(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】電気コネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
H01R 13/6474 20110101AFI20230425BHJP
【FI】
H01R13/6474
(21)【出願番号】P 2018168012
(22)【出願日】2018-09-07
【審査請求日】2021-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138140
【氏名又は名称】藤岡 努
(74)【代理人】
【氏名又は名称】藤岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】玉井 暢洋
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-127421(JP,A)
【文献】特開2012-059385(JP,A)
【文献】特開2015-060655(JP,A)
【文献】特開2018-010724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/00-13/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに挿抜可能に嵌合接続される第一電気コネクタと第二電気コネクタとを有する電気コネクタ組立体において、
上記第一電気コネクタは、上記第二電気コネクタとの挿抜方向に対して直角な一方向を端子配列方向として配列された信号伝送のための複数の第一端子
と、該第一端子を保持する樹脂製の第一端子保持体とを有し、
該第一端子は、
上記第一端子保持体に保持される中間線路部を有しているとともに、該中間線路部よりもコネクタ嵌合側に位置する自由端部に、上記挿抜方向に沿って延びる接触腕部を有しており、
上記第一端子保持体は、上記中間線路部におけるコネクタ嵌合側の部分を覆う被覆部を有しており、
上記第二電気コネクタは、上記端子配列方向と同じ方向に配列された信号伝送のための複数の第二端子
と、該第二端子を保持する樹脂製の第二端子保持体とを有し、
該第二端子は、
上記第二端子保持体に保持される被保持部を有しているとともに、該被保持部よりもコネクタ嵌合側に位置する自由端部に、上記第一端子の上記接触腕部の上記挿抜方向での中間部に接触可能な突状接点部を有しており、
上記第一端子の接触腕部は、上記第二端子の突状接点部との接触位置から該接触腕部の自由端部までにわたって上記挿抜方向に延びる部分がスタブ部を形成し、
第一端子のうちスタブ部以外の部分と第二端子とが主伝送経路をなしており、
上記主伝送経路のうち
、上記第一端子保持体の上記被覆部におけるコネクタ嵌合側とは反対側の端部から、上記第二端子の上記被保持部におけるコネクタ嵌合側とは反対側の端部までの範囲に対応して形成されている所定範囲に
上記接触位置が含まれており、
上記所定範囲
に含まれる、上記接触位置の両側の範囲におけるインピーダンスが、上記スタブ部におけるインピーダンスよりも小さくなっていることを特徴とする電気コネクタ組立体。
【請求項2】
上記主伝送経路のうち上記所定範囲の部分の電気長は、上記スタブ部の電気長をL
0としたとき、4L
0となっていることとする請求項1の電気コネクタ組立体。
【請求項3】
上記主伝送経路のうち上記所定範囲の部分は、第一端子に形成された部分の電気長と第二端子に形成された部分の電気長とが等しくなっていることとする請求項1又は請求項2に記載の電気コネクタ組立体。
【請求項4】
上記主伝送経路のうち上記所定範囲の部分における端子配列方向での寸法が、上記スタブ部における同方向での寸法よりも大きくなっていることとする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電気コネクタ組立体。
【請求項5】
上記主伝送経路のうち上記所定範囲の部分における、端子配列方向及び挿抜方向の両方に対して直角な方向での寸法が、上記スタブ部における同方向での寸法よりも大きくなっていることとする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電気コネクタ組立体。
【請求項6】
第一端子及び第二端子は、それぞれ樹脂製の端子保持体によって保持されており、
上記主伝送経路のうち上記所定範囲の部分は、上記挿抜方向における少なくとも一部が、上記端子保持体の一部によって覆われていることとする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の電気コネクタ組立体。
【請求項7】
上記第二端子の突状接点部は、上記第一端子の接触腕部へ向けて突出した形状をなし、上記第一端子の上記接触腕部を上記接触位置へ案内するための案内部が上記第二端子の自由端側の範囲に形成されており、
上記第一コネクタの上記端子保持体は、コネクタ嵌合状態にて上記挿抜方向での上記案内部に対応する位置で上記第一端子を覆っていることとする請求項6に記載の電気コネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
電気コネクタ同士を嵌合接続する場合において、互いに接触する端子の接触部の形状として種々の形状が考えられる。例えば、特許文献1のコネクタには、弾性変位しない直状のプラグ端子と弾性変位して該プラグ端子に接触するレセプタクル端子とで互いに接触するコネクタ組立体が開示されている。この特許文献1の電気コネクタ組立体は、回路基板用コネクタとしてのプラグコネクタと、他の回路基板用コネクタとしてのレセプタクルコネクタとを有している。プラグコネクタに配列保持されている複数の端子はコネクタの挿抜方向に延びる直状のプラグ端子であり、レセプタクルコネクタに配列保持されている複数の端子は弾性変位可能なレセプタクル端子である。コネクタ嵌合接続過程にて、該レセプタクル端子は、上記プラグ端子との接圧のもとで弾性変位しながら摺動した後、その弾性変位状態を維持したまま上記プラグ端子と接触するようになっている。
【0003】
上記プラグ端子は、コネクタ嵌合側の先端(自由端)位置から中間位置にわたる部分を上記レセプタクル端子との接触が可能な接触腕部として形成されている。該接触腕部の詳細な形状については、特に記載がなく不明である。一方、上記レセプタクル端子は、コネクタ嵌合側の先端部に突状の接触部(突状接点部)が形成されており、該突状接点部が、上記接触腕部の長手方向中間位置にて該接触腕部に接触するようになっている。レセプタクル端子の突状接点部との接触位置からプラグ端子の先端(自由端)までの距離は、いわゆる有効嵌合長であり、これを大きく設定しておくことにより、コネクタ同士の嵌合深さに左右されることなく確実に接触状態が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、プラグ端子における上記有効嵌合長をなす部分、すなわち、レセプタクル端子の突状接点部との接触位置からプラグ端子の先端(自由端)までの距離は、は、いわゆるスタブでもある。端子同士を接続して高速信号を伝送する際、該スタブでは、伝送された信号が反射して共振を生じることがあり、この結果、伝送されるべき信号を弱めてしまう等、高速信号伝送の特性を低下させるおそれがある。
【0006】
上述の信号の反射ひいては高速信号伝送特性の低下の度合いは、伝送される高速信号の周波数が特定の周波数(共振周波数)であるときに最大となる。信号の反射は、共振周波数のみで生じるのではなく、該共振周波数の近傍の所定の周波数範囲でも生じ、その反射の度合いは共振周波数に近づくにつれて大きくなり、これに伴って高速信号伝送の特性が低下していく。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑み、共振周波数の近傍の周波数範囲において、信号の反射ひいては信号伝送特性の低下を抑制できる電気コネクタ組立体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
コネクタ挿抜方向に沿って延びる接触腕部をもつ端子(説明の便宜上「第一端子」という)と突状接触部をもつ端子(説明の便宜上「第二端子」という)とを接触させて信号を伝送する場合、第一端子の接触腕部における、上記突状接点部との接触位置から該接触腕部の自由端部までにわたって上記挿抜方向に延びる部分がスタブ部を形成し、第一端子のうちスタブ部以外の部分と第二端子とが主伝送経路を形成する。発明者は、上記主伝送経路のうち上記接触位置を含む所定範囲の部分におけるインピーダンスが、上記スタブ部におけるインピーダンスよりも小さいとき、共振周波数の近傍の周波数範囲において、信号の反射ひいては信号伝送特性の低下が抑制されることを見出した。本発明は、このことに着目して、端子や該端子を保持する樹脂製の端子保持体の寸法や形状を決定しようとするものである。
【0009】
<第一発明>
第一発明に係る電気コネクタ組立体は、互いに挿抜可能に嵌合接続される第一電気コネクタと第二電気コネクタとを有する。
【0010】
かかる電気コネクタ組立体において、本発明では、上記第一電気コネクタは、上記第二電気コネクタとの挿抜方向に対して直角な一方向を端子配列方向として配列された信号伝送のための複数の第一端子を有し、該第一端子は、コネクタ嵌合側に位置する自由端部に、上記挿抜方向に沿って延びる接触腕部を有しており、上記第二電気コネクタは、上記端子配列方向と同じ方向に配列された信号伝送のための複数の第二端子を有し、該第二端子は、コネクタ嵌合側に位置する自由端部に、上記第一端子の上記接触腕部の上記挿抜方向での中間部に接触可能な突状接点部を有しており、上記第一端子の接触腕部は、上記第二端子の突状接点部との接触位置から該接触腕部の自由端部までにわたって上記挿抜方向に延びる部分がスタブ部を形成し、第一端子のうちスタブ部以外の部分と第二端子とが主伝送経路をなしており、上記主伝送経路のうち上記接触位置を含む所定範囲にて、該所定範囲の少なくとも一部の範囲におけるインピーダンスが、上記スタブ部におけるインピーダンスよりも小さくなっていることを特徴としている。
