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  • 特許-粉末を形成するためのプロセス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】粉末を形成するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/16 20060101AFI20230425BHJP
   C08J 3/05 20060101ALI20230425BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20230425BHJP
   C08L 33/00 20060101ALI20230425BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20230425BHJP
   C08L 23/26 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
C08J3/16 CES
C08J3/05
C08L23/00
C08L33/00
C08L71/02
C08L23/26
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019543117
(86)(22)【出願日】2018-10-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 US2018056849
(87)【国際公開番号】W WO2019083877
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-11
(31)【優先権主張番号】62/576,863
(32)【優先日】2017-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【弁理士】
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ・エフ・ゴーリン
(72)【発明者】
【氏名】サンジブ・ビスワス
(72)【発明者】
【氏名】マネッシュ・ナデュッパラムビル・セカラン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・エル・トムクザック
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エス・モーリア
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・エル・ダーモディ
(72)【発明者】
【氏名】ハープリート・スィング
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・エル・マカロック
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/070061(WO,A1)
【文献】特開平05-263033(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/16
C08J 3/05
C08L 23/00
C08L 33/00
C08L 71/02
C08L 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスであって、
(i)押出機で(a)ポリオレフィン相、および(b)水相を、(c)アクリル系分散剤、ポロキサマー分散剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの分散剤の存在下で溶融ブレンドすることと、
(ii)0.1ダイン/cm~25ダイン/cmの界面張力を生成することと、
(iii)25重量%~90重量%の分散液固形分含有量を有するポリオレフィン水性分散液を形成することと、
(iv)前記ポリオレフィン水性分散液から水を除去して、粉末を形成することであって、前記粉末が10μm~300μmの中央体積平均粒径、0.92~1.0の球形度、1~2未満の粒径分布、および98%~100%の粒子密度を有する、粉末を形成することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記ポリオレフィン相が、0.1g/10分~1,000g/10分のメルトインデックスを有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記溶融ブレンドの間、ポリオレフィン相対水相の粘度比を1:1~20:1に維持することを含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
二軸押出機で前記溶融ブレンドすることを実施することと、
前記ポリオレフィン水性分散液に10秒-1~10,000秒-1の剪断速度を施すことと、を含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
100℃~200℃の温度で前記水性ポリオレフィン分散液を形成することを含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
(c)前記アクリル系分散剤である前記分散剤の存在下で、アルキル(メタ)アクリレート/カルボン酸インターポリマーを含む前記アクリル系分散剤を溶融ブレンドすることを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
(c)前記アクリル系分散剤である前記分散剤の存在下で、エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸ターポリマーを含む前記アクリル系分散剤を溶融ブレンドすることを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
(c)前記ポロキサマーである前記分散剤の存在下で、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーを含む前記ポロキサマーを溶融ブレンドすることを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
プロピレンホモポリマー、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される前記ポリオレフィン相を溶融ブレンドすることを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
粉末であって、
(a)115℃超~170℃の溶融温度、0.800g/cc~1.00g/ccの密度、および1.0g/10分~1,000g/10分のメルトインデックスを有するポリオレフィンと、
(b)エチレンフリーであるアクリル系分散剤、ポロキサマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1重量%~15重量%の分散剤と、
(c)任意選択のポリオレフィンワックスと、を含み、
前記粉末が、
(i)10μm~300μmの中央体積平均粒径、
(ii)0.92~1.0の球形度、
(iii)1~2未満の粒径分布、
(iv)98%~100%の粒子密度、を有する、粉末。
【請求項11】
前記ポリオレフィンワックスが、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィンワックスである、請求項1に記載の粉末。
【請求項12】
前記分散剤が、エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸ターポリマーである前記アクリレート分散剤である、請求項10または11に記載の粉末。
【請求項13】
前記粉末が、
(a)115℃超~140℃の溶融温度および0.870g/cc~0.970g/ccの密度を有するエチレン系ポリマーを含む、60重量%~90重量%の前記ポリオレフィンと、
(b)5重量%~15重量%の前記アクリル系分散剤と、
(c)5重量%~20重量%の前記ポリオレフィンワックスと、を含む、請求項1~1のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項14】
前記粉末が、
(a)115℃超~140℃の溶融温度有するエチレン系ポリマーを含む、70重量%~95重量%の前記ポリオレフィンと、
(b)1重量%~15重量%の前記ポロキサマーと、
(c)5重量%~20重量%の前記ポリオレフィンワックスと、を含む、請求項10または11に記載の粉末。
【請求項15】
前記エチレン系ポリマーが、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーである、請求項1~1のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項16】
前記ポリオレフィンが、高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンを含む、請求項1~1のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項17】
前記粉末が、
(a)130℃~170℃の融解温度を有するプロピレン系ポリマーを含む60重量%~90重量%の前記ポリオレフィンと、
(b)5重量%~15重量%の前記アクリル系分散剤と、
(c)5重量%~50重量%の前記ポリオレフィンワックスと、を含む、請求項1~1のいずれか一項に記載の粉末。
【請求項18】
プロセスであって、
(i)押出機で(a)ポリオレフィン相、および(b)水相を、(c)アクリル系分散剤、ポロキサマー分散剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの分散剤の存在下で溶融ブレンドすることと、
(ii)0.1ダイン/cm~25ダイン/cmの界面張力を生成することと、
(iii)5重量%~90重量%の分散液固形分含有量を有するポリオレフィン水性分散液を形成することと、
(iv)前記ポリオレフィン水性分散液から水を除去して、粉末を形成することであって、前記粉末が10μm~300μmの中央体積平均粒径、0.92~1.0の球形度、1~2未満の粒径分布、および98%~100%の粒子密度を有する、粉末を形成することと、を含む、プロセス。
【請求項19】
粉末であって、
(a)115℃超~170℃の溶融温度、0.800g/cc~1.00g/ccの密度、および1.0g/10分~1,000g/10分のメルトインデックスを有するポリオレフィンと、
(b)エチレンフリーであるアクリル系分散剤、ポロキサマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される0.1重量%~15重量%の分散剤と、
前記粉末が、
(i)10μm~300μmの中央体積平均粒径、
(ii)0.92~1.0の球形度、
(iii)1~2未満の粒径分布、
(iv)98%~100%の粒子密度、を有する、粉末。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、粉末を形成するためのプロセスに関する。
【0002】
小さい中央体積平均粒径(mean volume average particle size)を有するポリオレフィン粉末は、粉末層の連続層を重ねて焼結して3次元最終製品を形成する、粉末床溶融などの3Dプリント技術において有用である。粉末床溶融は、粉末の容易な輸送を可能にするために流動性の粉末を必要とする。粉末床溶融はまた、小さい中央体積平均粒径を有する粉末を必要とする。小さい中央体積平均粒径を有するポリオレフィン粉末は、従来、3つの方法:(i)小さい粒径を有する水性ポリオレフィン分散液を噴霧乾燥して水を除去し、凝集乾燥粉末を得ること、(ii)小さい粒径の水性ポリオレフィン分散液を凝固もしくは凝集させ、凝集物を濾過して水を除去すること、または(iii)低温粉砕などによってポリオレフィンを所望のサイズに機械的に粉砕すること、のうちの1つで形成される。噴霧乾燥および/または凝固または凝集プロセスを介して製造されると、得られる粉末は十分に緻密ではない、空隙を有する凝集物を含有し、これは当該粉末から形成される最終製品の機械的特性を低下させる。機械的粉砕を介して製造されると、得られる粉末は、広い粒径分布を有し、粒子は(球形と比較して)不規則な形状を有する。
【0003】
当技術分野では、小さい中央体積平均粒径を有し、狭い粒径分布を有し、十分に緻密であり、球形である粉末を製造するためのプロセスの必要性が認識されている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、プロセスを提供する。プロセスは、(i)押出機で、(a)ポリオレフィン相および(b)水相を、(c)アクリル系分散剤、ポロキサマー分散剤、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの分散剤の存在下で溶融ブレンドすることと、(ii)0.1ダイン/cm~25ダイン/cmの界面張力を生成することと、(iii)25重量%~90重量%の分散液固形分含有量を有するポリオレフィン水性分散液を形成することと、(iv)ポリオレフィン水性分散液から水を除去して粉末を形成することと、を含む。粉末は、10μm~300μmの中央体積平均粒径、0.92~1.0の球形度、1~2未満の粒径分布、および98%~100%の粒子密度を有する。
【0005】
本開示は、第2のプロセスを提供する。プロセスは、(i)押出機で、(a)ポリオレフィン相および(b)水相を、(c)アクリル系分散剤、ポロキサマー分散剤、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの分散剤の存在下で溶融ブレンドすることと、(ii)0.1ダイン/cm~25ダイン/cmの界面張力を生成することと、(iii)5重量%~90重量%の分散液固形分含有量を有するポリオレフィン水性分散液を形成することと、(iv)ポリオレフィン水性分散液から水を除去して粉末を形成することと、を含む。粉末は、10μm~300μmの中央体積平均粒径、0.92~1.0の球形度、1~2未満の粒径分布、および98%~100%の粒子密度を有する。
【0006】
本開示はまた、粉末を提供する。粉末は、(a)115℃超~170℃の溶融温度、0.800g/cc~1.00g/ccの密度、および1.0g/10分~1000g/10分のメルトインデックスを有するポリオレフィン、ならびに(b)アクリル系分散剤、ポロキサマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1重量%~15重量%の分散剤、ならびに(c)任意選択でポリオレフィンワックス、を含有する。粉末は、(i)10μm~300μmの中央体積平均粒径、(ii)0.92~1.0の球形度、(iii)1~2未満の粒径分布、および(iv)98%~100%の粒子密度を有する。
【0007】
