(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】出力装置、地図情報記憶装置、自動運転制御装置、出力方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20230425BHJP
G08G 1/14 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/14 A
(21)【出願番号】P 2021109137
(22)【出願日】2021-06-30
(62)【分割の表示】P 2019105250の分割
【原出願日】2016-03-22
【審査請求日】2021-06-30
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2015/058883
(32)【優先日】2015-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】321011767
【氏名又は名称】ジオテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】幸田 健志
(72)【発明者】
【氏名】水戸 研司
(72)【発明者】
【氏名】中尾 和浩
(72)【発明者】
【氏名】波多野 誠
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-102015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図に含まれる地点情報において車両が実行可能な自動運転の程度を示す自動運転規制情報を取得する取得部と、
前記自動運転規制情報に基づいて、所定の地点情報に対応する自動運転規制情報ごとに
異なる表示態様で表示する制御部と、
を備える情報制御装置。
【請求項2】
前記地点情報は、駐車場を表し、
前記制御部は、前記自動運転規制情報に基づき、前記駐車場ごとに前記車両が実行可能な自動運転レベルを表示する、請求項
1に記載の情報制御装置。
【請求項3】
自動運転制御装置が実行する制御方法であって、
地図に含まれる地点情報において車両が実行可能な自動運転の程度を示す自動運転規制情報を取得する取得工程と、
前記自動運転規制情報に基づいて、
所定の地点情報に対応する自動運転規制情報ごとに異なる表示態様で表示する制御工程と、
を有する制御方法。
【請求項4】
コンピュータが実行するプログラムであって、
地図に含まれる地点情報において車両が実行可能な自動運転の程度を示す自動運転規制情報を取得する取得部と、
前記自動運転規制情報に基づいて、
所定の地点情報に対応する自動運転規制情報ごとに異なる表示態様で表示する制御部
として前記コンピュータを機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の走行を自動制御する所謂自動運転の技術が知られている。自動運転を実行する場合には、例えば、カメラなどの外界センサを用いて、白線や前方車両などの自車両周辺の情報を認識することや、加速度センサやジャイロ等の内界センサを用いて車両の姿勢や状態を把握する必要がある。特許文献1には、車両に設置されたカメラの画像等に基づいて走行中の車線や静止物標を認識する技術が開示されている。また、特許文献2には、自動運転に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-093018号公報
【文献】特開2014-106854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動運転機能を搭載した車両による自動運転の実行は、地域によっては禁止される場合がある。例えば、米国における州法などで、同じ国内でも地域によって自動運転が禁止される場合や、欧州のような陸続きのエリアで、それぞれの国の法律によって自動運転が禁止される場合があり得る。このような場合、自動運転機能を搭載した自動車の運転者は、国境や州境を越える度に自動運転機能をオンにしたりオフにしたりする操作を行わなければならないという課題がある。
【0005】
また、自動運転が法律等で禁止されていない地域の場合でも、道路区間によっては自動運転を規制した方が好ましい場合がある。例えば、商店街の狭い路地など、人々の往来が激しく自動運転走行が困難又は危険な道路区間、あるいは、政府の重要施設周辺など、無人の自動運転車に爆発物を搭載する等のテロを起こされる可能性のある道路区間などでは、自動走行を許可しない方がよい場合がある。
【0006】
一方、自動運転に関する規制を標識によって報知する場合、車両は、例えば、カメラ等のセンサによって標識等を読み取ることで、自動運転に関する規制を認識する必要がある。しかし、この場合、気象条件や環境などの影響によっては、センサによる認識精度には限界があり、確実性が保証されないという問題がある。また、地域や区間等の性質や環境によっては自動運転の程度や自動運転の機能の一部を規制した方が安全に寄与する場合がある。しかし、このような細かな自動運転の規制については、上述の特許文献では考慮されていない。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、自動運転に関する処理を好適に実行することが可能な自動運転制御装置及び情報制御装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項に記載の発明は、地図に含まれる地点情報において車両が実行可能な自動運転の程度を示す自動運転規制情報を取得する取得部と、前記自動運転規制情報に基づいて、所定の地点情報に対応する自動運転規制情報ごとに異なる表示態様で表示する制御部と、を備える情報制御装置である。
