(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】含窒素化合物及び有機電界発光素子
(51)【国際特許分類】
C07D 249/18 20060101AFI20230425BHJP
C07D 401/14 20060101ALI20230425BHJP
C07D 403/10 20060101ALI20230425BHJP
C07D 403/14 20060101ALI20230425BHJP
C07D 405/14 20060101ALI20230425BHJP
C07D 409/14 20060101ALI20230425BHJP
C07D 413/10 20060101ALI20230425BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20230425BHJP
C07D 417/10 20060101ALI20230425BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20230425BHJP
C07D 471/14 20060101ALI20230425BHJP
C07D 487/04 20060101ALI20230425BHJP
C07D 519/00 20060101ALI20230425BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20230425BHJP
H10K 50/11 20230101ALI20230425BHJP
【FI】
C07D249/18 504
C07D401/14 CSP
C07D403/10
C07D403/14
C07D405/14
C07D409/14
C07D413/10
C07D413/14
C07D417/10
C07D471/04 105C
C07D471/14 102
C07D487/04 136
C07D519/00 311
C09K11/06 660
C09K11/06 690
H10K50/11
(21)【出願番号】P 2018231111
(22)【出願日】2018-12-10
【審査請求日】2021-10-13
(31)【優先権主張番号】10-2017-0178632
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】山谷 昭徳
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102005000903(DE,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0037133(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0243902(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0162794(US,A1)
【文献】Database REGISTRY,2008年,RN 1027938-27-7,Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 9 Sep 2022
【文献】Database REGISTRY,2002年,RN 460326-53-8,Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 9 Sep 2022
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
C09K
H10K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される含窒素環化合物。
【化1】
(前記化学式1において、
Q
1はNAr
1、OまたはSであり、
Ar
1
は置換若しくは無置換の
フェニル基であり、
R
1及びR
2はそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のシリル基、置換若しくは無置換のボリル基、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数6以上30以下のアラルキル基、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のハロアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数6以上30以下のアリールオキシ基、置換若しくは無置換の炭素数6以上30以下のアリールチオ基、置換若しくは無置換のホスフィンオキシ基、置換若しくは無置換のホスフィンスルフィド基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、隣接する基と互いに結合して環を形成するか、または形成せず、
a及びbはそれぞれ独立して0以上4以下の整数であり、
nは0または1であり、
M
1及びM
2はそれぞれ独立して下記化学式2または3で表され、
【化2】
前記化学式2及び3において、
X
1~X
6はそれぞれ独立してCR
3またはNであり、
X
1~X
4のうち
一つ又は二つはNであり、
R
3は水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、隣接する基と互いに結合して環を形成するか、または形成せず、
WはO、NAr
3、またはCAr
4Ar
5であり、
Ar
2~Ar
5はそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数6以上30以下のアラルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、隣接する基と結合して環を形成するか、または形成しない。)
【請求項2】
前記化学式2は、下記化学式2-1~化学式2-3のうちいずれか一つで表される、請求項1に記載の含窒素化合物。
【化3】
(前記化学式2-1~化学式2-3において、
X
1及びX
2はそれぞれ独立してCR
3またはNであり、
X
1及びX
2のうち少なくとも一つはNであり、
X
7~X
10はそれぞれ独立してCR
6またはNであり、
X
7~X
10のうち少なくとも一つはNであり、
R
3~R
6はそれぞれ独立して水素原子、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。)
【請求項3】
前記化学式3は、下記化学式3-1~化学式3-4のうちいずれか一つで表される、請求項1に記載の含窒素化合物。
【化4】
(前記化学式3-1、化学式3-3及び化学式3-4において、
Ar
2~Ar
5はそれぞれ独立して置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。)
【請求項4】
前記化学式1は、下記化学式1-1及び化学式1-2のうちいずれか一つで表される、請求項1に記載の含窒素化合物。
【化5】
【請求項5】
前記化学式1は、下記化学式1-3で表される、請求項1に記載の含窒素化合物。
【化6】
(前記化学式1-3において、
Q
2は、NAr
1、OまたはSであり、
Q
2及びQ
1は互いに同じであるか、異なっており、
R
7は水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、
cは0以上5以下の整数であり、
M
3は下記化学式4で表され、
【化7】
前記化学式4において、
X
11はC=O、またはCR
8であり、
R
8は水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。)
【請求項6】
最低三重項エネルギー準位が3.0eV以上である、請求項1に記載の含窒素化合物。
【請求項7】
前記化学式1で表される含窒素化合物は、下記第1化合物群に示した化合物のうちから選択されるいずれか一つである請求項1に記載の含窒素環化合物。
【化8】
【請求項8】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられた正孔輸送領域と、
前記正孔輸送領域の上に設けられ、請求項1乃至請求項7のうちいずれか一項に記載の
含窒素化合物を含む発光層と、
前記発光層の上に設けられた電子輸送領域と、
前記電子輸送領域の上に設けられた第2電極と、を含み、
前記第1電極及び前記第2電極はそれぞれ独立して、Ag,Mg,Cu,Al,Pt,Pd,Au,Ni,Nd,Ir,Cr,Li,Ca,LiF/Ca,LiF/Al,Mo,Ti,In,Sn及びZnからなる群から選択される一つ、これらの中から選択される複数を含む化合物、これらに中から選択される複数を含む混合物、又はこれらの中から選択される1つ以上の酸化物を含む、有機電界発光素子。
