(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】読取装置及び読取システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20230425BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
G05D1/02 H
G06K7/10 240
G06K7/10 148
G06K7/10 248
(21)【出願番号】P 2019055472
(22)【出願日】2019-03-22
【審査請求日】2021-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】冨山 隆志
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-174359(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0239021(US,A1)
【文献】特開2006-268653(JP,A)
【文献】特開2008-112227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を移動させる移動装置と、
前記移動体に設けられ、
棚の商品に付された無線タグから送信される電波を受信するアンテナと、
前記棚の開始位置から前記移動体を移動させながら前記アンテナを用いて前記
棚の前記無線タグに記憶された情報を読み取る第1の読取動作、
及び、前記第1の読取動作による前記
棚の前記無線タグから情報を読み取る読取率が閾値以下である場合、
前記移動体を前記棚の前記開始位置まで移動させ、前記アンテナと前記無線タグとの距離を前記第1の読取動作における前記アンテナと前記無線タグとの距離よりも短くなるようにして、
前記棚の前記開始位置から前記移動体を移動させながら前記アンテナを用いて前記
棚の前記無線タグに記憶された情報を読み取る、第2の読取動作を
棚ごとに行う、
制御部と、を備える読取装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2の読取動作における前記移動体と前記無線タグとの距離を前記第1の読取動作における前記移動体と前記無線タグとの距離よりも短くなるようにすることで、前記第2の読取動作における前記アンテナと前記無線タグとの距離を前記第1の読取動作における前記移動体と前記無線タグとの距離よりも短くなるようにする、請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記読取率は、前記
棚にあると想定される前記無線タグの数に対する前記第1の読取動作によって情報を読み取られた前記
棚の前記無線タグの数の比の値である、請求項1又は請求項2に記載の読取装置。
【請求項4】
移動体及び制御装置を含み、
前記移動体は、
前記移動体を移動させる移動装置と、
棚の商品に付された無線タグから送信される電波を受信するアンテナと、を備え、
前記制御装置は、
前記棚の開始位置から前記移動体を移動させながら前記アンテナを用いて
前記棚の前記無線タグに記憶された情報を読み取る第1の読取動作、
及び、前記第1の読取動作による前記
棚の前記無線タグから情報を読み取る読取率が閾値以下である場合、
前記移動体を前記棚の前記開始位置まで移動させ、前記アンテナと前記無線タグとの距離を前記第1の読取動作における前記アンテナと前記無線タグとの距離よりも短くなるようにして、
前記棚の前記開始位置から前記移動体を移動させながら前記アンテナを用いて前記
棚の前記無線タグに記憶された情報を読み取る第2の読取動作、
を
棚ごとに行うように前記移動体を制御する制御部を備える、読取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、読取装置及び読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自走しながら、物品に取り付けられたRF(radio frequency)タグなどの無線タグから情報を読み取る読取装置が知られている。このような読取装置は、無線タグ同士の間隔が狭い場合に情報を読み落とす場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2016/0239021号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、無線タグからの情報の読み落としを低減する読取装置及び読取システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の読取装置は、移動装置、アンテナ及び制御部を備える。移動装置は、移動体を移動させる。アンテナは、前記移動体に設けられ、無線タグから送信される電波を受信する。制御部は、第1の読取動作及び第2の読取動作を行う。第1の読取動作は、前記移動体を移動させながら前記アンテナを用いて所定の範囲の前記無線タグに記憶された情報を読み取る。第2の読取動作は、前記第1の読取動作による前記範囲の前記無線タグから情報を読み取る読取率が閾値以下である場合、次のようにする。第2の読取動作は、前記アンテナと前記無線タグとの距離を前記第1の読取動作における前記アンテナと前記無線タグとの距離よりも短くなるようにして、前記移動体を移動させながら前記アンテナを用いて前記範囲の前記無線タグに記憶された情報を読み取る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る読取システムの構成の一例を示す図。
【
図2】実施形態に係る読取システムの構成の一例を示すブロック図。
【
図3】実施形態に係る作業指示情報の構成の一例を示す図。
