(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】ガラス製品製造装置
(51)【国際特許分類】
C03B 5/235 20060101AFI20230424BHJP
【FI】
C03B5/235
(21)【出願番号】P 2020538128
(86)(22)【出願日】2019-01-10
(86)【国際出願番号】 KR2019000386
(87)【国際公開番号】W WO2019139372
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2022-01-11
(31)【優先権主張番号】10-2018-0004050
(32)【優先日】2018-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ソヌ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨンス
【審査官】須藤 英輝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/179374(WO,A2)
【文献】特表2008-539160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 5/16-5/44
C03B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス製造装置において、
チェンバに配置され、溶融ガラスを攪拌するように構成された攪拌槽と、
前記チェンバに配列され、前記攪拌槽からの前記溶融ガラスが中を通って流れる内側空間を有する導管と、
前記チェンバ内で前記導管に隣接して配置され、流体を該導管の周りに噴射するように構成されたノズルと、
前記チェンバの内側の環境パラメータを調節するように構成された環境制御部と
を含み、
前記ノズルは、窒素源に接続されたものであり、
前記窒素源は、前記環境制御部を通り抜けていない窒素を、前記ノズルに供給するように構成されたものであり、
前記環境制御部は、前記チェンバに接続され、更に、該チェンバに、所定の湿度、温度および、雰囲気組成比を有する流体を供給するように構成されたものである、ガラス製造装置。
【請求項2】
前記ノズルによって噴射された前記流体と、前記環境制御部によって供給された前記流体は、温度、湿度、および、雰囲気組成比の少なくとも1つが異なるものである、請求項1に記載のガラス製造装置。
【請求項3】
前記環境制御部を制御するように構成された第1の制御部と、
前記ノズルによって噴射される前記流体の流れを制御するように構成された第2の制御部と、
を更に含む、請求項1に記載のガラス製造装置。
【請求項4】
前記第1の制御部と、前記第2の制御部は、互いに分離したものである、請求項3に記載のガラス製造装置。
【請求項5】
前記ノズルは、前記流体を、水平面に略垂直な方向に噴射するように構成されたものである、請求項1に記載のガラス製造装置。
【請求項6】
前記ノズルは、前記流体を、水平面に対する角度を成して噴射するように構成されたものである、請求項1に記載のガラス製造装置。
【請求項7】
ガラス製造装置において、
攪拌槽からの溶融ガラスが中を流れる内側空間を有し、第1の方向に延伸する導管と、
流体を前記導管の周りに噴射するように構成され、前記第1の方向に沿って配列された複数のノズルと、
チェンバの内側の環境パラメータを調節するように構成された環境制御部と
を含み、
前記ノズルは、窒素源に接続されたものであり、
前記窒素源は、前記環境制御部を通り抜けていない窒素を、前記ノズルに供給するように構成されたものであり、
前記環境制御部は、前記チェンバに接続され、更に、該チェンバに、所定の湿度、温度および、雰囲気組成比を有する流体を供給するように構成されたものである、ガラス製造装置。
【請求項8】
前記複数のノズルは、略等間隔で、前記導管の延伸方向に沿って配列されたものである、請求項7に記載のガラス製造装置。
【請求項9】
前記複数のノズルは、異なる間隔で、前記導管の延伸方向に沿って配列されたものである、請求項7に記載のガラス製造装置。
【請求項10】
前記複数のノズルの少なくともいくつかは、前記導管の上方に配置されたものである、請求項7に記載のガラス製造装置。
【請求項11】
前記複数のノズルの少なくともいくつかは、前記導管の下方に配置されたものである、請求項7に記載のガラス製造装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、米国特許法第119条の下、2018年1月11日出願の韓国特許出願第10-2018-0004050号の優先権の利益を主張し、その内容は依拠され、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ガラス製品製造装置に関し、特に、冷却および製造効率が改良されたガラス製品製造装置に関する。
【背景技術】
【0003】
溶融ガラスを、バッチ材料を融解させて生成し、更に、例えば、清澄、攪拌および形成などの処理を行って、ガラス製品を製造する。溶融ガラスを処理する場合、溶融ガラスを高温まで加熱して、次に、様々な処理を行う他の装置に搬送する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
溶融ガラスの温度を、各処理工程に適するように精密に制御する必要がある。このために、溶融ガラスの温度を適切に制御する方法について多くの研究が行われてきた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態によれば、ガラス製造装置を開示し、それは、チェンバに配置され、溶融ガラスを攪拌するように構成された攪拌槽と、チェンバに配列され、攪拌槽からの溶融ガラスが中を通って流れる内側空間を有する導管と、チェンバ内で導管に隣接して配置され、流体を導管の周りに噴射するように構成されたノズルとを含む。
【0006】
ガラス製造装置は、チェンバの内側の環境パラメータを調節するように構成された環境制御部を更に含みうる。
【0007】
ノズルは、窒素源に接続されたものでありうる。
【0008】
窒素源は、環境制御部を通り抜けていない窒素を、ノズルに供給しうる。
【0009】
環境制御部は、チェンバに接続され、更に、チェンバに、所定の湿度、温度および、雰囲気組成比を有する流体を供給するように構成されたものでありうる。
【0010】
環境制御部は、更に、流体をチェンバに供給するように構成され、ノズルによって噴射された流体と、環境制御部によって供給された流体は、互いに異なるものでありうる。
【0011】
ノズルによって噴射された流体と、環境制御部によって供給された流体は、温度、湿度、および、雰囲気組成比の少なくとも1つが異なるものでありうる。
【0012】
ガラス製造装置は、環境制御部を制御するように構成された第1の制御部と、ノズルによって噴射される流体の流れを制御するように構成された第2の制御部とを更に含みうる。
