(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】ケーブル保持具
(51)【国際特許分類】
H02G 3/32 20060101AFI20230425BHJP
F16B 2/22 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
H02G3/32
F16B2/22 D
(21)【出願番号】P 2018162338
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-08-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000136686
【氏名又は名称】合同会社ブレスト工業研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】板倉 圭佑
【審査官】神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-143273(JP,A)
【文献】特開平09-009462(JP,A)
【文献】特開2008-032096(JP,A)
【文献】実開平07-042871(JP,U)
【文献】特開平02-286015(JP,A)
【文献】実開平04-039019(JP,U)
【文献】実開平07-022190(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/32
F16B 2/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性クリップ状を成し各種部材を挟んで固定する一対の固定片を備えた固定部と、該固定部の固定片の一端から延長形成された一対の保持片を備えた保持部とで構成され、一方の保持片の一部に屈曲自在な屈曲片を形成し、屈曲した屈曲片の先端を対向する保持片に当接することでケーブルを保持し、
屈曲片が保持部に当接すると固定部の挟持力が上がるように構成したことを特長とするケーブル保持具。
【請求項2】
弾性クリップ状を成し各種部材を挟んで固定する一対の固定片を備えた固定部と、該固定部の固定片の一端から延長形成された一対の保持片を備えた保持部とで構成され、一方の保持片の一部に屈曲自在な屈曲片を形成し、屈曲した屈曲片の先端を対向する保持片に当接することでケーブルを保持し、
前記保持部は、前記保持片に形成した前記屈曲片が屈曲する位置を境にして上保持部と下保持部との二つに分離する前記保持部が形成されたことを特長とするケーブル保持具。
【請求項3】
弾性クリップ状を成し各種部材を挟んで固定する一対の固定片を備えた固定部と、該固定部の固定片の一端から延長形成された一対の保持片を備えた保持部とで構成され、一方の保持片の一部に屈曲自在な屈曲片を形成し、屈曲した屈曲片の先端を対向する保持片に当接することでケーブルを保持し、
前記屈曲片は一方の前記保持片に一対形成され、一対の前記屈曲片の間に形成された1本の上部保持片と、他方の前記保持片の長手側縁に沿って延長された一対の上部保持片とを設け、一対の前記屈曲片の先端が対向する一対の上部保持片の内側に当接するように構成したことを特長とするケーブル保持具。
【請求項4】
弾性クリップ状を成し各種部材を挟んで固定する一対の固定片を備えた固定部と、該固定部の固定片の一端から延長形成された一対の保持片を備えた保持部とで構成され、一方の保持片の一部に屈曲自在な屈曲片を形成し、屈曲した屈曲片の先端を対向する保持片に当接することでケーブルを保持し、
前記保持部の先端部に、くの字形状を成した屈曲部を形成し、前記保持部の上端部の間隔が狭くなるように形成したことを特長とするケーブル保持具。
【請求項5】
弾性クリップ状を成し各種部材を挟んで固定する一対の固定片を備えた固定部と、該固定部の固定片の一端から延長形成された一対の保持片を備えた保持部とで構成され、一方の保持片の一部に屈曲自在な屈曲片を形成し、屈曲した屈曲片の先端を対向する保持片に当接することでケーブルを保持し、
前記一対の固定片は、前記保持部側から前記固定部方向に向かって突出する湾曲形状を成した弾性材にて連結されたことを特長とする記載のケーブル保持具。
【請求項6】
弾性クリップ状を成し各種部材を挟んで固定する一対の固定片を備えた固定部と、該固定部の固定片の一端から延長形成された一対の保持片を備えた保持部とで構成され、保持部を把持すると前記固定部が開くように構成し、
