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特許7267427ブレードロータシステムと対応する保守点検方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】ブレードロータシステムと対応する保守点検方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/16 20060101AFI20230424BHJP
   F01D 5/26 20060101ALI20230424BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20230424BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
F01D5/16
F01D5/26
F01D25/00 X
F04D29/66 M
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021534599
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 US2018066730
(87)【国際公開番号】W WO2020131062
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】521001582
【氏名又は名称】シーメンス エナジー グローバル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS ENERGY GLOBAL GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,ユエクン
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/175356(WO,A1)
【文献】特表2013-537953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/16
F01D 5/26
F01D 25/00
F04D 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械用のブレードロータシステム(10)であって、
ロータディスク(12)上に取り付けられた周方向のブレード(14)の列であって、各ブレード(14)は、
プラットフォーム(24)と、
前記ブレード(14)を前記ロータディスク(12)に取り付けるため、前記プラットフォーム(24)から半径方向内側に延びる根元部(18)と、
前記プラットフォーム(24)から半径方向外側にスパン方向に延びる翼(16)と、を有し、
隣接するブレードのプラットフォーム(24)が円周方向に整列して作動流体流路の内径境界を規定する、
周方向のブレード(14)の列と、
それぞれ隣接する前記プラットフォーム(24)の間に位置する複数のダンパ(30)と、
を備え、
前記複数のダンパ(30)は、第1のセット(H)のダンパ(30)と、第2のセット(L)のダンパ(30)とを含み、前記第1のセット(H)のダンパ(30)は、それぞれのセット(H、L)に固有なダンパ(30)内の断面材料分布によって、前記第2のセット(L)のダンパ(30)と区別され、
前記第1のセット(H)と前記第2のセット(L)のダンパ(30)は、周方向に周期的に交互に配置され、前記ブレード(14)のフラッタを安定させる周波数ミスチューニングを提供し、
前記第1のセット(H)のダンパ(30)及び前記第2のセット(L)のダンパ(30)は、同一の外側形状と同一の寸法を有し、
前記第1のセット(H)のダンパ(30)は中実であり、
前記第2のセット(L)のダンパ(30)は中空であり、それぞれがその内部キャビティ(40)を規定する、
ブレードロータシステム(10)。
【請求項2】
前記第1のセット(H)のダンパ(30)と前記第2のセット(L)のダンパ(30)とが同一材料で構成されていることを特徴とする請求項に記載のブレードロータシステム(10)。
【請求項3】
前記第1のセット(H)のダンパ(30)は、単一の材料で均一に形成され、
前記第2のセット(L)のダンパ(30)が、
前記隣接するプラットフォーム(24)の放射状内面(24a)と摩擦接触する外体(36)であって、第1の材料から形成される、外体(36)と、
前記外体(36)に形成されたキャビティ(40)に配置され軸方向に伸びるインサート(38)であって、前記第1の材料とは異なる第2の材料から形成される、インサート(38)と、
