(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】積層シート製造用の電気的機能要素を有するコンポーネント
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20230424BHJP
B60Q 3/208 20170101ALI20230424BHJP
B60Q 3/80 20170101ALI20230424BHJP
B60Q 3/47 20170101ALI20230424BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20230424BHJP
B60R 16/023 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
C03C27/12 Z
B60Q3/208
B60Q3/80
B60Q3/47
B60R16/02 620Z
B60R16/023 Z
(21)【出願番号】P 2021512515
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2019067276
(87)【国際公開番号】W WO2020064158
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-03-04
(32)【優先日】2018-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン-ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】ガボル バルガ
(72)【発明者】
【氏名】バスティアン クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ドアーネ シェルビー クライク
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン エッフェルツ
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-500703(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19746526(DE,A1)
【文献】特開2015-003602(JP,A)
【文献】特表2015-501063(JP,A)
【文献】特開平08-244562(JP,A)
【文献】特開2016-222524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/12
B60Q 3/00
B60R 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第一ペイン(12)、第二ペイン(13)、少なくとも一つの熱可塑性フィルム(14)、及びコンポーネント(E)を提供し、前記コンポーネント(E)が、少なくとも二つの電気的機能要素(1、2、3)及びケーブルを備えており、前記ケーブルは、導電体(4.1、4.2、4.3、5、6.1、6.2、6.3、6.4)を備えており、前記導電体は、絶縁シースを有しており、かつ、それぞれの場合で、電気的機能要素(1、2、3)に接続されており、前記ケーブルが、バンドリングセクション(G)を有しており、そのバンドリングセクションで、全ての導電体(4.1、4.2、4.3、5、6.1、6.2、6.3、6.4)が共通の絶縁シース(7)で取り囲まれており、
(b)前記第一ペイン(12)及び前記第二ペイン(13)と、それらの間の前記フィルム(14)を、互いに平坦に配置してスタックを形成し、前記コンポーネント(E)の、少なくとも一つの電気的機能要素(1、2)を、前記フィルム(14)と前記ペイン(12、13)の一つとの間に配置し、かつ、前記バンドリングセクション(G)を、前記スタックの外側に配置し、
(c)前記第一ペイン(12)を、前記フィルム(14)を介して前記第二ペイン(13)に積層によって結合する、
積層シートの製造方法。
【請求項2】
前記電気的機能要素(1、2、3)を、前記積層シート(W)内で、互いに重なり合うように配置する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コンポーネント(E)の少なくとも一つの電気的機能要素(3)を、熱可塑性フィルム(14)から離れた側の、ペイン(12、13)のうちの一つの面に、接着剤(11)を用いて取り付ける、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記コンポーネント(E)が、前記積層シート(W)内に組み入れるための、少なくとも二つの内部電気的機能要素(1、2)、及び前記積層シート(W)に外部取り付けするための、少なくとも一つの外部電気的機能要素を備え、一つの内部機能要素(1)を、前記第一ペイン(12)と前記フィルム(14)との間に配置し、一つの内部機能要素(2)を、前記第二ペイン(13)と前記フィルム(14)との間に配置し、かつ、前記外部機能要素(3)を、接着剤(11)とともに、前記フィルム(14)から離れた側の前記第二ペイン(13)の表面に配置し、かつ、前記第二ペイン(13)と前記フィルム(14)との間の前記機能要素(2)を、他の二つの機能要素(1、3)を電気的にシールドするための電気的シールド要素として組み込む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ケーブルが、電気的機能要素(1、2、3)それぞれのために、関連する個別セクション(I.1、I.2、I.3)を備えており、個別セクション