(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】輸送用キャビンにおけるデータを管理する方法、及び規格化された実施アーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
H04B 10/275 20130101AFI20230425BHJP
B64D 11/00 20060101ALI20230425BHJP
H04J 14/02 20060101ALI20230425BHJP
H04L 12/42 20060101ALI20230425BHJP
【FI】
H04B10/275
B64D11/00
H04J14/02
H04L12/42 B
(21)【出願番号】P 2020515072
(86)(22)【出願日】2018-09-12
(86)【国際出願番号】 EP2018074637
(87)【国際公開番号】W WO2019053075
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-09-01
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519381447
【氏名又は名称】ラテレック
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】デラメ,シリル
(72)【発明者】
【氏名】ベレンジャー,サージ
(72)【発明者】
【氏名】ルビール,ヨアン
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-515034(JP,A)
【文献】特開2014-039208(JP,A)
【文献】特開平11-234208(JP,A)
【文献】特表2013-501462(JP,A)
【文献】特開2016-213824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/275
B64D 11/00
H04J 14/02
H04L 12/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視聴覚送信システム、キャビン(100)からの
外部通信システム、及び/またはキャビンシステムを備えるシステム部のデータリソース(211~213)と、受信用キャビンデバイス(E1~E4)から成り光信号へのデータ変換を介してこれらのデータを利用するための部分と、の間のデータストリーム(F1、F2)を分配するための規格化されたアーキテクチャ(10a~10f)を装備した、乗客用キャビン(100)におけるデータの管理方法であって、
前記管理方法は、所謂下方向の送信から成り、データは、前記システム部のうちで少なくとも1つのシステムによって単一の集中構成ボックス(11)に供給され、前記単一の集中構成ボックス(11)は、
前記受信用キャビンデバイス(E1~E4)によって
リソース(211~213)のデータを導き、非光データを光信号に変換し、次に波長を前記光信号に振り分けて、それらを、多重化、ならびに
前記受信用キャビンデバイス(E1~E4)に応じた優先順位、及び/または
リソースと所与のリソースとのためのデバイスに応じたリソース(211~213)のパラメータ化によって分配し、それによって、少なくとも1つの光分配ネットワーク(20~22)の経路(2、2a、2’a、2b)において、光信号のこれら多重化されたストリーム(F1)を、中間インターフェース(30、40)を介して利用部の
前記受信用キャビンデバイス(E1~E4)に送信し、前記中間インターフェース(30、40)は、光信号の波長を管理し、それらを必要に応じて
前記受信用キャビンデバイス(E1~E4)に適合された信号に再変換することを特徴とし、
前記管理方法は、データの送信が、各インターフェース(30、40)において逆にされた処理に従って、前記キャビン(100)のデバイス(E1~E4)から関連の
リソース(210、211~213)へ、前記中間インターフェース(30、40)を介して、関連の前記リソース(211~213)、前記光分配ネットワーク(20~22)、及び次に関連の前記リソース(211~213)に送信する集中構成インターフェース(11)に応じて、逆の所謂上方向に行われることを特徴とする、管理方法。
【請求項2】
前記中間インターフェース(30、40)は、前記キャビンシステムの
デバイス(E3、E4)、及び/または
通信システムの
デバイス(E2)に接続される、請求項1に記載の管理方法。
【請求項3】
前記中間インターフェース(30、40)は、少なくとも1つの切断インターフェース(30)を備え、前記切断インターフェース(30)は、
前記視聴覚送信システムのデバイス(E1)と、
