(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】セキュリティ機能の生成方法
(51)【国際特許分類】
B41M 3/14 20060101AFI20230424BHJP
B41M 1/10 20060101ALI20230424BHJP
B42D 25/29 20140101ALI20230424BHJP
B42D 25/387 20140101ALI20230424BHJP
B42D 25/405 20140101ALI20230424BHJP
B41M 5/00 20060101ALN20230424BHJP
【FI】
B41M3/14
B41M1/10
B42D25/29
B42D25/387
B42D25/405
B41M5/00 120
(21)【出願番号】P 2021525774
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(86)【国際出願番号】 AT2019060379
(87)【国際公開番号】W WO2020093080
(87)【国際公開日】2020-05-14
【審査請求日】2021-05-10
(32)【優先日】2018-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】511214727
【氏名又は名称】ヒュック・フォーリエン・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(73)【特許権者】
【識別番号】505476984
【氏名又は名称】バンク ドゥ フランス
【氏名又は名称原語表記】BANQUE DE FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100141162
【氏名又は名称】森 啓
(72)【発明者】
【氏名】マルティン エッギンガー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ベルクスマン
(72)【発明者】
【氏名】マルコ マイアーホーファー
【審査官】井出 元晴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/111334(WO,A1)
【文献】特開2008-001075(JP,A)
【文献】特開2010-241056(JP,A)
【文献】特開2015-120304(JP,A)
【文献】実開平05-031980(JP,U)
【文献】特開2002-103779(JP,A)
【文献】国際公開第2000/009343(WO,A1)
【文献】特開2012-223901(JP,A)
【文献】特開2014-204408(JP,A)
【文献】米国特許第05733634(US,A)
【文献】国際公開第2007/093300(WO,A1)
【文献】特開平07-125403(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0168428(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0259400(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0029791(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0021391(KR,A)
【文献】国際公開第2017/003351(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03225417(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00303725(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 3/14
B41M 1/10
B42D 25/29
B42D 25/387
B42D 25/405
B41M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤を基材に塗布して画像を生成し、着色画像(2)の形でセキュリティ機能(1)を生成する方法であって、
前記画像(2)は、グリッド領域に分割されて、前記画像(2)
に含まれた隣接するグリッド領域(4、5、6、9、10、11)が部分的に重なっており、
該隣接するグリッド領域(4、5、6、9、10、11)のオーバーラップ領域(7、8)は、該
隣接するグリッド領域(4、5、6、9、10、11)の1つよりも小さいものであり、
前記画像(2)のグリッド領域(4、5、6、9、10、11)には、それぞれ少なくとも1つの色が割り当てられており、
少なくとも、
それぞれのグリッド領域(4、5、6、9、10、11)に対応する前記基材(3)の
