(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
F02M 37/18 20060101AFI20230424BHJP
F02M 37/10 20060101ALI20230424BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
F02M37/18 A
F02M37/10 H
F02M37/00 301T
F02M37/00 301L
(21)【出願番号】P 2019157066
(22)【出願日】2019-08-29
【審査請求日】2021-11-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】郷 将之
(72)【発明者】
【氏名】蟹江 崇
(72)【発明者】
【氏名】武村 盛博
【審査官】中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-053857(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0190495(US,A1)
【文献】特開2005-351170(JP,A)
【文献】特開平10-339234(JP,A)
【文献】特開2000-303928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/18
F02M 37/10
F02M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク内の燃料を該燃料タンク外に移送する燃料供給装置であって、
前記燃料タンク内に配設された燃料を一時的に貯留するサブタンクと、
前記サブタンク内にある燃料を圧送する燃料ポンプと、
前記燃料ポンプから吐出された燃料によって負圧を発生させ、前記燃料タンク内かつ前記サブタンク外にある燃料を、該サブタンク内へと導入するジェットポンプと、を備え
前記サブタンクの
鉛直方向上方にある上面には、該上面より下方に延在する凹面を有
しかつ前記ジェットポンプが上方から嵌合される凹部が形成されており、
前記ジェットポンプは、
前記凹部と嵌合して前記凹部内に配設されている、燃料供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料供給装置であって、
前記ジェットポンプは、前記サブタンクの前記上面の外縁を越えて配設されている、燃料供給装置。
【請求項3】
燃料タンク内の燃料を該燃料タンク外に移送する燃料供給装置であって、
前記燃料タンク内に配設された燃料を一時的に貯留するサブタンクと、
前記サブタンク内にある燃料を圧送する燃料ポンプと、
前記燃料ポンプから吐出された燃料によって負圧を発生させ、前記燃料タンク内かつ前記サブタンク外にある燃料を、該サブタンク内へと導入するジェットポンプと、を備え
前記サブタンクの上面には、該上面より下方に延在する凹面を有する凹部が形成されており、
前記ジェットポンプは、前記凹部内に、前記サブタンクの前記上面の外縁を越えて配設されており、
前記凹部は、前記ジェットポンプの、前記サブタンクの前記上面の外縁を越えて配設されている部分の外周を覆う壁部を有する、燃料供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の燃料供給装置であって、
前記凹面は、前記ジェットポンプの、前記サブタンクの前記上面の外縁を越えて配設されている部分の下面を覆うように延在し、
前記凹面は前記壁部の下端と連続している、燃料供給装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の燃料供給装置であって、
前記ジェットポンプの外形は、前記凹部と嵌合するよう形成されている、燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料タンクに搭載され、燃料タンク内の燃料を内燃機関へ供給する燃料供給装置は、例えば車両が走行中に傾斜した場合でも、安定的な燃料の供給を可能とするため、サブタンクを備えている。そして、燃料供給装置は、燃料タンク内であってサブタンク外にある燃料をサブタンク内に取り込むためのジェットポンプを更に備えている。特許文献1の燃料供給装置では、ジェットポンプが、サブタンクの上面に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の燃料供給装置を組み立てる際、ジェットポンプをサブタンクに組付ける。この場合ジェットポンプを、開口に位置合わせをしつつ嵌合する必要がある。このため、ジェットポンプのサブタンクへの組付け作業が容易ではない。