【0011】
本発明では、上記主伝送経路のうち上記接触位置を含む所定範囲にて、該所定範囲の少なくとも一部の範囲におけるインピーダンスが、上記スタブ部におけるインピーダンスよりも小さくなっているので、上記主信号経路にて伝送される信号の周波数が共振周波数の近傍の周波数範囲にあっても、スタブ部の存在に起因する信号の反射ひいては信号伝送特性の低下が抑制される。
【0012】
本発明において、上記主伝送経路のうち上記所定範囲の部分の電気長は、上記スタブ部の電気長をL0としたとき、4L0となっていることとしてもよい。発明者は、上記所定範囲の部分の電気長が上記スタブ部の電気長に対して約4倍の長さに設定されている場合に、信号の反射を抑制する効果が高いことを見出した。したがって、上記スタブ部の電気長をL0としたときに、上記所定範囲の部分の電気長を4L0とすることにより、信号伝送特性の低下をより効果的に抑制できる。
【0013】
本発明において、上記主伝送経路のうち上記所定範囲の部分は、第一端子に形成された部分の電気長と第二端子に形成された部分の電気長とが等しくなっていることとしてもよい。発明者は、上記所定範囲の部分において第一端子に形成された部分の電気長と第二端子に形成された部分の電気長とが等しくなっている場合、信号の反射を抑制する効果がさらに高くなることを見出した。したがって、上記第一端子に形成された部分の電気長と上記第二端子に形成された部分の電気長とを等しく設定することにより、信号伝送特性の低下をより効果的に抑制できる。
【0014】
端子におけるインピーダンスの大小は、該端子と該端子の周囲に位置する金属製部材(例えば、他の端子やグランド板等)との対向面積や距離に影響を受ける。具体的には、上記対向面積が小さくなるほど端子でのキャパシタンスが小さくなり、その結果、インピーダンスが大きくなる。一方、上記対向面積が大きくなるほど端子でのキャパシタンスが大きくなり、その結果、インピーダンスが小さくなる。また、上記距離が大きくなるほど端子でのキャパシタンスが小さくなり、その結果、インピーダンスが大きくなる。一方、上記距離が小さくなるほど端子でのキャパシタンスが大きくなり、その結果、インピーダンスが小さくなる。
【0015】
また、端子におけるインピーダンスの大小は、該端子の周囲における誘電率の高低によっても影響を受ける。具体的には、端子の周囲における誘電率が高くなるほど端子でのキャパシタンスが大きくなり、その結果、インピーダンスが小さくなる。一方、端子の周囲における誘電率が低くなるほど端子でのキャパシタンスが小さくなり、その結果、インピーダンスが大きくなる。
【0016】
本発明において、上記主伝送経路のうち上記所定範囲の部分における端子配列方向での寸法が、上記スタブ部における同方向での寸法よりも大きくなっていることしてもよい。
このように上記所定範囲の部分の寸法を設定することにより、上記所定範囲の部分における端子間の距離がスタブ部における端子間の距離よりも小さくなる。また、端子に対してグランド板が並設されている場合、上記所定範囲の部分における上記グランド板との対向面積がスタブ部における上記グランド板との対向面積よりも大きくなる。この結果、上記所定範囲の部分におけるインピーダンスをスタブ部におけるインピーダンスよりも小さくできる。
【0017】
本発明において、上記主伝送経路のうち上記所定範囲の部分における、端子配列方向及び挿抜方向の両方に対して直角な方向での寸法が、上記スタブ部における同方向での寸法よりも大きくなっていることとしてもよい。このように上記所定範囲の部分の寸法を設定することにより、端子配列方向で隣接する端子同士において上記所定範囲の部分同士の対向面積がスタブ部同士の対向面積よりも大きくなる。また、端子に対してグランド板が並設されている場合、上記所定範囲の部分における上記グランド板との距離がスタブ部における上記グランド板との距離よりも小さくなる。この結果、上記所定範囲の部分におけるインピーダンスをスタブ部におけるインピーダンスよりも小さくできる。
【0018】
本発明において、第一端子及び第二端子は、それぞれ樹脂製の端子保持体によって保持されており、上記主伝送経路のうち上記所定範囲の部分は、上記挿抜方向における少なくとも一部が、上記端子保持体の一部によって覆われていることとしてもよい。このように上記所定範囲の部分を上記端子保持体によって覆うことにより、該所定範囲の部分の周囲には、空気よりも誘電率の高い樹脂製の部材が存在することとなるので、上記所定範囲の部分におけるインピーダンスをスタブ部におけるインピーダンスよりも小さくできる。
【0019】
本発明において、上記第二端子の突状接点部は、上記第一端子の接触腕部へ向けて突出した形状をなし、上記第一端子の上記接触腕部を上記接触位置へ案内するための案内部が上記第二端子の自由端側の範囲に形成されており、上記第一コネクタの上記端子保持体は、コネクタ嵌合状態にて上記挿抜方向での上記案内部に対応する位置で上記第一端子を覆っていることとしてもよい。
【0020】
発明者は、上記所定範囲の部分のうち、特に、上記第一端子と上記第二端子との接触位置に近接した位置でのインピーダンスが小さいほど、伝送される信号の反射を抑制する効果が高いことを見出した。本発明では、上述のように、コネクタ嵌合状態にて、上記第一端子を覆う上記端子保持体を第二端子の上記案内部に対応する位置にもたらすことにより、該端子保持体が上記挿抜方向で上記接触位置に近接して位置することとなる。この結果、上記所定範囲の部分のうち接触位置に近接した位置でのインピーダンスをより小さくできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、以上のように、第一端子及び第二端子における主伝送経路のうち端子同士の接触位置を含む所定範囲にて、該所定範囲の少なくとも一部の範囲におけるインピーダンスが、第一端子のスタブ部におけるインピーダンスよりも小さくなっているので、上記主伝送経路にて伝送されている信号の周波数が共振周波数の近傍の周波数範囲にあっても、スタブ部の存在に起因する信号の反射ひいては信号伝送特性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る中継電気コネクタを相手コネクタとともに示した斜視図であり、嵌合前の状態を示している。
【
図2】
図1の中継電気コネクタ及び相手コネクタを嵌合状態で示した斜視図である。
【
図3】
図1の中継電気コネクタのブレードを示す斜視図であり、(A)はグランド板側から見た状態を示しており、(B)は端子配列面側から見た状態を示している。
【
図4】
図3(B)のブレードから端子及びグランド板を抽出するとともに、相手コネクタから相手信号端子及び相手グランド部材を抽出して端子側から見た斜視図であり、(A)はコネクタ嵌合前の状態、(B)はコネクタ嵌合状態を示している。
【
図5】中継電気コネクタ及び相手コネクタのコネクタ幅方向における信号端子の位置での断面の一部を示す図であり、(A)はコネクタ嵌合前の状態、(B)はコネクタ嵌合状態を示している。
【
図6】中継電気コネクタ及び相手コネクタの一部をブレードの配列方向から見た図であり、(A)はコネクタ嵌合前の状態、(B)はコネクタ嵌合状態を示している。
【
図7】第一実施形態の変形例における、中継電気コネクタ及び相手コネクタのコネクタ幅方向における信号端子の位置での断面の一部を示す図であり、コネクタ嵌合状態を示している。
【
図8】本発明の原理を説明するための図であり、(A)は、主伝送経路及びスタブ部を示す概略図であり、(B)及び(C)は、伝送される信号の周波数と信号の減衰量との関係を示すグラフである。
【
図9】本発明の第二実施形態に係る電気コネクタを相手コネクタとともに示した斜視図であり、嵌合前の状態を示している。
【
図10】
図9の電気コネクタ及び相手コネクタを嵌合状態で示した斜視図である。
【
図11】電気コネクタ及び相手コネクタのそれぞれから1本の端子を抽出して示した斜視図であり、(A)はコネクタ嵌合前の状態、(B)はコネクタ嵌合状態を示している。
【
図12】電気コネクタ及び相手コネクタのコネクタ幅方向における信号端子の位置での断面の一部を示す図であり、(A)はコネクタ嵌合前の状態、(B)はコネクタ嵌合状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態について説明する。
【0024】
<第一実施形態>
図1は、第一実施形態に係る中継電気コネクタを相手コネクタとともに示した斜視図であり、嵌合前の状態を示している。また、
図2は、
図1の中継電気コネクタおよび相手コネクタを嵌合後の状態で示した斜視図である。
【0025】
本実施形態に係る電気コネクタ組立体は、高速信号の伝送に用いられるコネクタ組立体であり、第一電気コネクタとしての中継電気コネクタ1(以下、「中継コネクタ1」という)と、第二電気コネクタとしての相手コネクタ2,3とを有している。中継コネクタ1及び相手コネクタ2,3は、高速信号の伝送に用いられるコネクタである。相手コネクタ2,3は、それぞれ異なる回路基板(図示せず)上に配される回路基板用電気コネクタであり、各回路基板の面が上下方向(Z軸方向)に対して直角をなす姿勢で中継コネクタ1に嵌合される。このようにして、中継コネクタ1に対して上方(Z1側)から相手コネクタ2がそして下方(Z2側)から相手コネクタ3が嵌合接続されることにより、
図2に見られるように、相手コネクタ2,3同士が中継コネクタ1を介して接続される(相手コネクタ3は図示せず)。本実施形態では、相手コネクタ2,3は、全く同じ形状のコネクタとして構成されている。
【0026】
中継コネクタ1は、
図1に見られるように、板状をなす後述の複数のブレード20(
図3(A),(B)をも参照)と、上記複数のブレード20をその板厚方向で所定間隔をもって配列して支持する電気絶縁材製の支持体10とを有している。該支持体10は、ブレード20の配列方向(X軸方向)を長手方向とする略直方体外形をなしており、ハウジングとしての機能をも兼ねている。支持体10は、上側支持部材11と下側支持部材12とが上下方向に組み合わされることにより構成されている。