を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のブレードロータシステム(10)。
【請求項4】
前記第2材料は粘弾性材料を含む、請求項に記載のブレードロータシステム(10)。
【請求項5】
ターボ機械用のブレードロータシステム(10)であって、
ロータディスク(12)上に取り付けられた周方向のブレード(14)の列であって、各ブレード(14)は、
プラットフォーム(24)と、
前記ブレード(14)を前記ロータディスク(12)に取り付けるため、前記プラットフォーム(24)から半径方向内側に延びる根元部(18)と、
前記プラットフォーム(24)から半径方向外側にスパン方向に延びる翼(16)と、を有し、
隣接するブレードのプラットフォーム(24)が円周方向に整列して作動流体流路の内径境界を規定する、
周方向のブレード(14)の列と、
それぞれ隣接する前記プラットフォーム(24)の間に位置する複数のダンパ(30)と、
を備え、
前記複数のダンパ(30)は、第1のセット(H)のダンパ(30)と、第2のセット(L)のダンパ(30)とを含み、前記第1のセット(H)のダンパ(30)は、それぞれのセット(H、L)に固有なダンパ(30)内の断面材料分布によって、前記第2のセット(L)のダンパ(30)と区別され、
前記第1のセット(H)と前記第2のセット(L)のダンパ(30)は、周方向に周期的に交互に配置され、前記ブレード(14)のフラッタを安定させる周波数ミスチューニングを提供し、
前記第1のセット(H)のダンパ(30)及び前記第2のセット(L)のダンパ(30)は、同一の外側形状と同一の寸法を有し、
前記第1のセット(H)及び前記第2のセット(L)のダンパ(30)のそれぞれが、
前記隣接するプラットフォーム(24)の半径方向内面(24a)に摩擦接触する外本体(36)であって、その内部に形成された軸方向に延在するキャビティ(40)を有する外本体(36)と、
前記外本体(36)に形成された前記キャビティ(40)に配置された軸方向に延在するインサート(38a、38b)であって、前記外本体(36)とは異なる材料で形成されたインサート(38a、38b)と、
を有し、
前記第1のセット(H)のダンパ(30)は、それぞれのセット(H、L)に特有のインサート(38a、38b)の材料によって前記第2セット(L)のダンパ(30)と区別される、
ことを特徴とするブレードロータシステム(10)。
【請求項6】
ターボ機械用のブレードロータシステム(10)であって、
ロータディスク(12)上に取り付けられた周方向のブレード(14)の列であって、各ブレード(14)は、
プラットフォーム(24)と、
前記ブレード(14)を前記ロータディスク(12)に取り付けるため、前記プラットフォーム(24)から半径方向内側に延びる根元部(18)と、
前記プラットフォーム(24)から半径方向外側にスパン方向に延びる翼(16)と、を有し、
隣接するブレードのプラットフォーム(24)が円周方向に整列して作動流体流路の内径境界を規定する、
周方向のブレード(14)の列と、
それぞれ隣接する前記プラットフォーム(24)の間に位置する複数のダンパ(30)と、
を備え、
前記複数のダンパ(30)は、第1のセット(H)のダンパ(30)と、第2のセット(L)のダンパ(30)とを含み、前記第1のセット(H)のダンパ(30)は、それぞれのセット(H、L)に固有なダンパ(30)内の断面材料分布によって、前記第2のセット(L)のダンパ(30)と区別され、
前記第1のセット(H)と前記第2のセット(L)のダンパ(30)は、周方向に周期的に交互に配置され、前記ブレード(14)のフラッタを安定させる周波数ミスチューニングを提供し、
前記第1のセット(H)のダンパ(30)及び前記第2のセット(L)のダンパ(30)は、同一の外側形状と同一の寸法を有し、
前記第1のセット(H)のダンパ(30)は、
前記隣接するプラットフォーム(24)の半径方向内面(24a)に摩擦接触する外本体(36)であって、その内部に形成された軸方向に延在するキャビティ(40)を有する外本体(36)と、
前記外本体(36)内に形成されたキャビティ(40)内に配置された軸方向に延在するインサート(38)を有する外本体(36)であって、前記外本体(36)の材料とは異なる材料で形成された、インサート(38)と、
を有し、
前記第2セット(L)のダンパ(30)は中空であり、それぞれが内部キャビティ(40)を規定する、
ブレードロータシステム(10)。
【請求項7】
ブレードロータシステム(10)の保守点検方法であって、
