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特許7267192アスファルト廃材のリサイクルプラント、アスファルトプラント及びアスファルト廃材のリサイクル方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】アスファルト廃材のリサイクルプラント、アスファルトプラント及びアスファルト廃材のリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/10 20060101AFI20230424BHJP
【FI】
E01C19/10 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019238537
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021107615
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-10-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000201515
【氏名又は名称】前田道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 晋仁
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特許第3051012(JP,B2)
【文献】特開2009-001996(JP,A)
【文献】実開平03-080290(JP,U)
【文献】特開2007-016495(JP,A)
【文献】阪田正弘,アスファルト再生プラント脱臭装置=CO2削減、省エネルギー、臭気対策に貢献する蓄熱燃焼式脱臭装置=,建設機械,日本,日本工業出版,2001年05月01日,第37巻第5号,p.27-30
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/00-19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスファルト廃材のリサイクルプラントであって、
アスファルト廃材を破砕した再生骨材を乾燥するための再生骨材用乾燥炉と、
前記再生骨材用乾燥炉の排ガスから粉塵を分離する集塵機と、
前記集塵機を経て供給される排ガスを脱臭する脱臭装置と、を備えており、
前記脱臭装置は、第1のバーナを有する燃焼室と、前記燃焼室にそれぞれ連通する2つ以上の蓄熱室と、を備え、前記再生骨材用乾燥炉の排ガスを一の前記蓄熱室に供給して予熱し、予熱された排ガスを前記燃焼室で前記第1のバーナにより加熱して臭気成分を酸化分解し、臭気成分が酸化分解された排ガスを他の前記蓄熱室で熱回収してから排出する蓄熱燃焼式脱臭装置であり、
前記蓄熱燃焼式脱臭装置は、前記蓄熱室に外気を導入するための外気導入手段を備えているアスファルト廃材のリサイクルプラント。
【請求項2】
請求項1に記載のアスファルト廃材のリサイクルプラントであって、
前記燃焼室内の温度を測定する温度測定手段と、
前記蓄熱燃焼式脱臭装置を制御する制御手段と、を備えており、
前記制御手段は、前記燃焼室内の温度が予め設定された所定温度よりも高い場合に、排ガスが供給されている一の前記蓄熱室に前記外気導入手段によって外気を導入するアスファルト廃材のリサイクルプラント。
【請求項3】
請求項2に記載のアスファルト廃材のリサイクルプラントであって、
前記制御手段は、前記燃焼室内の温度に応じて、前記外気導入手段による外気の導入量を調節するアスファルト廃材のリサイクルプラント。
【請求項4】
請求項3に記載のアスファルト廃材のリサイクルプラントであって、
前記制御手段は、前記燃焼室内の温度が高いほど前記外気導入手段による外気の導入量を増やすアスファルト廃材のリサイクルプラント。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1項に記載のアスファルト廃材のリサイクルプラントであって、
前記制御手段は、前記燃焼室内の温度が前記所定温度よりも高い場合に、前記第1のバーナの運転を停止するアスファルト廃材のリサイクルプラント。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか1項に記載のアスファルト廃材のリサイクルプラントであって、
前記再生骨材用乾燥炉の内圧を測定する第1の内圧測定手段と、
前記蓄熱燃焼式脱臭装置の内圧を測定する第2の内圧測定手段と、
前記再生骨材用乾燥炉で発生した排ガスを前記蓄熱燃焼式脱臭装置に送り出す第1の排風機と、
前記蓄熱燃焼式脱臭装置で脱臭した排ガスを排気口に送り出す第2の排風機と、を備えており、
前記制御手段は、前記再生骨材用乾燥炉の内圧に基づいて前記第1の排風機の排風量を制御し、前記蓄熱燃焼式脱臭装置の内圧に基づいて前記第2の排風機の排風量を制御するアスファルト廃材のリサイクルプラント。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のアスファルト廃材のリサイクルプラントであって、
前記再生骨材用乾燥炉は、
傾斜された軸心の周りで回転自在となるように支持され、収容した再生骨材を攪拌しながら傾斜に沿って流動させる円筒形状の回転ドラムと、
前記回転ドラムの両端部のうち、高い位置にある一端側から前記回転ドラム内に再生骨材を供給する骨材供給手段と、
前記回転ドラムの他端側から前記回転ドラム内に火炎を放射し、再生骨材を加熱する第2のバーナと、を備えるアスファルト廃材のリサイクルプラント。
【請求項8】
請求項7に記載のアスファルト廃材のリサイクルプラントであって、
前記再生骨材用乾燥炉は、前記回転ドラム内で前記第2のバーナの火炎の周囲を覆う筒部材を備えているアスファルト廃材のリサイクルプラント。
【請求項9】
再生骨材と、新骨材と、アスファルトとを混合してアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントであって、
請求項1~8のいずれか1項に記載のアスファルト廃材のリサイクルプラントと、
新骨材を乾燥するための新骨材用乾燥炉と、
前記再生骨材用乾燥炉で乾燥された再生骨材と、前記新骨材用乾燥炉で乾燥された新骨材と、アスファルトとを混合するミキサと、を備えたアスファルトプラント。
【請求項10】
アスファルト廃材のリサイクル方法であって、
アスファルト廃材を破砕した再生骨材を再生骨材用乾燥炉により乾燥する第1の工程と、
集塵機により前記再生骨材用乾燥炉の排ガスから粉塵を除去する第10の工程と、
脱臭装置により前記集塵機を経て供給される排ガスを脱臭する第2の工程と、を備え、
前記脱臭装置は、第1のバーナを有する燃焼室と、前記燃焼室にそれぞれ連通する2つ以上の蓄熱室と、を備え、前記再生骨材用乾燥炉の排ガスを一の前記蓄熱室に供給して予熱し、予熱された排ガスを前記燃焼室で前記第1のバーナにより加熱して臭気成分を酸化分解し、臭気成分が酸化分解された排ガスを他の前記蓄熱室で熱回収してから排出する蓄熱燃焼式脱臭装置であり、
前記リサイクル方法は、
前記燃焼室内の温度を測定する第3の工程と、