【0005】
而して、本明細書に開示の技術が解決しようとする課題は、上述した点に鑑みて創案されたものであって、ジェットポンプのサブタンクへの組付けを容易にすることにある。
【0006】
上記課題を解決するために、本明細書に開示の燃料供給装置は次の手段をとる。
【0007】
第1の手段は、燃料タンク内の燃料を該燃料タンク外に移送する燃料供給装置であって、前記燃料タンク内に配設された燃料を一時的に貯留するサブタンクと、前記サブタンク内にある燃料を圧送する燃料ポンプと、前記燃料ポンプから吐出された燃料によって負圧を発生させ、前記燃料タンク内かつ前記サブタンク外にある燃料を、該サブタンク内へと導入するジェットポンプと、を備え前記サブタンクの上面には、該上面より下方に延在する凹面を有する凹部が形成されており、前記ジェットポンプは、前記凹部内に配設されている、燃料供給装置である。第1の手段におけるサブタンクは、以下のようにも構成できる。即ち、前記サブタンクの鉛直方向上方にある上面には、該上面より下方に延在する凹面を有しかつ前記ジェットポンプが上方から嵌合される凹部が形成されている。この場合、前記ジェットポンプは、前記凹部と嵌合して前記凹部内に配設されている。
【0008】
上記第1の手段によれば、サブタンクの上面より下方に延在する凹面を有する凹部によって側壁が形成される。この側壁によって、ジェットポンプのサブタンクへの組付け時において、ジェットポンプの一部を位置決めすることができる。その結果、ジェットポンプを、サブタンク上の、意図された装着位置へとガイドすることができる。
【0009】
第2の手段は、上記第1の手段の燃料供給装置であって、前記ジェットポンプは、前記サブタンクの前記上面の外縁を越えて配設されている、燃料供給装置である。
【0010】
上記第2の手段によれば、ジェットポンプが外縁の内部にのみ配設されている場合と比して、ジェットポンプの配置の自由度が向上する。
【0011】
第3の手段は、上記第2の手段の燃料供給装置であって、前記凹部は、前記ジェットポンプの、前記サブタンクの前記上面の外縁を越えて配設されている部分の外周を覆う壁部を有する、燃料供給装置である。
【0012】
上記第3の手段によれば、ジェットポンプのサブタンクへの組付け時において、側壁と壁部とがガイドとなることによってジェットポンプを位置決めすることができる。そのため、ジェットポンプの組付け性が向上する。
【0013】
第4の手段は、上記第3の手段の燃料供給装置であって、前記凹面は、前記ジェットポンプの、前記サブタンクの前記上面の外縁を越えて配設されている部分の下面を覆うように延在し、前記凹面は前記壁部の下端と連続している、燃料供給装置である。
【0014】
上記第4の手段によれば、燃料供給装置を搭載した車両が傾き、これに伴い燃料供給装置もまた傾き、サブタンク内部に貯留された燃料が、例えば、サブタンク上面に形成された開口から外部にあふれたとしても、あふれた燃料を凹部の凹面と壁部とにより形成される領域に、貯留することができる。その後、燃料供給装置の姿勢が水平に復帰した際に、領域に貯留されていた燃料が再びサブタンク本体内部に戻る。そのため、サブタンク内の燃料の減少を抑制することができる。
【0015】
第5の手段は、上記第1乃至第4の手段のいずれかの燃料供給装置であって、前記ジェットポンプの外形は、前記凹部と嵌合するよう形成されている、燃料供給装置である。
【0016】
上記第5の手段によれば、ジェットポンプと凹部とが嵌合するため、ジェットポンプの組付け性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
上述した本明細書に開示の燃料供給装置の手段によれば、ジェットポンプのサブタンクへの組付けを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1の実施形態に係る燃料供給装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示すポンプユニットの内部構造を示す斜視図である。なお、サブタンク本体は二点鎖線で示している。