領域から前記対応するオーバーラップ領域(7、8)を引いたものが、
それぞれに割り当てられた色の少なくとも1つの着色剤で覆われている、方法であり、
隣接するグリッド領域(4、5、6、9、10、11)の間の前記オーバーラップ領域(7、8)は、前記オーバーラップ領域(7、8)のそれぞれにおいて重なり合う前記グリッド領域(4、5、6、9、10、11)のうちの1つに割り当てられた前記色を有する着色剤で覆われて
おり、
前記画像(2)には、英数字(3)またはアイコンまたは幾何図形または記号、または文字のシーケンスが含まれ、
前記着色画像は、オーバーラップ領域およびグリッド領域から成り、
前記グリッド領域(4)の一部が少なくとも部分的に赤色で覆われ、前記画像(2)の前記グリッド領域(5)の一部が少なくとも部分的に緑色で覆われ、前記画像(2)の前記グリッド領域(6)の一部が少なくとも部分的に青色で覆われる
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記画像(2)が、少なくとも1つの部分領域において、少なくとも2つの部分的に重なり合うグリッド領域(4、5、6、9、10、11)に分割され、
前記少なくとも2つのグリッド領域(4、5、6、9、10、11)の
他方を覆う前記着色剤の色とは異なる色を有する、少なくとも前記オーバーラップ領域(7、8)の外側において、前記少なくとも2つのグリッド領域(4、5、6、9、10、11)のうちの少なくとも1つが覆われる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グリッド領域(4、5、6、9、10、11)が同じサイズおよび形状であることを特徴とする、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
蛍光着色剤を着色剤として使用することを特徴とする、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
凹版印刷プロセスによって着色剤が前記基材に転送されることを特徴とする
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記画像(2)内の少なくとも1つの色のシーケンスがレインボーまたはマルチ色勾配の色のシーケンスに対応するように、前記着色剤がレイヤー内でオーバーラップして塗布される
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
着色領域が、少なくとも部分的に、前記英数字(3)または前記アイコンまたは前記幾何図形または前記記号または前記文字のシーケンスを囲むグリッド領域(4、5、6、9、10、11)に1つ以上の着色剤を塗布することにより、前記英数字(3)または前記アイコンまたは前記幾何図形または前記記号または前記文字のシーケンスの周囲に生成される
請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記英数字(3)または前記アイコンまたは前記幾何図形または前記記号または前記文字のシーケンスにおける、または前記文字のシーケンスにおける色のシーケンスが、前記着色領域における色のシーケンスと逆方向に塗布される
、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
カラー画像(2)の形態におけるセキュリティ機能であって、前記画像(2)は、ポートレート、景色、抽象幾何標識、ロゴまたは英数字標識またはアイコンまたは符号または文字のシーケンスを含み、
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の方法によって生成され、
前記画像が、着色グリッド領域(4、5、6、9、10、11)、前記画像の
部分的に重なって隣接するグリッド領域(4、5、6、9、10、11)、および、隣接するグリッド領域(4、5、6、9、10、11)のうちのいずれか1つよりも小さい隣接するグリッド領域(4、5、6、9、10、11)に分割され、
少なくとも1つの色が、前記画像の前記グリッド領域の各々に割り当てられ、
少なくとも前記それぞれのグリッド領域に対応する前記基材の前記領域から対応する重なり領域を引いたものは、前記それぞれに割り当てられた色の少なくとも1つの着色剤で覆われており、
隣接するグリッド領域の間の前記オーバーラップ領域は、それぞれの重なり領域に重なり合うグリッド領域の1つに割り当てた前記色を有する着色剤を用いて覆われる、ことを特徴とするセキュリティ機能を有する印刷物。
【請求項10】
画像(2)は、少なくとも部分的な領域において、少なくとも2つの重なり合うグリッド領域(4、5、6、9、10、11)、前記少なくとも2つのグリッド領域(4、5、6、9、10、11)のうちの他の領域を覆う前記着色剤とは異なる色を有する着色剤で少なくともオーバーラップ領域の外側に、覆われた、少なくとも1つの前記グリッド領域(4、5、6、9、10、11)、を含むことを特徴とする
