(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】ドライバーポイント変動システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 40/09 20120101AFI20230424BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20230424BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20230424BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20230424BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20230424BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20230424BHJP
G16Y 20/20 20200101ALI20230424BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20230424BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20230424BHJP
【FI】
B60W40/09
B60W50/14
G08G1/00 D
G08G1/0969
G01C21/34
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/20
G16Y40/60
(21)【出願番号】P 2021555686
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(86)【国際出願番号】 JP2019044497
(87)【国際公開番号】W WO2021095154
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000153546
【氏名又は名称】株式会社日立物流
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 公則
(72)【発明者】
【氏名】川島 宏夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 健吾
(72)【発明者】
【氏名】森本 太介
(72)【発明者】
【氏名】西野 雅人
(72)【発明者】
【氏名】原 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】三木 達也
(72)【発明者】
【氏名】服巻 邦英
(72)【発明者】
【氏名】根本 憲之
(72)【発明者】
【氏名】谷口 将仁
【審査官】鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-182317(JP,A)
【文献】特開2010-211613(JP,A)
【文献】特開2017-116995(JP,A)
【文献】特開2004-249821(JP,A)
【文献】特開2014-020797(JP,A)
【文献】特開2002-046498(JP,A)
【文献】特開2013-178532(JP,A)
【文献】特開平11-257985(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107292663(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0095305(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00- 1/16
G01C 21/34
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/20
G16Y 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバーの運転に応じて、ポイントを変動させるドライバーポイント変動システムであって、
前記ドライバーが運転している車両の挙動情報を取得する第1取得手段と、
運転中の前記ドライバーの動作情報を取得する第2取得手段と、
前記取得された挙動情報および動作情報を解析して、前記運転が、燃費がよい運転を示すエコ運転であるか若しくは燃費が悪い運転を示す反エコ運転であるか、または、安全運転であるか若しくは危険運転であるか、を判定する判定手段と、
前記判定の結果が、エコ運転または安全運転の場合に、前記ドライバーに
、反エコ運転および危険運転を連続して判定しなかった時間に応じて変動するポイントを加点する加点手段と、
前記判定の結果が、反エコ運転または危険運転の場合に、前記ドライバーにポイントを減点する減点手段と、
前記減点されたことを、運転中のドライバーに通知する通知手段と、
前記減点された反エコ運転の発生状況が、ドライバーの責任ではなく他責と認められる場合には、当該減点の取り消しを行う取消手段と、
を備えるドライバーポイント変動システム。
【請求項2】
前記減点が生じた場所をマッピングし、前記ドライバーに示すマッピング手段と、
を備える請求項1に記載のドライバーポイント変動システム。
【請求項3】
前記取消手段は、前記減点が生じたシーンのドライブレコーダ動画の振り返りによって、前記減点された反エコ運転または危険運転の発生状況が他責と認められる場合に、前記減点を取り消す請求項1又は2記載のドライバーポイント変動システム。
【請求項4】
前記判定手段は、前記取消手段による減点の取り消し結果を学習して、反エコ運転および危険運転の判定精度を上げる請求項3記載のドライバーポイント変動システム。
【請求項5】
前記判定手段は、周囲の走行環境に応じて、反エコ運転または危険運転の判定基準を変更して判定する請求項1~4のいずれか一項に記載のドライバーポイント変動システム。
【請求項6】
前記判定手段は、ドライバーの属性に応じて、反エコ運転または危険運転の判定基準を変更して判定する請求項1~4のいずれか一項に記載のドライバーポイント変動システム。
【請求項7】
エコ運転または安全運転の傾向が強いドライバーと、反エコ運転または危険運転の傾向が強いドライバーとで、
前記加点手段は、加点する割合を変更して加点し、
前記減点手段は、減点する割合を変更して減点する、
請求項1~6のいずれか一項に記載のドライバーポイント変動システム。
