IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アトランティック・イナーシャル・システムズ・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-振動型角速度センサ 図1
  • 特許-振動型角速度センサ 図2
  • 特許-振動型角速度センサ 図3
  • 特許-振動型角速度センサ 図4
  • 特許-振動型角速度センサ 図5
  • 特許-振動型角速度センサ 図6
  • 特許-振動型角速度センサ 図7
  • 特許-振動型角速度センサ 図8
  • 特許-振動型角速度センサ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】振動型角速度センサ
(51)【国際特許分類】
   G01C 19/5684 20120101AFI20230425BHJP
【FI】
G01C19/5684
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019226514
(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公開番号】P2021028626
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】1911534.4
(32)【優先日】2019-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】508296554
【氏名又は名称】アトランティック・イナーシャル・システムズ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Atlantic Inertial Systems Limited
【住所又は居所原語表記】Clittaford Road,Southway,Plymouth,Devon PL6 6DE,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ポール フェル
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/013429(WO,A1)
【文献】特表2011-528103(JP,A)
【文献】特開2011-027561(JP,A)
【文献】特表2010-519503(JP,A)
【文献】特表2002-509615(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0064782(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 19/5684
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付具と、前記取付具に固定された複数の支持構造と、前記取付具に対して弾性的に動くように前記複数の支持構造によって可撓性に支持された振動平面環構造と、を備えたMEMS構造と、
一次モードにおいて、前記環構造を前記一次モードの共振周波数で振動させるように構成された少なくとも1つの一次駆動変換器と、
前記一次モードにおいて、前記環構造の振動を検出するように構成された少なくとも1つの一次ピックオフ変換器と、
前記角速度が前記環構造にほぼ垂直な軸を中心に加えられる時、コリオリ力によって誘導される二次モードにおける前記環構造の振動を検出するように構成された少なくとも3つの二次ピックオフ変換器と、
前記二次モードにおいて、前記誘導された振動をゼロにするように構成された少なくとも1つの二次駆動変換器と、
を備えた、振動型角速度センサであって、
二次ピックオフ変換器の数と二次駆動変換器の数とは、奇数であり、前記二次駆動変換器の数は、前記二次ピックオフ変換器の数より小さい、振動型角速度センサ。
【請求項2】
前記少なくとも3つの二次ピックオフ変換器は、電気的に直列に接続される、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記少なくとも3つの二次ピックオフ変換器のそれぞれからの二次ピックオフ信号を受信するように構成された二次ピックオフ信号出力部をさらに含む、請求項1または2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記二次ピックオフ信号出力部は、アナログ増幅器を含む、請求項3に記載のセンサ。
【請求項5】
前記二次ピックオフ信号出力部に接続されて、前記加えられた角速度を表す出力を提供する速度出力回路をさらに含む、請求項3または4に記載のセンサ。
