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特許7267498伸縮積層シートの製造装置及び伸縮積層シートの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】伸縮積層シートの製造装置及び伸縮積層シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/08 20060101AFI20230424BHJP
   D04H 1/555 20120101ALI20230424BHJP
   B32B 37/00 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
B29C65/08
D04H1/555
B32B37/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022212496
(22)【出願日】2022-12-28
【審査請求日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2022109869
(32)【優先日】2022-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】腰島 美和
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/150802(WO,A1)
【文献】特表2005-511345(JP,A)
【文献】特開2021-094717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00-65/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートと伸縮性のフィルムとが重ねて配置され、前記基材シートと前記フィルムとが接合されている伸縮積層シートの製造装置であって、
第1接合部材と第2接合部材とを有し、前記第1接合部材と前記第2接合部材との間で、前記基材シートと伸長された状態の前記フィルムとが重ねられている積層体を挟み込み、前記基材シートと前記フィルムとを熱溶着して前記伸縮積層シートを形成する接合部と、
周面に凹凸を有する一対のギアロールを有し、前記一対のギアロールの間を通過して搬送される前記伸縮積層シートを延伸する延伸部と、
を備え、
前記延伸部は、前記伸縮積層シートの前記フィルムを部分的に切断し、前記伸縮積層シートの前記基材シートと前記フィルムとの接合箇所及び/又は前記接合箇所の周辺に、開口を形成する、
伸縮積層シートの製造装置。
【請求項2】
原材料から前記フィルムを成形する成形部と、
前記フィルムの搬送方向において前記成形部と前記接合部との間に配置され、前記フィルムを延伸するフィルム延伸部と、
を更に備え、
前記フィルム延伸部と前記接合部との間を搬送される前記フィルムの、自然長の前記フィルムに対する伸長率は、前記成形部と前記フィルム延伸部との間を搬送される前記フィルムの、前記自然長の前記フィルムに対する伸長率よりも大きく、
前記延伸部における、前記伸縮積層シートの前記フィルムの、前記自然長の前記フィルムに対する伸長率は、前記フィルム延伸部と前記接合部との間を搬送される前記フィルムの、自然長の前記フィルムに対する伸長率よりも大きい、
請求項1に記載の伸縮積層シートの製造装置。
【請求項3】
前記伸縮積層シートの搬送経路において前記接合部と前記延伸部との間に配置され、前記延伸部に供給される前記伸縮積層シートの搬送速度を調節する調節部と、
前記調節部の動作を制御する速度制御部と、
を更に備える、
請求項1又は2に記載の伸縮積層シートの製造装置。
【請求項4】
前記速度制御部は、定常運転時に、前記調節部の動作を制御して、前記接合部から前記調節部へと搬送されてくる前記伸縮積層シートに作用する張力に対し、前記延伸部に供給される前記伸縮積層シートに作用する張力を小さくする、
請求項3に記載の伸縮積層シートの製造装置。
【請求項5】
前記速度制御部は、運転開始時又は運転停止時に、前記調節部の動作を制御して、前記接合部から前記調節部へと搬送されてくる前記伸縮積層シートに作用する張力に対し、前記延伸部に供給される前記伸縮積層シートに作用する張力を大きくする、
請求項3に記載の伸縮積層シートの製造装置。
【請求項6】
前記速度制御部は、前記調節部の動作を制御して、前記延伸部に供給される前記伸縮積層シートに作用する張力を一定にする、
請求項3に記載の伸縮積層シートの製造装置。
【請求項7】
前記搬送経路において前記接合部と前記調節部との間に配置され、巻き掛けられる前記伸縮積層シートを案内する第1ローラを更に備え、
前記調節部は、前記伸縮積層シートの巻き掛けられる第2ローラを含み、
前記第2ローラの外面は、前記第1ローラの外面より、粘着性又は摩擦係数が大きい、
請求項3に記載の伸縮積層シートの製造装置。
【請求項8】
前記一対のギアロールの少なくとも一方を加熱するヒータを更に備える、
請求項1に記載の伸縮積層シートの製造装置。
【請求項9】
前記伸縮積層シートは、前記ヒータにより加熱される前記一対のギアロールの一方の外周面に所定長さ接触した後、前記一対のギアロールの間に案内される、
請求項8に記載の伸縮積層シートの製造装置。
【請求項10】
前記延伸部が前記伸縮積層シートに形成する開口の大きさに関する情報を受け付ける受付部と、
前記情報に基づいて、前記延伸部における前記ギアロールの設定を決定する決定部と、
を更に備える、
請求項1に記載の伸縮積層シートの製造装置。
【請求項11】
前記延伸部が前記伸縮積層シートに形成する開口の大きさに関する情報を受け付ける受付部を更に備え、
前記延伸部に供給される前記伸縮積層シートに作用する張力は、前記情報に応じて変更される、
請求項1に記載の伸縮積層シートの製造装置。
【請求項12】
基材シートと伸縮性のフィルムとが重ねて配置され、前記基材シートと前記フィルムとが接合されている伸縮積層シートの製造方法であって、
前記基材シートと伸長された状態の前記フィルムとを熱溶着して、前記伸縮積層シートを形成する溶着ステップと、
周面に凹凸を有する一対のギアロールの間を通過して搬送される前記伸縮積層シートを、前記一対のギアロールにより延伸する延伸ステップと、
を備え、
前記延伸ステップでは、前記伸縮積層シートの前記フィルムを部分的に切断し、前記伸縮積層シートの前記基材シートと前記フィルムとの接合箇所及び/又は前記接合箇所の周辺に、開口を形成する、
伸縮積層シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用物品に使用される伸縮積層シートの製造装置及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不織布シートと伸縮性のフィルムとを重ねた、着用物品に用いられる伸縮積層シートを製造する、伸縮積層シートの製造装置及び製造方法が知られている(例えば、特許文献1(国際公開第2019/150801号)参照)。伸縮積層シートは、例えば、着用物品の胴部に用いられ、着用者の胴部に装着される。
【0003】
伸縮積層シートの製造に用いられるシートのうち、不織布シートは通気性を有するが、伸縮性のフィルムは通気性を有さない。そのため、この伸縮積層シートを着用物品に用いた場合、着用時に蒸れるという不具合が生じるおそれがある。
【0004】
ただし、伸縮積層シートの製造過程において、不織布シートとフィルムとを熱融着する場合には、熱融着箇所の周辺で、フィルムが破断する。そのため、伸縮積層シートを用いた着用物品を着用者が着用する際には、このフィルムの破断箇所を空気が通過できるため、ある程度は着用時のムレを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2019/150801号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような熱融着箇所の周辺でのフィルムの破断では、着用時に十分な面積の開口を確保できず、十分にムレを抑制できないおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、通気性の良い伸縮積層シートの製造装置及び製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の伸縮積層シートの製造装置は、基材シートと伸縮性のフィルムとが重ねて配置され、基材シートとフィルムとが接合されている伸縮積層シートの製造装置である。伸縮積層シートの製造装置は、接合部と、延伸部と、を備える。接合部は、第1接合部材と第2接合部材とを有する。接合部は、第1接合部材と第2接合部材との間で、基材シートと伸長された状態のフィルムとが重ねられている積層体を挟み込み、基材シートとフィルムとを熱溶着して伸縮積層シートを形成する。延伸部は、周面に凹凸を有する一対のギアロールを有する。延伸部は、一対のギアロールの間を通過して搬送される伸縮積層シートを延伸する。
【0009】
本発明の伸縮積層シートの製造方法は、基材シートと伸縮性のフィルムとが重ねて配置され、基材シートとフィルムとが接合されている伸縮積層シートの製造方法である。伸縮積層シートの製造方法は、溶着ステップと、延伸ステップと、を備える。溶着ステップでは、基材シートと伸長された状態のフィルムとを熱溶着して、伸縮積層シートを形成する。延伸ステップでは、周面に凹凸を有する一対のギアロールの間を通過して搬送される伸縮積層シートを、一対のギアロールにより延伸する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の伸縮積層シートの製造装置及び製造方法では、基材シートとフィルムとを熱溶着して伸縮積層シートを成形した上で、周面に凹凸を有するギアロールにより延伸加工を行うことで、基材シートとフィルムとの熱溶着箇所及び/又はその周辺に十分な面積の開口を形成し、通気性の良い伸縮積層シートを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の伸縮積層シートの製造装置の全体構成を示す概略図である。