本開示は、第2の粉末を提供する。粉末は、(a)115℃超~170℃の溶融温度、0.800g/cc~1.00g/ccの密度、および1.0g/10分~1000g/10分のメルトインデックスを有するポリオレフィン、ならびに(b)アクリル系分散剤、ポロキサマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される0.1重量%~15重量%の分散剤、ならびに(c)任意選択でポリオレフィンワックス、を含有する。粉末は、(i)10μm~300μmの中央体積平均粒径、(ii)0.92~1.0の球形度、(iii)1~2未満の粒径分布、および(iv)98%~100%の粒子密度を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に従った押出機の概略図である。
【0009】
定義
元素周期表への参照は、CRC Press,Inc.,1990-1991によって出版されたものへの参照である。この周期表の元素の族への参照は、族の番号付与の新しい表記法による。
【0010】
米国特許実務の目的のため、参照される特許、特許出願、または刊行物の内容は、特に定義の開示(本開示に具体的に提供されるあらゆる定義と矛盾しない程度において)および当該技術分野の一般知識に関して、それらの全体が参照により組み込まれる(またはその同等の米国版が、参照によりそのように組み込まれる)。
【0011】
本明細書において開示される数値範囲は、下限値および上限値を含む、下限値から上限値までの全ての値を含む。明確な数値(例えば、1もしくは2、または3~5、または6、または7)を含む範囲については、任意の2つの明確な数値間の任意の部分範囲が含まれる(例えば、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6など)。
【0012】
相反して述べられていないか、文脈から暗黙的であるか、または当該技術分野で習慣的でない限り、すべての部およびパーセントは重量に基づき、すべての試験方法は、本開示の出願日の時点で最新のものある。
【0013】
「アルキル」という用語は、脂肪族炭化水素から1個の水素原子を取り除くことによって誘導される有機ラジカルを指す。アルキル基は、直鎖状、分枝鎖状、環状、またはそれらの組み合わせであってもよい。好適なアルキルの非限定的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、i-ブチル(または2-メチルプロピル)などが挙げられる。一実施形態では、アルキルは、1~20個、または1~12個、または1~8個の炭素原子を有する。
【0014】
本明細書で使用される「ブレンド」または「ポリマーブレンド」という用語は、2種以上のポリマーのブレンドである。このようなブレンドは、相溶性であっても、そうでなくてもよい(分子レベルで相分離していない)。このようなブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。このようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当該技術分野において既知の他の方法から決定される、1つ以上のドメイン構成を含有していても、していなくてもよい。
【0015】
「組成物」という用語は、組成物を構成する材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を指す。
【0016】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、それが具体的に開示されているかどうかにかかわらず、任意の追加の成分、工程、または手順の存在を除外することを意図しない。いかなる疑義も回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて主張されるすべての組成物は、相反する記載がない限り、ポリマーであるか、ポリマーでないかに関わらず、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含むことができる。対照的に、「から本質的になる」という用語は、いかなる後続の詳述の範囲からも、操作性に必要不可欠ではないものを除き、いかなる他の構成成分、工程、または手順も除外する。「からなる」という用語は、具体的に描写または列記されていないいかなる構成成分、工程、または手順も除外する。「または」という用語は、別途記載がない限り、列挙された部材を個々に、および任意の組み合わせで指す。単数形の使用には、複数形の使用が含まれ、逆の場合も同じである。
【0017】
「凝集物」とは、凝集しているか、そうでなければ一緒になって単一の塊を形成している複数の個々の固体微粒子である。
【0018】
「エチレン」系ポリマー」は、(重合可能モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント(重量%)超の重合エチレンモノマーを含有し、任意選択で少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。エチレン系ポリマーは、エチレンホモポリマー、およびエチレンコポリマー(エチレンおよび1つ以上のコモノマーから誘導される単位を意味する)を含む。「エチレン系ポリマー」および「ポリエチレン」という用語は、同義に使用され得る。エチレン系ポリマー(ポリエチレン)の非限定的な例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)および直鎖状ポリエチレンが挙げられる。直鎖状ポリエチレンの非限定的な例としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、多成分エチレン系コポリマー(EPE)、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー(オレフィンブロックコポリマー(OBC)としても知られる)、実質的に直鎖状または直鎖状のプラストマー/エラストマー、および高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。一般に、ポリエチレンは、チーグラーナッタ触媒などの不均一触媒系、4族遷移金属およびメタロセン、非メタロセン金属中心、ヘテロアリール、ヘテロ原子アリールオキシエーテル、ホスフィンイミンなどの配位子構造を含む均一触媒系を使用して、気相流動床反応器、液相スラリープロセス反応器、または液相溶液プロセス反応器で生成され得る。不均一触媒および/または均一触媒の組み合わせもまた、単一反応器または二重反応器構成のいずれにおいても使用され得る。
【0019】
「エチレンプラストマー/エラストマー」は、エチレンから誘導される単位および少なくとも1つのC-C10α-オレフィンコモノマーから誘導される単位を含む均一な短鎖分岐分布を含有する、実質的に直鎖状または直鎖状エチレン/α-オレフィンコポリマーである。エチレンプラストマー/エラストマーは、0.870g/cc~0.917g/ccの密度を有する。エチレンプラストマー/エラストマーの非限定的な例としては、AFFINITY(商標)プラストマーおよびエラストマー(The Dow Chemical Companyから入手可能)、EXACT(商標)プラストマー(ExxonMobil Chemicalから入手可能)、Tafmer(商標)(Mitsuiから入手可能)、Nexlene(商標)(SK Chemicals Co.から入手可能)、およびLucene(商標)(LG Chem Ltd.から入手可能)が挙げられる。
【0020】
「高密度ポリエチレン」(または「HDPE」)は、エチレンホモポリマー、または少なくとも1つのC-C10α-オレフィンコモノマーもしくはC4-α-オレフィンコモノマーを有するエチレン/α-オレフィンコポリマーであり、0.940g/cc、もしくは0.945g/cc、もしくは0.950g/cc、0.953g/cc~0.955g/cc、もしくは0.960g/cc、もしくは0.965g/cc、もしくは0.970g/cc、もしくは0.975g/cc、もしくは0.980g/ccの密度を有する。HDPEは、単峰性コポリマーまたは多峰性コポリマーであり得る。「単峰性エチレンコポリマー」は、分子量分布を示すゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)において1つの明確なピークを有するエチレン/C~C10α-オレフィンコポリマーである。「多峰性エチレンコポリマー」は、分子量分布を示すGPC中に少なくとも2つの異なるピークを有するエチレン/C~C10α-オレフィンコポリマーである。多峰性は、2つのピークを有するコポリマー(二峰性)ならびに3つ以上のピークを有するコポリマーを含む。HDPEの非限定的な例としては、DOW(商標)高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)、ELITE(商標)強化ポリエチレン樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)、CONTINUUM(商標)二峰性ポリエチレン樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)、LUPOLEN(商標)(Lyondell Basellから入手可能)、ならびにBorealis、Ineos、およびExxonMobilからのHDPE製品が挙げられる。
【0021】
「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマーの重合によって調製されるポリマーである。この総称は、2つの異なるモノマーから調製されるポリマーを指すために通常用いられるコポリマー、および3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマー、例えばターポリマー、テトラポリマー等を含む。
【0022】
「低密度ポリエチレン」(または「LDPE」)は、エチレンホモポリマー、または0.915g/cc~0.940g/ccの密度を有し、広いMWDを有する長鎖分岐を含有する少なくとも1つのC-C10α-オレフィンを含むエチレン/α-オレフィンコポリマーからなる。LDPEは、典型的に、高圧フリーラジカル重合(フリーラジカル開始剤を有する管状反応器またはオートクレーブ)によって生成される。LDPEの非限定的な例としては、MarFlex(商標)(Chevron Phillips)、LUPOLEN(商標)(LyondellBasell)、ならびにBorealis、Ineos、ExxonMobilなどからのLDPE製品が挙げられる。
【0023】
「直鎖低密度ポリエチレン(または「LLDPE」)」は、エチレンから誘導される単位および少なくとも1つのC-C10α-オレフィンコモノマーから誘導される単位を含む不均一な短鎖分岐分布を含有する、直鎖エチレン/α-オレフィンコポリマーである。LLDPEは、従来のLDPEとは対照的に、たとえあったとしても長鎖分岐をほとんど有しないことを特徴とする。LLDPEは、0.910g/cc~0.940g/cc未満の密度を有する。LLDPEの非限定的な例としては、TUFLIN(商標)直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)、DOWLEX(商標)ポリエチレン樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)、およびMARLEX(商標)ポリエチレン(Chevron Phillipsから入手可能)が挙げられる。
【0024】
「多成分エチレン系コポリマー」(または「EPE」)は、エチレンから誘導される単位、および特許文献米国特許第6,111,023号、同第5,677,383号、および同第6,984,695号に記載の、少なくとも1つのC-C10α-オレフィンコモノマーから誘導される単位を含む。EPE樹脂は、0.905g/cc~0.962g/ccの密度を有する。EPE樹脂の非限定的な例としては、ELITE(商標)強化ポリエチレン(The Dow Chemical Companyから入手可能)、ELITEAT(商標)先端技術樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)、SURPASS(商標)ポリエチレン(PE)樹脂(Nova Chemicalsから入手可能)、およびSMART(商標)(SK Chemicals Co.から入手可能)が挙げられる。
【0025】
「オレフィン系ポリマー」または「ポリオレフィン」は、(重合可能モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合オレフィンモノマーを含有し、任意選択で少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。オレフィン系ポリマーの非限定的な例は、エチレン系ポリマーである。
【0026】
「ポリマー」は、同一の種類または異なる種類であるかに関わらず、重合モノマーによって調製される化合物であり、重合形態で、ポリマーを成す複数ならびに/または反復「単位」もしくは「構造単位」を提供する。したがって、ポリマーという一般的な用語は、通常、1種類のみのモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる、ホモポリマーという用語、および、通常、少なくとも2種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる、コポリマーという用語を包含する。また、例えば、ランダム、ブロック等の全ての形態のコポリマーも包含する。「エチレン/α-オレフィンポリマー」および「プロピレン/α-オレフィンポリマー」という用語は、それぞれ重合エチレンまたはプロピレンと、1つ以上の追加の重合性α-オレフィンモノマーとから調製される、上に説明するコポリマーを示す。ポリマーはしばしば、1つ以上の特定のモノマー「から作製される」、特定のモノマーもしくはモノマーの種類「に基づく」、または特定のモノマー含有量「を含有する」等として言及されるが、この文脈において、「モノマー」という用語は、非重合種ではなく、特定のモノマーの重合レムナントを指していることが理解されることに留意されたい。一般に、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものと称される。
【0027】
「プロピレン系ポリマー」は、(重合可能モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合プロピレンモノマーを含有し、任意選択で少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。プロピレン系ポリマーとしては、プロピレンホモポリマー、およびプロピレンコポリマー(プロピレンおよび1つ以上のコモノマーから誘導される単位を意味する)が挙げられる。用語「プロピレン系ポリマー」および「ポリプロピレン」は、同義に使用され得る。好適なプロピレンコポリマーの非限定的な例としては、プロピレンインパクトコポリマーおよびプロピレンランダムコポリマーが挙げられる。
【0028】
