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特許7267515ロール式スクリーンを取り付けるためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】ロール式スクリーンを取り付けるためのシステム
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/44 20060101AFI20230424BHJP
   E04F 10/06 20060101ALI20230424BHJP
   E06B 9/50 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
E06B9/44
E04F10/06
E06B9/50
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022568402
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(86)【国際出願番号】 IB2021053358
(87)【国際公開番号】W WO2021229333
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】BE2020/5322
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522365018
【氏名又は名称】レンソン サンプロテクション-スクリーンズ エンフェー
【氏名又は名称原語表記】RENSON SUNPROTECTION-SCREENS NV
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンホーテ,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ルンバート,ソフィー
(72)【発明者】
【氏名】マーテンス,ヨナス
(72)【発明者】
【氏名】ソロマニウック,マキシム
(72)【発明者】
【氏名】デスプレンテル,ミヒエル
(72)【発明者】
【氏名】メインスター,ジョン
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-106894(JP,U)
【文献】実開平3-80896(JP,U)
【文献】仏国特許出願公開第2846364(FR,A1)
【文献】仏国特許出願公開第2795765(FR,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/200176(US,A1)
【文献】国際公開第2006/102894(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/077632(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 10/00-10/10
E06B 9/44- 9/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール式のスクリーンを取り付けるためのシステム(100)であって、
-軸方向(204)を中心とする回転によって前記スクリーンを巻き上げ、繰り出すように適合されたスクリーンロール(200)であって、中空のチューブ(101)を有する端部を含むスクリーンロールと、
-カップリングピース(102)であって、
・前記チューブ(101)の内部に軸方向に位置決めされるように適合されたスリーブ(300)を含むネック要素(104)であって、前記スリーブ(300)に含まれる接触面(302)が、前記チューブ(101)に接触し、前記スリーブ(300)に含まれる凹面(301)が、前記ネック要素(104)と前記チューブ(101)との間に軸方向チャネル(800)を規定する、ネック要素と、
・前記ネック要素(104)に固定的に結合された移行要素(105)であって、前記巻き上げまたは繰り出しの間、前記スクリーンロール(200)を支持するように適合された移行要素と、
を備えるカップリングピースと、
-前記ネック要素(104)を前記チューブ(101)に取り外し可能に固定するように適合された1または複数のアンカー要素(103)であって、固定された状態において、軸方向(204)に沿って均一なクランプにより、前記軸方向チャネル(800)の内部にクランプされるアンカー要素(103)とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステム(100)において、
前記ネック要素(104)が、前記チューブ(101)の内部で軸方向に位置決めされるように適合され、それにより前記ネック要素(104)が、前記接触面(302)を介して前記チューブ(101)内にクランプされることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシステム(100)において、
前記ネック要素(104)の少なくとも特定の断面において、前記スリーブ(300)の内部に補強材(303)が存在し、前記ネック要素(104)の半径方向の剛性を増加させるように適合されていることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステム(100)において、
前記補強材(303)が、軸方向に測定される前記凹面(301)の長さに少なくとも等しい距離にわたって、軸方向に連続していることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項3または4に記載のシステム(100)において、
前記補強材(303)が、補強リブ(303)からなり、前記特定の断面において、前記スリーブ(300)と前記断面内の中央要素(304)との間の径方向の接続を形成することを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムにおいて、
前記径方向の接続が、前記凹面(301)のうちの1つと前記中央要素(304)との間、または前記接触面(302)のうちの1つと前記中央要素(304)との間に、複数の前記補強リブ(303)について少なくとも形成されていることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載のシステム(100)において、
前記凹面(301)が、軸方向に測定される前記ネック要素(104)の距離に等しい距離にわたって軸方向に連続しており、前記凹面(301)が、軸方向に測定されるその全長にわたって実質的に同じ断面を有することを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載のシステム(100)において、
前記アンカー要素(103)が、軸方向に測定される前記ネック要素(104)の長さに少なくとも等しい長さを有することを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載のシステム(100)において、
前記アンカー要素(103)が、あるプロファイルを有し、固定された状態において、前記プロファイルの圧痕に対応する塑性変形が前記凹面(301)および/または前記チューブ(101)に存在することを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項9に記載のシステム(100)において、
前記アンカー要素(103)が、ネジ山を有することを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載のシステム(100)において、
