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特許7267923薄型化板状部材の製造方法、及び薄型化板状部材の製造装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】薄型化板状部材の製造方法、及び薄型化板状部材の製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230425BHJP
   B23K 26/53 20140101ALI20230425BHJP
【FI】
H01L21/304 611Z
H01L21/304 621
B23K26/53
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2019539392
(86)(22)【出願日】2018-08-21
(86)【国際出願番号】 JP2018030804
(87)【国際公開番号】W WO2019044588
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2017169775
(32)【優先日】2017-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018019650
(32)【優先日】2018-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】泉 直史
(72)【発明者】
【氏名】山下 茂之
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/083610(WO,A2)
【文献】特開2014-116338(JP,A)
【文献】特開2017-130638(JP,A)
【文献】特開2016-15447(JP,A)
【文献】特開2017-22283(JP,A)
【文献】特開2008-129596(JP,A)
【文献】特開2005-340668(JP,A)
【文献】特開昭60-257983(JP,A)
【文献】特開平10-216981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B23K 26/53
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部材にレーザを照射するレーザ照射工程と、
前記板状部材を分割面に沿って分割して、少なくとも第1薄型化板状部材及び第2薄型化板状部材を形成する分割工程と、を備え、
前記板状部材にレーザを照射する工程においては、前記レーザを照射するレーザ照射器、及び前記板状部材のいずれも、回転させるだけでなく、平行移動させる動作を組み合せて、前記板状部材及び前記レーザ照射器のいずれも移動させることで、前記レーザ照射器と前記板状部材との相対的な位置を変化させることにより、前記レーザの照射点の位置を移動させながら、前記レーザを照射して、前記板状部材の内部に複数の改質部を前記分割面に沿って形成し、
前記レーザ照射器の回転は、前記レーザ照射器が取り付けられたアーム部を回転させることによって、前記レーザ照射器を回転させ、
前記第1薄型化板状部材の厚みは、前記板状部材の厚みよりも小さく、
前記第2薄型化板状部材の厚みは、前記板状部材の厚みよりも小さい、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の薄型化板状部材の製造方法において、
前記レーザ照射工程では、前記板状部材の外周部側から前記板状部材の中心部側に亘って前記レーザの照射点の位置を移動させながら、前記板状部材に複数の前記改質部を一定の間隔で形成する、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の薄型化板状部材の製造方法において、
前記レーザ照射工程では、前記レーザの照射点の位置を移動させながら前記板状部材に複数の前記改質部を形成し、
前記板状部材の外周部側における前記照射点同士の間隔と、前記板状部材の中心部側における前記照射点同士の間隔とが、異なる、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の薄型化板状部材の製造方法において、
前記板状部材の外周部側における前記照射点同士の間隔が、前記板状部材の中心部側における前記照射点同士の間隔よりも小さい、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の薄型化板状部材の製造方法において、
前記照射点同士の間隔が、前記板状部材の外周部側から前記板状部材の中心部側に向かうにつれて大きくなる、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の薄型化板状部材の製造方法において、
前記板状部材は、前記板状部材の外周部側の第1領域と、前記板状部材の中心部側の第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域と、を有し、
前記第1領域に対して、第1の間隔で前記レーザを複数個所に照射し、
前記第3領域に対して、第3の間隔で前記レーザを複数個所に照射し、
前記第2領域に対して、第2の間隔で前記レーザを複数個所に照射し、
前記第1の間隔は、前記第3の間隔よりも小さく、
前記第3の間隔は、前記第2の間隔よりも小さい、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の薄型化板状部材の製造方法において、
前記レーザ照射器から、複数の前記レーザを同時に照射する、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の薄型化板状部材の製造方法において、
前記板状部材の厚みは、3mm以下である、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の薄型化板状部材の製造方法において、
前記第1薄型化板状部材の厚み及び前記第2薄型化板状部材の厚みの少なくともいずれかが、500μm以下である、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の薄型化板状部材の製造方法において、
前記レーザを前記分割面に沿って1μm以上350μm以下の間隔で照射する、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の薄型化板状部材の製造方法において、
複数の前記改質部は、互いに重なっている、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項12】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の薄型化板状部材の製造方法において、
複数の前記改質部は、互いに離れている、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の薄型化板状部材の製造方法において、
前記板状部材は、第1表面、及び前記第1表面とは反対側の第2表面を有し、
前記レーザを、前記第1表面及び前記第2表面の少なくともいずれかの表面側から照射する、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の薄型化板状部材の製造方法において、
前記第1表面及び前記第2表面の少なくともいずれかの表面には保護シートが積層されている、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載の薄型化板状部材の製造方法において、
前記保護シートが積層された前記板状部材の表面側から前記レーザを照射して、前記板状部材の内部に複数の前記改質部を形成する、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項16】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の薄型化板状部材の製造方法において、
前記レーザ照射工程では、前記板状部材の側面側から前記レーザを照射する、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の薄型化板状部材の製造方法において、
前記分割工程は、前記板状部材の厚み方向に前記板状部材を離間させることにより、複数の前記改質部が形成された前記分割面を境界にして前記第1薄型化板状部材及び前記第2薄型化板状部材に分割する工程である、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項18】
請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の薄型化板状部材の製造方法において、
前記板状部材の表面は、回路を有する、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項19】
請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の薄型化板状部材の製造方法において、
前記第1薄型化板状部材は、前記分割工程における前記板状部材の分割によって現れた第1露出面を有し、
前記第2薄型化板状部材は、前記分割工程における前記板状部材の分割によって現れた第2露出面を有し、
前記第1露出面及び前記第2露出面の少なくともいずれかを研磨する研磨工程を有する、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項20】
請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の薄型化板状部材の製造方法において、
前記第1薄型化板状部材及び前記第2薄型化板状部材の少なくともいずれかの表面に回路を形成する回路形成工程をさらに備える、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項21】
請求項1から請求項20のいずれか一項に記載の薄型化板状部材の製造方法において、
前記板状部材の材質は、シリコン、窒化ケイ素、窒化ガリウム、シリコンカーバイド、サファイア、ガリウム砒素、及びガラスからなる群から選択される、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項22】
請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の薄型化板状部材の製造方法において、
前記板状部材は、ウエハである、
薄型化板状部材の製造方法。
【請求項23】
板状部材の内部に複数の改質部を形成する改質部形成手段と、
改質後の前記板状部材を少なくとも第1薄型化板状部材及び第2薄型化板状部材に分割する分割手段と、
前記板状部材を回転可能に支持する保持手段と、を備え、
前記改質部形成手段は、アーム部と、レーザを照射するレーザ照射器と、前記アーム部を回転可能に支持する駆動部と、を有し、
前記レーザ照射器は、前記アーム部にスライド移動可能に支持されており、
前記保持手段は、前記板状部材を回転可能にする回転機構を有する、
薄型化板状部材の製造装置。
【請求項24】
請求項23に記載の薄型化板状部材の製造装置において、
前記改質部形成手段は、前記レーザ照射器を複数有する、
薄型化板状部材の製造装置。
【請求項25】
請求項23又は請求項24に記載の薄型化板状部材の製造装置において、
前記レーザ照射器は、複数のレーザを同時に照射可能である、
薄型化板状部材の製造装置。
【請求項26】
請求項25に記載の薄型化板状部材の製造装置において、
前記レーザ照射器は、複数の前記レーザ同士の照射間隔を拡大及び縮小できる、
薄型化板状部材の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型化板状部材の製造方法、及び薄型化板状部材の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板状部材の薄型化を行うための方法として、板状部材を研磨する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-66376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の方法では、板状部材としての半導体ウエハの冷却及び洗浄等に純水が必要である。純水の使用は、薄型化板状部材の製造コストが上昇する要因の一つである。また、特許文献1に記載されたような研磨による薄型化方法は、薄型化に時間がかかる。また、特許文献1に記載されたような研磨による薄型化方法は、砥石を板状部材に当てながら物理的圧力を加えるため、板状部材が割れるおそれ及び研削跡が残ってしまう可能性がある。また、特許文献1に記載されたような研磨による薄型化方法においては、薄型化板状部材の厚み精度の向上が要望されている。