(I.1、I.2、I3)は、前記電気的機能要素(1、2、3)それぞれに接続されており、かつ、その個別セクション(I.1、I.2、I3)において、前記機能要素(1、2、3)の導電体(4.1、4.2、4.3、5、6.1、6.2、6.3、6.4)が、それぞれ独自の絶縁シース(7)で取り囲まれており、その独自の絶縁シース(7)は他の機能要素(1、2、3)の導電体(4.1、4.2、4.3、5、6.1、6.2、6.3、6.4)を取り囲んでいない、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも三つの電気的機能要素(1、2、3)を有しており、機能要素(3)の個別セクション(I.3)が、前記バンドリングセクション(G)と部分的バンドリイングセクション(T)に接続されており、その部分的バンドリングセクション(T)において、他の機能要素(1、2)の導電体(4.1、4.2、4.3、5)が、共通の絶縁シース(7)で取り囲まれている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
導電体(4.1、4.2、4.3、5、6.1、6.2、6.3、6.4)の、前記機能要素(1、2、3)から離れている側の端部が、少なくとも一つのプラグコネクタ(S)、好ましくは単一の共通プラグコネクタである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記電気的機能要素(1、2、3)が、センサ、送信機、又は電気的シールド要素として、好ましくは雨センサ、光センサ、相対湿度センサ、温度センサ、スイッチ表面、発光ダイオード、画像センサ、アンテナ、ディスプレイ、加熱要素、超音波センサ、又は電気的シールド要素として組み込まれている、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記導電体(4.1、4.2、4.3、5、6.1、6.2、6.3、6.4)が、少なくとも部分的にフラット導電体として組み込まれている、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ケーブルが、さまざまな機能要素(1、2、3)の前記導電体(4.1、4.2、4.3、5、6.1、6.2、6.3、6.4)をデカップリングするための電気的シールドをさらに備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも二つの電気的機能要素(1、2、3)及びケーブルを備えており、前記ケーブルは、導電体(4.1、4.2、4.3、5、6.1、6.2、6.3、6.4)を備えており、前記導電体は、絶縁シースを有しており、かつ、それぞれの場合で、電気的機能要素(1、2、3)に接続されており、
前記ケーブルが、バンドリングセクション(G)を有しており、そのバンドリングセクションで、全ての導電体(4.1、4.2、4.3、5、6.1、6.2、6.3、6.4)が共通の絶縁シース(7)で取り囲まれており、かつ、
前記ケーブルが、さまざまな機能要素(1、2、3)の前記導電体(4.1、4.2、4.3、5、6.1、6.2、6.3、6.4)をデカップリングするための電気的シールドをさらに備えている、
積層シート(W)製造用コンポーネント(E)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層シート用コンポーネント、それを装備した積層シート、及びそのコンポーネントを用いた積層シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両窓、特にウインドシールドは、電気的機能要素を装備されていることが増加している。ウインドシールドは、積層シートとして実装され、熱可塑性フィルムを介して互いに結合されている二つのガラスペインからなる。電気的機能要素は、積層シート中に積層されること、すなわち、二つのガラスペイン間に配置されること(内部機能要素)、あるいは、積層シートの外側表面に取り付けられること(外部機能要素)ができる。内部機能要素の例としては、車両照明の自動制御用光センサ、ウインドシールドワイパーの自動制御用容量性雨センサ、又はディスプレイ要素としての内部向きLEDがある。外部機能要素の例としては、相対湿度又は温度センサがある。光センサは、例えば、EP2100722A2、WO2017097536A1、及びWO2017097537A1に記載されており、容量性雨センサは、例えば、US4703237A、DE102006000215A1、及びDE102009029602A1に記載されており、インテグレーテッドLEDは、例えば、WO2017203132A1、WO2018077546A1、及びWO2018002723A1に記載されており、相対湿度センサは、例えば、DE102011018485A1に記載されている。
【0003】
