(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】電力供給設備の自立起動方法、双方向インバータ、及び双方向インバータを備えた電力供給設備
(51)【国際特許分類】
H02J 3/32 20060101AFI20230424BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20230424BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20230424BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J3/38 150
H02M7/48 L
(21)【出願番号】P 2020526352
(86)(22)【出願日】2018-11-15
(86)【国際出願番号】 EP2018081465
(87)【国際公開番号】W WO2019096951
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-10-20
(31)【優先権主張番号】102017127081.7
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】アレルト,クラウス
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-035954(JP,A)
【文献】特開2011-010412(JP,A)
【文献】特開2017-121144(JP,A)
【文献】国際公開第2015/107706(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/32
H02J 3/38
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給装置(18)の自立起動方法において、前記電力供給装置(18)が、グリッド(6)用の交流側接続部(25)を有する少なくとも1つの双方向インバータ(20)と、前記双方向インバータ(20)の直流側に接続されたバッテリ(22)とを備え、
方法ステップが、前記電力供給装置(18)の起動装置(51)を動作させ、その結果、前記起動装置が、前記バッテリ(22)を動作状態にするために前記バッテリ(22)の制御線(27)に電圧を印加することを含み、前記起動装置(51)によって提供される前記電圧が、補助バッテリ(52)によって提供され、且つ
更なる方法ステップは、前記補助バッテリ(52)によって提供される前記電圧が前記制御線(27)に印加された後に前記双方向インバータ(20)が動作状態にされることを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記更なる方法ステップが、前記起動装置(51)によって動作状態にされた前記バッテリ(22)において、前記バッテリ(22)によって、前記双方向インバータ(20)が直流供給電圧を利用できるようになり、前記直流供給電圧が前記双方向インバータ(20)を動作状態にする前記バッテリ(22)を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、前記電力供給装置(18)は、別個のバックアップ装置、又は前記双方向インバータ(20)が備えるバックアップ装置を有し、且つ第1の場合には、特に前記双方向インバータ(20)によって、前記別個のバックアップ装置(24)
に供給電圧が追加的に供給され、前記別個のバックアップ装置(24)が動作状態にされることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の方法において、前記動作状態にある、前記双方向インバータ(20)が、前記バッテリ(22)の制御線(27)への、最初は前記起動装置(51)によって提供される、前記電圧の前記提供を引き継ぎ、且つ前記起動装置(51)が前記バッテリ(22)に対して初期状態にされることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の方法において、ハンドシェイクプロトコルが、前記バッテリ(22)と前記双方向インバータ(20)との間の通信を確立する目的で、前記2つの間で開始されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記双方向インバータ(20)と前記バッテリ(22)との間の通信の確立が成功しない結果として前記バッテリ(22)による前記双方向インバータ(20)への直流供給電圧の前記提供が停止されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の方法において、前記電力供給装置(18)が、前記双方向インバータ(20)に接続された更なるバッテリを備え、前記更なるバッテリ各々には制御線(27)への電圧が提供され、前記電圧が前記更なるバッテリを動作状態にし、前記電圧が、前記起動装置(51)及び/又は前記双方向インバータ(20)によって提供され、且つ前記動作状態にある、前記更なるバッテリ各々によって、前記双方向インバータ(20)が直流供給電圧を利用できるようになり、且つハンドシェイクプロトコルが、何れの場合にも前記更なるバッテリと前記双方向インバータ(20)との間の通信を確立する目的で、前記2つの間で開始されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の方法において、前記電力供給装置(18)が、前記更なる双方向インバータに接続された少なくとも1つのバッテリ(22)を各々有する、更なる双方向インバータを備え、且つ何れの場合にも、前記更なる双方向インバータの少なくとも1つの接続されたバッテリ(22)には、前記接続されたバッテリ(22)を動作状態にする、制御線(27)への電圧が提供され、前記電圧が、前記起動装置(51)又は前記双方向インバータ(20)又は前記双方向インバータ(20)によって動作状態にされた別個のバックアップ装置(24)によって提供されることを特徴とする方法。
【請求項9】
制御装置(50)と、少なくとも1つの供給インターフェース(28)
が、バッテリの2つのバッテリ極
を双方向インバータ(20)に接続するために配置され
る、直流側でバッテリ(22)に接続するためのインターフェース及
び交流側でグリッド(6)に接続するためのインターフェースと、
