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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】患者インタフェース
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/06 20060101AFI20230424BHJP
【FI】
A61M16/06 C
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021161283
(22)【出願日】2021-09-30
(62)【分割の表示】P 2019193541の分割
【原出願日】2015-04-28
(65)【公開番号】P2022008682
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】2014901585
(32)【優先日】2014-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アッヒム・ビーナー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・バイアー
(72)【発明者】
【氏名】フレット・コモロウスキー
(72)【発明者】
【氏名】ベルント・クリストフ・ラング
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/042004(WO,A1)
【文献】特表2006-518231(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0067704(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0173349(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0245369(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の1つまたはそれ以上の鼻孔に空気の流れを送達する患者インタフェースであって、該患者インタフェースは、
前記空気の流れを受け入れるように構成されたプレナムチャンバーと、
前記空気の流れを前記プレナムチャンバーから前記患者の鼻孔に送達する突起と、
前記プレナムチャンバーに連結されたフレームと、
を含み、
前記フレームは前記患者の鼻孔に関して前記プレナムチャンバーを配置するために使用時に前記患者の頭部と係合するように適合され、
前記プレナムチャンバーと前記フレームの中央部分とは、第1距離だけ凹部にわたって離隔されており、
前記プレナムチャンバーは、使用時に前記中央部分及び前記プレナムチャンバーが前記第1距離よりも短い第2距離だけ離隔されるように、前記中央部分に向けて前記凹部内へ変形するように構成されることを特徴とする患者インタフェース。
【請求項2】
前記プレナムチャンバーは、柔軟な材料を備え、
前記フレームは、前記プレナムチャンバーが前記凹部内へ移動する場合に、前記プレナムチャンバーのための停止部として作用するように構成された剛体材料を備える、請求項1に記載の患者インタフェース。
【請求項3】
前記フレームの後方表面と前記プレナムチャンバーの外側表面との間で測定された前記第1距離は、約1mmから約4mmの間である、請求項1又は2に記載の患者インタフェース。
【請求項4】
前記フレームは、側部部分を含み、
前記フレームの前記側部部分は、前記プレナムチャンバーの端部に近接して前記プレナムチャンバーに接続されており、且つ前方方向において前記プレナムチャンバーの前記端部の移動を制限しており、
前記フレームの中央部分は、前記凹部にわたって前記プレナムチャンバーの中央部分から離脱するように前記フレームの前記側部部分から分岐されており、
前記プレナムチャンバーの前記中央部分は、前記プレナムチャンバーの前記中央部分と前記フレームの前記中央部分とが前記第2距離だけ離隔されるように、前記前方方向において前記フレームの前記中央部分に向けて移動するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
【請求項5】
前記プレナムチャンバーに連結されたバレルをさらに備え、
前記バレルは、使用時に、前記フレームと回転可能に係合されており、
前記プレナムチャンバーは、使用時に前記フレームに関して回転可能である、請求項1~4のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
【請求項6】
前記バレルは、ノッチ及び突起のうちの一方を含み、
前記フレームは、前記ノッチ及び前記突起のうちの他方を含み、
前記ノッチは、前記フレームと前記プレナムチャンバーとの間の相対的な回転が離散的に可変となるように前記突起と係合するように構成される、請求項5に記載の患者インタフェース。
【請求項7】
患者の気道の入口に空気の流れを送達する患者インタフェースであって、該患者インタフェースは、
前記空気の流れを受け入れるように構成されたプレナムチャンバーと、
前記空気の流れを前記プレナムチャンバーから前記患者の気道の入口に送達する1つ又は複数の突起と、
2つの側部部分の間に位置した中央部分を備える剛体のフレームであって、前記剛体のフレームの前記2つの側部分のそれぞれが使用時に前記患者のそれぞれの頬を係合するように構成される、剛体のフレームと、
前記剛体のフレームに連結されたヘッドギアであって、使用時に前記1つ又は複数の突起を配置するために前記患者の頭部と係合するように構成されたヘッドギアと、
を含み、
前記剛体のフレームの前記中央部分は、前記プレナムチャンバーを超えて前方方向及び後方方向に重なって延びており、
使用時に、前記剛体のフレームの前記中央部分は、前記前方方向において前記プレナムチャンバーから分離されることを特徴とする患者インタフェース。
【請求項8】
前記中央部分は、三角構造を形成する複数の筋かい部材を備えている、請求項7に記載の患者インタフェース。
【請求項9】
前記フレームの前記中央部分は、前記前方方向における力によって生じた曲げモーメントより上方における力によって生じた曲げモーメントに対する固い反応を有するように構成される、請求項に記載の患者インタフェース。
【請求項10】
前記剛体のフレームの前記中央部分と重なった前記プレナムチャンバーの前記中央部分は、前記プレナムチャンバーの隣接する部分と比較して低減した剛体部分を含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
【請求項11】
前記低減した剛体部分は、少なくとも1つの刻み目として形成される、請求項10に記載の患者インタフェース。
【請求項12】
前記少なくとも1つの刻み目における断面の幅は、前記プレナムチャンバーの前記隣接する部分における断面の幅の40%~60%の間である、請求項11に記載の患者インタフェース。
【請求項13】
患者に空気の流れを送達する患者インタフェースであって、該患者インタフェースは、
前記空気の流れを受け入れるように構成されたプレナムチャンバーと、
前記空気の流れを前記プレナムチャンバーから前記患者の鼻孔に送達する突起と、
前記プレナムチャンバーに連結されたフレームであって、前記患者の鼻孔に関して前記プレナムチャンバーを配置するために、使用時に前記患者の頭部と係合するように構成されたフレームと、
を含み、
前記患者インタフェースは、前記フレームと前記プレナムチャンバーとの間に凹部を含み、
前記患者インタフェースは、前記プレナムチャンバーの中央部分が前記凹部内へ移動するように構築され、且つ配置されており、
前記患者インタフェースは、使用時に前記プレナムチャンバーの端部を前記凹部に対して並進的に固定することができるように構築され、且つ配置されることを特徴とする患者インタフェース。
【請求項14】
前記プレナムチャンバーの前記端部は、第1端部であり、
前記プレナムチャンバーは、前記第1端部の反対側にある第2端部をさらに含み、
前記第1端部と前記第2端部とは、使用時に前記凹部に対して並進的に固定されるように構築され、且つ配置される、請求項13に記載の患者インタフェース。
【請求項15】
前記フレームは、前記プレナムチャンバーの前記第1端部及び前記第2端部と係合する、請求項14に記載の患者インタフェース。
【請求項16】
前記プレナムチャンバーの前記中央部分は、使用時に前記患者の上唇と係合するように構成される、請求項13~15のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
【請求項17】
前記プレナムチャンバーは、弾力性のある柔軟な材料を備える、請求項13~16のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
【請求項18】
前記プレナムチャンバーに連結されたバレルをさらに備え、
前記バレルは、使用時に前記フレームと取り外し可能に係合されており、
前記バレルは、前記プレナムチャンバーが前記フレームに対して回転可能であることができるように、使用時に前記フレームと回転可能に係合される、請求項13~17のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
【請求項19】
前記プレナムチャンバーは、全体として回転するように構成される、請求項18に記載の患者インタフェース。
【請求項20】
第1位置において、前記フレームの後方表面と前記プレナムチャンバーの外側表面との間で測定された前記凹部の第1幅は、約1mmから約4mmの間であり、
前記第1位置において、前記フレームの後方表面と前記プレナムチャンバーの前記端部との間で測定された前記凹部の第2幅は、約1mmから約4mmの間であり、
第2位置において、前記フレームの前記後方表面と前記プレナムチャンバーの前記中央部分との間で測定された前記凹部の第3幅は、前記第1幅よりも小さく、
前記第2位置において、前記フレームの前記後方表面と前記プレナムチャンバーの前記端部との間で測定された前記凹部の第4幅は、前記第2幅と略等しい、請求項13~19のいずれか一項に記載の患者インタフェース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2014年5月1日に出願されたオーストラリア国仮出願番号AU2014901585の利益をクレームするもので、その全開示を参照により本明細書に包含する。
【背景技術】
【0002】
技術分野
本技術は、呼吸器関連疾患の検出、診断、治療、予防および改善の1つまたはそれ以上に関する。中でも本技術は、医療装置または器具、そしてそれらの使用の関する。
【0003】
関連技術の説明
2.2.1 ヒト呼吸器系とその疾患
身体の呼吸器系はガス交換を促進する。鼻と口が患者の気道の入口を形成する。
【0004】
気道は一連の枝管を含み、それらは肺に深く入るにつれて狭く、短くそしておびただしくなる。肺の主要機能はガス交換であり、酸素は空気から静脈血に入り、二酸化炭素が運び出される。気管は左右の主気管支に分かれ、さらに分岐して最後に終末細気管支となる。気管支は誘導気道を構成し、ガス交換には関与しない。気道をさらに分割すると呼吸細気管支となり、最終的に肺胞となる。ガス交換が行われる肺の胞状の領域は、呼吸領域と呼ばれる。非特許文献1を参照。
【0005】
一連の呼吸器疾患が存在する。このような疾患は、例えば無呼吸、呼吸低下および過呼吸などの特定のイベントで特徴付けることができる。
【0006】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は睡眠呼吸障害(SDB)の1つで、睡眠時の上部気道の閉鎖または閉塞を含むイベントで特徴付けられる。これは異常に小さい上気道と、睡眠時の舌の領域、軟口蓋および後口咽頭壁の筋緊張の通常の喪失の組み合わせの結果である。この条件で罹患患者は典型的には30から120秒の間呼吸が停止し、場合によっては一晩で200から300回呼吸停止が起こる。昼間に過剰な眠気を生じることがたびたびあり、これは心臓血管疾患と脳損傷を起こすことがある。この症候群は特に太りすぎの中年男性に共通する障害であるが、罹患者はこの問題に気付いていないことがある。特許文献1(Sullivan)を参照。