【
図4】実施形態に係る棚情報の構成の一例を示す図。
【
図6】実施形態に係る物品情報の構成の一例を示す図。
【
図7】実施形態に係る読取距離指示情報の構成の一例を示す図。
【
図8】実施形態に係る読取結果情報の構成の一例を示す図。
【
図9】
図2中のプロセッサ11による処理の一例を示すフローチャート。
【
図10】
図2中のプロセッサ11による処理の一例を示すフローチャート。
【
図11】
図2中のプロセッサ11による処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態に係る読取システムについて図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、各部の縮尺を適宜変更している場合がある。また、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、説明のため、構成を省略して示している場合がある。また、各図面及び以下の説明において、同一の符号は同様の要素を示す。
【0008】
図1は、実施形態に係る読取システム1の構成の一例を示す図である。読取システム1は、読取装置の一例である。読取システム1は、無線タグが複数個存在する領域において、複数個の無線タグを読み取るシステムである。例えば、読取システム1は、複数の棚を有する店舗での物品の棚卸などに用いられる。ここでは、複数の棚のうちの1つの棚Aを例にして説明する。棚A以外の棚は棚Aと同様に構成されているので説明を省略する。
【0009】
各棚は、一方向に延在する所定長の幅で構成されている。各棚の延在する方向を第1の方向というものとする。棚Aは、複数の物品を格納する。複数の物品は、第1の方向に沿って棚Aに陳列されている。物品300は、棚Aの所定の領域に格納されている複数の物品のうちの一つである。物品300には、無線タグ301が付されている。例えば、無線タグ301は、RFID(radio frequency identifier)である。棚Aに格納されている物品300以外の物品にも無線タグ301と同様の無線タグが付されている。
【0010】
無線タグ301は、後述するアンテナ104a~104dのうちの少なくとも1つと無線でデータを送受信する。無線タグ301は、アンテナ104a~104dのうちの少なくとも1つから無線で電力の供給を受け、活性化する。無線タグ301は、アンテナ104a~104dのうちの少なくとも1つを通じたリクエストに対して、自身を一意に特定する識別子を含むタグ情報を返信する。タグ情報は、読取結果ともいう。無線タグ301の識別子については、後述する。
【0011】
読取システム1は、システムコントローラ10及び自走ロボット100などから構成される。システムコントローラ10と自走ロボット100とは、互いに通信可能に接続する。
【0012】
システムコントローラ10は、読取システム1全体を制御する。システムコントローラ10は、自走ロボット100の移動及び無線タグ301の読取を制御する。システムコントローラ10については、後述する。
【0013】
自走ロボット100は、システムコントローラ10の制御に従って自走する。自走ロボットは、棚Aの前を第1の方向に沿って棚Aと並行又は略並行に走行する。自走ロボット100は、移動体の一例である。
【0014】
図1が示すように、自走ロボット100は、筐体101、車輪102、センサ103及びアンテナ104a~104dなどを有する。
【0015】
筐体101は、自走ロボット100の外殻を形成する。筐体101は、車輪102、センサ103及びアンテナ104a~104dが取り付けられる。
【0016】
車輪102は、筐体101の下部に取り付けられる。車輪102は、後述するモータ202によって駆動し筐体101を移動させる。また、車輪102は、筐体101の方向を変更する。
【0017】
センサ103は、自走ロボット100の前面に形成される。センサ103は、周囲の障害物を検知するためのセンサである。センサ103は、自走ロボット100の進行方向にある障害物を検知する。例えば、センサ103は、レーダなどから構成される。
【0018】
アンテナ104a~104dは、筐体101の上部から下方に掛けて順に形成される。
アンテナ104a~104dは、棚Aに正対するように筐体101の側面に形成される。ここでは、アンテナ104a~104dは、自走ロボット100の進行方向に対して左側に形成される。
【0019】
アンテナ104aについて説明する。アンテナ104aは、物品300に付された無線タグ301と無線でデータを送受信するデバイスである。アンテナ104aは、無線タグ301からの電波を受信する。また、アンテナ104aは、無線タグ301へ電波を送信する。例えば、アンテナ104aは、指向性を有するものであってもよい。アンテナ104aの特性(指向性など)及び設置向き等により電波の送受信が行える検知範囲が設定される。アンテナ104aの検知範囲は、棚Aの物品300の無線タグ301を読み取ることができるように設定される。
なお、アンテナ104b、アンテナ104c及びアンテナ104dの構成は、アンテナ104aと同様であるため説明を省略する。アンテナ104a~104dの検知範囲の合算は、棚Aの上端から下端までを包含するように設定される。以下、アンテナ104a~104dのうちの少なくとも1つを指すために、単にアンテナ104という場合がある。あるいは、アンテナ104a~104dを総称して、単にアンテナ104という場合がある。
【0020】
なお、自走ロボット100が備えるアンテナ104の個数及び位置は、特定の構成に限定されるものではない。例えば、自走ロボット100は、棚Aの上端から下端までを包含する検知範囲を設定された1つのアンテナ104を有していてもよい。
【0021】
