(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】TREM1を発現する骨髄細胞を無能化させるための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20230424BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230424BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230424BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230424BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230424BHJP
C12Q 1/68 20180101ALI20230424BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20230424BHJP
C07K 14/52 20060101ALN20230424BHJP
C07K 14/575 20060101ALN20230424BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20230424BHJP
C07K 16/46 20060101ALN20230424BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20230424BHJP
C12N 5/078 20100101ALN20230424BHJP
C12N 5/0784 20100101ALN20230424BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20230424BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20230424BHJP
C12Q 1/04 20060101ALN20230424BHJP
G01N 33/50 20060101ALN20230424BHJP
G01N 33/68 20060101ALN20230424BHJP
【FI】
A61K39/395 D ZNA
A61K39/395 E
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K45/00
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/04
C12Q1/68
G01N33/53 D
C07K14/52
C07K14/575
C07K16/28
C07K16/46
C07K19/00
C12N5/078
C12N5/0784
C12N15/11 Z
C12N15/113 Z
C12Q1/04
G01N33/50 P
G01N33/68
(21)【出願番号】P 2020530425
(86)(22)【出願日】2018-08-07
(86)【国際出願番号】 US2018045680
(87)【国際公開番号】W WO2019032624
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-08-04
(32)【優先日】2017-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520046487
【氏名又は名称】パイオニア イミュノセラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】チャン クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ハケット カロライン グレイ
(72)【発明者】
【氏名】スリラム ベンカタラマン
(72)【発明者】
【氏名】ヘッドリー マーク ブライアン ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】レー ティップ トゥ
【審査官】濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/049641(WO,A1)
【文献】特表2017-538664(JP,A)
【文献】国際公開第2017/152102(WO,A2)
【文献】特表2019-514347(JP,A)
【文献】特表2017-522325(JP,A)
【文献】特表2015-508763(JP,A)
【文献】特表2004-522742(JP,A)
【文献】TREM-1 expression in tumor-associated macrophages and clinical outcome in lung cancer,Am J Respir Crit Care Med,American Thoracic Society,2008年04月01日,177,7,763-770,doi: 10.1164/rccm.200704-641OC
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/395
A61P 35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨髄細胞上に発現するトリガー受容体1(TREM1)を細胞表面上に発現する
(TREM1+)骨髄細胞を死滅、無能化、または枯渇させる
ための医薬組成物であって、
TREM1の細胞外ドメインに結合する抗TREM1抗体またはその抗原結合断片を含み、
前記抗体が、活性Fc領域を含み、かつ抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性、補体依存性細胞傷害(CDC)活性、および抗体媒介性食作用(ADCP)活性のうちの少なくとも1つを含
み、
前記抗TREM1抗体またはその抗原結合断片が前記TREM1+骨髄細胞に接触し、それによりTREM1+骨髄細胞を死滅、無能化、または枯渇させる、
医薬組成物。
【請求項2】
前記活性Fc領域が、免疫細胞上の活性化Fcγ受容体(FcγR)に結合して、ADCC、CDC、およびADCPのうちの少なくとも1つによって前記骨髄細胞を死滅、無能化、または枯渇させる、野生型非フコシル化ヒトIgG1 Fcであり、
前記抗体が、TREM1の細胞外ドメインに結合する、
請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項3】
前記抗体が、
非フコシル化抗体、中和抗体、モノクローナル抗体、アンタゴニスト抗体、アゴニスト抗体、ポリクローナル抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、二重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、完全長抗体、および抗原結合断片のうちの少なくとも1つである、請求項
1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記
TREM1+骨髄細胞が、
腫瘍内にあるか、または樹状細胞、腫瘍関連マクロファージ(TAM)、好中球、
もしくは単球のうちの少なくとも1つを含む、請求項
1~3のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項5】
前記接触
が、それを必要とする対象においてインビボで起こり、任意選択的に、前記対象が癌を有する、請求項
1~4のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項6】
前記癌が固形癌
または液状癌である、請求項
5に記載の
医薬組成物。
【請求項7】
前記癌が、黒色腫、腎臓、肝胆道、頭頸部扁平上皮癌(HNSC)、膵臓、結腸、膀胱、膠芽腫、前立腺、肺、乳房、卵巣、胃、腎臓、膀胱、食道、腎、黒色腫、および中皮腫からなる群から選択される、請求項
6に記載の
医薬組成物。
【請求項8】
前記癌が結腸癌または乳癌である、請求項
7に記載の
医薬組成物。
【請求項9】
前記接触
により、前記対象における免疫応答
が増強する、請求項
5~8のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項10】
前記対象が、免疫療法を以前に受けたことがあるか、同時に受けているか、またはその後受けることになる、請求項
5~
9のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項11】
前記免疫療法が、チェックポイント阻害剤、T細胞のチェックポイント阻害剤、抗PD1、抗PDL1、抗CTLA4、養子T細胞療法、CAR-T細胞療法、樹状細胞ワクチン、単球ワクチン、T細胞および抗原提示細胞の両方に結合する抗原結合タンパク質、BiTE二重抗原結合タンパク質、トール様受容体リガンド、サイトカイン、細胞毒性療法、化学療法、放射線療法、低分子阻害剤、低分子アゴニスト、免疫調節薬、およびエピジェネティック調節薬のうちの少なくとも1つである、請求項
10に記載の
医薬組成物。
【請求項12】
前記免疫療法が抗PD1である、請求項
11に記載の
医薬組成物。
【請求項13】
前記対象において実質的な末梢好中球減少を誘発しない、請求項
5~
12のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項14】
ヒトFcドメインを含み、TREM1の細胞外ドメインに結合する、抗TREM1抗体またはその抗原結合断片を含む、対象における癌を治療する
ための医薬組成物であって、
TREM1+骨髄細胞が癌組織に存在し、かつ
前記抗体またはその抗原結合断片が、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害活性、抗体依存性細胞食作用活性、補体依存性細胞傷害活性、または抗体媒介性食作用活性によって前記TREM1+骨髄細胞を死滅、無能化、または枯渇させるのに有効な量で存在する、
医薬組成物。
【請求項15】
前記癌が固形癌
または液状癌である、請求項
14に記載の
医薬組成物。
【請求項16】
前記癌が、黒色腫、腎臓、肝胆道、頭頸部扁平上皮癌(HNSC)、膵臓、結腸、膀胱、膠芽腫、前立腺、肺、および乳房からなる群から選択される、請求項
15に記載の
医薬組成物。
【請求項17】
抗TREM1抗体を含む、対象における免疫応答を増強する
ための医薬組成物。
【請求項18】
前記抗体が
、非フコシル化抗体、中和抗体、モノクローナル抗体
、アンタゴニスト抗体、アゴニスト抗体、ポリクローナル抗体、IgG1抗体、IgG3抗体、二重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、完全長抗体、および抗原結合断片のうちの少なくとも1つである、請求項
14~17のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項19】
前記
医薬組成物の投与
により、前記
対象における
TREM1+骨髄細胞の死滅
、無能化、または枯渇がもたら
される、請求項
14~18のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【請求項20】
前記
対象からの生体試料中の
、TREM1の
mRNA発現レベルまたはタンパク質発現レベルを決定すること
と組み合わせて使用される、請求項
14~19のいずれか一項に記載の
医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願の相互参照
本出願は、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2017年8月8日に出願された米国仮特許出願第62/542,563号の利益を主張するものである。
【0002】
2.配列表
本出願には、EFS-Web経由で提出されたものであり、かつ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる配列表が含まれる。20XX年XX月に作成された前述のASCIIコピーは、XXXXXUS_sequencelisting.txtという名前であり、サイズは、X,XXX,XXXバイトである。
【背景技術】
【0003】
3.背景
免疫は、腫瘍の増殖を防ぐ上で重要な役割を果たす。病変内に複雑な微小環境が発生し得、T細胞の動員にもかかわらず、多くの場合、発達中の腫瘤の効果的な制御ができない。腫瘍の排除と腫瘍の逃避との均衡を理解することは、骨髄細胞が腫瘍微小環境で果たす異なる役割の理解に依存し得る。
【0004】
腫瘍微小環境の骨髄集団としては、単球および好中球(時に、骨髄由来免疫制御細胞として大まかに分類される)、マクロファージ、および樹状細胞が顕著に挙げられる。腫瘍内骨髄性集団は、全体として、非刺激性または抑制性と長い間考えられていたが、ごく最近、腫瘍浸潤性骨髄細胞のすべてが機能的に同等ではないことが認識された。
【0005】
正常組織では、これらの骨髄細胞の多くは、自然免疫および適応免疫の両方が適切に機能するため、特に創傷修復のために不可欠である。しかしながら、癌の状況では、著しく過剰な、これらの細胞型および他の細胞型のマクロファージおよび機能不全または歪んだ集団が、一般的に記載されている。CD68またはCD163などの単一のマーカーによって定義される集合集団とみなされると、「マクロファージ」浸潤は、複数の腫瘍タイプにわたる患者の予後不良と相関する((de Visser,Cancer Immunol Immunother,2008;57:1531-9(非特許文献1)),(Hanada et al.,Int J Urol 2000;7:263-9(非特許文献2)),(Yao et al.Clin Cancer Res,520,2001;7:4021-6(非特許文献3)),(Ruffell et al.,PNAS,523 2012;109:2796-801(非特許文献4)))。しかし、腫瘍微小環境からのマクロファージの表現型および機能的サブセットは、マクロファージと樹状細胞との類似性によって複雑になり、腫瘍生物学では問題がある。形態学的基準が多くの場合この問題に適用されており、樹状細胞をマクロファージから区別することを試みる1つのアプローチは、樹状細胞はよりスパイク状または樹状の形態、マクロファージはよりベール状または球状の形態に基づいていた(Bell et al.,J Exp Med 555,1999;190:1417-26(非特許文献5))。他の群は、遺伝マーカーと細胞表面マーカーに基づいて区別することを試みている。
【0006】
腫瘍内の抗原提示区画には多様性があり、T細胞は抗原提示細胞(APC)の特徴を区別することができる。T細胞は腫瘍免疫の主要なドライバーであるため、同種のAPCの正確な特徴を理解することが重要であろう。骨髄細胞は、腫瘍由来抗原をT細胞に提示し、それによりT細胞を活性化状態に維持することができる細胞の中でも顕著である。抗原提示は、腫瘍自体の内部で発生し、腫瘍細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の機能に影響を与える可能性がある。抗原提示細胞(APC)によるT細胞の活性化は、抗原特異性免疫応答および腫瘍細胞死滅の重要な構成要素である。これらの骨髄細胞集団は、入ってくる腫瘍反応性細胞傷害性Tリンパ球の主要なT細胞相互作用パートナーおよび抗原提示細胞を表すため、それらの違いを理解することが治療の道筋を導き得る。
【0007】
骨髄細胞上に発現するトリガー受容体1(TREM1であるが、CD354、HGNC:17760、Entrez Gene:54210、UniProtKB:Q9NP99としても知られている)は、受容体の免疫グロブリンスーパーファミリーに属しており、好中球、単球、およびマクロファージを含む骨髄細胞のサブセット上に高度に発現する。TREM1は、シグナル伝達モチーフを欠いており、代わりに、受容体の活性化は、炎症応答の増幅をもたらすアダプターDAP12(DNAX活性化タンパク質12)を介して媒介される(Bouchon,et al(2000)J.Immunol.164(10):4991-4995(非特許文献6))。具体的には、TREM1の架橋は、IL-8、ミエロペルオキシダーゼ、TNFα、およびMCP-1の発現を誘発する。TREM1発現は、Toll様受容体刺激(細菌および真菌刺激)に応答して骨髄細胞上で上方制御され、敗血症性ショックおよび感染中の急性炎症応答に寄与し、増幅することが示されている(Cohen,(2001)Lancet.358:776-778(非特許文献7))。TREM1のリガンドはとらえどころのないままであるが、最近、PGLYRP1(ペプチドグリカン認識タンパク質1)は、TREM1の強力なリガンドとして同定された(Read et al,(2015)J of Immunol.194:1417-1421(非特許文献8))。マウスには、TREM1、2、3、4、および5を含むTREM受容体の5つの活性化型があり、感染中にTREM1の可溶型(sTREM1)が放出される。マウスTREM1およびヒトホモログTREM1は、46%という比較的低い配列同一性を共有する(Radaev、et al.(2003)Structure11:1527-1535(非特許文献9))。構造的に、TREM1は、約130のアミノ酸(その後に70のアミノ酸のネック領域が続く)の単一V型免疫グロブリン(Ig)様ドメイン(Ig-V)からなる。敗血症でTREM1が果たす役割に加えて、それは、炎症性腸疾患にも関連している。しかしながら、腫瘍の微小環境におけるTREM1の役割についてはほとんど知られていない。(Schenk,et al(2007)JCI.117:3097-3106(非特許文献10))。
【0008】
T細胞応答を刺激するのに効果のない細胞の負荷を選択的に減少させ、それにより腫瘍微小環境内の免疫応答を増強することを伴う、新規の癌治療アプローチに対する満たされていない必要性が存在する。
【0009】
本明細書に引用されているすべての特許、特許出願、出版物、文書、および記事は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【文献】de Visser,Cancer Immunol Immunother,2008;57:1531-9
【文献】Hanada et al.,Int J Urol 2000;7:263-9
【文献】Yao et al.Clin Cancer Res,520,2001;7:4021-6
【文献】Ruffell et al.,PNAS,523 2012;109:2796-801
【文献】Bell et al.,J Exp Med 555,1999;190:1417-26
【文献】Bouchon,et al(2000)J.Immunol.164(10):4991-4995
【文献】Cohen,(2001)Lancet.358:776-778
【文献】Read et al,(2015)J of Immunol.194:1417-1421
【文献】Radaev、et al.(2003)Structure11:1527-1535
【文献】Schenk,et al(2007)JCI.117:3097-3106
【発明の概要】
【0011】
4.概要
一態様では、骨髄細胞上に発現するトリガー受容体1(TREM1)を細胞表面上に発現する骨髄細胞を死滅、無能化、または枯渇させる方法であって、骨髄細胞を抗TREM1抗体またはその抗原結合断片と接触させることを含み、抗体が、活性Fc領域を含み、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性、補体依存性細胞傷害(CDC)活性、および抗体媒介性食作用(ADCP)活性のうちの少なくとも1つを含む、方法が本明細書に提供される。
【0012】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、活性Fc領域は、免疫細胞上の活性化Fcγ受容体(FcγR)に結合し、ADCC、CDC、およびADCPのうちの少なくとも1つによって骨髄細胞を死滅、無能化、または枯渇させる野生型非フコシル化ヒトIgG1 Fcであり、抗体は、TREM1の細胞外ドメインに結合する。
【0013】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、活性Fc領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fcを含む。いくつかの実施形態では、活性Fc領域は、野生型ヒトIgG1 Fcを含む。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、Fc領域は、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIc、FcγRIIIa、およびFcγRIIIbからなる群から選択されるFcγ受容体に結合する。
【0014】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、免疫細胞は、プロフェッショナル抗原提示細胞、マクロファージ、単球、ナチュラルキラー細胞、好中球、樹状細胞、またはB細胞である。
【0015】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、ADCC、CDC、およびADCPのうちの少なくとも1つによって骨髄細胞を死滅、無能化、または枯渇させ、任意選択的に、抗体は、ADCCによって骨髄細胞を死滅、無能化、または枯渇させ、任意選択的に、抗体は、CDCによって骨髄細胞を死滅、無能化、または枯渇させ、任意選択的に、抗体は、ADCPによって骨髄細胞を死滅、無能化、または枯渇させる。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、ADCC、CDC、およびADCPのうちの少なくとも1つにより骨髄細胞を死滅させる。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、ADCC、CDC、およびADCPのうちの少なくとも1つにより骨髄細胞を無能化させる。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、ADCC、CDC、およびADCPのうちの少なくとも1つにより骨髄細胞を枯渇させる。
【0016】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はフコシル化されていない。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、非フコシル化抗体は、操作された細胞内で安定に発現し、操作された細胞は、シュードモナス酵素GDP-6-デオキシ-D-リキソ-4-ヘキシロース還元酵素(RMD)を過剰発現する。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、活性Fc領域は、Fc領域内に1つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0017】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、中和抗体、モノクローナル抗体、アンタゴニスト抗体、アゴニスト抗体、ポリクローナル抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、二重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、完全長抗体、および抗原結合断片のうちの少なくとも1つである。
【0018】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性を有する。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、補体依存性細胞傷害(CDC)活性を有する。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、抗体媒介性食作用(ADCP)活性を有する。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、受容体-リガンド遮断、アゴニズム、またはアンタゴニズム活性を有する。
【0019】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はTREM1の細胞外ドメインに結合する。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、0.2nM以下のKDでTREM1に結合する。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、0.09nM、0.11nM、または0.15nM以下のKDでTREM1に結合する。
【0020】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、骨髄細胞は刺激性骨髄細胞である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、骨髄細胞は非刺激性骨髄細胞である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、骨髄細胞は、樹状細胞、腫瘍関連マクロファージ(TAM)、好中球、または単球のうちの少なくとも1つを含む。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、骨髄細胞は好中球である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、骨髄細胞は腫瘍関連マクロファージである。
【0021】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、骨髄細胞は腫瘍内にある。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、骨髄細胞は、刺激性骨髄細胞および非刺激性骨髄細胞を含む免疫細胞の集団内にある。
【0022】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、骨髄細胞は、(i)CD45+、HLA-DR-、CD15+、(ii)CD45+、HLA-DR-、CD16+、CD56-、NKp44-、NKp30-、NKp46-、NKp80-、(iii)CD45+、HLA-DR-、CD14+、(iv)CD45+、HLA-DR+、およびCD14+、(v)CD45+HLA-DR+、CD16+、CD56-、NKp44-、NKp30-、NKp46-、NKp80-、(vi)CD45+HLA-DR+CD14+、CD16+、(vii)CD45+、HLA-DR-、CD66b+、(viii)CD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、CD11b+、およびCD11c+、(ix)CD45+、CD14+、HLA-DR+、CD68高、CD20-、ならびに(x)CD45+、HLA-DR+、CD14-、CD11c+、およびBDCA1+のうちの少なくとも1つである細胞を含む。
【0023】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、接触させることは、骨髄細胞のアポトーシス、溶解、または成長停止を誘発する。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、接触させることは、それを必要とする対象においてインビボで起こり、任意選択的に、対象は癌を有する。
【0024】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、癌は固形癌である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、癌は液状癌である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、癌は、黒色腫、腎臓、肝胆道、頭頸部扁平上皮癌(HNSC)、膵臓、結腸、膀胱、膠芽腫、前立腺、肺、乳房、卵巣、胃、腎臓、膀胱、食道、腎、黒色腫、および中皮腫からなる群から選択される。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、癌は結腸癌または乳癌である。
【0025】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、接触させることは、対象における免疫応答を増強する。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、増強された免疫応答は適応免疫応答である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、増強された免疫応答は自然免疫応答である。
【0026】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、対象は、免疫療法を以前に受けたことがあるか、同時に受けているか、またはその後受けることになる。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、免疫療法は、チェックポイント阻害剤、T細胞のチェックポイント阻害剤、抗PD1、抗PDL1、抗CTLA4、養子T細胞療法、CAR-T細胞療法、樹状細胞ワクチン、単球ワクチン、T細胞および抗原提示細胞の両方に結合する抗原結合タンパク質、BiTE二重抗原結合タンパク質、トール様受容体リガンド、サイトカイン、細胞毒性療法、化学療法、放射線療法、低分子阻害剤、低分子アゴニスト、免疫調節薬、およびエピジェネティック調節薬のうちの少なくとも1つである。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、免疫療法は抗PD1である。
【0027】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、接触させることはインビトロまたはインビボである。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、対象はヒトである。
【0028】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、放射性核種、細胞毒、化学療法剤、薬品、プロドラッグ、毒素、酵素、免疫調節剤、抗血管新生剤、アポトーシス促進剤、サイトカイン、ホルモン、オリゴヌクレオチド、アンチセンス分子、siRNA、二次抗体、および二次抗体断片からなる群から選択される少なくとも1つの治療剤にコンジュゲートされる。
【0029】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、方法は、対象において実質的な末梢好中球減少を誘発しない。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗TREM1抗体との接触前と比較して、抗TREM1抗体との接触後の末梢における対象の好中球レベルが実質的に同じままである。
【0030】
別の態様では、非刺激性骨髄細胞を死滅させる方法であって、非刺激性骨髄細胞を、骨髄細胞上に発現する抗トリガー受容体1(TREM1)抗体と接触させ、それにより非刺激性骨髄細胞を死滅させることを含む方法が本明細書に提供される。
【0031】
別の態様では、非刺激性骨髄細胞を無能化させる方法であって、非刺激性骨髄細胞を抗TREM1抗体と接触させ、それにより非刺激性骨髄細胞を無能化させることを含む方法が本明細書に提供される。
【0032】
別の態様では、刺激性骨髄細胞および非刺激性骨髄細胞を含む免疫細胞の集団において、刺激性骨髄細胞の非刺激性骨髄細胞に対する比率を増加させる方法であって、免疫細胞の集団を抗TREM1抗体と接触させ、それにより刺激性骨髄細胞の非刺激性骨髄細胞に対する比率を増加させる方法が本明細書に提供される。
【0033】
別の態様では、刺激性骨髄細胞および非刺激性骨髄細胞を含む免疫細胞の集団において、非刺激性骨髄細胞の数を減少させる方法であって、免疫細胞の集団を抗TREM1抗体と接触させ、それにより非刺激性骨髄細胞の数を減少させることを含む方法が本明細書に提供される。
【0034】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、非刺激性骨髄細胞は、刺激性骨髄細胞および非刺激性骨髄細胞を含む免疫細胞の集団内にある。
【0035】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、方法は、免疫細胞の集団から非刺激性骨髄細胞を除去することをさらに含む。
【0036】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、非刺激性骨髄細胞は腫瘍関連マクロファージである。
【0037】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、非刺激性骨髄細胞は樹状細胞である。
【0038】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、およびCD14+である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、CD11b+、およびCD11c+である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14-、CD11c+、およびBDCA1+である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14-、CD11c+、およびBDCA3+ではない。
【0039】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性を有する。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、補体依存性細胞傷害(CDC)活性を有する。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、抗体媒介性食作用活性を有する。
【0040】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はモノクローナル抗体である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はポリクローナル抗体である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はIgG1抗体である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はIgG3抗体である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はIgG2抗体ではない。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はIgG4抗体ではない。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は二重特異性抗体である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はヒト抗体である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はヒト化抗体である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は完全長である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は断片である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はコンジュゲートされる。
【0041】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、放射性核種、細胞毒、化学療法剤、薬品、プロドラッグ、毒素、酵素、免疫調節剤、抗血管新生剤、アポトーシス促進剤、サイトカイン、ホルモン、オリゴヌクレオチド、アンチセンス分子、siRNA、二次抗体、および二次抗体断片からなる群から選択される少なくとも1つの治療剤にコンジュゲートされる。
【0042】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はTREM1に対して選択的である。
【0043】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はアンタゴニスト抗体である。
【0044】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、接触させることは、非刺激性骨髄細胞のアポトーシスを誘発する。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、接触させることは、非刺激性骨髄細胞の溶解を誘発する。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、接触させることは、非刺激性骨髄細胞における成長停止を誘発する。