前記バッテリ(22)の制御線(27)用のインターフェース(26)と、
補助バッテリ(52)を有する起動装置(51)と
を有する双方向インバータ(20)において、
前記起動装置(51)が、自立起動の際に前記起動装置を動作させたときに、前記バッテリ(22)を起動するのに好適である、前記補助バッテリ(52)によって提供される、電圧を前記制御線(27)用の前記インターフェース(26)に提供するように構成される
ことを特徴とする双方向インバータ(20)。
【請求項10】
請求項9に記載の双方向インバータ(4、20)において、前記双方向インバータ(20)が、自立起動の際に前記バッテリ(22)によって、特に、前記双方向インバータ(20)を動作状態にするのに好適である、前記バッテリ(22)によって提供される、直流供給電圧を前記供給インターフェース(28)に印加することによって動作状態にされることができることを特徴とする双方向インバータ(4、20)。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の双方向インバータ(20)において、前記制御装置(50)が、自立起動の際に、前記双方向インバータ(20)の起動後も前記バッテリ(22)
の動作状態を維持するために電圧の前記提供を引き継ぐように構成されることを特徴とする双方向インバータ(20)。
【請求項12】
請求項11に記載の双方向インバータ(20)において、前記制御装置(50)が、前記提供の引き継ぎ後に前記起動装置(51)を前記バッテリ(22)に対して初期状態にするように構成されることを特徴とする双方向インバータ(20)。
【請求項13】
請求項9~12の何れか1項に記載の双方向インバータ(20)において、前記双方向インバータ(20)が、多数のバッテリ(22)に接続するためのインターフェースを備え、前記起動装置(51)が、自立起動の際に、前記バッテリ(22)を起動するのに好適である、前記補助バッテリ(52)によって提供される、電圧を前記制御線(27)用の前記インターフェース(26)に提供するように設計され且つ動作可能であり、並びに
前記制御装置(50)が、自立起動の際に、前記双方向インバータ(20)の起動後も前記バッテリ(22)
の動作状態を維持するために前記電圧の前記提供を引き継ぐように、且つ前記起動装置(51)を前記バッテリ(22)に対して初期状態にするように設計される
ことを特徴とする双方向インバータ(20)。
【請求項14】
請求項9~13の何れか1項に記載の双方向インバータ(20)において、前記双方向インバータ(20)の前記直流側が、太陽光設備に接続するための入力(17)を追加的に有することを特徴とする双方向インバータ(20)。
【請求項15】
請求項9~14の何れか1項に記載の双方向インバータ(20)において、前記双方向インバータ(20)が、内部バックアップ装置(24)、又は別個のバックアップ装置(24)用の接続部を備え、前記接続部が少なくとも1つの供給インターフェース(38)を備え、第2の場合には、前記制御装置(50)が、自立起動の際に、前記双方向インバータ(20)の起動後に前記供給インターフェース(38)に供給電圧を提供して前記別個のバックアップ装置(24)を動作状態にするように構成されることを特徴とする双方向インバータ(20)。
【請求項16】
請求項9~15の何れか1項に記載の双方向インバータ(20)において、前記双方向インバータ(20)が、前記バッテリ(22)との通信のための少なくとも1つのフィールドバスインターフェース(30)を備えることを特徴とする双方向インバータ(20)。
【請求項17】
制御装置(50)と、補助バッテリ(52)を有する起動装置(51)とを有するバックアップ装置(24)において、
前記バックアップ装置(24)の供給電圧用の少なくとも1つのインターフェース(44)と、バッテリ(22)の制御線(27)用の少なくとも1つのインターフェース(26)と、
前記起動装置(51)が、自立起動の際に前記起動装置(51)を動作させたときに、前記バッテリ(22)を起動するのに好適である、前記補助バッテリ(52)によって提供される、電圧を前記バッテリ(22)の前記制御線(27)用の少なくとも1つのインターフェース(26)に提供するように構成される
ことを特徴とするバックアップ装置(24)。
【請求項18】
請求項17に記載のバックアップ装置(24)において、前記バックアップ装置(24)は、
前記供給電圧用の前記インターフェース(44)に供給電圧が印加されたときに、又は
前記供給電圧用の前記インターフェース(44)に供給電圧が印加され、且つ前記バックアップ装置(24)の制御線(37)用のインターフェース(42)にイネーブル信号が追加的に印加されたときに、
シャットダウン状態又は待機モードから動作状態に切り替わる
ように構成されることを特徴とするバックアップ装置(24)。
【請求項19】
請求項17又は18に記載のバックアップ装置において、
前記バックアップ装置(24)の供給電圧用の少なくとも1つの更なるインターフェース(44)、又は
前記バックアップ装置(24)の供給電圧用の少なくとも1つの更なるインターフェース(44)及び前記バックアップ装置(24)の制御線(37)用の少なくとも1つの更なるインターフェース(42)が含まれる
ことを特徴とするバックアップ装置。
【請求項20】
グリッド(6)に接続するための交流側インターフェース(25)を有する少なくとも1つの双方向インバータ(20)と、
前記双方向インバータ(20)
の直流側に接続された少なくとも1つのバッテリ(22)と、
補助バッテリ(52)を有する少なくとも1つの起動装置(51)と
を有する電力供給装置(18)において、
前記双方向インバータ(20)が、前記直流側で前記バッテリ(22)に接続するためのインターフェースを備え、少なくとも1つの供給インターフェース(28)が、前記バッテリ(22)の2つのバッテリ極を前記双方向インバータ(20)に接続するために配置され、且つ
前記起動装置(51)が、自立起動の際に前記起動装置(51)を動作させたときに、前記バッテリ(22)を起動するのに好適である、前記補助バッテリ(52)によって提供される、電圧を少なくとも1つの前記バッテリ(22)の制御線(27)用のインターフェース(26)に提供するように構成される
ことを特徴とする電力供給装置(18)。
【請求項21】
請求項20に記載の電力供給装置(18)において、別個のバックアップ装置(24)を有することを特徴とする電力供給装置(18)。
【請求項22】