【0013】
第1の制御部と、第2の制御部は、互いに分離したものでありうる。
【0014】
ノズルは、流体を、水平面に略垂直な方向に噴射するように構成されたものでありうる。
【0015】
ノズルは、流体を、水平面に対する角度を成して噴射するように構成されたものでありうる。
【0016】
本開示の実施形態によれば、ガラス製造装置を開示し、それは、溶融ガラスが中を流れる内側空間を有し、第1の方向に延伸する導管と、流体を導管の周りに噴射するように構成され、第1の方向に沿って配列された複数のノズルとを含む。
【0017】
複数のノズルは、略等間隔で、導管の延伸方向に沿って配列されたものでありうる。
【0018】
複数のノズルは、異なる間隔で、導管の延伸方向に沿って配列されたものでありうる。
【0019】
複数のノズルは、略等間隔で、導管の延伸する延伸方向に沿って配列されたものでありうる。
【0020】
複数のノズルは、異なる間隔で、導管の延伸する延伸方向に沿って配列されたものでありうる。
【0021】
複数のノズルの少なくともいくつかは、導管の上方に配置されたものでありうる。
【0022】
複数のノズルの少なくともいくつかは、導管の下方に配置されたものでありうる。
【0023】
本開示の実施形態によれば、ガラス製造方法は、溶融ガラスを攪拌槽で攪拌する工程と、攪拌工程の後に、溶融ガラスを導管に通して流す工程と、流体を、導管の周りに噴射する工程とを含む。
【0024】
溶融ガラスは噴射された流体によって冷却され、噴射された流体と、攪拌槽の周りの雰囲気は、互いに異なる組成を有するものでありうる。
【0025】
流体は、窒素およびH2Oを含みうる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1a】いくつかの実施形態によるガラス製造装置を説明するために概略的に示す図である。
【
図1b】いくつかの実施形態によるガラス製造装置を説明するために概略的に示す図である。
【
図1c】いくつかの実施形態によるガラス製造装置を説明するために概略的に示す図である。
【
図1d】いくつかの実施形態によるガラス製造装置を説明するために概略的に示す図である。
【
図1e】いくつかの実施形態によるガラス製造装置を説明するために概略的に示す図である。
【
図1f】いくつかの実施形態によるガラス製造装置を説明するために概略的に示す図である。
【
図1g】いくつかの実施形態によるガラス製造装置を説明するために概略的に示す図である。
【
図1h】いくつかの実施形態によるガラス製造装置を説明するために概略的に示す図である。
【
図1i】いくつかの実施形態によるガラス製造装置を説明するために概略的に示す図である。
【
図2】いくつかの実施形態によるガラス製造装置の効果を示すグラフである。
【
図3a】いくつかの実施形態によるガラス製造装置を説明するために概略的に示す図である。
【
図3b】いくつかの実施形態によるガラス製造装置を説明するために概略的に示す図である。
【
図4】いくつかの実施形態によるガラス製造方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ここで、例示的な実施形態を示した添付の図面を参照して、本開示をより完全に記載する。しかしながら、本開示の主題は、多数の異なる形態で実施しうるもので、本明細書に示した例示的な実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示により当業者に主題を伝えるために提供される。図面において、明瞭に示すために、層および領域の厚さを誇張して示しうる。可能な限り、図面中の類似した参照番号は、類似の構成要素を示す。したがって、本開示は、添付の図面に示したような相対的なサイズまたは間隔によって限定されない。
【0028】
様々な構成要素を記載するのに、「第1の」、「第2の」などの用語を用いうるが、そのような構成要素は、そのような用語に限定されない。これらの用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別するためだけに用いられている。矛盾することなく、例えば、第1の構成要素が第2の構成要素を指すか、または、第2の構成要素が第1の構成要素を指しうる。
【0029】
本明細書の様々な例示的な実施形態で用いた用語は、例示的な実施形態を記載するためだけに用いたものであり、様々な更なる実施形態を限定すると解釈されるべきではない。文脈からそうでない限りは、単数形の表現は、複数形の表現を含む。本明細書の様々な例示的な実施形態で用いた「含む」、または、「含みうる」という用語は、対応する機能、動作、または、構成要素が存在することを示しうるもので、1つ以上の更なる機能、動作、または、構成要素を限定するものではない。更に、「含む」、および/または、「含み」という用語を本明細書で用いて、記載した特徴、整数、工程、動作、要素、および/または、構成要素が存在することを表しうるが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、および/または、それらの群が存在または追加されることを排除しない。更に、「少なくとも1つの」という用語を、列挙した要素の前に付けた場合には、列挙した要素全体を修飾するものであって、列挙した個々の要素を修飾するものではない。
【0030】
ある実施形態を異なる態様で用いた場合には、具体的な処理順序は、記載した順序と異なりうる。例えば、2つの連続して記載した処理を、略同時に行うか、または、記載した順序とは逆の順序で行いうる。
【0031】
例えば、製造技術、および/または、許容誤差により、図示した形状から異なることが予想される。したがって、本開示の実施形態は、本明細書に記載の特定の形状の領域に限定されると解釈されるべきではなく、例えば、製造に起因して形状が異なることを包含する。本明細書で用いるように、「および/または」という用語は、関連して列挙した項目の1つ以上の任意および全ての組合せを含む。
【0032】
図1aから1iは、いくつかの実施形態によるガラス製造装置1aを概略的に示す断面図である。
【0033】
図1aを参照すると、いくつかの実施形態によれば、ガラス製造装置1aは、溶融槽100、清澄槽200、攪拌槽300、冷却システム400a、環境制御システム450、送出槽500、および、形成装置700を含みうる。いくつかの実施形態によれば、ガラス製造装置1aは、シート状のガラスを製造しうる。
【0034】