【0010】
また、請求項に記載の発明は、自動運転制御装置が実行する制御方法であって、地図に含まれる地点情報において車両が実行可能な自動運転の程度を示す自動運転規制情報を取得する取得工程と、前記自動運転規制情報に基づいて、所定の地点情報に対応する自動運転規制情報ごとに異なる表示態様で表示する制御工程と、を有する制御方法である。
【0011】
また、請求項に記載の発明は、コンピュータが実行するプログラムであって、地図に含まれる地点情報において車両が実行可能な自動運転の程度を示す自動運転規制情報を取得する取得部と、前記自動運転規制情報に基づいて、所定の地点情報に対応する自動運転規制情報ごとに異なる表示態様で表示する制御部として前記コンピュータを機能させるプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図4】走行区間判定テーブル、地図データベース、及び自動運転能力情報のデータ構造を示す。
【
図6】比較的縮尺が大きい場合の自動運転規制情報に基づく地図表示例を示す。
【
図7】比較的縮尺が小さい場合の自動運転規制情報に基づく地図表示例を示す。
【
図8】変形例に係る自動運転能力情報及び自動運転規制情報のデータ構造を示す。
【
図9】変形例に係る自動運転規制情報の一部のデータ構造を示す。
【
図10】
図9の自動運転規制情報に基づく表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好適な実施形態によれば、地図情報記憶装置は、所定区間毎に、車両が実行可能な自動運転の程度を示す自動運転規制情報を記憶する記憶部と、前記自動運転規制情報を、車両又は車両と通信可能な配信装置に送信する送信部と、を備える。
【0014】
本発明における「自動運転」とは、どのような環境下においても運転者が全く運転動作に介入しない「完全な自動運転」のみならず、特定の環境・条件が揃った場合にのみ運転者が運転操作を行う必要のない「一時的な自動運転」も含むものとする。また、本発明における「自動運転」とは、運転者が運転操作を行う場合であっても、運転者の運転負荷を軽減したり、車両の走行の安定性を維持するような目的で、運転の一部(例えば、車両の操舵等)を自動で制御するような「部分的な自動運転」(運転支援機能)も含むものとする。
【0015】
上記地図情報記憶装置は、記憶部と、送信部とを備える。記憶部は、所定区間毎に、車両が実行可能な自動運転の程度を示す自動運転規制情報を記憶する。送信部は、自動運転規制情報を、車両又は車両と通信可能な配信装置に送信する。この態様では、地図情報記憶装置は、所定区間毎に車両が実行可能な自動運転の程度を示す自動運転規制情報を車両に好適に報知し、車両の自動運転を好適に規制することができる。なお、「車両」は、車両と共に移動する端末装置を含む。
【0016】
上記地図情報記憶装置の一態様では、前記記憶部は、表示部に地図を表示させるための地図情報をさらに記憶し、前記送信部は、前記地図情報と、前記地図における所定区間に対応する前記自動運転規制情報とを、前記車両又は前記配信装置へ送信する。この態様により、地図情報記憶装置は、表示部に表示させる地図上の道路区間における自動運転の規制を車両に好適に報知することができる。よって、車両は、例えば、自動運転に関する規制を地図上に表示して運転者に視認させることができる。
【0017】
上記地図情報記憶装置の他の一態様では、前記自動運転規制情報は、車輛が実行可能な自動運転の機能ごとの程度を示す情報である。このように、自動運転の機能ごとに程度が存在し、実行可能な自動運転の程度が機能ごとに規制されていた場合であっても、地図情報記憶装置は、車両の自動運転を好適に規制することができる。
【0018】
本発明の他の好適な実施形態によれば、自動運転制御装置は、所定区間毎に、車両が実行可能な自動運転の程度を示す自動運転規制情報を取得する取得部と、前記自動運転規制情報に基づいて、車両の自動運転を制御する制御部と、を備える。自動運転制御装置は、この態様により、自動運転規制情報が示す車両が実行可能な自動運転の程度に関する規制に従い車両の自動運転を制御することができる。
【0019】
上記自動運転制御装置の一態様では、自動運転制御装置は、前記車両の自動運転に関する能力を示す能力情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記制御部は、前記能力情報と、前記自動運転規制情報とに基づいて、前記自動運転を制御する。この態様により、自動運転制御装置は、自動運転の実行可否を好適に判定することができる。
【0020】
上記自動運転制御装置の他の一態様では、自動運転制御装置は、地図を表示する表示部を更に備え、前記表示部は、前記自動運転規制情報に基づいて、前記地図に含まれる各区間において実行可能な前記自動運転の程度を、前記地図上に明示する。この態様により、自動運転制御装置は、地図上の各区間における自動運転の規制を好適に運転者に視認させることができる。
【0021】
本発明の他の好適な実施形態によれば、地図情報記憶装置は、所定区間に対応する車両の自動運転を規制するための自動運転規制情報と、表示部に地図を表示させるための地図情報と、を記憶する記憶部と、前記地図情報と、前記地図における所定区間に対応する前記自動運転規制情報と、を車両又は車両と通信可能な配信装置に送信する送信部と、を備える。この態様により、地図情報記憶装置は、表示部に表示させる地図上の道路区間における自動運転の規制を車両に好適に報知することができる。