【請求項6】
前記二次ピックオフ信号出力部に接続された速度制御ループをさらに含む、請求項3~5のいずれかに記載のセンサ。
【請求項7】
前記速度制御ループは、前記少なくとも1つの二次駆動変換器に二次駆動信号を印加するように構成され、
前記二次駆動信号は、前記二次駆動変換器の数に応じた係数を含む大きさを有する、請求項6に記載のセンサ。
【請求項8】
3つの二次ピックオフ変換器がある時、前記係数は2である、請求項7に記載のセンサ。
【請求項9】
前記変換器は、一次駆動変換器の対と、一次ピックオフ変換器の対と、1つの二次駆動変換器と、3つの二次ピックオフ変換器とからなる、請求項1~8のいずれかに記載のセンサ。
【請求項10】
前記変換器は、前記振動平面環構造の周囲に等角度に間隔をおいて配置された、請求項1~9のいずれかに記載のセンサ。
【請求項11】
各変換器は、誘導式変換器である、請求項1~10のいずれかに記載のセンサ。
【請求項12】
各変換器は、容量式変換器である、請求項1~10のいずれかに記載のセンサ。
【請求項13】
前記MEMS構造は、半導体構造、例えば、シリコン構造である、請求項1~12のいずれかに記載のセンサ。
【請求項14】
センサパッケージと、前記センサパッケージ内に封止された前記MEMS構造と、前記センサパッケージが取り付けられたプリント回路基板と、をさらに含み、
電気接続が、前記プリント回路基板から前記MEMS構造に前記センサパッケージを通して行われる、請求項1~13のいずれかに記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、振動型ジャイロスコープと角速度センサに関し、より詳細には、平面環等の振動構造を含むコリオリ式角速度センサと、このような角速度センサのノイズ特性を向上させる方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの用途において、振動型角速度センサ(ジャイロスコープとしても知られる)は、微小電気機械システム(MEMS)技術を用いて構築され、MEMS技術においては、デバイスがシリコンウェハから製造され、ガラス基板ウェハに結合されてよい、あるいは、2つのガラス基板層の間に挟まれてよい。
【0003】
典型的に、高性能のMEMSジャイロスコープの多くで使用されている構造は、幾つかの可撓性または柔軟な支持構造(「脚」としても知られる)に支持された平面環を含み、支持構造は、取付具に取り付けられ、取付具は、剛性シリコンフレームまたは中心ハブからなってよい。フレームまたはハブは、ガラス基板に固く固定される。支持構造の柔軟な性質により、平面環は、例えば、加えた力によって変形される時、シリコン取付具に対して弾性的に動き得る。
【0004】
平面環構造は、環の周囲に配置されたアクチュエータを用いて、共振モードで振動するように構成できることは、先行技術において周知である。実際には、アクチュエータ対は、平面環を一次共振モードに励起することができ、一次共振モードにおいては、一定振幅の運動が、絶えず維持される。環の平面に垂直な軸を中心に回転が加えられる時、コリオリ力が、エネルギーを結合して、二次振動モードになり、振動の振幅は、加えられた角速度に比例する。よって、コリオリ力によって誘導された振動を測定することができ、その振動を使用して、角速度センサが感じる角運動の速度を計算できる。
【0005】
これらの角速度センサは、容量式変換器、圧電変換器、または、電磁変換器を用いて作動させてよく、これらは、振動モードを駆動及び検出するために、典型的に、直径方向に向かい合った変換器の対として構成される。一次共振モード(Cos2θモード)は、例えば、0度と180度に整列した駆動変換器の対に印加される共通の一次駆動(PD)信号を用いて、通常、達成される。同様に、例えば、90度と270度に配置された2つの直径方向に向かい合った一次ピックオフ(PPO)検出変換器から導出された信号を用いて、振幅を測定できる。
【0006】
環が回転される時に励起される、コリオリ力によって誘導された二次振動モードの運動は、例えば、135度と315度に整列した二次ピックオフ(SPO)検出変換器の対によって、典型的に検出される。この二次振動運動は、直接、測定されてよい、または、より典型的には、誘導された運動は、例えば、45度と225度に整列した二次駆動(SD)変換器によってゼロにされる。この「力のフィードバック」動作モードにおいては、加えられたゼロにする力は、加えられた角速度に正比例し、角速度センサが感じる角運動の速度を決定するのを可能にする。
【0007】