【請求項8】
ドライバー毎のポイントを管理し、ポイントを、金銭、電子マネー、福利厚生サービスポイントの少なくともいずれかに変換する請求項1~7のいずれか一項に記載のドライバーポイント変動システム。
【請求項9】
前記ポイントの加点および減点が行われた位置を学習して、運転しやすいルート情報をドライバーに提供するルート提供手段と、
を備える請求項1~8のいずれか一項に記載のドライバーポイント変動システム。
【請求項10】
ドライバーの運転に応じて、ポイントを変動させる
ドライバーポイント変動システムにより実行されるドライバーポイント変動方法であって、
前記ドライバーが運転している車両の挙動情報を取得するステップと、
運転中の前記ドライバーの動作情報を取得するステップと、
前記取得された挙動情報および動作情報を解析して、前記運転が、燃費がよい運転を示すエコ運転であるか若しくは燃費が悪い運転を示す反エコ運転であるか、または、安全運転であるか若しくは危険運転であるか、を判定するステップと、
前記判定の結果が、エコ運転または安全運転の場合に、前記ドライバーに
、反エコ運転および危険運転を連続して判定しなかった時間に応じて変動するポイントを加点するステップと、
前記判定の結果が、反エコ運転または危険運転の場合に、前記ドライバーにポイントを減点するステップと、
前記減点されたことを、運転中のドライバーに通知するステップと、
前記減点された反エコ運転の発生状況が、ドライバーの責任ではなく他責と認められる場合には、当該減点の取り消しを行うステップと、
を備える
ドライバーポイント変動システムにより実行されるドライバーポイント変動方法。
【請求項11】
コンピュータに、ドライバーの運転に応じて、ポイントを変動させるドライバーポイント変動処理を実行させるためのプログラムであって、
前記ドライバーが運転している車両の挙動情報を取得するステップと、
運転中の前記ドライバーの動作情報を取得するステップと、
前記取得された挙動情報および動作情報を解析して、前記運転が、燃費がよい運転を示すエコ運転であるか若しくは燃費が悪い運転を示す反エコ運転であるか、または、安全運転であるか若しくは危険運転であるか、を判定するステップと、
前記判定の結果が、エコ運転または安全運転の場合に、前記ドライバーに
、反エコ運転および危険運転を連続して判定しなかった時間に応じて変動するポイントを加点するステップと、
前記判定の結果が、反エコ運転または危険運転の場合に、前記ドライバーにポイントを減点するステップと、
前記減点されたことを、運転中のドライバーに通知するステップと、
前記減点された反エコ運転の発生状況が、ドライバーの責任ではなく他責と認められる場合には、当該減点の取り消しを行うステップと、
を実行させるためのドライバーポイント変動プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバーポイント変動システム、方法及びプログラムに関する。本発明は、IoT(Internet of Things)に関連し、技術分野はIPC分類においてG06Q等に該当する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化に影響を与える二酸化炭素(CO2)の排出量を減らすため、環境に配慮した自動車の使用が求められている。例えば、ユーザに安全運転や低燃費運転に対する意識を向上させるために、複数の移動体の走行データを取得して、予め設定された経路における複数の移動体の走行状態を走行データに基づいて評価して、評価結果に基づいて複数の移動体の中におけるユーザの順位を決定する技術がある(特許文献1)。
【0003】
また、自動車に搭載された情報端末から送信される「運転情報、車両情報、位置情報」及び運転者の情報端末から送信される「車両情報、商品の選択情報」をインターネット等のネットワーク経由で受信し、受信した各種情報に基づいて、指定条件に係る無事故又はエコ運転等のランクやランキングを判定した上で、その判定したランクに基づいて、前記参加者が選択した賞品又は広告主等からの賞品を前記参加者に提供する技術がある(下記特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-182317号公報
【文献】特開2016-53933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドライバーの運転に対してポイントやランク付けをする際、公平な観点から評価する必要がある。しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の技術は、いずれも一方的な評価となっており、公平な観点からドライバーの運転を評価できていない。
【0006】
本発明は、以上の課題に鑑み、公平な観点からドライバーの運転を評価するドライバーポイント変動システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ドライバーの運転に応じて、ポイントを変動させるドライバーポイント変動システムであって、前記ドライバーが運転している車両の挙動情報を取得する第1取得手段と、運転中の前記ドライバーの動作情報を取得する第2取得手段と、前記取得された挙動情報および動作情報を解析して、前記運転が、燃費がよい運転を示すエコ運転であるか若しくは燃費が悪い運転を示す反エコ運転であるか、または、安全運転であるか若しくは危険運転であるか、を判定する判定手段と、前記判定の結果が、エコ運転または安全運転の場合に、前記ドライバーに、反エコ運転および危険運転を連続して判定しなかった時間に応じて変動するポイントを加点する加点手段と、前記判定の結果が、反エコ運転または危険運転の場合に、前記ドライバーにポイントを減点する減点手段と、前記減点されたことを、運転中のドライバーに通知する通知手段と、前記減点された反エコ運転の発生状況が、ドライバーの責任ではなく他責と認められる場合には、当該減点の取り消しを行う取消手段と、を備えるドライバーポイント変動システム(システムは単体のコンピュータであってもよい)を提供する。
【0008】