車両窓の製造は、電気的機能要素の統合により、かなり複雑になっている。多数の機能要素を統合するとき、典型的には、個々の機能要素を、所望の位置に手動で配置しなければならない。機能要素の電力供給ラインは、典型的にはフラット導電体として組み込まれ、それらのラインは、ペインの端部を介して意図したように配線され、その後、オンボードの電気システムに個別に接続されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、電気的機能要素を有するコンポーネントを提供することであり、それによって、積層シートの製造を簡略化するとともに、それに基づく製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、請求項1のコンポーネントの発明によって達成される。好ましい態様は、従属項で開示される。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明のコンポーネントは、積層シートの製造を意図されている。コンポーネントは、特に、積層シートに取り付けられること、及び/又は積層シート中に埋め込まれることを意図されている。本発明のコンポーネントを、積層シート用コンポーネント、積層シートのコンポーネント、あるいは、積層シートに及び/又は積層シート中に取り付けるためのコンポーネントと呼んでもよい。コンポーネントは、少なくとも二つの電気的機能要素を備える。個々の機能要素は、一つ又は複数の導電体と導電的に結合され、それらの導電体は、機能要素と電気的に接触し、かつ、機能要素を、外部電圧源、基準電位、外部評価電子システム等に接続するために提供され、かつ、それに適する。本発明の意味するところにおいて、導電体全体及びそれらの絶縁シースは、ケーブルと呼ばれる。
【0007】
本発明によれば、コンポーネントのケーブルは、全ての機能要素の全ての導電体が共通の絶縁シースで取り囲まれているセクションを有する。本発明の意味するところにおいて、このセクションは、「バンドリングセクション」と呼ばれる。共通のシースバンドルを有するセクション、いわば、全ての電力供給ライン及びそれに接続された機能要素は、例えば、製造中に、多数の部品に代わって、単一のコンポーネント(それぞれは、機能要素及びその供給ラインを備えている)のみが取り扱われればよい。特に、互いに対する個々の機能要素の配置は、製造される積層シートのペイン及びフィルムの厚さを考慮して選択することができ、その意図した位置は、製造される積層シートの側端にコンポーネントが配置されたときに自動的に決まり、個々の部品それぞれを、複雑な手順で配置する必要はない。これは、積層シートの製造を非常に簡便にし、本発明の主たる利点を構成する。
【0008】
製造される積層シートは、車両複合ペインであることが好ましく、車両ウインドシールト、特に、例えば、乗用車、トラックなどの自動車の、あるいは、鉄道車両のウインドシールドが特に好ましい。しかし、原則として、本発明は、別の車両窓、例えば、ルーフパネル、サイドウインドウ、又はリアウインドウにも適用可能であり、それらは、積層シートとして実装される。また、本発明は、別の分野の積層シート、例えば、建設、建築、又はインテリアの分野に適用可能である。
【0009】
積層シートは、第一及び第二ペイン、特にガラスペインを備えており、それらは、熱可塑性中間層を介して互いに結合されている。熱可塑性中間層は、典型的には、少なくとも一つの熱可塑性フィルムから形成されている。積層シートが、ウインドウペイン、例えば、車両のウインドシールドとして提供されていると、それは、室内(車両室内)を外部環境と分離することを意図されており、二つの固定されたペインは、「外側ペイン」及び「内側ペイン」ということができる。「内側ペイン」は、組み込み位置で、室内に面しているペインといえる。「外側ペイン」は、組み込み位置で、外部環境に面しているペインといえる。組み込み位置で外部環境に面している、それぞれのペインの面を、「室外側表面」という。組み込み位置で室内に面している、それぞれのペインの面を、「室内側表面」という。外側ペインの室内側表面は、熱可塑性中間層を介して、内側ペインの室外側表面に結合している。通常、外側ペインの室外側表面を「サイドI」、外側ペインの室内側表面を「サイドII」、内側ペインの室外側表面を「サイドIII」。内側ペインの室内側表面を「サイドIV」という。
【0010】
共通の絶縁シースを有する、本発明のコンポーネントのバンドリングセクションから始まり、いわば、個々の機能要素の供給ラインは分岐する。それぞれの機能要素が直接接続されているのは、その機能要素の導電体又は複数の導電体が、それら独自の絶縁シースで取り囲まれているセクションであり、そのセクションは、他の機能要素の導電体を取り囲んでいない。本発明の意味するところにおいて、ケーブルのセクションは、「個別セクション」という。これらのセクションは、いわば、共通のシースを有するバンドリングセクションに繋がっていき、バンドリングセクションは、供給ラインとともに機能要素を束ね、単一のコンポーントを形成し、機能要素間の距離を固定する。したがって、バンドリングセクションから始まり、ゲーブルが、機能要素の方向に分岐又は扇形に広げられ、関連する個別セクションが各機能要素の真正面に配置される。
【0011】
コンポーネントが二つを超える機能要素を備えている場合、供給ラインは、共通のシースとともにバンドリングセクションに繋がっていてもよく、有利な態様では、段階的に、供給ラインが分岐/扇形に広がることが、バンドリングセクションから始まってもよい。この場合、全てではないが、多くの機能要素の導電体が、共通のシースによって組み合わされている、少なくとも一つのセクションがある。本発明の意味するところにおいて、このセクションは、ケーブルの「部分的バンドリングセクション」という。バンドリングセクションから始まって、最初に、一つの機能要素の個別セクションが分岐するのに対して、部分的バンドリングセクションの他の機能要素の供給ラインは、最初は、共通の絶縁シース中を伸び続け、その後、個別セクションに分岐する。したがって、バンドリングセクションから始まって、ケーブルは、機能要素の個別セクションと、他の機能要素の部分的バンドリングセクションとに分岐する。すなわち、全ての導電体が共通のシースで取り囲まれているバンドリングセクションは、一つの機能要素の個別セクションに接続されており、個別セクションにおいて、機能要素の導電体は、それら独自の絶縁シースで取り囲まれており、その独自の絶縁シースは、他の機能要素と部分的バンドリングセクションを取り囲まず、部分的バンドリングセクションにおいて、他の機能要素の導電体は、共通の絶縁シースによって取り囲まれている。