【0007】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は睡眠呼吸障害のもう1つの形態である。CSRは患者の呼吸調整器の障害で、この場合CSRサイクルとして知られる呼吸の漸増と漸減が交互に律動的に生じる。CSRの特徴は、動脈血の脱酸素化と再酸素化が繰り返し生じる。反復低酸素症のため、CSRは有害であり得る。患者によってはCSRは睡眠中の反復覚醒に関連しており、これは重篤な睡眠障害、交感神経系活動の増悪および後負荷の増加を生じる。特許文献2(Berthon-Jones)を参照。
【0008】
肥満過呼吸症候群(OHS)は、低呼吸の既知の原因がない場合、重症の肥満と覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせと定義される。症状には呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0009】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、共通してある特徴を有する下気道疾患の任意のグループを含む。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例は肺気腫と慢性気管支炎である。COPDは常時喫煙(第一危険因子)、職業的暴露、大気汚染および遺伝因子で発症する。症状には、労作時呼吸困難、慢性咳および痰が出ることが含まれる。
【0010】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋肉病変を経て直接的に、または神経病変を経て間接的に筋肉の機能を損なう多くの疾病と病気を包含する広義語である。NMD患者の一部は、歩行の喪失にいたる進行性筋障害が特徴で、車椅子に束縛され、嚥下障害があり、呼吸筋力低下を生じ最後には呼吸不全により死に至る。神経筋疾患は急速進行性と緩徐進行性に分けられる:(i)急速進行性疾患は数か月にわたる筋肉の機能障害があり、数年以内に死に至るのが特徴である(例:筋萎縮性側索硬化症(ALS)と10代のデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD));(ii)可変または緩徐進行性疾患:数年にわたって増悪し、平均寿命を少し短縮するのが特徴である(例:肢帯、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーおよび筋強直性ジストロフィー)。NMDにおける呼吸不全の症候には、全身衰弱の進行、嚥下障害、労作時および安静時呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、集中することの困難および気分転換の困難が含まれる。
【0011】
胸壁疾患は、呼吸筋と胸郭間の不十分な結合にいたる胸郭変形のグループである。これらの疾患は、通常拘束性障害によって特徴づけられ、長期高炭酸ガス性呼吸不全の可能性がある。脊柱側弯症および/または後側弯症は、重篤な呼吸不全を発症することがある。呼吸不全の症候には、労作時呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復肺感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質不良および食欲不振が含まれる。
【0012】
さらに別の面では、健常な個人はシステムと装置の利点を生かして、呼吸疾患の発症を防止することができる。
【0013】
2.2.2 治療
鼻持続的気道陽圧(CPAP)療法は、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療に用いられてきた。この仮説は、持続的気道陽圧が空気的副子として作用し、軟口蓋と舌を前方に押して、後口咽頭壁から離せば、上気道の閉塞を防止できると言うものである。
【0014】
非侵襲的換気(NIV)は、患者が十分に呼吸しおよび/または適切な酸素レベルを体内に維持するのを支援するために、呼吸作業の一部またはすべてを行って、上気道を通して患者に換気補助を提供する。換気補助は患者のインタフェースを経由して提供される。NIVはCSR,OHS,COPD,MDおよび胸壁疾患の治療に使用されてきた。
【0015】
侵襲的換気(IV)は、もはや自分で効果的に呼吸できない患者に換気補助を提供し、気管切開チューブを使用して提供される。
【0016】
高流量治療は、例えば60L/minまでの‘高’流量で呼吸できるガス(例えば、空気、酸素または酸素富化空気)の流れを提供する。要求される高流量で呼吸できるガスを吐出するには、鼻カニューレを通してHFTが典型的に実施される。HFTは呼吸仕事量を下げ、ガス交換を促進するために使用されてきた。
【0017】
人工呼吸器は、患者に供給される呼吸のタイミングと圧力を制御でき、患者が行う呼吸をモニターできる。患者を制御しモニターする方法は、典型的には従量式と圧力サイクル式方法を含む。従量方法はとりわけ、圧力調整容量制御(PRVC)、容量換気(VV)と容量制御連続強制換気(VC-CMV)技術を含む。圧力サイクル式はとりわけ支援制御(AC)、同期間欠強制換気(SIMV)、調節機械換気(CMV)、圧力補助換気(PSV)、持続的陽圧呼吸(CPAP)または呼吸終末陽圧技術(PEEP)を含む。
2.2.3 治療システム
【0018】
治療システムは、呼吸圧力治療装置(RPT装置)、空気回路、加湿器、患者インタフェースおよびデータ管理を含む。
【0019】
治療システムのもう1つの形態は下顎再配置装置である。
2.2.3.1 患者インタフェース
【0020】
患者インタフェースは、例えば空気の流れを提供することによって、呼吸装置をそのユーザにインタフェースするのに使用できる。空気の流れは、鼻おおび/または口へのマスク、口へのチューブまたは患者の気管への気管開口チューブを経由して提供される。適用する治療法次第で、患者インタフェースはシールを形成してよく、例えば患者の顔の部分、治療が効果をもたらすように周囲圧力と十分に相違した圧力で、例えば周囲圧力に関して約10cmHOの陽圧で、ガスを送出する。酸素の送出のようなほかの治療の形態では、約10cmHOの陽圧で、ガスの気道への供給ができるシールを患者のインタフェースに含めなくてよい。
【0021】
患者インタフェースのデザインにはいろいろな難問がある。顔面は複雑な3次元の形状をしている。鼻の大きさと形は個人間でかなり異なる。頭部には骨、軟骨と軟組織があり、顔面の異なる領域は機械的な力に対して異なる反応をする。顎または下顎は頭蓋のほかの骨に関連して動くことがある。頭全体が呼吸治療の間に動くことがある。
【0022】
これらの難問のために、マスクによっては閉塞性である、審美的に好ましくない、コストが高い、装着が不十分、使用困難の1つまたはそれ以上の問題に悩み、長期間使用すると摩耗してまたは患者がシステムに不慣れだと不愉快である。例えば、飛行士専用にデザインされたマスク、個人の保護装置(例えば、フィルターマスク)の一部としてデザインされたマスク、SCUBAマスク、または麻酔薬投与のためのマスクは本来の適用には耐えるが、長期間、例えば数時間着用するのは好ましくないほど不愉快である。睡眠中にマスクを着用しなければならない場合は特にそうである。
【0023】
患者が治療に従う限り、CPAP治療はある呼吸器疾患の治療に特に効果的である。マスクが不愉快であるか使用困難であれば、患者は治療に従わないかもしれない。患者は自分のマスクを定期的に洗浄するようしばしば推奨されているので、マスクの洗浄が困難であれば(例えば、組立または分解が困難)、患者は自分のマスクを洗浄しないかもしれず、これは患者のコンプライアンスに影響する。
【0024】
その他の適用(例えば、飛行士)のためのマスクを睡眠呼吸障害に使用するのは適切でないかもしれないが、睡眠呼吸障害に使用するようデザインされたマスクはその他の適用に適しているかもしれない。
【0025】
これらの理由により、睡眠中の鼻CPAPの送出のための患者インタフェースは独特な分野である。
2.2.3.1.1 シール形成部
【0026】
患者インタフェースはシール形成部を含む。これは患者の顔面と直接接触するので、シール形成部の形状と形態は患者インタフェースの有効性と快適さに直接影響を与えることがある。
【0027】
患者インタフェースは、シール形成部分が使用中の顔面の何処と当たるかのデザイン意図によって、一部特徴付けられる。患者インタフェースの1つの形態において、シール形成部は左と右のそれぞれの鼻孔に当たる2つの準部分を持つことができる。患者インタフェースの1形態において、シール形成部分は使用中に両方の鼻孔を囲む単一のエレメントであってよい。このような単一のエレメントは、例えば顔面の上唇領域と鼻梁領域を覆うようにデザインしてよい。患者インタフェースの1形態において、シール形成部分は例えば顔面の下唇領域上にシールを形成するなど、使用中の口の領域を囲むエレメントで成ってよい。患者インタフェースの1形態において、シール形成部分は使用中の両方の鼻孔と口の部分を囲む単一のエレメントで成ってよい。患者インタフェースのこれらの異なるタイプは、それらの製造者が付けた種々の名称で知られており、鼻マスク、顔全体マスク、鼻枕、鼻噴霧および口-鼻マスクが含まれる。
【0028】
患者の顔の1領域で効果的なシール形成部分は、患者の顔の形状、構造、ばらつきおよび敏感な部分が異なるので、別の領域には適していないことがある。例えば、患者の額を覆う水中メガネのシールを患者の鼻に使用するには適当でない。
【0029】
さまざまな異なる顔の形状および大きさに適し、快適で効果的な1つのデザインのように、大量生産用にあるシール形成部をデザインすることができる。患者の顔の形状と大量生産された患者のインタフェースのシール形成部の間で不整合ができるまで、1つまたは両方を適合させてシールを形成しなければならない
【0030】
シール形成部分の1つのタイプは、患者インタフェースの周辺附近に伸び、シール形成部分が患者の顔に係合しようとしており、力が患者インタフェースに加えられた時に患者の顔に抗してシールするように意図される。シール形成部分は、空気または液体で充満されたクッション、またはゴムのようなエラストマーでできた弾力性のあるシールエレメントの成形または形成面を含むことができる。このタイプのシール形成では、適合が適切でなければ、シール形成部分と顔の間にギャップがあり、シールを形成するために顔に抗して患者インタフェースに追加の力を加える必要がある。
【0031】
シール形成部のもう1つタイプは、マスクの周辺近辺に位置した薄い材料でできたフラップシールを含み、マスク内に陽圧がかかると患者の顔に抗してセルフシーリングを行う。シール形成部分の以前のタイプのように、顔面とマスク間の適合が良好でないと、シールを形成するのに追加の力が必要になるかまたはマスクから故意でない漏れが生じる。さらに、シール形成部分の形状が患者のそれに適合しない場合、使用中にしわが生じたり曲がることがあり、故意でない漏れが発生する。
【0032】
シール形成部分のもう1つのタイプは、例えば鼻孔への挿入のような摺合せエレメントを含むことができる。
【0033】
シール形成部分のもう1つの形態は、接着剤を使ってシールを達成する。顔面に接着剤を絶えず適用しこれを除去するのが不便と感じる患者もいる。
【0034】
ResMed Limitedに譲渡された以下の特許出願に、さまざまな患者インタフェース・シール形成部の技術が開示されている:特許文献3;特許文献4;特許文献5。
【0035】
鼻枕の1形態がPuritan Bennetが製造するAdam Circuitに見出される。もう1つの鼻枕または鼻噴霧はPuritan-Bennet Corporationに譲渡された特許文献6(Trimbleほか)の題目である。