先行技術においては、直径方向に向かい合った駆動変換器の対が用いられて、Cos2θモードに励起するように変換器の対が加えた力は、環の剛体の運動を誘導し得る正味の線形の力を加えない。さらに、向かい合った検出変換器の対を使用すると、加えられた衝撃または振動が原因の面内の運動から生じる摂動信号の検出を防止できる。衝撃が原因のこれらのような摂動信号は、向かい合った検出変換器対によって決定されると位相がずれ、よって、信号を合計すると、相殺される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
振動型ジャイロスコープ及び角速度センサに関する重要な考慮事項は、ノイズ特性であり、ノイズ特性は、SPO検出変換器から信号を受信する検出増幅器のノイズが主要であることは既知である。ノイズ特性を向上させる需要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の態様によると、振動型角速度センサが提供される。振動型角速度センサは、
取付具と、取付具に固定された複数の支持構造と、取付具に対して弾性的に動くように複数の支持構造によって可撓性に支持され振動平面環構造とを含むMEMS構造と、
一次モードにおいて、一次モードの共振周波数で環構造を振動させるように構成された少なくとも1つの一次駆動変換器と、
一次モードにおいて環構造の振動を検出するように構成された少なくとも1つの一次ピックオフ変換器と、
角速度が環構造にほぼ垂直な軸を中心に加えられる時、コリオリ力によって誘導された二次モードの環構造の振動を検出するように構成された少なくとも3つの二次ピックオフ変換器と、
二次モードにおいて誘導された振動をゼロにするように構成された少なくとも1つの二次駆動変換器と、
を含み、
二次ピックオフ変換器の数と二次駆動変換器の数とは奇数で、二次駆動変換器の数は、二次ピックオフ変換器の数より小さい。
【0010】
このような振動型角速度センサにおいては、従来のような駆動変換器の対ではなく、1つの二次駆動変換器のみがあってよい。変換器の物理的な配置を変えることなく、例えば、少なくとも3つの二次ピックオフ変換器があるように、追加の二次ピックオフ変換器を利用可能にしてよい。追加の二次ピックオフ変換器からの検出信号が、既存の検出信号に直接、追加されてよく、それによって、(不要なノイズを加え得る)第2の検出増幅器を用いることなく、信号対ノイズ比を向上させる。
【0011】
本開示によると、奇数の二次駆動変換器とピックオフ変換器とがある。追加の二次ピックオフ変換器は、従来のような対応する直径方向に向かい合った変換器を有さないので、いずれの摂動信号(衝撃が原因の摂動信号等)も、直径方向に向かい合った対に関してのように、相殺されない信号を生成する。しかしながら、これらの摂動信号は、環と共振周波数にないので、振幅が検出増幅器の飽和閾値未満の場合、信号処理電子機器によって拒絶できることに、出願人は気付いた。衝撃及び振動のレベルが低い静的または非動的な環境で測定が行われる時、飽和は一般的には生じないことも、出願人は気付いた。摂動信号が起こりにくい環境、及び/または、比較的長い時間(例えば、10秒以上)にわたって測定が行われる環境においては、直径方向に向かい合った駆動変換器の対の必要性は少ない。このような状況においては、二次駆動変換器の対のうちの1つを検出変換器として別の目的で使用することによって、直径方向に向かい合った駆動変換器の対の場合と比較して、信号対ノイズ比を向上させ得ることに、出願人は気付いた。
【0012】
このようなセンサは、センサが静止しており、必要な角速度範囲が非常に低い地球の回転速度を測定する真北検知(North Finding)等の用途で特に使用されてよい。
【0013】
より多くの二次ピックオフ変換器を有することから利益を得るために、二次ピックオフ変換器からの検出信号を合計してよい。従って、少なくとも一部の例においては、少なくとも3つの二次ピックオフ変換器は、電気的に直列に接続される。
【0014】
二次ピックオフ変換器からの検出信号は、任意の段階で組み合わされてよい。しかしながら、従来のピン接続を保持し、少なくとも3つの二次ピックオフ変換器のそれぞれが共通の出力部に接続されるように配置されることが好ましい。従って、少なくとも一部の例においては、センサは、少なくとも3つの二次ピックオフ変換器のそれぞれから二次ピックオフ信号を受信するように構成された二次ピックオフ信号出力部をさらに含んでよい。
【0015】
