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特許7267359ひずみゲージおよびひずみ測定アセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】ひずみゲージおよびひずみ測定アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/16 20060101AFI20230424BHJP
   G01L 1/18 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
G01B7/16 R
G01L1/18 A
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021140802
(22)【出願日】2021-08-31
(65)【公開番号】P2022042992
(43)【公開日】2022-03-15
【審査請求日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】17/011352
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510225465
【氏名又は名称】メジャメント スペシャリティーズ, インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】503473149
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス アンプ コリア カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Tyco Electronics AMP Korea Co.,Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】デビット エリック ワグナー
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ドク キム
【審査官】神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-072805(JP,A)
【文献】特開平10-160610(JP,A)
【文献】特開平07-162018(JP,A)
【文献】特開2002-162303(JP,A)
【文献】特開2019-002781(JP,A)
【文献】特開2007-324566(JP,A)
【文献】国際公開第2017/006840(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/056673(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0214202(US,A1)
【文献】特開平05-206482(JP,A)
【文献】特開2015-011013(JP,A)
【文献】米国特許第4658279(US,A)
【文献】俵木 紀明 Noriaki Tawaragi,高温用シリコン圧力センサ High-Temperature Silicon Pressure Sensor,横河技報 Vol.36 No.4 Yokogawa Technical Report,日本,横河電機株式会社 Yokogawa Electric Corporation,1992年10月20日,第36巻,153-156
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00-7/34
G01B 7/16
G01L 1/18
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドープシリコン材料から形成された抵抗器(250)と、
導電性シールド(260)と、
前記抵抗器(250)と前記導電性シールド(260)との間に配置され、前記抵抗器(250)を前記導電性シールド(260)から電気的に絶縁している絶縁要素(270)と
を備え
前記抵抗器(250)および前記絶縁要素(270)は、単一のシリコン基板(240)内に形成されており、
前記抵抗器(250)は、前記シリコン基板(240)のp型ドープ部(242)であり、前記絶縁要素(270)は、前記シリコン基板(240)のn型ドープ部(244)であり、前記p型ドープ部(242)とのp-n接合(246)を形成しているひずみゲージ(200)。
【請求項2】
前記導電性シールド(260)は、前記単一のシリコン基板(240)内に形成され、前記導電性シールド(260)は、前記シリコン基板(240)のn+型高濃度ドープ部(248)である、請求項に記載のひずみゲージ(200)。
【請求項3】
前記導電性シールド(260)は金属層(266)であり、前記導電性シールド(260)上に前記シリコン基板(240)が配置されている、請求項に記載のひずみゲージ(200)。
