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▶ ケンブリッジ レスピラトリー イノヴェーションズ リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】改良されたカプノメータ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/08 20060101AFI20230424BHJP
   G01N 33/497 20060101ALI20230424BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20230424BHJP
   A61M 16/00 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
A61B5/08
G01N33/497 A
G01N33/483 C
A61M16/00 370Z
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020549661
(86)(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 IB2019052040
(87)【国際公開番号】W WO2019175800
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】1804172.3
(32)【優先日】2018-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518343899
【氏名又は名称】ケンブリッジ レスピラトリー イノヴェーションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Cambridge Respiratory Innovations Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】オーヴァーエンド,ラッセル
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトヒル,クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】フィミスター,コリン
(72)【発明者】
【氏名】カーター,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ウォルシュ,ジェレミー
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-513793(JP,A)
【文献】国際公開第2016/092308(WO,A1)
【文献】米国特許第05261415(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が吸入および/または吐出するガス中の成分の濃度を検出するためのカプノメータであって、
患者の肺へのおよび/または肺からのガスが通過する空気流領域;
3~5μmの範囲内の波長の赤外(IR)光を提供するように構成された中赤外半導体エミッタ;
IR光を検出するための中赤外半導体検出器;および
前記中赤外半導体エミッタにより放射されたIR光を反射するためのリフレクタ;
を備え、前記中赤外半導体エミッタ、前記中赤外半導体検出器および前記リフレクタは、中赤外半導体エミッタにより放射されたIR光がリフレクタを介して前記空気流領域を通って中赤外半導体検出器に到達するように配置され、
カプノメータは呼吸チューブをさらに備え、該呼吸チューブは、前記中赤外半導体エミッタ/検出器と前記リフレクタとの間に前記空気流領域を画定するチャネルを画成し、
前記中赤外半導体エミッタと前記中赤外半導体検出器は隣接して、前記呼吸チューブの一方の側にある回路基板上に取り付けられ、前記リフレクタは前記呼吸チューブの前記中赤外半導体エミッタ/検出器と対向する側に提供され
前記リフレクタは、平面形状を有し、フレネルリフレクタおよび反射型回折光学素子からなる群より選択され、
前記中赤外半導体エミッタ/検出器および前記リフレクタは、中赤外半導体エミッタからの光がフレネルリフレクタまたは反射型回折光学素子によって中赤外半導体検出器に集束されるように位置合わせされることを特徴とする、カプノメータ。
【請求項2】
前記呼吸チューブがカプノメータから取り外し可能である、請求項に記載のカプノメータ。
【請求項3】
前記中赤外半導体エミッタ、前記中赤外半導体検出器、および前記リフレクタのうちの少なくとも1つが前記呼吸チューブに取り付けられている、請求項またはに記載のカプノメータ。
【請求項4】
前記中赤外半導体エミッタおよび前記中赤外半導体検出器が前記呼吸チューブの外部に配置され、前記呼吸チューブが中赤外透過部分を含み、該中赤外透過部分は、中赤外光がそれを通って呼吸チューブに出入りすることを可能にするように前記中赤外半導体エミッタおよび前記中赤外半導体検出器と位置合わせされている、請求項またはに記載のカプノメータ。
【請求項5】
前記中赤外透過部分が別個の窓を含む、請求項に記載のカプノメータ。
【請求項6】
前記呼吸チューブが、前記リフレクタを前記中赤外半導体エミッタおよび前記中赤外半導体検出器と連携させることを可能にするための1つまたは複数の位置合わせ機構を備える、請求項のいずれか一項に記載のカプノメータ。
【請求項7】
前記リフレクタが前記呼吸チューブの外部に配置され、前記呼吸チューブが第2の中赤外透過部分を含み、該第2の中赤外透過部分は、中赤外光がそれを通って呼吸チューブに出入りすることを可能にするように前記リフレクタと位置合わせされている、請求項のいずれか一項に記載のカプノメータ。
【請求項8】
前記リフレクタが前記呼吸チューブに取り付けられている、請求項のいずれか一項に記載のカプノメータ。
【請求項9】
前記呼吸チューブが、リフレクタを受け入れるための予め形成された凹部を備えている、請求項に記載のカプノメータ。
【請求項10】
前記呼吸チューブの外側のリフレクタの平らな側がヒータと接触している、請求項またはに記載のカプノメータ。
【請求項11】
前記リフレクタが、同心リングに少なくとも1つのカットを含むフレネルリフレクタである、請求項1~10のいずれか一項に記載のカプノメータ。
【請求項12】
前記リフレクタが、複数の同心リングに複数のカットを含むフレネルリフレクタである、請求項11に記載のカプノメータ
【請求項13】
前記リフレクタが、フレネルゾーンプレート、反射格子または反射ホログラムの形態の反射型回折光学素子であり、該反射型回折光学素子は少なくとも1つのステップを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のカプノメータ。
【請求項14】
前記反射型回折光学素子が複数のステップを含む、請求項13に記載のカプノメータ
【請求項15】
前記リフレクタが複数の位相レベルのフレネルゾーンプレートであり、該プレートは、複数のステップ高さの一連のステップを有する、請求項13に記載のカプノメータ。
【請求項16】
2πを超える位相変化をもたらすステップ高さなしで、前記ステップ高さが<π/2の位相変化をもたらす、請求項15に記載のカプノメータ
【請求項17】
ステップ高さが<0.5μmであり、総ステップ高さが<5μmである、請求項15または16に記載のカプノメータ。
【請求項18】
前記リフレクタは、単一の高さの一連のステップを含む単一位相レベルのフレネルゾーンプレート、反射格子または反射ホログラムである、請求項13に記載のカプノメータ。
【請求項19】
各ステップの高さが光の波長の約4分の1である、請求項18に記載のカプノメータ
