(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】平面状固体酸化物燃料ユニットセルおよびスタック
(51)【国際特許分類】
H01M 8/2432 20160101AFI20230425BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20230425BHJP
H01M 4/86 20060101ALI20230425BHJP
H01M 8/02 20160101ALI20230425BHJP
H01M 8/021 20160101ALI20230425BHJP
H01M 8/0232 20160101ALI20230425BHJP
H01M 8/0247 20160101ALI20230425BHJP
H01M 8/0258 20160101ALI20230425BHJP
H01M 8/0273 20160101ALI20230425BHJP
H01M 8/0276 20160101ALI20230425BHJP
H01M 8/0282 20160101ALI20230425BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20230425BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20230425BHJP
H01M 8/1213 20160101ALI20230425BHJP
H01M 8/2465 20160101ALI20230425BHJP
H01M 8/2483 20160101ALI20230425BHJP
【FI】
H01M8/2432
H01M8/12 101
H01M4/86 M
H01M8/02
H01M8/021
H01M8/0232
H01M8/0247
H01M8/0258
H01M8/0273
H01M8/0276
H01M8/0282
H01M8/04 Z
H01M8/04014
H01M8/12 102A
H01M8/1213
H01M8/2465
H01M8/2483
(21)【出願番号】P 2019529144
(86)(22)【出願日】2017-08-10
(86)【国際出願番号】 US2017046246
(87)【国際公開番号】W WO2018031742
(87)【国際公開日】2018-02-15
【審査請求日】2020-06-24
(32)【優先日】2016-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519044667
【氏名又は名称】アップスタート パワー、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パルンボ、ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】パースキー、ジョシュア、イー.
【審査官】川口 由紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-091867(JP,A)
【文献】特表2003-501796(JP,A)
【文献】特開2009-231172(JP,A)
【文献】特表2007-506256(JP,A)
【文献】特開2010-140656(JP,A)
【文献】特開2009-217959(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0064612(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/2432
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SOFCセルユニット(1010、3010、4010)であって、
セル室(1120、1400)を囲むように形成されたスペーサプレート(1100)と、
前記セル室の内側に支持されており、SOFC動作温度で動作しながら、電気化学エネルギー発生用に構成された固体酸化物燃料セル(2000、2100、2200)と、
前記スペーサプレート(1100)に隣接して配置され、前記固体酸化物燃料セル(2000、2100、2200)のアノード表面(2020)に対向されたアノードフロープレート(1200)であって、前記アノードフロープレートの表面は、前記セル室の第1の端の上全体に延在する、アノードフロープレート(1200)と、
前記スペーサプレート(1100)に隣接して配置され、前記固体酸化物燃料セル(2000、2100、2200)のカソード表面(2040)に対向されたカソードフロープレート(1300)であって、前記カソードフロープレートの表面は、前記セル室の第2の端の上全体に延在する、カソードフロープレート(1300)と、を備え、
前記スペーサプレートおよび前記カソードフロープレートは、熱伝導的に結合され、共に固体体積部を形成しており、
前記固体体積部は、350℃で100W/mK以上の熱伝導率を有する材料を含む、SOFCセルユニット。
【請求項2】
前記固体体積部が、600~1200℃のSOFC動作温度範囲にわたって、前記固体体積部を1000℃以下に維持するのに十分な熱質量を含む、請求項1に記載のSOFCセルユニット。
【請求項3】
前記固体体積部が、350℃で330W/mK以上の熱伝導率を有する銅を含む、請求項2に記載のSOFCセルユニット。
【請求項4】
前記固体体積部が、350~550℃のSOFC動作温度範囲にわたって、前記固体体積部を500℃以下に維持するのに十分な熱質量を含む、請求項1に記載のSOFCセルユニット。
【請求項5】
前記固体体積部が、350℃で165W/mK以上の熱伝導率を有するアルミニウムを含む、請求項4に記載のSOFCセルユニット。
【請求項6】
前記固体酸化物燃料セルが、固体アノード電極層(2020)と固体カソード電極層(2040)との間に挟まれた固体電解質層(2100)を含み、前記アノード電極層および前記固体カソード電極層の各々が、前記固体電解質層の対向表面と接触している、請求項1に記載のSOFCセルユニット。
【請求項7】
前記固体酸化物燃料セル(2000)を前記セルユニットの内側に支持するシールをさらに含む、請求項1に記載のSOFCセルユニット。
【請求項8】
前記セル室が、
前記固体酸化物燃料セルによって支持されたアノード表面と、前記アノードフロープレートの表面とによって囲まれている、アノードガス供給室(1420)と、
前記固体酸化物燃料セルによって支持されたカソード表面と、前記カソードフロープレートの表面とによって囲まれている、カソードガス供給室(1430)と、
アノードガス流を前記アノードガス供給室に送達するためのアノードガスマニホールド(1620)から延在する、アノードガス入口チャネル(1220)と、
カソードガス流を前記カソードガス供給室に送達するためのカソードガスマニホールド(1620)から延在する、カソードガス入口チャネル(1320)と、
前記アノードガス供給室から前記アノードガス流を除去するために、前記アノードガス供給室から排気ガスマニホールド(1650)まで延在する、アノードガス出口通路(1230)と、
前記カソードガス供給室から前記排気ガスマニホールド(1650)まで延在する、カソードガス出口通路(1330)であって、前記排気ガスマニホールド(1650)が、前記アノードガス供給室から前記カソードガス流を除去するために、前記カソードガス出口通路(1330)に整列した穴を有する、前記カソードガス出口通路(1330)とを備え、
前記アノードガス入口チャネル、前記アノードガスマニホールド、前記アノードガス出口通路、前記カソード
ガス入口チャネル、前記カソードガスマニホールド、前記カソードガス出口通路、および前記排気ガスマニホールドの各々は、前記固体体積部および前記アノードフロープレートの両方を通過する、請求項1に記載のSOFCセルユニット。
【請求項9】
前記カソードフロープレート(1300)の内側に形成された排気ガス燃焼室(1340)をさらに備え、前記排気ガス燃焼室は、第1のセルユニットの前記カソードガス出口通路(1330)、第2のセルユニットの前記アノードガス出口通路(1230)、および前記排気ガスマニホールド(1650)の各々と流体連通し、前記排気ガス燃焼室は、前記第1の
セルユニットからの前記カソードガス流、および前記第2の
セルユニットからの前記アノードガス流を受け取る、請求項8に記載のSOFCセルユニット。
【請求項10】
前記アノードフロープレートと前記固体酸化物燃料セルとの間の前記アノードガス供給室の内側に配置され、かつ前記アノードガス供給室の周縁部を封止するように形成されている、第1のコンプライアントシール要素(1800)と、
前記カソードフロープレートと前記固体酸化物燃料セルとの間の前記カソードガス供給室の内側に配置され、前記カソードガス供給室の周縁部を封止するように形成されている、第2のコンプライアントシール要素(1800)と、をさらに備え、
前記第1および第2のコンプライアントシール要素の各々が、前記SOFC
セルユニットの表面と前記セル室の表面との間の接触を伴わずに前記セル室の内側で前記固体酸化物燃料セルを支持する、請求項8に記載のSOFCセルユニット。
【請求項11】
前記第1および第2のコンプライアントシール要素の各々が、0.3MPa以下の弾性率を有するマットセラミックウールを含むコンプライアント不織布を含む、請求項10に記載のSOFCセルユニット。
【請求項12】
前記アノードフロープレートと前記アノード表面との間の前記アノードガス供給室の内側に配置された第1のコンプライアントシール要素であって、前記第1のコンプライアントシール要素が前記アノード表面に直交する方向に向けられた圧縮力を加えるように構成されており、かつ前記アノード表面から前記アノードフロープレートまで延在する導電性および熱伝導性経路を提供するようにさらに構成されている、第1のコンプライアントシール要素と、
前記カソードフロープレートと前記カソード表面との間の前記カソードガス供給室の内側に配置された第2のコンプライアントシール要素であって、前記第2のコンプライアントシール要素が前記カソード表面に直交する方向に向けられた圧縮力を加えるように構成されており、かつ前記カソード表面から前記カソードフロープレートまで延在する導電性および熱伝導性経路を提供するようにさらに構成されている、第2のコンプライアントシール要素と、をさらに備える、請求項8に記載のSOFCセルユニット。
【請求項13】
前記第1のコンプライアントシール要素と第2のコンプライアントシール要素とが同じであり、かつ各々のコンプライアントシール要素が、
銅を含む多孔質メッシュおよび多孔質フォームのうちの1つ、または
0.05~2.3mm(0.002~0.09インチ)の厚さを有する金属シートから形成されており、かつ基部と、前記基部から延在する複数の可撓性タブ部(3535)とを含むように形成されている形成プレート(3532)であって、前記形成プレートが銅を含む、前記形成プレート
を含む、請求項12に記載のSOFCセルユニット。
【請求項14】
SOFCスタックであって、
上下に積み重ねられている、請求項12に記載の複数の前記SOFCセルユニットと、
各スペーサプレートと、それに隣接して位置付けられた前記アノードフロープレートとの間に配置された電気絶縁層(1850)と、
各ユニットセルの前記カソードフロープレートに直列に接続された第1の電気端子(7112)と、
各ユニットセルの前記アノードフロープレートに直列に接続された第2の電気端子(7114)と、を備える、SOFCスタック。
【請求項15】
前記SOFCスタック内の各アノードフロープレートの第1の表面と接触して配置された第1のライナプレート(4710)と、
前記アノードフロープレートとそれに対応する前記スペーサプレートとの間の、前記SOFCスタック内の各アノードフロープレートの第2の表面と接触して配置された第2のライナプレート(4720)と、
前記カソードフロープレートとそれに対応する前記スペーサプレートとの間の、前記SOFCスタック内の各カソードフロープレートの第1の表面と接触して配置された第3のライナプレート(4730)と、をさらに備え、
前記第1のライナプレート、前記第2のライナプレート、および前記第3のライナプレートの各々が、ニッケルおよび銅を含むか、またはニッケル、モリブデン、クロム、および鉄を含む、高温耐酸化性合金を含む、請求項14に記載のSOFCスタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1 著作権表示
本特許文書の開示の一部は、著作権保護の対象である資料を含み得る。著作権の所有者は、特許商標庁の特許ファイルまたは記録に現れる、特許文書または特許開示のいずれかの者によるファクシミリ複製には異議を唱えないが、それ以外の場合は全ての著作権を留保する。以下の通知が本文書に適用される。著作権(著作権)Protonex Technology Corp.、Ballard Corp.の一部門
【0002】