また、本発明は、ドライバーの運転に応じて、ポイントを変動させるドライバーポイント変動システムにより実行されるドライバーポイント変動方法であって、前記ドライバーが運転している車両の挙動情報を取得するステップと、運転中の前記ドライバーの動作情報を取得するステップと、前記取得された挙動情報および動作情報を解析して、前記運転が、燃費がよい運転を示すエコ運転であるか若しくは燃費が悪い運転を示す反エコ運転であるか、または、安全運転であるか若しくは危険運転であるか、を判定するステップと、前記判定の結果が、エコ運転または安全運転の場合に、前記ドライバーに、反エコ運転および危険運転を連続して判定しなかった時間に応じて変動するポイントを加点するステップと、前記判定の結果が、反エコ運転または危険運転の場合に、前記ドライバーにポイントを減点するステップと、前記減点されたことを、運転中のドライバーに通知するステップと、前記減点された反エコ運転の発生状況が、ドライバーの責任ではなく他責と認められる場合には、当該減点の取り消しを行うステップと、を備えるドライバーポイント変動システムにより実行されるドライバーポイント変動方法を提供する。
【0009】
更に、本発明は、コンピュータに、ドライバーの運転に応じて、ポイントを変動させるドライバーポイント変動処理を実行させるためのプログラムであって、前記ドライバーが運転している車両の挙動情報を取得するステップと、運転中の前記ドライバーの動作情報を取得するステップと、前記取得された挙動情報および動作情報を解析して、前記運転が、燃費がよい運転を示すエコ運転であるか若しくは燃費が悪い運転を示す反エコ運転であるか、または、安全運転であるか若しくは危険運転であるか、を判定するステップと、前記判定の結果が、エコ運転または安全運転の場合に、前記ドライバーに、反エコ運転および危険運転を連続して判定しなかった時間に応じて変動するポイントを加点するステップと、前記判定の結果が、反エコ運転または危険運転の場合に、前記ドライバーにポイントを減点するステップと、前記減点されたことを、運転中のドライバーに通知するステップと、前記減点された反エコ運転の発生状況が、ドライバーの責任ではなく他責と認められる場合には、当該減点の取り消しを行うステップと、を実行させるためのドライバーポイント変動プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ドライバーが運転している車両の挙動情報を取得し、運転中のドライバーの動作情報を取得し、取得された挙動情報及び動作情報を解析して、運転が燃費が良い運転を示すエコ運転であるか若しくは燃費が悪い運転である反エコ運転であるか、又は、安全運転であるか若しくは危険運転であるか、を判定し、判定の結果が、エコ運転又は安全運転の場合に、ドライバーにポイントを加点し、判定の結果が、反エコ運転又は危険運転の場合に、ドライバーにポイントを減点し、減点されたことを運転中のドライバーに通知し、減点された反エコ運転又は危険運転の発生状況が、ドライバーの責任ではなく他責と認められる場合には、当該減点の取り消しを行うこととした。このため、公平な観点からドライバーの運転を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態のドライバーポイント変動システムを用いた全体構成を示す概念図である。
【
図2】前記実施形態の車両の構成を示すブロック図である。
【
図3】前記実施形態のサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】前記実施形態のエコ運転および安全運転の判定基準の一例を示すテーブルである。
【
図5】前記実施形態の反エコ運転および危険運転の判定基準の一例を示すテーブルである。
【
図6】前記実施形態のサーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図7】前記実施形態によるドライバーポイント変動処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】前記実施形態によるマッピング情報及びルート情報の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、ドライバーが運転している車両の挙動情報を取得し、運転中のドライバーの動作情報を取得し、取得された挙動情報及び動作情報を解析して、運転が燃費が良い運転を示すエコ運転であるか若しくは燃費が悪い運転である反エコ運転であるか、又は、安全運転であるか若しくは危険運転であるか、を判定し、判定の結果が、エコ運転又は安全運転の場合に、ドライバーにポイントを加点し、判定の結果が、反エコ運転又は危険運転の場合に、ドライバーにポイントを減点し、減点されたことを運転中のドライバーに通知し、減点された反エコ運転又は危険運転の発生状況が、ドライバーの責任ではなく他責と認められる場合には、当該減点の取り消しを行うものである。本発明によれは、以上のような構成により、公平な観点からドライバーの運転を評価することができるとともに、エコ運転や安全運転をしているドライバーのモチベーションを上げ、反エコ運転や危険運転をしているドライバーには注意を促すことができる。
【0013】
<全体構成>・・・
図1は、本実施形態のドライバーポイント変動システムを用いた全体構成を示す概念図である。ドライバーポイント変動システム100(以下「システム」とする)は、車両10に搭載された図示しない車載装置と、ドライバー12が保有する端末14と、クラウド上のサーバ30と、運行管理者80の端末82とが、インターネットを含むネットワークを介して相互にデータ通信可能となっている。
【0014】
車両10には、車両情報センシング部20、ドライバー動作センシング部22が搭載されており、これらによって検知された情報が、近距離無線通信によって車載装置の通信部やドライバー12の端末14に送信され、これら通信部や端末14は、受信した情報を、ネットワークを介してサーバ30に送信する。
【0015】
サーバ30は、ドライバー12が運転している車両10の挙動情報を取得する(ステップS1)。車両10の挙動情報は、具体的には、車両挙動センシング部20により得られる。車両挙動センシング部20は、例えば、車外向きドライブレコーダ、危険通知ボタン、LiDAR(Light Detection and Ranging)、IoT(Internet of Things)ドライブレコーダなどを含み、これらによって、常時録画、動画切出しなどを行うとともに、車両10の挙動情報(例えば、車間距離、車線逸脱、押下日時、急加速、急減速、急ハンドル、エンジン回転数など)を取得する。取得した車両10の挙動情報は、例えば、車両10に設けられた通信部28(
図2参照)を介してサーバ30に送信されてもよいし、センサ類に通信機能が備わっている場合には、センサ類から直接サーバ30に送信してもよい。
【0016】
