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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20230425BHJP
【FI】
B65D5/54 301H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019096303
(22)【出願日】2019-05-22
(65)【公開番号】P2020189668
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】高比良 仁司
(72)【発明者】
【氏名】大谷 昌義
(72)【発明者】
【氏名】長原 耕太郎
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-026386(JP,A)
【文献】特開2001-278259(JP,A)
【文献】特開2017-095137(JP,A)
【文献】特開2001-253432(JP,A)
【文献】米国特許第03542192(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、
前記天板に第1折曲部を介して連設され、前記第1折曲部が延びる方向と交差する向きへ前記天板に対して折り曲げられた側板と、
前記第1折曲部が延びる方向における前記側板の両端に第2折曲部を介してそれぞれ連設され、前記天板と同じ向きへ前記側板に対してそれぞれ折り曲げられた一対の内フラップと、
前記第1折曲部が延びる方向における前記天板の両端に第3折曲部を介してそれぞれ連設され、前記内フラップの外側に重なるように前記天板に対してそれぞれ折り曲げられた一対の外フラップと、
前記側板に設けられた操作部と、
前記第1折曲部に沿って延びるように前記側板の前記操作部の両側にそれぞれ設けられた一対の第1破断線と、
前記第3折曲部に沿って延びるように前記一対の内フラップにそれぞれ設けられた一対の第2破断線と、
前記第2折曲部に沿って延びるように前記側板の前記操作部と前記第1折曲部の間に設けられた第3破断線と、
前記第3破断線の両側に位置するように前記側板に設けられた一対の補助折曲線と
前記内フラップと前記外フラップを貼着する貼着部と
を備え、
前記外フラップには、前記貼着部に対して前記側板とは反対側に位置し、前記第2折曲部に沿って延びる切断線が設けられており、
前記切断線は、前記第3折曲部上又はその近傍に位置する第1端と、前記外フラップの先端と第1の間隔をあけて位置する第2端とを有する線状である、包装箱。
【請求項2】
前記一対の第1破断線は、前記第2折曲部に対して第2の間隔をあけて位置する端部をそれぞれ有し、
前記一対の第2破断線は、前記第2折曲部に対して第3の間隔をあけて位置する端部をそれぞれ有する、請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記第3破断線は、前記操作部上に位置する第1端と、前記第1折曲部上又はその近傍に位置する第2端とを有する線状であり、
前記第1折曲部には、前記第3破断線の前記第2端から前記第2折曲部に向けて延びる第1切込線が設けられている、請求項1又は2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記第3破断線は、
前記操作部上に位置する第1端と、前記第1折曲部と第4の間隔をあけて位置する第2端とを有する第1部分と、
前記第2端と前記第1折曲部との間に設けられ、前記第2端から前記第1折曲部に向かうに従って互いに離反する向きに傾斜した一対の第2部分と
を有する、請求項1又は2に記載の包装箱。
【請求項5】
前記第3折曲部には、前記側板が位置する方の端又はその近傍から前記第3折曲部の中央に向けて延びる第2切込線が設けられている、請求項1から4のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項6】
前記第2折曲部には、前記第1破断線の前記第2折曲部側の端部と前記第2破断線の前記第2折曲部側の端部との間に位置する第3切込線が設けられている、請求項1からのいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項7】
前記操作部は少なくとも、前記第1折曲部に沿って延びる折曲線と、前記折曲線の一端側から他端側にかけて延びる破断線とによって画定されている、請求項1からのいずれか1項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、4枚のフラップからなる蓋部、一対の側板、及び一対の端板を備える汎用の包装箱と、天板、底板、一対の側板、及び4枚のフラップからなる一対の蓋部を備えるラップアラウンド形式の包装箱とが開示されている。これらには、蓋部(又は天板)に沿って延びる破断線が側板及び端板(又は蓋部)にそれぞれ設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/235780号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の包装箱では、破断線に沿って側板と端板(又は蓋部)をそれぞれ破断することで、包装箱の上部を分離し、包装箱の下部をトレイ状に開封できる。しかし、この包装箱は他の方法で開封できないため、特に後者のラップアラウンド形式の包装箱の場合、作業者によっては開封性を悪く感じさせる虞がある。
【0005】
