(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】枠体の取付構造及び壁面ユニット
(51)【国際特許分類】
E06B 1/60 20060101AFI20230425BHJP
E06B 1/30 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
E06B1/60
E06B1/30
(21)【出願番号】P 2019173350
(22)【出願日】2019-09-24
【審査請求日】2022-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518263575
【氏名又は名称】ワールドハウジングクラブ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】桐野 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 美穂子
(72)【発明者】
【氏名】新沼 教之
【審査官】素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-085839(JP,A)
【文献】特開2001-173316(JP,A)
【文献】特開平10-148062(JP,A)
【文献】特開平10-110579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00 - 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体開口枠に建具の枠体を取り付ける枠体の取付構造であって、
前記枠体は、上枠、下枠及び左右の縦枠を備えて構成され、
前記躯体開口枠は、上材、下材および左右の縦材を備えて構成され、
前記躯体開口枠の内周側に前記枠体が配置され、
前記上枠及び左右の縦枠は、前記躯体開口枠の外周面から前記上材及び左右の縦材の見付け方向にねじ込まれたネジによって前記上材及び左右の縦材に固定され、
前記下枠は、前記下材に係合して前記下材に対して見込み方向に位置決めされ、
前記上枠、下枠及び左右の縦枠は、中空部を有する合成樹脂製の押出成形材で構成され、
前記ネジによって前記躯体開口枠に固定される前記押出成形材の前記中空部には金属製の補強材が配置され、
前記金属製の補強材は、少なくとも前記中空部において前記躯体開口枠側の見込み面部に沿って配置されるネジ受け面部を有し、
前記ネジは、前記躯体開口枠の外周面から前記補強材の前記ネジ受け面部にねじ込まれていることを特徴とする枠体の取付構造。
【請求項2】
躯体開口枠に建具の枠体を取り付ける枠体の取付構造であって、
前記枠体は、上枠、下枠及び左右の縦枠を備えて構成され、
前記躯体開口枠は、上材、下材および左右の縦材を備えて構成され、
前記躯体開口枠の内周側に前記枠体が配置され、
前記上枠
、下枠及び左右の縦枠は、
前記躯体開口枠の外周面から前記上材
、下材及び左右の縦材
の見付け方向にねじ込まれ
たネジによって前記上材
、下材及び左右の縦材に固定され、
前記上枠、下枠及び左右の縦枠は、中空部を有する合成樹脂製の押出成形材で構成され、
前記ネジによって前記躯体開口枠に固定される前記押出成形材の前記中空部には金属製の補強材が配置され、
前記金属製の補強材は、少なくとも前記中空部において前記躯体開口枠側の見込み面部に沿って配置されるネジ受け面部を有し、
前記ネジは、前記躯体開口枠の外周面から前記補強材の前記ネジ受け面部にねじ込まれていることを特徴とする枠体の取付構造。
【請求項3】
躯体開口枠に建具の枠体を取り付ける枠体の取付構造であって、
前記枠体は、上枠、下枠及び左右の縦枠を備えて構成され、
前記躯体開口枠は、上材、下材および左右の縦材を備えて構成され、
前記躯体開口枠の内周側に前記枠体が配置され、
前記上
枠及び左右の縦枠は、
前記躯体開口枠の外周面から前記上
材及び左右の縦材
の見付け方向にねじ込まれ
たネジによって前記上材及び左右の縦材に固定され
、
前記下枠は、前記下材に係合して前記下材に対して見込み方向に位置決めされ、
前記上枠及び左右の縦枠と、前記上材及び左右の縦材との間には、前記枠体の上下方向および左右方向の移動を規制するスペーサが配置され、
前記ネジは、前記上材及び左右の縦材から前記スペーサを介して前記上枠及び左右の縦枠にねじ込まれ、
前記スペーサは、前記上枠と前記上材との間に配置される上スペーサと、前記左右の縦枠と前記左右の縦材との間に配置される左右の縦スペーサとの3つのスペーサを備え、
前記上スペーサは、前記上枠の左右両端から前記上枠の左右中心に向かって設定されるクリアランス領域を除く全長に渡って配置され、
前記縦スペーサは、前記縦枠の上下両端から前記縦枠の上下中心に向かって設定されるクリアランス領域を除く全長に渡って配置されている
ことを特徴とする枠体の取付構造。
【請求項4】
躯体開口枠に建具の枠体を取り付ける枠体の取付構造であって、
