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▶ ハイダック プロセス テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/66 20060101AFI20230424BHJP
   B01D 29/33 20060101ALI20230424BHJP
   B01D 29/50 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
B01D29/38 530A
B01D29/32 A
B01D29/24 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019554517
(86)(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2018060864
(87)【国際公開番号】W WO2018206315
(87)【国際公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-04-26
(31)【優先権主張番号】102017004661.1
(32)【優先日】2017-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500563201
【氏名又は名称】ハイダック プロセス テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ブヌク
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ベッチャー
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-034029(JP,A)
【文献】国際公開第2013/114329(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0144830(US,A1)
【文献】特表2014-525344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D29/00-37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過すべき流体のためのフィルタ入口(50)と濾過済み流体のためのフィルタ出口(52)とを備えるフィルタハウジング(12)内に収容可能な複数のフィルタエレメント(20)を有するフィルタ装置(10)であって、前記フィルタエレメント(20)は濾過又は逆洗のためにそれらのエレメントジャケットを通して両方向に貫流可能であり、前記フィルタエレメント(20)の対向する両端部にそれぞれ1つの上側エレメント開口部(54)と下側エレメント開口部(56)を有しており、運転中は同時に少なくとも1つのフィルタエレメント(20)が濾過を行い、少なくとも1つの別のフィルタエレメント(20)がその有効濾過表面を洗浄するために逆洗装置(44)によって逆洗可能であり、前記逆洗装置(44)は逆洗を支援するために少なくとも1つの圧力制御エレメントを有する圧力制御装置(42)と協働し、前記圧力制御エレメントによって逆洗過程で洗浄すべきフィルタエレメント(20)に沿って流体流動が制御可能であり、さらにフィルタ装置(10)は未濾過液側を形成するフィルタエレメント(20)のフィルタ中空室の上側エレメント開口部(54)と少なくとも部分的に連通する接続室(14)を有しており、濾過中に未濾過液が接続室(14)内に流入するための流路が設けられており、洗浄すべき濾過エレメント(20)に付属する上側エレメント開口部(54)を通る未濾過液の貫流が圧力制御エレメントによって制御可能であり、さらに浄化用流体のための排出口(46)を有する逆洗装置(44)は、前記排出口(46)がそれぞれ逆洗すべきフィルタエレメント(20)の下側エレメント開口部(56)の下に位置するように移動させることができるものにおいて、
前記圧力制御装置(42)は少なくとも1つの制御プレート(58)を有し、前記制御プレート(58)は接続室(14)の内部に配置されて設定可能な順序でそれぞれ逆洗すべきフィルタエレメント(20)の個々の上側エレメント開口部(54)を徐々に覆って再び開放するように側方に移動すること、及び前記逆洗装置(44)の排出口(46)はそれぞれ逆洗すべきフィルタエレメント(20)の下側エレメント開口部(56)と少なくともまだ部分的に流体連通しており、その間上側エレメント開口部(54)は圧力制御装置(42)によって制御されており、
前記逆洗装置(44)は前記排出口(46)を備えた集合室を有しており、前記集合室は逆洗の順序で後続のフィルタエレメント(20)とその下側エレメント開口部(56)を通して既に少なくとも部分的に流体連通しており、その間に圧力制御装置(42)の制御プレート(58)はまだ順序で先行するフィルタエレメント(20)の上側エレメント開口部(54)をまだ横断していることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
前記逆洗装置(44)の集合室は逆洗アーム(78)によって案内されたカバープレート(60)内の凹部(84)から形成されており、前記逆洗アーム(78)内には逆洗アーム(78)を通して弁制御装置と流体連通している排出口(46)が開口していることを特徴とする、請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
前記集合室(84)の延長は、前記集合室(84)が逆洗アーム(78)の少なくとも1つの旋回位置で隣接する2つのフィルタエレメント(20)の2つの下側エレメント開口部(56)を完全に覆うように選択されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記圧力制御装置(42)と前記逆洗装置(44)は、剛性駆動エレメント(62)を介して前記制御プレート(58)と前記カバープレート(60)を一定の空間的ずれで制御する共通駆動装置(40)を有すること、又は前記圧力制御装置(42)と前記逆洗装置(44)はフィルタハウジング(12)の内部に静止して配置されており、前記フィルタエレメント(20)は共通駆動装置(40)によって前記圧力制御装置(42)と前記逆洗装置(44)の下に回転木馬式に移動可能であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