【0027】
上側支持部材11は、上方から見て四角枠状をなし複数のブレード20を包囲するための周壁11Aと、各ブレード20を該ブレード20の配列方向で所定位置範囲に位置せしめるための複数の規制部(図示せず)とを有している。周壁11Aは、ブレード20の配列方向(X軸方向)に延びる二つの側壁11Bと、該長手方向に対して直角なコネクタ幅方向(Y軸方向)に延び上記二つの側壁11Bの端部同士を連結する二つの端壁11Cとを有している。上記規制部は、周壁11Aに囲まれた空間内にて、ブレード20の配列方向に対して直角な板面をもつ板状をなして二つの側壁11Bの内壁面同士を連結しており、上記配列方向で所定間隔をもって配列形成されている。
【0028】
互いに隣接する規制部同士間あるいは該規制部と端壁11Cとの間で上下方向に貫通して形成されるスリット状の空間は、ブレード20を収容するためのブレード収容空間をなしている(図示せず)。本実施形態では、上記規制部が、上記ブレード収容空間内に収容されるブレード20の板面に当接可能に位置することによって、該ブレード20をその配列方向(X軸方向)での所定位置範囲に位置せしめている。また、側壁11Bの内壁面には、上記長手方向(X軸方向)で各ブレード収容空間と対応する位置かつ上下方向(Z軸方向)での下端寄り位置に、後述のブレード20の被支持突部21A(
図3(A),(B)参照)を上方から支持するための上側支持段部(図示せず)が形成されている。
【0029】
周壁11Aは、
図1に見られるように、規制部の上端よりも上方に延びている。この上方に延びた部分に囲まれる空間、すなわち上方に開口するとともに上記ブレード収容空間と連通する空間は、相手コネクタ2を上方から受け入れるための上側受入部11Dとして形成されている。ブレード収容空間内にブレード20が収容された状態では、
図1に見られるように、ブレード20の上端側部分がブレード収容空間の上端開口から突出し、上側受入部11D内に位置している。
【0030】
支持体10の下側支持部材12は、上下方向に見て、既述の上側支持部材11の周壁11Aと同寸法の四角枠状をなす周壁12Aを有している。該周壁12Aは、上記ブレード20の配列方向に延びる二つの側壁12Bと、該長手方向に対して直角な短手方向に延び上記二つの側壁12Bの端部同士を連結する二つの端壁12Cとを有している。側壁12Bの内壁面には、上記配列方向で上側支持部材11の各ブレード収容空間と対応する位置かつ上下方向での上端寄り位置に、後述のブレード20の被支持突部21Aを下方から支持するための下側支持段部(図示せず)が形成されている。
【0031】
また、下側支持部材12によって囲まれる空間、すなわち支持体10の規制部の下端よりも下方位置で下方に開口するとともにブレード収容空間と連通する空間は、相手コネクタ3を下方から受け入れるための下側受入部として形成されている。ブレード収容空間内にブレード20が収容された状態では、ブレード20の下端側部分がブレード収容空間の下端開口から突出し、上記下側受入部内に位置している。
【0032】
支持体10は、下側支持部材12が上側支持部材11に対して下方から嵌着されて組み立てられる。
図1に見られるように、上側支持部材11と下側支持部材12が組み合わされた状態にて、上側支持部材11の側壁11Bと下側支持部材12の側壁12Bとで支持体10の側壁が形成され、上側支持部材11の端壁11Cと下側支持部材12の端壁12Cとで支持体10の端壁が形成される。
【0033】
図3は、一つのブレード20を示す斜視図であり、(A)はグランド板側から見た状態を示しており、(B)は端子配列面側から見た状態を示している。
図4は、
図3(B)のブレード20から端子22及びグランド板23を抽出するとともに、相手コネクタ2,3から相手信号端子40及びグランド部材50を抽出して端子22側から見た斜視図であり、(A)はコネクタ嵌合前の状態、(B)はコネクタ嵌合状態を示している。
【0034】
ブレード20は、
図3(A),(B)に示されるように、板状をなす樹脂製の端子保持体としての基材21と、上下方向に延びる帯状をなし基材21の一方の板面(YZ方向に拡がった面)で一体モールド成形により配列保持された複数の第一端子としての信号端子22と、基材21の他方の板面に取り付けられた一つの金属製のグランド板23とを有している。以下、上記一方の板面を「端子配列面」、上記他方の板面を「グランド板取付面」という。
【0035】
図3(A),(B)に見られるように、基材21は、上下方向に延びる両側端縁の下端寄り位置に被支持突部21Aが突出形成されており、後述するように該被支持突部21Aが支持体10の上側支持段部および下側支持段部によって上方そして下方からで支持されるようになっている。
図3(A)に見られるように、基材21は、グランド板取付面に、グランド板23を保持するための複数の保持突部21Bが突出形成されている。
【0036】
また、
図3(B)に見られるように、基材21の端子配列面には、該基材21の上端寄り位置、下端寄り位置及び中央位置のそれぞれに、信号端子22の一部を覆う上側被覆部21C、下側被覆部21D、中央被覆部21Eが形成されている。上側被覆部21Cは、端子配列範囲にわたって延びており、端子配列方向(Y軸方向)での該信号端子22の位置で上下方向に延びる部分によって、該信号端子22の後述する中間線路部22Cの上端側部分を覆っている。下側被覆部21Dは、上側被覆部21Cを上下方向で反転させた形状をなしており、端子配列方向(Y軸方向)での信号端子22の位置で上下方向に延びる部分によって、該信号端子22の後述する中間線路部22Cの下端側部分を覆っている。中央被覆部21Eは、端子配列範囲にわたって延びており、信号端子22の後述する中間線路部22Cの上下方向中央域に形成された屈曲部分を覆っている。
【0037】
複数の信号端子22は、金属板を板厚方向に打ち抜くとともに部分的に屈曲して作られており、全体形状が上下方向(Z軸方向)で延びた帯片状をなしている。該信号端子22は、その板面がブレード20の配列方向(X軸方向)に対して直角となる姿勢で、ブレード20の幅方向(Y軸方向)を端子配列方向として等間隔に配列され、一体モールド成形により基材21に保持されている。
【0038】
本実施形態では、互いに隣接して対をなす信号端子22が高速差動信号を伝送するためのペア端子として形成されている。
図3(B)、
図4(A),(B)では、一つのブレード20に5対のペア端子が設けられた例が示されている。5対のペア端子のうち、コネクタ幅方向(Y軸方向)での両端に位置する2対及び中央に位置する1対のペア端子は、実際には交差していないが、上下方向での中間位置で互いに近づくように屈曲することにより、ブレード20の配列方向(X軸方向)に見たときに交差しているように見える疑似クロスペアを形成している。また、その他のペア端子は、上下方向での中間位置で互いに交差するクロスペアを形成している。本実施形態では、このように、互いに隣接する二つの信号端子22を疑似クロスペアあるいはクロスペアとすることにより、高速差動信号の伝送が可能となっている。
【0039】
疑似クロスペアを形成する一対の信号端子22は、
図4(A),(B)に見られるように、相手コネクタ2に設けられた後述の相手信号端子40と接触するための上側接触腕部22Aが上端側に、そして相手コネクタ3に設けられた相手信号端子40と接触するための下側接触腕部22Bが下端側にそれぞれ形成されており、該上側接触腕部22Aと該下側接触腕部22Bとが、上下方向に延びる中間線路部22Cによって連結されている。該上側接触腕部22Aと該下側接触腕部22Bとは互いに上下で対称な形状をなしている。以下、上側接触腕部22A及び下側接触腕部22Bを区別する必要がない場合には、説明の便宜上「接触腕部22A,22B」と総称する。
【0040】
上側接触腕部22Aの上端部(自由端部)及び下側接触腕部22Bの下端部(自由端部)は、その板厚方向(X軸方向)で一方の側(
図4(A),(B)ではX1側)へクランク状に屈曲されている。該接触腕部22A,22Bのクランク状に屈曲された自由端部は、その大部分が基材21内に埋設されている(
図4(B)、
図5(A),(B)、
図6(A)参照)。一方、接触腕部22A,22Bの上記自由端部を除いた直状部分は、上下方向に延びる両側端面(板厚面)及びX1側に位置する板面(圧延面)で基材21に保持されており、X2側の面が該基材21から露呈している。
【0041】
接触腕部22A,22Bは、その幅寸法(Y軸方向での寸法)が中間線路部22Cよりも小さく、幅狭となっている。また、接触腕部22A,22Bは、相手コネクタ2,3に設けられた相手信号端子40の後述の信号弾性腕部41よりも幅狭となっている(
図6(A),(B)参照)。したがって、Y軸方向で互いに隣接する上側接触腕部22A同士そして下側接触腕部22B同士の間隔は、信号端子22における互いに隣接する中間線路部22Cの直状部分同士の間隔、及び相手信号端子40における信号弾性腕部41同士の間隔よりも広くなっている。
【0042】
また、接触腕部22A,22Bの上記直状部分の露呈面(X2側の面)は、端子幅方向(Y軸方向)にて中央域から端子幅方向での両側端側へ向かうにつれて、X1側へ向けて傾斜する傾斜面をなしている(
図4(A)及び
図6(A)参照)。つまり、該接触腕部22A,22Bは、上記傾斜面が形成されていることにより、中間線路部22Cよりも板厚寸法(X軸方向での寸法)が小さくなっている。
【0043】
上側接触腕部22Aは、
図5(B)に見られるように、後述する相手信号端子40の信号突状接点部41Aと接触した状態にて、上下方向で該信号突状接点部41Aとの接触位置Pから該上側接触腕部22Aの自由端(上端)までにわたる範囲S(以下、「スタブ範囲S」)の部分がスタブ部22A-1をなす。該スタブ部22A-1の長さは、上側接触腕部22Aにおける信号突状接点部41Aとの上下方向での接触位置Pによって増減する。つまり、該接触位置Pが上側接触腕部22Aの基端(
図5(B)での下端)に寄るほど、スタブ範囲Sが大きくなるので、その分、スタブ部22A-1は長くなり、該接触位置Pが上側接触腕部22Aの上端(