【0005】
本発明の目的は、純水を用いず、薄型化の時間を短縮し、板状部材の割れを抑制でき、厚み精度を向上させることのできる薄型化板状部材の製造方法、及び薄型化板状部材の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法は、板状部材にレーザを照射するレーザ照射工程と、前記板状部材を分割面に沿って分割して、少なくとも第1薄型化板状部材及び第2薄型化板状部材を形成する分割工程と、を備え、前記板状部材にレーザを照射する工程においては、前記板状部材の内部に複数の改質部を前記分割面に沿って形成し、前記第1薄型化板状部材の厚みは、前記板状部材の厚みよりも小さく、前記第2薄型化板状部材の厚みは、前記板状部材の厚みよりも小さい。
【0007】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、前記レーザ照射工程では、前記板状部材の外周部側から前記板状部材の中心部側に亘って前記レーザの照射点の位置を移動させながら、前記板状部材に複数の前記改質部を一定の間隔で形成することが好ましい。
【0008】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、前記レーザ照射工程では、前記レーザの照射点の位置を移動させながら前記板状部材に複数の前記改質部を形成し、前記板状部材の外周部側における前記照射点同士の間隔と、前記板状部材の中心部側における前記照射点同士の間隔とが、異なることが好ましい。
【0009】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、前記板状部材の外周部側における前記照射点同士の間隔が、前記板状部材の中心部側における前記照射点同士の間隔よりも小さいことが好ましい。
【0010】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、前記照射点同士の間隔が、前記板状部材の外周部側から前記板状部材の中心部側に向かうにつれて大きくなることが好ましい。
【0011】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、前記板状部材は、前記板状部材の外周部側の第1領域と、前記板状部材の中心部側の第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間の第3領域と、を有し、前記第1領域に対して、第1の間隔で前記レーザを複数個所に照射し、前記第3領域に対して、第3の間隔で前記レーザを複数個所に照射し、前記第2領域に対して、第2の間隔で前記レーザを複数個所に照射し、前記第1の間隔は、前記第3の間隔よりも小さく、前記第3の間隔は、前記第2の間隔よりも小さいことが好ましい。
【0012】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、前記レーザを照射するレーザ照射器、及び前記板状部材の少なくともいずれかを移動させることにより、前記レーザ照射工程における前記レーザの照射点の位置を移動させることが好ましい。
【0013】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、前記レーザ照射器、及び前記板状部材の少なくともいずれかを回転させることにより、前記レーザ照射工程における前記レーザの照射点の位置を移動させることが好ましい。
【0014】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、前記レーザ照射器から、複数の前記レーザを同時に照射することが好ましい。
【0015】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、前記板状部材の厚みは、3mm以下であることが好ましい。
【0016】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、前記第1薄型化板状部材の厚み及び前記第2薄型化板状部材の厚みの少なくともいずれかが、500μm以下であることが好ましい。
【0017】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、前記レーザを前記分割面に沿って1μm以上350μm以下の間隔で照射することが好ましい。
【0018】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、複数の前記改質部は、互いに重なっていることが好ましい。
【0019】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、複数の前記改質部は、互いに離れていてもよい。
【0020】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、前記板状部材は、第1表面、及び前記第1表面とは反対側の第2表面を有し、前記レーザを、前記第1表面及び前記第2表面の少なくともいずれかの表面側から照射することが好ましい。
【0021】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、前記板状部材は、第1表面、及び前記第1表面とは反対側の第2表面を有し、前記第1表面及び前記第2表面の少なくともいずれかの表面には保護シートが積層されていることが好ましい。
また、本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、前記板状部材は、第1表面、及び前記第1表面とは反対側の第2表面を有し、前記板状部材は、前記第1表面及び前記第2表面の少なくともいずれかの表面側で吸着保持されていることが好ましい。前記板状部材を吸着保持する場合、吸着保持される前記板状部材の面には保護シートが積層され、前記板状部材が前記保護シートを介して吸着保持されていることがより好ましい。レーザ照射工程及び分割工程の少なくともいずれかの工程において前記板状部材が吸着保持されていることが好ましい。前記板状部材は、吸着テーブルによって吸着保持されていることが好ましい。
【0022】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、前記保護シートが積層された前記板状部材の表面側から前記レーザを照射して、前記板状部材の内部に複数の前記改質部を形成することが好ましい。
【0023】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、前記分割工程は、前記板状部材の厚み方向に前記板状部材を離間させることにより、複数の前記改質部が形成された前記分割面を境界にして前記第1薄型化板状部材及び前記第2薄型化板状部材に分割する工程であることが好ましい。
【0024】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、前記板状部材の表面は、回路を有することが好ましい。
【0025】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、前記第1薄型化板状部材は、前記分割工程における前記板状部材の分割によって現れた第1露出面を有し、前記第2薄型化板状部材は、前記分割工程における前記板状部材の分割によって現れた第2露出面を有し、前記第1露出面及び前記第2露出面の少なくともいずれかを研磨する研磨工程を有することが好ましい。
【0026】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、前記第1薄型化板状部材及び前記第2薄型化板状部材の少なくともいずれかの表面に回路を形成する回路形成工程をさらに備えることが好ましい。
【0027】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、前記板状部材の材質は、シリコン、窒化ケイ素、窒化ガリウム、シリコンカーバイド、サファイア、ガリウム砒素、及びガラスからなる群から選択されることが好ましい。
【0028】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造方法において、前記板状部材は、ウエハであることが好ましい。
【0029】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造装置は、板状部材の内部に複数の改質部を形成する改質部形成手段と、改質後の前記板状部材を少なくとも第1薄型化板状部材及び第2薄型化板状部材に分割する分割手段と、を備え、前記改質部形成手段は、アーム部と、レーザを照射するレーザ照射器と、前記アーム部を回転可能に支持する駆動部と、を有し、前記レーザ照射器は、前記アーム部にスライド移動可能に支持されていることを特徴とする。
【0030】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造装置において、前記改質部形成手段は、前記レーザ照射器を複数有することが好ましい。
【0031】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造装置において、前記レーザ照射器は、複数のレーザを同時に照射可能であることが好ましい。
【0032】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造装置において、前記レーザ照射器は、複数の前記レーザ同士の照射間隔を拡大及び縮小できることが好ましい。
【0033】
本発明の一態様に係る薄型化板状部材の製造装置において、前記板状部材を回転可能に支持する保持手段をさらに有することが好ましい。
【0034】
本発明の一態様によれば、純水を用いず、薄型化の時間を短縮し、板状部材の割れを抑制でき、厚み精度を向上させることのできる薄型化板状部材の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施形態に係る薄型化ウエハの製造装置の平面図である。
図2】第1貼付手段の側面図である。
図3】第2貼付手段の側面図である。
図4】ウエハの内部の分割面を示すウエハの縦断面概略図である。
図5】複数の改質部を形成した後のウエハの縦断面概略図である。
図6】複数の改質部を形成した後のウエハの横断面概略図である。
図7A】分割手段の動作説明図である。
図7B】分割手段の動作説明図である。
図7C】分割手段の動作説明図である。
図8】第2実施形態にて複数の改質部を形成した後のウエハの縦断面概略図である。
図9】第2実施形態にて複数の改質部を形成した後のウエハの横断面概略図である。
図10A】第3実施形態におけるレーザ照射工程を説明する概略図である。
図10B】第3実施形態におけるレーザ照射工程を説明する概略図である。
図10C】第3実施形態におけるレーザ照射工程を説明する概略図である。
図11】第3実施形態のレーザ照射工程を実施した後のウエハの縦断面概略図である。
図12A】第4実施形態におけるレーザ照射工程を説明する概略図である。
図12B】第4実施形態におけるレーザ照射工程を説明する概略図である。
図12C】第4実施形態におけるレーザ照射工程を説明する概略図である。
図13A】第5実施形態におけるレーザ照射工程を説明する概略図である。
図13B】第5実施形態におけるレーザ照射工程を説明する概略図である。
図13C】第5実施形態におけるレーザ照射工程を説明する概略図である。
図14】本発明の別の一実施形態におけるレーザ照射工程を説明する概略図である。
図15A】本発明の別の一実施形態に係る薄型化ウエハの製造装置の動作説明図である。
図15B】本発明の別の一実施形態に係る薄型化ウエハの製造装置の動作説明図である。
図15C】本発明の別の一実施形態に係る薄型化ウエハの製造装置の動作説明図である。
