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特許7267273尿素プラントの真空濃縮セクションから来るプロセス蒸気の処理のための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】尿素プラントの真空濃縮セクションから来るプロセス蒸気の処理のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 273/16 20060101AFI20230424BHJP
   C07C 275/00 20060101ALI20230424BHJP
   B01D 5/00 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
C07C273/16
C07C275/00
B01D5/00 Z
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020524034
(86)(22)【出願日】2018-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 IB2018058337
(87)【国際公開番号】W WO2019082121
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-09-29
(31)【優先権主張番号】102017000121364
(32)【優先日】2017-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516208282
【氏名又は名称】サイペム エスピーアー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】セルローヌ,クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】チェドラティ,ヤコポ
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭51-063400(JP,A)
【文献】特開昭55-102437(JP,A)
【文献】特開昭50-142515(JP,A)
【文献】特開2002-145850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
B01D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿素プラントの真空濃縮セクション(10)から来るプロセス蒸気を処理するための、真空システム(11)を備えた装置(20)であって、前記真空システム(11)が、複数の連続した凝縮ステージ(30)を有し、当該複数の連続した凝縮ステージ(30)がそれぞれのライン部分(31)により直列に接続され、且つ、処理されるべきプロセス蒸気により順番に横断され、前記真空システム(11)が、さらに、さらなるライン部分(31)により最終凝縮ステージ(30n)に接続された洗浄ユニット(40)を有し、当該洗浄ユニット(40)が、蒸気凝縮物が供給されるための供給ライン(42)に接続された入口(41)と、洗浄のために使用された前記蒸気凝縮物がそこから収集される凝縮物ライン(44)に接続された凝縮物出口(43)とを有し、前記洗浄ユニット(40)が、さらに、非凝縮性パージガスがそこから収集される排出ライン(46)に接続されたガス出口(45)を有する前記装置(20)において、前記装置(20)は、蒸気凝縮物を前記真空システム(11)に供給するための少なくとも1つの主要蒸気凝縮物入口(50)を有し、当該主要蒸気凝縮物入口(50)が、前記真空システム(11)における前記プロセス蒸気の循環方向に対して、少なくとも1つの選択された凝縮ステージ(30)の上流に、又は、少なくとも1つの選択された凝縮ステージ(30)に配置され、前記主要蒸気凝縮物入口(50)が、前記真空システム(11)における蒸気凝縮物の主要注入ポイントを画成するように構成されており、前記主要注入ポイントが、前記真空システム(11)に供給される全蒸気凝縮物全体の50重量%以上の部分が注入されるためのポイントであることを意図されていることを特徴と
各凝縮ステージ(30)が、処理されるべき前記プロセス蒸気を供給するためのそれぞれのライン部分(31)に接続された入口(35)を有し、且つ、前記主要入口(50)が、前記ライン部分(31)の少なくとも1つの上に、且つ、増圧装置(39)の下流に配置されており、当該増圧装置(39)が、前記ライン部分(31)に沿って配置され、且つ前記ライン部(31)内を循環するプロセス蒸気の流れの圧力を増大させるように構成されている、装置(20)。
【請求項2】