【0022】
本発明の他の好適な実施形態によれば、所定区間毎に、車両が実行可能な自動運転の程度を示す自動運転規制情報を記憶する記憶部を有する地図情報記憶装置が実行する制御方法であって、前記自動運転規制情報を、車両又は車両と通信可能な配信装置に送信する送信工程を有する。地図情報記憶装置は、この制御方法を実行することで、車両に実行可能な自動運転の程度を好適に把握させ、車両の自動運転を好適に規制することができる。
【0023】
本発明の他の好適な実施形態によれば、所定区間毎に、車両が実行可能な自動運転の程度を示す自動運転規制情報を記憶する記憶部を有する地図情報記憶装置のコンピュータが実行するプログラムであって、前記自動運転規制情報を、車両又は車両と通信可能な配信装置に送信する送信部として前記コンピュータを機能させる。コンピュータは、このプログラムを実行することで、車両に実行可能な自動運転の程度を好適に把握させ、車両の自動運転を好適に規制することができる。好適には、上記プログラムは、記憶媒体に記憶される。
【実施例】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0025】
[自動運転システムの概要]
図1は、本実施例に係る自動運転システムの概略構成である。自動運転システムは、各車両と共に移動する運転支援装置1と、各運転支援装置1とネットワーク9を介して通信を行うサーバ装置2とを備える。そして、自動運転システムは、道路区間ごとに設定された交通規制に応じた自動運転を好適に運転支援装置1に実行させる。
【0026】
運転支援装置1は、据置型の運転支援装置又はスマートフォンなどの携帯端末であって、自車位置が属するエリアに応じて、当該エリアの地図データ「D1」をサーバ装置2の配信地
図DB21から取得し、部分地
図DB10として記憶する。そして、運転支援装置1は、部分地
図DB10を参照し、ユーザが設定した目的地への経路探索や、設定された経路に基づく案内等を行う。
【0027】
また、運転支援装置1は、カメラなどから構成されるセンサ13の出力に基づき、一部又は全部の運転操作を半自動又は全自動で行う自動運転を行う。ここで、自動運転には、運転の自動化のレベル(「自動化レベルLv」とも呼ぶ。)が定義されている。運転支援装置1は、部分地
図DB10に含まれる自動運転に関する規制情報(「自動運転規制情報Ir」とも呼ぶ。)と、運転支援装置1の車両が実行可能な自動運転の能力に関する情報(「自動運転能力情報Ic」とも呼ぶ。)とに基づき、実行可能な自動運転の自動化レベルLvを認識する。なお、本実施例では、自動化レベルLvは、一例として、レベル1~4が存在するものとする。例えば、レベル1は、加速・操舵・制動のいずれかを自動化するレベル、レベル2は、加速・操舵・制動のうち複数の操作を同時に自動化するレベル、レベル3は、加速・操舵・制動を緊急時以外では全て自動化するレベル、レベル4は、運転者が運転操作を行わない完全自動化となるレベルであってもよい。運転支援装置1は、本発明における「自動運転制御装置」の一例である。
【0028】
サーバ装置2は、配信地
図DB21を記憶し、運転支援装置1からの要求に応じて、要求元の運転支援装置1が存在するエリアに対応する地図データD1を配信地
図DB21から抽出して送信する。配信地
図DB21には、道路区間ごとの自動運転規制情報Irが含まれている。サーバ装置2は、本発明における「地図情報記憶装置」の一例である。上述の道路区間は、任意に道路を区切った単位区間を示し、例えば、地図データ上での道路を表すリンクに対応してもよい。
【0029】
[運転支援装置の構成]
図2は、運転支援装置1の機能的構成を表すブロック図を示す。
図2に示すように、運転支援装置1は、主に、通信部11と、記憶部12と、センサ部13と、入力部14と、制御部15と、出力部16とを有する。通信部11、記憶部12、センサ部13、入力部14、制御部15及び出力部16は、バスラインを介して相互に接続されている。
【0030】
通信部11は、制御部15の制御に基づき、サーバ装置2から地図データD1を取得する。また、通信部11は、制御部15の制御に基づき、天候情報を配信するサーバ装置等から天候情報を取得する。
【0031】
記憶部12は、制御部15が実行するプログラムや、制御部15が所定の処理を実行するのに必要な情報を記憶する。本実施例では、記憶部12は、自動運転規制情報Irを含む部分地
図DB10と、自動運転能力情報Icと、現在位置情報に対応する道路区間及び車線を対応付けたテーブルである走行区間判定テーブルTcと、運転支援装置1の車両に割り当てられた識別番号等を示す車両識別情報Idとを記憶する。車両識別情報Idが示す識別番号は、個々の車両ごとに固有の識別番号であってもよく、車種ごとに固有の識別番号であってもよい。車両識別情報Idは、後述するように、自動運転規制情報Irにおいて自動運転を許可する車両の識別番号が指定されていた際に、自車が自動運転を許可された車両であるか否かを判定するのに用いられる。
【0032】
