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特許7267341広告評価システム、広告評価方法及び広告評価プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】広告評価システム、広告評価方法及び広告評価プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0242 20230101AFI20230424BHJP
【FI】
G06Q30/0242
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021071917
(22)【出願日】2021-04-21
(65)【公開番号】P2022166598
(43)【公開日】2022-11-02
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】592131906
【氏名又は名称】みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松崎 和敏
(72)【発明者】
【氏名】友澤 弘充
(72)【発明者】
【氏名】土屋 美恵
(72)【発明者】
【氏名】田中 融
(72)【発明者】
【氏名】下元 正義
(72)【発明者】
【氏名】笠間 俊夫
【審査官】西村 直史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0082125(US,A1)
【文献】特開2021-047719(JP,A)
【文献】国際公開第2012/127971(WO,A1)
【文献】特開2020-004204(JP,A)
【文献】特開2006-014200(JP,A)
【文献】特開2021-078571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象情報における広告効果を評価する制御部を備えた広告評価システムであって、
前記制御部が、
評価対象の評価対象情報及びターゲット広告を取得し、
前記ターゲット広告の認識モデルを用いて、前記評価対象情報に含まれる前記ターゲット広告を抽出し、
前記ターゲット広告の周囲環境に対して、前記ターゲット広告の動きを出力状態として特定し、
前記出力状態に基づいて、ターゲット広告の動きに応じてスコアを算出する関数を用いて、スコアを付与して広告効果を算出することを特徴とする広告評価システム。
【請求項2】
前記制御部が、
前記出力状態として、前記認識モデルから出力される確からしさを取得し、
前記確からしさを用いて、前記広告効果を算出することを特徴とする請求項に記載の広告評価システム。
【請求項3】
前記制御部が、
前記評価対象情報が時間的要素を含む場合、前記出力状態として、前記ターゲット広告の出力時間を算出し、
前記出力時間を用いて、前記広告効果を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の広告評価システム。
【請求項4】
前記制御部が、
前記出力状態として、前記評価対象情報における前記ターゲット広告の出力割合を特定し、
前記出力割合を用いて、前記広告効果を算出することを特徴とする請求項1~の何れか一項に記載の広告評価システム。
【請求項5】
前記制御部が、
前記出力状態として、前記評価対象情報としての画像における前記ターゲット広告の表示位置を特定し、
前記表示位置を用いて、前記広告効果を算出することを特徴とする請求項1~の何れか一項に記載の広告評価システム。
【請求項6】
評価対象情報における広告効果を評価する制御部を備えた広告評価システムを用いて、広告を評価する方法であって、
前記制御部が、
評価対象の評価対象情報及びターゲット広告を取得し、
前記ターゲット広告の認識モデルを用いて、前記評価対象情報に含まれる前記ターゲット広告を抽出し、
前記ターゲット広告の周囲環境に対して、前記ターゲット広告の動きを出力状態として特定し、
前記出力状態に基づいて、ターゲット広告の動きに応じてスコアを算出する関数を用いて、スコアを付与して広告効果を算出することを特徴とする広告評価方法。
【請求項7】
評価対象情報における広告効果を評価する制御部を備えた広告評価システムを用いて、広告を評価する広告評価プログラムであって、
前記制御部を、
評価対象の評価対象情報及びターゲット広告を取得し、
前記ターゲット広告の認識モデルを用いて、前記評価対象情報に含まれる前記ターゲット広告を抽出し、
前記ターゲット広告の周囲環境に対して、前記ターゲット広告の動きを出力状態として特定し、
