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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20230425BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20230425BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20230425BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L58/12
B60K35/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020161375
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2022054280
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2022-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大木 笙平
(72)【発明者】
【氏名】城所 直哉
(72)【発明者】
【氏名】岸田 太一
(72)【発明者】
【氏名】坂田 心之佐
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-100474(JP,A)
【文献】特開2013-103666(JP,A)
【文献】特開2010-038754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 3/00
B60L 50/60
B60L 58/12
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行用モータに電力を供給する電池の残量を用いて得られる航続距離を取得する取得部と、
前記車両の走行中の特定のタイミングにおける電費である特定電費と前記車両の電源がオフからオンに切り替えられてから現時点までの走行距離を、前記車両の電源がオフからオンに切り替えられてから現時点までの消費電力で除算した基準電費との電費差について、1つ以上の前記特定のタイミングにおける前記電費差が積算された積算値の変動に応じて変動するゲージを表示する第1表示部と、
前記車両の前記航続距離を表示する第2表示部と、
前記第1表示部の前記ゲージを変動させる表示制御部あって、前記積算値が所定値以上である場合に、前記第2表示部に表示される前記航続距離が増加することを示す情報を、前記第2表示部に表示させる前記表示制御部と、を備える、表示装置。
【請求項2】
前記特定電費の変動に応じて変動するゲージを表示する第3表示部をさらに備え、
前記表示制御部は、さらに、前記第3表示部の前記ゲージを変動させ、
前記第1表示部と前記第2表示部と前記第3表示部とは、隣接して配置されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記電池の残量に応じて前記電費を抑制すべき特定の場合における、前記積算値の変動に対する前記第1表示部の前記ゲージの変動量を、前記特定の場合以外の場合の前記積算値の変動に対する前記第1表示部の前記ゲージの変動量よりも大きくする、請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
特定の運転者が前記車両を運転する場合に、前記特定の運転者の識別情報を特定する特定部と、
前記特定の運転者の識別情報と、前記特定の運転者が前記車両を運転している間の電費の変動に関連する電費関連情報を格納する格納部と、
前記電費関連情報に基づいて得られる前記特定の運転者が電費を低減するための情報を出力する出力部と、をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、車両の走行用モータに電力を供給する電池を備える車両に搭載される表示装置に関する。
【0002】