前記燃焼室内の温度が予め設定された所定温度よりも高い場合に、排ガスが供給されている一の前記蓄熱室に外気を導入する第4の工程と、をさらに備えたアスファルト廃材のリサイクル方法。
【請求項11】
請求項10に記載のアスファルト廃材のリサイクル方法であって、
前記第4の工程は、前記燃焼室内の温度に応じて、外気の導入量を調節することを含むアスファルト廃材のリサイクル方法。
【請求項12】
請求項11に記載のアスファルト廃材のリサイクル方法であって、
第4の工程は、前記燃焼室内の温度が高いほど外気の導入量を増やすことを含むアスファルト廃材のリサイクル方法。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか1項に記載のアスファルト廃材のリサイクル方法であって、
前記燃焼室内の温度が前記所定温度よりも高い場合に、前記第1のバーナの運転を停止する第5の工程を備えたアスファルト廃材のリサイクル方法。
【請求項14】
請求項10~13のいずれか1項に記載のアスファルト廃材のリサイクル方法であって、
前記再生骨材用乾燥炉の内圧を測定する第6の工程と、
前記蓄熱燃焼式脱臭装置の内圧を測定する第7の工程と、
前記再生骨材用乾燥炉の内圧に基づいて、前記再生骨材用乾燥炉で発生した排ガスを前記蓄熱燃焼式脱臭装置に送り出す第1の排風機の排風量を制御する第8の工程と、
前記蓄熱燃焼式脱臭装置の内圧に基づいて、前記蓄熱燃焼式脱臭装置で脱臭した排ガスを排気口に送り出す第2の排風機の排風量を制御する第9の工程と、を備えたアスファルト廃材のリサイクル方法。
【請求項15】
請求項10~14のいずれか1項に記載のアスファルト廃材のリサイクル方法であって、
前記再生骨材用乾燥炉は、傾斜された軸心の周りで回転自在となるように支持され、収容した再生骨材を攪拌しながら傾斜に沿って流動させる円筒形状の回転ドラムを備えており、
前記第1の工程は、前記回転ドラムの両端部のうち、高い位置にある一端側から前記回転ドラム内に再生骨材を供給し、前記回転ドラムの他端側から前記回転ドラム内に火炎を放射して再生骨材を加熱することを含むアスファルト廃材のリサイクルプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト廃材をアスファルト混合物の骨材(再生骨材)として再生するリサイクルプラント及びリサイクル方法と、再生骨材を用いてアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントと、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路工事等により掘り起こされたアスファルト廃材を再生するリサイクルプラントは、アスファルト廃材を破砕した再生骨材を加熱して乾燥する再生骨材用乾燥炉と、再生骨材用乾燥炉で発生する排ガス中の臭気成分を加熱して酸化分解する脱臭装置等を備えている。例えば、非特許文献1に記載されているリサイクルプラントでは、脱臭装置として、従来のリサイクルプラントで一般的に用いられている直接燃焼式脱臭装置に代えて、蓄熱燃焼式脱臭装置を用いている。
【0003】
蓄熱燃焼式脱臭装置は、バーナを有する燃焼室と、燃焼室にそれぞれ連通する2つ以上の蓄熱室と、を備えている。再生骨材用乾燥炉の排ガスは、一の蓄熱室に供給して予熱し、予熱された排ガスを燃焼室でバーナにより加熱しての臭気成分を酸化分解する。臭気成分が酸化分解された排ガスは、他の蓄熱室で熱回収してから排出する。このように、蓄熱燃焼式脱臭装置は、蓄熱室を利用して排ガスの予熱及び熱回収を行うので、直接燃焼式脱臭装置に比べ、燃料消費量を抑えながら、高い熱効率を得ることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】阪田 正弘、「アスファルト再生プラント脱臭装置--CO2削減、省エネルギー、臭気対策に貢献する蓄熱燃焼式脱臭装置」、建設機械、日本工業出版、2001年5月1日、第37巻、第5号、p.27-30
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、蓄熱燃焼式脱臭装置によって再生骨材用乾燥炉の排ガスを脱臭すると、燃焼室内の温度が臭気成分を酸化分解するために必要な温度よりも高くなり、燃焼室を保護するために蓄熱燃焼式脱臭装置が強制的に停止されることがあった。蓄熱燃焼式脱臭装置が停止すると、再生骨材用乾燥炉も停止しなければならないため、リサイクルプラントの処理効率が低下してしまう。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、燃焼室内の温度の上昇によって蓄熱燃焼式脱臭装置が強制的に停止されるのを抑制することができるアスファルト廃材のリサイクルプラント、アスファルトプラント及びアスファルト廃材のリサイクル方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]本発明に係るアスファルト廃材のリサイクルプラントは、アスファルト廃材を破砕した再生骨材を乾燥するための再生骨材用乾燥炉と、前記再生骨材用乾燥炉の排ガスを脱臭する脱臭装置と、を備えており、前記脱臭装置は、第1のバーナを有する燃焼室と、前記燃焼室にそれぞれ連通する2つ以上の蓄熱室と、を備え、前記再生骨材用乾燥炉の排ガスを一の前記蓄熱室に供給して予熱し、予熱された排ガスを前記燃焼室で前記第1のバーナにより加熱して臭気成分を酸化分解し、臭気成分が酸化分解された排ガスを他の前記蓄熱室で熱回収してから排出する蓄熱燃焼式脱臭装置であり、前記蓄熱燃焼式脱臭装置は、前記蓄熱室に外気を導入するための外気導入手段を備えている。
【0008】
[2]上記発明において、前記燃焼室内の温度を測定する温度測定手段と、前記蓄熱燃焼式脱臭装置を制御する制御手段と、を備えており、前記制御手段は、前記燃焼室内の温度が予め設定された所定温度よりも高い場合に、排ガスが供給されている一の前記蓄熱室に前記外気導入手段によって外気を導入してもよい。
【0009】
[3]上記発明において、前記制御手段は、前記燃焼室内の温度に応じて、前記外気導入手段による外気の導入量を調節してもよい。
【0010】
[4]上記発明において、前記制御手段は、前記燃焼室内の温度が高いほど前記外気導入手段による外気の導入量を増やしてもよい。
【0011】
[5]上記発明において、前記制御手段は、前記燃焼室内の温度が所定温度よりも高い場合に、前記第1のバーナの運転を停止してもよい。
【0012】
[6]上記発明において、前記再生骨材用乾燥炉の内圧を測定する第1の内圧測定手段と、前記蓄熱燃焼式脱臭装置の内圧を測定する第2の内圧測定手段と、前記再生骨材用乾燥炉で発生した排ガスを前記蓄熱燃焼式脱臭装置に送り出す第1の排風機と、前記蓄熱燃焼式脱臭装置で脱臭した排ガスを排気口に送り出す第2の排風機と、を備えており、前記制御手段は、前記再生骨材用乾燥炉の内圧に基づいて前記第1の排風機の排風量を制御し、前記蓄熱燃焼式脱臭装置の内圧に基づいて前記第2の排風機の排風量を制御してもよい。
【0013】