図2】フィルムが伸長状態にある伸縮積層シートの概略断面図である。
図3】フィルムが非伸長状態にある伸縮積層シートの概略断面図である。
図4】伸縮積層シートを使用する着用物品の概略図である。
図5図1の伸縮積層シートの製造装置の制御ブロック図である。
図6図1の伸縮積層シートの製造装置の伸長ロール及びホーンの概略拡大図である。
図7】伸縮積層シートに形成される接続部の配置の例を示す図である。
図8】ギア延伸前の伸縮積層シートの概略部分拡大平面と、概略部分拡大平面図におけるX1-X1矢視の概略断面図である。
図9】ギア延伸後の伸縮積層シートの概略部分拡大平面と、概略部分拡大平面図におけるX2-X2矢視の概略断面図である。
図10】ギア延伸前の伸縮積層シートの写真である。
図11】ギア延伸後の伸縮積層シートの写真である。
図12】第2実施形態の伸縮積層シートの製造装置の構成を示す概略図であり、フィルムの成形部の描画は省略している。
図13図12の伸縮積層シートの製造装置の制御ブロック図である。
図14】変形例2の伸縮積層シートの製造装置の構成を示す概略図であり、フィルムの成形部の描画は省略している。
図15図14の伸縮積層シートの製造装置の制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の伸縮積層シートの製造装置及び製造方法について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
<第1実施形態>
(1)全体概要
第1実施形態に係る伸縮積層シートLの製造装置100について、図1図4を参照しながら説明する。図1は、伸縮積層シートLの製造装置100の全体構成を示す概略図である。図2は、伸縮積層シートLを構成するフィルムFが伸長状態にある、伸縮積層シートLの断面図である。図3は、フィルムFが非伸長状態にある、伸縮積層シートLの断面図である。図4は、伸縮積層シートLを使用する着用物品200の概略図である。
【0014】
(1-1)伸縮積層シート
初めに、製造装置100の製造対象である伸縮積層シートLについて説明する。
【0015】
伸縮積層シートLは、複数のシート/フィルムが積層されて形成される、伸縮性を有するシートである。伸縮積層シートLは、図2及び図3に示すように、弾性を有する(伸縮性を有する)フィルムFと、基材シートの一例としての第1不織布シートS1と、基材シートの一例としての第2不織布シートS2と、を含む。伸縮積層シートLでは、第1不織布シートS1と第2不織布シートS2との間に、フィルムFが配置される。言い換えれば、伸縮積層シートLでは、不織布シートとフィルムFとが重ねて配置されている。伸縮積層シートLでは、第1不織布シートS1とフィルムFとが接合箇所Jで間欠的に接合され、第2不織布シートS2とフィルムFとが接合箇所Jで間欠的に接合されている。
【0016】
なお、ここでは、第1不織布シートS1と、第2不織布シートS2と、フィルムFと、の3層構造を例に説明するが、伸縮積層シートは、4枚以上のシート/フィルムが積層されていてもよい。また、伸縮積層シートは、第1不織布シートS1及び第2不織布シートS2の一方と、フィルムFと、の2層構造であってもよい。
【0017】
さらに、不織布シートは、基材シートの一例であり、基材シートは不織布シート以外のシートであってもよい。
【0018】
伸縮積層シートLが、後述する製造装置100における伸縮積層シートLの搬送方向Aに沿って十分に伸長されている時には、図2のように、第1不織布シートS1と、フィルムFと、第2不織布シートS2とは、互いに平行な状態にある。言い換えれば、伸縮積層シートLのフィルムFが搬送方向Aに沿って伸長されている時には、図2のように、第1不織布シートS1と、フィルムFと、第2不織布シートS2とは、互いに平行な状態にある。
【0019】
一方で、伸縮積層シートLの伸長状態が解除されている時には(搬送方向Aに沿う方向に伸縮積層シートLに対して力が作用していない状態では)、フィルムFが図2の状態に対して収縮することから、図3のように、接合箇所J(ドットを付した部分)の間隔が短くなる。その結果、第1不織布シートS1及び第2不織布シートS2は湾曲し、伸縮積層シートLの表面には凹凸が形成されることになる(図3参照)。
【0020】
このような伸縮積層シートLは、着用物品に使用される。具体的には、伸縮積層シートLから搬送方向Aに直交する方向に沿って切り取られるシート片が、着用物品に使用される。なお、ここでは、伸縮積層シートLから切り取られるシート片も、単に伸縮積層シートLと呼ぶ。伸縮積層シートLが使用される着用物品の種類を限定するものではないが、着用物品は、例えば、使い捨てのおむつや、使い捨ての医療用ガウン等である。また、伸縮積層シートLの用途を限定するものではないが、伸縮積層シートLは、着用物品において、例えば、着用者の胴周りに装着される胴回り部材や、着用者の手首周りに装着される袖口部材、着用者の足首に装着される裾口部材等に広く適用できる。
【0021】
一例として、伸縮積層シートLの使用される着用物品200としての使い捨てオムツについて、図4を参照しながら説明する。
【0022】
図4に示すように、着用物品200は、前胴部210と、後胴部220と、股間部230と、吸収性物品240と、を有する。着用物品200では、前胴部210と後胴部220とが間隔を設けられている。着用物品200の着用時には、前胴部210と後胴部220とは対向する。股間部230は、前胴部210と後胴部220とに接続されている。前胴部210と後胴部220とは、股間部230を介して接続されている。吸収性物品240は、股間部230を跨くように配置されている。着用物品200の着用時には、着用物品200は、股間部230で折り曲げられ、前胴部210が腹側に、後胴部220が背側に配置される。そして、着用物品200の着用時には、前胴部210と後胴部220とが、不図示のテープ等の締結部材で結合される。
【0023】
着用物品200では、伸縮積層シートLが、前胴部210と後胴部220とに使用される。伸縮積層シートLは、前述の搬送方向Aと胴回り方向とが一致する状態で、前胴部210及び後胴部220に使用される。
【0024】
(1-2)伸縮積層シートの製造装置
概説すると、製造装置100は、以下のような装置である。
【0025】
製造装置100は、原材料から伸縮性のあるフィルムFを製造する。製造装置100は、製造したフィルムFを伸長された状態で搬送する。そして、製造装置100は、搬送されるフィルムFに一対の不織布シートS1,S2を合流させ、伸長された状態のフィルムFを一対の不織布シートS1,S2の間に配置した状態で、一対の不織布シートS1,S2とフィルムFとを熱溶着して、伸縮積層シートLを形成する。言い換えれば、製造装置100は、搬送されるフィルムFに不織布シートS1,S2を合流させ、伸長された状態のフィルムFと不織布シートS1,S2とを重ねた状態で、不織布シートS1,S2とフィルムFとを熱溶着して、伸縮積層シートLを形成する。さらに、製造装置100は、伸縮積層シートLの通気性(具体的には伸縮積層シートLのフィルムFの通気性)を向上するため、伸縮積層シートLをギアロール62,64により延伸(ギア延伸)する。
【0026】
製造装置100の構成等の詳細については後述する。
(2)伸縮積層シートの製造装置の詳細
伸縮積層シートLの製造装置100について、図1図4に加え、図5を参照してさらに詳しく説明する。図5は、第1実施形態に係る伸縮積層シートLの製造装置100の制御ブロック図である。
【0027】
製造装置100は、図1及び図5に示すように、主に、吐出機構20と、冷却ロール30と、フィルム延伸機構38と、積層接合機構48と、積層シート延伸機構60と、制御装置90と、を有する。
【0028】
(2-1)吐出機構
吐出機構20は、原材料(樹脂材料)から、フィルム状の中間物Faを形成する装置である。中間物Faは、最終的にはフィルムFに成形される。吐出機構20は、具体的には、樹脂材料を、樹脂材料が弾性変形する温度領域よりも高い温度まで加熱し溶融させ、溶融された樹脂材料を吐出口24からフィルム状に吐出して、フィルム状の中間物Faを形成する。吐出機構20が形成したフィルム上の中間物Faは、図1のように吐出機構20の下方に配置される冷却ロール30へと搬送される。
【0029】
なお、樹脂材料は、例えば、熱可塑性弾性樹脂を主成分とする材料であり、室温で弾性を示す材料である。例えば、限定するものではないが、特許文献1(国際公開第2019/150801号)に記載されているように、樹脂材料には、JIS K 6418:2007(ISO 18064:2003)に規定されている熱可塑性エラストマーのいずれかが使用される。
【0030】
(2-2)冷却ロール
冷却ロール30は、中間物Faを冷却して固化させて、弾性を有する(伸縮性を有する)フィルムFを形成する装置である。
【0031】
冷却ロール30は、図示を省略するモータ等の駆動装置により回転駆動させられる。冷却ロール30の内部には、中間物Faを冷却するための流体が流れる、図示を省略する流路が形成されている。
【0032】
前述のように、吐出機構20から吐出された中間物Faは、冷却ロール30へと供給される。なお、吐出機構20の吐出口24から吐出された中間物Faは、冷却ロール30に達するまでの第1の区間80(図1参照)において延伸される。これを実現するため、冷却ロール30は、吐出機構20の吐出口24から吐出されるときの樹脂材料の送り速度より大きな周速で回転し、フィルム状の中間物Faの厚さが所定値となるまで、中間物Faを延伸する。
【0033】