特許文献1には、所定期間における走行距離を消費電力量で除した電力量消費率(いわゆる電費)を用いて、車両の航続距離を演算して、算出済みの航続距離を表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-101103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の走行状況に応じて電費が変動することによって、航続距離は変動する。上記の技術では、運転者は、自身の運転がどのように航続距離に影響するかを確認することは難しい。本明細書では、運転者が航続距離の変化を確認することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する表示装置は、車両の走行用モータに電力を供給する電池の残量を用いて得られる航続距離を取得する取得部と、前記車両の走行中の特定のタイミングにおける電費である特定電費と基準電費との電費差について、1つ以上の前記特定のタイミングにおける前記電費差が積算された積算値の変動に応じて変動するゲージを表示する第1表示部と、前記車両の前記航続距離を表示する第2表示部と、前記第1表示部の前記ゲージを変動させる表示制御部あって、前記積算値が所定値以上である場合に、前記第2表示部に表示される前記推定航続距離が増加することを示す情報を、前記第2表示部に表示させる前記表示制御部と、を備える。
【0006】
この構成によれば、運転者は、第1表示部を確認することによって、自身の運転による特定電費と基準電費との電費差が積算されていく様子を知ることができる。運転者は、第2表示部を確認することによって、電費差の積算値が所定値を超えて航続距離が増加することを知ることができる。これにより、運転者が自身の運転によって航続距離の変化を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の表示装置の概要ブロック図。
図2】実施形態の表示部の正面図。
図3】実施形態の電費関連情報データベースを表す図。
図4】実施形態の表示制御処理を表すフローチャート。
図5】実施形態の表示部の変動を表す正面図。
図6】実施形態の表示部の変動を表す正面図。
図7】実施形態のポイントゲージ増加量変更処理を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書が開示する表示装置の技術要素を、以下に列記する。なお、以下の各技術要素は、それぞれ独立して有用なものである。
【0009】
本明細書が開示する一例の表示装置は、特定電費の変動に応じて変動するゲージを表示する第3表示部を備えていてもよい。表示制御部は、第3表示部のゲージを変動させてもよい。第1表示部と前記第2表示部と前記第3表示部とは、隣接して配置されていてもよい。
【0010】
この構成によれば、運転者は、隣接する第1表示部と第2表示部と第3表示部とを、同時に視認することができる。これにより、運転者は、特定電費と、積算値に対応するゲージと、航続距離と、を同時に視認することができる。
【0011】
本明細書が開示する一例の表示装置では、表示制御部は、電池の残量に応じて電費を抑制すべき特定の場合における、積算値の変動に対する第1表示部のゲージの変動量を、特定の場合以外の場合の積算値の変動に対する第1表示部のゲージの変動量よりも大きくしてもよい。
【0012】
この構成によれば、電池の残量に応じて電費を抑制すべき場合に、ゲージの変動量が増加されることによって、運転者に対して、ゲージをより増加させるような運転、すなわち、省電力な運転を促進し得る。
【0013】
本明細書が開示する一例の表示装置は、特定の運転者が車両を運転する場合に、特定の運転者の識別情報を特定する特定部と、特定の運転者の識別情報と、特定の運転者が車両を運転している間の電費の変動に関連する電費関連情報を格納する格納部と、電費関連情報に基づいて得られる特定の運転者が電費を低減するための情報を出力する出力部と、をさらに備えていてもよい。
【0014】
運転者によって、例えば加速の仕方、減速の仕方等、運転特性が異なる。このため、運転者の運転特性に応じて、走行中の電費が異なる。この構成によれば、運転者は、自身の運転特性に応じた電費を低減するための情報を取得することができる。
【0015】
(第1実施形態)
図面を参照して、本実施形態の表示装置10について説明する。表示装置10は、駆動用モータのトルクを利用して車輪を駆動する車両に搭載される。車両は、駆動用モータに電力を供給する電池を備える。車両の電池の残量によって、車両の航続距離、即ち、車両が電池の残量に応じて航続距離が変動する。このため、電池の残量を用いて、航続距離を推定することができる。