前記枠体は、上枠、下枠及び左右の縦枠を備えて構成され、
前記躯体開口枠は、上材、下材および左右の縦材を備えて構成され、
前記躯体開口枠の内周側に前記枠体が配置され、
前記上枠、下枠及び左右の縦枠は、前記躯体開口枠の外周面から前記上材、下枠及び左右の縦材の見付け方向にねじ込まれたネジによって前記上材、下枠及び左右の縦材に固定され、
前記上枠及び左右の縦枠と、前記上材及び左右の縦材との間には、前記枠体の上下方向および左右方向の移動を規制するスペーサが配置され、
前記ネジは、前記上材及び左右の縦材から前記スペーサを介して前記上枠及び左右の縦枠にねじ込まれ、
前記スペーサは、前記上枠と前記上材との間に配置される上スペーサと、前記左右の縦枠と前記左右の縦材との間に配置される左右の縦スペーサとの3つのスペーサを備え、
前記上スペーサは、前記上枠の左右両端から前記上枠の左右中心に向かって設定されるクリアランス領域を除く全長に渡って配置され、
前記縦スペーサは、前記縦枠の上下両端から前記縦枠の上下中心に向かって設定されるクリアランス領域を除く全長に渡って配置されている
ことを特徴とする枠体の取付構造。
【請求項5】
躯体開口枠と、前記躯体開口枠内に取り付けられる枠体を有する建具とを備える壁面ユニットであって、
前記枠体は、上枠、下枠及び左右の縦枠を備えて構成され、
前記躯体開口枠は、上材、下材および左右の縦材を備えて構成され、
前記躯体開口枠の内周側に前記枠体が配置され、
前記上枠及び左右の縦枠は、前記躯体開口枠の外周面から前記上材及び左右の縦材の見付け方向にねじ込まれたネジによって前記上材及び左右の縦材に固定され、
前記下枠は、前記下材に係合して前記下材に対して見込み方向に位置決めされ、
前記上枠、下枠及び左右の縦枠は、中空部を有する合成樹脂製の押出成形材で構成され、
前記ネジによって前記躯体開口枠に固定される前記押出成形材の前記中空部には金属製の補強材が配置され、
前記金属製の補強材は、少なくとも前記中空部において前記躯体開口枠側の見込み面部に沿って配置されるネジ受け面部を有し、
前記ネジは、前記躯体開口枠の外周面から前記補強材の前記ネジ受け面部にねじ込まれていることを特徴とする壁面ユニット。
【請求項6】
躯体開口枠と、前記躯体開口枠内に取り付けられる枠体を有する建具とを備える壁面ユニットであって、
前記枠体は、上枠、下枠及び左右の縦枠を備えて構成され、
前記躯体開口枠は、上材、下材および左右の縦材を備えて構成され、
前記躯体開口枠の内周側に前記枠体が配置され、
前記上枠、下枠及び左右の縦枠は、前記躯体開口枠の外周面から前記上材、下材及び左右の縦材の見付け方向にねじ込まれたネジによって前記上材、下材及び左右の縦材に固定され、
前記上枠、下枠及び左右の縦枠は、中空部を有する合成樹脂製の押出成形材で構成され、
前記ネジによって前記躯体開口枠に固定される前記押出成形材の前記中空部には金属製の補強材が配置され、
前記金属製の補強材は、少なくとも前記中空部において前記躯体開口枠側の見込み面部に沿って配置されるネジ受け面部を有し、
前記ネジは、前記躯体開口枠の外周面から前記補強材の前記ネジ受け面部にねじ込まれていることを特徴とする
壁面ユニット。
【請求項7】
躯体開口枠と、前記躯体開口枠内に取り付けられる
枠体を有する建具とを備える壁面ユニットであって、
前記枠体は、上枠、下枠及び左右の縦枠を備えて構成され、
前記躯体開口枠は、上材、下材および左右の縦材を備えて構成され、
前記躯体開口枠の内周側に前記枠体が配置され、
前記上枠及び左右の縦枠は、前記躯体開口枠の外周面から
前記上材及び左右の縦材の見付け方向にねじ込まれたネジによって
前記上材及び左右の縦材に固定され、
前記下枠は、前記下材に係合して前記下材に対して見込み方向に位置決めされ、
前記上枠及び左右の縦枠と、前記上材及び左右の縦材との間には、前記枠体の上下方向および左右方向の移動を規制するスペーサが配置され、
前記ネジは、前記上材及び左右の縦材から前記スペーサを介して前記上枠及び左右の縦枠にねじ込まれ、
前記スペーサは、前記上枠と前記上材との間に配置される上スペーサと、前記左右の縦枠と前記左右の縦材との間に配置される左右の縦スペーサとの3つのスペーサを備え、
前記上スペーサは、前記上枠の左右両端から前記上枠の左右中心に向かって設定されるクリアランス領域を除く全長に渡って配置され、
前記縦スペーサは、前記縦枠の上下両端から前記縦枠の上下中心に向かって設定されるクリアランス領域を除く全長に渡って配置されている
ことを特徴とする壁面ユニット。
【請求項8】
躯体開口枠と、前記躯体開口枠内に取り付けられる枠体を有する建具とを備える壁面ユニットであって、
前記枠体は、上枠、下枠及び左右の縦枠を備えて構成され、
前記躯体開口枠は、上材、下材および左右の縦材を備えて構成され、
前記躯体開口枠の内周側に前記枠体が配置され、
前記上枠、下枠及び左右の縦枠は、前記躯体開口枠の外周面から前記上材、下枠及び左右の縦材の見付け方向にねじ込まれたネジによって前記上材、下枠及び左右の縦材に固定され、