前記ブレードロータシステム(10)は、
ローターディスク(12)に取り付けられた周方向のブレード(14)の列であって、各ブレード(14)は、プラットフォーム(24)と、ブレード(14)をローターディスク(12)に取り付けるためにプラットフォーム(24)から半径方向内側に延びる根元部(18)と、プラットフォーム(24)から半径方向外側に延びる翼(16)と、を有する周方向のブレード(14)の列と、
隣接する前記プラットフォーム(24)の間にそれぞれ配置された複数のダンパ(30)と、
を有し、
前記複数の配置されたダンパ(30)の少なくともサブセットの集合を修正すること、または、前記複数の配置されたダンパ(30)の少なくともサブセットに対して、置換え用ダンパ(30)を設けることであって、
前記ダンパ(30)の第1のセット(H)および前記ダンパ(30)の第2のセット(L)を結果的に得るようにし、ここで、前記第1のセット(H)のダンパ(30)は、それぞれのセット(H、L)に固有であるダンパ(30)内の断面材料分布によって、前記第2のセット(L)のダンパ(30)から区別され、前記第1のセット(H)のダンパ(30)及び前記第2のセット(L)のダンパ(30)は、同一の外側形状と同一の寸法を有し、前記第1のセット(H)のダンパ(30)は中実であり、前記第2のセット(L)のダンパ(30)は中空であり、それぞれがその内部キャビティ(40)を規定する、
ことと、
修正または置換え用ダンパ(30)を設置することで、前記第1のセット(H)および前記第2のセット(L)のダンパ(30)は、周方向に周期的に交互に配置されるように、ブレード(14)のフラッタを安定させる周波数ミスチューニングを提供することと、
を有するブレードロータシステム(10)の保守点検方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ機械における回転ブレードに関し、特に、フラッタ抵抗を改善するための交互の周波数ミスチューニングを有するブレード列に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンのようなターボ機械は、ガスタービンエンジンのタービンセクション内の高温ガス経路に沿った複数の段の流れを導く要素を含む。各タービンステージは、固定ベーンの円周方向列と、タービンセクションの軸方向に沿って配置された回転ブレードの円周方向列とを備える。各ブレード列は、それぞれのロータディスク上に取り付けることができ、ブレードは、ロータディスクから高温ガス経路内に半径方向外側に延びている。ブレードは、翼の根元部から翼の先端まで半径方向に沿ってスパン方向に延びる翼を含む。
【0003】
各段の典型的なタービン翼は、空気力学的にも機械的にも同一であるように設計されている。これらの同一のブレードは、ロータディスクに一緒に組み立てられて、ブレードロータシステムを形成する。エンジン運転中、ブレードロータシステムはシステムモードで振動する。この振動は、低圧タービン段のような大型ブレードでは、より厳しくなる可能性がある。モードにおける減衰の主な要因は、ブレードが振動するときにブレードに作用する空気力によるものである。特定の条件下では、一部のモードにおける空力減衰が負になり、ブレードがフラッタする可能性がある。この場合、ブレードがリミットサイクルに達するか、ブレードが破損するまで、システムの振動応答が指数関数的に増大する傾向がある。ブレードがリミットサイクルを達成しても、それらの振幅は、ブレードが高サイクル疲労から故障する原因となるほど十分に大きくなり得る。
【0004】
代替周波数ミスチューニングは、システムモードを歪ませ、結果として生じる、ミスチューニングされた新しいシステムモードが安定である、すなわち、それらは全て正の空力減衰を有する。従って、所定量の代替ミスチューニングを有するブレードを設計できることが望ましい。周方向に周期的に高周波数と低周波数の間でブレード列内のブレードを交互に配置することによって、ブレードに交互のミスチューニングを実施することができる。これまで、翼列内で翼の質量および/または幾何学的形状を周期的に修正することによって、翼の交互のミスチューニングが実施されてきた。
【0005】
しかしながら、ブレード振動の問題をより良く対処するための改善の余地が残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
