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特許7267474センサー取付位置の識別システムとその識別方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】センサー取付位置の識別システムとその識別方法
(51)【国際特許分類】
   F16C 41/00 20060101AFI20230424BHJP
   F16C 29/00 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
F16C41/00
F16C29/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022021250
(22)【出願日】2022-02-15
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】596016557
【氏名又は名称】上銀科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】林育新
【審査官】稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-70863(JP,A)
【文献】特開2020-112196(JP,A)
【文献】特開2017-173066(JP,A)
【文献】特開2016-80061(JP,A)
【文献】特開2009-14381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 29/00-41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動方向に沿って線形変位し、第1滑動部材及び複数の第2滑動部材を含む少なくとも1つのフィードシステムと、
前記第1滑動部材及び前記第2滑動部材にそれぞれ装設されている複数のセンサーであって、前記各センサーは三次元座標系をそれぞれ定義し、3軸信号を形成し、前記各三次元座標系は3つの軸をそれぞれ含み、そのうちの1つの前記軸は重力方向に対応し、前記3軸信号は信号特性を有し、前記第1滑動部材に取り付けられているセンサーが形成する三次元座標系は第1座標系であり、これら前記第2滑動部材に取り付けられているセンサーが形成する三次元座標系は第2座標系であり、前記第1座標系及び前記これら前記第2座標系は異なる軸で前記駆動方向を表示し、これら前記第2座標系は同じ軸の逆方向に前記駆動方向を表示し、或いは同じ軸の逆方向に前記重力方向を表示する複数のセンサーと、
前記第1滑動部材、これら前記第2滑動部材、及び前記信号特性の対応関係を含む比較情報が保存されている処理装置であって、前記処理装置は前記各3軸信号を比較して前記信号特性を取得し、且つ前記比較情報に基づいてこれら前記センサーの取付位置を取得する処理装置と、を備えていることを特徴とする、
センサー取付位置の識別システム。
【請求項2】
これら前記軸は相互に垂直になり、前記信号特性は動的信号特性及び静的信号特性を含み、前記第1滑動部材に取り付けられている前記センサーの前記3軸信号を第1信号として定義し、前記各第2滑動部材に取り付けられている前記センサーの前記3軸信号を第2信号として定義し、前記第1信号及び前記各第2信号の最大応答を有している軸の出力信号を比較し、これら前記出力信号の振動方向との類似点と相違点を前記動的信号特性とし、前記各第2信号及び前記重力方向が対応する前記軸の前記出力信号を比較し、これら前記出力信号の正負の値を前記静的信号特性とすることを特徴とする請求項1に記載のセンサー取付位置の識別システム。
【請求項3】
第1滑動部材、複数の第2滑動部材、及び信号特性の対応関係を定義し、前記信号特性は動的信号特性及び静的信号特性を含むステップ(A)と、
前記第1滑動部材及びこれら前記第2滑動部材を駆動方向に沿って線形変位するように駆動するステップ(B)と、
前記第1滑動部材及びこれら前記第2滑動部材に装設されているセンサーが伝送する3軸信号を受信し、これら前記3軸信号は3つの軸の出力信号を有しているステップ(C)と、
各3軸信号中の最大応答を有している前記軸を識別し、同じ軸に位置している前記3軸信号はこれら前記第2滑動部材に取り付けられている前記センサーに対応し、他の軸に位置している前記3軸信号は前記第1滑動部材に取り付けられている前記センサーに対応し、前記第1滑動部材に取り付けられている前記センサーを識別するために用いられているステップ(D)と、