2.1技術分野
本明細書における例示的で具体的な技術は、平面状要素から形成されたユニットセル、およびそのユニットセルのスタックに関する。
本明細書の技術は、電気化学発電に適用される。
【背景技術】
【0003】
2.2 関連技術
厳密に関連する従来のデバイスは、2013年11月12日に公開されたYaguchiらの米国特許第8,580,452号(B2)に開示されている。Yaguchiは、各々オーステナイト系ステンレス鋼SUS316から作製されたケース(20)およびガスガイド部材(50)を含む燃料セルスタックを囲む熱伝導性要素、ならびにガスガイド部材(60)および(200)を開示している。ガスガイド部材(60)および(200)は、燃料セルスタックとガスガイド部材(50)との間で燃料セルスタックを囲む。両方の部材(60)および(200)は、ガスガイド部材への熱伝達の効率を改善すると言われている。各ガスガイド部材を形成するために使用される材料は、電気絶縁性および熱伝導性として記載されている。しかしながら、Yaguchiの
図2Aに示されているガイド部材(60)の形態および材料組成は開示されておらず、Yaguchiの
図12Bに示されている層(200)の材料はセラミック絶縁材料として記載されている。Yaguchiによって開示されたこのシステムに関する1つの問題は、部材(60)および(200)が銅などの材料と比較して比較的低い、または開示されていない熱伝導率を有し、したがって比較的貧弱な熱伝導体であることである。別の問題は、開示されたガスガイド部材が0.1mmの厚さを有し、これは熱伝導のための多くの熱質量を提供しないことである。当該技術分野では、熱伝導を改善することによってSOFCスタック内の熱エネルギー管理を改善する必要がある。
【0004】
従来の平面状SOFCスタックは、アノードガスおよびカソードガスがセルおよび他のスタック構成要素を越えて漏出することを防止するための気密シールを含み、これは、ガスの混合および燃焼をもたらし、局所的なホットスポットを引き起こし、最終的にスタックの故障を引き起こす。従来の気密シールには、硬質結合ガラスまたはガラスセラミック複合シール、順応的結合シール、および圧縮ガスケットシールが含まれる。気密シールは、形成するのが困難であり、注意深く設計し、SOFCスタックを組み立てる必要がある。従来の気密シールに伴う1つの問題は、製造時の欠陥に起因するか、またはスタックの動作中の熱的および機械的応力による損傷によって引き起こされるかのいずれかで、それらが漏出を含む、または漏出を発生する可能性があることである。名目上気密シールに漏出があると、スタック性能が低下する可能性がある。スタックの設計に依存して、漏出が発生するとスタックが役に立たなくなるか、困難で費用のかかるスタックの修復が必要になる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第8,580,452号明細書
【文献】米国特許第7,553,579号明細書
【文献】米国特許第6,902,798号明細書
【文献】米国特許出願公開第2009/0142639号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の平面状SOFCスタックは、例えば、スタック構成要素間で圧縮されたメタルガスケットおよびマイカシートシールを含む圧縮シールを含むことができる。従来の圧縮シールに関する1つの問題は、圧縮シールを気密にするために大量の圧縮力が必要とされることである。従来の圧縮シールに関する別の問題は、金属ガスケット圧縮シールが短絡を引き起こす可能性があることである。
【0007】
従来の平面状SOFCスタックは、スタック構成要素に接合された、ガラス、またはガラスとセラミックとの組み合わせなどの硬質の気密シール材料を含むことができる。硬質気密シール複合ガラス/セラミック材料の例には、CaO-SiO2およびBaO-Al2O3-SiO2が含まれる。接着された硬質気密シールに関する1つの問題は、SOFCシステムまたはSOFCスタックへの振動および機械的衝撃によって引き起こされる応力が、硬質シールによってセルに伝達され、それによってセルが割れまたは破損することがあることである。硬質気密SOFCシールが使用されるとき、SOFCスタック全体が単一のユニットとして形成されることが多く、1つのセルが破損するとスタック全体がもはや使用可能ではないようになる。硬質気密シールに関する別の問題は、シール材料の熱膨張係数がスタック動作温度範囲下での平面状SOFCの熱膨張係数と厳密に一致するように、シール材料を慎重に選択しなければならないことである。熱膨張係数の整合は、SOFCスタックの熱サイクル中のシールおよびSOFC材料の膨張および収縮の差による機械的応力および亀裂を低減するために必要である。接着気密SOFCシールのさらなる問題は、SOFCとシール材料の熱膨張係数が密接に一致している場合であっても、SOFCスタックの熱サイクル中に、厳密にまたは順応的に接着したセルが大きな剪断応力および主応力を受けることがあることである。例えば、硬質シールで接着されたSOFCは、熱膨張係数が厳密に一致しているにもかかわらず、145MPaもの高い剪断応力および20~25MPaの最大主応力を受けることがある。コンプライアントシールで接着した場合でも、最大SOFC応力は約23MPaになることがある。
【0008】
2009年6月30日に公開されたCouseおよびTangの米国特許第7,553,579号(B2)は、2009年6月30日に公開されたGhoshおよびThompsonの米国特許第6,902,798号(B2)にさらに詳細に記載されるコンプライアントシールを含む平面状SOFCスタックを記載する。CouseおよびTangは、SOFCが硬質SOFCスタック構成要素と接触しないようにコンプライアントシールによって支持されている「浮遊」平面状固体酸化物燃料セルを記載している。GhoshおよびThompsonに記載されたコンプライアントシールは、アルミナフェルトまたはマットにセラミックまたはガラス粒子を含浸させ、それがSOFCスタックに組み立てられるときに、シールするときに加えられる力よりも大きい圧縮力を加えるために油圧プレスを使用して、複合構造を予備圧縮することによって形成される。セラミックまたはガラス粒子は、複合シール材料を通るガスの通過を妨げることを目的としている。記載されたシールに関する1つの問題は、それらが未処理および未圧縮アルミナフェルトまたはマットのコンプライアンスを保持しないことである。GhoshおよびThompsonは、形成されたシールの圧縮率を開示していないが、それは、含浸されていない、および圧縮されていないアルミナフェルトまたはマット材料ほどには順応的ではないことを認め、シールが「ある程度の順応性を保持する」と述べている。記載されたシールに関する別の問題は、それらが支持する平面状SOFCの厚さの約4分の1であり、その結果、シールが機械的負荷を吸収するためにコンプライアンスを保持する場合であっても、比較的薄いシールは、変形に適応するために限られた厚さを保持し、それによって機械的負荷を吸収する。
【0009】
2009年6月4日に公開されたGregorskiの米国特許出願公開第2009/0142639号(A1)は、実質的に気密シールを提供するために指定された厚さに圧縮されたアルミナフェルトシールによって支持された平面状SOFCを記載している。Gregorskiの1つの問題は、フェルトシールが元のシールの高さの約42%圧縮されて実質的に気密シールが得られることである。圧縮アルミナフェルトシールは、圧縮されていないか、またはより少ない程度に圧縮されているかのいずれかであるシールほど順応的ではない。フェルトシールに関する別の問題は、シールが実質的に気密のシールを得るのに必要とされるよりもわずかに大きく、例えば47~52%の圧縮で変形するとき、SOFC亀裂が本発明者らによって認められたことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の特徴は、例示の目的のために選択され添付の図面に示された、本発明の詳細な説明およびその例示的な実施形態から最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本技術に従う、非限定的な例示的な固体酸化物燃料セルスタックアセンブリを通って取られた概略側面断面図を示す。
【
図2A】本技術に従う、非限定的な例示的な電解質支持固体酸化物燃料セルを通って取られた概略側面断面図を示す。
【
図2B】本技術に従う、非限定的な例示的なアノード支持固体酸化物燃料セルを通って取られた概略側面断面図を示す。
【
図2C】本技術に従う、非限定的な例示的な金属支持固体酸化物燃料セルを通って取られた概略側面断面図を示す。
【
図3A】本技術に従う、非限定的な例示的な形成プレート相互接続部の概略図を示す。
【
図3B】本技術に従う、非限定的な例示的な固体酸化物燃料セルスタックアセンブリを通って取られた概略側面断面図を示す。
【
図4】本技術に従う、非限定的な例示的な固体酸化物燃料セルスタックアセンブリを通って取られた概略側面断面図を示す。
【
図5】本技術に従う、固体酸化物燃料セルスタックアセンブリの例示的なガス流経路の概略図を示す。
【
図6】本技術に従う、固体酸化物燃料セルスタックアセンブリの例示的なガス流経路の概略図を示す。
【
図7】本技術に従う、非限定的な例示的な固体酸化物燃料セルシステムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
4.1 定義
別段の指示がない限り、以下の定義が全体を通して使用される。
【表1】
【0013】
4.2 項目番号リスト
別段の指示がない限り、以下の項目番号は全体を通して使用される。
【表2-1】
【表2-2】
【0014】
4.3 例示的なシステムアーキテクチャ
図1、3B、および4を参照すると、複数のセルユニット(1010、3010、4010)を備える高出力固体酸化物燃料セル(HP-SOFC)スタック(1000、3000、4000)が概略側面断面図で示されている。HP-SOFCスタックは、描かれているよりも多いまたは少ないセルユニットを含むことができ、例えば、HP-SOFCスタックは、3、4、10個、またはそれ以上のセルユニットを含むことができる。好ましい実施形態において、HP-SOFCスタックは18個のセルユニットを含む。
【0015】
各セルユニット(1010、3010、4010)は平面状SOFC(2000、2100、または2200)を含む。
図2A、
図2B、および
図2Cを参照すると、平面状SOFCは、電解質支持SOFC(2000)、アノード支持SOFC(2100)、または金属支持SOFC(2200)を含むことができる。セルユニット(1010および1030)は、電解質支持SOFC(2000)を各々含むものとして示されており、セルユニット(3010)はアノード支持SOFC(2100)を含むものとして示されている。開示された技術の概念から離れることなく、各セルユニット(1010、3010、4010)は、任意の平面状SOFC(2000、2100、2200)または他の好適な平面状SOFC(図示せず)を含むことができることが認識される。
【0016】
図2Aを参照すると、平面状電解質支持SOFC(2000)が側面断面図で示されている。平面状電解質支持SOFC(2000)は、完全にまたは部分的に安定化されたジルコニア、ドープセリア、ドープLaGaO
3およびドープBi
2O
3、例えば、イットリア安定化ジルコニア(Yttria Stabilized Zirconia(YSZ))に基づく電解質材料などの任意の好適なSOFC電解質材料を含む電解質層(2010)を含む。
【0017】
電解質支持平面状SOFC(2000)のアノード表面(2022)は、電解質(2010)上に配置され、それによって支持されているアノード電極(2020)を含む。アノード電極層は、例えば、NiまたはNiドープセリアを含む任意の好適なSOFCアノード電極材料から形成することができる。
【0018】
アノード表面に対向するカソード表面(2042)は、電解質上に配置され、電解質によって支持されたカソード電極(2040)を含む。非限定的な例において、カソード電極は、ストロンチウムドープランタンマンガナイト(La1-xSrxMnO3(LSM))、Ba0.5Sr0.5Co0.6Fe0.4O3-5(BSCF)、La1-xSrxFe1-yCoyO3(LSCF)およびPr1-xSrxFeO3(PSF)グループカソード材料、および他の任意の好適なSOFCカソード材料を含む1つ以上の従来のSOFCカソード電極材料から形成される。
【0019】
集電体層(2050)は、カソード電極のカソード表面(2042)上に配置され、かつ部分的にそれを覆う。集電体層(2050)は、スクリーン印刷または他の任意の好適な材料層堆積方法を使用して導電性材料をカソード表面(2042)上に堆積することによって形成することができる。非限定的な例示的な実施形態において、集電体(2050)はステンレス鋼から形成される。