保持部にもう一方の保持部が当接すると前記固定部の挟持力が上がるように構成したことを特徴とするケーブル保持具。
【請求項7】
前記屈曲片が前記保持部に当接すると、前記保持部の保持片相互の間隔が広がり、保持片に連続している前記固定部の固定片の挟持力が上がり、前記固定部の挟持力が上がるように構成した請求項
1に記載のケーブル保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に天井施工において照明器具に接続する未配線のケーブルを、チャンネル材やアングル、吊りボルト等に仮止めするのに好適なケーブル保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
天井に照明器具を取付ける場合、天井ボードを張り付ける前に、照明器具の取付け予定位置に、予め必要な長さの照明用ケーブルを丸めて仮置きしておく。次に、天井ボードを張り付けた後、この天井ボードに照明器具を取付ける切欠孔を形成する。そして、この切欠孔を通して予め配置していた照明用ケーブルを引き出して照明器具に連結する作業が行われている。
【0003】
このような作業において、天井ボードを切り欠いた際に、予め配置していた照明用のケーブルが見つからないことがある。例えば、未配線のケーブルを仮置きしているので、このケーブルが必要なケーブルと思われず他の業者等に移動される場合があった。
【0004】
また、ダウンライトのように小さな照明器具を取付ける場合、天井ボードに開ける切欠孔が小さくなるので、この小さな切欠孔から予め配置しておいたケーブルを見つけられなくなる状況もある。このように、照明用のケーブルが見つからない場合には、天井ボードを張り付けた状態で改めてケーブルを引き直す必要があるなど極めて面倒な作業を要していた。
【0005】
一方、特許文献1において、天井下地材にケーブルを配線する配線ホルダが記載されている。この配線ホルダは、特に逆T型バー状の部材を格子状に組み合せた天井下地材に沿って配線する際のホルダを構成したものである。
【0006】
すなわち、この配線ホルダは、逆T型バーの上端部に挟着固定する板バネ状の挟持部材と、この挟持部材の上端部に設けられた逆U字形を成す一対のアームとで構成されている。そして、逆T型バーの上端部に形成された一対のアームの間隙を利用してケーブルを配線するものである。
【0007】
更に、特許文献2において、従来の電線固定物が図示されている。図示の電線固定物では、鰐口状の連結部を造営材のフランジに固定し、この連結部に固定バンドでケーブルを固定する電線固定物や、連結部とケーブル固定具とが一体に形成された金属クリップ状の電線固定物が示されている。このように、従来の電線固定物は、いずれも造営材のフランジ部分にケーブルを固定する構成であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実公平2-29769号公報
【文献】実開昭60-183533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1に記載の配線ホルダは、天井下地材の中の、特に逆T型バーの上端部に固定する特殊な構成であることから、天井裏の他の部材、例えば、天井下地材として使用されるチャンネル材や、アングル、吊りボルトなどにケーブルを配線することはできない構成であった。
【0010】
また、一対のアームの間にケーブルを配線する際に、ケーブルをアーム間に固定する構成ではないので、ケーブル配線時に、このアームの間から簡単に脱落してしまう虞がある。
【0011】
しかも、このアーム間に配線されているケーブルは、いずれも固定されていない状態なので、配線済のケーブルと共に未配線のケーブルを置いていると、誤って移動されてしまう虞も解消されていない。
【0012】
一方、特許文献2に示されているような従来の電線固定物は、いずれも造営材のフランジ部分にケーブルを固定する構成であるから、他のチャンネル材や吊りボルトなどにケーブルを配線することはできない構成であった。
【0013】
更に、従来の電線固定物は、いずれもケーブルを強固に保持する構成であるため、未配線の照明用ケーブルを保持しておくと、天井ボードの切欠孔を通して照明用ケーブルを引き出す作業が困難になるおそれがあった。
【0014】