前記第1滑動部材に取り付けられている前記センサーの前記3軸信号を第1信号と定義し、前記各第2滑動部材に取り付けられている前記センサーの前記3軸信号を第2信号と定義し、前記第1信号及び前記各第2信号の最大応答を有している前記軸の前記出力信号を比較し、これら前記出力信号の振動方向の類似点と相違点を判別し、上述の判定結果を前記動的信号特性とするステップ(E)と、
前記各第2信号及び重力方向が対応する前記軸の前記出力信号を比較し、前記出力信号を正の前記第2信号と区分し、出力信号を負の前記第2信号と区分し、上述の判定結果を前記静的信号特性とするステップ(F)と、
前記動的信号特性及び前記静的信号特性に基づいて前記各第2信号及びこれら前記第2滑動部材の対応関係を取得し、前記各第2滑動部材に取り付けられている前記センサーを識別するために用いるステップ(G)と、を含むことを特徴とする、
センサー取付位置の識別方法。
【請求項4】
ステップ(D)において、まず前記重力方向に対応する前記軸の出力信号から平均値を算出し、前記軸の出力信号から前記平均値を減算して調整信号を取得した後、前記調整信号の二乗平均平方根値及び他の軸の出力信号の二乗平均平方根値を計算すると共に比較し、最大応答を有している前記軸を取得することを特徴とする請求項3に記載のセンサー取付位置の識別方法。
【請求項5】
ステップ(E)において、前記第1信号の最大応答を有している前記軸の前記出力信号及び1つの前記第2信号の最大応答を有している前記軸の前記出力信号の正負の値は逆であり、前記第1信号の最大応答を有している前記軸の前記出力信号及び他の前記第2信号の最大応答を有している前記軸の前記出力信号の正負の値は同じであることを特徴とする請求項3に記載のセンサー取付位置の識別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多軸リニア伝動装置に取り付けられている複数のセンサーを自動識別するシステムに関し、また、上述のシステムの識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インダストリー4.0及びスマートマシンの趨勢において、機械設備により多くのセンサーを埋設するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】台湾特許出願公開第701101号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、同じタイプのセンサーの数量が多過ぎると、センサーと部材との対応状況が混乱した。
この問題を克服するために、例えば、下記特許文献1には「リニア伝送装置とその識別方法」という開示があるが、リニア伝動装置に内設されている嵌入装置により識別の目的を達成する必要があり、上述の嵌入装置にはアクティベーションナンバー及びリニア伝動装置のパラメータデータを予め保存しておく必要があった。このため、嵌入装置を装設する際にミスが発生すると判断の正確性に影響が及び、事前に如何なる嵌入装置も増設せずともセンサーの位置を識別可能にするシステム及び方法が必要とされていた。
【0005】
本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に至った。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、各センサーの取付位置を自動識別するセンサー取付位置の識別システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明のある態様のセンサー取付位置の識別システムは、駆動方向に沿って線形変位し、第1滑動部材及び複数の第2滑動部材を含む少なくとも1つのフィードシステムと、前記第1滑動部材及び前記第2滑動部材にそれぞれ装設されている複数のセンサーであって、前記各センサーは三次元座標系をそれぞれ定義し、3軸信号を形成し、前記各三次元座標系は3つの軸をそれぞれ含み、そのうちの1つの前記軸は重力方向に対応し、前記3軸信号は信号特性を有し、前記第1滑動部材に取り付けられているセンサーが形成する三次元座標系は第1座標系であり、これら前記第2滑動部材に取り付けられているセンサーが形成する三次元座標系は第2座標系であり、前記第1座標系及び前記これら前記第2座標系は異なる軸で前記駆動方向を表示し、これら前記第2座標系は同じ軸の逆方向に前記駆動方向を表示し、或いは同じ軸の逆方向に前記重力方向を表示する複数のセンサーと、前記第1滑動部材、これら前記第2滑動部材、及び前記信号特性の対応関係を含む比較情報が保存されている処理装置であって、前記処理装置は前記各3軸信号を比較して前記信号特性を取得し、且つ前記比較情報に基づいてこれら前記センサー取付位置を取得する処理装置と、を備えている。