【請求項20】
前記リフレクタが、薄膜単一レベル位相FZP集光素子として提供される、請求項18または19に記載のカプノメータ。
【請求項21】
薄膜単一レベル位相FZP集光素子上に提供される裏面導電要素をさらに備える、請求項20に記載のカプノメータ。
【請求項22】
前記空気流領域は、前記IR光が該空気流領域を通過する場所で低減された断面積を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載のカプノメータ。
【請求項23】
前記カプノメータは、医療機器と組み合わせられ、カプノメータの周囲の空気が前記医療機器に流入するのを阻止するための遮断手段をさらに備える、請求項1~22のいずれか一項に記載のカプノメータ。
【請求項24】
一度にカプノメータの第1および第2の空気流路のうちの一方だけを遮断するための分流装置をさらに備え、
前記第1の空気流路は、カプノメータのユーザが空気を吸入/吐出するカプノメータの吸入/吐出部分と、空気がカプノメータに入るカプノメータの取り入れ部分とを接続し、
前記第2の空気流路は、吸入/吐出部分と、空気がカプノメータを出るカプノメータの出口部分とを接続する、請求項1~23のいずれか一項に記載のカプノメータ。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載のカプノメータを含む吸入器であって、前記カプノメータは、吸入器を通して吸入または吐出される空気中のCOレベルを監視するように構成される、吸入器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してカプノメータ、より具体的には反射配置を利用するカプノメータ、ならびにカプノメータを使用してガス中のCOレベルを決定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸中の特定ガスの濃度の測定は、非分散型赤外線技術を用いて行うことができる。最も一般的なのは、4.26μmの吸収帯を使用した二酸化炭素の測定であり、その例は、Andros Incによって特許文献1~3に開示され、また日立製作所によって特許文献4に開示されている。連続して測定を行うことにより、呼吸中の二酸化炭素の変動を時間の関数として記録することが可能である。カプノメータとして知られるこれらのデバイスは、肺内の空気の換気と灌流の両方を把握するのに役立つ。
【0003】
広い濃度範囲にわたり高い時間分解能でガス濃度を高精度に測定できることは有益である。通常、呼吸中の二酸化炭素の測定に関して、測定範囲は、吸い込む空気中の二酸化炭素のバックグラウンドレベルから、静脈血に溶解した二酸化炭素の濃度(急性高炭酸ガス血症の患者では10kPaを超える可能性がある)まで、様々であってよい。呼吸中のガス測定の時間分解能の要件を検討する場合、呼気および吸気のアップストロークが呼吸のごく一部で発生することを認識しなければならない。さらに、新生児の場合、呼吸速度は速くなる可能性がある-1分あたり最大60回の呼吸。したがって、検出器の応答回数は100Hzを超えることが望ましい。さらに、時間情報の損失を防ぐために、口または鼻の近くで測定を行う必要があるため、センサが呼吸の凝縮(breath conddensation)の影響を受ける可能性がある。
【0004】
これらのデバイスを低コストにし、またデバイスが汚染されないように患者の呼吸をデバイスの本体から隔離する使い捨て要素である低コストの交換可能な呼吸チューブを可能にすることも望ましい。
【0005】
反射配置LEDカプノメータの使用は、特許文献5~7、非特許文献1、および出願人の同時係属中の特許文献8に記載されている。これらに記載されている効率的な中赤外LEDと反射配置を使用すると、特定濃度範囲で高い時間分解能と高い精度を実現できる。しかしながら、球形/楕円形の曲面鏡の使用は多くの問題を生じさせ、すなわち、結露(condensation)を防ぐために均一に加熱することが困難であり;湾曲はガスを頂点にトラップして、システムの時間分解能を低下させる可能性があり、さらに、単一の経路長はセンサが狭い範囲のガス濃度測定に適していることを意味する。また、湾曲したシステムは、交換可能な呼吸チューブの導入に向いていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第4,423,739号明細書
【文献】米国特許第4,200,791号明細書
【文献】米国特許第4,013,260号明細書
【文献】米国特許第3,893,770号明細書
【文献】米国特許第5,261,415号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0271751号明細書
【文献】国際公開第2007/091043号
【文献】国際公開第2016/092308号
【非特許文献】
【0007】
【文献】D.Gibson and C.MacGregor “A Novel Solid State Non-Dispersive Infrared CO2 Gas Sensor Compatible with Wireless and Portable Deployment”, Sensors 2013, 13(6):7079-7103 (May 2013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、反射配置(reflecting geometry)を使用するカプノメータを改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、患者が吸入および/または吐出するガス中の成分の濃度を検出するためのカプノメータを提供し、前記カプノメータは、患者の肺へのおよび/または肺からのガスが通過する空気流領域;3~5μmの範囲内の波長の赤外(IR)光を提供するように構成された中赤外半導体エミッタ;IR光を検出するための中赤外半導体検出器;および前記エミッタにより放射されたIR光を反射するためのリフレクタ;を備え、前記エミッタ、前記検出器および前記リフレクタは、エミッタにより放射されたIR光が、リフレクタを介して空気流領域を通って検出器に到達するように配置され、リフレクタは、フレネルリフレクタおよび反射型回折光学素子からなる群より選択されることを特徴とする。
【0010】
カプノメータは、非分散型IR吸収の原理を利用してガス混合物中の特定ガス成分の濃度(または関連する時間的変動、以下でさらに説明する)を定量的に測定するために使用することができる。
【0011】
カプノメータの反射配置は、低コスト生産および低消費電力を提供する。本発明者は、通常コリメート光学配置で用いられる、透過光学素子、回転素子、またはフィルタを備えたビームスプリッタ光学素子が、反射配置を用いることによってカプノメータで不要となりうることを見出した。したがって、近接するエミッタ/検出器の対がガスサンプルボリュームの一方の側に配置され、反射表面がガスサンプルボリュームの反対側に提供されるカプノメータを利用して、測定を実施することができる。
【0012】
反射配置はさらに、肺機能測定に適切なガス濃度で検出器において必要な信号対雑音比を達成するために、適切なサンプリング長さを実現することを可能にする。反射配置では、サンプリング長さは、エミッタとリフレクタとの間の距離、ならびにリフレクタと検出器との間の距離によって決定され得る。特に、本発明により規定されるリフレクタの提供は、多くの利点をもたらす実質的により平らな形状を提供し、そのような利点には、均一に加熱することがより容易であること、より低い熱エネルギー要求を有すること、最小デッドスペースで、交換可能な呼吸チューブの容易な挿入を可能にすることが含まれ、デッドスペースは、検出器によってサンプリングされる呼吸チューブの外側のガスである。さらに、より平らな形状は、経路長の範囲(すなわち幅)を提供し、それによって、カプノメータのガス濃度測定の範囲を拡大する。さらに、回折に基づく反射集光素子を使用することにより、エミッタおよび検出器に対するリフレクタの配置精度の要件を軽減するという利点があり、これにより、デバイスのコストを低減し、また測定をより正確にすることができる。さらに、回折に基づくリフレクタは、より高い波長特異性を有するため、センサがサンプリングされる標的ガスに対してより高い感度を有することを可能にする。