【0020】
さらなる実施形態において、セルユニット(1010、3010、4010)は、例えばアノードまたは金属支持平面状SOFCなどの異なる構成を有するSOFCを含むことができる。
図2Bおよび
図2Cを参照すると、アノード支持SOFC(2100)および金属支持SOFC(2200)が側面断面図で示されている。
【0021】
アノード支持平面状SOFC(2100)は、アノード表面(2122)を含むアノード電極(2120)を含む。アノード電極(2120)は、カソード表面(2142)上に配置された電解質層(2110)、カソード層(2140)、および集電体層(2150)を支持する。アノード電極(2120)は、任意の好適なSOFCアノード電極材料、例えば、NiO-YSZサーメット、チタン酸ストロンチウムをベースとするペロブスカイト材料、クロム酸ランタン、およびセリアをベースとする蛍石材料を含むことができる。アノード電極(2120)は、テープキャスティングまたはダイプレスなどの方法を使用して形成することができる。薄膜堆積技術を使用して、アノード電極(2120)上に電解質(2110)の薄層を堆積させることができる。
【0022】
金属支持平面状SOFC(2200)は、電解質層(2210)、カソード層(2240)、およびカソード表面(2242)上に配置された集電体層(2250)を支持する多孔質金属プレート(2260)を含む。実施形態において、多孔質金属プレート(2260)は多孔質ステンレス鋼を含む材料から形成される。多孔質金属プレート(2260)はアノード電極として機能することができるので、金属支持SOFC(2200)は別個のアノード電極層を必要としなくてもよく、金属プレート表面(2262)はアノード表面(2022、2122)と等価である。追加の非限定的な実施形態(図示せず)において、アノード電極材料の層が多孔質金属プレート(2260)と電解質層(2210)との間に配置される。
【0023】
さらなる例示的な平面状SOFC(図示せず)は、金属支持平面状SOFC(2200)と実質的に同様の構成を有するセラミック支持SOFCを含み、多孔質セラミックプレートが金属プレート(2260)の代わりに用いられ、アノード層が多孔質セラミックプレートとカソード電極層(2240)の間に配置される。
【0024】
図1、3B、および4を参照すると、各セルユニット(1010)はスペーサプレート(1100)を含む。スペーサプレートは、環状側壁(1110)によって囲まれた中央空洞(1120)を含むように形成されている。中央空洞は、固体円形スペーサプレート(1100)を貫通する円形スルーホールによって形成されてもよい。円形孔は、スペーサプレートの対向表面上に頂部および底部円形開口部を形成する。他の実施形態において、開口部およびプレートの形状は異なってもよく、例えば正方形、長方形または他のプレートおよび開口部の形状および寸法が、本発明から逸脱することなく使用可能である。各セルユニット(1010)は、アノードフロープレート(1200)およびカソードフロープレート(1300)を含む。アノードフロー(1200)プレートは、スペーサプレート(1100)に隣接し、かつSOFC(2000)のアノード表面(2020)に対向して配置されている。カソードフロープレート(1300)は、スペーサプレート(1100)に隣接し、かつSOFCのカソード表面(2040)に対向して配置されている。アノードフロープレート(1200)、カソードフロープレート(1300)、およびスペーサプレート(1100)は一緒になってセル室(1400)を形成する。平面状SOFC(2000)がセル室(1400)内に配置されている。
図1および
図4は電解質支持平面状SOFC(2000)を含み、
図3はアノード支持SOFC(2100)を含むが、セルユニット(1010、3010、4010)は、例えばセラミック支持SOFC、アノード支持SOFC(2100)、または金属支持SOFC(2200)などの任意の好適な平面状SOFCを含むことができることに留意されたい。スペーサプレート(1100)の環状側壁(1110)はセル室の壁を形成する。アノードおよびカソードフロープレート(1200、1300)はセル室の頂部壁および底部壁を形成する。
【0025】
各ユニットセル(1010)において、少なくともカソードフロープレートは、各カソードフロープレートが2つの艶消しプレート間の平面状の境界を横切って熱伝導的に結合されるようにスペーサプレートと嵌合接触する。スペーサプレートとアノードフロープレートとの間に形成された平面状の境界の場合、この境界は、
図1に示され以下に記載される実質的に平面状の電気絶縁体(1850)によって電気的に絶縁される。電気絶縁体もまた断熱性であるので、スペーサプレートとアノードフロープレートは、2つの艶消しプレートの間の平面状の境界を横切って熱伝導的に結合されていない。しかしながら、
図1にさらに示されるように、各スタックユニット(1020)は、スペーサプレート(1100)、カソードフロープレート(1300)およびアノードフロープレート(1200)を含み、これらは全て3つの艶消しプレートの間に形成される平面状の境界を横切って熱伝導的に結合される。したがって、各スタックユニット(1020)は、中央空洞からスタックユニット(1020)の周縁部まで延在する実質的に連続した熱伝導経路として形成された、プレート材料の実質的に固体の体積を提供し、以下にさらに記載するように、プレート材料の実質的に固体の体積は、プレート材料の実質的に固体の体積は、100~400W/(m・K)の間の熱伝導率を有する1つ以上の材料から形成され、かつ十分な熱質量で形成されるとき、プレート材料の実質的に固体の体積全体に熱エネルギーを一様に迅速に分配し、かつ平面状SOFCの定常状態の運転中に固体の体積を実質的に一定の温度に維持することを可能にする。スペーサプレート(1100)、アノードフロープレート(1200)、およびカソードフロープレート(1300)は各々、例えば100~300W/(m・K)の間、好ましくは200W/(m・K)超の高い熱伝導率を有する1つ以上の材料から形成される。したがって、スペーサプレート(1100)、アノードフロープレート(1200)、およびカソードフロープレート(1300)は各々、銅、モリブデン、アルミニウム、銅ニッケル合金、またはそれらの組み合わせのうちの1つ以上から製作される。実施形態において、スペーサプレート(1100)、アノードフロープレート(1200)、およびカソードフロープレート(1300)は各々、材料の温度および合金の組成に依存して、好ましくは330(m・K)~400W/(m・K)以上の範囲の熱伝導率、および約1085℃以下の溶融温度を有する銅を含む材料から製作される。
【0026】
低温SOFC、例えば約500℃以下の温度で動作するSOFCを含むさらなる実施形態において、スペーサプレート(1100)、アノードフロープレート(1200)、およびカソードフロープレート(1300)は各々、約500℃以下の温度で動作することが可能であるアルミニウム合金、すなわち500℃を超える融点を有する合金から製作される。実施形態において、アルミニウム合金は、約582~652℃の融点および167W/m-Kの熱伝導率を有するAl6061である。さらに、スペーサプレート(1100)、アノードフロープレート(1200)、およびカソードフロープレート(1300)は、各プレート全体、および各プレート間で熱エネルギーを迅速に伝導するのに十分な熱質量を含む。本明細書で使用するとき、熱伝導プレートという用語は、スペーサプレート(1100)、アノードフロープレート(1200)、およびカソードフロープレート(1300)、または100W/(m・K)以上の熱伝導率を有し、熱エネルギーを迅速に伝導するのに十分な熱質量を有する1つ以上の材料から形成された、HP-SOFCスタック(1000、3000、4000)を含む、任意の他のプレートを指すものとする。
【0027】
本発明の特定の利点は、十分な熱質量を有するように形成された高熱伝導率プレートでセル室を囲むことによって、セル室内で動作する平面状SOFCによって発生する熱エネルギーが迅速に吸収され、スタックユニット全体に均一に分配され、さらにスタックユニットの大きなスタック内のスタックユニットと熱伝導接触している他のスタックユニットに分配されることである。
【0028】
各HP-SOFCスタック(1000、3000、4000)は複数のセルユニット(1010、3010、4010)から構成され、各セルユニットは熱伝導プレートを含む。具体的には、HP-SOFCスタック(1000、3000、4000)の各熱伝導プレートは、スタック内のある位置からスタック全体の他の位置に熱エネルギーを迅速に伝達させて温度勾配をより迅速に減少させ、HP-SOFCスタック全体を実質的に同じ温度に維持するため、各セル室から局所的スタックユニットの全熱質量まで延在する実質的に連続した熱伝導経路を提供するように構成される。HP-SOFCスタック(1000、4000)は、燃料セルスタックの固体材料層の組成およびアノードガスとカソードガスの特性に依存して、高い動作温度(例えば、350~1200℃の範囲内に)維持される。さらに、熱エネルギーは、HP-SPFCスタック全体の外表面から周囲の空気に連続的に放出される。好ましい動作温度は、効率的な電気化学エネルギー発生を支援するために選択される。
【0029】
セル室(1400)は、SOFC(2000)のアノード表面(2022)に対向するアノード供給室(1420)と、SOFCのカソード表面(2042)に対向するカソード供給室(1430)とを含む。アノード供給室(1420)は、スペーサプレートの環状側壁(1110)、SOFC(2020)のアノード表面、およびアノードフロープレート(1200)によって囲まれている。カソード供給室(1430)は、スペーサプレートの環状側壁(1110)、SOFC(2040)のカソード表面、およびカソードフロープレート(1300)によって囲まれている。
【0030】
アノードメッシュまたはフォーム相互接続部(1520)が、アノード供給室(1420)内に配置され、セルのアノード電極(2020)とアノードフロープレート(1200)との間にそれらと電気的に接触して配置される。カソードメッシュまたはフォーム相互接続部(1530)が、カソード供給室(1430)内に配置され、セルのカソード電極(2040)および/または集電体(2050)とカソードフロープレート(1300)との間にかつそれらと電気的に接触して配置される。アノードおよびカソードメッシュまたはフォーム相互接続部(1520、1530)は各々、電気的および熱的に伝導性の材料、例えば、銅および/またはニッケルを含む材料から作製される。アノードメッシュまたはフォーム相互接続部(1520)は、アノード電極(2020)とアノードフロープレート(1200)との間に導電経路を提供し、カソードメッシュまたはフォーム相互接続部(1530)は、カソード電極(2040)および/または集電体(2050)とカソードフロープレート(1300)との間に導電経路を提供する。非限定的な例示的な実施形態において、アノードおよびカソードメッシュまたはフォーム相互接続部は、材料の温度および合金の組成に依存して、約1.68×10-8Ohm-mの電気抵抗率、および約330(m・K)~400W/(m・K)以上の熱伝導率を有する銅から作製される。
【0031】
アノードおよびカソードメッシュまたはフォーム相互接続部(1520、1530)には、アノードおよびカソードガスが流れることができる通路またはチャネルが形成されている。さらに、アノードおよびカソードメッシュまたはフォーム相互接続部は各々、圧縮時に撓むまたは変形するよう適合するように構成されている。HP-SOFCスタックが組み立てられると、メッシュまたはフォーム相互接続部(1520、1530)は機械的に圧縮荷重されている。各メッシュまたはフォーム相互接続部(1520、1530)は、メッシュまたはフォーム相互接続部(1520、1530)、SOFC(2000)のアノードおよびカソード表面、ならびにおよび各アノードおよびカソード表面に対向するフロープレート(1200、1300)の間で、電気的接触が維持されるように、圧縮力が増加すると変形し、圧縮力が減少すると拡張するように構成されている。
【0032】
実施形態において、アノードおよびカソードメッシュまたはフォーム相互接続部(1520、1530)は、ガスが通過することができる相互接続された空隙空間を有する、銅または他の適切な金属の非剛性オープンセルフォームを含む。各フォームまたはメッシュ相互接続部(1520、1530)は、HP-SOFCスタックが組み立てられるとき、およびHP-SOFCスタックの動作中に、その中の空隙空間を完全に崩壊させることなく、圧縮されるときに変形するように構成される。
【0033】
図3A、
図3B、および
