(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】障子及び障子の組付構造
(51)【国際特許分類】
E06B 3/964 20060101AFI20230424BHJP
【FI】
E06B3/964 A
(21)【出願番号】P 2019178542
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000005005
【氏名又は名称】不二サッシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100194205
【氏名又は名称】河内 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100173657
【氏名又は名称】瀬沼 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 禎浩
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-52144(JP,U)
【文献】特開2005-133304(JP,A)
【文献】特開2018-3563(JP,A)
【文献】実開昭60-37586(JP,U)
【文献】実開昭56-121871(JP,U)
【文献】実開平6-32501(JP,U)
【文献】特開2017-218867(JP,A)
【文献】特開2018-9402(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3511509(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0281415(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/96-3/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左縦框及び右縦框からなる一対の縦框と、
上横框及び下横框からなる一対の横框と、
右縦框と上横框とを接続する第1のコーナーブロックと、
上横框と左縦框とを接続する第2のコーナーブロックと、
左縦框と下横框とを接続する第3のコーナーブロックと、
下横框と右縦框とを接続する第4のコーナーブロックとを備え、
第1乃至第4のコーナーブロックのうち、少なくとも2つのコーナーブロックが、互いに同一形状を有する、または、互いに鏡像形状を有
し、
前記第1乃至第4のコーナーブロックは、開口部における組付状態において、
前記左縦框及び前記右縦框のいずれかの縦框が固定される縦框固定部と、
前記上横框及び前記下横框のいずれかの横框が固定され、かつ、固定される前記横框側の前記縦框固定部に設けられた横框固定部と、
前記縦框固定部の前記開口部側に設けられた縦框側差込片とを備え、
前記縦框側差込片は、開口部における組付状態において、前記左縦框及び前記右縦框に形成された縦框側差込片収容部の開口部側の内面に当接する障子。
【請求項2】
前記第1のコーナーブロックと、前記第2のコーナーブロックとが互いに鏡像形状を有する請求項1に記載の障子。
【請求項3】
前記第3のコーナーブロックと、前記第4のコーナーブロックとが互いに鏡像形状を有する請求項1または2に記載の障子。
【請求項4】
前記第1のコーナーブロックと、前記第3のコーナーブロックとが互いに同一形状を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の障子。
【請求項5】
前記第2のコーナーブロックと、前記第4のコーナーブロックとが互いに同一形状を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の障子。
【請求項6】
前記縦框固定部には、前記横框固定部と前記縦框側差込片との間に、貫通孔が形成されている請求項
1から5のいずれか1項に記載の障子。
【請求項7】
前記一対の縦框及び/または前記一対の横框に、ガラス保持材が取り付けられている請求項1から
6のいずれか1項に記載の障子。
【請求項8】
右縦框及び上横框が第1のコーナーブロックで接続され、
上横框及び左縦框が第2のコーナーブロックで接続され、
左縦框及び下横框が第3のコーナーブロックで接続され、
下横框及び右縦框が第4のコーナーブロックで接続され、かつ、
第1乃至第4のコーナーブロックのうち、少なくとも2つのコーナーブロックが、互いに同一形状を有する、または、互いに鏡像形状を有し、
前記第1乃至第4のコーナーブロックは、開口部における組付状態において、
前記左縦框及び前記右縦框のいずれかの縦框が固定される縦框固定部と、
前記上横框及び前記下横框のいずれかの横框が固定され、かつ、固定される前記横框側の前記縦框固定部に設けられた横框固定部と、
前記縦框固定部の前記開口部側に設けられた縦框側差込片とを備え、
前記縦框側差込片は、開口部における組付状態において、前記左縦框及び前記右縦框に形成された縦框側差込片収容部の開口部側の内面に当接する障子の組付構造。
【請求項9】
前記縦框固定部には、前記横框固定部と前記縦框側差込片との間に、貫通孔が形成されている請求項8に記載の組付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の開口部に配置される障子及び障子の組付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の開口部に配置される障子は、左縦框、右縦框、上横框及び下横框と、これらの框に固定されるガラス板等から構成される。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の従来の障子を組み立てる場合には、上横框及び下横框のそれぞれの端部と、左縦框及び右縦框のそれぞれの端部とを接続させて四周を連続させるために、上横框及び下横框並びに左縦框及び右縦框のそれぞれの端部に切欠を形成する加工を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
このような従来の障子の構成及びこれに対応する組付構造の課題を列挙すれば次の通りである。
(1) 形材の切欠加工を行う場合には、多くの工数が必要であり、しかも精度よく加工するには加工者の熟練を要していた。
