで、ブラシ駆動用スイッチ部品71がON/OFFを繰り返すPWM制御を行う。これにより、第1モータ35および第2モータ36に電力が供給される通電時間が短くなり、第1モータ35および第2モータ36に入力される電流の大きさが小さくなる。これに代えて、制御部83は、第2検出部82により過電流が検出された場合、位相制御を行う(進角を調整する)ことで、第1モータ35および第2モータ36に入力される電流の大きさを小さくしてもよい。
【0066】
<5.作用>
まず、第1検出部81および第2検出部82の作用について説明する。電気掃除機1の使用中に、負荷が高い被掃除面F(例えば毛先が長い絨毯)を掃除する場合や、回転ブラシに異物が絡みついた場合に、回転ブラシの負荷が大きくなる場合がある。ここで、被掃除面Fや異物の状態によっては、第1回転ブラシ33と第2回転ブラシ34の一方がロック状態になったり、第1回転ブラシ33と第2回転ブラシ34の一方に負荷が偏る場合がある。この場合、第1モータ35と第2モータ36とのうち一方のみに過電流が流れる場合がある。
【0067】
本実施形態では、第1モータ35と第2モータ36とのうち一方のみに過電流が流れた場合でも、第1モータ35および第2モータ36にそれぞれ対応して個別に設けられた第1検出部81と第2検出部82によって第1モータ35に流れる過電流および第2モータ36に流れる過電流が確実に検出される。そして、制御部83は、第1モータ35と第2モータ36とのうち少なくとも一方に過電流が流れる場合、第1モータ35および第2モータ36を間欠制御することで、第1モータ35および第2モータ36に流れる電流の大きさを小さくする。これにより、第1モータ35および第2モータ36が過電流から保護される。
【0068】
次に、第1逆流防止ダイオード63および第2逆流防止ダイオード64の作用について説明する。第1回転ブラシ33と第2回転ブラシ34とのうち一方の負荷が大きくなると、第1モータ35に流れる電流と第2モータ36に流れる電流とに差が生じる。例えば、第1回転ブラシ33と比べて第2回転ブラシ34に負荷が偏る場合、第1モータ35と比べて大きな電流が第2モータ36に流れる。この場合、第2モータ36のOFF時に第2逆起電圧防止ダイオード62に流れる順方向電流(IF)は、第1モータ35のOFF時に第1逆起電圧防止ダイオード61に流れる順方向電流(IF)と比べて大きくなる。その結果、第2逆起電圧防止ダイオード62の順方向電圧(VF)は、第1逆起電圧防止ダイオード61の順方向電圧(VF)よりも高くなる。
【0069】
第2逆起電圧防止ダイオード62の順方向電圧(VF)が第1逆起電圧防止ダイオード61の順方向電圧(VF)よりも高くなると、順方向電圧の差に基づいて、第1分岐電力線P1から分岐点D1を経由して第2分岐電力線P2に電流が逆流しようとする。すなわち、順方向電圧が小さい方(負荷が軽い方)から順方向電圧が大きい方(負荷が大きい方)に電流が流れ込もうとする。第1分岐電力線P1から第2分岐電力線P2に電流の逆流が生じると、第2モータ36に流れる電流がさらに増加し、第2モータ36の故障の原因となる。しかしながら本実施形態では、第1逆流防止ダイオード63が設けられることで、第1分岐電力線P1から第2分岐電力線P2に電流の逆流が抑制される。同様に、第2逆流防止ダイオード64が設けられることで、第2分岐電力線P2から第1分岐電力線P1に電流の逆流が抑制される。
【0070】
図3に示すように、電気掃除機1の使用時には、吸込口体30の吸気口43から吸い込まれた空気が風路45を流れる。その結果、風路45を流れる空気によって、ダクト44が冷やされ、ダクト44の周囲の空気温度が低く保たれやすい。このため、本実施形態では、第2制御基板37の回路基板37aの温度が低く保たれやすい。回路基板37aの温度が低く保たれると、第1逆起電圧防止ダイオード61、第2逆起電圧防止ダイオード62、第1逆流防止ダイオード63、および第2逆流防止ダイオード64の温度上昇が抑制される。
【0071】
<6.利点>
比較例として、共通電力線Pに流れる電流(合成電流)に基づいて過電流検出を行う場合を考える。ここで電気掃除機1においては、上述したように被掃除面Fや異物の状態によっては、第1回転ブラシ33と第2回転ブラシ34の一方がロック状態になったり、第1回転ブラシ33と第2回転ブラシ34の一方に負荷が偏る場合がある。この場合、合成電流で見ると許容範囲であるが、第1回転ブラシ33と第2回転ブラシ34の一方に許容値を超える過電流が流れる場合があり得る。このような電流が流れると電気掃除機1の故障の原因となる。
【0072】