簡単に説明すると、本発明の態様は、改良されたフラッタ抵抗のための交互の周波数ミスチューニングを提供するために、アンダープラットフォームダンパの質量が改良されたブレード列を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、ターボ機械用のブレードロータシステムが提供される。ブレードロータシステムは、ロータディスクに取り付けられた周方向のブレード列を備える。各ブレードは、プラットフォームと、ブレードをロータディスクに取り付けるためのプラットフォームから半径方向内側に延びる根元部と、プラットフォームから半径方向外側にスパン方向に延びる翼とを備える。作動中、隣接するブレードのプラットフォームは円周方向に整列し、作動流体流路のための内径境界を規定する。ブレードロータシステムは、複数のダンパをさらに含み、各ダンパは隣接するプラットフォーム間に配置される。複数のダンパは、第1のセットのダンパと第2のセットのダンパとを備える。第1のセットのダンパは、それぞれのセットに固有のダンパ内の断面材料分布によって、第2のセットのダンパと区別される。第1のセットと第2のセットのダンパは、周方向に周期的な態様で交互に配置され、ブレードのフラッタを安定させるための周波数ミスチューニングを提供する。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、ブレードロータシステムを保守点検するための方法が提供される。ブレードロータシステムは、ロータディスクに取り付けられた周方向のブレード列を備え、各ブレードは、プラットフォームと、ブレードをロータディスクに取り付けるためのプラットフォームから半径方向内側に延びる根元部と、プラットフォームから半径方向外側にスパン方向に延びる翼とを備える。ブレードロータシステムは、複数のダンパをさらに備え、各ダンパは、隣接するプラットフォーム間に設置される。この方法は、複数の据え付けられたダンパの少なくともサブセットの質量を変更すること、または、複数の据え付けられたダンパの少なくともサブセットのための置換え用ダンパを提供することを含む。その結果、第1および第2のセットのダンパが得られ、このダンパでは、第1のセットのダンパは、それぞれのセットに固有のダンパ内の断面材料分布によって、第2のセットのダンパと区別される。この方法は更に、改造ダンパ又は置換えダンパを取り付けることを含み、これにより、第1のセットと第2のセットのダンパが周方向に周期的に交互に配置され、周波数ミスチューニングを与えてブレードのフラッタを安定させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、図面の助けを借りて、より詳細に示される。図は好ましい構成を示しており、本発明の範囲を限定するものではない。
図1】アンダープラットフォームダンパを備えるブレードロータシステムの一部を概略的に示す軸線方向図である。
図2】アンダープラットフォームダンパのミスチューニングを実施する本発明の実施形態を概略的に示す斜視図である。
図3】変化する断面材料分布を有するアンダープラットフォームダンパの第1の例示的な構成を概略的に示す図である。
図4図3に示すダンパの断面図である。
図5】変化する断面材料分布を有するアンダープラットフォームダンパの第2の例示的な構成を概略的に示す図である。
図6図5に示すダンパの断面図である。
図7】変化する断面材料分布を有するアンダープラットフォームダンパの第3の例示的な構成によるダンパの断面図である。
図8】変化する断面材料分布を有するアンダープラットフォームダンパの第4の例示的な構成によるダンパの断面図である。
図9図9は、一列のタービンブレードにおける交互のミスチューニングをグラフで示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の好ましい実施態様の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付の図面を参照し、これを例証として示し、限定するものではないが、本発明を実施することができる特定の実施態様を参照する。他の実施形態を利用してもよく、本発明の精神および範囲から逸脱することなく変更を行うことができることを理解すべきである。
【0011】
図面において、方向Aはタービンエンジンの軸に平行な軸方向を示し、一方方向RおよびCはそれぞれ、タービンエンジンの前記軸に対して半径方向および円周方向を示す。
【0012】