「極低密度ポリエチレン(または「ULDPE」)」、および「超低密度ポリエチレン(または「VLDPE」)」は各々、エチレンから誘導される単位および少なくとも1つのC-C10α-オレフィンコモノマーから誘導される単位を含む不均一な短鎖分岐分布を含有する、直鎖エチレン/α-オレフィンコポリマーである。ULDPEおよびVLDPEはそれぞれ、0.885g/cc~0.915g/ccの密度を有する。ULDPEおよびVLDPEの非限定的な例としては、ATTANE(商標)超低密度ポリエチレン樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)およびFLEXOMER(商標)超低密度ポリエチレン樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能)が挙げられる。
【0029】
試験方法
酸価(acid value)(または酸価(acid number))は、ASTM D1386/7に従って測定する。酸価は、最終組成物中に存在するカルボン酸の量の尺度である。酸価は、物質(例えば、エチレン系ポリマーまたは分散剤)1グラム中に存在する遊離カルボン酸の中和に必要とされる水酸化カリウムのミリグラム数である。酸価の単位は、mg KOH/gである。
【0030】
D10、D50、およびD90粒径は、Coulter Corporationから入手可能なCoulter LS230レーザー光散乱粒径測定器を使用して測定する。D10粒径は、この値未満の直径を有する粒子が粉末の質量の10%を構成している粒径である。D50粒径は、この値未満の直径を有する粒子が粉末の質量の50%を構成し、当該値を超える直径を有する粒子が粉末の質量の50%を構成している粒径である。D90粒径は、この値未満の直径を有する粒子が粉末の質量の90%を構成している粒径である。
【0031】
密度は、ASTM D792、方法Bに従って測定される。結果は、1立方センチメートル当たりのグラム(g/cc)で記録される。
【0032】
滴点は、ASTM D3954に従って測定する。
【0033】
漏斗を通る流速は粉末の流れを示し、50gの粉末が漏斗を通って流れるのにかかる時間の関数として測定する。大型漏斗および小型漏斗を使用する。「大型漏斗」は、225mlの容量、18mmの内径および39.2mmの高さを有するステムを有するFisherbrand(商標)10-500-2漏斗である。「小型漏斗」は、175mlの容量、3.1mmの内径および36.3mmの高さを有するステムを有するFisherbrand(商標)10-500-7漏斗である。
【0034】
Mitusi Chemicals Incから入手可能なLucant(商標)LX001(炭化水素系合成油)に対して5重量%の分散剤を水である水相中に含有する組成物に、ドロップ式張力計を使用して界面張力を測定する。界面張力は60℃で測定する。
【0035】
中央体積平均粒径は、Coulter Corporationから入手可能なCoulter LS230レーザー光散乱粒径測定器を使用して測定する。
【0036】
ASTM D1238(190℃/2.16kg)を使用してg/10分でのメルトインデックス(MI)(I2)を測定する。
【0037】
ASTM D1238(230℃/2.16kg)を使用してg/10分でのメルトフローレート(MFR)を測定する。
【0038】
溶融粘度は、Brookfield Viscometer Model、およびBrookfield RV-DV-II-Pro粘度計スピンドル31を使用して、エチレン系ワックスについては135℃で、プロピレン系ワックスについては170℃で測定する。試料をチャンバに注入し、次にこれをBrookfield Thermoselに挿入し、所定の位置に固定する。試料チャンバは、Brookfield Thermoselの底部に適合するノッチを底部に有していて、スピンドルが挿入され、回転しているときに、チャンバが回転させられないことを確実にする。試料(およそ8~10グラムの樹脂)を、溶融した試料が試料チャンバ上部の約1インチ下になるまで必要な温度に加熱する。粘度計装置を下降させ、スピンドルを試料室に浸す。粘度計上のブラケットがThermosel上に整列するまで、下降を続けた。粘度計の電源を入れ、粘度計のrpm出力に基づいて、合計トルク容量の40~60パーセントの範囲内のトルク読み取りをもたらす剪断率で動作するように設定する。15分の間、毎分読み取り値を取得するか、または値が安定するまで読み取り値を取得し、その時点での最終読み取り値を記録する。
【0039】
粒径分布は、等式Aに従って計算する。
【0040】
【数1】
【0041】
示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定(DSC)を使用して、広範囲の温度にわたるポリマーの溶融、結晶化、およびガラス転移挙動を測定することができる。例えば、RCS(冷蔵冷却システム)およびオートサンプラを備えたTA Instruments Q1000 DSCを使用し、この分析を行う。試験中、50ml/分の窒素パージガスフローを使用する。各試料を約175℃で薄フィルムに溶融圧縮し、その後、溶融試料を室温(約25℃)まで空冷する。3~10mg、直径6mmの試験片を冷却したポリマーから抽出し、秤量し、軽量アルミニウムパン(約50mg)内に置き、圧着して閉じた。次いで、その熱的特性を決定するために分析を行った。
【0042】
試料の熱挙動は、試料温度に上下の勾配を付けて熱流量対温度プロファイルを作成することによって決定した。熱履歴を除去するために、まず、試料を180℃まで急速に加熱し、3分間等温保持した。次に、試料を10℃/分の冷却速度で-40℃まで冷却し、-40℃で3分間等温保持する。次いで、試料を10℃/分の加熱速度で180℃(これは「第2の加熱」勾配である)まで加熱した。冷却および第2の加熱曲線を記録する。冷却曲線は、結晶化の開始から-20℃までのベースライン終点を設定することによって分析される。熱曲線は、ベースライン終点を-20℃から溶融終点に設定することによって分析される。決定した値は、外挿された融解の開始Tmであり、外挿された結晶化の開始Tcである。(1グラム当たりのジュール単位の)融解熱(H)、および以下の等式を使用して計算されたポリエチレン試料の結晶化度%:結晶化度%=((H)/292J/g)x100。
【0043】
融解熱(H)(溶融エンタルピーとしても知られる)およびピーク溶融温度は、第2の熱曲線から報告する。
【0044】
まず、融解転移の開始と終了との間にベースラインを引くことによって、DSC加熱曲線から融点Tmを決定する。次いで、融解ピークの低温側のデータに接線を引く。この線が、ベースラインと交差する場所が、外挿された融解開始(Tm)である。これは、Bernhard Wunderlich,The Basis of Thermal Analysis,in Thermal Characterization of Polymeric Materials 92,277-278(Edith A.Turi ed.,2d ed.1997)に記載されているとおりである。
【0045】
ガラス転移温度Tgは、Bernhard Wunderlich,The Basis of Thermal Analysis,in Thermal Characterization of Polymeric Materials 92,278-279(Edith A.Turi ed.,2d ed.1997)に記載のように、試料の半分で液体熱容量が増加したDSC加熱曲線から決定する。ガラス転移領域の下および上からベースラインを引き、Tg領域を介して外挿する。試料の熱容量がこれらのベースラインの中間となる温度が、Tgである。
【0046】
粒子密度
エマルション安定性をスクリーニングするために、LUMiSizer多試料分析遠心分離機を使用する。各試料は、IRレーザーと、透過率の値を2次元のプロファイルに変換する検出器のアレイを通してスピンさせる。透過率プロファイルの進行は、ストークスの法則、等式Cによって定義される分散した液滴の最終速度Vに関連し、
【0047】
【数2】
【0048】
式中、rが液滴の半径であり、gが液滴の加速度であり、ρが液滴の密度、ρが流体媒体の密度であり、ηが流体の動粘度である。等式Dは、LUMiSizerの相対加速係数を定義し、式中、rが試料の位置(mm)、rpmがロータ速度(1分あたりの回転数)である。この重力加速度にこの係数を掛け、等式Cに代入する。
【0049】
【数3】
【0050】
既知の粒径を用いて、等式Cはポリマー粒子の粒子密度を決定することができる。例えば、LUMiSizerが12.7μm/秒の粒子速度および2.45E9μm/秒の加速力を決定するとき、20℃での水の密度および粘度の文献値(それぞれ1E-12g/μmおよび1E-6g/μm-秒)を使用し、これらの値を等式Cに代入して多重光散乱によって平均粒径37μmを決定し、密度について解くと密度0.96g/cmが得られる。これらの粒子の予想される密度が0.975g/cmであることにから、空隙がほとんどないことを示し、粒子の予想される密度は98.4%である。
【0051】
球形度
走査型電子顕微鏡画像を撮影して粒子を特徴付ける。滑らかな回転楕円体の画像は、最大10,000倍の倍率まで目に見える空隙を呈さない。粒子の「球形度」(ψ)は、球体(所与の粒子と同じ体積を有する)の表面積対粒子の表面積の比である。回転楕円体では、球形度(ψ)は、Vが体積、Aが表面積である等式Bに従って計算し、球形粒子の2D投影の軸の長さを測定し、これを回転楕円体として概算し、aおよびbがそれぞれ回転楕円体の半長軸と半短軸である等式を解くことによって得る。
【数4】
【発明を実施するための形態】
【0052】
本開示は、プロセスに関する。プロセスは、(i)押出機で、(a)ポリオレフィン相および(b)水相を、(c)アクリル系分散剤、ポロキサマー分散剤、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの分散剤の存在下で溶融ブレンドすることと、(ii)0.1ダイン/cm~25ダイン/cmの界面張力を生成することと、(iii)25重量%~90重量%の分散液固形分含有量を有するポリオレフィン水性分散液を形成することと、(iv)ポリオレフィン水性分散液から水を除去して粉末を形成することと、を含む。粉末は、10μm~300μmの中央体積平均粒径、0.92~1.0の球形度、1~2未満の粒径分布、および98%~100%の粒子密度を有する。
【0053】
i.押出機での溶融ブレンド
プロセスは、押出機で(a)ポリオレフィン相、および(b)水相を、(c)アクリル系分散剤、ポロキサマー分散剤、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの分散剤の存在下で溶融ブレンドする工程を含む。一実施形態では、溶融ブレンドは、(d)任意選択のポリオレフィンワックス、および/または(e)任意選択の添加剤をさらに含む。
【0054】
a.ポリオレフィン相
プロセスは、(a)ポリオレフィン相を溶融ブレンドすることを含む。
【0055】
ポリオレフィン相は、ポリオレフィンを含有する。好適なポリオレフィンの非限定的な例としては、エチレン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0056】
一実施形態では、ポリオレフィン相およびさらにポリオレフィンは、0.1g/10分、または1.0g/10分、または2.0g/10分、または4.0g/10分~9.0g/10分、または10.0g/10分、または35g/10分、または40g/10分、または50g/10分、または100g/10分、または500g/10分、または1,000g/10分のメルトインデックスを有する。
【0057】
一実施形態では、ポリオレフィン相およびさらにポリオレフィンは、95℃、96℃、または115℃、または120℃、または122℃~148℃、または150℃、または155℃、または160℃、または165℃、または170℃の溶融温度を有する。別の実施形態では、ポリオレフィン相およびさらにはポリオレフィンは、115℃超~170℃、または120℃~150℃、または122℃~148℃の溶融温度を有する。
【0058】
一実施形態では、ポリオレフィン相およびさらにポリオレフィンは、0.800g/cc、または0.850g/cc、または0.870g/cc、または0.875g/cc、または0.877g/cc~0.900g/cc、または0.955g/cc、または0.965g/cc、または0.970g/cc、または0.975g/cc、または0.980g/cc、または0.990g/cc、または0.995g/cc、または1.00g/ccの密度を有する。
【0059】
1.エチレン系ポリマー
一実施形態では、ポリオレフィン相は、エチレン系ポリマーを含有する。好適なエチレン系ポリマーの非限定的な例としては、LDPE、LLDPE、ULDPE、VLDPE、EPE、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー、実質的に直鎖のまたは直鎖のプラストマー/エラストマー、HDPE、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0060】
用語「エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー」は、エチレンと1つの共重合可能なC4-C8α-オレフィンコモノマーとの重合形態(および任意選択の添加剤)からなるエチレン/C4-C8α-オレフィンマルチブロックコポリマーを指し、これは化学的または物理的特性が異なる2つの重合モノマー単位の複数のブロックまたはセグメントを特徴とするポリマー、直鎖状の様式で結合(または共有結合)しているブロック、すなわち重合したエチレン官能基に関して端部同士結合している化学的に区別された単位を含むポリマーを指す。エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、2つのブロック(ジブロック)および3つ以上のブロック(マルチブロック)を有するブロックコポリマーを含む。C4-C8α-オレフィンは、ブテン、ヘキセン、およびオクテンから選択される。エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、スチレン、および/またはビニル芳香族モノマー、および/または共役ジエンを含まないか、または除外する(すなわち、スチレンフリーである)。コポリマー中の「エチレン」または「コモノマー」の量を指す場合、これは、その重合単位を意味することが理解される。いくつかの実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、次式:(AB)nによって表すことができ、式中、nが少なくとも1、好ましくは2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100などの1を超えるか、またはより高い整数であり、「A」が、ハードブロックまたはセグメントを表し、「B」が、ソフトブロックまたはセグメントを表す。AおよびBは、実質的に直鎖状の様式で、もしくは直鎖状の様式で、または対照的には実質的に分岐状もしくは実質的に星形状の様式で連結または共有結合している。他の実施形態では、AブロックおよびBブロックは、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布している。言い換えれば、ブロックコポリマーは通常、以下のような構造を有さない:AAA-AA-BBB-BB。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、異なるコモノマー(複数可)を含む第3の種類のブロックを有さない。別の実施形態では、ブロックAおよびブロックBの各々は、ブロック内に実質的にランダムに分布したモノマーまたはコモノマーを有する。言い換えれば、ブロックAもブロックBも、ブロックの残りの部分とは実質的に異なる組成を有する先端部分のような異なる組成の2つ以上の部分セグメント(またはサブブロック)を含まない。