請求項20又は21に記載の電力供給装置(18)において、少なくとも1つの双方向インバータ(20)が請求項9~16の何れか1項に従って具現化され、且つ/又はバックアップ装置(24)が請求項17~19の何れか1項に従って具現化されることを特徴とする電力供給装置(18)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双方向インバータと、インバータの直流側に接続されたバッテリとを備える電力供給装置の自立起動方法に関する。
【0002】
本発明はまた、本方法で使用するのに好適な双方向インバータに関する。双方向インバータは、制御装置と、直流側でバッテリに接続するためのインターフェース及び交流側でのグリッドの接続のためのインターフェースとを備える。直流側でバッテリに接続するためのインターフェースは、2つのバッテリ極をインバータに接続するための少なくとも1つの供給インターフェースを備える。本発明はまた、本方法で使用するのに好適である、電力供給装置用のバックアップ装置に関する。
【0003】
本発明はまた、本方法で使用するのに好適な電力供給装置に関する。電力供給装置は、グリッドの接続のための交流側インターフェースと、インバータの直流側に接続された少なくとも1つのバッテリとを有する少なくとも1つの双方向インバータを備える。
【背景技術】
【0004】
この種の電力供給装置は、例えば、公共グリッドの及び/又は太陽光モジュールからの及び/又は風力タービンからの電気エネルギーをバッテリに蓄積することができる。インバータは、直流電圧を交流電圧に、且つその逆に交流電圧から直流電圧に変換する。バッテリを充放電するために、前記インバータは、電気エネルギーを双方向に、すなわち、例えば、交流側接続部からバッテリに、且つその逆にバッテリから交流側接続部に伝送する。
【0005】
電力供給装置又は発電所についての自立起動とは、電力供給装置が外部からのエネルギー供給なしに起動されることを指す。
【0006】
そのような状況は、例えば、太陽光設備を備え且つ非常時運転のために追加的に設計される家庭用設備の電力供給装置の場合に発生する可能性がある。電力供給装置は、バッテリが充電下限に達したときに、例えば、シャットダウンするか、又は休止モード(待機モード)になり、同時に、バッテリは、例えば夜間に、太陽光設備によって充電されることは想定されない。
【0007】
独国特許出願公開第10320087A1号明細書は、風力ファームの運転方法と、風力ファームの制御用の中央装置を有する風力ファームとを開示している。風力ファームが自立起動できるようにするために、前記風力ファームは、無動力風向追随調整を伴う常時励磁式風力タービンを備える。この常時励磁式風力タービンは、外部からエネルギーを得ることができなくても起動させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、電力供給装置を自立起動することを可能にする、冒頭で引用したタイプの方法と、冒頭で引用したタイプの電力供給装置とを明示する目的に基づくものである。本発明の更なる目的は、電力供給装置の一部として使用できる、冒頭で引用したタイプの双方向インバータ及び別個のバックアップ装置を明示することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本目的は、第1の方法ステップが、電力供給装置の起動装置を動作させ、その結果、起動装置が、バッテリを動作状態にするためにバッテリの制御線に電圧を印加することを含む、冒頭で引用したタイプの方法のための本発明に従って達成される。起動装置によって提供される電圧は、補助バッテリによって提供される。更なる方法ステップは、補助バッテリによって提供される電圧が制御線に印加された後に双方向インバータが動作状態にされることを含む。
【0010】
本方法は、特に、冒頭で引用したタイプの電力供給装置をインバータ及びバッテリがシャットダウン状態に又は待機モードにある状態から自立起動することを可能にする。
【0011】
本発明による自立起動方法は、電力供給装置の補助バッテリからのエネルギーを使用してバッテリを動作状態にすることを含む。このことは、バッテリの制御線に電圧を提供することによって行われる。制御線をイネーブル線と呼ぶこともできる。この場合、電圧は、バッテリのイネーブル信号に対応するように選択される。イネーブル信号は、イネーブル信号又は能動信号と呼ぶこともでき、バッテリの設計に依存する一定の電圧値に対応することができる。換言すれば、バッテリは、イネーブル信号が制御線に印加されたときにシャットダウン状態又は待機モードから動作状態に切り替わる。安全上の理由から、インバータへの通信接続を一定期間内に確立できない場合に、バッテリを起動後に再びシャットダウンさせることができる。これによって、通信ケーブルが切り離されたときにバッテリが単に放電されるのを防止する。イネーブル信号が除去された場合、特にイネーブル信号がバッテリの別の制御線に印加されない場合、これによって、バッテリがシャットダウンする可能性がある。それゆえ、本発明によれば、バッテリのイネーブル線への電圧によってバッテリを起動することが提案される。これには、電圧の提供によるバッテリの起動によってエネルギーがほとんど消費されず、且つ補助バッテリが高負荷にさらされないという利点がある。続いて、本発明は、補助バッテリによって提供される電圧が制御線に印加された後にインバータが動作状態にされることを含む。
【0012】
イネーブル信号を提供するための起動装置は、自動的に及び/又は遠隔制御によって及び/又は手動で操作可能とすることができる。起動装置は、手動操作用の1つ又は複数の切替位置を有することができ、少なくとも1つの切替位置は自立起動用に設計される。補助バッテリは、充電式バッテリとすることができる。起動装置は、2つ以上の補助バッテリを有することができる。電力供給装置は、また、そのような多数の起動装置を備えることができる。
【0013】
本発明の有利な実施形態は、以下の説明及び従属クレームで明示され、それらの特徴は、個別に且つ互いに任意の組み合わせで使用することができる。
【0014】
本発明の更なる有利な実施形態では、更なる方法ステップは、起動装置によって動作状態にされたバッテリによって、双方向インバータが直流供給電圧を利用できるようになり、直流供給電圧が双方向インバータを動作状態にすることを含むものとすることができる。
【0015】