センサ部13は、車両の状態を検出する内界センサ及び車両の周辺環境を認識するための外界センサから構成され、カメラ31と、ライダ(LIDAR:Laser Illuminated Detection And Ranging)(又は/及びレーダ)32と、GPS受信機33と、加速度センサ34と、速度センサ35などを含む。カメラ31は、外界の状況を表す色付きの画像を生成する。ライダ32は、外界に存在する物体までの距離を離散的に測定し、当該物体の位置を3次元の点群として認識する。GPS受信機33は、現在の車両の位置を表す緯度及び経度の位置情報を生成する。加速度センサ34は、車両の加速度を検出する。速度センサ35は、車両の速度を検出する。なお、センサ部13は、車両の姿勢(向きなど)を認識して他のセンサの取得データを補正するための慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)やジャイロセンサなどを備えてもよい。また、センサ部13は、雨滴センサ(レインセンサ)や霧センサなどの天候状態を測定するセンサを含んでもよい。この場合、制御部15は、通信部11から取得する天候情報に加えて、又はこれに代えて、センサ部13の出力に基づき現在の天候状態を判定し、天候情報を生成する。
【0033】
入力部14は、ユーザが操作するためのボタン、タッチパネル、リモートコントローラ、音声入力装置等であり、経路探索のための目的地を指定する入力、自動運転のオン及びオフを指定する入力などを受け付ける。また、入力部14は、乗車した人物の運転能力に関する情報(例えば、運転免許の有無、運転スキル等)を受け付けても良い。また、入力部14が受け付けた情報は、制御部15の制御に基づき、記憶部12に記憶させるようにしてもよい。なお、制御部15は、入力部14へのユーザ入力に基づき運転能力に関する情報を取得する代わりに、認証手段により運転手の個人認証を行い、認証されたユーザに紐付けられた運転能力に関する情報を電子的に取得してもよい。この場合、例えば、制御部15は、生体認証又は個人ICカード等の読み取り等により運転手を特定するID等を取得し、運転操作履歴情報や免許取得情報等の個人と紐付けられた情報を管理するサーバ装置に対し、生体認証等により取得したIDを指定した要求信号を通信部11により送信する。そして、制御部15は、上述のサーバ装置から、要求信号において指定したIDに対応する運転者の運転能力に関する情報等を、通信部11により受信する。このように、制御部15は、運転能力に関する情報を電子的に取得してもよい。
【0034】
出力部16は、例えば、制御部15の制御に基づき出力を行うディスプレイやスピーカ等である。本実施例では、出力部16は、部分地
図DB10に基づく現在位置周辺の地図を表示する。
【0035】
制御部15は、プログラムを実行するCPUなどを含み、運転支援装置1の全体を制御する。制御部15は、入力部14により入力された目的地までの経路探索を行い、自動運転や経路案内のための経路を設定する。また、制御部15は、通信部11が取得した地図データD1を部分地
図DB10に登録する。この場合、制御部15は、例えば、部分地
図DB10に地図データが登録されていないエリアに進入予定の場合、又は近付いた場合に、当該エリアを指定する情報を通信部11によりサーバ装置2へ送信することで、上述のエリアの地図データD1を通信部11により取得する。
【0036】
また、本実施例では、制御部15は、自動運転判定部17と、自動運転制御部18と、表示制御部19とを有する。
【0037】
自動運転判定部17は、センサ部13の出力及び、部分地
図DB10の情報等に基づき認識した現在位置を示す現在位置情報から、車両が現在走行中の道路区間(「走行区間」とも呼ぶ。)及び車線(「走行車線」とも呼ぶ。)を認識する。そして、自動運転判定部17は、認識した走行区間及び走行車線に対応する自動運転規制情報Irを部分地
図DB10から抽出し、記憶部12が記憶する自動運転能力情報Ic及び車両識別情報Idを参照することで、実行可能な自動運転の自動化レベルLvを認識する。
【0038】
自動運転制御部18は、設定された経路に基づき、センサ部13の出力情報を利用して車両の自動運転を行う。このとき、自動運転制御部18は、自動運転判定部17の判定結果に基づき、自動運転の自動化レベルLvを決定する。
【0039】
表示制御部19は、自動運転制御部18を参照し、現在位置周辺の地図を出力部16により表示する。このとき、制御部15は、自動運転規制情報Irに基づき、道路区間ごと又はエリアごとに実行可能な自動運転の自動化レベルLvを明示した地図画面を表示する。
【0040】
なお、制御部15は、本発明における「取得部」及び「制御部」の一例である。
【0041】
[サーバ装置の構成]
図3は、サーバ装置2の概略構成を示す。
図3に示すように、サーバ装置2は、通信部26と、記憶部27と、制御部28とを有する。通信部26、記憶部27、及び制御部28は、バスラインを介して相互に接続されている。
【0042】
通信部26は、制御部28の制御に基づき、ネットワーク9を介し、ナビゲーション装置1と各種データの通信を行う。本実施例では、通信部26は、運転支援装置1から地図データD1の取得要求を受信した場合に、制御部28が抽出した地図データD1を運転支援装置1へ送信する。
【0043】
記憶部27は、サーバ装置2の動作を制御するためのプログラムを保存したり、サーバ装置2の動作に必要な情報を保持したりする。また、記憶部27は、道路区間ごとの自動運転規制情報Irなどを含む配信地
図DB21を記憶する。
【0044】
制御部28は、図示しないCPU、ROM及びRAMなどを備え、サーバ装置2内の各構成要素に対して種々の制御を行う。本実施例では、制御部28は、運転支援装置1から地図データD1の取得要求を通信部26が受信した場合に、当該取得要求において指定されたエリアの地図データを配信地
図DB21から抽出する。そして、制御部28は、抽出した地図データを、地図データD1として通信部26により運転支援装置1へ送信する。制御部28は、本発明における「送信部」、及び本発明におけるプログラムを実行するコンピュータの一例である。