【0036】
ResMed Limitedは、鼻枕を組み込んだ以下の製品を製造した:SWIFT鼻枕マスク、SWIFTII鼻枕マスク、SWIFTLT鼻枕マスク、SWIFTFX鼻枕マスクおよびLIBERTYフルフェース・マスク。RedMedに譲渡された以下の特許出願に、鼻枕マスクが記述されている。特許文献7(とりわけRedMed SWIFT鼻枕の特徴を記載)、特許文献8(とりわけRedMed SWIFTLT鼻枕の特徴を記載);特許文献9と特許文献10(とりわけResMed LIBERTYフルフェース・マスクの特徴を記載);特許文献11(とりわけResMed SWIFTTMFX鼻枕の特徴を記載)。
2.2.3.1.2 位置決めと安定化
【0037】
陽圧空気治療に使用する患者インタフェースのシール形成部は、シールを崩壊しようとする空気圧の対応する力の影響を受ける。
【0038】
このように、シール形成部を位置決めし、顔面の適当な部分とシーリングの関係を保つために種々な技術が使用されてきた。
【0039】
1つの技術に接着剤の使用がある。例えば特許文献12を参照。
【0040】
もう1つの技術として、1つまたはそれ以上のひもと安定化装着帯の使用がある。このような装着帯の多くは、1つまたはそれ以上の不適合、かさばる、不快および使用がぎこちないの問題に悩まされる。
【0041】
シーリング(鼻枕)タイプおよび/または非シーリング(例えば鼻カニューレ)タイプのいずれかまたは双方にとって、患者インタフェースを使用中はその作動方向および/または作動位置に保持するのが望ましい。患者インタフェースをその作動方向および/または位置に保持すると、今度は患者インタフェースが、シールを維持しおよび/または呼吸できるガス(例えば、酸素)を患者に効果的に送達できる。
【0042】
使用中は、患者インタフェースは、その作動方向および/または位置から変位させる傾向がある力に晒されることがある。例えば、使用中の患者インタフェースは、下記の1つまたはそれ以上で引っ張られることがある:その自重、空気回路の重量、空気回路の中の張力および患者インタフェースとベッドの表面のような別の物体間の摩擦。
【0043】
このように、位置決めおよび安定化構造を使用して、シールを維持しおよび/または患者インタフェースをその作動方向および/または位置に維持する。
2.2.3.1.3 ベント技術
【0044】
患者インタフェースシステムのいくつかの形態は、吐き出した二酸化炭素の洗浄のためにベントを含むことがある。このベントは、患者インタフェース内部空間から、例えばプレナムチャンバー、患者インタフェースの外部へ、例えば大気へのガスの流れを作ることができる。ベントはオリフィスを含み、マスクの使用中にガスはこのオリフィスを通る。このようなベントの多くは騒々しい。そのほかのベントは使用中に閉塞し、洗浄が不十分となる。あるベントは、騒音または空気流の集束のために、患者1000のベッドパートナー1100の睡眠の邪魔になる。
【0045】
ResMed Limitedは多数の改良型マスクベント技術を開発した。特許文献13;特許文献14;特許文献15;特許文献16;特許文献17を参照。
【0046】
以前のマスクの騒音の表(ISO 17510-2:2007,1mにおける圧力10cmHO)
【0047】
【表1】
【0048】
(*試料1つのみ、10cmHOにおけるCPAPモードにおけるISO3744に規定の試験方法で測定)
【0049】
種々の対象物の音圧レベルを以下に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
患者インタフェースの一部の形態は、ベントを含んでいない。非ベント患者インタフェースの1例は二重肢空気回路で使用するようにデザインされたものを含み、これは吐き出したガス(例えば、二酸化炭素)を患者から遠ざけるように移送する呼気肢を含む。もう1つの実施例は鼻カニューレのような非シール患者インタフェースである。一部の鼻カニューレでは、吐き出されたガスは患者インタフェースと患者の気道の間に創られた1つまたはそれ以上のギャップを通って運び出される。
2.2.3.2 呼吸圧力治療(RPT)装置
【0052】
睡眠呼吸障害の治療に用いられる1つの既知のRPTは、ResMedが製造するS9 Sleep Therapy Systemである。もう1つのRPT装置の実施例は人工呼吸器である。成人および小児用人工呼吸器のResMed StellarTMシリーズのような人工呼吸器は、NMD、OHSおよびCOPD(ただしこれらに限定されない)のような多くの疾患を治療しているさまざまな患者のために侵襲および非侵襲非依存人工呼吸器のサポートを提供できる。
【0053】
ResMed EliseeTM 150人工呼吸器とResMed VSIIITM人工呼吸器は、成人および小児患者の多数の疾患の治療に適した侵襲および非侵襲依存人工呼吸器を提供することができる。これらの人工呼吸器は、単一または二重肢回路の付いた容積式換気モードと気圧式換気モードを提供する。
【0054】
RPT装置は、典型的にはモータ駆動の送風機または圧縮ガスリザーバのような圧力発生器から成り、患者の気道に空気の流れを供給するように構成される。場合によっては、空気流を陽圧で患者の気道に供給することができる。RPT装置の出口は、空気回路を経由して上記の患者のインタフェースに接続される。
【0055】
RPT装置は典型的には入口フィルター、いろいろなセンサーおよびマイクロプロセッサーをベースにしたコントローラも含む。送風機はサーボ制御のモータ、ボリュートおよびインペラーを含む。場合によってはモーターのためのブレーキを組み込んで、モーターとインペラーの慣性に打ち勝って送風機の速度をより速やかに減速できる。ブレーキングによって送風機が低圧状態をより速やかに時間内に達成して、慣性にもかかわらず呼気との同期を行う。場合によっては圧力発生器は、モータ速度の制御の代案として、患者に吐出される圧力を変更する手段として発生した空気を大気へ吐出できるバルブを含むことができる。センサーはとりわけモーター速度、質量流量および圧力変換器などによる出口圧力を測定する。コントローラは統合データ検索および表示機能の付いたまたは付いていないデータ記憶容量を含むことができる。
【0056】
以前のRPT装置の騒音出力の表(試料1つのみ、10cmHOにおけるCPAPモードにおけるISO3744に規定の試験方法で測定)
【0057】
【表3】
2.2.3.3 加湿器
【0058】
加湿なしに空気流を送出すると、気道が乾燥することがある。医療用加湿器は、空気の流の湿度および/または温度を周囲空気に対して、要求があれば、典型的には患者が睡眠中または休息中に(例えば病院において)上げるのに使用される。その結果、医療用加湿器はベッドの横に置くように小さくてよく、患者の周囲を加湿および/または加熱しないで、患者に送出された空気の流れだけを加湿および/または加熱するように構成できる。例えば、部屋をベースにしたシステム(例えば、サウナ、空調装置、蒸発冷却器)も患者が呼吸する空気を加湿できるが、これらのシステムは部屋全体を加湿および/または加熱することになり、居住者に不快をもたらすことがある。
【0059】
RPT装置および患者インタフェースと共に加湿器を使用すると、加湿されたガスが生成され、これが鼻粘膜の乾燥を最小限に抑え、患者の気道の快適さを増す。加えて、涼しい気候では、暖かい空気が患者インタフェースの中およびその周りの顔面に広く当たると、冷たい空気よりずっと快適である。
【0060】
いろいろな形態の呼吸用加湿器があり、空気回路を経てRPT装置に連結された自立型、RPT装置に組込まれるかまたは関連RPT装置に直接連結されるように構成されるものがある。既知の受動的な加湿器はある安堵を提供できるが、一般に加熱加湿器は患者が快適であるように十分な湿度と温度を提供する。加湿器は典型的には数百ミリリッター(ml)の容量を有する水リザーバーまたはタブ型容器、リザ-バーの中の水を加熱する加熱エレメント、加湿のレベルを変更できる制御装置、流れ発生器またはRPT装置からのガスを受け入れるガス入口および加湿されたガスを患者インタフェースへ吐出する空気回路に接続できるように適合されたガス出口を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0061】
【文献】米国特許第4944310号明細書
【文献】米国特許第6532959号明細書
【文献】国際公開第1998/004310号
【文献】国際公開第2006/074513号
【文献】国際公開第2010/135785号
【文献】米国特許第4782832号明細書
【文献】国際公開第2004/073778号
【文献】米国特許出願第2009/0044808号明細書
【文献】国際公開第2005/063328号
【文献】国際公開第2006/130903号
【文献】国際公開第2009/052560号
【文献】米国特許出願第2010/0000534号明細書
【文献】国際公開第1998/034665号
【文献】国際公開第2000/078381号
【文献】米国特許第6581594号明細書
【文献】米国特許出願第2009/0050156号明細書
【文献】米国特許出願第2009/0044808号明細書
【非特許文献】
【0062】
【文献】John B. West著、「呼吸生理学」Lippoincott Williams & Wilkins、9版2011年発行
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0063】
本技術は、呼吸器疾患の診断、改善、治療または予防に使用される1つまたはそれ以上の改善された快適さ、コスト、有効性、使い易さおよび製造可能性を有する医療装置を提供することにある。
【0064】
本技術の第1の態様は、呼吸器疾患の診断、改善、治療または予防に使用する装置に関する。
【0065】
本技術のもう1つの態様は、呼吸器疾患の診断、改善、治療または予防に使用される方法に関する。
【0066】
本技術の1つの形態は、患者の1つまたはそれ以上の鼻孔に空気の流れを送達する患者インタフェースを含み、該患者インタフェースは空気の流れを受けるように構成されたプレナムチャンバーと;空気の流れをプレナムチャンバーから患者の鼻孔を送達する突起;プレナムチャンバーに連結されたフレーム、該フレームは使用中は患者の鼻孔に関してプレナムチャンバーを探す患者の頭部に係合するように適合され、ここにフレームの一部は、プレナムチャンバーの部分が前方に変位してくぼみに入るように、プレナムチャンバーの少なくとも一部から前方に凹んでいる。
【0067】
本技術の1形態によれば、フレームの該部分はプレナムチャンバーの中央部分から凹んでいる。
【0068】
本技術の1形態によれば、フレームの該部分は堅固に構成されている。
【0069】
本技術の1形態によれば、プレナムチャンバーの中央部分は使用中患者の上唇と係合するように構成される。
【0070】
本技術の1形態によれば、プレナムチャンバーは実質的に管状である。
【0071】
本技術の1形態によれば、プレナムチャンバーは使用中は矢状面に実質的に垂直な方向に向けられている。
【0072】
本技術の1形態によれば、フレームはプレナムチャンバーの第1の終端と第2の終端に係合する。
【0073】
本技術の1形態によれば、プレナムチャンバーは空気の流れを受けるために空気回路に接続するよう構成された開口を含む。
【0074】
本技術の1形態によれば、プレナムチャンバーは弾力性があり柔軟な材料を含む。
【0075】
本技術の1形態によれば、突起はプレナムチャンバーから患者の鼻孔に向けて外側に伸びている。
【0076】
本技術の1形態によれば、突起は患者の鼻孔の中に挿入されるように構成される。
【0077】
本技術の1形態によれば、突起はプレナムチャンバーと一体となるように形成される。
【0078】
本技術の1形態によれば、突起は患者に向けて上方向と後方に伸びている。
【0079】
本技術の1形態によれば、突起は湾曲している。
【0080】
本技術の1形態によれば、フレームは使用中の患者の顔に係合するように適合された堅固な部分を含む。
