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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】ガスコンロを具備する調理システム
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20230425BHJP
   F24C 3/00 20060101ALI20230425BHJP
   F24C 3/08 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
F24C3/12 E
F24C3/00 J
F24C3/08 Q
F24C3/12 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019185911
(22)【出願日】2019-10-09
(65)【公開番号】P2021060166
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】林 周作
(72)【発明者】
【氏名】伏屋 麻紀子
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03376104(EP,A1)
【文献】特開2013-068395(JP,A)
【文献】特開2016-020749(JP,A)
【文献】特開2006-038398(JP,A)
【文献】国際公開第2019/111367(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00- 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板に開設したバーナ用開口に臨む、多数の炎口が形成されたバーナヘッド部を有するコンロバーナと、バーナ用開口を囲うようにして天板上に設置される五徳とを備えるガスコンロを具備する調理システムにおいて、
バーナヘッド部は、周方向に区分された複数の区分けヘッド領域を有し、
複数の区分けヘッド領域での火力を個別に調節可能な火力調節手段と、五徳に載置された調理容器のバーナヘッド部に対する位置相関を検出する位置検出手段とを備え、
位置検出手段で検出された調理容器のバーナヘッド部に対する位置相関に基づいて、調理容器全体が均等に加熱されるように、火力調節手段により各区分けヘッド領域での火力を調節することを特徴とするガスコンロを具備する調理システム。
【請求項2】
天板に開設したバーナ用開口に臨む、多数の炎口が形成されたバーナヘッド部を有するコンロバーナと、バーナ用開口を囲うようにして天板上に設置される五徳とを備えるガスコンロを具備する調理システムにおいて、
バーナヘッド部は、周方向に区分された複数の区分けヘッド領域を有し、
複数の区分けヘッド領域での火力を個別に調節可能な火力調節手段と、五徳に載置された調理容器の熱分布を検出する熱分布検出手段とを備え、
熱分布検出手段で検出された調理容器の熱分布に基づいて、調理容器全体が均等に加熱されるように、火力調節手段により各区分けヘッド領域での火力を調節することを特徴とするガスコンロを具備する調理システム。
【請求項3】
各区分けヘッド領域での火力を、当該各区分けヘッド領域に生ずる火炎が調理容器の底面から溢れないように調節することを特徴とする請求項1又は2記載のガスコンロを具備する調理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板に開設したバーナ用開口に臨む、多数の炎口が形成されたバーナヘッド部を有するコンロバーナと、バーナ用開口を囲うようにして天板上に設置される五徳とを備えるガスコンロを具備する調理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の調理システムとして、コンロバーナのバーナヘッド部に生ずる火炎が五徳に載置した調理容器の底面から溢れる炎溢れを抑制するために、炎溢れを検知する検知手段を備え、検知手段が炎溢れを検知した場合、炎溢れが検知されなくなるまでコンロバーナの火力を弱めるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このものでは、炎溢れが発生して、コンロバーナの火力を弱めると、バーナヘッド部全体に亘り火炎が均等に短くなる。そのため、調理容器がバーナヘッド部に対し偏心した状態で五徳に載置されていると、バーナヘッド部の中心からより離れた調理容器の部分の加熱が不足してしまう。
【0004】
