(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】壁構造
(51)【国際特許分類】
E04G 21/16 20060101AFI20230425BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20230425BHJP
E04G 23/02 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
E04G21/16
E04B2/74 531Z
E04G23/02 H
(21)【出願番号】P 2019049696
(22)【出願日】2019-03-18
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【氏名又は名称】宮本 龍
(72)【発明者】
【氏名】竹田 尚史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩信
(72)【発明者】
【氏名】室伏 龍
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-156251(JP,A)
【文献】特開2005-139749(JP,A)
【文献】特開平08-035286(JP,A)
【文献】実開昭58-035502(JP,U)
【文献】特開平07-229219(JP,A)
【文献】特開2000-073493(JP,A)
【文献】特開平11-247358(JP,A)
【文献】実開平02-068117(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/14 -21/22
E04B 2/72 - 2/82
E04G 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる下地材と、
前記下地材の壁厚さ方向の両側に配置され前記下地材に接合された一対の板材と、を有し、
前記一対の板材の間で前記下地材と隣接する位置に空洞部が形成された壁部の壁構造において、
上下方向に延びて、前記空洞部に前記下地材に沿って配置される矯正柱を有し、
前記矯正柱は、前記下地材よりも高い曲げ剛性を有し、前記下地材の上下方向の中間部
を当接して
押圧していることを特徴とする壁構造。
【請求項2】
前記矯正柱は、
前記下地材の上部側に固定される上側固定部と、
前記下地材の下部側に固定される下側固定部と、
前記下地材の上下方向の中間部と当接する中間当接部と、を有することを特徴とする
請求項1に記載の壁構造。
【請求項3】
前記上側固定部、前記下側固定部および前記中間当接部は、いずれも前記下地材に対して前記壁厚さ方向のいずれか一方側の同じ側に配置されていることを特徴とする
請求項2に記載の壁構造。
【請求項4】
前記中間当接部は、パッキンを介して前記下地材と当接していることを特徴とする
請求項2または3に記載の壁構造。
【請求項5】
前記矯正柱は、上下方向に延びる柱部を有し、
前記中間当接部は、前記柱部の側面から突出するように
前記柱部に接合され、
前記柱部には、前記中間当接部が突出する方向と反対方向に突出し前記壁部を構成する部材と当接する回転防止部が接合されていることを特徴とする
請求項2乃至4のいずれか一項に記載の壁構造。
【請求項6】
前記回転防止部は、パッキンを介して前記壁部を構成する部材と当接していることを特徴とする
請求項5に記載の壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁や間仕切り壁などの壁体は、想定外の外力や温度・湿度などの環境の変化などによって、反りが生じることがある。特許文献1には、壁体に反りが生じた際に使用され、壁体の反りを矯正する装置が開示されている。
特許文献1に開示された装置では、反りが生じたパネルの所定の位置にアンカーを埋設し、鋼材のフレームの孔に挿通されたネジをアンカーにねじ込むことで、パネルをフレームに引き寄せてパネルの反りを矯正するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された装置では、パネルのアンカーが埋め込まれている部分に局所的に力が加わるため、材質や形状によってはパネルが損傷し、その仕上げや機能が損なわれる虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、仕上げや機能が損なわれることなく、壁体の反りを矯正・防止することができる壁構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る壁構造は、上下方向に延びる下地材と、前記下地材の壁厚さ方向の両側に配置され前記下地材に接合された一対の板材と、を有し、前記一対の板材の間で前記下地材と隣接する位置に空洞部が形成された壁部の壁構造において、上下方向に延びて、前記空洞部に前記下地材に沿って配置される矯正柱を有し、前記矯正柱は、前記下地材よりも高い曲げ剛性を有し、前記下地材の上下方向の中間部を当接して押圧していることを特徴とする。
【0007】
本発明では、壁部の下地材よりも高い曲げ剛性を有する矯正柱が下地材の上下方向の中間部と当接していることにより、下地材の上下方向の中間部が張り出して反るように壁部が変形しようとすると、下地材の上下方向の中間部が矯正柱に当接して下地材の変形が防止されるため、壁部の変形(反り)を防止することができる。
