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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】直流電源回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20230424BHJP
【FI】
H02M3/28 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019176492
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021057936
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 真吾
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-083627(JP,A)
【文献】特開平03-156886(JP,A)
【文献】特開2016-077073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力端子から直流電圧を出力する直流電源回路であって、
直流の入力電圧を第1交流電圧に変換するインバータ回路と、
前記第1交流電圧を第2交流電圧に変換する変圧器と、
前記第2交流電圧を整流して直流電圧に変換する整流回路と
前記整流回路の出力端子に接続される短絡電流抑制手段と、
前記短絡電流抑制手段に接続される電流センサと、
前記電流センサにおける検出出力が予め定めた閾値を超過したか否かを判定する判定回路と、
前記判定回路が前記電流センサにおける検出出力が予め定めた閾値を超過したと判定した場合に、前記出力端子からの出力を停止させるか、前記出力端子からの出力を低下させるように制御する制御回路と
前記電流センサと直列に接続されるスイッチング回路と
備え、
前記制御回路は、前記判定回路が前記電流センサにおける検出出力が予め定めた閾値を超過したと判定した場合に、前記スイッチング回路を非導通状態に切り替えることによって、前記出力端子からの出力を停止させるように制御する
ことを特徴とする直流電源回路。
【請求項2】
前記制御回路は、前記判定回路が前記電流センサにおける検出出力が予め定めた閾値を超過したと判定した場合に、前記インバータ回路の出力を停止させるか、前記インバータ回路の出力を低下させることによって、前記出力端子からの出力を停止させるか、前記出力端子からの出力を低下させるように制御する請求項1に記載の直流電源回路。
【請求項3】
前記短絡電流抑制手段は、インダクタ、抵抗素子又はインダクタと抵抗素子とを組み合わせたものである請求項1又は2に記載の直流電源回路。
【請求項4】
前記整流回路は、コッククロフトウォルトン回路又は倍電圧整流回路である、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の直流電源回路。
【請求項5】
出力端子から直流電圧を出力する直流電源回路であって、
直流の入力電圧を第1交流電圧に変換するインバータ回路と、
前記第1交流電圧を第2交流電圧に変換する変圧器と、
前記第2交流電圧を整流して直流電圧に変換する整流回路と
前記整流回路の出力端子に接続される短絡電流抑制手段と、
前記短絡電流抑制手段に接続される電流センサと、
前記電流センサにおける検出出力が予め定めた閾値を超過したか否かを判定する判定回路と、
前記判定回路が前記電流センサにおける検出出力が予め定めた閾値を超過したと判定した場合に、前記出力端子からの出力を停止させるか、前記出力端子からの出力を低下させるように制御する制御回路と
を備え、
前記短絡電流抑制手段は、インダクタ、抵抗素子又はインダクタと抵抗素子とを組み合わせたものであり、
前記インダクタは、エアギャップを有するコアを含むか、又は空芯構造を有する、直流電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、プラズマ発生回路では、高電圧の直流電圧を発生させるため、高電圧の直流電源回路が用いられる。このような直流電源回路は、一例として、直流電圧をインバータや変圧器により所定の電圧値の交流に変換した後、更に整流回路により整流することで所望の電圧値の直流電圧に変換する構成を有している。
【0003】