二次ピックオフ信号出力部は、アナログ技術またはデジタル技術を用いて、従来のように、その検出信号を増幅してよい。しかしながら、アナログ増幅を適用する時、検出信号の増幅された振幅が、信号対ノイズ比の向上に最も有用であることに、出願人は気付いた。従って、少なくとも一部の例においては、二次ピックオフ信号出力部は、アナログ増幅器を含む。二次ピックオフ信号は、その後、信号がデジタル制御ループに印加される場合でさえ、最初に、アナログ増幅器によって増幅される。
【0016】
閉ループの実施態様において、すなわち、少なくとも1つの二次駆動変換器が二次モードにおいて誘導された振動をゼロにするように構成された実施態様において、二次ピックオフ信号出力部からの検出信号が角速度検出に使用できることは周知である。これは、例えば、米国特許第8,555,717号に記載されており、その内容を、引用により、本明細書に組み込む。少なくとも一部の例においては、センサは、二次ピックオフ信号出力部に接続された速度制御ループをさらに含む。少なくとも一部の例においては、追加で、または、代わりに、センサは、速度出力回路をさらに含み、速度出力回路は、二次ピックオフ信号出力部に接続され、加えられた角速度を表す出力を提供するように構成される。速度出力回路は、速度制御ループを介して二次ピックオフ信号出力部に接続されてよい。
【0017】
閉ループ動作において、二次モードで誘導された振動をゼロにする大きさに設定された二次駆動信号が、少なくとも1つの二次駆動変換器に印加される。本開示によると、二次駆動変換器の数は、低減され、従来のように二次駆動変換器の対の代わりに、1つの二次駆動変換器が使用されてよい。二次駆動変換器の数に関わらず、一次モードにおいて同じレベルの振動を維持することが望ましい場合がある。よって、二次駆動変換器の対ではなく、1つの二次駆動変換器を用いる時、倍率(すなわち、典型的に1度毎秒である、所与の加えられた角速度をゼロにするのに必要な駆動)は、2倍になる。2つの二次駆動変換器を用いるセンサの値と同じになるように倍率を調整することが望ましい場合がある。これは、速度出力回路のゲインを調整(半分)にすることによって達成されてよい。より一般的には、二次駆動信号に、二次駆動変換器の数に応じた係数を掛けてよい。従って、少なくとも一部の例においては、速度制御ループが、少なくとも1つの二次駆動変換器に二次駆動信号を印加するように構成され、二次駆動信号は、二次駆動変換器の数に応じた係数を含む大きさを有する。例えば、3つの二次ピックオフ変換器がある時、係数は2である。従って、係数は、二次駆動変換器の数に応じて選択された乗数であると理解される。そうでない場合、この速度制御ループは、例えば、上記で既に引用により組み込んだ米国特許第8,555,717号に記載された例と同じように実施されてよい。
【0018】
センサは任意の適切な数の一次駆動変換器と一次ピックオフ変換器とを含んでよいことは理解されたい。従来は、偶数の一次駆動変換器と偶数の一次ピックオフ変換器を有し、一次駆動変換器の数と一次ピックオフ変換器の数が同じであるのが通常である。少なくとも前述した理由のために、従来は対称的な対であった。最も一般的には、本明細書に開示のセンサにおいては、一次変換器は、一次駆動変換器の対と一次ピックオフ変換器の対とからなってよい。本開示の少なくとも一部の例においては、センサは、従来の8倍の構成の変換器を保持する。cos2θ振動モードを利用する環を用いて4つの変換器の機能(すなわち、一次駆動、一次ピックオフ、二次駆動、及び、二次ピックオフ)のそれぞれが動作するのを、直径方向に向かい合った変換器の対を用いて従来のように実施するのを可能にするのに必要な最小の変換器の数が8なので、このような構成が望ましい。従って、少なくとも一部の例においては、変換器は、一次駆動変換器の対と、一次ピックオフ変換器の対と、1つの二次駆動変換器と、3つの二次ピックオフ変換器とからなる。
【0019】
本開示の様々な例において、変換器は、振動平面環構造の円周に等角度で間隔をおいて配置される。このような構成は、例えば、上記で既に引用により組み込んだ米国特許第8,555,717号に記載されるように、当分野において周知である。
【0020】
本開示によるセンサは、電磁駆動及び検出スキームに適している。少なくとも一部の例においては、各変換器は、誘導式変換器である。このような構成は、例えば、上記で既に引用により組み込んだ米国特許第8,555,717号に記載されるように、当分野において周知である。
【0021】
本開示によるセンサは、静電駆動及び検出スキームに適している。少なくとも一部の例においては、各変換器は、容量式変換器である。このような構成は、例えば、米国特許第7,958,781号に記載ように、当分野において周知であり、その内容を引用により本明細書に組み込む。
【0022】
