IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱農機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-コンバイン 図1
  • 特許-コンバイン 図2
  • 特許-コンバイン 図3
  • 特許-コンバイン 図4
  • 特許-コンバイン 図5
  • 特許-コンバイン 図6
  • 特許-コンバイン 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 67/00 20060101AFI20230424BHJP
   A01D 41/02 20060101ALI20230424BHJP
   A01D 69/08 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
A01D67/00 G
A01D41/02 D
A01D69/08 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019205502
(22)【出願日】2019-11-13
(65)【公開番号】P2021073950
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕司
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-187391(JP,A)
【文献】特開2002-53077(JP,A)
【文献】特開2009-201375(JP,A)
【文献】特開2009-234352(JP,A)
【文献】特開2008-162421(JP,A)
【文献】特開2009-39130(JP,A)
【文献】特開2008-061543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 67/00
A01D 69/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降口を介して機体側方から乗降される運転部と、
前記運転部の床面を形成するフロア部と、
前記フロア部に配置されるクラッチペダルと、
前記運転部のフロア部下方に形成される収容部と、
前記フロア部に形成され、前記収容部の上方を開放する開口部と、
前記開口部を開閉可能に覆うフロアカバーと、を備えるコンバインであって、
前記フロアカバーは、前記開口部に着脱可能に嵌め込み可能であり、
前記開口部は、平面視で少なくとも前記クラッチペダルの一部がオーバーラップする領域に形成される四角形の開口であり、
前記フロア部は、前記開口部の前端縁部及び後端縁部に沿って設けられ、前記開口部に嵌め込まれた前記フロアカバーの前端部及び後端部を下方から支持する前端支持部及び後端支持部を有し、
前記フロアカバーは、左右の側端部のうち前記乗降口側の側端部を持ち上げ、他方の側端部を前記前端支持部上及び前記後端支持部上で左右方向に摺動させながら着脱されることを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記フロア部の後方に配置されるエンジンと、
前記フロア部の後端に立設され、前記エンジンの前方を覆うフロア後面カバーと、を更に備え、
前記フロア後面カバーを前記開口部の後端縁部としたことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記フロア部の前記他方側の側端に立設されるフロア側面カバーを更に備え、
前記フロア側面カバーを前記開口部の前記他方側の側縁としたことを特徴とする請求項1又は2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記フロアカバーは、
金属製のフロアカバー本体と、
前記フロアカバー本体の上面に重合する弾性変形可能なマットと、を備え、
前記マットは、前記フロアカバー本体よりも所定方向において幅広に形成され、前記フロアカバーが前記開口部に嵌め込まれたときに、前記開口部の縁部に弾性的に当接することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記マットは、前後方向では前記フロアカバー本体よりも幅狭であり、左右方向では前記フロアカバー本体よりも幅広であることを特徴とする請求項4に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記フロアカバーは、前記乗降口側の角部に設けられ、手指を掛けて前記フロアカバーを持ち上げ可能な指掛部を備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項7】
前記フロア部の前記乗降口側には、上方および左右方向外側方が開放された空間が形成され、該空間を介して前記開口部に嵌め込まれた前記フロアカバーの下方に手を入れて前記フロアカバーを押し上げ可能に構成したことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転部のフロア部下方に収容部を備えるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