[7]上記発明において、前記再生骨材用乾燥炉は、傾斜された軸心の周りで回転自在となるように支持され、収容した再生骨材を攪拌しながら傾斜に沿って流動させる円筒形状の回転ドラムと、前記回転ドラムの両端部のうち、高い位置にある一端側から前記回転ドラム内に再生骨材を供給する骨材供給手段と、前記回転ドラムの他端側から前記回転ドラム内に火炎を放射し、再生骨材を加熱する第2のバーナと、を備えてもよい。
【0014】
[8]上記発明において、前記再生骨材用乾燥炉は、前記回転ドラム内で前記第2のバーナの火炎の周囲を覆う筒部材を備えてもよい。
【0015】
[9]本発明に係るアスファルトプラントは、再生骨材と、新骨材と、アスファルトと、を混合してアスファルト混合物を製造するアスファルトプラントであって、上記のアスファルト廃材のリサイクルプラントと、新骨材を乾燥するための新骨材用乾燥炉と、前記再生骨材用乾燥炉で乾燥された再生骨材と、前記新骨材用乾燥炉で乾燥された新骨材と、アスファルトとを混合するミキサと、を備えている。
【0016】
[10]本発明に係るアスファルト廃材のリサイクル方法は、アスファルト廃材を破砕した再生骨材を再生骨材用乾燥炉により乾燥する第1の工程と、脱臭装置により前記再生骨材用乾燥炉の排ガスを脱臭する第2の工程と、を備え、前記脱臭装置は、第1のバーナを有する燃焼室と、前記燃焼室にそれぞれ連通する2つ以上の蓄熱室と、を備え、前記再生骨材用乾燥炉の排ガスを一の前記蓄熱室に供給して予熱し、予熱された排ガスの臭気成分を前記燃焼室で前記第1のバーナにより加熱して臭気成分を酸化分解し、臭気成分が酸化分解された排ガスを他の前記蓄熱室で熱回収してから排出する蓄熱燃焼式脱臭装置であり、前記リサイクル方法は、前記燃焼室内の温度を測定する第3の工程と、前記燃焼室内の温度が予め設定された所定温度よりも高い場合に、排ガスが供給されている一の前記蓄熱室に外気を導入する第4の工程と、をさらに備えている。
【0017】
[11]上記発明において、前記第4の工程は、前記燃焼室内の温度に応じて、外気の導入量を調節することを含んでもよい。
【0018】
[12]上記発明において、第4の工程は、前記燃焼室内の温度が高いほど外気の導入量を増やすことを含んでもよい。
【0019】
[13]上記発明において、前記燃焼室内の温度が所定温度よりも高い場合に、前記バーナの運転を停止する第5の工程を備えてもよい。
【0020】
[14]上記発明において、前記再生骨材用乾燥炉の内圧を測定する第6の工程と、前記蓄熱燃焼式脱臭装置の内圧を測定する第7の工程と、前記再生骨材用乾燥炉の内圧に基づいて、前記再生骨材用乾燥炉で発生した排ガスを前記蓄熱燃焼式脱臭装置に送り出す第1の排風機の排風量を制御する第8の工程と、前記蓄熱燃焼式脱臭装置の内圧に基づいて、前記蓄熱燃焼式脱臭装置で脱臭した排ガスを排気口に送り出す第2の排風機の排風量を制御する第9の工程と、を備えてもよい。
【0021】
[15]上記発明において、前記再生骨材用乾燥炉は、傾斜された軸心の周りで回転自在となるように支持され、収容した再生骨材を攪拌しながら傾斜に沿って流動させる円筒形状の回転ドラムを備えており、前記第1の工程は、前記回転ドラムの両端部のうち、高い位置にある一端側から前記回転ドラム内に再生骨材を供給し、前記回転ドラムの他端側から前記回転ドラム内に火炎を放射して再生骨材を加熱することを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、燃焼室内を外気によって冷却することができるので、燃焼室内の温度が臭気成分を酸化分解するために必要な温度よりも高くなって蓄熱燃焼式脱臭装置が停止するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るアスファルト廃材のリサイクルプラントの構成を示す概略図である。
図2図2は、図1に示す再生骨材用乾燥炉の回転ドラム内に生じる各種ゾーンを示す断面図である。
図3図3は、図2に示す再生骨材用乾燥炉の別の例を示す断面図である。
図4図4は、図1に示す蓄熱燃焼式脱臭装置の構成を示す概略図である。
図5図5(A)~図5(C)は、図4に示す蓄熱燃焼式脱臭装置の運転サイクルを示す説明図である。
図6図6(A)及び図6(B)は、図4に示す蓄熱燃焼式脱臭装置において、脱臭用バーナの運転を停止している状態及び外気を導入している状態を示す説明図である。
図7図7は、図4に示す蓄熱燃焼式脱臭装置において、燃焼室内の温度と外気導入ファンの槽風量との関係の一例を示すグラフである。
図8図8は、図4に示す蓄熱燃焼式脱臭装置において、燃焼室内の温度を調整する手順を示すフローチャートである。
図9図9は、図1に示す蓄熱燃焼式脱臭装置及び再生骨材用乾燥炉の内圧に基づいて、第1の排風機及び第2の排風機の排風量を調整する手順を示すフローチャートである。
図10図10は、本発明の第2実施形態に係るアスファルトプラントの再生骨材乾燥ライン及び新骨材乾燥ラインの構成を示す概略図である。
図11図11は、本発明の第2実施形態に係るアスファルトプラントの混合ラインの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
図1は、本発明に係るアスファルト廃材のリサイクルプラント及びリサイクル方法を実施した、リサイクルプラント1の構成を示す概略図である。リサイクルプラント1は、道路工事等により掘り起こされたアスファルト廃材を、アスファルト混合物の骨材(再生骨材)として再生する。本実施形態のリサイクルプラント1は、再生骨材2を供給するホッパ3と、再生骨材2を乾燥する再生骨材用乾燥炉4と、第1の排風機5と、一次集塵機6と、再生骨材用乾燥炉4で発生した排ガスを脱臭する蓄熱燃焼式脱臭装置7と、第2の排風機8と、排気口の一例に相当する煙突9と、これらを統括的に制御する制御装置10と、を備えている。なお、図1中においては、再生骨材2や排気ガス等の流れを実線で示し、制御に関わる信号の流れを破線で示している。
【0025】
従来のアスファルト廃材のリサイクルプラントでは、蓄熱燃焼式脱臭装置の燃焼室で排ガスを加熱して臭気成分を酸化分解する際に、燃焼室内の温度が臭気成分の酸化分解に必要な温度よりも高くなり、燃焼室を保護するために蓄熱燃焼式脱臭装置7が強制的に停止されることがある。蓄熱燃焼式脱臭装置が停止した場合、再生骨材用乾燥炉も停止しなければならないため、リサイクルプラントの処理効率が低下してしまう。本出願の発明者は、燃焼室内の温度が上昇する原因として、排ガスがその成分の70%程度を油分とする可燃性ガスであり、燃焼室内で排ガスが燃焼して温度を上昇させている、という知見を得た。本実施形態のリサイクルプラント1は、当該知見に基づき、排ガスが蓄熱燃焼式脱臭装置7内で燃焼するのを防ぐことにより、蓄熱燃焼式脱臭装置7が強制的に停止するのを抑制する。
【0026】
ホッパ3は、下部がすぼめられた四角錐形状の箱であり、重機によって上部から供給された再生骨材2を一時的に貯留し、貯留した再生骨材2を下部に設けられた供給口からベルトコンベア3aに供給する。ベルトコンベア3aは、再生骨材2を再生骨材用乾燥炉4に供給する。なお、再生骨材2は、アスファルト廃材を破砕機によって破砕したものであり、砂や砕石等の骨材と、これに付着したアスファルトとで構成されている。再生骨材2のサイズは、例えば、数mm~十数mmである。
【0027】