図2は、実施形態に係る読取システム1の構成の一例を示すブロック図である。
図2が示すように、システムコントローラ10は、プロセッサ11、ROM(read-only memory)12、RAM(random-access memory)13、NVM(non-volatile memory)14及び通信部15などを備える。プロセッサ11と、ROM12、RAM13、NVM14及び通信部15とは、データバスなどを介して互いに接続される。システムコントローラ10は、制御装置の一例である。
【0022】
プロセッサ11は、システムコントローラ10全体の動作を制御する機能を有する。例えば、プロセッサ11は、CPU(central processing unit)である。プロセッサ11は、制御部の一例である。プロセッサ11は、内部メモリ及び各種のインターフェースなどを備えても良い。プロセッサ11は、内部メモリ、ROM12又はNVM14などに予め記憶したプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0023】
なお、プロセッサ11がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ハードウェア回路により実現されるものであっても良い。この場合、プロセッサ11は、ハードウェア回路により実行される機能を制御する。
【0024】
ROM12は、予め制御用のプログラム及び制御データなどを記憶する不揮発性のメモリである。ROM12は、製造段階で制御プログラム及び制御データなどを記憶した状態でシステムコントローラ10に組み込まれる。すなわち、ROM12に記憶される制御プログラム及び制御データは、予めシステムコントローラ10の仕様に応じて組み込まれる。
【0025】
RAM13は、揮発性のメモリである。RAM13は、プロセッサ11の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM13は、プロセッサ11からの命令に基づき種々のアプリケーションプログラムを格納する。また、RAM13は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータ及びアプリケーションプログラムの実行結果などを格納してもよい。
【0026】
NVM14は、データの書き込み及び書き換えが可能な不揮発性のメモリである。例えば、NVM14は、HDD(hard disk drive)、SSD(solid state drive)、EEPROM(electric erasable programmable read-only memory)又はフラッシュメモリなどから構成される。NVM14は、システムコントローラ10の運用用途に応じて制御プログラム、アプリケーション及び種々のデータなどを格納する。NVM14は、記憶部の一例である。
【0027】
NVM14は、作業指示情報、棚情報、物品情報、読取距離指示情報及び読取結果情報などを格納する。作業指示情報、棚情報、物品情報、読取距離指示情報及び読取結果情報については、後述する。
【0028】
通信部15は、自走ロボット100とデータを送受信するためのインターフェースである。通信部15は、有線又は無線で自走ロボット100とデータを送受信する。例えば、通信部15は、LAN(local area network)又はインターネットなどの接続をサポートするインターフェースである。
【0029】
図2が示すように、自走ロボット100は、センサ103、アンテナ104a~104d、移動機構200及びリーダ210などを備える。センサ103及びアンテナ104a~104dについては、前述のとおりである。
【0030】
移動機構200は、自走ロボット100を移動させる機構である。移動機構200は、自走ロボット100を移動させる移動装置の一例である。移動機構200は、車輪102、走行コントローラ201、モータ202及びロータリエンコーダ203などを備える。走行コントローラ201と、モータ202及びロータリエンコーダ203とは、電気的に接続する。車輪102とモータ202とは、物理的に接続する。車輪102は、前述のとおりである。
【0031】
走行コントローラ201は、システムコントローラ10の制御に従って自走ロボット100を移動させる。走行コントローラ201は、モータ202などを制御して自走ロボット100を移動させる。例えば、走行コントローラ201は、モータ202に電力又はパルスなどを供給する。
【0032】
モータ202は、走行コントローラ201の制御に従って駆動する。モータ202は、ギア又はベルトなどを介して車輪102に接続する。モータ202は、自身の駆動力によって車輪102を回転させる。
【0033】
ロータリエンコーダ203は、モータ202の回転軸に接続する。ロータリエンコーダ203は、モータ202の回転角度を測定する。ロータリエンコーダ203は、測定した回転角度をシステムコントローラ10へ送信する。なお、ロータリエンコーダ203は、モータ202に内蔵されるものであってもよい。
【0034】
リーダ210は、アンテナ104a~104dを通じて無線タグと無線でデータを送受信するためのインターフェースである。リーダ210は、無線タグとデータ通信することで無線タグのタグ情報を読み取る。例えば、リーダ210は、システムコントローラ10の制御に基づいて所定のリードコマンドを無線タグに送信する。リーダ210は、リードコマンドに対するレスポンスとしてタグ情報を受信する。リーダ210は、受信したタグ情報をシステムコントローラ10へ送信する。
【0035】
なお、読取システム1は、
図1及び
図2が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、読取システム1から特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0036】