溶融槽100、清澄槽200、攪拌槽300、送出槽500、および、形成装置700は、直列に配置されたガラス製造処理ステーションでありうる。ガラス製品を製造する所定の処理を、これらのステーションで行う。いくつかの実施形態によれば、製造処理は、ダウンドロー処理、および、スロットドローフュージョン形成処理を含みうる。いくつかの実施形態によれば、製造処理は、ダブルフュージョン処理、および、フロートガラス形成処理を含みうる。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、溶融槽100、清澄槽200、攪拌槽300、送出槽500、および、形成装置700は、各々、白金、もしくは、白金ロジウム、白金イリジウム、および、それらの組合せなどの白金含有金属を含みうる。いくつかの実施形態によれば、溶融槽100、清澄槽200、攪拌槽300、送出槽500、および、形成装置700は、各々、パラジウム、レニウム、ルテニウム、および、オスミウム、並びに、他の耐火金属を含みうる。いくつかの実施形態によれば、形成装置700は、セラミック材料、または、ガラスセラミック耐火材料を含みうる。
【0036】
溶融槽100は、バッチ材料11を保存槽10から受け取りうる。バッチ材料11は、駆動装置15によって動力を与えられたバッチ送出装置13によって溶融槽100に投入されうる。選択的制御部17は、矢印a1が示すように、望ましい量のバッチ材料11が溶融槽100に投入されるように駆動装置15を動作させるように構成されうる。いくつかの実施形態によれば、ガラス高さプローブ19を用いて、立て管21内の溶融ガラスMGの高さを測定し、測定した溶融ガラスMGの高さを、通信線23を介して制御部17に送信しうる。
【0037】
溶融槽100は、バッチ材料11を加熱して融解しうる。バッチ材料11が溶融槽100で融解すると、気泡FMが形成されうる。溶融槽100は、保存槽10から、バッチ材料11を融解させることによって生成された溶融ガラスMGを受け取るように構成されうる。バッチ材料11は、ガラス原料である。いくつかの実施形態によれば、酸化スズなどの清澄剤を、バッチ材料11に加えうる。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、清澄槽200は、第1の導管150によって、溶融槽100に接続されうる。第1の導管150は、溶融ガラスMGが流れうる通路である内側空間を含みうる。下記のような第2、第3の導管250、350も、溶融ガラスMGが流れうる通路を提供しうる。第1から第3の導管150、250、350は、各々、導電性を有して高温条件で使用可能な材料を含みうる。いくつかの実施形態によれば、第1から第3の導管150、250、350は、各々、白金含有金属、例えば、白金、白金ロジウム、白金イリジウム、または、それらの組合せを含みうる。いくつかの実施形態によれば、第1から第3の導管150、250、350は、各々、耐火金属、例えば、モリブデン、パラジウム、レニウム、タンタル、チタン、タングステン、ルテニウム、オスミウム、ジルコニウム、または、それらの合金、並びに/若しくは、二酸化ジルコニウムを含みうる。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、第3の導管350は、空洞で略円筒状か、空洞で略楕円筒状の形状を有しうる。しかしながら、本実施形態は、それらに限定されず、必要に応じて、第3の導管350は、空洞で四角柱状か、正四角柱状の形状で、丸まった角部を有しうる。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、清澄槽200は、精製管として機能する。いくつかの実施形態によれば、清澄槽200は、溶融槽100の下流側に位置しうる。清澄槽200は、溶融ガラスMGを溶融槽100から受け取りうる。いくつかの実施形態によれば、清澄槽200で高温処理を行って、ブリスターを溶融ガラスMGから除去しうる。いくつかの実施形態によれば、清澄槽200は、溶融ガラスMGが清澄槽200を通り抜ける間に溶融ガラスMGを加熱することによってブリスターを溶融ガラスMGから除去するように構成される。いくつかの実施形態によれば、溶融ガラスMGが清澄槽200で加熱される時に、溶融ガラスMGに含まれた清澄剤が酸化還元反応を生じ、それにより、酸素が溶融ガラスMGから除去されうる。具体的には、溶融ガラスMGに含まれたブリスターは、酸素、二酸化炭素、および/または、二酸化硫黄を含み、清澄剤の還元反応で生成された酸素と結合し、したがって、ブリスターの体積が増加しうる。成長したブリスターは、清澄槽200の溶融ガラスMGの自由表面に向かって浮かび上がり、溶融ガラスMGから分離しうる。ブリスターは、清澄槽200の上部の気相空間を通って清澄槽200の外側に排出されうる。
【0041】
送出槽500は、攪拌槽300の下流側に位置しうる。送出槽500は、第3の導管350によって、攪拌槽300に接続されうる。放出導管600は、送出槽500に接続されうる。溶融ガラスMGは、形成装置700の投入口650に放出導管600を通して送られうる。
【0042】
形成装置700は、溶融ガラスMGを送出槽500から受け取りうる。形成装置700は、溶融ガラスMGを、シート状ガラス製品へと形成しうる。例えば、形成装置700は、溶融ガラスMGを形成するフュージョンドロー機を含みうる。形成装置700へと流れる溶融ガラスMGの一部は、形成装置700から溢れうる。溢れた溶融ガラスMGは、重力によって、下方に向かって移動し、エッジロール750および引張ロール800などの適切に配列されたロールの組合せにより、溶融ガラスリボンRBBを形成する。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、攪拌槽300は、清澄槽200の下流側に位置しうる。攪拌槽300は、清澄槽200から供給された溶融ガラスMGを均一にしうる。攪拌部310は、攪拌槽300に位置し、攪拌槽300と相対的に回転して、その中の溶融ガラスMGを流れさせうる。攪拌部310は、溶融ガラスMGを、溶融ガラスMGの成分が均一に分布するように攪拌させうる。
【0044】
ガラス製造装置1aは、溶融ガラスMGが清澄槽200に到達するまで所定の温度より高く維持されるように、第1の導管150を通る溶融ガラスMGを加熱するように構成されうる。例えば、第1の導管150を通って流れる溶融ガラスMGに、第1の導管150を通って流れる溶融ガラスMGからの熱伝導および対流による熱損失以上の量の熱を供給することによって、溶融ガラスMGの冷却を防ぎうる。いくつかの実施形態によれば、第1の導管150を通る溶融ガラスMGは、溶融槽100に含まれる溶融ガラスMGより高い温度を有しうる。いくつかの実施形態によれば、第1の導管150を通る溶融ガラスMGは、清澄槽200に含まれる溶融ガラスMGより低い温度を有しうる。
【0045】
