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特許7267534杭の沈下を抑制する部材、踏み板部材を有する構造物、踏み板部材を有する構造物の設置方法
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  • 特許-杭の沈下を抑制する部材、踏み板部材を有する構造物、踏み板部材を有する構造物の設置方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】杭の沈下を抑制する部材、踏み板部材を有する構造物、踏み板部材を有する構造物の設置方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 13/00 20060101AFI20230425BHJP
   E04F 11/02 20060101ALI20230425BHJP
   E04F 11/022 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
E02D13/00 Z
E04F11/02 100
E04F11/022
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021113203
(22)【出願日】2021-07-07
(65)【公開番号】P2023009707
(43)【公開日】2023-01-20
【審査請求日】2021-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】599112076
【氏名又は名称】新東化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【弁護士】
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】稲田 良一
【審査官】大塚 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-138502(JP,A)
【文献】特開2019-019485(JP,A)
【文献】特開2017-066844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/22、7/00
13/00、27/00
E04F 11/02
11/022
H02S 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏み板部材を支持する支持部材を地面に固定する杭の沈下を抑制する部材であって、
前記地面に設置する設置部と、
前記杭を固定する平板状の固定部と、を一体に有し、
前記設置部には前記杭を通す長穴形状の貫通穴が設けられ、
前記設置部の前記貫通穴に前記杭を通した状態で固定手段により前記固定部の外壁面に前記杭が固定されることによって前記設置部が前記杭に固定される
ことを特徴とする杭の沈下を抑制する部材。
【請求項2】
踏み板部材を支持する支持部材を地面に固定する杭の沈下を抑制する部材であって、
前記杭を通す長穴形状の貫通穴を有し、前記地面に設置される設置部と、
前記設置部の前記貫通穴に通される前記杭固定手段により外壁面に固定される平板状の固定部と、を一体に備えている
ことを特徴とする杭の沈下を抑制する部材。
【請求項3】
前記固定手段が前記杭を締め付けた状態で前記固定部に固定する部材を含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の杭の沈下を抑制する部材。
【請求項4】
踏み板部材を支持する複数の支持部材と、
前記支持部材を地面に固定する複数の杭と、
請求項1ないしのいずれかに記載の杭の沈下を抑制する部材と、を備え、
前記複数の杭の少なくともいずれかの杭と前記杭の沈下を抑制する部材とが固定されている
ことを特徴とする踏み板部材を有する構造物。
【請求項5】
前記杭の沈下を抑制する部材が固定されている前記杭は、前記支持部材の前記地面から浮いた部分に固定されている
ことを特徴とする請求項に記載の踏み板部材を有する構造物。
【請求項6】
前記構造物が、階段、通路、及び、踊り場の少なくともいずれかである
ことを特徴とする請求項又はに記載の踏み板部材を有する構造物。
【請求項7】
踏み板部材を有する構造物を地面に設置する方法であって、
前記踏み板部材を支持する支持部材を前記地面に設置する工程と、
前記支持部材を地面に固定する杭を地中に打ち込む工程と、
前記支持部材と前記杭を固定する工程と、
請求項1ないしのいずれかに記載の杭の沈下を抑制する部材の前記貫通穴内に前記杭を通す工程と、
前記杭の沈下を抑制する部材の固定部の外壁面に前記杭を固定手段で固定する工程と、を行う
ことを特徴とする踏み板部材を有する構造物を地面に設置する方法。
【請求項8】
前記構造物が、階段、通路、及び、踊り場の少なくともいずれかである
ことを特徴とする請求項に記載の踏み板部材を有する構造物を地面に設置する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は杭の沈下を抑制する部材、踏み板部材を有する構造物、踏み板部材を有する構造物の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路の法面には点検用、あるいは、非常用の階段や通路が設置され、あるいは、山間部における設備の建設、巡回などを行うために通路が設置されることがある。また、階段や通路などの途中には踊り場が設けられることがある。