【0012】
したがって、ケーブルは、バンドリングセクションと、各機能要素のための個別セクションを備えており、個別セクションは、直接又は部分的バンドリングセクションを介して、バンドリングセクションに接続している。
【0013】
全ての機能要素及びそれらそれぞれの供給ラインは、共通の絶縁シースを有するセクションの同じ側に配置されていることが好ましい。コンポーネントが少なくとも三つの機能要素を備えている場合には、他の機能要素の個別セクション全てが、同じ側から分岐するようにコンポーネントを配置する可能性が一つだけあり、その同じ側は、全ての導電体の共通の絶縁シースを有するバンドリングセクションと機能要素との間の接続ラインからであり、機能要素は、特に、その同じ側から最も離れている(すなわち、機能要素は、個別セクション及びあらゆる部分バンドリングセクションから最も長い供給ラインを有している)。機能要素には、その結果として得られる順序で、連続した番号を付すことができ、それは、接続ラインの終端を形成する機能要素から始まる。この順番は、製造される積層シートの意図する配置に相当する。
【0014】
本発明のコンポーネントは、少なくとも一つの内部電気的機能要素を備えていることが好ましい。特に好ましい態様では、少なくとも一つの内部及び少なくとも一つの外部電気的機能要素を備えている。「内部機能要素」という用語は、積層シートに組み込むことを意図されている、すなわち、積層シートの個々のペインの間に配置されており、複合的に積層されている機能要素を意味する。「外部機能要素」という用語は、積層シートの外側、すなわち、個々のペインの一つの表面の、中間層とは離れた側に取り付けることが意図されている機能要素を意味する。積層シートの従来の製造を複雑にしているのは、まさに、外部及び内部機能要素の組合せであり、この場合に、本発明は特別な方法で、その利点を提示する。
【0015】
コンポーネントが少なくとも三つの機能要素を備えている場合には、好ましい態様では、上述の番号付けによる、中間又は少なくとも一つの中間機能要素が、電気的シールド要素として組み込まれており、これにより、外部機能要素の間で、干渉、結合(「クロストーク」、又はその他の障害を回避する。コンポーネントは、シールド要素を含む少なくとも二つの内部機能要素と、少なくとも一つの外部機能要素を備えていることが好ましい。
【0016】
構成要素が、一つの外部及び複数の内部機能要素を含む、少なくとも三つの機能要素を備えている場合、共通の絶縁シースを有するバンドリングセクションから始まって、外部機能要素の個別セクションが最初に分岐する一方で、共通の絶縁シースを有する部分的バンドリングセクションにおいて、内部機能要素の供給ラインが最初に伸びていき、その後、対応する個別セクションに分岐する。すなわち、外部機能要素の個別セクションは、バンドリングセクションと、内部機能要素の外部の部分的バンドリングセクションに接続する。機能要素の前述の番号付けによる順番は、製造される積層シートで、外側ペインから内側ペインの方向に、機能要素の配置が対応することが好ましく、これは、外部機能要素は、典型的には、室内側表面に取り付けられるためである。そこでは、それらは、室外側表面においてよりも、低い機械的負荷に曝されており、例えば、センサとして、室内の状態についての測定値を示すことができる。
【0017】
特に好ましい態様では、コンポーネントは、ちょうど三つの機能要素、すなわち、一つの外部機能要素及び二つの内部機能要素を備えている。上述の番号付けに従うと、第一機能要素は内部機能要素であり、積層シートの外側ペインに最も近く位置することが意図されており、特に、外側ペインと熱可塑性中間層との間に位置する。第二機能要素は内部機能要素であり、内側ペインと熱可塑性中間層との間に位置することを意図されている。第三機能要素は外部機能要素であり、積層シートの内側ペインの外側に取り付けられることを意図されている。
【0018】
内部機能要素は中間層によって積層シート中に固定されている一方で、外部機能要素は外側に取り付けられている必要がある。有利な態様では、外部機能要素及び/又は外部機能要素の個別セクションにおいて、外部機能要素の、単一の導電体又は複数の導電体が、それら独自の絶縁シースで取り囲まれており、その独自の絶縁シースは他の機能要素の導電体を取り囲んでおらず、外部機能要素及び/又は外部機能要素の個別セクションは、接着剤を用いて提供されている。接着剤は、例えば、接着剤化合物層又は両面接着テープとして組み込まれてよい。接着剤は供給ラインセクションの側に配置されており、その側は、少なくとも一つの内部機能要素の供給ラインに面している。
【0019】
全ての機能要素及びそれらの個々の供給ラインは、共通の絶縁シースを有するセクションの同じ側に配置されていることが好ましい。このセクションとは別の側(より正確には、導電体の終端で、機能要素から離れている側)で、導電体が電気プラグコネクタ(「メス」カップリング又は「オス」プラグ)とともに提供されていることが好ましく、これにより、外部電気システム、例えば、車両のオンボード電気システムに接続する。個々の機能要素の導電体は、それぞれの場合で、個別に、一つ又は複数のプラグコネクタとともに組み込まれていてよい。しかし、特に有利な態様では、全ての機能要素の導電体は一つの共通のプラグコネクタに接続されている。したがって、外部電気システムへの電気的接続は、非常に簡便になる。もちろん、中間的な解決法も考えられ、その場合には、一部の機能要素には共通のプラグコネクタが装備されている一方で、他の機能要素には独自のプラグコネクタを有している。