【0016】
(表示装置10の構成)
図1に示すように、表示装置10は、制御部12と、表示部14と、出力部16と、格納部18と、通信インターフェイス(図面及び以下「通信I/F」と呼ぶ)20と、操作部22と、を備える。
【0017】
制御部12は、CPUとRAM、ROM等のメモリを含む。制御部12は、車両のモータを制御するECU(Electronic Control Unitの略)の一部である。制御部12は、表示部14、出力部16、格納部18、通信I/F20及び操作部22のそれぞれと、図示省略したバスによって通信可能に接続されている。制御部12は、表示装置10を制御するための様々な処理を実行する。制御部12は、様々な処理を実行することによって、表示部14、出力部16及び格納部18を制御する。制御部12は、メモリに、表示部14、出力部16、格納部18、通信I/F20及び操作部22を制御するためのコンピュータプログラムを格納する。制御部12は、CPUとメモリによって、後述する様々な処理を実行する。なお、変形例では、制御部12は、ECUと分離して配置されており、ケーブル等によって通信可能に接続されていてもよい。
【0018】
表示部14は、運転席で運転する運転者から視認可能な位置に配置される。具体的には、表示部14は、車速を表示する表示装置と並んで配置されている。表示部14は、液晶画面等の表示画面を備える。表示部14は、制御部12から供給される信号に応じた画像を表示させる。
【0019】
出力部16は、制御部12から供給される音声信号に基づいて、車両内に音声を発音するスピーカを備える。変形例では、出力部16は、表示部14と同様に表示画面を備えていてもよい。格納部18は、メモリ等、情報を格納する記憶装置を備える。格納部18は、制御部12が実行する様々な処理を実行するための情報が格納されている。格納部18に格納される情報には、車両の出荷時に、車両の製造者及び販売者によって予め格納されている情報と、制御部12が実行する処理によって取得される情報と、を格納可能である。なお、格納部18の情報は、書き換え可能であってもよい。
【0020】
通信I/F20は、車両内の他の装置、例えば、電池の残量を検出する装置、車速を検出する装置と通信可能に接続されている。また、通信I/F20は、車両に搭載されており、例えば携帯端末等の通信網である移動通信システムを介して通信を実行するためのアンテナ等の無線通信装置と通信可能に接続されている。これにより、制御部12は、通信I/F20を介して、表示装置10の外部と通信することができる。
【0021】
操作部22は、運転者が表示装置10を操作するための各種ボタンを備える。操作部22は、運転者が自身の特性(例えば、性別、年齢、氏名等)を表す特性情報を格納部18に格納するための操作ボタンを備える。また、操作部22は、運転者が運転を開始する際に、格納部18に格納されている自身の特性情報を選択する選択ボタンを備える。図3に示すように、表示装置10は、複数の運転者の特性情報AAA、BBB等を格納可能である。なお、変形例では、操作部22は、例えばタッチパネルのように、表示部14の表示画面を操作することによって運転者が表示装置10を操作可能である構成を有していてもよい。
【0022】
(表示部14の構成)
図2に示すように、表示部14は、運転ゲージ30と、ポイントゲージ32と、航続距離表示部34と、を備える。運転ゲージ30は、車両の走行中において、現時点での電費(以下では「特定電費」と呼ぶ)の大きさを表示する。運転ゲージ30には、特定電費の大きさに応じた左右方向の長さを有する四角形のゲージ31が表示される。なお、四角形のゲージの上下方向の長さは一定である。運転ゲージ30では、後述するように、電費差に「-1」を乗算した値が大きいほど、左右方向の長さが長い。
【0023】
運転ゲージ30の直下には、ポイントゲージ32が運転ゲージ30と隣接して配置されている。ポイントゲージ32は、特定電費が比較的に小さい期間が長いほど増加するゲージを備える。ポイントゲージ32には、電費の積算値に応じた左右方向の長さを有する四角形のゲージが表示される。なお、四角形のゲージの上下方向の長さは一定である。
【0024】
