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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】電子ペン及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20230425BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
G06F3/03 400E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019031250
(22)【出願日】2019-02-25
(65)【公開番号】P2020135687
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】小野田 直人
(72)【発明者】
【氏名】大川 健一
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-097588(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0188834(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0078116(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/03
3/041-3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペン形状の筒状の筐体と、
前記筐体内部に設けられ、位置検出装置に対して位置指示信号を送出する機能を実現する電子部品部と、
前記電子部品部に対して駆動電源を供給する充電式電池と、
前記筐体のペン先とは反対側の後端部分から前記筐体に沿ってペン先側に延伸されたクリップ部と、
前記クリップ部の前記筐体に対向する面に対して露呈するように設けられ、前記クリップ部のペン先側とは反対側の後端部分から前記クリップ部のペン先側である先端部分まで延伸され、前記充電式電池のプラス端子とマイナス端子とのそれぞれに接続された2本の細長の充電端子と
を備えることを特徴とする電子ペン。
【請求項2】
請求項1に記載の電子ペンであって、
前記充電端子は、前記クリップ部のペン先側である先端部分に前記筐体に向かって形成されている凸部の頭頂部を超えた部分にまで延伸されていることを特徴とする電子ペン。
【請求項3】
ペン形状の筒状の筐体と、前記筐体内部に設けられ、位置検出装置に対して位置指示信号を送出する機能を実現する電子部品部と、前記電子部品部に対して駆動電源を供給する充電式電池と、前記筐体のペン先とは反対側の後端部分から前記筐体に沿ってペン先側に延伸されたクリップ部と、前記クリップ部の前記筐体に対向する面に対して露呈するように設けられ、前記クリップ部のペン先側とは反対側の後端部分から前記クリップ部のペン先側である先端部分まで延伸され、前記充電式電池のプラス端子とマイナス端子とのそれぞれに接続された2本の細長の充電端子とを備える電子ペンにより指示入力が行われる情報処理装置であって、
前記電子ペンの前記筐体が収納される筐体収納部と、
前記筐体収納部に前記電子ペンの筐体が収納された場合に、前記筐体と前記クリップ部との間に位置する側壁部と、
前記電子ペンの前記クリップ部が対向する前記側壁部の面の前記クリップ部に設けられている前記充電端子に対向する位置に、前記充電端子に接触可能な態様で設けられる端子であって、充電回路に接続された接続端子と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、充電式電池が搭載された電子ペンと、この電子ペンが位置指示器として機能する位置検出装置が搭載された情報処理装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
図6(A)は、例えばタブレットPCやスマートフォンなどの情報処理装置の外観の例を示している。図6に示した情報処理装置100は、LCD(Liquid Crystal Display)などの薄型の表示装置を備えると共に、その表示画面101の全面に対応するように位置検出センサ102が設けられており、電子ペンによる指示入力ができるものである。また、情報処理装置100の下側には筒状の電子ペン格納部103が設けられており、右側面下側の開口部104から電子ペンの全体を格納することができるようになっている。これにより、情報処理装置100と共に電子ペンを紛失することがないようにして持ち運ぶことができる。