また、サーバ30は、運転中のドライバー12の動作情報(眠気を帯びているか、ハンドルを両手で握っているか、脇見運転をしていないかなど)を取得する(ステップS2)。ドライバー12の動作情報は、具体的には、ドライバー動作センシング部22により得られる。ドライバー動作センシング部22は、例えば、車外向けカメラや車内向けカメラを含むIoTドライブレコーダを含み、ドライバー12の動作情報である車内向けカメラの画像が得られる。また、ドライバー動作センシング部22は、車内向け画像のほかに、図示しないハンドルセンサ、モーションセンサ情報などからドライバー12の動作情報を取得してもよい。
【0017】
さらに、ドライバー動作センシング部22は、ハンドルカバー型心電計や、シートカバー型心電計を含み、これらによってドライバー12の生体情報である心電波形が得られる。また、ドライバー動作センシング部22は、心電波形のほかに、脈波、脳波、血圧、体温などの生体情報を取得してもよい。これらの生体情報も、ドライバー12の動作情報に含まれる。
【0018】
取得されたドライバー12の動作情報は、例えば、IoTドライブレコーダの通信部を介してサーバ30に送信されもよいし、ドライバー12の端末14を介してサーバ30に送信されてもよい。
【0019】
次に、サーバ30は、取得された車両10の挙動情報およびドライバー12の動作情報を解析し、運転を判定する(ステップS3)。具体的には、運転が、燃費が良い運転を示すエコ運転であるか若しくは燃費が悪い運転を示す反エコ運転であるか、または、安全運転であるか若しくは危険運転であるか、を判定基準に基づいて判定する。
【0020】
そして、判定の結果が、エコ運転または安全運転の場合に、ドライバー12にポイントを加点する(ステップS4)。また、判定の結果が、反エコ運転又は危険運転の場合に、ドライバー12にポイントを減点する(ステップS5)。例えば、運転中にリアルタイムで判定していって、加点・減点を行っていく。
【0021】
サーバ30は、減点されたことを運転中のドライバー12に通知する(ステップS6)。例えば、車両10に設けられたスピーカ24や、ドライバー12の端末14から音が鳴ったり、車両10に設けられたランプ26や、ドライバー12の端末14が光ったりするなどの形態で通知する。あるいは、サーバ30が、運行管理者80の端末82に減点されたことを通知し、運行管理者80の端末82からドライバー12の端末14へメールで通知したり、運行管理者80から、ドライバー12の端末14へ電話で通知してもよい。
【0022】
なお、減点された反エコ運転または危険運転の発生状況が、ドライバー12の責任ではなく、他責と認められる場合には、当該減点の取り消しを行う(ステップS7)。例えば、ドライバー12の帰着後に、ドライブレコーダの動画を振り返ることで、ドライバー12の管理者が他責かどうか判定してもよいし、判定をシステム化して行うようにしてもよい。更に、減点取り消しの結果を学習して、反エコ運転や危険運転の判定精度を上げるようにしてもよい。
【0023】
また、ポイントの減点が生じた場所をマッピングし、ドライバー12に示すようにしてもよい。どこで減点が生じたをマップで確認することにより、反エコ運転や危険運転が生じやすい場所をドライバー12に意識させることができる。更に、ポイントの加点および減点が行われた位置を学習して、運転しやすいルート情報を、ドライバー12に提供するようにしてもよい。
【0024】
また、上述した運転の判定(ステップS3)において、周囲の走行環境に応じて、反エコ運転または危険運転の判定基準を変更して判定を行うようにしてもよい。また、前記運転の判定において、ドライバー12の属性に応じて、反エコ運転または危険運転の判定基準を変更して判定を行うようにしてもよい。
【0025】
また、エコ運転または安全運転の傾向が強いドライバーと、反エコ運転または危険運転の傾向が強いドライバーとで、加点する割合・減点する割合を変更して、加点・減点を行うようにしてもよい。あるいは、高速道路と一般道路でポイントを加点・減点する閾値を変更してもよいし、法令遵守・違反もポイントの加点・減点に加味してもよい。
【0026】
更に、反エコ運転および危険運転が検出されない時間が所定時間以上連続している場合に、加点するポイントが、例えば2次関数的な変動をしてもよいし、エコ運転および安全運転を何日連続したかでポイント付与率が変動するようにしてもよい。例えば、1週間連続で1.5倍、1ヶ月連続で2倍、1年連続で5倍という具合である。
【0027】
更に、ドライバー12が優良かどうかも検出して、ポイントの加点・減点に反映させてもよい。例えば、相手に道を譲ったか、クラクションを無暗に鳴らしていないか、危ない割り込みをしていないか、ブレーキ回数が少ないかなどを、車両挙動センシング部20やドライバー動作センシング部22によって検出して、ポイントの加点・減点に反映させるという具合である。
【0028】
ドライバー12毎に蓄積されたポイントは、金銭に変換したり、電子マネーに変換したり、福利厚生サービスポイントに変換したりしてもよい。また、ドライバー12毎に管理されたポイントを照会したり、全体に対するポイントの順位が分かるようにしたり、ドライバー12が所属する営業所ごとに全ドライバーポイントを合計して、成績に応じて営業所にポイントを付与したりしてもよい。運行管理者80は、例えば、ポイントに応じてドライバー12の賞与の金額を変更したりすることができる。
【0029】
以上説明したサーバ30は、単体のコンピュータであってもよく、例えば、端末であってもよい。また、後述する機能構成が、それぞれ異なるコンピュータで実行されるコンピュータシステム(クラウド)であってもよい。さらに、本実施形態では、多くの処理をサーバ30で実行することとしたが、車両10側に設けた端末で全ての処理を行うようにしてもよいし、サーバ30と車両10側で処理を分担するようにしてもよい。
【0030】
<車両の構成>・・・次に、
図2を参照して、車両10の構成を説明する。車両10は、ドライバー12が運転している車両10の挙動情報を得るための車両挙動センシング部20、運転中のドライバー12の動作情報を得るためのドライバー動作センシング部22、スピーカ24、ランプ26、通信部28を備えている。
【0031】