運転部のフロア部下方に収容部を備え、該収容部に油圧バルブユニットや制御ユニットを収容するコンバインが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のコンバインは、通常、収容部の上方を開放する開口部と、該開口部を開閉可能に覆うフロアカバーと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5743816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のコンバインでは、収容部を開放する際に、蝶番を支点としてフロアカバーを上方に回動させるので、フロア部に配置されるクラッチペダル等との干渉を回避するためにフロアカバーの大きさや配置に制約があり、フロア部の下方空間を有効利用するという点で改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、乗降口を介して機体側方から乗降される運転部と、前記運転部の床面を形成するフロア部と、前記フロア部に配置されるクラッチペダルと、前記運転部のフロア部下方に形成される収容部と、前記フロア部に形成され、前記収容部の上方を開放する開口部と、前記開口部を開閉可能に覆うフロアカバーと、を備えるコンバインであって、前記フロアカバーは、前記開口部に着脱可能に嵌め込み可能であり、前記開口部は、平面視で少なくとも前記クラッチペダルの一部がオーバーラップする領域に形成される四角形の開口であり、前記フロア部は、前記開口部の前端縁部及び後端縁部に沿って設けられ、前記開口部に嵌め込まれた前記フロアカバーの前端部及び後端部を下方から支持する前端支持部及び後端支持部を有し、前記フロアカバーは、左右の側端部のうち前記乗降口側の側端部を持ち上げ、他方の側端部を前記前端支持部上及び前記後端支持部上で左右方向に摺動させながら着脱されることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のコンバインであって、前記フロア部の後方に配置されるエンジンと、前記フロア部の後端に立設され、前記エンジンの前方を覆うフロア後面カバーと、を更に備え、前記フロア後面カバーを前記開口部の後端縁部としたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のコンバインであって、前記フロア部の前記他方側の側端に立設されるフロア側面カバーを更に備え、前記フロア側面カバーを前記開口部の前記他方側の側縁としたことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1~3のいずれか1項に記載のコンバインであって、前記フロアカバーは、金属製のフロアカバー本体と、前記フロアカバー本体の上面に重合する弾性変形可能なマットと、を備え、前記マットは、前記フロアカバー本体よりも所定方向において幅広に形成され、前記フロアカバーが前記開口部に嵌め込まれたときに、前記開口部の縁部に弾性的に当接することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4に記載のコンバインであって、前記マットは、前後方向では前記フロアカバー本体よりも幅狭であり、左右方向では前記フロアカバー本体よりも幅広であることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1~5のいずれか1項に記載のコンバインであって、前記フロアカバーは、前記乗降口側の角部に設けられ、手指を掛けて前記フロアカバーを持ち上げ可能な指掛部を備えることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1~6のいずれか1項に記載のコンバインであって、前記フロア部の前記乗降口側には、上方および左右方向外側方が開放された空間が形成され、該空間を介して前記開口部に嵌め込まれた前記フロアカバーの下方に手を入れて前記フロアカバーを押し上げ可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、フロアカバーは、左右の側端部のうち乗降口側の側端部を持ち上げ、他方の側端部を前端支持部上及び後端支持部上で左右方向に摺動させながら着脱されるので、フロアカバーの着脱に際して必要な作業スペースを小さくでき、フロアカバーや開口部を大きくすることが可能になる。具体的には、開口部を大きくするために、平面視で少なくともクラッチペダルの一部がオーバーラップする領域に開口部を形成したとしても、フロアカバーの着脱に際してクラッチペダルにフロアカバーが干渉することを回避できる。
請求項2の発明によれば、フロア後面カバーを開口部の後端縁部としたので、フロア後面カバーを利用して構成を簡略化できるだけでなく、開口部を大きくすることができる。
請求項3の発明によれば、フロア側面カバーを開口部の他方側の側縁としたので、フロア側面カバーを利用して構成を簡略化できるだけでなく、開口部を大きくすることができる。