【0003】
図6(B)は、情報処理装置100に対して指示入力を行う電子ペン200の概略構成と、情報処理装置100の電子ペン200に対する充電機能部とを説明するための図である。電子ペン200は、位置指示信号の送出機能を実現する電子回路部201と、電子回路部201に駆動電力を供給する充電式電池202を備える。この充電式電池202には、電子ペン200の筐体外側側面に設けられた充電端子203a、203bが接続されている。情報処理装置100の電子ペン格納部103の内壁面には、図6(A)に示したように、電子ペン200が格納されたときに電子ペン200の充電端子203a、203bと対向する位置に接続端子109a、109bが設けられている。
【0004】
情報処理装置100においては、商用電源の供給を受けた充電回路105により、情報処理装置100のバッテリ106が充電される。このバッテリ106からのからの電力が、電源回路107を通じて充電回路108に供給され、ここで電子ペン200の充電用の電力が形成され、接続端子109a、109bに供給される。電子ペン格納部103に電子ペン200が格納されると、電子ペン200の充電端子203a、203bが、情報処理装置100の接続端子109a、109bに接触するようになっており、電子ペン200の充電式電池202が充電される。
【0005】
例えば、特許文献1、特許文献2には、図6を用いて説明したように、充電式電池が搭載された電子ペンと、この電子ペンの充電式電池に対して充電を行う機能を備えた情報処理装置とに関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平6-110595号公報
【文献】特開2016-126412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、筐体外側側面に充電端子が設けられている電子ペンの場合には、充電端子が目立ってしまいデザイン的に好ましくなかったり、充電端子に汚れなどが付着するなどして充電に支障を来たしたりする場合があると考えられる。また、電子ペンを電子ペン格納部に適切に格納した場合にのみ、電子ペンの充電端子と情報処理装置の接続端子を接続するようにするためには、上述した特許文献2に開示された発明のように、複雑な接続機構が必要になってしまう。
【0008】
以上のことに鑑み、この発明は、電子ペンの美的外観を阻害することなく充電端子を設け、電子ペンに搭載された充電式電池の充電を情報処理装置から電力の供給を受けて適切に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、
ペン形状の筒状の筐体と、
前記筐体内部に設けられ、位置検出装置に対して位置指示信号を送出する機能を実現する電子部品部と、
前記電子部品部に対して駆動電源を供給する充電式電池と、
前記筐体のペン先とは反対側の後端部分から前記筐体に沿ってペン先側に延伸されたクリップ部と、
前記クリップ部の前記筐体に対向する面に対して露呈するように設けられ、前記クリップ部のペン先側とは反対側の後端部分から前記クリップ部のペン先側である先端部分まで延伸され、前記充電式電池のプラス端子とマイナス端子とのそれぞれに接続された2本の細長の充電端子と
を備える電子ペンを提供する。
【0010】
この電子ペンによれば、ペン形状の筒状の筐体の内部には、位置指示信号を送出するための電子部品部と、この電子部品部に駆動電源を供給する充電式電池とが搭載されている。また、筐体には後端部分から筐体に沿ってペン先側に延伸されたクリップ部が設けられており、このクリップ部の筐体に対向する面に設けられている充電端子が、筐体内の充電式電池に接続される。充電端子は、クリップ部の筐体に対向する面に設けられるので、使用者の目につくことがなく、電子ペンの見た目(デザイン)に影響しない。また、充電端子は、外側に露出することもないので、使用者が触ったりすることもなく、汚れなどが付着して充電に影響を及ぼすなどの不都合も生じさせない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態の電子ペンの概略構成を説明するための図である。