【0013】
カプノメータは、ガス中の成分の濃度が特定されるときに高い時間分解能が達成され得るように、非分流または実質的に非分流様式で操作され得る。
【0014】
カプノメータは、口鼻開口部(oro-nasal orifices)の近くのガス濃度の測定を可能にするやり方で実行することができる。
【0015】
カプノメータの好ましい実施形態では、ガス中の成分の濃度の検出は、成分の濃度の時間的変動を検出することを含む。
【0016】
反射配置を用いて多くの構成を使用できることを理解されたい。
【0017】
カプノメータの好ましい実施形態では、エミッタは、空気流領域の第1の側の第1の位置に配置され、検出器は、前記空気流領域の第2の側の第2の位置に配置され、前記第1の側は前記第2の側に隣接し、リフレクタは前記空気流領域の第3の側の第3の位置に配置され、前記第3の側は前記第1の側の向かい側または前記第2の側の向かい側にある。リフレクタは、フレネルリフレクタと反射型フレネルゾーンプレートのうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
リフレクタは、フレネルリフレクタまたは反射型回折光学素子である。フレネルリフレクタは、単一平面上で終端する、湾曲したリフレクタ内の1つまたは複数のカットを含むことができ、それにより、反射素子の厚さを減らす。好ましくは、少なくとも4つのカットが同心リングに提供される。
【0019】
あるいは、リフレクタは反射型回折光学素子である。例えば、リフレクタは、フレネルゾーンプレート、反射格子、ホログラムまたは光子ふるいを含むことができる。より好ましくは、リフレクタは、単一または複数の位相レベルを有するフレネルゾーンプレート(FZP)を含む。FZPは、光の集束が回折によって達成されるという点でフレネル反射レンズとは異なる。回折素子は、薄膜に形成されるか、または本体の表面に直接形成され、従来の屈折または反射光学素子と比較して安価に大量生産することができる。これによって、その構造が集光素子の最も平らでかつ最も薄い形状を有することが可能となり、それによって、最小のデッドスペース、改善された加熱均一性、ならびにより低い加熱力およびより低い材料コストがもたらされる。さらに、検出器により受信される信号レベルのゾーンプレートの位置に対する感受性が低下してデバイスの精度が向上するように、回折素子を設計することができる。
【0020】
一実施形態では、複数の位相レベル(multiple phase levels)を有する反射型ゾーンプレートは、一連のステップ(段)を含む。好ましくは、一連のステップは、湾曲したリフレクタによってもたらされる連続的な位相変化に近似する。マルチ位相ゾーンプレートは、複数のステップ高さを含む。より好ましくは、2πを超える位相変化をもたらすステップ高さなしで、ステップ高さは<π/2の位相変化をもたらす。これにより、ステップの全高が制限され、したがってリフレクタの全厚が実質的にこの高さに制限される。中赤外波長の場合、ステップ高さは<0.5μmであり、総ステップ高さは<5μmである。
【0021】
より好ましい実施形態では、リフレクタは、単一位相レベルのフレネルゾーンプレートを含む。反射型フレネルゾーンプレートは、ゾーンプレートの表面から反射された波面の干渉が検出器上の放射フラックスを最大化するように、表面にパターン化されかつ反射体でコーティングされた単一高さのステップを含む。通常、ステップの高さは光の波長の4分の1である。FZPに提供される特定のパターンは、検出器に到達する放射強度を最大化するように最適化することができ、エミッタおよび検出器の位置とサイズ、サンプリングサイズ、および放射経路内の他の光学素子に依存する。従来のフレネルゾーンプレートでは、ステップは同心円または楕円に配置されるが、当業者は、ゾーンプレート上のステップの配置を計算して、検出器での最大信号、あるいはエミッタおよび検出器に対するゾーンプレートの相対配置に対する感受性の低下と組み合わせて高い信号レベルを達成できる。ステップの代替パターンは、例えば、格子、ホログラム、または光子ふるいの形で提供することができる。
【0022】
フレネルリフレクタ、FZPまたは他の反射型回折光学素子の材料は、当技術分野で知られているこの用途に適した任意の材料であってよい。好ましくは、フレネルリフレクタは、高密度ポリマーから作られ、より好ましくは射出成形される。リフレクタの表面には、例えば、蒸発(evaporation)、スパッタリングまたは他の物理蒸着(または物理気相成長)によってあるいは電気化学的方法によって、金属薄膜のコーティングが提供される。適切な金属の例には、金、銀、およびアルミニウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
フレネルゾーンプレートも、高密度ポリマーおよび射出成形から製造することができる。ステップ配置/パターンは、シリコンへの化学蒸着(または化学気相成長)(CVD)あるいはプラズマ強化化学蒸着(またはプラズマ強化化学気相成長)(PECVD)によって成長した二酸化ケイ素、窒化ケイ素、および酸窒化ケイ素の層のフォトリソグラフィおよびエッチングなど、当業者に知られているシリコン微細加工技術を使用してマスターで製造することができる。マスターゾーンプレートパターンは、射出成形金型で直接使用することも、また典型的には電鋳ニッケルを使用して、電鋳金型インサートを作成するために使用することもできる。リフレクタの表面は、金、銀またはアルミニウムのコーティングなど、フレネルレンズと同様に金属薄膜によって提供される。
【0024】
好ましくは、FZPは、薄膜単一レベル位相FZP集光素子として提供される。膜FZPは、ホットエンボス法を使用してシート上に製造することができる。例えば、PETまたはPENの薄い金属またはポリマーなどのフォイルを、ホットエンボスローラを使用して成形できる熱硬化性ポリマーを含む上面でコーティングする。次に、フォイルを前述のように反射コーティングでコーティングし、FZPをフォイルから切り取ることができる。フォイルには、導体を使用して電流源に取り付けることができる裏面導電要素を組み込むことができる。
【0025】
好ましい実施形態では、カプノメータは、呼吸チューブをさらに備え、呼吸チューブは、空気流領域のために、エミッタ/検出器と、フレネルリフレクタ、FZPまたは他の反射型回折光学素子との間にチャネルを画成する。好ましくは、リフレクタは平面を有する。より好ましくは、単一のリフレクタのみが必要とされる。好ましくは、呼吸チューブはカプノメータから取り外し可能である。交換可能な呼吸チューブは、患者間で病気が移るのを防ぐため、マルチユーザーデバイスに有用であり、また信号レベルを低下させる光路内の汚染の蓄積を軽減できるため、シングルユーザーデバイスにも有用である。
【0026】
呼吸チューブを使用するカプノメータの実施形態では、エミッタ、検出器、および/またはフレネルリフレクタ、FZPまたは反射型回折光学素子を呼吸チューブに取り付けてもよい。呼吸チューブがカプノメータから取り外し可能である場合、エミッタ、検出器、および/またはリフレクタを含む呼吸チューブを交換することにより、エミッタ、検出器、および/またはリフレクタの汚染を最小限に抑えることができる。