また、下地材の上下方向の中間部が張り出して反るように壁部が変形している場合には、下地材の上下方向の中間部に当接させるように矯正柱を設けることで、下地材の変形が矯正され、壁部の変形(反り)を矯正することができる。
そして、矯正柱は、空洞部に設けられているとともに、下地材と当接して一対の板材に負荷を与えることがないため、壁部の仕上げや機能を損なうことがない。
【0008】
また、本発明に係る壁構造では、前記矯正柱は、前記下地材の上下方向の中間部を当接して押圧していることにより、矯正柱が壁部の反りを効率的に防止できるとともに、矯正柱が壁部の反りをより効率的に矯正することができる。
【0009】
また、本発明に係る壁構造では、前記矯正柱は、前記下地材の上部側に固定される上側固定部と、前記下地材の下部側に固定される下側固定部と、前記下地材の上下方向の中間部と当接する中間当接部と、を有していてもよい。
このような構成とすることにより、矯正柱を下地材の上部側および下部側に固定すればよいため、矯正柱の設置を容易に行うことができる。
【0010】
また、本発明に係る壁構造では、前記上側固定部、前記下側固定部および前記中間当接部は、いずれも前記下地材に対して前記壁厚さ方向のいずれか一方側の同じ側に配置されていてもよい。
このような構成とすることにより、矯正柱の設置が下地材に対して前記壁厚さ方向のいずれか一方側のみからの作業となるため、容易に行うことができる。
また、壁部に反りが生じ、その反りを矯正する改修工事として矯正柱を設置する場合に、矯正柱の設置が下地材に対して前記壁厚さ方向のいずれか一方側のみからの作業となるため、一対の板材のうちの一方の板材のみを外す、または一対の板材のうちの一方の板材のみに開口部を形成することで、矯正柱を設置することができる。
これにより、矯正柱を設置した後に、取り外した板材またはそれに代わる板材を設置したり、板材に形成した開口部を塞いだりする作業が一対の板材のうちの一方の板材のみに対して行えばよいため、壁部の改修工事の場合でも、矯正柱の設置を容易に行うことができる。
【0011】
また、本発明に係る壁構造では、前記中間当接部は、パッキンを介して前記下地材と当接していてもよい。
このような構成とすることにより、パッキンの厚さ寸法を調整することで、下地材が中間当接部から受ける力の大きさを調整することができる。
また、下地材が中間当接部から押圧される場合に、下地材が損傷することを防止することができる。
【0012】
また、本発明に係る壁構造では、前記矯正柱は、上下方向に延びる柱部を有し、前記中間当接部は、前記柱部の側面から突出するように前記柱部に接合され、前記柱部には、前記中間当接部が突出する方向と反対方向に突出し前記壁部を構成する部材と当接する回転防止部が接合されていてもよい。
このような構成とすることにより、下地材からの反力により矯正柱が柱部の軸線回りに回転することが防止され、中間当接部が下地材と当接した状態、または中間当接部が下地材を押圧した状態を維持することができる。
【0013】
また、本発明に係る壁構造では、前記回転防止部は、パッキンを介して前記壁部を構成する部材と当接していてもよい。
このような構成とすることにより、パッキンの厚さ寸法を調整することで、壁部を構成する部材に回転防止部を確実に当接させることができる。
また、壁部を構成する部材が回転防止部から押圧される場合に、壁部を構成する部材が損傷することを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、仕上げや機能が損なわれることなく、壁体の反りを矯正・防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態による壁構造の第1壁部およびその周辺の一例を示す図である。
【
図3】改修後の本実施形態による壁構造の第1壁部を示す
図5のA-A線断面に対応する鉛直断面図である。
【
図4】改修後の本実施形態による壁構造の第1壁部を示す
図5のB-B線断面に対応する鉛直断面図である。
【
図5】
図3のC方向矢視図で第3板材を省略した図である。
【
図8】壁体の改修方法の第1上側固定部、第2上側固定部を下地材に固定する工程を示す図である。
【
図9】壁体の改修方法の第1中間固定部、第2中間固定部を下地材に固定する工程を示す図である。
【
図10】壁体の改修方法の柱部の上端部を上枠と第2下地板材との間に挿入する工程を示す図である。
【
図11】本実施形態の変形例による壁構造を示す鉛直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態による壁構造について、
図1-
図10に基づいて説明する。
図1に示す本実施形態による壁構造1は、開口部11に設けられた片引戸12の建具13が開口部11を開口する際に配置される引き込み部分14に対向する位置に設けられた壁部(第1壁部21とする)の改修された後の構造である。
第1壁部21の壁面に直交する水平方向を壁厚さ方向(
図1の上下方向)とし、壁面に沿った水平方向を壁幅方向(
図1の左右方向)とする。
【0017】
片引戸12の建具13は、第1壁部21の壁厚さ方向の一方側に設けられたレール15に沿って壁幅方向にスライド可能に構成されている。壁厚さ方向のうち第1壁部21に対してレール15が設けられている側を前側とし、レール15に対して第1壁部21が設けられている側を後側とする。