【0045】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14-、CD11c+、およびBDCA3+である細胞を含む。
【0046】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、非刺激性骨髄細胞は癌組織内にある。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、免疫細胞の集団は癌組織内にある。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、癌は固形癌である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、癌は液状癌である。
【0047】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、癌は、黒色腫、腎臓、肝胆道、頭頸部扁平上皮癌(HNSC)、膵臓、結腸、膀胱、膠芽腫、前立腺、肺、および乳房からなる群から選択される。
【0048】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、接触させることはインビトロである。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、接触させることはインビボである。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、インビボは、ヒト内にあり、接触させることは、抗体を投与することによってもたらされる。
【0049】
別の態様では、個体内の癌を治療する方法であって、抗TREM1抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む方法が、本明細書で提供される。
【0050】
別の態様では、個体の免疫応答を増強する方法であって、抗TREM1抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む方法が、本明細書に提供される。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性を有する。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、補体依存性細胞傷害(CDC)活性を有する。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、抗体媒介性食作用活性を有する。
【0051】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はモノクローナル抗体である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はポリクローナル抗体である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はIgG1抗体である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はIgG3抗体である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はIgG2抗体ではない。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はIgG4抗体ではない。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は二重特異性抗体である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はヒト抗体である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はヒト化抗体である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は完全長である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は断片である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はコンジュゲートされる。
【0052】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、放射性核種、細胞毒、化学療法剤、薬品、プロドラッグ、毒素、酵素、免疫調節剤、抗血管新生剤、アポトーシス促進剤、サイトカイン、ホルモン、オリゴヌクレオチド、アンチセンス分子、siRNA、二次抗体、および二次抗体断片からなる群から選択される少なくとも1つの治療剤にコンジュゲートされる。
【0053】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はTREM1に対して選択的である。
【0054】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はアンタゴニスト抗体である。
【0055】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体の投与は、個体における非刺激性骨髄細胞の死滅、個体における非刺激性骨髄細胞を無能化、または個体における刺激性骨髄細胞の非刺激性骨髄細胞に対する比率の増加をもたらす。
【0056】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、非刺激性細胞および刺激性骨髄細胞は、癌組織内にある。
【0057】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、生体試料は癌組織に由来する。
【0058】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、癌は固形癌である。
【0059】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、癌は液状癌である。
【0060】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、癌は、黒色腫、腎臓、肝胆道、頭頸部扁平上皮癌(HNSC)、膵臓、結腸、膀胱、膠芽腫、前立腺、肺、および乳房からなる群から選択される。
【0061】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体の投与は、個体における非刺激性骨髄細胞の死滅をもたらす。
【0062】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、およびCD14+である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、CD11b+、およびCD11c+である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14-、CD11c+、およびBDCA1+である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14-、CD11c+、およびBDCA3+ではない。
【0063】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、個体からの生体試料中のTREM1の発現レベルを決定することをさらに含む。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、TREM1の発現レベルは、TREM1のmRNA発現レベルを含む。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、TREM1の発現レベルは、TREM1のタンパク質発現レベルを含む。
【0064】
別の態様では、TREM1タンパク質に結合し、非刺激性骨髄細胞を無能化することができる抗体が本明細書で提供される。
【0065】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、無能化は、a)非刺激性骨髄細胞の死滅、b)非刺激性骨髄細胞の磁気ビーズ枯渇、またはc)非刺激性骨髄細胞のFACS選別によるものである。
【0066】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はTREM1の生物活性を中和する。
【0067】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、TREM1は、非刺激性骨髄細胞の表面上に発現する。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、非刺激性骨髄細胞は腫瘍関連マクロファージである。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、非刺激性骨髄細胞は樹状細胞である。
【0068】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、およびCD14+である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、CD11b+、およびCD11c+である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14-、CD11c+、およびBDCA1+である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14-、CD11c+、およびBDCA3+ではない。
【0069】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性を有する。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、補体依存性細胞傷害(CDC)活性を有する。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、抗体媒介性食作用活性を有する。
【0070】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はモノクローナル抗体である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はポリクローナル抗体である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はIgG1抗体である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はIgG3抗体である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はIgG2抗体ではない。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はIgG4抗体ではない。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は二重特異性抗体である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はヒト抗体である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はヒト化抗体である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は完全長である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は断片である。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はコンジュゲートされる。
【0071】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体は、放射性核種、細胞毒、化学療法剤、薬品、プロドラッグ、毒素、酵素、免疫調節剤、抗血管新生剤、アポトーシス促進剤、サイトカイン、ホルモン、オリゴヌクレオチド、アンチセンス分子、siRNA、二次抗体、および二次抗体断片からなる群から選択される少なくとも1つの治療剤にコンジュゲートされる。
【0072】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はTREM1に対して選択的である。
【0073】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、抗体はアンタゴニスト抗体である。
【0074】
別の態様では、本明細書で提供される抗体のうちのいずれか1つおよび薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物が本明細書で提供される。一実施形態では、組成物は無菌である。
【0075】
別の態様では、本明細書に記載の抗体のうちのいずれか1つを含み、さらに使用説明書を含むキットが本明細書で提供される。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、キットは、二次抗体、免疫組織化学分析のための試薬、薬学的に許容可能な賦形剤、および取扱説明書、ならびにそれらの任意の組み合わせを含む群から選択される構成要素をさらに含む。
【0076】
別の態様では、本明細書に記載される組成物のうちのいずれか1つを含む製造物品が本明細書に提供される。
【0077】
別の態様では、本発明は、非刺激性骨髄細胞の存在または非存在を決定する方法であって、非刺激性骨髄細胞および刺激性骨髄細胞を含む免疫細胞の集団を抗TREM1抗体と接触させることと、抗体の非刺激性骨髄細胞への結合を示す複合体の存在を決定することと、任意選択的に、集団中の非刺激性骨髄細胞の数を定量化することと、を含む、方法を提供する。
【0078】
別の態様では、本発明は、癌の治療のための免疫療法に応答し得る個体を特定する方法であって、個体からの生体試料中のTREM1の発現レベルを検出することと、TREM1の発現レベルに基づいて、個体が免疫療法に応答するかどうかを決定することであって、健康な個体のレベルに比べて個体のTREM1のレベルが高い場合は、個体が免疫療法に応答し得ることを示す、決定することと、を含む、方法を提供する。
【0079】
本明細書の実施形態のいずれか1つでは、免疫療法は、抗TREM1抗体による治療を含む。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、TREM1の発現レベルは、TREM1のmRNA発現レベルを含む。本明細書の実施形態のいずれか1つでは、TREM1の発現レベルは、TREM1のタンパク質発現レベルを含む。
[本発明1001]
骨髄細胞上に発現するトリガー受容体1(TREM1)を細胞表面上に発現する骨髄細胞を死滅、無能化、または枯渇させる方法であって、
前記骨髄細胞を抗TREM1抗体またはその抗原結合断片と接触させることを含み、
前記抗体が、活性Fc領域を含み、かつ抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性、補体依存性細胞傷害(CDC)活性、および抗体媒介性食作用(ADCP)活性のうちの少なくとも1つを含む、
方法。
[本発明1002]
前記活性Fc領域が、
免疫細胞上の活性化Fcγ受容体(FcγR)に結合して、ADCC、CDC、およびADCPのうちの少なくとも1つによって前記骨髄細胞を死滅、無能化、または枯渇させる、野生型非フコシル化ヒトIgG1 Fc
であり、
前記抗体が、TREM1の細胞外ドメインに結合する、
本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記活性Fc領域が、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fcを含む、本発明1001の方法。
[本発明1004]
前記活性Fc領域が、野生型ヒトIgG1 Fcを含む、本発明1001の方法。
[本発明1005]
前記Fc領域が、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIc、FcγRIIIa、およびFcγRIIIbからなる群から選択されるFcγ受容体に結合する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1006]
前記免疫細胞が、プロフェッショナル抗原提示細胞、マクロファージ、単球、ナチュラルキラー細胞、好中球、樹状細胞、またはB細胞である、本発明1005の方法。
[本発明1007]
前記抗体が、ADCC、CDC、およびADCPのうちの少なくとも1つによって前記骨髄細胞を死滅、無能化、または枯渇させ、任意選択的に、前記抗体が、ADCCによって前記骨髄細胞を死滅、無能化、または枯渇させ、任意選択的に、前記抗体が、CDCによって前記骨髄細胞を死滅、無能化、または枯渇させ、任意選択的に、前記抗体が、ADCPによって前記骨髄細胞を死滅、無能化、または枯渇させる、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1008]
前記抗体が、ADCC、CDC、およびADCPのうちの少なくとも1つによって前記骨髄細胞を死滅させる、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1009]
前記抗体が、ADCC、CDC、およびADCPのうちの少なくとも1つによって前記骨髄細胞を無能化する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1010]
前記抗体が、ADCC、CDC、およびADCPのうちの少なくとも1つによって前記骨髄細胞を枯渇させる、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1011]
前記抗体がフコシル化されていない、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1012]
前記非フコシル化抗体が、操作された細胞内で安定に発現し、前記操作された細胞が、シュードモナス酵素GDP-6-デオキシ-D-リキソ-4-ヘキシロース還元酵素(RMD)を過剰発現する、本発明1007の方法。
[本発明1013]
前記活性Fc領域が、前記Fc領域内に1つ以上のアミノ酸置換を含む、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1014]
前記抗体が、中和抗体、モノクローナル抗体、アンタゴニスト抗体、アゴニスト抗体、ポリクローナル抗体、IgG1抗体、IgG2抗体、IgG3抗体、二重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、完全長抗体、および抗原結合断片のうちの少なくとも1つである、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1015]
前記抗体が、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性を有する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1016]
前記抗体が、補体依存性細胞傷害(CDC)活性を有する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1017]
前記抗体が、抗体媒介性食作用(ADCP)活性を有する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1018]
前記抗体が、受容体-リガンド遮断、アゴニズム、またはアンタゴニズム活性を有する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1019]
前記抗体が、前記TREM1の細胞外ドメインに結合する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1020]
前記抗体が、0.2nM以下のK
D
でTREM1に結合する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1021]
前記抗体が、0.09nM、0.11nM、または0.15nM以下のK
D
でTREM1に結合する、本発明1020の方法。
[本発明1022]
前記骨髄細胞が刺激性骨髄細胞である、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1023]
前記骨髄細胞が非刺激性骨髄細胞である、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1024]
前記骨髄細胞が、樹状細胞、腫瘍関連マクロファージ(TAM)、好中球、または単球のうちの少なくとも1つを含む、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1025]
前記骨髄細胞が好中球である、本発明1024の方法。
[本発明1026]
前記骨髄細胞が腫瘍関連マクロファージである、本発明1025の方法。
[本発明1027]
前記骨髄細胞が腫瘍内にある、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1028]
前記骨髄細胞が、刺激性骨髄細胞および非刺激性骨髄細胞を含む免疫細胞の集団内にある、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1029]
前記骨髄細胞が、(i)CD45
+
、HLA-DR
-
、CD15
+
、(ii)CD45
+
、HLA-DR
-
、CD16
+
、CD56
-
、NKp44
-
、NKp30
-
、NKp46
-
、NKp80
-
、(iii)CD45
+
、HLA-DR
-
、CD14
+
、(iv)CD45
+
、HLA-DR
+
、およびCD14
+
、(v)CD45
+
HLA-DR
+
、CD16
+
、CD56
-
、NKp44
-
、NKp30
-
、NKp46
-
、NKp80
-
、(vi)CD45
+
HLA-DR
+
CD14
+
、CD16
+
、(vii)CD45
+
、HLA-DR
-
、CD66b
+
、(viii)CD45
+
、HLA-DR
+
、CD14
+
、BDCA3
-
、CD11b
+
、およびCD11c
+
、(ix)CD45
+
、CD14
+
、HLA-DR
+
、CD68
高
、CD20
-
、ならびに(x)CD45
+
、HLA-DR
+
、CD14
-
、CD11c
+
、およびBDCA1
+
のうちの少なくとも1つである細胞を含む、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1030]
前記接触させることが、前記骨髄細胞のアポトーシス、溶解、または成長停止を誘発する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1031]
前記接触させることが、それを必要とする対象においてインビボで起こり、任意選択的に、前記対象が癌を有する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1032]
前記癌が固形癌である、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1033]
前記癌が液状癌である、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1034]
前記癌が、黒色腫、腎臓、肝胆道、頭頸部扁平上皮癌(HNSC)、膵臓、結腸、膀胱、膠芽腫、前立腺、肺、乳房、卵巣、胃、腎臓、膀胱、食道、腎、黒色腫、および中皮腫からなる群から選択される、本発明1032の方法。
[本発明1035]
前記癌が結腸癌または乳癌である、本発明1034の方法。
[本発明1036]
前記接触させることが、前記対象における免疫応答を増強する、本発明1031の方法。
[本発明1037]
前記増強された免疫応答が適応免疫応答である、本発明1036の方法。
[本発明1038]
前記増強された免疫応答が自然免疫応答である、本発明1036の方法。
[本発明1039]
前記対象が、免疫療法を以前に受けたことがあるか、同時に受けているか、またはその後受けることになる、本発明1031~1038のいずれかの方法。
[本発明1040]
前記免疫療法が、チェックポイント阻害剤、T細胞のチェックポイント阻害剤、抗PD1、抗PDL1、抗CTLA4、養子T細胞療法、CAR-T細胞療法、樹状細胞ワクチン、単球ワクチン、T細胞および抗原提示細胞の両方に結合する抗原結合タンパク質、BiTE二重抗原結合タンパク質、トール様受容体リガンド、サイトカイン、細胞毒性療法、化学療法、放射線療法、低分子阻害剤、低分子アゴニスト、免疫調節薬、およびエピジェネティック調節薬のうちの少なくとも1つである、本発明1039の方法。
[本発明1041]
前記免疫療法が抗PD1である、本発明1040の方法。
[本発明1042]
前記接触させることが、インビトロまたはインビボである、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1043]
前記対象がヒトである、本発明1031~1042のいずれかの方法。
[本発明1044]
前記抗体が、放射性核種、細胞毒、化学療法剤、薬品、プロドラッグ、毒素、酵素、免疫調節剤、抗血管新生剤、アポトーシス促進剤、サイトカイン、ホルモン、オリゴヌクレオチド、アンチセンス分子、siRNA、二次抗体、および二次抗体断片からなる群から選択される少なくとも1つの治療剤にコンジュゲートされる、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1045]
前記対象において実質的な末梢好中球減少を誘発しない、本発明1031~1044のいずれかの方法。
[本発明1046]
前記抗TREM1抗体との接触前と比較して、前記抗TREM1抗体との接触後の前記末梢における前記対象の好中球レベルが実質的に同じままである、本発明1045の方法。
[本発明1047]
非刺激性骨髄細胞を死滅させる方法であって、
前記非刺激性骨髄細胞を、骨髄細胞上に発現する抗トリガー受容体1(TREM1)抗体またはその抗原結合断片と接触させ、それにより前記非刺激性骨髄細胞を死滅させることを含み、
任意選択的に、前記非刺激性骨髄細胞が、腫瘍形成促進性骨髄細胞である、
方法。
[本発明1048]
非刺激性骨髄細胞を無能化させる方法であって、
前記非刺激性骨髄細胞を抗TREM1抗体と接触させ、それにより前記非刺激性骨髄細胞を無能化させることを含み、
任意選択的に、前記非刺激性骨髄細胞が、腫瘍形成促進性骨髄細胞である、
方法。
[本発明1049]
刺激性骨髄細胞および非刺激性骨髄細胞を含む免疫細胞の集団において、刺激性骨髄細胞の非刺激性骨髄細胞に対する比率を増加させる方法であって、
前記免疫細胞の集団を抗TREM1抗体と接触させ、それにより刺激性骨髄細胞の非刺激性骨髄細胞に対する比率を増加させることを含み、
任意選択的に、前記非刺激性骨髄細胞が、腫瘍形成促進性骨髄細胞である、
方法。
[本発明1050]
刺激性骨髄細胞および非刺激性骨髄細胞を含む免疫細胞の集団において、非刺激性骨髄細胞の数を減少させる方法であって、
前記免疫細胞の集団を抗TREM1抗体と接触させ、それにより非刺激性骨髄細胞の数を減少させることを含み、
任意選択的に、前記非刺激性骨髄細胞が、腫瘍形成促進性骨髄細胞である、
方法。
[本発明1051]
非刺激性骨髄細胞が、刺激性骨髄細胞および非刺激性骨髄細胞を含む免疫細胞の集団内にある、本発明1047~1048のいずれかの方法。
[本発明1052]
前記免疫細胞の集団から前記非刺激性骨髄細胞を除去することをさらに含む、本発明1050の方法。
[本発明1053]
前記非刺激性骨髄細胞が、腫瘍関連マクロファージまたはウイルス感染マクロファージであり、任意選択的に、前記ウイルスがHIVである、本発明1047~1052のいずれかの方法。
[本発明1054]
前記非刺激性骨髄細胞が樹状細胞である、本発明1047~1052のいずれかの方法。
[本発明1055]
前記非刺激性骨髄細胞が、CD45
+
、HLA-DR
+
、およびCD14
+
である、本発明1047~1052のいずれかの方法。
[本発明1056]
前記非刺激性骨髄細胞が、CD45
+
、HLA-DR
+
、CD14
+
、BDCA3
-
、CD11b
+
、およびCD11c
+
である、本発明1047~1052のいずれかの方法。
[本発明1057]
前記非刺激性骨髄細胞が、CD45
+
、HLA-DR
+
、CD14
-
、CD11c
+
、およびBDCA1
+
である、本発明1047~1052のいずれかの方法。
[本発明1058]
前記非刺激性骨髄細胞が、CD45
+
、HLA-DR
+
、CD14
-
、CD11c
+
、およびBDCA3
+
ではない、本発明1047~1052のいずれかの方法。
[本発明1059]
前記抗体が、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性を有する、本発明1047~1058のいずれかの方法。
[本発明1060]
前記抗体が、補体依存性細胞傷害(CDC)活性を有する、本発明1047~1058のいずれかの方法。
[本発明1061]
前記抗体が、抗体媒介食作用活性を有する、本発明1047~1058のいずれかの方法。
[本発明1062]
前記抗体がモノクローナル抗体である、本発明1047~1061のいずれかの方法。
[本発明1063]
前記抗体がポリクローナル抗体である、本発明1047~1061のいずれかの方法。
[本発明1064]
前記抗体がIgG1抗体である、本発明1047~1063のいずれかの方法。
[本発明1065]
前記抗体がIgG3抗体である、本発明1047~1063のいずれかの方法。
[本発明1066]
前記抗体がIgG2抗体ではない、本発明1047~1063のいずれかの方法。
[本発明1067]
前記抗体がIgG4抗体ではない、本発明1047~1063のいずれかの方法。
[本発明1068]
前記抗体が二重特異性抗体である、本発明1047~1067のいずれかの方法。
[本発明1069]
前記抗体がヒト抗体である、本発明1047~1068のいずれかの方法。
[本発明1070]
前記抗体がヒト化抗体である、本発明1047~1068のいずれかの方法。
[本発明1071]
前記抗体が完全長である、本発明1047~1070のいずれかの方法。
[本発明1072]
前記抗体が断片である、本発明1047~1070のいずれかの方法。
[本発明1073]
前記抗体がコンジュゲートされる、本発明1047~1072のいずれかの方法。
[本発明1074]
前記抗体が、放射性核種、細胞毒、化学療法剤、薬品、プロドラッグ、毒素、酵素、免疫調節剤、抗血管新生剤、アポトーシス促進剤、サイトカイン、ホルモン、オリゴヌクレオチド、アンチセンス分子、siRNA、二次抗体、および二次抗体断片からなる群から選択される少なくとも1つの治療剤にコンジュゲートされる、本発明1073の方法。
[本発明1075]
前記抗体がTREM1に対して選択的である、本発明1047~1074のいずれかの方法。
[本発明1076]
前記抗体がアンタゴニスト抗体である、本発明1047~1075のいずれかの方法。
[本発明1077]
前記接触させることが、前記非刺激性骨髄細胞のアポトーシスを誘発する、本発明1047~1075のいずれかの方法。
[本発明1078]
前記接触させることが、前記非刺激性骨髄細胞の溶解を誘発する、本発明1047~1075のいずれかの方法。
[本発明1079]
前記接触させることが、前記非刺激性骨髄細胞における成長停止を誘発する、本発明1048または1053~1075のいずれかの方法。
[本発明1080]
前記刺激性骨髄細胞が、CD45
+
、HLA-DR
+
、CD14
-
、CD11c
+
、およびBDCA3
+
である細胞を含む、本発明1049~1079のいずれかの方法。
[本発明1081]
前記非刺激性骨髄細胞が癌組織内にある、本発明1047~1080のいずれかの方法。
[本発明1082]
前記免疫細胞の集団が癌組織内にある、本発明1047~1081のいずれかの方法。
[本発明1083]
前記癌が固形癌である、本発明1081または1082のいずれかの方法。
[本発明1084]
前記癌が液状癌である、本発明1081または1082のいずれかの方法。
[本発明1085]
前記癌が、黒色腫、腎臓、肝胆道、頭頸部扁平上皮癌(HNSC)、膵臓、結腸、膀胱、膠芽腫、前立腺、肺、および乳房からなる群から選択される、本発明1081または1082のいずれかの方法。
[本発明1086]
前記接触させることが、インビトロである、本発明1047~1085のいずれかの方法。
[本発明1087]
前記接触させることが、インビボである、本発明1047~1085のいずれかの方法。
[本発明1088]
前記インビボが、ヒト内であり、前記接触させることが、前記抗体を投与することによってもたらされる、本発明1087の方法。
[本発明1089]
個体内の癌を治療する方法であって、抗TREM1抗体を含む有効量の組成物を前記個体に投与することを含む、方法。
[本発明1090]
個体の免疫応答を増強する方法であって、抗TREM1抗体を含む有効量の組成物を前記個体に投与することを含む、方法。
[本発明1091]
前記抗体が、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性を有する、本発明1089~1090のいずれかの方法。
[本発明1092]
前記抗体が、補体依存性細胞傷害(CDC)活性を有する、本発明1089~1090のいずれかの方法。
[本発明1093]
前記抗体が、抗体媒介性食作用活性を有する、本発明1089~1090のいずれかの方法。
[本発明1094]
前記抗体がモノクローナル抗体である、本発明1089~1093のいずれかの方法。
[本発明1095]
前記抗体がポリクローナル抗体である、本発明1089~1093のいずれかの方法。
[本発明1096]
前記抗体がIgG1抗体である、本発明1089~1095のいずれかの方法。
[本発明1097]
前記抗体がIgG3抗体である、本発明1089~1095のいずれかの方法。
[本発明1098]
前記抗体がIgG2抗体ではない、本発明1089~1095のいずれかの方法。
[本発明1099]
前記抗体がIgG4抗体ではない、本発明1089~1095のいずれかの方法。
[本発明1100]
前記抗体が二重特異性抗体である、本発明1089~1099のいずれかの方法。
[本発明1101]
前記抗体がヒト抗体である、本発明1089~1100のいずれかの方法。
[本発明1102]
前記抗体がヒト化抗体である、本発明1089~1100のいずれかの方法。
[本発明1103]
前記抗体が完全長である、本発明1089~1102のいずれかの方法。
[本発明1104]
前記抗体が断片である、本発明1089~1102のいずれかの方法。
[本発明1105]
前記抗体がコンジュゲートされる、本発明1089~1104のいずれかの方法。
[本発明1106]
前記抗体が、放射性核種、細胞毒、化学療法剤、薬品、プロドラッグ、毒素、酵素、免疫調節剤、抗血管新生剤、アポトーシス促進剤、サイトカイン、ホルモン、オリゴヌクレオチド、アンチセンス分子、siRNA、二次抗体、および二次抗体断片からなる群から選択される少なくとも1つの治療剤にコンジュゲートされる、本発明1105の方法。
[本発明1107]
前記抗体がTREM1に対して選択的である、本発明1089~1106のいずれかの方法。
[本発明1108]
前記抗体がアンタゴニスト抗体である、本発明1089~1107のいずれかの方法。
[本発明1109]
前記抗体の前記投与が、前記個体における非刺激性骨髄細胞の死滅、前記個体における非刺激性骨髄細胞の無能化、または前記個体における刺激性骨髄細胞の非刺激性骨髄細胞に対する比率の増加をもたらす、本発明1091または1092~1107のいずれかの方法。
[本発明1110]
前記非刺激性細胞および刺激性骨髄細胞が、癌組織内にある、本発明1109の方法。
[本発明1111]
生体試料が癌組織に由来する、本発明1090の方法。
[本発明1112]
前記癌が固形癌である、本発明1090、1092~1108、1111、または1112のいずれかの方法。
[本発明1113]
前記癌が液状癌である、本発明1090、1092~1108、1111、または1112のいずれかの方法。
[本発明1114]
前記癌が、黒色腫、腎臓、肝胆道、頭頸部扁平上皮癌(HNSC)、膵臓、結腸、膀胱、膠芽腫、前立腺、肺、および乳房からなる群から選択される、本発明1090、1092~1108、1111、または1112のいずれかの方法。
[本発明1115]
前記抗体の前記投与が、前記個体における非刺激性骨髄細胞の死滅をもたらす、本発明1090~1114のいずれかの方法。
[本発明1116]
前記非刺激性骨髄細胞が、CD45
+
、HLA-DR
+
、およびCD14
+
である、本発明1115の方法。
[本発明1117]
前記非刺激性骨髄細胞が、CD45
+
、HLA-DR
+
、CD14
+
、BDCA3
-
、CD11b
+
、およびCD11c
+
である、本発明1115の方法。
[本発明1118]
前記非刺激性骨髄細胞が、CD45