【0027】
呼吸チューブは、好ましくは高密度ポリマーから、好ましくは射出成形によって形成される。
【0028】
別の好ましい実施形態では、カプノメータは、エミッタにより放射されるIR光の検出器への収集効率を向上させるために、エミッタとリフレクタとの間および/または検出器とリフレクタとの間に、少なくとも1つの光学層をさらに備えていてよい。この光学層は、シリコンなどであるがこれに限定されない中赤外透過材料を含み得る。光学層に適した他の材料は当業者に分かり、ZnS、ZnSe、Ge、カロコゲナイドガラスおよび特定のポリマーが含まれるが、これらに限定されない。エミッタと検出器が空気流領域の同じ側に配置される場合、光学層は、単一の層であっても、あるいはそれぞれエミッタ/リフレクタ間および検出器/リフレクタ間の2つの別個の層であってもよいことを理解されたい。1つまたは複数の層は、それらの表面に反射防止コーティングを施すことができ、それにより、反射損失を最小化または低減し、1つまたは複数の層を通る透過を最大化または増加させることができる。また、それらの層は、検出器の収集効率を改善するために、回折光学素子を含むことができる。
【0029】
カプノメータのさらに好ましい実施形態では、エミッタおよび/または検出器は、呼吸チューブの外部に配置され、呼吸チューブは、第1の中赤外透過部分を含み、その中赤外透過部分は、中赤外光がそれらを通って呼吸チューブに出入りすることを可能にするように、エミッタおよび検出器と位置合わせされる。好ましくは、中赤外透過部分は別個の窓を含む。別個の窓が利用されない場合、呼吸チューブは、エミッタおよび検出器と位置合わせされる部分で中赤外透過性であり得ることを理解されたい。中赤外透過部分が別個の窓を含む場合、カプノメータは、好ましくは、呼吸チューブと別個の窓との間に配置されたシールをさらに含む。シールは、ガスがサンプリングされる空気流領域内にカプノメータの周囲の空気が侵入するのを防ぐのに適している場合がある。
【0030】
呼吸チューブには、中赤外透過部分などの任意の構成要素を受け入れるための適切な凹部(recess)が設けられている。構成要素は、接着剤などの適切な手段によってその中に固定される。
【0031】
中赤外透過部分は、反射防止コーティングおよび/または防曇コーティングを含んでいてよい。これにより、コーティングによって中赤外透過部分でのIR光の散乱が減少するため、エミッタにより放射されるIR光の検出器への収集効率を高め、したがって信号対雑音比を向上させることができる。あるいは、またはさらに、カプノメータは、中赤外透過部分を加熱するためのヒータをさらに備えていてよい。このようにして、収集効率およびしたがって信号対雑音比を高めるために中赤外透過部分での水分凝縮を防ぐことができる。
【0032】
中赤外透過部分に加えて、カプノメータは、エミッタにより放射されたIR光の検出器への収集効率を向上させるために、エミッタとリフレクタとの間および/または検出器とリフレクタとの間に光学層をさらに備えていてよい。エミッタと検出器が空気流領域の同じ側に配置される場合、光学層は、単一の層であっても、あるいはそれぞれエミッタ/リフレクタ間および検出器/リフレクタ間の2つの別個の層であってもよいことを理解されたい。好ましくは、光学層は、反射防止コーティングおよび/または防曇コーティングを含む。より好ましくは、カプノメータは、光学層の表面上での水分凝縮を回避するために、光学層を加熱するための第2のヒータをさらに備えていてよい。第1のヒータと第2のヒータが一体であってもよいことを理解されたい。さらに、中赤外透過部分と光学層は、一部の実施形態では、一体であってよい。
【0033】
上記の通り、光学層は、シリコン、ZnS、ZnSe、Ge、カロコゲナイドガラス、特定のポリマー、または当業者に知られている他の材料を含んでいてよい。
【0034】
本発明の好ましい実施形態では、フレネルリフレクタ、FZPまたは反射型回折光学素子は、呼吸チューブの一部として、または呼吸チューブと一体に形成されるが、一方、エミッタおよび検出器は、呼吸チューブの外部にある。この実施形態では、単一のIR透過窓が、リフレクタの向かい側で呼吸チューブに設けられている。好ましくは、リフレクタはヒータを備えており、好ましくは、ヒータは呼吸チューブの外部にある。呼吸チューブ内でリフレクタを使用すると、ヒータと接触するための平らな表面が提供され、リフレクタのより均一な加熱が可能になる。より好ましくは、単一位相FZPが、好ましくは裏面積層ヒータを備えたフィルム上に提供され、例えばプッシュフィットクリップまたは他の固定手段を使用して、チューブ内の予め形成された凹部を利用して呼吸チューブに取り付け可能である。
【0035】
実施形態では、呼吸チューブは、リフレクタをエミッタおよび検出器と連携させることを可能にするための1つまたは複数の位置合わせ機構を備えていてよい。したがって、これらの位置合わせ機構は、カプノメータで行う測定の信号レベルおよび再現性を向上させることができる。1つまたは複数の位置合わせ機構は、カプノメータの構成部品の運動学的位置決めおよび組み立ての容易さを提供し得る位置合わせピンを含むことができる。
【0036】
あるいは、カプノメータの実施形態では、リフレクタは呼吸チューブの外部に配置され、呼吸チューブは第2の中赤外透過部分を含み、第2の中赤外透過部分は、中赤外光がそれを通って呼吸チューブに出入りすることを可能にするようにリフレクタと位置合わせされる。
【0037】
カプノメータの実施形態では、エミッタは、3~5μmの範囲内の2つ以上の異なる波長のIR光を提供するように構成されてよく、検出器は、信号プロセッサのための2つ以上の異なる波長を検出するように構成されてよい。この実施形態は、異なる吸収ピークまたは一般に異なる吸収スペクトルを有する異なるガスを検出するのに特に適している可能性がある。
【0038】
好ましい実施形態では、カプノメータは、レベルデータ出力を記憶するためのメモリをさらに備える。これにより、後の段階で、カプノメータで測定されたガス濃度および/またはガス濃度の時間的変動を分析することが可能となる。
【0039】
好ましい実施形態では、ガス混合物中の検出されるガス成分はCOである。
【0040】
カプノメータのさらに好ましい実施形態では、エミッタはIII-V中赤外半導体エミッタを含む。
【0041】
カプノメータの別の好ましい実施形態では、検出器はIII-V中赤外半導体検出器を含む。
【0042】
エミッタおよび検出器のタイプは、サンプリングされるガスおよび/またはガス成分によって決定され得ることを理解されたい。
【0043】
信号が患者の肺の灌流および換気に関する十分な情報を伝達できるように、測定値の十分な時間分解能を得ることが重要であろう。縮小光学素子(cut down optics)および/またはサンプリング領域を通るガスを加速する呼吸チューブ設計を用いて、サンプル幅を減らしてもよい。したがって、カプノメータの好ましい実施形態では、空気流領域は、IR光が空気流領域を通過する場所で断面積が減少していてよい。
【0044】
カプノメータは、医療機器と組み合わせて使用することができ、その際にカプノメータは、カプノメータの周囲の空気が医療機器に流入するのを阻止するための遮断手段をさらに備える。
【0045】
カプノメータの好ましい実施形態では、エミッタは複数のエミッタを含み、複数のエミッタのそれぞれは、異なるそれぞれの中心波長の光を放射する。これは、カプノメータを用いて異なる吸収スペクトルを有する異なるガスをサンプリングすることを可能にする。さらには、この実施形態は、デバイスを較正すること、および/またはガス濃度の測定値がいつ無効になるかを決定することを可能にする。