次に、作業指示情報について説明する。作業指示情報は、棚卸作業を指示する情報である。すなわち、作業指示情報は、システムコントローラ10が自走ロボット100を用いて複数の無線タグを読み取る動作を指示する。ここでは、作業指示情報は、読取システム1が複数の無線タグを読み取る1つ以上の棚を示す。
【0037】
図3は、作業指示情報の構成の一例を示す図である。
図3が示すように、作業指示情報は、一例として、「作業番号」、「作業内容」、「棚数」及び「棚番号」などから構成される。
「作業番号」は、作業指示情報が示す作業を一意に特定する番号を示す。
「作業内容」は、読取システム1が行う作業を示す。ここでは、「作業内容」は、棚卸である。
「棚数」は、作業が指示される棚の数である。すなわち、「棚数」は、読取対象となる無線タグの付された物品が陳列されている棚の数である。
「棚番号」は、読取対象となる無線タグの付された物品が陳列されている棚を示す。ここでは、「棚番号」は、アルファベットで棚を示す。また、作業指示情報は、「棚番号」と「通し番号」とを関連付ける。「通し番号」は、作業の順番を示す番号である。通し番号が大きいものから順に作業が行われることを示す。一例として、
図3は、通し番号4で棚番号Bの棚から順にBFEAの順で作業が行われることを示す。
【0038】
作業指示情報は、オペレータなどによってNVM14に格納される。また、プロセッサ11は、外部装置から作業指示情報を受信してNVM14に格納してもよい。また、作業指示情報は、適宜更新されてもよい。
なお、作業指示情報の構成は、特定の構成に限定されるものではない。
【0039】
次に、棚情報について説明する。棚情報は、各棚に関する情報である。例えば、棚情報は、各棚の作業開始位置、方向及び幅を示す情報である。
図4は、棚情報の構成の一例を示す図である。
図4が示すように、棚情報は、一例として、「棚番号」、「作業開始位置」、「方向」及び「幅」を関連付けて格納するテーブルである。
【0040】
「棚番号」は、前述のとおりである。
「作業開始位置」は、棚の位置として、自走ロボット100が無線タグの読取を開始する位置を示す座標である。例えば、「作業開始位置」は、棚の一端に正対し、棚から一定距離離れた位置を示す。「作業開始位置」は、所定の座標系における座標である。
「方向」は、棚の正面が向いている方向を示す。棚の物品が露出する面を棚の正面というものとする。すなわち、「方向」は、棚の物品が露出する方向である。「方向」は、所定の軸を基準とする角度である。
「幅」は、棚の幅及び「作業開始位置」から「作業終了位置」までの変位を示す。例えば、「幅」は、棚の他端のx座標から棚の一端のx座標を引いた値である。あるいは、「幅」は、物品が露出する領域の他端のx座標から一端のx座標を引いた値である。なお、ここで、一端は、「作業開始位置」に近い側の端、他端は、「作業終了位置」に近い側の端を示す。すなわち、「幅」は、所定の座標系における変位を示す。また、「幅」の絶対値は、所定の座標系における距離を示す。すなわち、「幅」の絶対値は、棚の幅を示す。また、「作業開始位置」のx座標に「幅」の値を足した(x、y)座標は、「作業終了位置」を示す。「作業終了位置」は、棚の一端に正対し、棚から一定距離離れた位置を示す。
【0041】
図5は、棚情報の一例を示す図である。すなわち、
図5は、棚の配置例を示す平面図である。例えば、
図5が示す例では、棚Aの「作業開始位置」は、座標P(400,600)である。また、棚Aの「方向」は、「90」である。すなわち、棚Aは、
図5において上方を向いている。
図5が示す例では、棚Aの正面は、座標(400、600)から矢印aで示される方向に見た面である。これに対して、棚Bの正面は、座標(150、300)から矢印bで示される方向に見た面である。このように、棚Aの正面が向いている方向と棚Bの正面が向いている方向は異なる。
【0042】
読取システム1が棚Aの物品の無線タグを読み取る場合、自走ロボット100は、棚Aの正面に正対する座標(400,600)まで移動する。自走ロボット100は、座標(400,600)から左方向(x軸の負方向)に移動して棚Aの物品の無線タグを読み取る。
【0043】
棚に物品が密に陳列されている場合、無線タグ同士は近接して無線タグの密度が高くなる。無線タグの密度が高くなると、無線タグのアンテナ特性は変化する。無線タグのアンテナ特性が変化すると、読取システム1のアンテナ104とRFタグとの交信可能な距離は短くなる傾向にある。したがって、読取システム1が密に物品の陳列された棚においてRFタグのタグ情報を読み取る場合、アンテナ104は、棚の正面側から可能な限り物品に近づくことが好ましい。そのため、棚情報に含まれる「方向」に関する情報は、読取システム1がRFタグの読み落としを低減するために有効な情報である。
【0044】
棚情報は、オペレータなどによってNVM14に格納される。また、プロセッサ11は、外部装置から棚情報を受信してNVM14に格納してもよい。また、棚情報は、適宜更新されてもよい。
なお、棚情報の構成は、特定の構成に限定されるものではない。
【0045】
次に、物品情報について説明する。物品情報は、棚に格納される物品に関する情報である。すなわち、物品情報は、棚に格納される無線タグの個数を示す。また、物品情報は、理論在庫を示す。
【0046】
図6は、物品情報の構成の一例を示す図である。
図6が示すように、物品情報は、一例として、「物品番号」、「ユニークID」、「名称」、「色」、「サイズ」及び「棚番号」を関連付けて格納するテーブルである。
【0047】
「物品番号」は、物品を管理するための識別番号である。例えば、「物品番号」は、物品のSKU(stock keeping unit)(最小管理単位)毎に付与される。
