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  • 特許-一次シール検査装置付きサーモウェル 図1
  • 特許-一次シール検査装置付きサーモウェル 図2A
  • 特許-一次シール検査装置付きサーモウェル 図2B
  • 特許-一次シール検査装置付きサーモウェル 図2C
  • 特許-一次シール検査装置付きサーモウェル 図3A
  • 特許-一次シール検査装置付きサーモウェル 図3B
  • 特許-一次シール検査装置付きサーモウェル 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】一次シール検査装置付きサーモウェル
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/08 20210101AFI20230424BHJP
   G01L 11/02 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
G01K1/08 Z
G01L11/02
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021513399
(86)(22)【出願日】2019-06-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 US2019037455
(87)【国際公開番号】W WO2020060600
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】16/136,716
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515231553
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーリクヴィスト、ドナルド ギャリー
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/079194(WO,A1)
【文献】特開2015-071769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-1/26
G01L 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス流体の温度を測定する際に使用するためのサーモウェル組立体であって、
プロセス容器に装着し、プロセス容器内に収容されたプロセス流体内に延在するように構成された細長いサーモウェル本体と、
プロセス容器の壁に近接する前記細長いサーモウェル本体の近位端部からプロセス流体内に位置する前記細長いサーモウェル本体の密閉された遠位端部まで、前記細長いサーモウェル本体の長さ方向に沿って延在する細長い内腔と、
前記サーモウェル組立体の外側から前記細長い内腔まで延びる側孔であって、プロセス容器の外側に位置する側孔と、
前記サーモウェル組立体の外側で前記側孔に結合され、出口を有する検査バルブであって、オペレータが前記検査バルブを開いて、前記検査バルブの前記出口でプロセス流体を観察することによって、前記細長い内腔内のプロセス流体の存在を判断することができる検査バルブと、
を備え、
前記検査バルブは、前記細長い内腔内の圧力の存在を示す視覚インジケータを含み、
前記視覚インジケータは、加えられた圧力に応じて形状を変える、
サーモウェル組立体。
【請求項2】
前記側孔は、前記細長い内腔に対して鋭角に延在する、請求項1に記載のサーモウェル組立体。
【請求項3】
前記側孔は、前記細長い内腔と平行に延在する、請求項1に記載のサーモウェル組立体。
【請求項4】
前記細長いサーモウェル本体に取り付けられたセンサ組立体を含む、請求項1に記載のサーモウェル組立体。
【請求項5】
前記センサ組立体は、前記細長いサーモウェル本体によって螺合可能に受容される、請
求項4に記載のサーモウェル組立体。
【請求項6】
前記側孔は、前記センサ組立体を通って延びる、請求項4に記載のサーモウェル組立体。
【請求項7】
前記センサ組立体が、前記細長いサーモウェル本体に熱的に結合された温度センサを含む、請求項4に記載のサーモウェル組立体。
【請求項8】
前記視覚インジケータは、検査バルブ上のコーティングを含む、請求項1に記載のサーモウェル組立体。
【請求項9】
前記視覚インジケータは、前記検査バルブの表面を含む、請求項1に記載のサーモウェル組立体。
【請求項10】
請求項1に記載のサーモウェル組立体に結合された温度トランスミッタであって、前記温度トランスミッタは、
細長いサーモウェル本体に結合され、プロセス流体の温度を測定するように構成された温度センサと、
前記プロセス流体の温度を測定し、測定された温度に関連する出力を提供するように構成されたトランスミッタ電子機器と
を含む温度トランスミッタ。
【請求項11】
前記出力は、プロセス制御ループ上に提供される、請求項10に記載の温度トランスミッタ。
【請求項12】
前記側孔に結合され、前記側孔内の圧力を感知するように構成されたセンサを含み、前記センサが前記トランスミッタ電子機器に出力を提供するように構成された、請求項10に記載の温度トランスミッタ。
【請求項13】
請求項1に記載のサーモウェル組立体において、故障した一次シールを識別する方法であって、
検査バルブを開けることと、
前記検査バルブの出口のプロセス流体を観察することと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセス変数及び工業プロセスを測定するシステムに関する。より具体的には、本発明は、プロセス流体中に延びるサーモウェルを使用する測定プロセス温度に関する。
【背景技術】
【0002】