請求項4の発明によれば、フロアカバーは、金属製のフロアカバー本体と、フロアカバー本体の上面に重合する弾性変形可能なマットと、を備え、マットは、フロアカバー本体よりも所定方向において幅広に形成され、フロアカバーが開口部に嵌め込まれたときに、開口部の縁部に弾性的に当接するので、マットを利用してフロアカバーのガタツキを防止できる。
請求項5の発明によれば、マットは、前後方向ではフロアカバー本体よりも幅狭であり、左右方向ではフロアカバー本体よりも幅広なので、フロアカバーの着脱性を阻害することなく、装着状態におけるフロアカバーのガタツキを防止できる。
請求項6の発明によれば、フロアカバーは、乗降口側の角部に設けられ、手指を掛けてフロアカバーを持ち上げ可能な指掛部を備えるので、フロアカバーの着脱操作が容易になる。
請求項7の発明によれば、フロア部の乗降口側には、開口部に嵌め込まれたフロアカバーの下方に手を入れてフロアカバーを押し上げ可能な空間が形成されるので、開口部とフロアカバーとの間に泥などが詰まってフロアカバーを持ち上げにくい状況でも、下方から押し上げることでフロアカバーを確実に持ち上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係るコンバインの全体斜視図である。
図2】コンバインのフレーム構成を示す分解斜視図である。
図3】運転部(フロアカバー有り)の平面図である。
図4】運転部(フロアカバー無し)の平面図である。
図5】フロアカバーを取外す前の状態を示す要部斜視図である。
図6】フロアカバーの取外作業中の状態を示す要部斜視図である。
図7】フロアカバーの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1において、1はコンバインであって、該コンバイン1は、走行機体2と、走行機体2の前側に昇降可能に連結され、穀稈を刈り取る前処理部3と、走行機体2の一側部(左側部)に配置され、刈り取った穀稈から穀粒を脱穀して選別する脱穀部4と、走行機体2の他側部(右側部)に配置され、オペレータが乗車する運転部5と、運転部5の後下方に搭載されるエンジン6(図2参照)と、運転部5の後方に配置され、脱穀部4で選別された穀粒を貯留する穀粒タンク7と、穀粒タンク7内の穀粒を機外に搬送する排出オーガ8と、走行機体2を支えるクローラ式の走行部9とを備える。
【0009】
図2に示すように、コンバイン1の機体フレーム10上には、運転部5を構成するために複数のフレーム部材が設けられる。具体的には、機体フレーム10のエンジン後方位置に立設される支柱フレーム11と、機体フレーム10のエンジン前方位置に設けられるステップフレーム12と、支柱フレーム11とステップフレーム12とを連結する連結フレーム13と、後側が支柱フレーム11に連結され、前側がステップフレーム12に連結される運転部フレーム14とを備える。
【0010】
支柱フレーム11は、機体フレーム10から上方に延出する左右の縦フレーム15L、15Rと、左右の縦フレーム15L、15Rの上端部同士を連結する上部横フレーム16Uと、左右の縦フレーム15の中間部同士を連結する中間横フレーム16Mとを備える。
【0011】
ステップフレーム12には、平面視で四角形に枠組された前側横フレーム17Fr、後側横フレーム17Rr、左側横フレーム17L及び右側横フレーム17Rと、四角形の4つの角から下方に延出して機体フレーム10に連結される左前縦フレーム18LF、右前縦フレーム18RF、左後縦フレーム18LR及び右後縦フレーム18RRとが含まれる。
【0012】
連結フレーム13は、支柱フレーム11の中間横フレーム16Mとステップフレーム12の後側横フレーム17Rrとを連結している。
【0013】
運転部フレーム14は、平面視で四角形に枠組されたフロア前側横フレーム19Fr、フロア後側横フレーム19Rr、フロア左側横フレーム19L及びフロア右側横フレーム19Rと、四角形の左前角部から上方に延出する左前縦フレーム20LFと、四角形の右前角部から上方に延出する右前縦フレーム20RFと、四角形の左後角部から上方後方に延出する左後縦フレーム20LRと、四角形の右後角部から上方後方に延出する右後縦フレーム20RRと、左前縦フレーム20LF及び右前縦フレーム20RFの上端部同士を連結する前上部横フレーム21FUと、左後縦フレーム20LR及び右後縦フレーム20RRの上端部同士を連結する後上部横フレーム21RUとを備える。
【0014】
運転部フレーム14は、後上部横フレーム21RUが支柱フレーム11の上部横フレーム16Uに連結され、フロア前側横フレーム19Frがステップフレーム12の前側横フレーム17Frに連結されることにより、支柱フレーム11及びステップフレーム12を介して機体フレーム10に支持される。
【0015】
図3図6に示すように、運転部5は、オペレータが座る運転席31と、運転席31の前方に設けら、マルチステアリングレバー32や液晶表示パネル33が配置されるフロント操作パネル34と、運転席31の左側方に設けられ、主変速レバー35や副変速レバー36が配置されるサイド操作パネル37と、運転部5の床面を形成するフロア部38と、運転部5の右側部を開放する乗降口39とを備える。