前記主要入口(50)が、前記選択された凝縮ステージ(30)の凝縮器(32)の内部に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記真空システム(11)が、前記プロセス蒸気の前記循環方向において、第1凝縮ステージ(30a)、及び、1以上のさらなる凝縮ステージ(30b)を含み、当該さらなる凝縮ステージ(30b)が、少なくとも1つの第2凝縮ステージ(30c)から最終凝縮ステージ(30n)までを含み、前記主要入口(50)が、前記第1凝縮ステージ(30a)に続く前記さらなる凝縮ステージ(30b)の1つの上流又は内部に配置されている、請求項1または2のいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの主要入口(50)を上流又は内部に有する前記選択された凝縮ステージ(30)が、前記真空システム(11)内での前記プロセス蒸気の前記循環方向における前記第2凝縮ステージ(30c)である、請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記主要入口(50)が、前記第1凝縮ステージ(30a)を前記第2凝縮ステージ(30c)に接続する前記ライン部分(31)上にて、前記第2凝縮ステージ(30c)の上流に、且つ、前記ライン部分(31)に沿って配置された増圧装置(39)の下流に、又は、前記第2凝縮ステージ(30c)の凝縮器(32)の内部に配置されている、請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記装置(20)が複数の主要蒸気凝縮物入口(50)を有し、当該複数の主要蒸気凝縮物入口(50)が、前記真空システム(11)の各凝縮ステージ(30)の上流に、及び/又は、それぞれの凝縮ステージ(30)に配置されている、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記凝縮ステージ(30)が、増大される圧力で動作し、2つの連続した凝縮ステージ(30)を接続する各ライン部分(31)に増圧装置(39)が設けられており、当該増圧装置(39)が、前記ライン部分内の1つの凝縮ステージ(30)から次の凝縮ステージに循環する前記プロセス蒸気の流れの前記圧力を増大させるように構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記増圧装置(39)が、原動流体として作用する蒸気が供給される蒸気エジェクタである、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記凝縮ステージ(30)がそれぞれの凝縮器(32)を含み、当該凝縮器がそれぞれの熱交換器から成り、当該熱交換器において、処理されるべき前記プロセス蒸気の流れが、冷却回路(33)内を循環する冷却水に熱を伝達し、前記冷却回路(33)が、前記凝縮器(32)の少なくとも幾つかを前記冷却流体に対して並列に接続するように構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記冷却回路(33)が、処理されるべき前記プロセス蒸気により最初に横断される第1凝縮ステージ(30a)に続く複数の凝縮ステージ(30b)の前記凝縮器(32)を並列に接続している、請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記真空システム(11)に、最終増圧装置(52)が、最終凝縮ステージ(30n)から出ているライン部分(31)に沿って、前記真空システム(11)から排出されるベントガスの流れの前記圧力を増大させるために設けられている、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
尿素プラントの真空濃縮セクション(10)から来るプロセス蒸気を処理するための方法であって、前記プロセス蒸気を、前記真空濃縮セクション(10)において真空状態を生成するための真空システム(11)の、直列に接続された複数の連続した凝縮ステージ(30)にて凝縮するステップを含み、前記真空濃縮セクション(10)が前記凝縮ステージ(30)の上流に配置されており、前記真空システム(11)が、前記複数の凝縮ステージ(30)、及び、最終凝縮ステージ(30n)に接続された洗浄ユニット(40)を含み、前記方法が、さらに、前記洗浄ユニット(40)において、前記最終凝縮ステージ(30n)から出てくる非凝縮性パージガスを蒸気凝縮物と共に洗浄し、それによりアンモニアを除去するステップを含む前記方法において、前記方法は、蒸気凝縮物を少なくとも1つの主要注入ポイントにて供給するステップであって、当該少なくとも1つの主要注入ポイントが、前記真空システム(11)における前記プロセス蒸気の循環方向に対して、少なくとも1つの選択された凝縮ステージ(30)の上流に、又は、少なくとも1つの選択された凝縮ステージ(30)の内部に配置され、前記主要注入ポイントにて供給される前記蒸気凝縮物が、前記凝縮ステップ及び前記洗浄ステップのために前記真空システム(11)に供給される全蒸気凝縮物全体の50重量%以上の部分であるステップにより特徴付けられ、
前記選択された凝縮ステージ(30)の上流の前記プロセス蒸気の流れの圧力を、前記選択された凝縮ステージ(30)の上流に配置された増圧装置(39)を用いて増大させるステップを含み、前記主要注入ポイントが前記増圧装置(39)の下流に配置されている、方法。
【請求項13】