第1壁部21の壁幅方向の一方側には、片引戸12の建具13が開閉する開口部11が形成され、第1壁部21壁幅方向の他方側には、他の壁部(第2壁部22とする)が連続して設けられている。
【0018】
第1壁部21は、第2壁部22よりも薄く形成されている。
第1壁部21と第2壁部22とは、それぞれの後面が面一に配置され、第1壁部21の前面が第2壁部22の前面よりも後側に配置されている。第1壁部21と第2壁部22との接続部分には、前側に段部23が形成されている。
第1壁部21の後側には、他の片引戸16の縦枠161が取り付けられている。他の片引戸16は、建具162が第1壁部21の壁厚さ方向にスライドするように構成されている。
【0019】
第1壁部21の壁幅方向の一方側の端部には、片引戸12の中方立17が壁幅方向の一方側から接合されている。
第1壁部21の壁幅方向の他方側の端部には、片引戸12の縦枠18が接合されている。縦枠18は、第1壁部21と第2壁部22の接続部分の段部23に沿って配置されていて、第1壁部21の壁幅方向の他方側の端部に前側から接合されている。
中方立17の前面171は、縦枠18の前面181よりも後側に配置されている。中方立17の前端部分と、縦枠18の後端部分とが壁幅方向に間隔をあけて対向して配置されている。
第1壁部21の上端部には、片引戸12の上枠が前側から接合されている。上枠は、第1壁部21の第1板材4(後述する、
図2および
図3参照)および建具13が引き込み部分14の上側に配置されている。
【0020】
改修前の第1壁部21は、他の片引戸16の縦枠161に反りが生じたことによって、上下方向の中間部が前側に押され、上下方向の中間部が張り出す反りが生じた状態となった。このため、第1壁部21の反りを矯正するために改修を行った。
まず、改修前の第1壁部21について説明する。
図2に示すように、改修前の第1壁部21は、上下方向に延び壁幅方向に間隔をあけて設けられた2本のスタッド3と、複数のスタッド3の壁厚さ方向の両側にそれぞれ接合された一対の板材4,5と、を有している。
【0021】
スタッド3は、中空、または断面がC字形となる軽量鉄骨の柱状の部材で、上端部が天井または梁に設けられたランナーに接合され、下端部が床に設けられたランナーに接合されている。ランナーは、断面形状がC字形状の型材で、底板部と、底板部の短手方向の両縁部から突出する一対の側板部と、を有している。ランナーは、底板部および一対の側板部に囲まれた溝部が形成されている。
【0022】
天井または梁に設けられたランナーは、底板部が上側となり、一対の側板部が底板部の前縁部および後縁部から下側に突出し、溝部が下側に開口するように設けられている。床に設けられたランナーは、底板部が下側となり、一対の側板部が底板部の前縁部および後縁部から上側に突出し、溝部が上側に開口するように設けられている。
スタッド3は、上端部が天井または梁に設けられたランナーの溝部に挿入され、下端部が床に設けられたランナーの溝部に挿入されている。
【0023】
2本のスタッド3のうち、壁幅方向の一方側に設けられたスタッド3を第1スタッド31(下地材)とし、壁幅方向の他方側に設けられたスタッド3を第2スタッド32とする。
第1スタッド31は、第1壁部21の壁幅方向の一方側の端部近傍に設けられている。第2スタッド32は、第1壁部21の壁幅方向の中間部に設けられている。
【0024】
一対の板材4,5は、例えば、石膏ボードなどで、一方の面が仕上げ面となり、クロス材が張られたり、塗装されたりしている。
一対の板材4,5のうち、2本のスタッド3の前側に設けられた板材4を第1板材4とし、2本のスタッド3の後側に設けられた板材4を第2板材5とする。
第1板材4は、前面41が仕上げ面となり、後側の面が2本のスタッド3と対向している。
第2板材5は、後面51が仕上げ面となり、前側の面が2本のスタッド3と対向している。
【0025】
第1板材4は、中方立17と縦枠18との間に設けられていて、壁幅方向の一方の端部が中方立17の前端部近傍に当接し、壁幅方向の他方の端部が縦枠18の後側の端部近傍に当接し、上端部が上枠の下面と当接している。第1板材4の前面41は、中方立17の前面171よりも後に位置している。
第1板材4は、中方立17、縦枠18、上枠、床部に囲まれている。
第2板材5は、壁幅方向の一方側の端部が中方立17に当接し、壁幅方向の他方側は第2壁部22に連続して設けられている。
【0026】
本実施形態では、第2板材5は、壁幅方向に2つに分割されていて、間に他の片引戸16の縦枠161を取り付けるための第1下地板材61が設けられている。第1下地板材61は、第2板材5とほぼ同じ厚さのパーティクルボードなどの板材4で、第2板材5と面一となるように設けられている。第1下地板材61は、壁幅方向の一方の端部が第1スタッド31の後面と当接し、壁幅方向の他方の端部が第2スタッド32の後面と当接している。第1下地板材61は、第1スタッド31と第2スタッド32の間の空間に対向する位置に配置されている。
【0027】
第1下地板材61の前側には、板状の第2下地板材62が重なって設けられている。第2下地板材62は、第1下地板材61の前面に当接して設けられ、第1スタッド31と第2スタッド32の間に配置されている。