MEMS構造は、ウェハエッチング技術を用いて好都合に製造される。少なくとも一部の例においては、MEMS構造は、半導体構造、例えば、シリコン構造である。例えば、取付具、支持構造、及び、環構造は全て、一体構造として同じシリコンウェハからエッチングされてよい。MEMS構造は、任意選択で、基板に固定されてよい、または、基板と基板の間に挟まれてよい。このような基板(複数可)は、ガラスまたはシリコンから形成されてよい。
【0023】
本明細書に開示された様々な回路または制御ループは、通常、MEMS構造においては形成されないが、例えば、ビア(downhole via)及びワイヤボンド等、適切な手段によってMEMS構造に電気的に接続されてよいことは理解されよう。少なくとも一部の例においては、センサは、センサパッケージと、センサパッケージ内に封止されたMEMS構造と、センサパッケージが取り付けられるプリント回路基板とをさらに含んでよく、ここで、プリント回路基板からMEMS構造にセンサパッケージを通して電気的接続が行われる。
【0024】
本開示の一定の例示の実施形態を、図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】先行技術に見られる典型的な振動型角速度センサを示す。
図2】(a)、(b)は、振動型角速度センサの振動平面環構造の一次Cos2θ振動モードと、二次Sin2θ振動モードとを、それぞれ、略図で示す。
図3】先行技術で既知の、振動平面環構造と、関連する制御電子機器との間の接続の標準的な配置を示す。
図4】先行技術で既知の振動型角速度センサの制御電子機器を概略的に示す。
図5】本開示の例による、振動平面環構造と、関連する制御電子機器との間の接続の配置を示す。
図6】本開示の例による、振動型角速度センサの制御電子機器を概略的に示す。
図7】先行技術で既知の振動型角速度センサと本開示の振動型角速度センサに関して決定されたアラン分散と平均時間との間の関係のグラフによる比較である。
図8】容量式振動型角速度センサの振動平面環構造の標準的な配置を示す。
図9】本開示の他の例による、容量式振動型角速度センサの振動平面環構造の配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、例えば、米国特許第8,555,717号に記載され、例示的なジャイロスコープ製品(例えば、Silicon Sensing Ltd製、CRS39ジャイロスコープ及びCRH02ジャイロスコープ)で使用されていることが知られている先行技術から既知のMEMS角速度検出装置1の概略平面図である。
【0027】
角速度検出装置1は、等角度に間隔をおいた8対の柔軟な支持構造5によって支持された平面環3の形態の環状の共振回路からなるMEMS構造10を含み、支持構造5は、平面環3から剛性取付具7に延びる。平面環3、支持構造5、及び、剛性取付具7は、典型的に、半導体材料、例えば、シリコンから形成される。支持構造5は、剛性取付具7及び平面環3と比べて、可撓性または柔軟であり、例えば、加えられた力によって変形される時、平面環3が剛性取付具7に対して弾性的に動くのを可能にする。
【0028】
典型的に、MEMS構造10は、図1に示すように、封止された金属パッケージのベース8に取り付けられ、剛性取付具7上の各トラッキングループの両端からワイヤボンド9を介してパッケージベース8の分離したピン接続部11に電気的接続が行われる。パッケージは、電気回路(図1には示さず)に接続するベース8の接続ピン11を介してプリント回路基板(PCB)に取り付けられる。
【0029】
支持構造5上に矢印として概略的に示される8つの導電性のトラッキングループは、MEMS構造10の表面に構成される。各トラッキングループは、取付具7から、対の第1の脚に沿って、環3の8番目のセグメントを通り、次に、対の隣の脚を介して取付具7に戻る。この例においては、検出装置1は、電磁的に作動される。トラッキングと環3とに垂直な環の円周の周りに磁場ができ、図2aに示すCos2θ振動モードを励起し、電磁的に検出できるようにする。このような誘導式センサは、上記で引用により組み込んだ米国特許第8,555,717号に詳細に記載されている。角速度Ωの回転が環の平面に垂直な軸100を中心に加えられる時(すなわち、図2aのページから)、コリオリ力が、エネルギーを結合して、図2bに示す二次振動モードに入り、振動の振幅は、加えられた角速度に比例する。
【0030】