【0045】
[データ構造]
図4(A)は、道路区間変換テーブルTcのデータ構造の一例を示す。
図4(A)に示す道路区間変換テーブルTcでは、現在位置情報と、当該現在位置情報が示す位置に存在する道路区間を表す道路区間情報と、上記現在位置情報が示す位置に存在する車線を表す車線情報とが少なくとも関連付けられている。自動運転判定部17は、
図4(A)に示す道路区間変換テーブルTcを参照することで、センサ部13及び、部分地
図DB10の情報等から取得した現在位置を示す現在位置情報に基づき、車両が存在する走行区間及び走行車線を認識する。
【0046】
図4(B)は、部分地
図DB10及び配信地
図DB21に含まれる情報のうち、自動運転に関連する情報を可視化した図である。
図4(B)に示すように、部分地
図DB10及び配信地
図DB21は、車線情報と、ランドマーク情報と、ペイント情報と、道路属性情報と、規制情報とを含む。車線情報は、車線に関する情報であり、例えば、車線数の情報、車線の位置情報、当該車線が合流レーンであるか又は分岐レーンであるか等の車線の属性情報を含む。また、車線情報は、自動運転車両専用車線に関する情報を含む。例えば、自動運転車両専用車線に関する情報は、自動運転車両専用車線の有無を示す情報、自動運転車両専用車線が存在する場合の自動運転車両専用車線の車線数を示す情報及び各自動運転車両専用車線の位置を示す情報等を含む。ランドマーク情報は、自動運転時に運転支援装置1が検出すべき対象物となるランドマークに関する情報であって、例えば、電柱、ガードレール、道路標識、信号等の存在の有無を示す情報、これらが存在する場合の位置情報、高さ情報、及び形状情報などが含まれる。ペイント情報は、白線、黄線、横断歩道などの路面ペイントに関する情報であって、例えば、これらの位置、線幅、線種などの情報を含む。道路属性情報は、対応する道路区間における道路の状態を示す情報であり、例えば、道路区間における高低差、平均バンク角、路面状態(砂利道又は舗装道路等)などの情報を含む。規制情報は、運転に関する規制情報であって、走行速度を制限する情報である速度規制情報と、車線の通行を制限する情報である車線規制情報と、自動運転規制情報Irとを含む。
【0047】
図5は、自動運転規制情報Irのデータ構造の一例である。自動運転規制情報Irは、「道路区間」、「車線」、「規制内容」の各項目を含む。項目「規制内容」には、各道路区間の車線ごと及び天候ごとに、自動運転に関する規制の内容が登録されている。例えば、道路区間Aの車線A1の場合、天候が「晴れ」のときには、自動運転に関する規制がない。また、道路区間Aの車線A2の場合、天候が「晴れ」のときには、識別番号が「13564」等に該当する車両のみが自動運転を許可されており、その他の車両については自動運転が禁止されている。また、道路区間Bの車線B1の場合、天候が「晴れ」のときには、自動化レベルLvがレベル2以下のみ自動運転が許可されている。また、道路区間Bの車線B2の場合、天候によらず全ての自動化レベルLvに対応する自動運転が禁止されている。
【0048】
一般的に、悪天候の場合は、自動運転に用いられるセンサ等の検出精度が低下すること等に起因して、天気が良い場合に比べて自動運転が困難となることが予想される。以上を勘案し、
図5に示す自動運転規制情報Irでは、天候毎に規制内容が登録されている。なお、
図5の例に代えて、天候毎に登録せずに、車線毎に規制内容を登録するようにしてもよい。この場合は、所定の天候(例えば晴れ)の時の規制内容を車線毎に登録するようにすればよい。
【0049】
また、
図5の例では、道路区間Bの車線B3の場合、自動運転車両専用レーンである旨及び自動運転に関する規制がない旨が登録されている。このように、自動運転車両専用レーンの場合は、自動運転車両専用レーンである旨に加え、自動運転に関する規制が無い旨の情報や、所定のレベル以下の自動運転を禁止する旨の情報等の自動運転に関する規制の情報を登録するようにしてもよい。
【0050】
図4(C)は、自動運転能力情報Icのデータ構造の一例である。自動運転能力情報Icには、自動化レベルLvごとに、車両の対応の有無及び使用するセンサが規定されている。
図4(C)に示す自動運転能力情報Icによれば、運転支援装置1の車両は、自動化レベルLvがレベル1~3までの自動運転に対応しており、レベル4の自動運転には対応していない。また、センサ部13がカメラ31及びライダ32を有することから、運転支援装置1は、自動運転の規制がない道路では、レベル1~3の自動運転制御を実行することが可能である。なお、項目「使用センサ」で指定されたセンサが故障等により使用可能状態でない場合、又は、当該センサが車両若しくは運転支援装置1に付属していない場合には、自動運転判定部17は、項目「車種対応」で「○」となっている自動化レベルLvであっても、当該自動化レベルLvに基づく自動運転は実行できないと判断する。
【0051】
ここで、
図4(C)及び
図5を参照し、自動運転判定部17の判定方法の具体例について説明する。
【0052】