【0046】
さらに好ましい実施形態では、検出器は複数の検出器を含み、複数の検出器のそれぞれは、異なるそれぞれの波長範囲の光を検出する。
【0047】
光路の設計は、カプノメータで用いられるエミッタおよび検出器を含む光学システムの良好な収集効率を確実にすることである。成分が光を吸収する波長(例えば、COに関して4.26μm)で低い吸収を有する材料の使用が好ましいであろう。さらに、例えば、物理蒸着または電気化学堆積により堆積させた例えば金(Au)を使用することにより、リフレクタの高反射表面を実現することができる。
【0048】
カプノメータはまた、分流装置(diversion device)を備えていてよい。例えば、カプノメータは、同時にカプノメータ内の第1および第2の空気流路のうちの一方を遮断するための分流装置を備えていてよく、第1の空気流路は、カプノメータのユーザが空気を吸入/吐出するカプノメータの吸入/吐出部分と、そこから空気がカプノメータに入るカプノメータの取り入れ部分とを接続し、第2の空気流路は、吸入/吐出部分と、空気がカプノメータを出るカプノメータの出口部分とを接続する。
【0049】
カプノメータの好ましい実施形態では、分流装置は、ユーザによる空気の吸入/吐出によって制御される分流弁を備える。例えば、吸入中、分流弁は、カプノメータの吸入/吐出部分と取り入れ部分との間の第1の空気流路を開き、一方同時に、カプノメータの吸入/吐出部分と出口部分との間の第2の空気流路を閉じることができる。ユーザによる吐出中は、状況は逆転され、吸入/吐出部分と取り入れ部分との間の接続が閉じられ、吸入/吐出部分と出口部分との間の接続が開かれる。吸入中に第1の空気流路が遮断され、第2の空気流路が開かれる(吐出中には反対である)分流弁の反対の動作が採用されてもよいことを理解されたい。分流弁は、分流装置の単純で信頼性が高くかつ安価な構造を可能にすることができる。
【0050】
分流装置は、電子的手段などの他の手段によって制御され得る他の形態をとることができることを理解されたい。
【0051】
本明細書に記載のカプノメータの実施形態は、吸入器と組み合わせるおよび/または吸入器に組み込むことができる。したがって、本明細書の実施形態のいずれかに記載されるようなカプノメータを含む吸入器が提供され、カプノメータは、吸入器を通して吸入または吐出される空気中のCOレベルを監視するように構成される。
【0052】
カプノメータはまた、患者が吸入/吐出したガスからのガス濃度データを出力するように構成してもよく、ガス濃度データを受信するように構成されたデータプロセッサに接続され得る。ガス濃度データは、実施形態では、COガス濃度データであり得る。ガス濃度データを受信するためのプロセッサは、カプノメータに一体化され得ることを理解されたい。
【0053】
本発明のこれらおよび他の態様を、添付の図面を参照して、単なる例としてさらに説明するが、同様の数字は全体を通して同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】従来技術によるカプノメータの構成要素の概略図を示す。
図2】従来技術によるシリコン光学窓を含むカプノメータの概略図を示す。
図3】本発明の実施形態による、フレネルリフレクタ、および2つのIR透過窓を組み込んだ呼吸チューブを備えたカプノメータの概略図を示す。
図4図4Aおよび4Bは、それぞれ球面リフレクタおよびフレネルレンズリフレクタを介してエミッタから検出器まで光線が通過する経路長を示す。
図5】本発明の別の実施形態による、使い捨て呼吸チューブ内にフレネルリフレクタを組み込んだカプノメータの概略図を示す。
図6図6Aは、本発明のさらに別の実施形態によるフレネルゾーンプレートを組み込んだカプノメータの概略図を示し、図6Bは、フレネルゾーンプレートの拡大部分図である。
図7図7Aは、本発明のさらに別の実施形態によるフレネルゾーンプレートを組み込んだカプノメータの概略図を示し、図7Bは、フレネルゾーンプレートの拡大部分図である。
図8】本発明のさらに別の実施形態による、一体型ヒータを備えた薄膜フレネルゾーンプレートを組み込んだカプノメータの概略図を示す。
図9】本発明のさらに別の実施形態によるカプノメータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1は、出願人の以前に出願した同時係属中の国際公開第2016/092308号に記載されているものなど、先行技術によるカプノメータの構成要素の概略図を示す。このデバイスは、エミッタ(2)/検出器(3)対と、リフレクタ(4)との間との間に介在する空気流領域を流れるサンプルガス(例えば、呼気)中の二酸化炭素などのガス成分の濃度を測定するのに用いることができる。図1では、エミッタ(2)/検出器(3)対と湾曲したリフレクタ(4)が呼吸チューブ(1)に組み込まれ、適切な電子駆動デバイスおよび検出回路に接続されている。検出器電流の値は、エミッタ電流、およびサンプリング領域でサンプリングされるガスの量に比例し得る。
【0056】
カプノメータのエミッタ(2)および/または検出器(3)は、III-V半導体から構成され得る。エミッタ(2)および検出器(3)に適した材料は当業者に分かることを理解されたい。理想的には、エミッタダイオードは、中心波長が4.26μmであるIR放射を発するように設計され、検出器(3)はおよそ4.26μmを中心とするピーク感度を有するフォトダイオードである。
【0057】
エミッター(2)によって放射され、さらにリフレクタ(4)を介して検出器(3)によって検出されるIR光が通過する光路長は、CO分子による吸収による信号の減衰が、ガス流に適した濃度範囲に関して検出器(3)によって強度変化が検出できるものであるように選択される。人間の呼吸の場合、CO濃度の範囲は、人間が吸い込むバックグラウンドCOレベルと、高炭酸ガス血症患者が吐き出す10kPa超の間で変動する。範囲の中央の5kPaの場合、IR光が通過する距離はおよそ20mmとなり得る。
【0058】
図2は、従来技術による別のカプノメータを示す。カプノメータは、湾曲したリフレクタ(4)とシリコンを含み得る光学層(5)とを備えた使い捨て呼吸チューブ(1)を組み込んでいる。光学層(5)は呼吸チューブ(1)と密閉を形成する。シリコンを含む光学層(5)の目的は、呼吸からエミッタ(2)/検出器(3)対を保護する(例えば、エミッタ(2)/検出器(3)対の汚染を避ける)ためと、エミッタ(2)から放射されるより多くの光が検出器(3)に作用するように導くことにより、システムの収集効率を高めるための両方である。光学層(5)に適した他の材料は当業者に分かり、ZnS、ZnSe、Ge、カロコゲナイドガラスおよび特定のポリマーが含まれるが、これらに限定されない。カプノメータは、周囲領域からガスがサンプリング領域に入るのを防ぐためのシール(9)を備える。図示の例では、シール(9)は、呼吸チューブ(1)と光学層(5)が互いに接続する2つの位置に配置されている。シール(9)は、1つまたは複数の場所に配置され得ることを理解されたい。シール(9)は、呼吸チューブ(1)と光学層(5)が接続する空気流領域に面する側、および/または空気流領域とは反対に面する側に配置(図2に示すように)することができる。
【0059】
エミッタ(2)/検出器(3)対はプリント回路基板(6)に取り付けられ、そのプリント回路基板には、射出成形された呼吸チューブ(1)に組み込まれた位置決めピン(8)のための高精度位置決めラグ(lug)が組み込まれ得る。これにより、エミッタ(2)/検出器(3)対を湾曲したリフレクタ(4)に対して高精度に位置合わせすることが可能になり、高い収集効率を達成することができる。プリント回路基板(6)により、エミッタ(2)/検出器(3)対と駆動回路とを接続できる。エミッタ(2)/検出器(3)対を駆動するために電気コネクタ(7)がプリント回路基板(6)に接続される。