次に、図1を参照すると、ブレードロータシステム10の一部が図示されている。ブレードロータシステム10は、ロータディスク12上に取り付けられたブレード14の円周方向列を含む。各ブレード14は、プラットフォーム24から翼端20までの半径方向に沿ってスパン方向に延びる翼16を備えている。当業者に知られているように、翼16は、前縁6と後縁(図示せず)で接合された、ほぼ凹状の圧力側2とほぼ凸状の吸込側4とを備えることができる。ブレード14は、プラットフォーム24から半径方向内側に延びるブレードルートと呼ばれる取り付け構造を介してディスク12に取り付けられている。図示の実施形態では、根元部18は、ファーツリー形状を有し、これは、ロータディスク12内に対応して成形されたスロット26に適合する。図示の実施形態の文脈では、ブレード列の各ブレード14は、本質的に同一のファーツリーアタッチメントを有していると仮定することができる。各プラットフォーム24は、半径方向内面24aと半径方向外面24bとを備える。動作中、隣接するブレード14のプラットフォーム24は、必ずしも互いに接触することなく、円周方向に整列する。隣接するプラットフォーム24の半径方向外面24bの円周方向の位置合わせは、ターボ機械の作動流体のための内径流路境界を形成する。翼16は、流路内に半径方向外向きに延び、作動流体からエネルギを取り出し、これにより、ブレード14が回転軸22を中心として回転する。
【0013】
翼16が作動流体からエネルギを取り出すと、作動流体は翼16に負荷力を及ぼす。負荷力の変動は、ブレード14を偏向させ、振動させる可能性がある。この振動は、広いスペクトルの周波数成分を有し、ブレード14の固有共振周波数で最大の振幅を有することができる。ブレード14がシュラウドに覆われていないとき、振動は主に回転方向、すなわち周方向に接線方向である。また、流体の流れの方向、すなわち軸方向に二次振動成分が存在し得る。上述した振動は、アンダープラットフォームダンパ30を組み込むことによって低減することができる。各ダンパ30は、一対の隣接するプラットフォーム24の間の間隙をまたぐ剛性要素として構成されてもよい。各ダンパ30は、設置されると、隣接するプラットフォーム24の半径方向内面24aに接触する半径方向外向き表面32を有する。それによって、ダンパ30によってプラットフォーム24に摩擦力が加えられる。この摩擦力は、ブレード間振動を低減し、その結果、個々のブレード振動を低減する。従来、ブレード列のダンパ30は、互いに同一であるように設計される。
【0014】
図示された実施形態の根本的なアイデアは、ダンパ30の質量を交互のパターンで変更することによって、ブレード周波数の交互のミスチューニングを有するようにブレードロータシステム10を設計することを含む。
【0015】
図2は、本発明の一態様による、ミスマッチングされたアンダープラットフォームダンパ30の配置を概略的に示す。ここで、ブレードロータシステム10のダンパ30は、HおよびLとしてそれぞれ指定される第1および第2のセットのダンパ30に分割することができる。本明細書で説明するように、第1のセットHのダンパ30は、それぞれのセットHまたはLに固有のダンパ30の断面材料分布によって、第2のセットLのダンパ30から区別される。第1のセットHおよび第2のセットLのダンパ30は、周方向に周期的に交互に配置され、ブレード14のフラッタを安定させるための周波数ミスチューニングを提供することができる。本明細書において、「セット」という用語は、単一のダンパ又は複数の同一のダンパを指すことができ、「交互に」という用語は、全ての他のダンパを指すことができ、又は同様の振動特性を有する連続したダンパ群を含むことができる。図示の実施形態では、第1のセットH及び第2のセットLのダンパ30は、パターンHHLLHHにおいて、円周方向に2つのグループで交互になっている。第1のセットHおよび第2のセットLの1つ以上のダンパ群のさらなる実施形態では、例えば、HHLLHH、HHHLLHHH、HHHLLHHHなどを含むパターンにおいて、ブレード列内の周方向に沿って周期的な態様で交互になってもよい。
【0016】
第1の実施形態は、図3及び図4に示されている。この実施形態では、第1のセットHのダンパ30(H)は中実であるが、第2のセットLのダンパ30(L)は中空であり、それぞれ内部空洞40を規定している。キャビティ40は、ダンパ30の軸方向の全長Lに沿って延在してもよい。一実施形態では、第1のセットHと第2のセットLの両方のダンパ30は、同じ材料で作られている。キャビティ40の大きさは、中空ダンパ30、第1のセットHの固体ダンパ30(H)に関連して第2のセットLの材料減衰における所定の差を達成するように適切に決定され得る。2つのセットHとLの間のダンパ30の材料減衰における変動に基づいて、所望の周波数ミスチューニングは、上述したように、ブレードロータシステム10の周方向に、第1のセットHと第2のセットLのダンパ30を周期的に交互に配置することによって達成され得る。