第1壁部21の内部には、第1スタッド31と第2スタッド32との間で、第1板材4と第2下地板材62とに挟まれた空洞部24が形成されている、空洞部24は、第1壁部21の上下方向全体にわたって形成されている。
上枠は、空洞部24の前側に、空洞部24を上下に分断しないように配置されている。
【0028】
続いて、改修後の第1壁部21について説明する。
図3および
図4に示すように、改修後の第1壁部21は、空洞部24に矯正柱7が設けられている。第1壁部21は、矯正柱7を設けるために、第1板材4における、空洞部24、第1スタッド31の壁幅方向の他方側の部分、および第2スタッド32の壁幅方向の一方側の部分と対向する部分が切除され、その部分に開口部42が形成されている。開口部42は、片引戸12(
図2参照)の上枠よりも下側に形成されている。
【0029】
図3に示すように、第1板材4の前側には、開口部42を塞ぐように第3板材8が重なって設けられている。第3板材8は、空洞部24に矯正柱7が設けられた後に設けられる。
第3板材8は、壁幅方向の一方側の端部が中方立17の前端部近傍と当接し、壁幅方向の他方側の端部が縦枠18の後端部近傍と当接し、上端部が上枠の下面と当接している。第3板材8の前面81は、中方立17の前面171よりも後側に位置している。
第3板材8は、中方立17、縦枠18、上枠、床部に囲まれている。
【0030】
図3-
図5に示すように、矯正柱7は、上下方向に延びる柱状の柱部71と、柱部71の上部側に接合された第1上側固定部72および第2上側固定部73と、柱部71の下部側に接合された第1下側固定部74および第2下側固定部75と、柱部71の上下方向の中間部に接合された第1中間固定部76および第2中間固定部77と、第1中間固定部76および第2中間固定部77に取り付けられる第1パッキン78および第2パッキン79と、を有している。
【0031】
第1上側固定部72および第2上側固定部73は、柱部71の上端部よりも下側となる位置に接合され、第1下側固定部74および第2下側固定部75は、柱部71の下端部よりも上側となる位置に接合されている。
柱部71、第1上側固定部72、第2上側固定部73、第1下側固定部74、第2下側固定部75、第1中間固定部76および第2中間固定部77は、第1スタッド31および第2下地板材62よりも高い曲げ剛性を有している。
【0032】
柱部71は、断面形状が長方形となる角型鋼管などで、上下方向に延びる向きに配置される。
図6に示すように、柱部71の上端部分71aは、先細りの形状となっている。柱部71の下端部分71b(
図5参照)も、上端部分71aと同様に先細りの形状となっている。
柱部71は、下端部が床部の上に配置され、上端部分71aが上枠と第2下地板材62との間に挿入されている。本実施形態では、柱部71の前端部分が下側のランナー91の前側の側板部と干渉するため、
図5に示すように、前側の側板部に切り欠き部92を形成している。
【0033】
矯正柱7が第1壁部21に設置されると、柱部71の外周面のうち柱部71の断面形状の長方形の4辺それぞれに対応する4つの面は、前側、後側、壁幅方向の一方側および他方側を向いている。柱部71の外周部のうち、前側を向く面を前面711、後側を向く面を後面712、壁幅方向の一方側を向く面を第1側面713、壁幅方向の他方側を向く面を第2側面714とする。
【0034】
図4および
図6に示すように、第1上側固定部72は、平板状の鋼板をL字形となるように屈曲させた部材で、柱部71に接合された第1上側柱接合片721と、第1上側柱接合片721から突出する第1上側突出片722と、を有している。
第1上側柱接合片721は、板面が長尺の長方形となる平板状に形成され、長手方向が上下方向となる向きで一方の面が柱部71の第1側面713の上部側に接合されている。
第1上側突出片722は、板面が長尺の長方形となる平板状に形成され、長手方向が上下方向となり、板面が壁厚さ方向を向く鉛直面となる向きで壁幅方向の他方側の縁部が第1上側柱接合片721の前側の縁部と連続している。第1上側突出片722の前面は、柱部71の前面711と略面一となるように配置されている。
【0035】
第2上側固定部73は、第1上側固定部72と同じ形状に形成され、第1上側固定部72を鉛直軸回りに180°回転させた向きで柱部71の第2側面714に固定されている。
第2上側固定部73は、第1上側固定部72の第1上側柱接合片721および第1上側突出片722に対応する第2上側柱接合片731および第2上側突出片732を有している。
第2上側柱接合片731は、一方の面が柱部71の第2側面714の上部側に接合されている。
第2上側突出片732は、板面が壁厚さ方向を向く鉛直面となる向きで壁幅方向の一方側の縁部が第1上側柱接合片721の後側の縁部と連続している。第2上側突出片732の後面は、柱部71の後面712と略面一となるように配置されている。
【0036】
第1下側固定部74は、第1上側固定部72と同じ形状に形成され、第1上側固定部72と同じ向きで柱部71の第1側面713の下部側に接合されている。
図4では第1上側固定部72の第1下側固定部74に対応する部分に符号を表記している。
第1下側固定部74は、第1上側突出片722の第1上側柱接合片721および第1上側突出片722に対応する第1下側柱接合片741および第1下側突出片742を有している。
【0037】