図5(B)での上端)に寄るほど、スタブ範囲Sが小さくなるので、その分、スタブ部22A-1は短くなる。
【0044】
なお、本実施形態では、信号端子22において、接触腕部22A,22Bは基材21によって一体モールド成形されて保持されており弾性変位しないこととしたが、弾性変位しないことは必須ではない。例えば、接触腕部を、基材21の上下方向での端部から延出させて、該接触腕部の板厚方向で弾性変位可能に形成してもよい。
【0045】
疑似クロスペアをなす信号端子22の中間線路部22Cは、
図4(A),(B)に見られるように、上下方向での中央域にて互いに近づくように延びてから中間線路部22C側へ戻るように屈曲して延びている。該疑似クロスペアでは、X軸方向に見たときに、上記中央域にて一方の中間線路部22Cと他方の中間線路部22Cとの一部同士が重複しているが、これらの中間線路部22Cは板厚方向(X軸方向)で離間する方向に屈曲されることにより非接触となっている。また、クロスペアをなす信号端子22の中間線路部22Cは、
図4(A),(B)に見られるように、上下方向での中央域で一方の中間線路部22Cと他方の中間線路部22Cとが板厚方向で離間する方向に屈曲されることにより非接触で交差している。
【0046】
中間線路部22Cは、上側接触腕部22Aに連結された上端側部分、下側接触腕部22Bに連結された下端側部分、及び上記中央域に形成された屈曲部分の一部が基材21内に埋設されている(
図3(B)参照)。一方、該中間線路部22Cのその他の部分は、
図3(B)に見られるように、両側端面(板厚面)及びX1側に位置する板面(圧延面)で基材21に保持されており、X2側の面が該基材21から露呈している。
【0047】
グランド板23は、金属板を打ち抜いて作られている。
図3(A)に見られるように、グランド板23は、基材21の保持突部21Bを受け入れるための複数の被保持孔部23Aが、各保持突部21Bに対応する位置で貫通形成されている。該被保持孔部23Aは、保持突部21Bよりも上下方向に大きい長孔をなしており、該長孔の幅寸法が、上半部では保持突部21Bよりも若干大きく、下半部では保持突部21Bよりも若干小さくなっている。
【0048】
グランド板23の上端部は、端子配列方向(Y軸方向)で等間隔に切り欠かれて複数の上側切欠部23Bが形成されており、該上側切欠部23Bの両側に、相手コネクタ2に設けられたグランド部材50の後述のグランド突状接点部51Aに接触可能な上側グランド接触部23Cが形成されている。上側グランド接触部23Cは、端子配列方向(Y軸方向)では、信号端子22の上側接触腕部22A同士間の位置に設けられ、かつ、上下方向(Z軸方向)では、上記上側接触腕部22Aの上端部と同位置に設けられている。また、グランド板23の下端部は、上端部を上下反転したような形状をなしており、下側切欠部23D及び下側グランド接触部23Eが形成されている。
【0049】
基材21へのグランド板23の取付けの際には、基材21の保持突部21Bをそれぞれ対応する被保持孔部23Aの上半部内にもたらして、グランド板23を基材21のグランド板取付面に接面させる。そして、その接面した状態を維持したまま、グランド板23を上方へスライドさせて、保持突部21Bを被保持孔部23Aの下半部に圧入させる。この結果、
図3(A)に見られるように、グランド板23が基材21の上記グランド板取付面のほぼ全域を覆った状態で保持されて、ブレード20が完成する。
【0050】
本実施形態に係る中継コネクタ1は、以下の要領で組み立てられる。まず、上側支持部材11の下方から、該上側支持部材11の複数のブレード収容空間のそれぞれにブレード20を挿入する。このとき、全てのブレード20は、端子配列面が同じ側(X2側)へ向いた姿勢とする(
図5(A),(B)参照)。次に、上側支持部材11に対して下側支持部材12を下方から嵌着することにより、中継コネクタ1の組立てが完了する。ここで、ブレード20の被支持突部21Aが、上側支持部材11の上側支持段部と下側支持部材12の下側支持段部との間で上方そして下方から支持されることにより、上記ブレード収容空間からのブレード20の抜けが防止される。
【0051】
次に、相手コネクタ2,3の構成について説明する。相手コネクタ2,3は全く同じ構成であるので、ここでは、
図5及び
図6に示される相手コネクタ2の構成を適宜参照しながら、相手コネクタ3を中心に説明する。
図1に見られるように、相手コネクタ3は、中継コネクタ1の下側受入部に適合した直方体外形で形成された樹脂製のハウジング30と、該ハウジング30に配列保持される複数の第二端子としての相手信号端子40(
図5及び
図6参照)と、コネクタ幅方向(Y軸方向)で端子配列範囲にわたって延びハウジング30に保持されるグランド部材50(
図5及び
図6参照)とを有している。
【0052】
ハウジング30は、
図1に見られるように、回路基板(図示せず)の実装面に対して平行に拡がり相手信号端子40及びグランド部材50を保持する端子保持体としての樹脂製の保持体31と、該保持体31に上方から嵌着され相手信号端子40及びグランド部材50を収容する樹脂製の収容体32とを有している。保持体31は、相手信号端子40の後述の信号側被保持部42を圧入保持する信号用保持孔部31Aと、グランド部材50の後述のグランド側被保持部52を圧入保持するグランド用保持孔部31Bとが形成されている(
図5(A),(B)参照)。上記信号用保持孔部31A及びグランド用保持孔部31Bは、保持体31を上下方向に貫通して形成されている。
【0053】
収容体32は、上下方向に見て四角枠状をなす周壁32Aと、該周壁32Aに囲まれた空間でコネクタ幅方向(Y軸方向)に延びる複数の収容壁32Bとを有している。周壁32Aは、ハウジング30の長手方向(X軸方向)に延びる二つの側壁32A-1と、該長手方向に対して直角な短手方向であるコネクタ幅方向(Y軸方向)に延び上記二つの側壁32A-1の端部同士を連結する二つの端壁32A-2とを有している。複数の収容壁32Bは、コネクタ幅方向(Y軸方向)に延びて二つの側壁32A-1同士を連結している。該収容壁32Bの二つの板面(YZ方向に拡がる面)のうちX2側に位置する板面側には、相手信号端子40の後述の信号弾性腕部41を収容するための信号用収容溝32B-1が上下方向に延びて形成されている。一方、収容壁32BのX1側に位置する板面側には、グランド部材50の後述のグランド弾性腕部51を収容するためのグランド用収容溝32B-2が上下方向に延びて形成されている。
【0054】
複数の相手信号端子40は、
図4(A),(B)に見られるように上下方向に延びる帯状の金属板部材で作られており、その板面が相手コネクタ2の長手方向(X軸方向)に対して直角をなす姿勢で、コネクタ幅方向(Y軸方向)で中継コネクタ1の端子22と対応して位置するように配列されている。該相手信号端子40は、収容壁32BのX1側に位置する板面に沿って設けられており、信号用収容溝32B-1にて圧入保持されている。本実施形態では、相手信号端子40は、その板厚寸法(X軸方向での寸法)が、中継コネクタ1に設けられている信号端子22の下側接触腕部22Bの板厚寸法よりも大きくなっている。また、信号弾性腕部41は、後述の信号弾性腕部41及び信号側被保持部42の端子幅寸法(Y軸方向での寸法)が、中継コネクタ1に設けられている信号端子22の下側接触腕部22Bの端子幅寸法よりも大きくなっている。
【0055】
相手信号端子40は、
図4(A)に見られるように、上下方向に延びその板厚方向(X軸方向)で弾性変位可能な信号弾性腕部41と、該信号弾性腕部41の下端から下方へ延びる信号側被保持部42と、該信号側被保持部42の下端から下方へ延びる信号接続部43とを有している。信号弾性腕部41は、ハウジング30の保持体31の上面から収容体32の信号用収容溝32B-1(
図1参照)内を上方へ向けて延びている。該信号弾性腕部41の上端部(自由端部)には、X1側、すなわちコネクタ嵌合状態で中継コネクタ1の端子22側へ向けて凸湾曲して突出した信号突状接点部41Aが屈曲形成されている。該信号突状接点部41Aは、信号用収容溝32B-1外に突出した部分(突出頂部)で、中継コネクタ1の信号端子22の下側接触腕部22Bに弾性接触可能となっている。また、信号突状接点部41Aは、その突出頂部よりも自由端側、すなわち上端側の範囲に、中継コネクタ1の信号端子22をX軸方向で正規の接触位置へ案内するための案内部41Bが形成されている(
図5(A),(B)参照)。
【0056】
なお、本実施形態では、相手信号端子40において、信号突状接点部41Aが形成される部分は弾性変位可能な信号弾性腕部41であることとしたが、該部分が弾性変位可能となっていることは必須ではない。例えば、上記信号弾性腕部41に代えて、上下方向に延びる弾性変位しない接触腕部を相手信号端子40に設け、該接触腕部に信号突状接点部を形成することとしてもよい。
【0057】
信号側被保持部42は、ハウジング30の保持体31の信号用保持孔部31Aへ上方から圧入され、該信号側被保持部42の側縁に形成された圧入突起が信号用保持孔部31Aの内壁面に喰い込むことにより該信号用保持孔部31A内で保持されている。信号接続部43は、ハウジング30の保持体31の下面から下方へ向けて直状に延出しており、その下端部に、
図1に見られるように、回路基板との半田接続のための半田ボールB(相手コネクタ2の半田ボールBをも参照)が設けられている。
【0058】
グランド部材50は、一つの金属板部材を部分的に板厚方向で屈曲して作られており、上下方向に延びその板厚方向(X軸方向)で弾性変位可能な複数のグランド弾性腕部51と、該グランド弾性腕部51の下端から下方へ延びるグランド側被保持部52と、該グランド側被保持部52の下端から下方へ延びるグランド接続部53と、隣接するグランド弾性腕部51の下端部同士を連結する連結部54とを有している。
【0059】