【0008】
本発明の別の態様は、センサー取付位置の識別方法である。この方法は、第1滑動部材、複数の第2滑動部材、及び信号特性の対応関係を定義し、前記信号特性は動的信号特性及び静的信号特性を含むステップ(A)と、前記第1滑動部材及びこれら前記第2滑動部材を駆動方向に沿って線形変位するように駆動するステップ(B)と、前記第1滑動部材及びこれら前記第2滑動部材に装設されているセンサーが伝送する3軸信号を受信し、これら前記3軸信号は3つの軸の出力信号を有しているステップ(C)と、各3軸信号中の最大応答を有している前記軸を識別し、同じ軸に位置している前記3軸信号はこれら前記第2滑動部材に取り付けられている前記センサーに対応し、他の軸に位置している前記3軸信号は前記第1滑動部材に取り付けられている前記センサーに対応し、前記第1滑動部材に取り付けられている前記センサーを識別するために用いられているステップ(D)と、前記第1滑動部材に取り付けられている前記センサーの前記3軸信号を第1信号と定義し、前記各第2滑動部材に取り付けられている前記センサーの前記3軸信号を第2信号と定義し、前記第1信号及び前記各第2信号の最大応答を有している前記軸の前記出力信号を比較し、これら前記出力信号の振動方向の類似点と相違点を判別し、上述の判定結果を前記動的信号特性とするステップ(E)と、前記各第2信号及び重力方向が対応する前記軸の前記出力信号を比較し、前記出力信号を正の前記第2信号と区分し、出力信号を負の前記第2信号と区分し、上述の判定結果を前記静的信号特性とするステップ(F)と、前記動的信号特性及び前記静的信号特性に基づいて前記各第2信号及びこれら前記第2滑動部材の対応関係を取得し、前記各第2滑動部材に取り付けられている前記センサーを識別するために用いるステップ(G)と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明は主に前記センサーの取付方向に基づいて第1滑動部材、第2滑動部材、及び信号特性の対応関係を予め定義し、1つのフィードシステムの第1滑動部材及び第2滑動部材を変位するように駆動することで、前記センサーが返信する3軸信号を取得すると共に分析する。
まず、応答を有している3軸信号を選別し、3軸信号の最大応答を有している軸を判断する。これにより、第1滑動部材に取り付けられているセンサーを識別し、動的信号特性及び静的信号特性に基づいて余剰の3軸信号と第2滑動部材に取り付けられているセンサーとの対応関係を識別し、各センサー取付位置を自動識別する目的を達成する。
【0010】
本発明の他の特徴について、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】3軸縦型加工機を示す概略構成図である。
図2】フィードシステムの1つを示す概略構成図である。
図3A】ナットがセンサーを取り付けるための取り付け穴の概略図である。
図3B】スライダーがセンサーを取り付けるための取り付け穴の概略図である。
図3C】センサーと収容穴の形状が非対称である概略図である。
図4】センサーの前端が互いに対向している概略図である。
図5】センサーの前端が互いに反対側を向いている概略図である。
図6】センサーと処理装置間の情報接続を示す概略図である。
図7】非変位フィードシステムに取り付けられたセンサーによって生成された3軸信号の概略図である。
図8A】第1信号を示す概略図である。
図8B】第2信号を示す概略図である。
図9】第1信号と第2信号の最大応答を有している軸の出力信号を示す比較概略図である。
図10】識別方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0013】