前記主要注入ポイントが、前記選択された凝縮ステージ(30)を画成している凝縮器(32)の内部に配置されている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記プロセス蒸気が前記凝縮ステージ(30)を所定の循環方向で移動し、すなわち、第1凝縮ステージ(30a)を通過し、次に、少なくとも第2凝縮ステージ(30c)から最終凝縮ステージ(30n)までを含む1以上のさらなる凝縮ステージ(30b)を通過し、前記主要注入ポイントが、前記第1凝縮ステージ(30a)に続く前記さらなる凝縮ステージ(30b)の1つの上流又は内部に配置される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記主要注入ポイントが、前記第2凝縮ステージ(30c)の上流又は内部に配置される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
蒸気凝縮物が複数の注入ポイントにて供給され、当該複数の注入ポイントが、前記真空システム(11)における前記プロセス蒸気の前記循環方向に対して、それぞれの凝縮ステージ(30)の上流又は内部に配置されている、請求項1215のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記プロセス蒸気の流れの前記圧力を各凝縮ステージ(30)と次のステージとの間で増大させるステップを含む、請求項1216のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記圧力増大が、原動流体として蒸気が供給される蒸気エジェクタにより得られる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記凝縮ステージ(30)において、前記プロセス蒸気から、熱が、前記凝縮ステージ(30)の少なくとも幾つかに並列に供給される冷却水による熱交換により伝達される、請求項1218のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記冷却流体が、処理されるべき前記プロセス蒸気により最初に横断される第1凝縮ステージ(30a)に続く複数の凝縮ステージ(30b)に並列に供給される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
最終凝縮ステージ(30n)から出るベントガスの流れの圧力を蒸気エジェクタにより増大させるステップを含む、請求項1220のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
真空濃縮セクション(10)と、前記真空濃縮セクション(10)から来るプロセス蒸気を処理するための装置(20)とを備えた尿素プラント(1)であって、前記装置(20)が、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置であり、又は、請求項1221のいずれか一項に記載の方法に従って動作する装置であることを特徴とする、尿素プラント(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この特許出願は、2017年10月25日に出願されたイタリア特許出願第102017000121364号の優先権を主張し、この出願の開示の全てを参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明は、尿素プラントの真空濃縮セクションから来るプロセス蒸気を処理するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
周知のように、尿素は、カルバミン酸アンモニウム(中間体)を形成するための、高温及び高圧条件下での二酸化炭素とアンモニアとの反応と、その後の、尿素及び水を得るためのカルバミン酸アンモニウムの分解反応とに基づくプロセスを介して、工業規模で生成される。
【0004】
合成反応の全体が、過剰な水により悪影響を受ける平衡反応であり、この反応が平衡反応であるゆえ、反応生成物を中間体及び未変換試薬から分離する必要がある。
【0005】
一般的に、尿素合成反応は、反応器にて行われ、そこから尿素溶液が得られ、次いで、尿素溶液は次第に濃縮され、未変換試薬の回収及び再循環が行われ、そして、仕上げセクション(例えば、整粒機又は造粒塔)にて凝固される。
【0006】
例えば、「スナムプロゲッティ」(“Snamprogetti”)として知られている伝統的な尿素プロセス/プラントにおいて、合成と連続的な分解及び分離とが、以下の次のセクションにて行われる。すなわち、
-高圧での合成、分解、及び回収セクション、
-中圧での分解及び回収セクション、
-低圧での分解及び回収セクション、
-真空での蒸発及び濃縮セクション、
-水処理セクション(プロセス凝縮物)、
-仕上げセクション(造粒(プリル化)又は整粒)。
【0007】
真空での蒸発及び濃縮セクション(簡単に、真空濃縮セクション又は真空セクションとも称する)に、通常、尿素溶液(70重量%~85重量%の尿素、2重量%~3重量%のアンモニア、及び、約0.5重量%の二酸化炭素を含み、残りの部分は、合成反応で生成された水により構成されている)が供給される。