【請求項9】
前記発光層は、ホスト及びドーパントを含み、
前記ホストは、前記含窒素化合物を含む、請求項8に記載の有機電界発光素子。
【請求項10】
前記ドーパントは、りん光ドーパントである、請求項9に記載の有機電界発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子及び有機電界発光素子用含窒素化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、画像表示装置として、有機電界発光表示素子(Organic Electroluminescence Display)の開発が盛んに行われている。有機電界発光表示装置は液晶表示装置などとは異なって、第1電極及び第2電極から注入された正孔及び電子を発光層において再結合させることで、発光層において有機化合物を含む発光材料を発光させて表示を実現するいわゆる自発光型表示装置である。
【0003】
有機電界発光素子を表示装置に応用するに当たっては、有機電界発光素子の低駆動電圧化、高発光効率化及び長寿命化が要求されており、これを安定的に実現し得る有機電界発光素子用材料の開発が持続的に要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国公開特許第2015-0037133号公報
【文献】特開平8-176148号公報
【文献】特開2008-516008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、有機電界発光素子及び有機電界発光素子用含窒素化合物を提供することを一目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、第1電極、第1電極の上に設けられた正孔輸送領域、正孔輸送層の上に設けられた発光層、発光層の上に設けられた電子輸送領域、及び電子輸送領域の上に設けられた第2電極を含み、発光層は下記化学式1で表される含窒素化合物を含むものである有機電界発光素子が提供される。
【化1】
化学式1において、Q
1は、NAr
1、OまたはSであり、Ar
1は水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、R
1及びR
2は、それぞれ独立して水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のシリル基、置換若しくは無置換のボリル基、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数6以上30以下のアラルキル基、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のハロアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数6以上30以下のアリールオキシ基、置換若しくは無置換の炭素数6以上30以下のアリールチオ基、置換若しくは無置換のホスフィンオキシ基、置換若しくは無置換のホスフィンスルフィド基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。a及びbはそれぞれ独立して0以上4以下の整数であり、nは0または1であり、M
1及びM
2はそれぞれ独立して下記化学式2または化学式3で表される。
【化2】
化学式2及び化学式3において、X
1~X
6は、それぞれ独立してCR
3またはNであり、X
1~X
4のうち少なくとも一つはNである。R
3は、水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。Wは、O、NAr
3、またはCAr
4Ar
5である。Ar
2~Ar
5はそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数6以上30以下のアラルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、隣接する基と結合して環を形成してもよい。
【0007】
化学式2は、下記化学式2-1~化学式2-3のうちいずれか一つで表されてもよい。
【化3】
化学式2-1~化学式2-3において、X
1及びX
2は、それぞれ独立してCR
3またはNであり、X
1及びX
2のうち少なくとも一つはNであり、X
7~X
10は、それぞれ独立してCR
6またはNであり、X
7~X
10のうち少なくとも一つはNであり、R
3~R
6は、それぞれ独立して水素原子、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。
【0008】
化学式3は、下記化学式3-1~化学式3-4のうちいずれか一つで表されてもよい。
【化4】
化学式3-1、化学式3-3及び化学式3-4において、Ar
2及びAr
5は、それぞれ独立して置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。
【0009】
Q1はNAr1であり、Ar1は置換若しくは無置換のフェニル基であってもよい。
【0010】
化学式1は、下記化学式1-1または化学式1-2で表されてもよい。
【化5】
化学式1-1及び化学式1-2において、Q
1、R
1、R
2、M
1、M
2、n、a、及びbは上述したとおりである。aは0であってもよい。
【0011】
化学式1は、下記化学式1-3で表されてもよい。
【化6】
化学式1-3において、Q
1、R
1、R
2、a、及びbは上記のとおりであり、Q
2はNAr
1、OまたはSであり、Q
2及びQ
1は互いに同じであってもよく、或は異なっていてもよく、R
7は水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、cは0以上5以下の整数であり、M
3は下記化学式4で表される。
【化7】
化学式4において、X
11はC=O、またはCR
8であり、R
8は水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。bは0または1であってもよいが、bが1であれば、R
2はM
1と同じであってもよい。
【0012】
化学式1で表される含窒素化合物は、最低三重項エネルギー準位が3.0eV以上のものであってもよい。
【0013】
発光層は、ホスト及びドーパントを含み、ホストは、前記含窒素化合物を含んでもよい。
【0014】
ドーパントは、りん光ドーパントであってもよい。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、前記化学式1で表される含窒素化合物が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子は、発光効率が向上される。
【0017】
本発明の一実施形態に係る含窒素化合物は、有機電界発光素子に適用されて、高効率化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上述した本発明の目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付した図面及び後述する実施形態を介して容易に理解できるはずである。しかし、本発明はここで説明される実施形態に限らず、他の形態で実現されてもよい。むしろ、ここで紹介される実施形態は開示された内容が徹底で完全なものになるように、そして通常の技術者に本発明の思想が十分に伝達されるようにするために提供されるものである。
【0020】
各図面において、類似した参照符号を類似した構成要素に対して使用している。添付した図面において、構造物の寸法は本発明の明確性のために実際より拡大して示している。第1、第2などの用語は多用な構成要素を説明するのに使用されるが、前記構成要素は前記用語に限らない。前記用語は一つの構造要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなしに第1構成要素は第2構成要素と称されてもよく、同様に第2構成要素は第1構成要素と称されてもよい。単数の表現は、文脈上明白に明らかに異なる意味にならない限り、複数の表現を含む。
【0021】