本発明は、開封作業性を考慮した開封だけでなく、広く知られた方法での開封も可能とした利便性が高い包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、天板と、前記天板に第1折曲部を介して連設され、前記第1折曲部が延びる方向と交差する向きへ前記天板に対して折り曲げられた側板と、前記第1折曲部が延びる方向における前記側板の両端に第2折曲部を介してそれぞれ連設され、前記天板と同じ向きへ前記側板に対してそれぞれ折り曲げられた一対の内フラップと、前記第1折曲部が延びる方向における前記天板の両端に第3折曲部を介してそれぞれ連設され、前記内フラップの外側に重なるように前記天板に対してそれぞれ折り曲げられた一対の外フラップと、前記側板に設けられた操作部と、前記第1折曲部に沿って延びるように前記側板の前記操作部の両側にそれぞれ設けられた一対の第1破断線と、前記第3折曲部に沿って延びるように前記一対の内フラップにそれぞれ設けられた一対の第2破断線と、前記第2折曲部に沿って延びるように前記側板の前記操作部と前記第1折曲部の間に設けられた第3破断線と、前記第3破断線の両側に位置するように前記側板に設けられた一対の補助折曲線と、前記内フラップと前記外フラップを貼着する貼着部とを備え、前記外フラップには、前記貼着部に対して前記側板とは反対側に位置し、前記第2折曲部に沿って延びる切断線が設けられており、前記切断線は、前記第3折曲部上又はその近傍に位置する第1端と、前記外フラップの先端と第1の間隔をあけて位置する第2端とを有する線状である、包装箱を提供する。なお、前記一対の第1破断線は、前記第2折曲部に対して第2の間隔をあけて位置する端部をそれぞれ有し、前記一対の第2破断線は、前記第2折曲部に対して第3の間隔をあけて位置する端部をそれぞれ有する。
【0007】
この包装箱では、側板に設けられた第1破断線と第3破断線、及び内フラップに設けられた第2破断線を備えるため、天板側と底板側に分割した状態に開封する第1の方法の他に、引き裂き帯によって開封するという広く知られた第2の方法によって開封が可能である。つまり、開封作業性を考慮した第1の方法、及び広く知られた第2の方法のうち、開封し易い方を作業者が選択できる。よって、利便性を向上でき、開封性が悪いと作業者に感じさせることはない。
【0008】
第1の方法で開封する場合、第1破断線に沿って側板を破断するとともに、第2破断線に沿って内フラップを破断する。第1破断線に沿った破断と第2破断線に沿った破断とは、いずれを先に行ってもよい。これにより、包装箱を天板側と底板側に分割した第1開封状態とすることができる。第1破断線に沿って側板を破断する際、第3破断線の両側の補助折曲線に沿った折れ曲がりによって、操作の力を第1破断線に伝えることが可能なため、第3破断線に沿った破断を抑制しつつ、第1破断線に沿って確実に破断できる。
【0009】
第2の方法で開封する場合、第1破断線と第1折曲部の間、及び第2破断線と第3折曲部の間を引き裂き帯として破断する。具体的には、第3破断線に沿って側板を破断し、その縁を持って内フラップの方へ操作することで、第1破断線と第1折曲部に沿って側板を破断し、引き続いて第2破断線と第3折曲部に沿って内フラップ及び外フラップを破断する。これにより、側板の一部、内フラップの一部及び外フラップと、天板とを個別に分離した第2開封状態とすることができる。
【0010】
しかも、外フラップには、貼着部に対して側板とは反対側に位置し、第2折曲部に沿って延びる切断線が設けられており、切断線は、第3折曲部上又はその近傍に位置する第1端と、外フラップの先端と第1の間隔をあけて位置する第2端とを有する線状である。よって、引き裂き帯が過度に長くなることに伴う引き裂き帯の破断を防止できるため、第2の方法による開封作業性を向上できる。
【0011】
前記第3破断線は、前記操作部上に位置する第1端と、前記第1折曲部上又はその近傍に位置する第2端とを有する線状であり、前記第1折曲部には、前記第3破断線の前記第2端から前記第2折曲部に向けて延びる第1切込線が設けられている。この態様によれば、第1折曲部に沿って破断する際に第1切込線が起点になるため、第2の方法による開封作業性を向上できる。
【0012】
前記第3破断線は、前記操作部上に位置する第1端と、前記第1折曲部と第4の間隔をあけて位置する第2端とを有する第1部分と、前記第2端と前記第1折曲部との間に設けられ、前記第2端から前記第1折曲部に向かうに従って互いに離反する向きに傾斜した一対の第2部分とを有する。この態様によれば、第2の方法による開封時、第3破断線の第1部分を破断し、その縁を持って内フラップの方へ操作することで、第1破断線と第3破断線の第2部分とに沿って側板を破断し、引き続いて第1破断線と第1折曲部に沿って側板を破断する。つまり、開封を開始する際、第3破断線の第1部分だけを破断すればよいため、特に側板(包装箱)の全高が高い場合の作業性を向上できる。
【0013】
前記第3折曲部には、前記側板が位置する方の端又はその近傍から前記第3折曲部の中央に向けて延びる第2切込線が設けられている。この態様によれば、第2の方法による開封時、第1破断線及び第1折曲部に沿った破断後、引き続いて第2破断線及び第3折曲部に沿って破断する際、第2切込線が起点になるため、第2の方法による開封作業性を向上できる。
【0014】
前記第2折曲部には、前記第1破断線の前記第2折曲部側の端部と前記第2破断線の前記第2折曲部側の端部との間に位置する第3切込線が設けられている。この態様によれば、外フラップよりも先に操作部を持って側板を操作すると、第1破断線に沿った破断が第3切込線に至ることで止まり、引き続いて第2折曲部に沿った破断に変わる。操作部よりも先に外フラップを操作すると、第2破断線に沿った破断が第3切込線に至ることで止まり、引き続いて第2折曲部に沿った破断に変わる。つまり、第1破断線又は第2破断線に沿った横方向の破断が、第3切込線を起点とした第2折曲部に沿った破断に切り換わる。よって、第1の方法による開封作業性を向上できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、天板側と底板側に分割して開封するという開封作業性を考慮した第1の方法、及び引き裂き帯によって天板側を開封するという広く知られた第2の方法のうち、開封し易い方を作業者が選択できるため、作業者の利便性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱の斜視図。
図2図1の包装箱のブランクを示す平面図。
図3図2のブランクの一部を示す平面図。
図4】第1の方法による第1開封段階を示す斜視図。
図5】第1の方法による開封状態を示す斜視図。
図6】第2の方法による第1開封段階を示す斜視図。
図7】第2の方法による第2開封段階を示す斜視図。
図8】第2の方法による開封状態を示す斜視図。