グランド弾性腕部51は、ハウジング30の保持体31の上面から収容体32のグランド用収容溝32B-2内を上方へ延びている。該グランド弾性腕部51の上端部(自由端部)はX2側へ突出するように屈曲されており、グランド用収容溝32B-2外に位置する突出部分が、中継コネクタ1のグランド板23の上側グランド接触部23Cに弾性接触可能なグランド突状接点部51Aをなしている。該グランド弾性腕部51は、コネクタ幅方向(Y軸方向)で相手信号端子40の信号弾性腕部41に対してずれた位置に設けられている。
【0060】
グランド側被保持部52は、ハウジング30の保持体31のグランド用保持孔部31Bへ上方から圧入され、該グランド側被保持部52の側縁に形成された圧入突起がグランド用保持孔部31Bの内壁面に喰い込むことにより該グランド用保持孔部31B内で保持されている。グランド接続部53は、ハウジング30の保持体31の下面から下方へ向けて直状に延出しており、その下端部に、
図1に見られるように、回路基板との半田接続のための半田ボールB(相手コネクタ2の半田ボールBをも参照)が設けられている。連結部54は、隣接するグランド弾性腕部51の下端部の間でコネクタ幅方向に延び該下端部同士を連結している。
【0061】
相手コネクタ2は、既述の相手コネクタ3と構成が同じであるので、相手コネクタ2の各部については相手コネクタ3の対応部分と同じ符号を付して説明を省略する。
【0062】
次に、
図1、
図2、
図5及び
図6にもとづいてコネクタ嵌合動作について説明する。
図5は、中継コネクタ1及び相手コネクタ2のコネクタ幅方向における信号端子22及び相手信号端子40の位置での断面図であり、(A)はコネクタ嵌合前の状態、(B)はコネクタ嵌合状態を示しいている。また、
図6は、中継コネクタ1及び相手コネクタの一部をブレード20の配列方向から見た図であり、(A)はコネクタ嵌合前の状態、(B)はコネクタ嵌合状態を示している。
図5及び
図6では、中継コネクタ1の支持体10及び相手コネクタ2の収容体32は外された状態にて断面の一部が拡大されて示されている。
【0063】
まず、相手コネクタ2,3をそれぞれ対応する回路基板の対応回路部に半田接続し、
図1に示されるように、相手コネクタ3の上方に中継コネクタ1を位置させる。そして、中継コネクタ1を下方へ移動して、中継コネクタ1と相手コネクタ3とを嵌合させる(
図2参照)。このとき、相手コネクタ3全体が中継コネクタ1の下側受入部内に収容される。
【0064】
コネクタ嵌合過程において、ブレード20の下端部は、相手コネクタ3の相手信号端子40の信号弾性腕部41とグランド部材50のグランド弾性腕部51とを押し広げるようにして弾性変位させて両者間に上方から進入する。そして、嵌合状態において、相手コネクタ3に設けられた相手信号端子40の信号突状接点部41Aが、信号弾性腕部41の弾性変位状態のもとで、中継コネクタ1のブレード20に設けられた信号端子22の下側接触腕部22Bの上下方向での中間部に接触して電気的に接続される。
【0065】
また、嵌合状態において、相手コネクタ3に設けられたグランド部材50のグランド突状接点部51Aが、該グランド部材50のグランド弾性腕部51の弾性変位状態のもとで、中継コネクタ1のブレード20に設けられたグランド板23の下側グランド接触部23Eに接触して電気的に接続される(相手コネクタ2の上側グランド接触部23Cを示す
図5(B)をも参照)。中継コネクタ1と相手コネクタ3との間における、信号端子22と相手信号端子40との接触状態そしてグランド板23とグランド部材50との接触状態は、
図5(A),(B)を参照しながら後述する中継コネクタ1と相手コネクタ2との間における接触状態と同様である。
【0066】
次に、
図1、
図5(A)及び
図6(A)に見られるように、相手コネクタ2を、相手コネクタ3を反転させたような姿勢とするとともに中継コネクタ1の上方に位置させる。そして、相手コネクタ2を下方へ移動して、中継コネクタ1と相手コネクタ2とを嵌合させる。このとき、
図2に見られるように、相手コネクタ2全体が中継コネクタ1の上側受入部11D内に収容される。
【0067】
コネクタ嵌合過程において、ブレード20の上端部は、相手コネクタ2の相手信号端子40の信号弾性腕部41とグランド部材50のグランド弾性腕部51とを押し広げるようにして弾性変位させて両者間に下方から進入する。そして、嵌合状態において、
図5(B)に見られるように、相手コネクタ2に設けられた相手信号端子40の信号突状接点部41Aが、信号弾性腕部41の弾性変位状態のもとで、中継コネクタ1のブレード20に設けられた信号端子22の上側接触腕部22Aの上下方向での中間部に接触して電気的に接続される。このとき、
図5(B)に見られるように、コネクタ嵌合状態にて、上側接触腕部22Aにおける相手信号端子40の信号突状接点部41Aとの接触位置Pから上側接触腕部22Aの上端部までにわたって延びる部分がスタブ部22A-1として形成される。
図5(B)では、スタブ部22A-1の上下方向での範囲が「S」で示されている。
【0068】
また、コネクタ嵌合状態において、
図5(B)に見られるように、相手コネクタ2に設けられたグランド部材50のグランド突状接点部51Aが、該グランド部材50のグランド弾性腕部51の弾性変位状態のもとで、中継コネクタ1のブレード20に設けられたグランド板23の上側グランド接触部23Cに接触して電気的に接続される。
【0069】
本実施形態では、
図5(B)に見られるように、コネクタ嵌合状態において、中継コネクタ1の信号端子22のうちのスタブ部22A-1以外の部分と、相手コネクタ2の相手信号端子40のうちの案内部41B以外の部分とで、高速信号を伝送するための主伝送経路が形成される。
【0070】
本実施形態では、
図5(B)にて、上記主伝送経路のうち、信号端子22の上側接触腕部22Aと相手信号端子40の信号突状接点部41Aとの接触位置Pを含む所定の範囲を「R」として示している。具体的には、所定範囲Rは、相手コネクタ2に設けられた相手信号端子40の信号側被保持部42の上端(上下方向で保持体31の上面と同位置)と中継コネクタ1に設けられたブレード20の基材21の上側被覆部21Cの下端との間にわたる上下方向範囲である。また、
図5(B)では、この所定範囲Rは、上下方向で接触位置Pを境界として、該接触位置Pより下側に位置する第一範囲R1と、該接触位置Pより上側に位置する第二範囲R2とに二分されている。さらに、上記第一範囲R1は、接触位置Pから上側被覆部21Cの上端にわたる第一上側範囲R1Aと、該上側被覆部21Cの上端から該上側被覆部21Cの下端にわたる第一下側範囲R1Bとに上下方向で二分されている。
【0071】
第一範囲R1のうち第一上側範囲R1Aでは、信号端子22の上側接触腕部22Aの下部が位置しており、第一上側範囲R1Aにおけるインピーダンスは、スタブ部22A-1の範囲(スタブ範囲)Sにおけるインピーダンスとほぼ等しい。
【0072】
第一範囲R1のうち第一下側範囲R1Bには、信号端子22の中間線路部22Cの上端側部分が位置している。該中間線路部22Cの上端側部分は、上側接触腕部22Aの一部であるスタブ部22A-1に比べて、端子幅方向(Y軸方向)でも板厚方向(X軸方向)でも大きく形成されている。また、該第一下側範囲R1Bには、基材21の上側被覆部21Cが存在しているので、中間線路部22Cの上端側部分はその全周にわたって基材21に覆われている。したがって、第一下側範囲R1Bにおけるインピーダンスは、スタブ部22A-1の範囲(スタブ範囲)Sにおけるインピーダンスよりも小さい。
【0073】
また、第二範囲R2には、相手信号端子40の信号弾性腕部41及び信号側被保持部42が位置している。該信号弾性腕部41及び信号側被保持部42は、信号端子22の上側接触腕部22Aの一部であるスタブ部22A-1に比べて、端子幅方向(Y軸方向)でも板厚方向(X軸方向)でも大きく形成されている。また、被保持部42は、樹脂製のハウジング110の保持体31によって、該被保持部31の全周にわたって覆われている。したがって、第二範囲R2におけるインピーダンスは、スタブ部22A-1の範囲(スタブ範囲)Sにおけるインピーダンスよりも小さい。
【0074】
上述したように、本実施形態では、上記所定範囲Rのうちの上記接触位置Pの下方に位置する第一下側範囲R1B及び上記接触位置Pの上方に位置する第二範囲R2におけるインピーダンスがスタブ範囲Sにおけるインピーダンスよりも小さくなっている。このように上記所定範囲Rの大部分でのインピーダンスをスタブ範囲Sでのインピーダンスよりも小さくすることにより、上記主伝送経路にて伝送されている信号の周波数が共振周波数の近傍の周波数範囲にあっても、スタブ部22A-1の存在に起因する信号の反射ひいては信号伝送特性の低下を抑制することができる。
【0075】
本実施形態では、上述したように第一上側範囲R1Aにおけるインピーダンスはスタブ部22A-1の範囲(スタブ範囲)Sにおけるインピーダンスと等しくなっているが、例えば、
図7を参照して後述するように、信号端子22の上側接触腕部22Aにおける上記接触位置Pが中間線路部22C側となるような嵌合深さ位置を正規の接触位置として設定して、第一上側範囲R1Aを上下方向で小さくすれば、上記所定範囲Rにおいて、スタブ範囲Sよりもインピーダンスが小さい範囲を増やすことができ、その結果、信号の反射ひいては信号伝送特性の低下をより良好に抑制できる。
【0076】
図7は、本実施形態の変形例における、中継コネクタ1及び相手コネクタ2のコネクタ幅方向における信号端子22の位置での断面の一部を示す図であり、コネクタ嵌合状態を示している。
図7の変形例では、ブレード20の基材21の上側被覆部21Cは、
図5(B)に示されていた上側被覆部21Cをさらに上方へ延ばした形状をなしており、上端側部分が上下方向で相手信号端子40の案内部41Bに対応して位置している。上側被覆部21Cをこのような形状とすることにより、該上側被覆部21Cの上端が上下方向で端子同士の接触位置Pに近接して位置するとともに、信号端子22が上側被覆部21Cで覆われる範囲が広くなる。この結果、第一範囲R1ひいては上記所定範囲Rにおいて、より広い範囲でインピーダンスを低下させることができる。
【0077】
また、上記所定範囲Rの部分の電気長は、上記スタブ部22A-1の電気長をL0としたとき、後述するように約3L0~4L0となっていることが好ましい。該所定範囲Rの部分の電気長をこのように設定することにより、信号の反射ひいては信号伝送特性の低下をより効果的に抑制できる。