各フィルタエレメント(20)の上側エレメント開口部(54)と下側エレメント開口部(56)は、前記各フィルタエレメント(20)の前記上側エレメント開口部(54)と前記下側エレメント開口部(56)自体が前記フィルタハウジング(12)の内部の間仕切り板(22、24)の貫通孔であるように、前記フィルタハウジング(12)の内部の前記間仕切り板(22、24)内に形成されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項6】
前記制御プレート(58)と前記カバープレート(60)は、エレメント開口部(54、56)を有するそれぞれの間仕切り板(22、24)を実質的に隙間なく横断することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項7】
設定可能な長さの張出し部を有するカバープレート(60)が、集合室(84)を移動方向に見て側方に限定して、フィルタエレメント(20)の下側エレメント開口部(56)を有する間仕切り板(56)と当接可能であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項8】
それぞれの逆洗の持続時間は共通駆動装置(40)による回転数によって、又は所定の逆洗時間によって制御されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項9】
それぞれのフィルタエレメント(20)は円錐形に形成されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濾過すべき流体のためのフィルタ入口と濾過済み流体のためのフィルタ出口とを備えるフィルタハウジング内に収容可能な複数のフィルタエレメントを有するフィルタ装置であって、フィルタエレメントは濾過又は逆洗のためにそれらのエレメントジャケットを通して両方向に貫流可能であり、フィルタエレメントの対向する両端部にそれぞれ1つの上側エレメント開口部と下側エレメント開口部を有しており、運転中は同時に少なくとも1つのフィルタエレメントが濾過を行い、少なくとも1つの別のフィルタエレメントがその有効濾過表面を洗浄するために逆洗装置によって逆洗可能であり、逆洗装置は逆洗を支援するために少なくとも1つの圧力制御エレメントを有する圧力制御装置と協働し、圧力制御エレメントによって逆洗過程で洗浄すべきフィルタエレメントに沿って流体流動が制御可能であり、さらにフィルタ装置は未濾過液側を形成するフィルタエレメントのフィルタ中空室の上側エレメント開口部と少なくとも部分的に連通する接続室を有しており、濾過中に未濾過液が接続室内に流入するための流路が設けられており、洗浄すべき濾過エレメントに付属する上側エレメント開口部を通る未濾過液の貫流が圧力制御エレメントによって制御可能であり、さらに浄化流体のための排出口を有する逆洗装置はそれぞれ逆洗すべきフィルタエレメントの下側エレメント開口部の下にもたらすことができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなフィルタ装置は、様々なタイプの工業用プラント及び機械で、そこで使用される流体、例えばプロセス液、潤滑剤及び同種のものを洗浄するために用いられる。フィルタ装置の性能は実質的にフィルタエレメント、及び特にそれらの濾材によって決まる。その際に安定性、長寿命、及び濾材とフィルタエレメントの粒子汚染物質の良好な洗浄が決定的な基準である。多くのフィルタ装置はいわゆる逆洗フィルタとして設計されているので、濾過過程の進行中に個々のフィルタエレメントを逆洗装置によって連続的に洗浄できる。例えばバラスト水用途では、高い汚れ負荷が発生する可能性があり、それらは極めて短い時間内にフィルタエレメント及びそれらの濾材に付加されて、それによって濾過プロセスを妨げる。従って逆洗装置及び圧力制御装置の設計は、逆洗におけるフィルタエレメントの可能な限り最良の洗浄が、そのような高い汚れ負荷でも確実に行われるように選択されている。
【0003】
冒頭に記載した種類のフィルタ装置は、例えば特許文献1(独国特許出願公開第102011111457号明細書)から知られている。この公知のフィルタ装置では、定期的に粒子汚染物質が堆積し、そのため濾過する必要のある流体若しくは未濾過液が、本来の濾過過程のためにフィルタ入口を通って装置のフィルタハウジング内に流入して、フィルタエレメントを内側から外側に貫流する。このようにして浄化された流体は、次いでハウジング内に配置されたフィルタ出口を通って流出する。フィルタエレメントを内側から外側へ貫流する際に、流体の流れから分離される粒子はフィルタエレメントの内側に堆積し、浄化された流体の流れはフィルタエレメントを半径方向に見て内側から外側に横切る。典型的にはフィルタエレメントはスペースを節約してフィルタハウジング内に円形に配置されており、特に分離すべき粒子の大きさに適合された設定可能なフィルタ精度を有する。
【0004】
フィルタエレメントを逆洗するためには、逆洗装置の逆洗アームをこの目的のために設けられた中央駆動装置によって洗浄すべきフィルタエレメントの下側開口部の下に旋回可能に移動させる。上記開口部はそうでなければ本来の濾過プロセス中に未濾過液を供給する働きをする。フィルタ入口と、洗浄アームに接続して通常は弁装置として形成された逆洗継手によって開閉可能である逆洗管路との間に生じる圧力勾配により、このときはフィルタエレメントを通って外側から内側へ半径方向流動が生じる。フィルタエレメントの内部に堆積した粒子状物質は、逆洗の枠内でフィルタ装置の清浄側から出て逆洗アームを通して流入する流体により、継手が開いた状態でフィルタ装置から逆洗管路に向かって排出される。この逆洗過程の間、残りのフィルタエレメントによる濾過運転が確保されており、このフィルタエレメントで逆洗過程が完了した後、逆洗装置の逆洗アームはこのエレメントの後続のフィルタエレメントに向かってさらに移動することができ、次にこのフィルタエレメントで先行の濾過の枠内で発生した粒子汚染物質の浄化を行う。
