(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生装置のヒーターを制御するための方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/57 20200101AFI20230424BHJP
A24F 47/00 20200101ALI20230424BHJP
【FI】
A24F40/57
A24F47/00
(21)【出願番号】P 2020529464
(86)(22)【出願日】2018-11-26
(86)【国際出願番号】 EP2018082522
(87)【国際公開番号】W WO2019105879
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-11-24
(32)【優先日】2017-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ファリーヌ マリー
【審査官】武市 匡紘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/166064(WO,A1)
【文献】特開2017-113016(JP,A)
【文献】特表2014-530632(JP,A)
【文献】特表2014-500017(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107296301(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/57
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置内のヒーターを制御する方法であって、前記装置が、
エアロゾル形成基体を加熱するように構成された少なくとも一つの発熱体を含む電気ヒーターと、
前記発熱体に電力を提供するための電源と、を備え、
前記方法が、
- 第一の段階で、前記発熱体の温度を初期温度から第一の温度へと上昇させるために電力が提供され、
- 第二の段階で、前記発熱体の前記温度を前記第一の温度未満の第二の温度へと下降させるために電力が提供されるように、前記発熱体に提供される電力を制御する工程を含み、
- 前記第一の段階中に前記発熱体に提供される前記電力が、前記第一の段階の持続時間中に少なくとも一回増大され、
- エアロゾルが前記第二の段階中に生成される、方法。
【請求項2】
前記第一の段階が所定の持続時間を有する、請求項1に記載のエアロゾル生成を制御する方法。
【請求項3】
前記第一の段階で、
- 第一の期間の間に、前記発熱体の前記温度を上昇させるために電力P1が提供され、
- 第二の期間の間に、前記発熱体の前記温度を上昇させるために電力P2が提供され、ここでP2>P1であり、
- 第三の期間の間に、前記発熱体の前記温度を上昇させるために電力P3が提供され、ここでP3>P2である、請求項1または請求項2に記載のエアロゾル生成を制御する方法。
【請求項4】
前記第一の段階で、前記発熱体に提供される電力が漸進的に増大し、前記第一の段階が、所定の期間後に終了する、請求項1または請求項2に記載のエアロゾル生成を制御する方法。
【請求項5】
前記第二の段階中に、前記発熱体の前記第二の温度が達成されると、前記発熱体の前記温度
が前記第二
の温度に維持されるように前記発熱体に電力が提供される、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル生成を制御する方法。
【請求項6】
前記第二の段階で、前記第二の温度が前記第二の段階の持続時間よりも短い所定の期間の間維持
され、前記所定の期間後、前記発熱体の前記温度が前記第二の温度未満の第三の温度へと下降するように、前記発熱体に電力が提供される、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル生成を制御する方法。
【請求項7】
前記第一の温度が280℃~300℃であり、前記第二の温度が140℃~200℃である、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル生成を制御する方法。
【請求項8】
前記エアロゾル発生装置が、前記エアロゾル形成基体を液体の形態で収容するカートリッジを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル生成を制御する方法。
【請求項9】
前記発熱体に提供される電力を制御する前記工程が、前記発熱体に電力をパルスで提供することを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル生成を制御する方法。
【請求項10】
前記第一の段階中に前記発熱体に提供される前記電力が、前記発熱体に提供される前記パルスの負荷サイクルを変更することによって増大される、請求項9に記載のエアロゾル生成を制御する方法。
【請求項11】
電気的に作動するエアロゾル発生装置であって、前記装置が、エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを生成するように構成された少なくとも一つの発熱体と、前記発熱体に電力を供給するための電源と、前記電源から前記少なくとも一つの発熱体への電力供給を制御するための電気回路と、を備え、前記電気回路が、
- 第一の段階で、前記発熱体の温度が初期温度から第一の温度へと上がるように電力が提供され、
- 第二の段階で、前記発熱体の前記温度が前記第一の温度未満の第二の温度へと下降するように電力が提供されるように、前記発熱体に提供される前記電力を制御するように配置され、
前記第一の段階中に前記発熱体に提供される前記電力が、前記第一の段階の持続時間中に少なくとも一回増大され、エアロゾルが前記第二の段階中に生成される、電気的に作動するエアロゾル発生装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置と、エアロゾル形成基体を収容するカートリッジと、を備え、前記カートリッジが、前記装置の前記少なくとも一つの発熱体が前記カートリッジの前記エアロゾル形成基体を加熱するように配置されるように、前記装置を係合するように構成される、エアロゾル発生システム。
【請求項13】
前記カートリッジが、第一の区画および第二の区画を含み、前記エアロゾル形成基体が、前記第一の区画内に含有されるニコチン供与源および前記第二の区画内に含有される酸供与源を含む、請求項12に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項14】
エアロゾル発生装置内の電気発熱体を制御する方法であって、前記装置が、エアロゾル形成基体を加熱するように構成された少なくとも一つの発熱体を含むヒーターと、前記発熱体に電力を提供するための電源と、を備え、前記方法が、予熱モードで前記発熱体に提供される前記電力を制御することを含み、前記予熱モードが、前記発熱体
の温度を初期温度から予熱目標温度へと上昇させるために前記発熱体に電力を提供することを含み、前記予熱モードで前記ヒーターに提供される前記電力が、所定の電力プロファイルに応じて増大される、方法。
【請求項15】
前記所定の電力プロファイルが、
前記発熱体に提供される前記電力を複数の工程で増大することであって、各工程が所定の持続時間を有する、増大すること、または、
前記発熱体に提供される前記電力を所定のレートで増大することのいずれかを含む、請求項14に記載の電気発熱体を制御する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成基体を収容するカートリッジを含むエアロゾル発生装置、およびエアロゾル発生装置のヒーターを制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、本発明は初期的な段階中にエアロゾル発生装置のヒーターを制御するための方法に関し、ここでエアロゾル形成基体を収容するカートリッジは、エアロゾルが生成される温度に可能な限り急速に加熱される一方で、エアロゾル発生基体の過熱、およびカートリッジ材料が熱を効率的に吸収できないことに起因する望ましくないエネルギー損失が回避される。
【0003】
エアロゾル発生装置は、装置の起動後できるだけ早く所望の特性を有するエアロゾルを発生させることが一般的に望ましい。エアロゾル発生装置の満足のいく消費者体験のためには、「第一の吸煙までの時間」は重要な要素であると考えられる。消費者は多くの場合、装置の起動後、第一の吸煙を行うことができるようになるまでに長時間待つことは望まない。この理由から、装置を起動する時に、できるだけ迅速に使用温度へと上昇させるために特定の電力が発熱体に供給されうる。しかしながら多くの場合、カートリッジの温度を迅速に上昇させるために、初めに高いまたは最大の電力をヒーターに供給することは最適な解決法ではないことが分かっている。例えば、加熱が非効率となって、カートリッジ材料が熱を効率的に吸収できないことに起因するエネルギー損失がもたらされる場合がある。さらに、カートリッジ、またはその部品、またはカートリッジ内に収容されるエアロゾル形成基体が過熱される場合がある。
【0004】
望ましくないエネルギー損失がなく、カートリッジおよび/またはエアロゾル形成基体の過熱のリスクが低減された、装置の起動後に迅速にエアロゾルを発生するように構成されたエアロゾル発生装置およびシステムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
第一の態様では、本開示は、エアロゾル発生装置内のエアロゾル生成の制御方法を提供しており、該装置は、エアロゾル形成基体を加熱するように構成された少なくとも一つの発熱体を含むヒーターと、発熱体に電力を提供するための電源とを備え、該方法は、