【0008】
生成物に必要な仕上げのタイプ(粒状の又はプリル化尿素)に応じて、真空濃縮は、通常、1つ又は2つの濃縮ステージで行われ、各濃縮ステージが、通常、真空システムに関連付けられた濃縮装置及び分離器を有する。真空システムの主な機能は、上流の濃縮ステージの必要な動作圧力を、濃縮ステージから来る蒸気の凝縮により確保することである。圧力制御は、最終生成物の水分量と、従って、生成物の品質とを決定するため、非常に重要である。
【0009】
粒状尿素を生成する場合、濃縮セクションの動作圧力約0.3kg/cm(a)に対応する約96重量%~97重量%の尿素溶液濃度を達成する必要がある。必要な動作条件を確保するために、通常は、単一の濃縮ステージで十分である。
【0010】
プリル化尿素生成の場合、約0.3kg/cm(a)で動作する濃縮ステージに加えて、約0.03kg/cm(a)で動作する第2濃縮ステージが、99.7重量%~99.8重量%の尿素溶液濃度を得るために必要である。この場合、必要な動作条件を保証するために、2つの真空システムが必要である。
【0011】
全ての場合において、大気圧よりも低い圧力で動作すると、機器のフラッシングによりシステムに導入される空気、及び、上流セクションでの圧力制御に使用される空気に加えて、幾らかの量の空気が取り込まれてしまう(フランジ、金属の多孔性、機器の何らかの製造上の欠陥などにより)。入ってくる空気の量は、真空レベル、及び、真空中で動作する機器の容積に比例する。
【0012】
典型的に、最初の真空システムに入ってくるアンモニアと空気の濃度は、それぞれ、約7重量%~10重量%と0.1重量%~0.2重量%である。また、第2真空システムに入ってくるアンモニアと空気の濃度は、それぞれ、約0.4重量%~0.6重量%と0.7重量%~1重量%である。
【0013】
空気の存在は、上流の機器から来る蒸気の凝縮に悪影響を与えるため、システムからパージしなければならない。パージ流中には、幾らかの量のアンモニア(製品仕上げのタイプに応じて、一般的に、約12000mg/Nm~26000mg/Nmの範囲)が存在し、これらは、生じ得る環境問題のために、そしてまた、アンモニアが尿素の生成の原材料であるゆえに、低減されなければならない。
【0014】
公知技術による典型的な真空システムにおいて、プロセス蒸気の凝縮は、圧力が増大する連続した凝縮ステージにて実行される。基本的に、このタイプの真空システムは、それぞれの凝縮ステージを画成している複数の凝縮器(熱交換器)を備え、これらの凝縮器は直列に接続され、圧力が増大されながら動作する。2つの連続したステージ間の圧力の増大は、通常、蒸気エジェクタにより得られる。プロセス蒸気が凝縮ステージを順番に通過する。冷却水が最終凝縮ステージに供給され、次いで、その前の凝縮ステージ(通常、最初の凝縮ステージを除く)の各々に順番に供給される。各凝縮ステージにおいて、プロセス凝縮物が分離され、それらは収集され、水処理セクションに移送されて試薬が回収され、そして、凝縮されていない蒸気の流れが次の凝縮ステージに移動する。最終凝縮ステージから出る非凝縮性パージガスが、蒸気凝縮物により、アンモニア含有量を制限するために洗浄される。
【0015】
様々な凝縮ステージで凝縮するプロセス蒸気は、全ての蒸気凝縮物(エジェクタで原動流体として使用される蒸気の凝縮から生じる蒸気と、最終洗浄に使用される蒸気との両方)と共にプロセス凝縮物を構成し、これは、通常、圧力計管により大気タンクに収集され、その後、試薬の回収とそれらの合成セクションへの再循環のために、水処理セクションに移送される。
【0016】
上述の典型的な真空システムのレイアウトを用いると、システム内の空気量が多いほど、最終凝縮ステージの下流でパージガス中のアンモニアを洗浄により除去するために必要な蒸気凝縮物の量が多くなる。
【0017】
また、洗浄に必要な蒸気凝縮物の量が増えると、冷却水の温度が高くなる。
【0018】
蒸気凝縮物のこの流れが、尿素プラントの水処理セクションの大型化を必要とする。
【0019】
真空システム(複数可)に、そしてその後に水処理セクションに供給される水(又は、むしろ、真空システムのエジェクタにおいて原動流体として使用された蒸気の凝縮による水と、パージガスの洗浄に使用された蒸気凝縮物)の流れが多くなるほど、回収された試薬と共に合成セクションに再循環される水の流れが多くなり、その結果、合成反応による変換が低減する(過剰な水により悪影響を受けた平衡反応)。
【0020】
要するに、大量の蒸気凝縮物に関する問題は、水処理セクションの大型化の必要性、及び、尿素合成反応の熱力学的不利である。
【0021】
公知技術の真空システムのさらなる問題は、パージガス中のアンモニアの濃度が高いため、パージガス流の放出前にアンモニアを最終処理システムに送る必要があり得る(現地の規制にもよる)ことである。しかし、上述のタイプの真空システムにおいては、パージガスが大気中に排出されてしまい、パージガスを最終処理システムに移送するための圧力は不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の目的は、公知の技術の上述の欠点を克服することであり、具体的には、本発明の目的は、尿素プラントの真空濃縮セクションから来るプロセス蒸気を処理するための、公知の技術よりも改善された効率を有する装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