このような直流電源回路に含まれる整流回路においては、整流回路を流れる電流を検出するための電流センサが含まれることがある。負荷短絡が起こった際に、短絡電流によって電流センサやダイオードが破損したり、更には、電流センサ破損の2次被害として1次側回路の破損が引き起こされたりする場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-115032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、負荷短絡が生じた場合においても、短絡電流によって電流センサやダイオードが破損することを防止することが出来る直流電源回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る直流電源回路は、出力端子から直流電圧を出力する直流電源回路であって、直流の入力電圧を第1交流電圧に変換するインバータ回路と、前記第1交流電圧を第2交流電圧に変換する変圧器と、前記第2交流電圧を整流して直流電圧に変換する整流回路と、前記整流回路の出力端子に接続される短絡電流抑制手段と、前記短絡電流抑制手段に接続される電流センサと、前記電流センサにおける検出出力が予め定めた閾値を超過したか否かを判定する判定回路と、前記判定回路が前記電流センサにおける検出出力が予め定めた閾値を超過したと判定した場合に、前記出力端子からの出力を停止させるか、前記出力端子からの出力を低下させるように制御する制御回路とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、短絡電流によって電流センサやダイオードが破損することを防止することが出来る直流電源回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る直流電源回路の構成を説明する回路図である。
図2】本発明の第2の実施の形態に係る直流電源回路の構成を説明する回路図である。
図3】本発明の第3の実施の形態に係る直流電源回路の構成を説明する回路図である。
図4】本発明の第4の実施の形態に係る直流電源回路の構成を説明する回路図である。
図5】本発明の第5の実施の形態に係る直流電源回路の構成を説明する回路図である。
図6】本発明の第6の実施の形態に係る直流電源回路の構成を説明する回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
【0010】
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
【0011】
[第1の実施の形態]
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る直流電源回路1を説明する。この直流電源回路1は、インバータ回路10、変圧器20、整流回路30、電流センサ40、及びローパスフィルタ回路50を備えている。
【0012】
インバータ回路10は、2つのアーム回路11、12を並列接続した構成を有し、直流の入力電圧を交流電圧に変換する機能を有する。アーム回路11は、半導体スイッチング素子Q1、Q2を直列接続した構造を有し、アーム回路12は、半導体スイッチング素子Q3、Q4を直列接続した構造を有している。
【0013】
半導体スイッチング素子Q1~Q4は、一例として、それぞれトランジスタとダイオードを逆並列接続してなる素子である。なお、ダイオードは、物理的に独立したダイオードでもよいし、半導体スイッチング素子Q1~Q4のボディダイオードでもよく、インバータ回路10に応じて適宜設計される。半導体スイッチング素子Q1~Q4のゲートにはゲート信号VQ1~VQ4が印加され、これにより半導体スイッチング素子Q1~Q4は導通状態と非導通状態との間で切り替えられる。ゲート信号VQ2はゲート信号VQ1の反転信号であり、これにより、半導体スイッチング素子Q1及びQ2はどちらか一方のみが交互に導通し、同時に導通状態とはならないように制御される。同様に、ゲート信号VQ4はゲート信号VQ3の反転信号であり、これにより、半導体スイッチング素子Q3及びQ4はどちらか一方のみが交互に導通し、同時に導通状態にはならないように制御される。
【0014】
変圧器20は、インダクタL1、L2、1次コイルL3、2次コイルL4を備えている。インダクタL1は、インバータ回路10の出力ノードO1と1次コイルL3との間に接続され、インダクタL2は一次コイルL3と並列に接続される。変圧器20は、1次コイルL3と2次コイルL4の巻線比に従った変圧比で入力電圧を変圧して出力電圧を出力する。
【0015】
整流回路30としては、一例としては、図1に示すコッククロフトウォルトン回路を採用することができる。コッククロフトウォルトン回路は、交流電圧を入力し、段数に応じた高圧の直流電圧を生成する回路である。
【0016】
この図1の例のコッククロフトウォルトン回路は、4段の電圧増幅回路を有しているので、変圧器20からの入力電圧のピーク値の4倍の値を有する直流電圧を出力端子O3から出力することができる。そのため、出力端子O3を接地することで、出力端子O4を負極の出力端子として機能させて、出力端子O4から負の直流電圧を出力することができる。すなわち、出力端子O3と出力端子O4とを直流電源回路1の出力端子として、負荷に負の直流電圧を供給することができる。
【0017】
なお、コッククロフトウォルトン回路は、高電圧を生成するのに適した回路であり、電圧増幅回路の段数を調整することによって、負荷の特性に応じた高電圧を生成することができる。もちろん、図1のように、負の直流電圧を出力するだけでなく、コッククロフトウォルトン回路の構成を変更することによって、出力端子O3から正の直流電圧を出力することも可能である。この場合、出力端子O4を接地することになる。そのため、コッククロフトウォルトン回路は、例えば-数kV~+数kV程度の範囲で任意の直流電圧を出力することができる。なお、-十数kV~+十数kV程度の範囲の直流電圧を出力する場合もあるので、用途に応じて回路設計がされる。