【0078】
また、中継コネクタ1の信号端子22における第一範囲R1での電気長と、相手コネクタ2の相手信号端子40における第二範囲R2の電気長が等しくなっていることが好ましい。このように、第一範囲R1と第二範囲R2とで電気長を等しく設定することにより、信号の反射ひいては信号伝送特性の低下をさらに効果的に抑制できる。
【0079】
ここでは、
図5(A),(B)や
図7等を参照しながら、中継電気コネクタ1と相手コネクタ2との接続状態におけるインピーダンスの大小関係について説明したが、中継電気コネクタ1と相手コネクタ3についても同様の接続状態となり、既述した本発明の効果が得られることは言うまでもない。
【0080】
次に、
図8(A)~(C)に基づいて本発明の原理を説明するとともに、上記所定範囲Rの部分の電気長について、上記スタブ部22A-1の電気長をL
0としたとき、後述するように約3L
0~4L
0となっていることが好ましい理由を説明する。
図8(A)は、主伝送経路及びスタブ部を示す概略図である。
図8(A)では、主伝送経路がブロックa1、ブロックa2、ブロックb1、ブロックb2の4つのブロックに分けられて示されているとともに、スタブ部がブロックa3で示されている。ブロックa1~a3は中継コネクタ1の信号端子22の一部であり、ブロックb1,b2は相手コネクタ2の相手信号端子40の一部である。
【0081】
ブロックa1,a2は、主伝送経路のうち信号端子22に形成された部分であり、ブロックb1,b2は、主伝送経路のうち相手信号端子40に形成された部分である。また、ブロックa1は、主伝送経路のうち信号端子22で所定範囲R外に位置する部分であり、ブロックa2は、主伝送経路のうち信号端子22で所定範囲R内に位置する部分、すなわち、既述の第一範囲R1に対応する部分である。ブロックb1は、主伝送経路のうち相手信号端子40で所定範囲R外に位置する部分であり、ブロックb2は、主伝送経路のうち相手信号端子40で所定範囲R内に位置する部分、すなわち、既述の第二範囲R2に対応する部分である。つまり、ブロックa2とブロックb1とで構成される部分は、所定範囲Rに対応している。また、ブロックa3は、既述したように、信号端子22のスタブ部22A-1であり、スタブ範囲Sに対応している。
【0082】
ここでは、コネクタによる信号伝送において一般的な50Ωのインピーダンスのもとで形成される信号伝送経路にて、周波数が約10~20GHzである高速信号を伝送するコネクタに本発明を適用する例を説明する。
図8(A)の例では、主伝送経路のうち所定範囲R外に位置するブロックa1,b2及びスタブ部に対応するブロックa3でのインピーダンスは50Ωである。また、ブロックa1,b2,a3の電気長は、
図8(A)に示されているように、それぞれ20ps、20ps及び10psであるものとする。本発明は、主伝送経路のうち所定範囲R内に位置するブロックa2,b1における電気長Xを調整するともに、インピーダンスYを50Ωよりも小さい範囲で調整することにより、高速信号伝送の特性の低下を抑制するものである。該電気長やインピーダンスは、
図1~7に基づいて既述したように、端子の形状や寸法そして端子を樹脂部分で覆う範囲の大小等により調整され、また、信号端子とグランド板やグランド端子との位置関係で調整されてもよい。
【0083】
図8(B),(C)は、伝送される信号の周波数(GHz)を横軸とし、信号の減衰量(dB)を縦軸として、インサーションロスに関する各種シミュレーションにおける両者の関係を示したグラフである。この
図8(B),(C)では、上記所定範囲R、すなわち
図8(A)でのブロックa2,b1における電気長及びインピーダンスを様々な値に設定して得られた、信号の周波数と信号の減衰量との関係を表す曲線が示されている。また、
図8(B),(C)では、50Ωのインピーダンスのもとで形成された信号伝送経路における理想的な信号減衰量が、周波数が高くなるにつれて減衰量が緩やかに増加する右下がりの直線M(破線で図示)で示されている。システム設計者にとっては、単純にロスが少ないという観点に加えて、周波数に対して直線性も重視される。したがって、シミュレーションで得られた曲線の軌跡が該直線Mに近いほど、信号伝送路で生じる損失をイコライザで補償しやすいということを意味している。
【0084】
図8(B),(C)のグラフでは、
図8(A)のブロックa2,b1、すなわち第一範囲R1及び該第二範囲R2のインピーダンスYを40Ω(
図8(B))、45Ω(
図8(C))に設定した場合に、該第一範囲R1及び該第二範囲R2における電気長Xを様々な値に設定したときの、信号の周波数と信号の減衰量との関係を表す曲線が示されている。上記電気長Xは、0ps、5ps、10ps、15ps、20ps、100psの各種の値に設定されている。ここで、電気長Xが0psである場合とは、インピーダンスが50Ωよりも小さい部分が形成されておらず、主伝送経路及びスタブ部の全範囲でのインピーダンスが50Ωに設定されていることを意味している。したがって、電気長Xが0であるときの曲線(前者)と電気長Xがそれ以外の値であるときの曲線(後者)を比較して、後者の信号減衰量が前者の信号減衰量が小さくなっている、換言すると、信号伝送特性の低下を前者よりも改善できている周波数範囲(
図8(B),(C)にて「N」で示される範囲であり、以下、「改善周波数範囲」という)が広いほど、好ましい電気長であると言える。
【0085】
図8(B)に見られるように、第一範囲R1及び第二範囲R2でのインピーダンスが40Ωである場合には、電気長Xが15ps及び20psであるときの曲線が、直線Mの形状に近い。
図8(B)では、電気長Xが15psであるときの改善周波数範囲N
15は約12.5~25GHzであり、伝送される高速信号の周波数範囲(約10~20GHz)の大部分と重複している。また、電気長Xが20psであるときの改善周波数範囲N
20は約10~25GHzであり、伝送される高速信号の周波数範囲(約10~20GHz)全体を含んでいる。したがって、第一範囲R1及び第二範囲R2において、インピーダンスを40Ωに設定するとともに、電気長を15~20psに設定することにより、信号伝送特性の低下の抑制を良好に得られる。
【0086】
図8(C)に見られるように、第一範囲R1及び第二範囲R2でのインピーダンスが45Ωである場合には、電気長Xが20psであるときの曲線が、最も直線Mの形状に近い。
図8(C)では、改善周波数範囲Nは約10~25GHzである。したがって、改善周波数範囲Nは、伝送される高速信号の周波数範囲(約10~20GHz)全体を含んでいる。したがって、第一範囲R1及び第二範囲R2において、インピーダンスを45Ωに設定するとともに、電気長を20psに設定することにより、信号伝送特性の低下の抑制を良好に得られる。
【0087】
このように、
図8(B),(C)に示されるシミュレーション結果から、第一範囲R1及び第二範囲R2のそれぞれにおける電気長を15~20psに設定することにより、信号伝送特性の低下の抑制の効果が高くなることが分かった。つまり、第一範囲R1の電気長と第二範囲R2電気長との合計は30~40psであり、この合計の電気長は、スタブ範囲Sの電気長である10psの3~4倍に相当する。したがって、上記所定範囲Rの部分の電気長は、上記スタブ部の電気長をL
0としたとき、約3L
0~4L
0となっていることが好ましいと言える。
【0088】
図8(A)~(C)を参照しながら上述した周波数帯、電気長、インピーダンス、改善周波数範囲等の数値は、あくまでも一例にすぎず、これらの数値に限定されないことは言うまでもない。信号伝送特性の低下の抑制の効果を得るためには、上記主伝送経路のうち上記所定範囲Rの少なくとも一部の範囲でのインピーダンスが、スタブ部の範囲(スタブ範囲)でのインピーダンスよりも小さくなっていればよい。また、このとき、主伝送経路における上記所定範囲R外の部分においても、スタブ部よりインピーダンスが小さくなっていてもよい。したがって、例えば、主伝送経路全体にわたる範囲でのインピーダンスがスタブ部のインピーダンスよりも小さく調整されているようになっていてもよい。
【0089】
<第二実施形態>
第一実施形態では、一つの中継コネクタ1と二つの相手コネクタ2,3とで構成される、いわゆる3ピース型の電気コネクタ組立体に本発明が適用された形態について説明したが、第二実施形態では、コネクタと相手コネクタとで構成される、いわゆる2ピース型の電気コネクタ組立体に本発明が適用されており、この点で、第一実施形態と異なっている。
【0090】
図9は、第二実施形態に係る電気コネクタを相手コネクタとともに示した斜視図であり、嵌合前の状態を示している。
図10は、
図9の電気コネクタ及び相手コネクタを嵌合状態で示した斜視図である。
【0091】
本実施形態に係る電気コネクタ組立体は、高速信号の伝送に用いられるコネクタ組立体であり、第一電気コネクタとしての電気コネクタ101(以下、「コネクタ101」という)と、該電気コネクタ101に上方から嵌合接続される第二電気コネクタとしての相手コネクタ102とを有している。コネクタ101及び相手コネクタ102は、それぞれ異なる回路基板(図示せず)上に配される回路基板用電気コネクタであり、各回路基板の面が上下方向(Z軸方向)に対して直角をなす姿勢で互いに嵌合接続される。
【0092】
コネクタ101は、プラグコネクタとして構成されており、端子保持体としての樹脂製のハウジング110と、X軸方向を端子配列方向として配列されて該ハウジング110に保持される第一端子としての複数の金属製の信号端子120と、端子配列方向での端子配列範囲の両側にてハウジング110に保持される内側金具130及び外側金具140とを有している。
【0093】