第2下側固定部75は、第2上側固定部73と同じ形状に形成され、第2上側固定部73と同じ向きで柱部71の第2側面714の下部側に接合されている。
図4では第2上側固定部73の第2下側固定部75に対応する部分に符号を表記している。
第2下側固定部75は、第2上側突出片732の第2上側柱接合片731および第2上側突出片732に対応する第2下側柱接合片751および第2下側突出片752を有している。
【0038】
第1中間固定部76は、第1上側固定部72と同じ形状に形成され、第1上側固定部72と同じ向きで柱部71の第1側面713の上下方向の中間部に接合されている。
第1中間固定部76は、第1上側突出片722の第1上側柱接合片721および第1上側突出片722に対応する第1中間柱接合片761および第1中間突出片762を有している。
【0039】
第2中間固定部77は、第2上側固定部73と同じ形状に形成され、第2上側固定部73と同じ向きで柱部71の前面711の上下方向の中間部に接合されている。
第2中間固定部77は、第2上側突出片732の第1上側柱接合片721および第2上側突出片732に対応する第2中間柱接合片771および第2中間突出片772を有している。
【0040】
第1上側突出片722、第1中間突出片762および第1下側突出片742は、この順番に、上側から下側に互いに間隔をあけて配列されている。
第2上側突出片732、第2中間突出片772および第2下側突出片752は、この順番に、上側から下側に互いに間隔をあけて配列されている。
【0041】
第1パッキン78は、ゴムなどの弾性部材で平板状に形成されている。第1パッキン78は、第1中間突出片762の板面とほぼ同じ板面の平板状に形成されている。第1パッキン78は、第1中間突出片762の後面に重ねて配置される。
第2パッキン79は、ゴムなどの弾性部材で平板状に形成されている。第2パッキン79は、第2中間突出片772の板面とほぼ同じ板面の平板状に形成されている。第2パッキン79は、第2中間突出片772の後面に重ねて配置される。
後述するが、第1パッキン78および第2パッキン79は、それぞれ1枚または複数枚設けられる。
【0042】
図4に示すように、第1上側突出片722および第1下側突出片742は、後面が第1スタッド31の前面311と当接した状態で第1スタッド31にネジなどの固定具(不図示)で固定されている。
図3に示すように、第1中間突出片762は、後面が第1パッキン78を介して第1スタッド31の前面311と当接した状態で第1スタッド31にネジなどの固定具(不図示)で固定されている。
第1スタッド31の前面311における、第1上側突出片722、第1下側突出片742および第1中間突出片762が固定される部分は、第1板材4に開口部42を形成したことで露出した部分である。
【0043】
第1上側突出片722、第1下側突出片742および第1中間突出片762それぞれの前面、柱部71の前面711は、第1板材4の前面41よりも後側に配置されていて、第3板材8と干渉しない。
第1上側柱接合片721、第1下側柱接合片741および第1中間柱接合片761は、壁幅方向の一方側の面が第1スタッド31の空洞部24側の面312(壁幅方向の他方側の面)と当接している。
【0044】
第2上側突出片732および第2下側突出片752は、後面が第2下地板材62の前面621と当接した状態で第2下地板材62にネジなどの固定具(不図示)で固定されている。
第2中間突出片772は、後面が第2パッキン79を介して第2下地板材62の前面621と当接した状態で第2下地板材62にネジなどの固定具(不図示)で固定されている。
【0045】
上述したように、第1上側突出片722、第1下側突出片742および第1中間突出片762は、上下方向に配列されている。このため、第1上側突出片722、第1下側突出片742および第1中間突出片762がそれぞれ第1スタッド31に固定され、第1中間突出片762と第1スタッド31との間に第1パッキン78が設けられていると、第1パッキン78が第1中間突出片762および第1スタッド31に挟まれ押圧されるため、その反力によって第1スタッド31が後側に押されることになる。第1中間突出片762は、第1パッキン78を介して第1スタッド31の上下方向の中間部に固定されているため、第1スタッド31は、上下方向の中間部が後側に押され、反りが矯正または防止される。
【0046】
同様に、第2上側突出片732、第2下側突出片752および第2中間突出片772の後面は、上下方向に配列されている。このため、第2上側突出片732、第2下側突出片752および第2中間突出片772がそれぞれ第2下地板材62に固定され、第2中間突出片772と第2下地板材62との間に第2パッキン79が設けられていると、第2パッキン79が第1中間突出片762および第2下地板材62に挟まれ押圧されるため、その反力によって第2下地板材62が後側に押されることになる。第2中間突出片772は、第2パッキン79を介して第2下地板材62の上下方向の中間部に固定されているため、第2下地板材62は、上下方向の中間部が後側に押され、反りが矯正または防止される。
【0047】
第1パッキン78の厚さ寸法や枚数、材質などは、第1中間突出片762が第1スタッド31を押圧する押圧力、第1中間突出片762が第1スタッド31を押圧した際の矯正柱7の変位量・変形量を考慮して設定する。矯正柱7の変位量(変形量)は、第1中間突出片762が第1スタッド31を押圧する外力値を測定し、その外力値による矯正柱7の変位量を矯正柱7の剛性などに基づいて算出する。