先行技術から既知の角速度検出装置1のピン301~318の間のPCB上の電気的接続を図3に示す。一次駆動(PD)電流が、PCB上の回路を介して(図4により詳細に示す)PD入力部20でピン312に印加される。PD電流は、MEMS構造10上の第1のトラッキングループを通ってピン311に流れる。従って、ピン311、312は、第1の一次駆動変換器に対応する。ピン311は、PCB上のトラッキング201を介してピン303に接続され、PD電流は、次に、第2のトラッキングループを通ってピン302に流れる。ピン302、303は、第1の一次駆動変換器と直径方向に向かい合い、一次駆動変換器の対称的な対を形成する第2の一次駆動変換器に対応する。同様に、第1の一次検出またはピックオフ(PPO)トラッキングループが、ピン316から環の第8のセグメントを通ってピン317に接続し、ピン317は、PCB上のトラッキング221を介してピン307に電気的に接続される。第2のトラッキングループは、ピン307から第2のMEMS環セグメントを介してピン308につながり、ピン308は、次に、PCB上のPPO出力部22に接続される。ピン316、317と、307、308とは、直径方向に向かい合った一次ピックオフ変換器の対称的な対に対応する。
【0031】
2つの二次駆動(SD)ループセグメントのうち、第1のSDループセグメントは、ピン310及び309に接続され、第2のSDループセグメントは、ピン301及び318に接続される。2つの二次駆動(SD)ループセグメントは、同様に、PCB上のピン309と301の間のトラッキング211によって直列に接続され、SD入力部21からピン310を介してSD電流が印加される。ピン309、310と、301、318とは、直径方向に向かい合った二次駆動変換器の対称的な対に対応する。ピン313とピン315の間の二次検出またはピックオフ(SPO)ループは、PCB上のトラッキング231によってピン304とピン306との間の第2のループに接続される。ピン306は、PCB上のSPO出力部23に接続する。ピン313、315と、304、306とは、直径方向に向かい合った二次ピックオフ変換器の対称的な対に対応する。ピン305及び314は、MEMS構造10をPCBグラウンドに接続する。
【0032】
図4は、先行技術による、角速度検出装置1のための従来の制御電子機器の実施態様の概略図を示す。図3に示すように構成された一次制御ループから導出された一次駆動(PD)信号は、0度と180度で直径方向に向かい合ったPD変換器41a、41bにPD入力部20を介して印加される。結果として生じる環の運動は、90度と270のPPO変換器の対42a、42bを用いて検出される。PPO信号は、例えば、フロントエンド増幅器を含む出力部22に印加され、次に、復調されて、位相ロックループ(PLL)45に印加され、PLL45は、PD入力部20で印加されたPD信号とPPO出力部22からのPPO信号との間の位相差を測定する。次に、PLL出力部を使用して、電圧制御オシレータ(VCO)46を調整し、VCO46は、一次駆動信号周波数を調整して、加えられた駆動力と誘導された共振運動との間の90度の位相シフトを維持する。復調されたPPO信号も自動ゲイン制御(AGC)ループ47に印加され、AGCループ47は、信号レベルを一定の基準電圧V0と比較して、PD信号の振幅を調整して、PPO増幅器22で一定の信号レベル、よって、一定の振幅を維持する。
【0033】
SPO変換器43a、43bからの信号は、出力部23に印加され、次に、復調器48a、48bで復調されて、実信号成分と直交信号成分とを分離する。実成分は、一次モード運動と同位相で、加えられた回転が原因で生じるコリオリ力によって生成される。直交成分は、2つの振動モード間の周波数一致の誤差によって生じ、速度によって誘導された信号と分離する必要がある。
【0034】
復調器48a、48bで復調された後、SPOの実信号と直交信号は、フィルタリングされて(ブロック400、402)ノイズと帯域幅という点で必要なシステム性能を達成する。速度出力回路440において、実成分は、フィルタリングされ(ブロック404)、出力されて(ブロック406)加えられた角速度を表す出力を提供する。速度制御ループ450において、ブロック400、402からのフィルタリングされた実信号成分及び直交信号成分は、次に、変調器481a、481bで再変調され、合計され、二次駆動信号VSDがSD入力部21に印加されて、二次駆動変換器44a、44bを駆動して、角速度検出装置1の二次モード運動をゼロにする。
【0035】
図3及び図4に示す先行技術の実施態様は、一次駆動変換器41a、41b、二次駆動変換器44a、44b、一次検出またはピックオフ変換器42a、42b、及び、二次検出またはピックオフ変換器43a、43bに関して、直径方向に向かい合った変換器の対を採用する。しかしながら、高い角速度入力が起こりにくい(例えば、真北検知)の適用においては、1つの二次駆動変換器44a、44bで、二次モードをゼロにするのに十分であり、それによって、使用していない二次駆動変換器を検出変換器として別の目的に使用することが可能になることに、出願人は気付いた。