以下、図1~9を参照しながら、本発明の一実施形態に係るセンサー取付位置の識別システムをさらに詳しく説明する。センサー取付位置の識別システムは下記部材を備えている。
【0014】
<複数のフィードシステムS>
駆動方向Dに沿ってそれぞれ作動し、前記各フィードシステムSの駆動方向Dは相互に垂直になっている。一例として、図1を参照する。一般的な3軸縦型加工機は異なる駆動方向Dに沿って作動する3つのフィードシステムSを備え、それぞれ第1フィードシステムS1、第2フィードシステムS2、及び第3フィードシステムS3である。第1フィードシステムS1の駆動方向Dは第1方向D1であり、第2フィードシステムS2の駆動方向Dは第2方向D2であり、第3フィードシステムS3の駆動方向Dは第3方向D3であり、前記第1方向D1、第2方向D2、及び第3方向D3が相互に垂直になっている。
【0015】
前記各フィードシステムSは複数の伝動ユニットをそれぞれ備え、これら前記伝動ユニットはメインドライブユニット10及び複数のサブ駆動ユニット20に更に区分されている。前記メインドライブユニット10は第1長軸部材11及び第1滑動部材12を有し、前記第1滑動部材12は駆動方向Dに沿って線形変位するように前記第1長軸部材11に覆設されている。前記サブ駆動ユニット20は第2長軸部材21及び第2滑動部材22を有し、前記第2滑動部材22は駆動方向Dに沿って線形変位するように前記第2長軸部材21に覆設されている。
本実施例では、前記メインドライブユニット10の数量は1組であり、前記メインドライブユニット10はボールねじであり、前記第1滑動部材12はナット121であり、前記第1長軸部材11はねじである。前記サブ駆動ユニット20の数量は2つであり、前記サブ駆動ユニット20はリニアスライドであり、前記第2滑動部材22はスライダー221であり、前記第2長軸部材21はスライド211である。
【0016】
本実施例では、上述の2組のサブ駆動ユニット20は、1つの前記第2長軸部材21に並列に装設されている2つの前記第2滑動部材22をそれぞれ有している。このため、前記第2滑動部材22の総量は4つであるが、これに限られず、他の実施例では、1つの第2滑動部材22に1つの第2長軸部材21を組み合わせてもよい。
【0017】
<複数のセンサー30>
これら前記フィードシステムSの第1滑動部材12及び第2滑動部材22にそれぞれ装設され、前記各センサー30の測定範囲は少なくとも1Hz以上の周波帯を含む。前記各センサー30は三次元座標系Cをそれぞれ定義し、3軸信号Lをそれぞれ形成している。前記各3軸信号Lは信号特性をそれぞれ有し、前記各三次元座標系Cは相互に垂直になっている3つの軸90をそれぞれ備え、例えば、X軸、Y軸、及びZ軸である。そのうちの1つの軸90は重力方向Gに対応し、前記3軸信号Lは3つの前記軸90の出力信号を含み、前記出力信号は各軸90が発生する加速度の変化である。
前記各センサー30の配設方向は三次元座標系Cの方向に影響し、例えば、Z軸方向が地面に対し垂直であり、且つX軸方向及びY軸方向が地面に対し平行している場合、Z軸は重力方向Gに対応し、よって、X軸方向及びY軸方向の出力は0gの加速度(重力)となり、Z軸方向に1gまたは-1gの加速度(重力)を受ける。上述の数値の正負はセンサー30の配設方向によって決定し、各軸90は2つの相反する方向をそれぞれ有し、そのうちの1つの前記方向は正方向であり、他の方向は負方向であり、正方向と負方向との差は180度である。本実施例では、前記センサー30は制限しないが、例えば、3軸加速度計である。
【0018】
第1滑動部材12に取り付けられているセンサー30が形成している三次元座標系Cを第1座標系C1と定義し、第2滑動部材22に取り付けられているセンサー30が形成している三次元座標系Cを第2座標系C2と定義している。前記第1座標系C1及びこれら前記第2座標系C2は異なる軸90により前記駆動方向Dを表示し、これら前記第2座標系C2は同じ軸90の異なる方向により前記駆動方向Dを表示し、または同じ軸90の異なる方向により前記重力方向Gを表示している(図2参照)。
本実施例では、前記第1座標系C1はX軸により駆動方向Dを表示し、これら前記第2座標系C2はY軸により駆動方向Dを表示している。2つの第2座標系C2はY軸の負方向により駆動方向Dを表示し、他の2つの第2座標系C2はY軸の正方向により駆動方向Dを表示している。2つの第2座標系C2はZ軸の正方向により重力方向Gを表示し、1gの加速度(重力)を有し、他の2つの第2座標系C2はZ軸の負方向により重力方向Gを表示し、-1gの加速度(重力)を有している。