また、冷却ロール30は、駆動装置により回転駆動させられ、冷却ロール30の外周面に沿って中間物Faを搬送する。冷却ロール30は、中間物Faが冷却ロール30の外周面に接している第2の区間82において、中間物Faを、中間物Faを構成する樹脂材料が弾性変形する温度領域まで冷却し固化させる。これにより、中間物Faは、第2の区間82でフィルムFとなり、冷却ロール30から引き出される。冷却ロール30から引き出されるフィルムFは、案内ロール32を経て、フィルム延伸機構38に送られる。案内ロール32は、冷却ロール30と同様に、フィルムFを冷却する機能を有していてもよい。
【0034】
なお、冷却ロール30からフィルム延伸機構38へと搬送されるフィルムFは、自然長のフィルムF(力が作用しない状態におけるフィルムFの長さ)に対して、α%だけ伸長された状態で搬送される。
【0035】
(2-3)フィルム延伸機構
フィルム延伸機構38は、伸長された状態で冷却ロール30から搬送されてくるフィルムFを更に伸長する装置である。
【0036】
フィルム延伸機構38は、主に、引き出しロール34と、ピンチロール36と、伸長ロール40とを含む。引き出しロール34は、図示を省略するモータ等の駆動装置により回転駆動される。伸長ロール40は、図示を省略するモータ等の駆動装置により回転駆動される。
【0037】
引き出しロール34とピンチロール36とは、隣接して配置される。引き出しロール34とピンチロール36とは、冷却ロール30から引き出しロール34へと搬送されてくるフィルムFが、引き出しロール34の外周面に沿って滑らないように、フィルムFを挟み込む。引き出しロール34は、冷却ロール30と同期して回転する。
【0038】
フィルムFは、フィルム延伸機構38により、引き出しロール34とピンチロール36との間から、伸長ロール40に達するまでの間の第3の区間84で伸長される。これを実現するため、伸長ロール40は、引き出しロール34の周速より速い周速で回転し、フィルムFを、自然長のフィルムF(力が作用しない状態におけるフィルムFの長さ)に対して、β%だけ伸長された状態にする。β%は、前述のα%よりも大きな値である。自然長のフィルムFに対してβ%だけ伸長されたフィルムFは、伸長ロール40の外周面に沿って搬送される。
【0039】
(2-4)積層接合機構
積層接合機構48は、不織布シートS1,S2と、伸長された状態のフィルムFと、が重ねられた積層体Bを形成する。特に、本実施形態では、積層接合機構48は、一対の不織布シートS1,S2の間に、伸長された状態のフィルムFが配置されている積層体Bを形成する。さらに、積層接合機構48は、特許請求の範囲における接合部として機能し、積層体Bにおいて、不織布シートS1,S2とフィルムFとを熱溶着して伸縮積層シートLを形成する。特に、本実施形態では、積層接合機構48は、特許請求の範囲における接合部として機能し、積層体Bにおいて、一対の不織布シートS1,S2と、その間に配置されるフィルムFとを熱溶着して伸縮積層シートLを形成する。
【0040】
フィルム延伸機構38の構成の一部である伸長ロール40は、積層接合機構48の一部としても機能する。また、積層接合機構48は、超音波接合装置42を有する。
【0041】
積層接合機構48の伸長ロール40には、図示を省略する原反ロールから繰り出される連続した第1不織布シートS1が、案内ロール50を介して供給される。また、伸長ロール40には、図示を省略する原反ロールから繰り出される連続した第2不織布シートS2が、案内ロール52,54を介して供給される。積層接合機構48では、伸長ロール40に沿って搬送される伸長されたフィルムFが、伸長ロール40に搬送されてくる第1不織布シートS1と第2不織布シートS2との間に挟み込まれ、一対の不織布シートS1,S2の間に、伸長された状態のフィルムFが配置されている積層体Bが形成される。
【0042】
なお、伸縮積層シートLが2層構造である場合には、積層接合機構48の伸長ロール40には、例えば、図示を省略する原反ロールから繰り出される連続した第1不織布シートS1が、案内ロール50を介して供給される。そして、積層接合機構48では、伸長ロール40に沿って搬送される伸長されたフィルムFが、伸長ロール40に搬送されてくる第1不織布シートS1と重ねられた積層体Bが形成される。
【0043】
積層体Bは、伸長ロール40の回転に伴って移動し、アンビルロールとして機能する伸長ロール40と超音波接合装置42のホーン43との間を通過する。伸長ロール40の表面には、伸長ロール40の回転軸方向に沿って配列されると共に、伸長ロール40の周方向に沿って配列される複数の凸部40aが設けられている(図6参照)。形状を限定するものではないが、凸部40aは、凸部40aを伸長ロール40の回転軸に向かって径方向に見た時に、伸長ロール40の回転軸方向を長手方向として延びる、長方形形状や、長楕円形状を有する。ただし、ここで述べた凸部40aの形状は、一例に過ぎず、他の形状であってもよい。
【0044】
伸長ロール40及びホーン43は、特許請求の範囲における第1接合部材及び第2接合部材の一例である。ホーン43は、伸長ロール40との間(より具体的には、伸長ロール40の凸部40aとの間)で積層体Bを挟み込んだ状態で、図示を省略する超音波発振器により振動させられ、不織布シートS1,S2と(特にここでは一対の不織布シートS1,S2と)、フィルムFとを超音波溶着する。超音波溶着は、熱溶着の一態様である。一対の不織布シートS1,S2とフィルムFとが超音波溶着されることで、一対の不織布シートS1,S2とフィルムFとが、接合箇所Jにおいて間欠的に接合された伸縮積層シートLが形成され、積層接合機構48から引き出される。伸縮積層シートLには、例えば図7に示すように、局所的に接合箇所J(ドットを付した部分)が配置される。積層接合機構48から引き出された伸縮積層シートLは、フィルムFの伸長方向に沿う搬送方向Aに、積層シート延伸機構60へと搬送される。
【0045】
上述のように、ここでは、接合部の一例としての積層接合機構48は、不織布シートS1,S2とフィルムFとを超音波溶着する。ただし、熱溶着の態様は、超音波溶着に限定されるものではない。例えば、積層接合機構48は、内部にヒータが搭載されている2つのローラよって積層体Bを挟み込んで、不織布シートS1,S2とフィルムFとを、例えば図7のような態様でヒートシールするものであってもよい。
【0046】
また、ここでは、上述のように、フィルム延伸機構38の構成の一部である伸長ロール40が、積層接合機構48においてアンビルロールとしても機能する。ただし、これに限定されるものではなく、積層接合機構48は、積層体Bを形成する伸長ロール40とは別のアンビルロールを有してもよい。
【0047】
(2-5)積層シート延伸機構
積層シート延伸機構60は、特許請求の範囲における延伸部の一例である。積層シート延伸機構60は、伸縮積層シートLをギアロール62,64により延伸(ギア延伸)する。
【0048】
具体的には、積層シート延伸機構60は、周面に凹凸を有する一対のギアロール62,64を有する。より具体的には、ギアロール62には、平歯車のように、ギアロール62の周方向にそって、歯部62aと谷部62bとが交互に複数設けられている。ギアロール64にも、平歯車のように、ギアロール64の周方向にそって、歯部64aと谷部64bとが交互に複数設けられている。そして、ギアロール62及びギアロール64が図示しないモータ等の駆動機構により回転することで、ギアロール62の歯部62aとギアロール64の谷部64bとが、又、ギアロール62の谷部62bとギアロール64の歯部64aとが、互いに噛み合う。
【0049】
積層接合機構48から搬送方向Aに沿って搬送される伸縮積層シートLは、このギアロール62とギアロール64との噛み合い部分に供給されて、延伸される。伸縮積層シートLは、積層シート延伸機構60により延伸される結果、フィルムFは、自然長のフィルムF(力が作用しない状態におけるフィルムFの長さ)に対して、γ%だけ伸長された状態になる。積層シート延伸機構60により伸長された伸縮積層シートL(伸縮積層シートLを構成するフィルムFが、自然長のフィルムFに対して、γ%だけ伸長された状態にある伸縮積層シートL)は、伸長率を維持したまま、下流側の搬送機構70により搬送され、次の工程(図示及び説明を省略する着用物品の製造工程)へと搬送されていく。
【0050】
なお、限定するものではないが、γ%は、前述のβ%よりも大きな値である。つまり、フィルムF(伸縮積層シートLに含まれるフィルムFも含む)は、第2の区間82、第3の区間84、そして、積層シート延伸機構60により、自然長のフィルムFに対し、それぞれ、伸長率α%、β(>α)%、γ(>β)%だけ伸長させられてもよい。言い換えれば、ここでは、積層シート延伸機構60により、自然長のフィルムFに対して比較的大きく伸長させられることになるが、ここでのフィルムFは、不織布シートS1,S2と接合されて補強された状態にあることから、比較的大きく伸長しても、フィルムFの破損が抑制されやすい。
【0051】
伸縮積層シートLが積層シート延伸機構60により延伸されることで、不織布シートS1,S2とフィルムFとの熱溶着箇所及び/又はその周辺に十分な面積の開口を形成し、通気性の良い伸縮積層シートLを製造することができる。
【0052】
具体的には、積層シート延伸機構60により延伸を行う前に伸縮積層シートLを搬送方向Aに伸長させると、伸縮積層シートLの接合箇所J(ドットを付した部分)の周囲でフィルムFが切断されているため、図8に示すように、接合箇所Jの周囲には開口Opが形成される。ただし、このような開口Opは、図10の写真から分かるように比較的小さく、伸縮積層シートLの通気性を確保する上で、十分な面積の開口Opが確保されないおそれがある。
【0053】
これに対し、積層シート延伸機構60により延伸を行うことで、例えば、伸縮積層シートLの接合箇所Jの一部でもフィルムFが切断され、図8に示すように、接合箇所Jの周囲の開口Opの他、伸縮積層シートLの接合箇所J(ドットを付した部分)においても、フィルムFが切断され、開口Op1が形成される。その結果、伸縮積層シートLを搬送方向Aに伸長させると、図8に示すように、伸縮積層シートLには比較的大きな開口が形成されることになる。なお、積層シート延伸機構60により延伸を行うことで形成される開口は、接合箇所Jに限定されるものではなく、接合箇所Jの周辺に形成される(開口Opが大きくなるように形成される)場合もある。このように、伸縮積層シートLにギア延伸を行うことで、伸縮積層シートLの(伸縮積層シートLのフィルムFの)、良好な通気性を実現できる。