車両挙動センシング部20には、車外向きドライブレコーダや危険通知ボタン、LiDAR(Light Detection and Ranging)、IoTドライブレコーダなどが含まれる。危険通知ボタンは、各種センシング機器によらず、ドライバー12が車内外で気づいた危険発生時に押下可能なボタンであって、ドライバー12の判断によって危険発生情報を得るためのものである。例えば運転車両の前方で割り込みがあった場合や、落下物・飛散物があった場合など、車載装置では検知できない危険につながりそうな事象があったときにドライバー12自身が判断して押下する。危険通知ボタンが押下されると、その時刻や位置が危険発生情報として記録され、例えば、ドライブレコーダで撮像された画像(動画または静止画)が切り出されてサーバ30に送信される。このような危険発生情報は、反エコ運転や危険運転がドライバー12の責任ではなく、他責かどうか判断する際に使用することができる。
【0032】
ドライバー動作センシング部22には、車外向けカメラや車内向けカメラを備えたIoTドライブレコーダなどが含まれる。また、ドライバー動作センシング部22は、ハンドルセンサ、モーションセンサなどを含むようにしてもよい。更に、ドライバー12の生体情報を取得するセンサ類を含むようにしてもよい。
【0033】
スピーカ24は、運転中のドライバー12に、ポイントの減点があったことを音を鳴らして知らせるもので、ネットワークを介してサーバ30から減点が生じたことによる発音指示を受信して音を鳴らす。また、ランプ26は、ポイントの減点があったことを光(点灯または点滅)により知らせるもので、ネットワークを介してサーバ30から減点が生じたことによる点灯または点滅指示を受けて、点灯または点滅する。
【0034】
通信部28は、ネットワークを介して、各種センサで得られた情報やドライブレコーダで撮像された画像(動画または静止画)をサーバ30に送信して提供するものである。また、上述したスピーカ24による発音指示や、ランプ26の点灯または点滅指示を、サーバ30から受信する。むろん、必要に応じて、他の情報の送信や他の指示の受信などを行うようにしてもよい。
【0035】
<サーバのハードウェア構成>・・・次に、
図3を参照して、サーバ30の機能構成を説明する。サーバ30は、プロセッサ32、メモリ34、ストレージ36、通信部48を備え、これらは図示しないバスにより接続されている。プロセッサ32は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成され、メモリ34に記憶された各種プログラムを読み出して実行することで、各種処理を行う。前記メモリ34は、プロセッサ32により実行させるプログラムを記憶するものであり、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)により構成される。例えば、
図6に示す各種手段が記憶されている。
【0036】
ストレージ36は、取得情報38、判定基準40、ドライバー情報41、ポイント情報42、マッピング情報44、地図情報46、ルート情報47や、図示しない制御プログラムなどを記憶するものである。
【0037】
取得情報38は、例えば、ドライバー12が運転している車両10の挙動情報(急加速、急減速、急ハンドル、エンジン回転数など)や、ドライバー12の動作情報(眠気を帯びているか、ハンドルを両手で握っているか、脇見運転をしていないかなど)である。動作情報は、車内向カメラ画像、ハンドルセンサ情報、モーションセンサ情報などから得ることができる。動作情報には、ドライバー12の生体情報も含まれる。
【0038】
判定基準40は、取得された挙動情報および動作情報を解析して、運転が、燃費が良い運転を示すエコ運転であるか若しくは燃費が悪い運転を示す反エコ運転であるか、または、安全運転であるか若しくは危険運転であるかを判定するための基準である。
【0039】
図4には、エコ運転および安全運転の判定基準40Aの一例を示すテーブルが示されている。エコ運転および安全運転の判定基準40Aには、エコ運転(燃費が良い運転)と判定する観点として、「急加速・急減速・急ハンドルしていない時間が所定時間以上連続している」、「エンジン回転数が低い時間が所定時間以上連続している」などの項目が設けられている。
【0040】
また、安全運転の観点として、「急ハンドルしていない時間が所定時間以上連続している」、「急加速していない時間が所定時間以上連続している」、「急減速していない時間が所定時間以上連続している」、「アウトカメラ画像で前方車両との距離を詰めず、一定以上の車間距離を保っている」、「生体情報またはインカメラ画像で眠気を検知していない時間が所定時間以上連続している」、「生体情報またはインカメラ画像で両手でハンドルを握っている時間が所定時間以上連続している」、「生体情報またはインカメラ画像で脇見運転していない時間が所定時間以上連続している」などの項目が設けられている。
【0041】
図5には、反エコ運転および危険運転の判定基準40Bの一例を示すテーブルが示されている。反エコ運転および危険運転の判定基準40Bには、反エコ運転(燃費が悪い運転)と判定する観点として、「急加速した」、「急減速した」、「エンジン回転数が高い」などの項目が設けられている。
【0042】
また、危険運転の観点として、「急ハンドルした」、「急加速した」、「急減速した」、「生体情報またはインカメラ画像で眠気を検知した」、「生体情報またはインカメラ画像で両手でハンドルを握っていないのを検知した」、「生体情報またはインカメラ画像で脇見運転したのを検知した」などの項目が設けられている。
【0043】
判定基準40には、このほかにも、例えば、道路標識情報を含むようにしてもよい。道路標識情報は、取得されたドライバー12の挙動情報を解析して車両10の挙動を検出し、検出された挙動が法令遵守しているか否かを判定するための基準である。例えば、車外向カメラの画像解析による道路標識特定や、地図情報からの道路標識特定などにより、車両10の挙動が法令遵守しているか否かを判定し、法令遵守・違反もポイントの加点・減点に加味するようにしてもよい。
【0044】
ドライバー情報41は、ドライバー12の属性や、エコ運転または安全運転の傾向や、反エコ運転または危険運転の傾向などである。ドライバー12の属性は、あらかじめドライバー12が端末14から入力したものをネットワークを介して受け付けて取得してもよいし、ドライバー12を管理する運行管理者80が端末82から入力したものを、ネットワークを介して受け付けて取得してもよい。また、エコ運転または安全運転の傾向や、反エコ運転または危険運転の傾向は、後述する判定手段54による判定結果に基づいて取得してもよい。
【0045】