第2パッキン79の厚さ寸法や枚数、材質などは、第2中間突出片772が第2下地板材62を押圧する押圧力、第2中間突出片772が第2下地板材62を押圧した際の矯正柱7の変位量・変形量を考慮して設定する。矯正柱7の変位量(変形量)は、第2中間突出片772が第2下地板材62を押圧する外力値を測定し、その外力値による矯正柱7の変位量を矯正柱7の剛性などに基づいて算出する。
【0048】
続いて、本実施形態の壁体の改修方法について説明する。
壁体の改修は、第1壁部21に対して前側から行う。
まず、空洞部24を第1壁部21の前側に露出させる。
第1板材4における空洞部24と壁厚さ方向に重なる部分を切除し、第1板材4に開口部42を形成する。開口部42の壁幅方向の一方側の縁部を第1スタッド31の壁幅方向の他方側の縁部よりも壁幅方向の一方側とし、第1スタッド31の前面311の矯正柱7が固定される部分(壁幅方向の他方側の端部近傍)も露出させる。
矯正柱7の柱部71が設置される部分のランナーの前側の側板部に切込みを入れて内側に倒し、前側の側板部に切り欠き部を形成する。
なお、
図8では、建具13が表記されているが、作業効率や開口部42の位置に応じて建具13を外して作業してもよい。
【0049】
続いて、
図8および
図9に示すように、空洞部24に矯正柱7を設置する。
矯正柱7は、開口部42よりも上下方向に長いため、けんどん式に空洞部24に設置する。
図10に示すように、矯正柱7を上側が下側よりも後側となる斜めの姿勢とし、柱部71の上端部分71aを上枠19と第2下地板材62との間に斜め下側から挿し込み、柱部71の下端部が床部と離れている状態で矯正柱7を上下方向に延びる姿勢にしてから矯正柱7を下降させて柱部71の下端部をランナーの底板部の上に設置する。
本実施形態では、矯正柱7の柱部71の上端部分71aが先細りの形状であるため、矯正柱7を斜めの姿勢とした場合でも、柱部71の上端部分71aを上枠と第2下地板材62との間に挿入しやすい。
【0050】
矯正柱7の壁厚さ方向および壁幅方向の位置を調整して、第1上側突出片722、第1下側突出片742および第1中間突出片762それぞれの後面を第1スタッド31の前面311に沿わせ、第1上側柱接合片721、第1下側柱接合片741および第1中間柱接合片761の壁幅方向の一方側の面を第1スタッド31の空洞部24側の面312(壁幅方向の他方側の面)に沿わせ、第2上側突出片732、第2下側突出片752、第2中間突出片772それぞれの後面を第2下地板材62の前面621に沿わせる。
【0051】
矯正柱7が上記のように設置されたら、第1下側突出片742を第1スタッド31にネジなどの固定具(不図示)で固定し、第2下側突出片752を第2下地板材62にネジなどの固定具(不図示)に固定する。
この状態では、第1上側突出片722および第1中間突出片762を第1スタッド31に固定せず、第2上側突出片732および第2中間突出片772を第2下地板材62に固定しない。このため。矯正柱7は下部側のみ固定されているため、上部側は矯正柱7の弾性変形可能な範囲で若干変形可能となる。
【0052】
第1中間突出片762と第1スタッド31との間に第1パッキン78を挿入し、第2中間突出片772と第2下地板材62との間に第2パッキン79を挿入する。
第1中間突出片762と第1スタッド31との間に第1パッキン78を挿入することで、第1パッキン78が押圧されその反力で第1スタッド31が後側に押される。第2中間突出片772と第2下地板材62との間に第2パッキン79を挿入することで、第2パッキン79が押圧されその反力で第2下地板材62が後側に押される。
【0053】
第1スタッド31は、後側に押されることで反りが矯正されるため、第1スタッド31の反りが矯正されてなくなるように第1パッキン78の厚さを調整する。第1下地板材61は、後側に押されることで反りが矯正されるため、第2下地板材62の反り矯正されてなくなるように第2パッキン79の厚さを調整する。
施工時には、厚さの異なる複数の種類のパッキンを準備しておき、第1スタッド31の反りに合わせて適当な厚さの1または複数のパッキンを第1パッキン78として使用し、第2下地板材62の反りに合わせて適当な厚さの1または複数のパッキンを第2パッキン79として使用する。
【0054】
第1パッキン78および第2パッキン79が設置されたら、第1上側突出片722および第1中間突出片762を第1スタッド31にネジなどの固定具で固定し、第2上側突出片732および第2中間突出片772を第2下地板材62にネジなどの固定具に固定する。
【0055】
続いて、第1板材4の開口部42を覆うように、第3板材8を設置する。第3板材8は、第1板材4の前側に重ねて配置し、壁幅方向の一方の端部を中方立17と当接させ、壁幅方向の他方の端部を縦枠18と当接させる。
第3板材8の前面81に、必要に応じてクロス張りや塗装などを行う。なお、第3板材8に、前側となる面が化粧面である化粧パネルを採用してもよい。
このようにして、第1壁部21の反りが矯正される。
【0056】