【0003】
従来、傾斜した設置地面上に互いに略平行に配置された複数の長尺部材と、踏み板部と、蹴上げ部とを有すると共に、傾斜した設置地面上に配置された長尺部材上に階段状に並べて配置されたステップ部材と、長尺部材に固定された固定部材と、下端部が設置地面の土中に埋め込まれ、上端部が設置地面から突き出して固定部材に固定された、大きな剛性を有するアンカー杭とを備えた階段が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3159268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、法面や傾斜面などに階段、通路或いは踊り場などの構造物を設置する場合、設置面の形状によっては地面から浮いた状態で設置しなければならない。この場合、構造物に荷重がかかることで構造物を支えている杭が地中に沈下し、構造物の姿勢が傾くおそれがあるという課題がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、杭の沈下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る杭の沈下を抑制する部材は、
踏み板部材を支持する支持部材を地面に固定する杭の沈下を抑制する部材であって、
前記地面に設置する設置部と、
前記杭を固定する平板状の固定部と、を一体に有し、
前記設置部には前記杭を通す長穴形状の貫通穴が設けられ、
前記設置部の前記貫通穴に前記杭を通した状態で固定手段により前記固定部の外壁面に前記杭が固定されることによって前記設置部が前記杭に固定される
構成とした。
【0008】
本発明によれば、杭の沈下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る構造物の一例の側面説明図である。
図2】同構造物の平面説明図である。
図3】同構造物の支持部材と杭とを固定部分の平面説明図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る沈下抑制部材を固定手段とともに示す斜視説明図である。
図5】同沈下抑制部材の説明図である。
図6】同沈下抑制部材を杭に固定した状態の一例の正面説明図である。
図7】同じく平面説明図である。
図8】本発明の第2実施形態の説明に供する沈下抑制部材を杭に固定した状態の一例の正面説明図である。
図9】同じく平面説明図である。
図10】本発明の第3実施形態の説明に供する説明図である。
図11】本発明の第4実施形態の説明に供する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る構造物の一例について図1及び図2を参照して説明する。図1は同構造物の側面説明図、図2は同構造物の平面説明図、図3は同構造物の支持部材と杭とを固定部分の平面説明図である。
【0011】
構造物100は、階段であり、複数の踏み板部材1と、2つの支持部材2と、複数のアンカー杭である杭3とを備え、傾斜した地面101上に固定されて設置される。なお、「踏み板部材」とは、人の足で踏まれる部材の意味であり、階段における「踏み板」と称される部材に限定されるものではない。
【0012】
踏み板部材1は、階段状に構成されたステップ部材であり、踏み板部11と蹴上部12とを有している。そして、踏み板部材1は、接合部材としてのコースレッド13により、支持部材2に固定支持されている。また、踏み板部材1は、接合部材としてのコースレッド13により、前後(上下)の踏み板部材1と固定されている。
【0013】
支持部材2は、長尺状の部材であり、地面101に設置される。支持部材2は、複数の杭3によって地面101上に固定設置されている。杭3は、例えば異形鉄筋杭であり、地中102に打ち込まれて、上端部が支持部材2の側面に固定手段4によって固定されている。
【0014】
固定手段4は、図3に示すように、杭3の上端部が挿入される略b字形状のブラケット(金具)41と、ブラケット41を支持部材2の側面に固定する締結部材としてのボルト42及びナット43を備えている。
【0015】
そして、1又は複数の杭3には、杭3の沈下を抑制する部材である沈下抑制部材5が固定されている。本実施形態では、支持部材2の地面101から浮いている部分に上端部を固定している杭3に沈下抑制部材5を固定している。
【0016】
次に、本発明の第1実施形態に係る沈下抑制部材について図4ないし図7も参照して説明する。図4は同沈下抑制部材を固定手段とともに示す斜視説明図、図5は同沈下抑制部材の説明図であり、(a)は平面説明図、(b)は正面説明図、(c)は側面説明図である。図6は同沈下抑制部材を杭に固定した状態の一例の正面説明図、図7は同じく平面説明図である。
【0017】
沈下抑制部材5は、踏み板部材1を支持する支持部材2を地面101に固定する杭3の沈下を抑制する部材である。沈下抑制部材5は、地面101に設置する平板状の設置部51と、杭3を固定する固定部52とを有している。固定部52は設置部51から立ち上がっている立ち上がり部である。
【0018】
設置部51には、杭3を通す貫通穴53が設けられている。貫通穴53は設置部51の面内方向に沿う方向の長穴としている。固定部52には杭3を固定する固定手段6を取り付ける取付け穴54を設けている。
【0019】
ここで、固定手段6は、杭3を締め付ける平面形状が略b字形状のブラケット61と、ブラケット61の穴部61aを通して固定部52の取付け穴54に挿通する締結部材としてのボルト62及びナット63とを含む。なお、ブラケット61はコーチボルトなどで固定部52に固定することもできる。