(2) 形材の切欠加工を、加工装置を用いて行うことが可能であるものの、このような加工装置は一般的に高額な工作機械であり、その設備投資を検討する必要があった。
(3) 建物の施工現場の開口部の寸法変更等により形材の寸法を短くする必要が生じた場合、形材の寸法を開口部に合わせるための切断加工後に、再度の切欠加工により切欠きを形成する必要があった。
(4) 形材の組付方向を誤った状態で、形材の切欠加工及び他の形材との接続を行うと、障子の組み立てを正しく行えず、追加の形材や作業が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、加工者の熟練または高価な加工装置が必要な切欠加工を行うことなく安価で製作でき、かつ、建物の施工現場において開口部の寸法変更等により形材の寸法を短くする必要が生じた場合でもその寸法を切断加工するのみで誰でも容易に組付可能であり、かつ、障子の正しい組み立てに必要な形材の組付方向を簡単に確認できる障子及び障子の組付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、左縦框及び右縦框からなる一対の縦框と、上横框及び下横框からなる一対の横框と、右縦框と上横框とを接続する第1のコーナーブロックと、上横框と左縦框とを接続する第2のコーナーブロックと、左縦框と下横框とを接続する第3のコーナーブロックと、下横框と右縦框とを接続する第4のコーナーブロックとを備え、第1乃至第4のコーナーブロックのうち、少なくとも2つのコーナーブロックが、互いに同一形状を有する、または、互いに鏡像形状を有する障子を提供する。
【0008】
本発明の障子においては、前記第1のコーナーブロックと、前記第2のコーナーブロックとが互いに鏡像形状を有することが好ましい。
【0009】
本発明の障子においては、前記第3のコーナーブロックと、前記第4のコーナーブロックとが互いに鏡像形状を有することが好ましい。
【0010】
本発明の障子においては、前記第1のコーナーブロックと、前記第3のコーナーブロックとが互いに同一形状を有することが好ましい。
【0011】
本発明の障子においては、前記第2のコーナーブロックと、前記第4のコーナーブロックとが互いに同一形状を有することが好ましい。
【0012】
本発明の障子においては、前記第1乃至第4のコーナーブロックは、開口部における組付状態において、前記左縦框及び前記右縦框のいずれかの縦框が固定される縦框固定部と、前記上横框及び前記下横框のいずれかの横框が固定され、かつ、固定される前記横框側の前記縦框固定部に設けられた横框固定部と、前記縦框固定部の前記開口部側に設けられた縦框側差込片とを備え、前記縦框側差込片は、開口部における組付状態において、前記左縦框及び前記右縦框に形成された縦框側差込片収容部の開口部側の内面に当接することが好ましい。
【0013】
本発明の障子においては、前記縦框固定部には、前記横框固定部と前記縦框側差込片との間に、貫通孔が形成されていることが好ましい。本発明の障子においては特に、前記貫通孔が外気導入用貫通孔及び/または排水用貫通孔として機能することが好ましい。
【0014】
本発明の障子においては、前記一対の縦框及び前記一対の横框の少なくとも一方には、ガラス保持材が取り付けられていることが好ましい。
【0015】
本発明はまた、右縦框及び上横框が第1のコーナーブロックで接続され、上横框及び左縦框が第2のコーナーブロックで接続され、左縦框及び下横框が第3のコーナーブロックで接続され、下横框及び右縦框が第4のコーナーブロックで接続され、かつ、第1乃至第4のコーナーブロックのうち、少なくとも2つのコーナーブロックが、互いに同一形状を有する、または、互いに鏡像形状を有する障子の組付構造を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、加工者の熟練または高価な加工装置が必要な切欠加工を行うことなく、かつ、建物の施工現場において開口部の寸法変更等により形材の寸法を短くする必要が生じた場合でもその寸法を切断加工するのみで組付可能であり、かつ、障子の正しい組み立てに必要な形材の組付方向を簡単に確認できる障子及び障子の組付構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】縦框、横框、コーナーブロック及びガラス保持材の組付状態を示す斜視図
【
図3】縦框、横框、コーナーブロック及びガラス保持材の組付状態を示す分解斜視図
【
図4】(A)及び(B)はそれぞれコーナーブロックを室内側前方(ガラス側)上方から見た斜視図、室内側後方(開口部側)を上方から見た斜視図
【
図5】開口部に設置されたサッシ枠(すべり出し窓)に組み付けた組付状態の障子の縦断面図
【
図6】開口部に設置されたサッシ枠(すべり出し窓)に組み付けた組付状態の障子の横断面図
【
図7】排水経路が示された障子の室内側から見た正面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る障子1は、例えば躯体(建物)の開口部に配置される枠に建て込まれるすべり出し窓用の障子であり、
図1に示されているように、右縦框2及び左縦框3からなる一対の縦框と、上横框4及び下横框5からなる一対の横框と、4つのコーナーブロック6(61~64)とを備える。第1のコーナーブロック61は、右縦框2と上横框4とを接続し、第2のコーナーブロック62は、上横框4と左縦框3とを接続し、第3のコーナーブロック63は左縦框3と下横框5とを接続し、第4のコーナーブロック64は下横框5と右縦框2とを接続する。本発明の障子においては、第1乃至第4のコーナーブロック61~64のうち、少なくとも2つのコーナーブロックが、互いに同一形状を有する、または、互いに鏡像形状を有するものである。なお、本明細書においては、共通する構成に、共通する用語を用いると共に、各図において略同一に示して詳細な説明は省略し、必要に応じて同一または類似の符号で示すこととする。
【0019】
本実施形態の右縦框2は、室外側面部2aと、室内側面部2bと、室外側面部2a及び室内側面部2bを接続し、かつ、組付状態において開口部側に位置する開口部側面部2cと、室外側面部2a及び室内側面部2bを接続し、かつ、組付状態において左縦框3側に位置する左縦框側面部2dとを備えている。左縦框側面部2dは、階段状に形成されており、見込み方向の中心部に本体部2eを有している。右縦框2は、アルミニウムを押し出し成形することにより長尺状に形成されたものである。