- 第一の段階で、発熱体の温度を初期温度から第一の温度へと上昇させるために電力が提供され、
- 第二の段階で、発熱体の温度を第一の温度未満の第二の温度へと下降させるために電力が提供されるように、発熱体に提供される電力を制御する工程を含み、
ここで第一の段階中に発熱体に提供される電力は、第一の段階の持続時間中に少なくとも一回増大され、エアロゾルは第二の段階中に生成される。
【0006】
第一の段階では、発熱体の温度を初期温度から第一の温度へと上昇させるために、発熱体に供給される電力が増大される。特に、発熱体に提供される電力は、第一の段階の持続時間中に少なくとも一回増大される。言い換えれば、発熱体に提供される電力は、第一の段階中に漸進的に増大されて、発熱体の温度を漸進的に上昇させる。電力の漸進的な増大は、段階または増分のうちの一つ以上を含む、インクリメンタルでありうる。電力の漸進的な増大は、第一の段階の少なくとも一部分にわたる連続的な増大を含みうる。
【0007】
第一の段階中に発熱体に供給される電力を漸進的に増大して発熱体の温度を漸進的に増大することは、第一の段階の開始時における単回で高速の発熱体の温度の増大と比較して、第一の段階の終了時に、同一または実質的に類似したエアロゾル形成基体の温度の増大を提供しうることが見い出された。このように、発熱体への電力を漸進的に増大して発熱体の温度を漸進的に上昇させることは、電力が漸進的に増大する場合には、第一の段階中に発熱体に供給される電力が少ないため、発熱体とエアロゾル形成基体との間の熱伝達の効率を改善しうる。
【0008】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置に関する。エアロゾル形成基体は固体でも液体でもよく、またはそれらの組み合わせでもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部、例えば、エアロゾル形成基体を収容するカートリッジの一部、または従来的な紙巻きたばこにおけるのと同様、ロッドの形態で一緒に包まれたエアロゾル形成基体の本体およびフィルターを含むスティックの一部であってもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してユーザーの口を通してユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生する装置であってもよい。
【0009】
本明細書に使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出することができる基体を記述するために使用される。
【0010】
エアロゾル形成基体は、カートリッジまたは容器内で提供されてもよい。カートリッジまたは容器は、発熱体の近位に位置付けられてもよい。発熱体は、第一の段階および第二の段階の両方においてカートリッジまたは容器内のエアロゾル形成基体を加熱しうる。
【0011】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。例えば、エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通ってユーザーの肺に直接吸入可能なエアロゾルを発生する物品としてもよい。エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を収容するカートリッジであってもよく、これを含んでもよい。エアロゾル発生物品は、たばこスティックとしうるか、またはそれを含みうる。
【0012】
エアロゾル形成基体がカートリッジなどの物品内で提供される場合、特定の温度の発熱体と物品内に収容されるエアロゾル形成基体との間の熱伝達のレートは、物品に応じて変化しうる。同一の設計の物品に対するものであっても、製造中の変化は熱伝達のレートの変化をもたらしうる。
【0013】
驚くべきことに、本発明の第一の態様の方法は、単回で高速の発熱体の温度の増大を含む方法と比較して、第一の段階中にエアロゾル形成基体の温度プロファイルの小さな変化を達成しうる。この利点は、第一の段階にわたる発熱体の温度の漸進的な増大が、単回で高速の発熱体の温度の増大を含む方法と比較して、第一の段階中に、ヒーター要素と、部品および物品内に収容されるエアロゾル形成基体との間の小さな温度差をもたらすために生じうる。単回で高速の発熱体の温度の増大の結果であるヒーター要素と物品および物品内に収容されるエアロゾル形成基体との間の大きな温度差により、本発明の第一の態様の方法の発熱体の温度の漸進的な増大と比較して、異なる物品間の熱伝達のレートの差が著しくなりうる。
【0014】
一部の実施形態では、発熱体の温度は、例えば、ヒーターの、またはヒーターの周りのセンサーなどの温度設定手段を介して直接的に測定および設定されてもよい。その他の実施形態では、発熱体の温度は、例えば、発熱体の抵抗の測定および設定によって間接的に測定および設定されてもよい。発熱体の抵抗は、その温度に依存しうる。その結果、発熱体の設定温度は、発熱体の比抵抗値に対応しうる。
【0015】
発熱体の抵抗と温度との間の関係は既知でありうる。このため、発熱体の電気抵抗の測定値から発熱体の温度を決定することが可能でありうる。一部の実施形態では、決定された関係は、ヒーターの較正中に測定される多数の基準値、例えば3つの基準値に基づいてもよい。例えば、ヒーターを較正するための例示的な手順では、発熱体に電力が供給されて、発熱体の温度が測定されてもよい。発熱体の測定温度が基準値として使用される所定の値、例えば、150℃、250℃および300℃に達すると、発熱体の抵抗が測定される。測定された基準抵抗値は、エアロゾル発生装置内のフラッシュメモリなどのメモリに保存されてもよい。装置は、エアロゾル発生装置のメモリに保存された基準抵抗値とは異なる設定温度に対する目標抵抗値を決定するようにさらに構成されてもよい。例えば、装置は、保存された基準抵抗値から追加的な基準抵抗値を補間または外挿するように構成されてもよい。補間または外挿は、装置で使用される発熱体タイプの温度と抵抗との間の既知の関係に基づきうる。補間または外挿に使用される関係は一般的に、発熱体の材料特性に依存し、したがって発熱体の材料の選択に依存する。
【0016】
動作時、装置は、ユーザーが、発熱体に対する特定の目標温度に対応する設定温度を選択することを可能にするように構成されうる。設定温度は、以下のように達しうる、および/または維持されうる。例えば、電圧は、個別のパルスで電源から発熱体に提供されてもよい。パルスは、実質的に一定の大きさを有してもよい。パルスは、500マイクロ秒~1ミリ秒、例えば1ミリ秒の持続時間を有しうる。各パルス後、発熱体の抵抗が測定されうる。測定された抵抗は、設定温度に対応する、保存されたまたは決定された基準抵抗値と比較されうる。抵抗測定値が発熱体の温度が設定温度未満であることを示す場合、発熱体に供給されるパルスの数および持続時間のうちの少なくとも一つが、抵抗が設定温度に達するまで増大されうる。抵抗測定値が発熱体の温度を超えることを示す場合、発熱体の温度が設定温度未満に下降したことを示すまで、発熱体に供給されるパルスの数および持続時間のうちの少なくとも一つが低減される、またはパルスが停止されうる。
【0017】
一部の実施形態では、パルスの持続時間は変化してもよい。その他の実施形態では、パルスの持続時間は一定であってもよい。一部の実施形態では、パルス間の持続時間は一定であってもよい。一部の実施形態では、パルス間の持続時間は変化してもよい。パルス間の最小持続時間は、パルス間で抵抗測定が行われうるようなものとしうる。例えば、パルス間の最小持続時間は100マイクロ秒としうる。抵抗の測定は、パルス間で行われてもよい。抵抗の測定は、例えば、1ミリ秒ごとに行われてもよい。測定間の時間は、1ミリ秒~100マイクロ秒の任意の値、例えば300、500または800マイクロ秒としうる。
【0018】
パルスの持続時間およびパルス間の持続時間のうちの少なくとも一つは、変化してもよい。言い換えれば、発熱体への電力の供給を変化させて発熱体の特定の抵抗(温度)を達成するために、電源は、発熱体に供給される電圧の負荷サイクルを変更してもよい。
【0019】
一部の実施形態では、発熱体に供給される電力(電圧)は、温度設定を変更することによって直接的に制御されてもよい。その他の実施形態では、発熱体に供給される電力(電圧)は、例えば、発熱体からの測定された抵抗値を使用して更新されるフィードバックループによって間接的に制御されてもよい。
【0020】
第一および第二の温度は、上述のように設定されうる。第一および第二の温度は、工場で設定され、装置のメモリに保存される所定の温度であってもよい。
【0021】
設定温度は、許容可能な温度範囲内で設定されうる。許容可能な温度範囲は、その範囲内で、装置および基体の構成要素が過熱されることなく十分に作動する、装置および基体の製造者によって検証される所定の温度であってもよい。第一の温度は、許容可能な温度範囲内で選択されうるが、消費者に対する初期送達のための十分な量のエアロゾルを発生するために、該範囲の最大の許容可能温度に近くなるように選択されうる。エアロゾルの送達は、装置動作の初期期間中の装置内の凝縮によって損なわれうるため、基体の気化およびエアロゾルの発生を促進するために、初期動作中に発熱体内に比較的高温が達成されることが望ましい。これは、装置の平均温度が、後の動作期間と比較して、初期の動作期間中に低いことに起因しうる。
【0022】