図4を参照すると、HP-SOFCスタック(3000)のさらなる例示的で非限定的な実施形態は、形成プレート相互接続部(3520、3530)を含む。形成プレート相互接続部(3520、3530)は、材料の形成プレート(3532)、例えば、0.002~0.090インチの厚さを有する金属プレートから製作される。非限定的な例示的な実施形態において、形成プレート(3532)は、約0.01インチの厚さを有する金属プレートから製作される。形成プレート相互接続部(3520、3530)は、導電性メッキまたはコーティングを有する導電性材料または基材から形成される。例えば、形成プレート相互接続部(3520、3530)は、ニッケルを含有する合金または鉄を含有する合金を含む材料から形成することができ、この合金は、例えば銀、白金、パラジウム、金、またはスピネルコーティングなどの導電性セラミックコーティングを含む1つ以上の導電性材料で被覆される。実施形態において、形成プレート相互接続部(3520、3530)は、材料の温度および合金の組成に応じて、約1.68×10
-8Ohm-mの電気抵抗率、および約330(m・K)~400W/(m・K)以上の熱伝導率を有する銅を含む。
【0034】
形成プレート相互接続部(3520、3530)各々は、プレート(3532)の部分切り欠き部(3537)から形成された可撓性タブ(3535)を含む。各形成プレート相互接続部(3520、3530)の金属プレート(3532)は、アノードフロープレート(1200)またはカソードフロープレート(1300)に隣接して接触して配置されている。形成プレート相互接続部(3520)の可撓性タブ(3535)は、アノードフロープレート(1200)と接触している金属プレート(3532)からアノード表面(2122)と接触するように延在する。形成プレート相互接続部(3530)の可撓性タブ(3535)は、カソードフロープレート(1300)と接触している金属プレート(3532)からカソード表面(2142)および/または集電体(2150)に接触するように延在する。可撓性タブ(3535)は、HP-SOFCスタックが組み立てられたときに可撓性タブを部分的に曲げる圧縮力を受けるように構成され配置されている。
【0035】
可撓性タブ(3535)は、可撓性タブ(3535)がSOFC(2100)および対向するプレート(1200、1300)と物理的および電気的に接触したままであるように、スタック組み立ておよびスタック動作中に圧縮荷重の変化下で曲がり、かつ撓むように構成される。タブは、それらの間を通るアノードおよびカソードガスの流れを可能にするようにそれらの間に開放空間を有して構成され配置される。
図3Aを参照すると、アノード形成プレート相互接続部(3520)は、アノード電極(2120)とアノードフロープレート(1200)との間に導電経路を提供し、カソード形成プレート相互接続部(3530)は、カソード電極(2140)および/または集電体(2050)とカソードフロープレート(1300)との間に導電経路を提供する。
図4を参照すると、アノード形成プレート相互接続部(3520)は、アノード電極(2120)とアノードフロー覆工プレート(4720)との間に導電経路を提供し、カソード形成プレート相互接続部(3530)は、カソード電極(2140)および/または集電体(2050)とカソードフロー覆工プレート(4730)との間に導電経路を提供する。
【0036】
図1、3B、および4を参照すると、熱エネルギーは、SOFC(2000、2100)、または代替的に、SOFC(2200)もしくは他の好適な平面状SOFCと、セル室(1400)を形成する周囲の熱伝導プレート(1100、1200、1300)との間で交換される。実施形態において、各SOFC(2200)は、約24グラムの質量を有し、かつ約340グラムの総質量を有し、例えば100~300W/(m・K)の間、好ましくは200W/(m・K)超の高い熱伝導率を有する材料を含む熱伝導プレートによって囲まれる。熱エネルギーは、例えば、放射熱伝達を介して、アノードおよびカソードメッシュもしくはフォーム相互接続部(1520、1530)もしくは形成プレート相互接続部(3520、3530)を通じた伝導熱伝達を介して、または放射と伝導の組み合わせを介して、SOFC(2000、2100)と熱伝導プレート(1100、1200、1300)との間で伝達される。熱エネルギーは、熱伝導プレートによって加温され得る、アノードガスおよびカソードガスを介した対流によってSOFC(2000、2100)に伝達することもできる。
【0037】
熱伝導プレート(1100、1200、1300)は、システム起動中に熱エネルギーがSOFC(2000)に導かれて、SOFCの温度を動作温度にする熱伝導経路を提供する。システム動作中、HP-SOFCスタックは、実質的に一定かつ均一な温度に維持され、SOFC(2000、2100)と周囲の熱伝導プレート(1100、1200、1300)との間で熱エネルギーが交換されて、SOFCを望ましい動作温度に維持する。各SOFC(2000、2100)は、熱エネルギーの急速な伝導によって本質的に均一かつ一定の温度に維持されるスタック構成要素によって囲まれている。したがって、セルの効率に影響を及ぼし、セルの熱膨張および収縮の差に起因して機械的応力を引き起こす可能性がある、各SOFCにわたる温度勾配は、実質的に減少または解消される。
【0038】
アノードフロープレート(1200)、カソードフロープレート(1300)、およびスペーサプレート(1100)は各々、HP-SOFCスタック内に組み立てられて、カソードガスマニホールド(1630)、アノードマニホールド(1620)、および排気ガスホールドマニホールド(1650)を形成するときに整列して通る穴を含む。実施形態において、HP-SOFCスタックは、各種類の1つ以上のマニホールドを含む。例示的な実施形態において、HP-SOFCスタックは、3つのアノードガスマニホールド、3つのカソードガスマニホールド、および6つの排気ガスマニホールドを含む。
【0039】
アノードガスマニホールドおよびカソードガスマニホールド(1620、1630)は、HP-SOFCスタックの熱伝導プレート(1100、1200、1300)内に形成され、それによって高い熱伝導率を有する材料を含む。アノードガスマニホールドおよびカソードガスマニホールド(1620、1630)は、実質的に均一なスタック動作温度に維持される。アノードガスマニホールド(1620)を通過するアノードガス(1900)、例えば、触媒部分酸化(CPOX)反応器、水蒸気改質器、自動熱改質器またはそれらの組み合わせによって処理された燃料/空気混合物と、カソードガスマニホールド(1630)を通過する、カソードガス(1910)、例えば、酸素、空気または酸素を含む他のガス混合物は、HP-SOFCスタックと熱エネルギーを交換する、例えば、カソードガスは、それがスタック温度に達し、SOFCを含むスタック構成要素と実質的に同じ温度になるまで、HP-SOFCスタックを通過するときに連続的に加温される。熱伝導プレート(1100、1200、1300)、SOFC(2000、2100)、ならびにアノードおよびカソードガス(1900、1910)は実質的に均一な温度に維持され、それによってスタック動作中の温度勾配および熱応力を低減する。
【0040】
カソードフロープレート(1300)は、カソードガスマニホールド(1630)とカソード供給室(1443)とを接続するように配置された少なくとも1つのカソードガス入口通路(1320)またはチャネルを含む。カソードフロープレート(1300)は、プレート内またはプレートの表面上に形成された少なくとも1つの排気ガス燃焼室(1340)、カソード供給室(1430)を排気ガス燃焼室(1340)に接続するように配置されたカソード出口通路(1330)またはチャネル、および排気ガス燃焼室と排気ガスマニホールドとを接続するように配置された排気ガス通路(1350)をさらに含む。
【0041】
アノードフロープレート(1200)は、アノードガスマニホールド(1620)をアノード供給室(1420)と接続するように配置された、少なくとも1つのアノードガス入口チャネル(1220)または通路を含む。アノードフロープレート(1200)は、アノード供給室(1420)を隣接するカソードフロープレート(1300)の排気ガス燃焼室(1340)に接続するように配置された、少なくとも1つのアノード出口チャネル(1230)または通路をさらに含む。代替的な実施形態において、排気ガス燃焼室がアノードフロープレート内に形成され、なおさらなる実施形態において、排気ガス燃焼室がアノードフロープレートおよびカソードフロープレートの各々の一部に形成される。
【0042】
各セルユニット(1010、4010)は、スペーサプレート(1100)とアノードフロープレート(1200)との間に配置されて電気絶縁層(1850)を形成する耐熱性電気絶縁材料の層を含む。電気絶縁層は、SOFC(2000)のアノード電極(2120)とカソード電極(2140)とが電気的に短絡するのを防止する。
【0043】
4.3.1 酸化保護
熱伝導プレート(1100、1200、1300)および形成プレート相互接続部(3520、3530)の一部は、腐食性のアノード、カソード、および排気ガスにさらされる。実施形態において、熱伝導プレート(1100、1200、1300)および形成プレート相互接続部(3520、3530)は各々、プレートを酸化から保護するためにニッケルなどの耐腐食性金属で被覆されている。さらなる実施形態において、プレートに形成された通路壁は、保護コーティングを提供するために、蝋付け材料で被覆されている。なおさらなる実施形態において、通路壁は、高温耐腐食性金属インサート、例えばモネル(Monel)またはインコネル(Inconel)から製作されたインサートで裏打ちされている。なおさらなる実施形態において、保護コーティングおよび/または覆工もしくはカバーの組み合わせは、プレートの表面を保護するために使用される。
【0044】
図4を参照すると、特定の実施形態において、熱伝導プレート(1100、1200、1300)の腐食保護は、熱伝導プレートの表面を高温の耐酸化性材料、例えばハステロイ(Hastelloy)やモネルのような超合金から形成された覆工プレート(4710、4720、4730)で覆うことによって提供される。実施形態において、覆工プレートはモネルから形成される。覆工プレートは、セパレータ覆工プレート(4710)、アノードフロー覆工プレート(4720)、およびカソードフロー覆工プレート(4730)を含む。覆工プレート(4710、4720、4730)は、熱伝導プレート(1100、1200、1300)に隣接してスタック内に配置されている。
【0045】
アノードフロー覆工プレート(4720)とセパレータ覆工プレート(4710)は、アノードフロー覆工プレート(4720)がアノード供給室(1420)に対向するように、かつ覆工セパレータプレート(4710)がアノードフロープレート(1200)と隣接するカソードフロープレート(1300)との間に積み重ねられるように、アノードフロープレート(1200)と隣接して積み重ねられている。
【0046】
カソードフロー覆工プレート(4730)とセパレータ覆工プレート(4710)は、カソードフロー覆工プレート(4730)がカソード供給室(1430)に対向するように、かつセパレータ覆工プレート(4710)がカソードフロープレート(1300)と、隣接するアノードフロープレート(1200)との間に積層されるように、カソードフロープレート(1300)と隣接して積み重ねられている。
【0047】
アノードフロー覆工プレート(4720)、カソードフロー覆工プレート(4730)、およびセパレータ覆工プレート(4710)の各々は、アノードフロープレート、カソードフロープレート、およびスペーサプレートのマニホールドスルーホールドと共に、アノード、カソード、および排気ガスマニホールド(1620、1630、1650)を形成するマニホールドスルーホールを含む。
【0048】
図4を参照すると、実施形態において、アノードおよびカソード入口通路(1220、1320)、アノードおよびカソード出口通路(1230、1330)、排気ガス燃焼室(1340)、ならびに排気ガス通路(1350)の側壁は、アノードフロープレート(1200)の第1の表面(1210)上およびカソードフロープレート(1300)の第1の表面(1310)上に形成されたチャネルによって形成されている。アノードフロー覆工プレート(4720)およびカソードフロー覆工プレート(4730)は、通路および燃焼室を形成するために溝またはチャネルを囲む頂部壁または底部壁を提供する。アノードフロー覆工プレート(4720)は、アノードガス入口(1220)をアノード供給室(1420)に接続するように配置された入口スルーホール(4722)と、アノード供給室をアノードガス出口(1230)に接続するように配置された出口スルーホール(4724)とを含む。カソードフロー覆工プレート(4730)は、カソードガス入口通路(1320)をカソード供給室(1430)に接続するように配置されたカソード入口スルーホール(4732)と、カソード供給室をカソードガス出口通路(1330)に接続するように配置された出口スルーホール(4734)とを含む。覆工セパレータプレート(4710)は、アノード出口チャネル(1240)を隣接するカソードフロープレート(1300)の排気ガス燃焼室(1340)に接続するための排気ガススルーホール(4712)を含む。