【
図3】
図1に示すポンプユニットの外観を示す斜視図である。なお、理解を容易とするため、一部の部材を省略して図示した。
【
図4】
図3に示すポンプユニットの、ジェットポンプ装着前の状態を示す斜視図である。
【
図6】第1の実施形態の変形例に係るポンプユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施形態]
(燃料供給装置)
第1の実施形態を、
図1乃至
図5を用いて説明する。本実施形態の燃料供給装置1は、自動車等の車両に搭載されるものであり、燃料タンク内の液体燃料を燃料タンクの外部すなわち内燃機関(エンジン)へ供給するものである。座標系には、右手系の直交座標を採用し、
図1における左右方向をX軸に、前後方向をY軸に、上下方向をZ軸にそれぞれ対応づける。燃料供給装置1の上下方向は、車両の燃料タンクに搭載された状態での重力方向いわゆる天地方向に対応する。なお、左右方向、前後方向は車両に搭載された際の方向とは必ずしも一致しない。
【0020】
燃料供給装置1は、
図1に示す蓋部3、ポンプユニット5、蓋部3及びポンプユニット5を連結する連結機構7(
図2に連結機構7の一部を示す)を有する。燃料供給装置1は、その蓋部3が燃料タンク(図示略)の上部開口を閉塞し、他の部分が、該燃料タンク内部に位置するように、配設される。本実施形態の燃料供給装置1が配設される燃料タンクは、所謂鞍型の燃料タンクであり、下方に向かう2個の垂れ形状の分室を有する。本実施形態の燃料供給装置1は、これらの分室の一方に配設されるものとする。
【0021】
(蓋部)
図1に示すように、蓋部3の主体である蓋部材10は円板状に形成されている。蓋部3は、例えばポリアセタール樹脂(POM)からなる樹脂製である。蓋部材10には、ブリーザパイプ12、燃料吐出ポート14、電気コネクタ部18が形成されている。給油時において、ブリーザパイプ12の下面開口部が燃料の液面により完全に塞がれると、燃料タンクの内圧が上昇し、これによって給油が停止される。燃料吐出ポート14は、蓋部材10の左端部を上下方向に貫通する管状に形成されている。燃料吐出ポート14の上端部は後方に向けて屈曲されている。燃料吐出ポート14の上端は、図示しない接続管によって内燃機関のインジェクタに連通している。電気コネクタ部18は、蓋部材の右端部に配置されており、燃料タンク内外の電気配線の接続に用いられる。
【0022】
(連結機構)
図2に示すように、連結機構7は、蓋部材10(
図1参照)の後端部より下方に向かって延在する筒状部20と、その上端が筒状部20内に挿入されかつ下端が後述する、サブタンク24のサブタンク本体32の後端に形成された開口に挿入される柱状部22を有する。柱状部22は、例えば、周知のスナップフィット機構により筒状部20及びサブタンク本体32と、それぞれ連結している。筒状部20内部には図示しないコイルスプリングが配設されており、柱状部22を下方に付勢する。この付勢力によりポンプユニット5は燃料タンクの底壁に対して押し付けられる。
【0023】
(ポンプユニット)
図2に示すように、ポンプユニット5は、サブタンク24、燃料ポンプ26、プレッシャレギュレータ28及びジェットポンプ30を備えている。サブタンク24は、サブタンク本体32、ロアカバー34及びサブタンク本体32とロアカバー34の間に配設される、燃料フィルタ36を備えている。
【0024】
(サブタンク本体)
図3~
図5の各図に示されるように、サブタンク本体32は、タンク形成部38、燃料ポンプケース部40、分岐通路部42、レギュレータケース部44及びジェットポンプケース部46を有する。サブタンク本体32は、例えばポリアセタール樹脂(POM)からなる樹脂製である。
【0025】
(タンク形成部、燃料ポンプケース)
図3及び
図4に良く示されるように、タンク形成部38は、上面を閉鎖する略円筒状に形成されている。燃料ポンプケース部40は、有天円筒形状を有しており、タンク形成部38の上面部からその一部が突出し、残りの部分はタンク形成部38の内部に収容されるよう、タンク形成部38と一体に形成されている。
【0026】
(レギュレータケース部)