【0018】
この整流回路30としてのコッククロフトウォルトン回路は、4段の電圧増幅回路のうちの例えば1段目の出力端子N1と出力端子O4との間に、電流センサ40を備えている。電流センサ40は、整流回路30に流れる電流を検出する。電流センサ40の検出出力は、判定回路200において閾値電流Ithと比較され、その比較結果がインバータ回路10の制御回路300にフィードバックされる。これにより、直流電源回路1の出力電圧が調整される。
【0019】
判定回路200において、電流センサ40の検出出力(検出電流)が閾値電流Ithよりも大きいと判定された場合、制御回路300は、インバータ回路10の出力を停止させるか、又は、インバータ回路10の出力を低下させるように半導体スイッチング素子Q1~Q4のスイッチングを制御する。なお、図1では省略しているが、直流電源回路1の出力電圧(図1の場合は、出力端子O3と出力端子O4との間の電圧)を検出する電圧センサを設けて、この電圧センサによって検出した検出電圧が設定電圧になるように、制御回路300は、半導体スイッチング素子Q1~Q4のスイッチングを制御してもよい。このように構成した場合、判定回路200において、電流センサ40の検出出力(検出電流)が閾値電流Ithよりも大きいと判定された場合、制御回路300は、インバータ回路10の出力を停止させるか、又は、インバータ回路10の出力を低下させるように半導体スイッチング素子Q1~Q4のスイッチングを制御する。一方、判定回路200において、電流センサ40の検出出力(検出電流)が閾値電流Ith以下と判定された場合、電圧センサによって検出した検出電圧が設定電圧になるように、制御回路300は、半導体スイッチング素子Q1~Q4のスイッチングを制御する。
【0020】
また、この電流センサ40には、ローパスフィルタ回路50が接続されている。ローパスフィルタ回路50は、一例としてインダクタL21及びコンデンサC21によって構成される。インダクタL21を出力端子N1と出力端子O4との間に接続し、コンデンサC21を出力端子O3と出力端子O4との間、すなわち負荷と並列に接続する。これにより、インダクタL21とコンデンサC21がローパスフィルタとして機能する。後述するように、インダクタL21は、短絡電流の急激な増加を抑制する効果があるが、それ以外に、コンデンサC21と共にフィルタとして機能し、リップルを抑制する効果を有する。なお、図1では、出力端子N1から見て、インダクタL21→電流センサ40→出力端子O4の順番に接続されているが、インダクタL21と電流センサ40の接続順番を逆にしてもよい。
【0021】
出力端子O3とO4の間に一定値以上の抵抗値を有する負荷が接続される場合、この電流センサ40で検出される電流は通常、基準値未満となる。しかし、負荷短絡が生じる場合において、電流センサ40に流れる短絡電流が基準値を超えることがあり得る。
【0022】
ここで、ローパスフィルタ回路50が無く、電流センサ40が出力端子N1に直接接続される場合を考える。すなわち、出力端子N1と出力端子O4との間には、電流センサ40のみが接続されている場合を考える。この場合、電流センサ40には基準値を超える短絡電流が流れることがあり得る。例えば、整流回路30が図1に示すコッククロフトウォルトン回路である場合、コッククロフトウォルトン回路は、キャパシタとダイオードのみが含まれているため、コッククロフトウォルトン回路の内部の構成にて短絡電流を抑制することは困難である。すなわち、図1のコッククロフトウォルトン回路では、例えば、第1短絡電流経路として、コンデンサC12、C14、及び電流センサ40を含む短絡電流経路が形成され、第2短絡電流経路として、電流センサ40、ダイオードD11~D14、コンデンサC11、及び2次コイルL4を含む短絡電流経路が形成される。また、第3短絡電流経路として、コンデンサC11、コンデンサC13を含む短絡電流経路が形成される。
【0023】
もう少し具体的に説明すると、負荷短絡後の初期段階では、コンデンサC12~C14のうち、コンデンサC12及びC14が先に放電を開始するので第1短絡電流経路に沿って短絡電流が流れる。そして、コンデンサC12及びC14の放電によって、ダイオードD11~D14が導通できる電圧までダイオード両端の電圧が低下すると、第2短絡電流経路にも短絡電流が流れる。そうなると、コンデンサC11及びC13も放電を開始するので、第3短絡電流経路にも短絡電流が流れる。そのため、第1短絡電流経路、第2短絡電流経路、第3短絡電流経路の順番で短絡電流が流れ得る。このように短絡電流が流れると電流センサ40の破壊を引き起こし得る。特に、出力端子O3と出力端子O4間の電位差が大きいと、過大な短絡電流が流れるので、電流センサ40が破損し易い。
【0024】