なお本明細書においては、上述の開口部によって室内外が画されることとして、開口部が設けられる躯体の外側を「室外側」と称し
図5において左側を示し、躯体の内側を「室内側」と称し
図5において右側を示すものとする。
【0020】
右縦框2の本体部2eには、長手方向の全体に亘って、2条のタッピングホール21が形成されている。本実施形態では、組付状態において本体部2eの左縦框3側の面にタッピングホール21が形成されている。タッピングホール21は、第1のコーナーブロック61及び第4のコーナーブロック64と接続するためのネジを緊結するために使用される。なお、タッピングホール21は、第1のコーナーブロック61及び第4のコーナーブロック64と接続するためのネジを緊結することができれば、本体部2eの左縦框3側の面以外に形成することができる。
【0021】
本実施形態の右縦框2は、後述する第1のコーナーブロック61の縦框側差込片61g及び第4のコーナーブロック64の縦框側差込片64gを収容する縦框側差込片収容部22を有している。本実施形態では、室外側面部2aと、室内側面部2bと、開口部側面部2cと、左縦框側面部2dとにより囲まれた空間により、縦框側差込片収容部22が構成されている。本実施形態では、縦框側差込片61g及び縦框側差込片64gは、組付状態において、右縦框2に形成された縦框側差込片収容部22の開口部側の内面、即ち、開口部側面部2cの左縦框側面部2dに対向する面に当接した状態で、縦框側差込片収容部22に収容される。
【0022】
本実施形態の右縦框2は、後述するガラス保持材8を収容するガラス保持材収容部23を有している。本実施形態では、室外側面部2aと、室内側面部2bと、左縦框側面部2dとにより囲まれた空間により、ガラス保持材収容部23が構成されている。特に本実施形態では、室外側面部2a及び室内側面部2bの、組付状態における左縦框3側の端部に、ガラス保持材8の室内外方向への移動を規制する規制部24が設けられている。具体的には、規制部24は、組付状態において、後述するガラス保持材8の折り返し部83の大部分を収容することで、ガラス保持材8の室内外方向への移動を規制する。
【0023】
本実施形態の左縦框3は、右縦框2と同様の構成を有しており、室外側面部3aと、室内側面部3bと、室外側面部3a及び室内側面部3bを接続し、かつ、組付状態において開口部側に位置する開口部側面部3cと、室外側面部3a及び室内側面部3bを接続し、かつ、組付状態において右縦框2側に位置する右縦框側面部3dとを備えている。右縦框側面部3dは、本体部3eを有している。左縦框3は、アルミニウムを押し出し成形することにより長尺状に形成されたものである。
【0024】
左縦框3の本体部3eには、長手方向の全体に亘って、2条のタッピングホール31が形成されている。本実施形態では、組付状態において本体部3eの右縦框2側の面にタッピングホール31が形成されている。なお、タッピングホール31は、第2のコーナーブロック62及び第3のコーナーブロック63と接続するためのネジを緊結することができれば、本体部3eの右縦框側の面以外に形成することができる。
【0025】
本実施形態の左縦框3は、後述する第2のコーナーブロック62の縦框側差込片62g及び第3のコーナーブロック63の縦框側差込片63gを収容する縦框側差込片収容部32を有している。本実施形態では、室外側面部3aと、室内側面部3bと、開口部側面部3cと、右縦框側面部3dとにより囲まれた空間により、縦框側差込片収容部32が構成されている。本実施形態では、縦框側差込片62g及び縦框側差込片63gは、組付状態において、左縦框3に形成された縦框側差込片収容部32の開口部側の内面、即ち、開口部側面部3cの右縦框側面部3dに対向する面に当接した状態で、縦框側差込片収容部32に収容される。
【0026】
本実施形態の左縦框3は、後述するガラス保持材8を収容するガラス保持材収容部33を有している。本実施形態では、室外側面部3aと、室内側面部3bと、右縦框側面部3dとにより囲まれた空間により、ガラス保持材収容部33が構成されている。特に本実施形態では、室外側面部3a及び室内側面部3bの、組付状態における右縦框2側の端部に、ガラス保持材8の室内外方向への移動を規制する規制部34が設けられている。具体的には、規制部34は、組付状態において、後述するガラス保持材8の折り返し部83の大部分を収容することで、ガラス保持材8の室内外方向への移動を規制する。
【0027】
特に本実施形態の左縦框3は、右縦框2と同一の形状を有しており、組付状態においては、右縦框2と左縦框3とが互いに鏡像形状を有している。
【0028】
本実施形態の上横框4は、室外側面部4aと、室内側面部4bと、室外側面部4a及び室内側面部4bを接続し、かつ、組付状態において開口部側に位置する開口部側面部4cと、室外側面部4a及び室内側面部4bを接続し、かつ、組付状態において下横框5側に位置する下横框側面部4dとを備えている。開口部側面部4cには、開口部側面部4cの見込み方向の中心部に、開口部側に向かって凸となる段部4eが形成されている。下横框側面部4dには、見込み方向の中心部に下横框5側に向かって凸となる第1の段部4fが形成されており、この第1の段部4fの見込み方向の中心部には、下横框5側に向かって凸となる第2の段部4gが形成されている。上横框4は、アルミニウムを押し出し成形することにより長尺状に形成されたものである。
【0029】
上横框4の第2の段部4gには、長手方向の全体に亘って、1条のタッピングホール41が形成されている。本実施形態では、組付状態において第2の段部4gの開口部側の面にタッピングホール41が形成されている。タッピングホール41は、第1のコーナーブロック61及び第2のコーナーブロック62と接続するためのネジを緊結するために使用される。なお、タッピングホール41は、第1のコーナーブロック61及び第2のコーナーブロック62と接続するためのネジを緊結することができれば、第2の段部4gの開口部側の面以外に形成することができる。
【0030】