従って、本発明は、添付の請求項1及び13にそれぞれ本質的に定義されているように、尿素プラントの真空濃縮セクションから来るプロセス蒸気を処理するための装置及び方法に関する。
【0024】
本発明のさらなる好ましい特徴が従属請求項に示されている。
【0025】
本発明は、尿素プラントの真空濃縮セクションから来るプロセス蒸気を、公知技術よりも高い効率で処理することを可能にし、特には、尿素プラントのために機能する真空システムに必要な水の量の大幅な低減を可能にする装置及び方法を提供する。
【0026】
すなわち、本発明は、尿素プラントのために機能する真空システムにおいてアンモニアの吸収に必要な蒸気凝縮物(すなわち水)の量を低減できる装置及び方法を提供する。
【0027】
この結果は、主に、前記蒸気凝縮物を前記真空システムにおいて注入する位置及び方法の特定的な選択により達成される。
【0028】
公知技術の通常の解決方法においては、蒸気凝縮物がパージガス(非凝縮性)の洗浄塔においてのみ、従って、真空システムの凝縮ステージの下流で注入されるが、これに対して、本発明によれば、蒸気凝縮物の主要な(又は唯一の)注入ポイントが、前記真空システムの少なくとも1つの選択された凝縮ステージの上流に、具体的には、第2凝縮ステージの上流に配置され、前記ポイントでは、前記真空システムに供給される蒸気凝縮物全体の主要な若しくは大部分、すなわち50重量%を超える部分、又は、場合によっては当該蒸気凝縮物の全て、が注入される。
【0029】
このようにして、公知の技術のシステムよりも、前記蒸気凝縮物の流れの大幅な(約40%と示される)低減が達成される。
【0030】
プラントエンジニアリングの観点から、前記ポイントにおける前記蒸気凝縮物の注入は、前記蒸気凝縮物のインライン注入(すなわち、前記第1凝縮ステージを前記第2凝縮ステージに接続するライン上における注入であるが、このラインに沿って配置された前記蒸気エジェクタの動作に影響を与えないための、前記蒸気エジェクタの下流での注入)によっても、或いは、前記蒸気凝縮物を前記第2凝縮ステージの凝縮器内部に直接注入することによっても(具体的には、蒸気凝縮が生じる、前記凝縮器を画成している熱交換器のシェル側に設置可能なノズルを介して)実行され得る。
【0031】
また、本発明は、以下の理由により、従来の構成よりも効率的なアンモニアの吸収を可能にする。すなわち、
-温度が同一(従って、ヘンリーの法則定数が同一)である場合、アンモニアの分圧がより高いと、吸収がより多くなる。また、
-水中でのアンモニアの吸収熱(発熱性化学吸収)が、前記第2凝縮ステージで放散される。
【0032】
本発明の別の態様によれば、前記真空システムにおけるアンモニアの吸収に必要な前記蒸気凝縮物の量が、公知技術の、前記真空システムに供給される冷却水回路の構成(個々の凝縮器に入る前記冷却水の温度を低下させるための構成)を改変することにより、さらに低減される。
【0033】
具体的には、本発明によれば、前記第2凝縮ステージに、連続した凝縮ステージの熱交換器(凝縮器)から来る冷却水が供給される(公知技術のように)のではなく、最低温度の利用可能な冷却水が直接供給される。
【0034】
有利には、前記連続した凝縮ステージにも、利用可能な最低温度の冷却水が供給される。
【0035】
このようにして、
-要求される圧力増大を蒸気エジェクタが実行するのに必要な蒸気の量が低減されるため、前記システムにおける水の総摂取量が低減される、
-関連する熱交換器でのアプローチの同じ熱勾配(ΔT)において、吸収され得るアンモニアの量が、特に第2凝縮ステージで増大する。
【0036】
有利には、前記冷却水は、前記第2凝縮ステージ及び連続した凝縮ステージ(従って、前記冷却水に対して平行な構成により配置されている)の凝縮器に並列に供給される。
【0037】
約3℃の冷却水の温度を下げることに関して、前記蒸気凝縮物の流れを、公知技術のシステムよりもさらに約5%低減できることが示された。
【0038】
本発明のさらなる態様によれば、前記最終凝縮ステージの下流に蒸気エジェクタを設置することにより、前記パージガス(前記凝縮ステージから出ていく)の圧力を増大することが可能である。
【0039】
このようにして、前記パージガスに、適切な処理システムに送られるための十分な圧力が与えられる。
【0040】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の非限定的な実施形態の、添付図面の図を参照した説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明による、真空濃縮セクションと、真空濃縮セクションから来るプロセス蒸気の処理のための装置とを含む尿素生成プラント(尿素プラント)の概略図である。
図2図1の尿素プラントの真空濃縮セクション、及び、本発明による装置を組み込んだ、より詳細な概略図である。
図3】本発明による装置の第1の実施形態の概略図である