【0054】
なお、図8,9は説明のための図面に過ぎず、図8,9に示した開口Op,Op1の形状や寸法は、実際に形成される開口の形状を限定するものではない。
【0055】
なお、積層シート延伸機構60において、不織布及び熱可塑性弾性樹脂等で構成される伸縮積層シートLを金属製のギアロール62,64により挟み込んだ際に、伸縮積層シートLが静電気を帯びる可能性がある。伸縮積層シートLが静電気を帯びると、静電気が、伸縮積層シートLを加工して着用物品を製造する工程に悪影響を与えるおそれがある。そのため、伸縮積層シートLの搬送方向Aにおける積層シート延伸機構60の下流側において、伸縮積層シートLを、アースにつながる導体に接触させることが好ましい。
【0056】
(2-6)制御装置
制御装置90は、図示を省略するCPUや、ROMやRAM等のメモリや、入出力装置、各種の電気部品・電子部品等を有する。
【0057】
制御装置90は、図5に示すように、吐出機構20と、冷却ロール30と、フィルム延伸機構38と、積層接合機構48と、積層シート延伸機構60と、に電気的に接続されている。制御装置90は、CPUが、メモリに記憶されているプログラムを実行することで、吐出機構20、冷却ロール30、フィルム延伸機構38、積層接合機構48、及び積層シート延伸機構60を、連携しながら動作するように制御する。
【0058】
なお、制御装置90は、ここで説明するような機能を発揮可能であれば、ソフトウェアにより実現されてもよいし、ハードウェア(各種の電気回路・電子回路)により実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現されてもよい。
【0059】
(3)伸縮積層シートの製造方法
伸縮積層シートLの製造方法について説明する。
【0060】
初めにフィルムFの形成について説明する。
【0061】
吐出機構20において、例えば、室温で弾性を示す樹脂材料が加熱溶融され、吐出口24から、フィルム状の中間物Faとして吐出される。その後、冷却ロール30により、中間物Faが冷却固化され、弾性を有する(伸縮性を有する)フィルムFが形成される。言い換えれば、ここでは、吐出機構20及び冷却ロール30が、特許請求の範囲における成形部として機能し、原材料としての樹脂材料から、フィルムFが形成される。なお、冷却ロール30では、フィルムFは、自然長のフィルムF(力が作用しない状態におけるフィルムFの長さ)に対して、α%だけ伸長された状態に延伸される。
【0062】
冷却ロール30から引き出され、伸長された状態で冷却ロール30から搬送されてくるフィルムFは、フィルム延伸機構38により更に伸長される。具体的には、フィルム延伸機構38では、フィルムFは、自然長のフィルムFに対して、β(>α)%だけ伸長された状態に延伸される。
【0063】
そして、積層接合機構48では、図示を省略する原反ロールから繰り出される不織布シートS1,S2と、伸長された状態のフィルムFと、が重ねられている積層体Bが形成される。特に本実施形態では、積層接合機構48において、図示を省略する原反ロールから繰り出される第1不織布シートS1と、図示を省略する原反ロールから繰り出される第2不織布シートS2の間に、伸長された状態のフィルムFが配置されている積層体Bが形成される。さらに、積層接合機構48は、積層体Bを、伸長ロール40と超音波接合装置42のホーン43との間に挟み込み、一対の不織布シートS1,S2とフィルムFとを熱溶着して伸縮積層シートLに形成する。
【0064】
次に、積層シート延伸機構60は、積層接合機構48から搬送方向Aに沿って搬送されてくる、一対のギアロール62,64の間を通過して搬送される伸縮積層シートLを延伸(ギア延伸)する。具体的には、積層シート延伸機構60は、フィルムFを、自然長のフィルムFに対して、γ%だけ伸長された状態に延伸される。例えば、γ%は、前述のβ%よりも大きな値である。ギア延伸の結果、伸縮積層シートLの、不織布シートS1,S2とフィルムFとの熱溶着箇所及び/又はその周辺には、十分な面積の開口が形成されることとなる。
【0065】
(4)特徴
(4-1)
伸縮積層シートLの製造装置100は、基材シートの一例としての不織布シートS1,S2と、伸縮性のフィルムFとが重ねて配置され、不織布シートS1,S2とフィルムFとが接合されている伸縮積層シートLの製造装置100である。伸縮積層シートLの製造装置100は、接合部の一例としての積層接合機構48と、延伸部の一例としての積層シート延伸機構60と、を備える。積層接合機構48は、第1接合部材及び第2接合部材の一例としての、伸長ロール40(アンビルロール)及びホーン43とを有する。積層接合機構48は、伸長ロール40とホーン43との間で、不織布シートS1,S2と、伸長された状態のフィルムFとが重ねられている積層体Bを挟み込み、不織布シートS1,S2とフィルムFとを熱溶着して伸縮積層シートLを形成する。積層シート延伸機構60は、周面に凹凸を有する一対のギアロール62,64を有する。積層シート延伸機構60は、一対のギアロール62,64の間を通過して搬送される伸縮積層シートLを延伸する。
【0066】
伸縮積層シートLの製造装置100では、不織布シートS1,S2とフィルムFとを熱溶着して伸縮積層シートLを成形した上で、周面に凹凸を有するギアロール62,64により延伸加工を行うことで、不織布シートS1,S2とフィルムFとの熱溶着箇所及び/又はその周辺に十分な面積の開口を形成し、通気性の良い伸縮積層シートLを製造することができる。
【0067】
(4-2)
伸縮積層シートLの製造装置100は、成形部として機能する吐出機構20及び冷却ロール30と、フィルム延伸部の一例としてのフィルム延伸機構38と、を備える。成形部は、原材料(樹脂材料)からフィルムFを成形する。フィルム延伸機構38は、フィルムFの搬送方向Aにおいて成形部と積層接合機構48との間に配置され、フィルムFを延伸する。フィルム延伸機構38と積層接合機構48との間を搬送されるフィルムFの、自然長のフィルムFに対する伸長率は、成形部とフィルム延伸機構38との間を搬送されるフィルムFの、自然長のフィルムFに対する伸長率よりも大きい。また、積層シート延伸機構60における、伸縮積層シートLのフィルムFの、自然長のフィルムFに対する伸長率は、フィルム延伸機構38と積層接合機構48との間を搬送されるフィルムFの、自然長のフィルムFに対する伸長率よりも大きい。
【0068】
この伸縮積層シートLの製造装置100では、フィルムFを段階的に伸長することで、フィルムFを低膜厚化することが可能である。特に、この伸縮積層シートLの製造装置100では、フィルムFを用いて伸縮積層シートLを形成した後に、更にフィルムFを延伸することで、フィルムFの破損を抑制しつつ、フィルムFを低膜厚化することができる。
【0069】
(4-3)
伸縮積層シートLの製造方法は、基材シートの一例としての不織布シートS1,S2と伸縮性のフィルムFとが重ねて配置され、不織布シートS1,S2とフィルムFとが接合されている伸縮積層シートLの製造方法である。伸縮積層シートLの製造方法は、溶着ステップと、延伸ステップと、を備える。溶着ステップでは、不織布シートS1,S2と伸長された状態のフィルムFとを熱溶着して、伸縮積層シートLを形成する。延伸ステップでは、周面に凹凸を有する一対のギアロール62,64の間を通過して搬送される伸縮積層シートLを、一対のギアロール62,64により延伸する。
【0070】
この伸縮積層シートLの製造方法では、不織布シートS1,S2とフィルムFとを熱溶着して伸縮積層シートLを成形した上で、周面に凹凸を有するギアロール62,64により延伸加工を行うことで、不織布シートS1,S2とフィルムFとの熱溶着箇所及び/又はその周辺に十分な面積の開口を形成し、通気性の良い伸縮積層シートLを製造することができる。
【0071】
<第2実施形態>
以下に、第2実施形態に係る伸縮積層シートLの製造装置100Aについて、図12図13を参照しながら説明する。図12は、伸縮積層シートLの製造装置100Aの構成を示す概略図であり、フィルムFの成形部(吐出機構20や冷却ロール30等)の描画は省略している。図13は、伸縮積層シートLの製造装置100Aの制御ブロック図の例である。
【0072】
なお、第2実施形態の製造装置100Aは、主に、以下の構成a~構成cが第1実施形態の製造装置100と相違する。なお、製造装置100Aは、構成a~構成cの全てを有する必要はない。製造装置100Aは、構成a~構成cのいずれか1つ、又は、構成a~構成cの中の2つの構成を有するものであってもよい。
・構成a:伸縮積層シートLの搬送経路において積層接合機構48と積層シート延伸機構60との間に、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLの搬送速度を調節する調節部110が設けられ、制御装置90が、調節部110の動作を制御する速度制御部として機能する点。
・構成b:一対のギアロール62,64の少なくとも一方を加熱するヒータ66を備える点(本実施形態では、少なくとも、ギアロール64はヒータ66を備えている)。
・構成c:製造装置100Aが、積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさに関する情報を受け付ける受付部92を有し、制御装置90が、この情報に基づいて、積層シート延伸機構60におけるギアロール62,64の設定を決定する点。
【0073】
ここでは、第2実施形態の製造装置100Aの、第1実施形態の製造装置100との相違点である構成a~構成cについてのみ説明し、同様の点に関する説明は、必要のない限り省略する。また、製造装置100Aが製造する伸縮積層シートLは、製造装置100が製造する伸縮積層シートLと同様のものであるため、ここでは、伸縮積層シートLについての説明も省略する。