図16A】本発明の別の一実施形態に係る薄型化ウエハの製造装置の動作説明図である。
図16B】本発明の別の一実施形態に係る薄型化ウエハの製造装置の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸、及びY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な矢印AR方向から観た場合を基準とし、方向を示した場合、「上」がZ軸と平行な図1中手前方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸の矢印方向で「後」がその逆方向とする。第1実施形態以降の第2実施形態等及び実施形態の変形においても同様である。
【0037】
薄型化板状部材は、薄型化板状部材の製造装置を用いて製造される。
図1、2、3、及び7には、薄型化板状部材の一例である薄型化ウエハを製造するための薄型化ウエハの製造装置10が示されている。
薄型化ウエハの製造装置10は、第1貼付手段20と、改質部形成手段30と、第2貼付手段40と、分割手段50とを備えている。
第1貼付手段20は、板状部材としての半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という場合がある)WFの第1表面WF1に第1接着シートAS1を貼付して一次加工品WK1を形成する。ウエハWFは、第1表面WF1と、第1表面WF1とは反対側の第2表面WF2と、を有する。
改質部形成手段30は、ウエハWFの内部に複数の改質部RP(図5参照)を形成する。複数の改質部RPは、後述する分割面DP(図4参照)に沿って形成される。
第2貼付手段40は、ウエハWFの第2表面WF2に第2接着シートAS2を貼付して二次加工品WK2を形成する。
分割手段50は、分割面DP(図4参照)に沿ってウエハWFを分割して、第1薄型化板状部材としての第1薄型化ウエハWT1、及び第2薄型化板状部材としての第2薄型化ウエハWT2を形成する。
【0038】
以下、薄型化板状部材の製造方法の一例として、薄型化ウエハの製造装置10を用いて、第1薄型化ウエハWT1及び第2薄型化ウエハWT2を製造する方法を説明する。
【0039】
ウエハWFは、レーザ照射によって改質される材質からなるウエハであれば特に限定されない。レーザは、ステルスダイシング法において照射するレーザであることが好ましい。ウエハWFの材質は、例えば、シリコン、窒化ケイ素、窒化ガリウム、シリコンカーバイド(SiC)、サファイア、ガリウム砒素、及びガラスからなる群から選択されることが好ましい。ウエハWFの材質は、シリコンであることがより好ましく、単結晶シリコンであることがさらに好ましい。また、ウエハWFは、結晶方位を有する材質で形成されていることも好ましい。
【0040】
本実施形態に係るウエハの製造方法によれば、インゴットのように厚みの大きい処理対象物ではなく、厚みが小さい板状部材(ウエハ)をさらに薄型化できる。ウエハWFの厚みは、3mm以下であることが好ましい。
ウエハWFを分割して形成される第1薄型化ウエハWT1、及び第2薄型化ウエハWT2の厚みの少なくともいずれかが、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましい。ウエハWFを分割して形成される第1薄型化ウエハWT1、及び第2薄型化ウエハWT2の厚みの少なくともいずれかが、10μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましい。
【0041】
第1貼付手段20は、第1剥離シートRL1の一方の面に第1接着シートAS1が仮着された第1原反RS1を支持する支持ローラ21と、第1原反RS1を案内するガイドローラ22と、第1剥離シートRL1を折り曲げて当該第1剥離シートRL1から第1接着シートAS1を剥離する剥離部材としての剥離板23と、駆動機器としての回動モータ24Aによって駆動され、ピンチローラ24Bとで第1剥離シートRL1を挟み込む駆動ローラ24と、第1剥離シートRL1を回収する回収ローラ25と、剥離板23で剥離された第1接着シートAS1をウエハWFの第1表面WF1、及び第1フレーム部材としての第1リングフレームRF1に押圧して貼付する押圧手段としての押圧ローラ26と、駆動機器としてのリニアモータ27のスライダ27Aに支持され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段によって、ウエハWF、及び第1リングフレームRF1を吸着保持可能な保持テーブル28とを備える。第1貼付手段20は、ウエハWF、及び第1リングフレームRF1に第1接着シートAS1を貼付して一次加工品WK1を形成する。
【0042】
改質部形成手段30は、レーザ照射器32を備えている。レーザ照射器32は、駆動機器としてのリニアモータ31のスライダ31Aに支持されている。
【0043】
第2貼付手段40は、第2剥離シートRL2の一方の面に第2接着シートAS2が仮着された第2原反RS2から当該第2接着シートAS2を剥離し、当該第2接着シートAS2をウエハWFの第2表面WF2、及び第2フレーム部材としての第2リングフレームRF2に貼付して二次加工品WK2を形成する。第2貼付手段40は、実質的に第1貼付手段20と同様の構成であり、第1貼付手段20における付番号の先頭2の記号を4に置き換えることで説明ができるので、その説明を省略する。なお、第2貼付手段40は、保持テーブル48で一次加工品WK1、及び第2リングフレームRF2を吸着保持する構成になっている。
【0044】
分割手段50は、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段によって第1接着シートAS1を介してウエハWF、及び第1リングフレームRF1を吸着保持可能な保持面51Aを有する下テーブル51と、駆動機器としての回動モータ52の出力軸52Aに右端部が支持され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段によって第2接着シートAS2を介してウエハWF、及び第2リングフレームRF2を吸着保持可能な保持面53Aを有する上テーブル53とを備える。分割手段50は、下テーブル51と上テーブル53とをX-Z平面内の回転方向に相対移動させ、ウエハWFの厚み方向に当該ウエハWFを離間させる構成になっている。
【0045】
以上の薄型化ウエハの製造装置10において、ウエハWFから第1薄型化ウエハWT1、及び第2薄型化ウエハWT2を形成する手順を説明する。
先ず、各部材が初期位置に配置された図2図3図7A図7B、及び図7C中の実線で示す薄型化ウエハの製造装置10に対し、作業者が第1原反RS1、及び第2原反RS2を図2、及び図3に示すようにセットした後、図示しない操作パネルやパーソナルコンピュータ等の入力手段を介して自動運転開始の信号を入力する。そして、作業者又は多関節ロボットやベルトコンベア等の図示しない搬送手段が、図2中の実線で示すように第1リングフレームRF1、及びウエハWFを保持テーブル28上に載置すると、第1貼付手段20が図示しない減圧手段を駆動し、第1リングフレームRF1、及びウエハWFを保持テーブル28の上面で吸着保持する。
【0046】
その後、第1貼付手段20がリニアモータ27を駆動し、保持テーブル28を左方向に移動させ、第1リングフレームRF1、及びウエハWFが所定位置に到達したことが光学センサや撮像手段等の図示しない検知手段に検知されると、回動モータ24Aを駆動し、保持テーブル28の移動速度に合わせて第1原反RS1を繰り出す。これにより、第1接着シートAS1が剥離板23で第1剥離シートRL1から剥離され、押圧ローラ26によって第1リングフレームRF1、及びウエハWFの第1表面WF1に貼付されて一次加工品WK1が形成される(第1貼付工程)。一次加工品WK1が図2中の二点鎖線で示す所定の位置に到達すると、第1貼付手段20がリニアモータ27、及び図示しない減圧手段の駆動を停止する。次いで、作業者又は図示しない搬送手段が、図3中の実線で示すように、第1接着シートAS1が下方となる状態で一次加工品WK1を保持テーブル48の上面に載置する。その後、作業者又は図示しない搬送手段が一次加工品WK1を囲むように第2リングフレームRF2を保持テーブル48の上面に載置すると、第2貼付手段40が図示しない減圧手段を駆動し、第2リングフレームRF2、及び一次加工品WK1を保持テーブル48の上面で吸着保持する。
【0047】
次に、改質部形成手段30がレーザLBをウエハWFに照射するレーザ照射工程を実施する(図3参照)。
レーザ照射工程においては、第2貼付手段40がリニアモータ47を駆動し、保持テーブル48を右方向に移動させると、当該保持テーブル48の移動に同期させて改質部形成手段30がレーザ照射器32、及びリニアモータ31を駆動し、当該レーザ照射器32を前後方向に移動させる。改質部形成手段30は、半導体ウエハを改質できるレーザLBを照射する手段であれば特に限定されない。改質部形成手段30としては、例えば、ステルスダイシング法に採用される装置を用いることもできる。
【0048】
また、レーザ照射工程においては、レーザ照射器32を前後方向に移動させながらレーザLBをウエハWFに照射する。本実施形態では、ウエハWFの第2表面WF2側からレーザLBを照射する。第2表面WF2は、レーザLBがウエハWFの内部へ入射されやすいように、研磨されていることが好ましい。
レーザ照射器32は、ウエハWFの内部に、改質された部分(改質部という。)を形成できるようにレーザ照射条件が設定されている。レーザ照射条件としては、例えば、レーザ出力、レーザ周波数、パルス幅、レーザ照射点の位置、及びレーザ波長などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
図4は、ウエハWFの内部の分割面DPを示すウエハWFの縦断面概略図である。
図5は、ウエハWFの内部の分割面DPに沿って複数の改質部RPを形成した後のウエハWFの縦断面概略図である。
図6は、ウエハWFの内部の分割面DPに沿って複数の改質部RPを形成した後のウエハWFの横断面概略図である。
なお、図4図5、及び図6において、図の視認性の観点からハッチは省略してある。
レーザ照射工程においては、レーザLBを照射し、複数の改質部RPを、ウエハWFの内部の分割面DPに沿って形成する。すなわち、複数の改質部RPが存在しているウエハ内部の面状の領域が分割面DPに相当する。なお、分割面DPは、ウエハWFを分割する予定の仮想的な面である。
改質部RPを起点として、後の分割工程において、ウエハWFが分割される。
【0050】
ウエハWFが結晶方位を有する材質で形成されている場合、分割面DPと結晶方位とが一致していることが好ましい。分割面DPと結晶方位とが一致していれば、ウエハWFの分割によって現れる第1薄型化ウエハWT1の表面、及び第2薄型化ウエハWT2の表面(分割面DPと対応する面)を、より滑らかにすることができる。分割によって現れる第1薄型化ウエハWT1の表面を第1露出面とWF3する(図7C参照)。分割によって現れる第2薄型化ウエハWT2の表面を第2露出面WF4(図7C参照)とする。
【0051】
本明細書において、改質部は、ウエハの性質や強度を変化させて脆弱化又は軟化した部位である。本明細書において、改質部は、ウエハの内部のレーザが照射されたレーザ照射点と、このレーザ照射点を中心部とし、この中心部の周辺に形成された周辺部と、を含んだ領域をいう。ウエハの内部における改質強度は、レーザ照射点において最大である。周辺部の改質強度は、レーザ照射点から離れるほど低減する。
【0052】
図5及び図6には、断面が円形である改質部RPが示されているが、本明細書における改質部の形状や大きさは、図5及び図6に示されたような形状に限定されない。
【0053】
改質部RPは、分割面DPの全体に亘って形成されていることも好ましい。形成する改質部RPの個数は、特に限定されない。例えば、ウエハWFの材質及びレーザによる改質強度に応じて、第1薄型化ウエハWT1及び第2薄型化ウエハWT2に分割し易いように、形成する改質部RPの個数を設定することもできる。また、半導体ウエハの生産性も考慮して、形成する改質部RPの個数を設定することもできる。
【0054】