【0005】
この既知のフィルタ装置はさらに、複数の圧力制御エレメントを備えた圧力制御装置を有しており、圧力制御エレメントはそれぞれ可動弁体を有する、好ましくは空気圧で操作可能な遮断弁からなり、この弁体により接続室からフィルタエレメントのそれぞれの上側エレメント開口部を通る割り当て可能な貫通路を制御できる。この場合、弁体はカバープレートのエレメント開口部の縁部と協働して一種のプレート弁を形成する。接続室自体は、濾過過程で濾過のために使用されるこれらのフィルタエレメントのそれぞれ上側開口部と、濾過のために使用されるフィルタエレメントの下側開口部を通して濾過装置の未濾過液側若しくは入口側と少なくとも部分的に連通しており、これにより装置の運転中に接続室は絶えず未濾過液によって満たされている。この場合、それぞれのフィルタエレメントの逆洗の際に濾液がエレメントの外側から内側へ貫流するだけでなく、同時にフィルタ装置の逆洗管路若しくは汚れ出口の方向の圧力勾配により、それぞれプレート弁が開いた状態で接続室から未濾過液が絶えず「吸い込まれる」。その際に濾過装置の濾液側から出て流入する清浄流量に対して実質的に横断方向に、接続室から出る未濾過液による接線流(cross flow)が生じるが、これは明らかに逆洗すべき濾過エレメントの内側の粒子状汚染物質の浄化を支援する。従ってそれぞれ逆洗すべきエレメントの内部には一種の中心流(core flow)が形成され、これは主に貯留室として設計された接続室によって供給され、装置の濾液側から濾液が洗浄すべきフィルタエレメントの内部に流入する自由噴流効果によって支援される。この過程は粒子汚染物質が分離される逆洗の第1段階を形成する。
【0006】
逆洗過程の枠内で、付属のプレート弁を制御することによって上側エレメント開口部が閉じられ、それに伴い接続室とフィルタエレメントの内部との間の通路が突然遮断されると、逆洗されたフィルタエレメントの内部に残っている液柱内にパルス状の衝撃が起こり、逆洗の枠内でフィルタエレメント又はそのエレメント材料にまだ粒子が残っていれば「吹き飛ばし」、フィルタ装置の出口に送る。このようにして洗浄プロセスは著しく加速及び改善される。この過程は本来の汚れ排出として逆洗の第2段階を形成する。接続室又は貯留室を閉じることによって、圧力制御エレメントによって閉じられた上側エレメント開口部を通って接続室からそれ以上流体が流入できないので、既に動いている流体柱若しくは液柱が装置の濾液側から流体を吸い込む。このようにして好ましくは円錐形に形成された、特に好ましくはスロット付き管として形成されたフィルタエレメントは、いかなる残留物も残さずに粒子が除去される。汚れ排出はさらに逆洗管路が開いた状態で排出口を通して行われ、洗浄が行われた後で付属のプレート弁が開き、洗浄アームが次に洗浄すべきフィルタエレメントの下に回転して、後続のエレメントに対する逆洗のプロセスを繰り返すことができる。逆洗サイクルの完了後、弁装置の形態の逆洗継手は閉じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第102011111457号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、この先行技術から出発して、上述した実用において非常に定評があり技術的に信頼できる濾過プロセス及び逆洗プロセスを維持しながら、これらをさらに改良して、逆洗過程のための単純化された制御コンセプトを達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題は、特許請求項1の特徴をその全体において有するフィルタ装置によって解決される。フィルタ装置の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0010】
本発明によれば、この目的は請求項1の特徴部に従い、圧力制御装置は少なくとも1つの制御プレートを有し、この制御プレートは接続室の内部に配置されて設定可能な順序でそれぞれ逆洗すべきフィルタエレメントの個々の上側エレメント開口部を徐々に覆って再び開放するように側方に移動すること、及び逆洗装置の排出口はそれぞれ逆洗すべきフィルタエレメントの下側エレメント開口部と少なくともまだ部分的に流体連通しており、その間上側エレメント開口部は圧力制御装置によって制御されていることによって解決される。
【0011】
接続室内で円周方向に移動可能に配置された少なくとも1つの制御プレートが横方向に移動するようにしたことにより、それぞれのフィルタエレメントに割り当てられて垂直方向移動可能な制御部材又はプレート弁の形態の弁部材は省略される。こうすることにより制御プレートは個々のフィルタエレメントの上側エレメント開口部の上に速やかに遅れなく移動し、このようにして接続室からそれぞれのフィルタエレメントの内部フィルタキャビティへの流体連通を遮断し、これにより粒子洗浄及び自由噴流効果のために既述のパルス状圧力衝撃が引き起こされる。制御プレートはフィルタ装置の運転中に連続的に循環するので、このようにして逆洗モードで連続的な浄化運転が達成されている。制御プレートは、少なくとも1つのエレメント開口部を完全に覆うことができるように寸法設計されているが、2つ以上のエレメント開口部を少なくとも部分的に、しかし同時にそれぞれの制御プレートによって覆うように予め調整することも可能である。移動及び制御しなければならないコンポーネントが大幅に少なくなるため、コスト及びメンテナンスの手間が削減され、運転及び機能上の安定性が向上する。
【0012】
フィルタエレメントの逆洗の改善された効果は本発明により、排出口のある洗浄アームを有する逆洗装置が制御プレートよりも機能的に先行し、その結果として特に時間制御又は圧力制御された逆洗を導入した場合に、粒子洗浄の枠内で逆洗すべきフィルタエレメント内部の接線方向クロスフローがさらに助長されることによっても達成される。これに基づいて設定可能な圧力制御装置の逆洗装置に対するに空間的ずれと、ここから生じるそれぞれ洗浄すべきフィルタエレメントのそれぞれ上側エレメント開口部とこれに対応する下側エレメント開口部の少なくとも部分的に異なる覆い範囲とにより、それぞれの逆洗過程に対する流動経過は洗浄の必要度に応じて調整可能である。粒子洗浄のための逆洗過程の枠内で圧力制御装置と逆洗装置の共通駆動軸線若しくは回転軸線に対する空間的ずれは、好ましくは約18°である。