【請求項4】
前記絶縁要素(270)は、前記抵抗器(250)の下面(256)および複数の側面(258)を取り囲んでいる、請求項に記載のひずみゲージ(200)。
【請求項5】
前記単一のシリコン基板(240)内に形成されたガードリング(280)をさらに備え、前記ガードリング(280)は、前記シリコン基板(240)のn+型高濃度ドープ部(249)であり、高さ方向に沿って前記抵抗器(250)と同じ高さに配置され、前記高さ方向に直交する横方向に前記抵抗器(250)の前記側面(258)から隔置されている、請求項に記載のひずみゲージ(200)。
【請求項6】
ドープシリコン材料から形成された抵抗器(250)と、
導電性シールド(260)と、
前記抵抗器(250)と前記導電性シールド(260)との間に配置され、前記抵抗器(250)を前記導電性シールド(260)から電気的に絶縁している絶縁要素(270)と
を備え、
前記抵抗器(250)は、前記絶縁要素(270)の上面に配置され、
前記導電性シールド(260)は、前記絶縁要素(270)の前記上面とは反対に位置する前記絶縁要素(270)の下面に配置され、
前記抵抗器(250)はp型ドープシリコン層(252)であり、前記絶縁要素(270)は酸化物であり、前記絶縁要素(270)上に前記p型ドープシリコン層(252)が配置されており、
前記導電性シールド(260)はn+型高濃度ドープシリコン基板(264)または金属層(266)であり、前記導電性シールド(260)上に前記酸化物が配置されているひずみゲージ(200)。
【請求項7】
前記絶縁要素(270)は、前記抵抗器(250)の下面(256)に配置された第1の絶縁要素(272)と、前記下面(256)とは反対に位置する前記抵抗器(250)の上面(254)に配置された第2の絶縁要素(276)とを含む、請求項1に記載のひずみゲージ(200)。
【請求項8】
前記導電性シールド(260)は、前記第1の絶縁要素(272)のうち前記抵抗器(250)とは反対の側に配置された第1の導電性シールド(262)と、前記第2の絶縁要素(276)のうち前記抵抗器(250)とは反対の側に配置された第2の導電性シールド(268)とを含む、請求項に記載のひずみゲージ(200)。
【請求項9】
前記抵抗器(250)に電気的に接続され、前記第2の絶縁要素(276)を通って延びているコンタクトパッド(220)をさらに備える、請求項に記載のひずみゲージ(200)。
【請求項10】
前記第2の導電性シールド(268)を覆うように位置決めされたパシベーション層(290)をさらに備える、請求項に記載のひずみゲージ(200)。
【請求項11】
力応答部材(100)と
請求項1~10のいずれか一項に記載のひずみゲージ(200)と、
前記ひずみゲージ(200)を前記力応答部材(100)に取り付けている取付け材(300)と
を備えるひずみ測定アセンブリ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ひずみゲージに関し、より詳細には、ピエゾ抵抗器を含むひずみゲージに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体シリコンのひずみゲージは、ピエゾ抵抗効果で動作し、機械的ひずみが印加されると抵抗率を変化させる。ひずみゲージをまたぐ電圧を測定して、半導体シリコンのひずみゲージが取り付けられた物体のひずみを判定する。
【0003】
しかし、半導体シリコンのひずみゲージは、外部場および可動イオンによる影響を受ける。可動イオンは、ひずみゲージが作製されるとき、またはゲージが設置されるときに生成され、ひずみゲージの使用前には、概して無秩序に分布している。ひずみゲージが使用されると、可動イオンは電圧電位の逆の方向に集まり、そのイオン移動は、バイアス電圧および高温または高湿を伴う応用例によって加速される。可動イオンの集中した集まりは、漏れ電流路を形成し、特に高電位の領域でひずみゲージの抵抗を変化させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外部場の電荷が変動すると、ひずみゲージの抵抗も変動する可能性がある。外部場または可動イオンによって引き起こされるひずみゲージの抵抗の変化は、ドリフト、不安定性、および他の形態の誤ったひずみ測定を招く可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ひずみゲージは、ドープシリコン材料から形成された抵抗器と、導電性シールドと、抵抗器と導電性シールドとの間に配置された絶縁要素とを含む。絶縁要素は、抵抗器を導電性シールドから電気的に絶縁している。
【0006】
本発明について、添付の図を参照して例として次に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態によるひずみ測定アセンブリの概略側面図である。
図2】ハーフブリッジとして形成された一実施形態によるひずみゲージの上面図である。