ガラス製造装置1aは、第1の導管150に沿って流れる溶融ガラスMGを直接加熱するように構成されうる。具体的には、第1の導管150は、その中を電流が通るように構成されうる。第1の導管150が電流によって加熱されることによって、第1の導管150に沿って流れる溶融ガラスMGが加熱されうる。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、第1の導管150に電流を与えるために、ガラス製造装置1aは、第1の導管150に接続したフランジ、および、電線を通してフランジに電気的に接続された電源を含みうる。いくつかの実施形態によれば、電源は、交流または直流を生成しうる。フランジは、複数個、備えられうる。例えば、2つのフランジが、第1の導管150の2つの端部に設けられうる。しかしながら、いくつかの実施形態によれば、ガラス製造装置1aは、第1の導管150を加熱する外部熱源を含みうる。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、ガラス製造装置1aは、チェンバCBも含みうる。いくつかの実施形態によれば、チェンバCBは、清澄槽200、攪拌槽300、および、送出槽500が配置されうる内側空間を有しうる。いくつかの実施形態によれば、保存槽10、溶融槽100、第1の導管150、および、形成装置700は、チェンバCBの外側に配置されうる。いくつかの実施形態によれば、第2の導管250および第3の導管350は、チェンバCBに配置されうる。いくつかの実施形態によれば、チェンバCBは、略直方体状の形状を有しうるが、それに限定されない。高品質ガラスを製作するには精密な環境制御が必要なので、各処理に対応する槽および槽に接続された導管の環境を、精密に制御することが必要である。いくつかの実施形態によれば、チェンバCBは、清澄処理およびその後の処理の間、溶融ガラスMGを含む導管および槽の周りの雰囲気と、通常の雰囲気とを分離することによって、処理環境の精密な制御を提供しうる。いくつかの実施形態によれば、チェンバCBは、清澄槽200、第2の導管250、攪拌槽300、第3の導管350、および、送出槽500の周りの雰囲気を、チェンバCBの外側の雰囲気から分離するように構成される。
【0048】
記載の便宜上、チェンバCBが略直方体状の形状を有するものと仮定して次の実施形態を記載する。しかしながら、当業者であれば、これらの実施形態を、他の様々な形状を有するチェンバCBに略同様に適用しうることが容易に分かるだろう。
【0049】
説明の便宜上、第1から第3の方向(X、Y、Z方向)を以下のように定義する。チェンバCBが略直方体状の形状を有する場合、第1の方向(X方向)および第2の方向(Y方向)は、チェンバCBの底面に平行でありうる。第1の方向(X方向)は、溶融ガラスMGが処理の進行により実質的に移動する方向でありうる。第2の方向(Y方向)は、第1の方向(X方向)に略垂直な方向でありうる。第2の方向(Y方向)は、断面図の描画方向に垂直な方向に対応しうる。第3の方向(Z方向)は、第1の方向(X方向)および第2の方向(Y方向)に略垂直な方向でありうる。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、ガラス製造装置1aは、環境制御システム450も含みうる。環境制御システム450は、チェンバCB内の環境を制御するように構成されうる。いくつかの実施形態によれば、環境制御システム450は、チェンバCB内の雰囲気を制御するように構成されうる。いくつかの実施形態によれば、環境制御システム450は、チェンバCB内の温度、湿度、および、雰囲気組成比の少なくとも1つを制御しうる。いくつかの実施形態によれば、環境制御システム450は、環境制御部460および第1の制御部470を含みうる。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、環境制御部460は、流体をチェンバCBに提供しうる。いくつかの実施形態によれば、環境制御部460は、所定の条件を有する流体を供給しうる。いくつかの実施形態によれば、環境制御部460は、所定の湿度、温度、および、雰囲気組成比を有する流体をチェンバCBに供給しうる。いくつかの実施形態によれば、環境制御部460は、流体を、チェンバCBに設けられた流体投入口VTを通して供給しうる。いくつかの実施形態によれば、環境制御部460は、冷却コイル、加熱コイル、加湿部、および、様々な気体を提供可能な気体源を含みうる。様々な気体は、窒素または酸素でありうる。
【0052】
第1の制御部470は、様々なコマンドを環境制御部460に発してチェンバCBの環境を制御する処理部を含みうる。いくつかの実施形態によれば、第1の制御部470は、命令を環境制御部460に送り、チェンバCBの環境を制御しうる。第1の制御部470は、ワークステーションコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータなどの計算装置でありうる。第1の制御部470は、チェンバ内の環境についてフィードバックを受信、測定データを受信、環境の調節などの機能を行うためのソフトウェアを保存しうる。いくつかの実施形態によれば、第1の制御部470は、環境制御部460に命令を送り、チェンバCB内の雰囲気を制御しうる。いくつかの実施形態によれば、第1の制御部470は、環境制御部460に命令を送り、チェンバCBの温度、湿度、および、雰囲気組成比の少なくとも1つを制御しうる。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、ガラス製造装置1aは、直接冷却システム400aを含みうる。いくつかの実施形態によれば、直接冷却システム400aは、少なくとも1つのノズル410、流体をノズル410に供給するように構成された流体源430、ノズル410を流体源430に接続する流体導管420、および、直接冷却システム400aを制御する第2の制御部440を含む。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、チェンバCB内に配置される。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、第3の導管350に隣接して配置されうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、流体を第3の導管350の周りに噴射するように構成される。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、第3の導管350に向かって位置合わせされうる。いくつかの実施形態によれば、第3の導管350は、ノズル410が流体を実質的に出射する方向に沿って配置されうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、流体を、チェンバCBの底面に、または、水平面に略垂直な方向、例えば、第3の方向(Z方向)に噴射しうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、第3の導管350の上方に配置されうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、垂直方向に第3の導管350と重なりうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、流体を、第3の導管350に向かって直接噴射するように構成されうる。流体を第3の導管350に向かって噴射するとは、噴射された流体が、最初に噴射された方向と略同じ方向に進行しながら第3の導管350に到達することを示す。しかしながら、この記載は、噴射された流体が、最初に噴射された方向と同じ方向ではなく進行して導管350に到達するような他の状況を排除するものではない。