【0061】
好ましくは、エチレンは、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー全体の大部分のモル分率を構成する、すなわちエチレンはエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー全体のうちの少なくとも50重量%を構成する。より好ましくは、エチレンは、C-Cα-オレフィンコモノマーを含むエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー全体の実質的に残りの部分で、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、または少なくとも80重量%を構成する。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、50重量%、60重量%、または65重量%~80重量%、または85重量%、または90重量%のエチレンを含有する。多くのエチレン/オクテンマルチブロックコポリマーでは、組成物は、エチレン/オクテンマルチブロックコポリマー全体の80重量%超のエチレン含有量、およびマルチブロックコポリマー全体の10重量%~15重量%、または15重量%~20重量%のオクテン含有量を含む。
【0062】
エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、様々な量の「ハード」セグメントおよび「ソフト」セグメントを含む。「ハード」セグメントは、エチレンが、ポリマーの重量に基づいて、90重量%超、または95重量%、または95重量%超、または98重量%超、最大100重量%の量で存在する重合単位のブロックである。換言すると、ハードセグメント中のコモノマー含有量(エチレン以外のモノマー含有量)は、ポリマーの重量に基づいて、10重量パーセント未満、または5重量パーセント、または5重量パーセント未満、または2重量パーセント未満であり、最低でゼロであり得る。いくつかの実施形態では、ハードセグメントは、エチレンから誘導された全ての、または実質的に全ての単位を含む。「ソフト」セグメントは、コモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)が、ポリマーの重量に基づいて、5重量%超、または8重量%超、または10重量%超、または15重量%超の量である重合単位のブロックである。一実施形態では、ソフトセグメント中のコモノマー含有量は、20重量%超、25重量%超、30重量%超、35重量%超、40重量%超、45重量%超、50重量%超、または60重量%超であり、最大100重量%であり得る。
【0063】
ソフトセグメントは、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー中に、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーの総重量の、1重量%、または5重量%、または10重量%、または15重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%、または45重量%~55重量%、または60重量%、または65重量%、または70重量%、または75重量%、または80重量%、または85重量%、または90重量%、または95重量%、または99重量%存在し得る。逆に、ハードセグメントは、同様の範囲で存在することができる。ソフトセグメントの重量百分率およびハードセグメントの重量パーセント百分率は、DSCまたはNMRから得られたデータに基づいて計算することができる。そのような方法および計算は、例えば、米国特許第7,608,668号に開示されており、その開示の全体が参照により明細書に組み込まれる。特に、ハードおよびソフトセグメントの重量パーセントおよびコモノマー含有量は、米国特許第7,608,668号の第57欄~第63欄に記載されるように決定されてもよい。
【0064】
エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、直鎖状の様式で結合している(または共有結合している)2つ以上の化学的に異なる領域またはセグメント(「ブロック」と称される)を含む、すなわち、ペンダントまたはグラフトされた様式ではなく、重合エチレン性官能基に関して端部同士結合している化学的に区別された単位を含有する。ある実施形態では、ブロックは、組み込まれたコモノマーの量もしくは種類、密度、結晶化度、そのような組成のポリマーに起因する結晶のサイズ、立体規則性の種類もしくは程度(アイソタクチックまたはシンジオタクチック)、位置規則性または位置不規則性、分岐の量(長鎖分岐もしくは超分岐を含む)、均質性、または任意の他の化学的もしくは物理的特性において異なる。連続モノマー付加、流動触媒、またはアニオン重合技術によって生産されるインターポリマーを含む、先行技術のブロックインターポリマーと比較して、本発明のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、一実施形態では、シャトリング剤(複数可)とそれらの調製において使用される複数の触媒との組み合わせの効果のため、ポリマー多分散性(PDIもしくはMw/MnもしくはMWD)、多分散ブロック長分布、および/または多分散ブロック数分布の両方の特有の分布を特徴とする。
【0065】
ある実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、連続工程で生産され、1.7~3.5、または1.8~3、または1.8~2.5、または1.8~2.2の多分散指数(Mw/Mn)を有する。バッチまたは半バッチプロセスで生成される場合、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、1.0~3.5、または1.3~3、または1.4~2.5、または1.4~2のMw/Mnを有する。
【0066】
さらに、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、ポアソン分布ではなく、シュルツ・フロリー分布に適合するPDI(またはMw/Mn)を有する。本発明のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、多分散ブロック分布ならびにブロックサイズの多分散分布の両方を有する。これにより、改善された識別可能な物理的特性を有するポリマー生成物の形成が生じる。多分散ブロック分布の理論的利点は、Potemkin,Physical Review E(1998)57(6),pp.6902-6912、およびDobrynin,J.Chem.Phvs.(1997)107(21),pp9234-9238に以前モデル化され論じられている。
【0067】
一実施形態では、本発明のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、ブロック長の最確分布を有する。
【0068】
好適なエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーの非限定的な例は、米国特許第7,608,668号に開示されており、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、ハードセグメントおよびソフトセグメントを有し、スチレンフリーであり、(i)エチレン、および(ii)C-Cα-オレフィン(および任意選択に添加剤)のみからなり、1.7~3.5のMw/Mn、少なくとも1つの摂氏での融点Tm、およびグラム/立方センチメートルでの密度dを有するものとして定義され、Tmおよびdの数値は、Tm>-2002.9+4538.5(d)-2422.2(d)の関係に対応し、
式中、密度dが、0.850g/cc、または0.860g/cc、または0.870g/cc~0.875g/cc、または0.877g/cc、または0.880g/cc、または0.890g/ccであり、融点Tmが、110℃、または115℃、または120℃~122℃、または125℃、または130℃、または135℃である。
【0070】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、エチレン/1-オクテンマルチブロックコポリマー(エチレンおよびオクテンコモノマーのみからなる)であり、以下の特性:(i)1.7、もしくは1.8~2.2、もしくは2.5、もしくは3.5のMw/Mn;ならびに/または(ii)0.850g/cc、もしくは0.860g/cc、もしくは0.865g/cc、もしくは0.870g/cc~0.877g/cc、0.880g/cc、もしくは0.900g/ccの密度;ならびに/または(iii)115℃、もしくは118℃、もしくは119℃、もしくは120℃~120℃、もしくは122℃、もしくは125℃の融点Tm;ならびに/または(iv)0.1g/10分、もしくは0.5g/10分~1.0g/10分、もしくは2.0g/10分、もしくは5g/10分、もしくは10g/10分、もしくは50g/10分のメルトインデックス(MI);ならびに/または(v)50~85重量%のソフトセグメントおよび40~15重量%のハードセグメント;ならびに/または(vi)ソフトセグメント中、10モル%、もしくは13モル%、もしくは14モル%、もしくは15モル%~16モル%、もしくは17モル%、もしくは18モル%、もしくは19モル%、もしくは20モル%のC-C12α-オレフィン;ならびに/または(vii)ハードセグメント中、0.5モル%、もしくは1.0モル%、もしくは2.0モル%、もしくは3.0モル%~4.0モル%、もしくは5モル%、もしくは6モル%、もしくは7モル%、もしくは9モル%のオクテン;ならびに/または(viii)ASTM D1708に従って21℃で、300%分-1の変形速度で測定される場合、50%、もしくは60%~70%、もしくは80%、もしくは90%の弾性回復率(Re);ならびに/または(ix)ブロックの多分散分布およびブロックサイズの多分散分布、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
【0071】
ある実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、エチレン/オクテンマルチブロックコポリマーである。エチレン/オクテンマルチブロックコポリマーは、The Dow Chemical Company、Midland、Michigan、USAから入手可能な商標名INFUSE(商標)として販売されている。
【0072】
一実施形態では、ポリオレフィン相は、エチレン系ポリマーを含有する。さらなる実施形態では、エチレン系ポリマーは、HDPE、LDPE、およびエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーから選択される。エチレン系ポリマーは、以下の特性:(i)0.1g/10分、もしくは1.0g/10分、もしくは2.0g/10分、もしくは4.0g/10分~9.0g/10分、もしくは10.0g/10分、もしくは15g/10分のメルトインデックス;および/または(ii)95℃、96℃、もしくは115℃、もしくは118℃、もしくは120℃、もしくは122℃~133℃、もしくは135℃、もしくは140℃の溶融温度;および/または(iii)0.860g/cc、もしくは0.870g/cc、もしくは0.875g/cc、もしくは0.877g/cc~0.900g/cc、もしくは0.955g/cc、もしくは0.965g/cc、もしくは0.970g/cc、もしくは0.975g/ccの密度、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
【0073】
一実施形態では、ポリオレフィン相は、LDPEとHDPEとのブレンドを含有する。さらなる実施形態では、ポリオレフィン相は、1:1の重量比を有するLDPEとHDPEとのブレンドを含有する。
【0074】
エチレン系ポリマーは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態を含み得る。
【0075】
2.プロピレン系ポリマー
一実施形態では、ポリオレフィン相は、プロピレン系ポリマーを含有する。好適なプロピレン系ポリマーの非限定的な例としては、プロピレンコポリマー、プロピレンホモポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0076】
一実施形態では、プロピレン系ポリマーは、プロピレンホモポリマーである。プロピレンホモポリマーは、プロピレンホモポリマーの総重量に基づいて、プロピレンから誘導される単位を100重量%含有する。一実施形態では、プロピレンホモポリマーは、The Dow Chemical Companyから入手可能なDOW(商標)6D43である。
【0077】
一実施形態では、プロピレン系ポリマーは、プロピレン/α-オレフィンコポリマーである。好適なα-オレフィンの非限定的な例としては、CおよびC-C20α-オレフィン、またはC-C10α-オレフィン、またはC-Cα-オレフィンが挙げられる。代表的なα-オレフィンとしては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、および1-オクテンが挙げられる。一実施形態では、プロピレン系ポリマーは、その中に重合した芳香族コモノマーを含有しない。一実施形態では、プロピレン/α-オレフィンコポリマーは、プロピレン/エチレンコポリマーの重量に基づいて、プロピレンから誘導される単位を50重量%超、または51重量%、または55重量%、または60重量%~70重量%、または80重量%、または90重量%、または95重量%、またはプロピレンから誘導される単位を99重量%含有するプロピレン/エチレンコポリマーである。プロピレン/エチレンコポリマーは、プロピレン/エチレンコポリマーの重量に基づいて、逆数的な量のエチレンから誘導される単位を、すなわち50重量%未満、または49重量%、または45重量%、または40重量%~30重量%、または20重量%、または10重量%、または5重量%、または1重量%、または0重量%のエチレンから誘導される単位を含有する。
【0078】