前記出力状態に基づいて、ターゲット広告の動きに応じてスコアを算出する関数を用いて、スコアを付与して広告効果を算出する手段として機能させるための広告評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像等のコンテンツに含まれる広告を評価する広告評価システム、広告評価方法及び広告評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種媒体を介して、多様な広告が提供されている。このような広告の広告効果を評価するための技術が検討されている(例えば、特許文献1)。この特許文献に記載された管理サーバは、ドライブレコーダにより撮像された画像を含む撮像データを、ネットワークを介して取得する。ドライブレコーダは、自動車の車室内から自動車の窓を通して車外の風景を撮像する。管理サーバは、取得された撮像データに含まれる画像の中から、自動車の画像内に写っている部位に掲示されている特定の広告物の設置状況を認識する。そして、管理サーバは、認識された広告物の設置状況に基づいて、広告物による広告効果に関する評価を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-4204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
広告を掲載しても認識されなければ、広告効果を出せない。例えば、広告を掲載したユニフォームを着た選手の試合の動画を配信する場合にも、選手の動きや、動画の撮影位置によって、広告の見え方は異なる。すなわち、コンテンツに含まれる広告の出力状況によって、ユーザに対する広告効果は異なる。このため、広告の認識状況を把握することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する広告評価システムは、評価対象情報における広告効果を評価する制御部を備える。前記制御部が、評価対象の評価対象情報及びターゲット広告を取得し、前記ターゲット広告の認識モデルを用いて、前記評価対象情報に含まれる前記ターゲット広告を抽出し、前記ターゲット広告の出力状態を特定し、前記出力状態を用いて広告効果を算出する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、コンテンツに含まれる広告を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の広告評価システムの説明図。
図2】実施形態のハードウェア構成の説明図。
図3】実施形態の情報記憶部の説明図であって、(a)は認識モデル記憶部、(b)は評価指標記憶部、(c)は評価対象記憶部、(d)は評価結果記憶部の説明図。
図4】実施形態の処理手順の説明図。
図5】実施形態の広告の出力状況の説明図。
図6】実施形態の広告の出力状況の説明図。
図7】実施形態の広告の出力状況の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1図7に従って、広告評価システム、広告評価方法及び広告評価プログラムを具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、コンテンツ(評価対象情報)に含まれるターゲット(広告)を評価する場合を想定する。ここでは、コンテンツとして、動画を用い、視覚により把握できる広告を評価する。
図1に示すように、本実施形態の広告評価システムは、ユーザ端末10、支援サーバ20を用いる。
【0009】
(ハードウェア構成例)
図2は、ユーザ端末10、支援サーバ20等として機能する情報処理装置H10のハードウェア構成例である。
【0010】
情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶装置H14、プロセッサH15を有する。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアを有していてもよい。
【0011】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースや無線インタフェース等である。
【0012】
入力装置H12は、ユーザ等からの入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイやタッチパネル等である。
【0013】
記憶装置H14は、ユーザ端末10、支援サーバ20の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。記憶装置H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0014】