ポイントゲージ32の直下には、航続距離表示部34が、ポイントゲージ32と隣接して配置されている。航続距離表示部34は、電池の残量から推測される航続距離を表示する。制御部12は、電池の残量に基づいて、航続距離を算出する。航続距離は、電池に車両外部から電力を供給せずに、車両が走行することができる距離である。格納部18には、電池の残量が100%、即ち満充電時の航続距離が格納されている。制御部12は、電池の残量の割合を、満充電時の航続距離に乗算することによって、航続距離を算出する。なお、制御部12は、車両の走行状況(例えば現時点での車速、空調装置の消費電力等)を考慮して、航続距離を算出してもよい。制御部12は、算出済みの航続距離を表す信号を、表示部14に供給する。表示部14は、信号によって表される航続距離を表示する。
【0025】
(表示制御処理)
次いで、図4を参照して、制御部12が実行する表示制御処理を説明する。制御部12は、車両の電源がオフからオンに切り替えられた後、電源がオンである間に定期的に、表示制御処理を実行する。制御部12は、例えば、特定電費を算出すべきタイミング(例えば1秒毎)に、表示制御処理を実行する。表示制御処理では、S12において、制御部12は、通信I/F20を介して、車両に搭載されている各装置及び格納部18から、車両の走行状況を表す走行データを取得する。具体的には、制御部12は、現時点から所定の直前の時点(例えば1秒前)との間の特定期間の走行距離及び消費電力と、車両が起動してから現時点までの走行距離及び消費電力と、を取得する。なお、制御部12は、S12において取得される特定期間の走行距離及び消費電力を累積的に、格納部18に格納させる。これにより、制御部12は、格納部18から累積的に格納されている複数の特定期間の走行距離及び消費電力を取得することによって、車両が起動してから現時点までの走行距離及び消費電力を取得することができる。なお、格納部18に累積的に格納されている特定期間の走行距離及び消費電力は、車両の電源がオンからオフに切り替えられると削除されてもよい。
【0026】
次いで、S14において、制御部12は、基準電費を算出して、格納部18に格納させる。S12において取得済みの車両の電源がオフからオンに切り替えられてから現時点までの走行距離を、車両の電源がオフからオンに切り替えられてから現時点までの消費電力で除算することによって、基準電費を算出する。次いで、S16では、制御部12は、特定期間における電費を算出する。S16で算出される電費が、特定電費である。具体的には、制御部12は、S12において取得済みの特定期間の走行距離を、特定期間の消費電力で除算することによって、特定電費を算出する。
【0027】
次いで、S18では、制御部12は、電費差を算出して、格納部18に格納させる。制御部12は、S16で算出済みの特定電費S14で算出済みの基準電費から減算することによって電費差を算出する。S20では、制御部12は、運転ゲージ30を変動させる。具体的には、制御部12は、S18で算出済みの電費差に「-1」を乗算した値の大きさを表す信号を、表示部14に供給する。表示部14は、制御部12から信号を取得すると、電費差に「-1」を乗算した値の大きさに応じた長さのゲージを運転ゲージ30に表示させる。運転ゲージ30に表示されるゲージ31では、電費差に「-1」を乗算した値が大きいほど、左右方向の長さが長い。なお、電費差に「-1」を乗算した値が負の値である場合、即ち、特定電費が基準電費よりも小さい場合、運転ゲージ30に表示されるゲージ31は、電費差に「-1」を乗算した値に関わらず、最小の長さ(例えばゲージ31の表示なし)であってもよい。
【0028】
この構成によれば、制御部12は、特定電費が算出される毎(例えば1秒毎)に、運転ゲージ30を変動させることができる。これにより、運転者は、現時点での自身の運転状況が電費を抑えた運転であるか否かを確認することができる。この結果、運転者に省電力の運転を促進し得る。
【0029】
次いで、S22では、制御部12は、電費差積算値を算出して、格納部18に格納させる。具体的には、前回の表示制御処理のS22で算出済みの電費差積算値に、今回の表示制御処理のS18で算出済みの電費差に「-1」を乗算した値を加算する。電費差に「-1」を乗算することによって、特定電費が大きいほど、電費差積算値に加算される値が大きくなる。電費差積算値は、値が大きいほど、消費電力を抑えている状態で車両を駆動させることができている状態を表す。
【0030】