一方で、本実施形態では、第1モータ35に流れる過電流を検出する第1検出部81と、第2モータ36に流れる過電流を検出する第2検出部82とが個別に設けられている。このような構成によれば、第1回転ブラシ33と第2回転ブラシ34の一方に負荷が偏り、第1モータ35と第2モータ36とのうち一方のみに過電流が流れる場合であっても、その過電流を確実に検出することができる。これにより、第1モータ35および第2モータ36の保護を確実に行うことができる。その結果、電気掃除機1の故障発生を抑制することができ、電気掃除機1の信頼性を高めることができる。
【0073】
ここで、第1モータ35および第2モータ36の一方に過電流が検出された場合、過電流が検出されたモータの駆動だけを抑制すると、次のような事象が生じる。すなわちこの場合、モータの保護は図れるが、一方の回転ブラシのみが高い回転を続け、通常時に対して電気掃除機1の使用感が異なり(前後のどちらかに吸込口体30が進みやすくなり)、ユーザが違和感を覚える可能性がある。
【0074】
そこで本実施形態では、制御部83は、第1検出部81により過電流が検出された場合、第2検出部82の検出結果に関わらず、第1モータ35および第2モータ36の両方の駆動を抑制する。また制御部83は、第2検出部82により過電流が検出された場合、第1検出部81の検出結果に関わらず、第1モータ35および第2モータ36の両方の駆動を抑制する。このような構成によれば、第1モータ35および第2モータ36の一方に過電流が検出された場合であっても両方のモータ35,36の駆動を抑制するため、通常時に対して電気掃除機1の使用感が異なりにくく、ユーザが違和感を覚える可能性を小さくすることができる。
【0075】
本実施形態では、制御部83は、第1検出部81により過電流が検出された場合、第2検出部82の検出結果に関わらず、第1モータ35の駆動と第2モータ36の駆動とを互いに同じだけ抑制する。このような構成によれば、ユーザが違和感を覚える可能性をさらに小さくすることができる場合がある。
【0076】
本実施形態では、第1モータ35は、吸込口体ケース32の第1側端部32aと吸込口体ケース32の中央部32cとの間に配置されている。第2モータ36は、吸込口体ケース32の第2側端部32bと吸込口体ケース32の中央部32cとの間に配置されている。回路基板37aは、第1モータ35と第2モータ36との間に配置されている。このような構成によれば、第1モータ35と第2モータ36が吸込口体30の左右の領域に分かれて配置されるため、吸込口体30の左右の重量バランスが均一になりやすく、ユーザの使用感を向上させることができる。また、そのような構成において、第1モータ35と第2モータ36との間のスペースを利用して回路基板37aが配置されることで、吸込口体30の小型化を図ることができる。
【0077】
本実施形態では、回路基板37aは、吸込口体ケース32を平面視した場合に風路45と重なる位置に配置されている。このような構成によれば、風路45を流れる風によって風路45の周囲の温度上昇が抑制され、その結果、回路基板37aの温度上昇を抑制することができる。これにより、回路基板37aに実装された電子部品37b(例えばダイオード61,62,63,64)の長寿命化や故障の抑制を図ることができる。
【0078】
ここで、第1逆起電圧防止ダイオード61および第2逆起電圧防止ダイオード62が仮に不具合が生じると、第1モータ35および第2モータ36に高いサージ電圧がかかる。このため、第1逆起電圧防止ダイオード61および第2逆起電圧防止ダイオード62は、第1逆流防止ダイオード63および第2逆流防止ダイオード64と比べて、相対的に重要な部品である。
【0079】
そこで本実施形態では、第1逆起電圧防止ダイオード61および第2逆起電圧防止ダイオード62は、第1逆流防止ダイオード63および第2逆流防止ダイオード64と比べて、発熱体(第2モータ36)から遠くに配置されている。これにより、第1逆起電圧防止ダイオード61および第2逆起電圧防止ダイオード62は、第1逆流防止ダイオード63および第2逆流防止ダイオード64と比べて、温度上昇が抑制されている。これにより、第1逆起電圧防止ダイオード61および第2逆起電圧防止ダイオード62に不具合が発生する可能性を小さくすることができる。
【0080】
本実施形態では、第1モータ35と分岐点D1との間に第1逆流防止ダイオード63が設けられている。第2モータ36と分岐点D1との間に第2逆流防止ダイオード64が設けられている。このような構成によれば、上述したように、第1分岐電力線P1から第2分岐電力線P2への電流の逆流、および第2分岐電力線P2から第1分岐電力線P1への電流の逆流が抑制される。これにより、第1モータ35および第2モータ36の保護をさらに高いレベルで図ることができ、電気掃除機1の信頼性をさらに向上させることができる。