【0013】
それぞれ同一軌道上で共通の駆動軸線を中心に回転可能に配置された、使用される制御プレートと排出口の数及び配置は、例えば1つ以上の同心円状の円形線に沿ったフィルタハウジング内のフィルタエレメントの数及び配置に依存する。特に好ましくは、圧力制御装置の上側エレメント開口部での回転運動と、逆洗装置の下側エレメント開口部での回転運動は互いに連結されており、例えば両装置は共通の駆動軸線に剛性的に配置されており、それによってフィルタ装置の単純な設計構造と、フィルタエレメントの逆洗の高い動作安定性と効率が達成されている。逆洗のために、両装置は個々のフィルタエレメント若しくはそれらのエレメント開口部の下又は上に回転して、これらを逆洗の枠内で順次洗浄する。
【0014】
本発明によるフィルタ装置の好ましい実施形態では、前述のオフセットを実現するための逆洗装置が、排出口を備える拡大された集合室を有しており、この集合室は逆洗の順序で後続のフィルタエレメントとその下側エレメント開口部を通して既に少なくとも部分的に流体連通しており、その間に圧力制御装置の制御プレートはまだ順序で先行するフィルタエレメントの上側エレメント開口部を側方から来て横断している。このようにして順序でそれぞれ後続又は次のフィルタエレメントに対して時間的に延長された逆洗過程が実現されている。なぜなら逆洗装置の共通集合室を通して、フィルタエレメントの逆洗が完了する前に、制御プレートを使用して順序で次のフィルタエレメントの逆洗が既に開始しているからである。この場合、両装置は順番に割り当て可能なエレメント開口部を完全に且つ実質的に隙間なく横断することが好ましい。
【0015】
集合室は、好ましくは腎臓形に拡大された凹部又は好ましくはプレート形に形成された逆洗ユニットの切り欠き部によって、即ち逆洗装置のカバープレートの方式で形成されており、その大きさにより円形線に沿って直接隣接するフィルタエレメントの1つ以上の下側エレメント開口部を覆う。このようにして本発明による解決法では、少なくとも一時的に流体が逆洗液として2つ又は場合によってはそれ以上のフィルタエレメントから逆洗アームを通して外方へ導出できることが確保される。その際にフィルタエレメントは、既に述べたように、1つ以上の同心円状の円形線に沿って配置され、圧力制御装置と逆洗装置は上側及び下側エレメント開口部に沿って均一な回転運動で案内される。逆洗の持続時間は回転数によって、又は所定の周期によって制御することができる。本発明によるフィルタ装置のための典型的な回転速度は、例えば1回転当たり2~3秒の範囲の値である。両装置の回転方向は、装置の平面図において時計方向である。
【0016】
本発明によるフィルタ装置の別の好ましい実施形態では、逆洗装置の集合室は、逆洗ユニットとして用いられ逆洗アームによって案内されたカバープレート内の凹部から形成されており、この逆洗アーム内には好ましくは逆洗アームを介して逆洗継手の弁制御装置と流体連通している排出口が開口している。フィルタハウジングの外部に配置されている弁制御ユニットにより、圧力制御装置と組み合わせて逆洗における粒子洗浄はさらに改善できる。特に弁制御装置が比較的長い管路部分の後に続き、そのため圧力制御装置の後で高められた圧力勾配を生じる場合は、それぞれのフィルタエレメントからの粒子の分離はさらに支援される。
【0017】
さらに、集合室の延長が、逆洗アームの少なくとも1つの旋回位置で2つの隣接するフィルタエレメントの2つの下側エレメント開口部が完全に覆われているように選択されていることが有利である。このようにして進行中の濾過運転においてそれぞれのフィルタエレメントの特に効果的な逆洗が、フィルタ装置の他のフィルタエレメントによって実現されている。逆洗アームは、好ましくはフィルタエレメントの上方でシャフトを介して制御プレートと固く接続されている。両者は共通の中央駆動装置であるモータ、好ましくはギヤードモータによって同時に且つ同じ比較的高い速度で駆動される。
【0018】
本発明によるフィルタ装置の別の好ましい実施形態では、圧力制御装置と逆洗装置は、剛性駆動エレメントを介して制御プレートとカバープレートを一定の空間的ずれ(18°)で制御する共通の駆動装置を有しており、又は代替として圧力制御装置と逆洗装置はフィルタハウジングの内部に静止して配置されており、フィルタエレメントは共通駆動装置によってこれらの装置の下に回転木馬式に移動可能である。圧力制御装置と逆洗装置のそれぞれのフィルタエレメントに対する回転相対運動により、共通のフィルタハウジング内でフィルタ装置全体をコンパクトに構成することが可能になる。
【0019】
本発明によるフィルタ装置の別の好ましい実施形態では、各フィルタエレメントの上側エレメント開口部と下側エレメント開口部はフィルタハウジングの内部の間仕切り板内に配置されており、それらの貫通孔はエレメント開口部自体によって形成されている。間仕切り板はフィルタハウジングを、フィルタエレメントの上方に配置された未濾過液を案内する接続室と、フィルタエレメントを収容して濾液を案内する濾過室と、フィルタエレメントの下方に配置されて接続室と同様に未濾過液を案内する部分室とに分割する。平坦に延びる間仕切り板はさらにフィルタ装置の内部でフィルタエレメントの位置を固定する働きをし、両装置に対する確実な移動案内を保証する。両装置はそれぞれそれらの制御プレートとカバープレートと共に、間仕切り板の上若しくは下に沿って、間仕切り板と当接しながら中央駆動装置によって移動可能に動いている。
【0020】
さらに圧力制御装置の制御プレートと逆洗装置のカバープレートは、エレメント開口部を有するそれぞれの間仕切り板を実質的に隙間なく横断することが有利である。このようにすることによって流体案内中にエレメント開口部の自由断面を制御する際に絞り効果が生じて、粒子洗浄中の圧力衝撃の誘発を促進する。
【0021】