一実施形態では、ポリオレフィン相は、プロピレン系ポリマーを含有する。さらなる実施形態では、プロピレン系ポリマーはプロピレンホモポリマーである。プロピレン系ポリマーは、以下の特性:(i)10.0g/10分、もしくは20g/10分、もしくは30g/10分~35g/10分、もしくは40g/10分、もしくは45g/10分、もしくは50g/10分のメルトフローレート;および/または(ii)135℃、140℃、もしくは145℃、もしくは148℃~150℃、もしくは155℃、もしくは160℃、もしくは165℃、もしくは170℃の溶融温度;および/または(iii)0.880g/cc、もしくは0.885g/cc、もしくは0.890g/cc~0.900g/cc、もしくは0.905g/cc、もしくは0.910g/ccの密度、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
【0079】
プロピレン系ポリマーは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態を含み得る。
【0080】
一実施形態では、ポリマー相は、プロピレンホモポリマー、HDPE、LDPE、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー、およびそれらの組み合わせから選択されるポリオレフィンを含む。
【0081】
一実施形態では、ポリオレフィン相は、115℃超、または116℃~170℃の溶融温度を有する少なくとも1つのポリオレフィンを含有するか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる。
【0082】
ポリオレフィン相は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態を含み得る。
【0083】
b.水相
プロセスは、(b)水相を溶融ブレンドすることを含む。水相としては、水が挙げられる。好適な水の非限定的な例は、脱イオン(DI)水である。
【0084】
一実施形態では、プロセスは、溶融ブレンドの間、ポリオレフィン相対水相の粘度比を1:1、または2:1~4:1、または5:1、または10:1、または15:1、または20:1に維持することを含む。
【0085】
ポリオレフィン相は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態を含み得る。
【0086】
c.分散剤
プロセスは、(a)ポリオレフィン相、および(b)水相を(c)分散剤の存在下で溶融ブレンドすることを含む。分散剤は、アクリル系分散剤、ポロキサマー系分散剤、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0087】
1.アクリル系分散剤
一実施形態では、分散剤はアクリル系分散剤である。「アクリル系分散剤」は、分散液の形成および安定化を容易にするアクリル系モノマー含有材料である。好適なアクリルモノマーの非限定的な例としては、アルキル(メタ)アクリレート、エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。好適なアクリルモノマーの非限定的な例としては、メチル(メタ)アクリレート(MMA)、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ウレイド官能性(メタ)アクリレートおよびアセトアセテート、(メタ)アクリル酸のアクリルアミド、アセトアミドまたはシアノアセテートを含む(メタ)アクリル酸エステルモノマー;スチレンまたは置換スチレン;ビニルトルエン;モノエチレン性不飽和アセトフェノンまたはベンゾフェノン誘導体;酢酸ビニルまたは他のビニルエステル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、N-ビニルピロリドンなどのビニルモノマー;ならびに(メタ)アクリロニトリルなどの非イオン性共重合モノエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。(メタ)アクリレートなどの、別の用語が続く用語「(メタ)」は、アクリレートおよびメタクリレートの両方を指す。
【0088】
一実施形態では、アクリル系分散剤は、少なくとも1つのアクリル系モノマーおよびカルボン酸コモノマーを含有する。好適なカルボン酸コモノマーの非限定的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸(MAA)、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノブチル、および無水マレイン酸が挙げられる。一実施形態では、アクリル系分散剤は、アルキル(メタ)アクリレート/カルボン酸インターポリマーである。さらなる実施形態では、アクリル系分散剤は、2-EHA/アルキル(メタ)アクリレート/カルボン酸ターポリマーである。
【0089】
一実施形態では、アクリル系分散剤はエチレンフリーである。
【0090】
一実施形態では、アクリル系分散剤は、エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート(MMA)/メタクリル酸ターポリマー(または2-エチルヘキシルアクリレート/MMA/メタクリル酸ターポリマー)である。さらなる実施形態では、エチルヘキシルアクリレート/MMA/メタクリル酸ターポリマーは、2-EHAから誘導される単位を5重量%、または10重量%~74重量%、または75重量%、または80重量%;MMAから誘導される単位を1重量%、または2重量%~66重量%、または70重量%;およびMAAから誘導される単位を15重量%、または19重量%~24重量%、または25重量%含有する。一実施形態では、エチルヘキシルアクリレート/MMA/メタクリル酸ターポリマーは、以下の特性:(i)-60℃、もしくは-50℃、もしくは-40℃、もしくは-30℃、もしくは-20℃、もしくは-10℃、もしくは0℃~5℃、もしくは10℃、もしくは50℃、もしくは90℃、もしくは100℃のガラス転移温度Tg;および/または(ii)70mPa・s、もしくは80mPa・s~90mPa・s、もしくは100mPa・s、もしくは150mPa・s、もしくは190mPa・s、もしくは200mPa・sの粘度;および/または(iii)100mgKOH/g、もしくは110mgKOH/g、もしくは140mgKOH/g、もしくは150mgKOH/g~155mgKOH/g、もしくは160mgKOH/g、もしくは170mgKOH/gの酸価;および/または(iv)4.0、もしくは4.4~4.5、もしくは5.0、もしくは6.0、もしくは7.0のpH、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
【0091】
一実施形態では、アクリル系分散剤は、室温(23℃)で液体である。
【0092】
一実施形態では、アクリル系分散剤は、室温(23℃)で固体である。固体アクリル系分散剤は、分散液中に提供されるときは乾燥形態である。
【0093】
アクリル系分散剤は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態を含み得る。
【0094】
2.ポロキサマー分散剤
一実施形態では、分散剤は、ポロキサマー分散剤である。「ポロキサマー分散剤」は、分散液の形成および安定化を容易にするエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーである。
【0095】
好適なポロキサマー分散剤の非限定的な例としては、ポリオキシプロピレンの予め形成されたポリマー系の末端でエチレンオキシドを重合することによって調製された(Pluronic Grid Approach,vol.II,Wyandotte Chemicals Corp.,1957参照)Wyandotte Chemicalsによって市販されている非イオン性界面活性剤が挙げられる。ポリオキシプロピレン系およびポリオキシエチレン末端セグメントの長さまたは分子量の両方を変化させて、多種多様な製品を得ることができる。例えば、好適なポロキサマー分散剤の非限定的な例は、Pluronic=F-98であり、これは2,700の重量平均分子量(Mw)を有するポリオキシプロピレンをエチレンオキシドと重合させて、約13,500g/モルのMwを有する生成物を得る。この生成物は、ポロキサマー分散剤の総重量に基づいて、20重量%のプロピレンオキシド、および80重量%のエチレンオキシドを含有すると記載することができる。別の好適なPluronicの例は、F-108(Mw=14,600g/モル、20重量%のプロピレンオキシド、80重量%のエチレンオキシド)である。一実施形態では、ポロキサマー分散剤は、ポロキサマー分散剤の総重量に基づいて、少なくとも50重量%のエチレンオキシド、または50重量%~80重量%のエチレンオキシド、および逆数的な量、すなわち20重量%~50重量%のプロピレンオキシドを含有する。
【0096】
一実施形態では、ポロキサマー分散剤は、40℃、または50℃、または55℃、または57℃~60℃、または65℃、70℃、または80℃、または90℃、または100℃の融点Tmを有する。
【0097】
ポロキサマー分散剤は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態を含み得る。
【0098】
d.任意選択のポリオレフィンワックス
一実施形態では、プロセスは、(a)ポリオレフィン相、(b)水相、および(d)任意選択のポリオレフィンワックスを、(c)分散剤の存在下で溶融ブレンドすることを含む。ポリオレフィンワックスは、エチレン系ワックスでもプロピレン系ワックスでもよい。
【0099】
1.エチレン系ワックス
一実施形態では、溶融ブレンド工程で利用されるポリオレフィンワックスは、エチレン系ワックスである。「エチレン系ワックス」は、140℃で、(≦)1,000mPa・s以下、または≦500mPa・sである溶融粘度を有するエチレン系ポリマーである。エチレン系ワックスは、大部分の量(すなわち50重量%超)が重合エチレンモノマーおよび任意選択のα-オレフィンコモノマーで構成される。
【0100】
一実施形態では、エチレン系ワックスは、高密度低分子量ポリエチレンワックス、副生成物ポリエチレンワックス、エチレン系ポリマーを含有するFischer-Tropschワックス、エチレン系ポリマーを含有する酸化Fischer-Tropschワックス、官能化ポリエチレンワックス、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0101】
一実施形態では、エチレン系ワックスは、以下の特性:(i)0.900g/cc、もしくは0.910g/cc、もしくは0.920g/cc、もしくは0.930g/cc~0.940g/cc、もしくは0.950g/cc、もしくは0.960g/cc、もしくは0.970g/cc、もしくは0.980g/cc、もしくは0.990g/cc、もしくは0.995g/ccの密度;および/または(ii)40mPa・s、もしくは50mPa・s、もしくは60mPa・s~65mPa・s、もしくは70mPa・s、もしくは75mPa・s、もしくは80mPa・s、もしくは90mPa・s、もしくは100mPa・s、もしくは200mPa・s、もしくは300mPa・s、もしくは400mPa・s、もしくは500mPa・sの140℃での溶融粘度;および/または(iii)0mg KOH/g、もしくは10mg KOH/g、もしくは20mg KOH/g、もしくは30mg KOH/g、もしくは40mg KOH/g~45mg KOH/g、もしくは50mg KOH/gの酸価;および/または(iv)100℃、もしくは110℃、もしくは115℃、もしくは120℃~123℃、もしくは125℃、もしくは130℃、もしくは140℃の滴点、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
【0102】
エチレン系ワックスは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態を含み得る。
【0103】
2.プロピレン系ワックス
一実施形態では、溶融ブレンド工程で利用されるポリオレフィンワックスは、プロピレン系ワックスである。「プロピレン系ワックス」は、170℃で、(≦)1,500mPa・s以下、または≦1,400mPa・s、または≦1,000mPa・sである溶融粘度を有するプロピレン系ポリマーである。プロピレン系ワックスは、大部分の量(すなわち50重量%超)が重合プロピレンモノマーおよび任意選択のα-オレフィンコモノマーで構成される。一実施形態では、プロピレン系ワックスは、プロピレンホモポリマーである。プロピレン系ワックスは、チーグラーナッタ触媒重合またはメタロセン触媒重合によって製造することができ、それぞれチーグラーナッタ触媒プロピレン系ワックスまたはメタロセン触媒プロピレン系ワックスが得られる。好適なプロピレン系ワックスの非限定的な例としては、Clariantから入手可能な商品名LICOCENEで販売されているものが挙げられる。
【0104】
一実施形態では、プロピレン系ワックスは、以下の特性:(i)0.89g/cc、もしくは0.90g/cc~0.91g/cc、もしくは0.93g/cc、もしくは0.95g/ccの密度;および/または(ii)40mPa・s、もしくは50mPa・s、もしくは60mPa・s~70mPa・s、もしくは80mPa・s、もしくは90mPa・s、もしくは100mPa・s、もしくは500mPa・s、もしくは1,000mPa・s、もしくは1,400mPa・s、もしくは1,500mPa・sの170℃での溶融粘度;および/または(iii)0mg KOH/g、もしくは10mg KOH/g、もしくは20mg KOH/g、もしくは30mg KOH/g、もしくは40mg KOH/g~41mg KOH/g、もしくは45mg KOH/g、もしくは50mg KOH/gの酸価;および/または(iv)120℃、もしくは130℃、もしくは140℃~144℃、もしくは145℃、もしくは150℃、もしくは155℃の滴点、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
【0105】
プロピレン系ワックスは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態を含み得る。
【0106】
一実施形態では、ポリオレフィンワックスは、官能化エチレン系ワックスまたは官能化プロピレン系ワックスなど、官能化されている。好適な官能化ポリオレフィンワックスの非限定的な例は、カルボキシル官能化ポリオレフィンワックスである。「カルボキシル官能化ポリオレフィンワックス」は、ポリオレフィン鎖に結合しているカルボン酸系部分(例えば、ポリオレフィン鎖にグラフトされたカルボン酸系部分)を有するポリオレフィンワックスである。「カルボン酸系部分」は、カルボキシル基(-COOH)またはその誘導体を含有する化合物である。好適なカルボン酸系部分の非限定的な例としては、カルボン酸および無水カルボン酸が挙げられる。ポリオレフィンにグラフトすることができる好適なカルボン酸および無水カルボン酸の非限定的な例としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、および無水イタコン酸が挙げられる。一実施形態では、カルボキシル官能化ポリオレフィンワックスは、無水マレイン酸官能化ポリオレフィンワックスである。