本発明のこの有利な実施形態は、バッテリが起動した後に双方向インバータが起動されるので、自立起動時に電力供給装置に対する特に信頼性の高いシステム管理を可能にする。
【0016】
本発明の文脈では、交流電圧は交流と略され、且つ直流電圧は直流と略される。また、双方向インバータ又はバッテリの動作状態は1つの動作状態を表し、双方向インバータ及びバッテリは、多数の動作状態を有することができる。以下、双方向インバータを単にインバータと呼ぶこともできる。
【0017】
本発明のこの実施形態によれば、双方向インバータを、既に動作状態にある、バッテリによって動作状態にすることが提案される。バッテリは、双方向インバータの直流側に接続される。例として、バッテリの2つの極をインバータの直流供給インターフェースに接続する供給線であって、例えば共通ケーブルに組み込まれる供給線が使用される。インバータ及びバッテリのシャットダウン状態又は待機モードでは、適切なスイッチによって供給線を遮断するか又は切り離すことができる。これらの供給線は、インバータが直流供給電圧を利用できるようにするために動作状態にあるバッテリによって使用することができる。バッテリは、バッテリ管理システムと、それぞれのスイッチを有する、バッテリ管理システムによって作動可能な、保護回路とを備えることができる。制御線にイネーブル信号が印加された後にバッテリが置かれる動作状態では、前記バッテリは、インバータに導電接続してインバータが供給線を介して直流供給電圧を利用できるようにするために、保護回路が供給線におけるそれぞれのスイッチを閉じるように、バッテリ管理システムを使用して保護回路を作動させることができる。直流供給電圧の電圧値は、インバータが動作状態にされるように選択される。動作状態は、例えば、インバータの少なくとも1つの制御組立体の動作を含むことができ、少なくとも1つの制御組立体は、何れの場合にもマイクロコントローラを備えることができる。本発明の文脈では、制御組立体を制御装置又は制御/制御用装置と呼ぶこともできる。インバータのインバータブリッジの電力用半導体スイッチのクロッキングは、起動プロセス中の後の時点で行うことができる。
【0018】
また、電力供給装置は、別個のバックアップ装置、又は双方向インバータが備えるバックアップ装置を有し、且つ第1の場合には、特に双方向インバータによって、別個のバックアップ装置に供給電圧が追加的に供給され、別個のバックアップ装置が動作状態にされることが有利であると考えることができる。
【0019】
本発明のこの実施形態によれば、電力供給装置は、インバータ内部の又は別個のバックアップ装置を備えることができ、別個のバックアップ装置の場合には、動作状態にある双方向インバータが、別個のバックアップユニットを動作状態にすることができる。この目的を達成するために、双方向インバータは、インバータからバックアップ装置に配索された制御線にイネーブル信号を印加することができ、且つバックアップ装置の供給線に直流供給電圧を印加することができる。この場合、イネーブル信号及び直流供給電圧の提供の順序は重要でない可能性がある。バックアップ装置はまた、単に直流供給電圧を提供することによって動作状態にされるように且つ別個のイネーブル線が存在しないように設計することもできる。
【0020】
代替的に、別個のバックアップ装置はまた、類似の方式でバッテリによって直接動作状態にすることもできる。
【0021】
バックアップ装置は、例えば、センサ及び/又は接触器を備える又は作動させることができる。バックアップ装置は、制御モジュールを有することができ、制御モジュールは、マイクロコントローラを備えることができる。制御モジュールを制御装置と呼ぶこともできる。バックアップ装置は、公共グリッドの故障の際に、双方向インバータとの相互作用において、局所グリッドでの非常時運転を可能にするように設計することができる。この目的を達成するために、バックアップ装置は、特に、公共グリッドの故障を検出してインバータの交流側に接続された局所グリッドを公共グリッドから切り離すように設計することができる。本発明の更なる有利な実施形態では、動作状態にある、双方向インバータが、バッテリの制御線への、最初は起動装置によって提供される、電圧の提供を引き継ぎ、且つ起動装置がバッテリに対して初期状態にされるものとすることができる。
【0022】
本発明のこの実施形態は、補助バッテリの完全な放電を、ひいては、バッテリの制御線上のイネーブル信号の望ましくない除去を防止する。
【0023】
起動装置をバッテリに対して初期状態に再設定することは、起動装置を動作させて電力供給装置の新たな自立起動を開始する選択肢と関係がある。再設定は、補助バッテリを再充電することを含むことができる。
【0024】
双方向インバータに起動装置を含めることができる。例として、起動装置の操作手段は、インバータの収容部の外側に配置することができる。補助バッテリは、例えば、インバータの制御組立体に組み込むことができる。自立起動のために起動装置を動作させることによって、制御組立体の第1のスイッチを閉じることが可能となり、その結果、補助バッテリによって提供される電圧が、バッテリの制御線用のインターフェースに接続される。電圧の提供がインバータに引き継がれたときに、制御組立体の更なる導体トラック上の更なるスイッチを閉じることができ、その結果、制御組立体の内部電圧源からのイネーブル信号がバッテリの制御線用のインターフェースに接続され、そして、起動装置を再設定するために、制御組立体によって第1のスイッチが再び開かれる。制御組立体の内部電圧源には、既に起動しているバッテリによって提供された直流供給電圧によって電力が供給される。本発明の文脈では、制御組立体を制御装置又は制御/制御用装置と呼ぶこともできる。
【0025】
本発明の更なる有利な実施形態では、ハンドシェイクプロトコルが、バッテリと双方向インバータとの間の通信を確立する目的で、これら2つの間で開始されるものとすることができる。
【0026】
ハンドシェイクプロトコルとは、通信を確立する目的で装置がハンドシェイクプロトコルによって接続及び/又は装置に関するデータを交換する、データの交換を意味するものと理解されるべきである。データ交換は有線又は無線で行うことができる。例として、データ交換は、双方向インバータとバッテリとの間のフィールドバス接続部を使用して行うことができる。ハンドシェイクプロトコルの正常終了後に、双方向インバータとバッテリとの間の通信を開始することができる。
【0027】
また、双方向インバータとバッテリとの間の通信の確立が成功しない結果としてバッテリによる双方向インバータへの直流供給電圧の提供が停止されることが有利であると考えることができる。