「ユニークID」は、物品を一意に特定するための識別情報である。「ユニークID」は、各物品にユニークに付与される。
「名称」、「色」及び「サイズ」は、物品の属性を示す。
「棚番号」は、物品が格納される棚を示す。
【0048】
物品情報は、オペレータなどによってNVM14に格納される。また、プロセッサ11は、外部装置から物品情報を受信してNVM14に格納してもよい。また、物品情報は、適宜更新されてもよい。
なお、物品情報の構成は、特定の構成に限定されるものではない。
【0049】
次に、読取距離指示情報について説明する。読取距離指示情報は、アンテナ104から物品までの読取距離に関する情報である。読取距離指示情報は、読取システム1による無線タグの読み落としを低減するためにアンテナ104を近づける必要がある物品を予め指定するために使用される。
【0050】
図7は、読取距離指示情報の構成の一例を示す図である。
図7が示すように、読取距離指示情報は、一例として、「回数」及び「読取距離」を関連付けて格納するテーブルである。
【0051】
「回数」は、何回目の読取処理であるかを示す。読取処理については後述する。なお、
図7では、3回目までを示すが、「回数」は、2回目又は4回目以上までであっても良い。
「読取距離」は、アンテナ104から棚までの距離を示す。「読取距離」は、第1の方向と直交する第2の方向における距離である。なお、アンテナ104から棚までの距離は、アンテナ104から物品に付された無線タグまでの距離と対応する。すなわち、アンテナ104から棚までの距離が長いほど、アンテナ104から物品に付された無線タグまでの距離は長くなる。
【0052】
読取距離情報は、オペレータなどによってNVM14に格納される。また、プロセッサ11は、外部装置から読取距離情報を受信してNVM14に格納してもよい。また、読取距離情報は、適宜更新されてもよい。
なお、読取距離情報の構成は、特定の構成に限定されるものではない。
【0053】
次に、読取結果情報について説明する。読取結果情報は、プロセッサ11が無線タグの読取に応じて無線タグのタグ情報に基づいて生成する情報である。
図8は、読取結果情報の構成の一例を示す図である。
図8が示すように、読取結果情報は、一例として、「タイムスタンプ」及び「識別子」を関連付けて格納するテーブルである。
【0054】
「タイムスタンプ」は、プロセッサ11が無線タグからタグ情報を取得した取得時刻を示す。
「識別子」は、タグ情報に含まれる情報であって、無線タグを一意に特定する情報である。「識別子」は、前述の「物品番号」と「ユニークID」との足し合わせで構成される。
【0055】
読取結果情報は、プロセッサ11によって生成され、NVM14に格納される。例えば、プロセッサ11は、無線タグの読取に応じてタグ情報を取得するごとに、タグ情報に含まれる識別子を「識別子」に格納する。プロセッサ11は、タグ情報を取得するごとに、タグ情報の取得時刻を検出し、取得時刻を「タイムスタンプ」に格納する。
なお、読取結果情報の構成は、特定の構成に限定されるものではない。
【0056】
次に、プロセッサ11が実現する機能について説明する。プロセッサ11は、ROM12又はNVM14などに格納されるソフトウェアを実行することで下記の機能を実現する。
【0057】
まず、プロセッサ11は、自走ロボット100を所定の棚の「作業開始位置」まで移動させる機能を有する。
【0058】
例えば、プロセッサ11は、作業を開始する操作の入力を受け付ける。プロセッサ11は、当該入力を受け付けると、NVM14から作業指示情報及び棚情報を取得する。プロセッサ11は、作業指示情報及び棚情報を取得すると、作業指示情報及び棚情報に基づいて棚の「作業開始位置」を特定する。
【0059】
プロセッサ11は、「作業開始位置」を特定すると、自走ロボット100が現在ある位置から「作業開始位置」までの経路を特定する。例えば、プロセッサ11は、各棚が設置されている店舗の地図情報を取得する。例えば、地図情報は、棚の位置、走行可能な領域、走行不可能な領域及び障害物の位置などの情報を含む。プロセッサ11は、地図情報に基づいて経路を特定する。
【0060】
プロセッサ11は、経路を特定すると、当該経路に沿って自走ロボット100を移動させる。例えば、プロセッサ11は、移動機構200を制御して自走ロボット100を当該経路に沿って移動させる。なお、プロセッサ11は、センサ103が検知した障害物を避けるために経路を修正してもよい。
【0061】
プロセッサ11は、当該経路に沿って自走ロボット100を移動させることで、所定の棚の「作業開始位置」に自走ロボット100を移動させる。プロセッサ11は、「作業開始位置」に自走ロボット100を移動させると、自走ロボット100を停止させる。
【0062】
また、プロセッサ11は、アンテナ104及びリーダ210を用いて無線タグを読み取る機能を有する。
【0063】
例えば、プロセッサ11は、自走ロボット100が「作業開始位置」に到達すると、アンテナ104及びリーダ210を用いて無線タグにリクエストを送信して、無線タグからタグ情報を取得する。
【0064】
また、プロセッサ11は、アンテナ104を通じた無線タグのタグ情報に基づいて、アンテナ104から物品までの読取距離を変更するように移動機構200を制御する機能を有する。ここでは、プロセッサ11は、移動機構200を制御するために、アンテナ104から物品までの読取距離の変更の要否を判定する。
【0065】
また、プロセッサ11は、自走ロボット100が棚の他端まで移動したか判定する機能を有する。
【0066】
例えば、プロセッサ11は、ロータリエンコーダ203からモータ202の回転角度を取得する。プロセッサ11は、回転角度などから自走ロボット100が「作業開始位置」から移動した移動距離を算出する。なお、プロセッサ11は、センサ103が検知した障害物にさらに基づいて移動距離を特定してもよい。プロセッサ11は、移動距離が棚情報の「幅」に達したか判定する。