、請求項9に記載のセキュリティ機能を有する印刷物。
【請求項11】
前記画像(2)の第1のグリッド領域(4)が赤色で少なくとも部分的に覆われ、
および/または、
前記画像(2)の第2のグリッド領域(5)が緑色で少なくとも部分的に覆われ、
および/または、
前記画像(2)の第3のグリッド領域(6)が青色で少なくとも部分的に覆われることを特徴とする、
請求項9または10に記載のセキュリティ機能を有する印刷物。
【請求項12】
前記画像(2)を形成する前記グリッド領域(4、5、6、9、10、11)が同じサイズおよび形状であることを特徴とする、
請求項9ないし11のいずれか1項に記載のセキュリティ機能を有する印刷物。
【請求項13】
前記画像(2)の隣接する2つのグリッド領域(4、5、6、9、10、11)の前記オーバーラップ領域(7、8)が、グリッド領域(4、5、6、9、10、11)のサイズに対して1ないし90%であることを特徴とする、
請求項9ないし12のいずれか1項に記載のセキュリティ機能を有する印刷物。
【請求項14】
前記着色剤は、蛍光着色剤であることを特徴とする、
請求項9ないし13のいずれか1項に記載のセキュリティ機能を有する印刷物。
【請求項15】
少なくとも1つの文字(3)または少なくとも1つの文字のシーケンスの周囲に少なくとも部分的に色表面が配置されることを特徴とする、
請求項9ないし14のいずれか1項に記載のセキュリティ機能を有する印刷物。
【請求項16】
前記少なくとも1つの文字(3)における、または、前記少なくとも1つの文字のシーケンスにおける色のシーケンスが、着色領域における色のシーケンスと逆方向に塗布されることを特徴とする、
請求項15に記載のセキュリティ機能を有する印刷物。
【請求項17】
前記画像内の色の少なくとも1つのシーケンスがレインボーまたはマルチ色勾配の色のシーケンスに対応するように、前記着色剤がレイヤー内でオーバーラップして塗布されることを特徴とする、
請求項16に記載のセキュリティ機能を有する印刷物。
【請求項18】
請求項9ないし17のいずれか1項に記載のセキュリティ機能(1)を有することを特徴とする基材を含むセキュリティ要素。
【請求項19】
請求項18に記載のセキュリティ要素、および/または、
請求項9ないし17のいずれか1項に記載のセキュリティ機能(1)を含むことを特徴とする、印刷物の形のバリュードキュメント(有価文書)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによる。着色画像の形態のセキュリティ機能(security feature)を生成する方法に関するものであり、着色剤が、画像を生成するために、基材に塗布されるものである。
【0002】
さらに、本発明は、請求項1のプリアンブルによる。カラー画像の形態のセキュリティ機能に関する。
【0003】
さらに、本発明は、対象としてセキュリティ要素、特にセキュリティストリップの形成を有する。
【0004】
さらに、本発明は、バリュードキュメント(有価文書)に関する。
上述のタイプの方法およびセキュリティ要素は,WO2007/09330012A2から知られている。また、EP3255417A1からは、隣接するグリッド領域の完全な重なりを実現した別のセキュリティ要素が知られている。
EP0303725A1およびEP3248806 A1は、通常の照明では見えない発光色が部分的に重なっているセキュリティペーパーに関するものである。
【背景技術】
【0005】
CMYKカラーモデルに基づく印刷プロセスを使用してセキュリティ機能が生成される場合、カラーは通常、表面全体に塗布され、その結果、減法混色が行われる。しかし、これらのプリンティングプロセスは、加法混色の実施には適していない。特に、蛍光インクを使用する場合、インク層の全面重なりに基づく既知の印刷プロセスは、着色画像の実現における課題をもたらす。なぜなら、蛍光着色剤の場合、原色の全面重なり合う赤、緑、青は、灰色の全体的な印象をもたらすからである。一方、2つの蛍光色しか使用しない場合は、通常、2色のうち一方の色が他方の色よりも強く認識される。したがって、公知の方法では、例えば、ポートレート、風景、英数字などの形態のカラー画像を、蛍光色で表示することはできない。蛍光虹の表示は確立された技術である。これまで、レインボーは、レインボーの形成で色勾配を生成するために重なり合う方法で印刷する3つのブロックストリップシリンダーを使用して生成されてきた。ただし、既存のソリューションでは、テキストや個々の文字をレインボーカラーで表示することはできない。
【発明の概要】
【0006】
したがって、従来技術の上述の欠点を克服し、カラー画像によるセキュリティ機能の生成を改善することが本願発明の目的である。
【0007】