図9】第2実施形態に係る包装箱の斜視図。
図10図9の包装箱のブランクの一部を示す平面図。
図11】第3実施形態に係る包装箱の斜視図。
図12図11の包装箱のブランクを示す平面図。
図13図12のブランクの一部を示す平面図。
図14】第1の方法による天板側の開封状態を示す斜視図。
図15】第2の方法による天板側の開封状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る包装箱10を示す。この包装箱10は、四角筒状の外周壁15と、外周壁15の両端の開口を塞ぐ一対の蓋壁25とを備えるラップアラウンドケースである。外周壁15は、天板16、底板17、及び一対の側板18を備え、個々の蓋壁25は、一対の内フラップ26、及び一対の外フラップ27A,27Bを備える。図4及び図5に示す第1開封方法と、図6から図8に示す第2開封方法とを可能とするために、本実施形態の包装箱10には、3種の破断線40,42,48と3種の切込線44,50,52とが設けられている。
【0019】
包装箱10は、図2に示す一枚のブランクを所定部位で折り曲げて固着することで形成されている。ブランクは、周知の紙器打抜装置によって紙製の段ボールシートを打ち抜いて形成されている。段ボールシートは、表ライナと裏ライナの間に波状の中しんを配設した構成である。図2中の一点鎖線は、肉厚を圧縮するように裏ライナの方から罫を入れて形成した汎用罫線である。図2中の二点鎖線は、肉厚を圧縮するように表ライナの方から罫を入れて形成した逆罫線である。図2中の実線は、裏ライナから表ライナにかけて刃を入れて形成した切断線、及び打ち抜きによる形状線(縁)である。
【0020】
以下の説明では、一対の蓋壁25が対向する方向である包装箱10の長手方向をX方向といい、一対の側板18が対向する方向である包装箱10の短手方向をY方向といい、天板16と底板17が対向する方向である包装箱10の高さ方向をZ方向という。包装箱10のX方向の寸法、Y方向の寸法、及びZ方向の寸法は、必要に応じて変更可能である。
【0021】
図1に示すように、天板16と底板17は、XY平面に沿って延びる概ね同一の長方形状に形成され、Z方向に間隔をあけて対向配置されている。一対の側板18は、XZ平面に沿って延びる同一の長方形状に形成され、Y方向に間隔をあけて対向配置されている。Y方向における天板16の両側には、折曲部(第1折曲部)20を介して側板18の上端が連設され、Y方向における底板17の両側には、折曲部21を介して側板18の下端が連設されている。個々の側板18は、天板16に対してZ方向下向き(折曲部20が延びるX方向に対して交差する向き)に折り曲げられ、底板17に対してZ方向上向きに折り曲げられている。
【0022】
図2を参照すると、天板16、一対の側板18のうちの一方、底板17、及び一対の側板18のうちの他方は、この順で上側から下側に向けて連設されている。図2において、下端に位置する側板18には、上端に位置する天板16に貼着するための付代板19が連設されている。つまり、付代板19の貼着によって1枚の天板16が構成され、四角筒状の外周壁15が形成される。天板16と一方の側板18との間、及び付代板19と他方の側板18との間には、折曲部20を構成する折曲線20’が形成されている。底板17と一対の側板18との間には、折曲部21を構成する折曲線21’がそれぞれ形成されている。これらの折曲線20’,21’は汎用罫線からなる。
【0023】
図1を参照すると、一対の蓋壁25は、YZ平面に沿って延びる概ね同一の長方形状に形成され、X方向に間隔をあけて対向配置されている。蓋壁25を構成する内フラップ26は、一対の側板18のX方向の両端に折曲部(第2折曲部)28を介してそれぞれ連設され、側板18に対して天板16と同じ向き(X方向内向き)に折り曲げられている。外フラップ27Aは、天板16のX方向の両端に折曲部(第3折曲部)29を介してそれぞれ連設され、外フラップ27Bは、底板17のX方向の両端に折曲部30を介してそれぞれ連設されている。X方向の同一端側において、外フラップ27Aは、一対の内フラップ26の外側上部に重なるように天板16に対して折り曲げられ、外フラップ27Bは、一対の内フラップ26の外側下部に重なるように底板17に対して折り曲げられている。
【0024】
図2を参照すると、個々の内フラップ26は、折曲部28を構成する折曲線28’を介して側板18に連設されている。個々の外フラップ27Aは、折曲部29を構成する折曲線29’を介して天板16に連設されている。個々の外フラップ27Bは、折曲部30を構成する折曲線30’を介して底板17に連設されている。これらの折曲線28’~30’は汎用罫線からなる。
【0025】
包装箱10は、例えば次のように製函される。まず、図2のブランクの状態で、底板17の上面(裏ライナ側)に収容する物品を配置する。続いて、底板17に対して一対の側板18をそれぞれ折り曲げた後、一対の側板18に対して付代板19と天板16を折り曲げる。そして、天板16の内面と付代板19の外面とを、熱溶融樹脂等の接着剤を用いて貼着(ホットメルト)する(内グルー)。但し、天板16の外面に付代板19の内面を貼着してもよい(外グルー)。
【0026】
次に、側板18に対して内フラップ26をそれぞれ折り曲げる。続いて、天板16に対して外フラップ27Aを折り曲げるとともに、底板17に対して外フラップ27Bを折り曲げる。そして、内フラップ26と外フラップ27A,27Bの重なり合った部分を、ホットメルトによって貼着する(貼着部32)。これにより、蓋壁25が形成され、外周壁15の両端の開口が封緘される。
【0027】
(包装箱の開封構造の概要)
図1及び図5に示すように、包装箱10を上下に二分割して、天板16側と底板17側に展開(分割)した状態で開封するために、包装箱10には、1種の操作部35、2種の破断線40,42、1種の切込線44、及び一対の補助折曲線46が設けられている。また、図1及び図8に示すように、包装箱10を帯状に破断して、天板16側を細分化した状態で開封するために、包装箱10には、前述した2種の破断線40,42に加えて、1種の破断線48、2種の切込線50,52、及び破止線54が更に設けられている。
【0028】