本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は明細書の上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解すべきである。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるとする場合、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下部に」にあるとする場合、これは他の部分の「直下」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。
【0022】
【0023】
本明細書において、「置換若しくは無置換の」とは重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、シリル基、ホウ素基(ボリル基)、ホスフィン基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、及びヘテロ環基からなる群から選択される一つ以上の置換基に置換される、または無置換であることを意味する。また、前記例示された置換基それぞれは、置換若しくは無置換であってもよい。例えば、ビフェニル基はアリール基と解釈されてもよく、フェニル基に置換されたフェニル基と解釈されてもよい。
【0024】
本明細書において、「互いに結合して環を形成」するとは、互いに結合して置換若しくは無置換の炭化水素環、または置換若しくは無置換のヘテロ環を形成することを意味する。炭化水素環は、脂肪族炭化水素環及び芳香族炭化水素環を含む。ヘテロ環は、脂肪族ヘテロ環及び芳香族ヘテロ環を含む。炭化水素環及びヘテロ環は、それぞれ単環及び多環であってもよい。また、隣接する基と互いに結合して形成された環は、他の環と結合されてスピロ構造を形成するものであってもよい。
【0025】
本明細書において、「隣接する基」とは該当置換基が置換された原子と直接結合された原子に置換された置換基、該当置換基が置換された原子に置換された他の置換基または該当置換基と立体構造的に最も隣接した置換基を意味する。例えば、1、2-ジメチルベンゼンにおける2つのメチル基は互いに「隣接する基」と解釈されてもよく、1、1-ジエチルシクロペンテンにおける2つのエチル基は互いに「隣接する基」と解釈されてもよい。
【0026】
本明細書において、ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子が挙げられる。
【0027】
本明細書において、アルキル基は、直鎖、分枝鎖、または環状であってもよい。アルキル基の炭素数は、1以上30以下、1以上20以下、1以上10以下、または1以上4以下である。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、i-ブチル基、2-エチルブチル基、3、3-ジメチルブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、シクロペンチル基、1-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-エチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、n-ヘキシル基、1-メチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、2-ブチルヘキシル基、シクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、4-t-ブチルシクロヘキシル基、n-ヘプチル基、1-メチルペプチル基、2、2-ジメチルヘプチル基、2-エチルヘプチル基、2-ブチルヘプチル基、n-オクチル基、tーオクチル基、2-エチルオクチル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルオクチル基、3、7-ジメチルオクチル基、シクロオクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、アダマンチル基、2ーエチルデシル基、2-ブチルデシル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルデシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、2-エチルドデシル基、2-ブチルドデシル基、2-ヘキシルドデシル基、2-オクチルデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、2-エチルヘキサデシル基、2-ブチルヘキサデシル基、2-ヘキシルヘキサデシル基、2-オクチルヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基、2-エチルイコシル基、2-ブチルイコシル基、2-ヘキシルイコシル基、2-オクチルイコシル基、n-ヘンイコシル基、n-ドコシル基、n-トリコシル基、n-テトラコシル基、n-ペンタコシル基、n-ヘキサコシル基、n-ヘプタコシル基、n-オクタコシル基、n-ノナコシル基、及びn-トリアコンチル基などが挙げられるが、これらに限らない。
【0028】
本明細書において、アリール基は、芳香族炭化水素環から誘導された任意の作用基または置換基を意味する。アリール基は、単環式アリール基または多環式アリール基であってもよい。アリール基の環形成炭素数は、6以上30以下、6以上20以下、または6以上15以下である。アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クォーターフェニル基、キンクフェニル基、セクシフェニル基、ビフェニレニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、ベンゾフルオランテニル基、クリセニル基などが挙げられるが、これらに限らない。
【0029】
本明細書において、フルオレニル基は置換されてもよく、2つの置換基が互いに結合してスピロ構造を形成してもよい。フルオレニル基が置換される場合を以下に例示する。但し、フルオレニル基は、これらに限らない。
【化8】
【0030】
本明細書において、ハロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、及びアルキルチオ基のうちアルキル基は、上述したアルキル基の例示と同じである。
【0031】
本明細書において、アリールオキシ基、アラルキル基、及びアリールチオ基のうちアリール基は、上述したアリール基の例示と同じである。
【0032】
本明細書において、ヘテロアリール基はヘテロ原子としてO、N、P、Si及びSのうち一つ以上を含むヘテロアリール基である。ヘテロアリール基がヘテロ原子を2つ含む場合、2つのヘテロ原子は互いに同じであってもよく、異なってもよい。ヘテロアリール基の環を形成する炭素数は、2以上30以下、または2以上20以下である。ヘテロアリール基は、単環式ヘテロアリール基または多環式ヘテロアリール基であってもよい。多環式ヘテロアリール基は、例えば2環または3還構造を有するものであってもよい。ヘテロアリール基の例としては、チオフェニル基、フラニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジゾリル基、トリアゾリル基、ピリジニル基、ビピリジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、アクリジニル基、ピリダジニル基、キノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フェニキサジニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリニル基、インドリル基、カルバゾリル基、N-アリールカルバゾリル基、N-ヘテロアリールカルバゾリル基、N-アルキルカルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基、チエノチオフェニル基、ベンゾフラニル基、フェナントロリニル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、フェノチアジニル基、ジベンゾシロリル基、及びジベンゾフラニル基などが挙げられるが、これらに限らない。
【0033】
本明細書において、シリル基はアルキルシリル基及びアリールシリル基を含む。シリル基の例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などが挙げられるが、これらに限らない。
【0034】
本明細書において、ホウ素基(ボリル基)はアルキルホウ素基及びアリールホウ素基を含む。ホウ素基の例としては、トリメチルホウ素基、トリエチルホウ素基、t-ブチルジメチルホウ素基、トリフェニルホウ素基、ジフェニルホウ素基、フェニルホウ素基などが挙げられるが、これらに限らない。