図2】第1の実施の形態の電子ペンが格納される第1の実施の形態の情報処理装置の電子ペン格納部について説明するための図である。
図3】第2の実施の形態の電子ペンのクリップ部の構成を説明するための図である。
図4】第2の実施の形態の電子ペンが格納される第2の実施の形態の情報処理装置の電子ペン格納部について説明するための図である。
図5】第2の実施の形態の電子ペンが格納される第2の実施の形態の情報処理装置の電子ペン格納部の他の例について説明するための図である。
図6】位置検出装置を搭載した情報処理装置と電子ペンの従来例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施の形態の電子ペンの構成例]
図1は、第1の実施の形態の電子ペン10の概略構成を説明するための図である。図1(A)に示すように、電子ペン10は、先端部が先細となったペン形状の筒状の筐体11を備える。また、電子ペン10は、筐体11の先細となったペン先側とは反対側の端部(後端部)から筐体11からやや離れると共に、筐体11に沿ってペン先側に延伸されたクリップ部12を備える。筐体11の内部には、位置指示信号を送出する機能を実現するための電子回路部13と、この電子回路部13に対して駆動電源を供給する充電式電池14とが搭載されている。
【0013】
電子ペン10の場合、充電式電池14に接続される充電端子12a、12bは、図1(A)に示すように、クリップ部12の筐体11に対向する面(裏面)12bkに設けられる。図1(B)は、電子ペン10のクリップ部12の裏面12bk側から見た場合を拡大して示している。図1(B)に示すように、クリップ部12の裏面12bkの後端部側には、例えば金属などの導電体により構成された充電端子12a、12bが設けられている。この例の場合には、充電端子12aは、充電式電池14のプラス端子に接続され、充電端子12bは、充電式電池14のマイナス端子に接続されている。
【0014】
また、クリップ部12の裏面12bkのペン先側の部分には筐体11側に突出した凸部12cvが形成されている。クリップ部12の凸部12cvと筐体11とで、これらの間に位置するものを挟持し、電子ペン10が勝手に移動することがないようにしている。簡単には、クリップ部12の凸部12cvと筐体11とで、使用者の上着のポケットの全面部分などを挟持して、電子ペン10が上着のポケットから簡単に離れてしまうことがないようにできる。
【0015】
そして、クリップ部12の表面12ftは、図1(A)に示したように外側に露呈した部分であり、使用者が直接に見ることができると共に、簡単に手や指により触ることができる。これに対して、クリップ部12の裏面12bkは、見ようと思って電子ペンの向きなどを調整しないかぎり使用者が直接に見ることができない部分であり、簡単に使用者が手や指により触ることができない部分でもある。
【0016】
このため、クリップ部12の裏面12bkに設けられた充電端子12a、12bは、常時、見える状態にはないので、電子ペン10のデザインに大きく影響することはなく、電子ペン10の美的外観を損なわせることがない。また、充電端子12a、12bが外側向かって露出した状態とはならず、使用者の手や指で触れることもないので、充電端子12a、12bに汚れなど付着することが少なく、適切な充電を阻害するなどといった不都合も生じさせることもない。
【0017】
[第1の実施の形態の情報処理装置の構成例]
以下に説明する第1の実施の形態の情報処理装置20は、基本的には、図6(A)に示した従来の情報処理装置100と同様の構成を有し、同様の機能を実現するものである。すなわち、情報処理装置20は、図6(A)に示した従来の情報処理装置100と同様の外観を有し、電子ペン格納部を備え、表示装置と位置検出センサとが搭載されて、電子ペン10による指示入力が可能にされたものである。
【0018】
しかし、情報処理装置20と共に用いられる電子ペン10は、図1を用いて説明したように、クリップ部12の裏面12bkに充電端子12a、12bを備える構成を有し、筐体の外側側面に充電端子を備える従来の電子ペンとは異なっている。このため、情報処理装置20の電子ペン格納部は、電子ペン10に対応するものとなっている。以下に、第1の実施の形態の情報処理装置20が備える電子ペン格納部の構成について具体的に説明する。