本発明の好適な実施形態では、所望された寸法設計の一部として設定可能な長さの張出し部を有するカバープレートが、特に移動方向に見て側方に集合室を限定して、フィルタエレメントの下側エレメント開口部を有する間仕切り板と滑り接触している。このようにしてフィルタエレメント上に垂直に配置されている間仕切り板の下方で未濾過液室に対する集合室の改善された密封が達成される。
【0022】
本発明によるフィルタ装置の別の好ましい実施形態では、それぞれの逆洗の持続時間は共通駆動装置による回転数によって、又は所定の逆洗時間によって制御されている。この場合、逆洗過程におけるフィルタエレメントの連続的な洗浄を保証するために、圧力制御装置と逆洗装置は一定の速度で動かされる。さらに逆洗過程は、著しく粒子汚染物質に負荷されたフィルタエレメントにおいて差圧の検出によって引き起こされ得る。
【0023】
好ましくは、それぞれのフィルタエレメントは円錐形に形成されている。フィルタエレメントを下端から上端に向かって直径が減少する円錐形に形成することにより、内側から外側へ貫流されるフィルタエレメントの濾過性能が向上する。さらにそれに続く圧力衝撃を伴う逆洗において、逆洗すべき又は浄化すべきフィルタエレメントの内部における既に冒頭で言及した中心流効果を考慮すると、改善された粒子洗浄が行われる。フィルタ装置のフィルタエレメントは全て同一に形成されることが好ましい。しかしながら異なる形状及び異なる寸法、例えば異なる直径を有するフィルタエレメントをフィルタハウジング内に互いに隣接して配置することも考えられる。濾材として好ましくはワイヤメッシュが使用される。焼結したワイヤメッシュ金網又はコーティングを施した濾材も考えられる。さらにフィルタエレメントのために、濾材の有無にかかわらず、好ましくはステンレス鋼材から作られたいわゆるスロット付き管を使用することができる。
【0024】
本発明のその他の利点及び特徴は、図面及び以下の図面の説明から明らかになる。上述の特徴及びさらに記載される特徴は、本発明によるフィルタ装置においてそれぞれ個々に又は任意に組み合わせて本発明に従い実現することができる。図示された特徴は、全く模式的であり、縮尺通りではないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1a図1aは、圧力制御装置と逆洗装置の位置の間にずれを有する、本発明によるフィルタ装置の実施形態の斜視図を、少なくとも部分的に切断された表現で示す。
図1b図1bは、圧力制御装置と逆洗装置の位置の間にずれを有する、本発明によるフィルタ装置の実施形態の斜視図を、少なくとも部分的に切断された表現で示す。
図2図2は、圧力制御装置の構成及び機能原理を斜視図で説明するための、図1aと図1bのフィルタ装置の部分図を示す。
図3a図3aは、図2に示す圧力制御装置の制御プレートの上面の斜視図を示す。
図3b図3bは、図3aに示す制御プレートの端面の平面図を示す。
図3c図3bの線A-Aに沿った制御プレートの縦断面図を示す。
図3d図3dは、図2に示す圧力制御装置の制御プレートの底面の斜視図を示す。
図4a図4aは、図1aと図1bに示したフィルタ装置の逆洗装置を下方から見た斜視図で示す。
図4b図4bは、図1aと図1bに示したフィルタ装置の逆洗装置を下方から見た斜視図で示す。
図5a図5aは、図4aと図4bに示した逆洗装置のカバープレートを上方から見た斜視図を示す。
図5b図5bは、図4aと図4bに示した逆洗装置のカバープレートを下方から見た斜視図を示す。
図5c図5cは、図4aと図4bに示した逆洗装置のカバープレーの平面図を示す。
図6図6は、圧力制御と逆洗装置との間の空間的なずれを説明するために、図1aと図1bのフィルタ装置の下部間仕切り板と仮想的に重ね合わせた図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1aと図1bはそれぞれ、接続室14と濾過室16と中間室18に分割された円筒形のフィルタハウジング12を有するフィルタ装置10を斜視図で、及び部分的に縦断面で示す。濾過室16には全部で6つのフィルタエレメントが配置されており、そのうち4つのエレメント20a、20b、20d、20eのみが示されている。部分的に切断して示したフィルタエレメント20はそれぞれ直径が下端から上端に向かって減少する円錐形に形成されている。フィルタエレメント20は、円形線上にフィルタハウジング12の対称軸線又は長手方向軸線に対して一様且つ回転対称に配置されている。個々のフィルタエレメント20はそれらの上端部及び下端部54、56で、それぞれ接続室を濾過室16から分離している第1の間仕切り板22、若しくは濾過室16を中間室18から分離している第2の間仕切り板24内に垂直方向に延びる配置で挿入され、そこで保持されている。
【0027】
フィルタハウジング12は、接続室14を有する上側ハウジング部26と、濾過室16を有する中間ハウジング部28と、中間室18を有する下側ハウジング部30とを含んでいる。ハウジング部26、28、30は個々の環状フランジを介して、互いに取外し可能に接続されており、それぞれの間仕切り板22又は24は環状フランジから形成されたそれぞれの複合材に挟まれて横断方向に受容されている。環状フランジからなるそれぞれの複合材はそれらの間に固持された間仕切り板22、24と共に、複数のねじ固定要素32によって互いに固く接続されている。下側ハウジング部30には足状の台部34が設けられており、これらによってフィルタ装置10は詳細に図示しない床面に設置することができる。
【0028】
フィルタ装置10は、詳細に図示されていないプロセスプラントの一部である。フィルタ装置10は中間ハウジング部28の側方に配置された接続・操作部36を介してプロセスプラントの中央制御装置(図示せず)に接続することもできる。フィルタハウジング12の長手方向軸線に沿って駆動軸38が配置されており、これは上側ハウジング部26のカバーに固定されている電気モータ又は空気圧駆動装置の形態の中央駆動装置40によって駆動可能である。圧力制御装置42と逆洗装置44が、駆動軸38に固定して接続されて駆動装置40の周りを回転可能に設けられている。圧力制御装置42は、フィルタエレメント20の上方の接続室14内に配置されている。逆洗装置44は、フィルタエレメント20の下方の中間室18内に配置されている。排出口46を介して部分的にしか示されていない逆洗管路48との流体連通が設けられており、この逆洗管路48は、フィルタハウジング12の長手方向軸線に沿って垂直方向に延びて逆洗装置44に接続している。逆洗管路48にはフィルタ装置10の外部で、特に制御可能な弁装置の形態の逆洗継手(図示せず)が接続しており、これは冒頭で先行技術に関して言及したように逆洗機能を支援する。