【0035】
本明細書において、アルケニル基は直鎖または分枝鎖であってもよい。炭素数は特に限らないが、2以上30以下、2以上20以下、または2以上10以下である。アルケニル基の例としては、ビニル基、1-ブテニル基、1-ペンテニル基、1、3-ブタジエニルアリール基、スチレニル基、スチリルビニル基などが挙げられるが、これらに限らない。
【0036】
本明細書において、アミノ基の炭素数は特に限らないが、1以上30以下である。アミノ基は、アルキルアミノ基及びアリールアミノ基を含む。アミノ基の例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、9-メチル-アントラセニルアミノ基、トリフェニルアミノ基などが挙げられるが、これらに限らない。
【0037】
本明細書において、ホスフィンオキシ基は、例えば、アルキル基及びアリール基のうち一つに置換されたものであってもよい。
【0038】
本明細書において、ホスフィンスルフィド基は、例えば、アルキル基及びアリール基のうち一つに置換されたものであってもよい。
【0039】
まず、
図1~
図3を参照して本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る別の有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
図3は、本発明の一実施形態に係るさらに別の有機電界発光素子を概略的に示す断面図である。
【0040】
図1~
図3を参照すると、本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子10は、第1電極EL1、正孔輸送領域HTR、発光層EML、電子輸送領域ETR、及び第2電極EL2を含む。
【0041】
発光層EMLは、以下に詳細に説明する本発明の一実施形態による含窒素化合物を含む。但し、これに限らず、第1電極EL1と第2電極EL2との間に配置された一層以上の有機層のうち少なくとも一層が本発明の一実施形態に係る含窒素化合物を含んでもよい。例えば、正孔輸送領域HTRが本発明の一実施形態に係る含窒素化合物を含んでもよい。
【0042】
以下、本発明の一実施形態に係る含窒素化合物を詳しく説明した上で、有機電界発光素子10の各層について説明する。
【0043】
本発明の一実施形態に係る含窒素化合物は、下記化学式1で表される。
【化9】
【0044】
化学式1において、Q1はNAr1、OまたはSであり、Ar1は水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。R1及びR2はそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のシリル基、置換若しくは無置換のボリル基、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数6以上30以下のアラルキル基、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のハロアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数6以上30以下のアリールオキシ基、置換若しくは無置換の炭素数6以上30以下のアリールチオ基、置換若しくは無置換のホスフィンオキシ基、置換若しくは無置換のホスフィンスルフィド基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。a及びbはそれぞれ独立して0以上4以下の整数であり、nは0または1であり、M1及びM2はそれぞれ独立して下記化学式2または化学式3で表される。
【0045】
【0046】
化学式2において、X1~X4は、それぞれ独立してCR3またはNであり、X1~X4のうち少なくとも一つはNである。R3は水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、隣接する基と結合して環を形成してもよい。
【0047】
化学式3において、X5~X6はそれぞれ独立してCR3またはNである。R3は水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、隣接する基と互いに結合して環を形成してもよい。WはO、NAr3、またはCAr4Ar5であり、Ar2~Ar5はそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の炭素数6以上30以下のアラルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基であり、隣接する基と結合して環を形成してもよい。
【0048】
化学式1において、aが1であればR1は水素原子でなくてもよく、bが1であればR2は水素原子でなくてもよい。aが2以上であれば、複数のR1は互いに同じであってよく異なっていてもよい。bが2以上であれば、複数のR2は互いに同じであってもよく異なっていてもよい。
【0049】
化学式1において、R1が複数個あれば、隣接する2つのR1は互いに結合して環を形成してもよく、例えば、ヘテロ環を形成してもよい。
【0050】
化学式2及び化学式3において、R3が複数個あれば、隣接する2つのR3は互いに結合して環を形成してもよい。
【0051】
化学式2において、X1~X4のうちNの個数は1、2または3であってもよい。
【0052】
化学式2は、下記化学式2-1~化学式2-3のうちいずれか一つで表されてもよい。
【化11】
【0053】
化学式2-1において、X1及びX2はそれぞれ独立してCR3またはNであり、X1及びX2のうち少なくとも一つはNである。R3は水素原子、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。
【0054】
化学式2-1において、R3は水素原子、置換若しくは無置換のフェニル基、また置換若しくは無置換の含窒素ヘテロアリール基であってもよい。含窒素ヘテロアリール基は、例えば、置換若しくは無置換のピリジニル基、または置換若しくは無置換のピリミジニル基であってもよい。
【0055】
化学式2-2において、X1及びX2はそれぞれ独立してCR3またはNであり、X1及びX2のうち少なくとも一つはNである。X7~X10はそれぞれ独立してCR6またはNであり、X7~X10のうち少なくとも一つはNである。R3~R6はそれぞれ独立して水素原子、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。
【0056】
化学式2-3において、X1及びX2はそれぞれ独立してCR3またはNであり、X1及びX2のうち少なくとも一つはNである。R3~R5はそれぞれ独立して水素原子、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。
【0057】
化学式2-1は、下記化学式2-1-1~化学式2-1-3のうちいずれか一つで表されてもよい。
【化12】
【0058】
化学式2-2は、例えば下記化学式2-2-1で表されてもよい。
【化13】
【0059】
化学式2-3は、下記化学式2-3-1~化学式2-3-4のうちいずれか一つで表されてもよい。
【化14】
【0060】
化学式3において、Wは0であってもよい。但し、これに限らず、WはNAr3であり、Ar3がAr2と結合して環を形成してもよい。また他の例として、化学式2において、WはCAr4Ar5であり、Ar4がAr5のうちいずれか一つはAr2と結合して環を形成してもよい。
【0061】
化学式3は、下記化学式3-1~化学式3-4のうちいずれか一つで表されてもよい。
【化15】
【0062】
化学式3-1において、Ar2は置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。化学式3-1において、Ar2は、例えば置換若しくは無置換のフェニル基であってもよい。
【0063】
化学式3-3において、Ar5は置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。化学式3-3において、Ar5は、例えば置換若しくは無置換のフェニル基であってもよい。
【0064】
化学式3-4において、Ar5は置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。化学式3-4において、Ar5は、例えば置換若しくは無置換のフェニル基であってもよい。
【0065】