【0056】
いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、流体を、第3の導管350の周りに均一に噴射しうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、溶融ガラスMGの第1の方向(X方向)に沿った温度変化が均一になるように、流体を噴射しうる。本明細書において、溶融ガラスMGの第1の方向(X方向)に沿った温度変化が均一であるとは、溶融ガラスMGの温度が第1の方向(X方向)に応じたものであり、第2の方向(Y方向)に実質的に応じたものではないことを示す。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、ノズル410によって噴射された流体は広がって所定の領域に到達しうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、流体を噴霧するように噴射しうる。噴射された流体は、水平方向に放射されうる。いくつかの実施形態によれば、各ノズル410から噴射された流体は、第3の導管350の表面の所定の面積を有する領域に達しうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410によって噴射された流体は、第3の導管350の上面の少なくとも一部に達しうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410によって噴射された流体によって覆われた面積は、第3の導管350の上面の面積以上でありうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410によって噴射された流体は、第3の導管350の上面全体を実質的に覆いうる。上面は、導管350の中心を通り延伸方向に平行な平面の上方に位置する第3の導管350の一部の外面でありうる。その代わりに、上面は、チェンバCBの天井部に対向する第3の導管350の外面の一部のことを称しうる。第3の導管350の特定の部分の垂線の延長線が、チェンバCBの天井を延伸させた平面と接触する時に、その第3の導管350の特定の部分とチェンバCBは互いに対向する。しかしながら、導管350の上面の上記記載は、理解のためであり、ノズル410によって噴射された流体によって覆われた導管350の表面について他の状況を排除するものではない。いくつかの場合において、ノズル410によって噴射された流体の一部は、第3の導管350の下面に達しうる。下面の意味は、上記のような上面の意味と同様でありうる。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、複数のノズルを含みうる。いくつかの実施形態によれば、複数のノズル410は、ある方向に沿って配列される。いくつかの実施形態によれば、複数のノズル410は、第1の方向(X方向)に沿って配列されうる。
【0059】
しかしながら、ノズル410の配列は、それに限定されない。他の実施形態によれば、ノズル410の配列は、
図1aの配列と異なりうる。これを、
図1bから1i、および、
図3a、3bを参照して、次に記載する。
【0060】
図1bを参照すると、いくつかの実施形態によるガラス製造装置1bは、直接冷却システム400bを含みうる。直接冷却システム400bは、複数のノズル410を含む。いくつかの実施形態によれば、隣接したノズル410間の距離は互いに異なりうる。いくつかの実施形態によれば、いくつかの隣接したノズル410間の距離は、他の隣接したノズル410間の距離より大きいことがありうる。いくつかの実施形態によれば、冷却効率は、ノズル410を、第3の導管350を冷却するのに必要な程度に応じた密度で配列することによって改良されうる。
【0061】
図1cを参照すると、いくつかの実施形態によるガラス製造装置1cは、直接冷却システム400cを含みうる。直接冷却システム400cは、複数のノズル410を含む。いくつかの実施形態によれば、隣接したノズル410間の距離は互いに異なりうる。いくつかの実施形態によれば、各ノズル410と第3の導管350の間の距離は、互いに異なりうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410のうち、いくつかの各ノズルと第3の導管350の間の距離は、他の各ノズル410と第3の導管350の間の距離より大きいことがありうる。
【0062】
図1dを参照すると、いくつかの実施形態によるガラス製造装置1dは、直接冷却システム400dを含みうる。直接冷却システム400dは、複数のノズル410を含む。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、第3の導管350の下方に配置されうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410によって噴射された流体は、第3の導管350の下面に達しうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410によって噴射された流体は、第3の導管350の下面の少なくとも一部に達しうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410によって噴射された流体によって覆われた面積は、第3の導管350の下面に対応する面積以上でありうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410によって噴射された流体は、第3の導管350の下面全体を実質的に覆いうる。しかしながら、本実施形態は、それに限定されず、いくつかの場合において、ノズル410によって噴射された流体の一部は、第3の導管350の上面に達しうる。
【0063】
図1eを参照すると、いくつかの実施形態によるガラス製造装置1eは、直接冷却システム400eを含みうる。直接冷却システム400eは、複数のノズル410を含む。いくつかの実施形態によれば、いくつかのノズル410は、第3の導管350の上方に配置されうる。いくつかの実施形態によれば、いくつかのノズル410は、第3の導管350の下方に配置されうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410によって噴射された流体は、第3の導管350の上面および下面に達しうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410によって噴射された流体は、第3の導管350の外面全体を実質的に覆いうる。第3の導管350の上方に配置されたノズル410の数は、第3の導管350の下方に配置されたノズル410の数に等しいことがありうる。いくつかの実施形態において、第3の導管350の上方に配置されたノズル410は、第3の導管350の下方に配置されたノズル410と垂直方向に重なりうる。いくつかの実施形態によれば、第3の導管350の上方に配置されたノズル410の水平方向の配列は、第3の導管350の下方に配置されたノズル410の水平方向の配列と略同じである。いくつかの実施形態によれば、ノズル410を、第3の導管350の上方と下方に配列することによって、冷却効率を更に高めうる。