【0028】
これによって、電力供給装置が自立起動されたときの信頼性の高いシステム管理が可能となる。双方向インバータは、その時点で、他のバッテリがこのインバータに直流供給電圧を供給していなければ、シャットダウン状態に又は待機モードに切り替わるように構成することができる。この場合、追加的に、バッテリもまた、シャットダウン状態に又は待機モードに切り替わることができる。
【0029】
本発明の更なる有利な実施形態によれば、本方法は、双方向インバータに接続された更なるバッテリを備える電力供給装置を使用して実施することができる。本発明の有利な実施形態によれば、電力供給装置を自立起動することは、更なるバッテリ各々には制御線への電圧が提供され、この電圧が更なるバッテリを動作状態にすることを含む。起動装置及び/又は双方向インバータによって電圧が提供され、動作状態にある更なるバッテリ各々によって、双方向インバータが直流供給電圧を利用できるようになる。ハンドシェイクプロトコルが、何れの場合にも更なるバッテリと双方向インバータとの間の通信を確立する目的で、これら2つの間で開始される。
【0030】
本発明の有利な実施形態は、より多くのバッテリがインバータに接続された結果としてより大量のエネルギーをバッファに蓄積することを許容する電力供給装置の自立起動を可能にする。更に、バッテリの冗長的な実施形態は、電力供給装置のフェールセーフ性を高める。起動装置によってイネーブル信号が提供される限り、バッテリを同時に動作状態にすることができ、これによって、電力供給装置の自立起動が高速化される。代替的に、少なくとも1つの補助バッテリを温存するために、起動装置によって直接起動されたバッテリによってインバータが動作状態にされた後に、インバータが制御線上の更なるバッテリにイネーブル信号を提供することが代替的に可能である。
【0031】
本発明の更なる有利な実施形態によれば、本方法は、更なる双方向インバータに接続された少なくとも1つのバッテリを各々有する、更なる双方向インバータを備える電力供給装置の使用を含むことができる。何れの場合にも、更なる双方向インバータの少なくとも1つの接続されたバッテリには、接続されたバッテリを動作状態にする、制御線への電圧が提供される。電圧は、起動装置又は双方向インバータ又は双方向インバータによって動作状態にされた別個のバックアップ装置によって提供される。
【0032】
本発明の有利な実施形態は、多相局所グリッドの非常時供給のために設計できる電力供給装置の自立起動を可能にする。
【0033】
動作状態にされた更なる双方向インバータのバッテリによって、上記説明と同様に、それぞれの更なるインバータが直流供給電圧を利用できるようになり、結果として、更なる双方向インバータが類似の方式で動作状態にされる。ハンドシェイクプロトコルが、何れの場合にもそれぞれのバッテリと更なるインバータとの間の通信を確立する目的で、これら2つの間で開始される。電力供給装置のインバータ及びバッテリは、同じ設計を使用して具現化することができる。電力供給装置が上記説明による別個のバックアップ装置を備える場合、別個のバックアップ装置は同じように、起動後に、更なる双方向インバータに接続された少なくとも1つのバッテリに対するイネーブル信号の提供を引き継ぐことができる。この場合、バックアップ装置を動作させた、第1のインバータが、第1のインバータに電力を供給するバッテリとの通信の確立の失敗により再びシャットダウンしたときに、更なるインバータによってバックアップ装置に同じように供給電圧が供給されると有利である。
【0034】
少なくとも双方向インバータと双方向インバータに接続されたバッテリ若しくは更なるバッテリとの間の、又は電力供給装置の更なる双方向インバータと更なるインバータに接続されたバッテリとの間の通信の確立が成功した場合に、電力供給装置は、その実施形態及び存在する外部条件に応じて、通常動作通りに作動することができる。例として、電力供給装置は、非常時供給を行うように設計することができる。自立起動後に電力供給装置がバックアップ装置によって公共グリッドの故障を検出した場合に、バックアップ装置は、公共グリッドを局所グリッドから切り離すことができ、且つ少なくとも1つの双方向インバータは、局所グリッドに独立した電力グリッドを確立するために、インバータブリッジのクロッキングを開始することができる。
【0035】
本発明の文脈では、グリッドという用語は、線を有するグリッドの物理的形状を主に指すものとされる。電力グリッドという用語は、グリッドに提供される交流電圧を主に指すものとされる。
【0036】
本発明の更なる目的は、電力供給装置の自立起動が可能となるように、電力供給装置の一部として代替的に好適である、冒頭で引用したタイプの双方向インバータ及びバックアップ装置を明示することである。
【0037】
本発明による目的は、双方向インバータが、制御装置と、直流側でバッテリに接続するためのインターフェース及び交流側でグリッドに接続するためのインターフェースとを備え、少なくとも1つの供給インターフェースが、バッテリの2つのバッテリ極をインバータに接続するために配置されるという点で、冒頭で引用したタイプの双方向インバータに対して達成される。追加的に、双方向インバータは、バッテリの制御線用のインターフェースと、補助バッテリを有する起動装置とを有する。起動装置は、自立起動の際に起動装置を動作させたときに、バッテリを起動するのに好適である、補助バッテリによって提供される、電圧を制御線とのインターフェースに提供するように構成される。
【0038】
それゆえ、本発明のこの実施形態によれば、起動装置がインバータに組み込まれることが提案される。これによって、起動装置が容易に位置決め可能となり、且つ電力供給装置の製造コストが低減される。
【0039】
請求項9~16の何れか1項に記載の本発明による双方向インバータの利点、用語の定義、例示的な実施形態及び動作モードに関しては、類似の方式で双方向インバータ及びその有利な実施形態に適用できる、方法クレーム1~8に関する上記説明も参照される。例として、起動装置の操作手段は、インバータの収容部の外側に配置することができる。
【0040】
双方向インバータの有利な実施形態によれば、双方向インバータは、自立起動の際にバッテリによって、特に、双方向インバータを動作状態にするのに好適である、バッテリによって提供される、直流供給電圧を供給インターフェースに印加することによって動作状態にすることができるように設計及び構成することができる。