第一の段階は、予熱段階でありうる。本明細書で使用される場合、予熱段階は、エアロゾル形成基体の温度が上がって十分な量のエアロゾルが生成される温度に達する段階を指す。エアロゾルは第一の段階で発生しうるが、通常、ユーザーによって装置から引き出されない場合がある。例えば、第一の(予熱)段階の終了までに、カートリッジおよびその中に収容される液体エアロゾル形成基体が液体の気化温度に達している場合がある。例えば、第一の(予熱)段階の終了までに、たばこスティックおよびその中に収容される固体たばこがたばこ内に含有される揮発成分が放出される温度に達している場合がある。
【0023】
第一の段階は、任意の適切な持続時間を有しうる。第一の段階は、所定の持続時間を有してもよい。第一の段階は、1分以下の持続時間を有してもよい。第一の段階の持続時間は、45秒以下であってもよい。第一の段階の持続時間は、約30秒であってもよい。第一の段階の持続時間が約30秒である場合、予熱の速度とエネルギー損失の低減の間の良好なバランスが達成されうる。
【0024】
第一の段階の間、発熱体に提供される電力は徐々に増大されうる。発熱体に提供される電力は、発熱体に供給される電力の負荷サイクルを変更することによって増大されうる。
【0025】
第一の段階中、発熱体に提供される電力は、段階または増分で徐々に増大されうる。例えば、第一の期間の間、第一の負荷サイクルに対応する第一の電力P1が発熱体に提供されて発熱体の温度を上げ、その後、第二の期間の間、第二の負荷サイクルに対応する第二の電力P2が発熱体に提供されて発熱体の温度をさらに上げてもよく、ここで第二の電力は第一の電力よりも大きい(P2>P1)。この例では、第一の電力P1および第二の電力P2は負荷サイクルにわたる平均電力でありうる。平均電力は、発熱体に提供されるRMS電流および電圧を使用することによるなどの任意の適切な方法で計算されうる。一部の実施形態では、発熱体に提供される電力は、発熱体に供給される電圧および電流のうちの少なくとも一つの大きさを変更することによって変更されうる。
【0026】
電力が段階または増分で徐々に増大される実施形態では、第一の期間および第二の期間は合わせて約30秒であってもよい。第一の期間および第二の期間は合わせて30秒より短くてもよい。こうした場合、第二の期間の終了時に、第三の電力P3が第三の期間の間提供されてもよく、ここで第三の電力は第二の電力よりも大きい(P3>P2)。第一、第二および第三の期間の期間は合わせて約30秒であってもよい。第一の期間の持続時間は、最大10秒であってもよい。第一の期間の持続時間は、約5秒であってもよい。第二の期間の持続時間は最大約10秒であってもよい。第二の期間の持続時間は、約5秒であってもよい。第三の期間の持続時間は、10秒以上であってもよい。第三の期間の持続時間は、約20秒であってもよい。第一、第二および第三の期間は合わせて約30秒以下であってもよい。
【0027】
任意の適切な回数の電力増大が第一の段階で実施されてもよい。例えば、第三の期間の終了時に、第四の電力P4が第四の期間の間発熱体に提供されてもよく、ここで、第四の電力は第三の電力よりも大きく(P4>P3)、第四の期間の終了時に、第五の電力P5が第五の期間の間発熱体に提供されてもよく、ここで第五の電力は第四の電力よりも大きい(P5>P4)。
【0028】
第一の段階では、発熱体に供給される異なる電力の各々(P1、P2、P3等)は、所定の期間の間供給されうる。一部の実施形態では、期間のそれぞれの持続時間が均一であってもよい。言い換えれば、段階または増分のそれぞれは、同一の所定秒の長さであってもよい。例えば、期間のそれぞれの持続時間は、約5、7、10、15、または20秒の長さであってもよい。その他の実施形態では、期間の持続時間は不均一であってもよい。例えば、第一の期間が第二の期間より短い、第二の期間が第三の期間より短い、などであってもよい。例えば、第一の増大は5秒後に行われ、5秒後に第二の増大が行われて、第二の増大が20秒間維持された後に電力レベルが設定されてもよい。例えば、3回の電力の増大において、第一の増大は5秒後に行われ、10秒後に第二の増大が行われて、第二の増大が15秒間維持された後に電力レベルが設定されてもよい。均一な期間と不均一な期間の組み合わせが可能である。例えば、第一の増大は5秒後に行われ、5秒後に第二の増大が行われて、第二の増大が20秒間維持された後に電力レベルが設定されてもよい。3回よりも多い、または3回よりも少ない段階が可能である。
【0029】
電力の増大は均一であってもよい。言い換えれば、電力の各増大は同じ大きさを有しうる。電力の増大は、設定温度の均一な増大に対応しうる。言い換えれば、設定温度の各増大は同一の大きさを有しうる。提供される電力は、発熱体を特定の設定温度に上昇かつ維持することが期待される電力でありうる。例えば、設定温度の増大は、10℃~100℃の段階によりうる。例えば、増大は、30℃、50℃、60℃、80℃の段階でありうる。しかしながら、発熱体の温度が定常温度に達する前に電力がさらに増大されうることは明らかである。
【0030】
電力の増大は、異なっていてもよく、または不均一であってもよい。電力の増大は、設定温度の不均一な増大に対応しうる。例えば、温度の第一の増大は、第二の増大、第三の増大などより大きな段階によってもよい。例えば、第一の増大は約80℃に対応してもよく、第二の増加は約50℃に対応してもよい。
【0031】
第一の段階では、発熱体に提供される電力は漸進的に増大しうる。例えば、発熱体に提供される電力は、発熱体の温度を、30秒後に、周囲温度から250℃~300℃、例えば280℃~290℃に上げうる。一部の実施形態では、上述のように、電力は個別の工程または増分で漸進的に増大してもよい。しかしながら、一部の実施形態では、第一の段階で発熱体に供給される電力の増大は連続的であってもよい。この文脈では、電力の連続的な増大は、連続的な短期間、例えば、1ミリ秒または10ミリ秒にわたって平均電力が増大するように、パルスの負荷サイクルが変更されることを意味しうる。発熱体に供給される電力の増大は直線的であってもよい。言い換えれば、第一の段階にわたる電力の増大のレートは、実質的に一定であってもよい。発熱体に提供される電力の増大は、例えば、~t2または~t1/2などの、1より大きい、または1より小さい時間の指数に比例する非線形であってもよく、式中、tは時間である。言い換えれば、電力の増大のレートは経時的に変化しうる。
【0032】
第一の段階では、発熱体に提供される電力は、コントローラによって設定される目標温度に依存しうる。
【0033】
例えば、コントローラは、目標温度T1を設定した後、電力P1’を発熱体に提供して、発熱体を温度T1に加熱および維持しうる。所定の期間t1後、コントローラは、目標温度T1よりも高い目標温度T2を設定し、その後、電力P2’を発熱体に提供して発熱体を温度T2に加熱および維持しうる。温度T2が温度T1よりも高い場合、電力P2’はP1’よりも高い。所定の期間t1後に発熱体が温度T1に到達しない場合であっても、温度T2が設定されて電力P2’が発熱体に供給されてもよい。一実施形態では、温度T1に達した後、または所定の期間t2後のいずれか先に生じた時に、目標温度T2が設定されてもよい。一実施形態では、目標温度T2は、目標温度T1に達した後に設定されうる。一実施形態では、所定の期間t2後、または温度T2に達した後、目標温度T2よりも高い目標温度T3が設定されてもよく、その後、電力P3’を発熱体に提供して発熱体を温度T3に加熱および維持してもよい。例えば、3、5または10の段階がありうる。
【0034】
例えば、T1は160℃であってもよい。電力P1’は、t1=5秒間提供される。5秒後、T2=240oCに設定され、電力P2’がt2=5秒間提供される。5秒後、T3=290oCに設定され、電力P3’が20秒間提供される。30秒後、第一の段階が終了する。一実施形態では、前の温度に達するかどうかに関係なく次の温度が設定されてもよい。
【0035】
第一の段階が終了すると、第二の段階が開始して、発熱体への電力が、発熱体の温度を、第一の温度未満の第二の温度に下降させるように制御される。許容可能な温度範囲が画定される場合、第二の温度は許容可能な温度範囲内にある。第二の段階における発熱体の温度の低下は一般的に望ましいが、これは、エアロゾル発生装置およびエアロゾル形成基体を温める加熱期間後に、装置内のエアロゾルの凝縮が概して低減して、所定の発熱体温度に対するエアロゾル送達が概して増大するためである。さらに、発熱体の温度を下降させることで、エアロゾル発生装置によって消費されるエネルギーの量が減少する。さらに、装置の動作中に発熱体の温度を変化させることで、時間調節された熱勾配をエアロゾル形成基体の中へと導入することが可能になる。
【0036】
第二の段階では、エアロゾルが十分なレートで装置によって発生されて、ユーザーによって吸入されうる。本明細書で使用される場合、「吸煙」および「吸入」という用語は互換的に使用され、ユーザーがその口または鼻を通してその体内にエアロゾルを引き出す動作を意味することが意図されている。吸入は、エアロゾルがユーザーの肺に引き出される状況、さらにエアロゾルがユーザーの身体から排出される前にユーザーの口または鼻腔の中へのみ引き出される状況も含む。
【0037】
第二の段階では、第二の温度は第一の温度よりも低い。第二の温度は、初期温度よりも高くてもよい。初期温度は、周囲温度、すなわちエアロゾル発生装置の周囲温度としうる。
【0038】
第二の温度は、100℃より高くてもよい。第二の温度は、380℃より低くてもよい。第二の温度は、140℃~200℃であってもよい。第二の温度は、150℃より高くてもよい。第二の温度は、150℃~190℃であってもよい。第二の温度は、153℃~177℃であってもよい。第二の温度は、約177℃であってもよい。第二の温度が150℃~190℃、より具体的には153℃~177℃である場合、味覚に対するユーザーによる受け入れが高まりうる。
【0039】