ポイント情報42は、ドライバー12毎のポイント数や、ポイントの変換履歴などを記憶したものである。ポイントの変換履歴とは、ポイントを、金銭に変換したり、電子マネーに変換したり、福利厚生サービスポイントに変換した履歴である。また、ドライバー12の全体に対するポイント順位などを記憶してもよい。
【0046】
マッピング情報44は、減点が生じた場所(位置情報)をドライバー12ごとに記憶したものである。減点が生じた場所の情報は、ポイントが減点された時点での車両10の位置情報を、車両10に設けられたGPS装置(図示せず)から取得して記憶してもよいし、ドライバー12の端末14に設けられたGPS装置(図示せず)から取得して記憶したものであってもよい。
【0047】
地図情報46は、ドライバー12の端末14や、運行管理者80の端末82に、ポイントの減点が生じた場所をマッピングして表示するときに用いられる情報である。また、後述するルート情報47を表示するためにも、地図情報46が用いられる。
【0048】
ルート情報47は、運転しやすいルート情報である。ルート情報47は、ポイントの加点および減点が行われた位置を学習することで得ることができる。
【0049】
次に、通信部48は、ネットワークを介して、車両10の各種センサで得られた情報やドライブレコーダで撮像された画像(動画または静止画)を受信して取得するものである。また、通信部48は、ネットワークを介して、車両10のスピーカ24やドライバー12の端末14に、ポイントの減点が生じたことを音で示すための指示を送信したり、車両10のランプ26やドライバー12の端末14に、ポイントの減点が生じたことを光の点灯または点滅で示すための指示を送信する。むろん、必要に応じて、他の情報の受信や、他の指示の送信を行うようにしてもよい。
【0050】
<サーバの機能構成>・・・次に、
図6を参照して、サーバ30の機能構成を説明する。サーバ30は、第1取得手段50、第2取得手段52、判定手段54、加点手段56、減点手段58、通知手段60、取消手段62、マッピング手段64、ポイント管理手段66、ルート情報提供手段68を備えている。
【0051】
第1取得手段50は、ドライバー12が運転している車両10の挙動情報を取得するものである。車両10の挙動情報は、具体的には、車両挙動センシング部20により得られる。車両挙動センシング部20が取得した車両10の挙動情報は、例えば、車両10に設けられた通信部28を介してサーバ30に送信されてもよいし、センサ類に通信機能が備わっている場合には、センサ類から直接サーバ30に送信してもよい。第1取得手段50は、取得した車両10の挙動情報を、ストレージ36の取得情報38に記憶する。
【0052】
第2取得手段52は、運転中のドライバー12の動作情報(眠気を帯びているか、ハンドルを両手で握っているか、脇見運転をしていないかなど)を取得するものである。ドライバー12の動作情報は、具体的には、ドライバー動作センシング部22により得られる。ドライバー動作センシング部22が取得したドライバー12の動作情報は、例えば、IoTドライブレコーダの通信部を介してサーバ30に送信されもよいし、ドライバー12の端末14を介してサーバ30に送信されてもよい。取得されたドライバー12の動作情報は、ストレージ36の取得情報38に記憶される。
【0053】
判定手段54は、第1取得手段50によって取得された車両10の挙動情報および第2取得手段52によって取得されたドライバー12の動作情報を解析し、運転を判定するものである。具体的には、運転が、燃費が良い運転を示すエコ運転であるか若しくは燃費が悪い運転を示す反エコ運転であるか、または、安全運転であるか若しくは危険運転であるか、をストレージ36の判定基準40に基づいて判定する。通常は、割り当てられたルート・業務ごとに仕事内容が大きく異なるため、運転を公平に評価するために、例えば、加点・減点共に単位時間若しくは単位距離当たりで換算し、運転を公平に評価する。
【0054】
また、判定手段54は、運転中やドライバー12の帰着後に、減点が生じたシーンのドライブレコーダ動画を振り返り、減点された反エコ運転または危険運転の発生状況が、他責と認められて減点が取り消された場合には、その結果を学習して、反エコ運転や危険運転の判定精度を上げるようにしてもよい。
【0055】
更に、判定手段54は、周囲の走行環境に応じて、反エコ運転または危険運転の判定基準を変更して判定を行うようにしてもよい。また、前記運転の判定において、ドライバー情報41を参照して、ドライバー12の属性に応じて、反エコ運転または危険運転の判定基準を変更して判定を行うようにしてもよい。
【0056】
加点手段56は、判定手段54による判定の結果が、エコ運転または安全運転の場合に、ドライバー12にポイントを加点するものである。ポイントが加点されると、ストレージ36のポイント情報42が更新される。
【0057】
減点手段58は、判定手段54による判定の結果が、反エコ運転または危険運転の場合に、ドライバー12にポイントを減点するものである。ポイントが減点されると、ストレージ36のポイント情報42が更新される。
【0058】
前記加点手段56及び減点手段58は、エコ運転または安全運転の傾向が強いドライバーと、反エコ運転または危険運転の傾向が強いドライバーとで、加点する割合・減点する割合を変更して、加点・減点を行うようにしてもよい。あるいは、高速道路と一般道路でポイントを加点・減点する閾値を変更してもよし、法令遵守・違反もポイントの加点・減点に加味してもよい。
【0059】
また、反エコ運転および危険運転が検出されない時間が所定時間以上連続している場合に、加点するポイントが、例えば2次関数的な変動をしてもよいし、エコ運転および安全運転を何日連続したかでポイント付与率が変動するようにしてもよい。例えば、1週間連続で1.5倍、1ヶ月連続で2倍、1年連続で5倍という具合である。
【0060】
更に、ドライバー12が優良かどうかも検出して、ポイントの加点・減点に反映させてもよい。例えば、相手に道を譲ったか、クラクションを無暗に鳴らしていないか、危ない割り込みをしていないか、ブレーキ回数が少ないかなどを、車両挙動センシング部20やドライバー動作センシング部22によって検出して、ポイントの加点・減点に反映させるという具合である。
【0061】
通知手段60は、減点手段58によりポイントが減点されたことを、運転中のドライバー12に通知するものである。例えば、車両10に設けられたスピーカ24や、ドライバー12の端末14から音が鳴ったり、車両10に設けられたランプ26や、ドライバー12の端末14が光ったりするなどの形態で通知するように、ネットワークを介して指示を送信する。あるいは、サーバ30が、運行管理者80の端末82に減点されたことを通知し、運行管理者80の端末82からドライバー12の端末14へメールで通知したり、運行管理者80から、ドライバー12の端末14へ電話で通知してもよい。