図3図2のひずみゲージの概略断面図である。
図4図3に直交する方向に沿って切り取った図2のひずみゲージの概略断面図である。
図5】別の実施形態によるひずみゲージの概略断面図である。
図6】フルブリッジとして形成された一実施形態によるひずみゲージの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の例示的な実施形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。添付の図面では、同様の参照番号が同様の要素を指す。しかし、本開示は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、これらの実施形態は、本開示が本開示の概念を当業者に伝えるために提供される。加えて、以下の詳細な説明では、説明の目的で、開示する実施形態の徹底的な理解を提供するために、多数の特有の詳細について記載する。しかし、これらの特有の詳細がなくても、1つまたは複数の実施形態を実施することができることが明らかである。
【0009】
図1に示すように、一実施形態によるひずみ測定アセンブリ10は、力応答部材100と、ひずみゲージ200と、ひずみゲージ200を力応答部材100に取り付ける取付け材300とを備える。力応答部材100のひずみが、印加された力の結果として、ひずみゲージ200によって測定および出力される。
【0010】
図1に示すように、力応答部材100は、長手方向Lに沿って延びる。以下でより詳細に説明するように、力応答部材100はたわみ材料から作製されており、たわみ材料のたわみが、ひずみゲージ200によって測定される。一実施形態では、力応答部材100のたわみ材料は、ステンレス鋼などの金属とすることができる。他の実施形態では、たわみ材料は、力が印加されると曲がる、本明細書に記載するひずみゲージ200に取り付けることが可能な任意の材料とすることができる。
【0011】
図1に示すように、取付け材300は、長手方向Lに直交する高さ方向Hにおいて、力応答部材100とひずみゲージ200との間に位置決めされる。取付け材300は、力応答部材100とひずみゲージ200との間に加えられる液体状態と、ひずみゲージ200を力応答部材100に固定するために取付け材300が硬化させられた硬化状態とを有する。様々な実施形態では、取付け材300は、ガラス、エポキシ、またはポリマー材料とすることができる。他の実施形態では、取付け材300は、ひずみゲージ200を力応答部材100に取り付け、力応答部材100のひずみをひずみゲージ200へ伝達することが可能な任意の材料とすることができる。
【0012】
図1および図2に示す実施形態では、ひずみゲージ200は、ハーフホイートストンブリッジ210(本明細書では「ハーフブリッジ」とも呼ぶ)として形成される。ハーフブリッジ210は、1対の抵抗部212と、複数のコンタクトパッド220とを有する。抵抗部212のうちの一方が、コンタクトパッド220のうちの第1のコンタクトパッド222と、コンタクトパッド220のうちの第2のコンタクトパッド224との間に延びる。抵抗部212のうちの他方が、第2のコンタクトパッド224と第3のコンタクトパッド226との間に延びる。複数の中間コンタクトパッド228が、抵抗部212の各々に位置決めされる。
【0013】
コンタクトパッド220の各々は、導電性材料から形成される。一実施形態では、コンタクトパッド220の各々は、アルミニウムまたは金合金などの金属材料から形成される。他の実施形態では、コンタクトパッド220は、任意の他のワイヤボンディング可能な導電性材料から形成することができる。
【0014】
一実施形態によるひずみゲージ200の接合絶縁された(ジャンクション絶縁された、junction isolated)積層構造が、図3および図4に示されている。図3に示すこの実施形態の積層構造は、図2の線3-3に沿った断面から例示的に得たものであるが、長手方向Lに沿って2つのコンタクトパッド220間に延びるひずみゲージ200のすべての部分に等しく当てはまる。図4に示すこの実施形態の積層構造は、図2の線4-4に沿った断面から例示的に得たものであるが、ひずみゲージ200のすべての類似の部分に等しく当てはまる。
【0015】
図3および図4に示す実施形態では、ひずみゲージ200は、シリコン基板240と、シリコン基板240内に配置された抵抗器250と、導電性シールド260と、抵抗器250と導電性シールド260との間に配置され、抵抗器250を導電性シールド260から電気的に絶縁する絶縁要素270と、シリコン基板240内に配置されたガードリング280と、パシベーション層290とを含む。
【0016】
一実施形態では、シリコン基板240は、n型ドープシリコン材料を形成するようにドープされた単結晶シリコンから形成される。n型ドープは、シリコン基板240の単結晶シリコンをリンでドープすることによって形成される。他の実施形態では、n型ドープは、ヒ素、アンチモン、ビスマス、リチウム、またはシリコン構造のn型ドープに使用される任意の他の元素でドープすることによって形成することができる。n型ドープは、イオン注入、エピタキシャル成長、またはこれらの任意の組合せによって実行することができる。