プロセッサH15は、記憶装置H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、ユーザ端末10、支援サーバ20における各処理(例えば、後述する制御部21における処理)を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各種処理に対応する各種プロセスを実行する。例えば、プロセッサH15は、ユーザ端末10、支援サーバ20のアプリケーションプログラムが起動された場合、後述する各処理を実行するプロセスを動作させる。
【0015】
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行なう専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、プロセッサH15は、(1)コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、(2)各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは(3)それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0016】
(各情報処理装置の機能)
図1を用いて、ユーザ端末10、支援サーバ20の機能を説明する。
ユーザ端末10は、本システムを利用するユーザが用いるコンピュータ端末である。
【0017】
支援サーバ20は、コンテンツに含まれる広告を評価するためのコンピュータシステムである。この支援サーバ20は、制御部21、認識モデル記憶部22、評価指標記憶部23、評価対象記憶部24、評価結果記憶部25を備えている。
【0018】
制御部21は、後述する処理(管理段階、抽出段階、評価段階等を含む処理)を行なう。このための広告評価プログラムを実行することにより、制御部21は、管理部211、抽出部212、評価部213等として機能する。
【0019】
管理部211は、評価対象のコンテンツに含まれる広告の評価を管理する処理を実行する。
抽出部212は、評価対象のコンテンツにおいて、広告を抽出する処理を実行する。
評価部213は、評価対象のコンテンツにおいて、広告の出力状態を評価する処理を実行する。
【0020】
図3(a)に示すように、認識モデル記憶部22には、認識モデル管理データ220が記録される。この認識モデル管理データ220は、例えば、深層学習等の機械学習時に記録される。この認識モデル管理データ220には、認識対象ID、認識モデルに関するデータが含まれる。
【0021】
認識対象IDは、各認識モデルを特定するための識別子である。
認識モデルデータは、コンテンツに含まれるオブジェクトを認識するモデルである。このオブジェクトには、ターゲットとなる広告が含まれる。コンテンツとして画像を用いる場合には、コンテンツ画像から広告画像を抽出する認識モデルを用いる。この場合、認識対象のオブジェクトが含まれる多様な教師画像を用いて、深層学習を行なうことにより、認識モデルを生成する。この教師画像には、認識対象のオブジェクトが含まれる領域が指定されている。
【0022】
図3(b)に示すように、評価指標記憶部23には、広告が含まれる状態を評価するための評価指標管理データ230が記録される。この評価指標管理データ230は、広告の出力状態を評価する評価要素を決定した場合に登録される。この評価指標管理データ230には、評価要素IDに対して、スコア算出関数に関するデータが記録される。
【0023】
評価要素IDは、広告の出力状態を評価する評価要素を特定するための識別子である。本実施形態では、評価要素として、広告確率、単独性、顕著性、配置、サイズ、継続性、変化状況、シーン状況等を用いる。
【0024】
広告確率は、認識モデルを用いて、コンテンツ内で認識したターゲット広告の確からしさを用いる。広告確率に対応するスコア算出関数として、広告確率が高い程、高いスコアを算出する関数を用いる。
【0025】
単独性は、コンテンツ内で認識したターゲット広告以外の他の広告の有無を用いる。混在性に対応するスコア算出関数として、他の広告が多い程、低いスコアを算出する関数を用いる。
【0026】
顕著性は、コンテンツにおいて、ターゲット広告と、その周囲環境との違いの大きさ(比較結果)を用いる。違いが大きい場合には、ターゲット広告が目立つこと(顕著)になる。ここでは、ターゲット広告の特徴量と、周囲の特徴量とを比較する。顕著性に対応するスコア算出関数として、両者の特徴量の差が大きい程、高いスコアを算出する関数を用いる。
【0027】
配置は、コンテンツにおいて、ターゲット広告を認識した表示位置を用いる。配置に対応するスコア算出関数として、ターゲット広告が、コンテンツの中央に近い程、高いスコアを算出する関数を用いる。
【0028】
サイズは、コンテンツにおいて、ターゲット広告の占める出力割合(画像の場合には面積比率)を用いる。サイズに対応するスコア算出関数として、コンテンツ画像全体の面積に対するターゲット広告の領域の面積の割合が高い程、高いスコアを算出する関数を用いる。