【0036】
図4から分かるように、二次駆動変換器44a、44bは、標準的な二次検出変換器の対43a、43bに対して90度に配置される。結果として、二次駆動変換器44a、44bのうちの1つが、図6に示すように、追加の二次検出変換器43cとして別の目的で使用されたとすると、検出される信号はいずれも、cos2θ運動のために、二次駆動変換器の対の信号と比べて逆位相となる。
【0037】
図3及び図4に示す角速度センサ等、先行技術で既知の角速度センサの標準的な構成に修正を行って、追加の検出変換器信号が第2の検出チャネルに直接、追加できるようにし、これによって、信号対ノイズ比が3/2倍、向上するのを可能にしてよい。これらの修正が、図5及び図6にそれぞれ示すように、PCB接続部及び制御電子機器に行われてよい。
【0038】
図5は、本開示の例による角速度検出装置1の修正された電気的接続のセットを示す。MEMS構造10は、先行技術に記載した図1に示す構造と同等であるが、MEMS構造10と制御回路との間の電気的接続は、ピン501~518の間の適切な接続を変更することによって修正される。
【0039】
図5において、一次駆動(PD)電流が、(図4により詳細に示す)PD入力部20でPCB上の回路を介してピン512に印加される。電流は、MEMS構造10上の第1のトラッキングループを通ってピン511に流れる。ピン511は、PCB上のトラッキング201を介してピン503に接続され、次に、電流が、第2のトラッキングループを通ってピン502に流れる。同様に、第1の一次検出(PPO)トラッキングループが、ピン516から環の第8のセグメントを通り、ピン517に接続し、ピン517は、PCB上のトラッキング221を介してピン507に電気的に接続される。第2のトラッキングループは、ピン507から第2の環のセグメントを介して、ピン508につながり、ピン508は、次に、PPO出力部22に接続される。一次駆動接続部及び一次ピックオフ接続部は、先行技術に記載し、図3に示すものと同じである。
【0040】
二次駆動(SD)ループセグメントは、先行技術と比較して、修正されている。二次駆動入力部21は、ピン510に接続され、電流は、1つのトラッキングループセグメントを通ってピン509に流れる。先行技術とは異なり、二次駆動電流は、1つのトラッキングループセグメント、すなわち、ピン509、510に対応する1つの二次駆動変換器を介してのみ印加される。トラッキングループ211を介したピン501及び518へのさらなる接続は無い。代わりに、ピン501及び518は、二次検出ループセグメントに含まれ、よって、追加の二次ピックオフ変換器に対応する。
【0041】
二次検出またはピックオフ(SPO)ループは、PCB上のSPO出力部23からピン506とピン504との間のループに接続される。ピン504は、ピン518とピン501との間の追加のループにトラッキング241によって接続され、追加のループは、トラッキング251を介してピン515とピン513との間のループセグメントにさらに接続される。このように、3つのトラッキングループセグメントが、二次検出ループに含まれる。
【0042】
二次検出ループに追加された追加の二次ピックオフ変換器は、追加の二次ピックオフ変換器信号を二次センサチャネルに提供し、信号対ノイズ比の3/2倍の向上を可能にし得る。信号対ノイズ比のこの向上は、MEMS構造10もパッケージも変更することなく達成でき、また、図5に関連して記載したもの等、PCBへの簡単な接続の修正しか必要としない。よって、これらの修正は、非常に簡単に低コストで実施し得る。
【0043】
図6は、本開示の例による角速度検出装置1のため制御電子機器の実施態様の概略図を示す。制御電子機器は、図4に示す先行技術の実施態様に関して記載した制御電子機器とほとんど同じように実施されてよい。
【0044】
一次制御ループから導出された一次駆動(PD)信号は、0度、180度で直径方向に向かい合ったPD変換器41a、41bに入力部(例えば、増幅器)20を介して印加される。結果として生じる環の運動が、90度と270度のPPO変換器の対42a、42bを用いて検出される。このPPO信号は、出力部(例えば、増幅器)22に印加され、次に、復調され、位相ロックループ(PLL)45に印加され、PLL45は、入力部20で印加されたPD信号と出力部22からのPPO信号との間の位相差を測定する。
【0045】