上記目的は、本発明によれば、請求項1の特徴づけている部分の特長によって、はじめに記載したタイプの方法で達成される。
【0008】
本発明による解決策は、グリッド領域の部分的な重なり合いのみが、発光性着色剤との加法混色を可能にするので、蛍光インクが使用される場合でも、いろいろな形での着色画像によるセキュリティ機能の生成を単純な方法で可能にする。隣接するグリッド領域の重なり合い領域を変化させることによって、この点における色印象の強度を、所望の全体的な光学的印象が達成されるように最適に調整することができる。本発明による解決策はまた、レインボー・ディスプレイにデザイン、例えば、非蛍光テキスト、反対側のレインボー、白色のテキスト等を提供するために使用することができる。
【0009】
本発明の有利な変形によれば、画像は、少なくとも1つの部分領域において、少なくとも2つの部分的に重なり合うグリッド領域に分割され、少なくとも重なり合い領域の外側において、少なくとも2つのグリッド領域の他のグリッド領域をカバーする着色剤の色とは異なる色を有する着色剤で、少なくとも2つのグリッド領域のうちの少なくとも1つがカバーされる、ことを提供することができる。
【0010】
任意の着色画像は、少なくとも部分的には赤色で、画像のグリッド領域の一部を少なくとも部分的には緑色で、前記画像(2)の前記グリッド領域の一部が少なくとも部分的に青色で覆われる画像のグリッド領域の一部を覆うことによって生成することができる。
【0011】
本発明の有利なさらなる実施形態によれば、凹版印刷プロセスによる生産に特に適しており、グリッド領域が同じサイズおよび形状であるようにすることができる。
【0012】
最適な加法混色を達成するために、蛍光着色剤、特にUV光で蛍光を発する着色剤を着色剤として使用することができる。
【0013】
特に高い明度とカバレッジは、凹版印刷プロセスを用いて着色剤を基材に移すことによって達成できる。
【0014】
少なくとも1つの文字、特に英数字および/またはアイコンおよび/または幾何図形および/または記号、または一連の文字を、画像を生成するために塗布することができる。
【0015】
着色剤は、画像内の少なくとも1つの色のシーケンスがレインボーまたはマルチ色勾配の色のシーケンスに対応するように、レイヤー内で重なり合って塗布することができる。
【0016】
本発明の変形によれば、着色領域は、文字を囲むグリッド領域に1つ以上の着色剤を塗布することによって、少なくとも1つの文字または文字の少なくとも1つのシーケンスの周囲に少なくとも部分的に生成することができる。
【0017】
さらに、少なくとも1つの文字または文字の少なくとも1つのシーケンス内の色のシーケンスを、着色領域内の色のシーケンスと逆方向に塗布することができる。
【0018】
また、上記目的は、請求項11に記載の特徴部分の特長によって、本発明に係る当初記載のタイプのセキュリティ機能によって達成することができる。
【0019】
好ましくは、画像は、少なくとも部分的な領域において、少なくとも2つの重なり合うグリッド領域のうちの少なくとも1つのグリッド領域が、少なくとも重なり合い領域の外側で、少なくとも2つのグリッド領域の他のグリッド領域を覆う着色剤とは異なる色を有する着色剤を含む。
【0020】
画像のグリッド領域の一部が少なくとも部分的に赤色で覆われ、画像のグリッド領域の一部が少なくとも部分的に緑色で覆われ、画像のグリッド領域の一部が少なくとも部分的に青色で覆われていることによって、任意の色の画像の実現が容易になる。
【0021】
本発明の有利な変形形態によれば、画像を形成するグリッド領域が同じサイズおよび形状であるとすることができる。
【0022】
画像の2つの隣接するグリッド領域の重複領域は、グリッド領域のサイズに関して1~90%であることが特に有利であることが分かっている。
【0023】
本発明の好ましい変形物は、着色剤が蛍光着色剤、特にUV光で蛍光を発する着色剤であることである。
【0024】
画像は、好ましくは、ポートレート、風景、抽象幾何記号、ロゴ又は英数字、又は符号である。
【0025】
さらに、着色領域は、少なくとも1つの文字または少なくとも1つの文字のシーケンスの周囲に少なくとも部分的に配置することができる。
【0026】
少なくとも1つの文字が含まれているか、または少なくとも1つの文字のシーケンスが含まれている色のシーケンスは、着色領域内の色のシーケンスとは逆方向に塗布することができる。
【0027】
本発明の変形例によれば、画像内の少なくとも1つの色のシーケンスがレインボーまたはマルチ色勾配の色のシーケンスに対応するように、着色剤をレイヤー内で重ねて塗布することができる。
【0028】
本発明の目的は、セキュリティ要素、特に、請求項11から20のいずれか1項に記載のセキュリティ機能を有するセキュリティストリップの形成によっても達成される。
【0029】