【0029】
下側ハウジング部30には、未濾過液用のフィルタ入口50が、中間ハウジング部28の濾液用のフィルタ出口52と同様の方法で、フィルタハウジング12に水平に配置されている。フィルタエレメント20の上側エレメント開口部54a~54f(図2参照)は、それぞれ第1の間仕切り板22を貫通する孔を、従って接続室14とそれぞれのフィルタエレメント20の内部フィルタキャビティとの間の流体連通を表している。これに対応して下側エレメント開口部56a~56f(図6参照)は、第2の間仕切り板24を貫通する孔を、従って接続室18とそれぞれのフィルタエレメント20の内部フィルタキャビティとの間の流体連通を表している。
【0030】
流体を浄化するためにフィルタ装置10を使用すると、浄化されていない流体は未濾過液としてフィルタ入口12からフィルタハウジング12に入り、中間室18から6つの下側エレメント開口部56のうち5つを通ってそれぞれのフィルタエレメント20のフィルタキャビティに達し、6つのフィルタエレメント20のうち5つを内側から外側へ貫流する際に洗浄される。6つのエレメント20のうち1つについて触れておくと、これは逆洗のために濾過に利用できない。フィルタハウジング12の濾過室16から浄化された流体が濾液として、フィルタ出口52を通ってフィルタ装置10から排出される。5つのフィルタエレメント20を貫流する流体の一部は部分的に浄化されないままであり、上側エレメント開口部54を通って接続室14に達する。その際にフィルタエレメント20はそれらの濾材によって、中間室18、接続室14、及びそれぞれ濾過に利用されるフィルタエレメント20のフィルタキャビティ内の未濾過液を有するいわゆる汚れ側と、フィルタエレメント20の外側を包囲してフィルタ装置10の内部の濾過室16を形成する流体室内の濾液を有する清浄側との間の界面をなしている。
【0031】
濾過中に濾材及び/又はスロット付き管の中間室の内側に堆積した粒子を除去するために、逆洗装置44は駆動装置40に駆動されて浄化すべきフィルタエレメント20に移動し、中間室18からそれぞれのフィルタエレメント20のフィルタキャビティへの未濾過液の流路が遮断される。このとき同時に未濾過液は、貯留室として働く接続室14から付属の内部フィルタキャビティ内に流れ、洗浄された粒子と共に付属の下側エレメント開口部56と逆洗浄装置44の排出口46を通って逆洗管路48に達する。逆洗に使用された流体は汚れ負荷と共に逆洗管路48を通ってフィルタ装置10から排出される。接続室14からそれぞれのフィルタエレメント20のフィルタキャビティを通って逆洗管路48へ流れる接線流(クロスフロー)は、圧力制御装置42によって付属の上側エレメント開口部54を閉じることによって中断される。これに伴う流動停止により濾過室16内の清浄側からそれぞれのフィルタエレメント20の内部への流体又は濾液の流入が強化されて、汚れ粒子は濾材から衝撃的に洗浄される。これに先立って逆洗継手が開いていると、フィルタ入口50と、流入する未濾過液と、洗浄された粒子を含む汚れ流体を装置10から排出する働きをする逆洗管路48との間の圧力勾配によって逆洗が助長される。必要に応じて関連するエレメント開口部54a~54f、56a~56fを閉鎖するために、圧力制御装置42には制御プレート58が設けられ、逆洗装置44にはカバープレート60が設けられている。制御プレート58は第1の間仕切り板22の上側に位置し、同様の方法でカバープレート60は第2の間仕切り板24の下側に位置している。両プレート58、60は腎臓形の基本形状を有し、それぞれの間仕切り板22、24内の少なくとも2つのエレメント開口部54a~54f、56a~56fを少なくとも部分的に覆う。しかしながら円形線に沿って隣接するエレメント開口部の自由流動断面の被覆率は、制御プレート58よりもカバープレート60の方が著しく大きい。
【0032】
圧力制御装置42と逆洗装置44は駆動軸38に固く接続されており、駆動装置40によってフィルタエレメント20の上方又は下方で相応の回転運動にもたらされる。図1aに示す位置では、両装置42、44は、フィルタエレメント20aと、図1aには示されていないが回転方向で先行する隣のフィルタエレメント20fの領域に配置されている。これに対し図1bでは両装置42、44の位置は、反時計方向に約100°ずらして示されている。従ってフィルタエレメント20fと他の隣接する先行のフィルタエレメント20eのエレメント開口部54fと56f及び56eは、プレート58及び60によって少なくとも部分的に覆われている。両装置42、44は、最初に図1bの表現に従う位置を取り、それから時計方向に回転して、上方から装置10を見て図1aに示す位置にさらに動かされる。従って個々のフィルタエレメント20に関する位置交換は、時計方向に連続的に行われる。
【0033】
濾過運転と並行して個々のフィルタエレメント20a~20fの一つを逆洗するために、圧力制御装置42と逆洗装置44は駆動装置40によって時計方向に一定の速度で動かされる。この場合、上側エレメント開口部54a~54fと下側エレメント開口部56a~56fは、制御プレート58とカバープレート60によって順次覆われ、次いで再び開放される。図1aと図1bによる表現から、逆洗の枠内で逆洗装置44のカバープレート60が圧力制御装置42の制御プレート58に「先行する」こと、即ち制御プレート58が上側エレメント開口部54aを開放して、エレメント20aの次の後続の上側エレメント開口部54fに移動して圧力衝撃を誘発する前に、既にフィルタエレメント20aの逆洗が始まっている容易に分かる。
【0034】