前記上枠及び左右の縦枠と、前記上材及び左右の縦材との間には、前記枠体の上下方向および左右方向の移動を規制するスペーサが配置され、
前記ネジは、前記上材及び左右の縦材から前記スペーサを介して前記上枠及び左右の縦枠にねじ込まれ、
前記スペーサは、前記上枠と前記上材との間に配置される上スペーサと、前記左右の縦枠と前記左右の縦材との間に配置される左右の縦スペーサとの3つのスペーサを備え、
前記上スペーサは、前記上枠の左右両端から前記上枠の左右中心に向かって設定されるクリアランス領域を除く全長に渡って配置され、
前記縦スペーサは、前記縦枠の上下両端から前記縦枠の上下中心に向かって設定されるクリアランス領域を除く全長に渡って配置されている
ことを特徴とする壁面ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、躯体開口枠に建具の枠体を取り付ける枠体の取付構造及び壁面ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、工場において躯体開口枠に建具を取り付けて壁面ユニットを製造し、この壁面ユニットを建築現場に搬送して建物の躯体に取付けるパネル工法の壁面ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、壁面ユニットを製造する際に、躯体開口枠内に建具を建て込み、建具の枠体の内周面から躯体開口枠に向かって見込み方向からネジを螺合させている。
このため、完成品のFIX窓を躯体開口枠にネジで固定する場合、ガラスを窓枠から外し、窓枠を躯体開口枠内に建て込み、窓枠の内周面からネジを螺合して躯体開口枠に窓枠を固定した後に、ガラスを再度窓枠に取り付ける必要がある。
また、完成品の開き窓を躯体開口枠にネジで固定する場合、開き窓を躯体開口枠内に建て込み、開き窓が障子の重量で傾かないように支持しながら障子を開いて窓枠の内周面を露出させ、この内周面からネジを螺合して躯体開口枠に窓枠を固定する必要がある。
したがって、建具の枠体を躯体開口枠内に取り付けるための作業工数が増え、作業時間も増加するという課題がある。
【0005】
本発明の目的は、建具の枠体を躯体開口枠に取り付ける作業工数を低減できる枠体の取付構造及び壁面ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の枠体の取付構造は、躯体開口枠に建具の枠体を取り付ける枠体の取付構造であって、前記躯体開口枠の内周側に前記枠体が配置され、前記躯体開口枠の外周面から見付け方向にねじ込まれたネジによって前記躯体開口枠に前記枠体が取り付けられていることを特徴とする。
本発明の壁面ユニットは、躯体開口枠と、前記躯体開口枠内に取り付けられる建具とを備える壁面ユニットであって、前記躯体開口枠の内周側に前記建具の枠体が配置され、前記躯体開口枠の外周面から見付け方向にねじ込まれたネジによって前記躯体開口枠に前記枠体が取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、建具の枠体を躯体開口枠に取り付ける作業工数を低減できる枠体の取付構造及び壁面ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態である枠体の取付構造を適用して構成した壁面ユニットの縦断面図である。
【
図2】
図1に示した壁面ユニットの横断面図である。
【
図3】
図1に示した壁面ユニットの内観姿図である。
【
図4】壁面ユニットの変形例を示す内観姿図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る枠体の取付構造及び壁面ユニットの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
図1及び
図2は、本発明の実施の形態である枠体の取付構造を適用した壁面ユニット1の縦断面図及び横断面図である。
図3は、壁面ユニット1の内観姿図であり、後述する上スペーサ45、縦スペーサ46、ネジS部分のみ断面として表示したものである。また、後述する窓台33の下方の横材34も省略している。
ここで例示する壁面ユニット1は、建築物に取り付ける際に単一の構造体として取り扱うもので、建具2及び躯体開口枠3を備えている。
【0011】
建具2は、枠体10の内部に障子20を支持させたものである。本実施の形態では建具2として、枠体10と障子20との間に介在させたヒンジHによって障子20が室内側に開くように構成した内開き窓を例示している。枠体10は、上枠11、下枠12及び左右の縦枠13を四周枠組みすることによって構成したものである。
本実施の形態では、上枠11、下枠12及び左右の縦枠13として、同一の断面形状を有した枠材を適用している。上枠11、下枠12及び左右の縦枠13を構成する枠材は、合成樹脂製の押出形材であり、