【0067】
プロセッサ11は、自走ロボット100が棚の他端まで移動したと判定すると、無線タグの読取を終了する。
【0068】
作業指示情報が複数の棚を示す場合、プロセッサ11は、各棚について同様の動作を行う。また、作業指示情報が複数ある場合、プロセッサ11は、各作業指示情報について同様の動作を行う。
【0069】
また、プロセッサ11は、読取結果情報に基づいて棚卸業務に関する情報処理を行う機能を有する。棚卸業務に関する情報処理を棚卸処理ともいう。
【0070】
例えば、プロセッサ11は、読取結果情報を参照し、識別子からユニークIDを取得する。すなわち、プロセッサ11は、識別子を読み取った無線タグの付されている物品を特定する。プロセッサ11は、ユニークIDを取得すると、物品情報に基づいて各棚に適切に物品が陳列されているかチェックする。
【0071】
例えば、プロセッサ11は、実際にカウントした個数(読取個数)と理論在庫との差を算出する。プロセッサ11は、各物品についての読取個数、理論在庫及び読取個数と理論在庫との差などから構成される棚卸結果を示す情報を作成する。
【0072】
なお、プロセッサ11は、読取結果情報を上位装置へ送信し、上位装置が読取結果情報に基づいて棚卸業務に関する情報処理を行ってもよい。
【0073】
以下、実施形態に係る読取システム1の動作を
図9~
図11などに基づいて説明する。なお、以下の動作説明における処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
図9~
図11は、システムコントローラ10のプロセッサ11による処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサ11は、例えば、ROM12又はNVM14などに記憶されたプログラムに基づいてこの処理を実行する。なお、プロセッサ11がACTn(nは、自然数。)の処理の後にACT(n+1)へと進む場合、このことを説明する記載を省略する場合がある。
【0074】
ACT11においてプロセッサ11は、NVM14から作業指示情報を取得する。
ACT12においてプロセッサ11は、変数Sに、作業指示情報に含まれる棚数を代入する。作業指示情報の棚数は、変数Sの初期値である。変数Sは、残りの棚数を示す。また、変数Sは、通し番号を示し、どの棚に対して作業を行うかを示す。
【0075】
ACT13においてプロセッサ11は、変数iに0を代入する。変数iは、プロセッサ11が変数Sで特定される棚に対して何回目の読取処理を行うかを示す。読取処理については後述する。
ACT14においてプロセッサ11は、変数Tに現在時刻を示す値を代入する。
【0076】
ACT15においてプロセッサ11は、作業指示情報を参照して、変数Sに代入されている通し番号が示す棚番号を取得する。そして、プロセッサ11は、当該棚番号の棚情報を取得する。
ACT16においてプロセッサ11は、ACT15で取得した棚情報に含まれる作業開始位置を取得する。
【0077】
ACT17においてプロセッサ11は、現在位置からACT16で取得した作業開始位置までの経路の設定に必要な地図情報を取得する。プロセッサ11は、Act17の処理の後、
図10のACT18へと進む。
【0078】
ACT18においてプロセッサ11は、ACT17で取得した地図情報を用いて、現在位置からACT16で取得した作業開始位置までの経路を設定する。経路の設定には公知の方法を用いることができる。
【0079】
ACT19においてプロセッサ11は、移動機構200を制御して、ACT18で設定した経路で、ACT16で取得した作業開始位置まで自走ロボット100を移動させる。
【0080】
ACT20においてプロセッサ11は、
図11に示す読取処理を実行する。
ACT31においてプロセッサ11は、読取距離指示情報を参照して、読取距離を取得する。プロセッサ11は、読取距離指示情報から、読取距離指示情報に含まれる回数が変数iの値であるレコードを特定する。そして、プロセッサ11は、当該レコードから、当該回数に関連付けられた読取距離を取得する。
【0081】
ACT32においてプロセッサ11は、移動機構200などを制御して、自走ロボット100の位置を調整する。すなわち、プロセッサ11は、アンテナ104と棚の距離がAct31で取得した読取距離になるように自走ロボット100を移動させる。同時に、プロセッサは、アンテナ104が棚の正面に正対するように自走ロボット100の向きを調整する。なお、ACT32の処理の後の自走ロボット100の位置を、以下「読取開始位置」というものとする。
【0082】
ACT33においてプロセッサ11は、アンテナ104及びリーダ210などを制御して無線タグの読取を開始する。プロセッサ11は、無線タグの読取を停止するまで、アンテナ104及びリーダ210によって読み取られた無線タグのタグ情報を取得する。そして、プロセッサ11は、取得したタグ情報に含まれる識別子(物品番号+ユニークID)を現在時刻(タイムスタンプ)と関連付けて読取結果情報に格納する。ただし、プロセッサ11は、読み取られた識別子と同一の識別子が既に読取結果情報に格納されている場合、新たに格納はしない。
【0083】
ACT34においてプロセッサ11は、変数Lの値を0にする。ここで、変数Lは、読取開始位置から自走ロボット100が棚と並行に第1の方向に沿って移動した距離を示す。
【0084】
ACT35においてプロセッサ11は、アンテナ104と棚との距離を保ちつつ、所定の速度で自走ロボット100を第1の方向に移動させる。ただし、プロセッサ11は、自走ロボット100を、「幅」の値が正である場合にはx軸正の方向、「幅」の値が負である場合にはx軸負の方向に移動させる。