【0019】
<処理装置40>
接続されている受信ユニット41と、保存ユニット42と、比較ユニット43とを有し、前記受信ユニット41はこれら前記センサー30に情報的に接続され、前記受信ユニット41はこれら前記3軸信号Lを受信する。前記保存ユニット42には比較情報が予め保存され、前記比較情報は前記各センサー30の擺動方向に関連し、前記比較情報は第1滑動部材12、第2滑動部材22、及び信号特性の対応関係を含む。前記比較ユニット43は前記各3軸信号Lを分析して比較し、各3軸信号Lの信号特性を取得すると共に、前記比較情報に基づいて各3軸信号Lと第1滑動部材12及び第2滑動部材22に取り付けられているセンサー30との対応関係を取得する。本実施例では、複数の3軸信号Lから応答を有している3軸信号Lを選別する。図7図8A図8Bを参照する。図7の例では、各軸90の出力信号は全て静止しており、応答がない3軸信号Lであることを示している。
図8A及び図8Bでは、1つの軸90の出力信号が明確な応答を有し、応答がある3軸信号Lであることを示し、次いで、各3軸信号Lが最大応答を有している軸90を判断する。図8Aでは、最大応答を有している軸90がX軸であり、図8Bでは、最大応答を有している軸90がY軸であり、複数の3軸信号L中で同じ軸90に位置している複数の最大応答を有している3軸信号L及び他の軸90に位置している1つの最大応答を有している3軸信号Lは、同じ軸90に位置している複数の最大応答を有している3軸信号Lを第2信号L2と定義し、他の軸90に位置している最大応答を有している3軸信号Lを第1信号L1と定義する。これら前記第2信号L2は第2滑動部材22に対応し、前記第1信号L1は第1滑動部材12に対応している。
【0020】
前記信号特性は座標特性と、動的信号特性と、静的信号特性と、を含む。上述の最大応答を有している軸90は前記座標特性であり、前記動的信号特性は第2信号L2の最大応答を有している軸90の出力信号と第1信号L1の最大応答を有している軸90の出力信号の方向との類似点と相違点である。図9は1つの第1信号L1及び2つの第2信号L2の最大応答を有している軸90の出力信号の比較図を示し、そのうちの1つの第2信号L2の出力信号は第1信号L1の出力信号とは逆になり、他の第2信号L2の出力信号は第1信号L1の出力信号と同じになっている。
【0021】
前記静的信号特性は第2信号L2の重力方向Gに対応する軸90の出力信号の正負の値であり、具体的には静的信号特性である。図2に示すように、2つの第2座標系C2はY軸の負方向により駆動方向Dを表示し、他の2つの第2座標系C2はY軸の正方向により駆動方向Dを表示している。
上述のY軸の正方向により駆動方向Dを表示している第2座標系C2において、1つの第2座標系C2がZ軸の正方向により重力方向Gを表示し、1gの加速度(重力)を有し、他の第2座標系C2がZ軸の負方向により重力方向Gを表示し、-1gの加速度(重力)を有している。上述のY軸の負方向により駆動方向Dを表示している第2座標系C2において、1つの第2座標系C2がZ軸の正方向により重力方向Gを表示し、1gの加速度(重力)を有し、他の第2座標系C2がZ軸の負方向により重力方向Gを表示し、-1gの加速度(重力)を有している。
【0022】
続いて、図2に戻る。第1座標系C1のX軸は前記第1長軸部材11の前端及び後端が延伸されている方向を指し、Y軸は前記第1長軸部材11の左側及び右側が延伸されている方向を指し、Z軸は前記第1長軸部材11の上端及び下端が延伸されている方向を指している。よって、 Z軸方向に正方向に1gの加速度(重力)を受ける。第2座標系C2のX軸は前記第2長軸部材21の左側及び右側が延伸されている方向を指し、Y軸は前記第2長軸部材21の前端及び後端が延伸されている方向を指し、Z軸は前記第2長軸部材21の上端及び下端が延伸されている方向を指している。よって、Z軸方向に1gの加速度(重力)または-1gの加速度(重力)を受ける。
【0023】