【0107】
一実施形態では、カルボキシル官能化プロピレン系ワックスは、無水マレイン酸グラフト化プロピレン系ワックスである。好適な無水マレイン酸グラフト化プロピレン系ワックスの非限定的な例は、Clariantから入手可能なLicocene(商標)PP MA6452である。
【0108】
一実施形態では、カルボキシル官能化エチレン系ワックスは、無水マレイン酸グラフト化エチレン系ワックスである。好適な無水マレイン酸グラフト化エチレン系ワックスの非限定的な例は、Clariantから入手可能なLicocene(商標)PE MA4351である。
【0109】
ポリオレフィンワックスは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態を含み得る。
【0110】
e.任意選択の添加剤
一実施形態では、プロセスは、(a)ポリオレフィン相、(b)水相、(d)任意選択のポリオレフィンワックス、および(e)任意選択の添加剤を、(c)分散剤の存在下で溶融ブレンドすることを含む。
【0111】
好適な添加剤の非限定的な例は、塩基である。塩基は、分散剤を中和して、分散剤の酸価を100%~140%低減する。好適な塩基の非限定的な例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属;ヒドロキシルアミン、ヒドラジンなどの無機アミン;メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、シクロヘキシルアミン、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの有機アミン;酸化ナトリウム、過酸化ナトリウム、酸化カリウム、過酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物および水素化物;ならびに炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属の弱酸塩;ジメチルエタノールアミン(DMEA);または水酸化アンモニウム、が挙げられる。一実施形態では、塩基は、KOH、DMEA、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0112】
添加剤は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態を含み得る。
【0113】
一実施形態では、プロセスは、押出機で(a)ポリオレフィン相、(b)水相、(d)任意選択のポリオレフィンワックス、および(e)任意選択の添加剤を、(c)アクリル系分散剤、ポロキサマー分散剤、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの分散剤の存在下で溶融ブレンドする工程を含む。好適な押出機の非限定的な例としては、一軸押出機および多軸押出機(二軸押出機など)が挙げられる。溶融ブレンド工程は、2つ以上のスクリューを有する多軸押出機を利用し、それに混練ブロックをスクリューの任意の位置に加えることができる。押出機は、第1の材料供給口、第2の材料供給口、およびさらに混練する材料の流れ方向に沿って上流から下流に向かってこの順で第3および第4の材料供給口を備えていてもよい。さらに、真空ベントを押出機の任意選択の位置に含んでもよい。一実施形態では、(a)ポリオレフィン相、(b)水相、(c)分散剤、(d)任意選択のポリオレフィンワックス、および(e)任意選択の添加剤を含有するポリオレフィン水性分散液を、ポリオレフィン水性分散液の総重量に基づいて、水相の1重量%~3重量%、または10重量%、または50重量%を含有するようにまず希釈し、次いでその後水相の50重量%、または40重量%~30重量%、または10重量%を含有するように希釈する。
【0114】
図1は、好適な押出装置の非限定的な例を概略的に示す。二軸押出機などの押出機20は、背圧調整器、メルトポンプ、またはギアポンプ、および出口30に連結されている。一実施形態では、装置は、塩基リザーバ40および初期水リザーバ50をさらに含み、それらの各々はポンプ(図示せず)を含む。所望の量の塩基および初期水を、それぞれ塩基リザーバ40および初期水リザーバ50から提供する。任意の好適なポンプを使用してもよいが、いくつかの実施形態では、240バールの圧力で約150cc/分の流れを提供するポンプを使用して、塩基および初期水を押出機20に提供してもよい。別の実施形態では、液体注入ポンプは、200バールで300cc/分、または133バールで600cc/分の流れを提供する。別の実施形態では、塩基および初期水は、予熱器で予熱される。
【0115】
ペレット、粉末、またはフレークの形態の(a)ポリオレフィン相は、フィーダー80から押出機の供給口90に供給され、そこでポリオレフィン相は、100℃、または110℃、または120℃、または130℃、または140℃~150℃、または160℃、または170℃、または180℃、または190℃、または200℃などのポリオレフィン相の溶融温度より高い温度で溶融または配合される。一実施形態では、(c)分散剤は、(a)ポリオレフィン相と共に開口部を通って(a)ポリオレフィン相に添加される。別の実施形態では、(c)分散剤は、二軸押出機20に別々に添加される。次いで溶融した(a)ポリオレフィン相を、混合および搬送ゾーンから押出機の乳化ゾーンに送り、そこでリザーバ40および50から初期量の水((b)水相)および塩基を供給口55を通して添加する。一実施形態では、(c)分散剤は、水流に追加してまたは別で添加してもよい。一実施形態では、乳化混合物は、押出機20の希釈および冷却ゾーンで、供給口95を介したリザーバ60からの追加の水でさらに希釈される。典型的には、分散液は、冷却ゾーンで少なくとも水分30重量%に希釈される。希釈混合物は、所望の希釈レベルに達するまで、任意の回数希釈されてもよい。
【0116】
押出機での好適な溶融ブレンドの非限定的な例は、米国特許第7,763,676号に開示の押出機に基づく機械的分散プロセスであり、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。押出機に基づく機械的分散プロセスは、(a)ポリオレフィン相/(b)水相混合物に10秒-1~10,000秒-1の剪断速度で高剪断を付与して、(a)ポリオレフィン相と(b)水相との間の界面張力を低減する(c)分散剤の存在下で、小さなポリマー粒子を含む水連続系を容易にする。高固形分含有ポリオレフィン水性分散液は、高内相エマルション(HIPE)ゾーンとしても知られる押出機の乳化ゾーンで形成され、次いで、HIPEが乳化ゾーンから第1および第2の希釈ゾーンに進むにつれて、所望の固形分濃度に徐々に希釈される。
【0117】
一実施形態では、押出機での溶融ブレンドは、The Dow Chemical CompanyのBLUEWAVE(商標)プロセスなどの連続的な押出機に基づく機械的分散プロセスを使用して実施される。
【0118】
一実施形態では、溶融ブレンドは、(a)ポリオレフィン相を25g/分~5,000g/分、または25g/分、または30g/分、または34g/分~55g/分、または60g/分、または65g/分、または70g/分、または75g/分の供給速度で押出機に供給すること、(d)ポリオレフィンワックスを5g/分~1,000g/分、または5g/分、または6g/分~12g/分、または15g/分の供給速度で押出機に供給すること、(c)分散剤を5g/分~3,000g/分、または5g/分、または6g/分~15g/分、または16g/分、または20g/分、または25g/分、または30g/分、または32g/分、または35g/分の供給速度で押出機に供給すること、および任意選択で、(e)添加剤を0.1mL/分~800mL/分、または0.1mL/分、または0.4mL/分~3mL/分、または8mL/分、または10mL/分の供給速度で押出機に供給すること、を含む。
【0119】
一実施形態では、ポリオレフィン水性分散液は、(a)50重量%、または60重量%、または70重量%~90重量%、または95重量%のポリオレフィン相、(c)1重量%、または2重量%、または5重量%~15重量%、または20重量%、または40重量%の分散剤、(d)0重量%、または1重量%、または5重量%~15重量%、または20重量%のポリオレフィンワックス、および(e)(a)ポリオレフィン相、(c)分散剤、(d)ポリオレフィンワックス、および(e)添加剤の総重量に基づいて、0重量%、または0.05重量%~2重量%、または5重量%の添加剤、を含有する。
【0120】
前述のポリオレフィン水性分散液を含む、本明細書に開示のポリオレフィン水性分散液の各々の成分の合計は、100重量%になることが理解される。
【0121】
溶融ブレンド工程は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態を含み得る。
【0122】
ii.界面張力の生成
プロセスは、0.1ダイン/cm~25ダイン/cmの界面張力を生成する工程を含む。「界面張力」は、(a)ポリオレフィン相と(b)水相とを一緒に保持する力である。いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、アクリル系分散剤、ポロキサマー分散剤、およびそれらの組み合わせから選択される(c)分散剤の存在は、(a)ポリオレフィン相と(b)水相との間の界面張力を低減すると考えられる。
【0123】
一実施形態では、プロセスは、0.1ダイン/cm、または5.0ダイン/cm、または6.0ダイン/cm、または6.5ダイン/cm~7.0ダイン/cm、または10.0ダイン/cm、または19.0ダイン/cm、または20.0ダイン/cm、または25ダイン/cmの界面張力を生成する工程を含む。
【0124】
一実施形態では、プロセスは、(i)ポロキサマーである(c)分散剤の存在下で溶融ブレンドすること、および(ii)0.1ダイン/cm、または1.0ダイン/cm、または5.0ダイン/cm、または10.0ダイン/cm~12.6ダイン/cm、または13.0ダイン/cm、または15.0ダイン/cm、または20.0ダイン/cm、または25ダイン/cmの界面張力を生成することを含む。
【0125】
一実施形態では、プロセスは、(i)アクリル系分散剤である(c)分散剤の存在下で溶融ブレンドすること、および(ii)0.1ダイン/cm、または1.0ダイン/cm、または6.0ダイン/cm、または6.9ダイン/cm~19.0ダイン/cm、または20.0ダイン/cm、または25ダイン/cmの界面張力を生成することを含む。
【0126】
界面張力を生成する工程は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態を含み得る。
【0127】
iii.ポリオレフィン水性分散液の形成
本プロセスは、25重量%~90重量%の分散液固形分含有量を有するポリオレフィン水性分散液を形成する工程を含む。
【0128】
ポリオレフィン水性分散液は、25重量%~90重量%の分散液固形分含有量を有する。「固形分含有量」は、(b)水相を含むポリオレフィン水性分散液の総重量に基づいた、(a)ポリオレフィン相、(c)分散剤、(d)任意選択のポリオレフィンワックス、および(e)任意選択の添加剤を組み合わせた総重量である。言い換えれば、15重量%~90重量%の固形分含有量を有するポリオレフィン水性分散液は、ポリオレフィン水性分散液の総重量に基づいて、逆数的な量の(b)水相、すなわち10重量%~85重量%の水相を含有する。一実施形態では、ポリオレフィン水性分散液は、25重量%、または30重量%、または40重量%、または50重量%~60重量%、または70重量%、または80重量%、または90重量%の固形分含有量を有する。
【0129】
一実施形態では、ポリオレフィン水性分散液は、5重量%~90重量%の分散液固形分含有量を有する。別の実施形態では、ポリオレフィン水性分散液は、5重量%、または10重量%、または15重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%、または40重量%、または50重量%~60重量%、または70重量%、または80重量%、または90重量%の固形分含有量を有する。
【0130】
一実施形態では、溶融ブレンドの間および押出機の乳化ゾーンで、ポリオレフィン水性分散液は、ポリオレフィン水性分散液の総重量に基づいて、50重量%、または55重量%、または60重量%~70重量%、または75重量%、または80重量%、または85重量%、または90重量%の固形分含有量、および逆数的な量の(b)水相、すなわち10重量%、または15重量%、または20重量%、または25重量%、または30重量%~40重量%、または45重量%、または50重量%の(b)水相を有する。
【0131】
一実施形態では、押出機の希釈ゾーンで、ポリオレフィン水性分散液は、ポリオレフィン水性分散液の総重量に基づいて、5重量%、または15重量%、または30重量%、または35重量%、または40重量%~50重量%、または55重量%、または60重量%の固形分含有量、および逆数的な量の(b)水相、すなわち40重量%、または45重量%、または50重量%~60重量%、または65重量%、または70重量%の(b)水相を有する。
【0132】
一実施形態では、プロセスは、60重量%、または70重量%~90重量%の分散液固形分含有量を有するポリオレフィン水性分散液を形成すること、およびポリオレフィン水性分散液に希釈水を添加して、5重量%、または15重量%、または30重量%、または40重量%~50重量%、または60重量%の分散液固形分含有量を有する希釈ポリオレフィン水性分散液を形成すること、を含む。
【0133】
一実施形態では、ポリオレフィン水性分散液は、安定な分散液である。「安定な分散液」は、固体粒子が連続水相中に均一に懸濁しているエマルションである。安定な分散液は、水相で希釈されることができない紐の形態で、または一塊の材料として押出機から出る材料を除外する。
【0134】
ポリオレフィン水性分散液を形成する工程は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態を含み得る。
【0135】
iv.水の除去
本プロセスは、ポリオレフィン水性分散液から水を除去して、粉末を形成する工程を含み、この粉末は10μm~300μmの中央体積平均粒径、0.92~1.0の球形度、1~2未満の粒径分布、および98%~100%の粒子密度を有する。
【0136】
一実施形態では、ポリオレフィン水性分散液、またはさらに希釈ポリオレフィン水性分散液から水を除去する工程は、水を分散液に混合し、固体粒子を混合物の上部に浮遊させることを含む。次いで、固体粒子を混合物の上部からすくい取り、真空濾過を使用して濾過する。濾過された粒子は、次いで水ですすがれ、室温(23℃)で真空乾燥または空気乾燥により乾燥されて粉末を形成する。
【0137】