【0064】
図1fを参照すると、いくつかの実施形態によるガラス製造装置1fは、直接冷却システム400fを含みうる。直接冷却システム400fは、複数のノズル410を含む。いくつかの実施形態によれば、いくつかのノズル410は、第3の導管350の上方に配置されうる。いくつかの実施形態によれば、いくつかのノズル410は、第3の導管350の下方に配置されうる。いくつかの実施形態によれば、第3の導管350の上方に配置されたノズル410の数は、第3の導管350の下方に配置されたノズル410の数より多いことがありうる。いくつかの実施形態によれば、更に冷却する必要がある場合には、ノズル410を、第3の導管350の一部の下方に更に備えて、冷却効率を更に高めうる。
図1fを参照すると、ノズル410を、攪拌槽300に隣接した第3の導管350の一部の下方に更に備えうるが、この態様は、それに限定されない。いくつかの実施形態によれば、ノズル410を、送出槽500に隣接した第3の導管350の一部の下方に、または、第3の導管350の略中心部分の下方に、更に備えうる。
【0065】
図1gを参照すると、いくつかの実施形態によるガラス製造装置1gは、直接冷却システム400gを含みうる。直接冷却システム400gは、複数のノズル410を含む。いくつかの実施形態によれば、いくつかのノズル410は、第3の導管350の上方に配置されうる。いくつかの実施形態によれば、いくつかのノズル410は、第3の導管350の下方に配置されうる。いくつかの実施形態によれば、第3の導管350の下方に配置されたノズル410の数は、第3の導管350の上方に配置されたノズル410の数より多いことがありうる。いくつかの実施形態によれば、更なる冷却効率を必要とする場合には、ノズル410を、第3の導管350の一部の上方に更に備えて、冷却効率を更に高めうる。
図1gを参照すると、ノズル410を、攪拌槽300に隣接した第3の導管350の一部の上方に更に備えうるが、この態様は、それに限定されない。いくつかの実施形態によれば、ノズル410を、送出槽500に隣接した第3の導管350の一部の上方に、または、第3の導管350の略中心部分の上方に、更に備えうる。
【0066】
図1hを参照すると、いくつかの実施形態によるガラス製造装置1hは、直接冷却システム400hを含みうる。直接冷却システム400hは、複数のノズル410を含む。いくつかの実施形態によれば、いくつかのノズル410は、第3の導管350の上方に配置されうる。いくつかの実施形態によれば、いくつかのノズル410は、第3の導管350の下方に配置されうる。いくつかの実施形態によれば、第3の導管350の上方に配置されたノズル410の数は、第3の導管350の下方に配置されたノズル410の数に等しいことがありうる。第3の導管350の上方に配置されたノズル410の水平方向の配列は、第3の導管350の下方に配置されたノズル410の水平方向の配列と異なることがありうる。いくつかの実施形態によれば、第3の導管350の上方に配置された少なくともいくつかのノズル410は、第3の導管350の下方に配置されたノズル410と垂直方向に重ならないことがありうる。
【0067】
図1iを参照すると、いくつかの実施形態によるガラス製造装置1iは、直接冷却システム400iを含みうる。直接冷却システム400iは、複数のノズル410を含む。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、水平面に対して傾斜した方向に向けられうる。ノズル410の向きは、ノズル410の縦軸(例えば、噴射軸)と水平面の間の角度によって画定されうる。したがって、ノズル410は、流体を、水平面に対して角度を成して噴射する。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、チェンバCBの底面に対して傾斜した方向に向けられうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、流体を、第3の方向(Z方向)に対して傾斜した方向に噴射しうる。
【0068】
図3a、3bを参照すると、いくつかの実施形態によるガラス製造装置は、複数のノズル410を含む直接冷却システムを含みうる。説明の便宜上、攪拌槽300、第3の導管350、および、送出槽500のみを、
図3aに示している。
図3bは、
図3aの平面図である。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、複数のノズルを含む。いくつかの実施形態によれば、複数のノズル410は、第1の方向(X方向)に沿って配列されうる。いくつかの実施形態によれば、複数のノズル410は、第2の方向(Y方向)に沿って配列されうる。複数のノズル410は、第1および第2の方向(X方向およびY方向)の行および列に配列されて、複数のノズル410の水平位置が行列を形成するようにしうる。いくつかの実施形態によれば、隣接したノズル410間の距離は、互いに略等しいことがありうる。いくつかの実施形態によれば、各ノズル410と、第3の導管350の間の距離は、互いに略等しいことがありうる。
【0069】
再び、
図1aを参照すると、ノズル410は、流体を、流体源430から流体導管420を通して受け取りうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410によって噴射された流体は、環境制御部460によって提供された流体と異なりうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410によって噴射された流体は、環境制御部460を通らずに、流体源430から直接供給されうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410によって噴射された流体と、環境制御部460によって供給された流体とは、温度、湿度、および、雰囲気組成比の少なくとも1つが異なりうる。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、流体を第3の導管350の周りに噴射して、第3の導管350を冷却するように構成されうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、冷却するための窒素を、第3の導管350に噴射するように構成されうる。いくつかの実施形態によれば、流体源430は、窒素源を含みうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、高純度窒素(例えば、窒素の部分圧比が99.9%以上)を噴射するように構成される。