当該システム(100)が、少なくとも2つ、最大で4つのアンカー要素(103)、好ましくは3つのアンカー要素(103)を含むことを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載のシステム(100)において、
前記ネック要素(104)が、前記接触面(302)を含む接触リブを備え、前記接触面(302)が細長く、軸方向に測定される前記凹面(301)の長さに少なくとも等しい距離にわたって軸方向に連続していることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載のシステム(100)において、
前記凹面(301)および前記接触面(302)が、1または複数の前記凹面(301)と1または複数の前記接触面(302)の交互パターンに従って、前記スリーブ(300)の外周にわたって配置されていることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載のシステム(100)において、
前記移行要素(105)が、前記固定された状態で前記チューブ(101)の横方向端部に接触するように適合された支持面(307)を含み、前記移行要素(105)が、位置決めされた状態で前記軸方向チャネル(800)へのアクセスを与える1または複数の開口部(305)を含むことを特徴とするシステム。
【請求項15】
ロール式のスクリーンを取り付ける方法であって、
-スクリーンロール(200)を提供するステップであって、前記スクリーンロールが、軸方向(204)を中心とする回転によって前記スクリーンを巻き上げ、繰り出すように適合され、かつ中空チューブ(101)を有する端部を備える、ステップと、
-カップリングピース(102)を提供するステップであって、前記カップリングピースが、
・スリーブ(300)を含むネック要素(104)と、
・前記ネック要素(104)に固定的に結合された移行要素(105)とを含む、ステップと、
-1または複数のアンカー要素(103)を提供するステップと、
-前記スリーブ(300)を前記チューブ(101)の内部で軸方向に位置決めするステップであって、前記スリーブ(300)に含まれる接触面(302)が、前記チューブ(101)に接触し、前記スリーブ(300)に含まれる凹面(301)が、前記ネック要素(104)と前記チューブ(101)との間に軸方向チャネル(800)を規定する、ステップと、
-前記アンカー要素(103)によって、前記ネック要素(104)を前記チューブ(101)に取り外し可能に固定するステップであって、前記アンカー要素(103)が、軸方向(204)に沿って均一なクランプにより、前記軸方向チャネル(800)の内部にクランプされる、ステップと、
-前記移行要素(105)によって前記スクリーンロール(200)を支持するステップとを備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、例えばローラーブラインドまたは布製オーニングなどのロール式のスクリーンに関する。本発明は、特に、スクリーンチューブにカップリングピースを着脱可能に取り付けることができ、スクリーンロールの滑らかな表面が乱されず、かつ緩みの発生が永続的に防止される、ロール式スクリーンを取り付けるための解決策を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば家の外側に設置される布製オーニングのシステムでは、多くの場合、自由に巻き取り、または繰り出すことができる布地が使用される。この場合、布地は、スクリーンロールに取り付けられ、スクリーンロールは、その軸を中心に回転可能である。一般に、スクリーンロールは中空のチューブであり、チューブモータを収容するための空間を提供する。チューブモータは、その回転スリーブによりスクリーンロールの内壁に固定され、巻き取りおよび繰り出しは、モータへの電気ケーブルを介して電気的に駆動される。通常、スクリーンロールの各端部にはエンドピースまたはカップリングピースが取り付けられ、スクリーンロールが両端で支持されるようになっている。エンドピースは、例えば軸受側に軸を備え、この軸が、ハウジングに取り付けられたスライド軸受に接続される。通常、ハウジングはモータ側にモータスライドを有し、その中でスクリーンロールのエンドピースが支持される。エンドピースまたはカップリングピースは、例えばモータに問題が生じた場合に、スクリーンロールの内部へのアクセスを依然として提供することができるように、スクリーンロールに着脱可能に取り付けられる必要がある。
【0003】
先行技術では、スクリーンチューブに着脱可能に接続されるエンドピースまたはカップリングピースに関する解決策が提示されている。例えば、BE1025413では、中空のスクリーンチューブが提供され、このスクリーンチューブの端部の空洞にチューブプラグが配置される。そのようなチューブプラグは、中空スクリーンチューブの内周に調整された外周を有する円筒部分を有し、取付時には、チューブプラグは、円筒部分がチューブの空洞内にクランプされるように、中空チューブ内に押し込まれるか、または挿入される。一般に、US8403020にも示されるように、円筒部分は、クランプを実現するために外側リブを有している。そのようなタイプの解決策は、時間の経過とともに、より具体的にはスクリーンロールが特定回数回転した後に、チューブプラグとスクリーンチューブとの間に緩みが生じるという欠点がある。この場合、チューブに対するプラグの相対的な動きは、チューブ内におけるプラグの揺動と軸方向のシフトの両方があり得る。そのような緩みは、特に、チューブプラグの固定がチューブ内へのプラグの比較的短い円筒部分のクランプのみによって行われる軸受側で発生する。そのような緩みは、スクリーンを上下にロールさせるときに耳障りなノイズを発生させ、スクリーンデバイスの全体的な耐久性を制限するため、望ましくない。
【0004】
いくつかの既存の解決策では、スクリーンチューブ内のチューブプラグの固定が、スクリーンチューブの壁とプラグの円筒部分を通して配置されるネジを使用することによって改善されている。しかしながら、そのようなネジは、スクリーンロールの外側に凹凸を生じさせ、スクリーンの繰り出しを妨げたり、布地に圧痕を生じさせる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、先行技術における解決策の上述した欠点のうちの1または複数を取り除くシステムを記載することである。より具体的には、本発明の目的は、スクリーンチューブにカップリングピースを着脱可能に連結することができ、スクリーンロールの滑らかな表面が乱されず、かつ緩みの発生が永続的に防止される、ロール式スクリーンを取り付けるためのシステムを記載することである。
【発明の概要】
【0006】
本発明によれば、上述した目的は、請求項1によって規定されるような、ロール式のスクリーンを取り付けるためのシステムによって実現され、このシステムが、
-軸方向を中心とする回転によってスクリーンを巻き上げ、繰り出すように適合され、かつ中空のチューブを有する端部を含むスクリーンロールと、
-カップリングピースであって、
・チューブの内部に軸方向に位置決めされるように適合されたスリーブを含むネック要素であって、スリーブに含まれる接触面が、チューブに接触し、スリーブに含まれる凹面が、ネック要素とチューブとの間に軸方向チャネルを規定する、ネック要素と、
・ネック要素に固定的に結合された移行要素であって、巻き上げまたは繰り出しの間、スクリーンロールを支持するように適合された移行要素と、