【0062】
取消手段60は、減点された反エコ運転または危険運転の発生状況が、ドライバー12の責任ではなく、他責と認められる場合には、当該減点の取り消しを行うものである。減点が取り消されると、ストレージ36のポイント情報42が更新される。なお、他責かどうかの判定は、運転中やドライバー12の帰着後に、ドライブレコーダの動画を振り返ることで、ドライバー12の管理者が他責かどうか判定してもよいし、判定をシステム化して行うようにしてもよい。
【0063】
マッピング手段64は、減点が生じた場所をマッピングし、ドライバー12に示すものである。例えば、地図上に減点が生じた場所をマッピングして、ドライバー12の端末14の表示部に表示させるようにしてもよい。
【0064】
ポイント管理手段66は、ドライバー12ごとのポイントを管理するものである。ポイント管理の内容としては、例えば、蓄積されたポイントを、金銭に変換したり、電子マネーに変換したり、福利厚生サービスポイントに変換したりするなどである。また、ドライバー12毎に管理されたポイントを照会したり、全体に対するポイントの順位が分かるようにしたり、ドライバー12が所属する営業所ごとに全ドライバーポイントを合計して、成績に応じて営業所にポイントを付与したりしてもよい。運行管理者80は、例えば、ポイントに応じて運行管理者80が賞与の金額を変更したりすることができる。
【0065】
ルート情報提供手段68は、ドライバー12に運転しやすいルート情報を提供するものである。運転しやすいルート情報は、例えば、ポイントの加点および減点が行われた位置を学習することにより得られ、得られたルート情報47はストレージ36に記憶されるとともに、ネットワークを介してドライバー12の端末14に提供される。
【0066】
<ドライバーポイント変動処理>・・・次に、本システム100によるドライバーポイント変動処理の一例について、
図7を参照して説明する。まず、サーバ30は、第1取得手段50によって、ドライバー12が運転している車両10の挙動情報を取得する(ステップS10)。車両10の挙動情報は、具体的には、車両挙動センシング部20により得られる。取得した車両10の挙動情報は、例えば、車両10に設けられた通信部28を介してサーバ30に送信されてもよいし、センサ類に通信機能が備わっている場合には、センサ類から直接サーバ30に送信してもよい。サーバ30は、取得した車両10の挙動情報を、ストレージ36の取得情報38に記憶する。
【0067】
また、サーバ30は、第2取得手段52によって、運転中のドライバー12の動作情報(眠気を帯びているか、ハンドルを両手で握っているか、脇見運転をしていないかなど)を取得する(ステップS12)。ドライバー12の動作情報(生体情報を含む)は、具体的には、ドライバー動作センシング部22により得られる。取得されたドライバー12の動作情報は、例えば、IoTドライブレコーダの通信部を介してサーバ30に送信されてもよいし、ドライバー12の端末14を介してサーバ30に送信されてもよい。サーバ30は、取得したドライバー12の動作情報を、ストレージ36の取得情報38に記憶する。
【0068】
サーバ30の判定手段54は、取得された車両10の挙動情報およびドライバー12の動作情報を解析し、運転を判定する(ステップS14)。具体的には、運転が、燃費が良い運転を示すエコ運転であるか若しくは燃費が悪い運転を示す反エコ運転であるか、または、安全運転であるか若しくは危険運転であるか、を判定基準40に基づいて判定する。
【0069】
そして、判定の結果が、エコ運転または安全運転の場合(ステップS16でYes)に、サーバ30の加点手段56は、ドライバー12にポイントを加点する(ステップS18)。ポイントが加点されると、ストレージ36のポイント情報42が更新される。
【0070】
一方、判定の結果が、反エコ運転または危険運転の場合(ステップS16でNo)に、サーバ30の減点手段58は、ドライバー12のポイントを減点する(ステップS20)。ポイントが減点されると、ストレージ36のポイント情報42が更新される。このような判定およびポイントの加点・減点は、例えば、リアルタイムで行われる。
【0071】
サーバ30の通知手段60は、ポイントが減点されたことを運転中のドライバー12に通知する(ステップS22)。例えば、車両10に設けられたスピーカ24や、ドライバー12の端末14から音が鳴ったり、車両10に設けられたランプ26や、ドライバー12の端末14が光ったりするなどの形態で通知する。あるいは、サーバ30が、運行管理者80の端末82に減点されたことを通知し、運行管理者80の端末82からドライバー12の端末14へメールで通知したり、運行管理者80から、ドライバー12の端末14へ電話で通知してもよい。
【0072】
そして、運転中またはドライバー12の帰着後、減点された反エコ運転または危険運転の発生状況が、ドライバー12の責任ではなく、他責と認められる場合(ステップS24でYes)には、サーバ30の取消手段62は、当該減点の取り消しを行う(ステップS26)。他責かどうかの判断は、例えば、ドライバー12の管理者が判定してもよいし、判定をシステム化して行うようにしてもよい。ポイント減点が取り消されると、ストレージ36のポイント情報42が更新される。
【0073】
なお、本実施形態において、マッピング手段64により、ポイントの減点が生じた場所をマッピングし、ドライバー12に示すようにしてもよい。例えば、
図8に示すマップ110には、減点発生箇所114A、114Bがアイコンで示されている。このように、どこで減点が生じたをマップ110上で確認することにより、反エコ運転や危険運転が生じやすい場所をドライバー12に意識させることができる。
【0074】
また、本実施形態において、ルート情報提供手段68によって、ポイントの加点および減点が行われた位置を学習して、運転しやすいルート情報を、ドライバー12に提供するようにしてもよい。例えば、
図8に示すマップ110を用いて、推奨ルート112を表示するという具合である。
【0075】
更に、本実施形態において、運転中やドライバー12の帰着後に、減点が生じたシーンのドライブレコーダ動画を振り返り、減点された反エコ運転または危険運転の発生状況が、他責と認められる場合には、減点取り消しができるものとし、減点取り消しの結果を学習して、判定手段54による反エコ運転や危険運転の判定精度を上げるようにしてもよい。