【0029】
継続性は、コンテンツにおいて、ターゲット広告の出力が継続した出力時間を用いる。継続性に対応するスコア算出関数として、継続時間が長い程、高いスコアを算出する関数を用いる。
【0030】
変化状況は、コンテンツにおいて、ターゲット広告の出力の変化を用いる。ターゲット広告の周囲の変化に対して、人間が認識可能な時間でターゲット広告の変化(動き)を評価する。変化状況に対応するスコア算出関数として、人間の認識可能な範囲内でターゲット広告の変化が大きい程、高いスコアを算出する関数を用いる。
【0031】
シーン状況は、広告が表示されたシーンについて、自動生成された説明文(画像キャプション)を用いる。ここでは、画像の特徴量を用いた、公知の画像キャプションモデルを用いて、説明文を生成する。そして、シーン状況に対応するスコア算出関数として、このシーン状況に対応して、コンテンツを閲覧したユーザの感情が高まる程、高いスコアを算出する関数を用いる。例えば、ターゲット広告側のチームの優勢なシーン状況(例えば、「ゴール」)に対して、高いスコアを算出する。
【0032】
図3(c)に示すように、評価対象記憶部24には、評価対象コンテンツについての評価対象管理データ240が記録される。この評価対象管理データ240は、評価対象のコンテンツが登録されたときに記録される。この評価対象管理データ240には、評価対象ID、コンテンツに関するデータが含まれる。
【0033】
評価対象IDは、各コンテンツを特定するための識別子である。
コンテンツは、評価対象のコンテンツである。本実施形態では、コンテンツとして動画を用いる。
【0034】
図3(d)に示すように、評価結果記憶部25には、評価結果データ250が記録される。この評価結果データ250は、広告効果評価処理時に記録される。この評価結果データ250には、評価対象ID、認識対象ID、広告効果に関するデータが含まれる。
【0035】
評価対象IDは、広告効果を評価したコンテンツを特定する識別子である。
認識対象IDは、コンテンツにおいて認識したターゲット広告を特定するための識別子である。
広告効果は、コンテンツに含まれるターゲット広告の各評価要素のスコアの合計値である。
【0036】
この評価結果データ250には、広告を認識した各シーンについてのシーン評価データ251が関連付けられている。シーン評価データ251には、シーンID、評価要素ID、スコアに関するデータが含まれる。
【0037】
シーンIDは、コンテンツにおいて、ターゲット広告を認識したシーンを特定する識別子である。例えば、動画の開始からの経過時間(タイムインデックス)を用いることができる。
【0038】
評価要素IDは、このシーンにおいて認識した広告の評価要素を特定するための識別子である。
スコアは、このシーンにおける評価要素により算出したスコアである。
【0039】
(広告効果評価処理)
次に、図4を用いて、広告効果評価処理を説明する。本実施形態では、ユーザ端末10に保存されたコンテンツ(動画)を評価する。ここでは、評価対象のコンテンツとして、スポーツの試合の録画を用いる。
【0040】
まず、支援サーバ20の制御部21は、コンテンツの取得処理を実行する(ステップS100)。具体的には、制御部21の管理部211は、ユーザ端末10の表示装置H13に評価対象入力画面を出力する。この評価設定画面には、評価対象のコンテンツ及びターゲット広告の指定欄が含まれる。評価設定画面において、コンテンツ及び広告の認識対象IDが入力された場合、管理部211は、ユーザ端末10からアップロードされた動画を取得する。この場合、制御部21の管理部211は、コンテンツ及び認識対象IDを取得する。そして、管理部211は、コンテンツに対して評価対象IDを付与して、評価対象記憶部24に記録する。
【0041】
次に、支援サーバ20の制御部21は、評価対象の特定処理を実行する(ステップS101)。具体的には、制御部21の管理部211は、評価対象記憶部24に記録されたコンテンツ(動画)から、広告の有無を確認する評価対象(シーン画像)を切り出す。例えば、コンテンツの最初から、所定の時間間隔で、順次、シーン画像を特定する。
【0042】
次に、支援サーバ20の制御部21は、広告の認識処理を実行する(ステップS102)。具体的には、制御部21の抽出部212は、認識モデル記憶部22に記録された認識モデルを用いて、評価対象(シーン画像)に含まれるオブジェクトを認識する。このオブジェクトには、認識対象IDのターゲット広告を含む。
【0043】
次に、支援サーバ20の制御部21は、広告を含むかどうかについての判定処理を実行する(ステップS103)。具体的には、制御部21の抽出部212は、シーン画像において、ターゲット広告の確からしさが基準値以上の場合には、広告を含むと判定する。
【0044】