操作部35は、第1の方法によって側板18を開封する際に作業者が持つ部分である。図1及び図3に示すように、この操作部35は、1本の折曲線36、一対の第1の破断線37、及び第2の破断線38によって画定されており、側板18の概ね中央に設けられている。折曲線36は、汎用罫線からなり、X方向に沿って折曲部20と平行に延びている。個々の第1の破断線37は、2以上の切断線からなり、折曲線36の両端からX方向外側へ円弧状に延びている。第2の破断線38は、2以上の切断線(切断部)からなり、一対の第1の破断線37のX方向の外端のうち、一方から他方へ円弧状に延びている。つまり、第2の破断線38は、折曲部20に沿ってX方向に延びている。なお、操作部35は、紙器打抜装置による打抜時に打ち抜いた開口(切断部)であってもよい。
【0029】
破断線(第1破断線)40は、操作部35の操作によって側板18を破断するために設けられている。この破断線40は、側板18のZ方向(全高)の中央に位置し、第2の破断線38と連なってX方向に延びるように、側板18の操作部35の両側にそれぞれ設けられている。破断線40は、破断可能な定められた間隔をあけて設けた複数の切断線からなり、全体として円弧状の凹凸を繰り返す波形状に形成されている。破断可能な間隔とは、作業者が力を加えることによって隣接した切断線が破断によって繋がり、破断線40に沿った破断を実現できる長さを意味し、その部分は切断されていない非切断部である。
【0030】
図3に最も明瞭に示すように、操作部35側に位置する破断線40の第1端40aは、第1の破断線37におけるX方向の外端と同一点上に配置され、第2の破断線38におけるX方向の外端に対して破断可能な間隔をあけて位置している。但し、第1端40aは、第2の破断線38と連続して第1の破断線37と間隔をあけて配置されてもよいし、破断線37,38の両方に連続するように配置されてもよいし、破断線37,38の両方に間隔をあけて配置されてもよい。つまり、第2の破断線38と連なるとは、厳密に連続していてもよいし、実質的(破断可能に)に連続していてもよい。
【0031】
最も折曲部28側に位置する破断線40の切断線40bは、天板16に向かうに従って折曲部28に近づく向きに傾斜している。折曲部28側に位置する切断線40bの第2端40cは、破断線40の端部であり、折曲部28に対して定められた間隔(第2の間隔)D1(例えば10mm)をあけて配置されている。
【0032】
破断線(第2破断線)42は、外フラップ27Aの操作によって内フラップ26を破断するために設けられている。図1を参照すると、破断線42は、折曲部29に沿ってY方向へ延びるように、内フラップ26にそれぞれ設けられている。また、破断線42は、一対の外フラップ27A,27B間に位置するように、内フラップ26のZ方向(全高)の概ね中央に設けられている。破断線42は、破断可能な間隔をあけて設けた複数の切断線からなり、折曲部28から内フラップ26の先端に向けて直線状に延びている。本実施形態の破断線42は、Y方向に破断可能な間隔をあけて設けられた複数の第1切断線と、第1切断線の折曲部28側の端から傾斜して延びる複数の第2切断線とを有する片ジッパーによって構成されている。
【0033】
図1を併せて図3を参照すると、内フラップ26の先端中央には、側板18に向けて、Y方向に切り欠いた切欠部26aが設けられている。内フラップ26の先端側に位置する破断線42の第1端42aは、切欠部26aの縁に達している。但し、第1端42aは、切欠部26aの縁に対して破断可能な間隔をあけて配置されてもよい。
【0034】
最も折曲部28側に位置する破断線42の切断線42bは、Z方向に延びる折曲部28に対して直交方向(Y方向)に延びている。折曲部28側に位置する切断線42bの第2端42cは、破断線42の端部であり、折曲部28に対して定められた間隔(第3の間隔)D2(例えば10mm)をあけて配置されている。本実施形態の第2端42cは、破断線40の第2端40cよりもZ方向の上側に配置されている。
【0035】
切込線(第3切込線)44は、第1の方法による開封時、破断線40,42のうちの一方に沿った破断を止め、引き続いて他方に沿って破断されないようにするために設けられている。図1に示すように、この切込線44は、破断線40の第2端40cと破断線42の第2端42cとの間に位置する折曲部28に沿って設けられている。図3を併せて参照すると、切込線44は、折曲線28’上に配置された第1端と、内フラップ26上に配置された第2端とを有し、第1端から第2端にかけて下向きに傾斜された一対の切断線によって構成されている。これらの切断線はZ方向に間隔をあけて配置されている。下側に位置する切断線の下端は、破断線40の第2端40cと破断線42の第2端42cとの間に配置され、上側に位置する切断線の上端は破断線42の第2端42cよりも上側に配置されている。
【0036】
なお、切込線44は、折曲線28’上をZ方向に延びるように設けた1本の切断線で構成されてもよいし、折曲線28’上をZ方向に延びる第1切断線と折曲線28’に対して傾斜した第2切断線とで構成されてもよいし、その構成は必要に応じて変更が可能である。但し、切込線44全体として、下端は少なくとも上側に位置する破断線42よりも下方に配置され、上端は上側に位置する破断線42よりも上方に配置されることが好ましい。
【0037】
図3に示すように、破断線40と折曲部28の間隔D1、及び破断線42と折曲部28の間隔D2は、破断線40の第2端40c、破断線42の第2端42c、及び切込線44の関係が以下を満たすように設定されている。
【0038】
破断線40の第2端40cと破断線42の第2端42cとは、定められた間隔Aをあけて配置されている。破断線40の第2端40cと切込線44とは、定められた間隔Bをあけて配置されている。破断線42の第2端42cと切込線44とは、定められた間隔Cをあけて配置されている。間隔Aは、ブランクの状態での第2端40c,42c間の直線距離(沿面距離)に基づいて設定されている。間隔B,Cは、第2端40c,42cから切込線44までの最短の沿面距離に基づいて設定されている(例えば0.5mm以上20mm以下)。
【0039】