を備えるカップリングピースと、
-ネック要素をチューブに取り外し可能に固定するように適合された1または複数のアンカー要素であって、固定された状態において、軸方向に沿って均一なクランプにより、軸方向チャネルの内部にクランプされるアンカー要素とを備える。
【0007】
換言すれば、本発明は、巻取可能なスクリーンを取り付けるためのシステムに関する。スクリーンは、例えば、プラスチックまたは布材料、例えばPVC布またはコーティングされたガラス繊維布から作られ、建物の外側に設置されるオーニングまたはブラインドとして機能する。オーニングは、スクリーンが繰り出されたときに作動し、スクリーンを巻き上げることによって取り除くことができる。しかしながら、他の用途も可能である。このシステムは、スクリーンロール、典型的には軸方向を中心に回転可能な細長いシリンダを備える。スクリーンロールは、中空のチューブを有する端部を備え、これは、スクリーンロールの少なくとも一端に中空部分が存在することを意味する。
【0008】
本システムは、カップリングピースをさらに備える。カップリングピースは、エンドピースまたはチューブプラグとも呼ばれ、一方の側がスクリーンチューブに接続され、他方の側がスクリーンロールを支持するための要素に接続されることを意味する。カップリングピースは、ネック要素と、ネック要素に固定的に連結された移行要素とを備える。取り付けられた状態では、ネック要素がスクリーンチューブの空洞の内部に位置し、移行要素がスクリーンチューブの外部に位置する。移行要素は、繰り出しおよび巻き取り時にスクリーンロールを支持するように適合されている。移行要素は、例えば、スクリーンハウジングに設けられた軸受に取付可能な軸であり、または移行要素は、そのような軸に接続するように適合され得る。そのようにして、移行要素は、実際のスクリーンロールと支持設備との間の移行を形成する。
【0009】
ネック要素は、チューブの内部で軸方向に位置決めされるように適合されたスリーブを含む。スリーブは、ネック要素の外面または外壁を指す。ネック要素は、中心軸が規定され得るような形状とされる。取り付けられた状態では、ネック要素の中心軸が、スクリーンチューブによって規定される方向に従う。ネック要素の長さは、中心軸に沿って測定されるネック要素の寸法であり、よって軸方向に測定される。同様に、ネック要素のスリーブに含まれる接触面または凹面の長さは、軸方向に沿って測定される寸法を指す。
【0010】
ネック要素をチューブの内部に位置決めすることは、ネック要素をチューブの空洞内に配置することを指す。ネック要素またはカップリングピースの位置決めされた状態は、ネック要素がチューブの内部に配置されているが、まだアンカー要素が必ずしも配置されていない状態を指す。カップリングピースの位置決めは、通常、取付プロセスの最初のステップであり、例えば、ネック要素を中空チューブ内にスライドさせることにより、あるいは必要な力で中空チューブ内に挿入するか、押し込むことにより行われる。
【0011】
ネック要素のスリーブは、接触面および凹面を含む。位置決めされた状態では、接触面がチューブに接触する。これは、位置決めされた状態で、ネック要素がチューブの内部の固定位置に保持されるように、接触面の形状、寸法および位置が設定されることを意味する。一実施形態では、これがクランプを伴い、ネック要素をチューブ内に配置するために特定の大きさの力が必要とされる。接触面の実現に関しては、複数の実施形態が可能である。スリーブは、例えば、ネック要素の長さにわたって延びる軸方向リブを含み、ネック要素は、軸方向リブのレベルにおいてのみ内壁に接触する。軸方向リブは、凹面から完全に離れた位置に配置されるものであってもよく、かつ/または凹面のエッジを形成するものであってもよい。別の可能性のある実施形態では、接触面が、2つの凹面の間に位置するスリーブの部分であり、凹面を除くスリーブのすべての部分において、ネック要素とチューブの内面との間に接触が存在する。一実施形態では、接触面がネック要素の全長にわたって連続する。別の実施形態では、軸方向に途切れる箇所が存在するか、または接触面がネック要素の全長には及ばない。
【0012】
位置決めされた状態では、凹面が、ネック要素とチューブとの間に軸方向チャネルを規定する。軸方向チャネルは細長い空間であり、位置決めされた状態では、ネック要素の凹面とチューブの内壁との間で軸方向に延びる。凹面は、ネック要素のスリーブに凹部を形成するような形状であり、位置決めされた状態では、それらの凹部が、チューブの内壁とともに、軸方向チャネルを規定する。すなわち、凹面は、チューブの内壁とともに、軸方向チャネルの形成に寄与するが、軸方向チャネルは必ずしも完全に閉じている必要はなく、例えば、凹面とチューブの内壁との間のどの点においても接触がなく、チャネルの断面が、2箇所で、スリーブとチューブとの間の限定された開口部を示すものであってもよい。別の実施形態では、軸方向チャネルが、凹面とチューブによって完全に閉じられ、区切られている。
【0013】
凹面は、ネック要素の全長にわたって続くものであっても、あるいはその一部のみにわたって続くものであってもよい。典型的には、凹面は、移行要素が位置するネック要素の端部から始まり、アンカー要素は、チューブ内に位置しないカップリングピースの側部を介して、軸方向チャネル内に配置され得る。可能性のある一実施形態では、位置決めされた状態において、実質的に一定の断面を有する軸方向チャネルが得られるように、そしてチャネルの全長にわたって実質的に同じ断面となるように、凹面の形状が設定されている。別の実施形態では、軸方向チャネルが可変断面を有し、チャネルが、例えば、軸方向おいて、広がったり狭まったりすることができる。
【0014】
本システムは、ネック要素をチューブに取り外し可能に固定するように適合された1または複数のアンカー要素をさらに備え、固定された状態において、アンカー要素が軸方向チャネルの内部にクランプされ、得られたクランプが、軸方向に沿って均一に分配される。取り外し可能な固定とは、スクリーンロールに取り付けた後に、非破壊的な方法でカップリングピースを取り外すことができることを意味する。任意選択的には、例えば、アンカー要素としてチューブおよび凹面の材料に圧痕を残すネジが使用されたとき、先の取付が痕跡を残す場合がある。
【0015】
アンカー要素は、ネック要素をチューブ内に位置決めした後に、凹面とチューブの側壁とによって規定される軸方向チャネルの内部に当該アンカー要素を配置することができるような形状および寸法を有する。固定された状態は、アンカー要素が軸方向チャネルに配置された状態を指す。固定された状態では、アンカー要素が軸方向チャネルの内部でクランプされる。これは、アンカー要素とチューブの内壁との間、およびアンカー要素とネック要素の凹面との間に接触があることを意味する。このため、アンカー要素は軸方向チャネル内で緩むことはなく、遊びもない。通常、アンカー要素の断面は、位置決めされた状態で軸方向チャネルの断面よりも僅かに大きく、例えば、円筒形のアンカー要素は、位置決めされた状態でチャネルの有効径よりも僅かに大きい直径を有する。そのため、円筒形のアンカー要素をチャネル内に配置するために一定の力が必要とされ、固定された状態において、アンカー要素は、チューブおよびネック要素により加えられる圧力によってチャネル内にクランプされる。固定された状態にある軸方向チャネルは、チューブおよび/またはネック要素の材料に弾性変形が生じるため、位置決めされた状態にある軸方向チャネルと僅かに異なる場合がある。
【0016】