図1の下枠12に示すように、略矩形の中空状を成す枠本体部W1と、枠本体部W1の室外側に位置する内周部から内周側に突出した戸当たり部W2とが一体に成形してある。戸当たり部W2の突出縁部において室内に臨む部位には、障子20との間をシールするシール材W3が設けてある。枠本体部W1の外周側において見込み方向に沿った面には、長手方向に沿って凹部W4が設けてある。凹部W4は、見込み方向のほぼ中央となる部位に設けてあり、室外側及び室内側にそれぞれ枠材の長手方向に沿って延在する係合突条W5を構成している。
上枠11、下枠12及び左右の縦枠13の枠本体部W1の中空部には、金属製の補強材15が挿入されている。補強材15は、アルミニウム合金やスチール等で構成され、上枠11、下枠12、左右の縦枠13の全長に渡って挿入されることで、枠体10を補強している。なお、上枠11、下枠12及び左右の縦枠13としては、アルミニウム合金等の金属製の押出形材を用いてもよい。この場合、補強材15を不要にできる。
枠本体部W1において、補強材15が挿入される中空部と、凹部W4とを区画する見込み面部W6は、中空部において躯体開口枠3側の面を構成する。
補強材15は、中空矩形枠状に形成されている。そして、補強材15において、ネジSがねじ込まれるネジ受け面部151は、枠本体部W1の見込み面部W6に沿って配置されている。
ネジ受け面部151は、中空部に露出する見込み面部W6のほぼ全面を覆うように形成されている。すなわち、ネジ受け面部151の見込み方向の寸法は、中空部の見込み方向の寸法に同程度とされている。また、補強材15は枠本体部W1の長手方向のほぼ全長に渡って配置されており、ネジ受け面部151の長手方向の寸法も、中空部の長手方向の寸法と同程度とされている。
【0012】
ここで、本実施の形態において、
図1、2の矢印Aで示す建具2の奥行きに沿った方向を見込み方向とする。見込み方向に沿った平面については、見込み面と称する場合がある。また、
図1、2の矢印Bで示す方向を見付け方向とする。見付け方向とは、上枠11や下枠12のように建具2の左右方向に沿って長尺とされた部材の場合、見込み方向に直交した上下方向であり、縦枠13のように建具2の上下方向に沿って長尺とされた部材の場合、見込み方向に直交した左右方向である。見付け方向に沿った平面については、見付け面と称する場合がある。
【0013】
障子20は、
図1~
図3に示すように、矩形状を成す面材21の四周に上框22、下框23及び左右の縦框24を装着した構成されている。上框22、下框23及び左右の縦框24は、合成樹脂製の押出形材である。
本実施形態の建具2は、室内側から見て左側に位置する縦框24と縦枠13との間にヒンジHを設け、上下に沿ったヒンジ軸を中心として障子20が室内側に開くように構成した内開き窓である。室内側から見て右側に位置する縦框24には、室内に臨む見付け面にハンドル25が設けてある。
なお、図中の符号26は、それぞれの框22,23,24との間に面材21を挟持する押縁である。また、本実施の形態では、障子20を構成する上框22、下框23及び左右の縦框24として、同一の断面形状を有する框材によって構成したものを適用している。
【0014】
躯体開口枠3は、左右の縦材31と、縦材31の上端間を連結する上材であるまぐさ32と、縦材31の下端間を連結する下材である窓台33とを備えて矩形の枠状に構成されている。なお、本実施形態の躯体開口枠3では、縦材31は、窓台33よりも下方まで延長されており、縦材31の下端間に横材34が取り付けられている。
なお、壁面ユニット1の高さ寸法と、建具2の高さ寸法との関係によっては、縦材31をまぐさ32よりも上方まで延長し、まぐさ32の上方に隙間を介して横材を配置して躯体開口枠3を構成してもよいし、横材を設けずに縦材31、まぐさ32、窓台33のみで躯体開口枠3を構成してもよい。また、まぐさ32や窓台33と横材34との隙間には必要に応じて断熱材を配設してもよい。上述の縦材31、まぐさ32、窓台33及び横材34は、それぞれ構造材となるもので、例えば木材によって構成されている。
縦材31およびまぐさ32の室外に臨む見付け面には表面材40が取り付けられている。また、窓台33から横材34までの室外に臨む見付け面にも表面材40が取り付けられている。
【0015】
窓台33は、下枠12の凹部W4と係合する係合突部331を有し、下枠12を載置可能な形状とされている。係合突部331が凹部W4に係合することで、下枠12の係合突条W5は、係合突部331の室外面および室内面に当接し、これにより下枠12の見込み方向への移動が規制される。このため、下枠12は、凹部W4が窓台33の係合突部331に係合して窓台33に対して見込み方向に位置決めされている。
窓台33と下枠12との間には、防水シート41が配置されている。防水シート41は、係合突部331の上面から窓台33および表面材40の室外面を覆うように配設されている。