ハウジング110は、回路基板の実装面に対して平行をなして延びる基部111と、該基部111から上方に起立するとともに端子配列方向(X軸方向)に延びる嵌合部112とを有している。基部111は、上下方向(Z軸方向)に見て端子配列方向(X軸方向)を長手方向とする略直方体外形をなしており、端子配列方向に延びる二つの側方基部111Aと、基部111の短手方向であるコネクタ幅方向(Y軸方向)に延び二つの側方基部111Aの端部同士を連結する二つ端基部111Bと、二つの側方基部111Aの間で端子配列方向(X軸方向)に延び二つの端基部111Bの内壁面同士を連結する連結基部111C(
図12(A)参照)とを有している。また、側方基部111Aと連結基部111Cには、上下方向に貫通する孔部111Dが形成されている。
【0094】
嵌合部112は、基部111の上面から起立し、上下方向(Z軸方向)に見て端子配列方向(X軸方向)を長手方向とする四角枠状をなしている。該嵌合部112は、端子配列方向に延びる二つの側壁112Aと、コネクタ幅方向に延び二つの側壁112Aの端部同士を連結する二つ端壁112Bとを有している。該嵌合部112の側壁112A及び端壁112Bに囲まれて上下方向に貫通し基部111の孔部111Dと連通する空間は、コネクタ嵌合状態にて相手コネクタ102の突壁153を上方から受け入れる受入部112Cを形成している。
【0095】
ハウジング110には、
図12(A),(B)に見られるように、上下方向で側壁112Aの内側面及び側方基部111Aの内側面(Y軸方向に対して直角な面)に沿って上下方向に延びる端子収容溝部113が形成されている。また、
図9に見られるように、端子配列方向での端子配列範囲の両側にて、内側金具130を圧入保持するための内側金具収容部114及び外側金具140を圧入保持するための外側金具収容部115が形成されている。外側金具収容部115は、端子配列方向で内側金具収容部114よりも外側に形成されている。内側金具収容部114及び外側金具収容部115は、コネクタ幅方向(Y軸方向)及び上下方向(Z軸方向)に拡がるとともにハウジング110の端基部111B及び端壁112Bを上下方向に貫通して形成されている。
図9に見られるように、内側金具収容部114の上部は端壁112Bの内側面から没入した凹部をなし、外側金具収容部115の上部は端壁112Bの外側面から没入した凹部をなしている。
【0096】
本実施形態では、
図9に見られるように、信号端子120は、端子配列方向に配列された二列の端子列が、コネクタ幅方向にて対称をなした状態でハウジング110に保持されている(
図12(A),(B)をも参照)。
図11は、コネクタ101及び相手コネクタ102のそれぞれから、Y2側の端子列に含まれる1本の信号端子120及び相手信号端子160を抽出して示した斜視図であり、(A)はコネクタ嵌合前の状態、(B)はコネクタ嵌合状態を示している。信号端子120は、帯状の金属板部材を板厚方向に屈曲して作られており、
図11(A),(B)に見られるように、上下方向に延びる接触腕部121と、該接触腕部121の下端から下方へ延びる被保持部122と、該被保持部122の下端で屈曲されてコネクタ幅方向(Y軸方向)でY2側へ延びる接続部123とを有している。該信号端子120は、ハウジング110の下方から端子収容溝部113へ圧入されることにより該ハウジング110に取り付けられている(
図12(A)参照)。
【0097】
図11(A),(B)に見られるように、接触腕部121は、その板面(圧延面)がコネクタ幅方向(Y軸方向)に対して直角をなした姿勢で、側壁112Aに沿って端子収容溝部113(
図12(A)参照)内を上下方向に延びている。該接触腕部121は、略上半部の板厚寸法(Y軸方向での寸法)が略下半部の板厚寸法よりも小さくなっており、該略上半部のY1側の板面、すなわちハウジング110の受入部112Cに露呈した板面で相手信号端子160と接触可能となっている。
【0098】
なお、本実施形態では、信号端子120において、接触腕部121は弾性変位しないこととしたが、弾性変位しないことは必須ではなく、例えば、その板厚方向で弾性変位可能に形成してもよい。
【0099】
被保持部122は、その板面(圧延面)がコネクタ幅方向(Y軸方向)に対して直角をなした姿勢で、側方基部111Aに沿って端子収容溝部113(
図12(A)参照)内を上下方向に延びている。該被保持部122の両側縁には、端子配列方向に突出する圧入突部122Aが2つずつ形成されている。被保持部122は、圧入突部122Aが端子収容溝部113の内壁面に喰い込むことにより該端子収容溝部113内で保持されている。
【0100】
接続部123は、
図11(A),(B)に見られるように、コネクタ幅方向外方へ向けて延びており、その先端側部分が、
図9及び
図12(A)に見られるように、ハウジング110の側方基部111Aの下部からハウジング110外へ延出している。該接続部123は、その下面で回路基板の実装面(図示せず)の対応回路部に半田接続されるようになっている。
【0101】
内側金具130は、金属板部材を板厚方向に屈曲して作られており、その板面(圧延面)が端子配列方向(X軸方向)に対して直角をなした姿勢で、端子配列範囲の両側にてハウジング110に保持されている。該内側金具130は、ハウジング110の端基部111Bによって保持される被保持部(図示せず)と、該被保持部から上方へ延びる内側端板部131と、該被保持部から下方へ延びる内側固定部132とを有している。
【0102】
上記被保持部は、ハウジング110の端基部111Bに形成された内側金具収容部114で圧入保持されている。内側端板部131は、ハウジング110の端壁112Bの内側面に沿って上下方向に延び内側金具収容部114に収容された部分の板面(圧延面)が該端壁112Bから露呈している(
図12(A)参照)。内側固定部132は、端基部111Bの下面から下方に延出しており、回路基板(図示せず)に形成された対応孔部へ挿入された状態で半田接続により該回路基板に対して固定される。
【0103】
外側金具140は、金属板部材を板厚方向に屈曲して作られており、その板面(圧延面)が端子配列方向(X軸方向)に対して直角をなした姿勢で、端子配列方向での内側金具130よりも外側位置にてハウジング110に保持されている。該外側金具140は、ハウジング110の端基部111Bによって保持される被保持部(図示せず)と、該被保持部から上方へ延びる外側端板部141と、該被保持部から下方へ延びる二つ外側固定部142とを有している。
【0104】
上記被保持部は、ハウジング110の端基部111Bに形成された外側金具収容部115で圧入保持されている。外側端板部141は、ハウジング110の端壁112Bの外側面に沿って上下方向に延び外側金具収容部115に収容された部分の板面(圧延面)が該端壁112Bから露呈している。外側固定部142は、端基部111Bの下面から下方に延出しており、回路基板(図示せず)に形成された対応孔部へ挿入された状態で半田接続により該回路基板に対して固定される。
【0105】
相手コネクタ102は、
図9、
図10及び
図12(A),(B)に見られるように、レセプタクルコネクタとして構成されており、端子保持体としての樹脂製のハウジング150と、X軸方向を端子配列方向として配列されて該ハウジング150に保持される第二端子としての複数の金属製の相手信号端子160と、端子配列方向での端子配列範囲の両側にてハウジング150に保持される内側金具170及び外側金具180とを有している。
【0106】
ハウジング150は、
図9、
図10及び
図12(A),(B)に見られるように、回路基板の実装面に対して平行をなして延びる底壁151と、該底壁151の周縁部から下方に延びる周壁152及び突壁153とを有している。周壁152は、コネクタ101の嵌合部112に嵌合される対応嵌合部をなしており、下方から見て端子配列方向(X軸方向)を長手方向とする四角枠状をなしており、端子配列方向に延びる二つの側壁152Aと、該周壁152の短手方向であるコネクタ幅方向に延び二つの側壁152Aの端部同士を連結する二つ端壁152Bとを有している。突壁153は、上記周壁152に囲まれた空間内で端子配列方向に延びている(
図12(A)参照)。周壁152と突壁153との間に形成された下方へ開口する環状空間は、コネクタ101の嵌合部112を受け入れるための受入部154をなしている(
図12(A)参照)。
【0107】
ハウジング150には、
図12(A),(B)に見られるように、突壁153の両側面(Y軸方向に対して直角な面)に沿って上下方向に延びるとともに底壁151を上下方向に貫通する端子収容部155が形成されている。また、
図9に見られるように、端子配列方向での端子配列範囲の両側にて、内側金具170を圧入保持するための内側金具保持部156及び外側金具180を圧入保持するための外側金具保持部157が形成されている。外側金具保持部157は、端子配列方向で内側金具保持部156よりも外側に形成されている。内側金具保持部156及び外側金具保持部157は、コネクタ幅方向(Y軸方向)及び上下方向(Z軸方向)に拡がるとともにハウジング150の端壁152B及び底壁151を上下方向に貫通して形成されている。
【0108】
本実施形態では、
図12(A),(B)に見られるように、相手信号端子160は、端子配列方向に配列された二列の端子列が、コネクタ幅方向にて対称をなした状態でハウジング150に保持されている。相手信号端子160は、帯状の金属板部材を板厚方向に屈曲して作られており、
図11(A),(B)に見られるように、上下方向に延びコネクタ幅方向(Y軸方向)に弾性変位可能な弾性腕部161と、該弾性腕部161の上端でクランク状に屈曲された移行部162と、該移行部162から上方へ延びる被保持部163と、該被保持部163の上端で屈曲されてコネクタ幅方向(Y軸方向)でY2側へ延びる接続部164とを有している。該相手信号端子160は、
図12(A)に見られるように、ハウジング150の上方から端子収容部155へ圧入されることにより該ハウジング150に取り付けられている。
【0109】
図11(A),(B)に見られるように、弾性腕部161は、その板面(圧延面)がコネクタ幅方向(Y軸方向)に対して直角をなした姿勢で、端子収容部155(
図12(A)参照)内を上下方向に延びている。該弾性腕部161は、
図11(A),(B)に見られるように、下端寄り位置でコネクタ幅方向外方(