表面間の摩擦および加えられる圧力に依存する純粋なクランプ以外に、チューブおよび/または凹面の塑性変形を伴う追加の固定を得ることも可能である。アンカー要素は、例えば、ネジ山を備えることができ、このネジ山が、アンカー要素を配置する際に、チューブおよび/または固定面の材料に食い込む。チューブは、例えば、(亜鉛メッキされた)鋼、アルミニウムまたはCFRP(炭素繊維強化ポリマー)で作られ、カップリングピースは、例えばプラスチックで作られる。そのため、チューブおよび/または凹面の塑性変形が生じ、これは、アンカー要素を取り外した後に残る、チューブおよび/または凹面の材料におけるネジの圧痕から確認することができる。換言すれば、この実施形態では、軸方向チャネルが、アンカー要素を配置する間に塑性変形する。ネジの寸法と形状は、位置決めされた状態で軸方向チャネルの有効直径に対して僅かに大き過ぎるように直径が選択されるため、ネジがチューブおよび/または凹面の材料を押し退けることによってそれ自体のための空間を作る食い込み効果が形成され、それにより塑性変形が引き起こされる。この材料を押し退けることによって、ネジは固定された状態でチャネル内にクランプされ、取り外し後に見える圧痕がクランプの証拠となる。一方、ネジが圧痕に引っかかることで、更なる固定が行われ、それにより、例えば軸方向の相対的な動きが妨げられる。別の実施形態では、アンカー要素がネジを含むが、チューブおよび/またはネック要素がより硬い材料で作られることにより、チューブおよび/または凹面の材料に塑性変形が生じない場合もある。その場合、位置決めされた状態のチャネルが提供する空間がネジにとって小さ過ぎるため、ネジは軸方向チャネルの内部にクランプされるが、チャネルの塑性変形は生じない。
【0017】
アンカー要素の具体的な実施形態にかかわらず、本発明におけるアンカー要素のクランプは、軸方向にわたって均一となるようにすべきである。アンカー要素は、その全長にわたってクランプされるようにしても、あるいはその長さの一部にわたってクランプされるようにしてもよい。後者は、例えば、アンカー要素が軸方向チャネルよりも長い場合、またはアンカー要素が、クランプされない先の尖った端部またはより細い端部を含む場合である。クランプは、例えば、アンカー要素が軸方向チャネルよりも長い場合には、軸方向チャネルの全長で生じるようにしてもよく、アンカー要素がチャネルよりも短い場合には、軸方向チャネルの一部で生じるようにしてもよい。
【0018】
本発明のすべての実施形態において、クランプは軸方向に沿って均一であり、これは、チャネルとアンカー要素との間にクランプが存在する長さにわたって、当該クランプが軸方向に均一または一様であることを意味する。すなわち、軸方向から見て、すべての位置で実質的に等しいクランプが存在し、よって、ある位置はクランプが多く、別の位置はクランプが殆どない、というようなことはない。これは、このような均等または均一なクランプを得るために、アンカー要素および軸方向チャネルの形状および寸法を一致させる必要があることを意味する。一実施形態では、軸方向チャネルおよびアンカー要素がともに一定の断面を有する。凹面は、例えば、軸方向に沿って幅が拡大または縮小しない軸方向チャネルが規定されるように形成され、アンカー要素は、一定の断面を有する円筒形のコンポーネントまたはネジである。別の実施形態では、軸方向チャネルが可変断面を有し、これに合わせてアンカー要素の形状が調整される。アンカー要素は、例えば、軸方向に沿って断面が広がるチャネル内に配置されるくさびである。そのため、凹面はスリーブの残りの部分に対して傾斜面を形成する。対照的に、軸方向にわたって均一なクランプが得られない本発明以外の解決策の例としては、一定の断面を有するチャネル内に配置される円錐形のアンカー要素、一定の断面を有するチャネル内に配置されるくさび形のアンカー要素、一定の断面を有するチャネル内に配置される衝撃で断面が変化する差し込み式のアンカー、幅が広がる又は狭まるチャネル内に配置される一定の断面を有するアンカー要素などが挙げられる。
【0019】
本発明は、先行技術から知られている解決策に関して、様々な利点を提供する。第一に、アンカー要素を配置することにより、接触面を介してネック要素をチューブ内にクランプすることのみに依存して固定する場合よりも、より優れた固定を実現することができる。ネック要素はチューブ内に位置決めされる必要があるため、接触面を介して実現され得るクランプの大きさは限られており、接触面での摩擦や変形が大き過ぎると、位置決めが非常に困難または不可能になる。本発明の利点は、ネック要素をチューブ内に位置決めした後に、アンカー要素を配置することによって追加のクランプまたは固定を実現できることである。これは、チューブ内部のカップリングピースのより良好な固定に寄与し、よって緩み、振動、不快なノイズおよび布製チューブの軸の位置変動の発生が回避される、より永続性のある解決策に寄与する。
【0020】
さらに、アンカー要素を介して実現されるクランプは、軸方向にわたって均一である。このため、ネック要素の全長にわたって固定が改善される。これにより、アンカー要素のクランプが1箇所だけ、あるいは限られた領域で実現される場合よりも、遥かに耐久性のある固定が実現される。また、凹面とアンカー要素の形状が一致し、アンカー要素が配置されるときに軸方向チャネルを通って導かれるため、均一なクランプが自動的に実現される。これにより、アンカー要素の配置が簡単になり、均一なクランプによる正しい配置が保証される。
【0021】
さらに、本発明は、スクリーンチューブの滑らかな外面が乱されないという利点を有する。カップリングピースの固定は、完全にチューブの空洞内で実現され、チューブ壁を貫通して配置される取付手段はない。さらに、本発明は、接触面を介したクランプと、アンカー要素を介したクランプ/固定との最適な組合せを可能にする。このため、一方では十分な固定が実現され、他方ではチューブの変形が回避される。スクリーンロールの元の形状を維持し、滑らかな表面を有することにより、巻き取りおよび繰り出しが妨げられることはなく、スクリーン生地に圧痕が生じないことが保証される。
【0022】
最後に、本発明は一般に適用可能であり、カップリングピースは中空の端部を有する任意のスクリーンロールに取り付けることができ、スクリーンロール自体に特別な準備は必要なく、この解決策は広範囲なロール直径に適用することが可能である。必要に応じて、アンカー要素の数または直径を、スクリーンロールの直径の関数としてロール直径に合わせて調整することができる。
【0023】
任意選択的には、請求項2によって規定されるように、ネック要素が、チューブの内部で軸方向に位置決めされるように適合され、これによりネック要素が、接触面を介してチューブ内にクランプされる。これは、接触面が、位置決めされた状態において、ネック要素がチューブ内にクランプされるような、形状、寸法および位置を有することを意味する。このため、ネック要素をチューブの内部に配置するには、ある程度の力が必要である。例えば、接触面の周りをとった円はチューブの内径より僅かに大きいため、ネック要素を挿入する際に接触面が少し摩耗する。これにより、チューブの内径寸法の公差も補償される。ネック要素をチューブの内部でクランプすることは、スクリーンロールへのカップリングピースの固定が、一部は接触面を介したクランプの結果であり、一部はアンカー要素を介して実現されることを意味する。このようにして、所望の固定を達成するために多数のアンカー要素を必要とすることが回避され、これにより、チューブに変形が生じるリスクを低減し、解決策がより安価になり、取付に必要な時間が短縮される。
【0024】