図4】本発明による装置のさらに別の実施形態を示す。
図5】本発明による装置のさらに別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、尿素プラント1(すなわち、尿素生成プラント)を非常に概略的に示している。
【0043】
尿素プラント1の全体的な構成は、尿素生成プロセスを実行できる幾つかのタイプのプラントの1つであり得る。
【0044】
ここで、公知のスナムプロゲッティ(“Snamprogetti”)技術による尿素生成プラント/プロセスを、単に例として参照する。本発明が、その他の尿素生成プラント/プロセス、すなわち、真空濃縮セクション又は少なくとも1つの真空システムをいずれにせよ使用する尿素生成プラント/プロセスにも適用可能であることが理解されよう。
【0045】
図示されている非限定的な構成において、尿素プラント1は、アンモニアと二酸化炭素とから尿素合成反応を生じさせる尿素合成反応器6と;回収セクション7,8,9(詳細には、高圧回収セクション7、中圧回収セクション8、及び低圧回収セクション9であり、これらのセクションにおいて、反応器6で生成された尿素溶液が、未反応アンモニアと二酸化炭素と水とを除去することにより徐々に濃縮されて、回収後の成分が再循環される)と;真空システム11が設けられた真空濃縮セクション10と;プロセス凝縮物(凝縮液)処理セクション12と;仕上げ/凝固(固化)セクション13(例えば、整粒機又は造粒塔を含む)と、を備えているが、これらの構成要素は必須ではない。
【0046】
反応器6に、それぞれの供給ライン14及び15を通してNH3(アンモニア)及びCO2(二酸化炭素)が供給される。供給ライン14及び15はそれぞれの入口14a及び15aに接続されており、これらの入口からNH3及びCO2が尿素プラント1に入る。尿素回路16が、反応器6で生成された尿素溶液を、回収セクション7,8,9及び真空濃縮セクション10へと徐々に運び出し、そこで尿素は次第に濃縮され、未反応試薬から分離され、次いで、仕上げ/凝固セクション13へと送られる。回収回路17が、回収セクション7,8,9及びプロセス濃縮処理セクション12により回収された未反応試薬を再循環させて反応器6に戻す。
【0047】
本明細書において、様々なセクションの構成要素及びそれらを接続する回路の全てを示して説明するわけではなく、本発明の理解に有用なもののみを説明する。
【0048】
図2も参照すると、尿素プラント1は、真空濃縮セクション10から来るプロセス蒸気の処理のための装置20を備え、装置20は真空システム11を組み込んでいる。
【0049】
真空濃縮セクション10は、尿素回路16の一部を形成している尿素入口ライン21及び尿素出口ライン22により、それぞれ、低圧回収セクション9及び仕上げ/凝固セクション13に接続されている。
【0050】
真空濃縮セクション10は、少なくとも1つの濃縮ステージ23を含む。濃縮ステージ23は装置20の真空システム11に接続されており、低圧回収セクション9から到着する尿素溶液を処理(濃縮)するために真空中で動作する。
【0051】
また、真空濃縮セクション10は、生成物に必要な仕上げのタイプ(粒状の又はプリル化尿素)に応じて、複数の濃縮ステージ23を直列に含み得る。例えば、図2の単に例として示されている実施形態において、真空濃縮セクション10は、2つの濃縮ステージ23を含む。
【0052】
各濃縮ステージ23は様々な方法で構成され得る。図示されている例において、各濃縮ステージ23は、分離器25に関連付けられた濃縮器24を含み、これらの部品は両方共実質的に公知である。
【0053】
例えば、濃縮器24は、蒸気(特に高圧回収セクション7により生成される)が供給される熱交換器であり、分離器25は、濃縮器24に接続された気液相分離器である。
【0054】
分離器25は、プロセス蒸気の流出用の上部出口26と、濃縮尿素溶液の流出用の底部出口27とを有する。
【0055】
上部出口26は、蒸気ライン28を介して装置20に接続されている。底部出口27は、尿素出口ライン22を介して仕上げ/凝固セクション13に接続され、又は、接続ライン29を介して次の濃縮ステージ23(複数の濃縮ステージ23が設けられている場合)に接続されている。
【0056】
真空システム11は、各濃縮ステージ23に必要な真空条件、すなわち、真空システム11が接続されている濃縮ステージ23の動作圧力を、濃縮ステージ23から来るプロセス蒸気の凝縮により確保する。
【0057】
複数の濃縮ステージ23が存在する場合、それらは、それぞれの真空システム11に適切に関連付けられる。従って、真空濃縮セクション10のプロセス蒸気を処理する装置20は、1以上の真空システム11を備えている。
【0058】
図3は、本発明の装置20の一部を形成している単一の真空システム11を示している。
【0059】
真空システム11は、圧力が増大されていく、複数の連続した凝縮ステージ30を含む。これらのステージ30は、それぞれのライン部分31により直列に接続されており、且つ、処理されるべきプロセス蒸気により順番に横断される。
【0060】