【0041】
起動装置がインバータに含まれるとしても、起動装置を動作させたときに、インバータはまだ動作状態にない。このとき、補助バッテリは、単にそれぞれのインターフェースでイネーブル信号を利用できるようにするにすぎない。双方向インバータは、バッテリによる直流供給電圧の適切な提供の結果としてのみ起動される。
【0042】
また、制御装置が、自立起動の際に、双方向インバータの起動後もバッテリの動作状態を維持するために電圧の提供を引き継ぐように構成されることが有利であると考えることができる。
【0043】
制御装置は、例えば、バッテリとの通信の確立が成功した後に、又はバッテリとのハンドシェイクプロトコルの開始前若しくは開始中に、又はインバータの起動直後に、電圧の提供を引き継ぐことができる。双方向インバータの更なる有利な実施形態では、制御装置が、前記提供の引き継ぎ後に起動装置をバッテリに対して初期状態にするように構成されるものとすることができる。
【0044】
また、双方向インバータが、多数のバッテリに接続するためのインターフェースを備えることが有利であると考えることができる。起動装置は、自立起動の際に、バッテリを起動するのに好適である、補助バッテリによって提供される、電圧を制御線用のインターフェースに提供するように設計され且つ動作可能である。制御装置は、自立起動の際に、双方向インバータの起動後もバッテリの動作状態を維持するために電圧の提供を引き継ぐように、且つ起動装置をバッテリに対して初期状態にするように設計される。
【0045】
代替的に、起動装置はまた、バッテリの1つのみを動作状態にすることができ、並びに双方向インバータは、双方向インバータの起動後に、インバータに接続された残りのバッテリのそれぞれの制御線にイネーブル信号を提供し、第1の制御線へのイネーブル信号の提供を引き継ぎ、且つ起動装置をバッテリに対して初期状態にすることができる。
【0046】
更に、有利には、双方向インバータの直流側が、太陽光設備に接続するための入力を追加的に有するものとすることができる。
【0047】
この目的を達成するために、双方向インバータは、直流リンク回路を備えることができ、バッテリ用及び太陽光設備用の供給インターフェースが、直流リンク回路に接続する。何れの場合にもインバータは、供給インターフェースと直流リンク回路との間に内部直流入力チョッパを備えることができる。
【0048】
本発明の更なる有利な実施形態によれば、双方向インバータは、内部バックアップ装置、又は別個のバックアップ装置用の接続部を備えることができ、接続部が少なくとも1つの供給インターフェースを備え、第2の場合には、制御装置が、自立起動の際に、双方向インバータの起動後に供給インターフェースに供給電圧を提供して別個のバックアップ装置を動作状態にするように構成される。別個のバックアップ装置を起動するのに、別個のバックアップ装置が、制御リンク入力にイネーブル信号を追加的に必要とする場合、双方向インバータは、別個のバックアップ装置の制御線用の追加のインターフェースを備えることができ、且つ制御装置は、インバータの起動後に追加のインターフェースにイネーブル信号を追加的に提供するように構成することができる。
【0049】
更に、有利には、双方向インバータが、バッテリとの通信のための少なくとも1つのフィールドバスインターフェースを備えるものとすることができる。
【0050】
本発明による目的は、制御装置と、補助バッテリを有する起動装置とが含まれ、且つ
バックアップ装置の供給電圧用の少なくとも1つのインターフェースと、バッテリの制御線用の少なくとも1つのインターフェースと、
起動装置が、自立起動の際に起動装置を動作させたときに、バッテリを起動するのに好適である、補助バッテリによって提供される、電圧をバッテリの制御線用の少なくとも1つのインターフェースに提供するように構成されるという点で、冒頭で引用したタイプのバックアップ装置に対して達成される。
【0051】
それゆえ、本発明のこの実施形態によれば、起動装置がバックアップ装置に組み込まれることが代替的に提案される。このことは、接続された全てのインバータシステムを連続してではなく同時に起動できるため、自立起動プロセスを高速化できるので、多数のインバータを備えた非常時供給用の電力供給装置の場合に特に有利である。
【0052】
請求項17~19の何れか1項に記載のバックアップ装置の利点、用語の定義、例示的な実施形態及び動作モードに関しては、類似の方式でバックアップ装置及びその有利な実施形態に適用できる、方法クレーム1~8に関する上記説明も参照される。例として、起動装置の操作手段は、バックアップ装置の収容部の外側に配置することができる。
【0053】
バックアップ装置の有利な実施形態によれば、バックアップ装置は、供給電圧用のインターフェースに供給電圧が印加されたときに、又は供給電圧用のインターフェースに供給電圧が印加され、且つバックアップ装置の制御線用のインターフェースにイネーブル信号が追加的に印加されたときに、シャットダウン状態又は待機モードから動作状態に切り替わるように構成することができる。
【0054】
起動装置がバックアップ装置に含まれるとしても、電力供給装置を自立起動するために起動装置を動作させたときに、バックアップ装置はまだ動作状態にない。このとき、補助バッテリは、単に少なくとも1つのそれぞれのインターフェースでイネーブル信号を利用できるようにするにすぎない。バックアップ装置は、供給電圧の提供又は供給電圧及びイネーブル信号の提供の結果としてのみ起動される。これは、バックアップ装置の設計に依存する。例えば、電力供給装置のインバータ又はバッテリによって供給電圧を提供することができる。
【0055】
また、バックアップ装置の供給電圧用の少なくとも1つの更なるインターフェース、又はバックアップ装置の供給電圧用の少なくとも1つの更なるインターフェース及びバックアップ装置の制御線用の少なくとも1つの更なるインターフェースが含まれることが有利であると考えることができる。
【0056】
これには、バックアップ装置を動作状態にした第1の双方向インバータが、少なくとも1つの接続されたバッテリとの通信の確立の失敗により再びシャットダウンするか又は待機モードに切り替わっても、電力供給装置が非常時供給を行うことができるという利点がある。この場合、他の双方向インバータの少なくとも1つが、動作状態のままであり且つバックアップ装置に供給電圧を及び必要に応じて追加的にイネーブル信号を供給できれば十分である。