例えば、自動運転判定部17は、運転支援装置1の車両が道路区間Aの車線A1を走行中であり、かつ天候が「晴れ」であると判断した場合、自動運転規制情報Irを参照し、自動運転に関する規制がないことを認識する。よって、この場合、自動運転判定部17は、レベル1~3の自動運転が可能であると判定し、自動運転制御部18は、例えば、実行可能な最高のレベルであるレベル3により自動運転を行う。また、自動運転判定部17は、運転支援装置1の車両が道路区間Aの車線A2を走行中であり、かつ天候が「晴れ」であると判断した場合、記憶部12が記憶する車両識別情報Idが示す識別番号が、道路区間Aの車線A2に対応する項目「規制内容」において指定された識別番号であるか否か判定する。そして、自動運転判定部17は、記憶部12が記憶する車両識別情報Idが示す識別番号が、道路区間Aの車線A2に対応する項目「規制内容」において指定された識別番号である場合、レベル1~3の自動運転が可能であると判定し、それ以外の場合には自動運転が不可であると判定する。
【0053】
また、自動運転判定部17は、運転支援装置1の車両が道路区間Bの車線B1を走行中であり、かつ天候が「晴れ」であると判断した場合、自動運転規制情報Irを参照し、レベル2までの自動運転が可能であることを認識する。よって、この場合、自動運転制御部18は、例えば、実行可能な最高のレベルであるレベル2により自動運転を行う。また、自動運転判定部17は、運転支援装置1の車両が道路区間Bの車線B2を走行していると判断した場合、自動運転規制情報Irを参照し、車線B2では自動運転が禁止されていることを認識する。よって、この場合、自動運転制御部18は、自動運転制御を実行しない。
【0054】
なお、
図5に示した自動運転規制情報Irおよび
図4(C)に示した自動運転能力情報Icは、所定の地域毎に異なる内容の情報であってもよい。この場合、記憶部12は、所定の地域ごとに異なる自動運転規制情報Ir及び自動運転能力情報Icを記憶する。自動運転レベルの定義は、地域毎(例えば欧州における国境や北米の州毎)に定義が異なることが予測されるためである。また、制御部15は、所定の時間経過毎に最新の自動運転規制情報Irおよび自動運転能力情報Icをサーバ装置2等から受信し、所定の時間経過毎に記憶部12に記憶した自動運転規制情報Irおよび自動運転能力情報Icを更新することが望ましい。自動運転レベルの定義は、時間の経過とともに変更されることが予測されるためである。
【0055】
また、自動運転判定部17は、入力部14によって、搭乗者(運転車)の運転能力に関する情報を受け付けた場合、当該運転能力に関する情報を更に考慮して、自動運転制御部18が実行する自動運転の程度(レベル)を判定してもよい。例えば、搭乗者の運転能力が低い場合は、自動運転レベル3以下の制御を禁止し、自動運転レベル4の制御のみを実行させるようにしても良い。
【0056】
[表示例]
図6及び
図7は、表示制御部19が部分地
図DB10を参照して表示する地図画面の表示例である。
図6及び
図7では、表示制御部19は、部分地
図DB10を参照し、GPS受信機33等により測定した現在位置周辺の地図を表示している。
【0057】
図6は、比較的縮尺が大きい場合の表示例である。ここでは、地図の表示範囲内には、道路81~88が存在している。なお、マーク70は、車両の現在位置を示す。
図6の例では、表示制御部19は、自動運転規制情報Irにより規制されていない自動化レベルLvを示す線(「レベル表示線Ln」とも呼ぶ。)を道路81~88上に表示している。ここで、表示制御部19は、レベル表示線Lnの線種を、自動運転規制情報Irに基づく自動運転の規制内で実行可能な最大の自動化レベルLvに応じて決定している。
図6では、表示制御部19は、自動化レベルLvの最大がレベル3である道路区間に対応する道路81、82を、実線のレベル表示線Lnにより重ね、自動化レベルLvの最大がレベル2である道路区間に対応する道路83、84を、点線のレベル表示線Lnにより重ねて表示している。また、表示制御部19は、自動化レベルLvの最大がレベル1である道路区間に対応する道路85~87を、一点鎖線のレベル表示線Lnにより重ね、自動運転が禁止されている道路区間に対応する道路88を、二点鎖線のレベル表示線Lnにより重ねて表示している。なお、表示制御部19は、線種に代えて、線幅又は/及び線色を(又は表示する道路そのものの色を)、自動運転規制情報Irに基づく規制内で実行可能な最大の自動化レベルLvに応じて変えてもよい。
【0058】
図7は、比較的縮尺が小さい場合の表示例である。
図7の例では、表示制御部19は、まず、現在位置周辺の地図を所定数のメッシュに分割する。次に、メッシュ毎に、当該メッシュのそれぞれに含まれる道路区間(又は車線)における、自動運転の規制内容の情報(各道路区間又は車線における自動運転レベル)を取得する。そして、各メッシュのそれぞれを、取得した規制内容の情報に応じた色で表示する。このように表示することで、利用者は所定の位置(例えば現在位置)から、どの程度の規制内容で、どの程度走行することができるのかを俯瞰することができる。言いかえれば、利用者は所定の位置(例えば現在位置)から、ある特定の自動運転レベルで行くことができる範囲や場所を容易に把握することが可能となる。
【0059】
なお、一つのメッシュに対し複数の規制内容の情報が取得された場合、第1の例では、各メッシュ内における最も占有面積が大きい道路区間(又は車線)における自動運転の規制内容の情報を採用するようにしてもよい。第2の例では、各メッシュ内における最も高い自動運転レベルを採用してもよい。第1及び第2の例によれば、少なくとも各メッシュには、採用された自動運転のレベルに対応する道路又は車線が存在するということを利用者が把握できるようになる。また、第3の例では、各メッシュ内における最も低い自動運転レベルを採用するようにしても良い。第3の例によれば、メッシュのそれぞれが最低でもその自動運転レベルを維持して走行することができるということを利用者が把握できるようになる。言いかえれば、利用者は、確実に実行可能な自動運転レベルを把握することが可能となる。また、第4の例では、所定の走行ルートが設定されている場合には、当該走行ルートに含まれている道路又は車線に対応する自動運転レベルを採用するようにしてもよい。第4の例によれば、利用者は、走行ルートに従って走行する際の自動運転レベルの推移を容易に把握することが可能となる。