【0060】
このシステムは、アセンブリ全体を駆動電子デバイスおよびカプノメータ本体から取り外して交換できるように設計することができる。したがって、湾曲したリフレクタ(4)、光学層(5)、ならびに回路基板(6)にプリントされたエミッタ(2)/検出器(3)を含む呼吸チューブアセンブリを、カプノメータの使用後に廃棄することができる。
【0061】
前述のカプノメータは目的に適しており、特定の濃度範囲にわたって高精度で高い時間分解能を可能にするが、球形/楕円形の曲面鏡を使用すると、結露の問題を引き起こす不均一な加熱、ガスを頂点にトラップさせてシステムの時間分解能を低下させる鏡の湾曲、およびセンサが狭い範囲の測定にのみ適していることを意味する単一経路長などの、多くの問題が生じる。さらに、レンズの湾曲は、交換可能な呼吸チューブへの容易な導入に適していない。
【0062】
添付図面の図3は、本発明の一実施形態によるカプノメータを示す。このカプノメータには、湾曲したリフレクタ(4)の代わりに反射フレネルレンズ(12)が組み込まれている。カプノメータは、空気流を制限する呼吸チューブ(1)を備え、呼吸チューブには、1つの狭いIR透過窓と1つの相対的に広いIR透過窓(10a、10b)がそれぞれチューブの反対側に組み込まれている。エミッタ(2)および検出器(3)は、狭い窓(10a)に隣接して提供され、プリント回路基板(6)に取り付けられている。フレネルリフレクタ(12)は、広い方の窓(10b)の裏側に設けられる。エミッタ/検出器の対(1)は、III-V半導体から構成されていてよく、適切な材料は当業者に分かるであろう。この例では、エミッタは4.26μmに中心波長を有するIR放射を放出するように設計され、検出器は4.26μmを中心とする感度ピークを有する。エミッタ/検出器の対とフレネルレンズは、エミッタ(2)から放射された光がレンズ(12)によって検出器(3)に集束されるように位置合わせされる。ガスは、エミッタ/検出器の対(2,3)とフレネルリフレクタ(12)との間に挟まれた空気流領域を通って流れる。空気流領域は、反射防止コーティングおよびヒータ(図示せず)を備えたシリコンIR透過窓(10a、10b)によって、エミッタ/検出器およびリフレクタから隔離されている。
【0063】
フレネルリフレクタ(12)は、射出成形され得る高密度ポリマーで作られる。図3に示される実施形態では、フレネルリフレクタは5つの同心要素を含むが、より多くのまたはより少ない要素があってもよい。リフレクタ表面は、蒸発、スパッタリング、または他の物理蒸着によって、あるいは銀、金、またはアルミニウムなどの金属薄膜を用いる電気化学的方法によってコーティングすることができる。当業者に知られている様々な堆積技術を利用できることを理解されたい。この例では、リフレクタは金膜でコーティングされる。しかしながら、当業者に知られている他の様々な材料をこの目的のために使用できることを理解されたい。
【0064】
呼吸チューブ(1)は、射出成形され得る高密度ポリマーで作られ、シリコン窓(10a、10b)のための凹部が組み込まれ、適切な接着剤を使用してそれらを接着させることができる。シリコン窓は、空気/シリコン界面での信号損失を最小限に抑えるために、反射防止コーティングを有していてよい。シリコン窓には、呼吸と接触する窓の温度を維持して光路に対する呼吸の凝縮の影響を最小限に抑えるために、ヒータも組み込まれる。赤外線放射を透過する光学窓用の他の材料は当業者に分かり、ZnS、ZnSe、Ge、カルコゲニドガラスおよび特定のポリマーが含まれるが、これらに限定されない。フレネルレンズ(12)に隣接するシリコン窓はレンズのすぐ近くに配置され、非サンプリングガスの量を制限する。
【0065】
球面リフレクタの経路長を示す図4Aおよびフレネルリフレクタの複数の経路長を示す図4Bに示されているように、光線がリフレクタを介してエミッタから検出器まで通過する距離がリフレクタを照らす立体角で放射されるすべての光線について実質的に同じである球面反射配置と比較して、フレネルレンズ(12)は、(エミッタ表面の法線方向に対して)より大きな角度で放射された光線の経路長がより長いことを理解されたい。センサの感度はこの経路長に依存する。低ガス濃度で行われる測定は、光線の十分な吸収が検出されるのを可能にするために長い経路長を必要とし、逆に、高ガス濃度では、検出器が小さすぎる信号を受信するのを防ぐために短い経路長しか必要とされない。したがって、特定のガス濃度に必要な最適な経路長がある。呼吸中の二酸化炭素濃度の範囲は広く、したがって、本発明のカプノメータに組み込まれるフレネルレンズによって提供されるように複数の経路長を有することは有利である。当業者は、エミッタの出力、検出器の感度、および光路の損失に応じて、サンプリングされるガスの最適な光路長範囲を決定することができる。
【0066】
フレネルレンズリフレクタの使用は、従来技術を超える多くの利点をもたらす。より平な形状により、シリコン窓とリフレクタとの間のより小さな非サンプリングデッドスペースで呼吸チューブを挿入できるため、デッドスペース容積内のガスによる信号の吸収に関連するエラーが減少する。平らな形状はまた、上述したように経路長の範囲(すなわち幅)を生じさせ、その結果、カプノメータの測定範囲が拡大する。
【0067】
図5は、図3と同様のカプノメータを示しているが、交換可能な呼吸チューブ(1)の一部としてフレネルレンズ(12)が提供されている。エミッタ/検出器の対(2,3)は上記と同様にPCB(6)に取り付けられ、エミッタ(2)は呼吸チューブ(1)によって画成されるガスフロー領域を照らし、呼吸チューブには、エミッタ/検出器の側に加熱されたシリコン窓(10a)、そして向かい側(opposite side)にフレネルリフレクタ(12)が組み込まれている。フレネルリフレクタはヒータ(14)を備え、フレネルレンズによって検出器に集束される信号に影響を与える結露を防ぐ。この配置は、第2のシリコン窓(10b)に関連する反射損失の除去により、より高い信号レベルを提供するだけでなく、デバイスの材料コストを下げる。ヒータは、サンプルガスと接触している表面を加熱することを可能にし、したがって、表面温度はリフレクタ(12)および/または透過層(10a)での結露を防ぐのに十分に高い。より平らなフレネルリフレクタの形状により、フラットヒータを使用できるため、リフレクタをより均一に加熱でき、加熱する表面とより均一に接触することができる。これにより、ヒータの消費エネルギーが少なくなり、カプノメータの消費電力が低減される。さらに、低い熱エネルギー要求により、光学システムの熱膨張が減少し、その最適な効率的形状を維持できる。
【0068】
呼吸チューブ(1)は、必要な形状を形成するように射出成形され得る高密度ポリマーで作られていてよい。フレネルレンズには、図3に関連して前述したように、反射面を実現するために追加の材料コーティングが施される。フレネルレンズは、適切な接着剤を使用して呼吸チューブに組み込むことができ、あるいは、フレネルレンズを含む側をコーティングできるように呼吸チューブと同じ射出成形金型(injection molding tooling)で2つの半体に製造し、その後で適切な接着剤を使用してまたは締まりばめによってその2つの半体をくっつける。集光素子(12)を組み込んだ呼吸チューブ(1)がエミッタ/検出器の対(2、3)に正確に位置合わせされることを確実にするために、位置合わせ機構(図示せず)が必要であることを理解されたい。
【0069】
呼吸チューブ(1)は、実施形態では、サンプルガスが検査される空気流領域からサンプルガスを迂回させることを可能にするチャネルを含んでいてよく、その結果、流れがサンプリングされるのに十分高いコンダクタンスが達成され得る。