【0057】
本発明の更なる目的は、請求項1~8の何れか1項に記載の方法に使用でき且つ自立起動を可能にする、冒頭で引用したタイプの電力供給装置を明示することである。本発明による目的は、補助バッテリを有する少なくとも1つの起動装置が含まれ、且つ双方向インバータが、直流側でバッテリに接続するためのインターフェースを備え、少なくとも1つの供給インターフェースが、2つのバッテリ極を双方向インバータに接続するために配置され、且つ起動装置が、自立起動の際に起動装置を動作させたときに、バッテリを起動するのに好適である、補助バッテリによって提供される、電圧を少なくとも1つのバッテリの制御線用のインターフェースに提供するように構成されるという点で、冒頭で引用したタイプの電力供給装置に対して達成される。
【0058】
請求項20~22の何れか1項に記載の本発明による電力供給装置の利点、用語の定義、例示的な実施形態及び動作モードに関しては、類似の方式で電力供給装置及びその有利な実施形態に適用できる、方法クレーム1~8に関する上記説明も参照される。
【0059】
電力供給装置の有利な実施形態によれば、別個のバックアップ装置が含まれるものとすることができる。
【0060】
また、少なくとも1つの双方向インバータが請求項9~16の何れか1項に従って具現化され、且つ/又はバックアップ装置が請求項17~19の何れか1項に従って具現化されることが有利であると考えることができる。
【0061】
本発明の更なる好都合な実施形態及び利点は、図面における図の参照を伴う本発明の例示的な実施形態の説明の対象であり、同一の参照番号は、同一の作用を有する構成要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】
図1は、従来技術に基づく電力供給装置を概略的に示す。
【
図2】
図2は、シャットダウン状態にある本発明の例示的な実施形態による電力供給装置を概略的に示す。
【
図3】
図3は、本発明による方法の例示的な実施形態による、自立起動中の第1の時点での
図2の電力供給装置を概略的に示す。
【
図4】
図4は、自立起動中の第2の時点での
図2の電力供給装置を概略的に示す。
【
図5】
図5は、自立起動中の第3の時点での
図2の電力供給装置を概略的に示す。
【
図6】
図6は、自立起動中の第4の時点での
図2の電力供給装置を概略的に示す。
【
図7】
図7は、自立起動中の第5の時点での
図2の電力供給装置を概略的に示す。
【
図8】
図8は、本発明による方法の例示的な実施形態による、自立起動の完了後の第6の時点での
図2の電力供給装置を概略的に示す。
【
図9】
図9は、例示的な実施形態による、その後の通常動作中の第7の時点での
図2の電力供給装置を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図1は、従来技術に基づく電力供給装置1を概略的に示している。電力供給装置1は、太陽光設備3を有する発電所2の一部である。電力供給装置1は、双方向インバータ4とバッテリ5とを備え、双方向インバータ4の交流側は、交流側に接続されたグリッド6を有し、且つ双方向インバータの直流側は、直流側に接続されたバッテリ5及び太陽光設備3を有する。図に描かれている双方向インバータの一部は、インバータブリッジ7、2つの入力直流チョッパ8及び9、並びに更には直流リンク回路10及び制御装置11である。直流リンク回路10は、直流リンクコンデンサ(描かれていない)を備える。双方向インバータ4の交流側に接続されたグリッド6は、局所グリッド12と公共グリッド14とを備える。局所グリッド12は、分離スイッチ15によって公共グリッド14から可逆的に切り離すことができる。局所グリッド12は、局所グリッド12に接続された負荷16を有する。太陽光設備3は、直流側で双方向インバータ4の入力17に接続される。
【0064】
双方向インバータ4は、電気エネルギーを双方向に伝送することができる。それゆえ、バッテリ5には、グリッド6から又は太陽光設備3によって双方向インバータ4を介して電気エネルギーを充電することができる。太陽光設備3とバッテリ5とによって双方向インバータ4を介して電気エネルギーをグリッド6に供給することができる。双方向インバータ4は、例えば、公共グリッド14をサポートするための電力の提供、又は太陽光設備3の動作点の最適化(MPP追従制御)などの、更なる補完機能を備えることができる。
【0065】
図2は、シャットダウン状態にある本発明の第1の例示的な実施形態による電力供給装置18を概略的に示している。
【0066】
電力供給装置18は、双方向インバータ20と、インバータの直流側に接続されたバッテリ22と、別個のバックアップ装置24とを備える。バッテリ22に接続する目的で、双方向インバータ20は、バッテリの制御線27用のインターフェース26と、バッテリの2つのバッテリ極に接続するための供給インターフェース28とを備えたインターフェースを備える。追加的に、双方向インバータ20は、バッテリとの通信のためのフィールドバス接続部32用のフィールドバスインターフェース30を備える。接続部34を介してバッテリ22のバッテリ管理システムへの電圧の供給を行うために、更なるインターフェース33が使用される。双方向インバータ20は、インターフェース42を作動させる、制御線37用のインターフェース35と、バックアップ装置がインターフェース44で利用できるようになる供給電圧用の供給インターフェース38とを備えたインターフェースを別個のバックアップ装置24の方向に備える。追加的に、2つの装置間の通信のための、別のフィールドバス接続部40が、双方向インバータ20と別個のバックアップ装置24との間に描かれている。
【0067】
双方向インバータ20の交流側インターフェース25は、グリッド6に接続される。グリッド6は、公共グリッド14と局所グリッド12とを備え、これら2つは、分離装置19によって互いに可逆的に切り離すことができる。
【0068】
双方向インバータ20は、制御装置50と起動装置51とを備える。起動装置51は、補助バッテリ52を有し、且つ制御装置50に部分的に組み込まれる。本発明の例示的な実施形態による電力供給装置18の自立起動方法が、
図3~
図8に関連して以下により詳細に描かれ説明されており、ここで描かれている電力供給装置18の機能の説明もまた自立起動方法との関連で提供されている。
【0069】
図3は、本発明による方法の例示的な実施形態による、自立起動中の第1の時点での
図2の電力供給装置18を概略的に示している。