窓台33において、係合突部331よりも室内側の上面と、下枠12の下面との間には、気密性および水密性を有するシール材43が配設されている。シール材43は、予め成形された帯状の部材であり、窓台33の長手方向の全長に渡って配置されている。このシール材43は、建具2を窓台33上に載置した際に下枠12で押し潰されて下枠12および窓台33間をシールする。
【0016】
上枠11及び左右の縦枠13と、まぐさ32及び縦材31間にはスペーサが介在されている。すなわち、上枠11及びまぐさ32間には上スペーサ45が配置され、縦枠13及び縦材31間には縦スペーサ46が配置されている。
上スペーサ45は、第1スペーサ451と、第2スペーサ452との2つのスペーサで構成される。第1スペーサ451は、上枠11の凹部W4に納まる寸法とされ、第1スペーサ451の上面は、上枠11の上面と面一とされている。
第2スペーサ452は、上枠11および第1スペーサ451の上面とまぐさ32の下面との間に配置されている。第2スペーサ452の見込み寸法は第1スペーサ451よりも大きくされている。このため、第2スペーサ452は、上枠11の室外端縁から第1スペーサ451の室内端縁までの範囲に配置されている。また、第2スペーサ452の厚さ寸法(上下方向の高さ寸法)は、凹部W4の深さ寸法よりも大きくされている。後述するように、第2スペーサ452を取り付けていない状態では、躯体開口枠3の建具2が配置される開口の高さ寸法は、第2スペーサ452が取り付けられていない枠体10の高さ寸法よりも大きくされ、枠体10をケンドン式に躯体開口枠3に取り付けることができるように構成されている。
上スペーサ45は、上枠11の左右両端から上枠11の左右中心に向かってそれぞれ設定されるクリアランス領域C1を除く全長に渡って配置されている。クリアランス領域C1の長さ寸法は、合成樹脂製の上枠11の伸び縮みを考慮して設定され、例えば100mmである。
【0017】
縦スペーサ46は、縦枠13の凹部W4に係合する係合突部461を有し、縦枠13の室外端縁から凹部W4の室内側端縁までの範囲に配置されている。
縦スペーサ46は、縦枠13の上下両端から縦枠13の上下中心に向かって設定されるクリアランス領域C2を除く全長に渡って配置されている。クリアランス領域C2の長さ寸法は、合成樹脂製の縦枠13の伸び縮みを考慮して設定される。クリアランス領域C2の長さは、例えば、クリアランス領域C1と同じ寸法でもよいし、縦枠13の長さ寸法が上枠11の長さ寸法よりも長い場合には、クリアランス領域C1よりも長い寸法、例えば、150mmとしてもよい。
これらのクリアランス領域C1、C2は、合成樹脂製の上枠11、縦枠13の伸び縮みの影響を軽減するために設けられる空間である。例えば、上枠11及び縦枠13が熱伸びすると、上枠11及び縦枠13の端部は互いに接合されているので熱伸びを吸収することができず、上枠11及び縦枠13が接合するコーナー部分は、躯体開口枠3側に湾曲して突出する。このため、上スペーサ45及び縦スペーサ46を、上枠11及び縦枠13の全長に渡って配置した場合は、前記コーナー部分が逃げる空間が存在しないため、上枠11、縦枠13に応力が加わってひびなどが生じる可能性がある。
一方、クリアランス領域C1、C2を設定し、各スペーサ45、46をクリアランス領域C1、C2を除く全長に渡って配置すれば、上枠11及び縦枠13が熱伸びした場合に、上枠11及び縦枠13が接合するコーナー部分が逃げる空間が確保されているので、上枠11、縦枠13にひびなどが生じることを防止できる。したがって、クリアランス領域C1、C2は、合成樹脂製の上枠11、縦枠13が伸び縮みした際に、上枠11、縦枠13が破損することを防止するために設けられる隙間空間である。このため、クリアランス領域C1、C2の長さ寸法の最小値は、上枠11、縦枠13が熱伸びして湾曲等する変形量に応じて設定される。また、スペーサ45、46が配置されていないクリアランス領域C1、C2にはネジSをねじ込むことができないため、クリアランス領域C1、C2の長さ寸法の最大値は、各枠11、13の端縁に最も近いネジSのねじ込み位置に応じて設定される。実際のクリアランス領域C1、C2の長さ寸法は、前記最小値から最大値の範囲内に設定される。
【0018】
上スペーサ45及び縦スペーサ46の室内側において、上枠11とまぐさ32との間、及び、縦枠13と縦材31との間には、気密性および水密性を有するシール材44が配設されている。シール材44は、シール材43に比べて厚さ寸法が大きな発泡シール材などが利用できる。
【0019】
[壁面ユニットの組立工程]
次に、壁面ユニット1を組み立てる工程について説明する。
建具2の製造工場において、建具2を組み立てる。この組立方法は、一般的な建具2と同一であるため、説明を省略する。
躯体開口枠3の組立工場では、左右の縦材31、まぐさ32、窓台33、横材34を枠組みして躯体開口枠3を組み立てる。
【0020】
次に、壁面ユニット1の組立工場において、躯体開口枠3に建具2を取り付けて壁面ユニット1を組み立てる。なお、壁面ユニット1の組立は、建具2の製造工場や躯体開口枠3の組立工場と同じ工場で行ってもよいし、別の工場でもよい。