【0074】
(1)構成a~構成cの詳細
(1-1)構成a
上記の構成aについて説明する。
【0075】
初めに、構成aを設ける理由について説明する。
【0076】
第1実施形態で説明したように、積層接合機構48で形成された伸縮積層シートLは、積層シート延伸機構60においてギア延伸され、開口が形成される。
【0077】
積層シート延伸機構60において形成される開口のサイズは、積層シート延伸機構60で伸縮積層シートLがどれだけ延伸されるかによって変化する。そして、伸縮積層シートLが積層シート延伸機構60においてどれだけ延伸されるかは、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに、どれだけ張力が作用しているかによっても変化する。具体的には、積層シート延伸機構60の運転条件は特に変更しなくても、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに比較的大きな張力が作用していた場合には、伸縮積層シートLに比較的大きな開口が形成されやすく、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに比較的小さな張力しか作用していない場合には、伸縮積層シートLに比較的小さな開口しか形成されない。
【0078】
また、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに、過大な張力が作用している場合には、積層シート延伸機構60で延伸をした際に、伸縮積層シートLに損傷が発生する可能性もある。
【0079】
そのため、伸縮積層シートLの全体に概ね同一サイズの開口を形成し、伸縮積層シートLの損傷を抑制するために、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに作用する張力は、適切な値に制御されることが好ましい。
【0080】
そして、伸縮積層シートLに作用する張力は、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLの搬送速度によって変化することから、第2実施形態の製造装置100Aでは、積層接合機構48と積層シート延伸機構60との間に、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLの搬送速度を調節する調節部110を設けている。
【0081】
調節部110は、主に、伸縮積層シートLの巻き掛けられる第2ローラの一例としての速度調節ローラ112と、速度調節ローラ112を回転駆動する速度調整モータ114と、を有する(図12及び図13参照)。速度調整モータ114は、制御装置90により電気的に接続されており、速度調整モータ114の動作(運転/停止、回転速度等)は、制御装置90により制御される。速度調節ローラ112は、伸縮積層シートLの巻き掛けられる外面の、粘着性又は摩擦係数が大きなローラである。具体的には、速度調節ローラ112の外面の粘着性又は摩擦係数は、第1ローラの一例としての案内ローラ120の、伸縮積層シートLの巻き掛けられる外面の粘着性又は摩擦係数より大きい。なお、案内ローラ120は、伸縮積層シートLの搬送経路において、積層接合機構48と調節部110との間に配置され、巻き掛けられる伸縮積層シートLを案内するローラである。ローラは、例えば、回転自在のローラである。
【0082】
速度調節ローラ112の外面の粘着性は、例えば、速度調節ローラ112の外面に、ゴム等の粘着性のある材料を貼り付けることで実現される。また、速度調節ローラ112の外面の比較的大きな摩擦係数は、例えば、速度調節ローラ112の外面に摩擦係数の大きな部材を貼り付けたり、速度調節ローラ112の外面を粗す加工を施したりすることで、実現される。
【0083】
調節部110は、粘着性又は摩擦係数が比較的大きい外面を有する速度調節ローラ112の回転速度を変化させることで、調節部110における伸縮積層シートLの搬送速度を変化させ、その結果として、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLの搬送速度を変化させる。
【0084】
なお、調節部110は、単一の速度調節ローラ112を用いる構成ではなく、2つのローラで伸縮積層シートLを挟み込んで、伸縮積層シートLの搬送速度を調節するものであってもよい。
【0085】
調節部110による、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLの搬送速度の調節、及びその結果得られる、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに作用する張力の調節について説明する。
【0086】
例えば、搬送機構70が伸縮積層シートLを搬送速度Vで搬送し、調節部110も伸縮積層シートLを搬送速度Vで搬送していたとする。
【0087】
この条件で、搬送機構70による伸縮積層シートLの搬送速度Vは変えずに、速度調整モータ114の回転速度を減速し、調節ローラ112の回転速度を減速したとする。この場合、調節部110は比較的低速で伸縮積層シートLを搬送し、搬送機構70は比較的高速で伸縮積層シートLを搬送することになるので、調節部110と搬送機構70との間で伸縮積層シートLに作用する張力が大きくなる。その結果、積層接合機構48から調節部110へと搬送されてくる伸縮積層シートLに作用する張力に対し、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに作用する張力が小さくなる。
【0088】
逆に、搬送機構70が伸縮積層シートLを搬送速度Vで搬送し、調節部110も伸縮積層シートLを搬送速度Vで搬送している条件で、搬送機構70による伸縮積層シートLの搬送速度Vは変えずに、速度調整モータ114の回転速度を増速し、調節ローラ112の回転速度を増速したとする。この場合、調節部110は比較的高速で伸縮積層シートLを搬送し、搬送機構70は比較的低速で伸縮積層シートLを搬送することになるので、調節部110と搬送機構70との間で伸縮積層シートLに作用する張力が小さくなる。その結果、積層接合機構48から調節部110へと搬送されてくる伸縮積層シートLに作用する張力に対し、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに作用する張力が大きくなる。
【0089】
製造装置100Aの運転中の、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに作用する張力の制御の態様について説明する。
【0090】
まず、製造装置100Aが運転を開始する運転開始時や、製造装置100Aが運転を停止する運転停止時には、定常運転時に比べ、フィルムFや伸縮積層シートLの搬送速度が遅くなる。なお、定常運転時とは、製造装置100Aの運転開始から所定期間が経過し、フィルムFや伸縮積層シートLの搬送速度が一定速度になっている状態を意味する。このため、製造装置100Aが運転を開始する運転開始時や、製造装置100Aが運転を停止する運転停止時には、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに作用する張力が小さくなり、伸縮積層シートLには比較的小さな開口しか形成されないおそれがある。
【0091】
そこで、速度制御部としての制御装置90は、運転開始時又は運転停止時に、調節部110の動作(より具体的には、速度調整モータ114の動作)を制御して、調節部110における伸縮積層シートLの搬送速度を遅くすることで、積層接合機構48から調節部110へと搬送されてくる伸縮積層シートLに作用する張力に対し、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに作用する張力を大きくすることが好ましい。
【0092】
一方、製造装置100Aの定常運転時には、フィルムFや伸縮積層シートLの搬送速度が比較的大きくなるので、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに作用する張力が大きくなり過ぎて、伸縮積層シートLに形成される開口が大きくなり過ぎたり、伸縮積層シートLが破損したりするおそれがある。
【0093】
そこで、速度制御部としての制御装置90は、運転開始時又は運転停止時に、調節部110の動作(より具体的には、速度調整モータ114の動作)を制御して、調節部110における伸縮積層シートLの搬送速度を速くすることで、積層接合機構48から調節部110へと搬送されてくる伸縮積層シートLに作用する張力に対し、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに作用する張力を小さくすることが好ましい。
【0094】
なお、好ましくは、速度制御部としての制御装置90は、調節部110の動作(より具体的には、速度調整モータ114の動作)を制御して、常に、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに作用する張力を一定とすることが好ましい。
【0095】
(1-2)構成b
上記の構成bについて説明する。
【0096】
積層シート延伸機構60においてギア延伸する際に、伸縮積層シートLが低温であると、伸縮積層シートLの熱可塑性のフィルムF等が硬化し、延伸されにくくなるおそれがある。
【0097】
そこで、一対のギアロール62,64の少なくとも一方に(本実施形態では、少なくともギアロール64に)、ギアロール62,64を所定の温度まで加熱するヒータ66が設けられている。ヒータ66によりギアロール62,64を加熱することで、これに接触する伸縮積層シートLも加熱され、伸縮積層シートLが延伸しやすくなる。
【0098】