また、炎溢れを抑制することができるようにしたガスコンロに限らず、良好な調理を行うには、調理容器がバーナヘッド部に対し偏心した状態で五徳に載置されても、調理容器全体を均等に加熱できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-38398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、調理容器がバーナヘッド部に対し偏心した状態で五徳に載置されても、調理容器全体を均等に加熱できるようにしたガスコンロを具備する調理システムを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、天板に開設したバーナ用開口に臨む、多数の炎口が形成されたバーナヘッド部を有するコンロバーナと、バーナ用開口を囲うようにして天板上に設置される五徳とを備えるガスコンロを具備する調理システムにおいて、バーナヘッド部は、周方向に区分された複数の区分けヘッド領域を有し、複数の区分けヘッド領域での火力を個別に調節可能な火力調節手段を備え、更に、五徳に載置された調理容器のバーナヘッド部に対する位置相関を検出する位置検出手段又は五徳に載置された調理容器の熱分布を検出する熱分布検出手段を備え、位置検出手段で検出された調理容器のバーナヘッド部に対する位置相関又は熱分布検出手段で検出された調理容器の熱分布に基づいて、調理容器全体が均等に加熱されるように、火力調節手段により各区分けヘッド領域での火力を調節することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、調理容器がバーナヘッド部に対し偏心した状態で五徳に載置されても、位置検出手段や熱分布検出手段の検出結果に基づいてバーナヘッド部の各区分けヘッド領域での火力を調節することにより、調理容器全体を均等に加熱することができる。
【0009】
また、本発明においては、各区分けヘッド領域での火力を、当該各区分けヘッド領域に生ずる火炎が調理容器の底面から溢れないように調節することが望ましい。これによれば、炎溢れも防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態の調理システムの設置状況を示す斜視図。
図2】実施形態の調理システムが具備するガスコンロの左側コンロバーナの設置部の拡大平面図。
図3図2のIII-III線で切断した断面図。
図4】(a)左側コンロバーナの上ヘッド部材の斜め下方から見た斜視図、(b)左側コンロバーナの下ヘッド部材及びバーナホルダの斜め上方から見た斜視図。
図5】実施形態の調理システムが具備するガスコンロの右側コンロバーナの設置部の拡大平面図。
図6図5のVI-VI線で切断した断面図。
図7】(a)右側コンロバーナの上ヘッド部材の斜め下方から見た斜視図、(b)右側コンロバーナの下ヘッド部材及びバーナホルダの斜め上方から見た斜視図。
図8】実施形態の調理システムに設けられたレンジフードの斜め下方から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照して、本発明の実施形態の調理システムが具備するガスコンロは、コンロ本体1をシステムキッチンのカウンタトップCTに形成したコンロ開口CTaに落とし込むようにして配置するビルトイン式コンロであり、左右2個のコンロバーナ2,3を備えている。左側のコンロバーナ2は、図2図3に示す如く、コンロ本体1の開放された上面を覆う天板4の左半部に開設したバーナ用開口41に臨むバーナヘッド部21を有しており、右側のコンロバーナ3も、図5図6に示す如く、天板4の右半部に開設したバーナ用開口41に臨むバーナヘッド部31を有している。また、ガスコンロは、各バーナ用開口41,41を囲うようにして天板4上に設置される五徳5,5を備えている。尚、天板4には、各バーナ用開口41,41と各コンロバーナ2,3のバーナヘッド部21,31との間の隙間を閉塞するリング部材42,42が装着されている。また、コンロ本体1の前面の操作パネル11には、左右のコンロバーナ2,3用の左右の点消火釦12,12が設けられている。各点消火釦12,12は、その回動操作で各コンロバーナ2,3の火力を指示することもできる
【0012】
図4を参照して、左側のコンロバーナ2のバーナヘッド部21は、周方向に区分された第1乃至第4の4個の区分けヘッド領域21~21を有している。具体的に説明すれば、バーナヘッド部21は、環状の下ヘッド部材22と、下ヘッド部材22上に設置される環状の上ヘッド部材23とで構成されている。下ヘッド部材22の上面には、周方向に等間隔で4個の放射状リブ221が立設され、また、上ヘッド部材23の下面にも、周方向に等間隔で4個の放射状リブ231が垂設されている。そして、下ヘッド部材22の各放射状リブ221の上縁に上ヘッド部材23の各放射状リブ231の下縁を当接させることで、バーナヘッド部21を、前方の第1区分けヘッド領域21と、左方の第2区分けヘッド領域21と、後方の第3区分けヘッド領域21と、右方の第4区分けヘッド領域21とに区分けしている。また、上ヘッド部材23の上面には、各区分けヘッド領域21~21から混合気が噴出する多数の炎口24が形成されている。