躯体開口枠3に対して建具2の枠体10を取り付けて壁面ユニット1を構成するには、まず、窓台33の上面つまり躯体開口枠3の内周面(見込み面)から表面材40に渡って防水シート41を配設し、さらに窓台33の係合突部331よりも室内側の上面にシール材43を配設する。
【0021】
防水シート41は、遮水性及び可撓性を有したシート材であり、係合突部331の上面から窓台33の室外面及び表面材40を連続して覆うように配設してある。
次に、上枠11の凹部W4に第1スペーサ451を配設し、縦枠13の凹部W4に係合突部461を配置して縦スペーサ46を縦枠13に取り付ける。
そして、ケンドン式で躯体開口枠3に建具2を建て込む。すなわち、第2スペーサ452が取り付けられていない状態で建具2を持ち上げて、上枠11をまぐさ32に近付ける。これにより、下枠12の係合突条W5は窓台33の係合突部331を乗り越えることができる。そして、建具2を上方に持ち上げた状態で見込み方向に移動させる。この際、縦枠13は、縦スペーサ46が縦材31の内周面に接触しながらスライド移動する。
次に、下枠12の凹部W4が係合突部331の上方に位置した状態から建具2を下方に移動させる。これにより、下枠12の凹部W4が係合突部331に係合し、シール材43が下枠12および窓台33間に挟まれて圧接される。
その後、上枠11とまぐさ32との隙間に第2スペーサ452を差し込んで配設する。
【0022】
次に、縦材31およびまぐさ32の外周面からネジSをねじ込む。ネジSは、タッピングネジであり、電動ドライバーなどを用いてねじ込むことができる。縦材31にねじ込まれたネジSは、縦材31から縦スペーサ46、縦枠13を介して縦枠13の補強材15までねじ込まれる。まぐさ32にねじ込まれたネジSは、まぐさ32から上スペーサ45の第2スペーサ452および第1スペーサ451、上枠11を介して上枠11の補強材15までねじ込まれる。これらのネジSによる固定により、上枠11、縦枠13は、まぐさ32、縦材31に対して固定される。
なお、ネジSがねじ込まれる縦材31の外周面と、縦材31の内周面と、縦材31に接する縦スペーサ46の外面と、凹部W4の見込み面部W6に接する縦スペーサ46の内面と、縦枠13の見込み面部W6と、見込み面部W6に沿って配置される補強材15のネジ受け面部151とは、建具2の見込み方向に沿って形成され、互いに平行な平面とされている。このため、ネジSを縦材31の外周面に直交する方向つまり見付け方向にねじ込むと、ネジSは縦材31、縦スペーサ46の見込み方向に沿った各面と、縦枠13の見込み面部W6と、補強材15のネジ受け面部151とに直交する方向からねじ込まれ、ネジSのねじ込み作業をスムーズに行え、ネジ固定を容易に実行できる。
まぐさ32からねじ込まれるネジSは、まぐさ32、上スペーサ45の第1スペーサ451及び第2スペーサ452、上枠11の見込み面部W6、補強材15のネジ受け面部151の互いに平行な見込み方向に沿った平面(水平面)に直交する方向(上下方向)からねじ込まれるため、ネジSのねじ込み作業をスムーズに行え、ネジ固定を容易に実行できる。
さらに、ネジSがねじ込まれるネジ受け面部151は、中空部に露出する見込み面部W6のほぼ全面を覆うように形成されているため、ネジSのねじ込み位置が多少ずれたとしても、ネジSによる固定を確実に行うことができ、ネジ固定を容易に実行できる。
また、下枠12については、窓台33との間にネジSを螺合していないが、凹部W4が係合突部331に係合することで見込み方向への移動が制限されるため、窓台33に対して移動不能に取り付けられる。
【0023】
次に、上枠11および縦材31の室内側に開口した隙間と、縦枠13およびまぐさ32の室内側に開口した隙間とに、シール材44を配置する。以上の組立作業によって、壁面ユニット1が完成する。なお、壁面ユニット1を家屋等の建築物に取り付ける方法は、特許文献1と同様に行えば良いため説明を省略する。
【0024】
本実施形態によれば、躯体開口枠3の外周面から見付け方向にネジSをねじ込むことで建具2の枠体10を取り付けているので、ネジSのねじ込み作業時に障子20を開いて建具2が傾かないように支持する必要が無く、建具2の枠体10を躯体開口枠3に取り付ける作業工数を低減でき、作業時間も短縮できる。
また、躯体開口枠3の外周面からネジSをねじ込むため、作業用の空間も十分に確保でき、作業性を向上できる。例えば、躯体開口枠3の外周面からネジSをねじ込む場合、複数の作業者によって、左右の縦材31と縦枠13とを同時にネジSで固定することもでき、1つの壁面ユニット1を完成させるまでの作業時間を短縮できる。
【0025】
