(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】組箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/52 20060101AFI20230425BHJP
B65D 5/44 20060101ALI20230425BHJP
B65D 5/50 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
B65D5/52 101Z
B65D5/44 U
B65D5/50 101B
(21)【出願番号】P 2019018411
(22)【出願日】2019-02-05
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】392031859
【氏名又は名称】上六印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【氏名又は名称】田川 孝由
(72)【発明者】
【氏名】三島 基司
(72)【発明者】
【氏名】横山 郁
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-505462(JP,A)
【文献】実開昭49-073519(JP,U)
【文献】実開昭49-031418(JP,U)
【文献】米国特許第01726732(US,A)
【文献】実開昭49-132917(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/52
B65D 5/44
B65D 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開口の箱本体(10、60)と、その箱本体の後側部に前記開口を開閉可能に設けた蓋(40、90)と、前記箱本体内に設けた不動の支持体(20、70)と、前記箱本体内に前記支持体に並行に移動可能に設けた作動体(30、80)と、その作動体と前記蓋とを連結して前記蓋(40、90)の開閉に伴って前後方向に移動する連結帯(33、88)とからなり、
上記支持
体に商品(A)が貫通して支持する支持孔(28、78)を形成し、前記作動
体に商品(A)に係止して商品(A)を動かす突起を設け、
上記蓋(40、90)の開閉による上記連結帯(33、83)の前後方向の移動に伴って作動体(30、80)が動き、その動きに伴って上記突起が支持体(20、70)に対し動いて商品(A)が上記支持孔(28、78)を支点として起伏する組箱。
【請求項2】
上記作動体(30)は上記箱本体(10)の前後方向に移動可能となっており、上記支持体(20)の支持孔(28)は前記前後方向に複数形成され、前記作動体(30)の突起も同様に前記前後方向に前記支持体(20)の支持孔(28)に対応して複数形成されている請求項1に記載の組箱。
【請求項3】
上記作動体(80)は、その中心(89)で回転可能となっており、上記突起は前記中心回りに複数形成され、上記支持体(70)の支持孔(78)も前記中心回りに前記作動体(80)の突起に対応して複数形成され、上記連結帯(88)は作動板(84)を有し、その作動板(84)と作動体(80)の一方に、突片(85)、他方にその突片(85)が嵌る作動孔(86)をそれぞれ形成し、前記作動板(84)の前後方向の動きに伴なう前記突片(85)の作動孔(86)内の動きによって作動体(80)が回転する請求項1に記載の組箱。
【請求項4】
上記突起が透孔(38、81a、81a、83a)
の周壁からなる請求項1乃至3の何れか一つに記載の組箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蓋を開けると、その開放に伴って箱内の商品が起立する組箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
出願人は、蓋を開けることに伴って商品がせり上がる(持ち上がる)種々の組箱を提案した(特許文献1、同2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6211730号公報