本実施形態では、図5及び図6に示すように、複数の改質部RPは、互いに重なっている。なお、本明細書において、複数の改質部は、互いに重なっているとは、一つの改質部が、他の改質部の内、少なくとも一つの改質部と重なっていることを意味しており、一つの改質部が他の全ての改質部と重なっていることを規定する意味ではない。レーザ照射工程においては、複数の改質部RPが互いに重なるようにレーザ照射条件を設定する。
【0055】
本実施形態では、レーザLBを分割面DPに沿って1μm以上350μm以下の間隔で照射することが好ましい。すなわち、レーザLBが照射された点(レーザ照射点)同士の間隔Dが、1μm以上350μm以下となるように、レーザLBを照射することが好ましい。レーザ照射点の間隔Dが1μm以上であれば生産性が向上する。レーザ照射点の間隔が350μm以下であれば、ウエハWFの厚み方向に亀裂が入り易くなるという不具合を抑制できる。レーザ照射点の間隔Dは、1μm以上350μm以下の範囲内であれば、全ての改質部RPにおいて同一であっても、異なっていてもよい。
【0056】
レーザ照射点の間隔は、例えば、保持テーブル48及びレーザ照射器32の少なくともいずれかの移動速度を変化させることで、所定の距離に調整することができる。
【0057】
ウエハWFの内部に、ウエハWFを面方向に分割させるために必要な複数の改質部RPが形成されると、改質部形成手段30がレーザ照射器32の駆動を停止する。レーザ照射器32の駆動を停止した後、一次加工品WK1が図3中の二点鎖線で示す所定位置に到達すると、第2貼付手段40がリニアモータ47の駆動を停止する。次いで、第2貼付手段40がリニアモータ47を駆動し、保持テーブル48を左方向に移動させ、上記第1貼付手段20と同様の動作を行うことにより、図3の符号AAの図に示すような二次加工品WK2が形成される(第2貼付工程)。保持テーブル48が初期位置に復帰すると、第2貼付手段40がリニアモータ47の駆動を停止するとともに、図示しない減圧手段の駆動を停止する。
【0058】
次いで、作業者又は図示しない搬送手段が、図7Aに示すように、第1接着シートAS1が下方となる状態で二次加工品WK2を下テーブル51の保持面51A上に載置すると、分割手段50が図示しない減圧手段を駆動し、二次加工品WK2を保持面51Aで吸着保持する。その後、分割手段50が回動モータ52を駆動し、上テーブル53を反時計回転方向に回転させ、図7Bに示すように、上テーブル53を二次加工品WK2に当接させた後、図示しない減圧手段を駆動し、当該二次加工品WK2を保持面53Aで吸着保持する。そして、分割手段50が回動モータ52を駆動し、上テーブル53を時計回転方向に回転させ、図7Cに示すように、複数の改質部RPが形成された分割面DPを境界にしてウエハWFを分割することで、薄型化された第1薄型化ウエハWT1、及び第2薄型化ウエハWT2を形成する(分割工程)。次に、作業者又は図示しない搬送手段が第1薄型化ウエハWT1、及び第2薄型化ウエハWT2を保持すると、分割手段50が図示しない減圧手段の駆動を停止し、第1薄型化ウエハWT1、及び第2薄型化ウエハWT2の吸着保持を解除する。その後、図示しない搬送手段が第1薄型化ウエハWT1、及び第2薄型化ウエハWT2を次工程に搬送すると、各手段がそれぞれの駆動機器を駆動し、各部材を初期位置に復帰させ、以降、上記同様の動作が繰り返される。
【0059】
本実施形態によれば、ウエハWFの内部に複数の改質部RPを形成し、当該複数の改質部RPが形成された分割面DPを境界にして当該ウエハWFを分割する。そのため、本実施形態によれば、純水を用いることなく、研磨法に比べて薄型化の時間を短縮し、ウエハWFの割れを抑制でき、厚み精度を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、複数の改質部RPを互いに重ねるように形成する。そのため、改質部が分割面に沿ってより多く存在しており、ウエハWFを分割し易くなる。
【0060】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る薄型化板状部材の製造方法は、複数の改質部を形成する際の改質部同士の位置関係が、第1実施形態と異なる。その他の点については、第2実施形態は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略又は簡略化する。
【0061】
第2実施形態に係る薄型化板状部材の製造方法も、薄型化板状部材の一例である薄型化ウエハを製造するための薄型化ウエハの製造装置10を用いて実施できる。
【0062】
第2実施形態に係る薄型化板状部材の製造方法は、レーザ照射工程に関して、第1実施形態のレーザ照射工程と相違する。具体的には、第2実施形態においては、改質部RP同士が互いに離れている点で、改質部同士が互いに重なっている第1実施形態とは異なる。
【0063】
図8は、ウエハWFの内部の分割面DPに沿って複数の改質部RPを形成した後のウエハWFの縦断面概略図である。
図9は、ウエハWFの内部の分割面DPに沿って複数の改質部RPを形成した後のウエハWFの横断面概略図である。
なお、図8及び図9において、図の視認性の観点からハッチは省略してある。
【0064】
本実施形態では、図8及び図9に示すように、複数の改質部RPは、互いに離れている。レーザ照射工程においては、複数の改質部RPが互いに重ならないようにレーザ照射条件を設定する。
【0065】
図8及び図9には、断面が円形である改質部RPが示されているが、本明細書における改質部の形状や大きさは、図8及び図9に示されたような形状に限定されない。
【0066】
本実施形態においても、レーザLBを分割面DPに沿って1μm以上350μm以下の間隔で照射することが好ましい。すなわち、レーザLBが照射された点(レーザ照射点)同士の間隔D1が、1μm以上350μm以下となるように、レーザLBを照射することが好ましい。レーザ照射点の間隔D1が1μm以上であれば生産性が向上する。レーザ照射点の間隔が350μm以下であれば、ウエハWFの厚み方向に亀裂が入り易くなるという不具合を抑制できる。レーザ照射点の間隔D1は、1μm以上350μm以下の範囲内であれば、全ての改質部RPにおいて同一であっても、異なっていてもよい。
【0067】
隣り合う改質部RP同士の間隔(一方の改質部の端と他方の改質部との端との間隔)は、ウエハWFを面方向に分割できる間隔であれば、特に限定されない。
【0068】
レーザ照射点の間隔は、例えば、保持テーブル48及びレーザ照射器32の少なくともいずれかの移動速度を変化させることで、所定の距離に調整することができる。
【0069】
本実施形態によれば、ウエハWFの内部に複数の改質部RPを形成し、当該複数の改質部RPが形成された分割面DPを境界にして当該ウエハWFを分割する。そのため、本実施形態によれば、純水を用いることなく、研磨法に比べて薄型化の時間を短縮し、ウエハWFの割れを抑制でき、厚み精度を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、複数の改質部RPを互いに重ならないように形成する。そのため、レーザ照射点の数を少なくすることができ、薄型化板状部材の生産性が向上する。
【0070】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る薄型化板状部材の製造方法は、複数の改質部を形成する際のレーザ照射点同士の間隔が分割面内において異なる。第1実施形態、及び第2実施形態と異なる点について以下に説明し、第1実施形態、及び第2実施形態と同様な点は、説明を省略又は簡略化する。
【0071】
本実施形態に係る薄型化板状部材の製造方法においては、レーザ照射工程を次に示すように具体的なレーザ照射条件の下で行うことを特徴とする。
【0072】
すなわち、本実施形態に係る製造方法のレーザ照射工程において、レーザの照射点の位置を移動させながら板状部材に複数の改質部を形成し、板状部材の外周部側におけるレーザ照射点同士の間隔と、板状部材の中心部側におけるレーザ照射点同士の間隔とが、異なる。
【0073】
本実施形態に係る製造方法のレーザ照射工程においては、レーザを照射するレーザ照射器、及び板状部材の少なくともいずれかを移動させることが好ましい。すなわち、本実施形態に係る製造方法のレーザ照射工程においては、板状部材を移動させずにレーザ照射器を移動させることでレーザ照射点の位置を移動させる第1態様、レーザ照射器を移動させずに板状部材を移動させることでレーザ照射点の位置を移動させる第2態様、並びに板状部材及びレーザ照射器を移動させることでレーザ照射点の位置を移動させる第3態様のいずれかを採用することができる。後述する本実施形態のより詳細な説明では、本実施形態の第1態様を採用した場合を一例として挙げる。
【0074】
本実施形態に係る製造方法のレーザ照射工程においては、レーザ照射器、及び板状部材の少なくともいずれかを回転させることにより、レーザの照射点の位置を移動させることが好ましい。レーザ照射器、及び板状部材の少なくともいずれかを回転させることで、レーザ照射速度を向上させることができる。レーザ照射器、及び板状部材の少なくともいずれかを回転させることで、レーザを直線的に照射する場合と比べて、加速と減速の回数を減らすことができる。レーザを直線的に複数個所に照射する場合は、面方向にて照射位置を変更させる際に、一度、移動速度を減速させて位置変更を行うのに対して、レーザ照射器、及び板状部材の少なくともいずれかを回転させる場合は、同速度で連続して面内に照射できる。
ここで、本実施形態に係る製造方法のレーザ照射工程においては、レーザ照射器、及び板状部材の少なくともいずれかを、回転させるだけでなく、平行移動させる動作を組み合わせても良い。
【0075】
本実施形態に係る薄型化板状部材の製造方法においても、板状部材は、特に限定されないが、半導体ウエハであることが好ましい。
【0076】
本実施形態に係る薄型化板状部材の製造方法も、薄型化ウエハの製造装置10を用いて実施できる。
また、本実施形態に係る薄型化板状部材の製造方法は、図10に示すような改質部形成手段30Aを有する薄型化ウエハの製造装置を用いて実施することもできる。
【0077】
図10A図10B、及び図10Cには、改質部形成手段30Aの概略図が示されている。
改質部形成手段30Aは、駆動部320と、軸部321と、アーム部322と、レーザ照射器323と、を備える。
【0078】
駆動部320は、軸部321を介して支持するアーム部322を、軸部321を回転軸として回転させる。
【0079】
アーム部322の長手方向の一端部側にレーザ照射器323が取り付けられており、他端部側に軸部321が取り付けられている。
レーザ照射器323は、アーム部322の長手方向に沿って移動可能に取り付けられていることが好ましい。例えば、レーザ照射器323は、第1実施形態におけるリニアモータ31及びスライダ31Aを有する駆動機器によって移動させることもできる。そのため、本実施形態の改質部形成手段30Aは、アーム部322が当該駆動機器を有していることが好ましい。
レーザ照射器323は、板状部材としての半導体ウエハを改質できるレーザLBを照射可能であれば特に限定されない。レーザ照射器323は、例えば、前記実施形態で用いたレーザ照射器32と同様でもよい。
【0080】
次に、改質部形成手段30Aを有する薄型化ウエハの製造装置を用いた本実施形態に係る薄型化板状部材の製造方法を説明する。レーザ照射工程以外は、第1実施形態又は第2実施形態で説明した工程と同様に実施できるので、説明を省略する。
【0081】
図10Aには、ウエハWFのウエハ外周部WFe側にレーザLBを照射する工程を示す概略図が示されている。本実施形態においても、ウエハWFの内部の分割面DPに沿ってレーザLBを照射し、複数の改質部RPを形成する。
本実施形態では、図10Aに示すように、まず、分割面DPのウエハ外周部WFe側にレーザLBを照射し、1つ目のレーザ照射点LPを形成する。
次に、アーム部322を所定角度ずつ、回転させ、レーザLBを照射し、2つ目のレーザ照射点を形成する。このように、アーム部322を所定角度、回転させながらレーザを照射して、アーム部322の回転方向に沿って複数のレーザ照射点LPを所定間隔で形成する。
【0082】
図10Bには、アーム部322を180度、回転させ、レーザLBを照射し、レーザ照射点LPを形成した状態の概略図が示されている。
【0083】
引き続きアーム部322を所定角度ずつ、回転させ、レーザLBを照射し、アーム部322を回転させた角度が360度になるまで、回転とレーザ照射を続ける。これにより、レーザ照射点LPが周方向に沿って所定間隔で配列された状態となり、改質部も周方向に沿って形成された状態となる。周方向に沿って整列するレーザ照射点LP同士の間隔は、1μm以上350μm以下であることが好ましい。