【0017】
図3に示す実施形態では、抵抗器250は、シリコン基板240のシリコン材料の一部分をドープすることによって形成される。図3に示す実施形態では、抵抗器250は、シリコン基板240のp型ドープ部242によって形成される。p型ドープ部242は、シリコン基板240をホウ素でドープすることによって形成される。他の実施形態では、p型ドープは、ガリウム、インジウム、アルミニウム、またはシリコン構造のp型ドープに使用される任意の他の元素でドープすることによって形成することができる。p型ドープは、イオン注入および/または拡散によって実行することができる。
【0018】
図3に示すように、抵抗器250は、上面254と、高さ方向Hに上面254とは反対に位置する下面256とを有する。抵抗器250は、長手方向Lに互いに反対に位置しかつ横方向Tに互いに反対に位置する複数の側面258を有し、複数の側面258は、高さ方向Hに延び、下面256および上面254を接続する。図4に示す横方向Tは、長手方向Lおよび高さ方向Hの両方に直交している。
【0019】
図3に示すように、導電性シールド260は、第1の導電性シールド262および第2の導電性シールド268を含む。一実施形態では、第1の導電性シールド262は、シリコン基板240をさらにn型ドープして第1のn+型高濃度ドープ部248を形成することによって形成される。別の実施形態では、第1の導電性シールド262は、シリコン基板240とは別個の金属層266から形成される。金属層266は、アルミニウム、チタン、タングステン、クロム、ポリシリコン、または高導電性の任意の他の金属性材料から形成することができる。第2の導電性シールド268は、シリコン基板240とは別個の要素であり、別個のn+型高濃度ドープシリコン基板、金属層266に類似の金属層、または任意の他の導電性材料として形成することができる。
【0020】
図3に示すように、絶縁要素270は、第1の絶縁要素272および第2の絶縁要素276を含む。図3に示す実施形態では、第1の絶縁要素272は、p型ドープ部242を形成した後に残り、一実施形態では第1のn+型高濃度ドープ部248を形成した後に残る、シリコン基板240のn型ドープ部244によって形成される。シリコン基板240のn型およびp型ドープは、抵抗器250のp型ドープ部242と、第1の絶縁要素272を形成するn型ドープ部244との間の境界に、p-n接合246を形成する。n型ドープ部244は、印加されたバイアス電圧を受けて第1の絶縁要素272として作用する。
【0021】
図3に示すように、少なくとも抵抗器250および第1の絶縁要素272、ならびに一実施形態では第1の導電性シールド262も、単一のシリコン基板240内に形成される。第1の絶縁要素272は、抵抗器250の下面256および複数の側面258を取り囲む。第1の絶縁要素272は、高さ方向Hに抵抗器250と第1の導電性シールド262との間に位置決めされ、第1の導電性シールド262が第1のn+型高濃度ドープ部248から形成されるか、それとも金属層266から形成されるかにかかわらず、第1の絶縁要素272は、抵抗器250を第1の導電性シールド262から電気的に絶縁する。各実施形態において、第1の導電性シールド262は、第1の絶縁要素272のうち抵抗器250とは反対の側に配置される。第1の導電性シールド262が金属層266から形成される実施形態では、シリコン基板240は、金属層266上に位置決めされる。
【0022】
図3に示すように、第2の絶縁要素276は、シリコン基板240とは別個の要素であり、誘電体材料から形成される。一実施形態では、第2の絶縁要素276は、二酸化ケイ素などの酸化物または窒化ケイ素から形成される。他の実施形態では、第2の絶縁要素276は、本明細書に記載する隣接材料に適合している任意の誘電体材料から形成することができる。
【0023】
図3に示すように、第2の絶縁要素276は、抵抗器250の上面254に位置決めされる。図3の実施形態では、第2の絶縁要素276は、シリコン基板240の上面全体に位置決めされ、シリコン基板240の上面全体にわたって延びる。第2の導電性シールド268は、第2の絶縁要素276のうちシリコン基板240および抵抗器250とは反対の側で、第2の絶縁要素276に位置決めされる。第2の絶縁要素276は、高さ方向Hに抵抗器250と第2の導電性シールド268との間に位置決めされ、抵抗器250を第2の導電性シールド268から電気的に絶縁する。
【0024】
図3に示すように、コンタクトパッド220は、第2の絶縁要素276のうちシリコン基板240および抵抗器250とは反対の側で、第2の絶縁要素276に位置決めされる。コンタクトパッド220は、第2の絶縁要素276を通って延び、抵抗器250に接触し、抵抗器250との電気的接続を形成する。コンタクトパッド220は、第2の導電性シールド268から電気的に絶縁される。