【0081】
本技術の1形態によれば、堅固な部分は使用中の患者の上顎に係合するよう適合される。
【0082】
本技術の1つの形態は、フレームに連結されたヘッドギアをさらに含む。
【0083】
本技術の1形態によれば、ヘッドギアは弾力性がある。
【0084】
本技術の1形態によれば、ヘッドギアは頂部ひもと後部ひもを含む。
【0085】
本技術の1形態によれば、ヘッドギアは二股になっている。
【0086】
本技術の1つの形態は、患者の気道の入口に空気の流れを送達する患者インタフェースを含み、該患者インタフェースは空気の流れを受けるように構成されたプレナムチャンバーを含み;1つまたはそれ以上の突起が空気の流れをプレナムチャンバーから患者の気道入口に送達するように構成され;剛体のフレームは使用中は患者の頬に係合するように構成され;ヘッドギアは剛体のフレームに連結され患者の頭部に係合して使用中に1つまたはそれ以上の突起を探すように構成され、ここに剛体のフレームはプレナムチャンバーから離れて、プレナムチャンバーを超えて前方向と後方に伸びる中央部分を含む。
【0087】
本技術の1形態によれば、中央部分は複数の筋かい部材を含む。
【0088】
本技術の1形態によれば、複数の筋かい部材は斜めに接続される。
【0089】
本技術の1形態によれば、複数の筋かい部材は三角形構造を形成する。
【0090】
本技術の1形態によれば、フレームの部分はプレナムチャンバーの幅を横切って実質的に伸びる。
【0091】
本技術の1形態によれば、中央部分とプレナムチャンバーとの係合場所は、プレナムチャンバーの左端と右端を含む。
【0092】
本技術の1形態によれば、中央部分は曲面を含む。
【0093】
本技術の1形態によれば、中央分はプレナムチャンバーの幅を横切って湾曲している。
【0094】
本技術の1形態によれば、プレナムチャンバーの患者インタフェースの剛性への影響は無視できる。
【0095】
本技術の1形態は、2つの突起を含む。
【0096】
本技術の1形態によれば、プレナムチャンバーは円筒状に形作られている。
【0097】
本技術の1形態によれば、プレナムチャンバーは実質的に真っ直ぐな円筒である。
【0098】
本技術の1形態によれば、プレナムチャンバーはシリコンを含む。
【0099】
本技術の1形態によれば、プレナムチャンバーと1つまたはそれ以上に突起は一体に形成されている。
【0100】
本技術の1形態によれば、剛性のフレームは左側の部分と右側の部分を含む。
【0101】
本技術の1形態によれば、剛性のフレームは成形により形成される。
【0102】
本技術の1形態は、さらにヘッダーを含む。
【0103】
本技術の1形態は、呼吸できるガスの流れを生成するように構成された呼吸治療装置;治療装置に連結されて呼吸できるガスの流れを加湿するように構成された加湿器;呼吸できるガスの流れを吐出する空気回路;および本技術による患者インタフェースを含む呼吸治療に関する。
【0104】
もちろんこの態様の部分は本技術の準態様を形成する。さらに、準態様および/または態様のいろいろな面は、いろいろな方法で組み合わされ、本技術の追加の態様または準態様を構成する。
【0105】
この技術のそのほかの特徴は、以下の詳細な記述、概要、図面おおびクレームに含まれる情報を考慮すれば明白である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
本技術は制限ではなく、実施例によって説明され、添付の図面における数字において同じ参照番号は同じエレメントを参照する。
4.1 治療システム
図1A図1Aは、RPT装置4000からの陽圧の空気の供給を受ける、鼻枕の形態の患者インタフェース3000を着用した患者1000を含むシステムを示す。RPT装置からの空気は、加湿器5000の中で加湿され、空気回路4170を通って患者1000に供給される。ベッドパートナー1100も示されている。
図1B図1Bは、RPT装置4000からの陽圧の空気の供給を受ける、鼻マスクの形態の患者インタフェース3000を着用した患者1000を含むシステム示す。RPT装置からの空気は、加湿器5000の中で加湿され、空気回路4170を通って患者1000に供給される。
図1C図1Cは、RPT装置4000からの陽圧の空気の供給を受ける、フルフェース・マスクの形態の患者インタフェース3000を着用した患者1000を含むシステム示す。RPT装置からの空気は、加湿器5000の中で加湿され、空気回路4170を通って患者1000に供給される。4.2 呼吸システムと顔の骨格
図2A図2Aは鼻腔と口腔、喉頭、声帯、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓および横隔膜を含むヒト呼吸器系統の概観を示す。
図2B図2Bは鼻腔、鼻骨、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨、小鼻、上唇、下唇、喉頭、硬口蓋、軟口蓋、中咽頭、舌、喉頭蓋、声帯ひだ、食道および気管を含むヒト上気道の概観を示す。
図2C図2Cは上唇、上赤唇、下赤唇、下唇、口の幅、エンドカンチオン、鼻翼、ホウレイ線およびケイリオンが識別された体表解剖学のいくつかの特徴を示した顔の正面図である。さらに上方向、下方向、半径方向内側および半径方向外側が示されている。
図2D図2Dは、眉間、セリオン、プロナザーレ、鼻下点、上唇、下唇、スプラメントン、鼻堤、鼻翼クレストポイント、上耳底点、下耳底点を含む体表解剖学のいくつかの特徴を示した頭部の側面図である。また上方向と下方向および前方と後方の方向も示されている。
図2E図2Eは、頭部のさらなる側面図である。フランクフォート水平と鼻唇角も同定されている。前頭面も示されている。
図2F図2Fは、鼻唇溝、下唇、上赤唇、鼻孔、下鼻点、耳小柱、プロナザーレ、鼻孔の主軸と矢状面を含む識別されたいくつかの特徴を示した鼻の底面図である。
図2G図2Gは、鼻の表面の特徴の側面図である。
図2H図2Hは、外側軟骨、隔壁軟骨、大きい鼻翼軟骨、小さい鼻翼軟骨、種子骨軟骨、鼻骨、上皮、脂肪組織、上顎の前頭突起と線維脂肪組織を含む鼻の皮下構造を示す。
図2I図2Iは、矢状面から約数ミリの鼻の内側解剖を示し、とりわけ大鼻翼軟骨の隔壁軟骨と内側脚が示されている。
図2J図2Jは、前頭鼻と頬骨を含む頭部の骨の正面図である。鼻甲介が上顎と下顎として示されている。
図2K図2Kは、いくつかの筋肉と共に頭部の表面の輪郭が示された頭蓋骨の側面図を示す。次の骨が示されている:前頭骨、ちょう形骨、鼻骨、頬骨、上顎、下顎、頭骨頭頂部、側頭と後頭部骨。オトガイ隆起が示されている。次の筋肉が示されている:顎二腹筋、咬筋、胸鎖乳突筋および僧帽筋。
図2L図2Lは、鼻の前外側図を示す。4.3 患者インタフェース
図3A図3Aは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースの側面透視図を示す。
図3B図3Bは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースと空気回路の分解側面図を示す。
図3C図3Cは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースの背面図を示す。
図3D図3Dは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースの側面図を示す。
図3E図3Eは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースの平面図を示す。
図3F図3Fは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースの一部の平面図を示す。
図3G図3Gは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースの一部の背面透視図を示す。
図3H図3Hは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースの一部の前面透視図を示す。
図3I図3Iは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースの一部の前面透視図を示す。ここに鼻突起、マニホールドおよびバレルがカニューレフレームから分解組み立ての形で示されている。
図3J図3Jは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースの一部の、患者の頭における典型的な作動位置と方向における側面図を示す。
図3K図3Kは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースの一部の前面透視図を示す。
図4A図4Aは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースの一部の側面透視図を示す。
図4B図4Bは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースと空気回路の側面分解図を示す。
図4C図4Cは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースの側面図で、図4Dに示す断面が示されている。
図4D図4Dは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースの平面図で、図4Cに示す断面が示されている。
図4E図4Eは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースの正面図を示す。
図4F図4Fは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースの背面図を示す。
図4G図4Gは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースのフレームの側面透視図を示す。
図4H図4Hは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースのフレームの側面透視図を示す。
図4I図4Iは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースを患者の頭部に置いた場合の側面図を示す。
図4J図4Jは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースの平面図(上面図)を示す。
図4K図4Kは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースの一部の透視図を示す。
図4L図4Lは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースの一部の背面図を示す。
図4M図4Mは、本技術の1形態による鼻カニューレの形の患者インタフェースの一部の側面透視図を示す。4.4 RPT装置
図5A図5Aは、本技術の1形態によるRPT装置を示す。4.5 加湿器
図6A図6Aは、本技術の1形態による加湿器の等角投影図を示す。
図6B図6Bは、加湿器リザーバー5110が加湿器リザーバードック5130から取り外された、本技術の1形態による加湿器の等角投影図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0107】
技術の実施例の詳細な説明
本技術をさらに詳細に説明する前に、本技術は本明細書に記載された変わることのある特定の実施例に限定されないことを理解されたい。またこの開示で使用されている専門用語は、本明細書中で議論される特定の実施例のみを記述するのが目的であり、限定する意図のないことを理解すべきである。
5.1 治療
【0108】
1形態において、本技術は陽圧を患者1000の気道入り口に適用するステップから成る呼吸障害の治療の方法から成る。
【0109】
本技術のある実施例において、陽圧の空気が患者の1つまたは両方の鼻孔を通して鼻腔に供給される。
【0110】