前記視聴覚送信システムのデバイス(E1)に隣接して位置された外部通信(E2)に対する前記システムの前記デバイスと、にリンクさせるための連係インターフェース(40)に連結され、前記連係インターフェース(40)は、光/電気変換の両方向、ならびに波長の割り振り及びデータストリーム(F1~F2)の分配による管理を保証する、請求項1または2に記載の管理方法。
【請求項4】
前記波長の振り分けは、前記キャビン(100)における前記デバイス(E1~E4)の位置付け、前記キャビン(100)の物理的制約、ならびにクラス及び/またはセキュリティのレベルに関する光ストリーム(F1~F2)のタイプに関する機能的サービス特性、に応じて実施される、請求項1~3のうちいずれか一項に記載の管理方法。
【請求項5】
前記アーキテクチャ(10a~10f)は、
前記視聴覚送信システムのデバイス(E1)、
前記外部通信システムのデバイス(E2、E3)、及び/または前記キャビン(100)の技術的命令/制御(E4)のためのデバイスの、設定中及び/または取り外し中に、集中構成インターフェース(11)に適用されるデジタル処理によって再構成される、請求項1~4のうちいずれか一項に記載の管理方法。
【請求項6】
少なくとも前記集中構成インターフェースを組み込んだ、冗長化アーキテクチャは、前
記規格化されたアーキテクチャ(10a~10f)の前記集中構成インターフェース(11)と同一の構成に従って展開される、請求項1~5のうちいずれか一項に記載の管理方法。
【請求項7】
前記光分配ネットワーク(20~22)は、前記光分配ネットワーク(20~22)内の波長を多重化、及び/または多重分離化することによって、光ストリーム(F1、F2)を追加、及び/または分離することができる、請求項1~6のうちいずれか一項に記載の管理方法。
【請求項8】
前記データの送信は、同じ光経路(2、3)、または2つの別個の光経路(2a、2’a、2b)のいずれかで、下方向及び上方向で実施される、請求項1~7のうちいずれか一項に記載の管理方法。
【請求項9】
乗客用座席(110)が装備されたキャビン(100)を組み込んだ、輸送手段の機内に埋め込まれたデータ管理構造(1a~1f)であって、視聴覚送信システム、前記キャビン(100)からの外部通信のためのシステム、及び/またはキャビンシステム、を備えるシステムの中央ユニット(211~213)を組み込んだデータリソースブロック(210)と、データを光信号に変換するための手段を介して、前記キャビン(100)でデータストリーム(10a~10f)を分配するための規格化されたアーキテクチャと、前記システムを利用するためのキャビンデバイス(E1~E4)と、を備え、
前記データ管理構造は、前記規格化されたアーキテクチャ(10a~10f)が、一方では前記データリソースブロック(210)を伴うベース信号、他方では少なくとも1つの光ネットワークファイバ(2、3、2a、2b)において前記キャビン(100)の
受信用キャビンデバイス(E1~E4)を伴う光信号の、双方向送信のための集中構成ボックス(11)を備えることを特徴とし、
前記データ管理構造は、前記集中構成ボックス(11)が、前記ベース信号を切り替えること、
前記受信用キャビンデバイス(E1~E4)への伝達のために、前記ベース信号を光信号へ双方向変換すること、ならびに、
前記受信用キャビンデバイス(E1~E4)及び/または、
リソース及び所与のリソースのための
前記受信用キャビンデバイスによるリソース(211~213)に応じた優先順位のパラメータ化によって波長を振り分け、下方(F1)と上方(F2)との光ストリームの分配によって、これらの光信号を管理すること、を特徴とし、
前記データ管理構造は、前記集中構成ボックス(11)が、リンクされるデバイスに応じて少なくともいくつかの処理ユニット(111~113)も組み込んだ中間ボックス(11)を介して、前記システムの
前記受信用キャビンデバイス(E1~E4)にリンクさせることを特徴とする、管理構造。
【請求項10】
前記集中構成ボックス(11)と前記データリソースブロック(210)との間の前記ベース信号は、電気信号、RF信号、及び光信号の中から選択される、請求項9に記載の管理構造。
【請求項11】
前記中間ボックスは、光/電気信号(112)を処理するため、ならびに/または切り替える(111)ため、ならびに/または通信システムのデバイス(E2~E4)及び/もしくはキャビンシステムと共に応じて波長(113)を割り振ることによる管理のため、のユニット(111~113)を組み込んだ、少なくとも1つの切断ボックス(30)から成る、請求項10に記載の管理構造。
【請求項12】
各切断ボックス(30)は、視聴覚送信システムのデバイス(E1)と、光/電気変換及び波長の割り振りの管理のためのユニット(112、113)を施されたインターフェースボックス(40)を介して、前記乗客用座席(110)に隣接した通信システムのデバイス(E2)と、にリンクされる、請求項11に記載の管理構造。