【0060】
また、表示制御部19は、表示させる地図の縮尺情報を取得し、当該縮尺情報に応じて、表示の態様を変えるようにしてもよい。例えば、所定の縮尺よりも大きい場合は、
図6のように、道路又は車線毎に規制内容の情報(自動運転レベル)をレベル表示線Lnにより表示し、所定の縮尺よりも小さい場合には、
図7のようにメッシュ毎に規制内容の情報を表示するようにしてもよい。
【0061】
このように、運転支援装置1は、自動運転規制情報Irにより規制されていない自動運転の自動化レベルLvが視認可能な態様により地図を表示することで、運転操作が必要な区間及び必要とされる運転操作の程度を好適に運転者に認識させることができる。
【0062】
なお、
図6の表示例では、表示制御部19は、運転支援装置1の車両が地図中の各道路を通過する際に実行する自動化レベルLvに応じて、各道路に重ねて表示するレベル表示線Lnの表示態様を変えてもよい。この場合、表示制御部19は、自動運転規制情報Irに加え、記憶部12に記憶する車両識別情報Id及び自動運転能力情報Icをさらに勘案することで、地図上に表示される各道路について実行可能な自動化レベルLvを判定し、その判定結果に基づきレベル表示線Lnを表示する。表示制御部19は、
図7の表示例においても同様に、運転支援装置1の車両がメッシュ内の各道路を通過する際に実行する自動化レベルLvに応じて、各メッシュの表示態様を変えてもよい。
【0063】
以上説明したように、本実施例に係るサーバ装置2は、所定区間に対応する車両の自動運転を規制するための自動運転規制情報Irを含む配信地
図DB21を記憶し、自動運転規制情報Irを含む地図データD1を運転支援装置1へ送信する。そして、運転支援装置1は、自動運転規制情報Irを含む地図データD1を受信し、受信した自動運転規制情報Irに基づいて、車両の自動運転を制御する。これにより、サーバ装置2は、車両の運転支援装置1に自動運転の規制を把握させ、車両の自動運転を好適に規制することができる。
【0064】
[変形例]
次に、実施例に好適な変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合わせて上述の実施例に適用してもよい。
【0065】
(変形例1)
図2のブロック構成は、一例であり、本発明が適用可能なブロック構成は、これに限定されない。例えば、サーバ装置2は、運転支援装置1に代えて、実施例で説明した自動運転判定部17の処理を実行してもよい。
【0066】
この場合、サーバ装置2は、走行中の車両の運転支援装置1から現在位置情報、自動運転能力情報Ic、及び車両識別情報Id等を受信し、受信した現在位置情報が示す位置に対応する道路区間及び車線を認識する。そして、サーバ装置2は、認識した道路区間及び車線に対応する配信地
図DB21の自動運転規制情報Irを参照し、運転支援装置1を搭載する車両が実行可能な自動化レベルLvを判定する。そして、サーバ装置2は、実行可能な自動化レベルLvの情報を運転支援装置1へ送信する。この場合、運転支援装置1の自動運転制御部18は、サーバ装置2から受信した情報に基づき、実行可能な自動化レベルLvを認識して自動運転を実行する。
【0067】
(変形例2)
自動運転規制情報Irは、自動化する運転機能(「自動運転機能Fc」とも呼ぶ。)ごとに、自動運転を規制する情報であってもよい。この場合、例えば、自動運転機能Fcごとに自動化レベルLvが規定され、自動運転判定部17は、自動運転機能Fcごとに、実行可能な自動化レベルLvを判定する。なお、自動運転機能Fcは、例えば、レーンキープ機能(LKA:Lane Keeping Assist)、自動操舵機能、速度調整機能などを含む。
【0068】
図8(A)は、変形例に係る自動運転能力情報Icのデータ構造の一例を示す。
図8(A)の例では、自動運転機能Fcとして、機能A及び機能Bが存在し、機能Aは自動化レベルLvが3段階存在し、機能Bは自動化レベルLvが2段階存在する。そして、
図8(A)の自動運転能力情報Icは、運転支援装置1の車両が、機能Aのレベル1~3及び機能Bのレベル2に対応し、かつ、機能Bのレベル1に対応していないことを示している。
【0069】
図8(B)は、変形例に係る自動運転規制情報Irのデータ構造の一例を示す。
図8(B)の自動運転規制情報Irによれば、道路区間Bの車線B1では、自動運転機能Fcごとの実行可否及び実行可能な自動化レベルLvが規制されている。具体的には、道路区間Bの車線B1では、機能Aのレベル2以下、及び、機能Bのレベル1のみが実行可能であることを示している。この場合、自動運転判定部17は、
図8(A)に示す自動運転能力情報Icに基づき、機能Bのレベル1を実行することができないことから、道路区間Bの車線B1では、機能Aのレベル1及びレベル2が実行可能であると判定する。このように、自動運転規制情報Irには、実行可能な自動運転機能Fc及び自動化レベルLvを規制する情報が含まれる。
【0070】
従って、本変形例においても、サーバ装置2は、
図8(B)に示すような自動運転規制情報Irを含む配信地
図DB21を記憶し、配信地
図DB21から抽出した地図データD1を運転支援装置1に送信することで、運転支援装置1に自動運転規制情報Irを含む部分地