間隔Bは間隔Aよりも小さく設定され(A>B)、間隔Cは間隔Aよりも小さく設定されている(A>C)。これにより、破断線40に沿った側板18の破断が切込線44で停止し、引き続いて破断線42に沿って内フラップ26が破断されることを防止している。また、破断線42に沿った内フラップ26の破断が切込線44で停止し、引き続いて破断線40に沿って側板18が破断されることを防止している。
【0040】
このように、破断線40と破断線42は不連続状態で形成され、切込線44と破断線40、及び切込線44と破断線42も不連続状態で形成されている。よって、折曲部28に外力が加わることに対する耐衝撃性の低下を低減できる。また、破断線40、破断線42、及び切込線44を設けることによって、折曲部(稜部)28の強度が過度に低下することを防止できる。その結果、搬送中に包装箱10と落としたり他の物品が衝突したりしても、稜部が潰れることを防止できる。
【0041】
補助折曲線46は、破断線40に沿った破断を促進するために設けられている。図1に示すように、この補助折曲線46は、破断線48の両側に位置するように、側板18にそれぞれ設けられている。本実施形態では、X方向において、側板18の端部に設けられた第1補助折曲線46aと、側板18の中央側に設けられた第2補助折曲線46bとで、1組の補助折曲線46が構成されている。
【0042】
図1から図3に示すように、第1補助折曲線46aは、逆罫線からなり、Z方向の上側から下側に向けて、X方向の外側へ傾斜するように設けられている。第1補助折曲線46aの上端は、折曲部20(折曲線20’)と間隔をあけて配置されている。第1補助折曲線46aの下端は、折曲部28(折曲線28’)と間隔をあけて配置されている。第1補助折曲線46aの傾きは、第1補助折曲線46aの延長線が切込線44に交差する角度に設定されている。
【0043】
第2補助折曲線46bは、汎用罫線からなり、Z方向の下側から上側に向けて、X方向の外側へ傾斜するように設けられている。第2補助折曲線46bの下端は、操作部35の折曲線36及び破断線48と間隔をあけて配置されている。第2補助折曲線46bの上端は、折曲部28(折曲線28’)と間隔をあけて配置されている。第2補助折曲線46bの傾きは、第1補助折曲線46aの延長線と折曲部28(折曲線28’)との交点に、第2補助折曲線46bの延長線が交差する角度に設定されている。
【0044】
破断線(第3破断線)48は、第2の方法によって側板18を開封する際に作業者が持つ部分である。図1に示すように、この破断線48は、操作部35を貫通し、第2の破断線38と折曲部20の間に位置するように、側板18のX方向中央にそれぞれ設けられている。つまり、破断線48は、X方向に延びる操作部35における一対の外端35a間の中央に配置されている。ここで、一対の外端35a間の距離、つまりX方向における操作部35の横幅は、成人した作業者の手を差し込むことが可能な寸法(例えば100mm)に設定されている。但し、破断線48は、一対の外端35a間であれば中央に限られず、X方向の一方に偏って配置されてもよい。
【0045】
図3を参照すると、破断線48は、破断可能な間隔をあけて設けた複数の切断線からなり、折曲部28に沿って直線状に延びている。破断線48の下端(第1端)48aは、第2の破断線38を構成する複数の切断線のうち、中央に位置する一対の切断線の間(非切断部)に配置されている。但し、下端48aは、第2の破断線38上に限られず、第2の破断線38に対して破断可能な間隔をあけて近傍に配置されてもよい。破断線48の上端(第2端)48bは、Y方向に隣接した一対の切込線50間に配置され、折曲部20上に位置している。但し、上端48bは、折曲部20上に限られず、折曲部20(切込線50)に対して破断可能な間隔をあけて近傍に配置されてもよい。破断線48を構成する複数の切断線のうち、隣接した所定の切断線間の非切断部に操作部35の折曲線36が位置するように、破断線48は設けられている。
【0046】
切込線(第1切込線)50は、折曲部20に沿って天板16と側板18の間を破断するための起点(きっかけ)として機能する。この切込線50は、破断線48の上端48bから折曲部28に向けて、破断線48と交差する向きへ延びるように、折曲部20(折曲線20’)上に一対設けられている。
【0047】
破断線48側に位置する切込線50の内端50aは、折曲部20上に位置し、破断線48と破断可能な間隔をあけて配置されている。但し、内端50aは破断線48の上端48bと同一点上に配置されてもよい。つまり、一対の切込線50を1本で構成してもよい。
【0048】
切込線50の外端50bは、内端50aからの距離(全長)が20mm以上50mm以下になる位置に配置されている。切込線50の全長が20mm未満の場合、切込線50が破断起点として機能しない。切込線50の全長が50mmを越える場合、その部分の剛性が過度に低下する。これらの不都合を避けるために、切込線50の全長は、前記定められた範囲に設定することが好ましい。
【0049】
切込線52(第2切込線)は、折曲部29に沿って天板16と外フラップ27Aの間を破断するための起点として機能する。この切込線52は、側板18の方から折曲部29の中央に向けて延びるように、折曲部29(折曲線29’)上に設けられている。切込線52は、破断可能な間隔をあけて設けた2本の切断線からなる。
【0050】
側板18側に位置する切込線52の外端52aは、折曲部29の端に対して破断可能な間隔をあけて配置されている。つまり、外端52aは、折曲部29の端の近傍に配置されている。但し、外端52aは、折曲部29の端に配置されてもよい。側板18側から離れた方の切込線52の内端52bは、外端52aと定められた間隔をあけて配置されている。この間隔は切込線52の全長に相当し、その全長は20mm以上50mm以下の範囲に設定されている。なお、切込線50の全長と切込線52の全長とは、同じ数値範囲に設定されているが、この範囲内であれば両者の実際の全長は異なっていてもよい。また、切込線52は1本の切断線によって構成してもよいし、3本以上の切断線によって構成してもよい。さらに、切込線50も2本以上の切断線によって構成してもよい。
【0051】