+
、HLA-DR
+
、CD14
-
、CD11c
+
、およびBDCA1
+
である、本発明1115の方法。
[本発明1119]
非刺激性骨髄細胞が、CD45
+
、HLA-DR
+
、CD14
-
、CD11c
+
、およびBDCA3
+
ではない、本発明1115の方法。
[本発明1120]
前記個体からの生体試料中のTREM1の発現レベルを決定することをさらに含む、本発明1118または1119のいずれかの方法。
[本発明1121]
前記TREM1の発現レベルが、TREM1のmRNA発現レベルを含む、本発明1120の方法。
[本発明1122]
前記TREM1の発現レベルが、TREM1のタンパク質発現レベルを含む、本発明1120の方法。
[本発明1123]
TREM1タンパク質に結合し、非刺激性骨髄細胞を無能化することができる、抗体。
[本発明1124]
前記無能化が、
(a)前記非刺激性骨髄細胞の死滅、
(b)前記非刺激性骨髄細胞の磁気ビーズ枯渇、または
(c)前記非刺激性骨髄細胞のFACS選別
によるものである、本発明1123の抗体。
[本発明1125]
TREM1の生物活性を中和する、本発明1123の抗体。
[本発明1126]
前記TREM1が、非刺激性骨髄細胞の表面上に発現する、本発明1124の抗体。
[本発明1127]
前記非刺激性骨髄細胞が腫瘍関連マクロファージである、本発明1123~1126のいずれかの抗体。
[本発明1128]
前記非刺激性骨髄細胞が樹状細胞である、本発明1123~1126のいずれかの抗体。
[本発明1129]
前記非刺激性骨髄細胞が、CD45
+
、HLA-DR
+
、およびCD14
+
である、本発明1123~1128のいずれかの抗体。
[本発明1130]
前記非刺激性骨髄細胞が、CD45
+
、HLA-DR
+
、CD14
+
、BDCA3
-
、CD11b
+
、およびCD11c
+
である、本発明1123~1128のいずれかの方法。
[本発明1131]
前記非刺激性骨髄細胞が、CD45
+
、HLA-DR
+
、CD14
-
、CD11c
+
、およびBDCA1
+
である、本発明1123~1128のいずれかの抗体。
[本発明1132]
前記非刺激性骨髄細胞が、CD45
+
、HLA-DR
+
、CD14
-
、CD11c
+
、およびBDCA3
+
ではない、本発明1123~1128のいずれかの抗体。
[本発明1133]
抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)活性を有する、本発明1123~1132のいずれかの抗体。
[本発明1134]
補体依存性細胞傷害(CDC)活性を有する、本発明1123~1132のいずれかの抗体。
[本発明1135]
抗体媒介性食作用活性を有する、本発明1123~1132のいずれかの抗体。
[本発明1136]
モノクローナル抗体である、本発明1123~1135のいずれかの抗体。
[本発明1137]
ポリクローナル抗体である、本発明1123~1135のいずれかの抗体。
[本発明1138]
IgG1抗体である、本発明1123~1137のいずれかの抗体。
[本発明1139]
IgG3抗体である、本発明1123~1137のいずれかの抗体。
[本発明1140]
IgG2抗体ではない、本発明1123~1137のいずれかの抗体。
[本発明1141]
IgG4抗体ではない、本発明1123~1137のいずれかの抗体。
[本発明1142]
二重特異性抗体である、本発明1123~1141のいずれかの抗体。
[本発明1143]
ヒト抗体である、本発明1123~1141のいずれかの抗体。
[本発明1144]
ヒト化抗体である、本発明1123~1141のいずれかの抗体。
[本発明1145]
完全長である、本発明1123~1144のいずれかの抗体。
[本発明1146]
断片である、本発明1123~1144のいずれかの抗体。
[本発明1147]
コンジュゲートされる、本発明1123~1144のいずれかの抗体。
[本発明1148]
放射性核種、細胞毒、化学療法剤、薬品、プロドラッグ、毒素、酵素、免疫調節剤、抗血管新生剤、アポトーシス促進剤、サイトカイン、ホルモン、オリゴヌクレオチド、アンチセンス分子、siRNA、二次抗体、および二次抗体断片からなる群から選択される少なくとも1つの治療剤にコンジュゲートされる、本発明1147の抗体。
[本発明1149]
TREM1に対して選択的である、本発明1123~1148のいずれかの抗体。
[本発明1150]
アンタゴニスト抗体である、本発明1123~1148のいずれかの抗体。
[本発明1151]
本発明1123~1150のいずれかの抗体および薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物。
[本発明1152]
無菌である、本発明1151の組成物。
[本発明1153]
本発明1123~1152のいずれかの抗体を含み、さらに使用説明書を含む、キット。
[本発明1154]
二次抗体、免疫組織化学分析のための試薬、薬学的に許容可能な賦形剤および取扱説明書、ならびにそれらの任意の組み合わせを含む群から選択される構成要素をさらに含む、本発明1153のキット。
[本発明1155]
本発明1123~1154のいずれかの組成物を含む、製造物品。
[本発明1156]
非刺激性骨髄細胞の存在または非存在を決定する方法であって、
a.非刺激性骨髄細胞および刺激性骨髄細胞を含む免疫細胞の集団を抗TREM1抗体と接触させることと、
b.前記抗体の非刺激性骨髄細胞への結合を示す複合体の存在を決定することと、
c.任意選択的に、前記集団中の非刺激性骨髄細胞の数を定量化することと
を含む、方法。
[本発明1157]
癌の治療のための免疫療法に応答し得る個体を特定する方法であって、
a.前記個体からの生体試料中のTREM1の発現レベルを検出することと、
b.前記TREM1の発現レベルに基づいて、前記個体が免疫療法に応答するかどうかを決定することであって、健康な個体のレベルと比べて前記個体のTREM1のレベルが高い場合は、前記個体が免疫療法に応答し得ることを示す、決定することと
を含む、方法。
[本発明1158]
前記免疫療法が抗TREM1抗体による治療を含む、本発明1157の方法。
[本発明1159]
前記TREM1の発現レベルが、TREM1のmRNA発現レベルを含む、本発明1157の方法。
[本発明1160]
前記TREM1の発現レベルが、TREM1のタンパク質発現レベルを含む、本発明1157の方法。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】抗mTREM1抗体を用いた、組み換えおよび細胞ベースの特異性TREM1結合、エピトープビニング、ADCC/ADCP機能実験の結果を示す。
【
図2】アイソタイプ対照およびPI-9067sと比較したMC38モデルの単剤療法としてのPI-9069S治療の抗腫瘍活性を示す。
【
図3】アイソタイプ、PI-9067s、およびPI-9069sの単剤治療に対する個々のMC38担腫瘍マウスの応答を示す。
【
図4】対照と比較したCT26モデルにおけるPI-9069Lと抗PD1の併用治療の抗腫瘍活性を示す。
【
図5】PI-9069Lおよび抗PD1の併用治療に対する個々のCT26担腫瘍マウスの応答を示す。
【
図6】4つの別個の同系腫瘍モデルにおけるPI-9069sまたはLを用いた腫瘍内受容体占有および薬力学研究の実験計画の概略図を示す。
【
図7】PI-9069sまたはPI-9069Lは腫瘍内TAMおよび単球枯渇スコアを増加させることを示す。
【
図8】PI-9069sまたはPI-9069Lが4つの別個の同系腫瘍モデルでは腫瘍内骨髄特異性RO活性を示すことを示す。
【
図9】PI-9069sまたはPI-9069Lが4つの別個の同系腫瘍モデルでは腫瘍内骨髄特異性PD活性を示すことを示す。
【
図10】MC38モデルにおけるPI-9069Lの用量増加効果実験を示しており、その効果は腫瘍内単球の枯渇と相関している。
【
図11】PI-9069Lがナイーブマウスの血液および骨髄中の単球を有意に減少させるが、好中球を減少させず、単球前駆細胞を枯渇させている可能性があることを示す。
【
図12】抗hTREM1抗体を用いた、細胞ベースの特異性TREM1結合、エピトープビニング、ADCC/ADCP機能実験の結果を示す。
【
図13】一次ヒト腫瘍試料のDCおよびリンパ球と比較して、TREM1がTAM上に高度に発現していることを示す。
【
図14】は、抗hTREM1抗体を用いたビニング実験の結果を示す。
【
図15】PI-8421がhTREM1に結合するがcTREM1には結合しないことを示す。
【
図16】PI-8421および0170がレポーターアッセイシステムにおいて同様のADCCおよびADCP活性を有することを示す。
【
図17】PI-8421が一次マクロファージ設定においてADCCおよびADCP活性を誘発することを示す。HEK(hTREM1)xPI-8421は一番左である。HEK(hTREM1)xアイソタイプは中央左である。HEK(対照)xPI-8421は中央右である。HEK(対照)xアイソタイプは一番右である。
【
図18】様々なマウスモノクローナル抗体(mAb)の特性化を示す。
図18Aは、抗マウスTREM1mAbのフローサイトメトリーに基づくエピトープビニングを示す。(+)はクロスブロッキングを示し、(-)は非クロスブロッキングを示す。
図18Bは、抗マウスTREM1mAb結合のドメインマッピングを示す。「はい」は結合を示し、「いいえ」は結合がないことを示す。
図18Cは、3つのmAbの生化学的特性化の概要を示す。
【
図19】抗マウスTREM1mAbの結合、およびBALB/c脾細胞製剤中の好中球に対する特異性を示す。
【
図20】細胞結合アッセイおよびADCC/ADCPレポーターアッセイにおける野生型または非フコシル化抗マウスTREM1mAbの結合および機能特性の比較を示す。
【
図21】マウス同系マウス腫瘍研究計画の概略図を示す。
【
図22】PI-9067L(
図22Aおよび22B)およびPI-4928(
図22Cおよび22D)のCT26およびMC38モデルにおける好中球の腫瘍内受容体占有を示す。
【
図23】PI-9067Lのインビボ治療結果を示す。PI-9067Lは、CT26腫瘍のTMEにおいて、好中球数および従来の単球数(
図23Aおよび23B)を減少させるが、TおよびNK細胞数(
図23C)は減少させない。示された免疫集団の絶対数が示される。各群は、少なくとも5匹のマウスを表す。
【
図24】CT26同系マウス腫瘍モデルにおける抗PD-1と組み合わせたPI-9067L媒介性抗腫瘍活性を示す。PI-9067Lの非フコシル化は、抗PD-1と組み合わせて抗腫瘍活性を改善する(
図24A)。平均腫瘍体積が示されている(10匹のマウス/群)。
図24Bおよび24Cは、それぞれ抗PD-1と組み合わせたPI-9067LおよびAfuc-PI-9067Lの個々の腫瘍体積を示す。
【
図25】CT26同系マウス腫瘍モデルにおける抗PD-1と組み合わせたAfuc-PI-4928媒介性抗腫瘍活性を示す。
図25Aは、PI-4928の非フコシル化が、対照群と比較して抗PD-1と組み合わせて抗腫瘍活性を改善することを示す。平均腫瘍体積が示されている(10匹のマウス/群)。
図25Bは、研究終了時の各群の個々の腫瘍体積を示す。
【
図26】MC38腫瘍細胞を移植し、示されたmAbで処理したC57BL/6マウスの経時的な腫瘍体積を示す。Afuc-PI-9067Lは、PI-9067Lと比較して治療効果の増強を示さない(
図26A)。各曲線は、群ごとに10匹のマウスを表す。研究の終了時に各群の個々の腫瘍体積が示されている(
図26B)。
【
図27】Py8119細胞を移植し、アイソタイプ(
図27A)、抗PD-1(
図27B)、Afuc-PI-4928(
図27C)、またはAfuc-PI-4928+抗PD-1(
図27D)で処理したC57BL/6マウスの経時的な腫瘍体積を示す。各群における各マウスの個々の成長曲線が示される。
図27Eは、28日目の各群のエンドポイント腫瘍体積を示す。
【
図28】示された抗体またはアイソタイプ対照で投薬した後の、CT26(
図28A)およびMC38(
図28B)担腫瘍マウスのPI-9067LおよびPI-4928のインビボ血漿レベルを示す。
図28Cは、CT26担腫瘍マウスにおける野生型および非フコシル化PI-9067LおよびPI-4928のインビボ血漿レベルを示す。
【
図29】CT26(
図29A)およびMC38モデル(
図29B)における研究からの示された時点からの、PI-9067LもしくはAfuc-PI-9067L、または抗PD-1との組み合わせで治療されたマウスの平均体重測定値(群あたり10匹のマウスの平均+/-SD)を示す。
図29Cは、Py8119モデルで示された時点からの、Afuc-PI-4928単独または抗PD-1との組み合わせで治療されたマウスの平均体重測定値を示す。
【
図30】ナイーブマウス(
図30A)、または示されたmAbの2用量で処置されたCT26(
図30B)またはMC38(
図30C)担腫瘍マウスの好中球レベルを示す。好中球数は、Ly6GおよびCD11bゲーティングに基づいたフローサイトメトリーによって列挙された。n.s.は有意ではないことを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0081】
本発明のこれらおよび他の態様および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。本明細書に記載の様々な実施形態の特性の1つ、いくつか、またはすべてを組み合わせて、本発明の他の実施形態を形成し得ることを理解されたい。
【0082】
6.詳細な説明
TREM1抗体を使用して骨髄細胞を無能化させる(死滅させる)ことを含む、個体の免疫応答を増強するためのおよび/または個体の癌の治療のための方法および組成物が、本明細書で提供される。また、本明細書では、抗TREM1抗体を使用して、刺激性骨髄細胞の非刺激性骨髄細胞に対する比率を増加させるための方法および組成物も提供される。本明細書では、抗TREM1抗体を使用して骨髄細胞を検出するための方法および組成物も提供される。本明細書では、非刺激性骨髄細胞の存在または非存在を決定するための方法であって、非刺激性骨髄細胞および刺激性骨髄細胞を含む免疫細胞の集団を抗TREM1抗体と接触させることと、抗体の細胞への結合を示す複合体または部分を検出することと、任意選択的に、集団中の非刺激性骨髄細胞の数を定量化することと、を含む、方法が提供される。また、本明細書では、抗TREM1抗体を使用して、免疫応答を増強する療法に応答し得る個体を特定するための方法および組成物も提供される。
【0083】
別途定義されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語はすべて、当業者によって通常理解される意味と同一の意味を有する。
【0084】
本発明の実施は、特に明記しない限り、当技術分野の範囲内の一般化学、無機化学、有機化学、医薬化学、タンパク質生物学、タンパク質化学、薬理学、分子生物学、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の従来の技術を使用することになる。
【0085】
6.1.定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語、表記法および他の科学用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有することを意図する。いくつかの場合では、一般的に理解されている意味を持つ用語は、明確化および/またはすぐに参照することができるように本明細書で定義されており、本明細書でそのような定義を含めることは、当該技術分野で一般的に理解されているものとの違いを表すと必ずしも解釈されるべきではない。本明細書に記載または参照される技法および手順は、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 4th ed.(2012)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYに記載される広く利用される分子クローニング方法論などの当業者による従来の方法論を利用して、一般的によく理解され、かつ通常用いられる。必要に応じて、市販のキットおよび試薬の使用を伴う手順は、特に明記しない限り、一般的に製造業者定義のプロトコルおよび条件に従って実施される。
【0086】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、特に示されない限り、複数の参照を含む。
【0087】
本明細書に記載される本発明の態様および実施形態は、「含む」、「からなる」、および「から本質的になる」態様および実施形態を含むことが理解される。
【0088】
「約」という用語は、示された値およびその値の上下の範囲を示し、包含する。特定の実施形態では、「約」という用語は、指定値±10%、±5%、または±1%を示す。特定の実施形態では、適用可能な場合、「約」という用語は、指定値±その値(複数可)の1標準偏差を示す。
【0089】
「免疫グロブリン」という用語は、一般に2対のポリペプチド鎖(1対の軽(L)鎖および1対の重(H)鎖)を含む構造的に関連するタンパク質のクラスを指す。「完全な免疫グロブリン」では、これらの鎖の4つすべてがジスルフィド結合によって相互接続されている。免疫グロブリンの構造は十分に特徴付けられている。例えば、Paul,Fundamental Immunology 7th ed.,Ch.5(2013)Lippincott Williams&Wilkins,Philadelphia,PAを参照されたい。簡単に説明すると、各重鎖は、典型的には、重鎖可変領域(VH)および重鎖定常領域(CH)を含む。重鎖定常領域は、典型的には、CH1、CH2、およびCH3と略される3つのドメインを含む。各軽鎖は、典型的には、軽鎖可変領域(VL)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、典型的には、CLと略される1つのドメインを含む。
【0090】
「抗体」という用語は、本明細書ではその最も広い意味で使用され、抗原またはエピトープに特異的に結合する1つ以上の抗原結合ドメインを含む特定のタイプの免疫グロブリン分子を含む。抗体としては、特に、完全な抗体(例えば、完全な免疫グロブリン)、抗体断片、および多重特異性抗体が挙げられる。いくつかの実施形態では、抗体は代替の足場を含む。いくつかの実施形態では、抗体は代替の足場からなる。いくつかの態様では、抗体は代替の足場から本質的になる。いくつかの態様では、抗体は抗体断片を含む。いくつかの態様では、抗体は抗体断片からなる。いくつかの態様では、抗体は抗体断片から本質的になる。「TREM1抗体」、「抗TREM1抗体」または「TREM1特異性抗体」は、本明細書で提供されるように、抗原TREM1に特異的に結合する抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はTREM1の細胞外ドメインに結合する。特定の実施形態では、本明細書で提供されるTREM1抗体は、異なる種由来のTREM1タンパク質の間またはそれらのうちで保存されているTREM1のエピトープに結合する。
【0091】
「抗原結合ドメイン」という用語は、抗原またはエピトープに特異的に結合することができる抗体の部分を意味する。抗原結合ドメインの一例は、抗体のVH-VL二量体によって形成される抗原結合ドメインである。抗原結合ドメインの別の例は、アドネクチンの10番目のフィブロネクチンIII型ドメインからの特定のループの多様化によって形成される抗原結合ドメインである。抗原結合ドメインには、重鎖からのCDR1、2、および3がこの順序で含まれ、軽鎖からのCDR1、2、および3がこの順序で含まれ得る。
【0092】
「完全長抗体」、「完全な抗体」、および「全抗体」という用語は、自然に発生する抗体構造と実質的に類似の構造を有し、Fc領域を含む重鎖を有する抗体を指すために、本明細書で互換的に使用される。例えば、IgG分子を指すために使用される場合、「完全長抗体」とは、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む抗体である。
【0093】
「Fc領域」または「Fc」という用語は、自然に発生する抗体では、Fc受容体および補体系の特定のタンパク質と相互作用する免疫グロブリン重鎖のC末端領域を意味する。様々な免疫グロブリンのFc領域の構造、およびそこに含まれるグリコシル化部位は、当技術分野において知られている。参照によりその全体が組み込まれるSchroeder and Cavacini,J.Allergy Clin.Immunol.,2010,125:S41-52を参照されたい。Fc領域は、自然に発生するFc領域、または当技術分野または本開示の他の箇所に記載されているように改変されたFc領域であり得る。
【0094】
VHおよびVL領域は、さらに保存された領域が散在する超可変性の領域(「超可変領域(HVR)」、「相補性決定領域」(CDR)とも呼ばれる)にさらに細分され得る。より保存された領域は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。各VHおよびVLは、一般的に、以下の順序で(N末端からC末端に)配置された3つのCDRおよび4つのFRを含む:FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4。CDRは、抗原結合に関与し、抗体の抗原特異性および結合親和性に影響する。参照によりその全体が組み込まれるKabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest 5th ed.(1991)Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MDを参照されたい。
【0095】
任意の脊椎動物種からの軽鎖は、その定常ドメインの配列に基づいて、カッパ(κ)およびラムダ(λ)と呼ばれる2つのタイプのうちの1つに割り当てることができる。
【0096】
脊椎動物種の重鎖は、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMの5つの異なるクラス(またはアイソタイプ)のうちの1つに割り当てることができる。これらのクラスは、それぞれα、δ、ε、γ、およびμとも称される。IgGおよびIgAクラスは、配列および機能の違いに基づいてサブクラスにさらに分けられる。ヒトは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2のサブクラスを発現する。
【0097】
CDRのアミノ酸配列境界は、その各々は参照によりその全体が組み込まれる、Kabat et al.の上記(「Kabat」番号付けスキーム)、Al-Lazikani et al.,1997,J.Mol.Biol.,273:927-948(「Chothia」番号付けスキーム)、MacCallum et al.,1996,J.Mol.Biol.262:732-745(「Contact」番号付けスキーム)、Lefranc et al.,Dev.Comp.Immunol.,2003,27:55-77(「IMGT」番号付けスキーム)、およびHonegge and Pluckthun,J.Mol.Biol.,2001,309:657-70(「AHo」番号付けスキーム)によって記載されたものを含む、いくつかの既知の番号付けスキームのいずれかを使用して、当業者によって決定され得る。
【0098】
表1は、KabatおよびChothiaスキームによって特定されたCDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3の位置を提供する。CDR-H1の場合、KabatおよびChothiaの両方の番号付けスキームを使用して、残基の番号付けが提供される。
【0099】
CDRは、例えば、www.bioinf.org.uk/abs/abnum/で入手可能で、かつ参照によりその全体が組み込まれるAbhinandan and Martin,Immunology,2008,45:3832-3839に記載されているAbnumなどの抗体番号付けソフトウェアを使用して割り当てることができる。
【0100】
(表1)KabatおよびChothiaの番号付けスキームによるCDRの残基。
*CDR-H1のC末端は、Kabat番号付け規則を使用して番号付けされた場合、CDRの長さに応じてH32とH34との間で異なる。
【0101】
「EU番号付けスキーム」は、一般的に、抗体重鎖定常領域内の残基を指す場合に(例えば、上記のKabat et alで報告されているように)使用される。特に明記しない限り、EU番号付けスキームは、本明細書に記載の抗体重鎖定常領域の残基を指すために使用される。
【0102】
「抗体断片」は、完全な抗体の抗原結合領域または可変領域などの完全な抗体の一部を含む。抗体断片としては、例えば、Fv断片、Fab断片、F(ab’)2断片、Fab’断片、scFv(sFv)断片、およびscFv-Fc断片が挙げられる。
【0103】
「Fv」断片は、1つの重鎖可変ドメインおよび1つの軽鎖可変ドメインの非共有結合した二量体を含む。
【0104】
「Fab」断片としては、重鎖および軽鎖可変ドメインに加えて、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)が挙げられる。Fab断片は、例えば、組み換え方法により、または完全長抗体のパパイン消化によって生成され得る。
【0105】
「F(ab’)2」断片は、ヒンジ領域付近でジスルフィド結合によって結合された2つのFab’断片を含有する。F(ab’)2断片は、例えば、組み換え方法により、または完全な抗体のペプシン消化によって生成され得る。F(ab’)断片は、例えば、β-メルカプトエタノールによる処理によって解離することができる。
【0106】
「単鎖Fv」または「sFv」または「scFv」抗体断片は、単一のポリペプチド鎖内にVHドメインおよびVLドメインを含む。VHおよびVLは、一般的に、ペプチドリンカーによって連結される。Pluckthun A.(1994)を参照されたい。任意の好適なリンカーを使用することができる。いくつかの実施形態では、リンカーは(GGGGS)n(配列番号73)である。いくつかの実施形態では、n=1、2、3、4、5、または6である。参照によりその全体が組み込まれるAntibodies from Escherichia coli.Rosenberg M.& Moore G.P.(Eds.),The Pharmacology of Monoclonal Antibodies vol.113(pp.269-315).Springer-Verlag,New Yorkを参照されたい。
【0107】
「scFv-Fc」断片は、Fcドメインに付着したscFvを含む。例えば、Fcドメインは、scFvのC末端に結合し得る。Fcドメインは、scFv内の可変ドメインの向きに応じて、VHまたはVLに続き得る(すなわち、VH-VLまたはVL-VH)。当該技術分野で既知のまたは本明細書に記載される任意の好適なFcドメインが使用され得る。いくつかの場合では、FcドメインはIgG4 Fcドメインを含む。
【0108】
「単一ドメイン抗体」という用語は、抗体の1つの可変ドメインが他の可変ドメインの存在なしに抗原に特異的に結合する分子を指す。単一ドメイン抗体およびその断片は、その各々は参照によりその全体が組み込まれるArabi Ghahroudi et al.,FEBS Letters,1998,414:521-526 and Muyldermans et al.,Trends in Biochem.Sci.,2001,26:230-245に記載されている。単一ドメイン抗体は、sdAbまたはナノボディとしても知られている。
【0109】
「多重特異性抗体」は、2つ以上の異なるエピトープに集合的に特異的に結合する2つ以上の異なる抗原結合ドメインを含む抗体である。2つ以上の異なるエピトープは、同じ抗原(例えば、細胞によって発現する単一のTREM1分子)または異なる抗原(例えば、同じ細胞によって発現する異なるTREM1分子、またはTREM1分子および非TREM1分子)上のエピトープであり得る。いくつかの態様では、多重特異性抗体は、2つの異なるエピトープ(すなわち、「二重特異性抗体」)に結合する。いくつかの態様では、多重特異性抗体は、3つの異なるエピトープ(すなわち、「三重特異性抗体」)に結合する。
【0110】
「単一特異性抗体」は、単一のエピトープに特異的に結合する1つ以上の結合部位を含む抗体である。単一特異性抗体の例は、二価(すなわち、2つの抗原結合ドメインを有する)であるが、2つの抗原結合ドメインの各々で同じエピトープを認識する自然に発生するIgG分子である。結合特異性は、任意の好適な価数で存在し得る。
【0111】
「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団からの抗体を指す。実質的に均質な抗体の集団は、モノクローナル抗体の産生中に通常生じ得る変異体を除いて、実質的に類似し、同じエピトープ(複数可)に結合する抗体を含む。そのような変異体は、一般にほんの少量で存在する。モノクローナル抗体は、典型的には、複数の抗体から単一の抗体を選択することを含むプロセスによって得られる。例えば、選択プロセスは、ハイブリドーマクローン、ファージクローン、酵母クローン、細菌クローン、または他の組み換えDNAクローンのプールなど、複数のクローンからの固有のクローンの選択であり得る。選択された抗体をさらに変更して、例えば、標的に対する親和性(「親和性成熟」)を改善し、抗体をヒト化し、細胞培養でのその産生を改善し、および/または対象の免疫原性を低下させることができる。
【0112】
「キメラ抗体」という用語は、重鎖および/または軽鎖の一部が特定の供給源または種に由来し、重鎖および/または軽鎖の残りが異なる供給源または種に由来する抗体を指す。
【0113】
「ヒト抗体」は、ヒトまたはヒト細胞によって産生される抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列、またはヒト抗体レパートリーまたはヒト抗体コード配列(ヒトの供給源から得られるか、または新たに設計された)を利用する非ヒト供給源に由来するアミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体は、特にヒト化抗体を除外する。
【0114】
「親和性」とは、分子の単一結合部位(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原またはエピトープ)との間の非共有相互作用の合計の強度を指す。特に明記しない限り、本明細書で使用する「親和性」とは、結合対のメンバー(例えば、抗体および抗原またはエピトープ)の間の1:1相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。パートナーYに対する分子Xの親和性は、解離平衡定数(KD)によって表すことができる。解離平衡定数に寄与する運動成分については、以下でより詳細に説明する。親和性は、表面プラズモン共鳴(SPR)技法(例えば、BIACORE(登録商標))または生体層干渉法(例えば、FORTEBIO(登録商標))などの本明細書に記載の方法を含む、当該技術分野で既知の一般的な方法によって測定することができる。
【0115】
抗体の標的分子への結合に関して、特定の抗原(例えば、ポリペプチド標的)または特定の抗原上のエピトープに「結合する」、「特異的結合」、「特異的に結合する」、「特異的に結合する」、「選択的に結合する」、および「に対して選択的に」という用語は、非特異的または非選択的相互作用(例えば、非標的分子との)とは多少は異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、標的分子への結合を測定し、それを非標的分子への結合と比較することによって測定することができる。特異的結合は、標的分子上で認識されるエピトープを模倣する制御分子との競合によっても決定することができる。その場合、標的分子への抗体の結合が対照分子によって競合的に阻害される場合、特異的結合が示される。いくつかの態様では、非標的分子に対するTREM1抗体の親和性は、TREM1に対する親和性の約50%未満である。いくつかの態様では、非標的分子に対するTREM1抗体の親和性は、TREM1に対する親和性の約40%未満である。いくつかの態様では、非標的分子に対するTREM1抗体の親和性は、TREM1に対する親和性の約30%未満である。いくつかの態様では、非標的分子に対するTREM1抗体の親和性は、TREM1に対する親和性の約20%未満である。いくつかの態様では、非標的分子に対するTREM1抗体の親和性は、TREM1に対する親和性の約10%未満である。いくつかの態様では、非標的分子に対するTREM1抗体の親和性は、TREM1に対する親和性の約1%未満である。いくつかの態様では、非標的分子に対するTREM1抗体の親和性は、TREM1に対する親和性の約0.1%未満である。
【0116】
本明細書で使用される「kd」(秒-1)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度定数を指す。この値は、koff値とも称される。
【0117】
本明細書で使用される「ka」(M-1×秒-1)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の会合速度定数を指す。この値は、kon値とも称される。
【0118】
本明細書で使用される「KD」(M)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離平衡定数を指す。KD=kd/ka。いくつかの実施形態では、抗体の親和性は、そのような抗体とその抗原との間の相互作用に対するKDの観点から説明される。明確にするために、当技術分野で知られているように、より小さなKD値はより高い親和性相互作用を示し、より大きなKD値はより低い親和性相互作用を示す。
【0119】
本明細書で使用される「KA」(M-1)という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の会合平衡定数を指す。KA=ka/kd。
【0120】
「免疫複合体」は、治療薬(例えば、サイトカイン)または診断薬などの1つ以上の異種分子(複数可)にコンジュゲートされた抗体である。
【0121】
「エフェクタ機能」とは、抗体のFc領域によって媒介される生物活性を指し、その活性は抗体アイソタイプに応じて異なり得る。抗体エフェクタ機能の例としては、補体依存性細胞傷害(CDC)を活性化するC1q結合、抗体依存性細胞細胞傷害(ADCC)を活性化するFc受容体結合、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、受容体リガンド遮断、アゴニズム、またはアンタゴニズムが挙げられる。
【0122】
本明細書では2つ以上の抗体の文脈で使用される場合、「と競合する」または「交差競合する」という用語は、2つ以上の抗体が抗原(例えば、TREM1)への結合について競合することを示す。1つの例示的なアッセイでは、TREM1は、表面上にコーティングされ、第1のTREM1抗体と接触し、その後、第2のTREM1抗体が添加される。別の例示的なアッセイでは、第1のTREM1抗体が表面上にコーティングされ、TREM1と接触され、次いで第2のTREM1抗体が添加される。いずれかのアッセイで、第1のTREM1抗体の存在が第2のTREM1抗体の結合を低下させる場合、抗体は互いに競合する。「と競合する」という用語には、1つの抗体が別の抗体の結合を減少させるが、抗体が逆の順序で添加されるときに競合が観察されない抗体の組み合わせも含まれる。しかしながら、いくつかの実施形態では、第1および第2の抗体は、それらが添加される順序に関係なく、互いの結合を阻害する。いくつかの実施形態では、1つの抗体は、別の抗体のその抗原への結合を少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%だけ減少させる。当業者は、TREM1に対する抗体の親和性および抗体の価数に基づいて、競合アッセイで使用される抗体の濃度を選択することができる。この定義に記載されているアッセイは例示であり、当業者は、抗体が互いに競合するかどうかを決定するために任意の好適なアッセイを利用することができる。好適なアッセイは、例えば、その各々は参照によりその全体が組み込まれるCox et al.,“Immunoassay Methods,”Assay Guidance Manual[Internet],Updated December 24,2014(www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK92434/;accessed September 29,2015)、Silman et al.,Cytometry,2001,44:30-37、およびFinco et al.,J.Pharm.Biomed.Anal.,2011,54:351-358に記載されている。
【0123】