レギュレータケース部44は、下面を開口する有天円筒状に形成されている。レギュレータケース部44は、タンク形成部38と一体に形成されており、その大部分はタンク形成部38の内部に収容されており、側壁の上端のわずかな部分と上面のみが、タンク形成部38の上面から上方へと突出している。
【0027】
(分岐通路部)
図3及び
図4に良く示されるように、分岐通路部42は、扁平な筒状に形成されている。分岐通路部42は、燃料ポンプケース部40及びレギュレータケース部44と一体に形成されている。すなわち、その右部は燃料ポンプケース部40の上面から突出しており、左部はレギュレータケース部44の上面から突出している。分岐通路部42の上面開口は、蓋部材47により閉塞されている。
【0028】
図2に示されるように、分岐通路部42内部には、コイルスプリング60及び弁体62を有する逆止弁64が形成されている。すなわち、分岐通路部42内の圧力が所定の圧力より小さい場合は、弁体62は、分岐通路部42内の流路を閉塞している。一方、圧力が所定の圧力より大きくなった場合は、弁体62は、上方に向かって移動し、流路を開放する。
【0029】
図2に示すように、分岐通路部42の右壁面には、第1分岐ポート66が一体形成されている。第1分岐ポート66は、後述するジェットポンプ30の流入ポート128の端部と、フレキシブルチューブ、ゴムホース等の可撓性を有する管部材68を介して接続されている。分岐通路部42の左壁面には、第2分岐ポート70が一体形成されている。第2分岐ポート70と燃料吐出ポート14の下端部は、フレキシブルチューブ、ゴムホース等の可撓性を有する管部材72を介して接続されている。分岐通路部42内部から、燃料吐出ポート14までの燃料の流れを、矢印S2により示す。
【0030】
(ジェットポンプケース部)
図4に良く示すように、ジェットポンプケース部46は、タンク形成部38と一体に形成されている。より詳細には、タンク形成部38の上面前方に、該上面よりも下方において延在する凹面74を有する凹部76が形成されている。タンク形成部38の上面は外縁80を有している。本実施形態における凹部76を形成する凹面74の一部は、
図5に良く示すように、サブタンク本体32の上面の外縁80よりも、外方へ向かって延在して、すなわち突出して形成されている。そして、
図4に示す側壁78は、凹面74のうち、外縁80より内部にある部分とタンク形成部38の上面との境界である。なお、本明細書において、「外縁80よりも外方に向かって延在」とは、凹部76を形成しなかった場合にタンク形成部38の上面の外縁80となったであろう、仮想的な輪郭よりも外方に向かって延在していることを意味する。本実施形態では、タンク形成部38は略円筒形状を有しているため、タンク形成部38の上面の仮想的な輪郭は円形となる。そして、仮想的な輪郭の、凹面74と重なる部分は円弧82(
図5参照)である。
【0031】
図3から
図5の各図に示すように、凹面74の外縁80から突出した部位を含む、外方の端部には、壁部84が形成されている。すなわち、該端部と壁部84の下端は連続している。壁部84は、側壁78と、連続している。したがって、本実施形態の凹部76は、凹面74と側壁78及び壁部84とから構成される。そして、凹面74、壁部84及び側壁78により形成される凹部76により、燃料を一時的に貯留する貯留領域88が形成される。なお、
図4に示すように、凹面74には2つの開口85、86が形成されている。
【0032】
図4に示す開口85、86は、それぞれ、タンク形成部38内部に形成された、
図2に示す燃料通路90、92に接続している。燃料通路90は、L字状に形成されており、タンク形成部38の下端において、前方に突出している。燃料通路90のタンク形成部38前方に突出した端部は、図示しない接続管の一端に接続されている。この接続管の他端は、2個の分室の他方に連通している。一方、燃料通路92の下端は、タンク形成部38と、燃料フィルタ36とにより画定される燃料貯留空間108(詳細は後述)の下方にて、開口している。なお、
図5に示すように、タンク形成部38の上面であって、燃料ポンプケース部40又はレギュレータケース部44の周辺には、開口94、96、98が形成されている。また、
図4に示すように、タンク形成部38の上面の外縁80と側壁78の燃料ポンプケース部40側の端部には、それぞれ、切り欠きを有する嵌合プレート100、102が配設されている。これら嵌合プレート100、102の切り欠きには、後述するジェットポンプ30が備える固定部材122から延びる嵌合部124、126(