図2は、フィルタ装置の拡大部分断面図を示し、圧力制御装置42の構成を図解しており、制御プレート58は、旋回部62を介して駆動軸38に固く接続されている。第1の間仕切り板22に載っている若しくは当接している制御プレート58は、その上側で旋回部62と接続されており、これにより可動に案内されている。第1の間仕切り板22に形成された4つの上側エレメント開口部54a~54dは、図2に示す表現では完全に開放されているのに対し、第5のエレメント開口部54eは制御プレート58によって部分的にのみ覆われ、さらに第6のエレメント開口部54fは制御プレート58によって完全に覆われている。第1の間仕切り板22の周縁部には、フィルタハウジング12の中間ハウジング部28と上側ハウジング部26(図1a及び図1b参照)を間仕切り板22に固定するためのねじ固定要素32(図1a及び図1b参照)のための貫通孔33が設けられている。
【0035】
図3a~図3dは、制御プレート58の詳細な構成を示しており、この制御プレート58により逆洗過程で第1の間仕切り板22の上側に現れている個々の上側エレメント開口部54a~54f(前出の図参照)が順次覆われる。図3aによる斜視図は、制御プレート58が円板状の固定部64と、そこから下方に一体的に突出するプレート部66とを有することを示している。固定部64には、制御プレート58を旋回部62(図2参照)に固定するための2つの固定手段68が形成されている。固定部64には、さらに段付き断面形状を有する貫通孔70が設けられており、旋回部62によって覆われている。
【0036】
制御プレート58の上側の見た図3bによる平面図は、貫通孔70が円形固定部64の中心と同心円状に形成されていることを示している。両固定孔68は互いに対向しており、貫通孔70に対して対角線上に配置されている。図3cによる制御プレート58の断面図は、貫通孔70がプレート部66の領域で拡張されていることを示している。
【0037】
固定部64には、第1の縁部72が設けられている。第1の縁部72に対して幅が狭くされている第2の縁部74が、プレート部66に円周状に設けられている。図3dの斜視図は、制御プレート58の下側で制御面76を円周状に包囲している第2の縁部74’を示している。第2の縁部74’は、第1の間仕切り板22における制御面76の摺動及び部分的な密封当接を容易にする。さらに制御プレート58は、図4の平面図に示すように腎臓形に形成されている。
【0038】
図4aと図4bは、それぞれ逆洗装置44の構成を斜視図で示しており、図4aでは下方から見た斜視図、図4bでは上方から見た斜視図が選択されている。逆洗装置44は、中空円筒状の管部分80に接続する曲管状の逆洗アーム78を含んでいる。逆洗アーム78の上端部にはカバープレート60が配置され、クランプ部材82によって位置固定されている。複数の、好ましくは2つのフィルタエレメント20(図1a、図1b、図2参照)からの洗浄液の平行な導出を可能にするために、第2の間仕切り板24に割り当てられたカバープレート60の上側に凹部84が設けられている。凹部84はカバープレート60全体の約3分の2にわたって延びて、その底側で円形排出口46を取り囲んでいる。逆洗装置44の取付け位置において、管部分80はフィルタハウジング12の長手方向軸線に沿って配置されており、逆洗管路48への接続部を形成する。フィルタ装置10内で逆洗装置44を位置固定に配置するために、管部分80の上端に接続スリーブ86が設けられて、駆動装置40の駆動軸38と固く接続されている。
【0039】
図5a~図5dはカバープレート60の構成を図解する。図5aはカバープレート60の平坦なカバー面88を示し、図5bはカバープレート60の平坦に延びる下側90を示している。カバー88上には凹部84が形成されており、その底側には排出口46が設けられている。排出口46は円形の接続部材92によって空間的に包囲されて、カバープレート60の下側90で垂直方向に突出している。
【0040】
図5cのカバープレート60の上側若しくは覆い側の平面図は、腎臓形カバープレート60内の異なるレベルに円形接続部材92と腎臓形凹部84が形成及び配置されていることを示している。逆洗運転の進行中は制御プレート58のカバープレート60が覆う機能の点で先行するので、凹部84を有するカバープレート60の移動方向、図示の実施形態では時計方向で排出口76の前に位置する部分は、より大きく形成されている。さらに図5aと図5cに示されている凹部84の前方上端部には、カバープレート60によって覆われる下側エレメント開口部56a~56fの円形に対応して切片状の窪みが設けられている。
【0041】
フィルタ装置10に形成された圧力制御装置42と逆洗装置44の特徴は、複数の、図示の実施形態では2つの隣接するフィルタエレメント20a~20fの平行逆洗である。これは、両装置42、44が駆動軸38を介して互いに相対回動しないように接続され、互いに個々のフィルタエレメント20a~20fに沿って順次動かされることによって達成される。図6に示す下側エレメント開口部56a~56fを有する第2の間仕切り板24の平面図は、仮想的に重ね合わされたカバープレート60と制御プレート58とが互いに空間的にずれていることを示している。制御プレート58のプレート部66に接続する円形固定部64は、カバープレート60の排出口46を包囲する接続部材92と、フィルタ装置10の中軸線又は長手方向軸線を起点として18°の角度範囲で重なり合っている。対応する重なり範囲は94で示されている。
【0042】
図6に示された圧力制御装置42と逆洗装置44の位置で、制御プレート58は、下側エレメント開口部56aに割り当てられた上側エレメント開口部54a(図1a、図1b、図2参照)を完全に覆っている。これに対してカバープレート60はその凹部84で、2つの隣接する下側エレメント開口部56a及び56bを覆い、このようにするのと同時に関連するフィルタエレメント20a、20bから洗浄液を導出する。カバープレート60がその凹部84を越えて突出する部分で既に目に見えて後続の下側エレメント開口部56cの領域に達して、逆洗装置44が時計方向にさらに回転すると、凹部84が下側エレメント開口部56cの自由断面の下に回転し、このようにしてフィルタエレメント20cの逆洗工程を導入する。この時点で制御プレート58は上側エレメント開口部54aを完全に横断しており、プレート58が後続のエレメント20b上にさらに移動する前にエレメント20aに対する圧力衝撃を誘発している。