このような短絡電流を抑制するため、第1の実施の形態の直流電源回路1は、電流センサ40と直列にローパスフィルタ回路50を接続している。このローパスフィルタ回路50によれば、負荷短絡が生じた場合においても、ローパスフィルタ回路50に含まれるインダクタL21の作用により、短絡電流の急激な増加を抑制することができ、短絡電流によって電流センサやダイオードが破損することを防止することが出来る。そのため、インダクタL21は、短絡電流抑制手段として機能する。
【0025】
インダクタL21の両端電圧をVL、インダクタL21の磁路長をLとした場合、短絡電流の傾きdi/dtは、di/dt=VL/Lと表すことができる。すなわち、短絡電流は、磁路長Lの大きさに従う一定の傾きで上昇するため、短絡電流の急激な増加を抑制することができる。
【0026】
なお、短絡電流が所定値以上に増加した場合に、インダクタL21が飽和し、これにより短絡電流の増加を抑制することができなくなることが生じ得る。これを防止するため、短絡電流Isが流れたときにインダクタL21に発生する磁束密度Bが、飽和磁束密度Bm以下となるよう、インダクタL21を設計することが好適である。
【0027】
例えば、インダクタL21の巻線数をN、インダクタL21の磁路長をLとした場合において、短絡電流Isが流れたときに発生する磁束密度Bは以下の式で表すことができ、この磁束密度Bが飽和磁束密度Bmを超えないことが求められる。
B=μH=μN・Is/L(A/m)
【0028】
なお、インダクタL21のコア材(フェライトコア、ダストコア、その他)に所定のエアギャップを与えるか、又は空芯構造とすることにより、より大きな短絡電流Isが生じた場合においても飽和が生じにくいインダクタとすることが可能である。
【0029】
なお、短絡電流Isのピーク値Ismaxは、所定値以上の短絡電流Isが電流センサ40で検出されてから、この検出結果に従ってインバータ回路10において出力電圧が制限され、これにより短絡電流Isが減少に転じるまでの時間によって変化する。このピーク値Ismaxを求め、短絡電流Isがピーク値Ismaxに達した場合であってもインダクタL21が飽和しないよう、巻線数Nや磁路長L等を設定することが好ましい。また、ピーク値Ismaxが、電流センサ40の定格電流や、ダイオードの破壊耐量等を超えないよう、制御回路を設計することが好ましい。
【0030】
[第2の実施の形態]
次に、図2を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る直流電源回路1を説明する。この第2の実施の形態の直流電源回路1は、第1の実施の形態と同様に、インバータ回路10、変圧器20、整流回路30、電流センサ40、及びローパスフィルタ回路50を備えている。インバータ回路10、及び変圧器20の構成は第1の実施の形態と同一である。
なお、図2では、ローパスフィルタ回路50が、インダクタL21’及びコンデンサC21’によって構成されている。そのため、インダクタL21’は、短絡電流抑制手段として機能する。
【0031】
ただし、整流回路30は、第1の実施の形態とは異なり、倍電圧整流回路により構成されている。倍電圧整流回路は、図2に示す如く、ダイオードD31、D32の直列回路と、これに並列に接続されるコンデンサC31及びC32を備えている。変圧器20の出力端子は、2つのダイオードD31及びD32の接続ノードN11と、コンデンサC31及びC32の接続ノードN12に接続されている。
【0032】
倍電圧整流回路は、この構成を有することにより、変圧器20が出力する交流電圧のピーク値の2倍の直流電圧を出力することができる。その他の構成は第1の実施の形態と同一である。この第2の実施の形態の構成においても、短絡電流がローパスフィルタ50により抑制され、これにより短絡電流によって電流センサやダイオードが破損することを防止することが出来る。
【0033】
[第3の実施の形態]
次に、図3を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る直流電源回路1を説明する。この第3の実施の形態の直流電源回路1は、第1の実施の形態と同様に、インバータ回路10、変圧器20、整流回路30、電流センサ40を備えている。インバータ回路10、変圧器20、及び整流回路30の構成は第1の実施の形態と同一である。ただし、この第3の実施の形態では、ローパスフィルタ回路50に代えて、抵抗素子R21が電流センサ40と直列に接続されている。
【0034】
この抵抗素子R21が接続されていることにより、第1の実施の形態におけるローパスフィルタ回路50と同様に、負荷短絡が生じた場合においても、抵抗素子R21での電圧降下により、短絡電流の急な増加を抑制することができ、よって短絡電流によって電流センサやダイオードが破損することを防止することが出来る。そのため、抵抗素子R21は、短絡電流抑制手段として機能する。
【0035】
抵抗素子R21の両端電圧をVL、抵抗素子R21の磁路長をLとした場合、短絡電流の傾きdi/dtは、di/dt=VL/Lと表すことができる。すなわち、短絡電流は、磁路長Lの大きさに従う一定の傾きで上昇するため、短絡電流の急激な増加を抑制することができる。