本実施形態の上横框4は、後述する第1のコーナーブロック61の横框側差込片61h及び第2のコーナーブロック62の横框側差込片62hを収容する横框側差込片収容部42を有している。本実施形態では、室外側面部4aと、室内側面部4bと、開口部側面部4cと、下横框側面部4dとにより囲まれた空間により、横框側差込片収容部42が構成されている。本実施形態では、横框側差込片61h及び横框側差込片62hは、組付状態において、上横框4に形成された横框側差込片収容部42の開口部側の内面、即ち、開口部側面部4cの下横框側面部4dに対向する面に当接した状態で、横框側差込片収容部42に収容される。特に本実施形態では、横框側差込片61h及び横框側差込片62hは、組付状態において、開口部側面部4cの、段部4eとなっていない部分4hの内面に当接した状態で、横框側差込片収容部42に収容される。
【0031】
本実施形態の上横框4は、
図5に示すようにガラスを保持するガラス収容部43を有している。本実施形態では、下横框側面部4dの第1の段部4fの見込み方向の両端に、一対のガラス収容面部44が設けられており、下横框側面部4dと一対のガラス収容面部44とにより、ガラス収容部43が構成されている。一対のガラス収容面部44はそれぞれ、下横框5側に向かって延びる本体部44aと、本体部44aの下横框5側の端部から互いに近づくように延びるガラス保持部44bとを有している。一対のガラス保持部44bは、ガラス保持部44bの間隔が、収容するガラスの厚み寸法に応じた寸法となるように構成されている。
【0032】
特に本実施形態では、組付状態において、一対のガラス収容面部44の本体部44aがそれぞれ、右縦框2の室外側面部2aに設けられた規制部24及び室内側面部2bに設けられた規制部24、並びに、左縦框3の室外側面部3aに設けられた規制部34及び室内側面部3bに設けられた規制部34に呑み込まれる印籠形式に構成されている。そして、室外側面部2aに設けられた規制部24及び室外側面部3aに設けられた規制部34の見込み方向における寸法は、下横框側面部4dの室外側において下横框5側に向かって凸となっていない部分4iの見込み方向における寸法と一致している。また、室内側面部2bに設けられた規制部24及び室内側面部3bに設けられた規制部34の見込み方向における寸法は、下横框側面部4dの室内側において下横框5側に向かって凸となっていない部分4iの見込み方向における寸法と一致している。そのため、下横框側面部4dの室外側及び室内側において下横框5側に向かって凸となっていない部分4iはそれぞれ、組付状態において、室外側面部2aに設けられた規制部24及び室外側面部3aに設けられた規制部34の端部、並びに、室内側面部2bに設けられた規制部24及び室内側面部3bに設けられた規制部34の端部がそれぞれ当接されて、切断した面を覆う当接部として機能している。
【0033】
本実施形態の下横框5は、室外側面部5aと、室内側面部5bと、室外側面部5a及び室内側面部5bを接続し、かつ、組付状態において開口部側に位置する開口部側面部5cと、室外側面部5a及び室内側面部5bを接続し、かつ、組付状態において上横框4側に位置する上横框側面部5dとを備えている。開口部側面部5cには、開口部側面部5cの見込み方向の中心部に、開口部側に向かって凸となる段部5eが形成されている。上横框側面部5dには、開口部側面部5cの見込み方向の中心部に上横框4側に向かって凸となる第1の段部5fが形成されており、この第1の段部5fの見込み方向の中心部には、上横框4側に向かって凸となる第2の段部5gが形成されている。下横框5は、アルミニウムを押し出し成形することにより長尺状に形成されたものである。
【0034】
下横框5の第2の段部5gには、長手方向の全体に亘って、1条のタッピングホール51が形成されている。本実施形態では、組付状態において第2の段部5gの開口部側の面にタッピングホール51が形成されている。タッピングホール51は、第3のコーナーブロック63及び第4のコーナーブロック64と接続するためのネジを緊結するために使用される。なお、タッピングホール51は、第3のコーナーブロック63及び第4のコーナーブロック64と接続するためのネジを緊結することができれば、第2の段部5gの開口部側の面以外に形成することができる。
【0035】
本実施形態の下横框5は、後述する第3のコーナーブロック63の横框側差込片63h及び第4のコーナーブロック64の横框側差込片64hを収容する横框側差込片収容部52を有している。本実施形態では、室外側面部5aと、室内側面部5bと、開口部側面部5cと、上横框側面部5dとにより囲まれた空間により、横框側差込片収容部52が構成されている。本実施形態では、横框側差込片63h及び横框側差込片64hは、組付状態において、下横框5に形成された横框側差込片収容部52の開口部側の内面、即ち、開口部側面部5cの上横框側面部5dに対向する面に当接した状態で、横框側差込片収容部52に収容される。特に本実施形態では、横框側差込片63h及び横框側差込片64hは、組付状態において、開口部側面部5cの、段部5eとなっていない部分5hの内面に当接した状態で、横框側差込片収容部52に収容される。
【0036】
本実施形態の下横框5は、
図5に示すようにガラスを保持するガラス収容部53を有している。本実施形態では、上横框側面部5dの第1の段部5fの見込み方向の両端に、一対のガラス収容面部54が設けられており、上横框側面部5dと一対のガラス収容面部54とにより、ガラス収容部53が構成されている。一対のガラス収容面部54はそれぞれ、上横框側に向かって延びる本体部54aと、本体部54aの上横框側の端部から互いに近づくように延びるガラス保持部54bとを有している。一対のガラス保持部54bは、ガラス保持部54bの間隔が、収容するガラスの厚み寸法に応じた寸法となるように構成されている。
【0037】