第二の段階の持続時間は、少なくとも約180秒であってもよい。第二の段階の持続時間は、少なくとも約240秒であってもよい。第二の段階の持続時間は、少なくとも約300秒であってもよい。第二の段階の持続時間は、少なくとも約360秒であってもよい。第二の段階の持続時間は、約360秒であってもよく、これは通常、ユーザー体験に対するユーザーの期待に対応する。
【0040】
第二の温度に達するために、発熱体に提供される電力は、第一の段階の終了時の値から下降する。
【0041】
第二の温度は、第二の段階の持続時間全体を通して維持されうる。第二の温度には、第一の段階の終了時に、発熱体に提供される電力を発熱体に供給される電力未満に下降させるよう制御することによって達する。次に第二の温度は、発熱体に提供される電力を制御して、発熱体の温度を第二の温度に維持することによって維持されうる。例えば、第二の温度を維持するために、第二の段階中に一定の平均電力が発熱体に供給されてもよい。例えば、第二の温度を維持するために、一定の負荷サイクルで電力パルスが発熱体に供給されてもよい。
【0042】
一例として、第二の温度は以下のように達しうる。目標温度が第二の温度に設定される。装置によって行われた抵抗測定値が、発熱体の温度が目標温度以上であることを示す。電源が電圧パルスを発熱体に提供することを止め、エアロゾル発生装置が、温度が目標温度未満に下降するまで発熱体の抵抗(それ故に温度)を監視する。この時点で、電源は、第二の温度に達するために電圧パルスを再び発熱体に供給する。その後、第二の温度は類似のプロセスで維持されうる。
【0043】
第二の段階中、第二の温度は、第二の段階の持続時間よりも短い所定の期間の間維持されうる。その後、発熱体に提供される電力は、発熱体の温度が第三の温度に下降するように下げられうる。第三の温度は第二の温度よりも低い。
【0044】
第二の温度は、任意の適切な所定の期間の間維持されうる。第二の温度は、約30~120秒の間維持されうる。第二の温度は、約45~90秒の間維持されうる。第二の温度は、約60秒の間維持されうる。第三の温度は、第二の段階の残りの持続時間の間維持されうる。第二の段階の持続時間に応じて、第三の温度は120秒の間、180秒の間、240秒の間、または300秒の間維持されうる。
【0045】
第三の温度は、第二の温度より低くてもよい。第三の温度は、初期温度よりも高くてもよい。第三の温度は、100℃より高くてもよい。第三の温度は、160℃より高くてもよい。第三の温度は、165℃であってもよい。
【0046】
第二および第三の温度は、エアロゾルが第二の段階の間に連続的に発生するように選択されうる。第二および第三の温度は、エアロゾル形成基体の気化温度に対応する温度範囲に基づいて決定されることが好ましい。電力は、温度が最小許容可能温度未満とならないことを確実にするように、第二の段階中に発熱体に提供されうる。
【0047】
例示的な実施形態において、第二の設定温度は約177℃であってもよく、第三の設定温度は約165℃であってもよい。第二の設定温度は約60秒間維持されてもよく、第三の設定温度は約300秒間維持されてもよい。
【0048】
発熱体に提供される電力を制御する工程は、有利なことに、発熱体の温度を第二の段階における許容可能な、または所望の温度範囲内に維持するように実施される。
【0049】
発熱体への電力を制御する工程は、発熱体の温度または発熱体の近位の温度を測定して測定温度を提供すること、測定温度と目標温度の比較を実施すること、および比較の結果に基づいて発熱体に提供される電力を調整することを含みうる。目標温度は、第一および第二の段階を提供するための装置の起動後に経時的に変化することが好ましい。目標温度は、動作の第一および第二の段階の制約内で任意の所望の経時的プロファイルを有するように選択されうることは明らかである。
【0050】
方法は、エアロゾル形成基体の特性を識別する工程をさらに含みうる。次に、電力を制御する工程は、識別された特性に応じて調整されうる。例えば、異なる基体に対して異なる目標温度を使用してもよい。
【0051】
エアロゾル形成基体は液体エアロゾル形成基体でもよい。液体エアロゾル形成基体が提供される場合、エアロゾル発生装置は、液体を保持する手段を備えることが好ましい。例えば、液体エアロゾル形成基体は容器内に保持されうる。
【0052】
一部の実施形態では、エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を含有する少なくとも一つの区画を備えうる。装置は、少なくとも二つの区画を備えうる。装置は、エアロゾル形成基体の第一の成分を含有する第一の区画と、エアロゾル形成基体の第二の成分を含有する第二の区画とを備えうる。装置は、ニコチン供与源を含有する第一の区画と、エアロゾルニコチン塩粒子を発生するための酸供与源を含有する第二の区画とを含みうる。
【0053】
一部の実施形態では、液体エアロゾル形成基体は多孔性担体材料の中に吸収されうる。多孔性担体材料は、任意の適切な吸収性のプラグまたは本体、例えば発泡性の金属またはプラスチック材料、ポリプロピレン、テリレン、ナイロン繊維またはセラミックで作成しうる。液体エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生装置を使用する前に、多孔性担体材料内に保持されてもよい。液体エアロゾル形成基体は使用中に、または即時に多孔性担体材料内に放出されうる。例えば、液体エアロゾル形成基体はカプセル内に提供されてもよい。カプセルのシェルは、加熱に伴い溶融し、液体エアロゾル形成基体を多孔性担体材料の中に放出しうる。カプセルは随意に、液体と組み合わせた固体を含有してもよい。
【0054】
担体は、たばこ成分が組み込まれた不織布繊維または繊維束としうる。不織布繊維または繊維の束は、例えば炭素繊維、天然セルロース繊維、またはセルロース誘導体繊維を含みうる。
【0055】
一部の実施形態では、エアロゾル形成基体は、ニコチン塩粒子を含むエアロゾルの原位置発生のためにエアロゾル発生システムで使用されるニコチン供与源および酸供与源を含みうる。こうした実施形態では、ニコチン供与源は、約1ミリグラム~約50ミリグラムのニコチンで含浸された第一の担体材料を含んでもよい。ニコチン供与源は、約1ミリグラム~約40ミリグラムのニコチンで含浸された第一の担体材料を含んでもよい。ニコチン供与源は、約3ミリグラム~約30ミリグラムのニコチンで含浸された第一の担体材料を含んでもよい。ニコチン供与源は、約6ミリグラム~約20ミリグラムのニコチンで含浸された第一の担体材料を含んでもよい。ニコチン供与源は、約8ミリグラム~約18ミリグラムのニコチンで含浸された第一の担体材料を含んでもよい。
【0056】
第一の担体材料は、水性溶媒または非水性溶媒中の液体ニコチンまたはニコチン溶液で含浸されてもよい。第一の担体材料は、天然ニコチンまたは合成ニコチンで含浸されてもよい。
【0057】
こうした実施形態では、酸供与源は有機酸または無機酸を含んでもよい。酸供与源は有機酸、例えばカルボン酸を含んでもよい。酸供与源は、例えば、アルファ-ケトまたは2-オキソ酸または乳酸を含みうる。酸供与源は、3-メチル-2-オキソペンタン酸、ピルビン酸、2-オキソペンタン酸、4-メチル-2-オキソペンタン酸、3-メチル-2-オキソブタン酸、2-オキソオクタン酸、乳酸、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される酸を含んでもよい。酸供与源はピルビン酸または乳酸を含んでもよい。酸供与源は乳酸を含んでもよい。
【0058】
酸供与源は、酸で含浸された第二の担体材料を含んでもよい。
【0059】
第一の担体材料および第二の担体材料は同じであってもよく、または異なっていてもよい。第一の担体材料および第二の担体材料は、約0.1グラム/立方センチメートル~約0.3グラム/立方センチメートルの密度を有してもよい。第一の担体材料および第二の担体材料は、約15パーセント~約55パーセントの空隙率を有しうる。第一の担体材料および第二の担体材料は、ガラス、セルロース、セラミック、ステンレス鋼、アルミニウム、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ(シクロヘキサンジメチレンテレフタラート)(PCT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)およびBAREX(登録商標)のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0060】
第一の担体材料は、ニコチン用の貯蔵部として作用する。第一の担体材料は、ニコチンに対して化学的に不活性であってもよい。
【0061】
第一の担体材料は、任意の適切な形状およびサイズを有してもよい。例えば、第一の担体材料はシートまたはプラグの形態であってもよい。第一の担体材料の形状およびサイズは、第一の区画の形状およびサイズと類似していてもよい。第一の担体材料の形状、サイズ、密度、および空隙率は、第一の担体材料が望ましい量のニコチンで含浸されることを可能にするように選ばれてもよい。
【0062】
第一の区画は風味剤をさらに含んでもよい。適切な風味剤としては、メントールが挙げられるが、これに限定されない。
【0063】
第一の担体材料は、約3ミリグラム~約12ミリグラムの風味剤で含浸されてもよい。
【0064】
第二の担体材料は、酸用の貯蔵部として作用する。第二の担体材料は、酸に対して化学的に不活性であってもよい。第二の担体材料は、任意の適切な形状およびサイズを有してもよい。例えば、第二の担体材料はシートまたはプラグの形態であってもよい。第二の担体材料の形状およびサイズは、第二の区画の形状およびサイズと類似していてもよい。第二の担体材料の形状、サイズ、密度、および空隙率は、第二の担体材料が望ましい量の酸で含浸されることを可能にするように選ばれてもよい。