【0049】
さらなる実施形態(図示せず)において、通路、アノードおよびカソード供給室、ならびに燃焼室は、熱伝導体のアノードおよびカソードフロープレートならびに熱伝導体スペーサプレートの全厚にわたって延在するチャネルによって形成された側壁を含む。覆工アノードフロープレートおよび覆工セパレータプレートは、アノード入口通路およびアノード出口通路の頂部壁および底部壁を形成する。覆工アノードフロープレートは、アノード入口通路をアノード供給室に接続する入口スルーホールを含む。覆工アノードフロープレートは1つ以上の出口スルーホールを含み、各出口スルーホールはアノード供給室をアノード出口通路に接続する。覆工カソードフロープレートおよび覆工セパレータプレートは、カソード入口通路、カソード出口通路、および排気ガス燃焼室の頂部壁および底部壁を形成する。覆工カソードフロープレートは、カソード入口通路をカソード供給室に接続する入口スルーホールを含む。覆工カソードフロープレートは1つ以上の出口スルーホールを含み、各出口スルーホールはカソード供給室をカソード出口通路に接続する。
【0050】
4.3.2 コンプライアントシール
図1および
図4を参照すると、2つの高温対応環状シール(1800)がセル室(1400)内でSOFC(2000)を支持している。実施形態において、環状高温コンプライアントシール(1800)は、高温フェルト、例えば艶消しセラミックウールから形成された不織布、Flexatallic,L.P.of Deer Park,Texasから入手可能なFlexatallicなどのシリカ系材料、またはそれらの組み合わせから形成される。低温SOFCおよび比較的低い作動温度を含む実施形態において、コンプライアントシール(1800)は、グラファイトまたは炭素繊維を含む材料から形成することができる。
【0051】
第1の高温コンプライアントシール(1800)がSOFC(2000)とアノードフロープレート(1200)またはアノードフロー覆工プレート(4720)との間に配置され、第2の高温コンプライアントシールがSOFC(2000)とカソードフロープレート(1300)またはカソードフロー覆工プレート(4730)との間に配置される。高温コンプライアントシール(1800)は、対応するアノードおよびカソードガス供給室の周縁部に沿って構成され配置され、その結果、SOFCのアノード表面およびカソード表面の各々のかなりの部分が露出している、すなわちコンプライアントシールによって覆われていない。コンプライアントシール(1800)は、SOFCとスペーサプレートの環状壁(1110)との間に存在し得るあらゆる間隙をシールすることによって、アノード供給室とカソード供給室との間にガスシールを提供する。コンプライアントシール(1800)は、スペーサプレート(1100)とアノードおよびカソードフロープレート(1200、1300)の各々との間、または覆工プレート(4720、4730)との間に存在し得るあらゆる間隙をシールすることによって、セル室(1400)とスタックの外側の環境との間にガスシールをさらに提供する。しかしながら、各コンプライアントシールは、フェルト、艶消し布地、および/または繊維を含むので、ガスシールは不完全なことがあり、一部のアノードおよびカソードガスが対応するシールを通過して中央セル室(1400)の周縁部、例えば、第1と第2のコンプライアントシールの間で混合することを可能にする。
【0052】
実施形態において、シール材料は少なくともわずかに多孔質であるため、コンプライアントシール(1800)は、完全に気密なシールを提供してもしなくてもよく、ただし、ある程度の漏出が予想される。実際には、アノードガスおよびカソードガスは各々、コンプライアントシール(1800)を通過して漏出し、例えば中央空洞の周縁部に蓄積し、さらに電気絶縁体(1850)に沿って周縁部を越えて漏出し、領域(1244)でHP-SOFCスタックを出てもよい。アノード供給室(1420)内の混合ガス(1242)およびカソード供給室(1430)内の混合ガス(1240)は、自己点火する傾向がある。点火された混合ガスは漏出位置の近くで熱エネルギーを放出する。熱エネルギーは、HP-SOFCスタックの熱伝導体構成要素によって吸収され、スタック全体に迅速に伝導され、それによってスタック構成要素を損傷する可能性がある温度の局所的な上昇(すなわちホットスポット)を防止する。
【0053】
4.3.3 熱エネルギー伝達
図1を参照すると、各SOFC(2000)は、スペーサプレート(1100)、アノードフロープレート(1200)、およびカソードフロープレート(1300)を含む熱プレートによって画定され、それらによって囲まれたセル室(1400)内に配置される。実施形態において、スペーサプレート(1100)、アノードフロープレート(1200)、およびカソードフロープレートの各々は、実質的に銅を含む材料から形成される。
図3を参照すると、セル室(1400)は、実施形態において、実質的に銅を含む材料から各々形成された2つの形成プレート相互接続部(3520、3530)を含むこともできる。HP-SOFCスタック(1000)の特定の実施形態において、HP-SOFCスタックを構成する熱プレートおよび相互接続部の熱質量は、SOFCおよび他のスタック構成要素の熱質量よりもはるかに大きい。
【0054】
各HP-SOFCスタック構成要素の熱質量C
thは、構成要素材料の単位(g)の構成要素材料質量(m)と、単位(J/g℃)の比熱容量(μ)との積として定義され、ここで、質量(m)は、単位(cm
3)の構成要素材料の体積Vと、単位(g/cm
3)の材料密度(ρ)との積である。
【数1】
ここで、ρは材料の密度(g/cm
3)、Vは材料の体積(cm
3)である。
【0055】
μ=材料の材料比熱容量(J/g℃)。非限定的な例示的な実施形態において、セル室(1400)を囲むスペーサプレート(1100)、アノードフロープレート(1200)、およびカソードフロープレート(1300)と、セル室(1400)内に配置された形成プレート相互接続部(1520、1530)は各々、当業者にはよく知られているように、ほとんど銅を含み、かつSOFC(2100)は、ほとんどイットリア安定化ジルコニア(YSZ)またはカソードおよびアノード電極材料を含む他の材料の複合体を含む。銅については、比熱容量(μ)は0.385J/g℃である。YSZおよびYSZ複合材料について、SOFC(2000)の比熱容量(μ)は、約0.6J/g℃であると推定することができる。銅については、密度(ρ)は8.96g/cm3であり、SOFC(2000)については、密度(ρ)は約6.01g/cm3となる。
【0056】
表1を参照すると、HP-SOFCスタック(1000、3000)の例示的で非限定的な実施形態のスタック構成要素の熱質量の、熱質量の計算の結果が示されている。
【表3】
【0057】
表1を参照すると、熱プレート(1100、1200、1300)および形成プレート相互接続部(3520、3530)を含む、主に銅を含む材料から形成される単一セルユニット(1010、3010)の構成要素の総質量は、約336.1グラムであり、総熱質量は約129.4J/℃である。対照的に、SOFC(2000)の質量は、約24.2gであり、熱質量は、約14.5J/℃である。したがって、銅を含むHP-SOFCスタック(1000、3000)構成要素(すなわち、1100、1200、1300、1520、1530、3520、3530)の熱質量は、SOFC(2000)の熱質量の約9倍である。したがって、HP-SOFCスタック(2000)の熱特性は、主に、例えば100~300W/(m・K)、好ましくは200W/(m・K)を超え、例えば銅の場合、約400W/(m・K)以上、例えば401W/(m・K)の熱伝導率の高い熱伝導率を含む特性を有する熱プレートおよび形成プレート相互接続部によって左右される。高い熱伝導率を有する比較的大きな熱質量の材料は、HP-SOFCスタック内で発生した熱エネルギーを吸収するための実質的な貯蔵部を提供し、吸収された熱エネルギーを、スタック全体に迅速に伝導するための熱経路を提供する。アノードガスとカソードガスの混合ガスの燃焼によって発生する熱エネルギーは、次いで熱プレート(1100、1200、1300)および形成プレート相互接続部(3520、3530)を含むHP-SOFCスタック構成要素によって優先的に吸収されて迅速に伝導され、これは、混合ガスが点火したときに、SOFCに伝達される可能性がある熱応力および高温から、SOFC(2000)を保護する。
【0058】
表1を参照すると、例示的な実施形態において、銅成分の熱質量は、約129.4J/℃であり、SOFC(2000)の熱質量は、約14.5J/℃であり、したがって銅成分の熱質量は、SOFC(2000)の熱質量の約9倍であって、熱プレート(1100、1200、1300)および形成プレート相互接続部(3520、3530)は、SOFC(2000)よりも多くの熱エネルギーを吸収する。
【0059】
図4を参照すると、さらなる非限定的な例において、HP-SOFCスタックは、熱プレート(1100、1200、1300)を酸化から保護するために配置された覆工プレートを含む。セルユニット(4010)は、セパレータ覆工プレート(4710)、アノードフロー覆工プレート(4720)、およびカソードフロー覆工プレート(4730)を含む。実施形態において、各覆工プレート(4710、4720、4730)は、約8.8g/cm
3の密度、および約0.427J/g℃の比熱容量を有する、モネルを主に含む材料から形成される。表2を参照すると、モネルから形成された覆工プレート(4710、4720、4730)の総質量は約135.5gであり、覆工プレートの熱質量は約57.9J/g℃である。表1および2を参照すると、銅を含むHP-SOFCスタック(3000、4000)構成要素(すなわち1100、1200、1300、1520、1530)の熱質量は、したがって、覆工プレート(4710、4720、4730)の熱質量の約2.2倍である。銅を含む構成要素とモネルを含むプ覆工プレートの合計の熱質量は、SOFC(2000)の熱質量の約13倍である。
【表4】
【0060】
熱エネルギー伝達率(Q/t)は次式で決まる。
【数2】
ここで、Q/tは熱伝達率、kは熱伝導率、dはスタックプレートの厚さ、T
2-T
1はスタックプレートの両面間の温度差である。
【0061】
スタックプレートの厚さを横切る、例えばスペーサプレート(1100)、アノードフロープレート(1200)、またはカソードフロープレート(1300)を横切る特定の温度差(T
2-T
1)に対して、熱エネルギー伝導率(Q/t)は、プレート断面積(A)、厚さ(d)、および熱伝導率(k)の関数である。式2を参照すると、Q/tは(A・k)/dの関数である。表3を参照すると、HP-SOFCスタックの例示的で非限定的な実施形態について、スペーサプレート(1100)の場合、Q/tは、約553(T
2-T
1)に等しく、これにより、式2を使用して行われた推定によれば、熱流束に対して最大の抵抗を有する熱プレートスタック構成要素となる。
【表5】
【0062】
表1を参照すると、銅を含むスペーサプレート(1100)は、約50.3J/℃の熱質量を有する。スペーサプレート(1100)と同様のスペーサプレートを含む従来のSOFCスタックは、ステンレス鋼などの従来のスタック材料またはハステロイなどの高性能超合金から形成されるプレートを含むことができる。ステンレス鋼から形成され、銅スペーサプレート(1100)と同様の熱質量を有するスペーサプレート(1100)(すなわち、銅スペーサプレートと比較して同様の量の熱エネルギーを吸収することが可能であるステンレス鋼スペーサプレート)は、断面積が44.9cm
2、厚さが約0.298cmである。これらの寸法で形成されたステンレス鋼スペーサプレートの熱質量は式1に従って次のように計算される。
【数3】
【0063】
これらの寸法で形成されたステンレス鋼スペーサプレートの熱流束速度は式2に従って次のように計算される。
【数4】
【0064】
したがって、表3ならびに式3および4を参照すると、開示された技術の実施形態に従って形成されたスペーサプレート(1100)は、速度(Q/t=553(T2-T1))、すなわち、従来のSOFCスタック材料を使用して形成された同様の熱質量を有するスペーサプレートの速度(Q/t=22(T2-T1))の約25倍である速度で熱エネルギーを伝達することができる。
【0065】