本技術のある実施例において、口呼吸は制限され、禁止されまたは防止される。
5.2 治療システム
【0111】
1つの形態において、本技術は呼吸器疾患を治療する器具または装置から成る。該器具または装置は、患者インタフェース3000への空気回路4170を経由して例えば空気のような加圧された呼吸ガスを患者1000に供給するRPT装置4000を含む。
5.3 患者インタフェース3000
【0112】
本技術の1態様による非侵襲患者インタフェース3000は、下記の機能面を有している:空気方向付け構造、位置決めおよび安定化構造3300および空気回路4170へ接続のための接続ポート3600。機能面のいくつかの形態には、1つまたはそれ以上の物理的コンポーネントを提供できる。いくつかの形態では、1つの物理的コンポーネントが1つまたはそれ以上の機能面を提供できる。
5.3.1 空気方向付け構造
【0113】
空気方向付け構造は患者インタフェース3000が受け取った空気の流れを、鼻または口の少なくとも1つを経由して患者の気道へ向けることができる。
【0114】
いくつかの形態では空気方向付け構造は、患者の気道へシールされたコンジットを形成するように構成された1つまたはそれ以上の壁(例えば、鼻枕、図1A-1Cに示すような鼻マスクまたはフルフェース・マスク)を含むことができ、それにより空気の流れを口または鼻孔のような患者の気道に向ける。
【0115】
その他の形態では、空気方向付け構造はシールされたコンジットを形成することなく、空気を1つまたはそれ以上の鼻孔に向けることができる。例えば、鼻カニューレは空気の流れを患者1000に送達でき、ここに鼻カニューレの突起は、患者の鼻孔近くまたはその中にシールを形成することなく置かれる。
【0116】
本技術の1態様によれば、空気方向付け構造は空気の流れを1つまたはそれ以上の患者1000の鼻孔に向けるように構成された図3Aに示すような1つまたはそれ以上の鼻突起3100を含む。
【0117】
1つの形態において、鼻突起3100は患者1000の鼻腔に挿入されるように構成される。図4Iに示す実施例において、鼻突起3100の一部が患者1000の鼻腔に挿入されたことを示すために破線で示されている。そのほかの形態では、鼻突起3100は患者1000の鼻腔の外部に位置してよく、空気を患者1000の1つまたはそれ以上の鼻孔に向かわせる。
【0118】
本技術の1形態による鼻突起3100は、空気の流れを患者の鼻孔に向けるように形作られ、使用中の患者の不快さを最小限に抑える。場合によっては使用中に鼻突起3100を患者の鼻孔に挿入できるので(患者の鼻腔における突起3100の一部が破線で示されている図4Iを参照)、鼻突起3100は鼻突起3100が皮膚または鼻腔の内面を経由して患者に接触する機会を低減するように形作られる。鼻突起3100と患者の接触を防止または低減すると、患者インタフェースを使用する患者の快適さが有利に改善される。
【0119】
例えば、鼻突起3100は使用中に患者の鼻腔または上唇の内表面(複数)(図2C参照)との接触を防止するように構成される。1つの形態において、鼻突起3100は鼻腔の湾曲を鼻孔に向けて接近させ、患者1000に向けて前方向と後方向に延びる。適切な形状の例は図3Hまたは4Cに示すように円弧を含んでよいが、真っ直ぐな突起または複数のセクション(さまざまな湾曲、形状および/または方向)から成る突起も適している。
【0120】
1つの形態において、鼻突起3100は1つまたはそれ以上の空気回路4170からの空気を受けるように構成された(マニホールド3200のような)プレナムチャンバーと連結してよい。図3Aにマニホ-ルド3200に連結された鼻突起3100の1例が示されている。
【0121】
マニホールド3200は、1つ以上の空気回路に接続するために1つまたはそれ以上の開口を含んでよい。例えばマニホールド3200は、空気回路に接続するために接続ポート3600に連結された開口を含む。いくつかの形態では、マニホールド3200は吸気流れのための1つまたはそれ以上の回路と呼気流れのための1つまたはそれ以上の空気回路のような複数の空気回路に接続するよう構成される。マニホールド3200は、吸気肢と呼気肢のような複数の肢を有する空気回路に接続できる。
【0122】
突起3100とマニホールド3200は、シリコンのような弾力性があり、柔軟で生物学的に適合した材料で構築でき、その他の多数の材料も適していることを理解されたい。1つの形態において、突起3100とマニホールド3200は、射出成形などによって成形できる。
【0123】
突起3100および/またはマニホールド3200は、以下に詳細を説明するように突起および/またはマニホールドが患者と接触するようになった時、患者の不快さを低減するために柔軟であってよい。
【0124】
突起3100および/またはマニホールド3200は、比較的薄いセクションを含んでよい。例えば、突起3100および/またはマニホールド3200は射出成型によって構築でき、壁の厚さは約0.5mmである。もちろん他の厚さ、例えば約0.2mmから1mm、約0.3mmから0.8mmまたは0.4mmから0.6mmも適していることを理解できる。突起3100および/またはマニホールド3200の一部も、突起3100および/またはマニホールド3200の構造要件に従って別の部分と異なる壁セクション厚さを含むことも理解できる。
【0125】
いくつかの形態では、マニホールド3200は、図3Bまたは図4Bにおける患者インタフェース3000の分解図に示すように、鼻突起3100と一体で形成できる。そのほかの形態ではマニホールド3200は鼻突起3100と別に形成して、機械的締め具、接着剤または締りばめのような少なくとも1つの任意の数の既知の方法でそこに連結される。
【0126】
鼻突起3100がマニホールド3200に連結されるところでは、突起3200はマニホールド3200に着脱可能に連結される。すなわち、1つまたはそれ以上の突起3100は、例えば1つまたはそれ以上の軸の周りにまたはそこへの移動のように、マニホールド3200に関して可動である。1つの形態において、各突起3100はマニホールド3200に関して(そしてその他の突起(複数)3100に関して)、例えば図3Kに示す回転のように独立して可動である。
【0127】
このように、患者は1つまたはそれ以上の突起3100を、患者の好みによって、たとえば顔の構造および/または患者の鼻腔に適するように、向きを変えるためにマニホールド3200に対して移動(例えば回転)する。例えば1つまたはそれ以上の突起3100は、患者の好みの作動方向および/または位置に移動できる。
【0128】
患者インタフェース3000はその結果患者が楽になるように、または患者の気道への空気流の送達が改善されるような配置に構成できる。
【0129】
マニホールド3200は、鼻突起3100に構造的支持を提供できる。例えば、マニホールド3200は突起3100を使用中に適切な場所および/または方向に維持するのに役立つ。マニホールド3200は円筒のような形状を含み、突起3100へのいくらかの構造的支持を提供する。マニホールド3200は例えば真っ直ぐな円筒として構成できる。
【0130】
使用中の突起3100の位置および/または方向は、患者1000の1つまたはそれ以上の鼻孔に向けられた患者1000の鼻孔の中またはその近くを含む。
【0131】
使用中はマニホールド3200は、患者インタフェースに近接してまたはその上に位置し、突起3100を患者の鼻孔に関して好ましい作動位置および/または方向に効果的に維持する。例えば、マニホールド3200は患者1000の上唇に近接して位置し、突起3100が患者の鼻孔および/または鼻腔に向けられる方向に位置することができる。
【0132】
マニホールド3200が患者の上唇(そして鼻孔)に近接している患者インタフェース3000の配置では、鼻孔とマニホールド間の長さのような比較的短い突起3100で、患者の気道へ効果的な空気の流れが得られる。今度は、短い距離が突起3100の剛性を有利に増し、突起3100が所定の構成をマニーホルド3200に対して維持するのに役立つ。
【0133】
いくつかの場合において、マニホールド3200が患者の上唇に近いと、マニホールドは患者インタフェース3000の使用中に患者1000に圧力(または力)加えることができる。このような圧力(または力)は、圧力を触知できる感覚のために患者インタフェース3000の使用中に患者1000に少なくともある不快を生じる。さらに上唇領域が患者の鼻孔に関して3100を探す近似の突起を提供するのに対して、多くの患者にとってここも典型的に顔面の敏感な領域である。
【0134】
このように本技術による患者インタフェース3000は患者1000に近接してまたはその上に位置して、患者1000に呼吸できるガスの流れを提供するように構成できる。さらに有利なことに患者インタフェース3000は、上唇および/または鼻の下のような患者1000の敏感な領域(複数)に加えられた圧力(または力)を最小限に抑えることもできる。
【0135】
1つの実施例において、例えば所定の折り曲げジョイントまたはマニホールド3200中の低剛性領域の介在によって、マニホールド3200が患者の顔との係合の方向(例えば前方向)に従うように患者フェース3000を配置できる。剛性はある場合にはばね率で表され、このようにマニホールド3200は低ばね率を有すると言える。
【0136】
もう1つの実施例において、マニホールド3200は患者インタフェース3000のフレームに(例えば少なくとも前方に)柔軟に連結できる。このような配置のマニホールド3200は、マニホールド3200と接触している患者の顔の領域に加えられた圧力(または力)を低減できる。
【0137】
対象物の変形によって生成した圧力(または力)は偏向した対象物の剛性の関数である。このように少なくとも前方に従うように構成されたマニホールド3200は、マニホールド3200が前方に変位して患者1000と接触するようになった場合、接触の領域において患者に加えられる結果として生じる圧力(または力)が低減されるので有利である。
【0138】
例えば、マニホールド3200が患者の顔と(例えば、上唇または鼻下とまたはその近く)接触するようになった場合、マニホールド3200の変位または変形が生じる。休止状態からのマニホールド3200の変位または変形は、患者インタフェース3000が、その作動構成において患者に置かれた時に生じる。変位または変形は前方向に起こり、この場合患者1000への結果として生じる圧力(または力)は、前方へのマニホールド3200の剛性の関数である。このように、前方のマニホールド3200の剛性を低減することによって、患者1000の上唇または鼻の下にかかる圧力(または力)は低減されて患者の快適さを改善する。同様に、マニホールドは1つまたはそれ以上の他の方向へ(例えば、低減した剛性により)直ちに変位または偏向するように構成でき、こうして患者の快適さが改善される。
【0139】
このように、本技術の1つの態様は低剛性部を含む患者インタフェース3000に関する。本技術のいくつかの実施例は、隣接する部分またはマニホールド3200全体のような、マニホールド3200の一つまたはそれ以上の他の部分と比較して、低減した剛性を有する中央部分を含むマニホールド3200を含む。低剛性部分は、少なくとも前方において低減された剛性を含む。
【0140】
低剛性部はマニホールド3200の別の部分と比較して、幾何学的なまたは材料の手段などの1つまたはそれ以上の複数のメカニズムにより低減された剛性を含む。例えば、低剛性部は低減された壁厚さを含み、低弾性係数の材料を含み、および/またはマニホールド3200の他の部分に関して低剛性(例えば、曲げ)の形状を含む。
【0141】
いくつかの形態において低剛性部は、隣接する部分間で接続部を含むことができる。例えばマニホールド3200の第1の部分は、低減された壁厚さ、ヒンジ部のような材料剛性または低剛性幾何形状のような低剛性部によるマニホールド3200の隣接する部分に連結できる。
【0142】
マニホールド3200は、例えば図3Aに示すような円筒形状の本体を含む。代案としてマニホールド3200は図4Bと4Dに示す湾曲した本体を含むことができ、ここに本体は患者の顔の湾曲を近似するように曲げられる。