再生骨材用乾燥炉4は、再生骨材2を攪拌しながら流動させ、その間に再生骨材2を加熱して乾燥する乾燥炉であり、より詳しくは、再生骨材2の流動方向に対して対向する方向からバーナの火炎を放射して加熱を行う直火向流式の乾燥炉である。再生骨材用乾燥炉4は、回転ドラム41と、コールドホッパ42と、ホットホッパ43と、乾燥用バーナ44と、バケット45と、乾燥炉用圧力センサ46と、を備えている。
【0028】
回転ドラム41は、再生骨材2が収容可能なように円筒形状をしており、その内面には多数の掻上げ羽根41a(図2参照)が設けられている。回転ドラム41は、軸心が水平軸に対して僅かに傾斜するように配置されている。図1に示す例では、回転ドラム41は、左側の端部の位置が右側の端部よりも高くなるように傾斜されている。回転ドラム41の両端のうち、高い位置にある一端側には、本発明の骨材供給手段の一例に相当するコールドホッパ42が設置されており、低い位置にある他端側にはホットホッパ43が配置されている。
【0029】
コールドホッパ42は、ベルトコンベア3aにより供給された再生骨材2を投入口42a(図2参照)から受け入れて回転ドラム41に供給する。回転ドラム41は、傾斜された軸心周りに回転することにより、再生骨材2を掻き上げ羽根41aで攪拌し、傾斜に沿ってホットホッパ43側へ流動させる。ホットホッパ43には、本発明の第2のバーナの一例に相当する乾燥用バーナ44が設置されている。乾燥用バーナ44は、再生骨材2の流動方向に対向する方向(反対側の方向)から回転ドラム41内に火炎を放射して再生骨材2を加熱・乾燥する。
【0030】
ホットホッパ43の下方には、ホットホッパ43の下部に設けられた排出口43a(図2参照)から排出された再生骨材2を受け入れるバケット45が配置されている。バケット45は、所定量の再生骨材2を貯留し、下部に設けられたゲートを開いて排出する。バケット45から排出された再生骨材2は、詳しくは図示しないが、トロリー装置やベルトコンベア等により搬送され、保温機能を備えたサージビンに貯蔵される。
【0031】
乾燥炉用圧力センサ46は、本発明の第1の内圧測定手段の一例に相当し、再生骨材用乾燥炉4の内圧を測定する。再生骨材用乾燥炉4の内圧は、乾燥用バーナ44の燃焼量に応じて変化し、乾燥用バーナ44の燃焼量が大きくなるほど高くなる。また、乾燥用バーナ44の燃焼量は、回転ドラム41に供給される再生骨材2の量に応じて調節され、再生骨材2の量が多くなるほど燃焼量が大きくなるように調節される。すなわち、再生骨材用乾燥炉4の内圧は、回転ドラム41に供給される再生骨材2の量が多くなるほど高くなる。乾燥炉用圧力センサ46は、測定信号を制御装置10に送信する。また、詳しくは図示しないが、再生骨材用乾燥炉4は、回転ドラム41の回転や、乾燥用バーナ44等を制御する制御部を備えている。
【0032】
コールドホッパ42には、回転ドラム41内で再生骨材2を加熱することにより発生した排ガスを再生骨材用乾燥炉4から排気する排気煙道12が接続されている。排気煙道12の下流側には、上記の第1の排風機5、一次集塵機6、蓄熱燃焼式脱臭装置7及び第2の排風機8が順に接続されている。
【0033】
第1の排風機5は、再生骨材用乾燥炉4内の排ガスを吸引して一次集塵機6に供給する。第1の排風機5には、駆動モータをインバータ制御することにより、排風量を調節可能にした排風機が用いられている。一次集塵機6は、排ガスから比較的大きな粉塵を除去する集塵機である。この一次集塵機6には、例えば、装置内で排ガスの方向を転換させて、慣性力により排ガスから粉塵を分離する慣性集塵機が用いられている。
【0034】
蓄熱燃焼式脱臭装置7は、脱臭用バーナ72を有する燃焼室710(図4参照)と、燃焼室710にそれぞれ連通する2つ以上の蓄熱室711~713(図4参照)と、を備えている。蓄熱燃焼式脱臭装置7は、再生骨材用乾燥炉4の排ガスを一の蓄熱室に供給して予熱し、予熱された排ガスの臭気成分を燃焼室710で脱臭用バーナ72により加熱して酸化分解し、臭気成分が酸化分解された排ガスを他の蓄熱室で熱回収してから排気煙道12に排出する。脱臭用バーナ72は、本発明の第1のバーナの一例に相当する。
【0035】
蓄熱燃焼式脱臭装置7は、燃焼室710内の温度を測定する温度センサ710aを備えている。温度センサ710aは、本発明の温度測定手段の一例にそれぞれ相当する。温度センサ710aにより測定された燃焼室710内の温度は、測定信号として制御装置10に送信される。また、蓄熱燃焼式脱臭装置7は、燃焼室710内の温度が予め設定された所定温度よりも高くなった場合に、排ガスが供給されている蓄熱室に外気を導入して冷却を行う外気導入部76を備えている。外気導入部76は、本発明の外気導入手段の一例に相当する。
【0036】
蓄熱燃焼式脱臭装置7は、蓄熱燃焼式脱臭装置7の内圧を測定する脱臭装置用圧力センサ710bを備えている。脱臭装置用圧力センサ710bは、本発明の第2の内圧測定手段の一例にそれぞれ相当する。脱臭装置用圧力センサ710bにより測定された蓄熱燃焼式脱臭装置7の内圧は、測定信号として制御装置10に送信される。蓄熱燃焼式脱臭装置7の内圧は、再生骨材用乾燥炉4から排出される排ガス量に応じて変化し、排ガス量が多くなるほど高くなる。また、蓄熱燃焼式脱臭装置7の内圧は、外気導入部76によって供給された外気の導入量によっても変化し、外気導入量が多くなるほど高くなる。なお、詳しくは図示しないが、蓄熱燃焼式脱臭装置7は、脱臭用バーナ72及び外気導入部76等を制御する制御部を備えている。
【0037】
第2の排風機8は、蓄熱燃焼式脱臭装置7で臭気成分が酸化分解された排ガスを吸引する。第2の排風機8には、駆動モータをインバータ制御することにより、排風量を調節可能にした排風機が用いられている。煙突9は、第2の排風機8により吸引された排ガスを大気中に排出する。
【0038】
制御装置10は、本発明の制御手段の一例に相当し、上記の乾燥炉用圧力センサ46、温度センサ710a及び脱臭装置用圧力センサ710bの測定結果に基づいて、上記の第1の排風機5、蓄熱燃焼式脱臭装置7及び第2の排風機8を統括的に制御する。制御装置10は、例えば、一又は複数のコンピュータと、当該コンピュータにインストールされた制御ソフトウェアにより構成されている。制御装置10を構成するコンピュータは、詳しくは図示しないが、制御ソフトウェア及びこれに関連する各種設定データ等を格納するストレージと、ストレージから読み出した制御ソフトウェア及び設定データ等を一時的に記憶するRAMと、RAMに読み出した制御ソフトウェアを実行するCPUと、を備えている。また、コンピュータは、上記の乾燥炉用圧力センサ46、温度センサ710a及び脱臭装置用圧力センサ710bから送信された測定信号を受信し、第1の排風機5、蓄熱燃焼式脱臭装置7及び第2の排風機8等を制御するために、これらと通信可能に接続するI/Oインターフェースを備えている。
【0039】
図2は、再生骨材用乾燥炉4の回転ドラム41内に生じる各種ゾーンを示している。各ゾーンについて、コールドホッパ42側から順に説明する。なお、図2では、再生骨材用乾燥炉4を傾斜していない状態で描いている。逆流防止ゾーンは、回転ドラム41の内面に設けられた逆流防止羽根41bにより、回転ドラム41に供給した再生骨材2がコールドホッパ42側に逆流するのを防止する。攪拌余熱ゾーンは、再生骨材2を掻き上げ羽根41aにより攪拌し、乾燥用バーナ44の火炎により生じた熱風を吹き付けて乾燥する。これにより、再生骨材2は、主に逆流防止ゾーンと、攪拌余熱ゾーンとで乾燥される。