【文献】特許第6423239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記提案した組箱は、好評を得ているが、さらなる斬新な組箱を要求された。
この発明は、その要求に応えるべく、蓋の開閉に伴って商品が起伏する組箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、この発明は、商品を不動に支持する支持体と、蓋の開閉に伴って動く作動体とを並行に設け、支持体で支持された商品を作動体に係止し、蓋の開閉に伴って作動体を移動させて支持体に支持された商品をその支持点でもって起伏するようにしたのである。
【0006】
具体的には、上面開口の箱本体と、その箱本体の後側部に前記開口(開口部)を開閉可能に設けた蓋と、前記箱本体内に設けた不動の支持体と、前記箱本体内に前記支持体に並行に移動可能に設けた作動体と、その作動体と前記蓋とを連結して前記蓋の開閉に伴って移動する連結帯とからなり、前記支持体に商品を支持する支持孔を形成し、上記作動体に商品に係止して商品を動かす突起を設け、蓋の開閉による連結帯の移動に伴って作動体が動き、その動きに伴って前記突起が支持体に対し動いて商品が前支持孔を支点として起伏する構成の組箱としたのである。
【0007】
この構成において、上記作動体は箱本体の前後方向に移動可能となっており、上記支持体の支持孔は前記前後方向に複数形成され、前記作動体の突起も同様に前記前後方向に前記支持体の支持孔に対応して複数形成されている構成とすることができる。
このように構成すると、蓋の開閉に伴って、箱本体の前後方向に並んだ商品が起伏する。
【0008】
また、上記作動体は、その中心で回転可能となっており、上記突起は前記中心回りに複数形成され、上記支持体の支持孔も前記中心回りに前記作動体の突起に対応して複数形成され、上記連結帯は作動板を有し、その作動板と作動体の一方に、突片、他方にその突片が嵌る作動孔をそれぞれ形成し、前記作動板の前後方向の動きに伴なう前記突片の作動孔内の動きによって作動体が回転する構成とすることができる。
このようにすると、蓋の開閉に伴って、箱本体内に円状に並んだ商品が起伏する。
【0009】
上記各構成において、上記突起は透孔や突片等で形成できる。
【発明の効果】
【0010】
この発明は、以上のように構成したので、蓋を開放することによって商品が起立して、蓋を開けた者に迫ってくるため、その驚きとともに、その収納商品の高級感を醸し出す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明に係る組箱の一実施形態の蓋を閉じた状態の斜視図
【
図2】(a)は
図1の全体切断正面図、(b)は同部分切断正面図
【
図3】同実施形態の蓋を閉じた状態の一部切欠き切断平面図
【
図5】同実施形態の蓋を開けた状態の一部省略切断正面図
【
図8】同箱本体の組み立て説明図であり、(a)は組み立て途中斜視図、(b)は組み立て完了斜視図
【
図9】同実施形態の支持体と作動体を示し、(a)は支持体のブランクの平面図、(b)は作動体のブランクの平面図
【
図10】同支持体と作動体の組み立て説明図であり、(a)は組み立て途中斜視図、(b)は組み立て完了斜視図
【
図11】同実施形態の蓋のブランクの平面図であり、(a)は蓋本体、(b)は中敷き
【
図12】同蓋の組み立て説明図であり、(a)は組み立て途中斜視図、(b)は組み立て完了斜視図
【
図13】同実施形態の作用説明用概略図であり、(a)は蓋を閉じた状態、(b)は蓋開放途中状態、(c)は蓋開放完了状態
【
図14】この発明に係る組箱の他の実施形態の蓋を閉じた状態の斜視図
【
図15】(a)は
図14の全体切断正面図、(b)は同部分切断正面図
【
図16】同実施形態の蓋を閉じた状態の一部切欠き切断平面図
【
図18】同実施形態の蓋を開けた状態の一部省略切断正面図
【
図19】同実施形態の蓋を開けた状態の部分切断平面図
【
図21】同箱本体の組み立て説明図であり、(a)は組み立て途中斜視図、(b)は組み立て完了斜視図
【
図22】同実施形態の支持体と作動体を示し、(a)は支持体のブランクの平面図、(b)は作動体の分解斜視図