特に本実施形態では、組付状態において、一対のガラス収容面部54の本体部54aがそれぞれ、右縦框2の室外側面部2aに設けられた規制部24及び室内側面部2bに設けられた規制部24、並びに、左縦框3の室外側面部3aに設けられた規制部34及び室内側面部3bに設けられた規制部34に呑み込まれる印籠形式に構成されている。そして、室外側面部2aに設けられた規制部24及び室外側面部3aに設けられた規制部34の見込み方向における寸法は、上横框側面部5dの室外側において上横框4側に向かって凸となっていない部分5iの見込み方向における寸法と一致している。また、室内側面部2bに設けられた規制部24及び室内側面部3bに設けられた規制部34の見込み方向における寸法は、上横框側面部5dの室内側において上横框4側に向かって凸となっていない部分5iの見込み方向における寸法と一致している。そのため、上横框側面部5dの室外側及び室内側において上横框4側に向かって凸となっていない部分5iはそれぞれ、組付状態において、室外側面部2aに設けられた規制部24及び室外側面部3aに設けられた規制部34の端部、並びに、室内側面部2bに設けられた規制部24及び室内側面部3bに設けられた規制部34の端部がそれぞれ載置されて、切断した面を覆う載置部として機能している。
【0038】
特に本実施形態の下横框5は、上横框4と同一の形状を有しており、組付状態においては、上横框4と下横框5とが互いに鏡像形状を有している。
【0039】
第1のコーナーブロック61は、
図1及び
図4に示したように、組付状態において、右縦框2が固定される縦框固定部61aと、上横框4が固定される横框固定部61bと、室外側面部61cと、室内側面部61dとを備えている。
【0040】
縦框固定部61aは、板状に構成されており、組付状態において、右縦框2のタッピングホール21と連通する位置に、右縦框2との接続に使用されるネジが挿通される2つのネジ孔61eが形成されている。本実施形態の縦框固定部61aは、組付状態において、右縦框2の端部における縦框側差込片収容部22及びガラス保持材収容部23の一部を覆う大きさを有している。本実施形態では特に、縦框固定部61aと、上横框4における下横框側面部4dの下横框5側に向かって凸となっていない部分4iとが面一となるように構成されている。
【0041】
横框固定部61bは、板状に構成されており、縦框固定部61aと垂直となるように形成されている。横框固定部61bには、1つのネジ孔61fが形成されている。ネジ孔61fは、組付状態において、上横框4のタッピングホール41と連通する位置に形成されており、上横框4との接続に使用されるネジが挿通される。本実施形態の横框固定部61bは、組付状態において、上横框4の端部における横框側差込片収容部42の全体を覆う大きさを有している。
【0042】
室外側面部61cは、板状に構成されており、縦框固定部61aと垂直となるように形成されている。本実施形態では、室外側面部61cは、組付状態において、右縦框2の室外側面部2a及び上横框4の室外側面部4aと面一となるように構成されている。
【0043】
室内側面部61dは、板状に構成されており縦框固定部61aと垂直、かつ、室外側面部61cと平行となるように形成されている。本実施形態では、室内側面部61dは、組付状態において、右縦框2の室内側面部2b及び上横框4の室内側面部4bと面一となるように構成されている。
【0044】
本実施形態の縦框固定部61aには、2つの縦框側差込片61gが形成されている。具体的には、略平板状に構成された2つの縦框側差込片61gが見込み方向に並んで形成されている。特に本実施形態の縦框側差込片61gには、右縦框2の開口部側面部2c側に傾斜面部61jが形成されている。また、本実施形態の縦框固定部61aでは、横框固定部61bと縦框側差込片61gとの間に、貫通孔61iが形成されている。本実施形態では特に、2つのネジ孔61eの間に、貫通孔61iが形成されている。
【0045】
本実施形態の横框固定部61bには、2つの横框側差込片61hが形成されている。具体的には、略平板状に構成された2つの横框側差込片61hが見込み方向に並んで形成されている。特に本実施形態の横框側差込片61hには、上横框4の開口部側面部4c側に傾斜面部61kが形成されている。
【0046】
第2のコーナーブロック62は、
図1及び
図4に示したように、組付状態において、左縦框3が固定される縦框固定部62aと、上横框4が固定される横框固定部62bと、室外側面部62cと、室内側面部62dとを備えている。
【0047】
縦框固定部62aは、板状に構成されており、組付状態において、左縦框3のタッピングホール31と連通する位置に、左縦框3との接続に使用されるネジが挿通される2つのネジ孔62eが形成されている。本実施形態の縦框固定部62aは、組付状態において、左縦框3の端部における縦框側差込片収容部32及びガラス保持材収容部33の一部を覆う大きさを有している。本実施形態では特に、縦框固定部62aと、上横框4における下横框側面部4dの下横框5側に向かって凸となっていない部分4iとが面一となるように構成されている。
【0048】
横框固定部62bは、板状に構成されており、縦框固定部62aと垂直となるように形成されている。横框固定部62bには、1つのネジ孔62fが形成されている。ネジ孔62fは、組付状態において、上横框4のタッピングホール41と連通する位置に形成されており、上横框4との接続に使用されるネジが挿通される。本実施形態の横框固定部62bは、組付状態において、上横框4の端部における横框側差込片収容部42の全体を覆う大きさを有している。
【0049】
室外側面部62cは、板状に構成されており、縦框固定部62aと垂直となるように形成されている。本実施形態では、室外側面部62cは、組付状態において、左縦框3の室外側面部3a及び上横框4の室外側面部4aと面一となるように構成されている。
【0050】
室内側面部62dは、板状に構成されており縦框固定部62aと垂直、かつ、室外側面部62cと平行となるように形成されている。本実施形態では、室内側面部62dは、組付状態において、左縦框3の室内側面部3b及び上横框4の室内側面部4bと面一となるように構成されている。
【0051】
本実施形態の縦框固定部62aには、2つの縦框側差込片62gが形成されている。具体的には、略平板状に構成された2つの縦框側差込片62gが見込み方向に並んで形成されている。特に本実施形態の縦框側差込片62gには、左縦框3の開口部側面部3c側に傾斜面部62jが形成されている。また、本実施形態の縦框固定部62aでは、横框固定部62bと縦框側差込片62gとの間に、貫通孔62iが形成されている。本実施形態では特に、2つのネジ孔62eの間に、貫通孔62iが形成されている。
【0052】