【0017】
第2の実施形態では、図5および6に図示されるように、ハイブリッド材料から形成されるダンパと組み合わせてソリッドダンパを使用することによって、材料減衰の修正が達成されてもよい。本実施形態では、第1のセットHのダンパ30(H)は固体であり、単一材料で均一に形成される一方、第2のセットLのダンパ30(L)はハイブリッド材料で形成される。ハイブリッド材料から形成されるダンパは、本明細書では、「ハイブリッドダンパ」と呼ばれる。図5及び図6に図示の実施形態では、ハイブリッドダンパ30(L)は、その内部に形成された軸方向に延びるキャビティ40を有する外側本体36を含む。外側本体36の構成は、キャビティ40が見える先の実施例(図3-4)の中空ダンパ30(L)の構成と同様であってもよい。外側本体36は、表面32を有し、これは、設置されると、隣接するプラットフォーム24の半径方向内側表面24aと摩擦接触する。この実施形態におけるハイブリッドダンパ30(L)は、外側本体36内に形成されたキャビティ40内に配置されたインサート38を更に含む。インサート38は、外側本体36のキャビティ40を通して軸方向に挿入されてもよい。続いて、外側本体36の軸方向端部は、例えば、軸方向端部で溶接されたそれぞれのカバー(図面には示されていない)によって閉じられてもよい。
【0018】
本実施形態では、外本体36とインサート38とは異なる材料で形成されている。一実施形態では、ハイブリッドダンパ30(L)の外側本体36は、固体ダンパ30(H)のものと同じ材料で形成されてもよい。インサート38の材料は、例えば、セラミックマトリクス複合材料(CMC)のような粘弾性材料を含んでもよい。インサート38のサイズおよび材料は、第1のセットHの固体ダンパ30(H)に関連して、第2のセットLのハイブリッドダンパ30(L)の材料減衰における所定の差を与えるように選択されてもよい。2つのセットHおよびLの間のダンパ30の材料減衰における変動に基づいて、所望の周波数ミスチューニングは、上述したように、ブレードロータシステム10の周方向に、第1のセットHおよび第2のセットLのダンパ30を周期的に交互に配置することによって達成されてもよい。
【0019】
第3の実施形態では、図7に示すように、第1のセットHと第2のセットLの両方のダンパ30をハイブリッドダンパとして構成してもよい。図示のように、各セットH及びLのダンパ30は、その内部に形成された軸方向に延びるキャビティ40を有する外側本体36を含む。外側本体36の構成は、前の実施形態(図5-6)に示されたものと同様であってもよい。外側本体36は、表面32を有し、これは、設置されると、隣接するプラットフォーム24の半径方向内側表面24aと摩擦接触する。各セットH及びLの各ハイブリッドダンパ30は、外側本体36内に形成されたキャビティ40内に配置された軸方向に延びるインサート38a、38bをそれぞれ更に含む。外側本体36の材料は、それぞれのインサート38a、38bの材料とは異なる。第1のセットHのダンパ30は、それぞれのセットH、Lに固有のインサート38a、38bの材質によって第2のセットLのダンパ30と区別される。この場合、外側本体36の材質は、セットH、Lの両方のダンパ30に対して同じであってもよい。第1のセットH、第2のセットLに使用されるインサート38a、38bの材質は、2つのセットH、Lのダンパ30の間に所定の材料減衰の差を与えるように選択されてもよい。
【0020】
第4の実施形態では、図8に示されるように、中空ダンパと組み合わせたハイブリッドダンパを使用することによって、材料減衰の修正が達成されてもよい。前述の実施形態で説明したように、各ハイブリッドダンパ30(H)は、隣接するプラットフォーム24の半径方向内側表面24aに摩擦接触する外側本体36を含んでもよい。外側本体36は、その内部に形成された軸方向に延びるキャビティ40を有する。軸方向に延びるインサート38が、外側本体36内に形成されたキャビティ40内に配置される。インサート38は、外側本体36とは複数の材料で形成される。第2のセットLのダンパ30(L)は中空であり、それぞれ内部空洞40を規定している。ハイブリッドダンパ30(H)及び中空ダンパ30(L)は、所望の代替周波数ミスチューニングを達成するために、材料減衰に所定の差を与えるように構成されてもよい。
【0021】