【0065】
酸供与源は、約2ミリグラム~約60ミリグラムの乳酸で含浸された第二の担体材料を含む乳酸供与源であってもよい。乳酸供与源は、約5ミリグラム~約50ミリグラムの乳酸で含浸された第二の担体材料を含みうる。乳酸供与源は、約8ミリグラム~約40ミリグラムの乳酸で含浸された第二の担体材料を含みうる。乳酸供与源は、約10ミリグラム~約30ミリグラムの乳酸で含浸された第二の担体材料を含みうる。
【0066】
第一の区画の形状および寸法は、所望の量のニコチンが装置内に収容されることを可能にするように選ばれてもよい。第二の区画の形状および寸法は、所望の量の酸が装置内に収容されることを可能にするように選ばれてもよい。適切な反応化学量論を達成するために必要なニコチンと酸の比は、第二の区画の容積と相対的に第一の区画の容積の変動を通して制御し、かつバランスを取ってもよい。
【0067】
一部の実施形態では、エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体であってもよい。エアロゾル形成基体は固体成分と液体成分の両方を含んでもよい。エアロゾル形成基体は液体成分のみを含んでもよい。エアロゾル形成基体は一つ以上の液体成分を含んでもよい。一部の実施形態では、エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。一部の実施形態では、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0068】
エアロゾル形成基体が固体エアロゾル形成基体である場合、固体エアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押し出し成形たばこ、キャストリーフたばこ、および膨化たばこのうちの一つ以上を含む、例えば粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片、またはシートのうちの一つ以上を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、ばらの形態になっていてもよく、または適切な容器もしくはカートリッジ内で提供されてもよい。随意に、固体エアロゾル形成基体は、基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含有してもよい。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルも含有してもよく、こうしたカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶けてもよい。本明細書で使用される「均質化したたばこ」は、粒子状たばこを凝集することによって形成された材料を意味する。均質化したたばこは、シートの形態であってもよい。
【0069】
エアロゾル形成基体から発生するエアロゾルは、見えても見えなくてもよく、蒸気(例えば、室温では通常液体または固体である物質の気体状態での微粒子)、ならびに気体、および凝縮された蒸気の液体の液滴を含んでもよい。
【0070】
発熱体は電気発熱体であってもよい。
【0071】
エアロゾル発生装置は任意の適切な発熱体を含みうる。エアロゾル発生装置は、抵抗ヒーター、誘導ヒーター、またはその両方の組み合わせを備えうる。
【0072】
一部の実施形態では、発熱体は細長くてもよい。発熱体は、熱伝導性のシースによって囲まれてもよい。熱伝導性のシースは、カートリッジの一部分の中へなど、エアロゾル発生物品の中へと挿入されるように適合されうる。熱伝導性のシースは、エアロゾル形成基体の中へと挿入されるように適合されうる。有利なことに、熱伝導性のシースは、一つ以上の発熱体によって提供される熱を均等に分配するように提供されうる。
【0073】
発熱体は電気抵抗性の発熱体とすることができ、発熱体に提供される電力を制御する工程は、発熱体の電気抵抗の決定と、決定された電気抵抗に応じた発熱体に供給される電流の調整とを含みうる。発熱体の電気抵抗は発熱体の温度を示し、また決定された電気抵抗が目標電気抵抗と比較され、それに従って提供される電力が調整されうる。PID制御ループは、決定された温度を目標温度にするために使用されうる。そのうえ、バイメタル板細片、熱電対、または電気的に発熱体とは別個の専用サーミスタまたは電気抵抗性の要素など、発熱体の電気抵抗を検出する以外の温度感知のための機構を使用しうる。これらの温度感知機構は、発熱体の電気抵抗を監視することによる温度の決定に加えて、またはその代わりに、使用しうる。例えば、発熱体の温度が許容可能な温度範囲を超えた時に、別個の温度感知機構を、発熱体への電力供給を停止するための制御機構で使用しうる。
【0074】
エアロゾル発生装置は、カートリッジを備えうる。カートリッジは、エアロゾル形成基体を含有する少なくとも一つの区画を含みうる。カートリッジは少なくとも二つの区画を含んでもよい。カートリッジは、エアロゾル形成基体の第一の成分を含有する第一の区画と、エアロゾル形成基体の第二の成分を含有する第二の区画とを含みうる。カートリッジは、ニコチン供与源を含有する第一の区画と、乳酸塩塩粒子を含有するエアロゾルを発生するための乳酸供与源を含む第二の区画とを含みうる。
【0075】
カートリッジは任意の適切な形状を有しうる。カートリッジは実質的に円筒形であってもよい。カートリッジは任意の適切なサイズを有しうる。カートリッジは、例えば、約5mm~約30mmの長さを有しうる。ある一定の実施形態では、カートリッジは約20mmの長さを持ちうる。カートリッジは、例えば、約4mm~約10mmの直径を有しうる。ある一定の実施形態では、カートリッジは約7mmの直径を持ちうる。
【0076】
カートリッジは、ニコチン供与源を含む第一の区画および乳酸供与源を含む第二の区画を含みうる。
【0077】
カートリッジは、一つ以上の適切な材料から形成されうる。適切な材料には、アルミニウム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(Kapton(登録商標)など)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂およびビニル樹脂が含まれるがこれに限定されない。
【0078】
カートリッジは、耐ニコチン性および耐乳酸性である一つ以上の材料から形成されうる。ニコチン供与源を含む第一の区画は、一つ以上の耐ニコチン性材料で被覆されてもよく、また乳酸供与源を含む第二の区画は一つ以上の耐乳酸性材料で被覆されてもよい。好適な耐ニコチン性材料および耐乳酸性材料の例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ビニル樹脂、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。一つ以上の耐ニコチン性材料および耐乳酸性材料を使用してカートリッジを形成するか、または第一の区画および第二の区画の内部をそれぞれ被覆することで、エアロゾル発生物品の保存期間を延長しうる。
【0079】
カートリッジは、一つ以上の熱伝導性材料から形成されうる。第一の区画および第二の区画の内部は、一つ以上の熱伝導性材料で被覆されうる。一つ以上の熱伝導性材料を使用してカートリッジを形成するか、または第一の区画および第二の区画の内部を被覆することは、ヒーターからニコチン供与源および乳酸供与源への熱伝達を増大させうる。
【0080】
適切な熱伝導性材料には、例えば、アルミニウム、クロミウム、銅、金、鉄、ニッケルおよび銀などの金属、黄銅および鋼などの合金、およびその組み合わせが含まれるがこれに限定されない。
【0081】
本発明によるエアロゾル発生システムおよび本発明によるエアロゾル発生物品で使用するためのカートリッジは、適切な任意の方法により形成されうる。適切な方法には、深絞り、射出成形、ブリスタリング、吹き込み成形および押し出しが含まれるがこれらに限定されない。
【0082】
第一の区画および第二の区画は、カートリッジ内で並列に配置されうる。
【0083】
カートリッジは、エアロゾル修飾剤を含む第三の区画をさらに備えうる。こうした実施形態では、第一の区画、第二の区画および第三の区画は、カートリッジ内で並列に配置されうる。
【0084】
一部の実施形態では、カートリッジは実質的に円筒形である。第一の区画、第二の区画および、存在する場合には第三の区画は、カートリッジの向かい合った実質的に平面の端面間を長軸方向に延びうる。
【0085】
カートリッジは、装置の発熱体を受けるためのくぼみをさらに含んでもよい。くぼみは、第一の区画と第二の区画との間に配置されうる。エアロゾル発生装置は、くぼみ内で受けられるように構成された単一の発熱体を備えうる。
【0086】
特定の実施形態では、エアロゾル発生装置は、単一の発熱体を含む本体部分と、本体部分と係合させるように構成されたマウスピース部分とを備え、ここでエアロゾル発生装置は、本体部分の単一の発熱体がくぼみ内に受けられるように、ニコチン供与源を含む第一の区画、乳酸供与源を含む第二の区画およびくぼみを含むカートリッジを含むエアロゾル発生物品を受けるように構成される。
【0087】
エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の本体部分内に全体的に、またはエアロゾル発生装置のマウスピース部分内に全体的に、またはエアロゾル発生装置の本体部分内に部分的にかつエアロゾル発生装置のマウスピース部分内に部分的に受けられてもよい。
【0088】
エアロゾル発生装置は、単一の発熱体とエアロゾル発生物品のカートリッジ内のくぼみとの適切な整列を促進するように、本体部分との係合のために構成された案内部分をさらに備えうる。