図3参照)が嵌合される。
【0033】
(ロアカバー)
図2に良く示すロアカバー34は、格子板状(図示略)の底板部を有する円形浅皿状に形成されている。ロアカバー34は、タンク形成部38の底部に対してその下面開口部を覆うようにスナップフィット等の固定手段により取り付けられている。ロアカバー34は樹脂製である。
【0034】
(燃料フィルタ)
図2に示すように、燃料フィルタ36は、フィルタ部材104と接続部材106とを有する。フィルタ部材104は、樹脂製の不織布からなる濾材により中空袋状に形成されてなる。接続部材106は、フィルタ部材104の上面部に配置されている。接続部材106は、フィルタ部材104内外を連通するように内骨部材と結合されている。接続部材106及び内骨部材は樹脂製である。
【0035】
フィルタ部材104は、タンク形成部38に対するロアカバー34の取り付けに先立って、タンク形成部38の下面を閉鎖するように略水平状に配置されている。接続部材106は、燃料ポンプケース部40の下端部に取り付けられている。サブタンク本体32に対するロアカバー34の取り付けによって、フィルタ部材104の周縁部がサブタンク本体32のタンク形成部38とロアカバー34との間にシール状態で挟持されている。このようにして、サブタンク本体32とロアカバー34との間に燃料フィルタ36が配設されている。
【0036】
図2に示すように、タンク形成部38と燃料フィルタ36との間には、これらによって取り囲まれた燃料貯留空間108が画定されている。燃料貯留空間108には、燃料タンク内の燃料が貯留される。燃料貯留空間108に貯留される燃料タンク内の燃料には、プレッシャレギュレータ28から吐出された燃料も含まれる。燃料貯留空間108には、燃料が、
図5に示すタンク形成部38の上面に形成された開口94、96、98から流入されてもよい。
【0037】
(燃料ポンプ)
図2に示す燃料ポンプ26は、略円柱状の電動式燃料ポンプからなる。燃料ポンプ26の燃料吸入口には、接続部材106を介してフィルタ部材104の内部空間が連通されている。燃料ポンプ26の燃料吐出口には、燃料ポンプケース部40の内部空間が連通されている。燃料ポンプ26は、矢印S1で模式的に示すように、サブタンク24の燃料貯留空間108に貯留された燃料を吸入しかつ加圧した後、燃料吐出口から燃料ポンプケース部40の内部空間に吐出する。
図1に示すように、燃料ポンプ26の電気コネクタ部110と蓋部3の電気コネクタ部18とは、電気配線を介して電気的に接続されている。
【0038】
(プレッシャレギュレータ)
図2に示すように、プレッシャレギュレータ28は、レギュレータケース部44内に下方から挿入されている。プレッシャレギュレータ28は、分岐通路部42内部及び分岐通路部42の内部と連通するレギュレータケース部44内部の圧力、すなわち燃料ポンプ26から吐出された燃料の圧力を所定の圧力に調整し、余剰燃料を余剰燃料排出口112から吐出する。このときの燃料の流れを、
図2中の矢印S3によって模式的に示す。余剰燃料排出口112から吐出された加圧燃料は燃料貯留空間108へと排出される。
【0039】
(ジェットポンプ)
図2に示すように、ジェットポンプ30は、吸入管114、吐出管116及び吸入管114と吐出管116を接続する接続部120を備える。吸入管114は燃料通路90に、吐出管116は燃料通路92に嵌合されている。接続部120の外形は、凹部76と略同一形状であり、かつ凹部76よりわずかに小さい寸法を有する。そして、接続部120は、
図4に示される凹部76内に、嵌合するよう配設されている。
図2に戻り、上述したように、吐出管116の上端には、流入ポート128が形成されており、管部材68を介して第1分岐ポート66と連通している。接続部120の上面左方には、固定部材122が形成されている。
図3に良く示すように、固定部材122からは円柱形状の嵌合部124、126が延在しており、嵌合プレート100、102の切り欠きに嵌合されている。これにより、ジェットポンプ30はサブタンク本体32に対して固定される。
【0040】