【0085】
ACT36においてプロセッサ11は、変数Lに自走ロボット100の読取開始位置からの移動距離を代入する。
【0086】
ACT37においてプロセッサ11は、変数Lの値が棚の幅未満であるか否かを判定する。ここで、棚の幅は、ACT15で取得した棚情報に含まれる幅の絶対値である。プロセッサ11は、変数Lの値が棚の幅未満であるならば、ACT37においてYesと判定してACT36へと戻る。そして、プロセッサ11は、変数Lの値が棚の幅以上であるならば、ACT37においてNoと判定してACT38へと進む。
【0087】
ACT38においてプロセッサ11は、アンテナ104及びリーダ210などを制御して無線タグの読取を停止する。
【0088】
ACT39においてプロセッサ11は、読取率を求める。なお、読取率は、(読取率)=(タグ読取枚数)÷(理論在庫数)で求めることができる。なお、ここで、タグ読取枚数は、読取結果情報に含まれる識別子のうち、関連付けられたタイムスタンプが変数Tの示す時刻から現在の時刻までであるものの数である。また、理論在庫数は、物品情報に含まれる物品のうち、関連付けられた棚番号が、変数Sに代入されている通し番号が示す棚番号であるものの数である。したがって、理論在庫数は、棚内にあると想定される無線タグの数を示す。プロセッサ11は、ACT39の処理の後、読取処理を終了して
図10のACT20の処理を終了する。
【0089】
ACT21においてプロセッサ11は、読取処理の回数上限であるか否かを判定する。すなわち、プロセッサ11は、変数iが回数上限以上であるか否かを判定する。当該回数上限は、例えば、オペレータなどによって予め定められ、NVM14などに記憶される。プロセッサ11は、変数iが回数上限未満であるならば、ACT21においてNoと判定してACT22へと進む。
【0090】
ACT22においてプロセッサ11は、読取率が閾値以下か否かを判定する。当該閾値は、例えば、オペレータなどによって予め定められ、NVM14などに記憶される。プロセッサ11は、読取率が閾値以下ならば、ACT22においてYesと判定してACT23へと進む。
ACT23においてプロセッサ11は、変数iの値を1増加させる。プロセッサ11は、ACT23の処理の後、Act18へと戻る。
【0091】
以上のように、プロセッサ11は、読取率が閾値以下である場合、変数Sに代入されている通し番号が示す棚番号の棚に対して再度読取処理を行う。ただし、同一の棚に対して読取処理を行う回数は、上記の回数上限までである。なお、m(mは、自然数)回目の読取処理(i=mのときの読取処理)は、第1の読取動作の一例である。そして、(m+1)回目の読取処理(i=(m+1)のときの読取処理)は、第2の読取動作の一例である。
【0092】
プロセッサ11は、読取率が閾値以下ならば、ACT22においてNoと判定してACT24へと進む。また、プロセッサ11は、変数iが回数上限以上であるならば、ACT21においてYesと判定してACT24へと進む。
ACT24においてプロセッサ11は、変数Sの値を1減らす。
【0093】
ACT25においてプロセッサ11は、変数Sの値が0より大きいか否かを判定する。プロセッサ11は、変数Sの値が0より大きいならば、ACT25においてYesと判定して
図9のACT13へと戻る。対して、プロセッサ11は、変数Sの値が0以下であるならば、
図10のACT25においてNoと判定してACT26へと進む。
【0094】
ACT26においてプロセッサ11は、他に作業指示情報があるか否かを判定する。プロセッサ11は、他に作業指示情報があるならば、ACT26においてYesと判定して
図9のACT11へと進む。対して、プロセッサ11は、他に作業指示情報がないならば、
図10のACT26においてNoと判定してACT27へと進む。
ACT27においてプロセッサ11は、前述の棚卸処理などを行う。
【0095】
実施形態の読取システム1は、棚内の無線タグから情報を読み取る読取率が低い場合、アンテナ104と無線タグとの距離を短くして当該棚に対して再度読取処理を行う。これにより、読取システム1は、読取率を向上させることができる。なお、単に複数回読取処理を行うだけでなく、アンテナ104と無線タグとの距離を短くして再度読取処理を行う理由は、例えば、以下の通りである。
アンテナ104から物品までの読取距離が短くなるほど、棚における1つのアンテナ104の検知範囲は、狭くなる。そのため、棚における1つのアンテナ104の検知範囲を広くするためには、アンテナ104から物品までの読取距離が遠い方が好ましい。また、無線タグの密度が低い場合、アンテナ104から物品までの読取距離が短くなくても、物品に付されている無線タグは、アンテナ104から放出される電力を十分に受信することができる。そのため、無線タグの密度が低い場合、無線タグの密度が高い場合と比べて、読取距離は遠い方が好ましい。一方、無線タグの密度が高い場合、無線タグ同士の近接によって無線タグのアンテナ特性が変化する場合がある。これにより、無線タグは、アンテナ104から放出される電力を十分に受信することができなくなる場合がある。この結果として、無線タグの密度が高い場合は、無線タグの密度が低い場合と比較して読み取り率が低くなる場合がある。このような場合、読取システム1は、アンテナ104と無線タグとの距離を短くすることで無線タグが受信する電力を増やすことができる。したがって、読取システム1は、読取距離を変えて再度読取処理を行うことで、読取率をより向上させることができる。
【0096】
実施形態の読取システム1は、自走ロボット100と棚との距離を変化させることによって、アンテナ104と棚との距離を変化させる。自走ロボット100は、自走のために移動機構を備えているため、アンテナ104と棚との距離に当該移動機構を用いればよく、アンテナ104と棚との距離を変化させるための特別な機構が必要無い。