「エピトープ」という用語は、抗体に特異的に結合する抗原の一部を意味する。エピトープは、多くの場合、表面にアクセス可能なアミノ酸残基および/または糖側鎖からなり、特定の3次元構造特性ならびに特定の電荷特性を有し得る。立体配座エピトープおよび非立体配座エピトープは、変性溶媒の存在下で前者への結合が失われるが後者は失われない可能性があるという点で区別される。エピトープは、結合に直接関与するアミノ酸残基、および結合に直接関与しない他のアミノ酸残基を含み得る。抗体が結合するエピトープは、例えば、異なる点突然変異を有するTREM1変異体またはキメラTREM1変異体への抗体結合の試験などのエピトープ決定のための既知の技法を使用して決定することができる。
【0124】
ポリペプチド配列と参照配列との間のパーセントの「同一性」は、配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入して、最大パーセント配列の同一性を達成した後の、参照配列のアミノ酸残基と同一であるポリペプチド配列のアミノ酸残基の割合として定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定するためのアラインメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、MEGALIGN(DNASTAR)、CLUSTALW、CLUSTAL OMEGA、またはMUSCLEソフトウェアなどの一般公開されているコンピュータソフトウェアを使用して、当業者の技術範囲内の様々な方法において、達成することができる。当業者は、比較される配列の完全長にわたって最大の整列を達成するために必要とされる任意のアルゴリズムを含む、配列を整列させるための適切なパラメーターを決定することができる。
【0125】
「アミノ酸」という用語は、20種類の一般的な自然に発生するアミノ酸を指す。自然に発生するアミノ酸としては、アラニン(Ala、A)、アルギニン(Arg、R)、アスパラギン(Asn、N)、アスパラギン酸(Asp、D)、システイン(Cys、C)、グルタミン酸(Glu、E)、グルタミン(Gln、Q)、グリシン(Gly、G)、ヒスチジン(His、H)、イソロイシン(Ile、I)、ロイシン(Leu、L)、リジン(Lys、K)、メチオニン(Met、M)、フェニルアラニン(Phe、F)、プロリン(Pro、P)、セリン(Ser、S)、スレオニン(Thr、T)、トリプトファン(Trp、W)、チロシン(Tyr、Y)、およびバリン(Val、V)が挙げられる。
【0126】
本明細書で使用される「ベクター」という用語は、それが連結されている別の核酸を伝播することができる核酸分子を指す。この用語には、自己複製核酸構造としてのベクター、およびそれが導入されている宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターが含まれる。特定のベクターは、それらが動作可能に連結されている核酸の発現を指示することができる。そのようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と称される。
【0127】
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、および「宿主細胞培養」という用語は、互換的に使用され、外因性核酸が導入されている細胞、およびそのような細胞の子孫を指す。宿主細胞としては、「形質転換体」(または「形質転換細胞」)および「形質移入体」(または「トランスフェクト細胞」)が挙げられ、各々、一次形質転換またはトランスフェクト細胞およびそれに由来する子孫が含まれる。そのような子孫は、親細胞と核酸含量が完全に同一ではなく、変異を含む場合がある。
【0128】
本明細書に記載のすべての組成物、および本明細書に記載の組成物を使用するすべての方法について、組成物は、列挙した成分または工程を含むか、列挙した成分または工程から「本質的になる」。組成物が、列挙された成分から「本質的になる」ものとして記載されている場合、当該組成物は、列挙された成分を含有し、治療されている状態に実質的に影響を与えない他の成分を含有し得るが、明示的に列挙されたもの以外の治療されている状態に実質的に影響を与えるいずれの他の成分も含有しない。あるいは、組成物が、治療されている状態に実質的に影響を与える列挙されたもの以外の余分な成分を含有する場合、当該組成物は、治療されている状態に実質的に影響を与えるのに十分な濃度または量の余分な成分を含有しない。方法が、列挙された工程「から本質的になる」ものとして記載されている場合、当該方法は、列挙された工程を含み、治療されている状態に実質的に影響を与えない他の工程を含み得るが、当該方法は、明示的に列挙されている工程以外で治療されている状態に実質的に影響するいずれの他の工程も含まない。非限定的な特定の例として、組成物が成分から「本質的になる」と記載される場合、組成物は、任意の量の薬学的に許容可能な担体、ビヒクル、または希釈剤、および処理される状態に実質的に影響を及ぼさない他のそのような成分をさらに含有し得る。
【0129】
本明細書で使用される「有効量」または「治療有効量」は、単回投与または一連の投与の一部のどちらかとして個体に投与される抗TREM1抗体などの治療化合物の量を指し、それは、単独で、または別の治療法と組み合わせて、所望の治療効果を産生するまたはそれに寄与するのに有効である。所望の治療効果の例は、免疫応答を増強すること、腫瘍の発達を遅らせることまたは遅延させること、病気の安定化、1つ以上の症状の改善である。有効量は、1回以上の投与量で与えられ得る。
【0130】
「治療すること」(および「治療する」または「治療」などのその変形)という用語は、それを必要とする対象の疾患または状態の自然経過を変更しようとする試みにおける臨床的介入を指す。治療は、予防および臨床病理学の過程の両方のために実行することができる。治療の望ましい効果としては、疾患の発生または再発を予防すること、症状の緩和、疾患の任意の直接的または間接的な病理学的結果の減少、転移を予防すること、疾患の進行速度を低下させること、疾患状態の改善または緩和、および寛解または改善された予後が挙げられる。
【0131】
本明細書で使用される「対象」または「個体」という用語は、哺乳類の対象を意味する。例示的な対象としてが、ヒト、サル、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウシ、ウマ、ラクダ、ヤギ、ウサギ、およびヒツジが挙げられる。ある特定の実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、本明細書で提供される抗体で治療することができる疾患または状態を有する。いくつかの態様では、疾患または状態は癌である。いくつかの態様では、疾患または状態はウイルス感染である。
【0132】
「添付文書」という用語は、治療薬または診断薬の市販のパッケージ(キットなど)(そのような治療または診断製品の使用に関する指示、利用能、投与量、管理、併用療法、禁忌、および/またはや警告に関する情報を含む)に慣習上含まれている使用説明書を指すために使用される。
【0133】
本明細書で使用される「細胞傷害剤」という用語は、細胞機能を阻害または防止し、かつ/または細胞死または破壊を引き起こす物質を指す。
【0134】
「化学療法剤」とは、癌の治療に有用な化合物を指す。化学療法剤としては、癌の成長を促進することができるホルモンの効果を調節、低減、阻害(block)、または阻害(inhibit)する「抗ホルモン剤」または「内分泌治療薬」が挙げられる。
【0135】
「細胞増殖抑制剤」という用語は、インビトロまたはインビボのいずれかで細胞の成長を停止させる化合物または組成物を指す。いくつかの実施形態では、細胞増殖抑制剤は、S期の細胞の割合を減少させる薬剤である。いくつかの実施形態では、細胞増殖抑制剤は、S期の細胞の割合を少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約60%、または少なくとも約80%だけ減少させる。
【0136】
「腫瘍」という用語は、悪性または良性にかかわらず、すべての新生細胞の成長および増殖、ならびにすべての前癌性および癌性の細胞および組織を指す。「癌」、「癌性」、「細胞増殖性障害」、「増殖性障害」および「腫瘍」という用語は、本明細書で言及されるように相互に排他的ではない。「細胞増殖性障害」および「増殖性障害」という用語は、ある程度の異常な細胞増殖に関連する障害を指す。いくつかの実施形態では、細胞増殖性障害は癌である。いくつかの態様では、腫瘍は固形腫瘍である。いくつかの態様では、腫瘍は血液悪性腫瘍である。
【0137】
「医薬組成物」という用語は、その中に含有される活性成分の生物活性が対象を治療するのに有効であることを可能にするような形態であり、かつ医薬組成物で提供される量で対象に許容できないほど毒性である追加成分を含有しない製剤を指す。
【0138】
「同時投与」、「同時投与する」、および「と組み合わせて」という用語は、特定の時間制限なしで同時に、平行して、または連続して2つ以上の治療薬を投与することを含む。一実施形態では、薬剤は、細胞または対象の体内に同時に存在するか、またはそれらの生物学的または治療的効果を同時に発揮する。一実施形態では、治療薬は、同じ組成物または単位剤形である。他の実施形態では、治療薬は、別個の組成物または単位剤形である。特定の実施形態では、第1の薬剤は、第2の治療薬の投与の前(例えば、分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間前)、それと同時、またはそれの後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、または12週間後)に投与することができる。
【0139】
「調節する」および「調節」という用語は、列挙された変数を減少または阻害するか、あるいは活性化または増加することを指す。
【0140】
「増加する」および「活性化する」という用語は、列挙された変数の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、またはそれ以上の増加を指す。
【0141】
「減少する」および「阻害する」という用語は、列挙された変数の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、またはそれ以上の減少を指す。
【0142】
「刺激する」という用語は、受容体の活性化に関連する生物学的応答を誘発する受容体シグナル伝達の活性化を指す。「アゴニスト」とは、受容体に結合してそれを刺激する実体である。
【0143】
「拮抗する」という用語は、受容体の活性化に関連する生物学的応答を阻害する受容体シグナル伝達の阻害を指す。「アンタゴニスト」は、受容体に結合して拮抗する実体である。
【0144】
本明細書に記載の構造的および機能的特性のいずれについても、これらの特性を決定する方法は当技術分野で知られている。
【0145】
6.2.骨髄細胞
本明細書では、抗TREM1抗体の使用を含む、骨髄細胞を無能化、死滅、枯渇、および/または検出するための方法および組成物が提供される。本明細書では、TREM1タンパク質を発現する骨髄細胞を標的化および/または検出するための方法および組成物も提供される。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は非刺激性骨髄細胞である。他の実施形態では、骨髄細胞は刺激性骨髄細胞である。
【0146】
本明細書で使用されるように、非刺激性骨髄細胞は、免疫応答の刺激では十分に効果的ではない骨髄細胞である(例えば、刺激性骨髄細胞と比較して腫瘍微小環境における抗腫瘍応答を刺激する上では効果的ではない)。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、刺激性骨髄細胞と比較して、T細胞に抗原(例えば、腫瘍抗原)を提示するほど効果的ではなく、腫瘍特異性T細胞応答を刺激するほど効果的ではない。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、刺激性骨髄細胞と比較して、腫瘍関連抗原のT細胞への取り込み、処理、および/または提示能力の低下を表示し得る。非刺激性骨髄細胞は、細胞傷害性Tリンパ球を再プライミングする低下した能力を含むか、その能力をまったく含まない可能性があり、いくつかの場合では、効果的な腫瘍細胞死を刺激できない。非刺激性骨髄細胞は、刺激性骨髄細胞と比較して、CD80、CD86、MHCI、およびMHCIIを含むがこれらに限定されない、抗原処理、抗原提示、および/または抗原共刺激に関与する遺伝子および細胞表面マーカーのより低い発現を表示し得る。
【0147】
非刺激性骨髄細胞は、刺激性骨髄細胞と比較した場合、交差提示、共刺激、および/または刺激性サイトカインに関連する遺伝子(TAP1、TAP2、PSMB8、PSMB9、TAPBP、PSME2、CD24a、CD274、BTLA、CD40、CD244、ICOSL、ICAM1、TIM3、PDL2、RANK、FLT3、CSF2RB、CSF2RB2、CSF2RA、IL12b、XCR1、CCR7、CCR2、CCL22、CXCL9、およびCCL5のうちの任意の1つ以上を含むが、これらに限定されない)のより低い発現を表示し、抗炎症性サイトカインIL-10の増加した発現を表示し得る。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、分化および生存のために転写因子IRF4およびサイトカインGM-CSFまたはCSF-1に依存している。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、血管内皮成長因子(VEGF)および一酸化窒素シンターゼ(NOS)を分泌することによって腫瘍血管新生に寄与し、表皮成長因子(EGF)を分泌することによって腫瘍成長を支援することができる。
【0148】
いくつかの実施形態では、骨髄細胞は腫瘍内にある。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、刺激性骨髄細胞および非刺激性骨髄細胞を含む免疫細胞の集団内にある。
【0149】
いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、腫瘍関連マクロファージ(TAM)、好中球、単球、または樹状細胞(DC)のサブセットである。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は樹状細胞(DC)ではない。
【0150】
いくつかの実施形態では、骨髄細胞は腫瘍関連マクロファージ(TAM)である。TAMは、癌性腫瘍の近くまたは内部に存在するマクロファージであり、循環単球または常在組織マクロファージに由来する。
【0151】
いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞および刺激性骨髄細胞は、それらが発現するマーカー、またはそれらが選択的に発現するマーカーに基づいて区別される。細胞表面マーカーの発現は、「+」または「陽性」と説明することができる。細胞表面マーカーの不在は、「-」または「陰性」と説明することができる。細胞表面マーカーの発現は、細胞表面上の各マーカーの相対的発現を示す「高」(高レベルのマーカーを発現する細胞)または「低」(低レベルのマーカーを発現する細胞)としてさらに説明することができる。マーカーのレベルは、当該技術分野で既知の様々な方法、例えば、免疫染色およびFACS分析、遺伝子分析、またはゲル電気泳動およびウエスタンブロッティングによって決定され得る。
【0152】
いくつかの実施形態では、骨髄細胞は好中球である。
【0153】
いくつかの実施形態では、骨髄細胞は樹状細胞(DC)である。いくつかの実施形態では、樹状細胞は、スパイク状または樹状の形態によって区別することができる。一実施形態では、樹状細胞は、少なくともCD45+、HLA-DR+、CD14-、CD11c+、およびBDCA1+である(DC1細胞とも称される)。一実施形態では、樹状細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14-、CD11c+、およびBDCA3+ではない(DC2細胞とも称される)。一実施形態では、CD45+、HLA-DR+、CD14-、CD11c+、およびBDCA3+である樹状細胞は骨髄細胞である。
【0154】
いくつかの実施形態では、骨髄細胞は腫瘍関連マクロファージである。いくつかの実施形態では、例えばヒトでは、腫瘍関連マクロファージは、少なくともCD45+、HLA-DR+、CD14+である。いくつかの態様では、腫瘍関連マクロファージは、少なくともCD45+、HLA-DR+、CD14+、CD11b+である。いくつかの態様では、腫瘍関連マクロファージは、少なくともCD45+、HLA-DR+、CD14+、CD11c+である。いくつかの態様では、腫瘍関連マクロファージは、少なくともCD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-である。いくつかの態様では、腫瘍関連マクロファージは、少なくともCD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、CD11b+である。いくつかの態様では、腫瘍関連マクロファージは、少なくともCD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、CD11c+である。いくつかの態様では、腫瘍関連マクロファージは、少なくともCD45+、HLA-DR+、CD14+、CD11b+、およびCD11c+である。いくつかの態様では、腫瘍関連マクロファージは、少なくともCD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、CD11b+、およびCD11c+である。
【0155】
いくつかの実施形態では、本発明の方法および組成物は、他の哺乳動物、例えばマウスのTAMおよびDCを標的化するのに有用である。一実施形態では、例えばマウスでは、腫瘍関連マクロファージは、少なくともCD45+、HLA-DR+、CD14+、CD11b高、およびCD11c低(TAM1とも称される)である。一実施形態では、例えばマウスでは、腫瘍関連マクロファージは、少なくともCD45+、HLA-DR+、CD14+、CD11b低、およびCD11c高(TAM2とも称される)である。本明細書で使用される「CD11b高マクロファージ」という用語は、高レベルのCD11bを発現するマクロファージを指す。本明細書で使用される「CD11b低マクロファージ」という用語は、CD11b高マクロファージのレベルよりも実質的に低いCD11bのレベルを表面上で発現するマクロファージに関する。本明細書で使用される「CD11c高」という用語は、高レベルのCD11cを発現するマクロファージに関する。本明細書で使用される「CD11c低マクロファージ」という用語は、CD11c高マクロファージのレベルよりも実質的に低いCD11cのレベルをその表面上に発現するマクロファージに関する。
【0156】
いくつかの実施形態では、本発明の骨髄細胞は、TAMおよびDC1細胞のうちの1つ以上を含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、例えばマウスでは、本発明の骨髄細胞は、TAM1、TAM2、およびDC1細胞のうちの1つ以上を含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、腫瘍病変の縁部内または形質転換された腫瘍管内に局在し、同系のT細胞と接触する。一実施形態では、骨髄細胞の局在化が改変され、その結果、細胞は、もはや腫瘍縁部に局在化されないか、またはもはやT細胞と接触しない。
【0159】
いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、刺激性骨髄細胞および非刺激性骨髄細胞を含む免疫細胞の集団内にある。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、非刺激性骨髄細胞のみを含む免疫細胞の集団内にある。本発明の免疫細胞の集団は、純粋、均質、不均質で、様々な供給源(例えば、疾患組織、腫瘍組織、健康組織、細胞バンク)に由来し、一次細胞培養で維持、不死化培養で維持、および/またはエキソビボ培養で維持され得る。
【0160】
いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14-、CD11c+、およびBDCA1+である。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14-、CD11c+、およびBDCA1+である細胞を含む。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14-、CD11c+、およびBDCA1+からなる。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14-、CD11c+、およびBDCA1+である細胞から本質的になる。
【0161】
いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-である。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、およびBDCA3-である細胞を含む。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、およびBDCA3-である細胞からなる。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、およびBDCA3-である細胞から本質的になる。
【0162】
いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、CD11b+である。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、およびCD11b+である細胞を含む。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、およびCD11b+である細胞からなる。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、およびCD11b+である細胞から本質的になる。
【0163】
いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、CD11c+である。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、およびCD11c+である細胞を含む。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、およびCD11c+である細胞からなる。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、およびCD11c+である細胞から本質的になる。
【0164】
いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、およびCD11c+である。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、およびCD11c+である細胞を含む。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、およびCD11c+からなる。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、およびCD11c+である細胞から本質的になる。
【0165】
いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、CD11b+である。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、CD11b+である細胞を含む。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、CD11b+からなる。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、CD11b+である細胞から本質的になる。
【0166】
いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、CD11b+、およびCD11c+である。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、CD11b+、およびCD11c+である細胞を含む。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、CD11b+、およびCD11c+からなる。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、CD11b+、およびCD11c+である細胞から本質的になる。
【0167】
いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、CD11b+、およびCD11c+である。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、CD11b+、およびCD11c+である細胞を含む。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、CD11b+、およびCD11c+である細胞からなる。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、CD11b+、およびCD11c+である細胞から本質的になる。
【0168】
いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14-、CD11c+、およびBDCA3+ではない。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14-、CD11c+、およびBDCA3+ではない細胞を含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、例えばマウスでは、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、CD11b高、およびCD11c低である。いくつかの実施形態では、例えばマウスでは、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、CD11b高、およびCD11c低である細胞を含む。いくつかの実施形態では、例えばマウスでは、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、CD11b高、およびCD11c低である細胞からなる。いくつかの実施形態では、例えばマウスでは、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、CD11b高、およびCD11c低である細胞から本質的になる。
【0170】
いくつかの実施形態では、例えばマウスでは、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、CD11b低、およびCD11c高である。いくつかの実施形態では、例えばマウスでは、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、CD11b低、およびCD11c高である細胞を含む。いくつかの実施形態では、例えばマウスでは、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、CD11b低、およびCD11c高である細胞からなる。いくつかの実施形態では、例えばマウスでは、非刺激性骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、CD11b低、およびCD11c高である細胞から本質的になる。
【0171】
いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR-、およびCD15+である。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR-、およびCD15+である細胞を含む。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR-、およびCD15+である細胞からなる。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR-、およびCD15+である細胞から本質的になる。
【0172】
いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR-、CD16+、CD56-、NKp44-、NKp30-、NKp46-、NKp80-である。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR-、CD16+、CD56-、NKp44-、NKp30-、NKp46-、NKp80-である細胞を含む。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR-、CD16+、CD56-、NKp44-、NKp30-、NKp46-、NKp80-である細胞からなる。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR-、CD16+、CD56-、NKp44-、NKp30-、NKp46-、NKp80-である細胞から本質的になる。
【0173】
いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR-、CD14+である。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR-、CD14+である細胞を含む。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR-、CD14+である細胞からなる。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR-、CD14+である細胞から本質的になる。
【0174】
いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+である。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+である細胞を含む。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+である細胞からなる。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+である細胞から本質的になる。
【0175】
いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD16+、CD56-、NKp44-、NKp30-、NKp46-、NKp80-である。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD16+、CD56-、NKp44-、NKp30-、NKp46-、NKp80-である細胞を含む。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD16+、CD56-、NKp44-、NKp30-、NKp46-、NKp80-である細胞からなる。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD16+、CD56-、NKp44-、NKp30-、NKp46-、NKp80-である細胞から本質的になる。
【0176】
いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、CD16+である。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、CD16+である細胞を含む。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、およびCD16+である細胞からなる。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、およびCD16+である細胞から本質的になる。
【0177】
いくつかの実施形態では、骨髄細胞CD45+、HLA-DR-、CD66b+。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR-、CD66b+である細胞を含む。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR-、CD66b+である細胞からなる。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR-、CD66b+である細胞から本質的になる。
【0178】
いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、CD11b+、CD11c+である。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、CD11b+、CD11c+である細胞を含む。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、CD11b+、CD11c+である細胞からなる。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14+、BDCA3-、CD11b+、CD11c+である細胞から本質的になる。
【0179】
いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、CD14+、HLA-DR+、CD68高、CD20-である。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、CD14+、HLA-DR+、CD68高、CD20-である細胞を含む。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、CD14+、HLA-DR+、CD68高、CD20-である細胞からなる。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、CD14+、HLA-DR+、CD68高、CD20-である細胞から本質的になる。
【0180】
いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14-、CD11c+、BDCA1+である。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14-、CD11c+、BDCA1+である細胞を含む。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14-、CD11c+、BDCA1+である細胞からなる。いくつかの実施形態では、骨髄細胞は、CD45+、HLA-DR+、CD14-、CD11c+、BDCA1+である細胞から本質的になる。
【0181】
いくつかの実施形態では、骨髄細胞は癌組織内にある。いくつかの実施形態では、免疫細胞の集団は癌組織内にある。いくつかの実施形態では、非刺激性細胞および刺激性骨髄細胞は、癌組織内にある。いくつかの実施形態では、生体試料は、非刺激性骨髄細胞および刺激性骨髄細胞を含む免疫細胞の集団を含む。
【0182】
6.3.TREM1抗体で骨髄細胞を死滅、無能化、または枯渇させる方法
いくつかの実施形態では、抗体は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を有する。ADCCは、抗体が病原性または腫瘍形成性の標的細胞の表面上の抗原に結合するときに発生することができる。細胞傷害性T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好中球、好酸球、樹状細胞、単球など、それらの細胞表面上にFcガンマ受容体(FcγRまたはFCGR)を有するエフェクタ細胞は、標的細胞に結合した抗体のFc領域を認識し、それに結合する。そのような結合は、細胞死につながる細胞内シグナル伝達経路の活性化をトリガーすることができる。特定の実施形態では、抗体の免疫グロブリンFc領域サブタイプ(アイソタイプ)としては、ヒトIgG1およびIgG3が挙げられる。本明細書で使用される場合、ADCCは、Fc受容体(FcR)(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)を発現する非特異性細胞傷害性細胞が、標的細胞上の結合抗体を認識し、その後、標的細胞の細胞溶解を引き起こす細胞媒介性反応を指す。ADCCを媒介するための一次細胞であるNK細胞はFcγRIIIのみを発現するが、単球はFcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIを発現する。要約すると、造血細胞でのFcR発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457-92(1991)の464ページの表3である。対象の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号または同第5,821,337号に記載されているようなインビトロADCCアッセイが実行され得る。そのようなアッセイに有用なエフェクタ細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。あるいは、またはさらに、対象の分子のADCC活性は、例えば、Clynes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)95:652-656(1998)に開示されているような動物モデルでは、インビボで評価され得る。