【0040】
攪拌加熱ゾーンは、再生骨材2を掻き上げ羽根41aにより攪拌し、乾燥用バーナ44の火炎によって直接加熱するゾーンである。同様に、加熱ゾーンは、乾燥用バーナ44の火炎によって再生骨材2を加熱するゾーンである。再生骨材2は、主に攪拌加熱ゾーンと、加熱ゾーンによって、アスファルトと混合する際に必要な温度まで昇温される。最後の排出ゾーンは、回転ドラム41の端部に設けた格子部41cによって再生骨材2をふるい分け、ふるい分けた再生骨材2を排出口43aから排出するためのゾーンである。
【0041】
従来のアスファルトプラントでは、熱風と再生骨材2との温度差を小さくして再生骨材2に含まれるアスファルトの劣化を小さくするために、再生骨材2の流動方向と、乾燥用バーナによる火炎の放射方向とを同じ向きにした直火並流式の乾燥炉が一般的に用いられている。しかしながら、本出願の発明者による調査の結果、再生骨材2を直火で加熱しても、熱風によって加熱した場合と比べて劣化の差が見受けられないことが確認された。また、直火向流式では、熱風によって再生骨材2を乾燥し、直火で加熱してから排出するので、排出時の再生骨材2の温度低下が少なく、直火並流式に比べて高い熱効率が得られることが分かった。さらに、下記の表1に示すように、直火向流式は、直火並流式に比べて排ガス温度、臭気指数及び臭気濃度を大幅に低下させることができ、環境負荷が小さいことが確認されている。そのため、直火向流式の乾燥炉には、直火直流式よりも処理能力が低い脱臭装置を用いることができるので、コストダウンを図ることができる。本実施形態では、これらの理由により、直火並流式よりも熱効率が高く、環境負荷の小さい直火向流式の再生骨材用乾燥炉4を用いている。
【0042】
【表1】
【0043】
なお、直火向流式の再生骨材用乾燥炉としては、図3に示すように、乾燥用バーナ44から放射される火炎の外周を金属製の筒部材47で覆った再生骨材用乾燥炉4Aを用いてもよい。この再生骨材用乾燥炉4Aによれば、乾燥用バーナ44の火炎が再生骨材2に直接触れないので、再生骨材2の温度が上がりすぎて再生骨材2に含まれるアスファルトが劣化するのを防ぐことができる。
【0044】
次に、蓄熱燃焼式脱臭装置7について説明する。図4に示すように、蓄熱燃焼式脱臭装置7は、いわゆる3塔式の蓄熱式燃焼脱臭装置であり、装置本体71と、脱臭用バーナ72と、排ガス供給ダクト73と、排気ダクト74と、パージエア供給ダクト75と、外気導入部76と、を備えている。装置本体71は、脱臭用バーナ72を備える燃焼室710と、燃焼室710の下部に配置され、それぞれ燃焼室710に連通した3つの蓄熱室711、712、713と、を備えている。燃焼室710には、上記の温度センサ710a及び脱臭装置用圧力センサ710bが取り付けられている。3つの蓄熱室711、712、713には、それぞれ蓄熱体711a、712a、713aが組み込まれている。蓄熱体711a、712a、713aは、例えば、複数のガス流路を区画形成して排ガスとの伝熱効率を向上すべく、ハニカム状に形成されたセラミック製あるいは金属製のものを使用することができる。
【0045】
排ガス供給ダクト73は、一端が蓄熱燃焼式脱臭装置7の上流側の排気煙道12に接続され、他端が分岐されて各蓄熱室711~713にそれぞれ接続されている。排ガス供給ダクト73は、いずれの蓄熱室711~713に接続するかを選択に切り替える3つの開閉弁731、732、733を備えている。排気ダクト74は、一端が蓄熱燃焼式脱臭装置7の下流側の排気煙道12に接続され、他端が分岐されて各蓄熱室711~713にそれぞれ接続されている。排気ダクト74は、いずれの蓄熱室711~713に接続するかを選択に切り替える3つの開閉弁741、742、743を備えている。パージエア供給ダクト75の一端は、詳しくは図示していないが、排気ダクト74に接続され、他端が分岐されて各蓄熱室711~713にそれぞれ接続されている。パージエア供給ダクト75は、いずれの蓄熱室711~713に接続するかを選択に切り替える3つの開閉弁751、752、753を備えている。なお、開閉弁731、732、733、開閉弁741、742、743、及び開閉弁751、752、753として、ダンパを用いてもよい。
【0046】
外気導入部76は、開閉弁731、732、733の上流側で、排ガス供給ダクト73に接続された外気導入ダクト761と、外気導入ダクト761に接続された開閉弁762及び外気導入ファン763と、を備えている。外気導入ファン763には、駆動モータをインバータ制御することにより、送風量を調節可能にした送風機が用いられている。
【0047】
図5は、3塔式の蓄熱燃焼式脱臭装置7により排ガスを脱臭する3つの運転サイクル(A)~(C)を示している。蓄熱燃焼式脱臭装置7は、運転開始とともに脱臭用バーナ72を点火し、温度センサ710aの測定結果に基づいて脱臭用バーナ72の温度を調節し、燃焼室710内の温度を、排ガスの臭気成分が酸化分解可能な設定温度T1(例えば750~850°C、本実施形態では、例えば800±20°C)まで昇温する。
【0048】
運転サイクル(A)では、排ガス供給ダクト73の開閉弁731と、排気ダクト74の開閉弁742と、パージエア供給ダクト75の開閉弁753とが開放され、その他の開閉弁は閉じられている。また、外気導入部76は停止している。これにより、排ガスは、蓄熱室711と、燃焼室710と、蓄熱室711とを通って排気煙道12に排出される。また、パージエアは、蓄熱室713と、燃焼室710と、蓄熱室712とを通って排気煙道12に排出される。すなわち、この運転サイクル(A)では、排ガスは直前のサイクルで昇温されている蓄熱体711aを通過することにより予熱され、蓄熱体711aは降温する。予熱された排ガスは、高温雰囲気下の燃焼室710で臭気成分が酸化分解されてクリーンガスとなり、蓄熱体712aを予熱しながら降温して(熱回収されて)排気される。その間、前サイクルで蓄熱体713a内に残留した排ガスは、パージエア(クリーンガス)によりパージされ、燃焼室710で酸化分解された後、蓄熱体712aを介して排気される。
【0049】
運転サイクル(A)で一定時間を経過した後、運転サイクル(B)に移行する。運転サイクル(B)では、排ガス供給ダクト73の開閉弁732と、排気ダクト74の開閉弁743と、パージエア供給ダクト75の開閉弁751とが開放され、その他の開閉弁は閉じられている。これにより、排ガスは、蓄熱室712と、燃焼室710と、蓄熱室713とを通って排気煙道12に排出される。また、パージエアは、蓄熱室711と、燃焼室710と、蓄熱室713とを通って排気煙道12に排出される。すなわち、この運転サイクル(B)では、排ガスは運転サイクル(A)で昇温されている蓄熱体712aを通過することにより予熱され、蓄熱体712aは降温する。予熱された排ガスは、燃焼室710で臭気成分が酸化分解されてクリーンガスとなり、蓄熱体713aを予熱しながら降温して排気される。その間、運転サイクル(A)で蓄熱体711a内に残留した排ガスは、パージエアによりパージされ、燃焼室710で酸化分解された後、蓄熱体713aを介して排気される。