【0084】
アーム部322を、360度、回転させた後に、レーザ照射器323をアーム部322の長手方向に沿って軸部321側へ向けて所定距離移動させる。
【0085】
図10Cには、レーザ照射器323をアーム部322の長手方向に沿って軸部321側へ向けて所定距離移動させた状態の概略図が示されている。
レーザ照射器323を所定距離移動させた後、レーザ照射し、レーザ照射点LPを形成する。その後、引き続きアーム部322を所定角度ずつ、回転させ、レーザを照射し、アーム部322を回転させた角度が360度になるまで、回転とレーザ照射を続ける。アーム部322を360度、回転させた後に、レーザ照射器323をアーム部322の長手方向に沿って軸部321側へ向けて所定距離移動させる。
このように、アーム部322の回転と、レーザ照射器323のスライド移動とを組み合わせることで、ウエハWFの周方向に沿って同心円状にレーザ照射点LPが複数配列された状態となる。
【0086】
図11は、本実施形態のレーザ照射工程におけるレーザ照射点LP同士の位置及び間隔、並びに分割面DPにおけるレーザ照射点LPの配列密度を示す縦断面概略図である。
【0087】
本実施形態に係る製造方法において、ウエハ外周部WFe側におけるレーザ照射点LP同士の間隔と中心部WFc側におけるレーザ照射点LP同士の間隔とが異なるという態様の一例としては、図11に示すように、ウエハ外周部WFe側におけるレーザ照射点LP同士の間隔が、中心部WFc側におけるレーザ照射点LP同士の間隔よりも小さいことが好ましい。別の態様の例としては、ウエハ外周部WFe側におけるレーザ照射点LP同士の間隔が、中心部WFc側におけるレーザ照射点LP同士の間隔よりも大きい場合も挙げられる。
【0088】
すなわち、本実施形態に係る製造方法においては、ウエハWFの分割面DPに沿って照射するレーザ照射点LP同士の間隔を、分割面DP内において均一にするのではなく、間隔を小さくする領域と、間隔を大きくする領域とを設ける。
【0089】
このようにレーザ照射点LP同士の間隔を分割面DP内において異ならせることで、分割面DP内において均一にレーザ照射する場合と比べて、レーザ照射点LPの数を減らすことができ、製造効率が向上する。
【0090】
また、分割面DPに沿ってウエハWFを分割可能となるように改質部が複数形成されていれば良いため、レーザ照射点LP同士の間隔を狭くする領域と、広くする領域とを設けても、ウエハWFの分割性と製造効率との両立を図ることができる。レーザ照射点LP同士の間隔は、レーザ照射点LP同士の間隔を狭くする領域と、広くする領域とが、いずれも1μm以上350μm以下の範囲を満たすことが好ましい。例えば、レーザ照射点LP同士の間隔を狭くする領域においては、レーザ照射点LP同士の間隔が、1μm以上100μm未満の範囲内となるようにレーザ照射し、レーザ照射点LP同士の間隔を広くする領域においては、100μm以上350μm以下の範囲内となるようにレーザ照射することが好ましい。
【0091】
また、本実施形態に係る製造方法においては、レーザ照射点LP同士の間隔が、ウエハ外周部WFe側から中心部WFc側に向かうにつれて大きくなることが好ましい。この場合において、レーザ照射点LP同士の間隔が、ウエハ外周部WFe側から中心部WFc側に向かうにつれて連続的に減少する態様に限定されない。
レーザ照射点LP同士の間隔が、ウエハ外周部WFe側から中心部WFc側に向かうにつれて大きくなる場合には、ウエハ外周部WFe側の領域においては、ある一定の間隔でレーザを照射し、当該領域よりも中心部WFc側の領域においては、当該間隔よりも大きな一定の間隔でレーザを照射する態様も含まれる。例えば、図11に示すように、ウエハWFにおいて、ウエハ外周部WFe側の第1領域AR1と、中心部WFc側の第2領域AR2と、第1領域AR1と第2領域AR2との間の第3領域AR3と、を設定し、第1領域AR1に対して、第1の間隔LD1でレーザを複数個所に照射し、第3領域AR3に対して、第3の間隔LD3でレーザを複数個所に照射し、第2領域AR2に対して、第2の間隔LD2で前記レーザを複数個所に照射し、第1の間隔LD1は、第3の間隔LD3よりも小さく、第3の間隔LD3は、第2の間隔LD2よりも小さいことが好ましい。なお、ここでは、3つの領域を設定する態様を例に挙げて説明したが、2つの領域を設定しても良いし、4つ以上の領域を設定しても良い。
【0092】
本実施形態によれば、ウエハWFの内部に複数の改質部RPを形成し、当該複数の改質部RPが形成された分割面DPを境界にして当該ウエハWFを分割する。そのため、純水を用いることなく、研磨法に比べて薄型化の時間を短縮し、ウエハWFの割れを抑制でき、厚み精度を向上させることができる。
さらに、本実施形態によれば、レーザ照射点LP同士を分割面DP内において、均一な間隔で形成することなく、改質部RPを形成し、ウエハWFを分割することができるので、ウエハWFの分割性を維持しつつ、生産性をさらに向上させることができる。
【0093】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る薄型化板状部材の製造方法においては、複数の改質部を形成する際に使用する改質部形成手段が第3実施形態で説明した改質部形成手段30Aとは異なる。第1、第2、及び第3実施形態と異なる点について以下に説明し、第1、第2、及び第3実施形態と同様な点は、説明を省略又は簡略化する。
【0094】
図12A図12B、及び図12Cには、本実施形態で使用する改質部形成手段30Bの概略図が示されている。
本実施形態に係る薄型化板状部材の製造方法は、図12A図12B、及び図12Cに示すような改質部形成手段30Bを有する薄型化ウエハの製造装置を用いて実施することもできる。
改質部形成手段30Bは、駆動部320と、軸部321と、アーム部322Bと、第1レーザ照射器323Aと、第2レーザ照射器323Bと、を備える。
【0095】
駆動部320は、軸部321を介して支持するアーム部322Bを、軸部321を回転軸として回転させる。
【0096】
アーム部322Bは、第3実施形態のアーム部322よりも長い形状である。
アーム部322Bの長手方向の一端部側に第1レーザ照射器323Aが取り付けられ、他端部側に第2レーザ照射器323Bが取り付けられ、アーム部322Bの長手方向の一端部側と他端部側との間の中心部に軸部321が取り付けられている。
【0097】
第1レーザ照射器323A及び第2レーザ照射器323Bは、アーム部322Bの長手方向に沿って移動可能に取り付けられていることが好ましい。例えば、第1レーザ照射器323A及び第2レーザ照射器323Bは、第1実施形態におけるリニアモータ31及びスライダ31Aを有する駆動機器によって移動させることもできる。そのため、本実施形態の改質部形成手段30Bにおいては、アーム部322Bが当該駆動機器を有していることが好ましい。また、第1レーザ照射器323Aは、アーム部322Bの一端部側から、アーム部322Bの中心部を超えて、他端部側まで移動可能にアーム部322Bに取り付けられていることが好ましい。また、第2レーザ照射器323Bも、アーム部322Bの他端部側から、アーム部322Bの中心部を超えて、一端部側まで移動可能にアーム部322Bに取り付けられていることが好ましい。
【0098】
第1レーザ照射器323A及び第2レーザ照射器323Bは、板状部材としての半導体ウエハを改質できるレーザLBを照射可能であれば特に限定されない。レーザ照射器323は、例えば、前記実施形態で用いたレーザ照射器32と同様でもよい。
【0099】
次に、改質部形成手段30Bを有する薄型化ウエハの製造装置を用いた本実施形態に係る薄型化板状部材の製造方法を説明する。レーザ照射工程以外は、第1実施形態又は第2実施形態で説明した工程と同様に実施できるので、説明を省略する。
【0100】
図12Aには、ウエハWFのウエハ外周部WFe側にレーザLBを照射する工程を示す概略図が示されている。本実施形態においても、ウエハWFの内部の分割面DPに沿ってレーザLBを照射し、複数の改質部RPを形成する。
本実施形態では、図12Aに示すように、分割面DPのウエハ外周部WFe側にレーザLBを照射する。改質部形成手段30Bは、2つのレーザ照射器を有するため、2箇所同時にレーザ照射点LPを形成し、改質部を形成できる。
次に、アーム部322Bを所定角度ずつ、回転させ、レーザLBを照射し、次のレーザ照射点LPを形成する。このように、アーム部322Bを所定角度、回転させながらレーザLBを照射して、アーム部322Bの回転方向に沿って複数のレーザ照射点LPを所定間隔で形成する。
アーム部322Bを回転させた角度が180度になるまで、回転とレーザ照射を続ける。これにより、レーザ照射点LPが周方向に沿って所定間隔で配列された状態となり、改質部も周方向に沿って形成された状態となる。周方向に沿って形成された改質部同士の間隔は、1μm以上350μm以下であることが好ましい。
【0101】
図12Bには、第1レーザ照射器323A及び第2レーザ照射器323Bをアーム部322Bの長手方向に沿って軸部321側へ向けて所定距離移動させた状態の概略図が示されている。
具体的には、アーム部322Bを180度、回転させながらレーザ照射して改質部を形成した後に、第1レーザ照射器323A及び第2レーザ照射器323Bをアーム部322Bの長手方向に沿って、アーム部322Bの中心部へ向けて、所定距離移動させる。
第1レーザ照射器323A及び第2レーザ照射器323Bを移動させた後、レーザ照射してレーザ照射点LPを形成し、改質部を形成する。その後、引き続きアーム部322Bを所定角度ずつ、回転させ、レーザLBを照射し、アーム部322Bを回転させた角度が180度になるまで、回転とレーザ照射を続ける。アーム部322Bを180度、回転させた後に、第1レーザ照射器323A及び第2レーザ照射器323Bをアーム部322Bの長手方向に沿って、さらにアーム部322Bの中心部へ向けて、所定距離移動させる。
【0102】
図12Cには、アーム部322Bの回転と、第1レーザ照射器323A及び第2レーザ照射器323Bのスライド移動とを繰り返し実施し、ウエハWFの中心部WFc側まで第1レーザ照射器323A及び第2レーザ照射器323Bが移動した状態の概略図が示されている。
このように、アーム部322Bの回転と、第1レーザ照射器323A及び第2レーザ照射器323Bのスライド移動とを組み合わせることで、ウエハWFの周方向に沿って同心円状にレーザ照射点LPが複数配列された状態となる。また、本実施形態の製造方法によっても、ウエハWFの断面視では、図12Cのように、ウエハWFのウエハ外周部WFe側の領域におけるレーザ照射点LP同士の間隔よりも、ウエハWFの中心部WFc側におけるレーザ照射点LP同士の間隔が大きい。
【0103】
本実施形態に係る改質部形成手段30Bを有する薄型化ウエハの製造装置を用いることによっても、第3実施形態で説明した図11のようにレーザ照射点LPを配列させ、改質部を形成することができる。
【0104】
本実施形態によれば、ウエハWFの内部に複数の改質部RPを形成し、当該複数の改質部RPが形成された分割面DPを境界にして当該ウエハWFを分割する。そのため、純水を用いることなく、研磨法に比べて薄型化の時間を短縮し、ウエハWFの割れを抑制でき、厚み精度を向上させることができる。
さらに、本実施形態によれば、レーザ照射点LP同士を分割面DP内において、均一な間隔で形成することなく、改質部RPを形成し、ウエハWFを分割することができるので、ウエハWFの分割性を維持しつつ、生産性をさらに向上させることができる。
さらに、本実施形態によれば、レーザ照射器を2つ用いてレーザ照射を行うので、第3実施形態に比べて、生産性を向上させることができる。
【0105】
[第5実施形態]
第5実施形態に係る薄型化板状部材の製造方法においては、複数の改質部を形成する際に使用する改質部形成手段が第3実施形態及び第4実施形態で説明した改質部形成手段とは異なる。第1、第2、第3、及び第4実施形態と異なる点について以下に説明し、第1、第2、第3、及び第4実施形態と同様な点は、説明を省略又は簡略化する。
【0106】
図13A図13B、及び図13Cには、本実施形態で使用する改質部形成手段30Cの概略図が示されている。