次に、PLL出力部を使用して、電圧制御オシレータ(VCO)46を調整し、VCO46は、駆動周波数を調整して、加えられた駆動力と誘導された共振運動との間の90度の位相シフトを維持する。復調されたPPO信号も自動ゲイン制御(AGC)ループ47に印加され、AGCループ47は、信号レベルを固定の基準電圧V0と比較して、PD信号振幅を調整して、PPO出力部22で一定の信号レベルに、よって、一定の振幅に維持する。
【0046】
図6に示す実施形態においては、SPO変換器43a、43b、43cからの信号は、追加の二次変換器43cからの信号を含み、復調される前に、SPO出力部23に印加されて、実信号成分と直交信号成分を分離する。
【0047】
復調器48a、48bで復調された後、SPOの実信号と直交信号は、フィルタリングされて(ブロック400、402)、ノイズと帯域幅という点で必要なシステム性能を達成する。速度出力回路440において、実成分は、フィルタリングされ(ブロック404)、出力されて(ブロック406)、加えられた角速度を表す出力を提供する。速度制御ループ450において、ブロック400、402からのフィルタリングされた実信号成分と直交信号成分とは、次に、変調器481a、481bで再変調され、合計され、二次駆動変換器の数に応じて、係数βが掛けられる。大きさβVSDの二次駆動信号が、次に、SD入力部21に印加されて、二次駆動変換器44bを駆動して、角速度検出装置1の二次モードの運動をゼロにする。
【0048】
重要なことは、図4に示す先行技術の制御回路と比較する時、本開示のこの例においては、角速度センサ1の実施のためにフィードバック電子機器を大きく変更する必要が無い。2つではなく、1つの二次駆動変換器44bのみを備えるという事実により、必要なゼロにする力を届けるのに必要な駆動電圧は、2倍になり、従って、図6に示すように、係数β(ここで、β=2)に対応する倍数で駆動電圧を変更する。必要に応じて、出力スケーリングは、ブロック406で出力される前に、係数1/βを掛けることによって調整できる。
【0049】
本開示の例による角速度検出装置のノイズ特性と、先行技術で既知の角速度検出装置のノイズ特性とを図7で比較する。図7は、アラン分散の比較を示し、アラン分散比較は、両対数スケールで速度出力データの時系列の平均時間の関数として、角速度センサの時間当たりの度で出力ノイズを示す。曲線71は、先行技術から既知の標準的な角速度検出装置のアラン分散を示し、曲線72は、本開示による、すなわち、追加の二次検出トラッキングループを含む角速度検出装置を用いて測定された結果を示す。
【0050】
本開示の角速度センサのノイズレベルは、先行技術から既知の角速度センサに関して測定されたノイズレベルと比較して、平均時間範囲の大半にわたって、~2/3だけ低減されることが、図7から分かる。これらの向上したノイズ特性は、それに応じて、達成できる真北検知の精度を向上させる。
【0051】
二次駆動変換器を二次検出またはピックオフ変換器として他の目的に使用するという概念は、米国特許第7,958,781号等に記載する、容量式振動型角速度センサにも適用されてよい。この設計の変換器は、環が共通の蓄電板を形成する別個の蓄電板からなる。既知の誘導式設計と同じように、各駆動及び検出機能のための変換器は、直径方向に向かい合った対からなる。この設計のために、駆動板と検出板とは、環の円周の反対側に位置する。この構成は、米国特許第7,958,781号に記載の性能の長所を有する。
【0052】
図8(米国特許第7,958,781号から取った)は、環142の内周及び外周のまわりの容量式変換器の構成の概略図を示す。一次駆動変換器145a及び145bと、二次駆動変換器146a及び146bとは、環の外側に位置し、一次検出変換器147a及び147bと二次検出変換器148a及び148bは、内側に位置する。本開示の他の例においては、このような構成は、図9に概略的に示すように修正されてよい。二次駆動によってゼロにすることは、1つの二次駆動変換器146aのみを用いて行われてよく、対の他方の変換器は、二次検出変換器の対148a及び148bに電気的に接続されて、第3の二次検出またはピックオフ変換器148cを形成して、SPO出力部に入力される信号を1.5倍だけ増加させる。図9に示す修正された構成は、前述し、図7で証明した誘導式センサで達成されたのと同じノイズ低減利益を提供する。
【0053】
本開示の1つまたは複数の特定の例を記載することによって本開示を説明したが、本開示はこれらの例に限らず、多くの変形及び修正が請求項の範囲内で可能であることを当業者は理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9