図2中の矢印S4が示すように、分岐通路部42内の燃料の一部は、第1分岐ポート66、管部材68を流れ流入ポート128から吐出管116に流入する。この燃料は燃料通路92を通り、燃料貯留空間108へと吐出される。この際、接続部120を介して吸入管114中の空気が吐出管116、燃料通路92、そして燃料貯留空間108に向かって引き込まれることにより、吸入管114の接続部120近傍の部位にて負圧が発生する。この負圧により、矢印S5が示すように、燃料タンクの他方の分室内の燃料が引き込まれ、燃料通路90、吸入管114、接続部120、吐出管116、燃料通路92を流れ、燃料貯留空間108へと貯留される。
【0041】
(センダゲージ)
図1に示す、センダゲージ130は、その本体であるゲージ本体132が、サブタンク本体32のタンク形成部38の右側面に取り付けられている。ゲージ本体132の電気コネクタ部134と蓋部3の電気コネクタ部18とは電気配線を介して電気的に接続されている。センダゲージ130は、燃料タンク内の燃料の残量すなわち液面の位置を検出する液面検出装置である。
【0042】
(第1の実施形態の利点)
第1の実施形態では、サブタンク本体32のタンク形成部38に形成された凹部76内に、ジェットポンプ30の接続部120が配設されている。そのため、ジェットポンプ30の組付け時においては少なくとも側壁78によって、接続部120の位置を位置決めすることができる。ひいては、ジェットポンプ30を、意図された装着位置へとガイドすることができる。
【0043】
また、ジェットポンプ30は、タンク形成部38の外縁80を越えて配設されている。これにより、ジェットポンプ30が外縁80の内部にのみ配設されている場合と比して、ジェットポンプ30の配置の自由度が向上する。
【0044】
また、ジェットポンプ30のタンク形成部38の外縁80を越えて配設されている部分は、壁部84によって覆われている。そのため、ジェットポンプ30の組付け時に、側壁78と壁部84とがガイドとなることにより、ジェットポンプ30が位置決めされる。ひいては、ジェットポンプ30の組付け性が向上する。
【0045】
また、凹面74は、タンク形成部38の外縁80を越えて延在している。そのため、例えば、燃料供給装置1を搭載した車両が傾き、これに伴い燃料供給装置1もまた傾き、サブタンク本体32内部に貯留された燃料が、開口94、96、98のいずれかからサブタンク本体32外部にあふれたとしても、壁部84、側壁78、凹面74とにより形成される貯留領域88に、あふれた燃料が貯留される。その後、燃料供給装置1の姿勢が水平に復帰した際に、貯留領域88に貯留されていた燃料が再びサブタンク本体32内部に戻る。そのため、サブタンク本体32内の燃料の減少を抑制することができる。
【0046】
(変形例)
本明細書に開示の燃料通路構造が適用される燃料供給装置1は、上記した実施形態に限定されるものではなく、その他の形態に変更が可能である。
【0047】
例えば、
図6に示すように、ジェットポンプケース部46は壁部84を有していなくてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、凹面74は、外縁80を越えて延在していた。しかし、外縁80内にのみ延在する構成としてもよい。凹面74が外縁80内にのみ延在する場合は、ジェットポンプケース部46が壁部84を有していても、壁部84と凹面74とが連続していないため、貯留領域88は形成されない。しかし、このような構成においても、ジェットポンプ30の組付け時に、壁部84及び側壁78により、ジェットポンプ30を意図された装着位置へとガイドすることができる。或いは、凹面74が外縁80内にのみ延在し、かつジェットポンプケース部46が壁部84を有していなくてもよい。このような構成においても、ジェットポンプ30の組付け時に、側壁78により、ジェットポンプ30を意図された装着位置へとガイドすることができる。
【0049】
また、上記実施形態では、タンク室が分割された二室からなる所謂鞍型の燃料タンクに搭載される燃料供給装置1に、本開示の技術を適用したが、タンク室が一室からなる燃料タンクに搭載される燃料供給装置に本開示の技術を適用してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 燃料供給装置
24 サブタンク
26 燃料ポンプ
30 ジェットポンプ
74 凹面
76 凹部
80 外縁
84 壁部