【0183】
いくつかの実施形態では、抗体は、補体依存性細胞傷害(CDC)活性を有する。抗体誘発CDCは、古典的な補体カスケードのタンパク質を介して媒介され、補体タンパク質Clqの抗体への結合によってトリガーされる。Clqに結合する抗体Fc領域は、補体カスケードの活性化を誘発することができる。特定の実施形態では、抗体の免疫グロブリンFc領域サブタイプ(アイソタイプ)としては、ヒトIgG1およびIgG3が挙げられる。本明細書で使用される場合、CDCは、補体の存在下で標的を溶解する分子の能力を指す。補体活性化経路は、補体系の最初の成分(C1q)が、同族抗原と複合体を形成した分子(例えば、ポリペプチド(例えば、抗体))に結合することによって開始される。補体活性化を評価するために、CDCアッセイ、例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996)に記載されるものが実行され得る。
【0184】
いくつかの実施形態では、抗体は抗体依存性細胞食作用(ADCP)活性を有する。ADCPは、抗体が病原性または腫瘍形成性の標的細胞の表面上の抗原に結合するときに発生することができる。単球やマクロファージを含む、細胞表面上にFc受容体を持つ貪食細胞は、標的細胞に結合した抗体のFc領域を認識して、それに結合する。Fc受容体が抗体結合標的細胞に結合すると、標的細胞の食作用を開始することができる。
【0185】
いくつかの実施形態では、抗体は受容体リガンド遮断活性を有する。同族リガンドまたはアゴニストが受容体に結合してそれを活性化できないように、抗体が受容体に結合するときに、受容体リガンド遮断活性が生じる。抗体は、受容体上の活性部位または受容体上のアロステリック部位に結合することによって、受容体を遮断し得る。
【0186】
いくつかの実施形態では、抗体は免疫複合体を形成することができる。例えば、免疫複合体は、抗体で覆われた腫瘍細胞であり得る。
【0187】
一態様では、本出願は、非刺激性骨髄細胞を、骨髄細胞上に発現する抗トリガー受容体1(TREM1)抗体と接触させ、それにより非刺激性骨髄細胞の無能化をもたらす方法を提供する。
【0188】
いくつかの実施形態では、非刺激細胞は、DC1細胞およびTAM細胞のうちの1つ以上である。
【0189】
いくつかの実施形態では、本出願は、非刺激性骨髄細胞を無能化させる方法であって、非刺激性骨髄細胞をTREM1抗体と接触させ、それにより非刺激性骨髄細胞を死滅させることを含む方法を提供する。無能化とは、細胞を部分的または完全に機能しないようにすることである。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞の無能化は、細胞における成長停止を誘発することをもたらす。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞の無能化は、細胞におけるアポトーシスをもたらす。いくつかの実施形態では、非補体細胞の無能化は、例えば、補体依存性細胞傷害(CDC)または抗体依存性細胞傷害(ADCC)による細胞の溶解をもたらす。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞の無能化は、細胞のネクローシスをもたらす。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞の無能化は、細胞における成長停止を誘発することをもたらす。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞の無能化は、細胞を不活性化することをもたらす。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞の無能化は、細胞内のTREM1の活性を中和することをもたらす。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞の無能化は、細胞の増殖の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞の無能化は、細胞の分化をもたらす。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞の無能化は、阻害性抗原提示細胞として作用する細胞の能力の低下をもたらし、または活性化抗原提示細胞として作用する細胞の能力の増大をもたらす。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞の無能化は、腫瘍組織または腫瘍微小環境(TME)内の細胞の誤局在化をもたらす。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞の無能化は、腫瘍組織または腫瘍微小環境内の細胞の空間的構成の変化をもたらす。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞の無能化は、腫瘍組織またはTME内の細胞の経時的発現の変化をもたらす。いくつかの実施形態では、この方法は、非刺激性骨髄細胞を除去することをさらに含む。
【0190】
本明細書に記載の非刺激性骨髄細胞を無能化させることのありとあらゆる態様では、特性(複数可)または機能(複数可)の態様のいずれの増加または減少または変更も、抗TREM1抗体と接触していない細胞と比較したものである。
【0191】
別の態様では、本出願は、非刺激性骨髄細胞を、骨髄細胞上に発現する抗トリガー受容体1(TREM1)抗体と接触させ、それにより非刺激性骨髄細胞の機能の調節をもたらす方法を提供する。調節は、次のうちのいずれか1つ以上であり得る。いくつかの実施形態では、非刺激細胞は、DC1細胞、TAM1細胞、およびTAM2細胞のうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、機能の調節は、非刺激性骨髄細胞の無能化をもたらす。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞の機能の調節は、例えば、非刺激性細胞が交差して、MHCI分子上の腫瘍抗原をナイーブCD8+T細胞に提示する能力を増加させることによって、天然および活性化CD8+T細胞の両方を刺激する細胞の能力の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、調節は、例えば、T細胞受容体(TCR)シグナル伝達、T細胞増殖、またはT細胞サイトカイン産生をトリガーする細胞の能力を含む、非刺激性骨髄細胞のT細胞刺激機能を増加させる。一実施形態では、非刺激性細胞の生存が減少するか、または非刺激性細胞の増殖が減少する。一実施形態では、刺激性骨髄細胞の非刺激性骨髄細胞に対する比率が増加する。
【0192】
本明細書に記載の非刺激性骨髄細胞の機能を減少させることのありとあらゆる態様では、特性(複数可)または機能(複数可)の態様のいずれの増加または減少または変更も、抗TREM1抗体と接触していない細胞と比較したものである。
【0193】
いくつかの実施形態では、本出願は、非刺激性骨髄細胞を死滅(細胞死の誘発とも称される)させる方法であって、非刺激性骨髄細胞を、骨髄細胞上に発現する抗トリガー受容体1(TREM1)抗体と接触させ、それにより非刺激性骨髄細胞を死滅させることを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、死滅は、抗TREM1抗体と接触していない非刺激性骨髄細胞と比較して増加している。いくつかの実施形態では、接触させることは、非刺激性骨髄細胞のアポトーシスを誘発する。いくつかの実施形態では、接触させることは、非刺激性骨髄細胞のアポトーシスを誘発する。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、非刺激性骨髄細胞および刺激性骨髄細胞を含む免疫細胞の集団内にある。いくつかの実施形態では、この方法は、非刺激性骨髄細胞を除去することをさらに含む。いくつかの実施形態では、細胞の10%~80%が死滅する。いくつかの実施形態では、細胞の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、または80%が死滅する。
【0194】
いくつかの実施形態では、本出願は、刺激性骨髄細胞および非刺激性骨髄細胞を含む免疫細胞の集団において、刺激性骨髄細胞の非刺激性骨髄細胞に対する比率を増加させる方法であって、免疫細胞の集団を抗TREM1抗体と接触させることを含む、方法を提供する。いくつかの実施形態では、比率は、抗TREM1抗体と接触していない細胞の集団と比較して増加している。いくつかの実施形態では、DC2細胞のDC1細胞に対する比率が増加する。いくつかの実施形態では、DC2細胞のTAM1細胞に対する比率が増加する。いくつかの実施形態では、DC2細胞のTAM2細胞に対する比率が増加する。いくつかの実施形態では、DC2細胞のTAM1+TAM2細胞に対する比率が増加する。いくつかの実施形態では、DC2細胞のTAM1+DC1細胞に対する比率が増加する。いくつかの実施形態では、DC2細胞のDC1+TAM2細胞に対する比率が増加する。いくつかの実施形態では、DC2細胞のDC1+TAM1+TAM2細胞に対する比率が増加する。いくつかの実施形態では、少なくとも比率は10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%だけ増加する。
【0195】
いくつかの実施形態では、接触前の刺激性骨髄細胞と非刺激性骨髄細胞との比率は、0.001:1~0.1:1の範囲である。いくつかの実施形態では、接触後の刺激性骨髄細胞と非刺激性骨髄細胞との比率は、0.1:1~100:1の範囲である。
【0196】
いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞の数が減る。いくつかの実施形態では、刺激性骨髄細胞はDC2細胞である。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、例えばネクローシスまたはアポトーシスによって死滅する。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞は、成長停止を受けるように誘発される。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞はもはや増殖しない。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞の空間的局在化が変更され、TMEの特定の領域で比率が増加する。いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞の経時的発現が変化し、腫瘍の発達中の特定の時間中に比率が増加する。
【0197】
いくつかの実施形態では、接触させることはインビトロである。いくつかの実施形態では、接触させることはインビボである。いくつかの特定の実施形態では、接触させることはヒトのインビボである。いくつかの態様では、接触させることは、抗TREM1抗体を投与することによってもたらされる。いくつかの実施形態では、抗体を受け取る個体(ヒトなど)は癌を有する。
【0198】
別の態様では、本発明は、個体内の免疫関連状態(例えば、癌)を治療する方法であって、抗TREM1抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む方法を提供する。別の態様では、本発明は、個体内の免疫応答を増強する方法であって、抗TREM1抗体を含む有効量の組成物を個体に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、これらの方法は、PDL阻害療法、CTLA4阻害療法、T細胞上の阻害性分子が阻害される一般的なチェックポイント阻害療法、養子T細胞療法、CAR T細胞療法、樹状細胞または他の細胞療法、ならびに従来の化学療法などの他の共療法と組み合わせて、さらに提供される。
【0199】
いくつかの実施形態では、この方法は、個体からの生体試料中のTREM1の発現レベルを決定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、生体試料としては、体液、組織試料、臓器試料、尿、糞便、血液、唾液、CSF、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、生体試料は腫瘍組織に由来する。いくつかの実施形態では、TREM1の発現レベルは、TREM1のmRNA発現レベルを含む。いくつかの実施形態では、TREM1の発現レベルは、TREM1のタンパク質発現レベルを含む。いくつかの実施形態では、TREM1の発現レベルは、FACS、ウエスタンブロット、ELISA、免疫沈降、免疫組織化学、免疫蛍光、ラジオイムノアッセイ、ドットブロッティング、免疫検出方法、HPLC、表面プラズモン共鳴、光学分光法、質量分析法、HPLC、qPCR、RT-qPCR、マルチプレックスqPCRまたはRT-qPCR、RNA-seq、マイクロアレイ分析、SAGE、MassARRAY技法、およびFISH、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される方法を使用して、試料において検出される。
【0200】
別の態様では、本出願は、概して、非刺激性骨髄細胞の存在または非存在を決定するための方法、または特定の非刺激性骨髄細胞(例えば、DC1細胞、TAM1細胞、および/またはTAM2細胞)の存在または非存在を決定するための方法であって、非刺激性骨髄細胞を含む細胞の集団を抗TREM1抗体と接触させることと、非刺激性骨髄細胞の数を定量化することとを含む、方法を提供する。別の態様では、本出願は、非刺激性骨髄細胞の存在または非存在を決定するための方法であって、非刺激性骨髄細胞および刺激性骨髄細胞を含む免疫細胞の集団を抗TREM1抗体と接触させることと、抗体の細胞への結合を示す複合体または部分を検出することと、任意選択的に、集団中の非刺激性骨髄細胞の数を定量化することと、を含む、方法を提供する。別の態様では、非刺激性骨髄細胞と刺激性骨髄細胞との相対比率を決定する方法であって、非刺激性骨髄細胞および刺激性骨髄細胞を含む免疫細胞の集団を抗TREM1抗体と接触させることと、刺激性骨髄細胞および非刺激性骨髄細胞の数を定量化することと、非刺激性骨髄細胞と刺激性骨髄細胞との相対比率を決定することと、を含む、方法が提供される。
【0201】
検出および/または定量化のために本明細書に記載される実施形態では、抗TREM1抗体はTREM1タンパク質に結合するが、必ずしもADCCなどの生物学的応答をもたらす必要はないが、生物学的応答に影響を及ぼし得る。
【0202】
別の態様では、本発明は、免疫関連状態(例えば、癌)の治療のための免疫療法(例えば、抗TREM1抗体による)に応答し得る個体を同定するための方法であって、個体から生体試料中のTREM1の発現レベルを検出することと、TREM1の発現レベルに基づいて、個体が免疫療法に応答するかどうかを決定することと、を含み、健康な個体と比較した個体のTREM1のレベルの上昇が、個体が免疫療法に応答し得ることを示す、方法を提供する。いくつかの実施形態では、これらの方法はまた、個体の免疫関連状態(例えば、癌)を診断するために使用され得、TREM1の発現レベルに基づいており、健康な個体のレベルと比較した個体のTREM1のレベルの上昇は、個体が癌に罹患していることを示す。いくつかの実施形態では、TREM1の発現レベルは、TREM1のmRNA発現レベルを含む。他の実施形態では、TREM1の発現レベルは、TREM1のタンパク質発現レベルを含む。いくつかの実施形態では、TREM1の発現レベルは、FACS、ウエスタンブロット、ELISA、免疫沈降、免疫組織化学、免疫蛍光、ラジオイムノアッセイ、ドットブロッティング、免疫検出方法、HPLC、表面プラズモン共鳴、光学分光法、質量分析法、HPLC、qPCR、RT-qPCR、マルチプレックスqPCRまたはRT-qPCR、RNA-seq、マイクロアレイ分析、SAGE、MassARRAY技法、およびFISH、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される方法を使用して、試料において検出される。これらの実施形態では、抗TREM1抗体は、TREM1タンパク質に結合するが、必ずしもADCCなどの生物学的応答をもたらす必要はない。いくつかの実施形態では、生体試料は腫瘍組織に由来する。いくつかの実施形態では、生体試料としては、体液、組織試料、臓器試料、尿、糞便、血液、唾液、CSF、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0203】
いくつかの実施形態では、非刺激性骨髄細胞の無能化はインビトロで行われ、次のように達成される。a)非刺激性骨髄細胞の死滅により、b)非刺激性骨髄細胞の磁気ビーズ枯渇、またはc)非刺激性骨髄細胞の蛍光活性化細胞選別(FACS)選別。
【0204】
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、0.0001nM~1μMの範囲の解離定数(Kd)を有する。例えば、抗体のKdは、約1μM、約100nM、約50nM、約10nM、約1nM、約500pM、約100pM、または約50pMから、約2pM、約5pM、約10pM、約15pM、約20pM、または約40pMのいずれかであり得る。
【0205】
6.4.TREM1抗体組成物
本出願は、非刺激性骨髄細胞を無能化させる抗体を含むTREM1タンパク質に結合する抗体を含む、抗体および組成物を提供する。
【0206】
本明細書における「抗体」という用語は、最も広義の意味で使用され、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つの完全な抗体から形成される多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、抗原結合抗体断片、およびそれらが所望の生物活性を呈する限り、他の抗体断片を特に含む。「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、本明細書の抗体と交換可能に使用される。本明細書における「抗体」という用語への言及は、抗体断片ならびに上記で言及した抗体形態を含み、かつそれらを指す。本明細書における様々な抗体特性の説明および議論は、「抗体」という用語を使用し、記載された抗体のすべての形態を指す。いくつかの実施形態では、本発明はまた、TREM1および/または本明細書に記載の非刺激性骨髄細胞などのTREM1を発現する細胞に結合したそのような抗体の複合体も提供する。
【0207】
本明細書では、TREM1に特異的に結合する抗体が提供される。いくつかの態様では、TREM1はヒトTREM1である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体は、TREM1の細胞外ドメインに特異的に結合する。TREM1は、任意の好適な標的細胞の表面上に発現し得る。いくつかの実施形態では、標的細胞はプロフェッショナル抗原提示細胞である。いくつかの実施形態では、標的細胞はマクロファージである。抗体は、ヒトTREM1アイソタイプに汎特異的であり得る。抗体は、ヒトTREM1アイソタイプに特異的であり得る。
【0208】
特定の実施形態では、抗体は野生型抗TREM1抗体である。特定の実施形態では、抗体は非フコシル化抗TREM1抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はマウス抗TREM1抗体である。いくつかの態様では、抗体はヒト抗TREM1抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はヒト化抗TREM1抗体である。
【0209】
いくつかの実施形態では、抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はポリクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はハイブリドーマによって産生される。他の実施形態では、抗体は、所望の可変ドメインおよび定常ドメインを発現するように操作された組み換え細胞によって産生される。いくつかの実施形態では、抗体は、抗原特異性および下部ヒンジ領域またはその変異体を保持する単鎖抗体または他の抗体誘導体であり得る。
【0210】
いくつかの実施形態では、抗体は、多機能抗体、組み換え抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、その断片または変異体であり得る。特定の実施形態では、抗体断片またはその誘導体は、Fab断片、Fab’2断片、CDR、およびScFvから選択される。
【0211】
いくつかの態様では、抗体は、TREM1などの表面抗原に特異的である。いくつかの実施形態では、治療用抗体は、腫瘍抗原(例えば、腫瘍細胞によって特異的に発現する分子)に特異的である。特定の実施形態では、治療用抗体は、ヒトまたは非ヒト霊長類IgG1、IgG2、またはIgG3 Fc部分を有し得る。
【0212】
いくつかの実施形態では、抗体はエフェクタ分子に結合またはコンジュゲートしている。特定の実施形態では、抗体は、放射性核種、細胞毒、化学療法剤、薬品、プロドラッグ、毒素、酵素、免疫調節剤、抗血管新生剤、アポトーシス促進剤、サイトカイン、ホルモン、オリゴヌクレオチド、アンチセンス分子、siRNA、二次抗体、および二次抗体断片からなる群から選択される少なくとも1つの治療剤にコンジュゲートされる。
【0213】
いくつかの実施形態では、抗体はアゴニスト抗体である。アゴニスト抗体は、抗体が細胞上に発現したTREM1受容体に結合した後、TREM1の1つ以上の活性または機能を誘発(例えば、増加)させることができる。アゴニスト抗体は、TREM1に結合して、TREM1を活性化し、細胞の増殖の変化を引き起こすか、または抗原提示能力を改変し得る。アゴニスト抗体は、TREM1に結合して、TREM1を活性化し、細胞内シグナル伝達経路をトリガーして、細胞の成長またはアポトーシスを改変する。
【0214】
いくつかの実施形態では、抗体はアンタゴニスト抗体である。アンタゴニスト抗体は、抗体が細胞上に発現したTREM1受容体に結合した後、TREM1の1つ以上の活性または機能を遮断(例えば、減少)させることができる。例えば、アンタゴニスト抗体は、TREM1に結合し、TREM1へのリガンド結合を遮断し、細胞の分化および増殖を防止するか、または抗原提示能力を改変し得る。アンタゴニスト抗体は、そのリガンドによるTREM1の活性化に結合し、それを防ぐことができ、細胞の成長および生存に寄与する細胞内シグナル伝達経路を改変する。
【0215】
いくつかの実施形態では、抗体は枯渇抗体である。枯渇抗体は、抗体が分子の他の免疫細胞と相互作用することによって、接触すると骨髄細胞を死滅させることになる抗体である。例えば、TREM1を持つ細胞に結合すると、抗体は、補体タンパク質と結合し、補体依存性の細胞溶解を誘発し得る。抗体は、TREM1を持つ細胞に結合すると、Fc受容体を持つ隣接する細胞をトリガーして、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)によってそれらを死滅させることができる。
【0216】
いくつかの実施形態では、抗体は中和抗体であり、抗体はTREM1の1つ以上の生物活性を中和する。いくつかの態様では、TREM1は骨髄細胞の表面上で発現し、抗体はTREM1の細胞外ドメインを認識する。
【0217】
いくつかの実施形態では、抗体はTREM1に対して選択的である(TREM1に優先的に結合する)。特定の実施形態では、TREM1に対して選択的に結合する抗体は、0.0001nM~1μMの範囲の解離定数(Kd)を有する。特定の実施形態では、抗体は、異なる種由来のタンパク質間で保存されているTREM1タンパク質上のエピトープに特異的に結合する。別の実施形態では、選択的結合は、排他的結合を含むが、これを必要としない。
【0218】
一実施形態では、その標的に結合した抗TREM1抗体は、それが結合している非刺激性骨髄細胞のインビボ枯渇を引き起こす原因となる。いくつかの実施形態では、クラスター化抗体によって誘発されるエフェクタタンパク質は、炎症性サイトカインの放出、抗原産生の調節、エンドサイトーシス、または細胞死滅を含む様々な応答をトリガーし得る。一実施形態では、抗体は、補体を動員および活性化するか、インビボで抗体依存性細胞傷害(ADCC)を媒介するか、またはインビボでFc受容体に結合することによって食作用を媒介することができる。抗体はまた、結合すると非刺激性骨髄細胞のアポトーシスまたはネクローシスを誘発することによって、非刺激性骨髄細胞を枯渇させ得る。
【0219】
いくつかの実施形態では、抗体は、骨髄細胞のアポトーシス、溶解、または成長停止を誘発し得る。
【0220】
いくつかの実施形態では、Fc領域は、免疫細胞上のFcγ受容体に結合する。いくつかの態様では、Fcγ受容体は、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIc、FcγRIIIa、またはFcγRIIIbである。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、プロフェッショナル抗原提示細胞、マクロファージ、単球、ナチュラルキラー細胞、好中球、樹状細胞、またはB細胞である。
【0221】
いくつかの実施形態では、抗体は、ビアコアアッセイにより測定されるように、0.05~0.2nM以下のKDでTREM1に結合する。いくつかの態様では、抗体は、0.01nM、0.02nM、0.03nM、0.04nM、0.05nM、0.06nM、0.07nM、0.08nM、0.09nM、0.10nM、0.11nM、0.12nM、0.13nM、0.14nM、0.15nM、0.16nM、0.17nM、0.18nM、0.19nM、または0.2nM以下のKDでTREM1に結合する。いくつかの態様では、抗体は、0.01~0.05nM、0.05~0.09nM、0.08~0.12nM、0.11~0.16nM、または0.15~0.2nMのKDでTREM1に結合する。いくつかの態様では、抗体は、0.09nM、0.11nM、または0.15nM以下のKDでTREM1に結合する。
【0222】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体は、活性Fc領域を含む。
【0223】
いくつかの態様では、本明細書で提供される抗体は、自然に発生するIgG1ドメインと比較してAsn297の位置にフコース含量が減少したIgG1ドメインを含む。そのようなFcドメインは、改善したADCCを有することが知られている。参照によりその全体が組み込まれるShields et al.,J.Biol.Chem.,2002,277:26733-26740を参照されたい。いくつかの態様では、そのような抗体はAsn297の位置にフコースをまったく含まない。フコースの量は、例えば、参照によりその全体が組み込まれるWO2008/077546に記載されているような、任意の好適な方法を使用して測定され得る。
【0224】
脱フコシル化抗体を産生することができる細胞株の例としては、細菌の酸化還元酵素GDP-6-デオキシ-D-リキソ-4-ヘキシロース還元酵素(RMD)の安定した過剰発現を伴うCHO-DG44(Henning von Horsten et al.,Glycobiol 2010,20:1607-1618を参照されたい)、またはタンパク質フコシル化において欠損しているLec13CHO細胞(その各々は参照によりその全体が組み込まれる、Ripka et al.,Arch.Biochem.Biophys.,1986,249:533-545、米国特許公開2003/0157108号、WO2004/056312を参照されたい)、ならびにアルファ-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子もしくはFUT8ノックアウトCHO細胞(その各々は参照によりその全体が組み込まれる、Yamane-Ohnuki et al.,Biotech.Bioeng.,2004,87:614-622、Kanda et al.,Biotechnol.Bioeng.,2006,94:680-688、およびWO2003/085107を参照されたい)が挙げられる。
【0225】
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、Fc領域の位置298、333、および334のうちの1つ以上での置換など、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換を有するFc領域を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体は、参照によりその全体が組み込まれるLazar et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2006,103:4005-4010に記載されているように、位置239、332、および330に1つ以上のアミノ酸置換を有するFc領域を含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体は、C1q結合および/またはCDCを改善または減少させる1つ以上の変化を含む。その各々は参照によりその全体が組み込まれる、米国特許第6,194,551号、WO99/51642、およびIdusogie et al.,J.Immunol.,2000,164:4178-4184を参照されたい。
【0227】
いくつかの態様では、抗体はIgG1抗体である。いくつかの態様では、抗体はIgG3抗体である。いくつかの態様では、抗体はIgG2抗体である。いくつかの態様では、抗体はIgG4抗体である。
【0228】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体は軽鎖を含む。いくつかの態様では、軽鎖はカッパ軽鎖である。いくつかの態様では、軽鎖はラムダ軽鎖である。
【0229】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体は重鎖を含む。いくつかの態様では、重鎖はIgAである。いくつかの態様では、重鎖はIgDである。いくつかの態様では、重鎖はIgEである。いくつかの態様では、重鎖はIgGである。いくつかの態様では、重鎖はIgMである。いくつかの態様では、重鎖はIgG1である。いくつかの態様では、重鎖はIgG2である。いくつかの態様では、重鎖はIgG3である。いくつかの態様では、重鎖はIgG4である。いくつかの態様では、重鎖はIgA1である。いくつかの態様では、重鎖はIgA2である。
【0230】
モノクローナル抗体の作製方法
モノクローナル抗体は、例えば、Kohler et al.,Nature,1975,256:495-497(参照によりその全体が組み込まれる)によって最初に記載されたハイブリドーマ法、および/または組み換えDNA法(例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第4,816,567号を参照されたい)を使用して得られる可能性がある。モノクローナル抗体は、例えば、ファージまたは酵母ベースのライブラリーを使用しても得られる可能性がある。例えば、その各々は参照によりその全体が組み込まれる米国特許第8,258,082号および同第8,691,730号を参照されたい。
【0231】
ハイブリドーマ法では、マウスまたは他の適切な宿主動物を免疫して、免疫に使用されるタンパク質に特異的に結合する抗体を産生するまたは産生することができるリンパ球を誘発する。あるいは、リンパ球はインビトロで免疫され得る。次いで、リンパ球を、ポリエチレングリコールなどの好適な融合剤を使用して骨髄腫細胞と融合させて、ハイブリドーマ細胞を形成する。参照によりその全体が組み込まれるGoding J.W.,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice 3rd ed.(1986)Academic Press,San Diego,CAを参照されたい。
【0232】
ハイブリドーマ細胞は、融合されていない親骨髄腫細胞の成長または生存を阻害する1つ以上の物質を含有する好適な培養地に播種および成長される。例えば、親骨髄腫細胞に酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)がない場合、ハイブリドーマの培養地は、典型的には、HGPRT欠損細胞の成長を防ぐ物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチミジン(HAT培地)を含む。
【0233】
有用な骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による安定した高レベルの抗体産生を支援し、HAT培地の存在または非存在などの感受性培地条件である。これらのうち、好ましい骨髄腫細胞株は、MOP-21およびMC-11マウス腫瘍(Salk Institute Cell Distribution Center(サンディエゴ、カリフォルニア州)から入手可能)およびSP-2またはX63-Ag8-653細胞(American Type Culture Collection(ロックビル、メリーランド州)から入手可能)などのネズミ科骨髄腫株である。ヒト骨髄腫およびマウス-ヒトヘテロミエローマ細胞株は、ヒトモノクローナル抗体の産生についても記載されている。例えば、参照によりその全体が組み込まれる、Kozbor,J.Immunol.,1984,133:3001を参照されたい。
【0234】
所望の特異性、親和性、および/または生物活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞の同定後、選択されたクローンは、限界希釈手法によってサブクローン化され、標準的な方法によって成長され得る。上記のGodingを参照されたい。この目的に好適な培地としては、例えば、D-MEMまたはRPMI-1640培地が挙げられる。加えて、ハイブリドーマ細胞は、動物の腹水腫瘍としてインビボで成長し得る。
【0235】
モノクローナル抗体をコード化するDNAは、従来の手法を使用して(例えば、モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコード化する遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離および配列され得る。したがって、ハイブリドーマ細胞は、所望の特性を備えた抗体をコード化するDNAの有用な供給源として役立ち得る。いったん単離されると、DNAは、発現ベクターに入れられ得、次いで、バクテリア(例、大腸菌)、酵母(例、サッカロミセスまたはピキア種)、COS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または抗体を産生しない骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトされて、モノクローナル抗体を産生する。
【0236】
キメラ抗体の作製方法
キメラ抗体を作製する例示的な方法は、例えば、その各々は参照によりその全体が組み込まれる、米国特許第4,816,567号、およびMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1984,81:6851-6855に記載されている。いくつかの実施形態では、キメラ抗体は、組み換え技法を使用して、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、またはサルなどの非ヒト霊長類に由来する可変領域)をヒトの定常領域と組み合わせることによって作製される。
【0237】
ヒト抗体の作製方法
ヒト抗体は、例えば、トランスジェニック動物(例えば、ヒト化マウス)を使用することによって、当該技術分野で既知の様々な技法によって生成することができる。例えば、その各々は参照によりその全体が組み込まれる、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1993,90:2551、Jakobovits et al.,Nature,1993,362:255-258、Bruggermann et al.,Year in Immuno.,1993,7:33、ならびに米国特許第5,591,669号、同第5,589,369号、および同第5,545,807号を参照されたい。ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリーに由来し得る(例えば、その各々は参照によりその全体が組み込まれる、Hoogenboom et al.,J.Mol.Biol.,1991,227:381-388、Marks et al.,J.Mol.Biol.,1991,222:581-597、ならびに米国特許第5,565,332号および同第5,573,905号を参照されたい)。ヒト抗体は、インビトロで活性化されたB細胞によっても生成され得る(例えば、その各々は参照によりその全体が組み込まれる、米国特許第5,567,610号および同第5,229,275号を参照されたい)。ヒト抗体はまた、酵母ベースのライブラリーに由来し得る(例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第8,691,730号を参照されたい)。