【0143】
1つの形態において、図4Bから4Dに示すようにマニホールド3200は前部刻み目3200fiと後部刻み目3200riのような1つまたはそれ以上の‘溝’を含む。1つまたはそれ以上の溝は、以前に記述したように低減された剛性を含むように構成される。1つまたはそれ以上の刻み目3200fiと3200riは、(図4Dに示すように)矢状面沿って実質的に延び、前方に垂直なる。それにより溝(複数)はマニホールド3200の前方への剛性を低減することができる。刻み目3200fiと3200riは、患者の上唇の動きまたは患者インタフェース3000の患者の顔への取り付けによりマニホールド3200が前方(または後方)へ変位または変形した時、マニホールド3200へ追加の適合を提供する。刻み目3200fiと3200riは、マニホールド3200の残りのような患者インタフェース3000の隣接する部分と比較して、追加でまたは代案として低減された壁厚さを含むことができる。
【0144】
例えば、溝はマニホールド3200が張りつめるのを防止するのを支援する。マニホールド3200が張りつめた場合、マニホールド上で抵抗(有効ばね定数)が低減し、例えば更に変位または変形すると患者の顔への大きな反力を示す。
【0145】
刻み目3200fiと3200ri含む部分のようにマニホールドの剛性の低減した部分では、(前方から見た)断面の幅は例えば隣接する部分の(図4D参照)典型的な幅の約50%である。その他の形態では、断面の幅は典型的な幅の約40-60%、または25-75%である。他の場所で記述したように、材料または幾何形状のその他の態様は、剛性の適切な低減を達成するために変更することができることを理解できる。
【0146】
1つの態様によれば、マニホールド3200のベースは図4Lに示すような持ち上げた中央部分を含む。持ち上げた中央部分は、例えば図4Lに示すように長さがL1で高さがH1の、マニホールド3200のベースの刻み目を含む。持ち上げた中央部分は、患者の顔(例えば、上唇)とマニホールド3200間の干渉を少なくすることによって患者の快適さを改善する。
【0147】
1つの実施例において持ち上げた中央部分は図4Lに示すように、スパンが約30mmで約6mm持ち上げられている。そのほかの形態では、持ち上げた中央部分は25mmから35mmの間でスパンし、さらに代案として15mmから45mmの間でスパンする。追加でまたは代案として、持ち上げた中央部分は5mmから7mmの間でまたは4mmmから8mmの間でまたは3mmから9mmの間で持ち上げられる。
【0148】
上唇または鼻下のような顔の敏感な部分にかかる圧力および/または力を低減する目標を達成しながら、任意の数のその他の方法および/またはメカニズムを採用できることは当業者によって理解されよう。例えば、1つまたはそれ以上の低減されたローカル壁厚さ、折り畳みのセクション、異なる材料の使用(例えば柔らかい材料)、柔軟なジョイントまたは湾曲した幾何形状を使用して、顔との係合の方向におけるマニホールド3200の有効ばね率を低減できる。
【0149】
患者インタフェース3000は、マニホールド3200の終端に連結されるように構成された1つまたはそれ以上のキャップ3210を含むことができる。マニホールドキャップ3210は、マニホールド3200の終端に連結しそして壁を形成するように閉じることができる。いくつかのの形態において、マニホールドキャップ3210は接続ポート3600を含み、そこを通してマニホールド3200を空気回路4170に接続して空気の流れを受け入れまたは吐出する。マニホールドキャップ3210は、取り付けを確実にするためにマニホールド3200の中に挿入できるが、多くのそのほかの接続形態も適している。
【0150】
図4Bに示す形態では、マニホールド3200はマニホールド3200の第1の終端と、空気回路4170に接続するための接続ポート3600を含む第2のマニホールドキャップ3210を閉じるように構成されたマニホールドキャップ3210に接続できる。
【0151】
マニホールドキャップ3210はマニホールド3200の位置決めおよび/またはマニホールド3200の位置決めと安定化構造3300へ固定する接続方法をさらに含む。接続方法は図4Bまたは図4Kに示すようなラッチでよい。マニホールドキャップ3210は終端部3335epを経由して図4B図4Kに示す位置決めと安定化構造3300にはめ込むように構成される。
【0152】
端部3335epは図4Kに示すようにラッチのレシーバー部を含むが、多くのそのほかの配置も適している。速やかに組み立てられるようにラッチは導入部を含み、マニホールドキャップ3210の分解を妨げている。
【0153】
もう1つの態様によれば鼻突起3100は、患者インタフェース3000の位置決めと安定化構造3300に対して動くことができるように構成できる。1形態において、マニホールド3200は図3A-3Bに示すように回転バレル3250に連結でき、ここにバレル3150は位置決めと安定化構造3300または図3H-3Iに示す前部留め具のようなその一部に回転自在にはめ込まれる。
【0154】
バレル3150と前部留め具3320は回転可能にはめ込まれ、相対的回転の調整が(例えば、図3Hと3Iに示すノッチ3152と突起3322によって)離散的に可変となるかまたは例えば滑り摩擦嵌め(図示せず)によって連続して可変となる。
【0155】
1形態におけるバレル3150はグリップ3150grを含み片手でバレル3150を簡単に回転できる。グリップ3150grは1つまたはそれ以上の患者1000の指(または別のユーザ)を受け入れるように構成された1つまたはそれ以上の凹みをまたはグリップ3150grで指のはめ込みを改善する高摩擦面を含む。
【0156】
バレル3150は1つまたはそれ以上の端末を含み、各端末はマニホールド3200の端末を閉じまたは接続ポート3600を提供するように構成される。例えば図3Bに示す典型的なバレル3150は、マニホールド3200の第1の端で壁を形成するように構成された第1の閉鎖端と接続ポート3600に接続するように構成された第2の開口端を含む。図3Bに示すバレル3150の第1端はグリップ3150grを含み、グリップ3150grは第2端に何らかの形で置いてよい。
【0157】
それぞれの鼻突起3100は、流れまたは空気を患者の気道に送達する1つまたはそれ以上の開口3110を含む。1つの態様において開口3110は図3Cに示すように楕円形状に構成されるが、その他の形状または構成も適していることを当業者によって理解されよう。
5.3.2 位置決めと安定化構造3300
【0158】
本技術の患者インタフェース3000の空気方向付け構造は、位置決めと安定化構造3300によって作動位置に保持される。1形態において位置決めと安定化構造3300はフレーム(例えば、2つの側面留め具3310と前部留め具3320)とヘッドギア(例えば、後部ひも3350と頂部ひも3340)を含む。位置決めと安定化構造は空気方向付け構造を使用中にその開口位置および/または方向に保持するよう構成され、患者への潜在的な騒乱を最小限に抑えている。1形態において、位置決めと安定化構造3300は患者1000の上唇(上唇)または鼻下の領域に最小限の圧力がかかるように構成される。これについては以下に詳細に説明する。
5.3.2.1 フレーム
【0159】
患者インタフェース3000は、患者インタフェース3000の形状および/または構成を1つまたはそれ以上の方向または態様に維持するなど患者インタフェース3000へのスケルトンとして働くように構成されている。フレームは使用中は患者1000の左右の頬のような患者1000の顔に係合するように構成される。いくつかの形態において、フレームはポリプロピレンまたはポリカーボネートから例えば成形で作ることができる。
【0160】
位置決めと安定化構造3300はいくつかの構成において、患者インタフェース3000が使用中のような作動位置および/または方向にある時、少なくとも患者の頬に係合するように構成されたフレームを含む。
【0161】
フレームは、ある方向(例えば、前方)におけるフレームの剛性が、患者インタフェース3000のもう1つの位置の剛性より高くなるようにさらに構成される。例えば、患者の頬(複数)と係合した位置におけるフレームの剛性は、上唇に係合するための患者インタフェース(例えば、マニホールド3200)の剛性より高い。
【0162】
典型的な構成において、患者インタフェース(特に鼻突起3100)を位置決めし支持するために位置決めと安定化構造3300によって患者1000に加えられた力(支持負荷)は、主として頬に有利に反応し、したがって患者1000は例えば患者の上唇よりも概して敏感でない。
【0163】
頬係合領域における患者インタフェース3000は、少なくとも1方向(例えば、前方)における可能性のある比率の1つにより、上唇の係合部と比較して堅い。例えば頬係合領域は、約2倍、5倍、10倍または20倍堅い。この比率は患者インタフェースの特定の配置により変動することが理解されよう。この比率に影響を与えるいくつかの典型的な態様は、頬係合領域および/または上唇係合部分の接触面積の大きさまたは患者インタフェース3000を使用中は、上唇係合領域(例えば、マニホールド)は何時も上唇に係合していないので、上唇嵌係合領域が上唇と常時接触しているかどうかを含む。
【0164】
1形態において、図3Eに示すようにそれぞれの側面留め具3310は湾曲した頬係合領域3310chを含む。側面留め具3310は支持負荷が患者の頬(ここで側面留め具3310が頬に係合される)に送られ(そして反応するように)堅固に構成される。例えば、側面留め具3310はマニホールド3200におよび/またはシリコンのような柔らかい材料で構築された突起3100に関して堅固に構成される。
【0165】
側面留め具3310を曲げて顔の輪郭に従うように、側面留め具3310は顔の表面に沿って伸びる方向に相対的に薄いが、その他の方向(例えば、垂直方向)には側面留め具3310は変形に抗するため厚い。このような配置にすると側面留め具3310の1つの形状が複数の患者の顔の形状に適したものとなる。いくつかの形態では、フレーム(例えば、側面留め具3310)は(例えば、図3D-3Eに示すように)湾曲に合わせて事前に曲げて顔の典型的な湾曲に合わせ、形状の可変性が要求される場合は調整機能に十分な柔軟性を持たせる。
【0166】
もう1つの態様によれば患者インタフェース3000は、図3A-3Bに示す前部留め具3320のような剛体の前の部分をさらに含み、これが2つの側面留め具に3310連結する。前の部分はマニホールド3200に加えて存在してよく、マニホールドも2つの側面留め具間に存在してよい。しかしマニホールド3200は、前部留め具3320および/または側面留め具3310のようなフレームから構造的に減結合されるように構成される。
【0167】
このようにいくつかの形態では、患者インタフェース3000は剛体の前の部分(例えば、前部留め具3320)とマニホールド3200を含み、いずれも顔を横切って(矢状面に垂直に)伸びる。マニホールド3200は呼吸できるガスの効果的な送出のために患者の顔に近づけて位置しており、一方前の部分は患者インタフェースの左右側面に接続されるように構成される。
【0168】
いくつかの形態では、前の部分は患者1000の顔から遠ざかる方向に(例えば、上唇に関して)引っ込ませる。このように前部留め具3320は図3Eに示すように患者1000から前方向(方向については図2Dを参照)に引っ込ませる。
【0169】
1形態において、前部留め具3320は中央部3325および1つまたはそれ以上の側面部3327を含む。中央部3325は患者の顔を横切って伸び、マニホールド3200から引っ込ませている。1つまたはそれ以上の側面部3327(例えば、左部分と右部分)は側面留め具(複数)3310にはめ込まれおよび/または取り付けられるように構成される。
【0170】