【0016】
フロア部38は、床面を構成する着脱可能なフロアカバー40及びフロア固定カバー41と、フロア部38の後端に立設され、エンジン6の前方を覆うフロア後面カバー42と、フロア部38の左側端に立設されるフロア側面カバー43と、フロア部38の前端に立設されるフロア前面カバー(図示せず)とを備える。
【0017】
また、フロア部38の床面上には、足置き台(フットレスト)として機能するサブステップ44と、走行系及び作業系の動力を断接操作するクラッチペダル45と、クラッチペダル45の踏み込み位置を規定するペダルストッパ46と、クラッチペダル45を踏み込み位置でロックするペダルロック具47とが配置されている。
【0018】
図4などに示すように、フロア部38の下方には、油圧バルブ48、ラジエータリザーブタンク49、オイルフィルタ50などを収容する収容部51が形成されている。フロア部38には、収容部51の上方を開放する開口部52が形成されており、該開口部52がフロアカバー40によって開閉可能に覆われている。収容部51内の油圧バルブ48、ラジエータリザーブタンク49、オイルフィルタ50などをメンテナンスする際には、フロアカバー40を開放操作した後、開口部52を介して収容部51内にアクセスするため、開口部52は可及的に大きいことが望ましい。
【0019】
図4に示すように、開口部52は、四角形の開口であり、開口面積を大きくするために、平面視で少なくともクラッチペダル45の一部がオーバーラップする領域まで形成されている。
【0020】
また、開口部52の後縁は、フロア後面カバー42によって形成されており、開口部52の左側縁は、フロア側面カバー43によって形成されている。このようにすると、フロア後面カバー42やフロア側面カバー43を利用して開口縁部が形成されるので、構造の簡略化や部品点数の削減が図れるだけでなく、開口部52を大きくすることができる。
【0021】
また、前述した運転部フレーム14のフロア後側横フレーム19Rr、フロア左側横フレーム19L及びフロア右側横フレーム19Rの内周側の端部は、開口部52の後縁、左側縁及び右側縁から開口部52の内方に向けて突出し、開口部52に着脱可能に嵌め込まれるフロアカバー40の後端部、左端部及び右端部を下方から支持する後端支持部、左端支持部及び右端支持部として機能するようになっている。
【0022】
図7に示すように、本実施形態のフロアカバー40は、金属製のフロアカバー本体53と、フロアカバー本体53の上面に重合する弾性変形可能なマット54とを備える。フロアカバー本体53は、開口部52に嵌め込まれる本体部53aと、本体部53aの前端から上方に立上がる前端立上り部53bと、前端立上り部53bの上端から前方に延出する前端フランジ部53cと、本体部53aの後端から上方に立上がる後端立上り部53dと、後端立上り部53dの右端部から上方に延出する固定部53eと、本体部53aの下面に設けられる断面L字状の骨部材53fとを備える。
【0023】
このようなフロアカバー40を開口部52に嵌め込むと、フロアカバー40の後端部、左端部及び右端部が、運転部フレーム14のフロア後側横フレーム19Rr、フロア左側横フレーム19L及びフロア右側横フレーム19Rによって下方から支持されるとともに、フロアカバー40の前端部(前端フランジ部53c)が、フロア固定カバー41の後端部によって下方から支持される。つまり、フロア固定カバー41の後端部は、フロアカバー40の前端部を下方から支持する前端支持部として機能するようになっている。なお、ノブ付きボルト55を介して固定部53eをフロア後面カバー42側に固定すると、フロアカバー40の嵌め込み状態を確実に維持することができる。
【0024】
図6に示すように、フロアカバー40は、左右の側端部のうち乗降口39側の側端部を持ち上げ、他方の側端部をフロア後側横フレーム19Rr上及びフロア固定カバー41の後端部上で左右方向に摺動させながら着脱することができる。このようなフロアカバー40の着脱構造によれば、フロアカバー40の着脱に際して必要な作業スペース(特に、高さ方向の作業スペース)を小さくできるので、フロアカバー40や開口部52を大きくすることが可能になる。具体的には、開口部52を大きくするために、平面視で少なくともクラッチペダル45の一部がオーバーラップする領域に開口部52を形成したとしても、フロアカバー40の着脱に際してクラッチペダル45にフロアカバー40が干渉することを回避できる。
【0025】
図5図7に示すように、フロアカバー40は、乗降口39側の角部に設けられ、手指を掛けてフロアカバー40を持ち上げ可能な指掛部53gを備える。具体的には、フロアカバー本体53の前端フランジ部53cの乗降口39側の角部をアール状に形成し、ここを指掛部53gとしている。このような指掛部53gによれば、フロアカバー40の着脱操作が容易になる。
【0026】