図4を参照すると、HP-SOFCスタック(4000)の実施形態は、耐酸性合金、例えばモネルまたはハステロイから形成され、アノードフロープレート(1200)、カソードフロープレート(1300)、およびスペーサプレート(1100)を含む熱プレートを酸化から保護するように配置された、アノードフロー覆工プレート(4720)、カソードフロー覆工プレート(4730)、およびセパレータフロー覆工プレート(4710)を含む。表3を参照すると、実施形態において、覆工プレート(4710、4720、および4730)の各々は、任意の熱プレートの厚さよりも薄い厚さで構成され、スペーサプレート(1100)が熱エネルギーを伝達することができる速度(Q/t=553)の約1.4倍である速度(Q/t、約800(T
2-T
1))で各々熱エネルギーを伝達することができる。したがって、熱プレート(1100、1200、1300)の熱伝導率(k=401W/m・K)よりも小さい熱伝導率(k=26W/m・K)を有する材料を含むにもかかわらず、覆工プレート(4710、4720、および4730)は、スペーサプレート(1100)と比較して、HP-SOFCスタック(4000)を通る伝導性熱伝達を遅くしない。
【0066】
図1、3B、4、および7ならびに式2を参照すると、主として銅から形成されたHP-SOFCユニット(例えば1010、3010、4010)を含む例示的なHP-SOFC燃料セルスタック(7100)は、第1の端部(7102)から第2の端部(7104)までの長さ(d)、および断面積(A)を有する。式2のT
1は、通常のスタック動作温度、例えば約700℃の温度を指すことができ、これはさらにT
coldと呼ぶことができる。式2のT
2は、HP-SOFCスタック(7100)内の高温位置、例えば、燃焼ガス漏出(すなわち1240~1248のうちの1つ以上)と熱的に連絡している熱プレート(1100、1200、1300)の一部、または高温を有する別の位置の温度を指すことができる。したがって、T
2はT
hotと呼ぶことができる。したがって、式2は次のように表すことができる。
【数5】
【0067】
ほとんど銅を含むHP-SOFCスタック(7100)の熱特性を、HP-SOFCスタック(7100)のそれと実質的に同一の長さ(d)および断面積(A)を有する従来のSOFCスタックの熱特性と比較するために、HP-SOFCスタック(7100)の熱伝導率は、銅の熱伝導率(k
c)として近似され、ここで、k
c=401W/(m・K)であり、従来のSOFCスタックの熱伝導率(k
cov)は、ステンレス鋼の熱伝導率(k
ss)またはセラミックの熱伝導率(k
cer)のいずれかとして近似され、ここで、k
ss=14W/(m・K)およびk
cer=12W/(m・K)である。Aとdが両方のスタックに対して同じであると仮定すると、従来のSOFCスタックに対するQ/tは、式5に関して以下のように表されるように、HP-SOFCスタックに対するQ/t(7100)よりも小さい。
【数6】
【0068】
したがって、HP-SOFCスタック(7100)について、温度差Thot-Tcoldは、セラミック製の部品から主に形成されたスタックの場合、Thot-Tcoldの33倍小さく、ステンレス製の部品から主に形成されたスタックの場合、Thot-Tcoldの28倍小さい。SOFCスタックの動作中、1つ以上の漏出(1240~1248)などの小さな漏出が、アノードとカソードの混合排気ガスが燃焼するにつれて熱を発生する。このような漏出が、従来の材料(例えば、セラミックまたはステンレス鋼)から形成された従来のスタックにおいて、100℃の温度差、(Thot-Tcold)を生じる場合の場合、実質的に同様の漏出は、HP-SOFCスタック(7100)内にわずか約3℃の温度差を生じる。
【0069】
4.3.4 振動、機械的、および熱衝撃保護
図3Bを参照すると、セルユニット(1010、4010)と実質的に同様の単一セルユニット(3010)は、コンプライアントシール(1800)によってスペーサプレート(1100)に隣接する周縁部で支持され所定位置に保持される平面状のアノード支持SOFC(2100)を含む。形成プレート相互接続部(3520、3530)の可撓性タブ(3535)は、アノード供給室(1420)およびカソード供給室(1430)内のSOFC(2100)の中央部へのさらなる支持を提供する。
【0070】
コンプライアントシール(1800)は、SOFC(2100)および従来の接着シールよりもはるかに剛性が低い。実施形態において、SOFC(2100)は、約220GPaの弾性率を有し、コンプライアントシール(1800)は、約0.3MPaの弾性率を有するアルミナフェルト、または艶消しセラミックウールから作製される。従来の硬質ガラスおよびガラス/セラミック複合シールは、ガラスの種類およびガラス/セラミック組成物に応じて、75~120GPa以上の弾性率を有することができる。
【0071】
実施形態において、各コンプライアントシール(1800)は、HP-SOFCスタック(1000、3000、4000)が組み立てられるとき、初期シール厚の約30~40パーセントの間で圧縮される。例えば、0.125インチの初期高さを有するセラミックフェルトを含むコンプライアントシール(1800)は、組み立てられた0.08インチの高さまで圧縮され、それによって初期シール高さの約36%によって約64%の圧縮までシールを圧縮する。言い換えれば、各圧縮シールは、HP-SOFCスタックが組み立てられるとき、平面状SOFCが圧縮フェルトシール(1800)によって約0.09~0.12MPaの圧縮応力を受けるように、約0.30~0.40の圧縮歪みを受ける。セラミックフェルトなどから形成された従来のコンプライアントシールは、実質的に気密なシールを得るために初期シール厚の40パーセントを超えるまで圧縮され、また、セラミックまたはガラス繊維を含浸させ、かつ油圧プレスで予備圧縮することができる。艶消しフェルトの圧縮は、フェルトのゆるい繊維マトリックスを固めて緻密化する傾向があり、それが材料の有効剛性を高め、材料歪の線形弾性限界を超えて材料に負荷をかける可能性がある。したがって、従来のコンプライアントシールは、開示された技術のコンプライアントシールと比較して、SOFCスタックに組み立てられたときに、はるかに少ない残留コンプライアンスを含む。
【0072】
実施形態において、形成プレート相互接続部(3520、3530)は銅から形成され、それは350℃~500℃のスタック動作温度範囲にわたって101~103GPaの弾性率を有する。実施形態において、各形成プレート相互接続部(3520、3530)の高さは、相互接続部が配置されているアノードまたはカソード供給室(1420、1430)の高さよりも大きく、相互接続部の高さは約5~95パーセント、または25~45パーセント減少する。例示的で非限定的な実施形態において、HP-SOFCスタック(3000)が組み立てられると、相互接続部の高さは約30パーセント減少する。すなわち、各形成プレート相互接続部(3520、3530)の可撓性タブ(3535)は、スタックが組み立てられるときに可撓性タブに加えられる圧縮荷重に応じて撓む。スタック組み立て中に形成プレート相互接続部を着座させるために加えられる約30ポンドの圧縮荷重の下では、可撓性タブ(1735)は、形成プレート相互接続部(3520、3530)が30ポンド当たり約30%、すなわち0.02MPaの圧縮荷重で撓む(すなわち、形成プレート相互接続部(3520、3530)各々が約0.10MPaの有効弾性率を有する。)ステンレス鋼から形成された従来のSOFC相互接続部は、約205GPaの弾性率を有することができる。
【0073】
同様に、メッシュまたはフォーム相互接続部(1520、1530)は、圧縮荷重下で変形して、機械的力および熱サイクルによって引き起こされる応力を吸収する。実施形態において、メッシュまたはフォーム相互接続部(1520、1530)は各々、形成プレート相互接続部(3520、3530)の有効弾性率よりも大きく、ステンレス鋼から形成された相互接続部よりも小さい有効弾性率を有する。
【0074】
コンプライアントシール(1800)および相互接続部(1520、1530、3520、3530)は、SOFC(2000、2100、2200)よりもはるかに剛性が低いので、コンプライアントシールおよび相互接続部はSOFCよりも容易に変形し、振動および機械的負荷は、SOFCに転送されるのではなく、コンプライアントシールおよび相互接続部によって効果的に吸収される。さらに、SOFC(2000、2100、2100)は、コンプライアントシール(1800)および相互接続部(1520、1530、3520、3530)によって適所にしっかりと保持されていないので、HP-SOFCスタックの振動、衝撃、および剪断力は、大きな機械的応力をSOFCに伝達することなくSOFCの運動に変換することができる。コンプライアントシール(1800)および相互接続部(1520、1530、3520、3530)は、例えば、輸送中またはその他のHP-SOFCスタック(1000、4000)の取り扱い中に発生する可能性がある、振動および衝撃または他のHP-SOFCスタックへの妨害による機械的応力による構造的損傷からSOFC(2000、2100、2100)を保護する。
【0075】
コンプライアントシール(1800)、可撓性タブ(3535)、およびメッシュまたはフォーム相互接続部(1520、1530)は、SOFC室の金属壁およびSOFC(2000、2100、2200)の複合構造を、SOFC(2000、2100、2200)に大きな応力または大きな歪をかけることなく、温度の変化に応じてSOFC室の金属壁およびSOFC(2000、2100、2200)の複合構造を膨張および収縮させることを可能にする。コンプライアントシール(1800)およびメッシュまたはフォーム相互接続部(1520、1530)は、圧縮および拡張するように構成され、可撓性タブ(3535)は、実質的な応力または歪みをSOFC(2000、2100、2200)に伝達することなく、熱サイクル中のSOFC室壁およびSOFC(2000、2100、2200)の膨張および収縮によって引き起こされる変化する圧縮荷重の下で曲がり、および撓むように構成される。
【0076】
熱サイクルおよび熱衝撃事象中に、従来の硬質ガラスおよびガラス-セラミックシール材料に接着されているSOFCは、約145MPaの剪断応力および20~25MPaの最大主応力を受ける可能性がある。しかしながら、SOFC(2000、2100、2200)は、ガラスおよびガラス-セラミックシーリング材料の場合のように、接着シールによって適所に固定されていないので、可撓性シール(1800)、メッシュまたはフォーム相互接続部(1520、1530)、および可撓性タブ(3535)の表面と接触しているSOFC(2000、2100、2200)の表面は、熱サイクル中に互いに対して摺動することができ、それによって、SOFC(2000、2100、2200)がさらされる剪断応力の大きさを防止または大幅に減らす。
【0077】
4.3.5 耐熱電気絶縁シール
図1および
図4を参照すると、HP-SOFCスタックは複数のスタックユニット(1020、4020)を含む。各スタックユニットは、後述するように、互いに接合された幾つかのプレートを含む。複数のスタックユニットを積み重ねてSOFCスタックが形成される。耐熱性電気絶縁材料の層がスタックユニット間に配置されて電気絶縁層を形成する(1850)。電気絶縁層(1850)は、第1のスタックユニットのスペーサプレート(1100)と、隣接するスタックユニットのアノードフロープレート(1200)またはアノードフロー覆工プレート(4720)との間に配置されている。例示的で非限定的な実施形態において、耐熱性電気絶縁材料の層は、マイカシール、例えばシリコンバインダ中にマイカを含むマイカシートなどを含む。電気絶縁層(1850)は、SOFCのアノード電極とカソード電極とが電気的に短絡するのを防止し、マニホールド、通路、および隣接する積み重ねられたスタックユニットによって形成された室にガスシールを提供するように構成および配置されている。
【0078】
電気絶縁層(1850)は、マイカシート材料が欠陥を含み得、かつまたはシール領域全体を完全に覆っていない場合があるので、気密シールを形成してもしなくてもよいが、ある程度の漏出が予想される。実際には、いくらかのアノードガスが、セルユニットのアノードフロープレートとスペーサプレートとの間で漏出し、SOFCスタックを囲む環境、例えば、スタックが設けられているエンクロージャの内部に流れ込む。その後、アノードガスは、スタックの外側でガスと混合し、領域内で点火する(1244)。カソードガスがコンプライアントシールを通過してアノード供給室内に漏出する場合、アノードとカソードの混合ガスが、マイカシールを通過して、スタックから出て漏出し、点火する可能性がある。HP-SOFCスタックの熱伝導体構成要素は、前述のように、燃焼によって発生した熱エネルギーを吸収して迅速に伝導する。
【0079】
対応するアノードおよびカソードガスマニホールド内のアノードまたはカソードガスは、耐熱性電気絶縁材料の層を越えて一方のマニホールドから別のマニホールドに漏出し得る。例えば、アノードガスがアノードガスマニホールドからカソードガスマニホールドに漏出し、カソードガスがカソードガスマニホールドからアノードガスマニホールドに漏出し得る。いずれの場合も、アノードガスとカソードガスは互いに混合して自己点火し(1246、1248)、それらが混合して点火する場所で熱エネルギーを発生させる。HP-SOFCスタックの熱伝導体構成要素は、前述のように、燃焼によって発生した熱エネルギーを吸収して迅速に伝導する。