次いで、S24では、制御部12は、ポイントゲージ32を変動させる。具体的には、電費差積算値に対応するポイントゲージ32の長さを特定する。格納部18には、予め、航続距離が1km延長するための基準電費差積算値が格納されている。制御部12は、基準電費差積算値に対するS22で算出済みの電費差積算値の割合を算出する。積算電費差積算値が基準電費差積算値以上である場合、即ち、基準電費差積算値に対するS22で算出済みの電費差積算値の割合が1.0以上である場合には、ポイントゲージ32は、図5で示されるように、最大長さで表示される。制御部12は、最大長さに、S24で算出される基準電費差積算値に対するS22で算出済みの電費差積算値の割合を乗算することによって、S22で算出済みの電費差積算値に対応するポイントゲージ32の長さを算出する。
【0031】
次いで、制御部12は、S22で算出済みの電費差積算値に対応するポイントゲージ32の長さが、現在ポイントゲージ32に表示されているゲージの長さよりも長いか否かを判断する。S22で算出済みの電費差積算値に対応するポイントゲージ32の長さが、現在ポイントゲージ32に表示されているゲージの長さよりも長い場合、制御部12は、算出済みの長さのポイントゲージ32を、表示部14に表示させる。一方、S22で算出済みの電費差積算値に対応するポイントゲージ32の長さが、現在ポイントゲージ32に表示されているゲージの長さよりも長くない場合、制御部12は、ポイントゲージ32の長さを変動しない。
【0032】
次いで、S26では、制御部12は、S22で算出済みの電費差積算値が、基準電費差積算値以上であるか否かを判断する。変形例では、S26において、制御部12は、S24で算出済みの基準電費差積算値に対するS22で算出済みの電費差積算値の割合が1.0以上であるか否かを判断してもよい。S22で積算済みの電費差積算値が、基準電費差積算値未満である場合(S26でNO)(変形例ではS24で算出済みの基準電費差積算値に対するS22で算出済みの電費差積算値の割合が1.0未満である場合)、表示制御処理を終了する。
【0033】
一方、S22で積算済みの電費差積算値が、基準電費差積算値以上である場合(S26でYES)(変形例ではS24で算出済みの基準電費差積算値に対するS22で算出済みの電費差積算値の割合が1.0以上である場合)、S28では、制御部12は、表示部14に、航続距離が1km加算されることを示す画像データを供給する。S28で供給される画像データは、格納部18に予め格納されている。図5に示すように、表示部14は、制御部12から供給される画像データによって表される画像36を表示する。これにより、運転者は、自身の運転によって、航続距離が伸びたことを容易に把握することができる。これにより、運転者が省電力な運転を心がけるように促し得る。
【0034】
次いで、S30では、制御部12は、格納部18に格納されている電費差積算値をリセットし、「0」に戻す。次いで、S32は、制御部12は、ポイントゲージ32のゲージの長さを最小の長さに変動させるとともに、航続距離表示部34に表示される航続距離に「1」を加算させるように、表示部14を制御する。これにより、図6に示すように、表示部14では、ポイントゲージ32が最小の長さ(即ちポイントゲージ32が表示されない)に変動され、航続距離表示部34で表示される航続距離が1kmだけ加算される。S32の処理が終了すると、表示制御処理を終了する。
【0035】
表示装置10では、運転者は、ポイントゲージ32を確認することによって、自身の運転による特定電費と基準電費との電費差が積算されていく様子を知ることができる。運転者は、航続距離表示部34を確認することによって、電費差の積算値が所定値を超えると航続距離が増加することを知ることができる。これにより、運転者が自身の運転によって航続距離の変化を確認することができる。
【0036】
運転者は、表示部14を視認することによって、互いに隣接する運転ゲージ30と、ポイントゲージ32と、航続距離表示部34とを、同時に確認することができる。これにより、運転者は、特定電費と、電費積算値と、航続距離と、を同時に知ることができる。
【0037】
S22で算出済みの電費差積算値に対応するポイントゲージ32の長さが、現在ポイントゲージ32に表示されているゲージの長さよりも長くない場合、制御部12は、ポイントゲージ32の長さを変動しない。この構成では、省電力な運転を実行しているか否かの判断基準となり得るポイントゲージ32を、短くなることが防止されている。この構成によれば、ポイントゲージ32が短くなることによって、運転者が省電力な運転を実行しようとする意志が低下することを抑制することができる。