図11(A),(B)でのY2側)へ向けて突出する突状接点部161Aが形成されており、弾性腕部161の弾性変位状態のもとでコネクタ101の信号端子120の接触腕部121に対して上記突状接点部161Aで接触するようになっている(
図12(B)参照)。また、突状接点部161Aは、その突出頂部よりも上下方向で自由端側、すなわち下端側の範囲に、コネクタ101の信号端子120をコネクタ幅方向で正規の接触位置へ案内するための案内部161Bが形成されている。
【0110】
なお、相手信号端子160において、突状接点部161Aが形成される部分が弾性変位可能となっていることが必須ではないことは、第一実施形態と同様である。したがって、例えば、上記弾性腕部161に代えて、上下方向に延びる弾性変位しない接触腕部を相手信号端子160に設け、該接触腕部に突状接点部を形成することとしてもよい。
【0111】
被保持部163は、コネクタ幅方向で弾性腕部161よりも外側に位置しており、該被保持部163の板面(圧延面)がコネクタ幅方向に対して直角をなした姿勢で、端子収容部155(
図12(A)参照)内を上下方向に延びている。
図11(A),(B)に見られるように、被保持部163の両側縁には、端子配列方向に突出する圧入突部163Aが2つずつ形成されている。被保持部163は、圧入突部163Aが端子収容部155の内壁面に喰い込むことにより該端子収容部155内で保持されている。
【0112】
接続部164は、
図9及び
図12(A)に見られるように、コネクタ幅方向外方へ向けて延びており、その先端側部分が、ハウジング150の底壁151の上部からハウジング150外へ延出している。該接続部164は、その上面で回路基板の実装面(図示せず)の対応回路部に半田接続されるようになっている。
【0113】
内側金具170は、金属板部材で作られており、その板面(圧延面)が端子配列方向に対して直角をなす姿勢でハウジング150に保持されている。該内側金具170は、
図9に見られるように、ハウジング150に保持される被保持部(図示せず)と、該被保持部から上方へ向けて延びる1つの内側固定部171とを有しており、ハウジング150の内側金具保持部156へ上方から圧入されて取り付けられる。該内側金具170の内側固定部171は、ハウジング150の底壁151の底面(
図9では上面)から上方へ延出しており、回路基板(図示せず)に形成された対応孔部へ挿入された状態で半田接続により該回路基板に対して固定される。
【0114】
外側金具180は、金属板部材で作られており、その板面(圧延面)が端子配列方向に対して直角をなす姿勢、すなわち内側金具の板面と平行をなす姿勢でハウジング150に保持されている。該外側金具180は、
図9に見られるように、ハウジング150に保持される被保持部(図示せず)と、該被保持部から上方へ向けて延びる2つの外側固定部181とを有しており、ハウジング150の外側金具保持部157へ上方から圧入されて取り付けられる。該外側金具180の外側固定部181は、ハウジング150の底壁151の底面(
図9では上面)から上方へ延出しており、回路基板(図示せず)に形成された対応孔部へ挿入された状態で半田接続により該回路基板に対して固定される。
【0115】
次に、
図9ないし
図12に基いてコネクタ嵌合動作について説明する。
図12は、コネクタ101及び相手コネクタ102のコネクタ幅方向における信号端子120及び相手信号端子160の位置での断面の一部を示す図であり、(A)はコネクタ嵌合前の状態、(B)はコネクタ嵌合状態を示している。
【0116】
まず、コネクタ101及び相手コネクタ102をそれぞれ対応する回路基板の対応回路部に半田接続し、
図9及び
図12(A)に示されるように、相手コネクタ102の受入部154が下方へ向けて開口した姿勢で該相手コネクタ102をコネクタ101の上方に位置させる。そして、相手コネクタ102を下方へ移動して、コネクタ101と相手コネクタ102とを嵌合させる(
図10及び
図12(B)参照)。
【0117】
コネクタ嵌合過程において、コネクタ101の嵌合部112が相手コネクタ102の受入部154へ下方から進入すると同時に、相手コネクタ102の突壁153がコネクタ101の嵌合部112の受入部112Cへ上方から進入する(
図12(B)参照)。このコネクタ嵌合過程にて、相手信号端子160の突状接点部161Aが信号端子120の接触腕部121に当接することにより、相手信号端子160の弾性腕部161がコネクタ幅方向内方へ弾性変位する。そして、
図12(B)に見られるように、コネクタ嵌合状態において、相手信号端子160の突状接点部161Aが、弾性腕部161の弾性変位状態のもとで、信号端子120の接触腕部121の上下方向での中間部に接触して電気的に接続される。
図12(B)に見られるように、コネクタ嵌合状態にて、信号端子120の接触腕部121における相手信号端子160の突状接点部161Aとの接触位置から接触腕部121の上端部までにわたって延びる部分がスタブ部121Aとして形成される。
図12(B)では、スタブ部121Aの上下方向での範囲が「S」で示されている。
【0118】
本実施形態では、
図12(B)に見られるように、コネクタ嵌合状態において、コネクタ101の信号端子120のうちのスタブ部121A以外の部分と、相手コネクタ102の相手信号端子160のうちの案内部161B以外の部分とで、高速信号を伝送するための主伝送経路が形成される。
【0119】
図12(B)では、上記主伝送経路のうち、信号端子120の接触腕部121と相手信号端子160の突状接点部161Aとの接触位置Pを含む所定の範囲を「R」として示している。具体的には、所定範囲Rは、相手コネクタ102に設けられた相手信号端子160の被保持部163の上端とコネクタ101に設けられた信号端子120の被保持部122の下端との間にわたる上下方向範囲である。また、
図12(B)では、この所定範囲Rは、上下方向で接触位置Pを境界として、該接触位置Pより下側に位置する第一範囲R1と、該接触位置Pより上側に位置する第二範囲R2とに二分されている。さらに、上記第一範囲R1は、接触位置Pから信号端子120の接触腕部121の下端にわたる第一上側範囲R1Aと、該接触腕部121の下端から被保持部122の下端にわたる第一下側範囲R1Bとに上下方向で二分されている。
【0120】
第一範囲R1のうち第一上側範囲R1Aでは、信号端子120の接触腕部121の下部が位置しており、第一上側範囲R1Aにおけるインピーダンスは、スタブ部121Aの範囲(スタブ範囲)Sにおけるインピーダンスとほぼ等しい。
【0121】
第一範囲R1のうち第一下側範囲R1Bには、信号端子120の被保持部122が位置している。該被保持部122は、接触腕部121の一部であるスタブ部121Aに比べて、板厚方向(X軸方向)で大きく形成されている。また、被保持部122の大部分は、樹脂製のハウジング110の基部111によって、該被保持部122の全周にわたって覆われている。したがって、第一下側範囲R1Bにおけるインピーダンスは、スタブ部121Aの範囲(スタブ範囲)Sにおけるインピーダンスよりも小さい。
【0122】
また、第二範囲R2には、相手信号端子160の弾性腕部161、移行部162及び被保持部163が位置している。該弾性腕部161、移行部162及び被保持部163は、信号端子120の接触腕部121の一部であるスタブ部121Aに比べて、板厚方向(X軸方向)でも大きく形成されている。また、被保持部163は、樹脂製のハウジング150の底壁151によって、該被保持部163の全周にわたって覆われている。したがって、第二範囲R2におけるインピーダンスは、スタブ部121Aの範囲(スタブ範囲)Sにおけるインピーダンスよりも小さい。
【0123】
上述したように、本実施形態では、上記所定範囲Rのうちの上記接触位置Pの下方に位置する第一下側範囲R1B及び上記接触位置Pの上方に位置する第二範囲R2におけるインピーダンスがスタブ範囲Sにおけるインピーダンスよりも小さくなっている。このように上記所定範囲Rの大部分でのインピーダンスをスタブ範囲Sでのインピーダンスよりも小さくすることにより、上記主伝送経路にて伝送されている信号の周波数が共振周波数の近傍の周波数範囲にあっても、スタブ部121Aの存在に起因する信号の反射ひいては信号伝送特性の低下を抑制することができる。
【0124】
本実施形態では、上述したように第一上側範囲R1Aにおけるインピーダンスはスタブ部121Aの範囲(スタブ範囲)Sにおけるインピーダンスと等しくなっているが、例えば、信号端子120の接触腕部121における上記接触位置Pが被保持部122側となるような嵌合深さ位置を正規の接触位置として設定して、第一上側範囲R1Aを上下方向で小さくすれば、上記所定範囲Rにおいて、スタブ範囲Sにおけるインピーダンスが小さい範囲を増やすことができ、その結果、信号の反射ひいては信号伝送特性の低下をより良好に抑制できる。
【0125】
また、信号伝送特性の低下をより良好に抑制するためには、上記所定範囲Rの部分の電気長が、上記スタブ部121Aの電気長をL0としたとき、約3~4L0となっていることが好ましいこと、また、コネクタ101の信号端子120における第一範囲R1での電気長と、相手コネクタ102の相手信号端子160における第二範囲R2の電気長が等しくなっていることが好ましいことは、第一実施形態と同様である。
【符号の説明】
【0126】
1 中継コネクタ(第一コネクタ) 101 コネクタ(第一コネクタ)
2 相手コネクタ(第二コネクタ) 102 相手コネクタ(第二コネクタ)
3 相手コネクタ(第二コネクタ) 110 ハウジング(端子保持体)
21 基材(端子保持体) 120 信号端子(第一端子)
22 信号端子(第一端子) 121 接触腕部
22A 上側接触腕部(接触腕部) 121A スタブ部
22A-1 スタブ部 150 ハウジング(端子保持体)
22B 下側接触腕部(接触腕部) 160 相手信号端子(第二端子)
31 保持体(端子保持体) 161A 突状接点部
40 相手信号端子(第二端子) 161B 案内部
41A 信号突状接点部(突状接点部) P 接触位置
41B 案内部 R 所定範囲