本実施形態に係る薄型化板状部材の製造方法は、図13A図13B、及び図13Cに示すような改質部形成手段30Cを有する薄型化ウエハの製造装置を用いて実施することもできる。
改質部形成手段30Cは、駆動部320と、軸部321と、アーム部322Cと、第1の複数レーザ照射器324と、第2の複数レーザ照射器326と、を備える。
【0107】
駆動部320は、軸部321を介して支持するアーム部322Cを、軸部321を回転軸として回転させる。
【0108】
アーム部322Cは、第3実施形態のアーム部322よりも長い形状である。
アーム部322Cの長手方向の一端部側に第1の複数レーザ照射器324が取り付けられ、他端部側に第2の複数レーザ照射器326が取り付けられ、アーム部322Cの長手方向の一端部側と他端部側との間の中心部に軸部321が取り付けられている。
【0109】
第1の複数レーザ照射器324及び第2の複数レーザ照射器326は、アーム部322Cの長手方向に沿って移動可能に取り付けられていることが好ましい。例えば、第1の複数レーザ照射器324及び第2の複数レーザ照射器326は、第1実施形態におけるリニアモータ31及びスライダ31Aを有する駆動機器によって移動させることもできる。そのため、本実施形態の改質部形成手段30Cは、アーム部322Cが当該駆動機器を有していることが好ましい。また、第1の複数レーザ照射器324は、アーム部322Cの一端部側から、アーム部322Cの中心部を超えて、他端部側まで移動可能にアーム部322Cに取り付けられていることが好ましい。また、第2の複数レーザ照射器326も、アーム部322Cの他端部側から、アーム部322Cの中心部を超えて、一端部側まで移動可能にアーム部322Cに取り付けられていることが好ましい。
【0110】
第1の複数レーザ照射器324及び第2の複数レーザ照射器326は、それぞれ、板状部材としての半導体ウエハを改質できるレーザLBを、複数個所に照射可能であれば特に限定されない。例えば、第1の複数レーザ照射器324及び第2の複数レーザ照射器326は、それぞれ、複数のレーザ光源を有する態様であってもよい。なお、図13A図13B、及び図13Cには、第1の複数レーザ照射器324及び第2の複数レーザ照射器326は、それぞれ、3箇所からレーザLBを照射する態様が記載されているが、本発明は、このような態様に限定されない。例えば、第1の複数レーザ照射器324及び第2の複数レーザ照射器326は、それぞれ、2箇所に同時に照射できる態様であってもよいし、4箇所以上に同時に照射できる態様であってもよい。また、第1の複数レーザ照射器324及び第2の複数レーザ照射器326から同時に照射できるレーザの数は、互いに同じでも、異なっていても良い。
【0111】
さらに、第1の複数レーザ照射器324及び第2の複数レーザ照射器326は、それぞれ、照射する複数のレーザ同士の間隔を拡げたり、狭めたりする機構を有していることが好ましい。
【0112】
次に、改質部形成手段30Cを有する薄型化ウエハの製造装置を用いた本実施形態に係る薄型化板状部材の製造方法を説明する。レーザ照射工程以外は、第1実施形態又は第2実施形態で説明した工程と同様に実施できるので、説明を省略する。
【0113】
図13Aには、ウエハWFのウエハ外周部WFe側にレーザLBを照射する工程を示す概略図が示されている。本実施形態においても、ウエハWFの内部の分割面DPに沿ってレーザLBを照射し、複数の改質部RPを形成する。
本実施形態では、図13Aに示すように、分割面DPのウエハ外周部WFe側に、レーザLBを照射する。改質部形成手段30Cは、2つのレーザ照射器を有し、第1の複数レーザ照射器324及び第2の複数レーザ照射器326は、同時に複数のレーザLBを照射するので、複数個所に同時にレーザ照射点LPを形成し、改質部を形成できる。
第1の複数レーザ照射器324及び第2の複数レーザ照射器326からレーザLBを同時に照射して形成されたレーザ照射点LP同士の間隔(ウエハWFの径方向に並んだレーザ照射点LP同士の間隔)は、それぞれ独立に、1μm以上350μm以下であることが好ましい。
図13Aに示した本実施形態の一例では、第1の複数レーザ照射器324及び第2の複数レーザ照射器326から、それぞれ、同時に3箇所のレーザLBが照射されるので、ウエハWFの分割面DPに対して6箇所のレーザ照射点LPを同時に形成し、改質部を同時に6つ形成できる。
【0114】
次に、アーム部322Cを所定角度ずつ、回転させ、レーザLBを照射し、次のレーザ照射点を形成する。このように、アーム部322Cを所定角度、回転させながらレーザLBを照射して、アーム部322Cの回転方向に沿って複数のレーザ照射点LPを所定間隔で形成する。
アーム部322Cを回転させた角度が180度になるまで、回転とレーザ照射を続ける。これにより、レーザ照射点LPが周方向に沿って所定間隔で配列された状態となり、改質部も周方向に沿って形成された状態となる。周方向に沿って形成されたレーザ照射点LP同士の間隔は、1μm以上350μm以下であることが好ましい。
【0115】
図13Bには、第1の複数レーザ照射器324及び第2の複数レーザ照射器326をアーム部322Cの長手方向に沿って軸部321側へ向けて所定距離移動させた状態の概略図が示されている。
具体的には、アーム部322Cを180度、回転させながらレーザ照射して改質部を形成した後に、第1の複数レーザ照射器324及び第2の複数レーザ照射器326をアーム部322Cの長手方向に沿って、アーム部322Cの中心部へ向けて、所定距離移動させる。さらに、本実施形態では、アーム部322Cに沿って移動させる際に、第1の複数レーザ照射器324及び第2の複数レーザ照射器326から照射される複数のレーザ同士の間隔も拡げる。これによって、レーザ照射点LP同士の間隔も拡げることができ、改質部同士の間隔も拡げることができる。
第1の複数レーザ照射器324及び第2の複数レーザ照射器326をアーム部322Cに沿って移動させ、さらに照射されるレーザ同士の間隔も拡げた後、レーザ照射してレーザ照射点LPを形成し、改質部を形成する。その後、引き続きアーム部322Cを所定角度ずつ、回転させ、レーザLBを照射し、アーム部322Cを回転させた角度が180度になるまで、回転とレーザ照射を続ける。アーム部322Cを180度、回転させた後に、第1の複数レーザ照射器324及び第2の複数レーザ照射器326をアーム部322Cの長手方向に沿って、さらにアーム部322Cの中心部へ向けて、所定距離移動させる。
【0116】
図13Cには、第1の複数レーザ照射器324及び第2の複数レーザ照射器326が、ウエハWFの中心部WFc側まで移動した状態の概略図が示されている。
具体的には、図13Cには、図13Bに示した第1の複数レーザ照射器324及び第2の複数レーザ照射器326の位置よりもさらにアーム部322C中心部側にスライド移動させ、第1の複数レーザ照射器324及び第2の複数レーザ照射器326から照射される複数のレーザ同士の間隔もさらに拡げた状態の概略図が示されている。
改質部形成手段30Cを、図13Cに示す状態とすることで、図13Bに示したレーザ照射したウエハWFの領域よりも内側の領域に、レーザ照射点LP同士の間隔を拡げてレーザ照射が可能になり、形成された改質部同士の間隔もさらに拡げることができる。
このように、アーム部322Cの回転と、第1の複数レーザ照射器324及び第2の複数レーザ照射器326のスライド移動と、第1の複数レーザ照射器324及び第2の複数レーザ照射器326から照射される複数のレーザ同士の間隔の拡張と、を組み合わせることで、ウエハWFの周方向に沿って同心円状にレーザ照射点LPが複数配列された状態となる。
また、本実施形態の製造方法によっても、ウエハWFの断面視では、図12Cと同様に、ウエハWFのウエハ外周部WFe側の領域におけるレーザ照射点LP同士の間隔よりも、ウエハWFの中心部WFc側におけるレーザ照射点LP同士の間隔が大きい。
【0117】
本実施形態によれば、ウエハWFの内部に複数の改質部RPを形成し、当該複数の改質部RPが形成された分割面DPを境界にして当該ウエハWFを分割する。そのため、純水を用いることなく、研磨法に比べて薄型化の時間を短縮し、ウエハWFの割れを抑制でき、厚み精度を向上させることができる。
さらに、本実施形態によれば、レーザ照射点LP同士を分割面DP内において、均一な間隔で形成することなく、改質部RPを形成し、ウエハWFを分割することができるので、ウエハWFの分割性を維持しつつ、生産性をさらに向上させることができる。
さらに、本実施形態によれば、同時に複数個所にレーザを照射できるレーザ照射器を2つ用いてレーザ照射を行うので、第4実施形態に比べて、生産性を向上させることができる。
【0118】
[実施形態の変形]
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想、及び目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれる。
【0119】
本明細書における改質部の形状や大きさは、図5図6図8及び図9に示されたような形状に限定されない。改質部の形状としては、例えば、球状、楕円球状、円柱状、角柱状、円錐状、及び角錐状などが挙げられる。改質部の大きさは、板状部材を複数の薄型化板状部材に分割できるものであれば特に限定されない。改質部は、分割前の板状部材の厚みを考慮した大きさであることが好ましい。改質部が板状部材の厚み方向に大き過ぎると、厚み方向に亀裂が生じるおそれがあるためである。そのため、改質部は、分割面に沿った面方向で分割できるように形成されていればよい。
【0120】
前記実施形態では、板状部材を2つの薄型化板状部材に分割する態様を例に挙げて説明したが、その他の態様としては、板状部材を3つ以上の薄型化板状部材に分割する態様が挙げられる。例えば、3つの薄型化板状部材に分割する場合には、板状部材の内部に分割面を設定する際に、2つの分割面(第1分割面及び第2分割面)を設定し、第1分割面に沿って複数の改質部RPを形成し、第2分割面に沿って複数の改質部RPを形成すればよい。また、その他の態様としては、薄型化板状部材を用いてレーザ照射工程及び分割工程を実施して、さらに薄型化させた板状部材を形成する態様も挙げられる。
【0121】
また、例えば、第1貼付手段20、及び第2貼付手段40は、帯状の接着シート基材に閉ループ状の切込が形成されることで、その内側が第1接着シートAS1、及び第2接着シートAS2とされ、所定の間隔を隔てて複数の第1接着シートAS1、及び第2接着シートAS2が第1剥離シートRL1、及び第2剥離シートに仮着された原反を繰り出してもよい。
第1貼付手段20、及び第2貼付手段40は、帯状の接着シート基材が第1剥離シートRL1、及び第2剥離シートRL2に仮着された原反が採用された場合、切断刃、レーザカッター、熱カッター、エアカッター、及び圧縮水カッター等の切断手段により、接着シート基材に閉ループ状の切込を形成し、当該切込の内側に第1接着シートAS1、及び第2接着シートAS2を形成してもよい。
第1貼付手段20、及び第2貼付手段40は、それぞれ、帯状の接着シート基材を第1リングフレームRF1、及び第2リングフレームRF2に貼付した後、上記のような切断手段により、接着シート基材に閉ループ状の切込を形成し、当該切込の内側に第1接着シートAS1、及び第2接着シートAS2を形成してもよい。
第1貼付手段20、及び第2貼付手段40を構成する剥離部材は、ローラや線状部材でもよい。
第1貼付手段20、及び第2貼付手段40を構成する押圧手段は、ブレード材、ゴム、樹脂、スポンジ、エアの吹き付け等の押圧部材を採用することができる。
保持テーブル28、及び保持テーブル48は、メカチャックやチャックシリンダ等のチャック手段、クーロン力、接着剤、粘着剤、磁力、ベルヌーイ吸着、駆動機器等で、ウエハWF、第1リングフレームRF1、第2リングフレームRF2、及び一次加工品WK1等を支持してもよい。
薄型化ウエハの製造装置10は、第2貼付手段40を備えていなくてもよい。この場合、分割手段50は、保持面53Aで直接、ウエハWFの第2表面WF2を保持すればよい。
【0122】
レーザ照射工程は、分割される前のウエハWFにレーザLBを照射して実施すればよい。例えば、第1接着シートAS1を貼付する前のウエハWFにレーザLBを照射してもよい。
【0123】