なお、伸縮積層シートLが加熱されやすいように、伸縮積層シートLは、ヒータ66により加熱される一対のギアロール62,64の一方(ここではギアロール64)の外周面に所定長さ接触した後、一対のギアロール62,64の間に案内されることが好ましい。数値を限定するものではないが、伸縮積層シートLは、例えば、ギアロール64の外周面に、ギアロール64の外周長の5%以上接触した後、一対のギアロール62,64の間に案内される。
【0099】
伸縮積層シートLを一対のギアロール62,64の間に案内する前に、伸縮積層シートLをギアロール64の外周面に接触させるために、調節部110から搬送される伸縮積層シートLを(調節部110を設けない場合には、積層シート延伸機構60から搬送されてくる伸縮積層シートLを)ギアロール62,64の間に直接案内しない。具体的には、図12のように、調節部110から搬送される伸縮積層シートL(調節部110を設けない場合には、積層シート延伸機構60から搬送されてくる伸縮積層シートL)は、案内ローラ130により案内されて、伸縮積層シートLがギアロール64の外周面に巻き掛けられ、その後、ギアロール62,64の間へと導かれる。
【0100】
(1-3)構成c
上記の構成cについて説明する。
【0101】
初めに、構成cを設ける理由について説明する。
【0102】
伸縮積層シートLに求められる開口の大きさは、常に一定ではなく、伸縮積層シートLが使用される着用物品200等によって変化する場合がある。このような伸縮積層シートLに求められる開口の大きさに応じて、積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさを変更させるために、例えば、積層シート延伸機構60のギアロール62,64の設定を変更することが好ましい。なお、ギアロール62,64の設定とは、例えば、ギアロール62,64の歯たけ(歯底から歯先までの距離、ここでは歯部62aの頂点と谷部62bとの距離)や、ギアロール62の軸心とギアロール64の軸心との距離である。ギアロール62,64の歯たけが大きくなれば、積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさは大きくなり、ギアロール62の軸心とギアロール64の軸心との距離が小さくなれば、積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさは大きくなる。
【0103】
ただし、ギアロール62,64の設定は、例示のものに限定されず、伸縮積層シートLによる延伸量を変化させる、各ギアロール62,64の特性やギアロール62とギアロール64との間の相関関係に関する特性であってもよい。ギアロール62,64の設定の変更は、製造装置100Aのオペレータがトライ・アンド・エラーで行ってもよいが、この場合には、設定変更までに時間がかかる可能性がある。
【0104】
そこで、製造装置100Aの制御装置90は、積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさに関する情報に基づいて、積層シート延伸機構60におけるギアロール62,64の設定を決定することが好ましい。そのため、製造装置100Aの制御装置90は、上記の構成cを有する。
【0105】
構成cについて具体的に説明する。
【0106】
製造装置100Aは、積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさに関する情報を受け付ける受付部92を有する。受付部92は、例えば、製造装置100Aのオペレータによる情報の入力を受け付けるスイッチやタッチパネルである。また、受付部92は、製造装置100Aのオペレータが操作する端末(例えば製造装置100Aを管理する管理装置としてのコンピュータや、オペレータが携帯する携帯端末)から、インターネット等のネットワークを介して送信されてくる情報を受け付ける通信装置であってもよい。
【0107】
なお、積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさに関する情報は、例えば、所望の開口の大きさの、積層接合機構48が不織布シートS1,S2とフィルムFとを溶着するシール面積に対する割合を示す数値である。また、積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさに関する情報は、例えば、所望の開口の大きさの数値そのものであってもよい。また、また、積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさに関する情報は、例えば、「大」「中」「小」等の、所望の開口の大きさを示す相対的な指標であってもよい。
【0108】
そして、製造装置100Aの制御装置90は、特許請求の範囲における決定部として機能し、受付部92の受け付けた積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさに関する情報に基づいて、積層シート延伸機構60におけるギアロール62,64の設定を決定する。
【0109】
これを実現するため、例えば、制御装置90のメモリには、積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさと、ギアロール62,64の設定とが関連付けられた関連情報が記憶されている。関連情報は、製造装置100Aの試験装置を用いて、ギアロール62,64の設定を変更しながら伸縮積層シートLのギア延伸を行い、ギア延伸により形成された開口を測定して得られる試験結果に基づく情報である。また、関連情報は、理論から計算される、あるいは、コンピュータシミュレーションで得られる、ギアロール62,64の設定と、ギア延伸により形成された開口との相関関係に関する情報である。
【0110】
制御装置90は、関連情報を参照して、受付部92の受け付けた積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさに関する情報に対応するギアロール62,64の設定を決定する。
【0111】
製造装置100Aは、例えば、出力部94としてのディスプレイを有しており、制御装置90は、出力部94としてのディスプレイに、自らが決定したギアロール62,64の設定を表示する。あるいは、製造装置100Aは、例えば、出力部94としての通信装置を有しており、制御装置90は、製造装置100Aのオペレータが操作する端末(例えば製造装置100Aを管理する管理装置としてのコンピュータや、オペレータが携帯する携帯端末)に対し、自らが決定したギアロール62,64の設定を送信してもよい。
【0112】
このように構成することで、製造装置100Aのオペレータは、制御装置90が出力部94から出力するギアロール62,64の設定に基づいて、積層シート延伸機構60に使用されるギアロール62,64を取り替えたり、ギアロール62の軸心とギアロール64の軸心との距離を調整したりすることができる。
【0113】
(2)特徴
第2実施形態の製造装置100Aは、第1実施形態の製造装置100の(4)特徴に記載した特徴に加え、以下の特徴を有する。
【0114】
(2-1)
伸縮積層シートLの製造装置100Aは、調節部110と、速度制御部としての制御装置90と、を備える。調節部110は、伸縮積層シートLの搬送経路において積層接合機構48と積層シート延伸機構60との間に配置され、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLの搬送速度を調節する。制御装置90は、調節部110の動作を制御する。
【0115】
伸縮積層シートLの製造装置100Aでは、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLの搬送速度が制御され、その結果、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに作用する張力が制御される。そのため、積層シート延伸機構60において伸縮積層シートLに過剰な張力が作用して伸縮積層シートLが破損したり、積層シート延伸機構60において伸縮積層シートLに形成される開口のサイズが所望のサイズから外れたりする不具合の発生を抑制できる。
【0116】
(2-2)
伸縮積層シートLの製造装置100Aでは、制御装置90は、例えば、定常運転時に、調節部110の動作を制御して、積層接合機構48から調節部110へと搬送されてくる伸縮積層シートLに作用する張力に対し、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに作用する張力を小さくする。
【0117】
伸縮積層シートLの製造装置100Aでは、定常運転時に、積層シート延伸機構60において伸縮積層シートLに過剰な張力が作用して伸縮積層シートLが破損する不具合の発生を抑制できる。
【0118】
(2-3)
伸縮積層シートLの製造装置100Aでは、制御装置90は、例えば、運転開始時又は運転停止時に、調節部110の動作を制御して、積層接合機構48から調節部110へと搬送されてくる伸縮積層シートLに作用する張力に対し、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに作用する張力を大きくする。
【0119】
調節部110の動作を制御しない場合を想定する。伸縮積層シートLの製造装置100Aの運転開始時又は運転停止時には、定常運転時に比べて積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに作用する張力が小さくなり、定常運転時に比べて積層シート延伸機構60により伸縮積層シートLに形成される開口の大きさが小さくなる可能性がある。開口が小さ過ぎる場合、伸縮積層シートLでは所望の通気性が得られないため、開口が小さ過ぎる部分の伸縮積層シートLは着用物品に使用できない(無駄になる)おそれがある。
【0120】