【
図23】同実施形態の支持体と作動体を示し、(a)は支持体の組み立て途中の斜視図、(b)は作動体の組み立て完了斜視図、(c)は支持体内に作動体を装填した斜視図
【
図24】同実施形態の蓋のブランクを示し、(a)は蓋本体、(b)は中敷き
【
図25】同蓋の組み立て説明図であり、(a)は蓋本体の組み立て途中状態、(b)は中敷きの組み立て途中状態、(c)は組み立て完了斜視図
【
図26】同実施形態の作用説明用概略図であり、(a)は蓋開放完了状態、(b)は蓋を閉じた状態
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明に係る組箱の一実施形態を
図1~
図13に示し、この組箱P1は、上面開口の四角状箱本体10と、その箱本体10内に設けた支持体20及び作動体30と、箱本体10の開口の一側部に起伏(開閉)可能に設けた蓋40と、その蓋40と作動体30とに連結された連結帯33とからなる。
【0013】
箱本体10は、
図7に示すボール紙製のブランクからなり、底板11の左右前後縁に折り目線rを介して外側板12、12、外前板13、外後板14がそれぞれ設けられている。各外側板12、外前板13及び外後板14には襠部分を持って折り目線rを介してそれぞれ内側板12a、12a、内前板13a、内後板14aがそれぞれ設けられている。各外側板12の側縁と外前後板13、14の側縁間には襠片15が設けられており、その襠片15を対角線上の折り目線r’を介して谷折りすることによって底板11に対し外側板12、12及び外前後板13、14が立ち上がって上面開口の四角状箱を構成する。
【0014】
内側板12aの両側縁には鍵状のフラップ片16がそれぞれ折り目線r’を介して設けられており、その対向するフラップ片16、16を噛み合わすことによって各側板12、12aの立ち上がりが維持される。内側板12a、内前後板13a、14aには折り目線r’を介してそれぞれ舌片17が設けられている。その内側板12aと舌片17の境界線(折り目線)r’の途中二個所に切り込みによって突片18が形成されている。両後板14、14aには同一レベルとなる幅狭の四角状透孔19、19が形成されている。
【0015】
図中、rは線状の単なる折り目線、r’はミシン目状の折り目線であり、そのミシン目状の折り目線は全長に亘って等間隔にミシン目を有するものと、不等分位のミシン目のものがあり、両者は、折曲度合いを考慮して適宜に選択する(以下同様)。
【0016】
この構成のブランクからなる箱本体10は、
図8に示すように、底板11に対し、内外側板12、12aを山折りして立ち上げ・下方に折り曲げると共に、フラップ片16、16を噛み合わせ、襠片15を折り曲げつつ外前後板13、14、内前後板13a、14aを山折りして立ち上げ・下方に折り曲げ、それらの舌片17を底板11に沿わせる。このとき、突片18がその切欠きから突出して外側板12に当接して内外側板12、12aが確実に離れた二重壁を形成する。底板11、舌片17の間、内外側板12、12a間、内外前後板13、13a、14、14a間は適宜に貼着する。貼着は、両面テープ張りや糊付け等によって行う(以下同様)。
【0017】
支持体20及び作動体30は、ボール紙製の
図9に示すブランクからなる。支持体20は同図(a)に示すように、基板21の側縁に折り目線r’、rを介して内外側板22、23及び舌片23aがそれぞれ設けられている。基板21の後縁には折り目線rを介して後板25及び舌片25aがそれぞれ設けられ、同前縁には折り目線rを介して前板24、底板26がそれぞれ設けられている。その外側板23と舌片23aの境界線(折り目線)rの途中二個所に切り込みによって突片27が形成されている。底板26の側縁には折り目線rを介してフラップ片26aが設けられ、後縁には折り目線rを介して前片26bが設けられている。
【0018】
基板21には、商品Aを嵌める(支持する)支持孔28が形成されている。この支持孔28は商品Aの横断面と同一形状とされ、その数や配列は収納する商品Aの形や数に応じて適宜に設定する。この実施形態においては、商品Aは、チューブ入りの化粧品や一回使用の長方形パック詰め化粧品であるから、5個2列の支持孔28とし、その支持孔28は一部を膨らませたほぼ半円状としている。