【0089】
特定の実施形態では、単一の発熱体は、エアロゾル発生物品のカートリッジのくぼみ内に受けられるように構成された内部電気発熱体である。特定の実施形態では、単一の発熱体は、エアロゾル発生物品のカートリッジのくぼみ内に受けられるように構成されたヒーターブレードの形態の細長い内部電気発熱体である。こうした実施形態では、エアロゾル発生物品のカートリッジ内のくぼみは、細長いスロットとして構成されうる。
【0090】
カートリッジが実質的に円筒形である実施形態では、カートリッジにあるくぼみは、カートリッジの向かい合った実質的に平面の端面間をカートリッジの長軸方向軸に沿って延びうる。こうした実施形態では、第一の区画、第二の区画および、存在する場合には第三の区画は、カートリッジにあるくぼみの周りに配置されうる。
【0091】
第一の区画は、カートリッジ内の一つ以上の第一のチャンバーから構成されうる。一つ以上の第一のチャンバーの数および寸法は、所望の量のニコチンがカートリッジ内に含められるように選択されうる。
【0092】
第二の区画は、カートリッジ内の一つ以上の第二のチャンバーから構成されうる。一つ以上の第二のチャンバーの数および寸法は、所望の量の乳酸がカートリッジ内に含められるように選択されうる。
【0093】
カートリッジは、その中へと発熱体が挿入されるくぼみを含みうる。くぼみは、カートリッジの中央部分に提供されてもよく、またエアロゾル形成基体を含有する区画または複数の区画によって囲まれてもよい。
【0094】
カートリッジは、気化に伴いユーザーによって吸入されるエアロゾルを形成する、一つ以上の液体成分を含みうる。発熱体は、液体を、気化温度を超えて加熱するために提供されうる。
【0095】
カートリッジは、エアロゾル発生装置から取り外し可能であってもよい。カートリッジは限られた容積(限られた量のエアロゾル形成基体を含有する)を有するため、カートリッジは取り外し可能かつ交換可能であってもよい。例えば、カートリッジは単回使用のみであってもよい。こうした場合、カートリッジは各セッション後に取り外されて廃棄される。
【0096】
本発明の第二の態様では、電気的に作動するエアロゾル発生装置が提供されており、装置は、エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを発生するように構成された少なくとも一つの発熱体と、発熱体に電力を供給するための電源と、電源から少なくとも一つの発熱体への電力供給を制御するための電気回路とを備え、ここで電気回路は、
- 第一の段階で、発熱体の温度を初期温度から第一の温度へと上昇させるために電力が提供され、
- 第二の段階で、発熱体の温度を第一の温度未満の第二の温度へと下降させるために電力が提供されるように、発熱体に提供される電力を制御するように配置され、
ここで第一の段階中に発熱体に提供される電力は、第一の段階の持続時間中に少なくとも一回増大され、第一の段階中に発熱体に提供される電力は、第一の段階中に低下しない。
【0097】
段階の各々の持続時間および段階の各々中の発熱体の温度は、第一の態様に関して説明した通りでありうる。
【0098】
電気回路は、第一の段階が固定の持続時間を有するように構成されうる。電気回路は、第二の段階が固定の持続時間を有するようにさらに構成されうる。電気回路は、第三の段階中に発熱体の第二の温度および/または第三の温度を維持するために、発熱体に供給される電力を制御するように構成されうる。
【0099】
一部の実施形態では、回路は、個別のパルスで電源から発熱体に電圧を供給することによって、発熱体に電力を提供するように配置されてもよい。次に、発熱体に提供される電力は、電圧供給の負荷サイクルを調整することにより調整されうる。負荷サイクルは、パルス幅またはパルスの周波数またはその両方を変更することによるなどの任意の適切な手段により調整されうる。一部の実施形態では、回路は、連続的なDC信号として発熱体に電力を供給するように配置されてもよい。
【0100】
電気回路は、発熱体の温度または発熱体の近位の温度を測定して測定温度を提供するように構成され、測定温度と目標温度の比較を実施して、比較の結果に基づいて発熱体に提供される電力を調整するように構成されうる、温度感知手段を含みうる。目標温度は、電子メモリに保存されてもよく、装置の起動後に、第一および第二の段階を提供するために経時的に変化することが好ましい。
【0101】
温度感知手段は、サーミスタなどの専用の電子構成要素であってもよく、または、発熱体の電気抵抗に基づいて温度を決定するように構成されてもよい。
【0102】
電気回路は、装置内のエアロゾル形成基体の特性を識別するための手段と、電力制御命令および対応するエアロゾル形成基体の特性のルックアップテーブルを保持するメモリとをさらに含みうる。
【0103】
本発明の第一および第二の両方の態様で、発熱体は電気抵抗性材料を含みうる。適切な電気抵抗性の材料には例えば、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、およびセラミック材料製・金属材料製の複合材料が挙げられるが、これに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル白金、金、銀が挙げられる。適切な金属合金の例としては、ステンレス鋼、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオビウム含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、金含有、および鉄含有合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、ならびに鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。複合材料において、電気抵抗性材料は、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的特性に応じて随意に、断熱材料内に包埋、断熱材料内に封入、もしくは断熱材料で被覆されてもよく、またはその逆も可である。
【0104】
本発明の第一および第二の両方の態様において、エアロゾル発生装置は、内部発熱体または外部発熱体、または内部および外部の両方の発熱体を含みうるが、ここで「内部」および「外部」は、エアロゾル形成基体についてである。内部発熱体は任意の適切な形態を取りうる。例えば、内部発熱体は加熱用ブレードの形態を取りうる。内部ヒーターは、異なる導電性部分または電気抵抗性の金属チューブを有するケーシングまたは基体の形態を取りうる。内部発熱体は、エアロゾル形成基体の中心を貫通する一つ以上の加熱用の針または棒としうる。内部発熱体は、加熱ワイヤーまたはフィラメント(例えばNi-Cr(ニッケル-クロム)、白金、タングステンもしくは合金のワイヤーまたは加熱プレート)を含んでもよい。随意に、内部発熱体は剛直な担体材料内またはその上に配置されうる。こうした一つの実施形態において、電気抵抗性のある発熱体は、温度と比抵抗の間で明確な関係を有する金属を使用して形成されうる。こうした例示的な装置において、金属は、セラミック材料などの適切な断熱材料上にトラックとして形成された後、ガラスなどの別の断熱材料内に挟まれることができる。この様態で形成されたヒーターは、動作中の発熱体の加熱と、その温度の監視との両方に使用されうる。
【0105】
外部発熱体は任意の適切な形態を取りうる。例えば、外部発熱体は、ポリイミドなどの誘電性基体上の一つ以上の可撓性の加熱箔の形態を取りうる。可撓性の加熱箔は、基体を受容するくぼみの周辺部に適合する形状にすることができる。外部発熱体は、単数または複数の金属のグリッド、可撓性プリント基板、成形回路部品(MID)、セラミックヒーター、可撓性炭素繊維ヒーターの形態を取ってもよく、または適切な形状の基体上にプラズマ蒸着などの被覆技法を使用して形成されてもよい。外部発熱体はまた、温度と比抵抗の間に明確な関係を有する金属を使用して形成されてもよい。こうした例示的な装置において、金属は適切な断熱材料の二層の間のトラックとして形成されうる。この様態で形成された外部発熱体は、動作中の外部発熱体の加熱と、その温度の監視との両方に使用されうる。
【0106】
内部または外部の発熱体は、熱を吸収・貯蔵して、その後、ある期間にわたりエアロゾル形成基体に熱を放出する能力を持つ材料を含む、ヒートシンク、または蓄熱体を含みうる。ヒートシンクは、適切な金属またはセラミック材料など、任意の適切な材料で形成されてもよい。一つの実施形態で、材料は、高い熱容量(目的に適った熱貯蔵材料)を持つか、または熱を吸収しその後で可逆的な過程(高温相変化など)を経て放出する能力を持つ材料である。目的に適った適切な熱貯蔵材料は、シリカゲル、アルミナ、炭素、ガラスマット、ガラス繊維、鉱物、金属または合金(アルミニウム、銀または鉛)、およびセルロース系材料(紙など)を含む。可逆的な相変化により熱を放出するその他の適切な材料は、パラフィン、酢酸ナトリウム、ナフタリン、ろう、ポリエチレンオキシド、金属、金属塩、共晶塩の混合物または合金を含む。一部の実施形態では、ヒートシンクまたは蓄熱体は、エアロゾル形成基体と直接的に接触し、かつ保存した熱を基体に直接的に伝達できるように配置されてもよい。一部の実施形態では、ヒートシンクまたは蓄熱体に保存された熱は、金属チューブなどの熱導体の手段によってエアロゾル形成基体に伝達されてもよい。
【0107】
発熱体は伝導によりエアロゾル形成基質を加熱する場合がある。発熱体は基体と、または基体が堆積されている担体と、少なくとも部分的に接触してもよい。一部の実施形態では、内部または外部のいずれかの発熱体からの熱は、熱伝導性要素の手段によって基体に伝導しうる。