これに対し、伸縮積層シートLの製造装置100Aは、調節部110の動作を制御して、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに作用する張力を大きくするので、伸縮積層シートLの製造装置100Aの運転開始時又は運転停止時にも、積層シート延伸機構60において、適切なサイズの開口を伸縮積層シートLに形成することができる。
【0121】
(2-4)
伸縮積層シートLの製造装置100Aでは、制御装置90は、調節部110の動作を制御して、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに作用する張力を一定にする。
【0122】
伸縮積層シートLの製造装置100Aでは、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに作用する張力が一定となるため、伸縮積層シートLに常に概ね同一サイズの開口が形成されやすい。
【0123】
(2-5)
伸縮積層シートLの製造装置100Aでは、第1ローラの一例としての案内ローラ120を備える。案内ローラ120は、搬送経路において積層接合機構48と調節部110との間に配置され、案内ローラ120に巻き掛けられる伸縮積層シートLを案内する。調節部110は、伸縮積層シートLの巻き掛けられる第2ローラの一例としての速度調節ローラ112を含む。速度調節ローラ112の外面は、案内ローラ120の外面より、粘着性又は摩擦係数が大きい。
【0124】
伸縮積層シートLの製造装置100Aでは、調節部110において、速度調節ローラ112の外面で伸縮積層シートLを掴み、単一のローラを用いて、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLの搬送速度を調節することができる。
【0125】
ただし、調節部110は、単一の速度調節ローラ112を用いる構成ではなく、2つのローラで伸縮積層シートLを挟み込んで、伸縮積層シートLの搬送速度を調節するものであってもよい。
【0126】
(2-6)
伸縮積層シートLの製造装置100Aは、一対のギアロール62,64の少なくとも一方を加熱するヒータ66を備える。本実施形態では、伸縮積層シートLの製造装置100Aは、少なくとも、ギアロール64を加熱するヒータ66を備える。
【0127】
この伸縮積層シートLの製造装置100Aでは、伸縮積層シートLを加熱した上で伸縮積層シートLを延伸できるので、積層シート延伸機構60において、伸縮積層シートLが延伸されやすい。
【0128】
(2-7)
伸縮積層シートLの製造装置100Aでは、伸縮積層シートLは、ヒータ66により加熱される一対のギアロール62,64の一方の外周面に所定長さ接触した後、一対のギアロール62,64の間に案内される。本実施形態では、伸縮積層シートLは、ヒータ66により加熱されるギアロール64の一方の外周面に所定長さ接触した後、一対のギアロール62,64の間に案内される。
【0129】
伸縮積層シートLの製造装置100Aでは、伸縮積層シートLが十分に加熱されやすく、積層シート延伸機構60において、伸縮積層シートLが十分に延伸されやすい。
【0130】
(2-8)
伸縮積層シートLの製造装置100Aは、受付部92と、制御装置90と、を備える。受付部92は、積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさに関する情報を受け付ける。制御装置90は、積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさに関する情報に基づいて、積層シート延伸機構60におけるギアロール62,64の設定を決定する。
【0131】
伸縮積層シートLの製造装置100Aでは、伸縮積層シートLに設ける開口のサイズに応じてギアロール62,64の設定が決定されるため、積層シート延伸機構60において、伸縮積層シートLに所望のサイズの開口が形成されやすい。
【0132】
<変形例1>
製造装置100Aは、上記の構成cの代わりに以下の構成を有してもよい。
【0133】
伸縮積層シートLに求められる開口の大きさに応じ、積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさを変更する方法としては、積層シート延伸機構60のギアロール62,64の設定を変更する代わりに、調節部110の動作を制御して、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに作用する張力を変更する方法も考えられる。
【0134】
そこで、制御装置90は、伸縮積層シートLに求められる開口の大きさに応じて、ギアロール62,64の設定を決定するのではなく、調節部110の制御パターンを決定してもよい。
【0135】
変形例1の製造装置100Aを実現する具体的構成の例を説明する。
【0136】
変形例1の製造装置100Aは、上記実施形態と同様に、積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさに関する情報を受け付ける受付部92を有する。受付部92及び積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさに関する情報については、第2実施形態の中で既に説明したので、ここでは説明を省略する。
【0137】
製造装置100Aの制御装置90は、受付部92の受け付けた積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさに関する情報に基づいて、調節部110の制御パターンを決定する。
【0138】
例えば、制御装置90のメモリには、積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさと、調節部110の制御パターン(運転開始時、運転停止時、定常運転時において、速度調整モータ114の回転速度をどのように制御する方式)とが関連付けられた関連情報が記憶されている。ここでの関連情報は、製造装置100Aの試験装置を用いて、調節部110の制御パターンを変更しながら伸縮積層シートLのギア延伸を行い、ギア延伸により形成された開口を測定して得られた試験結果に基づく情報である。また、関連情報は、理論から計算される、あるいは、コンピュータシミュレーションで得られる、調節部110の制御パターンと、ギア延伸により形成された開口との相関関係に関する情報である。
【0139】
制御装置90は、関連情報を参照して、受付部92の受け付けた積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさに関する情報に対応する調節部110の制御パターンを決定する。
【0140】
製造装置100Aは、例えば、出力部94(出力部94については説明省略)から、自らが決定した調節部110の制御パターンを出力してもよい。そして、製造装置100Aのオペレータが、制御装置90に調節部110の制御パターンを入力してもよい。また、制御装置90は、製造装置100Aの運転中に、自らが決定した調節部110の制御パターンの設定を用いて、調節部110の動作を制御してもよい。
【0141】
変形例Aの伸縮積層シートLの製造装置100Aでは、積層シート延伸機構60に供給される伸縮積層シートLに作用する張力が、積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさに関する情報に応じて変更される。
【0142】
そのため、積層シート延伸機構60において、伸縮積層シートLに所望のサイズの開口が形成されやすい。
【0143】
<変形例2>
第2実施形態の製造装置100Aでは、伸縮積層シートLに求められる開口の大きさに応じて、製造装置100Aのオペレータがギアロール62,64の設定を手動で変更することを想定している。
【0144】
ただし、これに限定されるものではなく、製造装置100Aは、伸縮積層シートLに求められる開口の大きさに応じて、ギアロール62,64の設定を自動で変更してもよい。
【0145】
変形例2の製造装置100Aを実現するための具体的構成について、図14及び図15を参照しながら説明する。図14は、変形例2の伸縮積層シートLの製造装置100Aの構成を示す概略図であり、フィルムFの成形部の描画は省略している。図15は、変形例2の伸縮積層シートLの製造装置100Aの制御ブロック図である。
【0146】
なお、ここでは、ギアロール62,64の設定が、ギアロール62の軸心とギアロール64の軸心との距離の設定である場合を例に説明する。
【0147】
変形例2の製造装置100Aは、ギアロール62の軸心及びギアロール64の軸心の少なくとも一方を、他方のギアロールに対して接近/離隔する駆動機構68を有する(図14及び図15参照)。変形例2の製造装置100Aは、図15に示すように、出力部94を有していない。ただし、これに限定されるものではなく、製造装置100Aは、出力部94を有してもよい。
【0148】
変形例2の製造装置100Aは、第2実施形態の製造装置100Aと同様の方法で、受付部92の受け付けた積層シート延伸機構60が伸縮積層シートLに形成する開口の大きさに関する情報に基づいて、積層シート延伸機構60におけるギアロール62,64の設定(ここでは、ギアロール62の軸心とギアロール64の軸心との距離)を決定する。
【0149】
そして、制御装置90は、決定したギアロール62,64の設定を出力部94から出力する代わりに、駆動機構68の動作を制御して、ギアロール62の軸心とギアロール64の軸心との距離を、自らが決定したギアロール62の軸心とギアロール64の軸心との距離に調整する。
【0150】
最後に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0151】