後板25には、幅狭四角状透孔29が形成されており、底板26のフラップ片26bにはその透孔29に対応する四角状切欠き29aが形成されている。
【0019】
この構成のブランクからなる支持体20は、
図10(a)に示すように、基板21に対し側板22、23、前板24、舌片24a、後板25、底板26をそれぞれ山折りして箱状とし、舌片25aを底板26とフラップ片26aの折り目線r上の切り目24bに差し込んで、舌片25aを底板26の下面に貼着する(
図2(a)参照)。この箱状になった支持体20は、透孔29と切欠き29aが一致している(同一レベルとなっている)。
【0020】
作動体30は、
図9(b)に示す、ボール紙製のブランクからなり、基板31には、上記支持孔28に対応する同一形状の支持孔(透孔)38が形成されている。基板31の両側縁及び前縁には折り目線r、r’を介してフラップ片32が設けられている。基板31の後縁には連結帯となる突片33が設けられている。なお、鎖線でかこまれた部分は貼着代である(以下同様)。
【0021】
この構成のブランクからなる作動体30は、
図10(a)に示すように、基板31に対しフラップ片32を山折りして四角箱状として、箱状の支持体20内に入れ込む(
図10(b)参照)。そのとき、支持体20の基板21と作動体30の基板31は一定の間隔をもって重なって支持孔28、38が対向するとともに、突片(連結帯)33が透孔29及び切欠き29aを通って突出する。このため、連結帯33でもって作動体30を前後に移動させると、両基板21、31の支持孔28、38が、
図2のように前後にずれたり、
図5のように上下同一軸上に位置したりする(
図13(a)、(c)参照)。このとき、連結帯33の先端部は折り目線r’を介して舌片33aとなっている。
【0022】
蓋40は、
図11に示す、ボール紙製ブランクからなり、長方形状基板41の左右前後縁に折り目線rを介してほぼ台形状外側板42、42、後板43、外前板44がそれぞれ設けられている。各外側板42、外前板44には折り目線rを介してそれぞれ内側板42a、42a、内前板44aがそれぞれ設けられている。各外側板42の側縁と前後板43、44の側縁間には襠片45が設けられており、その襠片45を対角線上の折り目線r’を介して谷折りすることによって基板41に対し外側板42、42及び前後板43、44が立ち上がって上面開口の四角状箱を構成する。
内側板42aの両側縁にはフラップ片46がそれぞれ折り目線r’、rを介して設けられている。内側板42a、内前板44a、後板43には折り目線r、r’を介してそれぞれ舌片47が設けられている。その内側板42aと舌片47の境界線(折り目線)r’の途中二個所に切り込み48が形成され、内前板44aと舌片47の境界線(折り目線)r’の途中にも切り込み48が形成されている。
【0023】
この構成のブランクからなる蓋40は、
図12に示すように、基板41に対し、内外側板42、42aを山折りして立ち上げ、フラップ片46、46を内側に谷折りするとともに、襠片45を折り曲げつつ後板43、外前板44、内前板44aを山折りして立ち上げ、それらの舌片47を基板41に沿わせる。このとき、内側板42aの前側フラップ片46は内外前板44、44aの間に挿入する。舌片47は基板41に適宜に貼着する。舌片47の先端縁の両側には突片47aが設けられている。
【0024】
この下面開口の蓋40には、
図11(b)に示す形状のボール紙製ブランクからなる中敷き50が装填される。この中敷き50は基板51の後縁に折り目線r’、rを介して連接された後板52、フラップ片53とからなる。基板51の両側前後には突片54が設けられている。フラップ片53には幅狭四角状透孔55が形成されている。
この中敷き50は、
図12(a)に示すように、折り目線r’を介して基板51に対し後板52を起立させるとともにフラップ片53を山折りした状態で、下面開口の組み立てられた蓋40内に自身の基板51が蓋40の基板41に重なるように装填する。このとき、突片54は蓋49の切り込み48に差し入れる。また、フラップ片53は蓋49の後板43と襠片45の間に挿し入れる。これによって、下面開口の蓋40ができあがる。