【0038】
(順位決定処理)
次いで、表示装置10が実行する順位決定処理を説明する。制御部12は、通信I/F20を介して、例えば車両の製造者が設置しているサーバに、電位差積算値を、車両の識別情報をとともに、送信する。車両の識別情報は、車両に固有に付与されている情報である。格納部18に、車両の製造者等によって、予め格納されている。車両の識別情報には、車両の車種を特定する情報が含まれている。サーバは、受信済みの電位差積算値と車両の識別情報と、を組み合わせて格納する。サーバは、他の1台以上の車両の表示装置10から、同様に、受信済みの電位差積算値と車両の識別情報と、を受信して格納することができる。
【0039】
サーバは、格納済みの1個以上の車両の識別情報を用いて、同一車種の車両について、電位差積算値が大きい順に順位を決定し、1個以上の車両の識別情報の車両に、各識別情報の車両に対して、決定済みの順位を送信する。制御部12は、サーバから決定済みの順位が受信される場合に、受信済みの順位を、表示部14に表示させる。表示部14は、航続距離表示部34に隣接する位置に、受信済みの順位を表示する。これにより、運転者は、自身の運転がどれほど省電力であるかを、同一車種の他の車両と比較することができる。これにより、運転者に、省電力な運転を促すことができる。
【0040】
(運転アドバイス処理)
次いで、表示装置10が実行する運転アドバイス処理を説明する。制御部12は、操作部22の選択ボタンが操作されて、格納部18に格納済みの1個以上の特性情報のうち、特定の特性情報が選択される場合に、特性情報の選択後において、表示制御処理のS16で算出される特定電費を格納部18に累積的に格納させる。これにより、図3に示すように、特性情報AAA、BBBと、特定電費が累積的に格納されている電費関連情報IN1、IN2と、が組み合わせて格納される。
【0041】
また、制御部12は、操作部22の選択ボタンが操作されて、格納部18に格納済みの1個以上の特性情報のうち、特定の特性情報が選択される場合に、特定の特性情報に組み合わせて格納されている電費関連情報を特定し、特定済みの電費関連情報に基づいて、電費を低減するためのアドバイス情報を、出力部16に出力させる。格納部18には、複数のアドバイス情報と電費関連情報の特徴を表す特徴情報との組み合わせが、例えば車両の製造者によって予め格納されている。
【0042】
制御部12は、複数のアドバイス情報と特徴情報との組み合わせの中から、特定済みの電費関連情報に対応する特徴情報を特定する。例えば、制御部12は、電費関連情報に含まれる特定電費の範囲が予め特定されている基準の増減の範囲よりも大きいという特徴情報に合致する場合、当該特徴情報と組み合わせられているアドバイス情報を特定して、出力部16に供給する。特定電費の増減の範囲が予め特定されている基準の増減の範囲よりも大きい場合には、車両の急加速が多いと想定されるため、例えば車両の急加速を抑制することを促進するアドバイス情報を出力させる。この構成によれば、表示装置10は、電費を抑制するアドバイス情報を出力することによって、運転者に対して、省電力の運転、ポイントゲージ32がより増加しやすい運転を提案することができる。運転者によって、例えば加速の仕方、減速の仕方等、運転特性が異なる。このため、運転者の運転特性に応じて、走行中の電費が異なる。この構成によれば、運転者は、自身の運転特性に応じた電費を低減するための情報を取得することができる。
【0043】
なお、制御部12は、通信I/F20を介して、車両の各装置から、アクセルの開度、ブレーキの回数等、運転者の運転特性を取得してもよい。この場合、制御部12は、運転特性に応じて、格納済みの複数のアドバイス情報から、最適なアドバイス情報を出力させてもよい。例えば、ブレーキ回数が予め格納部18に格納されている基準回数よりも多い場合に、ブレーキ回数を抑制するためのアドバイス情報を出力してもよい。
【0044】
(第2実施形態)
第1実施形態では、表示制御処理のS24において、最大長さに、S24で算出される基準電費差積算値に対するS22で算出済みの電費差積算値の割合を乗算することによって、S22で算出済みの電費差積算値に対応するポイントゲージ32の長さを算出する。本実施形態では、S24におけるポイントゲージ32の長さの算出方法が異なる。即ち、S24において、制御部12は、電池の残量に応じて電費を抑制すべき状況では、ポイントゲージ32の長さの算出方法を変更する。