破止線54は、第2開封方法による開封時、外フラップ27Aの破断を止めるために設けられている。この破止線54は、貼着部32に対して側板18とは反対側に位置するように、Y方向において貼着部32よりも中央側かつ内フラップ26の先端に位置し、折曲部28に沿って延びるように設けられている。破止線54は、破断可能な間隔をあけて設けた2本の切断線からなる。
【0052】
折曲部29側に位置する破止線54の上端54aは、折曲部29上に配置されている。但し、上端54aは、折曲部29と破断可能な間隔をあけて近傍に配置されてもよい。外フラップ27Aの先端側に位置する破止線54の下端54bは、外フラップ27Aの先端と間隔(第1の間隔)D3をあけて配置されている。非切断部に相当する間隔D3は、第1開封方法による開封時、外フラップ27Aの開封操作によって、破止線54に沿った外フラップ27Aの破断を阻止できる長さ(例えば20mm)に設定されている。
【0053】
次に、包装箱10の開封方法について説明する。
【0054】
包装箱10は、開封作業性を考慮した第1の方法、及び引き裂き帯によって開封するという広く知られた第2の方法のうち、開封し易い方を作業者が選択できる。図5に示すように、第1の方法による開封では、底板17側がトレイ状になり、天板16側が展開状態になる。図8に示すように、第2の方法による開封では、底板17側がトレイ状になり、天板16側が細分化した状態になる。
【0055】
(第1開封方法の概要)
包装箱10を第1の方法で開封する場合、例えば、図1に示す状態で、外フラップ27A,27Bの間に手を差し込み、外フラップ27AをX方向外向きかつZ方向上向きに引っ張る。これにより、破止線54に沿って外フラップ27Aを破断することなく、破断線42に沿って内フラップ26が破断される。内フラップ26の破断は、破断線42の第2端42cから切込線44に至ることで止まる。続いて、外フラップ27Aを更に操作することで、図4に示すように、切込線44を起点として、操作方向と延在方向が同じ折曲部28に沿って、内フラップ26と側板18の間(稜部)が破断される。
【0056】
この際、破断線42の第2端42cと破断線40の第2端40cとは、折曲部28に対して間隔D1,D2(図3参照)をあけて位置するとともに、破断線42はY方向に延びて破断線40はX方向に延びている(延びる方向が異なっている)。また、折曲部28は、折り曲げによって他の部分よりも破れ易い状態になっている。よって、破断線42に沿った内フラップ26の破断に引き続いて、破断線40に沿って側板18が破断されることなく、折曲部28に沿って確実に破断できる。
【0057】
次に、外側から操作部35を押圧して開口させ、その開口部分から包装箱10内に手を差し込み、側板18の天板16側をY方向外向きかつZ方向上向きに引っ張る。これにより、破断線40に沿って側板18が破断される。この際、第2補助折曲線46bに沿って側板18が山折れし、第1補助折曲線46aに沿って側板18が谷折れする。この補助折曲線46a,46bの折れ曲がりにより、破断線40に沿った側板18の破断が促進される。また、破断線48は操作部35の中央に設けられているため、作業者は側板18における破断線48の両側を握ることになる。よって、破断線48に沿った側板18の破断を抑制しつつ、破断線40に沿って側板18を確実に破断できる。
【0058】
側板18の破断は、破断線40の第2端40cから切込線44に至ることで止まる。続いて、側板18を更に操作することで、折曲部28に沿って側板18と内フラップ26の間が破断され、外フラップ27Aの操作によって既に破断されている部分に繋がる。なお、破断線40の外端の切断線40bを上向きに傾斜させているため、第2端40cから既に破断されている部分へ破断が進むこともある。
【0059】
これにより包装箱10は、図5に示すように、底板17側をトレイ状とし、天板16側をシート状に展開した第1開封状態になる。展開状態の天板16には、側板18の一部、内フラップ26の一部、及び外フラップ27Aが連なっている。なお、第1の方法による包装箱10の開封は、側板18を先に破断した後、内フラップ26を破断してもよい。
【0060】
(第2開封方法の概要)
包装箱10を第2の方法で開封する場合、折曲部20と破断線40の間、及び折曲部29と破断線42の間を、引き裂き帯56として用いる。具体的には、図1に示す状態で、外側から破断線48を押圧して側板18を破断する。但し、破断線48に沿った破断は、操作部35を開口させた後、その開口部分を起点として行ってもよい。
【0061】
続いて、破断線48の両側の引き裂き帯56のうちの一方を把持し、X方向の外側へ引っ張る。これにより、破断線40に沿って側板18が破断される。また、破断線48と切込線50の間の非切断部が破断され、この破断を起点として、折り曲げによって他の部分よりも破れ易くなっている折曲部20に沿って、側板18と天板16の間が破断される。
【0062】
図6に示すように、引き裂き帯56のX方向の操作によって、側板18がX方向の端まで破断されると、作業者は、引き裂き帯56をY方向へ引っ張る。これにより、破断線40に沿った破断が切込線44を介して破断線42に繋がり、破断線42に沿って内フラップ26が破断される。また、折曲部29の端と切込線52の外端52aとの間の非切断部が破断され、この破断を起点として、折り曲げによって他の部分よりも破れ易くなっている折曲部29に沿って外フラップ27Aと天板16の間が破断される。
【0063】
図7に示すように、破断線42に沿った内フラップ26の破断は、切欠部26aに達することで止まる。折曲部29に沿った破断は、破止線54に達すると、引き裂き帯56(外フラップ27A)が破止線54に沿って屈曲することで止まる。この状態で作業者は、破止線54に沿って引き裂き帯56(外フラップ27A)を破断する。
【0064】
4つに分割して設けられた引き裂き帯56を全て破断することで、図8に示すように、底板17側をトレイ状とし、天板16側を細分化した第2開封状態になる。なお、破断によって分離された天板16には、外フラップ27Aの一部が連なっている。
【0065】
このように構成された本実施形態の包装箱10は、以下の特徴を有する。
【0066】