【0025】
この実施形態の組箱P1は以上の構成であり、
図8(b)に示す組み立てた箱本体10内に、同様に、
図10(b)に示す作動体30入りの支持体20を装填する。そのとき、作動体30の連結帯33は箱本体10の後壁(後板14等)の透孔19に挿し通す。この挿し通された連結帯33は、
図2(a)、
図5に示すように、蓋40の後壁(中敷き50の後板52等)の透孔55を通して中敷き50の後板52及びフラップ片53の間に差し入れて貼着する。連結帯33の舌片33aを貼着しても、折り目線r’を介して連結帯33が折れ曲がるため、連結帯33の下記移動に支障はない。
その後、蓋40の舌片47を箱本体10の底板11の下面に宛がうとともに突片47aをその底板11の透孔11aに差し込んでその舌片47及び突片47aを底板11に適宜に貼着して、箱本体10に対しその一側で蓋40を起伏自在に取り付ける(
図2(b)参照)。
【0026】
このように組み立てたこの組箱P1への商品Aの収納は、
図1~
図6に示すように、支持体20と作動体30の支持孔28、38に商品Aを差し込んで行う。その商品Aを収納し、
図1~
図3に示す、蓋40が閉じられた状態においては、蓋40の閉じ作用に伴って、連結帯33が作動体30を支持体20に対して前(
図2右方向)に移動させ、支持体20の支持孔28と作動体30の支持孔38が前後にずれる。このため、両支持孔28、38に支持された商品Aはそのずれに伴って傾斜する(
図13(a))。
【0027】
この状態から、蓋40を起こすと(箱を開放すると)、
図13(b)から同(c)に示すように、その蓋40の開放に伴って連結帯33がその蓋40側(前方である
図2左方向)に引かれて作動体30も同様に移動する。この作動体30の後方への移動に伴って、支持体20の支持孔28と作動体30の支持孔38が徐々に重なる位置に移動し、それに伴って商品Aが起立する。蓋40が開き終われば、両支持孔28、38が上下方向の同一線上となって商品Aは真っ直ぐ起立した状態となる(
図5、
図13(c))。
【0028】
このように、この実施形態の組箱P1は、蓋40を開けると、商品Aが起立するため、看者には斬新であり、高級感を与える。
商品Aが立ち上がった状態から、蓋40を閉じれば、
図13(c)→同(b)を経て同(a)に示す、商品Aが倒伏した収納状態となる。
なお、この実施形態(組箱P1)では、請求項でいう「突起」を作動体30の支持孔38の周壁で構成している。
【0029】
この発明に係る組箱の他の実施形態を
図14~
図26に示し、この組箱P2も、同様に、上面開口の四角状箱本体60と、その箱本体60内に設けた支持体70及び作動体80と、箱本体60の開口の一側部に起伏(開閉)可能に設けた蓋90と、その蓋90と作動体80とに連結された連結帯88とからなる。上記実施形態(組箱P1)と異なる点は、前者が蓋40の開放に伴って作動体30が前後して商品Aが起伏するのに対し、この実施形態の組箱P2は蓋90の開放に伴って作動体80が回転して商品Aが起伏する点である。
【0030】
この組箱P2の箱本体60は、
図20に示すボール紙製のブランクからなり、正方形状の底板61の左右前後縁に折り目線rを介して外側板62、62、外前板63、外後板64がそれぞれ設けられている。各外側板62、外前板63及び外後板64には折り目線rを介してそれぞれ斜めとなる内側板62a、62a、垂直となる内側板62b、62b、斜めとなる内前板63a、同内後板64a、垂直となる内前板63b、同内後板64bがそれぞれ設けられている。各外側板62の側縁と前後板63、64の側縁間には襠片65が設けられており、その襠片65を対角線上の折り目線r’を介して谷折りすることによって底板61に対し外側板62、62及び前後板63、64が立ち上がって上面開口の正四角状箱を構成する。
【0031】