一実施形態では、二軸ミキサー中のスピードミキサーカップを使用するなどして、流動助剤を粉末と混合する。好適な流動助剤の非限定的な例としては、タルク(ウルトラタルクなど)、シリカ系流動助剤(ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、二酸化ケイ素、およびケイ酸カルシウムなど)、粘土(カオリン粘土など)、ケイソウ土、石灰石、およびそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、粉末は、粉末の総重量に基づいて、0.05重量%、または1.0重量%~1.5重量%、または2.0重量%の流動助剤を含有する。
【0138】
粉末は、10μm~300μmの中央体積平均粒径を有する。一実施形態では、粉末は、10μm、または11μm~110μm、または150μm、または199μm、または200μm、または210μm、または250μm、または275μm、または300μmの中央体積平均粒径を有する。
【0139】
粉末は、0.92~1.0の球形度を有する。一実施形態では、粉末は、0.92、または0.95、または0.98~0.99、または1.0の球形度を有する。1.0の球形度は、粉末粒子の表面積が、同じ体積で球の表面積が所与の粒子と同じであることを示す。言い換えれば、1.0の球形度は、粉末粒子が表面に空隙がなく球形であることを示す。
【0140】
粉末は、1~2未満の粒径分布を有する。一実施形態では、粉末は、1.0、または1.1、または1.2~1.3、または1.4、または1.5、または1.6、または1.7、または1.8、または1.9、または2.0未満の粒径分布を有する。1~2未満の粒径分布は、粉末が同じサイズ、または実質的に同じサイズの粒子を含むことを示す。
【0141】
粉末は、98%~100%の粒子密度を有する。一実施形態では、粉末は100%の粒子密度を有する。100%の粒子密度は、粉末が空隙のない粒子を含むことを示す。粉末は、低多孔度の粉末である。「低多孔度」の粉末は、98%~100%の粒子密度を有する単一粒子を含有する粉末である。低多孔度の粉末は、80%未満の粒子密度を有する凝集物を含有する粉末を除外する。
【0142】
一実施形態では、粉末は、1.0μm、または3.0μm、または3.5μm~5.0μm、または15μm、または20μm、または25μm、または30μm、または40μm、または45μm、または50μmのD10粒径を有する。一実施形態では、粉末は、1μm、または5μm、または10μm、または15μm、または20μm~50μm、または60μm、または70μm、または80μm、または90μm、または100μm、または110μm、または120μm、または130μm、または140μm、または150μm、または200μm、または250μm、または270μm、または300μm、または350μm、または400μm、または440μm、または450μm、または460μmのD90粒径を有する。
【0143】
一実施形態では、粉末は、大型漏斗で1.0秒、または1.5秒~2.3秒、または3.6秒の流速を有する。別の実施形態では、粉末は、小型漏斗で15秒、または16秒~30秒、または50秒、または60秒、または150秒、または160秒の流速を有する。
【0144】
一実施形態では、粉末は以下の特性:(i)10μm、または11μm~110μm、または150μm、または199μm、または200μm、または210μm、または250μm、または275μm、または300μmの中央体積平均粒径、(ii)0.92、または0.95、または0.98~0.99、または1.0の球形度、(iii)1.0、または1.1、または1.2~1.3、または1.4、または1.5、または1.6、または1.7、または1.8、または1.9、または2.0未満の粒径分布、および(iv)98%~100%の粒子密度、を有し、粉末は、任意選択で次の特性:(vi)1.0μm、もしくは3.0μm、もしくは3.5μm~5.0μm、もしくは15μm、もしくは20μm、もしくは25μm、もしくは30μm、もしくは40μm、もしくは45μm、もしくは50μmのD10粒径、および/または(vii)1μm、もしくは5μm、もしくは10μm、もしくは15μm、もしくは20μm~50μm、もしくは60μm、もしくは70μm、もしくは80μm、もしくは90μm、もしくは100μm、もしくは110μm、もしくは120μm、もしくは130μm、もしくは140μm、もしくは150μm、もしくは200μm、もしくは250μm、もしくは270μm、もしくは300μm、もしくは350μm、もしくは400μm、もしくは440μm、もしくは450μm、もしくは460μmのD90粒径、および/または(viii)1.0秒、もしくは1.5秒~2.3秒、もしくは3.6秒の大型漏斗での流速、および/または(ix)15秒、もしくは16秒~30秒、もしくは50秒、もしくは60秒、もしくは150秒、もしくは160秒の小型漏斗での流速、のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する。
【0145】
一実施形態では、粉末は、凝集物を含まないか、または実質的に含まない。
【0146】
水を除去する工程は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態を含み得る。
【0147】
一実施形態では、プロセスは以下:
(i)押出機で(a)ポリオレフィン相、(b)水相、(d)任意選択のポリオレフィンワックス、および(e)任意選択の添加剤を、(c)アクリル系分散剤、ポロキサマー分散剤、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの分散剤の存在下で溶融ブレンドすること、
(ii)0.1ダイン/cm、または5.0ダイン/cm、または6.0ダイン/cm、または6.5ダイン/cm~7.0ダイン/cm、または10.0ダイン/cm、または19.0ダイン/cm、または20.0ダイン/cm、または25ダイン/cmの界面張力を生成すること、
(iii)25重量%~90重量%の分散液固形分含有量を有するポリオレフィン水性分散液を形成すること、
(iv)ポリオレフィン水性分散液から水を除去して粉末を形成することであって、粉末が、(1)10μm、または11μm~110μm、または150μm、または199μm、または200μm、または210μm、または250μm、または275μm、または300μmの中央体積平均粒径、(2)0.92、または0.95、または0.98~0.99、または1.0の球形度、(3)1.0、または1.1、または1.2~1.3、または1.4、または1.5、または1.6、または1.7、または1.8、または1.9、または2.0未満の粒径分布、および(4)98%~100%の粒子密度を有する、粉末を形成すること、を含む。
【0148】
一実施形態では、工程(i)~(iii)は同時に実施される。工程(iv)は、工程(i)~(iii)の後に実施される。
【0149】
プロセスは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態を含み得る。
【0150】
本開示はまた、本プロセスによって製造された粉末を提供する。
【0151】
粉末
本開示は、粉末に関する。粉末は、(a)115℃超~170℃の溶融温度、0.800g/cc~1.00g/ccの密度、および1.0g/10分~1000g/10分のメルトインデックスを有するポリオレフィン、ならびに(b)アクリル系分散剤、ポロキサマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1重量%~15重量%の分散剤、(c)任意選択でポリオレフィンワックス、ならびに(d)任意選択で添加剤を含む。粉末は、(i)10μm~300μmの中央体積平均粒径、(ii)0.92~1.0の球形度、(iii)1.0~2.0未満の粒径分布、および(iv)98%~100%の粒子密度を有する。
【0152】
ポリオレフィンは、本明細書に開示の任意の(a)ポリオレフィン相であり得る。分散剤は、本明細書に開示の任意の(c)分散剤であり得る。任意選択のポリオレフィンワックスは、本明細書に開示の任意の(d)任意選択のポリオレフィンワックスであり得る。任意選択の添加剤は、本明細書に開示の任意の(e)任意選択の任意の添加剤であり得る。粉末は、本明細書に開示の任意の粉末であり得る。
【0153】
一実施形態では、粉末は、(a)115℃超~140℃の溶融温度を有するエチレン系ポリマーである、60重量%、または70重量%~80重量%、または90重量%のポリオレフィン、(b)5重量%、または7重量%~8重量%、または20重量%のアクリル系分散剤、および(c)5重量%、または10重量%~15重量%、または20重量%のポリオレフィンワックス、を含有するか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなり、粉末は、(i)10μm、または12μm~110μm、または300μmの中央体積平均粒径、(ii)0.92~1.0の球形度、(iii)1.0、または1.4~1.6、または2.0未満の粒径分布、(iv)98%~100%の粒子密度、(v)任意選択で1μm、または4μm~35μm、または40μmのD10粒径、(vi)任意選択で20μm、または22μm~196μm、または200μmのD90粒径、(vii)任意選択で1秒、または2秒~3秒、または5秒の大型漏斗での流速、および(viii)任意選択で40秒、または45秒~50秒、または55秒の小型漏斗での流速、を有する。
【0154】
一実施形態では、粉末は、(a)115℃超~140℃の溶融温度を有するエチレン系ポリマーである、40重量%、または70重量%、または75重量%~80重量%、または85重量%、または90重量%のポリオレフィン、(b)1重量%、または5重量%~10重量%、または15重量%のポロキサマー、および(c)5重量%、または7重量%、または9重量%~10重量%、または15重量%、または20重量%のポリオレフィンワックス、を含有するか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなり、粉末は、(i)10μm、または15μm~70μm、または200μm、または250μmの中央体積平均粒径、(ii)0.92~1.0の球形度、(iii)1.0、または1.1、または1.2~1.9、または2.0未満の粒径分布、(iv)98%~100%の粒子密度、(v)任意選択で1μm、または3μm~40μm、または45μmのD10粒径、(vi)任意選択で5μm、または15μm~300μm、または450μmのD90粒径、(vii)任意選択で1秒、または1.5秒~2秒、または5秒の大型漏斗での流速、および(viii)任意選択で15秒、または16秒~26秒、または30秒の小型漏斗での流速、を有する。
【0155】
一実施形態では、粉末は、(a)130℃、または140℃~150℃、または170℃の溶融温度を有するプロピレン系ポリマーである、60重量%、または70重量%~75重量%、または80重量%、または90重量%のポリオレフィン、(b)5重量%、または10重量%~15重量%、または20重量%のアクリル系分散剤、および(c)5重量%、または10重量%~15重量%、または20重量%のポリオレフィンワックス、を含有するか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなり、粉末は、(i)10μm、または11μm~31μm、または35μm、または40μmの中央体積平均粒径、(ii)0.92~1.0の球形度、(iii)1.0、または1.3~1.9、または2.0未満の粒径分布、(iv)98%~100%の粒子密度、(v)任意選択で1μm、または3μm~5μm、または10μmのD10粒径、および(vi)任意選択で15μm、または18μm~64μm、または70μmのD90粒径、を有する。
【0156】
一実施形態では、粉末は、60重量%、または70重量%~80重量%、または90重量%のポリオレフィン、(b)0.1重量%、または5重量%、または7重量%~8重量%、または20重量%のアクリル系分散剤、および(c)任意選択で、5重量%、または10重量%~15重量%、または20重量%のポリオレフィンワックスを含有するか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。
【0157】
一実施形態では、粉末は、40重量%、または70重量%、または75重量%~80重量%、または85重量%、または90重量%のポリオレフィン、(b)0.1重量%、または1重量%、または5重量%~10重量%、または15重量%のポロキサマー、および(c)任意選択で、5重量%、または7重量%、または9重量%~10重量%、または15重量%、または20重量%のポリオレフィンワックスを含有するか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。
【0158】
前述の粉末を含む、本明細書に開示の粉末の各々の成分の合計は、100重量%になることが理解される。
【0159】
一実施形態では、ポリオレフィンは、HDPEとLDPEとのブレンドなど、2つ以上のポリオレフィンのブレンドを含有する。
【0160】
一実施形態では、粉末は、凝集物を含まないか、または実質的に含まない。
【0161】
本粉末は、粉末床溶融技術などにおける3Dプリントに有用である。本粉末はまた、回転成形および粉末コーティングなどの用途にも有用である。
【0162】
粉末は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態を含み得る。
【0163】
一例として、これに限定されないが、本開示のいくつかの実施形態について以下の実施例において以下に詳細に説明される。
【実施例
【0164】
実施例で使用される材料を、以下の表1に提供する。
【0165】
【表1】
【0166】
アクリル系分散剤A(AD-A)の調製
アクリル分散剤A(AD-A)は、3210グラム(g)のDI水を、オーバーヘッドスターラー、凝縮器、および温度制御装置に接続してポットリフターを調節するように設定した加熱マントルを備えた4リットル(L)の4つ口ガラスフラスコに添加することによって調製する。フラスコを窒素下に置き、80℃に加熱する。同時に、3107gのDI水、70.1gのAerosol(商標)A-102界面活性剤(スルホコハク酸の二ナトリウムエトキシル化アルコール(C10-12)半エステル、CYTEC Industries Inc.から入手可能)、165.1gのFES-32界面活性剤(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、BASF Corporationから入手可能)、6777.1gの2-エチルヘキシルアクリレート、183.2gのメチルメタクリレート、および2198.0gのMAAを混合して、濃厚な白い安定なエマルションを形成することによって、モノマーエマルションを製造する。反応器温度が80℃に安定したら、220gのPRIMAL(商標)E-1476アクリルプリフォーム(110nmおよび45重量%固形分、The Dow Chemical Companyから入手可能)、続いて216.8gのDI水および6.9gの過硫酸アンモニウムの溶液を反応器に添加する。462.9gのDI水および11.4gの過硫酸アンモニウムを使用して開始剤共供給溶液を作製する。モノマーエマルションを37g/分の速度で反応器に供給し、開始剤共供給溶液を1.4g/分の速度で反応器に供給する。20分後、モノマーエマルション供給速度を74g/分に上げ、開始剤共供給溶液供給速度を2.8g/分に上げる。モノマーおよび開始剤の供給が終了したら、ラインをすすぎ、反応を80℃で30分間保持する。その後、反応混合物を60℃に冷却する。41.7gのDI水中の0.06gの硫酸鉄(II)七水和物の溶液を反応器に添加する。(i)279.8gのDI水、4.2gのFES-32界面活性剤、および6.9gのLuperox(商標)TAH-85(ポリマー開始剤、Arkemaから入手可能)を含有する開始剤の溶液、および(ii)281.5gのDI水および9.4gのホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムを含有する還元剤の溶液を、9.7g/分の速度で反応に添加する。供給が終了したら、反応混合物を室温に冷却し100μmフィルターを通して濾過する。