【0108】
本発明の第一および第二の両方の態様で、作動時に、エアロゾル形成基体はエアロゾル発生装置内に完全に含まれうる。その場合、ユーザーはエアロゾル発生装置のマウスピースで吸煙しうる。一部の実施形態では、動作中、エアロゾル形成基体を含有するエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置内に部分的に収容されうる。その場合、ユーザーはエアロゾル発生物品を直接吸煙しうる。発熱体は装置の中のくぼみ内に位置付けられることができ、ここでくぼみは、使用時に発熱体がエアロゾル形成基体内にあるように、エアロゾル形成基体を受容するように構成されている。
【0109】
エアロゾル発生物品は実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル発生物品は実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生物品は、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す周囲とを有してもよい。エアロゾル形成基体は実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル形成基体は実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体はまた、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。
【0110】
エアロゾル発生物品の全長は、およそ30mm~およそ100mmとしうる。エアロゾル発生物品の外径は、およそ5mm~およそ12mmであってもよい。エアロゾル発生物品は、フィルタープラグを備えてもよい。フィルタープラグは、エアロゾル発生物品の下流端に位置してもよい。フィルタープラグは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。一実施形態において、フィルタープラグは、およそ7mmの長さであるが、およそ5mm~およそ10mmの長さを有してもよい。
【0111】
一つの実施形態で、エアロゾル発生物品の全長はおよそ45mmである。エアロゾル発生物品の外径は、およそ7.2mmとしうる。さらに、エアロゾル形成基体は、およそ10mmの長さを有してもよい。エアロゾル形成基体は、およそ12mmの長さを有してもよい。さらに、エアロゾル形成基体の直径は、およそ5mm~およそ12mmであってもよい。エアロゾル発生物品は外側紙ラッパーを備えてもよい。さらに、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体とフィルタープラグとの間に分離部を備えてもよい。分離部は、およそ18mmであってもよいが、およそ5mm~およそ25mmの範囲であってもよい。分離部は、エアロゾル発生物品が基体からフィルタープラグに通過する際にエアロゾルを冷却する熱交換器によってエアロゾル発生物品内で充填されることが好ましい。熱交換器は、例えば、ポリマー系のフィルター、例えば捲縮したPLA材料としうる。
【0112】
本発明の第一および第二の両方の態様で、エアロゾル発生装置はさらに、電力を発熱体に供給するための電源を備えうる。電源は、例えばDC電圧供給源などの適切な任意の電源としうる。一実施形態において、電源はリチウムイオン電池である。電源は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、またはリチウム系電池(例えば、リチウムコバルト電池)、リチウム鉄リン酸塩電池、チタン酸リチウム、もしくはリチウムポリマー電池であってもよい。一部の実施形態では、電源は、一つまたは複数のコンデンサ、スーパーコンデンサまたはハイブリッドコンデンサを含みうる。
【0113】
本発明の第三の態様では、電気的に動作するエアロゾル発生装置のための電気回路が提供されており、電気回路は本発明の第一の態様の方法を実施するように配置されている。
【0114】
本発明の第四の態様では、電気的に動作するエアロゾル発生装置用のプログラム可能電気回路上で実行された時に、プログラム可能電気回路が本発明の第一の態様の方法を実行させるコンピュータプログラムが提供されている。
【0115】
本発明の第五の態様では、コンピュータ可読記憶媒体が提供されており、コンピュータ可読記憶媒体はその上に本発明の第四の態様によるコンピュータプログラムを格納している。
【0116】
本発明の第六の態様では、本発明の第二の態様による装置と、エアロゾル形成基体を収容するカートリッジとを備えるシステムが提供されている。カートリッジは、液体ニコチン供与源および液体酸供与源を含みうる。カートリッジは、本発明の第一の態様に関連して上記で説明されたようなものでありうる。
【0117】
本発明の第七の態様では、エアロゾル発生装置内の電気発熱体の制御方法が提供されており、装置は、エアロゾル形成基体を加熱するように構成された少なくとも一つの発熱体を含むヒーターと、発熱体に電力を供給するための電源とを備え、該方法は、予熱モードで発熱体に提供される電力を制御することを含み、予熱モードは、発熱体の温度を初期温度から目標温度へと上昇させるために発熱体に電力を提供することを含み、ここで予熱モードでヒーターに提供される電力は、所定の電力プロファイルに応じて増大される。
【0118】
方法は、予熱モード後の動作モードにおいて発熱体に電力を提供することをさらに含みうる。動作モードは、発熱体の温度を実質的に使用温度に維持するために発熱体に電力を提供することを含みうる。
【0119】
予熱目標温度は、使用温度より大きくてもよい。
【0120】
所定の電力プロファイルは、所定のレートで発熱体に提供される電力を増大することを含みうる。所定のレートは、実質的に一定であってもよい。言い換えれば、電力は、予熱モードにおいて経時的に実質的に直線的に増大されうる。
【0121】
所定の電力プロファイルは、一つ以上の工程で発熱体に提供される電力を増大することを含みうる。
【0122】
所定の電力プロファイルは、
第一の工程で、発熱体の温度を初期温度から第一の目標温度へと上昇させるために発熱体に電力を提供することと、
第二の工程で、発熱体の温度を第一の目標温度から予熱目標温度へと上昇させるために発熱体に電力を提供することとを含みうる。
【0123】
予熱モードにおいてヒーターに提供される電力は、ヒーターに提供される平均電力を増大させることによって増大されうる。ヒーターに提供される平均電力を増大することは、ヒーターに供給される負荷サイクルを適切な方法で変更することによって達成されうる。平均電力は、ヒーターに供給される電圧または電流の大きさを変更することによって増大されうる。
【0124】
所定の電力プロファイルは、本発明の第一の態様に関連して説明した通り増大されうる。
【0125】
エアロゾル形成基体は、カートリッジ内で提供されてもよい。カートリッジは、発熱体の近位に位置付けられてもよい。発熱体は、予熱モードおよび動作モードの両方においてカートリッジ内のエアロゾル形成基体を加熱しうる。
【0126】
上記で詳細に説明した本発明の第一の態様の特徴は、本発明の第五の態様の特徴と組み合わせられてもよく、その逆もまた可能である。より一般的には、異なる態様を参照することによって本開示を説明してきたが、本開示の一つの態様に関連して説明した特徴を、本開示の他の態様に適用できることは明確であるはずである。
ここで、例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【
図1】
図1は、本発明によるエアロゾル発生システムを示す。
【
図2】
図2は、
図1のエアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジを示す。
【
図3】
図3は、
図1のエアロゾル発生システムの長軸方向の断面図であり、
図2のカートリッジがエアロゾル発生装置に受けられている。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に従い説明した電力制御を提供するために使用される制御回路を示す。
【
図5】
図5は、本発明による動作の予熱モードを図示した流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0128】
図1は、乳酸ニコチン塩粒子を含むエアロゾルを発生させるための、本発明によるエアロゾル発生システム10の概略図を示す。エアロゾル発生システム10は、エアロゾル発生装置100およびカートリッジ組立品200、およびマウスピース300を備える。
【0129】
図2は、
図1のエアロゾル発生システムで使用するためのカートリッジ組立品200の概略図を示す。カートリッジ200は、細長い本体202と、遠位端キャップ204と、近位端キャップ206とを含む。
【0130】
カートリッジ200は、本体202の近位端から本体202の遠位端まで延びる第一の細長い区画208を含む。第一の区画208は、ニコチンとメントールとが含浸された第一の担体材料210を含む、ニコチン供与源を含有する。
【0131】
また、カートリッジ200は、本体202の遠位端から本体202の遠位端まで延びる細長い第二の区画212を含む。第二の区画212は、乳酸が含浸された第二の担体材料214を含む、乳酸供与源を含有する。
【0132】
第一の区画208および第二の区画212は、平行に配置される。
【0133】
カートリッジ200はさらに、エアロゾル発生装置の電気ヒーターを受けるためのヒーターくぼみ216を含み、電気ヒーターは、第一の区画208および第二の区画212を加熱するように構成される。くぼみ216は、第一の区画208と第二の区画212との間に位置し、本体202の近位端から本体202の遠位端まで延びる。くぼみ216は、実質的にスタジアム形状の横断断面を有する。