斜めとなる内側板62aの両側縁にはフラップ片66aがそれぞれ折り目線r’を介して設けられている。垂直となる内側板62bの両側縁は鍵状のフラップ片66を有しており、その対向するフラップ片66、66を噛み合わすことによって各側板62、62a、62bの立ち上がりが維持される。垂直となる内側板62b、同内前後板63b、64bには折り目線r’を介してそれぞれ舌片67が設けられている。その内側板62bと舌片67の境界線(折り目線)r’の途中二個所に切り込みによって突片68が形成されている。後板64には左右方向(
図20において上下方向)に長い幅狭四角状透孔69が形成されている。垂直となる内後板64bと舌片67の折り目線r’上にコ字状の切欠きが形成されており、内後板64bに対して舌片67が折り曲げられると、その切欠きによって透孔69a(
図21(a)参照)が形成される。
【0032】
この構成のブランクからなる箱本体60は、
図21に示すように、底板61に対し、内外側板62、62aを山折りして立ち上げ・下方に折り曲げると共に、フラップ片66、66を噛み合わせ、襠片65を折り曲げつつ外前後板63、64、内前後板63a、64aを山折りして立ち上げ・下方に折り曲げ、それらの垂直となる内側板62b、内前後板63b、64bを山折りするとともに同舌片67を谷折りして底板61に沿わせる。
このとき、突片68がその切欠きから突出して外側板62に当接して内外側板62、62a、62bが離れた二重壁を形成する。底板61、舌片67の間、内外側板62、62a、62b間、内外前後板63、63a、63b、64、64a、64b間は適宜に貼着する。
【0033】
支持体70は、ボール紙製の
図22(a)に示すブランクからなる。同図に示すように、支持体70は正四角形の基板71の周側縁に折り目線rを介して側板72がそれぞれ設けられ、その左右と前側板72の側縁には折り目線rを介し舌片74aがそれぞれ設けられ、同後縁には折り目線rを介して底板75が設けられている。この底板75の左右縁及び前縁には折り目線rを介して舌片76が設けられ、その折り目線r上に切り込み77が形成されている。
基板71には、商品Aを嵌める(支持する)支持孔78が形成されている。この支持孔78は商品Aの横断面と同一形状とされ、その数や配列は収納する商品Aの形や数に応じて適宜に設定する。この実施形態においては、商品Aは、チューブ入りの化粧品や一回使用の長方形パック詰め化粧品であるから、その支持孔78は一部を膨らませたほぼ半円状とし、同一円上に等間隔で10個設けてある。
底板75の中央には透孔79が形成されている。
【0034】
この支持体70は、
図22(a)に示すブランクから、
図23(a)に示すように、基板71の周囲の側板72を下方に折り曲げるとともに、底板75の周りの舌片76を立ち上げて前記側板72の内側に沿わせ、同図(c)に示すように、側板72の突片74aを切り込み77に挿入して扁平四角箱状とする。この四角箱状は上記作動体80を内装した後に行う。
【0035】
その作動体80は、
図22(b)に示すように、プラスチック板製第1円板81と、2つのダンボール紙製第2円板82、第3円板83と、プラスチック板製作動板84からなる。これらの円板81、82、83、作動板84は前記材料には限定されず、種々の材料を使用し得る。各円板81、82、83には上記支持孔78に対応する支持孔(透孔)81a、82a、83aがそれぞれ同一心円上に等間隔で10個形成され、各支持孔81a、82a、83aを対応させて(同一軸線上として)重ねる。
第一円板81は支持孔81aが切り起こしで形成されてその切り起こし片81bが側縁から立ち上がっている。この切り起こし片81bは商品Aを確実に回転させるためである。第1円板81の周縁には突片85が突出して設けられている。
作動板84は平板部84aから側片84bを立ち上げ(
図23(b)参照)、その一方の側片84bに長孔(作動孔)86が形成されている。平板部84aには前後方向の長孔87が形成されており、後縁に連結帯となる突片88を設けている。
【0036】
この作動体80は、
図23(b)に示すように、作動板84に第1、第2、第3円板81、82、84を重ねるとともに、突片85を長孔86に嵌め、ねじ軸89の雌ねじ部89aを第1、第2、第3円板81、82、83の中心孔81c、82c、83c及び作動板84の長孔87に挿通して一体とする。このとき、各円板81、82、83の支持孔81a、82a、83aは支持体70の支持孔78に対応させ、作動板84はねじ軸89(雌ねじ部89a)を支点として長孔87を介してその長さ方向に移動可能となる。