【0013】
バーナヘッド部21は、コンロ本体1内の左半部に固定のバーナホルダ13に形成した複数の支持孔131に、下ヘッド部材22に垂設した複数の支柱222の下端部を嵌入することでバーナホルダ13上に支持されている。また、下ヘッド部材22には、各区分けヘッド領域21~21の中央部から下方にのびる混合管部223が垂設されている。更に、バーナホルダ13には、第1乃至第4の各区分けヘッド領域21~21からのびる混合管部223の下端開口に臨む第1乃至第4の各ノズル25~25が設けられている。また、下ヘッド部材22には、各混合管部223の上端開口に僅かな隙間を存して対向する案内板部224が設けられている。そして、各ノズル25~25から噴射された燃料ガスが各案内板部224に衝突して各区分けヘッド領域21~21内に拡散することで発生するラジアルベンチュリ効果により各混合管部223の下端開口から一次空気が吸い込まれ、混合気が生成されるようにしている。
【0014】
左側のコンロバーナ2に対するガス供給路26には安全弁261が介設されている。安全弁261は、点消火釦12による点火操作時に、点消火釦12の操作信号が入力されるコンロバーナ2用のコントローラ6による制御で開弁され、後述する熱電対28の起電力が低下して失火が検知されたときや後述する鍋底温度センサ29が調理容器の過熱を検知したときにコントローラ6による制御で閉弁される。また、ガス供給路26は、安全弁261の下流側で第1乃至第4の各ノズル25~25に連なる第1乃至第4の分岐路26~26に分岐されている。第1乃至第4の各分岐路26~26には、第1乃至第4の各開閉弁262~262と第1乃至第4の各火力調節弁263~263とが介設されている。そして、これら火力調節弁263~263により各区分けヘッド領域21~21の火力を個別に調節可能な火力調節手段を構成している。
【0015】
また、左側のコンロバーナ2には、点消火釦12による点火操作時にコントローラ6による制御でスパークする点火電極27と、火炎検知素子としての熱電対28と、五徳5に載置する調理容器の底面に当接してその温度を検出する鍋底温度センサ29とが付設されている。点火電極27は、上ヘッド部材23の第3区分けヘッド領域21に合致する部分の上面内周側角部に形成した点火炎口24aに臨ませて設けられ、また、熱電対28は、上ヘッド部材23の第3区分けヘッド領域21と第4区分けヘッド領域21とに跨る上面内周側角部に形成した火炎検知用炎口24bに臨ませて設けられている。更に、上ヘッド部材23には、各放射状リブ231の垂設箇所の内周寄り部分の両脇に位置して、隣接する区分けヘッド領域に火移りさせるための火移り炎口24cが形成されている。
【0016】
ところで、コンロバーナ2への点火が遅れると、比較的大きな炎で着火して、火炎が調理容器の底面外方に溢れ、使用者を驚かせてしまうことがある。そこで、点消火釦12による点火操作が行われたときに、先ず、第3開閉弁262の開弁で、バーナヘッド部21の後方に位置する第3区分けヘッド領域21に燃料ガスを供給して点火させるようにしている。これによれば、点火の遅れで第3区分けヘッド領域21において比較的大きな炎で着火しても、火炎は調理容器の底面後方に溢れるだけで、ガスコンロの手前に立つ使用者を驚かせずに済む。また、第3区分けヘッド領域21への点火が熱電対28により検知されたところで、第4開閉弁262と第2開閉弁262と第1開閉弁262とを順に開弁させ、横方向内方に位置する第4区分けヘッド領域21と横方向外方に位置する第2区分けヘッド領域21と前方に位置する第1区分けヘッド領域21とに順に火移り点火させる。
【0017】