具体的には、真空システム11は、第1凝縮ステージ30aと、1以上のさらなる凝縮ステージ30bと含み、凝縮ステージ30bは、少なくとも第2凝縮ステージ30cから最終凝縮ステージ30nまでを(プロセス蒸気が真空システム11を通過する順序で)含む。
【0061】
例えば、各凝縮ステージ段30は凝縮器32により画成されており、凝縮器32は、詳細には、処理されるべきプロセス蒸気の流れがその内部で熱を冷却流体(例えば冷却水)に伝達する熱交換器により構成されている。
【0062】
図3に示されている例において、冷却流体(水)が凝縮ステージ30を順番に循環し、冷却回路33を通って流れる。冷却回路33は、凝縮器32(具体的には、第1凝縮ステージ30a以外の、さらなる凝縮ステージ30bの凝縮器32)を直列に接続している。冷却流体は、最初に最終凝縮ステージ30nに供給され、その後、第1凝縮ステージ30a以外の、さらなる凝縮ステージ30bに順番に供給される。
【0063】
凝縮ステージ30を画成している各凝縮器32(熱交換器)は、プロセス蒸気の流入及び放出のためにそれぞれのライン部分31に接続された入口35及び出口36と、凝縮ライン38に接続された凝縮物出口37とを有する。凝縮物出口37から、凝縮器32にて凝縮されたプロセス凝縮物が回収される。
【0064】
このように、各凝縮ステージ30は、処理されるべきプロセス蒸気の流れを凝縮ステージ30に供給するためのそれぞれのライン部分31に接続された入口35と、凝縮ステージ30にて処理されたプロセス蒸気の放出のためにさらなるそれぞれのライン部分31に接続された出口36とを有する。
【0065】
凝縮器32(すなわち、それぞれの凝縮ステージ30)は、ライン部分31により直列に接続されており、圧力が増大されながら動作する。
【0066】
各ライン部分31には、増圧装置39、例えば、好ましくは高圧回収セクション7から来る蒸気(原動流体として機能する)が供給される蒸気エジェクタが設けられている。図3に示されている例において、第1凝縮ステージ30aと、これに続くさらなる凝縮ステージ30bとを互いに接続するライン部分31に、それぞれの増圧装置39が設けられている。第1の凝縮ステージ30aに供給するライン部分31にも増圧装置39を設け得ることが理解されよう。
【0067】
増圧装置39は、1つの凝縮ステージ30から次の凝縮ステージ30へとライン部分31内を循環するプロセス蒸気の流れの圧力を増大するように構成されている。
【0068】
最終凝縮ステージ30nの出口36は洗浄ユニット40に、さらなるライン部分31により接続されている。
【0069】
洗浄ユニット40は、例えば、供給ライン42に接続された入口41を介して蒸気凝縮物が供給されるスクラバーである。
【0070】
洗浄装置40は、洗浄に使用された蒸気凝縮物を収集する、凝縮物ライン44に接続された凝縮物出口43と、残りの(非凝縮性)パージガスを収集する、排出ライン46に接続されたガス出口45とを有する。排出ガスは、その後、特別に設けられた排出システム(公知であり、図示せず)に送出される。
【0071】
各凝縮ステージ30及び洗浄ユニット40から来るプロセス凝縮物は、それぞれのライン38及び44を通過し、任意選択的にベントが取り付けられたタンク47(図2)におそらく収集された後、さらなる凝縮物ライン48を通ってプロセス凝縮物処理セクション12へと移送される。
【0072】
装置20の真空システム11は、少なくとも1つの主要蒸気凝縮物入口50を有し、入口50は、蒸気凝縮物供給ライン51により尿素プラント1の所定のユニット(具体的には図示しないが、例えば、プロセス凝縮物処理セクション12に配置される)に接続されている。このユニットにおいて蒸気凝縮物が生成され、すなわち、このユニットにおいて、尿素プラント1で使用される蒸気が凝縮される。
【0073】
具体的には、主要蒸気凝縮物入口50は、真空システム11における蒸気凝縮物の主要注入ポイントを画成しており、このポイントにて、真空システム11に供給される全蒸気凝縮物全体の主要な又はより多くの部分(すなわち、その他の部分と等しいかそれよりも多くの部分)、及び/又は50重量%以上の部分が注入される。
【0074】
本発明によれば、主要蒸気凝縮物入口50は、真空システム11の凝縮ステージ30の少なくとも1つの上流に、又は、凝縮ステージ30の少なくとも1つに配置される。
【0075】
図3に示されている実施形態において、主要蒸気凝縮物入口50が備えられた選択された凝縮ステージ30は、(常に、真空システム11でのプロセス蒸気の循環方向における)第2凝縮ステージ30cである。換言するならば、主要入口50は、第2凝縮ステージ30cの(常に、真空システム11でのプロセス蒸気の循環方向に対する)上流に、すなわち、第1凝縮ステージ30aと次の(第2)凝縮ステージ30cとの間に配置される。
【0076】
主要入口50は、例えば、第1凝縮ステージ30aを第2凝縮ステージ30cに接続しているライン部分31上の、前記ライン部分31に沿って配置された増圧装置39(蒸気エジェクタ)の下流に配置されることができ(図3に例として示されている)、或いは、第2凝縮ステージ30cの凝縮器32の内部に直接配置されてもよい(例えば、前記凝縮器32を画成している熱交換器のシェル側に配置された1以上のノズルにより画成される)。