この各円板81、82、83及び作動板84が一体となった作動体80は、上記支持体70内に装填した後、上記ねじ軸89の雄ねじ部89bを支持体70の底板75の透孔79から作動体80に挿通した雌ねじ部89aにねじ込んで、支持体70内に作動体80を装填すると共にねじ軸89を介して回転自在とする。
【0037】
蓋90は、
図24に示す、ボール紙製ブランクからなり、正方形状基板91の左右前後縁に折り目線rを介して外側板92、92、後板93、外前板94がそれぞれ設けられている。各外側板92、外前板94には折り目線rを介してそれぞれ内側板92a、92a、内前板94aがそれぞれ設けられている。各外側板92の側縁と前後板93、94の側縁間には襠片95が設けられており、その襠片95を対角線上の折り目線r’を介して谷折りすることによって基板91に対し外側板92、92及び前後板93、94が立ち上がって下面開口の四角状箱を構成する。
内側板92aの両側縁にはフラップ片96がそれぞれ折り目線rを介して設けられている。内側板92a、後板93、内前板94aには折り目線rを介してそれぞれ舌片97が設けられている。その内側板92aと舌片97の境界線(折り目線)r’の途中二個所に切り込み98が形成され、内前板94aと舌片97の境界線(折り目線)r’の途中にも切り込み98が形成されている。
【0038】
この構成のブランクからなる蓋90は、
図25に示すように、基板91に対し、内外側板92、92aを山折りして立ち上げ、フラップ片96、96を内側に谷折りするとともに、襠片95を折り曲げつつ後板93、外前板94、内前板94aを山折りして立ち上げ・下方に折り曲げ、それらの舌片97を谷折りして基板91に沿わせる。このとき、内側板92aの前側フラップ片96は内外前板94、94aの間に適宜に挿入する。フラップ片96、舌片97は後板93、基板91等に適宜に貼着する。舌片97の先端縁の両側には突片97aが設けられている。
【0039】
この下面開口の蓋90には、
図24(b)に示すボール紙製ブランクからなる中敷き100が装填される。この中敷き100は基板101の後縁に折り目線r’、rを介して連接された後板102、フラップ片103とからなる。基板101の両側前後には突片104が設けられている。後板102には幅狭長尺四角状透孔105が形成されている。
この中敷き100は、
図25(b)に示すように、折り目線r’を介して基板101に対し後板102を起立させるとともにフラップ片103を山折りした状態(同図鎖線状態)で、下面開口の組み立てられた蓋90内に自身の基板101が蓋90の基板91に重なるように装填する。このとき、突片104は蓋90の切り込み98に差し入れる。また、フラップ片103は蓋90の後板93と襠片95の間に挿し入れる。これによって、下面開口の蓋90ができあがる。中敷き100は適宜に蓋本体(基板91)等に貼着する。
【0040】
この実施形態の組箱P2は以上の構成であり、
図21(b)に示す組み立てた箱本体60内に、同様に、
図23(c)に示す作動体80入りの支持体70を装填する。そのとき、作動体80の連結帯88は箱本体60の後壁(後板64等)の透孔69に挿し通す。この挿し通された連結帯88は、
図15、
図18に示すように、蓋90の後壁(中敷き100の後板102等)の透孔105を通して中敷き100の後板102及びフラップ片103の間に差し入れて適宜に貼着する。
その後、蓋90の舌片97を箱本体60の底板61の下面に宛がうとともに突片97aをその底板61の透孔61aに差し込んでその舌片97及び突片97aを底板61に適宜に貼着して(
図15(b)参照)、箱本体60に対し蓋90をその一側で起伏自在に取り付ける。
【0041】
このように組み立てたこの組箱P2への商品Aの収納は、
図14~
図19に示すように、支持体70と作動体80の支持孔78、81a、82a、83aに商品Aを差し込んで行う。その商品Aを収納し、
図14~