化学式1において、Q1はNAr1で、Ar1は置換若しくは無置換のフェニル基であってもよい。例えば、Q1はNAr1で、Ar1はシリル基に置換若しくは無置換されたフェニル基であってもよい。例えば、Q1はNAr1で、Ar1はトリフェニルシリル基に置換若しくは無置換されたフェニル基であってもよい。但し、これらに限らず、化学式1において、Q1はOまたはSであってもよい。
【0066】
化学式1は、例えば、下記化学式1-1または化学式1-2で表されてもよい。
【化16】
【0067】
化学式1-1~化学式1-2において、Q1、R1、R2、M1、M2、n、a、及びbは上述したとおりである。
【0068】
化学式1-1~化学式1-2において、nが1であればM1及びM2は互いに同じであってもよい。但し、これに限らない。
【0069】
例えば、nが1で、M1及びM2は上述した化学式2-2-1で表されるものであってもよい。他の例として、nが1で、M1及びM2は上述した化学式3-2で表されるものであってもよい。
【0070】
化学式1は、例えば下記化学式1-3で表されてもよい。
【化17】
【0071】
化学式1-3において、Q1、R1、R2、a、及びbは上述したとおりであり、Q2はQ1の定義と同じであり、Q1及びQ2は互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。R7は水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。cは0以上5以下の整数である。
【0072】
化学式1-3において、cが1であればR7は水素原子でなくてもよく、cが2以上であれば複数のR7は互いに同じであってよく、異なってもよい。但し、これに限らず、cは0であってもよい。
【0073】
化学式1-3において、M3は下記化学式4で表される。
【化18】
【0074】
化学式4において、X11はC=O、またはCR8であり、R8は水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数2以上30以下のヘテロアリール基である。
【0075】
化学式4において、X11はC=OであればX11と2つのNは全て単結合を介して結合され、X11がCR8であれば2つのNのうち一つのNはCR8と二重結合を介して結合される。
【0076】
化学式4において、R8は水素原子、置換若しくは無置換のフェニル基であってもよい。
【0077】
化学式1において、aは0であってもよい。つまり、M2が置換され得るベンゼン環は、M2に1置換されるか無置換の構造を有するものであってもよい。但し、これに限らず、aは1以上で、R1は水素原子以外の置換基であってもよい。例えば、R1はアリールアミノ基、アリールシリル基、ホスフィンオキシ基、ホスフィンスルフィド基、アリールボリル基、ハロゲン原子、またはハロアルキル基であってもよい。
【0078】
化学式1は、下記化学式1-4で表される。
【化19】
【0079】
化学式1-4において、Q3はO、SまたはNR11であり、R9~R11はそれぞれ独立して水素原子、重水素原子、置換若しくは無置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、または置換若しくは無置換の環形成炭素数6以上30以下のアリール基である。Q1、M1、R2及びbは上述したとおりである。
【0080】
化学式1において、bは0であってもよい。但し、これに限らず、bは1であってもよい。bが1であれば、R2はM1と同じであってもよい。例えば、bが1で、R2及びM1は上述した化学式2-2-1で表されるものであってもよい。他の例として、bが1で、R2及びM1は上述した化学式3-2で表されるものであってもよい。
【0081】
また他の例として、bは1以上で、R2は水素原子以外の置換基であってもよい。例えば、R1はアリールアミノ基、アリールシリル基、ホスフィンオキシ基、ホスフィンスルフィド基、アリールボリル基、ハロゲン原子、またはハロアルキル基であってもよい。
【0082】
本発明の一実施例による化学式1で表される含窒素化合物は、下記第1化合物群に示した化合物のうちから選択されるいずれか一つであってもよい。但し、これに限らない。尚、以下の構造において、Phはフェニル基を意味する。
【化20】
【0083】
本発明の一実施形態に係る含窒素化合物は、トリアゾール、オキサジアゾール、またはチアジアゾール骨格を有し、前記骨格に置換されているベンゼン環のオルト位置に電子受容性置換基が位置する構造を有する。2種類の含窒素5環をベンゼン環の上にオルト関係に置換させることで分子構造がねじれるようになり、最低三重項エネルギー準位が高くなる。それによって、本発明の一実施形態に係る含窒素化合物は、りん光ホスト材料として好ましく適用される。本発明の一実施形態に係る含窒素化合物を有機電界発光素子のホスト材料として使用すれば、高い電荷移動度を有するようになると共に、ドーパントに三重項エネルギーを閉じ込めることが可能になる。
【0084】
本発明の一実施形態に係る含窒素化合物は、最低三重項エネルギー準位T1が3.0eV以上である。
【0085】
更に
図1~
図3を参照して、本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子について説明する。
【0086】
以下では上述した本発明の一実施形態に係る含窒素化合物の説明において詳細に説明されていない点を中心に詳しく説明する。以下で説明が省略されている部分は、上述した本発明の一実施形態に係る含窒素化合物と同様である。
【0087】
第1電極EL1は導電性を有する。第1電極EL1は画素電極または正極である。第1電極EL1は、透過型電極、半透過型電極、または反射型電極である。第1電極EL1が透過型電極であれば、第1電極EL1は、透明金属酸化物、例えば、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO(zinc oxide)、ITZO(indium tin zinc oxide)などを含む。第1電極EL1が半透過型電極または反射型電極であれば、第1電極EL1は、Ag、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti、またはこれらの化合物や混合物(例えば、AgとMgの混合物)を含む。また、第1電極EL1は、前記物質で形成された反射膜や半透過膜、及びITO、IZO、ZnO、ITZOなどで形成された透明導電膜を含む複数の層構造を有してもよい。例えば、第1電極EL1は、ITO/Ag/ITOの3槽構造を有してもよいが、これに限らない。
【0088】
第1電極EL1の厚さは、約100nm~約1000nm、であり、例えば約100nm~約300nmであってもよい。
【0089】
正孔輸送領域HTRは第1電極EL1の上に設けられる。正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、正孔バッファ層及び電子阻止層EBLのうち少なくとも一つを含む。
【0090】
正孔輸送領域HTRは、単一物質で形成された単一層、複数の互いに異なる物質で形成された単一層、または複数の互いに異なる物質で形成された複数の層を有する多層構造を有する。
【0091】
例えば、正孔輸送領域HTRは、正孔注入層HILまたは正孔輸送層HTLの単一層の構造を有してもよく、正孔注入物質と正孔輸送物質で形成された単一構造を有してもよい。また、正孔輸送領域HTRは、複数の互いに異なる物質で形成される単一層の構造を有するか、第1電極EL1から順番に積層された正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL、正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL/正孔バッファ層、正孔注入層HIL/正孔バッファ層、正孔輸送層HTL/正孔バッファ層、または正孔注入層HIL/正孔輸送層HTL/正孔阻止層EBLの構造を有してもよいが、これらに限らない。
【0092】
正孔輸送領域HTRは、真空蒸着法、スピンコート法、LB法(Langmuir-Blodgett)、インクジェットプリント法、レーザプリント法、レーザ熱転写法(Laser Induced Thermal Imaging、LITI)などのような多様な方法を利用して形成される。
【0093】