前部は堅固に構成されそしてフレーム(例えば、側面留め具3310)の頬係合部(複数)に堅固に連結されるかまたはそのいずれかで、頬係合部(複数)が使用中はそれらの望ましい作動位置および/または方向に維持されるのを支援する。
【0171】
示された実施例(図3E参照)において、前部留め具3320はフレームが全体として横方向に(すなわち矢状面を横切って)堅固に拘束されるように側面留め具3310に係合される。
【0172】
フレームの前部は、患者1000の上にある鼻突起3100およびマニホールド3200によって引き起こされる不快さを低減するように構成される。
【0173】
前部留め具3320は、1つまたはそれ以上の方向(例えば、前方)へのマニホールド3200に関して凹部を含む。このような構成では患者の顔(例えば、上唇)とのマニホールド3200のインタフェースが、上記のようにマニホールドの前方への変形または変位を起こすことがある。
【0174】
図3E図3Fに示す実施例において、前部留め具3320はマニホールド3200と前部留め具3320の間に前方へ(たとえば、中央部分3325の中央へ)凹部3323を含むように示されている。このように凹部3323は、患者1000の上唇と接触した時に生じる前方への変形または変位時にマニホールド3200がそこへ移る空間を提供する。
【0175】
有利なことに、変形したまたは変位したマニホールド3200は、変形および/または変位が凹部の中へ向けて生じるので、前部留め具3320と接触することにはならない。従ってこの構成における患者の顔にかかる抵抗力は、マニホールド3200が前部留め具3320のような剛体の境界に抗して押される構成と比較して低減される。
【0176】
さらに、マニホールド3200と前部留め具3320間にこのような凹部を設けたことで、前部留め具3320によってマニホールド3200が崩壊(例えば、断面積の有意な低減になる)を生じることなく前方に変位でき、空気流路の潜在的な閉塞が防止される。これは患者1000への空気の流れの送出に対する任意の潜在的な変化を低減することによりさらに有利である。
【0177】
上記の1つまたはそれ以上の凹部を設けることは患者インタフェース3000の患者1000への取付けにおいてさらに有利である。患者の頭と顔の形状が患者によって異なり、患者インタフェース3000が適応する必要のある適用の範囲が創られることはよく知られている。1つまたはそれ以上の凹部を含む上記の患者インタフェース3000は、患者1000の頭と顔の形状の変化に対応するのに役立つ。
【0178】
例えば、1つまたはそれ以上の凹部によってマニホールド3200と鼻突起3100が、顔の敏感な領域へ相対的に一定の圧力を維持しながら患者1000の顔に対して移動でき、このようにして顔の変化に対する不快の程度の感受性を低減する。
【0179】
マニホールド3200と前部留め具3320間の凹部は、2-3mm、2.5mmのような例えば約1-4mmの間である。いくつかの形態において凹部は大きくてもよいしまたは小さくてもよく、凹部の大きさは例えば特定の配置および/または患者インタフェース3000の構成により、本明細書で議論する実施例から変動することが理解されよう。
【0180】
本技術の1形態において、位置決めと安定化構造3300は図4Bに示すような留め具3300を含む。留め具3300はここに詳細を記述するように中央部3335を含む。
【0181】
中央部3335は1つまたはそれ以上の図4Gに示すような筋かい部材3335stを含む。中央部3335の筋かい部材3335stは図4Hに示すようにマニホールド3200を取り巻くように構成される。図4B図4Gに示すように中央部3335は、マニホールド3200のような空気方向付け構造を少なくとも部分的に取り巻く。
【0182】
1形態において、1つまたはそれ以上の筋かい部材を合わせて三角形の部分を作ることができる。いくつかの実施例において三角構造の1つまたはそれ以上の側面は実質的に涙滴様の空洞になるように曲げることができる。構造は実質的に非平面であるが、それでも‘三角形になっている’と考えられる。
【0183】
図4Gに示す中央部分3335の例は、それでも三角形になっていると言える2つの面外、涙滴形状の構造を含むと言える。
【0184】
図4G図4Hに示すように中央部分3335は、マニホールドを横切って前方および後方に伸びる2つの三角形構造を含む。三角形構造は矢状面においてまたはその近くで図4G図4Hに示す共通のアンカー部3335に向けて覆う筋かい部材3335stで接続される。
【0185】
複数の筋かい部材3335stはこのようにマニホールド3200の少なくとも高さの幅からもう1つのアンカー部3335anに伸びる。いくつかの形態において4つの筋かい部材3335stは、図4G図4Hに示すようにある角度で中央アンカー部分3335と合流して、軽量であるが上下方向に剛体の三角構造を創る。
【0186】
筋かい部材のそれぞれのセットは遠位末端で終端部3335epでもう1つの部分3335anと結合され三角形のループ状構造を形成する。終端部3335epはマニホールド3200に相補的に形成されてマニホールド3200を取り巻く湾曲した部分を含む。このように図4Hに示す実施例は、中央部分3335の三角構造を横断するマニホールド3200を示している。
【0187】
図4G図4Hにおいて中央部分3335は2つの三角形部分を含むように示されているが、その他の形態も可能であることに留意されたい。示された実施例においてアンカー部3335an、筋かい部材3335stおよび/または終端部3335epは互いに一体として形成されているが、その他の配置も可能であることに留意されたい。
【0188】
さらにまたは代案として、中央部分3335は曲線を含む。中央部分3335は、上方向に垂直な面(例えば、図4Jに示す方向のような患者が着用している場合頭の上から)から見たとき1つまたはそれ以上の面で湾曲している。図4Dに示すように中央部分3335は半径が約30mmの曲線を含む。
【0189】
その他の半径、例えば範囲が20-50mm、25-40mm、30-35mmまたはその他の半径ももちろん適していることが理解される。適切な半径は意図する患者の層、患者インタフェース3000の他の部分の剛性、マニホールド3200の大きさまたは患者インタフェース3000のタイプのような多くのほかのパラメータによって選択される。
【0190】
中央部3335は1方向において他の方向よりより剛体であるように構成される。1形態において中央部3335は第2の、直交する方向より1方向においてより高い曲げ剛性を含む。
【0191】
例えば中央部3335は、前方への力によって生じた曲げモーメントより上方への力によって生じた曲げモーメントに対する反応が有意に固い。このような構成では、患者1000に有意な力および/または圧力(従って不快さ)をもたらすことなく患者インタフェース3000が患者の顔により有利に適合する。
【0192】
1形態において剛性における前記の不一致は、中央部を第2の直交する方向(例えば、上から見たとき)ではなく、1方向(例えば前方から見たとき)に三角形に構成することによって少なくとも一部達成される。例えば図4E、4Gおよび4Jを精査すると、患者インタフェース3000は(図4Eに示すように)1方向に三角形となり、直交する方向(例えば、図4J)にはそのようにならない。
【0193】
中央部3335の少なくともある部分は、図4K図4Lで見られるようにマニホールド3200の外部を超えて伸びている。中央部3335は例えば図4Jに示すように、マニホールドの外部を超えて前方および後方に伸びている。
【0194】
中央部3335はマニホールド3200から離脱してもよい。離脱するとマニホールド3200は低剛性を維持しながら変形および/または変位して患者への力および/または圧力を低減する。詳細は本明細書の他の何処かに記述されている。
【0195】
中央部3335は、マニホールドを左から右へ横切るように、例えばマニホールド3200の幅の少なくとも一部にまたがって、プレナムチャンバーの少なくとも一部を横切って伸びる。いくつかの形態では、中央部3335はプレナムチャンバーの全幅を横切って(左から右)またがり、限られた場所でプレナムチャンバーに係合するのみである。
【0196】
例えば中央部3335は、図4H、4Jおよび4Kに示すようにプレナムチャンバーの左端と右端において端突起3335epを経由してプレナムチャンバーに係合する。
【0197】
中央部3335はいくつかの形態では、上から見ると(例えば図4Jに示すように)マニホールド3200に重なっているが、中央部3335の重なった部分の少なくとも一部とマニホールド3200は互いに係合しない。
【0198】
マニホールド3200の周りにおよびそれを超えて伸びる中央部分3335の一部は図4Dに示すように湾曲しているが、その他の形態と形状も可能である。
【0199】
係合することなくマニホールド3200の外部のまわりにおよび/またはそこを超えて伸びることにより、中央部分3335は患者インタフェース3000に剛性の構造を提供する。同時にマニホールド3200は比較的低い剛性を含むので、使用中に患者1000の不快を低減する。
【0200】
1実施例において、中央部分3335とマニホールド3200は患者インタフェース3000の剛性がマニホールド3200の存在による影響を無視できるように構成される。例えば、マニホールド3200は本明細書に記述されている実質的に円筒形状の薄いシリコン構造を含み、一方中央部3335は複数の三角形の筋かいを含む。
【0201】
このように中央部3335の湾曲部の部分のみが、湾曲した部分の端におけるようにマニホールド3200に係合する。この技術のいくつかの構成において、中央部3335の一部のみが曲げられることに注目すべきである。
【0202】
さらにまたは代案として、患者インタフェース3000は中央部分3335とマニホールド3200間の前方への凹み3323(例えば、図4Jに示すような)を含む。中央部3335はいくつかの形態では中央部3335とマニホールド3200間の凹みが矢状面を横切る大きさが変化するように構成される。従ってマニホールド3200が偏向または変形すると、例えば前方へのマニホールド3200の偏移の関数として、マニホールド3200は次第に中央部3335と接触するようになる。これは患者インタフェース3000の前方への剛性を進行的に上げる効果があり、患者へのフィードバックと共に剛性の制御された向上をもたらす。
【0203】
上記のように(図3Bに示すように)フレームは側面留め具3310と側面留め具3310の対のような複数のパーツを含む。しかしフレームは1つのパーツまたは示されている構成より多数のパーツのような任意の数のパーツを含むことができることを理解されたい。いくつかの形態では、患者の快適さを上げるために患者の皮膚にフレームが当たるところでは、フレームは剛性材料で作られたスケルトンの部分(図3Bにおける3310skまたは図4Bにおける3330sk)および柔らかい材料(例えばシリコンまたは繊維)で作られたカバー部も含む。カバー部は図3Bに示すようにシリコンの外側被覆(3310om)または図4Bに示すように繊維被覆(3330tc)とする。
5.3.2.2 ヘッドギア
【0204】
好ましくは、ヘッドギアは患者の頭部に係合し鼻突起3100を患者の鼻孔に関して位置決めするのを手伝うために提供される。ヘッドギアのさまざまなタイプと配置が当該技術において知られており、ヘッドギアの適切な形態が多くあることが理解されよう。
【0205】
図3A-3Jに示された1形態においてヘッドギアは後部ひも3350と頂部ひも3340を含み、これらは接着剤、縫製、オーバーモールディングなどの多くの既知の方法の1つを使用してフレームに係合できる。そのほかの形態では、ヘッドギアはフレームと一体で形成される。
【0206】
ヘッドギア(図示せず)のいくつかの形態は、支持のために患者の耳を1つまたはそれ以上のヘッドギア部分に係合させ、それらのそれぞれが耳の基部の周りに輪になりまたは曲がる。ヘッドギア(図示せず)のいくつかの形態は、後部のひものみを含めるために単一のひもを含む。ヘッドギア(図示せず)その他の形態は1つまたはそれ以上のひもを含み、それぞれが例えば二股になっている。