【0050】
運転サイクル(B)で一定時間を経過した後、運転サイクル(C)に移行する。運転サイクル(C)では、排ガス供給ダクト73の開閉弁733と、排気ダクト74の開閉弁741と、パージエア供給ダクト75の開閉弁752とが開放されている。これにより、排ガスは、蓄熱室713と、燃焼室710と、蓄熱室711とを通って排気煙道12に排出される。また、パージエアは、蓄熱室712と、燃焼室710と、蓄熱室711とを通って排気煙道12に排出される。すなわち、この運転サイクル(C)では、排ガスは運転サイクル(B)で昇温されている蓄熱体713aを通過することにより予熱され、蓄熱体713aは降温する。予熱された排ガスは、燃焼室710で臭気成分が酸化分解されてクリーンガスとなり、蓄熱体711aを予熱しながら降温して排気される。その間、運転サイクル(B)で蓄熱体712a内に残留した排ガスは、パージエアによりパージされ、燃焼室710で酸化分解された後、蓄熱体711aを介して排気される。運転サイクル(C)で一定時間を経過した後、運転サイクル(A)に移行する。
【0051】
蓄熱燃焼式脱臭装置7は、上述した3つの運転サイクル(A)~(C)を順次繰り返して行うことにより、再生骨材用乾燥炉4の排ガスの臭気成分を酸化分解して脱臭することができ、かつ蓄熱体711a~713aを用いて排ガスを予熱及び熱回収して熱効率を高めることができる。また、予熱及び熱回収に用いられていない蓄熱体の残留ガスをパージすることで、蓄熱体711a~713aの詰まりを抑制することができる。
【0052】
次に、上述した3つの運転サイクル(A)~(C)を順次繰り返しているときに、燃焼室710内の温度T2が設定温度T1よりも高くなった場合の処理を図6に基づいて説明する。なお、図6(A)及び図6(B)は、図5の運転サイクル(B)の状態を示している。上述した3つの運転サイクル(A)~(C)を順次繰り返しているときに、油分の濃度が高い排ガスが蓄熱燃焼式脱臭装置7に供給されると、燃焼室710内で排ガスが燃焼し、燃焼室710内の温度T2が設定温度T1よりも高くなることがある。制御装置10は、温度センサ710aの測定結果に基づいて、燃焼室710内の温度T2が設定温度T1(本実施形態ではT1=800±20°Cの上限820°C)よりも高くなっている(T2>T1)と判定した場合には、図6(A)に示すように、脱臭用バーナ72の運転を停止し、燃焼室710内で燃焼している排ガスを消火する。
【0053】
また、脱臭用バーナ72の運転を停止しているにも関わらず、燃焼室710内の温度T2が設定温度T1以下(T2≦T1)にならない場合には、燃焼室710内で排ガスが自燃していることが考えられる。そのため、制御装置10は、外気導入部76の開閉弁762を開放し、外気導入ファン763の運転を開始して、排ガスが供給されている蓄熱室712に外気を導入する。この状態を、図6(B)では、「導」で示している。蓄熱室712に導入された外気は、燃焼室710内を冷却するとともに、排ガスの油分濃度を希釈して消火する。これにより、燃焼室710内の温度T2が設定温度T1よりも高くなった場合でも、蓄熱燃焼式脱臭装置7が停止するのを防ぐことができる。
【0054】
また、制御装置10は、燃焼室710内の温度に応じて、外気導入部76による外気の導入量を調節する。具体的には、図7のグラフで示すように、制御装置10は、燃焼室710内の温度が高いほど外気導入ファン763の送風量を大きくし、外気導入部76による外気の導入量を増やす。これにより、燃焼室710内の温度が高い場合でも、それに応じた送風量で外気を導入するので、燃焼室710内の温度T2が設定温度T1よりも高くなった場合でも、蓄熱燃焼式脱臭装置7が停止するのを防ぐことができる。
【0055】
蓄熱燃焼式脱臭装置7に外気を導入すると、蓄熱燃焼式脱臭装置7から排出される排ガス量が一時的に増えて第2の排風機8の排風量をオーバーし、蓄熱燃焼式脱臭装置7から排ガス及び粉塵が吹き出す可能性がある。また、蓄熱燃焼式脱臭装置7に外気を導入して内圧が高くなると、再生骨材用乾燥炉4から蓄熱燃焼式脱臭装置7へ排ガスを送り込みにくくなるので、再生骨材用乾燥炉4から排ガス及び粉塵が吹き出す可能性がある。本実施形態の制御装置10は、再生骨材用乾燥炉4及び蓄熱燃焼式脱臭装置7から排ガス及び粉塵が吹き出すのを防ぐために、乾燥炉用圧力センサ46及び脱臭装置用圧力センサ710bの測定結果に基づいて、第1の排風機5及び第2の排風機8の排風量を制御する。
【0056】
すなわち、蓄熱燃焼式脱臭装置7に外気を導入すると、その導入量に応じて蓄熱燃焼式脱臭装置7の内圧は高くなる。また、蓄熱燃焼式脱臭装置7の内圧が高くなると、蓄熱燃焼式脱臭装置7に排ガスを送り込みにくくなるため、再生骨材用乾燥炉4の内圧も高くなる。そのため、制御装置10は、例えば、外気導入部76が作動していないときの内圧を基準にして、蓄熱燃焼式脱臭装置7の内圧が相対的に高い場合には、第2の排風機8の排風量を大きくし、蓄熱燃焼式脱臭装置7の内圧が相対的に低い場合には、第2の排風機8の排風量を小さくする。同様に、制御装置10は、再生骨材用乾燥炉4の内圧が相対的に高い場合には、第1の排風機5の排風量を大きくし、再生骨材用乾燥炉4の内圧が相対的に低い場合には、第1の排風機5の排風量を小さくする。これにより、再生骨材用乾燥炉4及び蓄熱燃焼式脱臭装置7から排ガス及び粉塵が吹き出すのを防ぐだけでなく、第1の排風機5及び第2の排風機8の消費電力を抑えることができる。
【0057】
次に、図8、9に示すフローチャートを参照しながら、本実施形態の作用について説明する。リサイクルプラント1が稼働すると、再生骨材用乾燥炉4は、回転ドラム41内に供給された供給された再生骨材2を乾燥用バーナ44により加熱して乾燥する。再生骨材2を乾燥する際に発生した排ガスは、排気煙道12を通して第1の排風機5により吸引され、一次集塵機6を経て蓄熱燃焼式脱臭装置7に供給される。
【0058】
制御装置10は、蓄熱燃焼式脱臭装置7の脱臭用バーナ72を点火し(ステップS1)、燃焼室710内の温度T2が設定温度T1(T1=800±20°C)になるように、脱臭用バーナ72の火力を調整する(ステップS2)。制御装置10は、図5に示す3つの運転サイクル(A)~(C)を順次繰り返し行うことにより、排ガスの臭気成分を酸化分解して脱臭する。
【0059】
蓄熱燃焼式脱臭装置7に油分の濃度が高い排ガスが供給されると、燃焼室710内で排ガスが燃焼し、燃焼室710内の温度が設定温度T1(T1=800±20°Cの上限820°C)よりも高くなる(ステップS3でYES)。制御装置10は、温度センサ710aの測定結果に基づいて、燃焼室710内の温度T2が設定温度T1よりも高い(T2>T1)と判定した場合には、脱臭用バーナ72の運転を停止し(ステップS4)、燃焼室710内で燃焼している排ガスを消火する。
【0060】
脱臭用バーナ72の運転を停止から所定時間経過しているにも関わらず、燃焼室710内の温度T2が設定温度T1以下(T2≦T1)にならない場合には(ステップS5でNO)、制御装置10は、外気導入部76の開閉弁762を開放し、外気導入ファン763の運転を開始して、排ガスが供給されている蓄熱室に外気を導入する(ステップS6)。蓄熱室に導入された外気は、燃焼室710内を冷却するとともに、排ガスを希釈して消火する。