次に、上述した本発明の実施形態による壁構造1の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した本発明の実施形態による壁構造1では、第1壁部21の第1スタッド31および第2下地板材62よりも高い曲げ剛性を有する矯正柱7が第1スタッド31および第2下地板材62の上下方向の中間部と当接していることにより、第1スタッド31および第2下地板材62の上下方向の中間部が張り出して反るように第1壁部21が変形しようとすると、第1スタッド31および第2下地板材62の上下方向の中間部が矯正柱7に当接して第1スタッド31および第2下地板材62の変形が防止されるため、第1壁部21の変形(反り)を防止することができる。
【0057】
また、第1スタッド31および第2下地板材62の上下方向の中間部が張り出して反るように第1壁部21が変形している場合には、第1スタッド31および第2下地板材62の上下方向の中間部に当接させるように矯正柱7を設けることで、第1スタッド31および第2下地板材62の変形が矯正され、第1壁部21の変形(反り)を矯正することができる。
そして、矯正柱7は、空洞部24に設けられているとともに、第1スタッド31および第2下地板材62と当接して一対の板材4,5に負荷を与えることがないため、第1壁部21の仕上げや機能を損なうことがない。
【0058】
また、矯正柱7は、第1スタッド31および第2下地板材62の上下方向の中間部を当接して押圧していることにより、矯正柱7が第1壁部21の反りを効率的に防止できるとともに、矯正柱7が第1壁部21の反りをより効率的に矯正することができる。
【0059】
また、矯正柱7は、第1中間固定部76および第2中間固定部77の上側で第1スタッド31および第2下地板材62と固定される第1上側固定部72および第2上側固定部73と、第1中間固定部76および第2中間固定部77の下側で第1スタッド31および第2下地板材62と固定される第1下側固定部74および第2下側固定部75とを有していることにより、矯正柱7を第1スタッド31および第2下地板材62の上部側および下部側に固定すればよいため、矯正柱7の設置を容易に行うことができる。
【0060】
また、第1上側固定部72、第2上側固定部73、第1下側固定部74、第2下側固定部75、第1中間固定部76および第2中間固定部77は、いずれも第1スタッド31および第2下地板材62に対して壁厚さ方向のいずれか一方側の同じ側(前側)に配置されている。
このような構成とすることにより、矯正柱7の設置が第1スタッド31および第2下地板材62に対して前側のみからの作業となるため、容易に行うことができる。
【0061】
また、本実施形態のように、第1壁部21に反りが生じ、その反りを矯正する改修工事として矯正柱7を設置する場合に、矯正柱7の設置が第1スタッド31および第2下地板材62に対して前側のみからの作業となるため、一対の板材4,5のうちの一方の板材4のみを外す、または一対の板材4,5のうちの一方の板材4のみに開口部42を形成することで、矯正柱7を設置することができる。
これにより、矯正柱7を設置した後に、取り外した板材4またはそれに代わる板材4を設置したり、板材4に形成した開口部42を塞いだりする作業が一対の板材4,5のうちの一方の板材4のみに対して行えばよいため、第1壁部21の改修工事の場合でも、矯正柱7の設置を容易に行うことができる。
【0062】
また、第1中間固定部76および第2中間固定部77は、第1パッキン78および第2パッキン79を介して第1スタッド31および第2下地板材62と当接していることにより、第1パッキン78および第2パッキン79の厚さ寸法を調整することで、第1スタッド31および第2下地板材62が第1中間固定部76および第2中間固定部77から受ける力の大きさを調整することができる。
また、第1スタッド31および第2下地板材62が第1中間固定部76および第2中間固定部77から押圧される場合に、第1スタッド31および第2下地板材62が損傷することを防止することができる。
【0063】
また、矯正柱7は、柱部71の壁幅方向の一方側に設けられた第1中間突出片762が第1スタッド31に前側から当接して接合され、他方側に設けられた第2中間突出片772が第2下地板材62に前側から当接して接合されている。これにより、第1スタッド31および第2下地板材62からの反力により矯正柱7が柱部71の軸線回りに回転することが防止され、第1中間固定部76および第2中間固定部77が第1スタッド31および第2下地板材62を押圧した状態を維持することができる。本実施形態では、第1中間突出片762および第2中間突出片772が本発明の回転防止部も兼ねている。
【0064】
本実施形態による壁構造によれば、第1壁部21の反りを矯正するために、第1壁部21の第1板材4に開口部42を形成し、空洞部24を露出させ、この空洞部24に矯正柱7を設置すれば、矯正柱7が第1板材4の前面41よりも前側に突出しないように構成されている。
これにより、空洞部24に矯正柱7を設置した後には、開口部42を覆うように第3板材8を設置した際に、第3板材8が矯正柱7と干渉することがないため、容易に施工を行うことができる。
【0065】
本実施形態による壁構造によれば、第1板材4および第3板材8は、中方立17、縦枠18、上枠、床部に囲まれていて、周囲の壁部の板材と縁が切れているため、第1板材4に開口部42を形成したり、第3板材8を設置したりする工程を容易に行うことができる。