【0238】
抗体断片の作製方法
本明細書で提供される抗体断片は、本明細書に記載の例示的方法または当技術分野で既知の方法を含む、任意の好適な方法により作製され得る。好適な方法としては、組み換え技法および抗体全体のタンパク質分解が挙げられる。抗体断片を作製する例示的な方法は、例えば、参照によりその全体が組み込まれる、Hudson et al.,Nat.Med.,2003,9:129-134に記載されている。scFv抗体を作製する方法は、例えば、その各々は参照によりその全体が組み込まれる、Pluckthun,The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)、WO93/16185、ならびに米国特許番号5,571,894および同第5,587,458号に記載されている。
【0239】
多重特異性抗体の作製方法
本明細書で提供される多重特異性抗体は、本明細書に記載の例示的方法または当技術分野で既知の方法を含む、任意の好適な方法により作製され得る。一般的な軽鎖抗体を作製する方法は、参照によりその全体が組み込まれるMerchant et al.,Nature Biotechnol.,1998,16:677-681に記載されている。四価二重特異性抗体を作製する方法は、参照によりその全体が組み込まれるColoma and Morrison,Nature Biotechnol.,1997,15:159-163に記載されている。ハイブリッド免疫グロブリンを作製する方法は、その各々は参照によりその全体が組み込まれる、Milstein and Cuello,Nature,1983,305:537-540、およびStaerz and Bevan,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1986,83:1453-1457に記載されている。ノブ・イン・ホール修飾を備えた免疫グロブリンを作製する方法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5,731,168号に記載されている。静電的修飾を伴う免疫グロブリンを作製する方法は、参照によりその全体が組み込まれるWO2009/089004に提供されている。二重特異性単鎖抗体を作製する方法は、その各々は参照によりその全体が組み込まれる、Traunecker et al.,EMBO J.,1991,10:3655-3659、およびGruber et al.,J.Immunol.,1994,152:5368-5374に記載されている。リンカーの長さが変化し得る単鎖抗体を作製する方法は、その各々は参照によりその全体が組み込まれる、米国特許第4,946,778号および同第5,132,405号に記載されている。ダイアボディを作製する方法は、参照によりその全体が組み込まれるHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1993,90:6444-6448に記載されている。トリアボディおよびテトラボディを作製する方法は、参照によりその全体が組み込まれるTodorovska et al.,J.Immunol.Methods,2001,248:47-66に記載されている。三重特異性F(ab’)3誘導体を作製する方法は、参照によりその全体が組み込まれるTutt et al.J.Immunol.,1991,147:60-69に記載されている。架橋抗体を作製する方法は、米国特許第4,676,980号、Brennan et al.,Science,1985,229:81-83、Staerz,et al.Nature,1985,314:628-631、およびEP0453082に記載されており、その各々は参照によりその全体が組み込まれる。ロイシンジッパーによって組み立てられた抗原結合ドメインを作製する方法は、参照によりその全体が組み込まれるKostelny et al.,J.Immunol.,1992,148:1547-1553に記載されている。DNLアプローチを介して抗体を作製する方法は、その各々は参照によりその全体が組み込まれる、米国特許第7,521,056号、同第7,550,143号、同第7,534,866号、および同第7,527,787号に記載されている。抗体および非抗体分子のハイブリッドを作製する方法は、そのような抗体の例について、参照によりその全体が組み込まれるWO93/08829に記載されている。DAF抗体を作製する方法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許公開第2008/0069820号に記載されている。還元および酸化を介して抗体を作製する方法は、参照によりその全体が組み込まれるCarlring et al.,PLoS One,2011,6:e22533に記載されている。DVD-Igs(商標)を作製する方法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第7,612,181号に記載されている。DARTs(商標)を作製する方法は、参照によりその全体が組み込まれるMoore et al.,Blood,2011,117:454-451に記載されている。DuoBodies(登録商標)を製造する方法は、その各々は参照によりその全体が組み込まれる、Labrijn et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2013,110:5145-5150、Gramer et al.,mAbs,2013,5:962-972、およびLabrijn et al.,Nature Protocols,2014,9:2450-2463に記載されている。IgGからCH3のC末端に融合されたscFvを含む抗体を作製する方法は、参照によりその全体が組み込まれるColoma and Morrison,Nature Biotechnol.,1997,15:159-163に記載されている。Fab分子が免疫グロブリンの定常領域に付着している抗体を作製する方法は、参照によりその全体が組み込まれるMiler et al.,J.Immunol.,2003,170:4854-4861に記載されている。CovX-ボディを作製する方法は、参照によりその全体が組み込まれるDoppalapudi et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2010,107:22611-22616に記載されている。Fcab抗体を作製する方法は、参照によりその全体が組み込まれるWozniak-Knopp et al.,Protein Eng.Des.Sel.,2010,23:289-297に記載されている。TandAb(登録商標)抗体を作製する方法は、その各々は参照によりその全体が組み込まれる、Kipriyanov et al.,J.Mol.Biol.,1999,293:41-56およびZhukovsky et al.,Blood,2013,122:5116に記載されている。タンデムFabを作製する方法は、参照によりその全体が組み込まれるWO2015/103072に記載されている。Zybodies(商標)を作製する方法は、参照によりその全体が組み込まれるLaFleur et al.,mAbs,2013,5:208-218に記載されている。
【0240】
変異体の作製方法
任意の好適な方法を使用して、エラーを起こしやすいPCR、チェーンシャッフリング、およびトリヌクレオチド特異性突然変異誘発(TRIM)などのオリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発を含む、抗体をコード化するポリヌクレオチド配列(複数可)に変動性を導入することができる。いくつかの態様では、いくつかのCDR残基(例えば、一度に4~6残基)が無作為化される。抗原結合に関与するCDR残基は、例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発またはモデリングを使用して、特異的に同定され得る。特にCDR-H3およびCDR-L3は、多くの場合、突然変異の標的になる。
【0241】
可変領域および/またはCDRへの多様性の導入は、二次ライブラリーを産生するために使用することができる。次に、二次ライブラリーをスクリーニングして、親和性が改善された抗体変異体を同定する。二次ライブラリーを構築および再選択することによる親和性成熟は、例えば、参照によりその全体が組み込まれるHoogenboom et al.,Methods in Molecular Biology,2001,178:1-37に記載されている。
【0242】
6.5.個体
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、個体の免疫関連状態の治療に有用である。一実施形態では、個体はヒトである。
【0243】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法(免疫応答を増強する方法または非刺激性骨髄細胞の無能化をもたらす方法など)は、癌の治療に有用であり、したがって、抗TREM1抗体を受けている個体は癌を有する。いくつかの実施形態では、癌は固形癌である。いくつかの実施形態では、癌は液状癌である。いくつかの実施形態では、癌は免疫回避性である。いくつかの実施形態では、癌は免疫応答性である。特定の実施形態では、癌は、黒色腫、腎臓、肝胆道、頭頸部扁平上皮癌(HNSC)、膵臓、結腸、膀胱、前立腺、肺、膠芽腫、および乳房からなる群から選択される。
【0244】
いくつかの実施形態では、免疫関連状態は、非刺激性骨髄細胞上のTREM1の発現に関連する免疫関連状態である。いくつかの実施形態では、免疫関連状態は、刺激性骨髄細胞と比較した、非刺激性骨髄細胞上のTREM1の過剰発現に関連する免疫関連状態である。いくつかの実施形態では、TREM1 mRNAまたはTREM1タンパク質の過剰発現は、刺激性骨髄細胞と比較して約少なくとも2倍、5倍、10倍、25倍、50倍、または100倍高い。
【0245】
6.6.投与方法
いくつかの実施形態では、抗TREM1抗体は、静脈内、筋肉内、皮下、局所、経口、経皮、腹腔内、眼窩内、移植で、吸入で、髄膜下、脳室内、または鼻腔内に投与される。有効量の抗TREM1抗体を癌の治療のために投与してもよい。抗TREM1抗体の適切な投与量は、治療する癌のタイプ、抗TREM1抗体のタイプ、癌の重症度および経過、個体の臨床状態、治療への個体の臨床歴および応答、ならびに担当医の裁量に基づいて決定され得る。
【0246】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗TREM1抗体のインビボ投与について、通常の投与量は、投与経路に応じて、1日あたり約10ng/kg~約100mg/kgの個体の体重以上、好ましくは約1mg/kg/日~10mg/kg/日に変動し得る。治療する疾患または障害の重症度に応じて、数日間以上にわたって繰り返し投与する場合、症状の所望の抑制が達成されるまで治療を継続する。例示的な投薬計画は、約2mg/kgの抗TREM1抗体の初期用量を投与し、その後隔週で約1mg/kgの毎週維持用量を投与することを含む。医師が達成したい薬物動態の減衰のパターンに応じて、他の投与計画が有用であり得る。例えば、本明細書では、個体に週に1回~21回投薬することが企図されている。特定の実施形態では、約3μg/kg~約2mg/kg(約3μg/kg、約10μg/kg、約30μg/kg、約100μg/kg、約300μg/kg、約1mg/kg、および約2/mg/kgなど)の範囲の投薬を使用し得る。特定の実施形態では、投薬頻度は、1日3回、1日2回、1日1回、隔日1回、毎週1回、2週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、または毎月1回、2か月に1回、3か月に1回、またはそれ以上である。治療の進行は、従来の技術およびアッセイによって容易に監視される。投与される抗TREM1抗体を含む投薬計画は、使用される用量とは無関係に経時的に変化し得る。
【0247】
6.7.治療用途
治療用途の場合、抗体は、当技術分野で既知のものおよび上記で考察したものなどの薬学的に許容可能な剤形で哺乳動物、一般的にはヒトに投与される。例えば、抗体は、筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、滑液嚢内、髄腔内、または腫瘍内経路によって、ボーラスとして、または一定期間の連続注入によって、ヒトに静脈内投与され得る。抗体はまた、局所的および全身的治療効果を発揮するために、腫瘍周囲、病変内、または病変周辺経路によって好適に投与される。腹腔内経路は、例えば、卵巣腫瘍の治療では特に有用であり得る。
【0248】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される有効量の抗体を対象に投与することによって、それを必要とする対象の疾患または状態を治療する方法が、本明細書で提供される。いくつかの態様では、疾患または状態は癌である。
【0249】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される有効量の抗体を対象に投与することによって、それを必要とする対象の疾患または状態を治療する方法が、本明細書で提供され、疾患または状態は癌であり、癌は固形腫瘍と血液腫瘍から選択される。
【0250】
いくつかの実施形態では、それを必要とする対象の食作用を増加させる方法であって、有効量の本明細書に開示される抗体または医薬組成物を対象に投与することを含む方法が、本明細書で提供される。
【0251】
いくつかの実施形態では、それを必要とする対象における免疫応答を調節する方法であって、本明細書に開示される有効量の抗体または医薬組成物を対象に投与することを含む方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、免疫応答が強化される。いくつかの実施形態では、適応免疫応答における増強された免疫応答。いくつかの実施形態では、増強された免疫応答は自然免疫応答である。
【0252】
任意の好適な癌は、本明細書で提供される抗体で治療され得る。
【0253】
癌腫は上皮組織に由来する悪性腫瘍である。上皮細胞は、体の外表面を覆い、内部空洞を裏打ちし、腺組織の裏打ちを形成する。癌腫の例としては、腺癌(腺(分泌)細胞で始まる癌)(例えば、乳房、膵臓、肺、前立腺、および結腸の癌は腺癌であり得る)、副腎皮質癌、肝細胞癌、腎細胞癌、卵巣癌、上皮内癌、腺管癌、乳房の癌、基底細胞癌、扁平上皮癌、移行上皮癌、結腸癌、上咽頭癌、多房性嚢胞腎細胞癌、燕麦細胞癌、大細胞肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、などが挙げられるが、これらに限定されない。癌腫は、ほふく性、膵臓、結腸、脳(通常は二次転移として)、肺、乳房、皮膚などに見られ得る。
【0254】
軟部組織腫瘍は、結合組織に由来するまれな腫瘍の非常に多様な群である。軟部組織腫瘍の例としては、肺胞軟部肉腫、血管腫様線維性組織球腫、軟骨粘液様線維腫、骨格軟骨肉腫、骨格外粘液性軟骨肉腫、明細胞肉腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、隆起性皮膚線維肉腫、子宮内膜間質腫瘍、ユーイング肉腫、線維腫症(デスモイド)、線維肉腫(乳児)、消化管間質腫瘍、骨巨細胞腫、腱滑膜巨細胞腫瘍、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、子宮平滑筋腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、典型的な脂肪腫、紡錘細胞または多形性脂肪腫、異型性脂肪腫、軟骨様脂肪腫、高分化型脂肪肉腫、粘液様/円形細胞脂肪肉腫、多形性脂肪肉腫、粘液性悪性線維性組織球腫、高悪性度の悪性線維性組織球腫、粘液線維肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、中皮腫、神経芽細胞腫、骨軟骨腫、骨肉腫、原始神経外胚葉性腫瘍、肺胞横紋筋肉腫、胎児型横紋筋肉腫、良性または悪性の神経鞘腫、滑膜肉腫、エヴァンズ腫瘍、結節性筋膜炎、デスモイド型線維腫症、孤立性線維性腫瘍、隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)、血管肉腫、類上皮血管内皮腫、腱滑膜巨細胞腫瘍(TGCT)、色素性絨毛結節性滑膜炎(PVNS)、線維性形成異常、粘液線維肉腫、線維肉腫、滑膜肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、神経線維腫、軟部組織の多形性腺腫、ならびに線維芽細胞、筋線維芽細胞、組織球、血管細胞/内皮細胞、および神経鞘細胞に由来する腫瘍形成が挙げられるが、これらに限定されない。
【0255】
肉腫は、間葉由来の細胞、例えば、骨、または軟骨、脂肪、筋肉、血管、線維組織、または他の結合組織もしくは支持組織を含む身体の軟部組織に発生するまれなタイプの癌である。肉腫の異なるタイプは、癌が形成される場所に基づく。例えば、骨に骨肉腫が、脂肪に脂肪肉腫が、筋肉に横紋筋肉腫が形成される。肉腫の例としては、アスキン腫瘍、肉腫ボトリイド、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性血管内皮腫、悪性神経鞘腫、骨肉腫、軟部肉腫(例えば、肺胞軟部肉腫、血管肉腫、嚢腫肉腫葉状隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)、デスモイド腫瘍、線維形成性小円形細胞腫瘍、類上皮肉腫、骨外性軟骨肉腫、骨外性骨肉腫、線維肉腫、消化管間質腫瘍(GIST)、血管外皮細胞腫、血管内皮腫(より一般的に「血管肉腫」と称される)、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、神経線維肉腫、滑膜肉腫、未分化多形肉腫など)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0256】
奇形腫は、例えば、毛髪、筋肉、および骨を含む、いくつかの異なるタイプの組織を含有し得るあるタイプの胚細胞腫瘍である(例えば、3胚葉の内胚葉、中胚葉、外胚葉のいずれかおよび/またはすべてに由来する組織を含むことができる)。奇形腫は、女性の卵巣、男性の精巣、および子供の尾骨で最も頻繁に発生する。
【0257】
黒色腫は、メラニン細胞(色素メラニンを作製する細胞)で始まる癌の一形態である。それは、ほくろ(皮膚黒色腫)で始まり得るが、目または腸内など他の色素沈着した組織でも始まり得る。
【0258】
白血病は、骨髄などの血液形成組織で始まり、大量の異常な血液細胞が産生されて血流に入る癌である。例えば、白血病は、通常血流で成熟する骨髄由来細胞で発生し得る。白血病は、病気の発症と進行の速さ(例:急性対慢性)およびもたらされる白血球のタイプ(例、骨髄対リンパ系)にちなんで命名される。骨髄性白血病は、骨髄性または骨髄芽球性白血病とも呼ばれる。リンパ性白血病は、リンパ芽球性またはリンパ球性白血病とも呼ばれる。リンパ性白血病細胞は、膨張することができるリンパ節に集まり得る。白血病の例としては、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、および慢性リンパ性白血病(CLL)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0259】
リンパ腫は、免疫系の細胞で始まる癌である。例えば、リンパ腫は、通常リンパ系で成熟する骨髄由来細胞で発生し得る。リンパ腫には2つの基本的なカテゴリーが存在する。1つはホジキンリンパ腫(HL)であり、これはリードスターンバーグ細胞と呼ばれる細胞のタイプの存在によって特徴付けられる。現在、HLには6つの認識されたタイプが存在する。ホジキンリンパ腫の例としては、結節性硬化症、古典的ホジキンリンパ腫(CHL)、混合細胞性CHL、リンパ球除去CHL、リンパ球リッチCHL、結節性リンパ球優性HLが挙げられる。
【0260】
リンパ腫の他のカテゴリーは、非ホジキンリンパ腫(NHL)であり、免疫系細胞の大規模で多様な癌の群が含まれる。非ホジキンリンパ腫は、緩慢な(成長の遅い)経過を有する癌と、攻撃的な(成長の速い)経過を有する癌にさらに分けることができる。現在、NHLには61の認識されたタイプが存在する。非ホジキンリンパ腫の例としては、エイズ関連リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、血管免疫芽細胞性リンパ腫、芽細胞性NK細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、バーキット様リンパ腫(非小切れ細胞リンパ腫)、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、腸疾患型T細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、肝脾ガンマデルタT細胞リンパ腫、T細胞白血病、リンパ芽球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、鼻T細胞リンパ腫、小児リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫、一次中枢神経系リンパ腫、形質転換リンパ腫、治療関連T細胞リンパ腫、およびワルデンストレームのマクログロブリン血症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0261】
脳癌としては、脳組織の任意の癌が挙げられる。脳癌の例としては、グリオーマ(例えば、膠芽腫、星状細胞腫、希突起膠腫、上衣細胞腫など)、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、原始神経外胚葉性腫瘍(髄芽腫)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0262】
6.8.併用療法
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体は、少なくとも1つの追加の治療薬とともに投与される。本明細書で提供される抗体とともに、任意の好適な追加の治療薬を投与することができる。いくつかの態様では、追加の治療薬は、放射線、細胞毒性薬、化学療法薬、細胞増殖抑制薬、抗ホルモン薬、EGFR阻害薬、免疫刺激薬、抗血管新生薬、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0263】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は免疫刺激薬を含む。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は抗体である。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、腫瘍細胞表面上の1つ以上のタンパク質に結合する抗体である。
【0264】
癌の治療のために、抗TREM1抗体は、腫瘍抗原に特異的な1つ以上の抗体と組み合わせられ得る。これらのうち、腫瘍関連抗原(TAA)は腫瘍細胞に比較的限定されているが、腫瘍特異性抗原(TSA)は腫瘍細胞に特有である。TSAおよびTAAは、典型的には、主要組織適合性複合体の一部として細胞表面上に発現した細胞内分子の部分である。
【0265】
組織特異性分化抗原は、腫瘍細胞およびそれらの正常細胞対応物上に存在する分子である。治療用mAbによって認識されることが知られている腫瘍関連抗原は、いくつかの異なるカテゴリーに分類される。造血分化抗原は、通常、分化クラスター(CD)群に関連付けられている糖タンパク質であり、CD20、CD30、CD33、およびCD52を含む。細胞表面分化抗原は、正常細胞および腫瘍細胞の両方の表面に見られる糖タンパク質および炭水化物の多様な群である。成長および分化のシグナル伝達に関与する抗原は、多くの場合、成長因子および成長因子受容体である。癌患者の抗体の標的である成長因子としては、CEA、上皮成長因子受容体(EGFR;ERBB1としても知られている)、ERBB2(HER2としても知られている)、ERBB3、MET(HGFRとしても知られている)、インスリン様成長因子1受容体(IGF1R)、エフリン受容体A3(EPHA3)、腫瘍ネクローシス因子(TNF)関連アポトーシス誘発リガンド受容体1(TRAILR1;TNFRSF10Aとしても知られている)、TRAILR2(TNFRSF10Bとしても知られている)、および核因子κBリガンドの受容体活性化因子(RANKL;TNFSF11としても知られている)が挙げられる。血管新生に関与する抗原は、通常、血管内皮成長因子(VEGF)、VEGF受容体(VEGFR)、インテグリンαVβ3およびインテグリンα5β1を含む新しい微小血管系の形成を支援するタンパク質または成長因子である。腫瘍間質および細胞外マトリックスは、腫瘍にとって不可欠な支持構造である。治療標的である間質および細胞外マトリックス抗原としては、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)およびテネイシンが挙げられる。
【0266】
二重特異性構成または併用療法として有用な治療用抗体の例としては、リツキシマブ、イブリツモマブ、チウキセタン、トシツモマブ、ブレンツキシマブ、ベドチン、ゲムツズマブ、オゾガマイシン、アレムツズマブ、IGN101、アデカツムマブ、ラベツズマブ、huA33、ペムツモマブ、オレゴボマブ、CC49(ミンレツモマブ)、cG250、J591、MOv18、MORAb-003(ファルレツズマブ)、3F8、ch14.18、KW-2871、hu3S193、IgN311、ベバシズマブ、IM-2C6、CDP791、エタラシズマブ、ボロシキシマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ニモツズマブ、806、トラスツズマブ、パーツズマブ、MM-121、AMG102、METMAB、SCH900105、AVE1642、IMC-A12、MK-0646、R1507、CP751871、KB004、IIIA4、マパツムマブ(HGS-ETR1)、HGS-ETR2、CS-1008、デノスマブ、シブロツズマブ、F19、および81C6が含まれるが、これらに限定されない。二重特異性抗体は、Fcγ受容体を活性化するFc領域を使用し得る。
【0267】
癌の治療のために、抗TREM-1抗体は、免疫チェックポイントタンパク質を阻害する1つ以上の抗体と組み合わせられ得る。特に興味深いのは、腫瘍細胞の表面上に表示される免疫チェックポイントタンパク質である。臨床癌免疫療法、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA4;CD152とも呼ばれる)およびプログラム細胞死タンパク質1(PD1;CD279とも呼ばれる)の文脈で最も活発に研究されている免疫チェックポイント受容体は、両方とも阻害性受容体である。これらの受容体のうちのいずれかを遮断する抗体の臨床活性は、抗腫瘍免疫が複数のレベルで増強され、組み合わせ戦略が機械的考察および前臨床モデルによって理知的に設計、導かれることができることを含意する。
【0268】
PD1の2つのリガンドは、PD1リガンド1(PDL1、またB7-H1およびCD274としても知られている)およびPDL2(B7-DCおよびCD273としても知られている)である。PDL1は、癌細胞上で発現し、T細胞上のその受容体PD1に結合することにより、それはT細胞の活性化/機能を阻害する。例えば、治療用抗体としてのアベルマブを参照されたい。
【0269】
免疫共刺激分子を刺激する薬剤も、本明細書に開示された方法では有用である。そのような薬剤としては、アゴニストまたはCD40およびOX40が挙げられる。CD40は、抗原提示細胞(APC)上に見られる共刺激タンパク質であり、それらの活性化に必要である。これらのAPCとしては、食細胞(マクロファージおよび樹状細胞)およびB細胞が挙げられる。CD40はTNF受容体ファミリーの一部である。CD40の一次活性化シグナル伝達分子は、IFNγおよびCD40リガンド(CD40L)である。CD40を介した刺激はマクロファージを活性化する。
【0270】
対象の抗CCR4(CD194)抗体としては、潜在的な抗炎症および抗腫瘍活性を有するC-Cケモカイン受容体4(CCR4)に向けられたヒト化モノクローナル抗体が挙げられる。
【0271】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、HER2(ERBB2/neu)、CD52、PD-L1、VEGF、CD30、EGFR、CD38、RANKL(CD254)、GD2(ガングリオシド)、SLAMF7(CD319)、CD20、EGFR、PDGFRa、VEGFR2、CD33、CD44、CD99、CD96、CD90、CD133、CKIT(CKIT陽性腫瘍の場合はCD117)、CTLA-4、PD-1、PD-L1、CD40(アゴニスト)、LAG3(CD223)、41BB(CD137アゴニスト)、OX40(CD134、アゴニスト)および/またはCKIT(CD117)に結合して、移植療法のために造血幹細胞を枯渇させる抗体である。
【0272】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、リツキシマブ、セツキシマブ、アレムツズマブ(CD52)、アテゾリズマブ(PD-L1)、アベルマブ(PD-L1)、ベバシズマブ(VEGF)、ブレンツキシマブ(CD30)、ダラツムマブ(CD38)、デノスマブ(RANKL)、ジヌツキシマブ(GD2)、エロツズマブ(SLAMF7)、イブリツモマブ(CD20)、イピリムマブ(CTLA-4)、ネシツムマブ(EGFR)、ニボルマブ(PD-1)、オビヌツズマブ(CD20)、オファツムマブ(CD20))、オララツマブ(PDGFRa)、パニツムマブ(EGFR)、ペンブロリズマブ(PD-1)、ペルツズマブ(HER2)、ラムシルマブ(VEGFR2)、トシツモマブ(CD20)、およびゲムツズマブ(CD33)のうちの少なくとも1つである。
【0273】
追加の治療薬は、任意の好適な手段によって投与することができる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体および追加の治療薬は、同じ医薬組成物に含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体および追加の治療薬は、異なる医薬組成物に含まれる。
【0274】
本明細書で提供される抗体および追加の治療薬が異なる医薬組成物中に含まれる実施形態では、抗体の投与は、追加の治療薬の投与前、投与と同時、および/または投与後に起こり得る。いくつかの態様では、本明細書で提供される抗体および追加の治療薬の投与は、互いに約1か月以内に起こる。いくつかの態様では、本明細書で提供される抗体および追加の治療薬の投与は、互いに約1週間以内に起こる。いくつかの態様では、本明細書で提供される抗体および追加の治療薬の投与は、互いに約1日以内に起こる。いくつかの態様では、本明細書で提供される抗体および追加の治療薬の投与は、互いに約12時間以内に起こる。いくつかの態様では、本明細書で提供される抗体および追加の治療薬の投与は、互いに約1時間以内に起こる。
【0275】
6.9.医薬組成物
本明細書で提供される抗体は、任意の適切な医薬組成物に製剤化され、任意の好適な投与経路によって投与され得る。好適な投与経路としては、動脈内、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、経鼻、非経口、肺、および皮下経路が挙げられるが、これらに限定されない。
【0276】
医薬組成物は、1つ以上の医薬賦形剤を含み得る。任意の好適な医薬賦形剤を使用し得、当業者は好適な医薬賦形剤を選択することができる。したがって、以下に提供される医薬賦形剤は、例示を目的とするものであり、限定するものではない。追加の医薬賦形剤には、例えば、参照によりその全体が組み込まれるHandbook of Pharmaceutical Excipients,Rowe et al.(Eds.)6th Ed.(2009)に記載されているものが含まれる。
【0277】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は消泡剤を含む。任意の好適な消泡剤を使用してもよい。いくつかの態様では、消泡剤は、アルコール、エーテル、油、ワックス、シリコーン、界面活性剤、およびそれらの組み合わせから選択される。いくつかの態様では、消泡剤は、鉱油、植物油、エチレンビスステアラミド、パラフィンワックス、エステルワックス、脂肪アルコールワックス、長鎖脂肪アルコール、脂肪酸石鹸、脂肪酸エステル、シリコングリコール、フルオロシリコーン、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体、ポリジメチルシロキサン-二酸化ケイ素、エーテル、オクチルアルコール、カプリルアルコール、ソルビタントリオレエート、エチルアルコール、2-エチル-ヘキサノール、ジメチコン、オレイルアルコール、シメチコン、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0278】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は共溶媒を含む。共溶媒の実例としては、エタノール、ポリ(エチレン)グリコール、ブチレングリコール、ジメチルアセトアミド、グリセリン、プロピレングリコール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0279】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は緩衝液を含む。緩衝剤の実例としては、アセテート、ボラート、炭酸塩、乳酸塩、りんご酸塩、リン酸塩、シトラート、水酸化物、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、グリシン、メチオニン、ガーゴム、グルタミン酸ナトリウム、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0280】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、担体または充填剤を含む。担体または充填剤の実例としては、ラクトース、マルトデキストリン、マンニトール、ソルビトール、キトサン、ステアリン酸、キサンタンガム、グアーガム、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0281】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は界面活性剤を含む。界面活性剤の実例としては、d-アルファトコフェロール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、ドキュセートナトリウム、ベヘン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、ラウリン酸、マクロゴール15ヒドロキシステアレート、ミリスチルアルコール、リン脂質、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ポリオキシルグリセリド、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンエステル、ビタミンEポリエチレン(グリコール)コハク酸塩、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0282】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は固化防止剤を含む。固化防止剤の実例としては、リン酸カルシウム(三塩基性)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酸化マグネシウム、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0283】
医薬組成物とともに使用され得る他の賦形剤としては、例えば、アルブミン、抗酸化剤、抗菌剤、抗真菌剤、生体吸収性ポリマー、キレート剤、制御放出剤、希釈剤、分散剤、溶解促進剤、乳化剤、ゲル化剤、軟膏基剤、浸透促進剤、防腐剤、可溶化剤、溶媒、安定化剤、糖、およびそれらの組み合わせが挙げられる。これらの薬剤の各々の特定例は、例えば、参照によりその全体が組み込まれるHandbook of Pharmaceutical Excipients,Rowe et al.(Eds.)6th Ed.(2009),The Pharmaceutical Pressに記載されている。