レーザLBをウエハWFに対して照射する方向は、前記実施形態のように、ウエハWFの第2表面WF2側からレーザLBを照射する方向に限定されない。例えば、ウエハWFの第1表面WF1側からレーザLBを照射してもよい。また、例えば、ウエハWFの第1表面WF1側及び第2表面WF2側の両方からレーザLBを照射してもよい。さらに、ウエハWFの第1表面WF1側及び第2表面WF2側の両方からレーザLBを照射する場合は、第1表面WF1側及び第2表面WF2側から同時にレーザLBを照射してもよい。ウエハWFの側面側からレーザLBを照射してもよい。ウエハWFの側面側からレーザLBを照射する場合、分割面DPに沿って改質部RPが形成されるように、レーザ照射条件を設定すればよい。
【0124】
改質部形成手段30は、第1接着シートAS1が貼付されたウエハWFに対して第1接着シートAS1側からレーザLBを照射してもよいし、第2接着シートAS2が貼付されたウエハWFに対して第1接着シートAS1側又は第2接着シート側からレーザLBを照射してもよいし、ウエハWFの外周面側からレーザLBを照射してもよいし、ウエハWFの側面側からレーザLBを照射してもよいし、第1接着シートAS1側、第2接着シートAS2側、外周面側、及び側面側の内、2つ又は全部の方向からレーザLBを照射してもよい。
改質部形成手段30は、保持テーブル28、保持テーブル48、下テーブル51又は上テーブル53で吸着保持されたウエハWFに対してレーザLBを照射してもよい。
改質部形成手段30は、焦点が線状のレーザ(線状レーザ)や焦点が面状のレーザ(面状レーザ)を照射可能なレーザ照射器を採用してもよいし、複数のレーザ照射器を採用してもよいし、リニアモータ31を採用しなくてもよい。
改質部形成手段30は、焦点の位置を任意に決定することができ、形成される第1薄型化ウエハWT1と第2薄型化ウエハWT2との厚みの比は、50対50でもよいし、1対99でもよいし、1000対1でもよく、希望する薄型化ウエハの厚みに合わせて、レーザ照射によって形成する改質部RPの位置(ウエハWFの表面からの深さ)を決定することができる。
【0125】
第1、第2、第3、及び第4実施形態の改質部形成手段は、第5実施形態で説明したような複数のレーザを同時に照射可能な複数レーザ照射器を搭載させた態様であってもよい。
【0126】
第1、第2、第3、第4、及び第5実施形態においては、ウエハWFを保持する保持テーブル48が、ウエハWFを回転させることのできる回転機構を備えていることも好ましい。保持テーブル48がウエハWFを回転させる場合、例えば、第3、第4、及び第5実施形態のような改質部形成手段にてレーザ照射器を支持するアーム部を回転させなくとも、レーザ照射点LPをウエハWFの周方向に沿って形成できる。
そのため、薄型化ウエハの製造装置の一態様として、ウエハWFを保持する保持テーブル48が、ウエハWFを回転させることのできる回転機構を備え、レーザ照射器を支持するアーム部は回転機構を備えていない態様でもよい。この態様の場合は、回転機構を備えた保持テーブル48にてウエハWFを回転させながら、レーザ照射器にてレーザLBを照射すればよい。
また、薄型化ウエハの製造装置の一態様として、ウエハWFを保持する保持テーブル48が、ウエハWFを回転させることのできる回転機構を備え、かつ、レーザ照射器を支持するアーム部を回転させるための回転機構を備えた態様でもよい。この態様の場合には、少なくともいずれかの回転機構を駆動させて、レーザ照射器とウエハWFとの相対的な位置を変化させながら、レーザLBを照射すればよい。
【0127】
第3、第4、及び第5実施形態においては、レーザ照射点LPが同心円状に形成された態様を例に挙げて説明したが、本発明はこのような態様に限定されない。例えば、レーザ照射点LPがウエハWFの中心部WFcからウエハ外周部WFe側へ向かって渦巻状に整列するようにレーザ照射点LPを形成する態様も挙げられる。
【0128】
第3、第4、及び第5実施形態においては、レーザ照射点LP同士の間隔が、板状部材の外周部側と板状部材の中心部側とで異なる態様を例に挙げて説明したが、本発明はこのような態様に限定されない。例えば、レーザ照射工程では、板状部材の外周部側から板状部材の中心部側に亘ってレーザの照射点の位置を移動させながら、板状部材に複数の改質部を一定の間隔で形成する態様も挙げられる。この態様の場合、例えば、レーザ照射点LP同士の間隔を一定の間隔とすること以外は、第3、第4、又は第5実施形態と同様に実施できる。例えば、図12A及び図12Bに示す工程まで第4実施形態と同様に実施し、その後は、図14に示すようにレーザ照射点LP同士の間隔を一定の間隔としてレーザを照射することで実施できる。
【0129】
レーザ照射器を回転させてレーザ照射する場合、薄型化板状部材の製造装置は、板状部材の内部に複数の改質部を形成する改質部形成手段と、改質後の板状部材を少なくとも第1薄型化板状部材及び第2薄型化板状部材を形成する分割手段と、を備え、前記改質部形成手段は、アーム部と、レーザを照射するレーザ照射器と、前記アーム部を回転可能に支持する駆動部と、を有し、前記レーザ照射器は、前記アーム部にスライド移動可能に支持されていることが好ましい。
この薄型化板状部材の製造装置は、前述の実施形態等で説明した第1貼付手段20と、第2貼付手段40と、をさらに備えていることが好ましい。
この薄型化板状部材の製造装置において、改質部形成手段は、レーザ照射器を複数有することが好ましい。複数のレーザ照射器を有する場合、複数のレーザ同士の照射間隔を拡大及び縮小できることが好ましい。
この薄型化板状部材の製造装置において、レーザ照射器は、複数のレーザを同時に照射可能であることが好ましい。
この薄型化板状部材の製造装置において、板状部材を回転可能に支持する保持手段をさらに有することが好ましい。
【0130】
分割手段50は、メカチャックやチャックシリンダ等のチャック手段、クーロン力、接着剤、粘着剤、磁力、ベルヌーイ吸着、駆動機器等で二次加工品WK2の第1接着シートAS1側、及び第2接着シートAS2側の少なくとも一方側を保持する構成としてもよい。
分割手段50は、ウエハWFを分割する際に、下テーブル51と上テーブル53とを上下方向に相対移動させ、ウエハWFの厚み方向に当該ウエハWFを離間させてもよいし、下テーブル51や上テーブル53の支持面に平行な面方向に直線的に相対移動させたり、支持面に平行な面内で円周方向に相対回転させたりしてもよく、下テーブル51、及び上テーブル53の少なくとも一方を移動させたり回転させたりしてもよい。
【0131】
ウエハWFは、回路を有するものであってもよい。回路は、ウエハWFの第1表面WF1及び第2表面WF2の少なくともいずれかに形成されていることが好ましい。当該回路が形成されている面が回路面に相当する。当該回路面は、第1表面WF1でもよいし、第2表面WF2でもよい。第1表面WF1及び第2表面WF2の両方が回路面でもよい。ウエハWFが回路を有する場合は、当該回路が形成された回路面に保護シートが貼着されていることが好ましい。保護シートが回路面に積層されていることで、回路を保護することができる。保護シートとしては、回路を保護できる材質であれば特に限定されない。例えば、ウエハWFが第1表面WF1に回路を有する場合、前記実施形態における第1接着シートAS1が第1表面WF1に積層されるので、回路を保護できる。
【0132】
薄型化ウエハの製造方法は、第1薄型化ウエハWT1、及び第2薄型化ウエハWT2の少なくともいずれかの表面に回路を形成する回路形成工程をさらに備えていてもよい。このように、分割工程の後の工程で回路を形成する場合は、第1薄型化ウエハWT1、及び第2薄型化ウエハWT2に分割されて現れた露出面(分割面DPに対応する面。第1露出面WF3及び第2露出面WF4。)に回路を形成してもよい。また、分割工程の後の工程で回路を形成する場合は、第1薄型化ウエハWT1、及び第2薄型化ウエハWT2に分割されて現れた露出面(分割面DPに対応する面。第1露出面WF3及び第2露出面WF4。)とは反対側の面に回路を形成してもよい。
【0133】
薄型化ウエハの製造方法は、第1露出面WF3及び第2露出面WF4の少なくともいずれかを研磨する研磨工程をさらに備えていてもよい。第1露出面WF3及び第2露出面WF4を研磨する方法は、特に限定されない。なお、この研磨工程では、ウエハWFを所望の厚みを有する第1薄型化ウエハWT1又は第2薄型化ウエハWT2の厚みになるまで研磨するのではなく、分割後に露出した面をより平滑にするための研磨であるため、この研磨工程を実施するのに必要な時間は、ウエハWFを薄型化するために必要な時間と比べて、大幅に短い。したがって、薄型化ウエハの製造方法が研磨工程を備えていても、研磨だけでウエハWFを薄型化する方法よりも、依然として製造効率は高い。
また、研磨工程の後に、研磨された第1露出面WF3及び第2露出面WF4の少なくともいずれかに回路を形成する回路形成工程を実施してもよい。
【0134】
また、薄型化ウエハの製造方法において、ウエハWFは、第1表面WF1及び第2表面WF2の少なくともいずれかの表面側で吸着保持されていることが好ましい。ウエハWFを吸着保持する場合、吸着保持されるウエハWFの面には保護シートが積層され、ウエハWFが保護シートを介して吸着保持されていることがより好ましい。レーザ照射工程及び分割工程の少なくともいずれかの工程においてウエハWFが吸着保持されていることが好ましい。ウエハWFは、吸着テーブルによって吸着保持されていることが好ましい。吸着テーブルとしては、ポーラステーブル等が挙げられる。
【0135】
二次加工品WK2は、第1リングフレームRF1、第2リングフレームRF2、及び第2接着シートAS2のいずれか1つを備えていなくてもよい。
第1フレーム部材、及び第2フレーム部材は、円形、楕円形、三角形以上の多角形のものや、環状でないもの等、その他の形状であってもよい。
【0136】
薄型化ウエハの製造装置10は、ウエハWF、第1リングフレームRF1、第2リングフレームRF2、一次加工品WK1、及び二次加工品WK2を搬送する駆動機器である多関節ロボットやベルトコンベア等の搬送手段を備えていてもよいし、第1リングフレームRF1、及び第2リングフレームRF2を複数収納できるストック手段を備え、搬送手段が当該ストック手段から第1リングフレームRF1、及び第2リングフレームRF2をそれぞれ保持テーブル28、及び保持テーブル48上に搬送するようにしてもよい。
【0137】
薄型化板状部材の製造装置は、薄型化ウエハの製造装置10に限定されない。
例えば、図15A図15B図15C図16A、及び図16Bに示す薄型化ウエハの製造装置100を用いて、薄型化板状部材を製造することもできる。
図15A図15B図15C図16A、及び図16Bにおいて、薄型化板状部材としての薄型化ウエハの製造装置100は、支持面111に第1両面接着シートAT1の第1接着面AT11が貼付される第1硬質支持体110と、第1表面WF1全体が第1両面接着シートAT1の第2接着面AT12に貼付された板状部材としてのウエハWFの内部に、第1表面WF1に平行な分割面に沿って複数の改質部を形成する改質部形成手段120と、第1保持手段としての下テーブル130と、第1硬質支持体110を挟んでウエハWFの反対側に下テーブル130が位置するように、下テーブル130と第1硬質支持体110とを着脱自在に固定する第1固定手段140と、支持面151に第2両面接着シートAT2の第1接着面AT21が貼付される第2硬質支持体150と、ウエハWFを第2表面WF2側から保持する第2保持手段としての上テーブル160と、第2硬質支持体150を挟んでウエハWFの反対側に上テーブル160が位置するように、上テーブル160と第2硬質支持体150とを着脱自在に固定する第2固定手段170と、分割面を境界にして、ウエハWFを、第1表面WF1を有する第1薄型化板状部材としての第1薄型化ウエハWT1、及び第2表面WF2を有する第2薄型化板状部材としての第2薄型化ウエハWT2に分割するように、下テーブル130と上テーブル160とを相対移動させる相対移動手段180とを備えている。
分割面及び改質部は、前記実施形態で説明したものと同様である。
【0138】
第1硬質支持体110、及び第2硬質支持体150は、板状であることが好ましい。第1硬質支持体110、及び第2硬質支持体150の材料及び形状は、機械的強度を考慮して適宜決定すればよい。第1硬質支持体110、及び第2硬質支持体150の材料としては、それぞれ独立に、例えば、金属材料、非金属無機材料、樹脂材料、及び複合材料等が挙げられる。金属材料としては、SUS等が挙げられる。非金属無機材料としては、ガラス、及びシリコンウエハ等が挙げられる。樹脂材料としては、ポリイミド、及びポリアミドイミド等が挙げられる。複合材料としては、ガラスエポキシ樹脂等が挙げられる。第1硬質支持体110、及び第2硬質支持体150の材料としては、SUS、ガラス、及びシリコンウエハからなる群から選択されるいずれかの材料であることが好ましい。