【0097】
上記の実施形態は以下のような変形も可能である。
読取システム1は、2回目以降(iが2以上のとき)の読取処理におけるACT35~ACT37の移動において、1回目(iが1のとき)の読取処理とは逆方向に自走ロボット100を移動させても良い。すなわち、自走ロボット100は、作業終了位置側から作業開始位置側へ向けて第1の方向に移動しながら無線タグの読取を行っても良い。この場合、自走ロボット100は、m回目の読取処理とm+1回目の読取処理で逆方向に動くことで、m回目の読取処理の後、m+1回目の読取処理を行う前に棚の逆側の端に戻る必要が無い。このため、この場合の読取システム1は、複数回の読取処理を早く行うことができる。
【0098】
上記の実施形態では、読取システム1は、ACT32などにおいて自走ロボット100と棚との距離を変化させることによって、アンテナ104と棚との距離を調整した。しかしながら、実施形態の自走ロボットが備えるアンテナは、棚との距離を変化させられるように可動するものであっても良い。この場合の読取システムは、自走ロボット100と棚との距離を変化させることに代えてアンテナを動かしてアンテナと棚との距離を調整しても良い。あるいは、この場合の読取システムは、自走ロボット100と棚との距離を変化させることに加えて、アンテナを動かすことによって、アンテナと棚との距離を調整しても良い。
【0099】
上記の実施形態では、読取システム1は、棚ごとに読取処理を行った。すなわち、上記の実施形態では、1回の読取処理で読取を行う所定の範囲は、1つの棚である。しかしながら、当該範囲は、1つの棚でなくても良い。例えば、当該範囲は、2以上の棚である。あるいは、当該範囲は、棚の半分などの棚の一部であっても良い。あるいは、当該範囲は、その他の分け方による範囲であっても良い。
また、読取システム1は、棚に代えて他の場所に無線タグ301が付された物品300があるものであって良い。
【0100】
上記の実施形態では、読取システム1は、どの棚に対しても同じ読取距離を用いた。しかしながら、読取システム1は、棚ごとに異なる読取距離を用いて読取処理を行っても良い。この場合、読取距離指示情報は、棚ごとに、回数ごとの読取距離を記憶する。
また、読取システム1は、棚にある商品の種類によって読取距離を異ならせても良い。この場合、読取距離指示情報は、商品の種類ごとに、回数ごとの読取距離を記憶する。
例えば、Tシャツは、セーター及びスウェットと比べて嵩張らないため、棚に密に陳列される可能性がセーター及びスウェットと比べて高い。このため、Tシャツに付されている無線タグ同士は、セーター及びスウェットに付されている無線タグと比べて無線タグの密度が高くなる可能性が高い。このため、読取システム1は、Tシャツが置かれた棚の読取距離をセーター及びスウェットが置かれた棚の読取距離より短くすることで読取率を上げることができる。
【0101】
なお、自走ロボット100は、システムコントローラ10を搭載してもよい。また、自走ロボット100は、システムコントローラ10のプロセッサ11が実現する機能の一部又は全部を実現するものであってもよい。
【0102】
上記の実施形態では、自走ロボット100は、センサ103及びロータリエンコーダ203を用いて自己位置推定を行う。しかしながら、自走ロボット100は、その他の方法を用いて自己位置推定を行っても良い。例えば、自走ロボット100は、GPS(Global Positioning System)などのGNSS(global navigation satellite system)、又はIMES(Indoor MEssaging System)などのIPS(indoor positioning system)などを用いて自己位置を推定する。
【0103】
実施形態の読取装置は、車輪以外によって移動するものであっても良い。例えば、実施形態の読取装置は、無限軌道又は脚などによって移動する。
【0104】
実施形態の読取装置は、UAV(unmanned aerial vehicle)などの航空機であっても良い。UAVである読取装置は、例えば、複数のローターによって飛行するマルチコプターなどのいわゆるドローンなどであっても良い。この場合、読取装置は、車輪102に代えてローターなどの飛行用の機構を備える。航空機である読取装置は、走行するスペースが無い場所及び高所など、地上での移動が難しい場合などにおいても使用可能である。
【0105】
実施形態の読取装置は、USV(unmanned surface vehicle)などの船舶であっても良い。この場合、読取装置は、車輪102に代えて水上を進むための推進機などを備える。船である読取装置は、水上又は水中などに設置された無線タグの読取に有用である。
【0106】
実施形態の読取装置は、UUV(unmanned underwater vehicle)などの潜水艇であっても良い。この場合、読取装置は、移動機構200に代えて、水上及び水中を進むための推進装置、及び沈降及び浮上するための潜水機構を備える。潜水艇である読取装置は、水中又は水底などに設置された無線タグの読取に有用である。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0108】
1…読取システム、10…システムコントローラ、11…プロセッサ、12…ROM、13…RAM、14…NVM、15…通信部、100…自走ロボット、102…車輪、103…センサ、104…アンテナ、104a…アンテナ、104b…アンテナ、104c…アンテナ、104d…アンテナ、200…移動機構、201…走行コントローラ、202…モータ、203…ロータリエンコーダ、210…リーダ、300…物品、301…無線タグ