【請求項13】
前記ベース信号は電気信号であり、前記中間ボックスは、電気/光変換、及び波長を割
り振ることによる管理のためのユニット(112、113)を組み込んだインターフェースボックス(40)から成り、各インターフェースボックス(40)は、前記視聴覚送信システム、及び前記乗客用座席(110)に隣接した通信システムのデバイス(E1、E2)にリンクされる、請求項9に記載の管理構造。
【請求項14】
前記乗客用座席(110)は、信号のエミッタ/レシーバによって、対応する前記インターフェースボックス(40)に接続される、請求項13に記載の管理構造。
【請求項15】
前記インターフェースボックス(40)は、物理的制約、機能的要求、及び設計選択に応じ、チェーン構成(B2)、バス構成、リング状構成、及び星状構成から選択された構成に従い、請求項12に記載のように、互いに、かつ切断ボックス(30)にリンクされる、請求項13及び14に記載の管理構造。
【請求項16】
前記切断ボックス(30)による前記インターフェースボックス(40)への信号の分配は、チェーン構成(B2)の場合の連続的伝達によるコピーオーバと、星状構成の場合の光分離器による選択的伝達と、の中から選択された技術によって実施される、請求項15に記載の管理構造。
【請求項17】
各インターフェースボックス(40)は、電気信号をいくつかの乗客用座席(110)に送信し、
通信システムのデバイス(E1、E2)への下方信号を電気信号に変換し、
前記通信システムのデバイス(E1、E2)からの上方信号を光信号に変換するためのユニット(112)と、少なくとも1つの光ファイバ(3、2’a、2b)に出入りするそれぞれの光信号を投入して回収するためのOADM多重化装置を組み込んで、波長(113)を割り振ることによって管理するためのユニットと、を備える、請求項13~16のうちいずれか一項に記載の管理構造。
【請求項18】
各インターフェースボックス(40)の波長を振り分けることによって管理する
ユニット(113)は、光信号を投入して抽出するための、所謂ROADM再構成可能OADM多重化装置を組み込む、請求項17に記載の管理構造。
【請求項19】
前記波長の割り振りは、システムのタイプ、各切断ボックス(30)の関連付け、1つの同じ前記切断ボックス(30)にリンクされた前記インターフェースボックス(40)の関連付け、クラスに応じた
前記通信システムのデバイス(E1、E2)の位置、ならびに/または前記インターフェースボックス(40)と前記集中構成ボックスとの間の下方(F1)及び上方(F2)ストリームのタイプ、によって選択される分配に従ってパラメータ化される、請求項13~18のうちいずれか一項に記載の管理構造。
【請求項20】
前記波長の割り振りを配分することは、前記インターフェースボックス(40)と前記集中構成ボックス(11)との間のデータストリームにおける、上方(F1)及び下方(F2)の方向と同一である、請求項13~19のうちいずれか一項に記載の管理構造。
【請求項21】
前記中間ボックスは、
前記視聴覚送信システム、通信システム、及び/またはキャビンシステムを併せた、
前記受信用キャビンデバイス(E1~E4)に応じた波長の割り振りを、切り替え(111)、かつ管理(113)するためのユニットを共に組み込んだ、少なくとも1つの切断ボックス(30)から成り、各切断ボックス(30)は、キャビンシステムの
デバイス(E3)、及び前記キャビン(100)内に位置された通信システムのデバイス(E4)に直接連結され、かつ前記視聴覚送信システムの
デバイス(E1)、及び前記乗客用座席(110)に隣接した前記通信システムのデバイス(E2)に、光/電気変換(112)及び波長の割り振りによる管理(113)のためのユニットを施されたインターフェースボックス(40)を介して連結される、請求項13~20のうちいずれか一項に記載の管理構造。
【請求項22】
前記波長の振り分けが前記インターフェースボックス(40)から独立している場合、前記インターフェースボックス(40)へのアクセスを制御する手段は、障害の危険を避けるために、時分割多重方式すなわちTDM、トークンパッシング方式、及びポーリングタイプの同期サンプリング方式、の中から提供かつ選択される、請求項13~21のうちいずれか一項に記載の管理構造。
【請求項23】
各切り替えユニット(111)は、
前記受信用キャビンデバイス(E1~E4)に応じて前記集中構成ボックス(11)によって作動されるリソースデータスイッチを備える、請求項9~22のうちいずれか一項に記載の管理構造。
【請求項24】
各切り替えユニット(111)は、優先順位を管理するための手段を組み込む、請求項9~23のうちいずれか一項に記載の管理構造。
【請求項25】