正孔注入層HTLの材料としては、例えば、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物と、DNTPD(N、N’-ジフェニル-N、N’-ビス-[4-フェニル-m-トリル-アミノ)-フェニル]-ビフェニル-4、4’-ジアミン)、m-MTDATA(4、4’、4”-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミノ)、TDATA(4、4’、4”-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン)、2-TNATA(4、4’、4”-トリス{N,-(2-ナフチル)-N-フェニルアミノ}-トリフェニルアミン)、PEDOT/PSS(ポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルフォナート))、PANI/DBSA(ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸)、PANI/CSA(ポリアニリン/カンファースルホン酸)、PANI/PSS((ポリアニリン)/ポリ(4-スチレンスルフォナート))、NPD(N、N’-ジ(ナフタレン-1-イル)-N、N’-ジフェニル-ベンジジン)、トリフェニルアミンを含むポリエテールケトン(TPAPEK)、4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、HAT-CN(ジピラジノ[2、3-f:2’、3’-h]キノキサリン-2、3、6、7、10、12-ヘキサカルボニトリル)などが挙げられる。
【0094】
正孔輸送層HTLは、例えば、N-フェニルカルバゾール、ポリにビルカルバゾールなどのカルバゾール系誘導体、フルオレン系誘導体、TPD(N、N’-ビス(3-メチルフェニル)-N、N’-ジフェニル-[1、1-ビフェニル]-4、4’-ジアミン)、TCTA(4、4’、4”-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン)などのようなトリフェニルアミン系誘導体、NPB(N、N’-ジ(ナフタレン-1-イル)-N、N’-ジフェニル-ベンジジン)、TAPC(4、4’-シクロへキシリデンビス[N、N-ビス(4-メチルフェニル)ベンゼンアミン])、HMTPD(4、4’-ビス[N、N’-(3-トリル)アミノ]-3、3’-ジメチルビフェニル)などを含んでもよい。
【0095】
電子阻止層EBLは、当該技術分野で知られている一般的な材料を含んでもよい。電子阻止層EBLは、例えば、N-フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール系誘導体、フルオレン系誘導体、TPD(N、N’-ビス(3-メチルフェニル)-N、N’-ジフェニル-[1、1-ビフェニル]-4、4’-ジアミン)、TCTA(4、4’、4”-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン)などのようなトリフェニルアミン系誘導体、NPD(N、N’-ジ(ナフタレン-1-イル)-N、N’-ジフェニル-ベンジジン)、TAPC(4、4’-シクロへキシリデンビス[N、N-ビス(4-メチルフェニル)ベンゼンアミン])、HMTPD(4、4’-ビス[N、N’-(3-トリル)アミノ]-3、3’-ジメチルビフェニル)、またはmCPなどを含んでもよい。また、電子阻止層EBLは、本発明の一実施形態に係る含窒素化合物を含んでもよい。
【0096】
正孔輸送領域HTRの厚さは、約10nm~約1000nmであり、例えば約10nm~約500nmであってもよい。正孔注入層HILの厚さは、例えば約3nm~約100nmであり、正孔輸送層HTLの厚さは、約3nm~約100nmであってもよい。例えば、電子阻止層EBLの厚さは、例えば約1nm~約100nmであってもよい。正孔輸送領域HTR、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、及び電子阻止層EBLの厚さが上述したような範囲を満たせば、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる程度の正孔輸送特性が得られる。
【0097】
正孔輸送領域HTRは、上述した物質以外に導電性を向上するために電荷生成物質を更に含んでもよい。電荷発生物質は、正孔輸送領域HTR内に均一にまたは不均一に分散されている。電荷発生物質は、例えば、p-ドーパント(dopant)である。p-ドーパントはキノン誘導体、金属酸化物及びシアノ基含有化合物のうちいずれか一つであってもよいが、これらに限らない。例えば、p-ドーパントの例としては、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)及びF4-TCNQ(2、3、5、6-テトラフルオロ-テトラシアノキノジメタン)などのようなキノン誘導体、タングステン酸化物及びモリブデン酸化物のような金属酸化物などが挙げられるが、これらに限らない。
【0098】
上述したように、正孔輸送領域HTRは、正孔バッファ層及び電子阻止層EBLのうち少なくとも一つを更に含んでもよい。正孔バッファ層は、発光層EMLから放出される光の波長による共振距離を補償して光放出効率を増加させる。正孔バッファ層に含まれる物質としては、正孔輸送領域HTRに含まれる物質を使用することができる。電子阻止層EBLは、電子輸送領域ETRから正孔輸送領域HTRへの電子の注入を防止する役割をする層である。
【0099】
発光層EMLは正孔輸送領域HTRの上に設けられる。発光層EMLは、例えば、約10nm~約100nmであり、約10nm~約30nmの厚さを有するものであってもよい。発光層EMLは、単一物質で形成された単一層、複数の互いに異なる物質で形成された単一層、または複数の互いに異なる物質で形成された複数の層を有する多層構造を有する。
【0100】
発光層EMLは、上述したように本発明の一実施形態に係る含窒素環化合物を含む。発光層EMLは、化学式1で表される含窒素化合物を1種または2種以上含んでもよい。発光層EMLは、化学式1で表される含窒素化合物以外の公知の材料を更に含んでもよい。例えば、スピロ-DPVBi、スピロ-6P、2,2’,7,7’-テトラキス(ビフェニル-4-イル)-9,9’-スピロビフルオレン(スピロ-セクシフェニル))、DSB(ジスチリル-ベンゼン)、DSA(ジスチリル-アリレン)、PFO(ポリフルオレン)系高分子、及びPPV(ポリ(p-フェニレンビニレン)系高分子で形成される群から選択されたいずれか一つを含む物質を更に含んでもよい。但し、これらに限らない。
【0101】
発光層EMLはホスト及びドーパントを含む。ホストとしては上述した本発明の一実形態に係る含窒素化合物を含んでもよく、ドーパントはりん光ドーパントであってもよい。つまり、本発明の一実施形態に係る含窒素化合物は、りん光ホスト材料として使用される。但し、これに限らず、例えば、本発明の一実施形態に係る含窒素化合物は、熱活性遅延蛍光材料として使用されてもよい。
【0102】
発光層EMLは、例えば、青色光を発光する青色発光層であってもよい。但し、これに限らず、赤色光または緑色光を発光する層であってもよい。
【0103】
ホストとしては、本発明の一実施形態に係る含窒素化合物以外にも当該技術分野で知られている一般的なホスト材料を更に含む。例えば、発光層EMLは、Alq3(トリス(8-ヒドロキシキノリノ)アルミニウム)、CBP(4、4’-ビス(N-カルバゾリル)-1,1’-ビフェニル)、PVK(ポリ(n-ビニルカルバゾール)、ADN(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン)、TCTA(4,4’,4”-トリス(カルバゾール-9-イル)-トリフェニルアミン)、TPBi(1,3,5-トリス(N-フェニルベンゾイミダゾール-2-イル)ベンゼン)、TBADN(3-tert-ブチル-9,10-ジ(ナフト-2-イル)アントラセン)、DSA(ジスチリルアリレン)、CDBP(4,4’-ビス(9-カルバゾリル)-2,2’-ジメチル-ビフェニル)、MADN(2-メチル-9,10-ビス(ナフタレン-2-イル)アントラセン)、DPEPO(ビス[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルオキシド)、CP1(ヘキサフェニルシクロトリホスファゼン)、UGH2(1,4-ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン)、DPSiO3(ヘキサフェニルシクロトリシロキサン)、DPSiO4(オクタフェニルシクロテトラシロキサン)、PPF(2,8-ビス(ジフェニルホスフォリル)ジゼンゾフラン)をホスト材料として更に含んでもよい。
【0104】