【0284】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は溶媒を含む。いくつかの態様では、溶媒は、無菌等張食塩水またはデキストロース溶液などの生理食塩水である。いくつかの態様では、溶媒は注射用水である。
【0285】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、微粒子またはナノ粒子などの粒子形態である。微粒子およびナノ粒子は、ポリマーまたは脂質などの任意の好適な材料から形成され得る。いくつかの態様では、微粒子またはナノ粒子は、ミセル、リポソーム、またはポリマーソームである。
【0286】
本明細書では、水がいくつかの抗体の分解を促進することができるため、抗体を含む無水医薬組成物および剤形がさらに提供される。
【0287】
本明細書で提供される無水医薬組成物および剤形は、無水または低水分含有成分および低水分または低湿度条件を使用して調製することができる。製造、包装、および/または保管中に水分および/または湿度との実質的な接触が予想される場合、ラクトース、および第1級または第2級アミンを含む少なくとも1つの活性成分を含む、医薬組成物および剤形は無水であり得る。
【0288】
無水の医薬組成物は、その無水の性質が維持されるように調製および保存されるべきである。したがって、無水組成物は、好適な処方キットに含めることができるように、水への暴露を防ぐことが知られている材料を使用して包装することができる。好適な包装の例としては、密閉ホイル、プラスチック、単位用量容器(例えば、小瓶)、ブリスターパック、およびストリップパックが挙げられるが、これらに限定されない。
【0289】
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体は、非経口剤形として製剤化される。非経口剤形は、皮下、静脈内(注入およびボーラス注射を含む)、筋肉内、および動脈内を含むがこれらに限定されない様々な経路によって対象に投与することができる。それらの投与は、典型的には、汚染物質に対する対象の自然な防御を回避するため、非経口剤形は、典型的には、無菌であるか、対象への投与前に滅菌することができる。非経口剤形の例としては、注射の準備ができている溶液、注射用の薬学的に許容可能なビヒクルに溶解または懸濁する準備ができている乾燥(例えば、凍結乾燥)製品、注射の準備ができている懸濁液、およびエマルジョンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0290】
非経口剤形を提供するために使用することができる好適なビヒクルは、当業者に周知である。例としては、注射液USPのための水;塩化ナトリウム注射液、リンガー注射液、デキストロース注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射液、乳酸加リンガー注射液が挙げられるが、これらに限定されない水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない水混和性ビヒクル;ならびにコーン油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、および安息香酸ベンジルが挙げられるが、これらに限定されない非水性ビヒクルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0291】
本明細書で開示される抗体のうちの1つ以上の溶解度を増加させる賦形剤も、非経口剤形に組み込むことができる。
【0292】
いくつかの実施形態では、非経口剤形は凍結乾燥されている。例示的な凍結乾燥製剤は、例えば、その各々は参照によりその全体が組み込まれる、米国特許第6,267,958号および同第6,171,586号、ならびにWO2006/044908に記載されている。
【0293】
ヒトの治療では、医師は予防的または治療的治療に応じて、ならびに治療対象に特有の年齢、体重、状態、および他の要因に応じて、医師が最も適切と考える薬量を決定する。
【0294】
特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、医薬組成物または単一単位剤形である。本明細書で提供される医薬組成物および単一単位剤形は、予防的または治療的有効量の1つ以上の予防的または治療的抗体を含む。
【0295】
障害またはその1つ以上の症状の予防または治療に有効となる抗体または組成物の量は、疾患または状態の性質および重症度、ならびに抗体が投与される経路によって異なる。頻度および投与量は、投与される特定の治療法(治療薬または予防薬など)、障害、疾患、または状態の重症度、投与経路、ならびに対象の年齢、身体、体重、応答、および過去の病歴に応じて、各対象に固有の要因によっても異なる。有効用量は、インビトロまたは動物モデルの試験システムから得られた用量反応曲線から推定され得る。
【0296】
当業者によって容易に知られるように、異なる疾患および状態に対して異なる治療有効量が適用可能であり得る。同様に、そのような障害を予防、管理、治療または改善するのに十分であるが、本明細書で提供される抗体に関連する有害作用を引き起こすには不十分であるか、または低減するのに十分な量も、本明細書で提供される投与量および投与頻度スケジュールに包含される。さらに、本明細書で提供される組成物の複数の投与量を対象に投与する場合、投与量のすべてが同じである必要はない。例えば、対象に投与される投与量は、組成物の予防または治療効果を改善するために増加され得、または特定の対象が経験している1つ以上の副作用を減少させるために低減され得る。
【0297】
特定の実施形態では、治療または予防は、1回以上の維持用量に続いて、本明細書で提供される抗体または組成物の1回以上の負荷用量で開始することができる。
【0298】
特定の実施形態では、本明細書で提供される抗体または組成物の用量を投与して、対象の血液または血清中の抗体の定常状態濃度を達成することができる。定常状態濃度は、当業者が利用可能な技術に従って測定することにより決定することができ、または身長、体重、年齢などの対象の身体的特性に基づくことができる。
【0299】
本開示の他の箇所でより詳細に考察されるように、本明細書で提供される抗体は、疾患または障害を予防または治療するのに有用な1つ以上の追加の薬剤とともに任意選択的に投与され得る。そのような追加の薬剤の有効量は、製剤中に存在する抗体の量、障害または治療のタイプ、および当技術分野で知られているかまたは本明細書に記載されている他の要因に依存し得る。
【0300】
6.10.キットおよび製造物品
本出願は、本明細書に記載の抗体組成物のいずれか1つ以上を含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは、二次抗体、免疫組織化学分析のための試薬、薬学的に許容可能な賦形剤および取扱説明書、ならびにそれらの任意の組み合わせのうちのいずれかから選択される構成要素をさらに含む。特定の一実施形態では、キットは、本明細書に記載の抗体組成物のいずれか1つ以上と、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を含む。
【0301】
いくつかの実施形態では、キットは、容器と、容器上または容器に関連付けられたラベルまたは添付文書とを含む。好適な容器としては、例えば、ボトル、小瓶、注射器、およびIV溶液バッグが挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。容器は、それ自体で、または別の組成物と組み合わせたときに、疾患または障害を治療、予防、および/または診断するのに効果的な組成物を保持する。容器は無菌のアクセスポートを有し得る。例えば、容器が静脈注射用の溶液バッグまたは小瓶の場合、容器は、針で刺すことができるポートを有し得る。組成物中の少なくとも1つの活性剤は、本明細書で提供される抗体である。ラベルまたは添付文書は、選択した状態を治療するために組成物が使用されることを示す。
【0302】
いくつかの実施形態では、キットは、(a)その中に含まれる第1の組成物を有する第1の容器であって、第1の組成物が、本明細書で提供される抗体を含む、第1の容器と、(b)その中に含まれる第2の組成物を有する第2の容器であって、第2の組成物が、さらなる治療薬を含む、第2の容器と、を含む。この実施形態のキットは、組成物を使用して特定の状態を治療することができることを示す添付文書をさらに含むことができる。
【0303】
あるいは、またはさらに、キットは、薬学的に許容可能な賦形剤を含む第2(または第3)の容器をさらに含み得る。いくつかの態様では、賦形剤は緩衝剤である。キットはさらに、フィルター、針、および注射器を含む、商業的なおよび使用者の観点から望ましい他の材料を含み得る。
【0304】
本出願はまた、本明細書に記載の抗体組成物またはキットのうちのいずれか1つを含む製造物品を提供する。製造物品の例としては、小瓶(密閉小瓶を含む)が挙げられる。
【0305】
6.11.アッセイ
当該技術分野で既知の様々なアッセイを使用して、本明細書中に提供されるTREM1抗体を同定および特徴付けし得る。
【0306】
結合、競合、およびエピトープマッピングアッセイ
本明細書で提供される抗体の特異性抗原結合活性は、本開示の他の箇所で説明されるように、SPR、BLI、RIAおよびMSD-SETを使用することを含む任意の好適な方法によって評価され得る。さらに、抗原結合活性は、ELISAアッセイおよびウエスタンブロットアッセイによって評価され得る。
【0307】
2つの抗体、または抗体および別の分子(例えば、TREM1の1つ以上のリガンド)の間の競合を測定するためのアッセイは、本開示の他の箇所、および例えば、参照によりその全体が組み込まれるHarlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual ch.14,1988,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Yに記載されている。
【0308】
本明細書で提供される抗体が結合するエピトープをマッピングするためのアッセイは、例えば、参照によりその全体が組み込まれるMorris“Epitope Mapping Protocols,”Methods in Molecular Biology vol.66,1996,Humana Press,Totowa,N.J.に記載されている。いくつかの実施形態では、エピトープはペプチド競合によって決定される。いくつかの実施形態では、エピトープは質量分析によって決定される。いくつかの実施形態では、エピトープは結晶学によって決定される。
【0309】
エフェクタ機能のアッセイ
本明細書で提供される抗体による治療後のエフェクタ機能は、その各々は参照によりその全体が組み込まれる、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.,1991,9:457-492、米国特許第5,500,362号、同第5,821,337号、Hellstrom et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA,1986,83:7059-7063、Hellstrom et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA,1985,82:1499-1502、Bruggemann et al.,J.Exp.Med.,1987,166:1351-1361、Clynes et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA,1998,95:652-656、WO2006/029879、WO2005/100402、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods,1996,202:163-171、Cragg et al.,Blood,2003,101:1045-1052、Cragg et al.Blood,2004,103:2738-2743、およびPetkova et al.,Int’l.Immunol.,2006,18:1759-1769に記載されているものを含む、当技術分野で既知の様々なインビトロおよびインビボアッセイを使用して評価することができる。
【0310】
抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)の例示的なアッセイは、hCD16を発現する標的細胞を使用することである。抗体媒介食作用(ADCP)の例示的なアッセイは、hCD32を発現する標的細胞を使用することである。両方のアッセイについて、HEK293親または過剰発現ヒトTREM-1を、白色の平底96ウェルプレート(Costar)中で培養する。示された抗体の滴定は、室温で10分間、8点にわたって1:4または1:5の希釈範囲で0ug/ml~10ug/mlの範囲内でこれらの細胞とともにインキュベートされる。抗体とのインキュベーション後、hCD16(BPS Biosciences)またはhCD32(BPS Biosciences)およびNFAT応答性ルシフェラーゼのいずれかを過剰発現する75,000個のJurkatレポーター細胞を、エフェクタ対標的比率3:1で標識細胞に添加する。共培養は、5%CO2雰囲気中、37℃で6時間インキュベートする。NFAT(ルシフェラーゼ)活性は、ルシフェラーゼアッセイの基質および試薬をすべてのウェル(BPS BiosciencesまたはPromega Corporation)に添加することによって測定される。発光は、Spectramaxプレートリーダー(Molecular Devices)を使用して読み取られる。EC50値は、Graphpad Prism(Graphpad Software)のHEK293親細胞から生成されたバックグラウンド発光よりも過剰発現細胞に結合する抗体から生成されたルシフェラーゼシグナルをカーブフィッティングすることによって計算される。
【0311】
ADCCは、抗体濃度の関数としてGFP陽性標的細胞の損失として決定される。抗体自体の能力は、マクロファージ非依存性ADCCを誘発するそれらの能力についても評価することができる。ADCPは、抗体濃度の関数として、シングレットにゲートされたCell-Trace Violet/GFP二重陽性細胞の形成として決定される。EC50値は、Graphpad Prism(Graphpad Software)のHEK293親細胞から生成されたバックグラウンドよりも過剰発現細胞に結合する抗体から生成されたADCC/ADCPをカーブフィッティングすることによって計算される。
【0312】
ADCCおよびADCPのための追加の例示的なアッセイとしては、マクロファージなどの一次細胞を使用するアッセイが挙げられる。マクロファージは、骨髄由来マクロファージ(BMDM)または単球由来マクロファージ(MDM)であり得る。マクロファージADCCおよびADCPアッセイの場合、50,000個のGFP陽性親BWまたはヒトTREM1を過剰発現するBW、またはGFP陽性親HEK293またはヒトTREM1を過剰発現するHEK293を96ウェルプレート中で培養する。示された非コンジュゲート抗体の滴定は、室温で15分間、8点までの1:4または1:5の希釈範囲で0ug/ml~10ug/mlの範囲内でこれらの細胞とともにインキュベートされる。抗体とのインキュベーション後、IFN-γ(Peprotech)またはLPS(Sigma-Aldrich)/IFN-γで処理されたマクロファージを含む50,000個のCell Trace Violet(Life TechnologiesによるMolecular Probes)を、エフェクタ対標的比率1対1で標識標的細胞に添加される。マクロファージは、回収の前日にIFN-γで処理され、回収の1時間前にLPSで処理される。共培養は、共培養は、5%CO2雰囲気中、37℃で18時間インキュベートし、その後、培養物を回収し、フローサイトメトリー(BD Fortessa X-14、BD Biosciences)によってADCCおよびADCPについて分析される。
【0313】
補体依存性細胞毒性(CDC)の例示的なアッセイは、ヒトTREM1を発現する標的細胞を使用することである。細胞を対数期の培養物から回収し、5×104-2×105の細胞を96枚のウェルU底プレート中で培養する。培養後、血清と抗ヒトTREM1mAb(hIgG1アイソタイプ)とを含有するヒト補体の1:1の混合物を添加し、37℃で2~3時間、標的細胞とインキュベートする。インキュベーション後、フローサイトメトリーまたは発光ベースの方法(Cell Titer Glo(Promega、Madison、WI)など)によって標的細胞死を測定することによって、抗体媒介性CDC活性を評価する。
【実施例】
【0314】
以下は、本発明を実施するための特定の実施形態の実施例である。実施例は、例示の目的のみのために提供され、本発明の範囲を決して限定することを意図するものではない。使用された数値(例えば、量、温度など)に関して正確さを確保するための努力がなされたが、もちろん、いくらかの実験誤差および偏差は許容されるべきである。
【0315】
本発明の実施は、特に明記しない限り、当技術分野の範囲内のタンパク質化学、生化学、組み換えDNA技法、および薬理学の従来の方法を使用することになる。そのような技法は、文献で完全に説明されている。例えば、T.E.Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H.Freeman and Company,1993)、A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.,current addition)、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd Edition,1989)、Methods In Enzymology(S.Colowick and N.Kaplan eds.,Academic Press,Inc.)、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition(Easton,Pennsylvania:Mack Publishing Company,1990)、Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry 3rd Ed.(Plenum Press)Vols A and B(1992)を参照されたい。
【0316】
7.1.実施例1:抗mTREM1抗体の特性化
エピトープビニング実験:
マウスTREM-1を過剰発現する100,000個のHEK293細胞を96ウェルプレート中で培養し、死細胞をZombie Near Infrared(Biolegend、サンディエゴ、カリフォルニア州)で染色した。続いて、これらの細胞を、示された非コンジュゲート抗マウスTREM-1抗体とともに、飽和濃度で、氷上で15分間インキュベートした。これらの抗体とのインキュベーション後、細胞を氷上で30分間、示されたAlexa Fluor647コンジュゲート抗体で染色した。非コンジュゲート抗体の存在下で結合するコンジュゲート抗体の能力は、フローサイトメトリー(BD Fortessa X-14、BD Biosciences、サンホゼ、カリフォルニア州)によって測定されたAlexa647シグナルによって評価された。各抗体は、内部実験対照のためにそれ自体を遮断するために検証された。
【0317】
抗体源:
PI-9067s、PI-9067L、PI-9068、PI-9069s、およびPI-9069Lは、Pionyr Immunotherapeuticsによって製造された。VL、VH、CL、CH、およびCDRの配列を表2に示す。抗TREM1クローンL5-B8.2A12.3A12は、Thermo(ThermoFisher Scientific、ウォルサム、マサチューセッツ州)から購入した。抗TREM1クローン174031は、R&D(R&D Systems、ミネアポリス、ミネソタ州)から購入した。。抗TREM1クローンTR3MBL1は、eBio(eBioscience、カールズバッド、カリフォルニア州)から購入した。
【0318】
PI-9067sおよびPI-9069sは、完全にヒトのカッパ軽鎖および完全にヒトの重鎖(ヒンジ領域の末端までの)を有する。この直後、Fcの残りのCH2およびCH3ドメインはマウスである。PI-9067LおよびPI-9069Lは、重鎖および軽鎖の両方のヒト可変領域の直後に開始する完全なマウス定常配列を有する。抗体を「s」配列から「L」配列に再操作して、抗体の薬物動態特性を改善し、完全にマウスのヒンジとFc領域を持つことでmAbのFc部分の幾何学および柔軟性を改善した。
【0319】
タンパク質結合(Kd測定):
結合動態は、GLCまたはシリーズS CM5チップ上に固定化または捕捉されたマウスTREM-1His(Creative Biomart、シャーリー、ニューヨーク州)を備えたPROTEON XPR36(BioRad、ハーキュリーズ、カリフォルニア州)またはBiacore T200(GE ヘルスケア、英国)を使用する表面プラズモン共鳴によって決定された。示された抗体の連続希釈液を50~100ul/分で2分間注入した。次いで、PBSまたはシステム緩衝液を100ul/分で10分間注入して、解離を観察した。結合応答は、ブランクフローセルの応答を差し引くことにより修正された。動態解析では、kon値とkoff値のグローバルフィッティングの1:1ラングミュアモデルを使用した。Kd値は、konとkoffとの比率から決定された。
【0320】
細胞結合(EC50測定):
100,000HEK個の293親または過剰発現するマウスTREM-1を96ウェルプレート中で培養し、死細胞をZombie Near Infrared(Biolegend、サンディエゴ、カリフォルニア州)で染色した。示された非コンジュゲート抗体の滴定は、8点にわたって1:4または1:5の希釈範囲で0ug/ml~30ug/mlの範囲内でこれらの細胞とともにインキュベートされる。アイソタイプ(hIgG1またはmIgG2a)に応じて、これらの一次非コンジュゲート抗体は、Alexa Fluor647コンジュゲート抗ヒトFcγまたは抗マウスFcγ二次抗体(Jackson Immunoresearch、ウェストグローブ、ペンシルヴェニア州)で検出された。Alexa Fluor647シグナルをフローサイトメトリー(BD Fortessa X-14、BD Biosciences、サンホゼ、カリフォルニア州)によって測定した。EC50値は、Graphpad Prism(Graphpad Software、ラ・ホーヤ、カリフォルニア州)のHEK293親細胞から生成されたバックグラウンド蛍光よりも過剰発現細胞に結合する抗体から生成されたシグナルをカーブフィッティングすることによって計算された。
【0321】
ADCCおよびADCPレポーターアッセイ(EC50測定):
25,000HEK293親または過剰発現マウスTREM-1を、白色の平底96ウェルプレート(Costar、Corning、ニューヨーク州)中で培養した。示された非コンジュゲート抗体(hIgG1またはmIgG2a)の滴定は、室温で10分間、8点にわたって1:4または1:5の希釈範囲で0ug/ml~10ug/mlの範囲内でこれらの細胞とともにインキュベートされた。抗体とのインキュベーション後、hCD32(hIgG1アイソタイプについて、BPS Biosciences、サンディエゴ、カリフォルニア州)またはmFcγRIV(mIgG2aアイソタイプについて、Promega Corporation、マディソン、ウィスコンシン州)およびNFAT応答性ルシフェラーゼのいずれかを過剰発現する75,000個のJurkatレポーター細胞を、エフェクタ対標的比率3:1で標識細胞に添加した。共培養は、5%CO2雰囲気中、37℃で6時間インキュベートした。NFAT(ルシフェラーゼ)活性は、ルシフェラーゼアッセイの基質および試薬をすべてのウェル(BPS BiosciencesまたはPromega Corporation)に添加することによって測定された。発光は、Spectramaxプレートリーダー(Molecular Devices、サニーベール、カリフォルニア州)を使用して読み取られた。EC50値は、Graphpad Prism(Graphpad Software)のHEK293親細胞から生成されたバックグラウンド発光よりも過剰発現細胞に結合する抗体から生成されたルシフェラーゼシグナルをカーブフィッティングすることによって計算された。
【0322】
図1は、抗mTREM1抗体を用いた、組み換えおよび細胞ベースの特異性TREM1結合、エピトープビニング、ADCC/ADCP機能実験の結果を示す。このデータは、ADCCおよびADCP活性を引き出すことができるエピトープの範囲からの高親和性抗マウスTREM1抗体の生成を示す。
【0323】
7.2.実施例2:MC38インビボ効果実験:
MC38(結腸腺癌細胞)をStemPro Accutase Cell Dissociation試薬(Gibco Corporation、ThermoFisher Scientific、ウォルサム、マサチューセッツ州)を使用して回収し、PBSで洗浄し、右腹側腹部に8×105個の細胞の容量で、雌のC57BL/6マウス(Jackson Laboratories、バーハーバー、メイン州)に皮下注射した。腫瘍の平均サイズが75~130mm3になるまで、腫瘍成長を監視し、その後、マウスを、アイソタイプ対照(mIgG2a)、ならびにPi-9067sおよびPi-9069sと称される2つの抗マウスTREM1クローンを表す3つの治療群に無作為化した。抗体治療はすべて15mg/kgであり、治療は腫瘍接種後9日目、14日目、18日目、および23日目であった。腫瘍サイズは、式V(mm3)=(LxWxW)÷2(式中、W=幅、L=長さ、V=体積)を使用して評価された。キャリパーを使用して腫瘍を週に2~3回測定し、腫瘍体積が2000mm3に到達したときにマウスを安楽死させた。
【0324】
抗体源:
mIgG2aアイソタイプ対照クローンC1.18.4は、BioXCell(BioXCell、ウェストレバノン、ニューハンプシャー州)から購入した。Pi-9067sおよびPi-9069sは、Pionyr Immunotherapeuticsによって製造された。配列を表2に示す。
【0325】
図2は、アイソタイプ対照および9067sと比較したMC38モデルの単剤療法としての9069s治療の抗腫瘍活性を示す。
図3は、アイソタイプ、9067s、および9069sの単剤治療に対する個々のMC38担腫瘍マウスの応答を示す。PI-9069sは、MC38腫瘍モデルでPI-9067sよりも強い抗腫瘍活性を示した。
【0326】
7.3.実施例3:CT26インビボ効果実験:
CT26(結腸腺癌細胞)をStemPro Accutase Dissociation試薬(Gibco Corporation)を使用して回収し、PBSで洗浄し、右腹側腹部に1×106個の細胞の用量で、雌のBALB/cマウス(Taconic Biosciences、ハドソン、ニューヨーク州)に皮下注射した。腫瘍の平均サイズが75~130mm3になるまで、腫瘍成長を監視し、その後、マウスを、アイソタイプ治療(mIgG2aおよびmIgG1)、単剤抗マウスTREM-1(Pi-9069LおよびmIgG1)、単剤抗マウスPD-1(mIgG2aおよびPi-7114)、および併用療法(Pi-9069LおよびPi-7114)を表す4つの治療群に無作為化した。mIgG2aおよびPi-9069Lの抗体処理は15mg/kgであり、mIgG1およびPi-7114の抗体処理は5mg/kgであった。治療は、腫瘍接種後7日目、12日目、17日目、および22日目であった。腫瘍サイズは、式V(mm3)=(LxWxW)÷2(式中、W=幅、L=長さ、V=体積)を使用して評価された。キャリパーを使用して腫瘍を週に2~3回測定し、腫瘍体積が2000mm3に到達したときにマウスを安楽死させた。
【0327】
抗体源:
mIgG1アイソタイプ対照クローンMOPC-21は、BioXCell(BioXCell、ウェストレバノン、ニューハンプシャー州)から購入した。mIgG2aアイソタイプ対照クローンC1.18.4は、BioXCell(BioXCell、ウェストレバノン、ニューハンプシャー州)から購入した。Pi-9069LおよびPi-7114は、Pionyr Immunotherapeuticsによって作製された。Pi-7114は、rIgG2aからmIgG1に切り替えられたクローンRMP1-14(BioXCell、ウェストレバノン、ニューハンプシャー州)アイソタイプである。
【0328】
図4は、対照と比較したCT26モデルにおける9069Lと抗PD1の併用治療の抗腫瘍活性を示す。
図5は、9069Lおよび抗PD1の併用治療に対する個々のCT26担腫瘍マウスの応答を示す。
【0329】
9069Lおよび抗PD-1の組み合わせは、9069L単独、抗PD-1単独、およびアイソタイプ処理マウスよりも強い抗腫瘍効果を示した。この効果は、個々のマウスの成長曲線を分析するときに、より詳細に見ることができる。併用群では、単一の薬剤対照群には存在しなかった強力な応答者のサブセットがあった。
【0330】
7.4.実施例4:受容体占有(RO)および薬力学的(PD)研究:
CT26(結腸腺癌細胞)、LL/2(肺腺癌)、MC38(結腸腺癌)、およびRENCA(腎細胞癌)をStemPro Accutase Dissociation試薬(Gibco Corporation)を使用して回収し、PBSで洗浄し、右腹側腹部に8×105-1×106個の細胞の用量で、雌のC57BL/6(Jackson Laboratories)またはBALB/c(Taconic Biosciences)に皮下注射した。腫瘍の平均サイズが75~130mm3になるまで、腫瘍成長を監視し、その後、マウスを、アイソタイプ治療(mIgG2a)、および抗マウスTREM1(Pi-9069sまたはL)を表す2つの治療群に無作為化した。抗体治療は両方の腕で15mg/kgであり、マウスは示された時点で2回治療された。2回目の投与の48時間後、マウスを安楽死させ、免疫集団分析およびTREM1の発現のために、腫瘍および血液を回収した。免疫集団および発現分析は、フローサイトメトリー(BD Fortessa X-14、BD Biosciences)によって実行された。
【0331】
単球およびTAM枯渇スコアは、9069sまたはL処理群における単球またはTAMとCD103+DCとの比率と比較して、単型またはTAMとCD103+DCとの比率として計算された。枯渇スコアが高いほど、CD103+DCと比較してTAMまたは単球の枯渇が多いことを示す。
【0332】
図6は、4つの別個の同系腫瘍モデルにおける9069sまたはLを用いた腫瘍内受容体占有および薬力学研究の実験計画の概略図を示す。
【0333】
図7は、4つの別個の同系腫瘍モデルにおける9069sまたはLが腫瘍内TAMおよび単球枯渇スコアを増加させることを示す。特に、RenCaおよびLL/2は、抗TREM1の効果を試験するのに良好な腫瘍モデルであった。
【0334】
図8は、9069sまたはLが4つの別個の同系腫瘍モデルでは腫瘍内骨髄特異性RO活性を示すことを示す。
【0335】
図9は、9069sまたはLが4つの別個の同系腫瘍モデルでは腫瘍内骨髄特異性PD活性を示すことを示す。
【0336】
図10は、MC38モデルにおける9069Lの用量増加効果実験を示しており、その効果は腫瘍内単球の枯渇と相関している。
【0337】
ナイーブマウスC57BL/6マウス(Jackson Laboratories)に、2用量のmIgG2aアイソタイプ対照または9069Lを用量あたり15mg/kgで投与した。2回目の投与の48時間後、マウスを安楽死させ、単球および好中球の分析、ならびにTREM1の発現のために、血液および骨髄を回収した。免疫集団および発現分析は、フローサイトメトリー(BD Fortessa X-14、BD Biosciences)によって実行された。
【0338】
図11は、9069Lがナイーブマウスの血液および骨髄中の単球を有意に減少させるが、好中球を減少させず、単球前駆細胞を枯渇させている可能性があることを示す。
【0339】
要約すると、
図6~11は、PI-9069sまたはLが4つの別個のモデルで腫瘍微小環境に適切に入り、TREM1発現骨髄集団に結合することができることを示す。さらにまた、PI-9069sまたはLは、用量に依存した様式で抗腫瘍活性と相関する腫瘍微小環境内のTREM1発現細胞集団、特に単球の数を減少させた。
【0340】
7.5.実施例5:一次ヒト腫瘍試料における抗hTREM1mAbおよびTREM1発現の特性化
エピトープビニング実験:
ヒトTREM-1を過剰発現する100,000個のHEK293細胞を96ウェルプレートで培養し、死細胞をZombie Near Infrared(Biolegend)で染色した。続いて、これらの細胞を、示された非コンジュゲート抗ヒトTREM-1抗体とともに、飽和濃度で、氷上で15分間インキュベートした。これらの抗体とのインキュベーション後、細胞を氷上で30分間、示されたAlexa Fluor647コンジュゲート抗体で染色した。非コンジュゲート抗体の存在下で結合するコンジュゲート抗体の能力は、フローサイトメトリー(BD Fortessa X-14、BD Biosciences)によって測定されたAlexa647シグナルによって評価された。各抗体は、内部実験対照のためにそれ自体を遮断するために検証された。
【0341】
抗体源:
Pi-8419およびPi-8421は、Pionyr Immunotherapeuticsによって作製された。VL、VH、およびCDRの配列を表2に示す。mAb0170:米国特許第US2013/0211050A1号から得られ、Pionyr Immunotherapeuticsによって操作された配列。VL、VH、およびCDRの配列を表2に示す。
【0342】
細胞結合(EC50測定):
100,000個のHEK293親または過剰発現ヒトまたはカニクイザルTREM-1を96ウェルプレート中で培養し、死細胞をZombie Near Infrared(Biolegend)で染色した。示された非コンジュゲート抗体の滴定は、8点にわたって1:4または1:5の希釈範囲で0ug/ml~30ug/mlの範囲内でこれらの細胞とともにインキュベートされる。アイソタイプ(hIgG1またはmIgG2a)に応じて、これらの一次非コンジュゲート抗体は、Alexa Fluor647コンジュゲート抗ヒトFcγまたは抗マウスFcγ二次抗体(Jackson Immunoresearch)で検出された。Alexa Fluor647シグナルは、フローサイトメトリー(BD Fortessa X-14、BD Biosciences)によって測定した。EC50値は、Graphpad Prism(Graphpad Software)のHEK293親細胞から生成されたバックグラウンド蛍光よりも過剰発現細胞に結合する抗体から生成されたシグナルをカーブフィッティングすることによって計算された。
【0343】
ADCCおよびADCPレポーターアッセイ(EC50測定):
25,000HEK293親または過剰発現ヒトTREM-1を、白色の平底96ウェルプレート(Costar)中で培養した。示された非コンジュゲート抗体(hIgG1)の滴定は、室温で10分間、8点にわたって1:4または1:5の希釈範囲で0ug/ml~10ug/mlの範囲内でこれらの細胞とともにインキュベートされた。抗体とのインキュベーション後、hCD32(BPS Biosciences)またはhCD16(BPS Biosciences)およびNFAT応答性ルシフェラーゼのいずれかを過剰発現する75,000個のJurkatレポーター細胞を、エフェクタ対標的比率3:1で標識細胞に添加した。共培養は、5%CO2雰囲気中、37℃で6時間インキュベートした。NFAT(ルシフェラーゼ)活性は、ルシフェラーゼアッセイの基質および試薬をすべてのウェル(BPS BiosciencesまたはPromega Corporation)に添加することによって測定された。発光は、Spectramaxプレートリーダー(Molecular Devices)を使用して読み取られた。EC50値は、Graphpad Prism(Graphpad Software)のHEK293親細胞から生成されたバックグラウンド発光よりも過剰発現細胞に結合する抗体から生成されたルシフェラーゼシグナルをカーブフィッティングすることによって計算された。
【0344】
ADCC/ADCP(一次単球由来マクロファージ/MDMアッセイ):