【0043】
制御プレート58が関連する上側エレメント開口部54aを開放するとすぐに、対応する逆洗過程は循環の枠内で完全に終了する。下側をカバープレート60によって横断されていない他のフィルタエレメント20では、フィルタ装置10に供給された未濾過液によってさらに濾過が行われる。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様において、
濾過すべき流体のためのフィルタ入口(50)と濾過済み流体のためのフィルタ出口(52)とを備えるフィルタハウジング(12)内に収容可能な複数のフィルタエレメント(20)を有するフィルタ装置(10)であって、前記フィルタエレメント(20)は濾過又は逆洗のためにそれらのエレメントジャケットを通して両方向に貫流可能であり、前記フィルタエレメント(20)の対向する両端部にそれぞれ1つの上側エレメント開口部(54)と下側エレメント開口部(56)を有しており、運転中は同時に少なくとも1つのフィルタエレメント(20)が濾過を行い、少なくとも1つの別のフィルタエレメント(20)がその有効濾過表面を洗浄するために逆洗装置(44)によって逆洗可能であり、前記逆洗装置(44)は逆洗を支援するために少なくとも1つの圧力制御エレメントを有する圧力制御装置(42)と協働し、前記圧力制御エレメントによって逆洗過程で洗浄すべきフィルタエレメント(20)に沿って流体流動が制御可能であり、さらにフィルタ装置(10)は未濾過液側を形成するフィルタエレメント(20)のフィルタ中空室の上側エレメント開口部(54)と少なくとも部分的に連通する接続室(14)を有しており、濾過中に未濾過液が接続室(14)内に流入するための流路が設けられており、洗浄すべき濾過エレメント(20)に付属する上側エレメント開口部(54)を通る未濾過液の貫流が圧力制御エレメントによって制御可能であり、さらに浄化流体のための排出口(46)を有する逆洗装置(44)はそれぞれ逆洗すべきフィルタエレメント(20)の下側エレメント開口部(56)の下にもたらすことができるものにおいて、
前記圧力制御装置(42)は少なくとも1つの制御プレート(58)を有し、前記制御プレート(58)は接続室(14)の内部に配置されて設定可能な順序でそれぞれ逆洗すべきフィルタエレメント(20)の個々の上側エレメント開口部(54)を徐々に覆って再び開放するように側方に移動すること、及び前記逆洗装置(44)の排出口(46)はそれぞれ逆洗すべきフィルタエレメント(20)の下側エレメント開口部(56)と少なくともまだ部分的に流体連通しており、その間上側エレメント開口部(54)は圧力制御装置(42)によって制御されていることを特徴とするフィルタ装置である。
第2の態様において、
前記逆洗装置(44)は排出口(46)を備えた集合室を有しており、前記集合室は逆洗の順序で後続のフィルタエレメント(20)とその下側エレメント開口部(56)を通して既に少なくとも部分的に流体連通しており、その間に圧力制御装置(42)の制御プレート(58)はまだ順序で先行するフィルタエレメント(20)の上側エレメント開口部(54)をまだ横断している、第1の態様におけるフィルタ装置である。
第3の態様において、
前記逆洗装置(44)の集合室は逆洗アーム(78)によって案内されたカバープレート(60)内の凹部(84)から形成されており、前記逆洗アーム(78)内には好ましくは逆洗アーム(78)を通して弁制御装置と流体連通している排出口(46)が開口していることを特徴とする、第1の態様又は第2の態様におけるフィルタ装置である。
第4の態様において、
前記集合室(84)の延長は、前記集合室(84)が逆洗アーム(78)の少なくとも1つの旋回位置で隣接する2つのフィルタエレメント(20)の2つの下側エレメント開口部(56)を完全に覆うように選択されていることを特徴とする、第1の態様~第3の態様のいずれか1つにおけるフィルタ装置である。
第5の態様において、
前記圧力制御装置(42)と前記逆洗装置(44)は、剛性駆動エレメント(62)を介して前記制御プレート(58)と前記カバープレート(60)を一定の空間的ずれで制御する共通駆動装置(40)を有すること、又は前記圧力制御装置(42)と前記逆洗装置(44)はフィルタハウジング(12)の内部に静止して配置されており、前記フィルタエレメント(20)は共通駆動装置(40)によって前記圧力制御装置(42)と前記逆洗装置(44)の下に回転木馬式に移動可能であることを特徴とする、第1の態様~第4の態様のいずれか1つにおけるフィルタ装置である。
第6の態様において、
各フィルタエレメント(20)の上側エレメント開口部(54)と下側エレメント開口部(56)は、フィルタハウジング(12)の内部の間仕切り板(22、24)内に配置されており、前記間仕切り板(22、24)の貫通孔はエレメント開口部(54、56)自体によって形成されていることを特徴とする、第1の態様~第5の態様のいずれか1つにおけるフィルタ装置である。
第7の態様において、
前記制御プレート(58)と前記カバープレート(60)は、エレメント開口部(54、56)を有するそれぞれの間仕切り板(22、24)を実質的に隙間なく横断することを特徴とする、第1の態様~第6の態様のいずれか1つにおけるフィルタ装置である。
第8の態様において、
設定可能な長さの張出し部を有するカバープレート(60)が、集合室(84)を特に移動方向に見て側方に限定して、フィルタエレメント(20)の下側エレメント開口部(56)を有する間仕切り板(56)と当接可能であることを特徴とする、第1の態様~第7の態様のいずれか1つにおけるフィルタ装置である。
第9の態様において、
それぞれの逆洗の持続時間は共通駆動装置(40)による回転数によって、又は所定の逆洗時間によって制御されていることを特徴とする第1の態様~第8の態様のいずれか1つにおけるフィルタ装置である。
第10の態様において、
それぞれのフィルタエレメント(20)は円錐形に形成されていることを特徴とする、第1の態様~第9の態様のいずれか1つにおけるフィルタ装置である。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図5a
図5b
図5c
図6