伸縮積層シートの製造装置は、基材シートと伸縮性のフィルムとが重ねて配置され、基材シートとフィルムとが接合されている伸縮積層シートの製造装置である。伸縮積層シートの製造装置は、接合部と、延伸部と、を備える。接合部は、第1接合部材と第2接合部材とを有する。接合部は、第1接合部材と第2接合部材との間で、基材シートと伸長された状態のフィルムとが重ねられている積層体を挟み込み、基材シートとフィルムとを熱溶着して伸縮積層シートを形成する。延伸部は、周面に凹凸を有する一対のギアロールを有する。延伸部は、一対のギアロールの間を通過して搬送される伸縮積層シートを延伸する。
【0152】
第1観点の伸縮積層シートの製造装置では、基材シートとフィルムとを熱溶着して伸縮積層シートを成形した上で、周面に凹凸を有するギアロールにより延伸加工を行うことで、基材シートとフィルムとの熱溶着箇所及び/又はその周辺に十分な面積の開口を形成し、通気性の良い伸縮積層シートを製造することができる。
【0153】
第2観点の伸縮積層シートの製造装置は、第1観点の伸縮積層シートの製造装置であって、成形部と、フィルム延伸部と、を備える。成形部は、原材料からフィルムを成形する。フィルム延伸部は、フィルムの搬送方向において成形部と接合部との間に配置され、フィルムを延伸する。フィルム延伸部と接合部との間を搬送されるフィルムの、自然長のフィルムに対する伸長率は、成形部とフィルム延伸部との間を搬送されるフィルムの、自然長のフィルムに対する伸長率よりも大きい。延伸部における、伸縮積層シートのフィルムの、自然長のフィルムに対する伸長率は、フィルム延伸部と接合部との間を搬送されるフィルムの、自然長のフィルムに対する伸長率よりも大きい。
【0154】
第2観点の伸縮積層シートの製造装置では、フィルムを段階的に伸長することで、フィルムを低膜厚化することが可能である。特に、この伸縮積層シートの製造装置では、フィルムを用いて伸縮積層シートを形成した後に、更にフィルムを延伸することで、フィルムの破損を抑制しつつ、フィルムを低膜厚化することができる。
【0155】
第3観点の伸縮積層シートの製造装置は、第1観点又は第2観点の伸縮積層シートの製造装置であって、調節部と、速度制御部と、を更に備える。調節部は、伸縮積層シートの搬送経路において接合部と延伸部との間に配置され、延伸部に供給される伸縮積層シートの搬送速度を調節する。速度制御部は、調節部の動作を制御する。
【0156】
第3観点の伸縮積層シートの製造装置では、延伸部に供給される伸縮積層シートの搬送速度が制御され、その結果、延伸部に供給される伸縮積層シートに作用する張力が制御される。そのため、延伸部において伸縮積層シートに過剰な張力が作用して伸縮積層シートが破損したり、延伸部において伸縮積層シートに形成される開口のサイズが所望のサイズから外れたりする不具合の発生を抑制できる。
【0157】
第4観点の伸縮積層シートの製造装置は、第3観点の伸縮積層シートの製造装置であって、速度制御部は、定常運転時に、調節部の動作を制御して、接合部から調節部へと搬送されてくる伸縮積層シートに作用する張力に対し、延伸部に供給される伸縮積層シートに作用する張力を小さくする。
【0158】
第4観点の伸縮積層シートの製造装置では、定常運転時に、延伸部において伸縮積層シートに過剰な張力が作用して伸縮積層シートが破損する不具合の発生を抑制できる。
【0159】
第5観点の伸縮積層シートの製造装置は、第3観点又は第4観点の伸縮積層シートの製造装置であって、速度制御部は、運転開始時又は運転停止時に、調節部の動作を制御して、接合部から調節部へと搬送されてくる伸縮積層シートに作用する張力に対し、延伸部に供給される伸縮積層シートに作用する張力を大きくする。
【0160】
調節部の動作を制御しない場合を想定する。伸縮積層シートの製造装置の運転開始時又は運転停止時には、定常運転時に比べて延伸部に供給される伸縮積層シートに作用する張力が小さくなり、定常運転時に比べて延伸部により伸縮積層シートに形成される開口の大きさが小さくなる可能性がある。開口が小さ過ぎる場合、伸縮積層シートでは所望の通気性が得られないため、開口が小さ過ぎる部分の伸縮積層シートは着用物品に使用できない(無駄になる)おそれがある。
【0161】
これに対し、第5観点の伸縮積層シートの製造装置は、調節部の動作を制御して、延伸部に供給される伸縮積層シートに作用する張力を大きくするので、伸縮積層シートの製造装置の運転開始時又は運転停止時にも、延伸部において、適切なサイズの開口を伸縮積層シートに形成することができる。
【0162】
第6観点の伸縮積層シートの製造装置は、第3観点の伸縮積層シートの製造装置であって、速度制御部は、調節部の動作を制御して、延伸部に供給される伸縮積層シートに作用する張力を一定にする。
【0163】
第6観点の伸縮積層シートの製造装置では、延伸部に供給される伸縮積層シートに作用する張力が一定となるため、伸縮積層シートに常に概ね同一サイズの開口が形成されやすい。
【0164】
第7観点の伸縮積層シートの製造装置は、第3観点から第6観点のいずれかの伸縮積層シートの製造装置であって、第1ローラを更に備える。第1ローラは、搬送経路において接合部と調節部との間に配置され、第1ローラに巻き掛けられる伸縮積層シートを案内する。調節部は、伸縮積層シートの巻き掛けられる第2ローラを含む。第2ローラの外面は、第1ローラの外面より、粘着性又は摩擦係数が大きい。
【0165】
第7観点の伸縮積層シートの製造装置では、調節部において、第2ローラの外面で伸縮積層シートを掴み、単一のローラを用いて、延伸部に供給される伸縮積層シートの搬送速度を調節することができる。
【0166】
第8観点の伸縮積層シートの製造装置は、第1観点から第7観点のいずれかの伸縮積層シートの製造装置であって、一対のギアロールの少なくとも一方を加熱するヒータを更に備える。
【0167】
第8観点の伸縮積層シートの製造装置では、伸縮積層シートを加熱した上で伸縮積層シートを延伸できるので、延伸部において、伸縮積層シートが延伸されやすい。
【0168】
第9観点の伸縮積層シートの製造装置は、第8観点の伸縮積層シートの製造装置であって、伸縮積層シートは、ヒータにより加熱される一対のギアロールの一方の外周面に所定長さ接触した後、一対のギアロールの間に案内される。
【0169】
第9観点の伸縮積層シートの製造装置では、伸縮積層シートが十分に加熱されやすく、延伸部において、伸縮積層シートが十分に延伸されやすい。
【0170】
第10観点の伸縮積層シートの製造装置は、第1観点から第9観点のいずれかの伸縮積層シートの製造装置であって、受付部と、決定部と、を更に備える。受付部は、延伸部が伸縮積層シートに形成する開口の大きさに関する情報を受け付ける。決定部は、延伸部が伸縮積層シートに形成する開口の大きさに関する情報に基づいて、延伸部におけるギアロールの設定を決定する。
【0171】
第10観点の伸縮積層シートの製造装置では、伸縮積層シートに設ける開口のサイズに応じてギアロールの設定が決定されるため、延伸部において、伸縮積層シートに所望のサイズの開口が形成されやすい。
【0172】
第11観点の伸縮積層シートの製造装置は、第1観点から第9観点のいずれかの伸縮積層シートの製造装置であって、受付部を更に備える。受付部は、延伸部が伸縮積層シートに形成する開口の大きさに関する情報を受け付ける。延伸部に供給される伸縮積層シートに作用する張力は、延伸部が伸縮積層シートに形成する開口の大きさに関する情報に応じて変更される。
【0173】
第11観点の伸縮積層シートの製造装置では、伸縮積層シートに設ける開口のサイズに応じて延伸部に供給される伸縮積層シートの張力が変更されるため、延伸部において、伸縮積層シートに所望のサイズの開口が形成されやすい。
【0174】
第12観点の伸縮積層シートの製造方法は、基材シートと伸縮性のフィルムとが重ねて配置され、一対の基材シートとフィルムとが接合されている伸縮積層シートの製造方法である。伸縮積層シートの製造方法は、溶着ステップと、延伸ステップと、を備える。溶着ステップでは、基材シートと伸長された状態のフィルムとを熱溶着して、伸縮積層シートを形成する。延伸ステップでは、周面に凹凸を有する一対のギアロールの間を通過して搬送される伸縮積層シートを、一対のギアロールにより延伸する。
【0175】
伸縮積層シートの製造方法では、基材シートとフィルムとを熱溶着して伸縮積層シートを成形した上で、周面に凹凸を有するギアロールにより延伸加工を行うことで、基材シートとフィルムとの熱溶着箇所及び/又はその周辺に十分な面積の開口を形成し(図9及び図11参照)、通気性の良い伸縮積層シートを製造することができる。
【符号の説明】
【0176】
20 吐出機構(成形部)
30 冷却ロール(成形部)
38 フィルム延伸機構(フィルム延伸部)
48 積層接合機構(接合部)
60 積層シート延伸機構(延伸部)
62,64 ギアロール
66 ヒータ
68 軸駆動機構
90 制御装置(速度制御部,決定部)
92 受付部
94 出力部
100,100A 伸縮積層シートの製造装置
110 調節部
112 速度調節ローラ(第2ローラ)
120 案内ローラ(第1ローラ)
B 積層体
F フィルム
L 伸縮積層シート
S1 第1不織布シート(基材シート)
S2 第2不織布シート(基材シート)
【要約】
【課題】通気性の良い伸縮積層シートの製造装置及び製造方法を提供する。
【解決手段】伸縮積層シートLの製造装置100は、不織布シートS1,S2と、伸縮性のフィルムFと、が重ねて配置され、不織布シートとフィルムとが接合されている伸縮積層シートの製造装置である。伸縮積層シートの製造装置は、積層接合機構48と、積層シート延伸機構60と、を備える。積層接合機構は、伸長ロール40及びホーン43を有する。積層接合機構は、伸長ロールとホーンとの間で、不織布シートと伸長された状態のフィルムとが重ねられている積層体Bを挟み込み、不織布シートとフィルムとを熱溶着して伸縮積層シートを形成する。積層シート延伸機構は、周面に凹凸を有する一対のギアロール62,64を有する。積層シート延伸機構は、一対のギアロールの間を通過して搬送される伸縮積層シートを延伸する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15