図3の説明に関連する
図2に記載の参照番号のみが描かれている。
【0070】
第1の時点では、起動装置51は動作しており、インターフェース26への電圧の形でイネーブル信号を提供する。電圧は、補助バッテリ52によって提供され、制御線27にイネーブル信号を印加する。制御線27へのイネーブル信号の印加は、図では制御線27についての太線による描写によって特定される。この時点では、双方向インバータ20は、本発明の文脈において理解されることが意図されるように動作状態にない。
【0071】
図4は、本発明による方法の例示的な実施形態による、自立起動中の第2の時点での
図2の電力供給装置18を概略的に示している。同様に、
図4の説明に関連する
図2に記載の参照番号のみが描かれている。
【0072】
図3と比較して、ここでバッテリ22は、第2の時点において動作状態にあり、前記動作状態は、
図4での装置の明るい描写によって特定される。バッテリ22は、制御線27に印加された電圧によって動作状態にされている。制御線27をイネーブル線と呼ぶこともできる。起動装置51によって提供される電圧は、バッテリ22によってイネーブル信号として解釈され且つ前記バッテリを動作状態にする電圧値に相当する。第2の時点では、起動装置51は、引き続きイネーブル信号を利用できるようにする。
【0073】
図5は、本発明による方法の例示的な実施形態による、自立起動中の第3の時点での
図2の電力供給装置を概略的に示している。
【0074】
動作状態にある、バッテリ22は、第3の時点で、双方向インバータ20が供給インターフェース28への直流供給電圧を利用できるようにし、前記直流供給電圧は、双方向インバータ20を動作状態にするのに好適である。この時点では、起動装置51はまだ制御線27にイネーブル信号を印加している。
【0075】
図6は、本発明による方法の例示的な実施形態による、自立起動中の第4の時点での電力供給装置18を概略的に示している。
【0076】
双方向インバータ20は、供給インターフェース28への直流供給電圧によって動作状態にされており、引き続きバッテリ22によって直流供給電圧が供給される。起動装置51は、引き続き補助バッテリ52を使用してバッテリが制御線27へのイネーブル信号を利用できるようにする。
【0077】
図7は、本発明による方法の例示的な実施形態による、自立起動中の第5の時点での電力供給装置18を概略的に示している。
【0078】
双方向インバータ20の制御装置50は、バッテリ22の動作状態を維持するためにインターフェース26への、最初は補助バッテリ52によって提供される、電圧の提供を引き継いでおり、且つ起動装置51を初期状態にしている。このためのエネルギーは、バッテリ22によって提供される直流供給電圧から制御装置50によって得られる。
【0079】
ここで、バッテリ22及び双方向インバータ20は、フィールドバス接続部32を使用して、これら2つの間の通信を確立するためにハンドシェイクプロトコルを開始する。
【0080】
その上、双方向インバータ20は、別個のバックアップ装置24に供給電圧を供給するために供給インターフェース38を使用し、且つ別個のバックアップ装置の制御線37用のインターフェース35でイネーブル信号を利用できるようにする。この目的を達成するために、制御装置50は適切に構成される。このためのエネルギーは、供給インターフェース28を介してバッテリ22から印加された直流供給電圧から双方向インバータ20によって得られる。
【0081】
制御線37上のイネーブル信号及び/又は別個のバックアップ装置24用の供給電圧は、別個のバックアップ装置を動作状態にするのに好適である。
【0082】
図8は、本発明による方法の例示的な実施形態による、自立起動の完了後の第6の時点での電力供給装置18を概略的に示している。
【0083】
イネーブル信号及び/又は供給電圧によって動作状態にされた、別個のバックアップ装置24と、双方向インバータ20は、フィールドバス接続部40を介してハンドシェイクプロトコルの正常終了後にこれら2つの装置間の通信を確立している。バッテリ22と双方向インバータ20もまた、フィールドバス接続部32を介して通信を確立している。追加的に、双方向インバータ20は、接続部34を介してバッテリ管理システム(描かれていない)がインターフェース33へのバッテリ22の供給電圧を利用できるようにする。この状態では、電力供給装置は、通常動作を開始することができる。
【0084】
図9は、例示的な実施形態による、その後の通常動作中の第7の時点での
図2の電力供給装置18を示している。
【0085】
バックアップ装置24は、マイクロコントローラ48を有する制御モジュール46を備え、且つセンサ(描かれていない)と分離装置19とに接続される(描かれていない)。バックアップ装置24は、公共グリッド14の故障の際に、双方向インバータ20との相互作用において、局所グリッド12での非常時運転を可能にするように設計される。この目的を達成するために、描かれている例示的な実施形態によれば、バックアップ装置24は、公共グリッド14の故障を検出し、分離装置19を作動させることによって公共グリッド14から局所グリッド12を切り離し、且つ双方向インバータ20との相互作用において、局所グリッド12のアイランドモードを確立している。この例では、双方向インバータ20が、バッテリ22から電気エネルギーを取り出し、これによって、局所グリッド12の接続された負荷(描かれていない)が電気エネルギーを利用できるようになる。
【符号の説明】
【0086】
1 電力供給装置
2 発電所
3 太陽光設備
4 双方向インバータ
5 バッテリ
6 グリッド
7 インバータブリッジ
8 入力直流チョッパ
9 入力直流チョッパ
10 直流リンク回路
11 制御装置
12 局所グリッド
14 公共グリッド
15 分離スイッチ
16 負荷
17 入力
18 電力供給装置
19 分離装置
20 双方向インバータ
22 バッテリ
24 バックアップ装置
25 交流側インターフェース
26 インターフェース
27 制御線
28 供給インターフェース
30 フィールドバスインターフェース
32 フィールドバス接続部
33 インターフェース
34 接続部
35 インターフェース
37 制御線
38 供給インターフェース
40 フィールドバス接続部
42 インターフェース
44 インターフェース
46 制御モジュール
48 マイクロコントローラ
50 制御装置
51 起動装置
52 補助バッテリ