【0207】
当該技術において以前より知られているヘッドギアの少なくともいくつかの形態は、現在の技術の態様と組み合わせることができるとことが理解できる。例えば、国際特許出願WO/2014/015382で開示された二股のひもは本技術のフレーム、マニホールドおおび突起と組み合わせることができる。
5.3.3 接続ポート3600
【0208】
接続ポート3600は空気回路4170との接続を可能にする。1形態において、接続ポート3600はフレーム上(図3Aまたは4A)に置くことができるが、接続ポート3600は図3Bに示すようにもう1つの空気回路4170と接続するために空気回路4170の端に置いてよい。
5.4 RPT装置4000
【0209】
本技術の1態様による好ましいRPT装置4000は、機械的および空気的コンポーネンツ4100、電気的コンポーネンツ4200を含み、1つまたはそれ以上のアルゴリズム4300を実行するようにプログラムされている。RPT装置は好ましくは外部ハウジング4010を有し、好ましくは上の部分4012と下の部分4014の2つに形成される。さらに外部ハウジング4010は1つまたはそれ以上のパネル(複数)4015を含む。好ましくはRPT装置4000は、RPT装置4000の1つまたはそれ以上の内部コンポーネンツを支持するシャーシ4016を含む。1つの形態において空気ブロック4020はシャーシ4016によって支持されまたはその一部として形成される。RPT装置4000はハンドル4018を含む。
【0210】
RPT装置4000の空気路は好ましくは入口空気フィルター4112、入口マフラー4122、陽圧の空気を供給できる圧力発生器4140(好ましくは送風機4142)、空気ブロック4020および出口マフラー4124を含む。圧力センサー4272および流れセンサー4274のような1つまたはそれ以上の変換器4270が空気路に含まれる。
【0211】
好ましい空気ブロック4020は、外部ハウジング4010内に位置し圧力発生器4140を収納できる空気路の一部を含む。
【0212】
RPT装置4000は好ましくは電源4210、1つまたはそれ以上の入力装置4220、中央コントローラ4230、治療装置コントローラ4240、圧力発生器4140、1つまたはそれ以上の保護回路4250、メモリー4260、変換器4270、データ通信インタフェース4280および1つまたはそれ以上の出力装置4290を有する。電気的コンポーネンツ4200は単一のプリント基板アセンブリ(PCBA)4202上に取り付けることができる。代案の形態として、RPT装置4000は1つ以上のPCBA4202を含む。
5.5 加湿器5000
5.5.1 加湿器の概要
【0213】
本技術の1形態において、患者に送達される空気またはガスの絶対湿度を周囲空気に対して変更するために(図6Aおよび図6Bに示すような)加湿器5000が提供される。典型的には加湿器5000は、空気の流れが患者の気道に送達される前に(周囲空気と比較して)絶対湿度を上げ、温度を上げるために使用される。
【0214】
加湿器5000は加湿器リザーバー5110、空気の流れを取り入れる加湿器入口5002および加湿された空気の流れを吐出する加湿器出口5004を含む。いくつかの形態では図6A図6Bに示すように、加湿器リザーバー5110の入口と出口はそれぞれ加湿器入口5002と加湿器出口5004であってよい。加湿器5000は、加湿器リザーバー5110を取り付けるように適合され加熱エレメント5240を含む加湿器ベース5006をさらに含むことができる。
5.6 用語解説
【0215】
本技術の公開の目的で、本技術のある形態において、1つまたはそれ以上の以下の定義を適用してよい。本技術のそのほかの形態において、代案の定義を適用できる。
5.6.1 一般
【0216】
空気:本技術のある形態において、空気は大気の空気を意味し、本技術のそのほかの形態では、空気は例えば酸素の多い大気の空気のような呼吸できるガスのいくつかのそのほかの組み合わせを意味する。
【0217】
周囲:本技術のある形態において、周囲の用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、(ii)治療システムまたは患者を直接取り巻いているを意味する。
【0218】
例えば、加湿器に関する周囲湿度は、例えば患者が睡眠中の部屋の湿度ように、加湿器を直接取り巻いている湿度である。このような周囲湿度は、患者が睡眠中の部屋の外の湿度と異なる。
【0219】
もう1つの実施例において、周囲圧力は身体を直接取り巻いているまたはその外の圧力である。
【0220】
ある形態では、周囲騒音(例えば、音響)は、例えばRPT装置が発生する騒音またはマスクまたは患者のインタフェースから出る騒音以外の、患者の居る部屋の暗騒音レベルと考えてよい。周囲騒音は、部屋の外の源で発生する。
5.6.2 顔の解剖学
【0221】
フランクフォート水平面:眼窩縁の最下部から左耳点に伸長する線。耳点は心耳の耳珠の上にあるノッチにおける最深ポイントである。
【0222】
鼻孔(鼻孔):鼻腔の入口を形成するほぼ楕円状の開口。鼻孔(nares)の単数形は鼻孔(naris)である。鼻孔は鼻中隔で分けられている。
5.6.3 材料
【0223】
シリコンまたはシリコン・エラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコンは液体シリコンゴム(LSR)または圧縮形成シリコンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの1形態は、Dow Corningが製造しているSILASTIC(この商標で販売されている製品範囲に含まれている)。LSRを製造しているもう1社はWackerである。特に明記のない限り、LSRの好ましい形態は、ASTM D2240に従って測定された約35から45の範囲のショアA(またはタイプA)圧入硬度を有している。
【0224】
ポリカーボネート:ビスフェノール-Aカーボネートの典型的に透明な熱可塑性ポリマー。
5.6.4 患者インタフェースの態様
【0225】
フレーム:フレームは、ヘッドギアとの2つまたはそれ以上の接続ポイント間の張力の負荷に耐えるマスク構造を意味する。マスクのフレームは、マスクにおいて非機密耐加重構造であってよい。しかしいくつかの形態のマスクフレームも気密であってよい。
【0226】
ヘッドギア:ヘッドギアは、頭に使用するようにデザインされた位置決めと安定化構造の形態を意味すると解釈してよい。好ましくは、ヘッドギアは1つまたはそれ以上の筋かいの集まり、患者インタフェースを呼吸治療の送達のために患者の顔の適切な場所に位置に置きかつ保持するように構成された、固定具とスティフナーを含む。いくつかの固定具は、発泡体と織物の積層複合材のような柔らかく、柔軟な弾性材で形成される。
【0227】
プレナムチャンバー:マスク・プレナムチャンバーは、容量のある空間を囲む壁を有する患者インタフェースの一部を意味すると解釈され、空気方向付け部を通して吐き出される前の容量である。いくつかの形態において、シェルまたはフレーがプレナムチャンバーの壁の一部を形成することができる。
5.6.5 患者インタフェースに関して使用される用語
5.7その他の注記
【0228】
本特許文献の開示の一部は、著作権保護にあたる事項を含んでいる。著作権の所有者は、特許庁の特許ファイルまたは記録にそれが載っている限り、誰かが特許文献または特許の開示をフクシミリ複製することについて異議を唱えることはない。載っていなければ、何であれすべての著作権を留保する。
【0229】
文脈で明確に記載されていなければ、また値の範囲が記載されていなければ、それぞれの介在する値は、その範囲の上限と下限の間で、下限の単位の1/10まで、およびその記述された範囲の任意のそのほかの記述されたまたは介在する値は、該技術に包含される。これらの介在範囲の上限と下限は、記載された範囲における任意の具体的に除外される限界を条件として、介在範囲に独立に含めてよく、本技術の範囲内に包含される。記述した範囲が一つまたは両方の制限を含む場合、これらの含まれた制限のいずれかまたは両方を除いた範囲も該技術に含まれる。
【0230】
更に、一つまたはそれ以上の値が、技術の一部としてここに組み込まれていると記載されている場合、特記のない限り、このような値は近似することができ、実際的な技術の実装が許容するまたは必要とする範囲まで、このような値は、任意の適当な有意桁まで利用できると理解される。
【0231】
特に定義されていない限り、本明細書で使用するすべての技術的用語および科学的用語は、この技術が属する当業者の一人によって共通して理解されるのと同じ意味を有している。ここに記載のものに類似したまたは同等な任意の方法また材料も、本技術の実践またはテストで使用できるが、限られた数の例示的方法と材料がここに記載されている。
【0232】
特定の材料がコンポーネントを構築するのに好ましく使用されると確認された場合、同様の特性を有する明らかに代替の材料を代替えとして使用できる。さらに、それとは反対に特記のない限り、ここに記載の任意のそしてすべてのコンポーネンツは製造が可能と理解され、よって一緒にまたは別に製造することができる。
【0233】
本明細書と付属の請求の範囲で使用される単数形 “a”、“an”および“the”は、文脈で明確にそうでないと記述されていない限り、複数形を含むことに留意すべきである。
【0234】
ここで言及したすべての刊行物は、これら刊行物の主題である方法および/または材料を開示しかつ記述するために参照のため取り入れられた。ここで議論する刊行物は、それらの開示の目的で、本出願の出願日に先立ち提供された。ここに記載のいずれも、本技術が先行発明の理由でこのような刊行物に先行する権利を与えられたと解釈できない。さらに記載の公開日が実際の刊行日と異なるかもしれず、それぞれ単独で確認する必要がある。
【0235】
さらにこの開示を解釈する場合、すべての用語は文脈に一致した最も広範で合理的な態様で解釈すべきである。特に語句“comprises”と“comprising”は、エレメンツ、コンポーネンツまたはステップを参照すると非独占の態様で解釈して、参照したエレメンツ、コンポーネンツまたはステップが、存在するかまたは利用されるかまたは明示的に参照されていないそのほかのエレメンツ、コンポーネンツまたはステップと組み合わされるとすべきである。
【0236】
詳細な説明で使用される件名は、読者の参照を容易にするためにのみ含まれており、開示または特許請求の範囲にわたって見出される主題を制限するために使用してはならない。主題の見出しは請求項または請求項の制限の範囲を解釈するのに使用してはならない。
【0237】
本明細書に記載の技術は特定の実施例を参照して記述してきたが、これらの実施例は該技術の原理と適用の単なる例示であることを理解されたい。場合によっては、用語および記号は、該技術を実践するのに要求されない特定の詳細を暗示することがある。例えば、“第1の”および“第2の”という語句が特記のない限り使用されるが、それらは任意の順序を示すことを意図せず、はっきりと異なるエレメンツを区別するために使用できる。さらに方法論におけるプロセス・ステップは順に記述または例示されてもよいが、このような順序は必要とされない。当業者は、このような順序が修正されてもよいことおよび/またはそれらの特徴が同時にまたは同期的に実施されてもよいことを認識するであろう。
【0238】
従って、例示的な実施例に多数の変更が行われてもよく、該技術の趣旨および範囲から逸脱することなくそのほかの配置が考案され得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0239】
5.8 引用符号のリスト
【0240】
【表4】
【0241】
【表5】
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図2L
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図4L
図4M
図5A
図6A
図6B