工業プロセスは、石油、化学、紙などの商品の生産や製造に用いられる。このような工業プロセスでは、プロセス流体の温度などのプロセス変数を測定し、その情報を使用して工業プロセスを制御またはその他の方法で監視することが望ましいことが多い。プロセス温度を測定するために使用される1つの技術は、温度センサを含むプロセス変数トランスミッタの使用を通じたものである。温度センサは、プロセス流体中に延びる「サーモウェル」として知られているものを使用して、測定すべき温度に熱的に結合される。プロセス変数トランスミッタは、温度センサを使用してプロセス温度を測定し、その情報を制御室などの別の場所に報告する。
【0003】
サーモウェルは、典型的には、前記サーモウェルを通して延びる内腔を有する細長いサーモウェル本体によって形成される。メンテナンスまたは診断の目的で、オペレータがプロセス変数トランスミッタをサーモウェルから取り外す必要がある場合がある。サーモウェルの寿命にわたって、サーモウェルの壁が破損してサーモウェルの内腔がプロセス流体で満たされる可能性がある。プロセス流体が加圧されている場合、プロセス変数トランスミッタを取り外すことは困難であり、その結果、プロセス流体が開口部を通ってサーモウェルに流入し、環境に流入して失われることがある。
【発明の概要】
【0004】
プロセス流体の温度を測定する際に使用するためのサーモウェル組立体が提供される。サーモウェル組立体は、プロセス容器に装着され、プロセス容器に収容されたプロセス流体中に延びるように構成された細長いサーモウェル本体を含む。細長い内腔は、細長いサーモウェル本体の長さ方向に沿って、プロセス容器の壁に近接する細長いサーモウェル本体の近位端部から、プロセス流体内に配置された細長いサーモウェル本体の密閉された遠位端部まで延びている。サーモウェル組立体の外部から細長い内腔まで側孔が延びている。側孔はプロセス容器の外側に配置される。検査バルブ(verification valve)は、サーモウェル組立体の外側で側孔に結合された入口を含み、出口をさらに含む。検査バルブにより、オペレータは、検査バルブを開き、検査バルブの出口でプロセス流体を観察することによって、細長い内腔内にプロセス流体が存在することを確認することができる。
【0005】
本概要及び要約は、詳細な説明の中でさらに後述する簡略化された形の概念の選択を導入するために提供される。本概要及び要約は、クレームされた主題事項の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図するものではなく、また、クレームされた主題事項の範囲を決定する際の補助として使用することを意図するものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、プロセス流体の温度を測定する際に使用するために、サーモウェルに結合されたプロセス変数トランスミッタを有する工業プロセスを示す簡略化された図である。
図2A図2Aは、検査バルブを含むサーモウェル組立体の一例の構成の側断面図である。
図2B図2Bは、検査バルブを含むサーモウェル組立体の別の例示的な構成の側断面図である。
図2C図2Cは、検査バルブを含むサーモウェル組立体の別の例示的な構成の側断面図である。
図3A図3Aは、他の例の構成に係る検査バルブを含むセンサ組立体の側断面図である。
図3B図3Bは、サーモウェルとともに組み立てた図3Aのセンサ組立体の側断面図である。
図4図4は、プロセス変数トランスミッタ内の回路の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
サーモウェルの一次シールが無傷であることを確認できるサーモウェル組立体が提供される。これにより、オペレータは、サーモウェルの近位端部内又はその近傍に位置する密封された検知要素にアクセスする前に、一次シールが無傷であることを確認することができる。一次シールが無傷であることを確認せずに密封された感知要素にアクセスすると、サーモウェルの一次シールが損なわれている場合には、プロセス流体の制御不能な放出が発生する可能性がある。
【0008】
図1は、プロセス変数(温度)トランスミッタ102を含む工業プロセス制御または監視システム100を示す簡略化されたブロック図である。トランスミッタ102は、プロセス流体106を内部に収容するプロセス配管104に取り付けられている。プロセス配管104はプロセス容器の一例である。別の例としては、プロセス流体を収容する容器又はタンクがある。
【0009】
温度トランスミッタ102は、センサアダプタ即ちセンサ組立体111を介してサーモウェル組立体110に結合されたハウジング108を含む。温度トランスミッタ102は、サーモウェル組立体110に熱的に結合されたセンサアダプタ111によって担持された温度センサ202を含む。ハウジング108内の電子機器は、温度センサ202に結合され、プロセス流体106の温度を測定するために使用される。この温度に関する情報は、抵抗114および電圧源116としてモデル化されたプロセス制御室のような遠隔位置112に搬送される。通信は、例えば、温度トランスミッタ102に電力を供給するとともに情報を伝えるために同じ2本のワイヤを使用できる2線プロセス制御ループ118を介してもよい。2線式プロセス制御ループの1つの例は、電流がプロセス制御ループ118上で搬送されるHART(登録商標)通信規格に従って動作するものである。電流のアナログ値は、測定された変数のようなプロセス変数を表すためにトランスミッタ102によって変調することができる。さらに、デジタル情報は、アナログ電流レベルの上で変調され、プロセス変数トランスミッタ102との間で付加的な情報を伝達することができる。WirelessHART(登録商標)(IEC 62591)に従ったもののような無線プロセス制御ループを含んだ他のタイプのプロセス制御ループ118も使用することができる。
【0010】