【0020】
「電気的機能要素」という用語は、一般的な意味において、積層シート内又は表面に固定されることを意図され、外部の電気的要素、特に、電位、電圧源、又は評価用電子機器と接触した後に機能を満たすことができる、あらゆる要素を意味する。これらは、特に、センサ、送信機、又は受信機、特に電磁放射若しくは音波の送信機若しくは受信機、あるいは、電子シールド要素である。機能要素は、雨センサ、光センサ、水分センサ、温度センサ、スイッチ表面、発光ダイオード、画像センサ、アンテナ、ディスプレイ、加熱要素、超音波センサ、又は電気シールドが好ましい。
【0021】
センサ、特に内部機能要素としてのセンサの一般的な例としては、光センサ、容量性雨センサ、及び容量性スイッチ表面がある。光センサは、典型的には、プリント回路ボード上に、一つ又は複数のフォトダイオードを備えている。それらによって、周囲の明るさを測定し、例えば、車両の照明を自動制御することができる。容量性スイッチ表面は、表面電極、又は二つの電極をスパイラル状、コーム状、又は蛇行状に一組にしたものを備える。オペレータの指が接近すると、接地に対する表面電極の静電容量、又は一組にした電極によって形成された静電容量が変化する。静電容量のこの変化は、評価用電子機器によって測定され、スイッチング信号に変換される。同様に、容量性雨センサは、積層シート上の雨滴の存在を測定し、例えば、ウインドシールドワイパーを自動制御する。
【0022】
外部機能要素としてのセンサの一般的な例としては、水分センサ、特に、相対湿度センサ又は温度センサがある。
【0023】
内部又は外部要素としての送信機の一般的な例としては、発光ダイオード、特にLED又はOLEDがあり、それらは、ディスプレイ要素または照明として、内部に向けられ機能する。
【0024】
電気シールド要素は、典型的には、金属箔又はプレートであり、それらは、基準電位に外部接続され、それによって接地されることが好ましい。シールド要素は、典型的には、二つの追加機能要素の間に配置され、それらの間の干渉又は結合を回避する。
【0025】
特に好ましい態様では、コンポーネントは、ちょうど三つの機能要素、すなわち、一つの外部機能要素及び二つの内部機能要素を備えている。上述の番号付けに従うと、第一の二つの機能要素は内部機能要素であり、第三の機能要素は外部機能要素である。第二、すなわち、内部機能要素は、外部と他の内部機能要素との間に配置されており、電気シールド要素として組み込まれている。電気シールド要素は、特に、内側ペインと熱可塑性中間層との間に位置することを意図されている。第一、すなわち、内部機能要素は、例えば、雨センサ又は光センサとして組み込まれており、積層シートの外側ペインに最も近く配置されることを意図されており、特に、外側ペインと熱可塑性中間層との間に位置している。第三、すなわち、外部機能要素は、例えば、水分又は温度センサとして組み込まれており、積層シートの内側ペインの外側に取り付けられることを意図されている。
【0026】
機能要素の導電体は、所謂フラット導電体又は導電体箔、すなわち、電気的導通を有する箔、例えば、銅箔、特に錫めっき銅箔の帯として組み込まれることが好ましい。処理によって箔を形成することができれば、他の導電性材料も用いることができる。例としては、アルミニウム、金、銀、又は錫、及びそれらの合金である。フラット導電体の厚さは、典型的には、0.03mm~0.2mmであり、幅は、例えば、2mm~60mmである。それらは、内部機能要素に特に好適であり、それは、それらの高さが低いため、それらが、積層シートから容易に導き出せるためである。しかし、原則として、他のタイプの導電体も用いることができ、例えば、撚り線又は単線導電体などの丸線導電体があり、特に、外部機能要素のためである。フラット導電体を丸線導電体に接続して導電体を形成してもよく、(内部)機能要素に接続したフラット導電体セクションを伴って、積層シート内に積層し、その側端を越えて延伸することを意図していてもよい。
【0027】
導電体の周りの絶縁シースは、好ましくは、ポリマー材料から形成されるが、これに代えて、例えば、セラミック又はガラスも考えられる。好適なポリマー絶縁材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、又はシリコーンエラストマーがある。絶縁シースの典型的な厚さは、0.01mm~0.1mmである。好ましい態様では、共通の絶縁シースは、ケーブルのバンドリング領域で、少なくとも0.05mmの厚さを有するべきである。これにより、電気的絶縁に加えて、本発明のコンポーネントの機械的に安定した有利な完全性が達成される。ここで、「厚さ」は、シースの外側の境界と、ケーブル内で最も近い導電性構造との距離を意味する。
【0028】
本発明のコンポーネントの導電体は、絶縁シースで完全に取り囲まれていることが好ましい。ケーブルの個々の領域では、絶縁シース内で、機能要素の、少なくとも一つの導電体が通っている。機能要素が複数の導電体と接続されている場合、その導電体は、好ましくは、フラット導電体として完全又は大規模に組み込まれており、個々の導電体は、好ましくは、(箔帯の幅に応じて、)互いに並んで及び/又は上下に通っていてもよい。好ましい態様では、同一の機能要素の導電体は、全て、互いに並んで通っている。個々の導電体間の領域は、絶縁シースの材料で満たされていることが好ましい。
【0029】