先に言及された目的は、本発明の目的は、セキュリティ要素、特に、請求項11ないし20のいずれか1項に記載のセキュリティ機能を有するセキュリティストリップの形成によっても達成される。
【0030】
本発明をよりよく理解するために、以下の図を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【発明を実施するための形態】
【0032】
導入として、異なる方法で説明されている実施形態において、同一の部分には、同一の参照符号又は同一の構成要素指定が設けられていることに留意されたい。これにより、説明全体に含まれている開示は、同一の参照符号又は同一の構成要素指定を有する同一の部分に、それぞれを転送することができる。また、上、下、側等の明細書において選択された位置表示は、すぐに記載され、かつ、図示された図面と関連しており、これらの位置表示は、位置変更の場合には、新たな位置に移転されるものとする。
【0033】
本説明における値範囲のすべての指標は、その任意のおよびすべてのサブ範囲を含むものと理解されるべきであり、例えば、標示1~10は、下限1および上限10から始まるすべてのサブ範囲、すなわち、1以上で始まり10以下の上限で終わるすべてのサブ範囲、
例えば、1~1.7、または3.2~8.1、または5.5~10を含むものと理解されるべきである。
【0034】
図1によれば、本発明によるセキュリティ機能1は、例えば、ポートレート、風景、建物、抽象幾何文字、ロゴ又は英数字3、又は文字のシーケンス等の形態のカラー画像2の形態を有する。セキュリティ機能2は、セキュリティストリップなどの基材に塗布されるか、即座にバリュードキュメント(有価文書)に塗布される。
【0035】
画像2は、グリッド領域4、5、6、9、10、11に分割される。画像2を形成するグリッド領域4,5,6,9,10,11は、同一の大きさ及び形状とすることができる。ここに示される形状から離れて、グリッド領域4、5、6、9、10、11は、三角形、正方形または多角形の輪郭を有することができる。したがって、グリッド表面4、5、6、9、10、11の輪郭は、特に、三角形、矩形、平行四辺形、台形、三角形、六角形、八角形、または任意の多角形によって形成することができる。
【0036】
画像2の隣接するグリッド領域4,5,6,9,10,11が部分的に重なり合っており、隣接する2つのグリッド領域4,5,6,9,10,11の重なり合い領域7,8が、グリッド領域4,5,6,9,10,11の各々よりも小さいことが、その図から分かる。画像2の隣接する2つのグリッド領域4、5、6、9、10、11の重なり合い領域は、好ましくは、グリッド領域4、5、6、9、10、11のサイズに関して、1~90%、特に3~80%、特に好ましくは1~25%または5~10%の範囲である。
【0037】
図1によれば、画像2の各グリッド領域4、5、6、9、10、11は、少なくとも重なり合い領域7、8の外側で、その隣接するグリッド領域4、5、6、9、10、11に関連する色の着色剤で覆われる。
【0038】
ここでは、グリッド領域4、5、6、9、10、11の部分領域を異なる色にすることができる。グリッド・領域4、5、6、9、10、11の各々は、隣接するグリッド・セルへの重なり合い領域7、8の外側で単一色にすることができる。重なり合い領域7、8において、例えば、重なり合い領域7、8の外側にある重なり合うグリッド領域4、5、6、9、10、11のいずれかの着色剤に色で対応する着色剤を塗布することができる。この実施形態では、重なり合い領域7、8は、したがって、1つの着色剤層だけで覆われ、これは、隣接するグリッド領域4、5、6、9、10、11のうちの1つを覆うものに対応する。このように、重なり合い領域7の外側のグリッド領域5は完全に緑とすることができ、一方、重なり合い領域7とグリッド領域6は青色の着色剤で完全に覆うことができる。
【0039】
しかしながら、別の方法として、各グリッド領域4、5、6、9、10、11は、その表面全体にわたって個別に、1色の着色剤で覆うことができ、異なる着色剤の層は、グリッド領域4、5、6、9、10、11の重なり合い領域内で互いに重なり合うようになる。例えば、第1のグリッド領域4は、その全表面にわたって赤色で覆うことができ、第2のグリッド領域5は、その全表面にわたって緑色で覆うことができ、第3のグリッド領域6は、青色で覆うことができる。3つのグリッド領域4、5、6の重なり合い領域において、層構造は、着色剤が塗布されるシーケンスに応じて、赤緑青である。
【0040】
しかしながら、画像2の他の部分領域では、隣接するグリッド領域9、10、11は、同じ色、例えば、青、赤または緑で覆うことができる。
【0041】
好ましい着色剤は、特にUV光で蛍光する着色剤である、蛍光着色剤である。たとえば、蛍光の色合いを持つインクは、特に適していることが証明されている。
【0042】