【0167】
得られるポリマーは、分散剤の総重量に基づいて、74重量%の2-EHA、2重量%のMMA、および24重量%のMAAを含有するアクリル系分散剤A(AD-A)である。AD-Aは、少ない残留モノマー、50.1重量%の最終固形分重量%、3.3のPDI、および18.98ダイン/cmの界面張力(60℃でのLucant(商標)LX001に対して)を有する。
【0168】
アクリル系分散剤B(AD-B)の調製
アクリル系分散剤B(AD-B)は、775gのDI水、5gのAerosol(商標)OT-75界面活性剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、CYTEC Industries Inc.から入手可能)、5gのAerosol(商標)A-102界面活性剤、および5gの酢酸ナトリウムを、オーバーヘッドスターラー、凝縮器、および温度制御器に接続してポットリフターを調節するように設定した加熱マントルを備えた4Lの4つ口ガラスフラスコに添加することによって調製する。フラスコを窒素下に置き、92℃に加熱する。同時に、600gのDI水、35.64gのFES-32界面活性剤、197.5gの2-エチルヘキシルアクリレート、1312gのメチルメタクリレート、13.5gのn-ドデシルメカプタン(mecaptan)、および465.5gのMAAを混合して、濃厚な白い安定なエマルションを形成することによってモノマーエマルションを製造する。反応器温度が92℃に安定したら、126gのモノマーエマルション、続いて70gのDI水および1.5gの過硫酸アンモニウムの溶液を反応器に添加する。反応を20分間保持する。60gのDI水および2.5gの過硫酸アンモニウムを使用して開始剤共供給溶液を作製する。モノマーエマルションを7.2g/分の速度で反応器に供給し、開始剤共供給溶液を0.3g/分の速度で反応器に供給する。20分後、モノマーエマルション供給速度を15.4g/分に上げ、開始剤共供給溶液供給速度を0.6g/分に上げる。モノマーおよび開始剤の供給が終了したら、ラインをすすぎ、反応を92℃で30分間保持する。その後、反応混合物を60℃に冷却する。18.3gのDI水中の0.014gの硫酸鉄(II)七水和物の溶液を反応器に添加する。(i)32gのDI水、0.9gのFES-32、および1.5gのLuperox(商標)TAH-85を含有する開始剤の溶液、ならびに(ii)32gのDI水および4.1gのホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウムを含有する還元剤の溶液を、3.8g/分の速度で反応器に添加する。供給が終了したら、反応混合物を室温に冷却し100μmスクリーンを通して濾過する。
【0169】
得られるポリマーは、分散剤の総重量に基づいて、10重量%の2-EHA、66重量%のMMA、および24重量%のMAAを含有する含有するアクリル系分散剤B(AD-B)である。AD-Bは、少ない残留モノマー、54重量%の最終固形分重量%、3.2のPDI、90℃のガラス転移温度(Tg)、および6.91ダイン/cmの界面張力(60℃でのLucant(商標)LX001に対して)を有する。
【0170】
水性分散液の調製
水性分散液は、図1の押出機を使用して、The Dow Chemical CompanyのBLUEWAVE(商標)押出機プロセスを使用して調製する。分散液は、25mm Berstorff(商標)(X線)二軸押出機を使用して調製する。ポリオレフィンは、供給口につながる大型のSchenk(商標)供給器を通してペレットとして押出機に添加する。ポリオレフィンワックスおよびPluronic(商標)F-108を、やはり供給口につながるKQX K-Tron(商標)供給器を使用してペレットまたは粉末として押出機に添加する。押出機のゾーン1~3を含む混合および搬送ゾーンの温度プロファイルは以下の通りである:ゾーン1=25℃;ゾーン2=90℃;ゾーン3の温度は表2に提供する。アクリル系分散剤(AD-AおよびAD-B)を1000D ISCO(商標)シリンジポンプを介して液体として押出機に添加する。アクリル系分散剤は、ゾーン5Aに位置する注入器(ピンなし)を通って押出機に入る。500D ISCO(商標)ポンプを介してゾーン4Bに位置する(ピンを備えた)注入器を通して、初期水を押出機に添加する。ポリオレフィンワックスまたはアクリル系分散剤を使用するときには、塩基(DMEA)を利用して140%の中和を提供する。初期水を送る500D ISCO(商標)ポンプを介して、塩基を押出機に添加する。塩基を、ゾーン4Bを通して押出機に入れる。最後に、7つの希釈水を、ゾーン8Aに位置する注入器を通して、大型Hydracell(商標)ポンプを介して送る。
【0171】
押出条件を表2に提供する。
【0172】
【表2】
【0173】
粉末を形成するための濾過
ポリオレフィン水性分散液を10重量%固形分に希釈し、粒子をポリオレフィン水性分散液の上部に2時間浮遊させ、次いで粒子をすくい取り、真空濾過を使用して濾過する。次いで、濾過した粒子を水ですすいで粉末を形成する。粉末を室温(23℃)で真空乾燥または空気乾燥によって乾燥させる。粉末および流動助剤をスピードミキサーカップに添加し、FlackTek(商標)二軸ミキサーで毎分3500回転(rpm)で15秒間混合することによって、流動助剤(1重量%のAEROSIL(商標)R-972ヒュームドシリカ、Evonik Industriesから入手可能)を添加する。
【0174】
各粉末の組成および特性を表3に提供する。実施例1~実施例9は、各々100%の粒子密度を有する粉末を製造した。収量は、ポリオレフィン水性分散液中の固形分の重量に対する収集された粉末の重量の百分率として計算される。粉末の流れは、50gの粉末が大型漏斗および小型漏斗を通って流れるのにかかる時間の関数として測定する。結果を表3に提供する。表3の「NM」は、測定されていない特性を指す。
【0175】
実施例1~実施例9の粉末は各々、有利には10μm~300μmの中央体積平均粒径、0.92~1.0の球形度、1~2未満の粒径分布、および98%~100%の粒子密度を呈し、実施例1~実施例9の粉末が粉末床溶融などの3Dプリント技術に好適であることを示している。
【0176】
【表3】
【0177】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態および例示に限定されず、以下の特許請求の範囲に該当する実施形態の一部および異なる実施形態の要素の組み合わせを含む、これらの実施形態の変更された形態を含むことが、明確に意図されている。

以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[請求項1]
プロセスであって、
(i)押出機で(a)ポリオレフィン相、および(b)水相を、(c)アクリル系分散剤、ポロキサマー分散剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの分散剤の存在下で溶融ブレンドすることと、
(ii)0.1ダイン/cm~25ダイン/cmの界面張力を生成することと、
(iii)25重量%~90重量%の分散液固形分含有量を有するポリオレフィン水性分散液を形成することと、
(iv)前記ポリオレフィン水性分散液から水を除去して、粉末を形成することであって、前記粉末が10μm~300μmの中央体積平均粒径、0.92~1.0の球形度、1~2未満の粒径分布、および98%~100%の粒子密度を有する、粉末を形成することと、を含む、プロセス。
[請求項2]
前記ポリオレフィン相が、0.1g/10分~1,000g/10分のメルトインデックスを有する、請求項1に記載のプロセス。
[請求項3]
前記溶融ブレンドの間、ポリオレフィン相対水相の粘度比を1:1~20:1に維持することを含む、請求項2に記載のプロセス。
[請求項4]
二軸押出機で前記溶融ブレンドすることを実施することと、
前記ポリオレフィン水性分散液に10秒 -1 ~10,000秒 -1 の剪断速度を施すことと、を含む、請求項3に記載のプロセス。
[請求項5]
100℃~200℃の温度で前記水性ポリオレフィン分散液を形成することを含む、請求項4に記載のプロセス。
[請求項6]
(c)前記アクリル系分散剤である前記分散剤の存在下で、アルキル(メタ)アクリレート/カルボン酸インターポリマーを含む前記アクリル系分散剤を溶融ブレンドすることを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
[請求項7]
(c)前記アクリル系分散剤である前記分散剤の存在下で、エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸ターポリマーを含む前記アクリル系分散剤を溶融ブレンドすることを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
[請求項8]
(c)前記ポロキサマーである前記分散剤の存在下で、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーを含む前記ポロキサマーを溶融ブレンドすることを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
[請求項9]
プロピレンホモポリマー、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される前記ポリオレフィン相を溶融ブレンドすることを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
[請求項10]
請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセスによって製造される、粉末。
[請求項11]
粉末であって、
(a)115℃超~170℃の溶融温度、0.800g/cc~1.00g/ccの密度、および1.0g/10分~1,000g/10分のメルトインデックスを有するポリオレフィンと、
(b)アクリル系分散剤、ポロキサマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1重量%~15重量%の分散剤と、
(c)任意選択のポリオレフィンワックスと、を含み、
前記粉末が、
(i)10μm~300μmの中央体積平均粒径、
(ii)0.92~1.0の球形度、
(iii)1~2未満の粒径分布、
(iv)98%~100%の粒子密度、を有する、粉末。
[請求項12]
前記ポリオレフィンワックスが、無水マレイン酸グラフト化ポリオレフィンワックスである、請求項11に記載の粉末。
[請求項13]
前記分散剤が、エチルヘキシルアクリレート/メチルメタクリレート/メタクリル酸ターポリマーである前記アクリレート分散剤である、請求項11~12のいずれか一項に記載の粉末。
[請求項14]
前記粉末が、
(a)115℃超~140℃の溶融温度および0.870g/cc~0.970g/ccの密度を有するエチレン系ポリマーを含む、60重量%~90重量%の前記ポリオレフィンと、
(b)5重量%~20重量%の前記アクリル系分散剤と、
(c)5重量%~20重量%の前記ポリオレフィンワックスと、を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の粉末。
[請求項15]
前記粉末が、
(a)115℃超~140℃の溶融温度有するエチレン系ポリマーを含む、70重量%~95重量%の前記ポリオレフィンと、
(b)1重量%~15重量%の前記ポロキサマーと、
(c)5重量%~20重量%の前記ポリオレフィンワックスと、を含む、請求項11~12のいずれか一項に記載の粉末。
[請求項16]
前記エチレン系ポリマーが、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーである、請求項11~15のいずれか一項に記載の粉末。
[請求項17]
前記ポリオレフィンが、高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンを含む、請求項11~16のいずれか一項に記載の粉末。
[請求項18]
前記粉末が、
(a)130℃~170℃の融解温度を有するプロピレン系ポリマーを含む60重量%~90重量%の前記ポリオレフィンと、
(b)5重量%~20重量%の前記アクリル系分散剤と、
(c)5重量%~50重量%の前記ポリオレフィンワックスと、を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の粉末。
[請求項19]
プロセスであって、
(i)押出機で(a)ポリオレフィン相、および(b)水相を、(c)アクリル系分散剤、ポロキサマー分散剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの分散剤の存在下で溶融ブレンドすることと、
(ii)0.1ダイン/cm~25ダイン/cmの界面張力を生成することと、
(iii)5重量%~90重量%の分散液固形分含有量を有するポリオレフィン水性分散液を形成することと、
(iv)前記ポリオレフィン水性分散液から水を除去して、粉末を形成することであって、前記粉末が10μm~300μmの中央体積平均粒径、0.92~1.0の球形度、1~2未満の粒径分布、および98%~100%の粒子密度を有する、粉末を形成することと、を含む、プロセス。
[請求項20]
粉末であって、
(a)115℃超~170℃の溶融温度、0.800g/cc~1.00g/ccの密度、および1.0g/10分~1,000g/10分のメルトインデックスを有するポリオレフィンと、
(b)アクリル系分散剤、ポロキサマー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される0.1重量%~15重量%の分散剤と、
前記粉末が、
(i)10μm~300μmの中央体積平均粒径、
(ii)0.92~1.0の球形度、
(iii)1~2未満の粒径分布、
(iv)98%~100%の粒子密度、を有する、粉末。
図1