図DB10を記憶させる。これにより、運転支援装置1は、自動運転機能Fcごとに自動化レベルLvが定義されている場合であっても、自動運転能力情報Ic及び自動運転規制情報Irを参照し、好適に自動運転機能Fcごとに実行可能な自動化レベルLvを判定して実行することができる。
【0071】
また、本変形例において、運転支援装置1の表示制御部19は、
図6に示すようにレベル表示線Lnを地図上に表示する場合、道路ごとに実行可能な自動運転機能Fc及び自動化レベルLvが識別できる態様によりレベル表示線Lnを表示してもよい。この場合、例えば、表示制御部19は、実行可能な自動運転機能Fcごとにレベル表示線Lnを表示すると共に、自動運転機能Fcごとのレベル表示線Lnを実行可能な自動化レベルLvに応じて線種や線幅などの自動運転機能Fcごとのレベル表示線Lnの表示態様を変える。
【0072】
なお、
図8の例に代えて、各自動運転機能Fcには、自動化レベルLvが設けられていなくともよい。この場合、自動運転規制情報Irの項目「規制内容」には、自動運転機能Fcごとの実行の可否に関する情報が登録され、自動運転能力情報Icには、自動運転機能Fcごとの車両の実行可否に関する情報が登録される。
【0073】
(変形例3)
運転支援装置1は、部分地
図DB10とは別に自動運転規制情報Irを取得及び保持してもよい。この場合、運転支援装置1は、例えば、全ての道路区間に対応する自動運転規制情報Irを予め記憶しておいてもよく、サーバ装置2から地図データD1を取得するタイミングとは異なるタイミングで自動運転規制情報Irをサーバ装置2から取得してもよい。
【0074】
(変形例4)
運転支援装置1は、配信地
図DB21の一部に相当する地図データD1を受信する代わりに、配信地
図DB21の全データをサーバ装置2から受信して記憶してもよい。この場合、運転支援装置1は、所定の時点における配信地
図DB21を予め記憶しておき、更新に必要なデータのみをサーバ装置2から受信してもよい。この場合、運転支援装置1は、所定の時間間隔ごとに、記憶した地図データの更新の要否の問合せをサーバ装置2に対して行い、更新に必要なデータをサーバ装置2から適宜ダウンロードする。
【0075】
(変形例5)
自動運転システムは、運転支援装置1及びサーバ装置2に加え、地図データD1に関する運転支援装置1及びサーバ装置2のデータ通信を仲介する配信装置を有してもよい。この場合、配信装置は、運転支援装置1の地図データD1の要求信号を受信し、要求信号に基づく地図データD1をサーバ装置2から取得する。そして、配信装置は、サーバ装置2から取得した地図データD1を、要求元の運転支援装置1へ送信する。
【0076】
(変形例6)
上述した実施例においては、
図5に示した通り、車線毎に自動運転に関する規制の内容を登録するようにした。これに代えて、自動運転規制情報Irとして、道路区間毎に自動運転に関する規制の内容を登録するようにしてもよい。
【0077】
(変形例7)
上述した実施例においては、
図5に示した通り、車線毎に自動運転に関する規制の内容を登録するようにした。これに代えて、自動運転規制情報Irとして、所定のエリアごとに自動運転に関する規制の内容を登録するようにしてもよい。この場合、同一エリア内においては、どの道路区間のどの車線においても、同一の当該登録された自動運転に関する規制が適用されるということとなる。このように構成すれば、道路単位又は車線単位での自動運転レベルの判定が不要となり、演算処理負荷を低減させることが可能となる。また、例えば、当該所定のエリアを行政区として、行政区毎に分割されたエリアごとに自動運転に関する内容(例えば自動運転レベル)が用意されてもよい。
【0078】
(変形例8)
部分地
図DB10及び配信地
図DB21は、自動運転規制情報Irとして、POIや地物毎に、自動運転に関する規制の内容を登録するようにしても良い。この場合、POIや地物を、対応する自動運転に関する規制情報と関連付けて表示してもよい。
【0079】
図9は、本変形例における自動運転規制情報Irの一部のデータ構造例を示す。
図10は、
図9の自動運転規制情報Irに含まれる駐車場A、Bにおける自動運転の規制内容を示した表示例である。
図9に示す自動運転規制情報Irには、POIの一例である駐車場毎に、自動運転に関する規制の内容が登録されている。また、
図10の表示例では、表示制御部19は、
図9の自動運転規制情報Irに登録されている駐車場A、Bを、対応する自動運転に関する規制情報と関連付けて表示させている。
【0080】
駐車場においては、入場してから駐車するまでを自動運転にて行うことが可能である。また、駐車場の広さやその他環境によって、実行可能な自動運転のレベルが異なることが想定される。従って、例えば、駐車スペースが比較的広い場合や高精度に自車位置を推定する際に利用可能なもの(例えば、白線や柱等のセンサで認識可能なもの)が駐車スペース付近に存在する場合は、自動運転レベルを高く設定し、駐車スペースが比較的狭い場合や高精度に自車位置を推定する際に利用可能なものが駐車スペース付近に存在しない場合は、自動運転レベルを低く設定するとよい。
【0081】
また、
図10の表示例に代えて、運転支援装置1は、自動運転規制情報Irに登録されたPOIや地物を、対応する自動運転に関する規制情報毎に異なる色で(言いかえれば実行可能な自動運転レベル毎に色分けして)表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 運転支援装置
2 サーバ装置
9 ネットワーク
11 通信部
12 記憶部
13 センサ部
14 入力部
15 制御部
16 出力部