【0036】
[第4の実施の形態]
次に、図4を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る直流電源回路1を説明する。この第4の実施の形態の直流電源回路1は、第1の実施の形態と同様に、インバータ回路10、変圧器20、整流回路30、電流センサ40、及びローパスフィルタ回路50を備えている。インバータ回路10、変圧器20、及び整流回路30の構成は第1の実施の形態と同一である。ただし、この第4の実施の形態では、ローパスフィルタ回路50が、インダクタL21’’及びコンデンサC21’に加え、抵抗素子R21’’を備えている。電流センサ40には、インダクタL21’’だけでなく、抵抗素子R21’’も直列に接続されている。そのため、インダクタL21’’と抵抗素子R21’’とを組み合わせたものは、短絡電流抑制手段として機能する。
【0037】
このローパスフィルタ回路50によれば、負荷短絡が生じた場合においても、ローパスフィルタ50に含まれるインダクタL21’’及び抵抗素子R21’’の作用により、短絡電流の急激な増加を抑制することができる。短絡電流が発生した場合、短絡電流は、インダクタL21’’及び抵抗素子R21’’のインピーダンスに従う一定の傾きで上昇するため、短絡電流の急激な増加を抑制することができる。
【0038】
[第5の実施の形態]
次に、図5を参照して、本発明の第5の実施の形態に係る直流電源回路1を説明する。この第5の実施の形態の直流電源回路1は、第1の実施の形態と同様に、インバータ回路10、変圧器20、整流回路30、電流センサ40、及びローパスフィルタ回路50を備えている。インバータ回路10、変圧器20、及び整流回路30の構成は第1の実施の形態と同一である。ただし、この第5の実施の形態では、ローパスフィルタ回路50が、インダクタL21a及びコンデンサC21aに加え、抵抗素子R21aを備えている。この抵抗素子R21aは、第4の実施の形態とは異なり、出力端子O3とO4の間に接続されている。
【0039】
このローパスフィルタ回路50によれば、負荷短絡が生じた場合においても、ローパスフィルタ回路50に含まれるインダクタL21aの作用により、短絡電流の急激な増加を抑制することができる。そのため、インダクタL21aは、短絡電流抑制手段として機能する。
【0040】
[第6の実施の形態]
次に、図6を参照して、本発明の第6の実施の形態に係る直流電源回路1を説明する。図6は、第1の実施の形態との相違点である電流センサ40の電流経路に関し図示した部分回路図である。
【0041】
この第6の実施の形態の直流電源回路1は、図6では図示は省略しているが、第1の実施の形態と同様に、インバータ回路10、変圧器20、整流回路30、電流センサ40、及びフィルタ回路50を備えている。インバータ回路10、変圧器20、整流回路30、ローパスフィルタ回路50の構成は第1の実施の形態と同一である。ただし、この第6の実施の形態では、電流センサ40と直列にスイッチング回路Q5が接続されている。また、スイッチング回路Q5を導通状態と非導通状態との間で切り替える制御を行うための回路として、制御回路60が設けられている。また、第1の実施の形態の制御回路300(図1参照)と類似する図略の制御回路が設けられている。この図略の制御回路は、図略の電圧センサ(出力端子O3と出力端子O4との間の電圧を検出するセンサ)によって検出した検出電圧が設定電圧になるように、半導体スイッチング素子Q1~Q4のスイッチングを制御する。しかし、第1の実施の形態の制御回路300とは異なり、判定回路200における判定結果に基づいて半導体スイッチング素子Q1~Q4のスイッチングを制御する機能は備えていない。
【0042】
負荷短絡が生じた場合には、電流センサ40を流れる短絡電流が増加するが、ローパスフィルタ回路50の採用により、短絡電流の上昇は抑制される。ただし、短絡電流が増加し、ローパスフィルタ回路50中のインダクタL21の磁束密度Bが飽和磁束密度Bmを超えると、インダクタL21のインダクタンスが低下し、これにより短絡電流の増加が加速されることが起こり得る。
【0043】
このため、この第6の実施の形態では、電流センサ40の出力信号を判定回路200において閾値電流Ithと比較し、閾値電流Ithを超える出力信号が観測された場合に、スイッチング回路Q5を遮断する。これにより、短絡電流は遮断され、電流センサ40を保護することができる。
【0044】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1…直流電源回路、 10…インバータ回路、 11、12…アーム回路、 20…変圧器、 30…整流回路、 40…電流センサ、 50…ローパスフィルタ回路、 60…制御回路、 200…判定回路、 300…制御回路、 C11~C14、C21、C21’、C21a、C31、C32…コンデンサ、 Q1~Q4 半導体スイッチング素子、 D11~D14、D31、D32…ダイオード。
図1
図2
図3
図4
図5
図6