例えば、ケーブルを固定バンドで固定する電線固定物では、固定バンドに保持した照明用ケーブルを引き出す際に、この固定バンドを切断しなければならない状況が想定される。また、金属クリップ状の電線固定物では、ケーブル固定具の挟着力が強力なので、ケーブル固定具から照明用ケーブルを引き出す際に、このケーブル固定具を一旦造営材から外す必要がある。このように、従来の電線固定物は、未配線のケーブルを仮に配置し、天井ボードの切欠孔から引き出す作業には適していなかった。
【0015】
そこで本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、未配線の照明用ケーブルを予め配置しておいても勘違いされる虞がなく、しかも、チャンネル材やアングル、吊りボルト等の部材に各種のケーブルを配線することが可能なケーブル保持具の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、弾性クリップ状を成し各種部材を挟んで固定する一対の固定片11を備えた固定部10と、該固定部10の固定片11の一端から延長形成された一対の保持片21を備えた保持部20とで構成され、一方の保持片21の一部に屈曲自在な屈曲片22を形成し、屈曲した屈曲片22の先端を対向する保持片21に当接することでケーブルを保持し、屈曲片22が保持部20に当接すると固定部10の挟持力が上がるように構成した。
【0019】
第2の手段において、弾性クリップ状を成し各種部材を挟んで固定する一対の固定片11を備えた固定部10と、該固定部10の固定片11の一端から延長形成された一対の保持片21を備えた保持部20とで構成され、一方の保持片21の一部に屈曲自在な屈曲片22を形成し、屈曲した屈曲片22の先端を対向する保持片21に当接することでケーブルを保持し、前記保持部20は、前記保持片21に形成した前記屈曲片22が屈曲する位置を境にして上保持部21Aと下保持部20Bとの二つに分離する前記保持部20が形成されている。
【0020】
第3の手段において、弾性クリップ状を成し各種部材を挟んで固定する一対の固定片11を備えた固定部10と、該固定部10の固定片11の一端から延長形成された一対の保持片21を備えた保持部20とで構成され、一方の保持片21の一部に屈曲自在な屈曲片22を形成し、屈曲した屈曲片22の先端を対向する保持片21に当接することでケーブルを保持し、前記屈曲片22は一方の前記保持片21に一対形成され、該一対の前記屈曲片22の間に形成された1本の上部保持片21Aと、他方の前記保持片21の長手側縁に沿って延長された一対の上部保持片21Aとを設け、一対の屈曲片22の先端が対向する一対の上部保持片21Aの内側に当接するように構成した。
【0021】
第4の手段は、弾性クリップ状を成し各種部材を挟んで固定する一対の固定片11を備えた固定部10と、該固定部10の固定片11の一端から延長形成された一対の保持片21を備えた保持部20とで構成され、一方の保持片21の一部に屈曲自在な屈曲片22を形成し、屈曲した屈曲片22の先端を対向する保持片21に当接することでケーブルを保持し、前記保持部20の先端部に、くの字形状を成した屈曲部21Bを形成し、前記保持部20の上端部の間隔が狭くなるように形成したものである。
【0022】
第5の手段は、弾性クリップ状を成し各種部材を挟んで固定する一対の固定片11を備えた固定部10と、該固定部10の固定片11の一端から延長形成された一対の保持片21を備えた保持部20とで構成され、一方の保持片21の一部に屈曲自在な屈曲片22を形成し、屈曲した屈曲片22の先端を対向する保持片21に当接することでケーブルを保持し、前記一対の固定片11は、前記保持部20側から前記固定部10方向に向かって突出する湾曲形状を成した弾性材12で連結されたものである。
【0023】
第6の手段は、弾性クリップ状を成し各種部材を挟んで固定する一対の固定片11を備えた固定部10と、該固定部10の固定片11の一端から延長形成された一対の保持片21を備えた保持部20とで構成され、保持部20を把持すると前記固定部10が開くように構成し、保持部20にもう一方の保持部20が当接すると前記固定部10の挟持力が上がるように構成したものである。
【0024】
第7の手段は、前記屈曲片22が前記保持部20に当接すると、前記保持部20の保持片21相互の間隔が広がり、保持片21に連続している前記固定部10の固定片11の挟持力が上がり、前記固定部10の挟持力が上がるように構成した。
【発明の効果】
【0025】
本発明のごとく、ケーブルCを保持する保持部20は、自身の弾性力にて保持する一対の保持片21にて保持するものであるから、たとえ未配線のケーブルCを配線していても、意図的な仮止めであることを示すことができる。したがって、未配線の照明用ケーブルCを他の業者に間違われて移動される虞は解消した。