【0081】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、第1および第2の逆流防止ダイオード63,64が設けられていない場合の例である。なお以下に説明する以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0082】
図9は、第2の実施形態の吸込口体30に関係する回路構成を示す電気回路図である。本実施形態では、電気掃除機1は、ブラシ駆動用スイッチ部品71およびブラシ駆動用補助スイッチ部品72に代えて、第1ブラシ駆動用スイッチ部品71A、第2ブラシ駆動用スイッチ部品71B、第1ブラシ駆動用補助スイッチ部品72A、および第1ブラシ駆動用補助スイッチ部品72Bを有する。本実施形態では、第1逆流防止ダイオード63および第2逆流防止ダイオード64は設けられていない。
【0083】
第1ブラシ駆動用スイッチ部品71Aは、分岐点D1よりも下流側で第1分岐電力線P1に設けられている。第1ブラシ駆動用スイッチ部品71Aは、第1分岐電力線P1を導通状態と非導通状態との間で切り替えることで、第2モータ36の駆動とは独立して、第1モータ35の駆動のON/OFFを制御する。
【0084】
第2ブラシ駆動用スイッチ部品71Bは、分岐点D1よりも下流側で第2分岐電力線P2に設けられている。第2ブラシ駆動用スイッチ部品71Bは、第2分岐電力線P2を導通状態と非導通状態との間で切り替えることで、第1モータ35の駆動とは独立して、第2モータ36の駆動のON/OFFを制御する。
【0085】
第1ブラシ駆動用補助スイッチ部品72Aは、ブラシ駆動用補助スイッチ部品72と同様に、第1ブラシ駆動用スイッチ部品71Aの制御端子に所定の電圧を印可するための部品である。第1ブラシ駆動用補助スイッチ部品72Aは、制御部83から第1モータ35用の駆動信号が供給された場合に、非導通状態から導通状態に切り替わり、制御用電力線P3をグランドに電気的に接続する。これにより、第1ブラシ駆動用スイッチ部品71Aの制御端子に所定の電圧が印加され、第1ブラシ駆動用スイッチ部品71Aが導通状態に切り替わる。
【0086】
第2ブラシ駆動用補助スイッチ部品72Bは、ブラシ駆動用補助スイッチ部品72と同様に、第2ブラシ駆動用スイッチ部品71Bの制御端子に所定の電圧を印可するための部品である。第2ブラシ駆動用補助スイッチ部品72Bは、制御部83から第2モータ36用の駆動信号が供給された場合に、非導通状態から導通状態に切り替わり、制御用電力線P3をグランドに電気的に接続する。これにより、第2ブラシ駆動用スイッチ部品71Bの制御端子に所定の電圧が印加され、第2ブラシ駆動用スイッチ部品71Bが導通状態に切り替わる。このような構成を備えることで、本実施形態では、第1モータ35と第2モータ36とを互いに独立して制御される。
【0087】
本実施形態では、第1回転ブラシ33の負荷(第1モータ35の負荷)と、第2回転ブラシ34の負荷(第2モータ36の負荷)との間に偏りが生じると、第1逆起電圧防止ダイオード61の順方向電圧(VF)と第2逆起電圧防止ダイオード62の順方向電圧(VF)との差に基づき、第1分岐電力線P1から第2分岐電力線P2に向かう逆流、または第2分岐電力線P2から第1分岐電力線P1に向かう逆流が生じる。
【0088】
そこで本実施形態では、制御部83は、例えば、第1検出部81では過電流が検出されるが、第2検出部82では過電流が検出されない場合、共通電力線Pから第1分岐電力線P1に流入する電流(二次電池15から第1分岐電力線P1に流入する電流)と、第2分岐電力線P2から第1分岐電流線P2に逆流する電流との合計が閾値以下になるように、少なくとも第1モータ35を間欠制御または位相制御する。なお、上記閾値(以下、区別のため「第1特定閾値」と称する)は、第1モータ35に流れる電流が過電流であるか否かを判定するための上述した閾値(以下では、区別のため「第1判定閾値」と称する)と同じでもよく、第1判定閾値よりも小さい値(安全用のマージンを持たせた値)でもよい。また、第1特定閾値は、固定値でもよく、第1モータ35に流れる電流値と第2モータ36に流れる電流値との差(言い換えると、第1および第2の逆起電圧防止ダイオード61,62の順方向電圧(VF)の差)の大きさに応じて値が変更される変動値でもよい。
【0089】
本実施形態では、第1検出部81では過電流が検出されるが、第2検出部82では過電流が検出されない場合、共通電力線Pから第1分岐電力線P1に流入する電流(二次電池15から第1分岐電力線P1に流入する電流)と、第2分岐電力線P2から第1分岐電流線P1に逆流する電流との合計が第1特定閾値以下になるように、第1モータ35および第2モータ36の両方を間欠制御または位相制御する。例えば、第1モータ35および第2モータ36は、互いに同じだけ駆動が抑制される。これにより、第2分岐電力線P2から第1分岐電流線P1に逆流する電流の大きさ自体も小さくする。