本実施形態の横框固定部62bには、2つの横框側差込片62hが形成されている。具体的には、略平板状に構成された2つの横框側差込片62hが見込み方向に並んで形成されている。特に本実施形態の横框側差込片62hには、上横框4の開口部側面部4c側に傾斜面部62kが形成されている。
【0053】
特に本実施形態では、第1のコーナーブロック61及び第2のコーナーブロック62は、組付状態において、互いに鏡像形状を有している。
【0054】
第3のコーナーブロック63は、
図1及び
図4に示したように、組付状態において、左縦框3が固定される縦框固定部63aと、下横框5が固定される横框固定部63bと、室外側面部63cと、室内側面部63dとを備えている。
【0055】
縦框固定部63aは、板状に構成されており、組付状態において、左縦框3のタッピングホール31と連通する位置に、左縦框3との接続に使用されるネジが挿通される2つのネジ孔63eが形成されている。本実施形態の縦框固定部63aは、組付状態において、左縦框3の端部における縦框側差込片収容部32及びガラス保持材収容部33の一部を覆う大きさを有している。本実施形態では特に、縦框固定部63aと、下横框5における上横框側面部5dの上横框4側に向かって凸となっていない部分5iとが面一となるように構成されている。
【0056】
横框固定部63bは、板状に構成されており、縦框固定部63aと垂直となるように形成されている。横框固定部63bには、1つのネジ孔63fが形成されている。ネジ孔63fは、組付状態において、下横框5のタッピングホール51と連通する位置に形成されており、下横框5との接続に使用されるネジが挿通される。本実施形態の横框固定部63bは、組付状態において、下横框5の端部における横框側差込片収容部52の全体を覆う大きさを有している。
【0057】
室外側面部63cは、板状に構成されており、縦框固定部63aと垂直となるように形成されている。本実施形態では、室外側面部63cは、組付状態において、左縦框3の室外側面部3a及び下横框5の室外側面部5aと面一となるように構成されている。
【0058】
室内側面部63dは、板状に構成されており縦框固定部63aと垂直、かつ、室外側面部63cと平行となるように形成されている。本実施形態では、室内側面部63dは、組付状態において、左縦框3の室内側面部3b及び下横框5の室内側面部5bと面一となるように構成されている。
【0059】
本実施形態の縦框固定部63aには、2つの縦框側差込片63gが形成されている。具体的には、略平板状に構成された2つの縦框側差込片63gが見込み方向に並んで形成されている。特に本実施形態の縦框側差込片63gには、左縦框3の開口部側面部3c側に傾斜面部63jが形成されている。また、本実施形態の縦框固定部63aでは、横框固定部63bと縦框側差込片63gとの間に、貫通孔63iが形成されている。本実施形態では特に、2つのネジ孔63eの間に、貫通孔63iが形成されている。
【0060】
本実施形態の横框固定部63bには、2つの横框側差込片63hが形成されている。具体的には、略平板状に構成された2つの横框側差込片63hが見込み方向に並んで形成されている。特に本実施形態の横框側差込片63hには、下横框5の開口部側面部5c側に傾斜面部63kが形成されている。
【0061】
特に本実施形態では、第1のコーナーブロック61及び第3のコーナーブロック63は、互いに同一形状を有しており、第2のコーナーブロック62及び第3のコーナーブロック63は、組付状態において、互いに鏡像形状を有している。
【0062】
第4のコーナーブロック64は、
図1及び
図4に示したように、組付状態において、右縦框2が固定される縦框固定部64aと、下横框5が固定される横框固定部64bと、室外側面部64cと、室内側面部64dとを備えている。
【0063】
縦框固定部64aは、板状に構成されており、組付状態において、右縦框2のタッピングホール21と連通する位置に、右縦框2との接続に使用されるネジが挿通される2つのネジ孔64eが形成されている。本実施形態の縦框固定部64aは、組付状態において、右縦框2の端部における縦框側差込片収容部22及びガラス保持材収容部23の一部を覆う大きさを有している。本実施形態では特に、縦框固定部64aと、下横框5における上横框側面部5dの上横框4側に向かって凸となっていない部分5iとが面一となるように構成されている。
【0064】
横框固定部64bは、板状に構成されており、縦框固定部64aと垂直となるように形成されている。横框固定部64bには、1つのネジ孔64fが形成されている。ネジ孔64fは、組付状態において、下横框5のタッピングホール51と連通する位置に形成されており、下横框5との接続に使用されるネジが挿通される。本実施形態の横框固定部64bは、組付状態において、下横框5の端部における横框側差込片収容部52の全体を覆う大きさを有している。
【0065】
室外側面部64cは、板状に構成されており、縦框固定部64aと垂直となるように形成されている。本実施形態では、室外側面部64cは、組付状態において、右縦框2の室外側面部2a及び下横框5の室外側面部5aと面一となるように構成されている。
【0066】
室内側面部64dは、板状に構成されており縦框固定部64aと垂直、かつ、室外側面部64cと平行となるように形成されている。本実施形態では、室内側面部64dは、組付状態において、右縦框2の室内側面部2b及び下横框5の室内側面部5bと面一となるように構成されている。
【0067】
本実施形態の縦框固定部64aには、2つの縦框側差込片64gが形成されている具体的には、略平板状に構成された2つの縦框側差込片64gが見込み方向に並んで形成されている。特に本実施形態の縦框側差込片64gには、右縦框2の開口部側面部2c側に傾斜面部64jが形成されている。また、本実施形態の縦框固定部64aでは、横框固定部64bと縦框側差込片64gとの間に、貫通孔64iが形成されている。本実施形態では特に、2つのネジ孔64eの間に、貫通孔64iが形成されている。
【0068】
本実施形態の横框固定部64bには、2つの横框側差込片64hが形成されている。具体的には、略平板状に構成された2つの横框側差込片64hが見込み方向に並んで形成されている。特に本実施形態の横框側差込片64hには、下横框5の開口部側面部5c側に傾斜面部64kが形成されている。
【0069】