【0080】
4.3.6 正方形または長方形のHP-SOFCスタック
図1、3、4、および5を参照すると、例示的で非限定的な実施形態において、HP-SOFCのセルは、実質的に四辺形、例えば正方形または長方形の平面状SOFCである。アノードおよびカソードマニホールドは、HP-SOFCスタックの第1の側に設けられ、排気ガスマニホールドはスタックの反対側の第2の側に設けられている。アノードおよびカソードガスは、アノードおよびカソードマニホールドからSOFCを横切って、それぞれ排気ガスマニホールドに流れる。さらなる実施形態において、アノードおよびカソードマニホールドは、両方ともSOFCスタックの同じ側に設けられている。アノードマニホールドおよびカソードマニホールドは、反対側、例えばスタックの前面および後面、またはスタックの左側もしくは右側に配置することができ、または、アノードガスマニホールドおよびカソードガスマニホールドの各々は、スタックの隣接する側に配置することができ、例えば、アノードガスマニホールドはスタックの前面に配置し、カソードガスマニホールドはスタックの右側に配置することができる。
【0081】
4.3.7 正方形または長方形のHP-SOFCスタック動作モード
図4および
図5を参照すると、実質的に四辺形のHP-SOFCスタック(4000)の例示的な動作モードによるガス流れ場(5000)が示されている。カソードマニホールドガス流(5100)は、カソードマニホールド(1630)を通過し、そこからカソード入口ガス流(5110)としてセルユニット(4010)のカソード入口通路(1320)に入る。カソード入口ガス流(5110)は、カソードガス入口通路(1320)を横断してカソード供給室(1430)に入る。カソードガスは、SOFCカソード表面ガス流(5120)としてSOFC(5500)のカソード表面(5510)を横切って流れる。カソードガスは、カソード排気ガスとしてカソード供給室(1430)から流出する。カソード排気ガスは、カソード出口通路(1330)を通ってHP-SOFCスタック(4000)内に配置された排気ガス燃焼室(1340)に流れ、そこでカソード排気ガスはアノード排気ガスと混合してアノードとカソードの混合排気ガス(1920、5310)の成分となる。
【0082】
アノードガスは、アノードガスマニホールド(1620)を通り、そこからセルユニット(4010)のアノード入口通路(1220)に流れ、そこを通ってアノード供給室(1420)に流れる。アノードマニホールドガス流(5200)は、アノードガスマニホールド(1620)を通って流れ、アノードガス入口(1220)に入る。アノードガスは、アノード入口ガス流(5210)としてアノードガス入口通路(1220)を通り、そこからアノード供給室(1420)に流れる。アノードガスは、アノード表面ガス流(5220)としてSOFC(5500)のアノード表面(5520)を横切って流れる。アノードガスは、アノード排気としてアノード供給室(1420)から流出する。アノード排気は、アノード出口通路(1230)を通り、そこを通ってアノード排気ガス流(5230)として排気ガス燃焼室(1340)に流れる。アノード排気ガスは、排気ガス燃焼室(1340)内でカソード排気ガスと混合してアノードとカソードの混合排気ガス(1920、5310)の成分となる。
【0083】
アノードとカソードの混合排気ガス(1920、5310)は、排気ガス燃焼室(1340)内で点火して燃焼する。アノードとカソードの混合排気ガス流(1920、5310)の燃焼によって発生した熱エネルギーは、排気ガス燃焼室(1340)の壁に伝達される。排気ガス燃焼室(1340)の壁の温度は、アノードとカソードの混合排気ガス(1920、5310)の自己着火温度よりも高い温度に維持され、混合排気ガスは、点火器が燃焼を開始することを必要とせずに燃焼室(1340)内で自己点火する。
【0084】
排気ガス燃焼室(1340)内でのアノードとカソードの混合排気ガスの燃焼は燃焼排気ガスを発生させる。燃焼排気ガスは、燃焼排気出口ガス流(5320)として、排気ガス燃焼室(1340)から排気ガス出口通路(1350)を通って排気ガスマニホールド(1650)へ流れる。高温燃焼排気ガスは、燃焼排気マニホールドガス流(5300)として排気マニホールド内のスタックを通過する。熱エネルギーは、燃焼排気ガスから排気ガス燃焼室(1340)の壁に伝達され、カソードフロープレート(1300)を通ってHP-SOFCスタック(4000)の隣接するスタックプレートに、およびスタック全体にわたって迅速に伝導される。熱エネルギーは、燃焼排気マニホールドガス流(5300)と排気ガスマニホールド(1650)の壁との間で伝達され、さらにHP-SOFCスタック全体に熱エネルギーを伝達する。
【0085】
4.3.8 円形HP-SOFCスタック
図6を参照すると、例示的な円形HP-SOFCスタック(図示せず)の例示的な動作モードによるガス流れ場(6000)が示されている。円形HP-SOFCスタックのセルは、実質的に円形の平面状SOFCを含み、円形HP-SOFCスタックは実質的に円形である。円形HP-SOFCスタックは、1つ以上のアノードガスマニホールド、1つ以上のカソードガスマニホールド、および1つ以上の排気ガスマニホールドを含むことができる。マニホールドは、円形HP-SOFCスタックを構成する熱伝導プレートに形成された特徴を含むことができる。
図6を参照すると、1つのアノードガスマニホールド、1つのカソードガスマニホールド、および3つの排気ガスマニホールドを含む円形HP-SOFCスタックの例示的な実施形態についてのガス流れ場(6000)が示されている。さらなる実施形態において、円形HP-SOFCスタックは、複数のアノードおよびカソードガスマニホールド、例えば3つのアノードガスマニホールド、3つのカソードガスマニホールドを含むことができ、3つよりも多い排気ガスマニホールドを含むことができる。円形HP-SOFCスタックの例示的な実施形態は、スタックの周囲の近くに配置され、スタックの周囲に均等に離間した6つの排気ガスマニホールドを含む。より一般的には、円形HP-SOFCスタックは、少なくとも1つのアノードガスマニホールド、カソードガスマニホールド、および排気ガスマニホールドを各々含み、かつ性能または他の要件を満たすために、例えば、スタックを通るアノードまたはカソードガス流の特定の圧力降下を達成するためには、各マニホールドを2つ以上含むことができる。
【0086】
4.3.9 円形HP-SOFCスタック動作モード
図6を参照すると、円形HP-SOFCスタックの例示的な動作モードによるガス流れ場(6000)が示されている。カソードマニホールドガス流(6100)およびカソード入口ガス流(6110)は、円形SOFC(6500)のカソード面(6510)を横切るカソードガスの流れを提供するSOFCカソード表面ガス流(6120)にカソードガスを供給する。カソード表面ガス流(6120)は、円形SOFC(6500)のカソード面(6510)の中央部からカソード面(6510)の外縁に向かって半径方向外向きに流れ、そこでカソード排気流となり、アノードとカソードの混合排気ガス(6310、6312、6314)の成分としてアノード排気と混合される。
【0087】
アノードマニホールドガス流(6200)およびアノード入口ガス流(6210)は、アノードガスをSOFCアノード表面ガス流(6220)に引き渡し、それは円形SOFC(6500)のアノード面(6520)を横切るアノードガスの流れを提供する。アノード表面ガス流(6220)は、円形SOFC(6500)のカソード面(6520)の中央部から円形SOFC(6500)のアノード面(6520)の外縁に向かって半径方向外向きに流れ、そこでアノード排気流(6230、6232、6234)となる。アノード排気ガス流(6230、6232、6234)は、アノード排気ガスをアノードとカソードの混合排気ガス(6310、6312、6314)に引き渡す。
【0088】
アノードとカソードの混合排気ガス(6310、6312、6314)は各々、3つの排気ガス燃焼室(図示せず)のうちの1つの内部で点火し燃焼する。各排気ガス燃焼室は、排気ガス燃焼室(1340)と実質的に同様であり、1つ以上の熱伝導プレートの特徴によって形成されている。各排気ガス燃焼室は、100W/(m・K)よりも大きい熱伝導率を有する材料で形成された壁を含む。アノードとカソードの混合排気ガス(6310、6312、6314)の燃焼によって発生した熱エネルギーは、排気ガス燃焼室の壁に伝達され、排気ガス燃焼室(図示せず)を構成する1つ以上の熱伝導プレートを通って、円形HP-SOFCスタック(図示せず)の熱伝導プレートとスタック全体に急速に伝導される。排気ガス燃焼室の壁の温度は、アノードとカソードの混合排気ガスの自己着火温度(6310、6312、6314)よりも高い温度に維持され、混合排気ガスは、点火器が燃焼を開始することを必要とせずに燃焼室内で自己点火する。
【0089】
排気ガス燃焼室内でのアノードとカソードの混合排気ガスの燃焼は高温の燃焼排気ガスを発生させる。燃焼排気ガス出口流(6320、6322、6324)が燃焼排気マニホールドガス流(6300、6302、6304)に流れるにつれて、燃焼排気ガスが流れる。高温の燃焼排気ガスは、燃焼排気マニホールドガス流(6300、6302、6304)として、排気マニホールド内の円形HP-SOFCスタックを通過する。熱エネルギーは、燃焼排気マニホールドガス流(6300、6302、6304)と、燃焼排気ガスが流れる排気ガスマニホールドの壁(図示せず)との間で伝達され、それによって熱付加エネルギーを円形HP-SOFCスタック全体に伝達する。
【0090】
4.4 HP-SOFCスタックの形成方法
HP-SOFCスタックは、アノードガスマニホールドスルーホールがアノードガスマニホールドを形成するように位置合わせされ、カソードガスマニホールドスルーホールがカソードガスマニホールドを形成するように位置合わせされ、かつ排気ガスマニホールドスルーホールが排気ガスマニホールドを形成するように整列されるように、隣接プレートのマニホールドスルーホールを整列させながら、HP-SOFCプレートを積み重ねることによって形成される。
【0091】
図4を参照すると、第1のスタックユニット(4020)は、アノードフロー覆工プレート(4720)、熱伝導体アノードフロープレート(1200)、セパレータ覆工プレート(4710)、熱伝導体カソードフロープレート(1300)、カソードフロー覆工プレート(4730)、および熱伝導体スペーサプレート(1100)を積み重ねられることにより形成され、積み重ねられたプレートを互いに接合することによってスタックユニット(4010)を形成する。例示的で非限定的な実施形態において、プレートは互いに、蝋付けされる。さらなる実施形態において、スタックは、例えば過渡液相(TLP)接合、拡散接合、および溶接を含む他の既知の接合技術を使用して互いに接合することができる。
【0092】
熱伝導体スペーサプレートの環状壁(1110)は、環状セル空洞(1400)の壁を形成し、覆工カソードフロープレート(4730)の平面状の表面は、環状セル空洞の底壁を形成する。第1の環状コンプライアントシール(1800)およびカソード形成プレート相互接続部(3530)が、セル空洞(1400)内に置かれ、平面状SOFC(2000)が、セル空洞内で、カソード形成プレート相互接続部(3530)と対向するSOFCのカソード表面(2042)を有する、第1の環状コンプライアントシールの上に置かれる。第2の環状コンプライアントシールおよびアノード形成プレート相互接続部(3520)が、環状SOFC空洞(1400)内で、平面状SOFC(2000)の上に置かれる。耐熱性電気絶縁材料の層(1850)が、スペーサプレート(1100)の上に積み重ねられている。
【0093】
第2のスタックユニット(4020)が形成され、第1のスタックユニットの熱伝導体スペーサプレート(1100)に対向する第2のスタックユニットのアノードフロー覆工プレート(4720)と共に、耐熱性電気抵抗材料の層の上に積み重ねられる。平面状SOFC、相互接続部、およびコンプライアントシールが、第2のスタックユニットのSOFC空洞内に配置されている。実施形態において、約30ポンドの圧縮力が複数のスタックユニット(4020)のアセンブリに加えられて、コンプライアントシール(1800)および形成プレート相互接続部(1520、1530)を着座させる、すなわちシールおよび相互接続部を形成時の高さまたは厚さから組み立て時の高さまたは厚さに圧縮する。スタックユニットを分離する耐熱性電気絶縁材料の層と、各スタックユニットの環状SOFC空洞内に配置されたSOFCおよびコンプライアントシールとを用いて、さらなるスタックユニットが形成および積み重ねられる。このプロセスを繰り返すことによって、さらなるスタックユニットをスタックに追加することができる。