【0076】
また、判定手段54は、周囲の走行環境に応じて、反エコ運転または危険運転の判定基準を変更して判定を行うようにしてもよい。また、前記運転の判定において、ストレージ36のドライバー情報41を参照し、ドライバー12の属性に応じて、反エコ運転または危険運転の判定基準を変更して判定を行うようにしてもよい。
【0077】
また、本実施形態において、加点手段56によるポイントの加点および減点手段58によるポイントの減点の際に、エコ運転または安全運転の傾向が強いドライバーと、反エコ運転または危険運転の傾向が強いドライバーとで、加点する割合・減点する割合を変更して、加点・減点を行うようにしてもよい。あるいは、高速道路と一般道路でポイントを加点・減点する閾値を変更してもよし、法令遵守・違反もポイントの加点・減点に加味してもよい。
【0078】
更に、反エコ運転および危険運転が検出されない時間が所定時間以上連続している場合に、加点するポイントが、例えば2次関数的な変動をしてもよいし、エコ運転および安全運転を何日連続したかでポイント付与率が変動するようにしてもよい。例えば、1週間連続で1.5倍、1ヶ月連続で2倍、1年連続で5倍という具合である。
【0079】
更に、ドライバー12が優良かどうかも検出して、ポイントの加点・減点に反映させてもよい。例えば、相手に道を譲ったか、クラクションを無暗に鳴らしていないか、危ない割り込みをしていないか、ブレーキ回数が少ないかなどを、車両挙動センシング部20やドライバー動作センシング部22によって検出して、ポイントの加点・減点に反映させるという具合である。
【0080】
上述した実施形態において、ドライバー12毎に蓄積されたポイントは、ポイント管理手段66によって、金銭に変換したり、電子マネーに変換したり、福利厚生サービスポイントに変換したりしてもよい。また、ポイント管理手段66によって、ドライバー12毎のポイントを照会したり、全体に対するポイントの順位が分かるようにしたり、ドライバー12が所属する営業所ごとに全ドライバーポイントを合計して、成績に応じて営業所にポイントを付与したりしてもよい。運行管理者80は、例えば、ポイントに応じてドライバー12の賞与の金額を変更したりすることができる。
【0081】
<効果>・・・以上説明した実施形態によれば、ドライバー12が運転している車両10の挙動情報を取得し、運転中のドライバー12の動作情報を取得し、取得された挙動情報及び動作情報を解析して、運転が燃費が良い運転を示すエコ運転であるか若しくは燃費が悪い運転である反エコ運転であるか、又は、安全運転であるか若しくは危険運転であるか、を判定する。そして、判定の結果が、エコ運転または安全運転の場合に、ドライバー12にポイントを加点し、判定の結果が、反エコ運転または危険運転の場合に、ドライバーのポイントを減点し、減点されたことを運転中のドライバー12に通知し、減点された反エコ運転または危険運転の発生状況が、ドライバー12の責任ではなく他責と認められる場合には、当該減点の取り消しを行うこととした。
【0082】
このため、公平な観点からドライバー12の運転を評価することができる。また、エコ運転や安全運転をしているドライバー12のモチベーションを上げ、反エコ運転や危険運転をしているドライバー12には注意を促すのに役立つ。
【0083】
なお、上述した実施形態は一例であり、同様の効果を奏する範囲内で適宜変更が可能である。また、サーバ30は、単体のコンピュータであってもよく、例えば、端末であってもよい。また、上述した機能構成が、それぞれ異なるコンピュータで実行されるコンピュータシステム(クラウド)であってもよい。更に、本実施形態では、多くの処理をサーバ30で実行することとしたが、車両10側で全ての処理を行うようにしてもよいし、サーバ30と車両10とで機能を割り振るようにしてもよい。
【0084】
また、
図8に示したマップ110上の推奨ルート112や減点発生箇所114A、114Bも一例であり、他の形態によりドライバー12に提供することを妨げるものではない。更に、本発明は、サーバ30や車両10側の装置で実行されるプログラムとして提供されてもよい。このプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に記録された状態で提供されていてもよいし、ネットワークを介してダウンロードしてもよい。また、本発明は、方法の発明として提供されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明によれば、ドライバーが運転している車両の挙動情報を取得し、運転中のドライバーの動作情報を取得し、取得された挙動情報及び動作情報を解析して、運転が燃費が良い運転を示すエコ運転であるか若しくは燃費が悪い運転である反エコ運転であるか、または、安全運転であるか若しくは危険運転であるか、を判定し、判定の結果が、エコ運転又は安全運転の場合に、ドライバーにポイントを加点し、判定の結果が、反エコ運転又は危険運転の場合に、ドライバーにポイントを減点し、減点されたことを運転中のドライバーに通知し、減点された反エコ運転又は危険運転の発生状況が、ドライバーの責任ではなく他責と認められる場合には、当該減点の取り消しを行うこととした。
【0086】
このため、公平な観点からドライバーの運転を評価することができるとともに、エコ運転や安全運転をしているドライバーのモチベーションを上げ、反エコ運転や危険運転をしているドライバーには注意を促すことができるため、ドライバーポイント変動システムとして好適である。
【符号の説明】
【0087】
10:車両
12:ドライバー
14:端末
20:車両挙動センシング部
22:ドライバー動作センシング部
24:スピーカ
26:ランプ
28:通信部
30:サーバ
32:プロセッサ
34:メモリ
36:ストレージ
38:取得情報
40:判定基準
40A:エコ運転および安全運転判定基準
40B:反エコ運転および危険運転判定基準
41:ドライバー情報
42:ポイント情報
44:マッピング情報
46:地図情報
47:ルート情報
48:通信部
50:第1取得手段
52:第2取得手段
54:判定手段
56:加点手段
58:減点手段
60:通知手段
62:取消手段
64:マッピング手段
66:ポイント管理手段
68:ルート情報提供手段
80:運行管理者
82:端末
100:ドライバーポイント変動システム
110:マップ
112:推奨ルート
114A、114B:減点発生箇所