特に本実施形態では、第4のコーナーブロック64は、第1のコーナーブロック61及び第3のコーナーブロック63と、組付状態において、互いに鏡像形状を有しており、第4のコーナーブロック64及び第2のコーナーブロック62は、互いに同一形状を有している。
【0070】
本実施形態では、第1~4のコーナーブロック61~64は、アルミダイキャスト等の成形品である。
【0071】
本実施形態のガラス保持材8は、コの字型の本体部81と、ガラスを保持する一対のガラス保持部82と、一対の保持部の端部に形成された折り返し部83とを備えている。一対のガラス保持部82は、ガラス保持部82の間隔が、収容するガラスの厚み寸法に応じた寸法となるように構成されている。ガラス保持材8は、折り返し部83の大部分が、規制部24または規制部34に収容されることで、室内外方向への移動が規制される。本実施形態では、右縦框2及び左縦框3からなる一対の縦框にガラス保持材8が取り付けられているが、ガラス保持材8を取り付ける態様はこれに限定されず、ガラス保持材8は、一対の縦框の代わりに上横框4及び下横框5からなる一対の横框に取り付けられてもよく、右縦框2、左縦框3、上横框4及び下横框5のうち3つの框に取り付けられてもよく、右縦框2、左縦框3、上横框4及び下横框5の全てに取り付けられてもよい。また、ガラス保持材8がいずれの框にも取り付けられなくともよい。
【0072】
本実施形態では、右縦框2、左縦框3、上横框4、下横框5及びガラス保持材8の寸法関係はそれぞれ、ガラス保持材8の長手方向の寸法、下横框5のガラス収容面部54の本体部54aの見付け方向の寸法(
図2においてXで示される)、及び、上横框4のガラス収容面部44の本体部44aの見付け方向の寸法(
図2においてYで示される)の合計が、右縦框2及び左縦框3の長手方向の寸法と同じになるように構成されている。
【0073】
以上のように構成を備えた本実施形態の障子1の作用効果は、次の通りである。
(1) 右縦框2、左縦框3、上横框4及び下横框5のタッピングホール21~51へのネジの緊結のみで、右縦框2、左縦框3、上横框4及び下横框5をコーナーブロック6(第1~第4のコーナーブロック61~64)を介して連結することができるので、障子の組付けの際の形材の切欠加工が不要であり、そのため加工者の熟練を要することなく簡単に障子の組付けを行うことができる。
(2) 右縦框2、左縦框3、上横框4及び下横框5のタッピングホール21~51へのネジの緊結のみで、右縦框2、左縦框3、上横框4及び下横框5をコーナーブロック6(第1~第4のコーナーブロック61~64)を介して連結することができるので、形材の切欠加工のための加工装置が不要であり、形材の切欠加工のための設備投資を低く抑えることができる。
(3) 建物の施工現場の開口部の寸法変更等により形材の寸法を短くする必要が生じた場合でも、切欠加工を必要とすることなく、形材の寸法を開口部に合わせるための切断加工のみで、寸法変更等に対応した障子の組付けを行うことができる。
(4) 第1乃至第4のコーナーブロック61~64のうち、少なくとも2つのコーナーブロックが、互いに同一形状を有する、または、互いに鏡像形状であるため、コーナーブロックと形材との組み合わせの誤りを回避することができ、障子の正しい組み立てを簡単に行え、追加の形材が必要となることを回避できる。
(5) 縦框固定部61a~64aの大きさと、横框固定部62a~62bの大きさと、ネジ孔の位置及びタッピングホールの位置の一致とにより、形材とコーナーブロックとの組付方向を簡単に判別することができるので、形材とコーナーブロックとの組付方向を間違えることを回避できる。
(6) 組付状態において、上横框4の一対のガラス収容面部44の本体部44a及び下横框5の一対のガラス収容面部54の本体部54aがそれぞれ、右縦框2の室外側面部2aに設けられた規制部24及び室内側面部2bに設けられた規制部24、並びに、左縦框3の室外側面部3aに設けられた規制部34及び室内側面部3bに設けられた規制部34に呑み込まれる印籠形式に構成されているので、右縦框2及び左縦框3との接合強度が向上する。そのため、風圧(正圧・負圧)やねじれによる障子の変形を防止することできる。
(7) ガラス保持材8の長手方向の寸法、下横框5のガラス収容面部54の本体部54aの見付け方向の寸法、及び、上横框4のガラス収容面部44の本体部44aの見付け方向の寸法の合計が、右縦框2及び左縦框3の長手方向の寸法と同じになるように構成されているので、ガラス保持材8が取り付けられる右縦框2及び左縦框3の切欠加工が不要である。そのため、ガラス保持材8を含めた障子1を、右縦框2、左縦框3、上横框4、下横框5及びガラス保持材8の形材の寸法を切断加工するのみで、簡単できれいに組み立てることが可能である。また、ガラス保持材8の長手方向の端部を、上横框4のガラス保持部44b及び下横框5のガラス保持部54bに当接・載置するだけで、ガラス保持材8が位置決めされるので、ガラス保持材8の位置決めを容易に行うことができる。さらにガラス保持材8が長手方向に移動することを規制することができる。
(8) 縦框側差込片61g及び縦框側差込片64gは、縦框側差込片収容部22に収容される際に、右縦框2に形成された縦框側差込片収容部22の開口部側の内面、即ち、開口部側面部2cの左縦框側面部2dに対向する面に当接している。また、縦框側差込片62g及び縦框側差込片63gは、縦框側差込片収容部32に収容される際に、左縦框3に形成された縦框側差込片収容部32の開口部側の内面、即ち、開口部側面部3cの右縦框側面部3dに対向する面に当接している。そのため、縦框側差込片61g~64gは、各コーナーブロックを、右縦框2及び左縦框3に固定する際のガイドとして機能するので、右縦框2及び左縦框3の両端と、各コーナーブロック61~64の縦框固定部61a~64aとの間が、ネジの緊結で寄せ切れずに隙間が空く口開き現象を防止することができる。
(9) 横框側差込片61h及び横框側差込片62hは、横框側差込片収容部42に収容される際に、上横框4に形成された横框側差込片収容部42の開口部側の内面、即ち、開口部側面部4cの下横框側面部4dに対向する面に当接している。また、横框側差込片63h及び横框側差込片64hは、横框側差込片収容部52に収容される際に、下横框5に形成された横框側差込片収容部52の開口部側の内面、即ち、開口部側面部5cの上横框側面部5dに対向する面に当接している。そのため、上横框4及び下横框5の両端と、各コーナーブロック61~64の縦框固定部61b~64bとの間が、ネジの緊結で寄せ切れずに隙間が空く口開き現象を防止することができる。