ケーブルの、バンドリング領域及びあらゆる部分的バンドリング領域で、複数の機能要素の導電体は、共通のシース内を通っている。導電体は、フラット導電体として、完全又は大規模に組み込まれていることが好ましい。好ましい態様では、同一の機能要素の導電体は、全て、(箔帯の幅に応じて、)互いに並んで通っている。さまざまな機能要素の導電体の全体は、一つの平面で互いに並んで通っているか、互いに上下に通っていてもよい。好ましい態様では、電気的シールドは、異なる機能要素の隣接する導電体間で配置されているか、それらは、互いに並んで又は互いに上下して通っている。シールドは、電気的に導通のある箔帯として組み込まれてもよく、箔帯は電気的基準電位に接続するために提供され、その目的のため、プラグコネクタとともに提供されることが好ましい。個々の導電体間の領域は、絶縁シースの材料で満たされていることが好ましい。
【0030】
個々の導電体間の領域が絶縁材料で充填されている場合、この充填は一体の絶縁材料で形成されていることが好ましい。これは、個々の領域、あらゆる部分的なバンドリング領域、及びバンドリング領域に適用する。
【0031】
全ての導電体の全体及びあらゆるシールドの上下に配置されているのは、上下の全体シールドであることが好ましく、全体シールドは、導電箔又はプレートとして組み込まれていることが好ましく、また、電気的基準電位に接続されるために提供されることが好ましく、このため、プラグコネクタとともに提供される。
【0032】
本発明は、また、積層シートの製造方法を含み、
(a)第一ペイン、第二ペイン、少なくとも一つの熱可塑性フィルム、及び本発明のコンポーネントを提供し、
(b)前記第一ペイン及び前記第二ペインと、それらの間の前記フィルム(14)が、互いに平坦に配置されてスタックを形成し、前記コンポーネントの、少なくとも一つの電気的機能要素を、前記フィルムと前記ペインの一つとの間に配置し、かつ、前記バンドリングセクションを、前記スタックの外側に配置し、前記バンドリングセクションでは、導電体の全てを共通の絶縁シースで取り囲み、
(c)前記第一ペインを、前記第二ペインに、前記フィルムを介して、積層によって結合する。
【0033】
熱可塑性フィルムを一体で提供して、積層シートの中間層の全体を形成してもよい。しかし、複数のフィルムを組み合あわせて提供して、中間層を形成してもよい。この場合、コンポーネントの構成要素を、そのようなフィルムセクションの周りに配置してよく、続いて、フィルムセクションをスタックに挿入し、例えば、残りのフィルムの切り抜きに正確に適合する。フィルムセクションは、残りのフィルムよりも薄くてもよく、これにより、機能要素の厚さを補償する。
【0034】
有利な態様では、完成した積層シート中で、互いが重なり合う(オーバーラップする)ように電気的機能要素をスタック中で配置する。これは、積層シートを通しで見たときに、それらを、少なくとも部分的に一致して前後に配置することを意味する。機能要素の供給ラインは、これに、すなわち、ケーブルの、個別セクション及びあらゆる部分的バンドリングセクションに適した寸法にする。個別セクション及びあらゆる部分的バンドリングセクションの長さは、積層シート(個々のペイン及びフィルム)のコンポーネントの厚さを考慮して選択することによって、それらは、可能な限り、反り、しわ等がなく、バンドリングセクションに直接通っており、そのとき、機能要素は、使用したい場所に配置される。
【0035】
有利な態様では、コンポーネントは一つの外部機能要素を備え、外部機能要素は、第一又は第二ペインの、フィルムから離れた一つの面、好ましくは内側ペインの室内側表面に取り付ける。取り付けは、接着剤、例えば、接着剤化合物の層又は両面接着テープを用いて行うことが好ましい。取り付けを、スタックの積層の前又は後に行って、積層ペインを形成してもよい。外部機能要素に加えて、ケーブルの個別セクションを、接着剤でペインの表面に取り付けてもよい。
【0036】
好ましい態様では、コンポーネントは、積層シートに組み込む、少なくとも二つの内部電気的機能要素、及び積層シートの外側に取り付ける、少なくとも一つの外部電気的機能要素を備える。一つの内部機能要素を、第一ペインとフィルムとの間に、一つの内部機能要素を、第二ペインとフィルムとの間に、そして、外部機能要素を、接着材を用い、第二ペインの、フィルムから離れた側に配置する。第一ペインが外側ペイン、第二ペインが内側ペインであることが好ましい。第二ペインとフィルムとの間の機能要素を、他の二つの機能要素の電気的シールドのための電気的シールド要素として組み込むことが好ましい。
【0037】
第一及び第二ペインは、好ましくはガラス、特に好ましくはソーダライムガラスでできていることが好ましく、ソーダライムガラスは、窓ガラスとして、その価値が証明されている。しかし、ペインは他のタイプのガラス、例えば、ホウケイ酸塩ガラス又はアルミノケイ酸塩ガラスでできていてもよい。あるいは、原則として、ペインは、プラスチック、特にポリカーボネート(PC)又はポリメチルメタクリレート(PMMA)でできていてもよい。
【0038】
ペインの厚さは大きく変えてもよいことから、個々の場合の要件に理想的に適合させることができる。第一の及び第二のペインの厚さは、好ましくは0.5mm~10mm、特に好ましくは1mm~5mm、最も好ましくは1.2~3mmである。
【0039】
自動車の窓で通例であるように、ペインは、一つ以上の空間的方向に湾曲していてもよく、典型的な曲率半径は10cm~40mの範囲である。この目的のため、二つのペインは、積層の前に曲げ工程、例えば、重力曲げ、吸引曲げ、及び/又はプレス曲げに供されることが好ましい。典型的な曲げ温度は500℃~700℃である。
【0040】
自動車窓で通例であるように、積層シートは、周囲にマスキングプリントを有していてよい。このようなマスキングプリントは、また、機能要素を目立たなくしたり、隠したりするのに用いることができる。このような不透明なマスキングプリントは、二つのペインのうちの少なくとも一つ、好ましくは両方のペインの端領域に適用される。このため、典型的には、黒又は濃いエナメルがスクリーン印刷で適用され、積層前、特に、曲げ前又は曲げ中に焼成する。