図1に示すセキュリティ機能1を生成するために、着色剤を基材に塗布することによって画像2を生成する。画像2は、グリッド領域4、5、6、9、10、11に分割される。隣接するグリッド領域4、5、6、9、10、11は、既に述べたように、2つの隣接するグリッド・領域4、5、6、9、10、11の重なり合い領域7、8のサイズが、好ましくは、グリッド領域4、5、6、9、10、11のサイズに関して、1から90%、特に3から80%、特に好ましくは1から25%または5から10%の間である。
【0043】
部分的に重なり合うグリッド領域は、異なる色で覆うことができる。例えば、グリッド・領域4は、蛍光赤色で覆うことができ、グリッド・領域5は、蛍光緑色で覆うことができ、グリッド・領域6は、蛍光青色で覆うことができる。
【0044】
グリッド領域4、5、6が、その表面全体にわたって連続して着色剤で覆われている場合、使用される着色剤の3つの層が、グリッド領域の角領域において重なっている可能性がある。したがって、層シーケンスが赤、緑、青は、グリッド領域4、5、6の角交差領域をもたらすことができ、一方、層シーケンスが赤と緑は、グリッド領域4、5との間のサイドエッジ交差領域をもたらすことができ、層シーケンスが緑と青は、2つのグリッド領域5、6の間のサイドエッジ交差領域をもたらすことができる。この種の基材への画像転送は、例えば、デジタル制御されたインクジェット印刷法を使用して実行することもできる。
【0045】
しかし、連続して実行されるグリッド領域4、5、6、9、10、11の全面塗りに代わるものとして、重なり合い領域7、8の外側に位置するグリッド領域4、5、6、9、10、11のうちの1つの領域だけを第1色の着色剤で覆うことができ、グリッド領域4、5、6、9、10、11の別の領域だけでなく、第2色の着色剤で重なり合い領域7、8で覆うことができる。したがって、グリッド領域4、5、6の角交差領域、並びに横方向の重複領域においては、グリッド領域6のように青色のカラー層のみを塗布することができ、一方、グリッド領域4の残りの部分は赤色に着色することができ、グリッド領域5の残りの部分は緑色に着色することができる。この段落で説明する実施形態では、凹版印刷プロセスが特に適しており、これにより、グリッド領域4、5、6、9、10、11の等高線に応じて、重なり合い領域7、8を考慮して、凹版印刷シリンダーを使用することができる。
【0046】
隣接し部分的に重なり合うグリッド領域9、10、11は、同じ色の着色剤、例えば、画像2の部分的な領域では、例えば、蛍光青色、赤色または緑色で覆うこともできることは、上述した全ての実施形態に適用される。
【0047】
図1に示す画像2を生成するために、文字または文字3のシーケンスを基材に塗布することができる。文字は、例えば、英数字及び/又は階層図形等のアイコン、及び/又は幾何図形及び/又は記号である。各文字3 は、さらに色付きの領域で囲むことができる。
【0048】
グリッド領域4、5、6、9、10、11の少なくともいくつかは、異なる色の着色剤の2つ以上の層を有する隣接するグリッド領域4、5、6、9、10、11と、部分的または完全に、および/または重なり合い領域7、8においてもコートすることができる。この実施形態では、個々の文字3において連続的な色勾配を達成することができる。文字3または一連の文字、および周囲の着色領域は、グリッド領域に分割される。さらに、画像2で使用される着色剤の幾何学的面積カバレッジは変化し得る。例えば、グリッド領域4、5、6、9、10、11の1つのグリッド領域において、第1の色の少なくとも第1の層と第2の色の少なくとも第2の層を、第1の表面積、例えば第1の層の20%をカバーする第2の層の上に塗布することができる。グリッド領域4、5、6、9、10、11の別のグリッド領域では、第1および第2の色の2つの対応する層を塗布することもでき、第2の層は、第1の層の異なるサイズ、例えば10%の第2の表面領域を覆う。グリッド領域4、5、6、9、10、11における面積カバレッジは、所望の色印象または色勾配が画像2において達成されるように、ここで選択される。
【0049】
さらに、幾何学的面積カバレッジの変化の代替として、または追加として、他方の上に塗布される層の厚さも、所望の色印象を達成するために変化させることができる。したがって、グリッド領域4、5、6、9、10、11の第1のグリッド領域において、第1の層は第1の厚さを有し、その下に位置する第2の層は第2の厚さを有してもよいが、一方、例えば、グリッド領域4、5、6、9、10、11の別のグリッド領域において、第1又は第2の層は、第1のグリッド領域の対応する第1又は第2の層よりも厚く又は薄くてもよい。
【0050】