【0077】
その他の実施形態において、図3に破線で概略的に示されているように、主要入口50は、第2凝縮ステージ30cの上流又は内部に配置される代わりに、第1凝縮ステージ30aの、上流又は内部に、或いは、さらなる凝縮ステージ30bのいずれかの上流又は内部に配置される。
【0078】
総じて、主要入口50は、凝縮ステージ30のいずれか1つの上流又は内部に配置されることができる。
【0079】
さらにその他の他の実施形態において、装置20の真空システム11は複数の主要蒸気凝縮物入口50を有し、これらの入口50は、例えばそれぞれの蒸気凝縮物供給ライン51により蒸気凝縮物生成ユニットに接続され、且つ、真空システム11のそれぞれの凝縮ステージ30の上流に、及び/又は、それぞれの凝縮ステージ30(凝縮ステージ30のうちの任意の2つ以上、或いは全ての凝縮ステージ30でも可)に配置される。
【0080】
各主要入口50は、それぞれの凝縮ステージ30の上流にて、当該凝縮ステージ30に蒸気凝縮物を供給するライン部分31上に、及び、当該ライン部分31に沿って配置された増圧装置39の下流に配置されることができ、或いは、それぞれの凝縮ステージ30の凝縮器32の内部に配置されることができる。
【0081】
各主要入口50を通って各凝縮ステージ30に供給される蒸気凝縮物の流れは、凝縮ステージ30の位置に応じて異なり得る(換言するならば、主要入口50及び各ライン51は、それぞれの凝縮ステージ30への蒸気凝縮物の同一の又は異なる流れを供給するように構成されている)。
【0082】
真空システム11に供給される全ての蒸気凝縮物全体の主要な又はより多くの部分、(すなわち、その他の部分と等しいかそれよりも多くの部分)及び/又は50重量%以上が、真空システム11に、単一の主要入口50又は、複数の主要入口50全体を介して供給される。
【0083】
使用中、本発明による方法の実施において、装置20は以下のように動作する。
【0084】
真空濃縮セクション10が、尿素水溶液(アンモニアニア(NH3)及び二酸化炭素(CO2)も含有する)を、尿素入口ライン21(図2)を通して受け取る。
【0085】
尿素溶液は、真空濃縮セクション10にて濃縮され、プロセス蒸気の流れを生成し、これが、蒸気ライン28(又はそれぞれの蒸気ライン28)を通して装置20に、正確には真空システム11に(又はそれぞれの真空システム11に)送られる。
【0086】
真空システム11において、プロセス蒸気が一連の凝縮ステージ30にて処理される。各凝縮ステージ30において、プロセス凝縮物が分離されて、凝縮物出口37を通して収集され、プロセス凝縮物処理セクション12に送られ、これにより試薬が回収される。そして、凝縮されていないプロセス蒸気の流れは、次の凝縮ステージ30に送られる。
【0087】
パージガス(非凝縮性)の流れが凝縮ステージ30nから放出され、これが、入口41から供給される蒸気凝縮物と共に洗浄ユニット40で洗浄され、これによりNH3が低減される。
【0088】
様々な凝縮ステージ30から収集されたプロセス凝縮物、及び、真空システム11内で循環しているプロセス凝縮物は、最終的に洗浄ユニット40により収集され、プロセス凝縮物処理セクション12に送られて試薬が回収され、試薬は反応器6へと再循環される。
【0089】
図4の実施形態(既に説明したものと類似の又は同一の詳細は同一の参照番号で示す)において、冷却流体(水)が冷却回路33を移動して、凝縮ステージ30において並列に(図3に示したように直列にではなく)循環する。冷却回路33は、凝縮器32(詳細には、第1凝縮ステージ30a以外のさらなる凝縮ステージ30bの凝縮器32)を、冷却流体に関して並列に接続している。
【0090】
図5の実施形態(既に説明したものと類似の又は同一の詳細は同一の参照番号で示す)において、真空システム11に、さらなる最終増圧装置52、具体的には蒸気エジェクタが、最終凝縮ステージ30nから出ているライン部分31に沿って配置されて設けられており、これにより、真空システム11から出るパージガスの圧力が、当該パージガスを特定の処理ユニット(既知であり図示せず)に送るための適切なレベルまで増大される。
【0091】
明らかに、図4及び図5の実施形態においても、装置20は、凝縮ステージ30のいずれか1つの上流又は内部に配置された単一の主要入口50、或いはそれぞれの凝縮ステージ30の上流又は内部に配置された複数の主要入口50を含み得る。
【0092】
最後に、本明細書にて説明及び図示した装置及び方法に関するさらなる改変及び変更が、添付の特許請求の範囲から逸脱せずに行われ得ることが理解されよう。
【符号の説明】
【0093】
1 尿素プラント
6 尿素合成反応器
8 回収セクション
10 真空濃縮セクション
11 真空システム
12 プロセス凝縮物処理セクション
13 仕上げ/凝固セクション
14 アンモニア供給ライン
16 尿素回路
20 プロセス蒸気処理のための装置
22 尿素出口ライン
23 濃縮ステージ
30 凝縮ステージ
31 ライン部分
33 冷却回路
39 増圧装置
40 洗浄装置
43 凝縮物出口
45 ガス出口
50 主要入口
51 蒸気凝縮物供給ライン
図1
図2
図3
図4
図5