【0090】
同様に、本実施形態では、制御部83は、例えば、第2検出部82では過電流が検出されるが、第1検出部81では過電流が検出されない場合、共通電力線Pから第2分岐電力線P2に流入する電流(二次電池15から第2分岐電力線P2に流入する電流)と、第1分岐電力線P1から第2分岐電流線P2に逆流する電流との合計が閾値以下になるように、少なくとも第2モータ36を間欠制御または位相制御する。なお、上記閾値(以下、区別のため「第2特定閾値」と称する)は、第2モータ36に流れる電流が過電流であるか否かを判定するための上述した閾値(以下では、区別のため「第2判定閾値」と称する)と同じでもよく、第2判定閾値よりも小さい値(安全用のマージンを持たせた値)でもよい。また、第2特定閾値は、固定値でもよく、第1モータ35に流れる電流値と第2モータ36に流れる電流値との差(言い換えると、第1および第2の逆起電圧防止ダイオード61,62の順方向電圧(VF)の差)の大きさに応じて値が変更される変動値でもよい。第2特定閾値は、第1特定閾値と同じでもよく、異なってもよい。
【0091】
本実施形態では、第2検出部82では過電流が検出されるが、第1検出部81では過電流が検出されない場合、共通電力線Pから第2分岐電力線P2に流入する電流(二次電池15から第2分岐電力線P2に流入する電流)と、第1分岐電力線P1から第2分岐電流線P2に逆流する電流との合計が第2特定閾値以下になるように、第1モータ35および第2モータ36の両方を間欠制御または位相制御する。例えば、第1モータ35および第2モータ36は、互いに同じだけ駆動が抑制される。これにより、第1分岐電力線P1から第2分岐電流線P1に逆流する電流の大きさ自体も小さくする。
【0092】
このような構成によれば、第1および第2の逆流防止ダイオード63,64が設けられていない場合であっても、第1および第2のモータ35,36に適した大きさの電流を供給することができる。なお本実施形態では、第1モータ35と第2モータ36の制御を独立して行うことができる構成の例について述べたが、第1モータ35および第2モータ36に対する駆動制御が一律に行われる場合、第1ブラシ駆動用スイッチ部品71A、第2ブラシ駆動用スイッチ部品71B、第1ブラシ駆動用補助スイッチ部品72A、および第1ブラシ駆動用補助スイッチ部品72Bに代えて、第1の実施形態と同様に、ブラシ駆動用スイッチ部品71およびブラシ駆動用補助スイッチ部品72が設けられてもよい。
【0093】
以上、2つの実施形態について説明した。ただし、実施形態は、上記例に限定されるものではない。例えば、回転ブラシと被掃除面Fとの接触面積などの理由で、第1回転ブラシ33を回転させる負荷が第2回転ブラシ34を回転させる負荷よりも一定以上大きい場合は、次のような制御を行ってもよい。すなわち、第1モータ35に流れる過電流と、第2モータ36に流れる過電流とのうち少なくとも一方が検出され、第1モータ35および第2モータ36の両方の駆動を抑制する場合、第2モータ36に入力される電流の減少率を、第1モータ35に入力される電流の減少率よりも大きくしてもよい。これは、第1モータ35に入力される電流の減少率と、第2モータ36に入力される電流の減少率とが同じであれば、第1回転ブラシ33と被掃除面Fとの間の力の減少分が第2回転ブラシ34と被掃除面Fとの間の力の減少分よりも大きくなるためである。このため、第2モータ36に入力される電流の減少率を、第1モータ35に入力される電流の減少率よりも大きくすることで、第1回転ブラシ33と被掃除面Fとの間の力の減少分と第2回転ブラシ34と被掃除面Fとの間の力の減少分とがより近付くようにしてもよい。
【0094】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、第1モータに流れる過電流を検出する第1検出部と、第2モータに流れる過電流を検出する第2検出部とを備えることにより、電気掃除機の信頼性の向上を図ることができる。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0096】
1…電気掃除機、30…吸込口体、32…吸込口体ケース、32a…第1側端部、32b…第2側端部、32c…中央部、33…第1回転ブラシ、34…第2回転ブラシ、35…第1モータ、36…第2モータ、37a…回路基板、43…吸気口、45…風路、61…第1逆起電圧防止ダイオード、62…第2逆起電圧防止ダイオード、63…第1逆流防止ダイオード(第1電流逆流抑制部品)、64…第2逆流防止ダイオード(第2電流逆流抑制部品)、73…第1検出用回路、74…第2検出用回路、81…第1検出部、82…第2検出部、83…制御部、P…共通電力線、P1…第1分岐電力線、P2…第2分岐電力線、D1…分岐点、F…被掃除面。