【0041】
積層シートの中間層を形成する熱可塑性フィルムは、少なくとも一つの熱可塑性ポリマー、好ましくはエチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、又はポリウレタン(PU)、又はそれらの混合物、又はそれらのコポリマー、又はそれらの誘導体、特に好ましくはPVBを含有する。熱可塑性フィルムの厚さは、好ましくは0.2mm~2mm、特に好ましくは0.3mm~1mm、例えば、0.76mmである。中間層は、上下に配置された熱可塑性フィルムから形成することができ、二つのそれらのフィルムの間に機能要素を配置してもよい。
【0042】
ペイン及び熱可塑性フィルムは、互いに独立して、透明及び無色であるだけでなく、薄く色付け、曇り付け、又は着色されていてもよい。好ましい態様では、特に積層シートがウインドシールドである場合には、積層シートを通る全透過率は70%を超える。「合計透過率」という用語は、ECE-R43,Annex3,§9.1.で規定される、自動車窓の光の透過率をテストする方法に基づく。ペインは、非強化ガラス、部分強化ガラス、又は強化ガラスでできていてよい。
【0043】
積層シートを形成するためのペインの積層は、当業者に周知の慣例的方法、例えば、オートクレーブ法、真空バッグ法、真空リング法、カレンダー法、真空ラミネーター、又はこれらの組合せで行われる。第一及び第二ペインの結合は、通常、熱、真空、及び/又は圧力の作用下で行われる。
【0044】
本発明は、また、本発明コンポーネントを備えている積層シート、又は本発明の方法を使用して製造することができる積層シートを含む。好ましくは、少なくとも一つの機能要素が、個々のペインの間に配置されている。特に好ましい態様では、第一機能要素が第一ペイン(好ましくは外側ペイン)と熱可塑性中間層との間に、第二機能要素が第二ペイン(好ましくは内側ペイン)と熱可塑性中間層との間に、そして、第三機能要素が第二ペインの外側に取り付けられている。第二機能要素は、他の二つの機能要素を分離する電気的シールド要素であることが好ましい。
【0045】
以下、図面及び例示的な実施態様を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。図面は概略図であり、縮尺どおりではない。図面は、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
それらは、以下を示す:
【
図2】
図1のコンポーネントの線A-A’に沿う断面、
【
図3】本発明のコンポーネントを備える積層シートの平面図、及び
【0047】
図1は、積層シート、特に自動車用ウインドシールドを製造するための、本発明のコンポーネントEの一態様の概略図を示す。コンポーネントは、三つの電気的機能要素1、2、3を備える。第一電気的機能要素1は、容量性雨センサであり、積層シートの、外側ペインと熱可塑性中間層との間に、内部機能要素として積層されることを意図されている。第二機能要素2は、電気的シールド要素であり、積層シートの、内側ペインと熱可塑性中間層との間に、内部機能要素として積層されることを意図している。第三機能要素は、水分センサであり、内側ペインの室内側表面に、外部機能要素として取り付けられることを意図している。第二機能要素2は、他の二つの機能要素1、3の間の干渉、結合(「クロストーク」)、及びその他のかく乱を防止することを意図されている。
【0048】
機能要素1、2、3に加えて、コンポーネントはケーブルを備えており、そのケーブルは、機能要素1、2、3と接続されている導電体及びそれらの絶縁シース7を備えている。三つの導電体4.1、4.2、4.3は、第一機能要素1に接続されており、一つの導電体5は、第二機能要素2に接続されており、四つの導電体6.1、6.2、6.3、6.4は、第三機能要素3に接続されている。導電体4.1、4.2、4.3、5、6.1、6.2、6.3、6.4は、フラット導電体として、錫めっきされた銅箔から形成されている。
【0049】
コンポーネントEのケーブルは、さまざまなセクションに分割されている。それは、所謂バンドリングセクションGを備えており、バンドリングセクションGでは、全ての機能要素1、2、3の導電体4.1、4.2、4.3、5、6.1、6.2、6.3、6.4が、共通の絶縁シース7で取り囲まれている。バンドリングセクションGは、いわば、三つの機能要素1、2、3を、それらの関連する導電体4.1、4.2、4.3、5、6.1、6.2、6.3、6.4とともに束ねて、単一のコンポーネントEを形成する。機能要素1、2、3から離れた側の、バンドリングセクションGの端部では、導電体4.1、4.2、4.3、5、6.1、6.2、6.3、6.4に、共通のプラグコネクタSが取り付けられ、共通のプラグコネクタSで、コンポーネントEの全体が車両のオンボードの電気的システムに接続されていてよい。
【0050】
バンドリングセクションGから始まり、ケーブルは、第三機能要素3の、所謂個別セクションI.3と、第一及び第二機能要素1、2の、所謂部分的バンドリングセクションに分割されている。個別セクションI.3では、第三機能要素3の導電体6.1、6.2、6.3、6.4のみが、絶縁シース7に含まれている。第三機能要素3は、個別セクション3に接続されている。部分的バンドリングセクションTでは、第一及び第二機能要素1、2の導電体4.1、4.2、4.3、5が、共通の絶縁シース7に含まれている。部分的バンドリングセクションTの終端では、ケーブルは、再び、第二機能要素2の個別セクションI.2と、第一機能要素1の個別セクションI.1に分岐している。個別セクションI.1では、第一機能要素1の導電体4.1、4.2、4.3のみが含まれており、個別セクションI.2では、第二機能要素2の導電体5のみが含まれており、それぞれの場合で、絶縁シース7を伴っている。