【0026】
しかも、保持片21に仮止めしたケーブルCは、保持片21の弾性力にて保持されているので、この保持片21から容易に引き出すことができる。この結果、ダウンライトのように小さな照明器具を取付ける切欠孔からでも、簡単にケーブルCを引き出して配線することができる。
【0027】
また、屈曲した屈曲片22の先端を対向する保持片21の内側面に当接させて保持部20の間隔を広げると共に、該保持部20に連続している固定部10の挟着力を高めるように構成したことにより、取付ける部材に合わせて固定部10の挟着力を調整することができる。この結果、ケーブルを配線する位置の自由度が増し、例えば天井裏に設置されているチャンネル材P、アングル材、吊りボルトなどにケーブルCを配線することが可能になる。
【0028】
屈曲片22の先端が当接する保持片21の内側面に、前記屈曲片22の先端が係止する係止部23を該内側面の長手方向に沿って連続的に複数個設けたことにより、該先端が係止する位置を複数の係止部23から選択できるため、固定部10の挟着強度や保持部20の広さを任意に変更することが可能になる。したがって、照明用ケーブルCのような未配線のケーブルCを仮止めするだけでなく、天井裏等に配線する各種ケーブルCを配線することが可能である。
【0029】
保持部20は、屈曲片22が屈曲する位置を境にして上保持部20Aと下保持部20Bとの二つの保持部20が形成されているので、ケーブルCを種類別に配線することが可能になる。しかも、下保持部20Bに配線したケーブルCは、周囲を下保持部20Bと屈曲片22とに囲まれるので外れる虞はない。したがって、外れ易い細いケーブルCなどをこの下保持部20Bで確実に保持することができる。
【0030】
屈曲片22は一方の保持片21に一対形成され、該一対の屈曲片22の間に形成された1本の上部保持片21Aと、他方の保持片21の長手側縁に沿って延長された一対の上部保持片21Aとを設け、一対の屈曲片22の先端が対向する一対の上部保持片21Aの内側に当接するように構成したことで、この一対の屈曲片22を介して上保持部20Aの間隔を均等に広げることができ、固定片11の挟着力をより高めることができる。
【0031】
しかも、上保持部20Aは、屈曲片22の間に形成された1本の上部保持片21Aと、他方の保持片21に延長された一対の上部保持片21AとによりケーブルCを保持するので、これら上部保持片21Aの弾性力を活かして柔軟にケーブルCを保持することができる。
【0032】
更に、上部保持片21Aの先端部に、くの字形状を成した屈曲部21Bを形成し、上保持部20Aの先端部の間隔が狭くなるように形成したことで、上保持部20Aに保持したケーブルCが外れ難くなる。また、屈曲部21Bにバインド線などを巻き付けることで、上部保持片21Aの開口部を封止することも可能になり、ケーブルCを多様な形態で保持することができる。
【0033】
保持部20側から固定部10方向に向かって突出する湾曲形状を成した弾性材12にて一対の固定片11を連結することで、弾性材12の弾性力が高まり、保持部20の保持力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明ケーブル保持具は、各種部材に固定する固定部10とケーブルCを保持する保持部20とで構成されている(
図1参照)。
【0036】
固定部10は、例えばチャンネル材Pやアングル、吊りボルト等の各種部材を挟んで固定する一対の固定片11を備えた弾性クリップ状を成している。図示例では、固定片11と、固定片11間に配した弾性材12とを合成樹脂材で一体成形し、弾性材12の弾性作用で各種部材に挟着する構成である(
図2参照)。図示の固定片11は、保持部20側から固定部10方向に向かって突出する湾曲形状を成した弾性材12にて連結している。
【0037】
一対の固定片11は、それぞれ形状が異なっている。一方の固定片11は、板状を成し、他方の固定片11は屈曲部11Aを形成して固定部10の下部の間隔を狭めている(
図3参照)。この屈曲部11Aの上は、固定部10の間隔が広くなっている。
【0038】
この固定部10によると、チャンネル材Pのリップ部P1を内外から挟み付けることができる(
図1参照)。また、チャンネル材Pのリップ部P1に代えて吊りボルトを挟み付けたり、板状の固定片11の内側に沿ってアングルのフランジを差し込んで挟み付けたりすることも可能である(図示せず)。更に、各固定片11の内側面に複数の支持突起11Bを形成し、各種部材を挟み付ける際の強度を高めている(