任意選択的には、請求項3によって規定されるように、ネック要素の少なくとも特定の断面において、スリーブの内部に補強材が存在し、ネック要素の半径方向の剛性を高めるように適合されている。これは、補強材が存在しないネック要素と比較して、ネック要素の半径方向の剛性が増加するような形状、位置および材料タイプの補強材が存在することを意味する。半径方向の剛性が高いということは、ネックのスリーブに半径方向の荷重をかけたときに、ネック要素の弾性変形が僅かであることを意味する。半径方向は、ネック要素の中心軸に垂直な方向を指す。ネック要素が円筒形のチューブの内部に位置決めされる場合、円筒形のチューブの半径方向がネック要素の半径方向も規定する。
【0025】
補強材には、様々な実施形態が可能である。補強材は、例えば、一定の厚さを有するスリーブの内部に配置された放射状のリブを含む。そのような放射状リブにより、半径方向の剛性が向上する。放射状リブは、ネックの長手方向に連続するようにしても、ある位置で途切れていてもよい。別の実施形態では、ネック要素のスリーブが、ネック要素の外面を指し、補強材が、この外面内に固形充填物を形成する。この充填物も、長手方向にわたって連続するようにしても、ある位置で途切れていてもよい。さらに別の実施形態では、ネック要素のスリーブが、ネック要素の外面を指し、ネック要素の厚い壁が、この外面内に位置する。
【0026】
スリーブ内に補強材を設けることは、追加の剛性により、アンカー要素によってネック要素に加えられる圧力が接触面に均等に分散されるという利点を有する。このようにして、ネック要素の外周にわたって最適で均一なクランプが得られ、これは、緩みを生じることのない永続的な固定に貢献する。
【0027】
任意選択的には、請求項4によって規定されるように、補強材が、軸方向に測定される凹面の長さに少なくとも等しい距離にわたって、軸方向に連続している。これは、凹面の断面を含むネック要素の各断面が、同様に補強材を含むことを意味する。このようにして、補強材は、アンカー要素が配置されるそれらの位置のレベルに配置される。このため、アンカー要素によって加えられる圧力は、接触面に分散され、これは、アンカー要素の長さにわたるものとなる。これは、緩みを生じことのない永続的な固定にさらに貢献する。
【0028】
任意選択的には、請求項5によって規定されるように、補強材が補強リブからなり、それらが、特定の断面においてスリーブと断面内の中央要素との間に半径方向の接続を形成する。中央要素は、例えば、ネック要素の内部の中心に配置されたリング、またはネック要素の内部の中心にある一点である。補強材が存在するネック要素の断面では、補強リブが、スリーブと中央要素との間で半径方向にある。補強リブは、ネック要素の半径方向の剛性を高める。補強リブの利点は、半径方向の剛性が、例えばネック要素に固形物を充填する場合よりも少ない材料で増加することである。これは、カップリングピースの重量と材料費の削減に貢献する。
【0029】
任意選択的には、請求項6によって規定されるように、半径方向の接続が、凹面のうちの1つと中央要素との間、または接触面のうちの1つと前記要素との間の、少なくとも複数の前記補強リブについて形成される。これは、凹面と中央要素とをそれぞれ接続する補強リブが存在し、接触面と中央要素とをそれぞれ接続する補強リブが存在することを意味する。これにより、アンカー要素から接触面への圧力の最適な伝達が保証される。可能性のある実施形態では、スリーブと中央要素との間の放射状リブであるが、中央要素と接触面または凹面との接続をそれぞれ形成しない1または複数の補強リブも存在することが可能である。
【0030】
任意選択的には、請求項7によって規定されるように、凹面が、軸方向に測定されるネック要素の長さに等しい距離にわたって軸方向に連続しており、凹面が、軸方向に測定されるその全長にわたって実質的に同じ断面を有する。これは、凹面が、軸方向に沿って実質的に広がったり狭まったりしない軸方向チャネルをチューブとともに形成し、よって、実質的に一定の断面を有する直線的なチャネルを形成することを意味する。任意選択的には、カップリングピースを製造するために使用される製造技術により、断面が完全に一定ではない可能性もある。カップリングピースは、例えば、製造時に金型から取り外されるようにするために、凹面のレベルでの壁厚がチューブ内で奥深くなるに連れて僅かに減少する金型によって製造することができる。
【0031】
さらに、それらの軸方向チャネルは、ネック要素の全長にわたって延びている。そのような一定の直線的なチャネルの利点は、アンカー要素を誤って配置することが不可能であること、そして、軸方向チャネルの内部に配置されたときに、どこでも均一なクランプが自動的に得られることである。これにより、取付が簡素化され、永続的な固定が保証される。
【0032】
任意選択的には、請求項8によって規定されるように、アンカー要素が、軸方向に測定されるネック要素の長さと少なくとも等しい長さを有する。このため、アンカー要素は、ネック要素の長さに等しい、軸方向で測定される長さを有するものであってもよい。別の実施形態では、アンカー要素がネック要素よりも長い。固定された状態では、アンカー要素が、移行要素のない端部においてネックに対して、例えば少し突出する。このようにして、ネック要素の全長にわたって、適切な固定が得られる。これにより、様々な用途において、例えばネック要素が幾分短い用途においても、標準タイプのネジを使用することができる。
【0033】
任意選択的には、請求項9によって規定されるように、アンカー要素が、あるプロファイルを有し、固定された状態において、そのプロファイルの圧痕に対応する塑性変形が凹面および/またはチューブに存在する。プロファイルは、滑らかではなく、突起および/またはノッチのような不規則性が存在する表面を指す。アンカー要素には、例えば、同心円状のリングや、らせん状のパターンに従ったネジが含まれる。プロファイルをチューブおよび/またはネック要素の材料に押し込むと、チューブおよび/または凹面の塑性変形が生じる。チューブは、例えば(亜鉛メッキされた)鋼、アルミニウムまたはCFRP(炭素繊維強化ポリマー)から作られ、カップリングピースは、プラスチックなどの合成材料から作られる。塑性変形は、アンカー要素を取り外した後に残る、チューブおよび/または凹面の材料におけるプロファイルの痕跡として目に見える。ネジ山を有するアンカー要素の寸法および形状が、位置決めされた状態において、軸方向チャネルの有効直径に対して僅かに大き過ぎるように選択される場合、ネジがチューブおよび/または凹面の材料を押し退けることによってそれ自体のための空間を作る、食い込み効果が生じ、それにより塑性変形を引き起こす。この材料を押し退けることで、ネジは、固定された状態でチャネル内にクランプされ、取り外し後に見える圧痕が、そのクランプの証拠となる。一方、形成された圧痕にネジが引っ掛かることで、追加の固定が行われ、例えば軸方向の相対的な移動が妨げられる。これは、緩みが生じることのない耐久性のある固定にさらに貢献する。
【0034】
任意選択的には、請求項10によって規定されるように、アンカー要素がネジ山を含む。アンカー要素は、例えば、標準的な寸法のネジである。アンカー要素としてネジを提供することは、永続的な固定に寄与し、簡単な取付ももたらす。実際に、十分なトルクを与えるには、手動または機械的に駆動される標準的なドライバを使用してネジをねじ込むだけで十分である。
【0035】
任意選択的には、請求項11によって規定されるように、本システムが、少なくとも2つ、最大で4つのアンカー要素、好ましくは3つのアンカー要素を含む。少なくとも2つのアンカー要素により、アンカー要素の対称的な配置が可能となり、カップリングピースの固定が改善される。しかしながら、アンカー要素の数が多過ぎると、取付がより困難になり、ネック要素の設計の複雑さが増す。