図7を参照して、右側のコンロバーナ3のバーナヘッド部31は、周方向に区分された第1乃至第4の4個の区分けヘッド領域31~31を有すると共に、これら区分けヘッド領域31~31に対し径方向に区分けされた内周側の子バーナヘッド領域31を有している。具体的に説明すれば、バーナヘッド部31は、環状の下ヘッド部材32と、下ヘッド部材32上に設置される環状の上ヘッド部材33とで構成されている。下ヘッド部材32の上面には、周方向に等間隔で4個の放射状リブ321と、これら放射状リブ321の径方向内端を結ぶ環状リブ321aとが立設され、また、上ヘッド部材33の下面には、周方向に等間隔で4個の放射状リブ331と、これら放射状リブ331の径方向内端を結ぶ環状リブ331aとが垂設されている。そして、下ヘッド部材32の各放射状リブ321と環状リブ321aの上縁に上ヘッド部材33の各放射状リブ331と環状リブ331aの下縁を当接させることで、バーナヘッド部31を、環状リブ321a,331aよりも径方向外方部分において、前方の第1区分けヘッド領域31と、左方の第2区分けヘッド領域31と、後方の第3区分けヘッド領域31と、右方の第4区分けヘッド領域31とに区分けすると共に、環状リブ321a,331aよりも径方向内方部分を環状の子バーナヘッド領域31に区分けしている。また、上ヘッド部材33の上面には、各区分けヘッド領域31~31及び子バーナヘッド領域31から混合気が噴出する多数の炎口34が形成されている。
【0018】
バーナヘッド部31は、コンロ本体1内の右半部に固定のバーナホルダ13に形成した複数の支持孔131に、下ヘッド部材32に垂設した複数の支柱322の下端部を嵌入することでバーナホルダ13上に支持されている。また、下ヘッド部材32には、各区分けヘッド領域31~31の中央部と子バーナヘッド領域31の周方向一箇所から下方にのびる混合管部323が垂設されている。更に、バーナホルダ13には、第1乃至第4の各区分けヘッド領域31~31と子バーナヘッド領域31からのびる混合管部323の下端開口に臨む第1乃至第5の各ノズル35~35が設けられている。また、下ヘッド部材32には、各混合管部323の上端開口に僅かな隙間を存して対向する案内板部324が設けられ、上記左側のコンロバーナ2と同様に、各混合管部323の下端開口から一次空気を吸い込むラジアルベンチュリ効果が得られるようにしている。
【0019】
右側のコンロバーナ3に対するガス供給路36には、安全弁361が介設されている。安全弁361は、点消火釦12による点火操作時に、点消火釦12の操作信号が入力されるコンロバーナ3用のコントローラ6による制御で開弁され、後述する熱電対38の起電力が低下して失火が検知されたときや後述する鍋底温度センサ39が調理容器の過熱を検知したときにコントローラ6による制御で閉弁される。ガス供給路36は、安全弁361の下流側で第1乃至第5の各ノズル35~35に連なる第1乃至第5の分岐路36~36に分岐されている。第1乃至第5の各分岐路36~36には、第1乃至第5の各開閉弁362~362と第1乃至第5の各火力調節弁363~363とが介設されている。そして、第1乃至第5火力調節弁363~363により第1乃至第4の各区分けヘッド領域31~31と子バーナヘッド領域31の火力を個別に調節可能な火力調節手段を構成している。
【0020】
また、右側のコンロバーナ3には、点消火釦12による点火操作時にコントローラ6による制御でスパークする点火電極37と、火炎検知素子としての熱電対38と、五徳5に載置する調理容器の底面に当接してその温度を検出する鍋底温度センサ39とが付設されている。点火電極37は、上ヘッド部材33の子バーナヘッド領域31の後部に合致する部分の上面内周側角部に形成した点火炎口34aに臨ませて設けられ、また、熱電対38は、上ヘッド部材33の点火炎口34aから周方向一方に若干離れた上面内周側角部に形成した火炎検知用炎口34bに臨ませて設けられている。更に、上ヘッド部材33には、各放射状リブ331及び環状リブ331aの垂設箇所近傍に位置して、各区分けヘッド領域と子バーナヘッド領域31との間及び隣接する区分けヘッド領域間で火移りさせるための火移り炎口34cが形成されている。
【0021】
右側のコンロバーナ3においては、点消火釦12による点火操作が行われたときに、先ず、第5開閉弁362の開弁で子バーナヘッド領域31に燃料ガスを供給して点火する。そして、子バーナヘッド領域31の点火が熱電対38により検知されたところで、第3開閉弁362と第2開閉弁362と第4開閉弁362と第1開閉弁362とを順に開弁させ、後方に位置する第3区分けヘッド領域31と横方向内方に位置する第2区分けヘッド領域31と横方向外方に位置する第4区分けヘッド領域31と前方に位置する第1区分けヘッド領域31とに順に火移り点火させる。
【0022】
また、本実施形態の調理システムは、図8に示す如く、カウンタトップCTの上方に位置するレンジフードRHの下面に配置した、左右一対のCCDカメラから成る位置検出手段7,7を備えている。各位置検出手段7,7は、左右の各コンロバーナ2,3の設置部を俯瞰して撮像し、各五徳5,5に載置された調理容器P(図2図5参照)のバーナヘッド部21,31に対する位置相関、即ち、調理容器Pの中心位置とバーナヘッド部21,31の中心位置との位置関係を検出する。
【0023】