また、第1板材4に開口部42は、第3板材8を設置することで容易にふさぐことができる。
また、第3板材8は、中方立17の前面171よりも後側に配置されているため、建具が干渉することがない。
【0066】
以上、本発明による壁構造1の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、第1壁部21は、片引戸12の引き込み部分14に対向する位置に設けられた第1壁部21であるが、
図11に示すような建具が設けられていない壁部25であってもよい。このような場合に、第1中間突出片762は、第1パッキン78を介して第1スタッド31を押圧して第1スタッド31の反りを矯正・防止し、第2中間突出片772は、パッキンを介さずに第2板材5と当接し、矯正柱7の回転を防止するように構成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、第1壁部21の一対の板材4,5は、スタッド3に接合されているが、スタッド3に代わって木造の柱や間柱に接合されていてもよい。このような場合は、柱や間柱の反りを矯正・防止するように柱や間柱と当接または柱や間柱を押圧する矯正柱7が取り付けられていてもよい。
【0067】
また、上記の実施形態では、矯正柱7は、第1壁部21の反りを矯正する改修を行う際に第1壁部21に設けられているが、新設される壁部に矯正柱7を取り付けて壁部の矯正を防止するようにしてもよい。このような場合、壁部の新設時には、矯正柱7の第1中間突出片762および第2中間突出片772は第1スタッド31および第2下地板材62を押圧せずに、第1スタッド31および第2下地板材62に当接した状態とし、第1スタッド31および第2下地板材62に第1中間突出片762および第2中間突出片772側にせり出すような反りが生じた際に、第1スタッド31および第2下地板材62が第1中間突出片762および第2中間突出片772からの反力によって押圧されるように構成されていてもよい。
【0068】
また、上記の実施形態では、矯正柱7は、柱部71の両側に第1スタッド31および第2下地板材62と当接して反りを矯正・防止する中間当接部(第1中間突出片762および第2中間突出片772)が設けられ、第1中間突出片762が第1スタッド31の反りを矯正・防止し、第2中間突出片772が第2下地板材62の反りを矯正・防止しているが、第1中間突出片762のみが設けられて、第1スタッド31の反りを矯正・防止するように構成されていてもよい。
【0069】
また、上記の実施形態では、第1中間突出片762および第2中間突出片772は、それぞれ第1スタッド31および第2下地板材62に接合されているが、第1スタッド31および第2下地板材62と接合されずに当接していてもよい。
また、第1中間突出片762は、第1スタッド31と当接または接合されて第1スタッド31の反りを矯正・防止し、第2中間突出片772は、第2板材5など下地材以外の部材に当接し、矯正柱7の柱部71の軸線回りの回転を防止する部材として設けられていてもよい。
また、矯正柱7には、柱部71に軸線回りの回転を防止する機構が設けられていなくてもよい。
【0070】
また、上記の実施形態では、矯正柱7は、中間当接部(第1中間突出片762および第2中間突出片772)の上側および下側それぞれで第1スタッド31および第2下地板材62と固定されているが、矯正柱7が第1スタッド31および第2下地板材62と固定される位置や数は適宜設定されてよい。
また、上記の実施形態では、第1上側固定部72、第2上側固定部73、第1下側固定部74、第2下側固定部75、第1中間固定部76および第2中間固定部77は、いずれも第1スタッド31および第2下地板材62に対して壁厚さ方向の前側に配置されているが、第1スタッド31および第2下地板材62に対して設けられる位置がそれぞれ異なっていてもよい。
【0071】
また、第1上側固定部72および第1下側固定部74は、第1スタッド31の壁厚さ方向の一方側に設けられ、第2上側固定部73および第2下側固定部75は、第2下地板材62の壁厚さ方向の他方側に設けられていてもよい。
また、第1中間固定部76は、第1スタッド31の壁厚さ方向の一方側に設けられ、第2中間固定部77は、第2下地板材62の壁厚さ方向の他方側に設けられていてもよい。
【0072】
また、上記の実施形態では、第1中間固定部76および第2中間固定部77は、第1パッキン78および第2パッキン79を介して第1スタッド31および第2下地板材62と当接しているが、第1パッキン78および第2パッキン79を介さずに直接第1スタッド31および第2下地板材62と当接していてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 壁構造
3 スタッド
4 第1板材(板材)
5 第2板材(板材)
7 矯正柱
8 第3板材
21 第1壁部(壁部)
22 第2壁部
24 空洞部
31 第1スタッド(下地材)
32 第2スタッド
61 第1下地板材
62 第2下地板材
71 柱部
72 第1上側固定部(上側固定部)
73 第2上側固定部(上側固定部)
74 第1下側固定部(下側固定部)
75 第2下側固定部(下側固定部)
76 第1中間固定部
77 第2中間固定部
78 第1パッキン(パッキン)
79 第2パッキン(パッキン)
762 第1中間突出片(中間当接部)
772 第2中間突出片(中間当接部)