図1において、サーモウェル組立体102は、装着プレート122を用いてプロセス容器104に装着される細長いサーモウェル本体120を含むものとして示されている。より詳細に後述するように、細長いサーモウェル本体120によって提供される一次シールが無傷であることを確認するための検査バルブ124が提供される。
【0011】
図2A、2Bおよび2Cは、サーモウェル組立体110の実施形態例を示す側断面図であるが、本発明はこれらの特定の構成に限定されるものではない。図2A、2B、および2Cでは、サーモウェル組立体110は、細長いサーモウェル本体120の近位端部142から密閉された遠位端部144まで細長いサーモウェル本体120内に延在する細長い内腔140を含む。細長いサーモウェル本体120の壁146は、プロセス流体が細長い内腔140に入るのを防止するための一次シールを提供する。センサ組立体111は、一次側サーモウェル封じ込めの喪失がある場合に、流体が環境に侵入するのを防止するための二次シールを提供する。
【0012】
図2A図2Cに示すように、側孔150は、細長いサーモウェル本体の外側から細長い内腔140に延在する。この側孔150は、細長いサーモウェル本体120の長さに沿って、細長いサーモウェル本体が取り付けられる任意のプロセス容器の外側に位置するように配置される。検査バルブ124は、側孔150にシール可能に結合され、側孔150に結合された入口152を含む。検査バルブ124は、出口154をさらに含む。バルブステム156は、入口152と出口154との間の接続を開閉するために、操作者によってバルブステム156が回転され得るように設けられている。図2Bの構成において、サーモウェル組立体110は、図1に図示されているような装着プレート122を含むことに留意されたい。
【0013】
図3Aは、別の実施形態によるセンサアダプタ111の側断面図である。図3Bは、サーモウェル本体120とともに組み立てられたセンサアダプタ111の側断面図である。図3Aおよび3Bに図示されるように、温度センサ202は、感知された温度に関連する信号を電子回路に供給するためにトランスミッタの電子回路に結合される電気配線170を含む。センサアダプタ111は、サーモウェル本体120のねじ部に螺合可能に受け入れられるねじ部172を含む。温度センサ202は、サーモウェル本体120の内腔140内に延びている。この構成では、側孔150は、センサ組立体111の本体176を介して細長い内腔140に結合する。図3Aおよび3Bに示される構成は、改良型のセンサ組立体111を用いて従来のサーモウェル組立体を後付けして検査バルブ124を使用することを可能にする。
【0014】
図4は、トランスミッタのハウジング108内に収容されるトランスミッタ回路200の簡略化されたブロック図である。回路200は、熱電対組立体110を通してプロセス流体106に熱的に結合される温度センサ202を含む。温度センサは、RTDセンサ、サーミスタ、熱電対、半導体ベースのセンサ、赤外線センサ、又は何らかの他の技術のような任意の技術に従ってよい。センサ202は、密封された検知要素の一例であり、サーモウェル本体120の内腔140内またはその近傍に配置することができる。温度センサ202からの出力は、検知された温度に関連するデジタル出力をマイクロプロセッサ206に供給するアナログ-デジタル変換器204で受信される。マイクロプロセッサ206は、メモリ208に記憶された命令に従ってクロック210によって決定される速度で動作する。メモリ208は、必要に応じて、変数または他のパラメータを記憶するために使用することもできる。マイクロプロセッサ206は、感知された温度に関連する入出力回路212への出力を提供する。入出力回路212は、この情報に関連する産業プロセス制御ループ118上の出力を提供する。例えば、アナログ電流レベルIと感知された温度を表すために4~20mAの間で制御された電流とが入力される。上述のように、無線出力と同様にデジタル出力も使用し得る。1つの構成では、電力がループ118から受信され、回路200に部分的または全体的に電力を供給するのに使用される。
【0015】
作動中、オペレータは、バルブステム156を使用して検査バルブ124を開くことによって、細長いサーモウェル本体120の壁146によって提供される一次シールの完全性をチェックまたは検査することができる。バルブ124が開かれ、プロセス流体が入口152に流入し、弁体を通って出口154に流出する場合、オペレータは、一次シールが破損したことを知ることになる。次いで、プロセスが停止されている間、検査バルブ124を閉じて故障したサーモウェル組立体110を交換することができる。プロセス流体が観察されない場合、一次シールは無傷であると考えられるから、トランスミッタのハウジング108を所望に応じて取り外すことができる。
【0016】
一例の構成では、図4に示される任意の圧力センサまたは圧力スイッチ220が、側孔150内に設けられるか、さもなければ、流体的に結合される。この構成は、一次シールが破損した旨の信号をトランスミッタ回路200に供給し、警告を発するのに使用できる。同様に、センサ220は、バルブの出口154に設けられ、細長い内腔140内からのプロセス流体又は圧力を検出するために使用され得る。別の例の構成では、入口152は、一次シールの破損による応力に曝されると色または形状が変化する、図2A~2Cおよび3Bに示される任意のコーティングまたは他の表面222を含んでもよい。このような構成では、バルブは、任意の構成要素とすることができる。
【0017】
本発明は好ましい実施形態に関して説明されているが、当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく形状および細部について変更がなされ得るものと認識できる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4