側板18に設けられた破断線40,48、及び内フラップ26に設けられた破断線42を備えるため、天板16側を展開状態とする第1の方法の他に、引き裂き帯56によって開封するという広く知られた第2の方法によって開封が可能である。よって、開封作業性を考慮した第1の方法、及び広く知られた第2の方法のうち、開封し易い方を作業者が選択できるため、利便性を向上でき、開封性が悪いと作業者に感じさせることはない。
【0067】
第1の方法で開封する場合、破断線40に沿って側板18を破断するときに、破断線48の両側の補助折曲線46に沿った側板18の折れ曲がりによって、操作の力を破断線40に伝えることができる。また、破断線48は操作部35と折曲部20の間に設けられているため、作業者は側板18における破断線48の両側を握ることになる。よって、破断線48に沿った破断を抑制しつつ、破断線40に沿って側板18を確実に破断できる。
【0068】
折曲部28には切込線44が設けられているため、破断線40及び破断線42のうち、一方に沿った破断に引き続いて他方に沿って破断させることなく、切込線44で止めることができる。また、破断線48によって、破断線40又は破断線42に沿った横方向の破断を、切込線44を起点とした折曲部28に沿った破断に切り換えることができる。よって、第1の方法による開封作業性を向上できる。
【0069】
第2の方法で開封する場合、破断線40と折曲部20の間、及び破断線42と折曲部29の間を引き裂き帯56として破断できる。この引き裂き帯56による開封方法は広く知られているため、作業者による開封作業性及び利便性を効果的に向上できる。
【0070】
折曲部20に沿って破断する際に切込線50が起点になり、折曲部29に沿って破断する際に切込線52が起点になる。また、外フラップ27Aに設けられた破止線54によって、引き裂き帯56が過度に長くなることに伴う引き裂き帯56の破断を防止できる。よって、第2の方法による開封作業性を向上できる。
【0071】
(第2実施形態)
図9及び図10は第2実施形態に係る包装箱10を示す。この第2実施形態の包装箱10は、操作部35、破断線(第1破断線)40、及び切込線44を変更した点で、第1実施形態の包装箱10と相違する。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0072】
操作部35は、X方向に延びる折曲線36と、折曲線36の一端から他端にかけて延びる破断線38とを備え、全体として半円形状に形成されている。X方向における操作部35の横幅(一対の外端35a間の距離)は、成人した作業者の2本の指(人差し指と中指)を差し込むことが可能な寸法(例えば65mm)に設定されている。この操作部35に対して破断線48は、第1実施形態と同様に設けられている。
【0073】
破断線40は、折曲部20(折曲線20’)に沿ってX方向に延びる直線状に形成されている。また、破断線40は、X方向に破断可能な間隔をあけて設けられた複数の第1切断線と、第1切断線の操作部35側の端から傾斜して延びる複数の第2切断線とを有する片ジッパーによって構成されている。
【0074】
切込線44は、折曲部28(折曲線28’)上をZ方向に延びるように設けた1本の切断線によって構成されている。
【0075】
このようにした第2実施形態の包装箱10は、第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。特に、第2実施形態の操作部35の横幅は、第1実施形態の操作部35の横幅よりも小さいが、作業者が2本の指を差し込むことによって、側板18における破断線48の両側を把持できる。よって、第1の方法による開封時、破断線48に沿った破断を抑制しつつ、破断線40に沿って側板18を確実に破断できる。
【0076】
(第3実施形態)
図11から図15は第3実施形態に係る包装箱10を示す。この第3実施形態の包装箱10は、Z方向の全高、破断線(第1破断線)40、補助折曲線46、及び破断線(第3破断線)48を変更した点、並びに切込線50を設けていない点で、第1実施形態の包装箱10と相違する。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0077】
図11に示すように第3実施形態の包装箱10は、図1に示す第1実施形態の包装箱10の全高よりも高く、約1.5倍の高さに設定されている。図12を併せて参照すると、この設定変更に伴い、折曲部29(折曲線29’)から先端までの外フラップ27A,27Bの突出寸法が大きくなり、それに伴って、折曲部28(折曲線28’)から先端までの内フラップ26の突出寸法も大きくなっている。よって、破止線54の位置も変更されている。
【0078】
図11から図13を参照すると、破断線40は、全体として下向きに突出する円弧状に形成されており、操作部35側の第1端40aの位置が最も低く、折曲部28側の第2端40cの位置が最も高い。操作部35を含む第1端40aの位置は、側板18の全高の半分の位置よりも下方に配置されている。第2端40cの位置は、側板18の全高の概ね半分の位置に配置されている。個々の切断線は、操作部35側が二又に分岐した概ねY字状に形成されている。
【0079】
補助折曲線46は、汎用罫線からなる第2補助折曲線46b(図1参照)を備えずに、逆罫線からなる第1補助折曲線46aのみを備える点で、第1実施形態と相違する。
【0080】
破断線48は、操作部35側に設けられた1本の第1破断部(第1部分)48Aと、天板16側に設けられた一対の第2破断部(第2部分)48Bとを備える。
【0081】
第1破断部48Aは、X方向に延びる操作部35における一対の外端35a間の中央に設けられている。具体的には、第1破断部48Aは、破断可能な間隔をあけて設けた複数の切断線からなり、折曲部28に沿ってZ方向へ直線状に延びている。第1破断部48Aの下端(第1端)である破断線48の下端48aは、第1実施形態と同様に、第2の破断線38上に配置されている。第1破断部48Aの上端(第2端)である破断線48の分岐部48cは、折曲部20に対して間隔(第4の間隔)D4をあけて配置されている。この間隔D4は、下端48aから分岐部48cまでの第1破断部48Aの全長設定によって定められる。第1破断部48Aの全長は、第2の方法で開封する際、引き裂き帯56の端となる第1破断部48Aの縁を持つことができる範囲で、可能な限り短い長さ(例えば100mm)に設定されている。つまり、包装箱10の全高が高い場合、第2の方法で開封する際の操作領域に第1破断部48Aを設け、残りの領域(間隔D4)に傾斜した一対の第2破断部48Bを設けている。