【0019】
図2は、第1の実施の形態の電子ペン10が格納される第1の実施の形態の情報処理装置20の電子ペン格納部30について説明するための図である。電子ペン格納部30は、情報処理装置20の種々の位置に設けることができる。しかし、ここでは説明を簡単にするため、図6(A)に示した情報処理装置100の場合と同様に、電子ペン格納部30が設けられているものとして説明する。すなわち、情報処理装置20の右側面(図6(A)の面20r)下側に開口部31を有し、この開口部31から情報処理装置20の内側に向かって筒状に形成された電子ペン格納部30が設けられているものとする。
【0020】
図2(A)、(B)は、情報処理装置20の右側面20rに対面する方向から、電子ペン格納部30の開口部31を見た場合を示している。図2(A)、(B)において、上面20uは、情報処理装置に搭載された表示装置の表示画面が露呈する面であり、下面20dは表示画面の背面側の面(情報処理装置20の底面)となる。また、図2(A)、(B)の左端面が、情報処理装置20の下側面20f(図6(A)の面20f)に対応している。図2(A)に示すように、電子ペン格納部30の下側面20fの側には、電子ペン格納部30に電子ペン10が格納された場合に、電子ペン10の筐体11とクリップ部12とによって挟まれる被挟持板32が設けられている。
【0021】
図2(C)は、情報処理装置20の下側面20f側から、電子ペン格納部30の開口部31付近を見た場合を示している。図2(C)において、上側が右側面20rに対応しており、矢印Arが示す方向から右側面20rに設けられた電子ペン格納部30の開口部31を通じて、電子ペン10が電子ペン格納部30に挿入されて格納される。
【0022】
図2(C)に示すように、電子ペン10のクリップ部12の裏面12bkと対向する被挟持板32の表面32aには、クリップ部12の裏面12bkに設けられている充電端子12a、12bと対向する位置に、接続端子33a、33bが設けられている。また、電子ペン格納部30に電子ペン10が格納された場合に、被挟持板32の表面32aのクリップ部12のペン先側に形成された凸部12cvと対向する位置には、凹部34が設けられている。
【0023】
図2(B)に示すように、電子ペン格納部30に電子ペン10の全体が格納するようにされたとする。この場合には、電子ペン10のクリップ部12の裏面12bkに設けられた充電端子12a、12bと、情報処理装置20の被挟持板32の開口部31側に設けられた接続端子33a、33bが自動的に接続される。
【0024】
図2(D)は、電子ペン格納部30に電子ペン10が格納された状態で、情報処理装置20の電子ペン格納部30を含む部分を上面20u側と下面20d側とに切断するようにし、上面20u側の断面を見た場合の図である。したがって、図2(D)の上側の面が下側面20fに対応し、右側の面が右側面20rに対応し、手前側の断面が下面20d側の断面であり、向こう側の見えない面が上面20uになる。
【0025】
図2(D)に示すように、電子ペン格納部30に電子ペン10が格納されると、電子ペン10のクリップ部12と筐体11とで、被挟持板32が挟み込まれる。そして、上述したように、クリップ部12の裏面12bkの後端側に設けられた充電端子12a、12bと、この充電端子12a、12bと対向する被挟持板32の表面32aの位置に設けられた接続端子33a、33bとが自動的に接触する。
【0026】
この第1の実施の形態の情報処理装置20において、接続端子33a、33bは、クリップ部12側に突出し、力を加えたり、解除したりすることで、電子ペン10の軸心方向(長手方向)と交差する方向に押し込んだり、突出させることができる構成を備える。このため、クリップ部12の筐体11側に突出した凸部12cvを有する先端部分が接続端子33a、33b上を通過するときには、接続端子33a、33bは押し込まれて、クリップ部12の先端部分を無理なく通過させる。この場合、クリップ部12が筐体11とは反対側に若干反ることもできるようになっている。
【0027】