(10) 特に、横框固定部63b及び横框固定部64bは、組付状態において下横框5の端部における横框側差込片収容部52の全体を覆う大きさを有している。そのため、下横框5内部、特にはガラス収容部53内及びガラスを配置する際に使用されるグレージングチャンネル内に浸入した水を、
図7に示すようにガラス収容部53の底面からコーナーブロックの縦框固定部63a及び64aに導く排水経路が形成され、ガラス収容部53内及び使用されるグレージングチャンネル内に浸入した水を確実に各コーナーブロックに向けて排水することができる。
(11) さらに、第3のコーナーブロックの縦框固定部63aでは、横框固定部63bと縦框側差込片63gとの間に貫通孔63iが形成されており、第4のコーナーブロックの縦框固定部64aでは、同様に、横框固定部64bと縦框側差込片64gとの間に貫通孔64iが形成されている。この貫通孔63i及び64iは排水用貫通孔として機能するものであり、排水経路により各コーナーブロックに排水されたガラス収容部53内及び使用されるグレージングチャンネル内に浸入した水を、
図5に示すように貫通孔63i及び64iを介して障子1のサッシ枠の下枠に落下させて、下枠から室外に排水することが可能となる。そのため、障子1の室内面から、水が流れ出ることを防止することができる。
(12) さらに、第1のコーナーブロック61及び第2のコーナーブロック62にも同じ態様で貫通孔61i及び62iが形成されている。この貫通孔61i及び62iは外気導入用貫通孔として機能するものであり、障子1の内部の気圧を、外気圧に近づけることができるので、障子1の内部への水の浸入を抑制すると共に、障子1の内部に浸入した水の排出を容易にすることができている。
【0074】
以上のように構成された障子の組付方法について、説明する。
工程1:右縦框2、左縦框3、上横框4、下横框5及びガラス保持材8用の形材をそれぞれ所望の寸法に切断して、右縦框2、左縦框3、上横框4、下横框5及びガラス保持材8を作製する。
工程2:横框側差込片63h及び横框側差込片64hを開口部側面部5cの段部5eとなっていない部分5hの内面に当接した状態で下横框5の横框側差込片収容部52に、横框側差込片61h及び横框側差込片62hを開口部側面部4cの段部4eとなっていない部分の内面4hに当接した状態で上横框4の横框側差込片収容部42に、それぞれ収容して、下横框5に対するコーナーブロックの見付け方向の位置決め及び上横框4に対するコーナーブロックの見付け方向の位置決めをする。
工程3:下横框5の長手方向の両端(切断した部分)及び上横框4の長手方向の両端(切断した部分)に、位置決めしたコーナーブロックをネジで固定する。
工程4:縦框側差込片61g及び縦框側差込片64gを開口部側面部2cの内面に当接した状態で右縦框2の縦框側差込片収容部22に、縦框側差込片62g及び縦框側差込片63gを開口部側面部3cの内面に当接した状態で左縦框3の縦框側差込片収容部32に、それぞれ収容して、右縦框2に対するコーナーブロックの見付け方向の位置決め及び左縦框3に対するコーナーブロックの見付け方向の位置決めをする。
工程5:右縦框2の長手方向の両端(切断した部分)及び左縦框3の長手方向の両端(切断した部分)に、位置決めしたコーナーブロックをネジで固定する。
【0075】
上記実施形態においては、第1乃至第4のコーナーブロックが全て同一形状であるか互いに鏡像形状を有する場合について説明したが、第1乃至第4のコーナーブロック61~64のうち、少なくとも2つのコーナーブロックが、互いに同一形状を有する、または、互いに鏡像形状であれば、本発明の効果を奏するものである。
【0076】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において、通常の知識を有する者により可能である。例えば、実施形態のすべり出し窓用の障子ではなく、突き出し窓、内倒し窓、外倒し窓、引き違い窓、片引き窓等の障子あるいはドア、扉等でもよい。
【符号の説明】
【0077】
1:障子
2:右縦框
2a:室外側面部 2b:室内側面部 2c:開口部側面部
2d:左縦框側面部 2e:本体部
21:タッピングホール
22:縦框側差込片収容部
23:ガラス保持材収容部
24:規制部
3:左縦框
3a:室外側面部 3b:室内側面部 3c:開口部側面部
3d:右縦框側面部 3e:本体部
31:タッピングホール
32:縦框側差込片収容部
33:ガラス保持材収容部
34:規制部
4:上横框
4a:室外側面部 4b:室内側面部 4c:開口部側面部
4d:下横框側面部 4e:段部 4f:第1の段部 4g:第2の段部
41:タッピングホール
42:横框側差込片収容部
43:ガラス収容部
44:ガラス収容面部
44a:本体部 44b:ガラス保持部
5:下横框
5a:室外側面部 5b:室内側面部 5c:開口部側面部
5d:上横框側面部 5e:段部 5f:第1の段部 5g:第2の段部
51:タッピングホール
52:横框側差込片収容部
53:ガラス収容部
54:ガラス収容面部
54a:本体部 54b:ガラス保持部
6:コーナーブロック
61:第1のコーナーブロック
61a:縦框固定部 61b:横框固定部 61c:室外側面部
61d:室内側面部 61e:ネジ孔 61f:ネジ孔
61g:縦框側差込片 61h:横框側差込片 61i貫通孔
62:第2のコーナーブロック
62a:縦框固定部 62b:横框固定部 62c:室外側面部
62d:室内側面部 62e:ネジ孔 62f:ネジ孔
62g:縦框側差込片 62h:横框側差込片 62i貫通孔
63:第3のコーナーブロック
63a:縦框固定部 63b:横框固定部 63c:室外側面部
63d:室内側面部 63e:ネジ孔 63f:ネジ孔
63g:縦框側差込片 63h:横框側差込片 63i貫通孔
64:第4のコーナーブロック
64a:縦框固定部 64b:横框固定部 64c:室外側面部
64d:室内側面部 64e:ネジ孔 64f:ネジ孔
64g:縦框側差込片 64h:横框側差込片 64i貫通孔
8:ガラス保持材
81:本体部
82:ガラス保持部
83:折り返し部