上スペーサ45および縦スペーサ46を、上枠11および縦枠13のほぼ全長に渡って配置しているので、ピース状の複数のスペーサを用いる場合に比べて施工作業性を向上できる。すなわち、ピース状のスペーサを用いた場合、ネジSのねじ込み位置とスペーサの配置位置とを合わせてからネジSをねじ込む必要があるため、作業が煩雑となる。一方、本実施形態では、クリアランス領域C1、C2を除く全長に渡って上スペーサ45、縦スペーサ46を配置しているので、前記位置合わせを行う必要が無く、作業性を向上できる。
また、上スペーサ45および縦スペーサ46は、枠体10のコーナー側のクリアランス領域C1、C2を除く領域に配置されているので、合成樹脂製の枠体10が温度変化等で伸び縮みし、コーナー部分が躯体開口枠3側に突出しても、その部分には各スペーサ45、46が配置されていないので、上枠11、縦枠13が熱伸びした時に逃がす空間を確保できる。このため、上枠11、縦枠13が熱伸びした時に、各スペーサ45、46によって逃げ空間が無くなり、上枠11、縦枠13に応力が加わってひびなどが生じることを防止できる。
【0026】
ネジSを躯体開口枠3から枠体10内の補強材15までねじ込んでいるので、建具2に加わった荷重を躯体開口枠3に伝達でき、建具2および躯体開口枠3の取付け強度を向上できる。
また、スペーサ45、46を上枠11、縦枠13の凹部W4に係合させているので、ネジSによる固定に加えてスペーサ45、46が係合するため、上枠11、縦枠13の見込み方向への移動をより規制することができる。
さらに、下枠12の凹部W4を窓台33の係合突部331に係合して見込み方向の移動を規制することで、下枠12を窓台33にネジSを用いて固定する必要が無いため、ネジ止め作業を軽減でき、下枠12や窓台33を貫通するネジSが存在しないので、防水シート41に貫通孔が形成されることもなく、防水性能を向上できる。
【0027】
本発明は、以上の実施形態で説明した構成のものに限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形例は本発明に含まれる。
例えば、枠体10と躯体開口枠3との間に配置されるスペーサとして、
図4に示すように、ピース状の上スペーサ455と、縦スペーサ465とを用いてもよい。ピース状の上スペーサ455および縦スペーサ465を用いる場合も、クリアランス領域C1、C2を除く領域に各スペーサ455、465を配置することが好ましい。
また、建具2の枠体10や障子20は、合成樹脂製に限定されず、アルミニウム等の金属製の押出形材で構成してもよい。
【0028】
建具2は、内開き窓に限定されず、FIX窓、外開き窓、上げ下げ窓など、様々な建具を利用できる。FIX窓の場合、ガラスを保持する框材が躯体開口枠3に直接固定されるため、前記框材が枠体となる。
また、前記実施形態の建具2は、躯体開口枠3の見込み寸法内に建具2が配置されていた内付け窓であるが、建具2の見込み方向の一部が躯体開口枠3の外側に配置される半外付けの建具を用いてもよい。半外付けの建具の場合、一般的には見付け方向に突出する釘ヒレが設けられるため、釘ヒレを躯体開口枠3の室外面に当接させて前記ネジSを躯体開口枠3の外周面から見付け方向にねじ込んで固定すればよい。この際、釘ヒレにもネジをねじ込んで建具を躯体開口枠3に固定してもよいし、釘ヒレは躯体開口枠3に固定せずに前記ネジSのみで建具を躯体開口枠3に固定してもよい。
【0029】
前記実施形態では、下枠12と窓台33とはネジSで固定していないが、下枠12と窓台33ともネジSで固定してもよい。すなわち、上枠11、下枠12、縦枠13を、縦材31、まぐさ32、窓台33にネジSで固定してもよい。
前記実施形態では、躯体開口枠3と枠体10との間にスペーサを配置していたが、例えば、縦枠13を縦材31に直接取り付けることによってスペーサを設けずに構成してもよい。
枠本体部W1の中空部に配置する補強材15は、前記実施形態の構成に限定されない。例えば、補強材としては、見込み面部W6に沿って配置される板状の補強材を用いてもよいし、断面形状が凸状とされた補強材を用いてもよい。補強材としては、少なくとも見込み面部W6に沿ったネジ受け面部151を有するものであればよい。
【0030】
[発明のまとめ]
本発明の枠体の取付構造は、躯体開口枠に建具の枠体を取り付ける枠体の取付構造であって、前記躯体開口枠の内周側に前記枠体が配置され、前記躯体開口枠の外周面から見付け方向にねじ込まれたネジによって前記躯体開口枠に前記枠体が取り付けられていることを特徴とする。
本発明によれば、躯体開口枠の外周面から見付け方向にネジをねじ込むことで建具の枠体を取り付けているので、建具の枠体を躯体開口枠に取り付ける作業工数を低減でき、作業時間も短縮できる。例えば、建具がFIX窓の場合、従来のように、ガラスを窓枠から外したり、再度取り付ける必要が無いため、作業工数を低減できる。同様に、建具が開き窓等の場合、障子を開く必要が無いため、建具が傾かないように支持しながらねじ止めする必要もなく、作業工数を低減できる。
【0031】