被挟持板32上の接続端子33a、33b上をクリップ部12の凸部12cvが通過すると、被挟持板32の表面32a上に設けられている接続端子33a、33bは押し込まれた状態から復帰し、クリップ部12側に突出するようになる。これにより、図2(D)に示すように、クリップ部12の裏面12bkに設けられた充電端子12a、12bと接続端子33a、33bとが確実に接触する。
【0028】
接続端子33a、33bには、図6(B)を用いて説明した情報処理装置100の場合と同様に、情報処理装置20に搭載されている回路によって形成される、電子ペン10の充電式電池に対する充電用の電力が供給されている。これにより、電子ペン10を情報処理装置20の電子ペン格納部30に格納するだけで、充電端子12a、12bと接続端子33a、33bとを接触させて、情報処理装置20からの充電用の電力により、電子ペン10に搭載されている充電式電池14を充電できる。
【0029】
また、図2(D)に示したように、凹部34が存在することにより、ここに電子ペン格納部30に格納された電子ペン10のクリップ部12の凸部12cvが嵌合する。これにより、電子ペン10のクリップ部12が、情報処理装置20の下側面20fから必要以上に突出しないようにできる。従って、情報処理装置20を持ち運ぶ際に、電子ペン格納部30に格納された電子ペン10のクリップ部12が邪魔になるといった不都合を生じさせることがない。
【0030】
図2(D)に示したように、情報処理装置20の電子ペン格納部30に格納された電子ペン10を取り出す場合には、電子ペン10のクリップ部12の表面12ft上を使用者の指などで右側面20r側に押し出すようにする。これにより、電子ペン格納部30に格納された電子ペン10を、電子ペン格納部30から簡単に取り出すことができる。
【0031】
[第2の実施の形態の電子ペンの構成例]
以下に説明する第2の実施の形態の電子ペン10Aの概略構成及び外観は、図1(A)に示した第1の実施の形態の電子ペン10と同様のものである。しかし、第2の実施の形態の電子ペン10Aの場合には、クリップ部12Aに設けられる充電端子の態様が、第1の実施の形態の電子ペン10の場合とは異なっている。
【0032】
図3は、第2の実施の形態の電子ペン10Aのクリップ部12Aを裏面12Abk側から見た場合を拡大して示している。図3に示すように、クリップ部12A自体の形状は、図1に示した第1の実施の形態の電子ペン10のクリップ部12と同じである。図3に示すように、クリップ部12Aの裏面12Abkには、その後端側からペン先側の凸部12Acvの頭頂部を越えた部分にまで延伸された充電端子12Aa、12Abが設けられている。
【0033】
充電端子12Aa、12Abは、例えば金属などの導電体により構成されたものである。この第2の実施の形態の電子ペン10Aの場合にも、クリップ部12の裏面12Abkに設けられた、充電端子12Aaは充電式電池14のプラス端子に接続され、充電端子12Abは充電式電池14のマイナス端子に接続されている。
【0034】
第2の実施の形態の電子ペン10Aの場合にも、クリップ部12Aの裏面12Abkに設けられた充電端子12Aa、12Abは、常時、見える状態にはない。このため、充電端子12Aa、12Abが、第2の実施の形態の電子ペン10Aのデザインに大きく影響することはなく、電子ペン10Aの美的外観を損なわせることがない。また、充電端子12Aa、12Abが外側向かって露呈した状態とはならず、使用者の手や指で触れられることもないので、充電端子12Aa、12Abに汚れなど付着することが少なく、適切な充電を阻害するなどといった不都合も生じさせることがない。
【0035】
[第2の実施の形態の情報処理装置の構成例]
第2の実施の形態の情報処理装置20Aもまた、第1の実施の形態の情報処理装置20と同様に、基本的には、図6(A)に示した従来の情報処理装置100と同様の構成を有し、同様の機能を実現するものである。従って、第2の実施の形態の情報処理装置20Aもまた、図6(A)に示した従来の情報処理装置100と同様の外観を有し、電子ペン格納部を備え、表示装置と位置検出センサとが搭載されて、電子ペン10Aによる指示入力が可能にされたものである。
【0036】