【0070】
さらに、サンプルガスと接触するリフレクタ(12)および/または透過窓(10a、10b)の表面は、表面エネルギーを変更する材料でコーティングしてもよい。したがって、呼吸からの凝縮水がこれらの表面で凝縮するときに、高表面エネルギー調整剤の場合、凝縮水は水滴ではなく薄い膜を形成し、それは潜在的にIR放射を散乱させるため、検出器(3)に作用するIR放射を減らす。表面エネルギー調整材料は、ヒドロキシルおよびカルボキシル含有炭化水素チオールであってよいが、これらに限定されない。ヒドロキシルおよびカルボキシル含有炭化水素チオールは、金表面をコーティングして自己組織化単層膜を形成するのに特に適している場合がある。ポリエチレンオキシドまたはシアノ含有ポリマーのアミンをリフレクタ(12)の表面に堆積させてもよい。低表面エネルギー調整剤の場合、凝縮水は、玉のようにくっつき窓から落ちる水滴を形成し、あるいはリフレクタ(12)の場合、それほどリフレクタ(12)を被覆せず、したがって信号に対する影響が少ない。低表面エネルギー材料は、フルオロカーボン含有分子であってよいが、これに限定されない。フルオロカーボンチオールは、自己組織化単層膜を用いて金表面をコーティングするのに特に適している場合がある。
【0071】
図6Aおよび6Bは、本発明の別の実施形態によるカプノメータの概略図を示す。この実施形態では、リフレクタは、取り外し可能な呼吸チューブ(1)の本体に組み込まれた、マルチレベルタイプのフレネルゾーンプレート「FZP」(12’)の形態の反射型回折光学素子を含む(図6Bを参照)。このタイプのゾーンプレートでは、湾曲したリフレクタによってもたらされる連続的な位相変化に近似する一連のステップ(12s)が作成され得る。プレートには上記と同様にヒータ(14)が設けられ、IR透過窓(10a)がプレートの向かい側に設けられ、これに沿ってエミッタ(2)および検出器(3)がPCB(6)に取り付けられる。通常、一連のステップ(12s)は、2πを超える位相変化をもたらすステップ高さなしで、π/2未満の位相変化をもたらし、したがってステップの全高を制限し、その結果、鏡の全厚をこの高さ+機械的完全性を確保するために必要な支持厚さに制限する。中赤外波長の場合、ステップ高さは0.5μmのオーダーであり、総ステップ高さは<5μmである。
【0072】
FZPは、高密度ポリマーおよび射出成形を使用して製造できる。赤外線波長に適したマルチレベル位相FZPに必要な小さなステップ高さのための射出成形金型は、シリコン微細加工技術を使用して製造できることが当業者に知られており、そのような技術には、シリコンへの化学蒸着(CVD)またはプラズマ強化化学蒸着(PECVD)によって成長させた二酸化ケイ素および窒化ケイ素および酸窒化ケイ素の層のフォトリソグラフィおよびエッチングが含まれるがそれらに限定されない。マスターゾーンプレートパターンは、射出成形金型で直接使用することも、また電鋳ニッケルを使用して電鋳金型インサートを作成するために使用することもできる。フレネルレンズに関しては、FZPは反射材でコーティングする必要がある。
【0073】
図7Aおよび7Bは、単一位相レベルを有するフレネルゾーンプレート「FZP」(12”)を備えた使い捨て呼吸チューブ(1)を組み込んだ本発明によるカプノメータの別の実施形態を示す(図7Bを参照)。これは、1つのステップ高さのみを有する最も単純な回折素子の1つである。この実施形態では、ゾーンプレート(12)の表面から散乱される波面の干渉が検出器(3)上の放射フラックスの最大化をもたらすように、一連の同心ステップがパターン化され、適切な反射体でコーティングされる。FZPが呼吸チューブと別個になっている場合、その平面形状は、呼吸チューブを最小のデッドスペースで挿入することを可能にし、それによってデッドスペースエラーを最小限に抑える。
【0074】
ステップのパターンは、検出器に到達するウェーブレットの位相が実質的に同位相であり、かつ検出器から外れるかまたは位相がずれるように最適化された同心円または楕円のセットである。様々な最適化が当業者に知られており、特定のパターンは「フォトンシーブ」または「ホログラム」と呼ばれることもある。通常、ステップ高さは光の波長の4分の1であり、したがってこの構造は最も薄い光学素子を提供する。図3および5A~6Bに示す前述の実施形態のように、その構造は反射金属のコーティングを必要とし、適切な射出成形金型を使用して高密度ポリマーの射出成形によって製造することができる。
【0075】
前述の実施形態のいずれかにおいて、カプノメータは、例えば射出成形された高密度ポリマーの本体(図示せず)を含むことができ、それに呼吸チューブが挿入され得ることを理解されたい。本体は、プリント回路基板のラグに位置合わせする位置決めピンを備えていてよい。フレネルリフレクタ(12)は、任意選択で本体と一体となっていてよい。エミッタ(2)/検出器(3)対はプリント回路基板の上部に配置され、エミッタ(2)/検出器(3)対を駆動するために、電気コネクタがプリント回路基板に接続されていてよい。呼吸チューブ(1)は、成形本体とプリント回路基板との間に散在させることができる。
【0076】
本明細書に記載の実施形態では、反射面および/または任意のIR透過窓/構成要素の汚染の問題がある。汚染は、検出器(3)が受信する信号を減少させる可能性があり、実際には変化が生じていないのにCOレベルの上昇として現れる場合がある。これを軽減する1つの方法は、COレベルの低い新鮮な空気がサンプリング領域を通過する呼吸サイクルの吸気相を監視することである。通常、CO濃度はおよそ450ppmである。閾値は変動する可能性があり、好ましくはデバイスの周囲の領域の状態に応じて調整され得ることを理解されたい。測定COレベルが閾値よりも高い場合、システムはその測定が無効であることを表示することができる。測定COレベルに対して補正を行ってもよい。
【0077】
図8は、本発明による別のカプノメータを示し、カプノメータには、予め形成された凹部およびプッシュフィットクリップ(16)を使用して呼吸チューブに取り付けられた薄膜単一レベル位相FZP集光素子(12”)を備えた呼吸チューブ(1)が組み込まれている。膜FZPの利点は、ホットエンボス法を使用してシート上にそれを製造できることである。薄い金属あるいはPETまたはPENなどのポリマーのいずれかであり得るフォイルを、ホットエンボスローラを使用して成形できる熱硬化性ポリマーでコーティングする。次に、フォイルを反射コーティングでコーティングし、FZPをフォイルから切り取る。FZPフォイルには、導体を使用して電流源に取り付けることができる裏面導電要素を組み込むことができる。このFZP形成方法は、低コストであるだけでなく、熱容量も低いため、検出器が受信する信号レベルに影響を与える結露を防ぐためにその要素を加熱するのに使用する電力が少なくなる。
【0078】
添付の図面の図9は本発明のさらに別の実施形態を示し、その実施形態では、図5に示されるように呼吸チューブ(1)内にフレネルリフレクタ12が設けられているが、エミッタ/検出器(2,3)とフレネルレンズ(12)との間に制限部分(restriction)18を設けることによって呼吸経路面積が低減されている。これは、サンプリング領域を流れるガスの速度を高めるのに役立ち、測定されるガス成分の濃度の測定の時間分解能を高める。この速度の上昇は、カプノメータの応答時間がサンプリング領域での呼吸の通過時間に依存しないことを確実にする。
【0079】
本明細書に記載の実施形態では、呼吸チューブの交換中にこれらのデバイスの保護を提供するために、エミッタ/検出器の対と呼吸チューブとの間に追加の中赤外透過窓を追加する必要がある場合がある。
【0080】