【0139】
第1硬質支持体110、及び第2硬質支持体150の厚さは、機械的強度、及び取り扱い性等を考慮して適宜決定すればよく、例えば、それぞれ独立に、100μm以上50mm以下である。
第1硬質支持体110は、後述するように、上テーブル160の回転によってウエハWFに第1両面接着シートAT1から離れる方向への力が作用したときに、変形しないものであればよく、例えば曲げ強さが50MPa以上であることが好ましい。
また、第2硬質支持体150の硬度は、後述するように、上テーブル160の回転によって第2両面接着シートAT2にウエハWFから離れる方向への力が作用したときに、変形しないものであればよく、例えば曲げ強さが50MPa以上であることが好ましい。
改質部形成手段120は、レーザ照射器121を備えている。
第1固定手段140は、減圧ポンプや真空エジェクタ等によって構成された下側減圧手段141を備え、配管142を介して接続された下テーブル130の内部空間を減圧することによって、下テーブル130の保持面131で、第1硬質支持体110を吸着保持可能に構成されている。
第2固定手段170は、下側減圧手段141と同様に構成された上側減圧手段171を備え、配管172を介して接続された上テーブル160の内部空間を減圧することによって、上テーブル160の保持面161で、第2硬質支持体150を吸着保持可能に構成されている。
第1固定手段140、及び第2固定手段170は、減圧ポンプや真空エジェクタ等によって構成された下側減圧手段141、及び上側減圧手段171を備え、配管142、及び配管172を介して接続された下テーブル130、及び上テーブル160の内部空間を減圧することによって、下テーブル130、及び上テーブル160の保持面131、及び保持面161で、第1硬質支持体110、及び第2硬質支持体150を吸着保持可能に構成されている。
相対移動手段180は、下テーブル130の側方に配置された駆動機器としての回動モータ181を備えている。回動モータ181の出力軸182は、上テーブル160の端部から下方に延びる延出部162に接続されている。
【0140】
以上の薄型化ウエハの製造装置100において、ウエハWFから第1薄型化ウエハWT1、及び第2薄型化ウエハWT2を製造する手順を説明する。
先ず、図15Aに示すように、支持面111に第1両面接着シートAT1の第1接着面AT11が貼付された第1硬質支持体110を準備し、同図中二点鎖線で示すウエハWFの第1表面WF1全体を、実線で示すように第2接着面AT12に貼付する。このとき、気泡が形成されないように第1表面WF1を第2接着面AT12に貼付する。なお、第1接着面AT11における第1表面WF1に対応する領域全体も、気泡が形成されないように、第1硬質支持体110に貼付されることが好ましい。また、第1両面接着シートAT1を第1硬質支持体110、及び第1表面WF1に貼付する方法や順序は特に限定されず、例えば、第1両面接着シートAT1をウエハWFに貼付した後、第1硬質支持体110に貼付してもよい。
【0141】
次に、図15Bに示すように、作業者又は多関節ロボットやベルトコンベア等の図示しない搬送手段が、ウエハWF、及び第1硬質支持体110を改質部形成手段120の下方に移動させ、改質部形成手段120がレーザ照射器121を駆動し、図示しない相対移動機構がレーザ照射器121、及び第1硬質支持体110を相対的に水平方向に移動させる。レーザ照射器121のレーザLBは、前記実施形態と同様にしてウエハWFに照射する。レーザLBの照射により、ウエハWFの内部に複数の改質部RPを形成する。ウエハWFの内部に分割面DPに沿って複数の改質部RPが形成されると、改質部形成手段120がレーザ照射器121の駆動を停止する。
【0142】
この後、図16Aに示すように、第1硬質支持体110を挟んでウエハWFの反対側に下テーブル130が位置し、第2硬質支持体150に第2両面接着シートAT2の第1接着面AT21が貼付され、ウエハWFの第2表面WF2全体に第2両面接着シートAT2の第2接着面AT22が貼付され、第2硬質支持体150を挟んでウエハWFの反対側に上テーブル160が位置する状態にする。このとき、気泡が形成されないように、第2表面WF2を第2接着面AT22に貼付する。なお、第1接着面AT21における第2表面WF2に対応する領域全体も、気泡が形成されないように、第2硬質支持体150に貼付されることが好ましい。
そして、第1固定手段140、及び第2固定手段170がそれぞれ下側減圧手段141、及び上側減圧手段171を駆動し、第1硬質支持体110を下テーブル130の保持面131で、第2硬質支持体150を上テーブル160の保持面161でそれぞれ吸着保持する。なお、第1硬質支持体110を下テーブル130上に位置させたり、第2両面接着シートAT2を第2硬質支持体150、及び第2表面WF2に貼付したり、第2硬質支持体150を上テーブル160の下方に位置させたりする方法や順序は特に限定されず、例えば、第2両面接着シートAT2を第2硬質支持体150に貼付した後に第2表面WF2に貼付してもよいし、その逆の貼付順序でもよい。
【0143】
その後、図16Bに示すように、相対移動手段180が回動モータ181を駆動し、上テーブル160を時計回転方向に回転させ、複数の改質部RPが形成された分割面DPを境界にしてウエハWFを分割することで、薄型化された第1薄型化ウエハWT1、及び第2薄型化ウエハWT2を形成する。
【0144】
このとき、ウエハWFの第1表面WF1全体に第1両面接着シートAT1の第2接着面AT12が貼付され、第1硬質支持体110に第1接着面AT11が接着されているため、上テーブル160の回転によってウエハWFに第1両面接着シートAT1から離れる方向への力が作用したときに、第1硬質支持体110によってウエハWF全体の撓みが抑制されたまま、上テーブル160が回転する。したがって、ウエハWFを破損させることなく分割でき、第1薄型化ウエハWT1を適切に製造できる。
また、ウエハWFの第2表面WF2全体に第2両面接着シートAT2の第2接着面AT22が貼付され、第2硬質支持体150に第1接着面AT21が接着されているため、上テーブル160の回転によって第2両面接着シートAT2にウエハWFから離れる方向への力が作用したときに、第2硬質支持体150によってウエハWF全体の撓みが抑制されたまま、上テーブル160が回転する。したがって、ウエハWFを破損させることなく分割でき、第2薄型化ウエハWT2を適切に製造できる。
さらに、第1硬質支持体110、及び第2硬質支持体150で第1薄型化ウエハWT1、及び第2薄型化ウエハWT2をそれぞれ支持しているため、第1硬質支持体110、及び第2硬質支持体150を保持することによって、第1薄型化ウエハWT1、及び第2薄型化ウエハWT2の搬送が容易になる。
【0145】
次に、作業者又は図示しない搬送手段が第1薄型化ウエハWT1、及び第2薄型化ウエハWT2を保持すると、第1固定手段140、及び第2固定手段170がそれぞれ下側減圧手段141、及び上側減圧手段171の駆動を停止し、第1薄型化ウエハWT1、及び第2薄型化ウエハWT2を支持している第1硬質支持体110、及び第2硬質支持体150の吸着保持をそれぞれ解除する。
本実施形態では、第1固定手段140、及び第2固定手段170として、第1硬質支持体110、及び第2硬質支持体150を吸着保持で固定する構成を適用しているため、例えば、粘着剤で固定する場合のように、吸着保持を解除した後に下テーブル130の保持面131、及び上テーブル160の保持面161のそれぞれに付着した粘着成分を除去する必要がなく、作業性の低下を抑制できる。
その後、図示しない搬送手段が第1薄型化ウエハWT1、及び第2薄型化ウエハWT2を次工程に搬送すると、各手段がそれぞれの駆動機器を駆動し、各部材を初期位置に復帰させ、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0146】
以上のような薄型化ウエハの製造装置100によれば、第1薄型化ウエハWT1、及び第2薄型化ウエハWT2を適切に製造できる。
【0147】
薄型化ウエハの製造装置100を用いた薄型化板状部材の製造方法の変形例としては、例えば、第1硬質支持体110を適用していれば、第2硬質支持体150を適用せずに、ウエハWFを直接あるいは第2両面接着シートAT2を介して上テーブル160の保持面161で吸着保持させてもよい。
第2硬質支持体150を適用していれば、第1硬質支持体110を適用せずに、ウエハWFを直接あるいは第1両面接着シートAT1を介して下テーブル130の保持面131で吸着保持させてもよく、この場合、第2硬質支持体150、第2両面接着シートAT2が、それぞれ本発明の第1硬質支持体、第1両面接着シートに該当することになる。
【0148】
その他、前記した実施形態及び実施形態の変形においては、以下の点も適用することができる。
第1接着シートAS1、第2接着シートAS2、及び板状部材の材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、第1接着シートAS1、及び第2接着シートAS2は、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、及びその他の形状であってもよいし、感圧接着性、及び感熱接着性等の接着形態のものであってもよく、感熱接着性の第1接着シートAS1、及び第2接着シートAS2が採用された場合は、当該第1接着シートAS1、及び第2接着シートAS2を加熱する適宜なコイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段を設けるといった適宜な方法で接着されればよい。また、このような第1接着シートAS1、及び第2接着シートAS2は、例えば、接着剤層だけの単層のもの、基材シートと接着剤層との間に中間層を有するもの、基材シートの上面にカバー層を有する等3層以上のもの、更には、基材シートを接着剤層から剥離することのできる所謂両面接着シートのようなものであってもよく、両面接着シートは、単層又は複層の中間層を有するものや、中間層のない単層又は複層のものであってよい。また、板状部材としては、例えば、食品、樹脂容器、半導体ウエハ(シリコン半導体ウエハ及び化合物半導体ウエハ等)、回路基板、情報記録基板(光ディスク等)、ガラス板、鋼板、陶器、木板、及び樹脂板等、並びに任意の形態の部材及び物品なども対象とすることができる。なお、第1接着シートAS1、及び第2接着シートAS2を機能的、用途的な読み方に換え、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、及び記録層形成樹脂シート等の任意の形状の任意のシート、フィルム、テープ等を前述のような任意の板状部材に貼付することができる。
【0149】
本発明における手段、及び工程は、それら手段、及び工程について説明した動作、機能又は工程を果たすことができる限り何ら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、第1貼付工程は、板状部材の一方の面に第1接着シートを貼付可能なものであれば、出願当初の技術常識に照らし合わせ、その技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(他の手段、及び工程についての説明は省略する)。
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ、及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0150】
10 :薄型化ウエハの製造装置(薄型化板状部材の製造装置)
100 :薄型化ウエハの製造装置(薄型化板状部材の製造装置)
30A :改質部形成手段
320 :駆動部
322 :アーム部
323 :レーザ照射器
DP :分割面
LB :レーザ
RP :改質部
WF :ウエハ(板状部材)
WF1 :第1表面
WF2 :第2表面
WT1 :第1薄型化ウエハ(第1薄型化板状部材)
WT2 :第2薄型化ウエハ(第2薄型化板状部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B