図3参照)。
【0039】
保持部20は、固定部10の固定片11の一端から一対の保持片21が延長形成された部位で、ケーブルCの側面を保持片21の弾性力にて保持する部分である(
図2、
図3参照)。図示の固定片11と保持片21には、特に補強ビード30を設けることで、それぞれの弾性強度を高めている。特に、上部保持片21Aの幅は、下の保持片21より狭くなっているので、この補強ビード30によって強固な保持力が得られる。
【0040】
更に、一方の保持片21に屈曲自在な屈曲片22を形成している。この屈曲片22は、対向する保持片21の内側面に屈曲片22の先端が当接するように屈曲自在に設けている(
図5参照)。そして、屈曲片22の先端を保持片21に当接すると、保持片21相互の間隔が広がり保持部20を広げることができる。更に、保持片21相互の間隔が広がると、この保持片21に連続している固定片11の挟着力が高まることになる。
【0041】
そこで、屈曲片22の先端が当接する保持片21の内側面に係止部23を設け、保持片21に当接した屈曲片22の先端がずれないように係止している。図示の係止部23は横向きの突条形状を成し、保持片21の長手方向に沿って連続的に複数設けている。この突条形状は、保持片21内のケーブルCを安定させる効果もある。
【0042】
更に、屈曲片22を屈曲すると、屈曲部22Aを境にして、保持部20に上保持部20Aと下保持部20Bとの二つの保持部20を形成することができる(
図5参照)。
【0043】
このとき、屈曲片22は一方の保持片21に一対形成され、該一対の屈曲片22の間に1本の上部保持片21Aを設けている。更に、他方の保持片21の長手側縁に沿って一対の上部保持片21Aを設けている。したがって、一対の屈曲片22の先端が対向する一対の上部保持片21Aの内側に当接するように構成したものである。図示例の上保持部20Aは、下保持部20Bを構成する保持片21より幅の狭い上部保持片21Aにて構成されている。そして、下保持部20Bの一方の保持片21の中央部から一本の上部保持片21Aを延長形成し、この上部保持片21Aの左右に一対の屈曲片22を形成している。
【0044】
下保持部20Bの他方の保持片21には、この保持片21の中央部を除く両側に左右一対の上部保持片21Aを形成している。そして、これら一対の上部保持片21Aに一対の屈曲片22が当接するように構成している。
【0045】
この屈曲片22は、固定片11の挟着力を高めたり、保持部20を広げたりする場合に屈曲して使用するものである。例えば、チャンネル材Pのリップ部P1に固定部10を固定する場合、保持片21内にケーブルCを保持するだけでも固定片11の挟着力が高まるので、屈曲片22により固定片11の強度を高める必要はない(
図1参照)。但し、屈曲片22を屈曲すると上保持部20Aと下保持部20Bとが形成されるので、ケーブルCの種類別に保持する場合や、細いケーブルCを下保持部20Bに配線する場合などに屈曲片22が使用される(
図5参照)。
【0046】
一方、固定片11内にアングル、吊りボルト等の各種部材を挟んで固定部10を固定する場合、固定部10内の間隔を調整するために屈曲片22を使用する。この場合、屈曲片22を当接する位置によって挟着力の微調整が可能になるので、最適な固定力を選択することができる。
【0047】
更に、図示例では、上部保持片21Aの先端部に、くの字形状を成した屈曲部21Bを形成している(
図3参照)。この屈曲部21Bにより、上保持部20Aの上端部の間隔が狭くなっている。そのため上部保持片21A内のケーブルCが外れ難くなる。また、この屈曲部21Bにバインド線(図示せず)を結びつけることができる。そうすると、上部保持片21Aの先端が閉じられるので、ケーブルCの外れ防止になる。
【0048】
また、固定部10においても、固定片11の下端部をハの字形状に開いており、固定部材への取付け作業を容易にしている(
図5、
図6参照)。
【0049】
尚、本発明の固定部10や保持部20の構成は図示例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での設計変更は自由である。
【符号の説明】
【0050】
C ケーブル
P チャンネル材
10 固定部
11 固定片
12 弾性材
20 保持部
20A 上保持部
20B 下保持部
21 保持片
21A 上部保持片
21B 屈曲部
22 屈曲片
22A 屈曲部
23 係止部
30 補強ビード