広告を含むと判定した場合(ステップS103において「YES」の場合)、支援サーバ20の制御部21は、広告の出力状態の特定処理を実行する(ステップS104)。具体的には、制御部21の評価部213は、評価指標記憶部23に記録された評価要素ID毎に、スコア算出関数を用いて、シーン画像に含まれるターゲット広告の出力状態に応じたスコアを算出する。
【0045】
図5図7を用いて、サッカー試合の動画の各シーン(510~530)の出力状態を例示する。
図5に示す第1シーン510では、ターゲット広告511を認識する。このターゲット広告511は、第1シーン510の中央付近に大きく配置される。このため、広告確率、単独性、顕著性、配置、サイズにおいて高いスコアが算出される。
【0046】
図6に示す第2シーン520では、ターゲット広告521,522を認識する。この第2シーン520のように、シーン画像において、複数のターゲット広告を認識した場合には、各ターゲット広告についてスコアを算出して合計する。このターゲット広告521,522は、第1シーン510に比べると、視認しにくくなっており、広告確率、配置、サイズにおいて低いスコアが算出される。この第2シーン520には他の広告523も含まれるため、単独性のスコアも低くなる。
【0047】
図7に示す第3シーン530では、ターゲット広告531を認識する。このターゲット広告531は、第1シーン510に比べると、視認しにくくなっており、広告確率において低いスコアが算出される。一方、第1シーン510、第2シーン520のドリブルシーンと異なり、第3シーン530はゴールシーンであるため、シーン状況は高いスコアが算出される。
【0048】
次に、支援サーバ20の制御部21は、評価結果の記録処理を実行する(ステップS105)。具体的には、制御部21の評価部213は、シーンID、評価要素ID、算出したスコアを記録したシーン評価データ251を生成し、評価結果記憶部25に記録する。
【0049】
一方、広告を抽出できず、広告を含まないと判定した場合(ステップS103において「NO」の場合)、支援サーバ20の制御部21は、広告状態の特定処理(ステップS104)、評価結果の記録処理(ステップS105)をスキップする。
【0050】
次に、支援サーバ20の制御部21は、終了かどうかについての判定処理を実行する(ステップS106)。具体的には、制御部21の管理部211は、コンテンツの最後まで、すべてのシーン画像を評価した場合には終了と判定する。
【0051】
まだ評価していないシーン画像が残っており、終了でないと判定した場合(ステップS106において「NO」の場合)、支援サーバ20の制御部21は、評価対象の取得処理(ステップS101)以降の処理を繰り返す。
【0052】
一方、すべてのシーン画像を評価し、終了と判定した場合(ステップS106において「YES」の場合)、支援サーバ20の制御部21は、広告効果の出力処理を実行する(ステップS107)。具体的には、制御部21の管理部211は、評価結果記憶部25に記録されたシーン評価データ251のスコアの合計値を広告効果として算出し、評価結果データ250に記録する。そして、管理部211は、ユーザ端末10の表示装置H13に、算出した広告効果を出力する。
【0053】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態においては、支援サーバ20の制御部21は、広告の認識処理を実行する(ステップS102)。これにより、動画に含まれるシーン画像において、広告を抽出することができる。
【0054】
(2)本実施形態においては、広告を含むと判定した場合(ステップS103において「YES」の場合)、支援サーバ20の制御部21は、広告の出力状態の特定処理(ステップS104)、評価結果の記録処理(ステップS105)を実行する。これにより、広告の出力状態に応じて、広告を評価することができる。
【0055】
(3)本実施形態においては、終了と判定した場合(ステップS106において「YES」の場合)、支援サーバ20の制御部21は、広告効果の出力処理を実行する(ステップS107)。これにより、時間的要素を含むコンテンツにおいて、広告効果を的確に評価することができる。
【0056】
(4)本実施形態においては、評価指標記憶部23には、広告が含まれる状態を評価するための評価指標管理データ230が記録される。ここでは、評価要素として、広告確率、単独性、顕著性、配置、サイズ、継続性、変化状況、シーン状況等を用いる。これにより、多様な評価要素を用いて、総合的に広告を評価することができる。
また、評価要素として、広告確率を用いる。これにより、予測モデルにより算出される確からしさを用いて、ユーザにおける視認性を予測することができる。そして、広告を読み取りやすいシーン画像において、高いスコアを付与することができる。