【0025】
図3に示すように、パシベーション層290は、第2の導電性シールド268および第2の絶縁要素276の一部分を覆うように位置決めされる。パシベーション層290は、コンタクトパッド220の各々に窓292を有し、パシベーション層290は、窓292を介してコンタクトパッド220に開いている。一実施形態では、窓292を介して、コンタクトパッド220へのワイヤボンディングが実行される。パシベーション層290は、第2の導電性シールド268の損傷および/または腐食を防止する非導電性材料から形成される。一実施形態では、パシベーション層290は窒化ケイ素である。他の実施形態では、パシベーション層290は、ポリアミドなどのポリマー、PECVD窒化物、または任意の他のタイプの酸化物とすることができる。
【0026】
ひずみゲージ200の接合絶縁された積層構造が、図4に高さ方向Hおよび横方向Tに沿った断面で示されている。したがって、図4に示す断面は、図3に示す同じ実施形態の断面に直交して切り取ったものである。
【0027】
図4に示すように、ガードリング280は、シリコン基板240をさらにn型ドープして複数の第2のn+型高濃度ドープ部249を形成することによって形成される。第2のn+型高濃度ドープ部249は、シリコン基板240の上面において第2の絶縁要素276から、高さ方向Hに沿って第1の導電性シールド262へ延び、第2のn+型高濃度ドープ部249の各々の一部分が、高さ方向Hに沿って抵抗器250と同じ高さに配置される。ガードリング280の第2のn+型高濃度ドープ部249は、横方向Tに抵抗器250の側面258から隔置される。n型ドープ部244として形成される第1の絶縁要素272は、横方向Tに第2のn+型高濃度ドープ部249と抵抗器250との間に位置決めされる。第1の導電性シールド262が第1のn+型高濃度ドープ部248である実施形態では、第2のn+型高濃度ドープ部249は、同様に形成された第1のn+型高濃度ドープ部248に接続することができる。
【0028】
別の実施形態によるひずみゲージ200’のシリコンオンインシュレータ積層構造が、図5に示されている。この実施形態の積層構造は、図3に示す実施形態と同様に、図2の線5-5に沿った断面から例示的に得たものであるが、2つのコンタクトパッド220間に延びるひずみゲージ200’のすべての部分に等しく当てはまる。同様の参照番号が同様の要素を参照しており、本明細書では、主に図3および図4に示す実施形態に関する違いについて詳細に説明する。
【0029】
図5に示す実施形態では、ひずみゲージ200’は、複数のドープ部を有するひずみゲージ200のシリコン基板240を含まない。代わりに抵抗器250は、個々のシリコン層をp型ドープすることによって形成される。乾式エッチングまたは湿式エッチングを使用して個々のシリコン層をエッチングし、ドープ領域の周りからシリコンを除去して、p型ドープシリコン層252を形成する。p型ドープシリコン層252として形成された抵抗器250は、上面254と、高さ方向Hに上面254とは反対に位置する下面256とを有する。
【0030】
図5に示すひずみゲージ200’において、第1の導電性シールド262は、抵抗器250の層とは別個の個々のシリコン基板を高度にnドープすることによって形成される。乾式エッチングまたは湿式エッチングを使用して個々のシリコン層をエッチングし、ドープ領域の周りからシリコンを除去して、n+型高濃度ドープシリコン基板264を形成する。別の実施形態では、第1の導電性シールド262は、図3および図4に示す実施形態と同様に、金属層266から形成することができる。第2の導電性シールド268は、別個の要素であり、別個のn+型高濃度ドープシリコン基板、金属層266に類似の金属層、または任意の他の導電性材料として形成することができる。
【0031】
図5に示すひずみゲージ200’において、第1の絶縁要素272および第2の絶縁要素276は各々、誘電体材料からの個々の別個の要素として形成される。一実施形態では、第1の絶縁要素272および第2の絶縁要素276は各々、二酸化ケイ素などの酸化物または窒化ケイ素から形成される。他の実施形態では、第1の絶縁要素272および第2の絶縁要素276は各々、本明細書に記載する隣接材料に適合している任意の誘電体材料から形成することができる。
【0032】
図5に示すように、ひずみゲージ200’において、シリコンオンインシュレータ積層構造の層の各々は、別個の層として形成される。抵抗器250の下面256は、第1の絶縁要素272上に位置決めされ、第1の絶縁要素272は、第1の導電性シールド262上に第1の導電性シールド262を覆うように位置決めされる。第1の絶縁要素272は、高さ方向Hに抵抗器250と第1の導電性シールド262との間に位置決めされ、第1の導電性シールド262がn+型高濃度ドープシリコン基板264として形成されるか、それとも金属層266として形成されるかにかかわらず、第1の絶縁要素272は、抵抗器250を第1の導電性シールド262から電気的に絶縁する。