本実施例では、図2乃至図3Cを参照する。前記第1滑動部材12及びこれら前記第2滑動部材22は側面Wをそれぞれ有し、前記第1滑動部材12及び第2滑動部材22は収容穴50をそれぞれ有し、前記収容穴50は前記側面Wに位置している。これら前記センサー30は前記収容穴50内に装設され、前記第1滑動部材12の収容穴50は前記駆動方向Dに垂直になっている側面Wに位置し、前記第2滑動部材22の収容穴50は前記駆動方向Dに平行している側面Wに位置している。例えば、第1滑動部材12がナット121である場合、前記駆動方向Dに垂直になる側面Wはフランジ121Aの端面である。第2滑動部材22がスライダー221である場合、前記駆動方向Dに平行している側面Wはスライド211の左右両側に対するスライダー221の平面である。これにより、前記第1座標系C1及び前記第2座標系C2が異なる軸90により前記駆動方向Dを表示している。
【0024】
前記各フィードシステムSの第1滑動部材12の収容穴50は各第1滑動部材12の同じ側面Wに位置させる必要がある。例えば、これら前記第1滑動部材12がナット121である場合、各ナット121にある収容穴50は全てナット121のフランジ121Aの端面に位置させる必要がある。
【0025】
本実施例では、前記センサー30及び前記収容穴50の形状は非対称形態を呈し、これにより、これら前記センサー30の取付方向を確保している(図3C参照)。
【0026】
好ましい実施形態として、図3A乃至図3Cを参照する。前記第1滑動部材12及び前記第2滑動部材22は2つの鍵穴50Aをそれぞれ有し、前記2つの鍵穴50Aは前記収容穴50の対向する両側に位置し、前記収容穴50が有している対向する第1端51及び第2端52を定義している。前記2つの鍵穴50Aの位置は前記第1端51または前記第2端52に接近し、前記収容穴50の中央に揃えられる態様を排除している。
前記センサー30は本体31及び2つの凸部32を有し、前記2つの凸部32は前記本体31の対向する両側にそれぞれ位置している。前記本体31は前端311及び後端312を有し、前記2つの凸部32の位置は前記前端311または前記後端312に接近し、前記本体31の中央に揃えられる態様を排除している。前記各凸部32は貫通穴321をそれぞれ有し、これら前記貫通穴321の位置はこれら前記鍵穴50Aの位置に揃えられ、且つロック部材322が前記貫通穴321を貫通することにより、鍵穴50Aが前記センサー30を前記収容穴50内にロックし、前記センサー30の取付方向を確保している。
【0027】
好ましい実施形態では、前記収容穴50はこれら前記第2滑動部材22の異なる側面Wに位置し、これら前記センサー30の取付方向を改変している。例えば、前記第2滑動部材22がスライダー221である場合、図2図3Bに示すように、スライド211の左右両側に対する前記スライダー221の側面Wはそれぞれ第1側面W1及び第2側面W2であり、前記収容穴50は前記第1側面W1または第2側面W2に位置している。
【0028】
好ましい実施形態として、図4を参照する。前記センサー30は前記本体31の前端311に接続されている伝送線33を有し、並列している第2滑動部材22にあるセンサー30は隣接するように設置され、隣接するセンサー30の前端311は相互に対向している。
【0029】
好ましい実施形態として、図5を参照する。並列している第2滑動部材22にあるセンサー30は隣接するように設置され、隣接するセンサー30の前端311は相互に背向している。
【0030】
上述の固定センサー30の方向の手段により、これら前記第2座標系C2が同じ軸90の異なる方向により前記駆動方向Dを表示するか、同軸90の異なる方向により前記重力方向Gを表示している。
【0031】
以上が本発明の実施例及び各主要部材と形態の説明である。
【0032】
図10に示す本発明の実施例に係るセンサー取付位置の識別方法を参照する。下記ステップを含む。
【0033】
<予め定義するステップA1>
センサー30の取付方向に基づいて前記比較情報を定義する。比較情報は前記第1滑動部材12、第2滑動部材22、及び信号特性の対応関係であり、前記信号特性は座標特性と、動的信号特性と、静的信号特性と、を含む。
【0034】
<変位ステップA2>
1つのフィードシステムSの第1滑動部材12及び第2滑動部材22を変位するように駆動し、好ましくは、第1滑動部材12及び第2滑動部材22が往復変位するように駆動する。一例を挙げると、フィードシステムSの数量が3つである場合、それぞれ第1フィードシステムS1、第2フィードシステムS2、及び第3フィードシステムS3であり、第1フィードシステムS1の駆動方向Dは第1方向D1であり、第2フィードシステムS2の駆動方向Dは第2方向D2であり、第3フィードシステムS3の駆動方向Dは第3方向D3である。本実施例では、第1フィードシステムS1の第1滑動部材12及び第2滑動部材22を前記第1方向D1に沿って変位するように駆動している。