また、図4に示すように、フロア部38の乗降口39側には、開口部52に嵌め込まれたフロアカバー40の下方に手を入れてフロアカバー40を押し上げ可能な空間Sが形成されている。具体的には、平面視において、ステップフレーム12の右側横フレーム17Rと、運転部フレーム14のフロア右側横フレーム19Rとの間に空間Sが形成されており、該空間Sの外側方が開放されているので、空間Sを介してフロアカバー40の下方に手を入れてフロアカバー40を押し上げることが可能になる。このようにすると、開口部52とフロアカバー40との間に泥などが詰まってフロアカバー40を持ち上げにくい状況でも、下方から押し上げることでフロアカバー40を確実に持ち上げることができる。
【0027】
フロアカバー40のマット54は、フロアカバー本体53よりも所定方向において幅広に形成され、フロアカバー40が開口部52に嵌め込まれたときに、開口部52の縁部に弾性的に当接する。このようにすると、マット54を利用してフロアカバー40のガタツキを防止できる。
【0028】
また、マット54は、前後方向ではフロアカバー本体53よりも幅狭であり、左右方向ではフロアカバー本体53よりも幅広である。このようにすると、フロアカバー40の着脱性を阻害することなく、装着状態におけるフロアカバー40のガタツキを防止できる。
【0029】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、乗降口39を介して機体側方から乗降される運転部5と、運転部5の床面を形成するフロア部38と、フロア部38に配置されるクラッチペダル45と、運転部5のフロア部38の下方に形成される収容部51と、フロア部38に形成され、収容部51の上方を開放する開口部52と、開口部52を開閉可能に覆うフロアカバー40と、を備えるコンバイン1であって、フロアカバー40は、開口部52に着脱可能に嵌め込み可能であり、開口部52は、平面視で少なくともクラッチペダル45の一部がオーバーラップする領域に形成される四角形の開口であり、フロア部38は、開口部52の前端縁部及び後端縁部に沿って設けられ、開口部52に嵌め込まれたフロアカバー40の前端部及び後端部を下方から支持する前端支持部及び後端支持部を有し、フロアカバー40は、左右の側端部のうち乗降口39側の側端部を持ち上げ、他方の側端部を前端支持部上及び後端支持部上で左右方向に摺動させながら着脱されるので、フロアカバー40の着脱に際して必要な作業スペースを小さくでき、フロアカバー40や開口部52を大きくすることが可能になる。具体的には、開口部52を大きくするために、平面視で少なくともクラッチペダル45の一部がオーバーラップする領域に開口部52を形成したとしても、フロアカバー40の着脱に際してクラッチペダル45にフロアカバー40が干渉することを回避できる。
【0030】
また、フロア部38の後方に配置されるエンジン6と、フロア部38の後端に立設され、エンジン6の前方を覆うフロア後面カバー42と、を更に備え、フロア後面カバー42を開口部52の後縁としたので、フロア後面カバー42を利用して構成を簡略化できるだけでなく、開口部52を大きくすることができる。
【0031】
また、フロア部38の左側端に立設されるフロア側面カバー43を更に備え、フロア側面カバー43を開口部52の左側縁としたので、フロア側面カバー43を利用して構成を簡略化できるだけでなく、開口部52を大きくすることができる。
【0032】
また、フロアカバー40は、金属製のフロアカバー本体53と、フロアカバー本体53の上面に重合する弾性変形可能なマット54と、を備え、マット54は、フロアカバー本体53よりも所定方向において幅広に形成され、フロアカバー40が開口部52に嵌め込まれたときに、開口部52の縁部に弾性的に当接するので、マット54を利用してフロアカバー40のガタツキを防止できる。
【0033】
また、マット54は、前後方向ではフロアカバー本体53よりも幅狭であり、左右方向ではフロアカバー本体53よりも幅広なので、フロアカバー40の着脱性を阻害することなく、装着状態におけるフロアカバー40のガタツキを防止できる。
【0034】
また、フロアカバー40は、乗降口39側の角部に設けられ、手指を掛けてフロアカバー40を持ち上げ可能な指掛部53gを備えるので、フロアカバー40の着脱操作が容易になる。
【0035】
また、フロア部38の乗降口39側には、開口部52に嵌め込まれたフロアカバー40の下方に手を入れてフロアカバー40を押し上げ可能な空間Sが形成されるので、開口部52とフロアカバー40との間に泥などが詰まってフロアカバー40を持ち上げにくい状況でも、下方から押し上げることでフロアカバー40を確実に持ち上げることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 コンバイン
5 運転部
6 エンジン
38 フロア部
39 乗降口
40 フロアカバー
42 フロア後面カバー
43 フロア側面カバー
45 クラッチペダル
51 収容部
52 開口部
53g 指掛部
53 フロアカバー本体
54 マット
S 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7