ドーパントは、当該技術分野で知られている一般的な材料を含む。例えば、ドーパントは、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ユウロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ロジウム(RH)、及びツリウム(Tm)のうち少なくとも一つを含む金属錯体を含んでもよい。例えば、Flrpic(ビス[2-(4,6-ジフルオロフェニル)ピリジナート-C2,N](ピコリナート)イリジウム(III))を含んでもよい。ドーパントは蛍光ドーパントであってもよい。ドーパントは、例えば、アリールアミン化合物、またはスチリルアミン化合物などを含んでもよい。
【0105】
電子輸送領域ETRは、発光層EMLの上に設けられる。電子輸送領域ETRは、正孔阻止層HBL、電子輸送層ETL及び電子注入層のEILうち少なくとも一つを含むが、これらに限らない。
【0106】
電子輸送領域ETRは、単一物質で形成された単一層、複数の互いに異なる物質で形成された単一層、または複数の互いに異なる物質で形成された複数の層を有する多層構造を有する。
【0107】
例えば、電子輸送領域ETRは、電子注入層のEILまたは電子輸送層ETLの単一層の構造を有してもよく、電子注入物質と電子輸送物質で形成された単一構造を有してもよい。また、電子輸送領域ETRは、複数の互いに異なる物質からなる単一層の構造を有するか、発光層EMLから順番に積層された電子輸送層ETL/電子注入層EIL、正孔阻止層HBL/電子輸送層ETL/電子注入層EILの構造を有してもよいが、これらに限らない。電子輸送領域ETRの厚さは、例えば、約100nm~約150nmであってもよい。
【0108】
電子輸送領域ETRは、真空蒸着法、スピンコート法、LB法、インクジェットプリント法、レーザプリント法、レーザ熱転写法などのような多様な方法を利用して形成される。
【0109】
電子輸送領域ETRが電子輸送層ETLを含む場合、電子輸送領域ETRは、Alq3(トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)、1,3,5-トリ[(3-ピリジル)-フェン-3-イル]ベンゼン、2,4,6-トリス(3’-ピリジン-3-イル)ビフェニル-3-イル)-1,3,5-トリアジン、DPEPO(ビス[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルオキシド)、2-(4-(N-フェニルベンゾイミダゾリル-1-イルフェニル)-9,10-ジナフチルアントラセン、TPBi(1,3,5-トリ(1-フェニル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)フェニル)、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、Bphen(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、TAZ(3-(4-ビフェニルイル)-4-フェニル-5-テルト-ブチルフェニル-1,2,4-トリアゾール)、NTAZ(4-(ナフタレン-1-イル)-3,5-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾール)、tBu-PBD(2-(4-ビフェニルイル)-5-(4-テルトーブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール)、BAlq(ビス(2-メチル-8-キノリノラト-N1,O8)-(1,1’-ビフェニル-4-オラト)アルミニウム)、Bebq2(ベリリウムビス(ベンゾキノリン-10-オラト)、ADN(9,10-ジ(ナフタレン-2-イル)アントラセン)、及びこれらの混合物を含んでもよいが、これらに限らない。電子輸送層ETLの厚さは、約10nm~約100nmであり、例えば約15nm~約50nmであってもよい。電子輸送層ETLの厚さが上述したような範囲を満たす場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる程度の電子輸送特性が得られる。
【0110】
電子輸送領域ETRが電子注入層EILを含む場合、電子輸送領域ETRには、LiF、LiQ(Lithum quinolate)、Li2O、BaO、NaCl、CsF、Ybのようなランタン族金属、またはRbCl、Rblのようなハロゲン化金属などが使用されてもよいが、これらに限らない。電子注入層EILはまた、電子輸送物質と絶縁性の有機金属塩(organo metal slat)が混合された物質からなってもよい。有機金属塩は、エネルギーバンドギャップ(energy band gap)が略4eV以上の物質であってもよい。詳しくは、例えば、有機金属塩は、酢酸金属塩(metal acetate)、安息香酸塩金属塩(metal benzoate)、アセト酢酸金属塩(metal acetoacetate)、金属アセチルアセトナート(metal acetylacetonate)、またはスステアリン酸金属塩(stearate)を含む。電子注入層EILの厚さは、約0.1nm~約10nmであり、例えば約0.3nm~約9nmであってもよい。電子注入層EILの厚さが上述したような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足できる程度の電子注入特性が得られる。
【0111】
電子輸送領域ETRは、上述したように、正孔阻止層HBLを含む。正孔阻止層HBLは、例えば、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、Bphen(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、またはDPEPO(ビス[2-(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテルオキシド)などを含んでもよいが、これらに限ることはない。
【0112】
第2電極EL2は、電子輸送領域ETRの上に設けられる。第2電極EL2は、共通電極または負極である。第2電極EL2は、透過型電極、半透過型電極、または反射型電極である。第2電極EL2が透過型電極であれば、第2電極EL2は透明金属酸化物、例えば、ITO、IZO、ZnO、ITZOなどからなる。
【0113】
第2電極EL2が半透過型電極または反射型電極であれば、第2電極EL2はAg、Mg、Cu、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Mo、Ti、またはこれらを含む化合物や混合物(例えば、AgとMgの混合物)を含む。また、第2電極EL2は、前記物質で形成された反射膜や半透過膜、及びITO、IZO、ZnO、ITZOなどで形成された透明導電膜を含む複数の層構造であってもよい。
【0114】
図示していないが、第2電極EL2は補助電極と接続されてもよい。第2電極EL2が補助電極と接続されれば、第2電極EL2の抵抗を減少させることができる。
【0115】
有機電界発光素子10において、第1電極EL1と第2電極EL2にそれぞれ電圧が印加されると、第1電極EL1から注入された正孔(hole)は正孔輸送領域HTRを介して発光層EMLに移動し、第2電極EL2から注入された電子は電子輸送領域ETRを経て発光層EMLに移動する。電子と正孔は発光層EMLで再結合して励起子(exciton)を生成し、励起子が励起状態から基底状態に落ちながら発光する。
【0116】
有機電界発光素子10が前面発光型であれば、第1電極EL1は反射型電極であって、第2電極はEL2は透過型電極または半透過型電極であってもよい。有機電界発光素子10が背面発光型であれば、第1電極EL1は透過型電極または半透過型電極であって、第2電極はEL2は反射型電極であってもよい。
【0117】
本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子10は、化学式1に表される含窒素化合物を含むことを特徴とし、それによって発光効率を向上させることができる。
【0118】
以下、具体的な実施例及び比較例を介して本発明をより詳細に説明する。下記実施例は、本発明の理解を助けるための例示に過ぎず、本発明の範囲はこれに限らない。
【0119】
(合成例)
本発明の一実施形態に係る含窒素化合物は、例えば、下記のように合成してもよい。但し、本発明の一実施形態に係る含窒素化合物の合成方法はこれらに限らない。
【0120】
1.化合物1の合成
本発明の一実施形態に係る含窒素化合物である化合物1は、例えば、下記反応によって合成されてもよい。
【化21】
【0121】