【0036】
任意選択的には、請求項12によって規定されるように、ネック要素が、接触面を含む接触リブを備え、接触面が、細長く、軸方向に測定される凹面の長さに少なくとも等しい距離にわたって軸方向に連続する。これは、位置決めされた状態において、ネック要素のスリーブとチューブの内面との間の接触が、狭く細長い接触面にあることを意味する。これは、適切な固定に寄与するだけでなく、摩擦が大き過ぎる大きな接触面が存在する場合よりも、簡単な位置決めに寄与する。接触面が、凹面の長さと少なくとも等しい長さを有するため、アンカー要素に加えられる圧力は、全長にわたって接触面に最適に分配される。
【0037】
任意選択的には、請求項13によって規定されるように、凹面および接触面が、1または複数の凹面と1または複数の接触面の交互のパターンに従って、スリーブの外周にわたって配置される。そのような凹面および接触面の配置は、一方では接触面を介したクランプ、他方ではアンカー要素を介した固定を均一に分布させることに寄与する。これにより、固定が改善されて、チューブの表面における変形も回避される。
【0038】
任意選択的には、請求項14によって規定されるように、移行要素が、固定された状態でチューブの横方向端部に接触するように適合された支持面を備え、移行要素が、位置決めされた状態で軸方向チャネルへのアクセスを与える1または複数の開口部を備える。位置決めされた状態では、移行要素の支持面が、軸方向と直交する方向に沿って、チューブのすぐ外側に位置する。この場合、支持面はチューブの端部に接触する。これに伴う摩擦は、カップリングピースとチューブの固定をさらに向上させることに寄与する。さらに、位置決めされた状態で軸方向チャネルへのアクセスを与えるために、複数の開口部が移行要素に設けられる。それら開口部の数は、典型的には凹面の数に対応し、結果として、システム内で使用されるアンカー要素の数に対応する。
【0039】
本発明の第2の態様によれば、上述した目的が、請求項15によって規定されるような、ロール式スクリーンを取り付ける方法によって達成され、この方法が、
-スクリーンロールを提供するステップであって、スクリーンロールが、軸方向を中心とする回転によってスクリーンを巻き上げ、繰り出すように適合され、かつ中空チューブを有する端部を備える、ステップと、
-カップリングピースを提供するステップであって、カップリングピースが、
・スリーブを含むネック要素と、
・ネック要素に固定的に結合された移行要素とを含む、ステップと、
-1または複数のアンカー要素を提供するステップと、
-スリーブをチューブの内部で軸方向に位置決めするステップであって、スリーブに含まれる接触面がチューブに接触し、スリーブに含まれる凹面がネック要素とチューブとの間に軸方向チャネルを規定する、ステップと、
-アンカー要素によって、ネック要素をチューブに取り外し可能に固定するステップであって、アンカー要素が、軸方向に沿って均一なクランプにより、軸方向チャネルの内部にクランプされる、ステップと、
-移行要素によってスクリーンロールを支持するステップとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る、巻き取りおよび繰り出しスクリーンを取り付けるためのシステムの分解図である。
図2図2は、図1に示すシステムの個々の部分を示している。
図3図3は、図1に示すシステムの個々の部分を示している。
図4図4は、図1に示すシステムの個々の部分を示している。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る、組み立てられた状態の巻き取りおよび繰り出しスクリーンを取り付けるためのシステムを示している。
図6図6は、当該システムの背面図および正面図である。
図7図7は、本発明の一実施形態に係る、巻き取りおよび繰り出しスクリーンを取り付ける方法を示している。
図8図8は、本発明の一実施形態に係る、巻き取りおよび繰り出しスクリーンを取り付ける方法を示している。
図9図9は、本発明の一実施形態に係る、カップリングピースを取り外した後のスクリーンロールおよびカップリングピースの塑性変形の存在を示している。
図10図10は、本発明の一実施形態に係る、巻き取りおよび繰り出しススクリーンを取り付けるためのシステムを示している。図10は、図1図9に示す実施形態とは異なる実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1図9は、本発明に係るシステム100の可能性のある第1の実施形態を示している。このシステム100は、スクリーンロール200と、カップリングピース102と、アンカー要素103とを備える。
【0042】
図2には、スクリーンロール200が別個に示されている。図2の実施形態では、スクリーンロール200が円筒形であり、滑らかな外面203と、両端の中空チューブ101とを有する。スクリーンロール200は、スクリーン布地に取り付けるように適合されたノッチ202を有する。このような設備は、例えば、BE1025413に記載されている。軸方向204を中心にスクリーンロール200を回転させることにより、スクリーンは巻き取られ、または繰り出される。図2には、半径方向203も示されている。
【0043】
図3には、カップリングピース102が別個に示されている。カップリングピース102は、ネック要素104と、ネック要素104に固定的に連結された移行要素105とを備える。図5に示すように、取付状態では、ネック要素104が中空チューブ101の内部に位置し、一方、移行要素105がスクリーンロール200の外部に位置している。移行要素105は、スクリーンを上下にロールする際にスクリーンロール200を支持するように適合されている。図1は、一端が移行要素105に接続され、他端が軸受107に取り付けられる軸106を示している。軸受107は、例えば、ハウジングに取り付けられている。図示の実施形態では、移行要素105が、円錐部分306を含む。そのような円錐形状は、ロールスクリーン布地の側部に空間を提供するのに有利であり、例えばWO2017/195087に記載されている。
【0044】
ネック要素104は、軸方向204にチューブ101内に位置決めされるように適合されたスリーブ300を備える。本実施形態では、スリーブ300がネック要素104の外壁を形成する。位置決めされた状態とは、図7(b)に示すように、ネック要素104が中空チューブ101の内部に配置された状態をいう。このため、ネック要素104の中心軸は、図1および図5から明らかなように、スクリーンロール200の軸方向204に沿ったものとなっている。そして、ネック要素104の中心軸は、ネック要素104の軸方向204も規定し、この軸方向204に沿って測定される距離が長さと定義される。
【0045】
ネック要素104のスリーブは、接触面302および凹面301を含む。位置決めされた状態では、接触面302がチューブ101の内壁に接触する。図示の実施形態では、接触面302が接触リブを含み、位置決めされた状態では、ネック要素104をチューブ101の内部にクランプする。接触リブは、軸方向に延び、ネック要素104の長さにわたって延在している。接触リブの間には、位置決めされた状態において中空チューブ101と接触しないスリーブ300の領域が常に存在する。しかしながら、接触面の他の実施形態、例えば、ネック要素104の長さより短い接触リブ、または途切れた部分を有する接触リブ、または2つの凹面301の間に延びる接触面なども、本発明の範囲内で可能である。
【0046】