【0051】
第三機能要素3及び個別セクションI.3は、積層シートへの取り付けを容易にするための接着剤11とともに提供されている。三つの機能要素1、2、3を束ねてコンポーネントEを形成した結果、積層シートの製造は、実質的に簡便化される。コンポジット内で機能要素を個々に配置し、それらを取り付ける必要はなくなった。その代わりに、一つのコンポーネントEのみを取り扱えばよく、コンポーネントEの、個別セクションI.1、I.2、I.3及び部分的バンドリングセクションTによって、機能要素1、2、3の互いの位置が決まる。機能要素1、2、3が積層シート内で重なり合う(オーバーラップする)ように、すなわち、一致して配置されるように、個別セクションI.1、I.2、I.3及び部分的バンドリングセクションの寸法は決定される。
【0052】
図2は、
図1のコンポーネントのバンドリングセクションGの断面を示す。機能要素1の導電体4.1、4.2、4.3は、(フラット導電体の幅寸法に基づいて)一つの平面に互いに並んで配置されている。同様に、第三要素3の導電体6.1、6.2、6.3、6.4は、一つの平面に互いに並んで配置されている。導電体4.1、4.2、4.3の全体及び導電体6.1、6.2、6.3、6.4の全体もまた、同一の平面で互いに並んで配置されている。一方の導電体4.1、4.2、4.3と他方の導電体6.1、6.2、6.3、6.4との間にはシールド9が配置されており、シールド9は導電体グループをデカップルリングしている。
【0053】
導電体5は、第二機能要素2を接地するのに役立つ。それは、導電体4.1、4.2、4.3の上の異なる平面に配置されている。一方、導電体5と導電体4.1、4.2、4.3との間には、デカップリングのため、シールド8.1が配置されている。また、シールド8.2が、導電体4.1、4.2、4.3の下に配置されている。シールド8.1、8.2は、導電体4.1、4.2、4.3の全体幅にわたって延びている。シールド8.1、8.2は、プラグコネクタSを介して接地されていることが好ましい。また、シールド9が、プラグコネクタSを介して又はシールド8.1、8.2への接続(図示しない)を通じてのいずれかで接地されていることが好ましい。
【0054】
全ての導電体4.1、4.2、4.3、5、6.1、6.2、6.3、6.4及び内部シールド8.1、8.2、9の全体の上下に、全体シールド10.1、10.2が配置されており、全体シールド10.1、10.2は、導電体4.1、4.2、4.3、5、6.1、6.2、6.3、6.4及び内部シールド8.1、8.2、9の合計幅にわたって延びている。全体シールド10.1、10.2は、外部影響からデカップリングするのに役立ち、そして、プラグコネクトSを介して接地されていることが好ましい。導電体及びシールドは、全て、ポリマー材料で覆われており、ポリマー材料は、絶縁シース7を形成しており、そして、中間スペースを満たしている。
【0055】
図3は、コンポーネントEを有する積層シートWを示す。積層シートWは、自動車のウインドシールドを意図しており、コンポーネントEは、破線で示されている中心視野の外側に配置されている。第一機能要素1(雨センサ)で、外側ペイン上の水滴の存在を測定することができ、その機能として、ウインドシールドワーパーの動作を自動的に開始することができる。第三機能要素3(水分センサ)で、車両室内の相対湿度を測定することができ、例えば、自動気候制御システムをそれに調整することができる。
【0056】
図4は、
図3の積層シートWの断面を示す。積層シートWは、外側ペイン12、内側ペイン13、及びそれらの間に配置された熱可塑性フィルム14を備える。わかりやすいように、コンポーネントは、完成したウインドシールドではなく、積層前の層スタックを表すように、互いの間隔をあけて示されている。外側ペイン12及び内側ペイン13はソーダライムガラスでできており、例えば、2.1mmの厚さを有している。フィルム14は、0.76mmの厚さの可塑剤含有PVBでできている。
【0057】
第一機能要素1は、外側ペイン12とフィルム14との間に、第二機能要素2は、内側ペイン13とフィルム14との間に、そして、第三機能要素3は、接着剤11を介して、外側ペインから離れた側の、内側ペイン13の室内側表面に配置されている。機能要素1、2、3は、積層シートWを通しで見たときに、それらが一致して配置されているように、重なり合って(オーバーラップして)配置されている。
【符号の説明】
【0058】
(E) 積層シート製造用コンポーネント
(1) 第一電気的機能要素
(2) 第二電気的機能要素
(3) 第三電気的機能要素
(4.1)(4.2)(4.3) 第一電気的機能要素の導電体
(5) 第二電気的機能要素の導電体
(6.1)(6.2)(6.3)(6.4) 第三電気的機能要素の導電体
(7) 絶縁シース
(8.1)(8.2) 異なる平面の導電体の間のシールド
(9) 同一平面の導電体の間のシールド
(10.1)(10.2) 上下全体シールド
(11) 接着剤
(G) ケーブルのバンドリングセクション
(T) ケーブルの部分的バンドリングセクション
(I.1) 機能要素1の個別セクション
(I.2) 機能要素2の個別セクション
(I.3) 機能要素3の個別セクション
(S) プラグコネクタ
(W) 積層シート
(12) 第一ペイン
(13) 第二ペイン
(14) 熱可塑性フィルム
A-A’ 断面線
B-B’ 断面線