単球は、健康なドナー(Stanford Blood Centre、パロアルト、カリフォルニア州)からの末梢血からフィコール(GE Healthcare)単離を受けたPBMCからCD14+細胞(StemCell Technologies、バンクーバー、カナダ)のネガティブ選択を使用して単離された。単球を、マクロファージ培地中の50ng/mlのヒトM-CSF(R&Dシステム、ミネアポリス、ミネソタ州)を有する非TC処理15cm皿または6ウェルプレート中で培養した。マクロファージ培地は、RPMI(Gibco)、10%FCS(Hyclone、GE Healthcare)、Glutamax(Gibco)、非必須アミノ酸(Gibco)、ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、2-ベータメルカプトエタノール(Gibco)、およびペニシリン/ストレプトマイシン(カリフォルニア大学、サンフランシスコ)からなっていた。培地は3日目に補充され、単球はマクロファージに分化し、単球単離後6~8日の間使用する準備が整った。
【0345】
MDMアッセイの場合、50,000個のGFP陽性親BWまたはヒトTREM1を過剰発現するBW、またはGFP陽性親HEK293またはヒトTREM1を過剰発現するHEK293を96ウェルプレート中で培養した。示された非コンジュゲート抗体の滴定は、室温で15分間、8点までの1:4または1:5の希釈範囲で0ug/ml~10ug/mlの範囲内でこれらの細胞とともにインキュベートされた。抗体とのインキュベート後、IFN-γ(Peprotech、ロッキーヒル、ニュージャージー州)またはLPS(Sigma-Aldrich、セントルイス、ミズーリ州)/IFN-γ処理マクロファージで標識された50,000個のCell Trace Violet(Life TechnologiesによるMolecular Probes、ThermoFisher Scientific)を、エフェクタ対標的比率1対1で標識標的細胞に添加された。マクロファージは、回収の前日にIFN-γで処理され、回収の1時間前にLPSで処理された。共培養は、共培養は、5%CO2雰囲気中、37℃で18時間インキュベートし、その後、培養物を回収し、フローサイトメトリー(BD Fortessa X-14、BD Biosciences)によってADCCおよびADCPについて分析された。
【0346】
ADCCは、抗体濃度の関数としてGFP陽性標的細胞の損失として決定された。抗体自体の能力は、マクロファージ非依存性ADCCを誘発するそれらの能力についても評価した。ADCPは、抗体濃度の関数として、シングレットにゲートされたCell-Trace Violet/GFP二重陽性細胞の形成として決定された。EC50値は、Graphpad Prism(Graphpad Software)のHEK293親細胞から生成されたバックグラウンドよりも過剰発現細胞に結合する抗体から生成されたADCC/ADCPをカーブフィッティングすることによって計算された。
【0347】
図12は、抗hTREM1抗体を用いた、細胞ベースの特異性TREM1結合、エピトープビニング、ADCC/ADCP機能実験の結果を示す。このデータは、ADCCおよびADCP活性を引き出すことができるエピトープの範囲を標的とする高親和性抗ヒトTREM1抗体の生成を示す。
【0348】
ヒト腫瘍試料および正常な隣接組織は、Cooperative Human Tissue Network(CHTN)から調達された。Miltenyi Human Tumor Dissociation Kit(Miltenyi Biotec、ケルン、ドイツ)を使用して、試料を消化して単細胞懸濁液にした。単細胞懸濁液を96ウェルプレート中で培養し、浸潤免疫集団ならびにTREM1およびTREM2の発現をフローサイトメトリー(BD Fortessa X-14、BD Biosciences)によって分析した。数字は、個々の腫瘍の特定の免疫集団のアイソタイプを超える特定のTREM1およびTREM2染色のレベルを示す。
【0349】
図13は、一次ヒト腫瘍試料のDCおよびリンパ球と比較して、TREM1がTAM上に高度に発現していることを示す。このデータは、TREM1が癌のヒト患者から腫瘍微小環境で発現し、TREM1が骨髄集団、特にTAM上で高度に発現していることを示す。
【0350】
7.6.実施例6:抗TREM1抗体のエピトープ特性化
エピトープビニング実験:
ヒトTREM-1を過剰発現する100,000個のHEK293細胞を96ウェルプレートで培養し、死細胞をZombie Near Infrared(Biolegend)で染色した。続いて、これらの細胞を、示された非コンジュゲート抗ヒトTREM-1抗体とともに、飽和濃度で、氷上で15分間インキュベートした。これらの抗体とのインキュベーション後、細胞を氷上で30分間、示されたAlexa Fluor647コンジュゲート抗体で染色した。非コンジュゲート抗体の存在下で結合するコンジュゲート抗体の能力は、フローサイトメトリー(BD Fortessa X-14、BD Biosciences)によって測定されたAlexa647シグナルによって評価された。各抗体は、内部実験対照のためにそれ自体を遮断するために検証された。
【0351】
抗体源:
mAb0170:米国特許第US2013/0211050A1号から得られ、Pionyr Immunotherapeuticsによって操作された配列。Pi-8419およびPi-8421は、Pionyr Immunotherapeuticsによって作製された。VL、VH、およびCDRの配列を表2に示す。抗TREM1クローン193015は、R&D(R&Dシステム、ミネアポリス、ミネソタ州)から購入した。
【0352】
図14は、抗hTREM1抗体を用いたビニング実験の結果を示す。PI-8421は、mAb0170および193015の両方に対して異なる結合競合を表示した。これは、ヒトTREM1の異なるエピトープに結合することを示す。
【0353】
7.7.実施例7:Pi8421の特性化
細胞結合(EC50測定):
100,000個のHEK293親または過剰発現ヒトまたはカニクイザルTREM-1を96ウェルプレート中で培養し、死細胞をZombie Near Infrared(Biolegend)で染色した。示された非コンジュゲート抗体の滴定は、8点にわたって1:4または1:5の希釈範囲で0ug/ml~30ug/mlの範囲内でこれらの細胞とともにインキュベートされた。アイソタイプ(hIgG1またはmIgG2a)に応じて、これらの一次非コンジュゲート抗体は、Alexa Fluor647コンジュゲート抗ヒトFcγまたは抗マウスFcγ二次抗体(Jackson Immunoresearch)で検出された。Alexa Fluor647シグナルは、フローサイトメトリー(BD Fortessa X-14、BD Biosciences)によって測定された。EC50値は、Graphpad Prism(Graphpad Software)のHEK293親細胞から生成されたバックグラウンド蛍光よりも過剰発現細胞に結合する抗体から生成されたシグナルをカーブフィッティングすることによって計算された。
【0354】
図15は、8421がhTREM1に結合するがcTREM1には結合しないことを示す。
【0355】
7.8.実施例8:Pi8421およびmAb0170のADCCおよびADCP活性
ADCCおよびADCPレポーターアッセイ(EC50測定):
25,000HEK293親または過剰発現ヒトTREM-1を、白色の平底96ウェルプレート(Costar)中で培養した。示された非コンジュゲート抗体(hIgG1)の滴定は、室温で10分間、8点にわたって1:4または1:5の希釈範囲で0ug/ml~10ug/mlの範囲内でこれらの細胞とともにインキュベートされた。抗体とのインキュベーション後、hCD32(BPS Biosciences)またはhCD16(BPS Biosciences)およびNFAT応答性ルシフェラーゼのいずれかを過剰発現する75,000個のJurkatレポーター細胞を、エフェクタ対標的比率3:1で標識細胞に添加した。共培養は、5%CO2雰囲気中、37℃で6時間インキュベートした。NFAT(ルシフェラーゼ)活性は、ルシフェラーゼアッセイの基質および試薬をすべてのウェル(BPS BiosciencesまたはPromega Corporation)に添加することによって測定された。発光は、Spectramaxプレートリーダー(Molecular Devices)を使用して読み取られた。EC50値は、Graphpad Prism(Graphpad Software)のHEK293親細胞から生成されたバックグラウンド発光よりも過剰発現細胞に結合する抗体から生成されたルシフェラーゼシグナルをカーブフィッティングすることによって計算された。
【0356】
図16は、8421および0170が、試験されたレポーターアッセイシステムにおいて同様のADCCおよびADCP活性を有することを示す。このデータは、PI-8421がTREM-1に依存した様式で、ADCCおよびADCPを誘発する能力を有することを示す。
【0357】
7.9.実施例9:一次マクロファージを有する8421のADCCおよびADCP活性
ADCC/ADCP(一次単球由来マクロファージ/MDMアッセイ):
単球は、健康なドナー(Stanford Blood Centre、パロアルト、カリフォルニア州)からの末梢血からフィコール(GE Healthcare)単離を受けたPBMCからCD14+細胞(StemCell Technologies、バンクーバー、カナダ)のネガティブ選択を使用して単離された。単球を、マクロファージ培地中の50ng/mlのヒトM-CSF(R&Dシステム)を有する非TC処理15cm皿または6ウェルプレート中で培養した。マクロファージ培地は、RPMI(Gibco)、10%FCS(Hyclone、GE Healthcare)、Glutamax(Gibco)、非必須アミノ酸(Gibco)、ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、2-ベータメルカプトエタノール(Gibco)、およびペニシリン/ストレプトマイシン(カリフォルニア大学、サンフランシスコ)からなっていた。培地は3日目に補充され、単球はマクロファージに分化し、単球単離後6~8日間使用する準備が整った。
【0358】
MDMアッセイの場合、50,000個のGFP陽性親BWまたはヒトTREM1を過剰発現するBW、またはGFP陽性親HEK293またはヒトTREM1を過剰発現するHEK293を96ウェルプレート中で培養した。示された非コンジュゲート抗体の滴定は、室温で15分間、8点までの1:4または1:5の希釈範囲で0ug/ml~10ug/mlの範囲内でこれらの細胞とともにインキュベートされた。抗体とのインキュベーション後、IFN-γ(Peprotech)またはLPS(Sigma-Aldrich)/IFN-γで処理されたマクロファージを含む50,000個のCell Trace Violet(Life TechnologiesによるMolecular Probes)を、エフェクタ対標的比率1対1で標識標的細胞に添加された。マクロファージは、回収の前日にIFN-γで処理され、回収の1時間前にLPSで処理された。共培養は、共培養は、5%CO2雰囲気中、37℃で18時間インキュベートし、その後、培養物を回収し、フローサイトメトリー(BD Fortessa X-14、BD Biosciences)によってADCCおよびADCPについて分析された。
【0359】
ADCCは、抗体濃度の関数としてGFP陽性標的細胞の損失として決定された。抗体自体の能力は、マクロファージ非依存性ADCCを誘発するそれらの能力についても評価した。ADCPは、抗体濃度の関数として、シングレットにゲートされたCell-Trace Violet/GFP二重陽性細胞の形成として決定された。EC50値は、Graphpad Prism(Graphpad Software)のHEK293親細胞から生成されたバックグラウンドよりも過剰発現細胞に結合する抗体から生成されたADCC/ADCPをカーブフィッティングすることによって計算された。
【0360】
図17は、8421が一次マクロファージ設定においてADCCおよびADCP活性を誘発することを示す。要約すると、PI-8421は、TREM1に依存した様式で、一次マクロファージによってADCCおよびADCPの両方を誘発することができた。
【0361】
7.10.実施例10:抗mTREM1抗体9067L、4928、および9772の特性化
エピトープビニング実験:
マウスTREM-1を過剰発現する100,000個のHEK293細胞を96ウェルプレート中で培養し、死細胞をZombie Near Infrared(Biolegend、サンディエゴ、カリフォルニア州)で染色した。続いて、これらの細胞を、示された非コンジュゲート抗マウスTREM-1抗体とともに、飽和濃度で、氷上で15分間インキュベートした。これらの抗体とのインキュベーション後、細胞を氷上で30分間、示されたAlexa Fluor647コンジュゲート抗体で染色した。非コンジュゲート抗体の存在下で結合するコンジュゲート抗体の能力は、フローサイトメトリー(BD Fortessa X-14、BD Biosciences、サンホゼ、カリフォルニア州)によって測定されたAlexa647シグナルによって評価された。各抗体は、内部実験対照のためにそれ自体を遮断するために検証された。
【0362】
抗体源
Pi-9067L、Pi-4928、およびPi-9772は、Pionyr Immunotherapeuticsによって作製された。Pi-9067L、Pi-4928、およびPi-9772の配列を表2に示す。
【0363】
エピトープマッピング
抗マウスTREM1 mAb、Pi-9067L、Pi-4928、およびPi-9772のエピトープマッピングは、フローサイトメトリーによるmAbクロスブロッキング実験を使用して実施された。
図18Aに示されるように、3つの抗TREM1mAbは、様々な内部および市販のmAbに対して評価した場合、明確な遮断特性を有し、mTREM1の個別のエピトープに結合することを示す。マウスIgVドメイン1、2、および3の配列を表2に示す。配列は、各ドメインを含む線形アミノ酸ストレッチを意味し、番号付けは、マウスTREM1のUniProt配列分析および3Dモデリングに基づく。
【0364】
フローサイトメトリーに基づく遮断実験に加えて、ヒトおよびマウスTREM1のキメラコンストラクトは、完全なヒトIgVおよびIgVの別個のドメインをマウスTREM1に、またはその逆に置換したことによって作製された。これにより、各mAbの野生型配列への結合に重要なドメインの決定が可能になった。
図18Bに示されるように、この直交アプローチは、Pi-9067L、Pi-4928、およびPi-9772がマウスTREM1上の別個のエピトープに結合することも示した。
【0365】
生化学的特性化
タンパク質結合(Kd測定):
示された抗マウスTREM1抗体の結合動態は、マウスTREM1-hIgG1Fc融合タンパク質に対して評価された。プロットは、示された各抗体の異なる濃度に関連する結合曲線上に重ねられた1:1結合ラングミュアモデルを適用することによって生成された。示された各抗体を、捕捉されたマウスTREM1-hIgG1Fc融合タンパク質の上に、Biacore T200機器を使用して、Tween-20を含むPBSで30~50uL/minの流量で120~180秒、900秒の解離時間で注入した。
【0366】
抗マウスTREM1mAb、PI-9067L、PI-4928、およびPI-9772の生化学的特徴は、結合動態、生産力価、およびSECを含むいくつかの標準的な生化学的手法を使用して決定された。
図18Cは、3つのmAbの生化学的特性化の概要を示す。生化学的特性化に基づいて、3つのmAbはすべてインビボ特性化に好適な特性を有する。
【0367】
好中球結合
マウスmAbが内因的に発現したマウスTREM1に特異的に結合することができるかどうかを決定するために、Pi-9067L、Pi-4928、およびPi-9772をBALB/c脾細胞上で滴定した。脾臓をBALB/cマウスから回収し、単細胞脾細胞懸濁液に処理した。示された抗マウスTREM1抗体は、滴定に依存した様式でFACS解析によって脾細胞集団に結合するそれらの能力について評価された。簡単に説明すると、脾細胞を、Fc受容体を遮断する生/死生存性マーカーおよび試薬で標識した。次いで、主要な骨髄球およびリンパ球集団をサブセット化することができる抗体を含有するバックボーンカクテルを使用して、好中球を画成した。好中球(CD24+Ly6G+Ly6C+CD11b+)およびリンパ球(CD3+NK1.1+B220+CD19+NKp46+)の特定のゲーティングを使用して、各抗体による特定のマウスTREM1染色を評価した。
図19は、Pi-9067LおよびPi-4928が、最も強いEC50値で好中球上に特異的な染色を示したことを示す。これらのmAbは、リンパ球に結合するバックグラウンドを示さなかった。対照的に、Pi-9772はリンパ球へのバックグラウンド結合を示し、好中球上で最も弱いEC50値を有した。要約すると、このデータは、PI-9067LおよびPI-4928が優れた結合および生物物理学的特性を有し、内因性マウスTREM1を高い親和性および特異性で認識することを示す。さらにまた、それらはマウスTREM1上の別個のエピトープに各々結合し、インビボでの抗TREM1抗体の抗腫瘍効果を評価するために使用することができる。
【0368】
7.11.実施例11:Pi-9067L、Pi-9772、およびPi-4928mAbの結合およびADCC特性
細胞結合(EC50測定):
100,000HEK個の293親または過剰発現するマウスTREM-1を96ウェルプレート中で培養し、死細胞をZombie Near Infrared(Biolegend、サンディエゴ、カリフォルニア州)で染色した。示された非コンジュゲートフコシル化抗体または非フコシル化抗体(Pi-9067L、Pi-9772、およびPi-4928の)の滴定は、8点にわたって1:4または1:5の希釈範囲で0ug/ml~30ug/mlの範囲内でこれらの細胞とともにインキュベートされた。これらの一次非コンジュゲート抗体は、Alexa Fluor647コンジュゲート抗マウスFcγ二次抗体(Jackson Immunoresearch、ウェストグローブ、ペンシルヴェニア州)で検出された。Alexa Fluor647シグナルをフローサイトメトリー(BD Fortessa X-14、BD Biosciences、サンホゼ、カリフォルニア州)によって測定した。EC50値は、Graphpad Prism(Graphpad Software、ラ・ホーヤ、カリフォルニア州)のHEK293親細胞から生成されたバックグラウンド蛍光よりも過剰発現細胞に結合する抗体から生成されたシグナルをカーブフィッティングすることによって計算された。
【0369】
ADCCレポーターアッセイ(EC50測定):
野生型または非フコシル化抗体(Pi-9067L、Pi-9772、およびPi-4928)の、ADCCと、およびマウスTREM-1を過剰発現する細胞に対する活性とをアッセイした。
【0370】
25,000HEK293親または過剰発現マウスTREM-1を、白色の平底96ウェルプレート(Costar)中で培養した。示された非コンジュゲート抗体の滴定は、室温で10分間、8点にわたって1:4または1:5の希釈範囲で0ug/ml~10ug/mlの範囲内でこれらの細胞とともにインキュベートされた。抗体とのインキュベーション後、mFcγRIVおよびNFAT応答性ルシフェラーゼ(Promega、マディソン、ウィスコンシン州)を過剰発現する75,000個のJurkatレポーター細胞を、エフェクタ対標的比率3:1で標識細胞に添加した。共培養は、5%CO2雰囲気中、37℃で6時間インキュベートした。NFAT(ルシフェラーゼ)活性は、ルシフェラーゼアッセイの基質および試薬をすべてのウェル(プロメガ、マディソン、ウィスコンシン州)に添加することによって測定された。発光は、Spectramaxプレートリーダー(Molecular Devices)を使用して読み取られた。EC50値は、Graphpad Prism(Graphpad Software)でHEK293親細胞から生成されたバックグラウンド発光を超える過剰発現細胞に結合する抗体から生成されたルシフェラーゼシグナルをカーブフィッティングすることによって計算された。
【0371】
細胞結合およびADCCアッセイの結果を
図20に示す。Pi-9067L、Pi-9772、およびPi-4928 TREM1 mAbはすべて、マウスTREM1を過剰発現する細胞で滴定すると、1桁の低いナノモルEC50値を示した。非フコシル化は、mAbのEC50値に有意に影響を与えなかったが、ADCCの代理であるマウスFcγRIVを介したシグナル伝達を誘発する能力を増強した。要約すると、このデータは、Pi-9067L、Pi-9772、およびPi-4928の非フコシル化が、これらの抗体がマウスTREM1に結合する能力に影響を与えないが、FcγRに結合してADCCシグナル伝達を誘発する能力を著しく増強することを示す。
【0372】
7.12.実施例12.受容体占有(RO)および薬力学的(PD)研究
受容体占有
CT26およびMC38同系腫瘍モデルで、Pi-9067LおよびPi-4928を使用してインビボ研究を実施した。マウス腫瘍研究の例示的な研究計画を
図21に示す。
【0373】
CT26(結腸腺癌細胞)をStemPro Accutase Dissociation試薬(Gibco Corporation)を使用して回収し、PBSで洗浄し、右腹側腹部に1×106個の細胞の用量で、雌のBALB/cマウス(Taconic Biosciences、ハドソン、ニューヨーク州)に皮下注射した。腫瘍の平均サイズが75~130mm3になるまで、腫瘍成長を監視した。MC38(結腸腺癌細胞)をStemPro Accutase Cell Dissociation試薬(Gibco Corporation、ThermoFisher Scientific、ウォルサム、マサチューセッツ州)を使用して回収し、PBSで洗浄し、右腹側腹部に8×105個の細胞の容量で、雌のC57BL/6マウス(Jackson Laboratories、バーハーバー、メイン州)に皮下注射した。腫瘍の平均サイズが75~130mm3になるまで、腫瘍成長を監視した。続いて、マウスをアイソタイプ対照(mIgG2a)を表す3つの治療群と、Pi-9067LおよびPi-4928と称される2つの抗マウスTREM1クローンに無作為化した。マウスの1つのコホートを薬力学的および受容体占有に使用し(群あたり5マウス)、第2のコホートをPi9067LおよびPi-4928の効果の評価に使用した(群あたり10マウス)。抗体治療は15mg/kgであった。薬力学的および受容体占有の研究は、2回目のmAb投与の1~2日後に実行され(5日ごとにmAbが投与された)、腫瘍および末梢血が収集され、フローサイトメトリー用に処理された。効果の治療も5日ごとに行われ、最大5回の投与が行われた。腫瘍サイズは、式V(mm3)=(LxWxW)÷2(式中、W=幅、L=長さ、V=体積)を使用して評価された。キャリパーを使用して腫瘍を週に2~3回測定し、腫瘍体積が2000mm3に到達したときにマウスを安楽死させた。CT26およびMC38モデルの両方におけるPi-9067LおよびPi4928の受容体占有率は、実施例4で前述したように評価された。
【0374】
図22に示すように、CT26(
図22Aおよび22C)ならびにMC38モデル(
図22Bおよび22D)においてPI-9067LとPI-4928との両方の治療を行った腫瘍内好中球でROが観察され、両方のmAbが腫瘍微小環境に適切に入り、TREM1発現免疫集団に結合することを示した。ROは、TAM、単球、DCサブセットなどの他の腫瘍内骨髄集団でも観察されたが、リンパ球集団では観察されなかった(データは示していない)。これは、TREM1発現が末梢血中の循環好中球でのみ観察されたナイーブマウスとは対照的である。これは、TREM1が腫瘍微小環境内の骨髄集団の範囲で上方制御されていることを示す。
【0375】
薬力学
PD分析のために、TREM1発現細胞の枯渇を測定した。
図23は、CT26モデルでのPi-9067Lによる単球および好中球の腫瘍内枯渇を示す。単球および好中球の絶対数は、それぞれ2倍および2.3倍減少した。ROデータと一致して、TおよびNK細胞は影響を受けなかった。CT26データとは対照的に、MC38モデルではTREM1発現集団の有意な枯渇は観察されなかった(データは示していない)。まとめると、このデータは、Pi-9067LがCT26腫瘍微小環境内のTREM1発現細胞を特異的に枯渇させることができることを示す。
【0376】
7.13.実施例13:CT26インビボ併用療法の効果
Pi-9067Lおよび非フコシル化Pi-9067L(Afuc-Pi-9067L)は、CT26腫瘍モデルで抗PD-1と組み合わせて試験された。CT26(結腸腺癌細胞)をStemPro Accutase Dissociation試薬(Gibco Corporation)を使用して回収し、PBSで洗浄し、右腹側腹部に1×106個の細胞の用量で、雌のBALB/cマウス(Taconic Biosciences、ハドソン、ニューヨーク州)に皮下注射した。腫瘍の平均サイズが75~130mm3になるまで、腫瘍成長を監視し、その後、マウスを、アイソタイプ治療(mIgG2aおよびmIgG1)、単剤抗マウスTREM-1(Pi-9067Lおよび非フコシル化Pi-9067L(アイソタイプ対照を有する))、単剤抗マウスPD-1(アイソタイプ対照を有する抗PD-1)、および併用療法(Pi-9067Lおよび非フコシル化Pi-9067L(抗PD-1を有する))を表す6つの治療群に無作為化した。mIgG2a、Pi-9067L、およびAfuc-Pi-9067Lの抗体用量は15mg/kgであり、mIgG1および抗PD-1の抗体用量は5mg/kgであった。治療は、腫瘍接種後9日目、14日目、および19日目であった。腫瘍サイズは、式V(mm3)=(LxWxW)÷2(式中、W=幅、L=長さ、V=体積)を使用して評価された。キャリパーを使用して腫瘍を週に2~3回測定し、腫瘍体積が2000mm3に到達したときにマウスを安楽死させた。
【0377】
図24に見られるように、Afuc-PI-9067Lは、PI-9067Lよりも抗PD-1と併用した場合によりよい抗腫瘍活性を有した(
図24A)。抗腫瘍活性に対するPI-9067Lの非フコシル化の影響は、個々のマウス腫瘍体積の分析においてより明確に見られた。
図24Bは、抗PD-1と組み合わせたPi-9067Lの個々の腫瘍体積を示す。
図24Cは、抗PD-1と組み合わせたAfuc-Pi-9067Lの個々の腫瘍体積を示す。Pi-9067L併用コホートと比較して、Afuc-PI-9067L併用コホートでは応答者として分類されたより多くのマウスが存在し(それぞれ5/10と比較して3/10)、各マウスの平均総腫瘍体積はより低かった(Afuc-Pi-9067=796.8±525.1mm3およびPi-9067=1330±772.8mm3)。このデータは、おそらく非フコシル化バージョンがFcγRに結合する能力が増強されているため、PI-9067Lの非フコシル化がフコシル化PI-9067LよりもCT26モデルでよりよい抗腫瘍効果をもたらすことを示している。
【0378】
Afuc-PI-9067Lは、抗PD-1と組み合わせたWT PI-9067LよりもCT26モデルでより強力な抗腫瘍効果を誘発したため、抗PD-1と組み合わせたAfuc-PI-4928の治療効果もこのモデルで評価された。
図25Aに示されるように、対照群と比較して、Afuc-Pi-4928および抗PD-1の組み合わせも組み合わせ治療効果を示した。エンドポイント腫瘍体積を評価したとき、Afuc-Pi-4928+抗PD-1の組み合わせにおける平均腫瘍サイズは、すべての対照群に対して有意に異なっていた(
図25B)。
【0379】
7.14.実施例14:Pi-9067および非フコシル化Pi-9067を使用したMC38のインビボ効果
図26Aおよび26Bに示されるように、Pi-9067Lはまた、MC38結腸腫瘍モデルの単剤療法として有意な抗腫瘍活性を誘発することも観察された。MC38(結腸腺癌細胞)をStemPro Accutase Cell Dissociation試薬(Gibco Corporation、ThermoFisher Scientific、ウォルサム、マサチューセッツ州)を使用して回収し、PBSで洗浄し、右腹側腹部に8×10
5個の細胞の容量で、雌のC57BL/6マウス(Jackson Laboratories、バーハーバー、メイン州)に皮下注射した。腫瘍の平均サイズが75~130mm
3になるまで、腫瘍成長を監視し、その後、マウスを、アイソタイプ対照(mIgG2a)、ならびにフコシル化および非フコシル化抗マウスTREM1 Pi-9067Lを表す3つの治療群に無作為化した。抗体治療はすべて15mg/kgであり、治療は腫瘍接種後12日目、17日目、22日目、および26日目であった。腫瘍サイズは、式V(mm
3)=(LxWxW)÷2(式中、W=幅、L=長さ、V=体積)を使用して評価された。キャリパーを使用して腫瘍を週に2~3回測定し、腫瘍体積が2000mm
3に到達したときにマウスを安楽死させた。
【0380】
図26に示すように、Afuc-Pi-9067Lは、WT Pi-9067Lと比較して治療上の利点の増加を示さなかった。PI-9067Lによる治療では、MC38モデルでTREM1
+細胞の枯渇が観察されなかったため、非フコシル化によるさらなる治療上の利点の欠如は、この観察と一致している。
【0381】
7.15.実施例15:Py8119インビボ併用療法の効果
トリプルネガティブ乳癌のPy8119モデルにおける抗PD-1と組み合わせたAfuc-PI-4928の治療効果も評価された。
【0382】
Py8119乳癌腫系(ATCC、マナッサス、バージニア州)を対数期で回収し、等量のマトリゲルで混合した雌のC57BL/6マウス(Jackson Laboratories)の右腹側腹部に2×106細胞/マウスの用量で皮下注射した。大部分のマウスの腫瘍が70~130mm3に到達した後、マウスを無作為化し、示された抗体の投薬を開始した。抗体は、Afuc-PI-4928およびmIgG2aアイソタイプでは15mg/kg、抗PD1およびmIgG1アイソタイプでは5mg/kgで、5日ごとに4回までの頻度で腹腔内に投与された。腫瘍の成長は、式(体積(mm3)=[長さ(mm)×幅(mm)×幅(mm)]/2)を使用するキャリパー測定によって経時的に測定された。
【0383】
各群の個々の腫瘍曲線を
図27に示す。
図27Aはアイソタイプ対照を示し、
図27Bは抗PD-1治療を示し、
図27CはAfuc-Pi-4928治療を示し、
図27DはAfuc-Pi-4928+抗PD-1治療を示す。各治療のエンドポイント腫瘍体積を
図27Eに示す。併用腕のエンドポイント腫瘍体積は、アイソタイプ対照およびAfuc-PI-4928対照コホートよりも有意に低かった。対照的に、抗PD-1のみの対照コホートは、他の群と有意な差はなかった。したがって、Afuc-PI-4928と抗PD-1との組み合わせは、抗PD-1またはAfuc-PI-4928単独と比較して、Py8119モデルでより強い抗腫瘍活性を示した。
【0384】
7.16.実施例16:Pi-9067LおよびPi-4928の薬物動態(PK)
CT26またはMC38担腫瘍マウスにPi-9067L、Pi-4928、またはそれらの非フコシル化対応物を2回投与した。CT26またはMC38担腫瘍マウスの血漿中のPi-9067LおよびPi-4928mAbレベルを、mAbの2回目の投与の48時間後に評価した。抗マウスTREM1mAbの血清レベルは、標準のリガンド結合ELISA形式を使用して決定された。マウスTREM1 Hisタグ付き融合コンストラクトをNunc MaxiSorp平底プレート上にコーティングした後、非結合部位をBSAで遮断した。Pi-9067LおよびPi-4928(フコシル化または非フコシル化)mAb標準またはマウス血漿試料を、Tween界面活性剤を含有するアッセイ緩衝液内で希釈し、抗原コーティングプレートに添加した。結合したmAbを、光学密度吸収による比色定量化のために、HRPにコンジュゲートした抗マウスIgG2a二次mAbを用いて、検出した。
【0385】
インビボ血漿濃度
図28Aは、CT26担腫瘍マウスにおけるPi-9067LおよびPi-4928の平均血漿レベルを示す。Pi-9067LおよびPi-4928の血漿濃度に有意な差はなかった。MC38モデルでも同様の結果が見られた(
図28B)。次に、フコシル化抗体の対応物と比較して、非フコシル化mAbのPK特性も評価した。
図28Cに見られるように、CT26担腫瘍マウスでは、親Pi-9067LとAfuc-Pi-9067Lとの間で血漿濃度に有意な差はなかった。しかしながら、親Pi-4928とAfuc-Pi-4928との血漿濃度の間には有意な差があった。Pi-4928とAfuc-Pi-4928との血漿濃度には差があったが、抗PD-1によるAfuc-Pi-4928の治療効果は、CT26モデルおよびPy8119モデルの両方で観察された(実施例13および15)。さらにまた、TREM1の完全な受容体占有が、Afuc-PI-4928をマウスに投与した受容体占有研究において観察された(データは示していない)。これは、野生型Pi-4928と比較してAfuc-Pi-4928の血漿濃度がより低いにもかかわらず、TMEのTREM1に結合して治療効果を誘発するのに十分な循環抗体が依然として存在することを示す。
【0386】
毒性学
PI-9067L単独、Afuc-PI-9067L単独、または抗PD-1と組み合わせて最大26日間、マウスに4回投与し、26日間体重減少を監視した。治療は、対照治療マウスと比較して、またはCT26およびMC38モデルで経時的に同じ群内で、抗TREM1抗体治療マウス(
図29Aおよび29B)で体重減少をもたらさなかった。同様に、Afuc-PI-4928単独、または抗PD-1と組み合わせて22日間3回投与したマウスは、Py8119モデルで体重減少を示さなかった(
図29C)。実験中のどの治療群のマウスも、観察可能な異常な行動や外観を表示しなかった。
【0387】
末梢好中球減少
TREM1は、腫瘍微小環境および末梢中の好中球上に発現しているため、Pi-9067LまたはPi-4928によって誘発される末梢好中球減少が評価された。
【0388】
ナイーブBALB/c(Taconic)またはC57BL/6マウス(Jackson Laboratories)は、0日目および5日目に15mg/kgのmIgG2aまたはPI-9067Lで処理された。7日目(2回目の投与の48時間後)に、血液を採取し、好中球の割合は、フローサイトメトリーによるLy6GおよびCD11b二重陽性イベントの特定のゲーティングによって評価された。
【0389】
CT26結腸癌腫系(ATCC、マナッサス、バージニア州)を対数期で回収し、雌のBALB/cマウス(Taconic)の右腹側腹部に1×106細胞/マウスの用量で皮下注射した。大部分のマウスの腫瘍が75~135mm3に到達した後、マウスを無作為化し、示された抗体(非フコシル化または野生型Pi-9067LまたはPi-4928またはアイソタイプ対照)の投薬を開始した。抗体は5日ごとに15mg/kgで腹腔内に投与され、血液は2回目の投与の48時間後に採取された。好中球の割合は、フローサイトメトリーによるLy6GおよびCD11b二重陽性イベントの特定のゲーティングによって評価された。
【0390】
MC38結腸癌腫系(ATCC、マナッサス、バージニア州)を対数期で回収し、雌のC57BL/6マウス(Jackson Laboratories)の右腹側腹部に8×105細胞/マウスの用量で皮下注射した。大部分のマウスの腫瘍が75~135mm3に到達した後、マウスを無作為化し、示された抗体(非フコシル化または野生型Pi-9067LまたはPi-4928またはアイソタイプ対照)の投薬を開始した。抗体は5日ごとに15mg/kgで腹腔内に投与され、血液は2回目の投与の48時間後に採取された。好中球の割合は、フローサイトメトリーによるLy6GおよびCD11b二重陽性イベントの特定のゲーティングによって評価された。
【0391】
Pi-9067Lは、非腫瘍性C57BL/6およびBALB/cマウスにおいて末梢好中球減少を誘発しなかった(
図30A)。PI-9067LおよびPI-4928ならびにそれらの非フコシル化変異体はまた、CT26担腫瘍マウス(
図30B)またはMC38担腫瘍マウス(
図30C)では末梢好中球減少を生じなかった。n.s.は有意ではないことを意味する。要約すると、このデータは、フコシル化および非フコシル化PI-9067LおよびPI-4928が優れた前臨床安全特性を有することを示す。さらにまた、フコシル化および非フコシル化PI-9067LおよびPI-4928は、血漿中の循環抗体が抗体の2回目の投与から少なくとも48時間後に検出され、同時に完全な腫瘍内ROを達成することができるため、良好な薬物動態特性を示す。
【0392】
7.17.実施例17:抗mTREM1および抗hTREM1抗体のCDC活性
ヒトTREM1を発現する標的細胞を対数期の培養物から回収し、5×104-2×105の細胞を96枚のウェルU底プレート中で培養する。培養後、血清と抗ヒトおよび抗マウスTREM1mAb(hIgG1アイソタイプ)とを含有するヒト補体の1:1の混合物を添加し、37℃で2~3時間、標的細胞とインキュベートする。インキュベーション後、フローサイトメトリーまたは発光ベースの方法(Cell Titer Glo(Promega、Madison、WI)など)によって標的細胞死を評価することによって、抗体媒介性CDC活性について細胞を評価する。
【0393】
【配列表】