着色剤は、例えば、画像2の少なくとも1つの色のシーケンス、例えば、文字3のシーケンスおよび/またはそれらを囲む着色領域において、レインボーの色のシーケンスに対応するように、グリッド領域4、5、6、9、10、11の中で重なっている層に塗布することができる。ここでは、RGB色空間の色を使用することが好ましい。画像2の生成のために、例えば、凹版印刷プロセスを使用することができ、3つのシリンダーが使用され、それぞれが、1色の着色剤を基材に連続的に塗布する。したがって、シリンダーの1つは赤色の着色剤を塗布でき、別のシリンダーは緑色の着色剤を塗布でき、さらに別のシリンダーは青色の着色剤を塗布できる。着色剤は、それ自体既知の方法でシリンダーのセルに充填され、余分な色は、セル間に位置するシリンダーのウェブからワイプされる。セルのアウトラインは、グリッド領域4、5、6、9、10、11を定義することができ、この接続は、凹版印刷プロセスが使用される本発明のすべての実施形態に一般に適用される。シリンダーは、着色剤による所望のカバレッジまたは基材上の所望の色勾配が達成されるように、互いに調整される。本発明による解決策は、任意の色勾配、例えば連続色勾配を有する文字を表示することを可能にする。
【0051】
少なくとも1つの文字3または1つの文字シーケンス内の色のシーケンスは、色領域内の色のシーケンスとは反対の場合もある。
【0052】
最後に、順序のために、レイアウトをよりよく理解するために、要素は、部分的にスケールから外れ、および/またはサイズが拡大および/または縮小されて示されることに留意されたい。
【0053】
基準記号一覧
1.セキュリティ機能
2.画像
3.基材
4.グリッド領域
5.グリッド領域
6.グリッド領域
7.重なり合い領域
8.重なり合い領域
9.グリッド領域
10.グリッド領域
11.グリッド領域
[態様例]
[態様1]
着色剤を基材(3)に塗布して画像を生成し、着色画像(2)の形でセキュリティ機能(1)を生成する方法であって、
前記画像(2)は、グリッド領域に分割されて、前記画像(2)のすぐ隣のグリッド領域(4、5、6、9、10、11)が部分的に重なっており、
すぐに隣接するグリッド領域(4、5、6、9、10、11)のオーバーラップ領域(7、8)は、該グリッド領域(4、5、6、9、10、11)の1つよりも小さいものであり、
前記画像(2)のグリッド領域(4、5、6、9、10、11)には、それぞれ少なくとも1つの色が割り当てられており、
少なくとも、前記それぞれのグリッド領域(4、5、6、9、10、11)に対応する前記基材(3)の前記領域から前記対応するオーバーラップ領域(7、8)を引いたものが、前記それぞれに割り当てられた色の少なくとも1つの着色剤で覆われており、
隣接するグリッド領域(4、5、6、9、10、11)の間の前記オーバーラップ領域(7、8)は、少なくとも、前記それぞれのオーバーラップ領域(7、8)で重なり合う前記グリッド領域(4、5、6、9、10、11)のいずれかに割り当てられた色を持つ前記着色剤で覆われている、
ことを特徴とする方法。
[態様2]
前記画像(2)が、少なくとも1つの部分領域において、少なくとも2つの部分的に重なり合うグリッド領域(4、5、6、9、10、11)に分割され、
前記少なくとも2つのグリッド領域(4、5、6、9、10、11)のうちの前記他方を覆う前記着色剤の色とは異なる色を有する着色剤で、少なくとも前記重なり合い領域(7、8)の外側において、前記少なくとも2つのグリッド領域(4、5、6、9、10、11)のうちの少なくとも1つが覆われる
ことを特徴とする態様1に記載の方法。
[態様3]
前記グリッド領域(4)の一部が少なくとも部分的に赤色で覆われ、
前記画像(2)の前記グリッド領域(5)の一部が少なくとも部分的に緑色で覆われ、
前記画像(2)の前記グリッド領域(6)の一部が少なくとも部分的に青色で覆われる
ことを特徴とする態様1または2に記載の方法。
[態様4]
前記グリッド表面(4、5、6、9、10、11)が同じサイズおよび形状であることを特徴とする態様1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
[態様5]
蛍光着色剤、特にUV光で蛍光着色剤を着色剤として使用することを特徴とする、態様1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
[態様6]
凹版印刷プロセスによって着色剤が前記基材に転送されることを特徴とする態様1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
[態様7]
少なくとも1つの文字(3)、特に英数字(3)、および/または、アイコンおよび/または幾何図形および/または記号、または文字のシーケンスが塗布されて前記画像(2)が生成されることを特徴とする態様1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
[態様8]