【0061】
外気導入後の燃焼室710内の温度T2が設定温度T1よりも高い場合には、(ステップS7でNO)、制御装置10はステップS6に戻り、燃焼室710内の温度に応じて外気導入ファン763の送風量を調整する。外気の導入及び導入量の調整後に燃焼室710内の温度T2が設定温度T1以下になっている場合には(ステップS7でYES)、制御装置10は、外気導入ファン763の運転を停止して、開閉弁762を閉じ、蓄熱室に対する外気の導入を停止する(ステップS8)。
【0062】
上述した蓄熱燃焼式脱臭装置7の燃焼室710内の温度調整と同時に、制御装置10は、脱臭装置用圧力センサ710bによって、蓄熱燃焼式脱臭装置7の内圧を測定する(ステップS10)。また、制御装置10は、乾燥炉用圧力センサ46によって、再生骨材用乾燥炉4の内圧を測定する(ステップS11)。次いで、制御装置10は、脱臭装置用圧力センサ710bの測定結果に基づいて、第2の排風機8の排風量を制御する(ステップS12)。また、制御装置10は、乾燥炉用圧力センサ46の測定結果に基づいて、第1の排風機5の排風量を制御する(ステップS13)。
【0063】
以上で説明したように、本実施形態のアスファルト廃棄物のリサイクル方法及びリサイクルプラント1によれば、蓄熱燃焼式脱臭装置7の蓄熱室711~713に外気を導入する外気導入部76を備えているので、燃焼室710内を外気によって冷却することができる。これにより、燃焼室710の温度上昇によって蓄熱燃焼式脱臭装置7が停止するのを防ぐことができる。したがって、蓄熱燃焼式脱臭装置7の停止により、リサイクルプラント1の処理効率が低下するような事態の発生を抑制することができる。
【0064】
また、燃焼室710内の温度T2を測定する温度センサ710aと、蓄熱燃焼式脱臭装置7を制御する制御装置10と、を備えており、制御装置10は、燃焼室710内の温度T2が設定温度T1よりも高い場合には、排ガスが供給されている一の蓄熱室に外気導入部76によって外気を導入する。これにより、燃焼室710内を適切なタイミングで冷却することができる。また、燃焼室710内の温度T2が設定温度T1よりも高い場合にのみ外気が導入されるので、蓄熱燃焼式脱臭装置7に不用意に外気が導入されて、燃焼室710内の温度が必要以上に低下し、排ガスの脱臭能力が低下するのを防ぐことができる。
【0065】
さらに、制御装置10は、燃焼室710内の温度T2に応じて、外気導入部76による外気の導入量を調節するので、燃焼室710内の温度をより適切に調整することができる。
【0066】
また、制御装置10は、燃焼室710内の温度T2が高いほど外気導入部76による外気の導入量を増やすので、より効果的に燃焼室710内を冷却することができる。
【0067】
さらに、制御装置10は、燃焼室710内の温度T2が設定温度T1よりも高い場合に、脱臭用バーナ72の運転を停止するので、より効果的に燃焼室710内を冷却することができる。
【0068】
また、再生骨材用乾燥炉4の内圧を測定する乾燥炉用圧力センサ46と、蓄熱燃焼式脱臭装置7の内圧を測定する脱臭装置用圧力センサ710bと、再生骨材用乾燥炉4で発生した排ガスを蓄熱燃焼式脱臭装置7に送り出す第1の排風機5と、蓄熱燃焼式脱臭装置7で脱臭した排ガスを煙突9に送り出す第2の排風機8と、を備えており、制御装置10は、再生骨材用乾燥炉4の内圧に基づいて第1の排風機5の排風量を制御し、蓄熱燃焼式脱臭装置7の内圧に基づいて第2の排風機8の排風量を制御する。これにより、蓄熱燃焼式脱臭装置7に外気を導入することによって、再生骨材用乾燥炉4及び蓄熱燃焼式脱臭装置7の内圧が変化した場合でも、第1の排風機5及び第2の排風機8により適切に排ガスを排出することができるので、再生骨材用乾燥炉4及び蓄熱燃焼式脱臭装置7から排ガス及び粉塵が吹き出すのを防ぐことができる。
【0069】
さらに、再生骨材用乾燥炉4は、傾斜された軸心周りに回転自在となるように支持され、収容した再生骨材2を攪拌しながら傾斜に沿って流動させる円筒形状の回転ドラム41と、回転ドラム41の両端部のうち、高い位置にある一端側から回転ドラム41内に再生骨材2を供給するコールドホッパ42と、回転ドラム41の他端側から回転ドラム41内に火炎を放射し、再生骨材2を加熱する乾燥用バーナ44と、を備えた直火向流式である。そのため、従来、再生骨材2の乾燥に利用されていた直火並流式に比べて、高い熱効率を得ながら、環境負荷を小さくすることができる。
【0070】
また、再生骨材用乾燥炉4Aは、回転ドラム41内で乾燥用バーナ44の火炎の周囲を覆う筒部材47を設けたので、乾燥用バーナ44の火炎が再生骨材2に直接触れない。したがって、再生骨材2に含まれるアスファルトの温度が上がりすぎて劣化するのを防ぐことができる。
【0071】
《第2実施形態》
次に、本発明のアスファルトプラントを適用したアスファルトプラント20について説明する。なお、第1実施形態と同じ工程及び構成については、同じ符号を用いて詳しい説明は省略する。図10、11に示すように、本実施形態のアスファルトプラント20は、再生骨材2を加熱・乾燥する再生骨材乾燥ライン21と、新骨材22を加熱・乾燥する新骨材乾燥ライン23と、骨材とアスファルトとを混合する混合ライン24と、を備える。アスファルトプラント20は、新骨材22のみを用いたアスファルト混合物と、再生骨材2のみを用いたアスファルト混合物と、新骨材22と再生骨材2とを用いたアスファルト混合物の3種類を製造することができる。なお、本実施形態では、新骨材22と再生骨材2とを用いたアスファルト混合物の製造について説明する。
【0072】
再生骨材乾燥ライン21は、第1実施形態のリサイクルプラント1と略同様の構成を有し、ホッパ3と、再生骨材用乾燥炉4と、第1の排風機5と、一次集塵機6と、蓄熱燃焼式脱臭装置7と、第2の排風機8と、を備えている。また、図示は省略しているが、上記の第1実施形態と同様に、再生骨材乾燥ライン21は、温度センサ710aの測定結果に基づいて外気導入部76を制御するとともに、乾燥炉用圧力センサ46及び脱臭装置用圧力センサ710bの測定結果に基づいて、第1の排風機5及び第2の排風機8を制御する制御装置10を備えている。
【0073】
新骨材乾燥ライン23は、新骨材22を供給するホッパ26と、新骨材用乾燥炉27と、一次集塵機28と、二次集塵機29と、排風機30と、を備えている。ホッパ26は、下部がすぼめられた四角錐形状の箱であり、重機によって上部から供給された新骨材22を一時的に貯留し、貯留した新骨材22を下部に設けられた供給口からベルトコンベア261に供給する。ベルトコンベア261は、新骨材22を新骨材用乾燥炉27に供給する。なお、新骨材22は、岩石等を破砕機によって破砕した砕石や砂等である。
【0074】
新骨材用乾燥炉27は、新骨材22を攪拌しながら流動させ、その間に新骨材22を加熱して乾燥する乾燥炉であり、より詳しくは、新骨材22の流動方向に対して対向する方向(反対側の方向)からバーナの火炎を放射して加熱を行う直火向流式の乾燥炉である。新骨材用乾燥炉27は、回転ドラム271と、コールドホッパ272と、ホットホッパ273と、乾燥用バーナ274と、乾燥炉用圧力センサ275と、を備えている。