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、湿度制御のための流体を噴射しうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、H2Oを噴射しうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、H2Oを噴霧しうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、水蒸気状態または微細液体粒子状態であるH2Oを噴霧しうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、蒸気状態のH2Oまたは微細液体粒子状態のH2Oを噴射しうる。いくつかの実施形態によれば、流体源430は、H2O源を含みうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、窒素およびH2Oを同時に噴射しうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、窒素の噴射を規制する調整部を含みうる。いくつかの実施形態によれば、窒素の噴射を規制する調整部は、窒素の開始および停止、速度、並びに、流量の少なくとも1つを規制しうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、H2Oの噴射または噴霧を規制する調整部を含みうる。H2Oの噴射または噴霧を規制する調整部は、H2Oの開始および停止、速度、並びに、流量の少なくとも1つを規制しうる。
【0071】
第2の制御部440は、ある命令を生成して、直接冷却システム400aを制御する。いくつかの実施形態によれば、第2の制御部440は、第3の導管350の状態を制御する様々な命令を発することが可能である処理部を含みうる。いくつかの実施形態によれば、第2の制御部440は、ノズル410の噴射を制御しうる。いくつかの実施形態によれば、第2の制御部440は、ノズル410によって噴射された流体の流れ(例えば、流量)も制御しうる。いくつかの実施形態によれば、第2の制御部440は、第3の導管350に含まれた溶融ガラスMGの温度を制御しうる。いくつかの実施形態によれば、第2の制御部440は、ワークステーションコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータなどの計算装置でありうる。いくつかの実施形態によれば、第2の制御部440は、第3の導管350内の溶融ガラスMGの状態についてのフィードバックを受信、ノズル410の噴射を調節するための測定データを受信するなどの機能を行うためのソフトウェアを保存しうる。いくつかの実施形態によれば、温度センサを備えて、溶融ガラスMGの温度を測定し、第2の制御部440は、第3の導管350内の溶融ガラスMGの温度を、温度センサの温度測定結果に基づいて、フィードバック制御を介して調節しうる。例えば、溶融ガラスMGの温度が、要求される値より高い場合には、ノズル410によって噴射される流体の量を増加させうる。反対に、溶融ガラスの温度が、要求される値より低い場合には、ノズル410によって噴射される流体の量を減少させうる。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、第2の制御部440は、噴射する流体の種類、組成、速度、流量、および、流体が達する面積の少なくとも1つを制御しうる。このようにして、第3の導管に到達する流体の量を制御し、したがって、第3の導管の冷却を制御しうる。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、第2の制御部440は、第1の制御部470とは別に備えられうる。第2の制御部440は、第1の制御部470と分離されうる。いくつかの実施形態によれば、第1の制御部470および第2の制御部440は、同一のワークステーションコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータなどの計算装置に含まれた別々の処理部、および/または、ソフトウェア要素でありうる。
【0074】
冷却処理は、溶融ガラスMGの温度を低下させる処理である。従来から、環境制御部460は、チェンバCBへと流体を循環させることによって、第3の導管350内の溶融ガラスMGを冷却する。この場合、流体の流れが第3の導管350の周りで停滞すると、チェンバCB内の流体と第3の導管350の間での熱交換が弱まり、冷却効率が低下する。従来から、冷却効率を改良するために、耐火性材料を含む導管が研究されてきた。しかしながら、冷却効率の大きな改良は実現されなかった。その結果、そのような冷却処理により、ガラス製造効率が低下されてきた。
【0075】
この問題を解決するために、いくつかの実施形態によるガラス製造装置1aは、チェンバCB内の環境制御部460とは別に、流体を第3の導管350に直接噴射するように構成された複数のノズル410を含みうる。したがって、第3の導管350内の溶融ガラスMGについての冷却効率を改良しうる。具体的には、流体を第3の導管350の周りに噴射することによって、噴射された流体が、第3の導管350の周りを囲む気流層を押しやりうる。したがって、第3の導管350の周りでの流体の停滞を防ぐことが可能である。
【0076】
ガラス製造のためのチェンバCBの雰囲気を、精密に制御する必要がある。したがって、ガラス製造のためのチェンバCBの雰囲気環境が、ノズル410によって提供された窒素により変化しないのが望ましい。したがって、環境制御部460によって供給される窒素の量を、ノズル410によって供給される窒素の量を介して削減することによって、チェンバCB全体の雰囲気組成(成分気体の分圧など)、温度、および、湿度を、従来と等しいレベルに維持しうる。チェンバCBの雰囲気での変化による針状Pt欠陥の生成を防ぐために、酸素の分圧、および、チェンバCBの全圧力を所定の値に維持しうる。第1から第3の導管350内の温度は非常に高いので、白金が酸素と結合し蒸発して、PtO2を形成しうる。蒸発したPtO2が冷却されて窒素と出会うと、NOが形成され、Ptは凝固して溶融ガラス内に留まる。針状Ptとは、溶融ガラスに含まれた固体Ptによりガラス製品に形成された針状の欠陥である。このために、ノズル410によって噴射される窒素の総量を、環境制御部450によって提供される窒素の量未満にしうる。しかしながら、本実施形態は、それに限定されず、処理条件および環境に応じて、ノズル410によって噴射される窒素の総量は、環境制御部450によって提供される窒素の量より多くてもよい。
【0077】