左側の位置検出手段7からの検出情報は、左側のコンロバーナ2用のコントローラ6に送信され、右側の位置検出手段7からの検出情報は、右側のコンロバーナ3用のコントローラ6に送信される。そして、各コントローラ6,6は、各位置検出手段7,7で検出された調理容器Pのバーナヘッド部21,31に対する位置相関に基づいて、調理容器P全体が均等に加熱されるように、各火力調節弁263~263,363~363により各区分けヘッド領域21~21,31~31での火力を調節する。例えば、左側のコンロバーナ2において、調理容器Pの中心がバーナヘッド部21の中心に対し図2に示す如く斜め左後方にずれている場合には、前方と右方に位置する第1と第4の区分けヘッド領域21,21での火力を点消火釦12の回動操作で指示された火力よりも弱くし、左方と後方に位置する第2と第3の区分けヘッド領域21,21での火力を指示された火力よりも強くして、調理容器P全体が均等に加熱されるようにする。また、右側のコンロバーナ3において、例えば、調理容器の中心がバーナヘッド部31の中心に対し図5に示す如く後方にずれている場合は、左右に位置する第2と第4の区分けヘッド領域31,31の火力を点消火釦12の回動操作で指示された火力に維持しつつ、前方に位置する第1区分けヘッド領域31の火力を指示された火力よりも弱く、後方に位置する第3区分けヘッド領域31の火力を指示された火力より強くして、調理容器P全体が均等に加熱されるようにする。
【0024】
更に、各位置検出手段7,7により調理容器Pの径も計測し、バーナヘッド部21,31の中心に対する調理容器Pの中心の偏心方向及び偏心量と調理容器Pの径とから、各区分けヘッド領域21~21,31~31において、火炎が調理容器Pの底面から溢れない上限の火力を算出する。そして、各区分けヘッド領域21~21,31~31での火力を算出した上限火力以下の範囲で上記の如く調節することにより、各区分けヘッド領域21~21,31~31に生ずる火炎が調理容器Pの底面から溢れることを防止する。
【0025】
尚、ガスコンロの機種によっては、調理容器Pの温度上昇を促進するモードを選択できるものもある。そして、温度上昇促進モードを選択したときは、火炎が調理容器Pの底面から溢れることを許容した状態で、調理容器P全体が均等に加熱されるように各区分けヘッド領域21~21,31~31の火力を調節すればよい。この場合、炎溢れを生ずることを報知して、安全性を確保することが望ましい。また、調理容器Pのバーナヘッド部21,31に対するずれ量が許容限度を超える場合には、点火を禁止し、更に、その旨を報知してもよい。
【0026】
また、各位置検出手段7,7により調理容器Pの形状を認識することで、オーバルパン等の楕円形や長方形の調理容器も均等に加熱することができる。即ち、複数の区分けヘッド領域21~21,31~31のうち調理容器の長手方向に位置する区分けヘッド領域の火力を強く、調理容器の短手方向に位置する区分けヘッド領域の火力を弱くすることで、楕円形や長方形の調理容器を均等に加熱できる。
【0027】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態のCCDカメラから成る位置検出手段7,7に代えて、五徳5,5に載置されたフライパン等の調理容器の熱分布を検出する熱分布検出手段を設けてもよい。この熱分布検出手段は、例えば、レンジフードRHの下面に各コンロバーナ2,3の設置部を俯瞰するように配置するサーモカメラで構成することができる。そして、熱分布検出手段で検出された調理容器の熱分布に基づいて、調理容器全体が均等に加熱されるように、火力調節手段、即ち、各火力調節弁263~263,363~363により各区分けヘッド領域21~21,31~31での火力を調節する。尚、このものでも、楕円形や長方形の調理容器を均等に加熱できる。
【0028】
また、上記実施形態では、バーナヘッド部21,31の周方向の区分け個数を4個としているが、区分け個数は、2個又は3個或いは5個以上であってもよい。更に、上記実施形態の右側のコンロバーナ3の如く子バーナヘッド領域31を有するものでは、子バーナヘッド領域31を含めて周方向に区分けしてもよい。また、上記実施形態のガスコンロはビルトイン式コンロであるが、ガス台上に設置される卓上式コンロにも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0029】
2,3…コンロバーナ、21,31…バーナヘッド部、21~21,31~31…区分けヘッド領域、24,34…炎口、263~263,363~363…火力調節弁(火力調節手段)、4…天板、41,41…バーナ用開口、5,5…五徳、7,7…位置検出手段。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8