図示の実施形態では、凹面301が、ネック要素104の全長にわたって連続して延びるスリーブ300の凹部として実現されている。断面では、凹面301が、スリーブ300上に対称的に分布し、2つの凹面301の間に常に2つの接触面302を有する。
【0047】
この凹面301は、位置決めされた状態で、ネック要素104とチューブ101との間に軸方向チャネル800を規定する。これらの軸方向チャネル800は、図6および図8に示されている。図6に拡大した詳細図は、この実施形態では、軸方向チャネル800が完全に閉鎖されていないことを示しており、すなわち、凹面301およびチューブ101の内壁が確かに軸方向チャネル800を規定しているが、スリーブ300の表面600のレベルではチューブ101と接触していないため、軸方向チャネル800が2箇所で限定された開口部を示している。図6および図8は、軸方向チャネル800がアンカー要素103を配置するための空間を提供することも示している。図8から明らかなように、アンカー要素103は、移行要素105の開口部305を介して軸方向チャネル800内に配置される。
【0048】
図示の実施形態では、軸方向チャネル800が、ネック要素104の長さにわたって一定の断面を有する。しかしながら、他の実施形態、例えば、軸方向チャネルが軸方向に沿って幅が広くまたは狭くなる実施形態、または軸方向チャネルの断面が完全に閉じている実施形態、または軸方向チャネルがネック要素104の全長にわたって連続していない実施形態なども可能である。
【0049】
図3は、カップリングピース102のネック要素104が、この実施形態では補強リブ303として実現される補強材303を含むことをさらに示している。補強リブ303は、チューブ101に取り付けられたカップリングピース102の背面図が示されている図6(a)でも確認することができる。補強リブ303は、スリーブ300と中央要素304との間の半径方向の接続を形成する。中央要素304は、この実施形態では、ネック要素104の内部の中心にある環状要素である。補強リブ303の半径方向は、ネック要素104がチューブ101内に配置されたときのスクリーンロール200の半径方向203として定義される(例えば、図5を参照されたい)。補強リブ303の存在により、ネック要素104の半径方向の剛性は、ネック要素104が完全に中空であるバージョンと比較して増加する。
【0050】
図6(a)は、この実施形態において、補強リブ303の3つが凹面301と中央要素304との間の接続を形成し、補強リブ303の6つが接続面302と中央要素304との間の接続を形成することを示している。1つの補強リブ303は、スクリーンチューブ200の凹部202と中央要素304との間の接続を形成する。図示の実施形態では、補強リブが、ネック要素104の長さにわたって延びる。補強材の他の実施形態、例えば、スリーブ300内部の固形充填物、ネック要素104の厚い壁、またはネック要素104の長さにわたって連続しない補強材なども可能である。
【0051】
図3は、カップリングピース102の移行要素105が支持面307を含むことをさらに示している。固定された状態では、この支持面307が、図5に見られるように、チューブ101の横方向端部に接触する。これにより生じる摩擦によって、カップリングピース102がチューブ101にさらに固定される。
【0052】
図4には、アンカー要素103が別個に示されている。この実施形態では、アンカー要素がネジ103であり、その円筒形の外面にネジ山が設けられている。ネジ103は、ネック要素104を位置決めした後に、軸方向チャネル800にねじ込まれる。軸方向チャネル800へのアクセスは、移行要素105の開口部305を介して提供される。この実施形態では、ネジ103が、ネック要素104の長さとほぼ同じ長さであるため、固定された状態では、軸方向チャネル800の全長がネジ103によって占有される。通常、可能性のある実施形態では、アンカー要素103の長さが、ネック要素104の長さ以上であることが好ましい。これにより、チューブから軸受への力の伝達によって引き起こされる運動量に少なくとも等しい、大きな運動量がネック要素104の2つの極点で確実に吸収され得る。
【0053】
ネジ103を配置するためのねじ込み動作中、ネジは、チューブ101およびネック要素104の材料、例えばプラスチックに食い込む。このため、チューブ101とネック要素104の材料に、ネジの圧痕である塑性変形が生じる。固定状態では、ネジ103は、配置されるときにそれ自体のための空間を作る必要があるため、ネジ103は、片側が軸方向チャネル800の内部にクランプされる。一方、固定状態では、作られた圧痕にネジ山が引っ掛かるため、追加の固定が行われる。ネジ103のクランプは、ネジ103および軸方向チャネル800の断面がともに一定であることを考慮すると、軸方向に均一である。ネジ103によってチューブ101およびネック要素104の材料に作られた圧痕は、ネジ103を緩めた後でも見ることができる。図9は、凹面301の圧痕901と、チューブ101の圧痕900を示している。
【0054】
図7は、前の図面に示したシステム100を取り付ける際のステップを示している。ステップ(a)では、中空のチューブ101、カップリングピース102およびアンカー要素103が提供される。次に、カップリングピース102のネック要素104がチューブ101の内部に配置される。これにより、図7(b)に示すように、位置決めされた状態になる。位置決めは、例えば、ハンマを用いて移行要素105を叩くことによって行われ、その際、ネック要素104が、チューブ101内に徐々にスライドする。その後、アンカー要素103、ここではネジ103が配置される。図示の実施形態では、ネジ103が、ねじ込み動作によって軸方向チャネル800内にねじ込まれる。これは、図8でも確認することができる。例えば、標準的なドライバが使用される。軸方向チャネル800へのアクセスは、移行要素105の開口部305によって提供される。図7(c)で得られた状態は、カップリングピース102がスクリーンチューブ200に固定されている固定状態である。
【0055】
この方法は、非常に簡単な取付をもたらし、現場の作業員によって実行され、その際に、アンカー要素103の均一なクランプが自動的に作り出される。さらに、アンカーは取り外し可能であり、すなわち、アンカー要素103を緩めることによって、ネジ103を取り除いた後、カップリングピース102をスライドさせてスクリーンロール200から取り出すことができる。図9に示すように、チューブ101およびネック要素104の材料には、それぞれ圧痕900、901が残る。
【0056】
図7(c)に示すような固定状態は、図5および図6にも示されている。この状態では、スクリーンチューブ200に対するカップリングピース102の最適な固定が得られる。この固定は、一方では、チューブ101の内部での接触面301のクランプによって、他方では、軸方向チャネル800でのネジ103のクランプおよび固定によって実現される。接触面301およびアンカー要素103のクランプは軸方向にわたって均一であり、補強リブ303はアンカー要素103によって加えられる圧力を接触面104に均等に分散することを保証するため、ネック要素104はその全長にわたって最適に固定される。これにより、時間とともにカップリングピース102とチューブ101との間に緩みが発生することが回避される。さらに、接触面104を介したクランプとアンカー要素103による固定の組合せにより、チューブ101の変形が回避される。最後に、このシステムは、様々なタイプのスクリーンロール200に容易に適用することができる。必要に応じて、アンカー要素103の数または直径は、スクリーンロール200の直径の関数としてロールの直径に応じて増減させることができる。