しかし、情報処理装置20Aと共に用いられる第2の実施の形態の電子ペン10Aは、図3を用いて説明したように、クリップ部12Aの裏面12Abkに、その後端側から先端側まで引き延ばされた充電端子12Aa、12bAを備える。このため、情報処理装置20Aの電子ペン格納部30Aは、電子ペン10Aに対応するものとなっている。具体的には、電子ペン格納部30Aに電子ペン10Aが格納された場合に、電子ペン10Aの筐体11Aとクリップ部12Aとによって挟まれる被挟持板32Aの構成が、第1の実施の形態の情報処理装置20の被挟持板32とは異なっている。
【0037】
図4は、情報処理装置20Aの下側面20f側から、電子ペン格納部30Aの開口部31A付近を見た場合を示している。なお、図4は、第1の実施の形態の図2(C)に対応しており、第2の実施の形態の情報処理装置20Aの各面に付された参照符号は、第1の実施の形態の情報処理装置20の各面に付された参照符号と同じものを用いている。
【0038】
すなわち、図4において、情報処理装置20Aの電子ペン格納部30Aの開口部31Aが設けられた面が右側面20rであり、情報処理装置20Aの表示装置の表示画面が露呈する面が上面20uである。また、情報処理装置20Aの表示装置の表示画面の背面側の面(情報処理装置20Aの底面)が下面20dであり、被挟持板32Aの表面32Aaが露呈する面が下側面20fである。
【0039】
図4において、上側が右側面20rに対応しており、矢印Arが示す方向から右側面20rに設けられた電子ペン格納部30Aの開口部31Aを通じて、電子ペン10Aが電子ペン格納部30Aに挿入されて格納される。図4に示すように、情報処理装置20Aでは、電子ペン10Aの筐体11Aとクリップ部12Aとによって挟まれる被挟持板32Aの表面32Aaの、電子ペン10Aのクリップ部12Aの凸部12Acvと対向する位置に接続端子33Aa、33Abが設けられる。
【0040】
これにより、情報処理装置20Aの電子ペン格納部30Aに電子ペン10Aが格納されると、被挟持板32Aに設けられた接続端子33Aa、33Abと、クリップ部12Aの凸部12Acv上の充電端子12Aa、12Abとが自動的に接続される。この場合、クリップ部12Aに凸部12Acvが形成されていることにより、クリップ部12Aの凸部12Acv上の充電端子12Aa、12Abが、被挟持板32Aに設けられた接続端子33Aa、33Abに押し付けられ、電気的に強固に接続できる。
【0041】
図5は、情報処理装置20Aの電子ペン格納部30Aに電子ペン10Aが格納された状態で、情報処理装置20Aの電子ペン格納部30Aを含む部分を上面20u側と下面20d側とに切断するようにし、上面20u側の断面を見た場合の図である。したがって、図5の上側の面が下側面20fに対応し、右側の面が右側面20rに対応し、手前側の断面が下側面20f側の面であり、向こう側の見えない面が上面20uになる。
【0042】
図5(A)に示すように、電子ペン格納部30Aに電子ペン10Aが格納されると、電子ペン10Aのクリップ部12Aと筐体11Aとで、被挟持板32Aが挟み込まれる。そして、クリップ部12の裏面12bkの凸部12Acv上にまで引き延ばされた充電端子12Aa、12Abと、クリップ部12Aの凸部12Acvと対向する被挟持板32Aの表面32Aaの位置に設けられた接続端子33Aa、33Abとが自動的に接触する。
【0043】
この場合、電子ペン10Aのクリップ部12Aの外側への張り出しの長さ、クリップ部12Aの裏面12Abkと筐体11Aとの間の距離、クリップ部12Aの凸部12Acvの裏面12Abkからの高さなどを考慮し、被挟持板32Aの厚みを決める。また、情報処理装置20Aの下側面20fの被挟持板32Aの表面32Aaからの張り出しの長さも同様にして決める。これにより、クリップ部12Aが、必要以上に下側面20fから突出することがないようにできる。
【0044】
また、図5(B)に示すように、被挟持板32Aに設けられた接続端子33Aa、33Abを保護するために、下側面20fを右側面20r側に延伸するようにして、接続端子33Aa、33Abを覆う部分25を設けるようにすることもできる。この覆う部分25は、右側面20rまで延伸してもよい。この場合、クリップ部12Aの表面12Aftを押し出すようにして、電子ペン10Aを電子ペン格納部30Aから取り出すことができなくなる。
【0045】