【0035】
<受信信号ステップA3>
各フィードシステムSの前記各センサー30の3軸信号Lを受信し、これら前記3軸信号Lは3つの軸90の出力信号をそれぞれ有している。
【0036】
<軸を分析するステップA4>
各3軸信号L中の応答を有している3軸信号Lを判断する。図7に示すように、各軸90の出力信号は全て静止しており、応答のない3軸信号Lであることを示している。また、図8A図8Bを参照する。1つの軸90の出力信号が明確な応答を有し、他の2つの軸90の出力信号は僅かな応答を有し、応答を有している3軸信号Lであることを示している。
応答を有している3軸信号Lが対応しているセンサー30は変位する第1滑動部材12または第2滑動部材22に取り付けられ、反対であれば、静止しているフィードシステムSに取り付けられているセンサー30が発生する3軸信号Lであると判定する。本実施例では、応答を有している3軸信号Lは第1フィードシステムS1に取り付けられているセンサー30から来たと判定し、応答のない3軸信号Lは第2フィードシステムS2または第3フィードシステムS3に取り付けられているセンサー30から来たと判定している。
【0037】
<第1座標系を判断するステップA5>
これら前記応答を有している3軸信号L中から各3軸信号Lの最大応答を有している軸90を選別し、複数の3軸信号L中の同じ軸90に位置している複数の最大応答を有している3軸信号L及び1つの他の軸90に位置している最大応答を有している3軸信号Lから、同じ軸90に位置している複数の最大応答を有している3軸信号L及び他の軸90に位置している最大応答を有している3軸信号Lを識別し、同じ軸90に位置している複数の最大応答を有している3軸信号Lを第2信号L2と定義し、他の軸90に位置している最大応答を有している3軸信号Lを第1信号L1と定義する。これら前記第2信号L2はこれら前記第2滑動部材22に取り付けられているセンサー30に対応し、前記第1信号L1は第1滑動部材12に取り付けられているセンサー30に対応している。
上述の最大応答を有している軸90は前記座標特性であり、前記第1信号L1が対応する三次元座標系Cは第1座標系C1であり、前記第2信号L2が対応する三次元座標系Cは第2座標系C2である。
本実施例では、図2図8A図8Bを参照する。Y軸に位置している複数の最大応答を有している3軸信号L及びX軸に位置している1つの最大応答を有している3軸信号Lは、Y軸に位置しているこれら前記最大応答を有している3軸信号Lが第2信号L2であり、X軸に位置している最大応答を有している3軸信号Lが第1信号L1であり、前記第1滑動部材12に取り付けられている前記センサー30を識別するために用いられている。
【0038】
本実施例では、最大応答を有している軸90を判別する方法は、まず重力の影響を受けている軸90を検索し、前記軸90の出力信号を平均する方式で計算し、平均値を取得する。次いで、前記軸90の出力信号を前記平均値で減算して調整信号を取得し、重力の影響を除外した後、前記調整信号の二乗平均平方根値及び他の軸90の出力信号の二乗平均平方根値を計算し、各軸90が対応する二乗平均平方根値を比較することで、最大応答を有している軸90を取得する。
【0039】
<動的信号を分析するステップA61>
前記第1信号L1及びこれら前記信号L2を分析し、第1信号L1を基準として各第2信号L2と比較し、最大応答を有している軸90の出力信号を比較する。図9に示すように、第1信号L1の振動方向と各第2信号L2の振動方向との類似点と相違点を判別し、上述の判定結果を前記動的信号特性とする。
【0040】
<静的信号を分析するステップA62>
これら前記第2信号L2を分析し、前記各重力方向Gが対応する軸90の出力信号を比較し、出力信号を正の第2信号L2及び負の第2信号L2に区分し、上述の判定結果を前記静的信号特性とする。ちなみに、出力信号の正負は出力信号の平均値により判定し、本実施例では、出力信号の平均値は1gまたは-1gである。
【0041】
<ラベルステップA7>