ノズル410によって噴射された高純度の窒素は、全チェンバの雰囲気より低い湿度を有し、それにより、第3の導管350の周りで局所的に湿度が低下しうる。いくつかの実施形態によれば、ノズル410は、H2Oを第3の導管350の周りに噴霧することによって、第3の導管350の周りの湿度を調節しうる。したがって、乾燥した環境で発生しうる、水素が高温の白金に浸透する現象により、ブリスターなどの欠陥が生成されるのを防ぎうる。導管内の溶融ガラスは、比較的高い濃度の水素を有する。H2の原子質量および原子サイズは非常に小さいので、H2分子は、白金系導管または槽を通って進行することが可能である。この現象を、水素浸透と称する。チェンバCB内の水素濃度をあるレベルに維持して、水素の浸透を防ぐ。外部の水素濃度を、湿度を介して制御し、導管の外側の局所的水素濃度が低下すると、水素浸透を生じる可能性が高まる。水素は、溶融ガラス内でOH-イオンの形で存在するので、H2浸透を生じると、O2は、溶融ガラスに留まり、ガラス製品にブリスター欠陥を生じる。
【0078】
図2は、実験例によるガラス製造装置1a(
図1aを参照)を説明するグラフである。
【0079】
図1aおよび2を参照すると、実験例において、ノズル410を通る窒素の流量が約480L/分の場合、第3の導管に冷却パワーは、約7.6kWだけ高まる。ノズル410が最大量の窒素を噴射する場合を推定することによって、更に約13.2kWの冷却パワーを実現すると予想される。
【0080】
ガラス製造中の第3の導管350の冷却パワーが、約5.0kWだけ上昇すると、ガラスの流量が、約45.36kg/時だけ増加したので、いくつかの実施形態によるガラス製造装置1aは、ガラスの流量を、約93.44kg/時、増加させることが可能であると推定される。
【0081】
実験例によれば、ノズル410を導入することによるガラス流の変化、欠陥数の増加、製造されたガラス製品の品質低下などの悪影響がないことが確認された。具体的には、ガラス製造処理における溶融により失われたガラスの総量が、従来例の4.4%から、実験例の4.38%に削減された。ガラスの溶融による損失とは、ブリスターまたは針状Ptなどの欠陥を有する製品の全製造量に対するパーセンテージである。
【0082】
図4は、いくつかの実施形態によるガラス製造方法を説明するためのフローチャートである。
【0083】
図1aおよび4を参照すると、ガラス製造方法は、攪拌槽300で溶融ガラスMGを攪拌する工程(P1010)と、攪拌された溶融ガラスMGを導管350に通して流す工程(P1020)と、流体を導管350の周りに噴射する工程(P1030)とを含む。溶融ガラスMGを攪拌する工程(P1010)は、
図1aを参照して記載したように、攪拌槽300で行われる。流体を導管350の周りに噴射する工程(P1030)は、
図1aから1i、および、
図3a、3bを参照して記載したのと同じである。
【0084】
本開示を、特に例示的な実施形態を参照して示し記載したが、以下の請求項の精神および範囲を逸脱することなく、形状および詳細事項を様々に変更しることが分かるだろう。
【0085】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0086】
実施形態1
ガラス製造装置において、
チェンバに配置され、溶融ガラスを攪拌するように構成された攪拌槽と、
前記チェンバに配列され、前記攪拌槽からの前記溶融ガラスが中を通って流れる内側空間を有する導管と、
前記チェンバ内で前記導管に隣接して配置され、流体を該導管の周りに噴射するように構成されたノズルと
を含む装置。
【0087】
実施形態2
前記チェンバの内側の環境パラメータを調節するように構成された環境制御部を、
更に含む、実施形態1に記載のガラス製造装置。
【0088】
実施形態3
前記ノズルは、窒素源に接続されたものである、実施形態2に記載のガラス製造装置。
【0089】
実施形態4
前記窒素源は、前記環境制御部を通り抜けていない窒素を、前記ノズルに供給するように構成されたものである、実施形態3に記載のガラス製造装置。
【0090】
実施形態5
前記環境制御部は、前記チェンバに接続され、更に、該チェンバに、所定の湿度、温度および、雰囲気組成比を有する流体を供給するように構成されたものである、実施形態2に記載のガラス製造装置。
【0091】
実施形態6
前記環境制御部は、更に、流体を前記チェンバに供給するように構成され、前記ノズルによって噴射された前記流体と、該環境制御部によって供給された前記流体は、互いに異なるものである、実施形態2に記載のガラス製造装置。
【0092】
実施形態7
前記ノズルによって噴射された前記流体と、前記環境制御部によって供給された前記流体は、温度、湿度、および、雰囲気組成比の少なくとも1つが異なるものである、実施形態6に記載のガラス製造装置。
【0093】
実施形態8
前記環境制御部を制御するように構成された第1の制御部と、
前記ノズルによって噴射される前記流体の流れを制御するように構成された第2の制御部と、
を更に含む、実施形態2に記載のガラス製造装置。
【0094】
実施形態9
前記第1の制御部と、前記第2の制御部は、互いに分離したものである、実施形態8に記載のガラス製造装置。
【0095】
実施形態10
前記ノズルは、前記流体を、水平面に略垂直な方向に噴射するように構成されたものである、実施形態1に記載のガラス製造装置。
【0096】
実施形態11
前記ノズルは、前記流体を、水平面に対する角度を成して噴射するように構成されたものである、実施形態10に記載のガラス製造装置。
【0097】
実施形態12
ガラス製造装置において、
攪拌槽からの溶融ガラスが中を流れる内側空間を有し、第1の方向に延伸する導管と、
流体を前記導管の周りに噴射するように構成され、前記第1の方向に沿って配列された複数のノズルと
を含む装置。
【0098】
実施形態13
前記複数のノズルは、略等間隔で、前記導管の延伸方向に沿って配列されたものである、実施形態12に記載のガラス製造装置。
【0099】
実施形態14
前記複数のノズルは、異なる間隔で、前記導管の延伸方向に沿って配列されたものである、実施形態12に記載のガラス製造装置。
【0100】
実施形態15
前記複数のノズルの少なくともいくつかは、前記導管の上方に配置されたものである、実施形態12に記載のガラス製造装置。
【0101】
実施形態16
前記複数のノズルの少なくともいくつかは、前記導管の下方に配置されたものである、実施形態12に記載のガラス製造装置。
【0102】
実施形態17
ガラス製造方法において、
溶融ガラスを攪拌槽で攪拌する工程と、
攪拌工程の後に、前記溶融ガラスを導管に通して流す工程と、
流体を、前記導管の周りに噴射する工程と、
を含む方法。
【0103】
実施形態18
前記溶融ガラスは前記噴射された流体によって冷却されるものであり、該噴射された流体と、前記攪拌槽の周りの雰囲気は、互いに異なる組成を有するものである、実施形態17に記載の方法。
【0104】
実施形態19
前記流体は、窒素を含むものである、実施形態17に記載の方法。
【0105】
実施形態20
前記流体は、更に、H2Oを含むものである、実施形態19に記載の方法。
【符号の説明】
【0106】
100 溶融槽
200 清澄槽
300 攪拌槽
350 導管
410 ノズル
450 環境制御システム
500 送出槽