本発明の枠体の取付構造において、前記枠体は、上枠、下枠及び左右の縦枠とを備えて構成され、前記躯体開口枠は、上材、下材および左右の縦材とを備えて構成され、前記上枠及び左右の縦枠は、前記上材及び左右の縦材からねじ込まれた前記ネジによって前記上材及び左右の縦材に固定され、前記下枠は、前記下材に係合して前記下材に対して見込み方向に位置決めされていることが好ましい。
本発明によれば、枠体の上枠、左右の縦枠は、ネジによって躯体開口枠の上材、縦材に固定されるが、下枠はネジを用いずに下材に係合されるため、ネジのねじ込み作業が軽減され、かつ、下枠や下材を貫通するネジが存在しないので防水性能を容易に向上できる。
【0032】
本発明の枠体の取付構造において、前記枠体は、上枠、下枠及び左右の縦枠とを備えて構成され、前記躯体開口枠は、上材、下材および左右の縦材とを備えて構成され、前記上枠、下枠及び左右の縦枠は、前記上材、下材及び左右の縦材からねじ込まれた前記ネジによって前記上材、下材及び左右の縦材に固定されていることが好ましい。
本発明によれば、枠体の上枠、下枠、左右の縦枠は、ネジによって躯体開口枠の上材、下材、縦材に固定されるため、ネジを用いずに固定する場合に必要となる凹部や突部などの係合構造を加工する必要が無く、躯体開口枠もシンプルな構造にできる。
【0033】
本発明の枠体の取付構造において、前記上枠及び左右の縦枠と、前記上材及び左右の縦材との間には、前記枠体の上下方向および左右方向の移動を規制するスペーサが配置され、前記ネジは、前記上材及び左右の縦材から前記スペーサを介して前記上枠及び左右の縦枠にねじ込まれていることが好ましい。
本発明によれば、建具の枠体と躯体開口枠との間にスペーサを配置しているので、スペーサを枠体の外周面および躯体開口枠の内周面に密着させることができ、ネジをねじ込んだ際に枠体が変形することを防止できる。
【0034】
本発明の枠体の取付構造において、前記スペーサは、前記上枠と前記上材との間に配置される上スペーサと、前記左右の縦枠と前記左右の縦材との間に配置される左右の縦スペーサとの3つのスペーサを備え、前記上スペーサは、前記上枠の左右両端から前記上枠の左右中心に向かって設定されるクリアランス領域を除く全長に渡って配置され、前記縦スペーサは、前記縦枠の上下両端から前記縦枠の上下中心に向かって設定されるクリアランス領域を除く全長に渡って配置されていることが好ましい。
本発明によれば、上スペーサと、左右の縦スペーサの3つのスペーサのみを用意すればよいため、施工作業が容易になる。例えば、各ネジ位置に合わせてピース状のスペーサを多数用意した場合、建具の枠体と躯体開口枠との間にピース状のスペーサを所定位置に配置し、その位置に合わせてネジをねじ込む必要があり、施工作業が煩雑になる。これに対し、本発明によれば、所定範囲に連続するスペーサを設けているので、施工作業が容易になる。
また、各スペーサは、枠体のコーナー側に設けられたクリアランス領域を除く領域に配置されるため、合成樹脂製の枠体の伸び縮みの影響を軽減できる。
【0035】
本発明の枠体の取付構造において、前記上枠、下枠及び左右の縦枠は、中空部を有する合成樹脂製の押出成形材で構成され、前記ネジによって前記躯体開口枠に固定される前記押出成形材の前記中空部には金属製の補強材が配置され、前記金属製の補強材は、少なくとも前記中空部において前記躯体開口枠側の見込み面部に沿って配置されるネジ受け面部を有し、前記ネジは、前記躯体開口枠の外周面から前記補強材の前記ネジ受け面部にねじ込まれていることが好ましい。
本発明によれば、建具の枠体を合成樹脂製の押出成形材で構成しているので、アルミニウム等の金属製の枠材を用いた場合に比べて建具の断熱性能を容易に向上できる。
また、ネジを金属製の補強材にねじ込んでいるので、合成樹脂製の枠体を用いても、枠体を躯体開口枠に確実に固定できる。
さらに、ネジ受け面部を見込み面部に沿って配置しているので、見込み面部の全長に渡ってネジ受け面部を配置することも容易に実現できる。このため、ネジSのねじ込み位置が多少ずれても、躯体開口枠と枠体とを確実に固定できる。
【0036】
本発明の壁面ユニットは、躯体開口枠と、前記躯体開口枠内に取り付けられる建具とを備える壁面ユニットであって、前記躯体開口枠の内周側に前記建具の枠体が配置され、前記躯体開口枠の外周面から見付け方向にねじ込まれたネジによって前記躯体開口枠に前記枠体が取り付けられていることを特徴とする。
本発明によれば、躯体開口枠の外周面から見付け方向にネジをねじ込むことで建具の枠体を取り付けているので、建具の枠体を躯体開口枠に取り付ける作業工数を低減でき、作業時間も短縮できる。
【符号の説明】
【0037】
1…壁面ユニット、2…建具、3…躯体開口枠、10…枠体、11…上枠、12…下枠、13…縦枠、15…補強材、20…障子、31…縦材、32…まぐさ(上材)、33…窓台(下材)、331…係合突部、34…横材、40…表面材、41…防水シート、43…シール材、44…シール材、45…上スペーサ、46…縦スペーサ、461…係合突部、451…第1スペーサ、452…第2スペーサ、455…上スペーサ、465…縦スペーサ、S…ネジ、W4…凹部。