【0075】
回転ドラム271は、新骨材22が収容可能なように円筒形状をしており、その内面には多数の掻上げ羽根(図示せず)が設けられている。回転ドラム271は、軸心が水平軸に対して僅かに傾斜するように配置されている。図10に示す例では、回転ドラム271は、右側の端部の位置が左側の端部よりも高くなるように傾斜されている。回転ドラム271の両端のうち、高い位置にある一端側には、コールドホッパ272が設置されており、低い位置にある他端側にはホットホッパ273が配置されている。
【0076】
コールドホッパ272は、ベルトコンベア261により供給された新骨材22を投入口(図示せず)から受け入れて回転ドラム271に供給する。回転ドラム271は、傾斜された軸心周りに回転することにより、新骨材22を掻き上げ羽根で攪拌し、傾斜に沿ってホットホッパ273側へ流動させる。ホットホッパ273には、乾燥用バーナ274が設置されている。乾燥用バーナ274は、新骨材22の流動方向に対向する方向から回転ドラム271内に火炎を放射して新骨材22を加熱・乾燥する。ホットホッパ273は、排出口(図示せず)から乾燥された新骨材22を排出する。排出された新骨材22は、詳しくは図示しないが、トロリー装置やホットエレベータ等により搬送され、保温機能を備えたホットビンに貯蔵される。
【0077】
乾燥炉用圧力センサ275は、新骨材用乾燥炉27の内圧を測定する。新骨材用乾燥27の内圧は、再生骨材用乾燥炉4と同様に、回転ドラム271に供給される新骨材22の量が多くなるほど高くなる。乾燥炉用圧力センサ275により測定された新骨材用乾燥炉27の内圧の測定信号は、排風機30の制御装置31に送信される。
【0078】
コールドホッパ272には、回転ドラム271内で新骨材22を加熱することにより発生した排ガスを新骨材用乾燥炉27から排気する排気煙道32が接続されている。排気煙道32の下流側には、上記の一次集塵機28、二次集塵機29及び排風機30が順に接続されている。排気煙道32は、再生骨材乾燥ライン21の排気煙道12と合流されて、煙突9に接続されている。
【0079】
一次集塵機28は、排ガスから比較的大きな粉塵を除去する集塵機である。この一次集塵機28には、例えば、装置内で排ガスの方向を転換させて、慣性力により排ガスから粉塵を分離する慣性集塵機が用いられている。二次集塵機29は、一次集塵機28で除去しきれなかった比較的細かな粉塵を排ガスから除去する集塵機であり、たとえば、布または不織布製の袋状のフィルタを多数設置し、このフィルタに粉塵を含む排ガスを通して濾過するバグフィルタ集塵機が用いられている。
【0080】
排風機30は、一次集塵機28及び二次集塵機29を通して新骨材用乾燥炉27内の排ガスを吸引する。排風機30には、駆動モータをインバータ制御することにより、排風量を調節可能にした排風機が用いられている。排風機30の制御装置31は、乾燥炉用圧力センサ275の測定結果に基づいて、排風機30の排風量を制御する。すなわち、再生骨材乾燥ライン21において、蓄熱燃焼式脱臭装置7に外気が導入されて内圧が一時的に高くなった場合、その影響は、排気煙道12及び排気煙道32を通して新骨材乾燥ライン23にも及び、新骨材用乾燥炉27から排ガス及び粉塵が吹き出すことがある。そのため、本実施形態では、外気の導入により変化した新骨材用乾燥炉27の内圧に基づいて、排風機30の排風量を制御することにより、新骨材用乾燥炉27からの排ガス及び粉塵の吹き出しを防いでいる。
【0081】
図11に示す混合ライン24は、再生骨材乾燥ライン21で加熱・乾燥された再生骨材2と、新骨材乾燥ライン23で加熱・乾燥された新骨材22と、外部から供給されたアスファルト33と、石粉34等を計量してミキサ35に投入する。石粉34は、新骨材22及び再生骨材2よりも粒度が低い骨材であり、新骨材22と再生骨材2との間に充填されるフィラーである。ミキサ35は、再生骨材2、新骨材22、アスファルト33及び石粉34等を混合してアスファルト混合物36を製造する。ミキサ35から排出されたアスファルト混合物36は、詳しくは図示しないが、トロリー装置やホットエレベータ等により搬送され、保温機能を備えた合材ストレージビンに貯蔵される。
【0082】
再生骨材乾燥ライン21の制御装置10は、第1実施形態のリサイクルプラント1と同様に、温度センサ710aにより蓄熱燃焼式脱臭装置7の燃焼室710内の温度T2を測定し、温度T2が設定温度T1(800±20°C)よりも高い場合(T2>T1)には、脱臭用バーナ72の運転停止、外気導入部76からの外気導入等を行って燃焼室710内を冷却する。また、蓄熱燃焼式脱臭装置7へ外気を導入した場合には、乾燥炉用圧力センサ46及び脱臭装置用圧力センサ710bの測定結果に基づいて、第1の排風機5及び第2の排風機8の排風量を制御する。さらに、新骨材乾燥ライン23では、新骨材用乾燥炉27の内圧に基づいて排風機30の排風量を制御する。したがって、アスファルトプラント20においても、燃焼室710の温度上昇によって蓄熱燃焼式脱臭装置7が停止するのを防ぐとともに、再生骨材用乾燥炉4、蓄熱燃焼式脱臭装置7及び新骨材用乾燥炉27から排ガス及び粉塵が吹き出すのを防ぐことができる。
【0083】
なお、上記各実施形態では、外気導入部76として、開閉弁762と、送風量が調節可能な外気導入ファン763とを用いたが、風量固定の送風機と、開閉量が調節可能な調節弁又はダンパとを用いてよい。また、脱臭用バーナ72の運転停止と、外気導入とを併用して燃焼室710内を冷却するようにしたが、外気導入のみを用いて燃焼室710内を冷却してもよい。さらに、脱臭用バーナ72の運転停止から所定時間経過後、燃焼室710内の温度T2が設定温度T1以下にならない場合に外気を導入するようにしたが、脱臭用バーナ72の運転停止と同時に、あるいは、脱臭用バーナ72の運転停止よりも前に外気を導入してもよい。また、上記各実施形態では、直火向流式の再生骨材用乾燥炉4を用いる例について説明したが、直火向流式の再生骨材用乾燥炉4の代わりに、直火並流式の再生骨材用乾燥炉を用いてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…リサイクルプラント
2…再生骨材
4…再生骨材用乾燥炉
41…回転ドラム
42…コールドホッパ(骨材供給手段)
43…ホットホッパ
44…乾燥用バーナ(第2のバーナ)
46…乾燥炉用圧力センサ(第1の内圧測定手段)
47…筒部材
5…第1の排風機
7…蓄熱燃焼式脱臭装置
71…装置本体
710…燃焼室
710a…温度センサ(温度測定手段)
710b…脱臭装置用圧力センサ(第1の内圧測定手段)
711~713…蓄熱室
72…脱臭用バーナ(第1のバーナ)
76…外気導入部(外気導入手段)
8…第2の排風機
10…制御装置(制御手段)
20…アスファルトプラント
21…再生骨材乾燥ライン
22…新骨材
23…新骨材乾燥ライン
24…混合ライン
27…新骨材用乾燥炉
275…乾燥炉用圧力センサ
30…排風機
31…制御装置
33…アスファルト
35…ミキサ
36…アスファルト混合物
図1
図2
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図10
図11