上に図示された全ての実施形態において、第1のセットHのダンパ30および第2のセットLのダンパ30は、同一の外側幾何学的形状を有する。外側形状は、例えば、ダンパ30の断面形状および軸方向長さによって規定されてもよい。これらの実施形態では、ダンパ30とプラットフォーム24の半径方向内面24aとの間の摩擦接触の性質とは無関係に、ダンパ30の材料減衰を2つのセットHおよびLの間で変化させることによって、交互のミスチューニングが達成される。同じダンパ外側形状を有することにより、より簡単な取付けだけでなく、ブレード列全体に対して均一なアンダープラットフォーム形状を可能にすることができる。
【0022】
ダンパの接触荷重は、運転中、プラットフォームとの接触領域に沿ったダンパの断面形状の関数であることが認識されている。したがって、さらなる実施形態では、第1のセットHのダンパ30は、それぞれの設定H、Lに固有のダンパ30の外側形状によって、第2の設定Lのダンパ30と追加的に区別されてもよい。外側形状の変動は、ダンパ30の断面形状および/または軸方向長さの変動を含んでもよい。種々の断面ダンパ形状は、とりわけ、半円形状、円形形状、楔形、または非対称形状を含むことができるが、これらに限定されない。さらに、ダンパ断面は、ダンパ30の軸方向長さにわたって均一であってもよく、または、前記軸方向長さに沿って変化してもよい。
【0023】
本明細書に示される実施形態は、自立型ブレードを対象とする。本明細書の文脈において、自立型ブレードは、シュラウドのないブレード、すなわち、プラットフォームから翼先端まで翼形に沿って半径方向外側に延びる翼を含み回転可能であり、先端すなわちプラットフォームと翼先端との間の任意の点で翼にシュラウドが取り付けられていないブレードであると理解され得る。しかしながら、図示された実施形態は例示的なものであり、本発明の態様はシュラウドブレードに拡張されてもよい。
【0024】
本明細書に例示されるように、上述の代替ミスチューニングは、翼の幾何学的形状を変更することなく達成され得る。すなわち、ブレード14の円周方向列内の全ての翼16は、回転軸22を中心とした本質的に同一の断面幾何学的形状を有することができる。これは、均一な翼を考慮しなければならないので、最適な空力効率を有するように翼を設計することを容易にする。さらに、図示された実施形態は、中空の形を有するブレード、例えば内部冷却チャネルを含むブレードに対して、交互のミスチューニングを採用することを可能にする。中空翼の設計は中実翼の設計よりも制約が大きい。アンダープラットフォームダンパのミスチューニングされた使用は、空力効率を損なうことなく、そのような中空ブレードのための代替ミスチューニングを実施するための可能性を提供する。
【0025】
本発明の態様はまた、保守点検アップグレード方法に組み入れることができ、それにより、ブレードのフラッタ抵抗を改善するために、意図的な代替ミスチューニングを既存のブレード列に導入することができる。これは、既存のダンパの少なくとも一部の質量を修正することによって、または、置換えダンパを設けることによって達成されてもよく、これによって、上述した発明の概念の1つまたは複数が実現される。上述のように、質量体の修正は、例えば、既存の中実ダンパを通して軸方向空洞を形成して中空ダンパを形成することを含んでもよい。加えて、または代替として、上述のように、本変更は、単一材料で均一に形成された固体ダンパからハイブリッドダンパを形成することを含んでもよい。このような変更は、中実ダンパを介して軸方向キャビティを形成し、続いて軸方向キャビティ内にインサートを配置することを含み得、インサートは、中実ダンパのものとは複数の材料で作られている。
【0026】
一例として、フラッタを効果的に安定させるために、アンダープラットフォームダンパの形状は、製造許容差より約1.5~2%高いミスチューニングを達成するように修正されてもよい。図9は、40個のタービンブレード列における交互のミスチューニングをグラフで示す。ここで、奇数のブレードは250Hzの周波数を有し、偶数のブレードは255Hzの周波数を有する。この例では、ブレード周波数の差は5Hzである。その結果、偶数羽根の頻度は奇数羽根の頻度より2%である、すなわちミスチューニングの量は2%である。
【0027】
特定の実施形態を詳細に説明したが、当業者であれば、開示の全体的な教示に照らして、それらの詳細に対する様々な変更および代替を開発することができることは理解されるであろう。従って、開示される特定の構成は、単に例示的であって、発明の範囲に限定されるものではなく、特許請求の範囲の全体、及びその任意の等価物に限定されるものであることを意味する。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9