【0057】
また、評価要素として、単独性、顕著性を用いる。これにより、広告が出力された周囲の状況を考慮して、広告効果を評価することができる。そして、広告が目立つシーン画像において、高いスコアを付与することができる。
【0058】
また、評価要素として、配置、サイズを用いる。これにより、広告の視認性を考慮して、広告効果を評価することができる。そして、広告を読み取りやすいシーン画像において、高いスコアを付与することができる。
【0059】
また、評価要素として、継続性を用いる。これにより、広告の継続時間を考慮して、広告効果を評価することができる。そして、長い時間、広告が視認される場合には、高いスコアを付与することができる。
【0060】
また、評価要素として、変化状況を用いる。これにより、動きに着目する視認性に応じて、広告効果を評価することができる。そして、変化に注目する視線に応じて、高いスコアを付与することができる。
【0061】
また、評価要素として、シーン状況を用いる。これにより、シーン画像がユーザの感情を考慮して、広告効果を評価することができる。そして、感情が高まるシーンで出力された広告に対して、高いスコアを付与することができる。
【0062】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、コンテンツ(評価対象情報)に含まれるターゲット(広告)を評価する場合を想定する。本発明における「広告」は、商業上の目的で積極的に世間に広く宣伝するものだけではなく、世間一般に広く出力される会社名や商品名等(ターゲット)を含むものとする。例えば、会社や商品のレピュテーションを含めた評価に用いることができる。
・上記実施形態では、深層学習等の機械学習により生成した認識モデルを用いるが、コンテンツ内のオブジェクトを認識できれば、認識手段は限定されるものではない。
【0063】
・上記実施形態では、支援サーバ20の制御部21は、評価対象の特定処理を実行する(ステップS101)。具体的には、制御部21の管理部211は、評価対象記憶部24に記録されたコンテンツ(動画)から、広告の有無を確認する評価対象(シーン画像)を切り出す。これに代えて、リアルタイムで広告を評価するようにしてもよい。例えば、配信されている映像において、広告効果評価処理を実行するようにしてもよい。
【0064】
・上記実施形態では、評価要素として、広告確率、単独性、顕著性、配置、サイズ、継続性、変化状況、シーン状況等を用いる。評価要素は、これらに限定されるものではない。これらの一部やその他の要素を含めてもよい。
・上記実施形態では、評価対象のコンテンツとして、スポーツの試合の録画を用いる。評価対象のコンテンツは、試合の録画に限定されるものではない。テレビ等の放映、ドライブレコーダによる録画を用いることも可能である。
【0065】
また、複数の画像をコンテンツに適用してもよい。この場合、コンテンツは単一のデータファイルである必要はなく、複数のデータファイルをまとめたコンテンツを用いてもよい。例えば、画像を用いたSNS(Social networking service)に適用してもよい。この場合には、SNSに含まれる複数の画像を抽出して、評価要素に基づいて、広告効果のスコアリングを行なう。この場合には、SNSに含まれるメッセージを用いて、シーン状況を特定してもよい。
【0066】
また、検索エンジン内のクローラがウェブサイトを巡回し、ウェブサイトの情報を収集するウェブクロールに適用してもよい。この場合には、各ウェブサイト(コンテンツ)に含まれるターゲット広告を抽出して、評価要素に基づいて、広告効果のスコアリングを行なう。この場合には、ウェブサイトに含まれるメッセージを用いて、シーン状況を特定してもよい。
また、ニュース記事のクリッピングに適用してもよい。
【0067】
・上記実施形態では、評価対象のコンテンツとして、動画(画像)を用いて、広告効果を評価する。評価対象は、視覚に対して提供される広告に限定されるものではない。他の感覚(例えば、聴覚)に対して提供されるコンテンツ(例えば、音)を用いて、広告効果を評価してもよい。この場合には、RNN(Recurrent Neural Network)や、LSTM(Long Short-Term Memory)等の時間的要素を含む認識モデルを用いる。この場合にも、認識モデルから出力される確からしさ(広告確率)、環境音との違い、広告の音量、シーン状況等を評価要素として用いることができる。
【符号の説明】
【0068】
10…ユーザ端末、20…支援サーバ、21…制御部、211…管理部、212…抽出部、213…評価部、22…認識モデル記憶部、23…評価指標記憶部、24…評価対象記憶部、25…評価結果記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7