この場合には、ノック式のボールペンのように、最初に押し込んだ時には収縮してこれを維持し、再度、押し込んだ場合には伸長して電子ペン10Aを押し出すようにする収縮伸長機構を、情報処理装置20Aの電子ペン格納部30Aのペン先側に設ける。これにより、電子ペン格納部30Aに電子ペン10Aを挿入し、その全体を押し込むようにした場合には、電子ペン格納部30A内に電子ペン10Aをとどめることができる。そして、再度、電子ペン10Aの後端部を押し込むようにした場合には、電子ペン10Aが電子ペン格納部30Aから押し出されて取り出すことができるようにされる。
【0046】
なお、被挟持板32Aの厚みなどを調整し、接続端子33Aa、33Abが設けられる被挟持板32Aの位置を凹部にするようにしてもよい。この場合には、クリップ部12Aの凸部12Acvが当該凹部に嵌合し、電子ペン10Aを電子ペン格納部30Aに格納した状態を安定に維持することができる。この場合、被挟持板32Aに設けられる当該凹部の深さを浅くしたり、あるいは、接続端子33Aa、33Abをクリップ部12A側に反らせたりする。これにより、接続端子33Aa、33Abと、クリップ部12Aの充電端子12Aa、12Abとを確実に接続させるようにできる。
【0047】
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態の電子ペン10、10Aによれば、クリップ部12、12Aの裏面12bk、12Abkに充電端子12a、12b、12Aa、12Abが設けられる。これにより、充電端子12a、12b、12Aa、12Abが、電子ペン10のデザインに大きく影響して、電子ペン10の美的外観を損なわせることがない。また、充電端子12a、12b、12Aa、12Abが、使用者の手や指で触れられることもないので、充電端子12a、12b、12Aa、12Abに汚れなど付着することが少なく、適切な充電を阻害するなどといった不都合も生じさない。
【0048】
また、情報処理装置20、20Aの電子ペン格納部30、30Aに電子ペン10、10Aを格納するだけで、電子ペン10、10Aに内蔵された充電式電池の充電を確実に行うようにできる。
【0049】
[変形例]
なお、電子ペン格納部を設ける位置は、上述した実施の形態のものに限るものではない。電子ペンが収納可能であれば、情報処置装置の種々の位置に設けることができる。すなわち、電子ペンのクリップ部の向きは、情報処理装置の側面側に位置する必要はなく、情報処理装置の内側に向かう方向に位置するようにしてもよい。この場合、電子ペンのクリップ部と筐体とによって挟み込まれる被挟持板を設ける位置を変え、クリップ部の裏面と対向する位置に接続端子を設ければよい。
【0050】
また、充電端子12a、12b、12Aa、12Abは、図1図3に示した態様に限るものではない。情報処理装置20、20A側の接続端子33a、33b、33Aa、33Abと接触する部分だけ幅広にし、この幅広部分と充電式電池のプラス端子、マイナス端子との間が、より細い針金形状の導電線により接続するようにしてもよい。
【0051】
また、クリップ部を含む電子ペンの形状は、種々の形状とすることができる。そして、電子ペンのクリップ部の形状に合わせて、充電端子の形状や設け方などを決めればよい。また、クリップ部を電子ペンの筐体に取り付ける方法も種々の方法を用いることができる。例えば、クリップ部の後端側にリング部を設け、このリンク部を電子ペンの筐体に嵌め込むようにしたり、クリップ部の後端側に円盤状の取り付け部を設け、この円盤状の取り付け部を電子ペンの後端部にねじ止めするようにしたりできる。また、クリップ部の後端側をフック状(鉤状)に形成し、これを電子ペンの後端側側面から電子ペンに引っ掛けるようにして取り付けることも可能である。このように、クリップ部の電子ペンの取り付け方法は種々の方法を用いることができる。
【符号の説明】
【0052】
10、10A…電子ペン、11、11A…筐体、12、12A…クリップ部、12a、12b、12Aa、12Ab…充電端子、12bk、12Abk…裏面、12ft、12Aft…表面、12cv、12Acv…凸部、13…電子回路部、14…充電式電池、20、20A…情報処理装置、30、30A…電子ペン格納部、31、31A…開口部、32、32A…被挟持板、32a、32Aa…表面、33a、33b、33Aa、33Ab…接続端子、34…凹部、20u…上面、20d…下面、20f…下側面、20r…右側面、25…覆う部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6