【0134】
遠位端キャップ204は、間隙を介した三つの開口部の列を含む第一の空気吸込み口218と、間隙を介した五つの開口部の列を含む第二の空気吸込み口220とを含む。第一の空気吸込み口218と第二の空気吸込み口220とを形成する開口部の各々は、実質的に円形の横断断面を有する。遠位端キャップ204は、第一の空気吸込み口218と第二の空気吸込み口220との間に位置する第三の入口222をさらに含む。第三の入口222もまた、実質的にスタジアム形状の横断断面を有する。
【0135】
近位端キャップ206は、間隙を介した三つの開口部の列を含む第一の空気出口224と、間隙を介した五つの開口部の列を含む第二の空気出口226とを含む。第一の空気出口224と第二の空気出口226とを形成する開口部の各々は、実質的に円形の横断断面を有する。
【0136】
カートリッジ200を形成するために、第一の空気出口224が第一の区画208と整列し、第二の空気出口226が第二の区画212と整列するように、近位端キャップ206が本体202の近位端に挿入される。ニコチンおよびメントールが含浸された第一の担体材料210は第一の区画208に挿入され、乳酸が含浸された第二の担体材料214は第二の区画212に挿入される。遠位端キャップ204は、次いで、第一の空気吸込み口218が第一の区画208と整列し、第二の空気吸込み口220が第二の区画212と整列し、および第三の入口222がヒーターくぼみ216と整列するように、本体202の遠位端に挿入される。
【0137】
第一の区画208および第二の区画212は、実質的に同一の形状およびサイズである。第一の区画208および第二の区画212は、実質的に長方形の横断断面を有し、約11ミリメートルの長さ、約4.3ミリメートルの幅、および約1ミリメートルの高さを有する。第一の担体材料210および第二の担体材料214は、PET/PBTの不織布シートを含み、また実質的に同一の形状およびサイズである。第一の担体材料210および第二の担体材料214の形状およびサイズは、それぞれ、カートリッジ2の第一の区画208および第二の区画212の形状およびサイズと同様である。
【0138】
第一の空気吸込み口218は、第一の空気流が、第一の空気吸込み口218を通してカートリッジ200に入り、第一の区画208を通って、第一の空気出口224を通してカートリッジ200から外へ出ることができるように、第一の空気出口224と流体連通している。第二の空気吸込み口220は、第二の空気流が、第二の空気吸込み口220を通してカートリッジ200に入り、第二の区画212を通って、第二の空気出口226を通してカートリッジ2から外へ出ることができるように、第二の空気出口226と流体連通している。
【0139】
カートリッジ200を初めて使用する前に、第一の空気吸込み口218および第二の空気吸込み口220は、遠位端キャップ204の外部面に貼り付けられた取り外し可能な剥ぎ取り式の箔シールまたは貫通可能な箔シール(図示せず)で封止されうる。同様に、カートリッジ200を初めて使用する前に、第一の空気出口224および第二の空気出口226は、近位端キャップ206の外部面に貼り付けられた取り外し可能な剥ぎ取り式の箔シールまたは貫通可能な箔シール(図示せず)で封止されうる。
【0140】
図3は、
図1のエアロゾル発生システム10の長軸方向の断面の概略図であり、カートリッジ200がエアロゾル発生装置100に受けられている。
図3に示す通り、エアロゾル発生装置100は、カートリッジ200を受けるための装置くぼみ104およびカートリッジ200と係合するマウスピース300の上流部分を画定するハウジング102を含む。エアロゾル発生装置100はさらに、基部107から延びる細長い電気ヒーター106、電力供給源108、および基部107上の電気接点(図示せず)を介して電力供給源108から電気ヒーター106への電力の供給を制御するためのコントローラ110を含む。電気ヒーター106は、装置くぼみ104の中央に位置付けられ、基部107から装置くぼみ104の長軸に沿って延びる。電気ヒーター106は、電気的に絶縁された基体と、電気的に絶縁された基体の上に位置付けられた抵抗発熱体とを含む。電気ヒーター106上に位置付けられるのは、熱伝導性のあるシース112であり、これは、電気ヒーター106用の保護カバーを形成し、使用中に電気ヒーター106とカートリッジ200との間に熱橋を形成する。別の実施形態において(図示せず)、マウスピース300の遠位端は、カートリッジ200ではなくエアロゾル発生装置100のハウジング102の近位端と係合するように構成されうる。
【0141】
使用時に、コントローラ110は、電力供給源108から電気ヒーター106への電力の供給を制御して発熱体内に熱を生成し、次に熱がシース112を介してカートリッジ200に伝達されて、第一の区画208および第二の区画212を85℃~115℃の使用温度に加熱する。熱伝導性のあるシースは、電気ヒーターからその外表面にわたって熱を拡散させ、シースが存在しない配置に対して、より均質なカートリッジの加熱を確実にする。装置が起動されると、できるだけ迅速にカートリッジを使用温度にまで上昇させるために、予熱プロファイルが適用されて発熱体を加熱する。
【0142】
ユーザーがマウスピース300の近位端を吸うとき、空気は、エアロゾル発生装置100のハウジング102を通って延びるシステム気流吸込み口を通してエアロゾル発生システム10を通って引き出される。空気は、装置くぼみ104の上流端に向けられ、ここで第一の空気流がカートリッジ200の第一の区画208を通して引き出され、第二の空気流がカートリッジ200の第二の区画212を通して引き出される。第一の空気流が第一の区画208を通って引き出される際に、ニコチン蒸気が第一の担体材料210から第一の空気流へと放出される。第二の空気流が第二の区画212を通って引き出される際に、乳酸蒸気が第二の担体材料214から第二の空気流へと放出される。第一の空気流中のニコチン蒸気と第二の気流中の乳酸蒸気とが、マウスピース300における気相で相互に反応して、ニコチン塩粒子のエアロゾルを形成し、これがマウスピース300の近位端を通してユーザーに送達される。
【0143】
シース112は、電気ヒーター106よりも幅が広く、シース112が二つの向かい合ったシース壁114を含むように折り曲げ線113に沿ってU字形状に曲げられた、平坦な金属シートから形成される。シース112には、その遠位端にシースマウント(図示せず)が提供され、これによってシース112が電気ヒーター106上の定位置に保持されうる。
【0144】
例示的な加熱プロセスが
図5に図示される。装置がオンになった(工程S1)後、第一の段階(予熱段階)が開始する(工程S2)。第一の段階全体を通して、コントローラは、電源からヒーターへの電力の供給を制御して、ヒーターの温度を一組の目標温度にまで上昇させる、または下降させるように構成される。当初、ヒーターは、T1=160°Cの第一の目標温度に設定され(工程S3)、適切な電力P1が5秒間ヒーターに提供される。5秒後、ヒーターが目標温度T1に達したかどうかにかかわらず、ヒーターはT2=240°Cの第二の目標温度に設定され(工程S4)、適切な電力P2が5秒間ヒーターに提供される。5秒後、ヒーターがT2の第二の目標温度に達したかどうかにかかわらず、ヒーターは、T3=290°Cの第三の目標温度に設定され(工程S5)、適切な電力P3が20秒間ヒーターに提供される。20秒後、ヒーターが第三の目標温度に達したかどうかにかかわらず、第一の(予熱)段階が終了する(工程S6)。このように、第一の(予熱)段階は、30秒の所定の期間の間継続する。第一の(予熱)段階の終了後、第二の段階(エアロゾル発生段階)が開始する(工程S7)。ヒーターは、T4=177°Cの目標温度に設定され(工程S8)、適切な電力P4が60秒間ヒーターに提供される。60秒後、ヒーターはT5=165°Cの目標温度に設定され、適切な電力P5が300秒間ヒーターに提供される(工程S9、S10)。300秒後、第二の段階が終了する(工程S11)。このように、第二の(エアロゾル発生)段階は、360秒の最大の所定の期間の間継続する。
【0145】
図4は、本発明の一実施形態に従い説明した電力制御を提供するために使用される制御回路を図示したものである。
【0146】
発熱体106は、接続42によって電池に接続されている。電池(
図4に図示せず)は、電圧V2を提供する。発熱体106と直列に、既知の抵抗rを有する追加的抵抗器44が挿入され、電圧V1に接続されるが、これは接地と電圧V2の中間である。電流の周波数変調は、マイクロコントローラ110によって制御され、そのアナログ出力47を介して、単純なスイッチとしての役目をするトランジスタ46に供給される。
【0147】
予熱モードの間、マイクロコントローラは、
図5に関連して説明した通り、所定のスケジュールに従って負荷サイクルを制御する。動作モード中、調節は、マイクロコントローラ110に組み込まれたソフトウェアの一部であるPID調整器に基づきうる。発熱体の温度(または温度の表示)は、発熱体の電気抵抗を測定することにより決定されうる。発熱体を目標温度に維持する、または発熱体の温度を目標温度に向けて調整するために、発熱体に供給される電流パルスの負荷サイクル(この場合には周波数変調)を調整するために決定された温度が使用されうる。温度は、負荷サイクルの制御に合わせて選択された周波数で決定され、毎100msに1回の頻度で決定されうる。上記の特定の実施形態および実施例は例示であって、本発明を制限するものではない。当然のことながら、本発明の他の実施形態がなされてもよく、また本明細書で記載した具体的な実施形態および例は網羅的なものでない。