【0033】
図5に示すように、第2の絶縁要素276は、抵抗器250の上面254上に位置決めされ、第2の導電性シールド268は、第2の絶縁要素276のうち抵抗器250とは反対の側で、第2の絶縁要素276上に位置決めされる。第2の絶縁要素276は、高さ方向Hに抵抗器250と第2の導電性シールド268との間に位置決めされ、抵抗器250を第2の導電性シールド268から電気的に絶縁する。
【0034】
図5に示すように、コンタクトパッド220は、第2の絶縁要素276のうち抵抗器250とは反対の側で、第2の絶縁要素276に位置決めされる。コンタクトパッド220は、第2の絶縁要素276を通って延び、抵抗器250に接触し、抵抗器250との電気的接続を形成する。コンタクトパッド220は、第2の導電性シールド268から電気的に絶縁される。
【0035】
図5に示すように、パシベーション層290は、第2の導電性シールド268、第2の絶縁要素276の一部分、p型ドープシリコン層252の一部分、および第1の絶縁要素272の一部分を覆うように位置決めされる。パシベーション層290は、コンタクトパッド220の各々に窓292を有し、パシベーション層290は、窓292を介してコンタクトパッド220に開いている。
【0036】
図6に示す別の実施形態では、図3および図4に示すひずみゲージ200または図5に示すひずみゲージ200’を同様に使用して、フルホイートストンブリッジ230(本明細書では「フルブリッジ」とも呼ぶ)を形成することができる。フルブリッジ230は、4つの抵抗部232と、複数のコンタクトパッド220とを有する。抵抗部232のうちの1つが、第1のコンタクトパッド222、第2のコンタクトパッド224、第3のコンタクトパッド226、および第4のコンタクトパッド228の各対の間に延びる。図3図5に示す実施形態の部分は、図6にも示されており、抵抗部232の各々に当てはまる。
【0037】
図1に示すように、ひずみ測定アセンブリ10で使用されるひずみゲージ200をハーフブリッジ210として実施することもできる。別の実施形態では、ハーフブリッジ210を上述したひずみゲージ200’として形成することもできる。別の実施形態では、ひずみ測定アセンブリ10は、ハーフブリッジ210の代わりに、ひずみゲージ200またはひずみゲージ200’の積層構造を有するフルブリッジ230を使用することもできる。
【0038】
図1および図2に示すハーフブリッジ210としてひずみ測定アセンブリ10を使用するとき、第1のコンタクトパッド222が電圧源の第1の端子に接続され、第3のコンタクトパッド226が電圧源の第2の端子に接続される。たとえば5Vの電圧が、第1のコンタクトパッド222および第3のコンタクトパッド226をまたいで印加される。図6に示すフルブリッジ230の場合、第1のコンタクトパッド222が第1の端子に接続され、第3のコンタクトパッド226も同様に第2の端子に接続される。
【0039】
力が印加されると、力応答部材100が曲がり、力応答部材100に機械的ひずみを引き起こす。機械的ひずみは、取付け材300を介してひずみゲージ200へ伝達される。p型ドープ部242またはp型ドープシリコン層252によって形成されるひずみゲージ200、200’の抵抗器250はピエゾ抵抗器であり、機械的ひずみが印加されると電気抵抗が変化する。ハーフブリッジ210内の力応答部材100のひずみを判定するには、第3のコンタクトパッド226にかかる電圧が感知される。ハーフブリッジ210内の中間コンタクトパッド228は、ひずみゲージ220のうち横方向Tに延びる部分を短絡させ、その結果、ひずみゲージ220のうち長手方向軸Lに沿って延びる部分によって、ひずみが測定される。フルブリッジ230内の力応答部材100のひずみを判定するには、第3のコンタクトパッド226および第4のコンタクトパッド229にかかる電圧が感知される。
【0040】
導電性シールド260は、ひずみゲージ200、200’を外部場の作用から保護し、可動イオンをひずみゲージ200、200’から離しておく。第1の導電性シールド262は、高さ方向Hにひずみゲージ200、200’の頂面を外部場の作用および可動イオンから保護し、第2の導電性シールド268は、高さ方向Hにひずみゲージ200、200’の底面を外部場の作用および可動イオンから保護する。可動イオンは、抵抗器250にわたって等しく引き付けられ、外部場は、導電性シールド260によって抵抗器250に到達しない。一実施形態では、ガードリング280が、さらなる保護を提供し、抵抗器250を実質上封入する。導電性シールド260、および任意選択のガードリング280は、ひずみゲージ200、200’によって測定されるひずみの安定性および信頼性を増大させる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6