【0057】
試験セットアップでは、本発明に係る解決策を他の解決策と比較した。より詳細には、カップリングピース102とスクリーンロール200との間に生じる緩みの結果としてノイズが聞こえるときから、サイクル数を測定した。1サイクルは、スクリーンの上下の移動に対応する。本発明に係る解決策は、図1図9に示すような実施形態に関するものである。ここでは、アンカー要素103として、3本のネジDIN 938 M8×90-A2が使用されている。ネック要素104の長さは、十分な固定を得る一方で、材料の量を制限するとともに、狭いスクリーンを可能にするために、チューブ101の外径の0.8~1.2倍の範囲にあることが好ましい。試験セットアップでは、ネック要素104の長さがアンカー要素103の長さとほぼ同じであった。カップリングピース102は、PA(ポリアミド)で製造した。
【0058】
試験セットアップでは、緩みから生じるノイズが顕著になる前に、本発明のこの実施形態を使用して10,000を超えるサイクルを実行した。本発明の範囲に含まれない試験した他の解決策は、次の通りである。
-(1)布製チューブプラグが、前の図面のカップリングピース102として実行されるが、凹面301、補強リブ303およびアンカー要素103はない。この布製チューブプラグはPA(ポリアミド)から製造され、スクリーンロール200への固定は、接触リブ302を介したクランプのみによって支持された。この場合、気象条件に応じて、0~3000サイクルでノイズが測定された。
-(2)前の試験と同じ設計の布製チューブプラグであるが、異なる材料、すなわちガラス繊維強化PAで実施した。ノイズは1800サイクルから測定された。
-(3)試験(1)と同じ布製チューブプラグであるが、潤滑剤を使用した。潤滑剤の種類に応じて、0~3000サイクルでノイズが測定された。
-(4)試験(1)と同じ布製チューブプラグであるが、チューブとプラグとの間に接着剤を追加した。この固定は取り外すことができない。この場合、6900サイクルからノイズが測定された。
-(5)試験(1)と同じ布製チューブプラグであるが、凹面およびアンカー要素として螺旋を有する円錐アルミニウムプラグを追加した。この場合、クランプは軸方向に均一でなく、補強材は存在しない。0サイクル後にノイズが測定された。
-(6)試験(1)と同じ布製チューブプラグであるが、凹面およびアンカー要素として小さな調整ネジを追加した。補強材は存在せず、ネジはネック要素104より短い。この場合、3000サイクルからノイズが測定された。
-(7)試験(1)と同じ布製チューブプラグであるが、凹面および大ネジM8を追加した。大ネジは、円錐形プラグ用の空洞に配置した。補強材は存在しない。ノイズは6000サイクルから測定された。
【0059】
上記試験は、10,000を超えるサイクル後にのみ緩みが発生する本発明に係る実施形態では、より耐久性のある固定が得られることを明確に示している。
【0060】
図1図9に示す実施形態では、一定の断面を有する軸方向チャネル800内にクランプされるアンカー要素103として、ネジが使用されている。しかしながら、他の実施形態も可能である。例えば、一定の断面を有する軸方向チャネル内にクランプされる、ネジ山のない円筒形要素を使用することもできる。さらに他の実施形態では、アンカー要素および軸方向チャネルが、軸方向にわたって変化する断面を有する。そのような実施形態は、図10に示されている。
【0061】
図10は、スクリーンロール200、カップリングピース1001およびアンカー要素1002を含むシステム1000を示している。この実施形態では、アンカー要素1002がくさびの形状を有し、アンカー要素1002にはネジ山や他のプロファイルは存在しない。図10は、最終的に固定された状態ではなく、位置決めされた状態を示している。
【0062】
アンカー要素1002は、軸方向チャネルの内部に配置され、この軸方向チャネルは、図10の左から右に軸方向に断面が増加している。これは、図面に示すように、傾斜面を形成する凹面1004の存在によって実現されている。くさび形のアンカー要素1002に及ぶように、スパンネジ1003が使用されている。スパンネジ1005は、ここでは、移行要素の開口部1005を介してアクセス可能である。例えばドライバによって、ネジ1005を回すことにより、ネジ1005は同じ位置に留まり、一方、くさび1002は軸方向に、図10の左から右に移動する。これにより、くさび1002は、軸方向チャネル内にクランプされる。くさび1002と軸方向チャネルの形状は一致しているため、すなわち、両者が図中左から右に断面が縮小しているため、アンカー要素1002は軸方向チャネル内で均一にクランプされる。
【0063】
具体的な実施形態によって本発明を説明したが、本発明が上述した例示的な実施形態の細部に限定されるものではなく、かつ、本発明の適用分野から逸脱することなく、様々な変更および適応を伴って実施できることは、当業者にとって明らかであろう。したがって、本実施形態は、あらゆる点で例示的かつ非限定的であるとみなされるべきであり、本発明の適用分野は、上述した説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって記載され、よって、特許請求の範囲の意味および範囲内に入るすべての変更が含まれる。換言すれば、基礎となる基本原理の適用分野内に入るすべての変更、変形または均等物を含み、その本質的な属性が本特許出願で特許請求されていると理解される。さらに、本特許出願の読み手は、「備えている」または「備える」という語が他の要素または他のステップを除外しないこと、並びに、「a(n)」という語が複数を除外しないことを理解するであろう。特許請求の範囲における可能な引用は、それぞれの特許請求の範囲の限定として理解されるものではない。「第1」、「第2」、「第3」、「a」、「b」、「c」などの用語は、本説明または特許請求の範囲で使用される場合、同様の要素またはステップを区別するために使用されるものであり、必ずしも連続的または時系列的順序を説明するものではない。「上」、「下」、「上方」、「下方」などの用語は、本説明に関して同様に使用されるが、必ずしも相対的な位置を指すものではない。それらの用語は、適切な条件下で相互に交換可能であり、本発明の実施形態は、上で説明または例示した以外の順序または方向で本発明に従って機能することができることを理解されたい。
【要約】
ロール式のスクリーンを取り付けるためのシステム(100)である。このシステムは、-中空チューブ(101)を有する端部を含むスクリーンロール(200)と、-カップリングピース(102)であって、・チューブ(101)の内部に軸方向に位置決めされるように適合されたスリーブ(300)を含むネック要素(104)であって、スリーブ(300)に含まれる接触面(302)がチューブ(101)に接触し、スリーブ(300)に含まれる凹面(301)がネック要素(104)とチューブ(101)との間に軸方向チャネル(800)を規定する、ネック要素と、・ネック要素(104)に固定的に結合された移行要素(105)とを備えるカップリングピースと、-ネック要素(104)をチューブ(101)に取り外し可能に固定するように適合された1または複数のアンカー要素(103)であって、固定された状態において、軸方向(204)に沿って均一なクランプにより、軸方向チャネル(800)の内部にクランプされるアンカー要素(103)とを備える。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8
図9
図10