【0082】
第2破断部48Bは、分岐部48cと折曲部20との間にそれぞれ設けられている。一対の第2破断部48Bは、分岐部48cから折曲部20に向かうに従って互いに離反する向きに傾斜されている。個々の第2破断部48Bは、破断可能な間隔をあけて直線状に設けられた複数の第1切断線と、第1切断線の操作部35側の端から傾斜して延びる複数の第2切断線とを有する片ジッパーによって構成されている。第2破断部48Bの上端である破断線48の一対の上端(第2端)48bは、折曲部20上に位置し、Y方向に間隔をあけて配置されている。
【0083】
この第3実施形態の包装箱10の第1開封方法は、第1実施形態の包装箱10と同様である。図14に示すように、第1の方法で開封した天板16には、第1実施形態と同様に、側板18の一部と、内フラップ26の一部と、外フラップ27Aとが連なっている。
【0084】
第3実施形態の包装箱10の第2開封方法は、次の通りである。まず、第1破断部48Aに沿って側板18を破断する。続いて、第1破断部48Aの両側の引き裂き帯56のうちの一方を把持し、X方向の外側へ引っ張る。これにより、破断線40に沿って側板18が破断される。また、第2破断部48Bに沿って側板18が破断され、引き続いて折曲部20に沿って側板18と天板16の間が破断される。その後の破断は第1実施形態と同様である。
【0085】
図15に示すように、第2の方法で開封した天板16には、側板18の一部と、外フラップ27Aの一部とが連なっている。側板18の一部は一対の第2破断部48Bと折曲部20とで囲まれた領域である。
【0086】
このようにした第3実施形態の包装箱10は、第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。また、第3実施形態では、破断線48が第1破断部48Aと一対の第2破断部48Bとを備えるY字状に形成されているため、包装箱10(側板18)の全高が高くても、第2の方法による開封作業性を向上できる。具体的には、破断線40から折曲部20までの間隔が広い包装箱10の破断線48を直線状とした場合、破断線48の全長も長くなるので、破断線48に沿った破断による破断起点の形成作業が煩雑になる。これに対して第3実施形態では、破断線48をY字状としているため、開封を開始する際、破断線48の一部である第1破断部48Aだけを破断すればよい。そして、第1破断部48Aの縁を持って操作することで、残りの第2破断部48B及び折曲部20に沿って側板18を破断できる。よって、全高が高い包装箱10であっても、第2の方法による開封作業性を向上できる。
【0087】
なお、本発明の包装箱10は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0088】
例えば、一対の側板18のうちの一方だけに破断線40と破断線48を設け、その一方の側板18と連なる一対の内フラップ26だけに破断線42を設けてもよい。また、補助折曲線46は、逆罫線からなる補助折曲線46aは設けずに、汎用罫線からなる補助折曲線46bだけを設けてもよい。第3破断線48は、全体として折曲部20,28に対して傾斜させて設けてもよい。折曲部28上に切込線44を設けることなく、第1開封状態では、包装箱10を天板16側と底板17側に2分割するようにしてもよい。
【0089】
第1実施形態及び第2実施形態の包装箱10には、第3実施形態の包装箱10のように切込線50を設けなくてもよい。また、包装箱10には、切込線50を設けて切込線52を設けなくてもよいし、切込線50と切込線52の両方を設けなくてもよい。勿論、第3実施形態の包装箱10に切込線50を設けてもよい。この場合、一対の上端48bからX方向外側へ延びるように、折曲部20(折曲線20’)上に設けられる。
【0090】
破断線40,42,48は、間隔をあけて設けた複数の切断線を備える構成に限られず、裏ライナ側を切断して表ライナ側を切断しないようにしたハーフカット線によって構成してもよい。また、破断線40,42,48は、直線状に限られず、屈曲した形状や湾曲した形状であってもよい。
【0091】
包装箱10は平面視四角形状に限られず、側板18と内フラップ26の間に面取り部を設けて、平面視八角形状としてもよい。
【0092】
包装箱10の素材は、紙製の段ボールシートに限らず、樹脂製の段ボールシートであってもよい。また、包装箱10の素材は、段ボールシートに限られず、単層の厚紙や樹脂シートであってもよい。
【符号の説明】
【0093】
10…包装箱
15…外周壁
16…天板
17…底板
18…側板
19…付代板
20…折曲部(第1折曲部)
20’…折曲線
21…折曲部
21’…折曲線
25…蓋壁
26…内フラップ
26a…切欠部
27A,27B…外フラップ
28…折曲部(第2折曲部)
28’…折曲線
29…折曲部(第3折曲部)
29’…折曲線
30…折曲部
30’…折曲線
32…貼着部
35…操作部
35a…外端
36…折曲線
37…第1の破断線
38…第2の破断線(切断部)
40…破断線(第1破断線)
40a…第1端
40b…切断線
40c…第2端(端部)
42…破断線(第2破断線)
42a…第1端
42b…切断線
42c…第2端(端部)
44…切込線(第3切込線)
46…補助折曲線
46a…第1補助折曲線
46b…第2補助折曲線
48…破断線(第3破断線)
48A…第1破断部(第1部分)
48B…第2破断部(第2部分)
48a…下端
48b…上端
48c…分岐部
50…切込線(第1切込線)
50a…内端
50b…外端
52…切込線(第2切込線)
52a…外端
52b…内端
54…破止線(切断線)
54a…上端
54b…下端
56…引き裂き帯
D1…定められた間隔(第2の間隔
D2…定められた間隔(第3の間隔
D3…定められた間隔(第1の間隔
D4…定められた間隔(第4の間隔
図1
図2
図3
図4
図5
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