図16に示す、蓋90が閉じられた状態においては、蓋90の閉じ作用に伴って、連結帯88が作動体80の作動板84を支持体70に対して前方(
図18において右方向)に移動させる。作動板84の移動は、長孔86、突片85を介して第1円板81の回転運動に変換される。第1円板81が回転すれば、商品Aを介して第2、第3円板82、83も回転し、支持体70の支持孔78と作動体80の支持孔81a、82a、83aが周方向前後にずれる。このため、両支持孔78、81a、82a、83aに支持された商品Aはそのずれに伴って傾斜する(
図26(b))。
【0042】
この状態から、蓋90を起こすと(箱を開放すると)、
図26(b)から同(a)に示すように、その蓋90の開放に伴って連結帯88がその蓋90側に引かれて作動板84も同様に移動する。この作動板84の移動に伴って、各円板81、82、83が回転し、支持体70の支持孔78と作動体80の支持孔81a、82a、83aが徐々に重なる位置に移動し、それに伴って商品Aが起立する。蓋90が開き終われば、両支持孔78、81a、82a、83aが上下方向の同一線上となって商品Aは真っ直ぐ起立した状態となる(
図18、
図26(a))。
【0043】
このように、この実施形態の組箱P2も、蓋90を開けると、商品Aが起立するため、看者には斬新であり、高級感を与える。
商品Aが立ち上がった状態から、蓋90を閉じれば、
図26(b)→同(a)に示す、商品Aが倒伏した収納状態となる。
【0044】
この実施形態において、第1円板81、第2円板82、第3円板83の重なり順は任意であり、例えば、上から、第2円板82、第3円板83、第1円板81とし、切り起こし片81bを第2、第3円板の支持孔82a、83aに挿通させれば、作動板84の移動による長孔86、突片85を介した第1円板81の回転運動を第2、第3円板82、83に確実に伝達することができる。また、第1円板81が回転に対して強度を有すれば、第2円板82、第3円板83は省略し得る。
なお、この実施形態(組箱P2)では、請求項でいう「突起」を作動体80の支持孔81a、82a、83aの周壁で構成している。
【0045】
この発明に係る組箱P1、P2の材料は、ボール紙に限らず、プラスチック板、ダンボール紙等の種々のものを採用できる。
なお、連結帯(突片)33、88は、可撓性を有してその移動によって作動体30又は作動板84を前後に移動し得る材料であれば、ボール紙やプラスチック板に限定されない。
また、作動体30、80と支持体20、70の上下位置を逆にすることもできる。このとき、上側となる作動体30、80は商品Aが挿通する透孔とする必要がある。また、下側の支持孔38、81a、82a、83aは孔でなくても、商品Aの下部を支持して動かし得る物、例えば、商品A下部を挟む突起(突片)等とし得る。
さらに、箱本体10、60は、この発明が実施し得る限りにおいて、その平面形状は四角状に限らず、円形、楕円形、菱形等と任意である。
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0046】
10、60 箱本体
11、61 箱本体の底板
12、62 同外側板
12a、62a 同内側板
13、63 同外前板
14、64 同外後板
15、65 同襠片
16 、66 同フラップ片
17、67 同舌片
18 68 同突片
19、69 同透孔
20、70 支持体
21、71 支持体の基板
22、23、72 同側板
24 同前板
25 同後板
26、75 同底板
27 同突片
28、78 同支持孔
29 同透孔
30、80 作動体
31 作動体の基板
32 同フラップ片
38 同支持孔
33、88 連結帯(突片)
40、90 蓋
41、91 蓋の基板
42、92 同外側板
43、94 同外前板
44、93 同後板
45、95 同襠片
46、96 同フラップ片
47、97 同舌片
48、98 同切り込み
50、100 同中敷き
81、82、83 作動体の円板
81a、82a、83a 円板の支持孔
84 作動体の作動板
85 直線運動から回転運動への突片
86 同長孔
87 ねじ軸貫通用孔
89 ねじ軸
r、r’ 折り目線
A 商品
P1、P2 組箱