アルゴン(Ar)雰囲気下、200mLの三口フラスコに3-(2-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾールを4.62g(14.6mmol)、ベンズイミダゾールを1.73g(14.6mmol)、Cs2CO3を9.54g(29.3mmol)、及びDMSOを44mL加え、160℃で2時間攪拌した。空冷後、水を加えて生成した白色沈殿をろ過して得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製した後、白色固体の化合物1を5.36g(収率89%)得た。
【0122】
FAB-MS測定で測定された化合物1の分子量は413であった。また、1H-NMR(CDCl3)で測定された化合物1のケミカルシフト(δ)値は、8.04(1H)、7.70-7.60(3H)、7.48(1H)、7.38(1H)、7.29(1H)、7.23-7.16(5H)、7.06(1H)、6.97(1H)、6.82-6.73(3H)、6.19(2H)であった。
【0123】
2.化合物7の合成
本発明の一実施形態に係る含窒素化合物である化合物7は、例えば、下記反応によって合成されてもよい。
【化22】
【0124】
アルゴン(Ar)雰囲気下、200mLの三口フラスコに3-(2-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニル-4H-1,2,4-トリアゾールを3.64g(11.5mmol)、5H-ベンズイミダゾロ[1,2-a]ベンズイミダゾールを2.38g(11.5mmol)、NaHを0.703g(29.3mmol)、及びHPMAを58mL加え、200℃で12時間攪拌した。空冷後、水を加えて生成した白色沈殿をろ過して得た。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィで精製した後、白色固体の化合物7を2.83g(収率49%)得た。
【0125】
FAB-MS測定で測定された化合物7の分子量は502であった。また、1H-NMR(CDCl3)で測定された化合物7のケミカルシフト(δ)値は、8.58-8.54(3H)、8.28(2H)、7.82-7.75(2H)、7.68-7.46(9H)、7.38(2H)、7.30-7.19(4H)であった。
【0126】
3.化合物9の合成
本発明の一実施形態に係る含窒素化合物である化合物9は、例えば、下記反応によって合成されてもよい。
【化23】
【0127】
アルゴン(Ar)雰囲気下、200mLの三口フラスコに3,5-ビス(2-フルオロフェニル)-4-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾールを3.34g(10.0mmol)、ベンズイミダゾールを2.36g(20.0mmol)、Cs2CO3を13.03g(40.0mmol)、及びDMSOを60mL加え、160℃で2時間攪拌した。空冷後、水を加えて、精製された白色沈殿をろ過して得た。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィで精製した後、白色固体の化合物9を4.29g(収率81%)得た。
【0128】
FAB-MS測定で測定された化合物9の分子量は529であった。また、1H-NMR(CDCl3)で測定された化合物9のケミカルシフト(δ)値は、8.56(2H)、8.08(2H)、7.82-7.75(4H)、7.68-7.19(15H)であった。
【0129】
4.化合物12の合成
本発明の一実施形態に係る含窒素化合物である化合物12は、例えば、下記反応によって合成されてもよい。
【化24】
【0130】
アルゴン(Ar)雰囲気下、200mLの三口フラスコに3,5-ビス(2-フルオロフェニル)-4-フェニル-4H-1,2,4-トリアゾールを3.34g(10.0mmol)、2-フェニルベンズイミダゾールを3.88g(20.0mmol)、Cs2CO3を13.03g(40.0mmol)、及びDMSOを60mL加え、160℃で2時間攪拌した。空冷後、水を加えて生成した白色沈殿をろ過して得た。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィで精製した後、白色固体の化合物12を6.27g(収率92%)得た。
【0131】
FAB-MS測定で測定された化合物12の分子量は681であった。また、1H-NMR(CDCl3)で測定された化合物12のケミカルシフト(δ)値は、8.56(2H)、8.28(4H)、7.83-7.75(6H)、7.68-7.46(15H)、7.38(2H)、7.28(2H)であった。
【0132】
5.化合物21の合成
本発明の一実施形態に係る含窒素化合物である化合物21は、例えば、下記反応によって合成されてもよい。
【化25】
【0133】
アルゴン(Ar)雰囲気下、200mLの三口フラスコに2-(2-クロロフェニル)-5-フェニル-1,3,4-チアジアゾールを3.11g(11.4mmol)、2-フェニルベンズイミダゾールを2.21g(11.4mmol)、Cs2CO3を7.43g(22.8mmol)、及びDMSOを23mL加え、180℃で12時間攪拌した。空冷後、水を加えて生成された白色沈殿をろ過して得た。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィで精製した後、白色固体の化合物21を3.53g(収率72%)得た。
【0134】
FAB-MS測定で測定された化合物21の分子量は430であった。また、1H-NMR(CDCl3)で測定された化合物21のケミカルシフト(δ)値は、8.56(1H)、8.28(2H)、8.03(2H)、7.83-7.75(3H)、7.66(1H)、7.55-7.48(8H)、7.28(1H)であった。
【0135】
上述した合成例は一例であって、反応条件は必要に応じて変更されてもよい。また、本発明の一実施形態に係る化合物は、当該技術分野で知られている方法及び材料を利用して多様な置換基を有するように合成されてもよい。化学式1で表されるコア構造に多様な置換体を取り入れることで、本発明の一実施形態に係る化合物は、有機電界発光素子に使用されるに適した特性を有することができる。
【0136】
(素子作成例)
上述した化合物1、7、9、12及び21を発光層のホスト材料として使用し、実施例1~5の有機電界発光素子を製作した。
[実施例化合物]
【化26】
【0137】
下記比較例化合物c1~c7を発光層のホスト材料として使用して、比較例1~7の有機電界発光素子を製作した。
[比較例化合物]
【化27】
【0138】
実施例1~5、及び比較例1~7の有機電界発光素子は、ITOで150nm厚さの第1電極を形成し、HAT-CNで10nm厚さの正孔注入層を形成し、NPBで40nm厚さの正孔輸送層を形成し、mCPで10nm厚さの電子阻止層を形成し、実施例化合物または比較例化合物にFlrpicを8%ドーピングした20nm厚さの発光層を形成し、DPEPOで10nm厚さの正孔阻止層を形成し、TPBiで30nm厚さの電子輸送層を形成し、LiFで2nm厚さの電子注入層を形成し、Alで120nm厚さの第2電極を形成した。各層は、全て真空蒸着法で形成した。
【0139】
以下の表1に実施例1~5、及び比較例1~7に最大発光効率を示す。尚、最大発光効率は比較例1を基準に%で表した。
【表1】
【0140】
表1を参照すると、実施例1~5は比較例1~7に比べ高効率化されている。比較例1及び2の場合、トリアゾールまたはオキサジアゾールに置換されているフェニル基のオルト位置にカルバゾールまたはカルボリンが置換されており、最低三重項エネルギー準位が低くなるため発光効率が低下する。また、比較例3,4,6の場合、ベンゾイミダゾールの置換位置がメタまたはパラ位置であるため、分子のねじれが少なく、最低三重項エネルギー準位が低くなって発光効率が低下する。一方、比較例5及び7の場合、分子内にビフェニル基が含まれていて最低三重項エネルギーが低くなり、結果的に発光効率が低下する。
【0141】
本発明の一実施形態に係る含窒素化合物は、発光層に使用されて有機電界発光素子の発光効率を改善することができる。
【0142】
本発明の一実施形態に係る含窒素化合物は、発光層に使用されて有機電界発光素子の寿命を向上させることができる。
【0143】
以上に本発明の実施例を説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須的特徴を変更することなく他の具体的な形態に実施され得ることを理解できるはずである。よって、上述した実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。