前記動的信号特性に基づいて、前記静的信号特性及び前記比較情報を相互比較し、前記各第2信号L2及び第2滑動部材22の対応関係を取得し、これら前記第2信号L2と特定の第2滑動部材22及びセンサー30とを結合し、前記第1信号L1と前記第1滑動部材12及びセンサー30とを結合する。
本実施例では、図2図9を参照する。まず、前記動的信号特性を判断し、前記比較情報により第1信号L1の振動方向と同じである第2信号L2が2号スライダー221B及び3号スライダー(図示省略)に対応していると定義し、第1信号L1の振動方向と逆になる第2信号L2が1号スライダー221A及び4号スライダー221Dに対応していると定義する。その後、前記静的信号特性を判断し、図2に示すように、前記比較情報により重力方向Gが対応する軸90の出力信号である正の第2信号L2が1号スライダー221A及び3号スライダー(図示省略)に対応していると定義し、重力方向Gが対応する軸90の出力信号である負の第2信号L2が2号スライダー221B及び4号スライダー221Dに対応していると定義する。その後、相互比較を行って各第2信号L2及びスライダー221の対応関係を取得し、前記各第2滑動部材22に取り付けられている前記センサー30を識別する。上述の例は動的信号特性及び静的信号特性の順序を制限せず、先に静的信号特性を判断した後に動的信号特性を判断しても、同時に判断してもよい。
【0042】
これにより、本発明は主にこれら前記センサー30の取付方向に基づいて第1滑動部材12、第2滑動部材22、及び信号特性の対応関係を予め定義し、そのうちの1つのフィードシステムSの第1滑動部材12及び第2滑動部材22を変位するように駆動することで、これら前記センサー30が返信する3軸信号Lを取得すると共に分析する。先に応答を有している3軸信号Lを選別した後、3軸信号Lの最大応答を有している軸90を判断することにより、第1滑動部材12に取り付けられているセンサー30を識別する。次いで、動的信号特性及び静的信号特性に基づいて余剰の3軸信号L及び第2滑動部材22に取り付けられているセンサー30の対応関係を識別し、各センサー取付位置を自動識別する目的を達成している。
【0043】
本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0044】
S フィードシステム
S1 第1フィードシステム
S2 第2フィードシステム
S3 第3フィードシステム
D 駆動方向
D1 第1方向
D2 第2方向
D3 第3方向
10 メインドライブユニット
11 第1長軸部材
12 第1滑動部材
121 ナット
121A フランジ
20 サブ駆動ユニット
21 第2長軸部材
211 スライド
22 第2滑動部材
221 スライダー
221A 1号スライダー
221B 2号スライダー
221D 4号スライダー
30 センサー
31 本体
311 前端
312 後端
32 凸部
321 貫通穴
322 ロック部材
33 伝送線
40 処理装置
41 受信ユニット
42 保存ユニット
43 比較ユニット
50 収容穴
50A 鍵穴
51 第1端
52 第2端
90 軸
C 三次元座標系
C1 第1座標系
C2 第2座標系
G 重力方向
L 3軸信号
L1 第1信号
L2 第2信号
W 側面
W1 第1側面
W2 第2側面
A1 予め定義するステップ
A2 変位ステップ
A3 受信信号ステップ
A4 軸を分析するステップ
A5 第1座標系を判断するステップ
A61 動的信号を分析するステップ
A62 静的信号を分析するステップ
A7 ラベルステップ
【要約】
【課題】センサー取付位置の識別方法を提供する。
【解決手段】センサーの取付方向に基づいて第1滑動部材、第2滑動部材、及び信号特性の対応関係を予め定義し、1つのフィードシステムの第1滑動部材及び第2滑動部材を変位するように駆動し、センサーが返信する3軸信号を取得すると共に分析する。まず、応答を有している3軸信号を選別し、3軸信号の最大応答を有している軸を判断し、これにより第1滑動部材に取り付けられているセンサーを識別する。次いで、動的信号特性及び静的信号特性に基づいて余剰の3軸信号と第2滑動部材に取り付けられているセンサーとの対応関係を識別し、これにより各センサー取付位置を自動識別する目的を達成している。
【選択図】図2
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10