少なくとも一部の前記グリッド領域(4、5、6、9、10、11)が、異なる色の着色剤の少なくとも2層を有する隣接するグリッド領域(4、5、6、9、10、11)と部分的または完全に、および/または重なり合い領域(7、8)にコートされることを特徴とする態様1から7のいずれか1項に記載の方法。
[態様9]
前記画像(2)内の少なくとも1つの色のシーケンスがレインボーまたはマルチ色勾配の色のシーケンスに対応するように、前記着色剤がレイヤー内で重なり合って塗布されることを特徴とする態様8に記載の方法。
[態様10]
着色領域が、少なくとも部分的に、前記文字(3)を囲むグリッド領域(4、5、6、9、10、11)に1つ以上の着色剤を塗布することにより、前記少なくとも1つの文字(3)または前記少なくとも1つの文字シーケンスの周囲に生成されることを特徴とする態様7ないし9のいずれか1つに記載の方法。
[態様11]
前記少なくとも1つの文字(3)における、または前記少なくとも1つの文字シーケンスにおける色のシーケンスが、前記着色領域における色のシーケンスと前記反対方向に塗布されることを特徴とする態様10に記載の方法。
[態様12]
カラー画像(2)の形態におけるセキュリティ機能であって、特に、態様1ないし11のいずれか1項に記載の方法によって生成され、
前記画像が、着色グリッド領域(4、5、6、9、10、11)、部分的に重なっている前記画像の隣接するグリッド領域(4、5、6、9、10、11)、および、隣接するグリッド領域(4、5、6、9、10、11)のうちのいずれか1つよりも小さい隣接するグリッド領域(4、5、6、9、10、11)に分割されること
を特徴とする、セキュリティ機能。
[態様13]
前記画像(2)は、少なくとも部分的な領域において、少なくとも2つの重なり合うグリッド領域(4、5、6、9、10、11)、前記少なくとも2つのグリッド領域(4、5、6、9、10、11)のうちの他の領域を覆う前記着色剤とは異なる色を有する着色剤で少なくとも重なり合い領域の外側に、覆われた、少なくとも1つの前記グリッド領域(4、5、6、9、10、11)、を含むことを特徴とする態様12に記載のセキュリティ機能。
[態様14]
前記画像(2)の第1のグリッド領域(4)が赤色で少なくとも部分的に覆われ、および/または、
前記画像(2)の第2のグリッド領域(5)が緑色で少なくとも部分的に覆われ、および/または、
前記画像(2)の第3のグリッド領域(6)が青色で少なくとも部分的に覆われる
ことを特徴とする態様12または13に記載のセキュリティ機能。
[態様15]
前記画像(2)を形成する前記グリッド領域(4、5、6、9、10、11)が同じサイズおよび形状であることを特徴とする態様12または14に記載のセキュリティ機能。
[態様16]
前記画像(2)の隣接する2つのグリッド領域(4、5、6、9、10、11)の前記重なり合い領域(7、8)が、グリッド領域(4、5、6、9、10、11)のサイズに対して1ないし90%であることを特徴とする態様12ないし15のいずれか1項に記載のセキュリティ機能。
[態様17]
前記着色剤は、蛍光着色剤、特に、紫外線で蛍光を発する着色剤であることを特徴とする態様12ないし16のいずれか1項に記載のセキュリティ機能。
[態様18]
前記画像(2)は、ポートレート、景色、抽象幾何標識、ロゴまたは英数字標識および/またはアイコンおよび/または符号および/または文字のシーケンスを含むことを特徴とする態様12ないし17のいずれか1項に記載のセキュリティ機能。
[態様19]
少なくとも一部のグリッド領域(4、5、6、9、10、11)が、異なる色の着色剤の少なくとも2層を有する隣接するグリッド領域(4、5、6、9、10、11)と部分的または完全に、および/または重なり合い領域(7、8)にコーティングされることを特徴とする、態様12から18のいずれか1項に記載のセキュリティ機能。
[態様20]
少なくとも1つの文字(3)または少なくとも1つの文字のシーケンスの周囲に少なくとも部分的に色表面が配置されることを特徴とする態様12ないし19のいずれか1つに記載のセキュリティ機能。
[態様21]
前記少なくとも1つの文字(3)における、または、前記少なくとも1つの文字のシーケンスにおける色のシーケンスが、前記着色領域における色のシーケンスと逆方向に塗布されることを特徴とする、態様12から20のいずれか1つに記載のセキュリティ機能。
[態様22]
前記画像内の色の少なくとも1つのシーケンスがレインボーまたはマルチ色勾配の色のシーケンスに対応するように、前記着色剤がレイヤー内で重なり合わせて塗布されることを特徴とする態様21に記載のセキュリティ機能。
[態様23]
特にセキュリティストリップの形成において、態様12ないし22のいずれか1項に記載のセキュリティ機能(1)を有することを特徴とするセキュリティ要素。
[態様24]
態様23に記載のセキュリティ要素、および/または、態様12ないし22に記載のセキュリティ機能(1)を含むことを特徴とするバリュードキュメント(有価文書)。