また、システムの正確な較正を達成する必要がある。位置合わせでわずかなばらつきが生じる可能性があるため、交換可能な呼吸チューブ(1)を使用する場合に特にそうである。バックグラウンドCOレベルが既知であると仮定してデバイスを較正することができる。これは、空気が周囲空気であればそうかもしれない。あるいは、COレベルを別の情報源から取得してもよい。
【0081】
あるいは、デバイスを較正するために、COレベルが既知のガスを組み込んだ呼吸チューブ(1)を使用してもよい。呼吸チューブ(1)は、取り外し可能な要素を有し得るエンドキャップを備えていてよく、較正後にその取り外し可能な要素を剥がしてデバイスを使用できる状態にすることができる。
【0082】
おそらく多くの他の有効な代替案が当業者に考え付くであろう。本発明は、記載の実施形態に限定されず、当業者に明白でありかつ本明細書に添付された特許請求の範囲の精神および範囲内にある修正を包含することを理解されたい。
最後に、本発明の好ましい実施態様を項分け記載する。
[実施態様1]
患者が吸入および/または吐出するガス中の成分の濃度を検出するためのカプノメータであって、
患者の肺へのおよび/または肺からのガスが通過する空気流領域;
3~5μmの範囲内の波長の赤外(IR)光を提供するように構成された中赤外半導体エミッタ;
前記IR光を検出するための中赤外半導体検出器;および
前記エミッタにより放射されたIR光を反射するためのリフレクタ;
を備え、前記エミッタ、前記検出器および前記リフレクタは、エミッタにより放射されたIR光がリフレクタを介して前記空気流領域を通って検出器に到達するように配置され、
前記リフレクタは、フレネルリフレクタおよび反射型回折光学素子からなる群より選択されることを特徴とする、カプノメータ。
[実施態様2]
前記エミッタが前記空気流領域の第1の側の第1の位置に配置され、前記検出器が前記空気流領域の第2の側の第2の位置に配置され、前記第1の側は前記第2の側に隣接し、前記リフレクタが前記空気流領域の第3の側の第3の位置に配置され、前記第3の側は、前記第1の側の向かい側または前記第2の側の向かい側である、実施態様1に記載のカプノメータ。
[実施態様3]
呼吸チューブをさらに備え、該呼吸チューブが、前記空気流領域のために前記エミッタ/検出器と前記リフレクタとの間にチャネルを画成する、実施態様1または2に記載のカプノメータ。
[実施態様4]
前記呼吸チューブが前記カプノメータから取り外し可能である、実施態様3に記載のカプノメータ。
[実施態様5]
前記エミッタ、前記検出器、および前記リフレクタのうちの少なくとも1つが前記呼吸チューブに取り付けられている、実施態様3または4に記載のカプノメータ。
[実施態様6]
前記エミッタおよび前記検出器が前記呼吸チューブの外部に配置され、前記呼吸チューブが中赤外透過部分を含み、該中赤外透過部分は、中赤外光がそれを通って呼吸チューブに出入りすることを可能にするように前記エミッタおよび前記検出器と位置合わせされている、実施態様4または5に記載のカプノメータ。
[実施態様7]
前記中赤外透過部分が別個の窓を含む、実施態様6に記載のカプノメータ。
[実施態様8]
前記呼吸チューブが、前記リフレクタを前記エミッタおよび前記検出器と連携させることを可能にするための1つまたは複数の位置合わせ機構を備える、実施態様4~7のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様9]
前記リフレクタが前記呼吸チューブの外部に配置され、前記呼吸チューブが第2の中赤外透過部分を含み、該第2の中赤外透過部分は、中赤外光がそれを通って呼吸チューブに出入りすることを可能にするように前記リフレクタと位置合わせされている、実施態様6~8のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様10]
前記リフレクタが前記呼吸チューブに取り付けられている、実施態様4~8のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様11]
前記呼吸チューブが、リフレクタを受け入れるための予め形成された凹部を備えている、実施態様10に記載のカプノメータ。
[実施態様12]
前記呼吸チューブの外側にあるリフレクタの平らな側がヒータと接触している、実施態様10または11に記載のカプノメータ。
[実施態様13]
前記リフレクタが、同心リングに少なくとも1つのカット、好ましくは複数の同心リングに複数のカットを含むフレネルリフレクタである、実施態様1~12のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様14]
前記リフレクタが、フレネルゾーンプレート、反射格子または反射ホログラムの形態の反射型回折光学素子であり、該反射型回折光学素子は、少なくとも1つのステップ、好ましくは複数のステップを含む、実施態様1~12のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様15]
前記リフレクタが複数の位相レベルのフレネルゾーンプレートであり、該プレートは、複数のステップ高さの一連のステップを有し、好ましくは、2πを超える位相変化をもたらすステップ高さなしで、ステップ高さは<π/2の位相変化をもたらす、実施態様14に記載のカプノメータ。
[実施態様16]
ステップ高さが<0.5μmであり、総ステップ高さが<5μmである、実施態様15に記載のカプノメータ。
[実施態様17]
前記リフレクタは、単一の高さの一連のステップを含む単一位相レベルのフレネルゾーンプレート、反射格子または反射ホログラムであり、好ましくは、各ステップの高さが光の波長の約4分の1である、実施態様14に記載のカプノメータ。
[実施態様18]
前記リフレクタが、薄膜単一レベル位相FZP集光素子として提供される、実施態様17に記載のカプノメータ。
[実施態様19]
薄膜上に提供される裏面導電要素をさらに備える、実施態様18に記載のカプノメータ。
[実施態様20]
前記空気流領域は、前記IR光が該空気流領域を通過する場所で低減された断面積を有する、実施態様1~19のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様21]
前記カプノメータは、医療機器と組み合わせられ、カプノメータの周囲の空気が前記医療機器に流入するのを阻止するための遮断手段をさらに備える、実施態様1~20のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様22]
一度にカプノメータの第1および第2の空気流路のうちの一方を遮断するための分流装置をさらに備え、
前記第1の空気流路は、カプノメータのユーザが空気を吸入/吐出するカプノメータの吸入/吐出部分と、空気がカプノメータに入るカプノメータの取り入れ部分とを接続し、
前記第2の空気流路は、吸入/吐出部分と、空気がカプノメータを出るカプノメータの出口部分とを接続する、実施態様1~21のいずれかに記載のカプノメータ。
[実施態様23]
実施態様1~22のいずれかに記載のカプノメータを含む吸入器であって、前記カプノメータは、吸入器を通して吸入または吐出される空気中のCO レベルを監視するように構成される、吸入器。
【符号の説明】
【0083】
1 呼吸チューブ
2 エミッタ
3 検出器
4 リフレクタ
5 光学層
6 プリント回路基板
7 電気コネクタ
8 位置決めピン
9 シール
10a、10b IR透過窓
12 フレネルリフレクタ
12’、12” フレネルゾーンプレート
12s ステップ
14 ヒータ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A-6B】
図7A-7B】
図8
図9