【0045】
具体的には、S24において、制御部12は、図7に示すポイントゲージ増加量変更処理を実行する。ポイントゲージ増加量変更処理では、まず、S32において、制御部12は、S22で算出済みの電費差積算値に対応するポイントゲージ32の長さ(以下では「基準長さ」と呼ぶ)を算出する。次いで、S34において、制御部12は、車両に搭載されるナビゲーションシステムから、車両から最も近い充電可能な施設までの距離を取得する。続くS36では、制御部12は、取得済みの充電可能な施設までの距離が所定距離(例えば50km)以上であり、かつ、S12で取得済みの電池の残量が所定値未満であるか否かを判断する。取得済みの充電可能な施設までの距離が所定距離(例えば50km)未満であるか、あるいは、S12で取得済みの電池の残量が所定値以上である場合(S36でNO)、S38において、基準長さをポイントゲージ32の長さであると特定して、ポイントゲージ32を変動させて、ポイントゲージ増加量変更処理、すなわち、S24の処理を終了する。
【0046】
一方、取得済みの充電可能な施設までの距離が所定距離以上であり、かつ、S12で取得済みの電池の残量が所定値未満である場合(S36でYES)、S40において、制御部12は、基準長さを所定の割合(例えば20%)だけ増加させて、ポイントゲージ32の長さ(以下では「修正長さ」と呼ぶ)を算出する。次いで、S42において、制御部12は、修正長さがポイントゲージ32の最長長さを超えるか否かを判断する。最長長さ超えない場合(S42でNO)、S44において、制御部12は、修正長さをポイントゲージ32の長さと特定して、ポイントゲージ32を変動させて、ポイントゲージ増加量変更処理、すなわち、S24の処理を終了する。
【0047】
一方、最長長さ超える場合(S42でYES)、S46において、制御部12は、基準長さをポイントゲージ32の長さと特定して、ポイントゲージ32を変動させて、ポイントゲージ増加量変更処理、すなわち、S24の処理を終了する。これにより、電池の残量に応じて電費を抑制すべき場合、即ち、S36でYESの場合に、ポイントゲージ32の変動量を、電池の残量に応じて電費を抑制すべきでない場合と比較して、大きくすることができる。この結果、ポイントゲージ32の変動量が増加されることによって、運転者に対して、ポイントゲージ32をより増加させるような運転、すなわち、省電力な運転を促進し得る。
【0048】
(変形例)
車両は、駆動用モータ以外に、駆動用のエンジンを備えていてもよい。この場合、電池の残容量を用いて航続距離を推定してもよい。あるいは、この場合、電池容量と燃料の残量を用いて航続距離を推定してもよい。
【0049】
上記の各実施形態では、S14において、基準電費が算出されている。しかしながら、基準電費は、車両の製造者等によって、予め格納部18に格納されていてもよい。あるいは、制御部12は、通信I/F20を介して、基準電費を、例えば車両の製造者等によって提供されるサーバ等の外部から受信してもよい。
【0050】
表示部14は、運転ゲージ30を備えていなくてもよい。また、表示部14では、少なくともポイントゲージ32と航続距離表示部34とが隣接して配置されていればよい。この場合、ポイントゲージ32と航続距離表示部34とは、左右方向に並んで配置されていてもよい。運転ゲージ30は、ポイントゲージ32及び航続距離表示部34と隣接して配置されていればよく、上下方向に並ぶポイントゲージ32と航続距離表示部34に対して、左右方向に隣接して配置されていてもよい。
【0051】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独あるいは各種の組み合わせによって技術有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの1つの目的を達成すること自体で技術有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0052】
10 :表示装置
12 :制御部
14 :表示部
16 :出力部
18 :格納部
20 :通信I/F
22 :操作部
30 :運転ゲージ
31 :ゲージ
32 :ポイントゲージ
34 :航続距離表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7