【0020】
次に、本発明に係る構造物を地面に設置する方法としての第1実施形態に係る階段を地面に設置する方法について説明する。
【0021】
例えば、構造物100の踏み板部材1を支持する支持部材2を地面101に設置する工程を行う。また、支持部材2を地面101に固定する杭3を地中102に打ち込み、沈下抑制部材5を貫通穴53に杭3を通しながら、沈下抑制部材5を地面101に設置する工程を行う。あるいは、沈下抑制部材5を地面101の杭3を打ち込む位置に置き、沈下抑制部材5の貫通穴53に杭3を通した状態で杭3を地中102に打ち込む工程を行う。
【0022】
その後、支持部材2と杭3を固定手段4によって固定する工程を行う。
【0023】
また、沈下抑制部材5の設置部51を地面101に設置した状態(地面101に設置部51が当たって接触した状態)で、図6及び図7に示すように、沈下抑制部材5の固定部52に固定手段6によって杭3を固定する工程を行う。なお、ここでは、前述したように支持部材2が地面101から浮いている部分で支持部材2に固定する杭3について沈下抑制部材5を設けている。
【0024】
なお、踏み板部材1と支持部材2との固定は、いずれかの段階で行えばよく、特に限定されるものではない。
【0025】
このように、杭3の地面101の際に沈下抑制部材5を固定している。このとき、沈下抑制部材5の設置部51の面積は杭3の断面積よりも大きいので、杭3に掛かる垂直方向の荷重を沈下抑制部材5で受けることにより、杭3の沈下が抑制される。これにより、構造物100の姿勢を保持することができる。
【0026】
また、杭3に掛かる垂直方向の荷重を沈下抑制部材5で受けることにより、杭3の地中102での長さは、杭3の揺れとずれを防止できればよく、沈下抑制部材5を設けない場合よりも相対的に短くできる。
【0027】
次に、本発明の第2実施形態について図8及び図9を参照して説明する。図8は同実施形態の説明に供する沈下抑制部材を杭に固定した状態の一例の正面説明図、図9は同じく平面説明図である。
【0028】
本実施形態では、杭3と沈下抑制部材5とを固定する固定手段6として、締結部材としてのボルト62及びナット63を使用し、ボルト62により、杭3を沈下抑制部材5の固定部52に固定している。
【0029】
この場合、杭3としては、プラスチック杭のように、ボルト62を通す貫通穴をあけられる材質のものを使用している。なお、本実施形態でも、ボルト62及びナット63に代えて、コーチボルトを使用して、杭3を沈下抑制部材5の固定部52に固定するようにしてもよい。
【0030】
次に、本発明の第3実施形態について図10を参照して説明する。図10は同実施形態の説明に供する説明図である。
【0031】
本実施形態の構造物100は、踏み板部材1を支持する2つの支持部材2を備えている。踏み板部材1は、前記実施形態で説明したようなステップ部材を使用した階段、平板状の部材を並べた通路、あるいは、踊り場などであり、特に限定されるものではない。つまり、同じ名称の部材には同じ符号を付しているだけで、踏み板部材1が前記実施形態の部材に限定されるものではない。
【0032】
2つの支持部材2、2には、地中102に打ち込まれた杭3(3A、3B)の上端部が固定手段4によって固定され、支持部材2は地面101に固定設定されている。
【0033】
ここで、一方の支持部材2の地面101上に接している部分に上端部が固定されている杭3Aは、支持部材2の荷重が地面101で受けられるので、沈下抑制部材5を設けていない。他方の支持部材2の地面101上に接していない部分に上端部が固定されている杭3Bは、支持部材2の荷重が地面101で受けられず、荷重が杭3Bに掛かるので、地面101の際に沈下抑制部材5を固定手段6により固定して設けている。
【0034】
これにより、杭3の沈下が抑制され、構造物100の傾きの発生を防止できる。
【0035】
ここで、沈下抑制部材5の設置部51を傾斜した地面101に沿って斜めに設置することになるが、固定手段6のブラケット61は杭3(3B)に対しては常に直角に固定することになる。
【0036】
次に、本発明の第4実施形態について図11を参照して説明する。図11は同実施形態の説明に供する説明図である。
【0037】
本実施形態の構造物100も、踏み板部材1を支持する2つの支持部材2を備えている。踏み板部材1は、前記実施形態で説明したようなステップ部材を使用した階段、平板状の部材を並べた通路、あるいは、踊り場などであり、特に限定されるものではない。
【0038】
2つの支持部材2、2には、地中102に打ち込まれた杭3の上端部が固定手段4によって固定され、支持部材2は地面101に固定設定されている。
【0039】
ここで、2つの支持部材2の地面101上に接していない部分に上端部が固定されている杭3は、支持部材2の荷重が地面101で受けられず、荷重が杭3に掛かるので、地面101の際に沈下抑制部材5を固定手段6により固定して設けている。
【0040】
これにより、杭3の沈下が抑制され、構造物100の傾きの発生を防止できる。
【符号の説明】
【0041】
1 踏み板部材
2 支持部材
3 杭
4 固定手段
5 沈下抑制部材
6 固定手段
51 設置部
52 固定部
53 貫通穴
54 取付け穴
61 ブラケット
100 構造物
101 地面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11