【0094】
スタックのセルユニット(4010)は、SOFC(2000)、アノードおよびカソード供給室(1420、1430)、ならびにSOFCに隣接する形成プレート相互接続部(3520、3530)、ならびにSOFCと関連付けられたアノードおよびカソード供給室に隣接するアノードおよびカソードフロープレート(1200、1300)を含む。セルユニット(4010)は、第1のスタックユニット(4020)のカソードフロー(1300)プレートおよびスペーサプレート(1100)と、隣接する第2のスタックユニット(4020)のアノードフロープレート(1200)とを含む。スペーサプレート(1100)とアノードフロープレート(1200)との間に配置された耐熱性電気絶縁材料(1850)の層は、セルユニットのアノード電極とカソード電極とが短絡するのを防止する。
【0095】
HP-SOFCスタックは、各々がマニホールドと、アノードまたはカソード供給室との間の通路を含む、頂部および底部スタックプレート(図示せず)を含むことができる。頂部スタックの端プレートは、アノードガスマニホールドのアノード供給室までの間の第1の通路と、アノード供給室の排気マニホールドまでの間の第2の通路とを含む。底部スタックの端プレートは、カソードガスマニホールドのカソードガス供給室までの間の第1の通路と、カソード供給室の排気ガスマニホールドまでの間の第2の通路とを含む。頂部端プレートおよび底部端プレートは、各々、100W/(m・K)よりも大きい熱伝導率を有する材料から製作され、各々熱エネルギーを迅速に伝導するのに十分な熱質量を含む。
【0096】
所望の数のセルユニットがHP-SOFCスタックに組み立てられるとき、頂部スタックプレートは、スペーサプレートに対向するスタックの第1の端部の上に積み重ねられ、スタックに追加された前のスタックユニットの耐熱性電気絶縁材料の層の上に積み重ねられる。実施形態において、アノード覆工フロープレートが、耐熱性電気絶縁材料と頂部スタックプレートとの間に挿入される。底部プレートが、スタックの反対側に追加されている。スタックは、頂部および底部の端プレートに加えられた締め付け力によって、一緒に保持される。実施形態において、頂部端プレートおよび底部端プレートは、圧縮力を加えるように構成および配置されたねじり部材によって接合されている。実施形態において、約200から800ポンドの圧縮力が、組み立てられたスタックに加えられる。
【0097】
図1を参照すると、覆工プレートを伴わないHP-SOFCスタックの実施形態は、スタックユニット間に配置された耐熱性電気絶縁材料(1850)の層と、各スタックユニットのセル空洞に配置されたSOFCとを伴う、複数のスタックユニット(1020)を積み重ねることによって同様に形成される。各スタックユニットは、アノードフロープレート(1200)、カソードフロープレート(1300)、およびスペーサプレート(1100)を含むスタックユニット(1020)の構成要素を積み重ねて接合すること、ならびにセル空洞(1400)内にSOFC(2000)、コンプライアントシール(1800)、およびメッシュまたはフォーム相互接続部(1520、1530)を積み重ねることによって形成される。
【0098】
図3Bを参照すると、形成プレート相互接続部を伴うHP-SOFCスタックの実施形態は、メッシュ相互接続部またはフォーム相互接続部(1520、1530)の代わりに形成プレート相互接続部(3520、3530)を積み重ねることによって同様に形成できる。
【0099】
HP-SOFCスタックの実施形態は、例えば電解質支持SOFC(2000)の代わりに、アノード支持SOFC(2100)または金属支持SOFC(2200)を積み重ねることによって同様に任意の好適な平面状SOFCで形成することができる。
【0100】
4.5 HP-SOFCシステム
図7を参照すると、HP-SOFCシステム(7000)および外部負荷(7900)が示されている。HP-SOFCシステム(7000)は、HP-SOFCスタック(7100)を含む。HP-SOFCスタック(7100)は、スタックで発生した電流を外部負荷(7900)に供給するために、スタックの第1の端部(7102)に配置され、頂部スタックプレート(7122)に電気的に結合された正電気端子(7112)と、スタックの第1の端部(7102)に対向するスタックの第2の端部(7104)に配置され、底部スタックプレート(7124)に電気的に結合された負電気端子(7114)と、を含む。外部負荷(7900)の例示的で非限定的な例は、DC電力消費デバイスまたはバッテリ、DC電力網または電力共有ネットワークなどの電力網、電力管理デバイス置、およびHP-SOFCスタック(7100)からのDC電力信号をAC電力信号に変換するように構成されたACインバータを含む。
【0101】
HP-SOFCスタック(7100)は、HP-SOFCスタックエンクロージャ(7200)内に配置されている。HP-SOFCスタックエンクロージャ(7200)は、断熱材(7210)を含む断熱エンクロージャを含むことができる。例示的で非限定的な実施形態において、HP-SOFCスタックエンクロージャ(7200)は、HP-SOFCスタック(7100)を囲む熱伝導性スタックエンクロージャ部を含み、熱伝導性スタックエンクロージャ部は断熱エンクロージャ部によって囲まれる。
【0102】
HP-SOFCシステム(7000)は、燃料(7170)、燃料と酸化剤の混合物(7174)、および/もしくはアノード燃料(7176)を燃焼させるための燃焼器、電気抵抗ヒータ、またはコールドスタートプロセス中にHP-SOFCスタック(7100)の温度を動作温度まで上昇させるための熱エネルギーを供給するように配置された他の好適な熱エネルギー源を含むことができる、コールドスタートモジュール(7300)を任意選択的に含むことができる。
【0103】
実施形態において、HP-SOFCシステム(7000)は、HP-SOFCスタック(7100)からのSOFCスタック排気ガス(7150)を含む任意の未燃焼燃料を燃焼させて、高温燃焼SOFCスタック排気ガス(7152)を生成する任意選択的なテールガス燃焼器(7400)を含む。別の実施形態において、HP-SOFCシステム(7000)は、テールガス燃焼器を含まず、アノードとカソードの混合排気ガスの実質的に全ての可燃性成分は、HP-SOFCスタック(7100)内、例えば排気ガス燃焼室(1340)内で燃焼され、その結果、SOFCスタックを出るガスは、主に燃焼SOFCスタック排気ガス(7152)を含み、未燃燃料をほとんどまたは実質的に含まない。SOFCシステムの排気ガス(7154)は、排気ガス導管(7254)を介してHP-SOFCスタックエンクロージャ(7200)を通過する。
【0104】
実施形態において、HP-SOFCシステム(7000)は、燃焼SOFCスタック排気ガス(7152)と入口カソードガス(7160)との間で熱エネルギーを交換するように配置され、それによって冷たい入口カソードガスを加温して、HP-SOFCスタック(7100)に供給するための温かいカソードガス(7162)を生成する、任意選択的な熱交換器(7500)を含む。代替的な実施形態において、SOFCシステム(7000)は、熱交換器(7500)を含まず、カソードガスがSOFCスタック(7100)を通過するときに、入口カソードガス(7160)は、カソードガスマニホールド(1630)の壁からの熱エネルギー伝達によって加温される。
【0105】
HP-SOFCシステム(7000)は、燃料入力モジュール(7600)および燃料反応器(7700)を含む燃料処理構成要素を含む。燃料入力モジュール(7600)は、空気または他の酸素含有ガスもしくはガスの混合物を含むことができる炭化水素燃料(7170)の流量および酸化剤(7172)の流量を制御するように構成されている。燃料入力モジュールは、制御可能な弁、燃料ポンプ、酸化剤ポンプ、送風機、または他の酸化剤および燃料圧力源、ならびに体積または質量フローコントローラを含み得る。燃料入力モジュール(7600)は、燃料(7170)と酸化剤(7172)を混合し、燃料と酸化剤(7174)の混合物を燃料反応器(7700)に供給するためのミキサを含む。燃料反応器(7700)は、燃料と酸化剤との混合物(7174)を反応させて、合成ガス、またはCO、H2および他の反応生成物を含むガスの混合物、を含むアノード燃料(7176)を生成するように配置されている。例示的な実施形態において、燃料反応器(7700)は、触媒部分酸化(CPOX)反応器を含む。燃料反応器(7700)は、CPOX反応器、オート熱反応器(ATR)、水蒸気改質器、またはCPOX、ATR、および水蒸気改質器の各々の1つ以上を含むハイブリッド改質器を含むことができる。実施形態において、HP-SOFCシステム(7000)は、プロパンを燃料として使用するように構成されている(7170)。さらなる実施形態において、HP-SOFCシステム(7000)は、液体天然ガス、灯油、メタン、またはJP-6を含むがこれらに限定されない他の炭化水素燃料(7170)を使用するように構成されている。
【0106】
HP-SOFCシステム(7000)は、制御信号およびプロセスパラメータ測定信号を含む信号を、燃料入力モジュール(7600)、コールドスタートモジュール(7300)を含むシステム構成要素と交換するように構成された電子コントローラ(7800)と、燃料反応器(7700)、HP-SOFCスタック(7100)、テールガス燃焼器(7400)、熱交換器(7500)、およびHP-SOFCスタックエンクロージャ(7200)のうちの1つ以上の温度を測定するように配置され温度プローブ(図示せず)とをさらに含む。電子コントローラ(7800)は、限定されないが、例えば、燃料反応器(7700)の温度、HP-SOFCスタック(7100)の温度、および測定または報告された外部負荷の消費電力(7900)を含むプロセスパラメータ測定信号に応じて、例えば燃料入力モジュール(7600)を含むシステム構成要素の動作を制御するように構成されている。
【0107】
HP-SOFCシステム(7000)は、HP-SOFCスタックエンクロージャ(7200)の外部上に空気流を提供するように配置されたファンまたは送風機などの冷却手段(図示せず)を任意選択的にさらに含む。
【0108】
HP-SOFCシステム(7000)は、HP-SOFCスタック(7100)、燃料反応器(7700)およびHP-SOFCスタックエンクロージャ(7200)を含むシステム構成要素の温度を監視し、温度データ入力を含む信号を電子コントローラ(7800)に通信するための温度センサ(図示せず)を含む。電子コントローラ(7800)は、温度センサによって通信された温度データを、冷却手段の動作およびソフトウェア制御システムシャットダウンの制御を含む、システム動作パラメータを制御するための制御アルゴリズムへの入力として使用する。
【0109】
HP SOFCシステム(7000)は、高い熱伝導率を有する材料を含む外側エンクロージャ(図示せず)と、熱伝導外側エンクロージャに配置された温度ヒューズ(図示せず)であって、温度ヒューズが閾値温度に達するのに応答して、燃料(7170)の入力を遮断するように構成された温度ヒューズと、をさらに含むことができる。
【0110】
4.6 スタック電流
図7を参照すると、HP-SOFCスタック(7100)は、スタックの第1の端部(7102)に配置された正電気端子(7112)と、スタックの第2の端部(7104)に配置された負電気端子(7114)とを含み、スタックの第2の端部は、スタックの第1の端部に対向する。正子および負の端子(7112、7114)は、スタックを外部負荷(7900)に接続するように構成されている。HP-SOFCスタック(7100)のSOFCは、電気的に直列に一緒に接続され、かつ正および負の電気端子(7112、7114)に電気的に接続される。
図4を参照すると、HP-SOFCスタック(7100)の実施形態を含むHP-SOFCスタック(4000)は、SOFC(2100)が電気的に短絡するのを防止するために配置された耐熱性電気絶縁材料(1850)の層を含む。
【0111】
本発明を好ましい実施形態に関して上で説明してきたが、それに限定されないことも当業者には理解されるであろう。上述の発明の様々な特徴および態様は、個別にまたは一緒に使用することができる。さらに、本発明は、特定の環境における、および特定の用途(例えば、固体酸化物燃料セルユニットセルおよびユニットセルのSOFCスタック)のために、その実装形態の文脈で記載されてきたが、当業者は、その有用性がそれに限定されず、かつ本発明が、熱伝導によって熱エネルギー分布をより効率的に管理することが望ましい、任意の数の環境および実装形態において有益に利用され得ることを認識するであろう。したがって、以下に記載の請求項は、本明細書に開示されている本発明の全範囲および精神を考慮して解釈されるべきである。