各電気/光変換ユニット(112)は、電子-光のエミッタ-レシーバ、すなわちトランシーバを組み込み、前記トランシーバは前記リソース(211~213)に応じて、データの特定のアダプタに連結される、請求項11~24のうちいずれか一項に記載の管理構造。
【請求項26】
波長の割り振り、及び下方(F1)と上方(F2)との光ストリームの分配による管理のための各ユニット(113)は、波長分割多重化装置WDM、密集波長分割多重化装置DWDM、粗波長分割多重化装置CWDM、及び超密集波長分割多重化装置UDWDMの中から選択される多重化による配分のためのネットワークを備える、請求項9~25のうちいずれか一項に記載の管理構造。
【請求項27】
波長の割り振り、及び下方(F1)と上方(F2)との光ストリームの分配による管理のための各ユニット(113)は、波長分割多重化装置OTMに連結され、かつ光信号の波長の端末多重化装置、光ネットワークから生じる信号の光波長多重分離装置OWD、特定の波長で光信号を投入するため及び対応するデバイスの受信波長で光信号を抽出するためのOADM多重化装置、及び/またはOXCと称される、特定ポートへの波長の光コネクタ、の中から選択された、光信号の特定の管理のための手段も組み込む、請求項9~26のうちいずれか一項に記載の管理構造。
【請求項28】
前記下方(F1)と上方(F2)との光ストリームは、少なくとも1つの光ファイバ(2、3)で共に、または少なくとも2本の光ファイバ(2a、2’a、2b)で分離して、のいずれかで運ばれ、前記光ファイバはシングルモード及び/またはマルチモードである、請求項9~27のうちいずれか一項に記載の管理構造。
【請求項29】
輸送構造は航空機であり、
データリソース(211~213)は、
前記キャビン(100)、特にアビオニクス装置のベイ(200)に隣接する航空機内に位置される、請求項9~28のうちいずれか一項に記載の管理構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客輸送用キャビン、特に航空機の乗客用キャビンにおけるデータ管理のための方法、ならびに、この方法を実施できる規格化された光ネットワークアーキテクチャを組み込んだ、データ管理構造に関する。
【0002】
このアーキテクチャは、キャビンまたは他の輸送構造のモジュール性を促進させるのを可能にし、それによって継続的なキャビンの再装備における再構成を容易にし、その一方でこのアーキテクチャを保存し、それが次にはデータの送信の規格を残すので、アーキテクチャは「規格化された」と称される。本発明は、特に民間航空の商用乗客輸送飛行機、及び本方法を実施するためのアーキテクチャが装備された航空機に、適用される。
【0003】
本発明の技術分野は、ネットワークによる、乗客用キャビンのデバイスへのデータ送信の管理に関し、それらは、輸送上クリティカルなキャビンシステム(航空機の空気加圧システムのポンプ、エアコンシステムの圧縮機、一般照明、検出器、アクチュエータなど)の制御及び/もしくは命令のための技術的デバイス、または特に航空輸送の場合におけるフライトのための非クリティカルなキャビンシステムの技術的デバイス(キッチンまたは従来の用語で「ギャレー」、換気装置、個々の照明など)、または個人的な電子デバイスもしくはPED、視聴覚システム(例えばカメラまたは録音機など外部環境、特に航空機用の従来の用語「In Flight Entertainment」の略称であるIFEエンターテインメントシステムからの、画像及び/もしくは音響を乗客に送信するためのシステム)の外部通信(インターネット、WIFI(登録商標)、LIFIなど)のための他のシステム、またはキャビンの技術的デバイス、のいずれかである。
【0004】
本発明は、特に航空機の乗客用キャビンに適用されるが、自動車車両、海上輸送、鉄道輸送など、任意の輸送車両の中に埋め込まれたデータネットワークにも適用される。
【背景技術】
【0005】
輸送における現在の傾向は、乗客の個人用デバイスと同じくらい多くの、輸送の技術的デバイス専用のデータを管理するための、増え続ける数の電子システムを埋め込むよう進んでいる。特に航空輸送において、(インターネット、ビデオオンデマンド、電話連絡などの)接続を保とうという乗客の要望は、常に切迫している。さらに、空間内の乗客の孤立は、この要望を増加させる一因となっている。
【0006】
現在のデータ管理は、データを供給するデバイスと、これらデータを利用するためのシステムとの間の、ローカルダイレクトリンクの拡散を介して個別的に確保される。しかし、リンクの拡散は、PED(スマートフォン、タブレット、カメラ、ラップトップコンピュータ、バーチャルリアリティヘッドセットなど)の数及び多様性が大幅に増加する一方で、乗客によって継続的に使用され得る個人の電子デバイスの数量を制限する。
【0007】
これらのリンクの拡散の別の影響は、機内配線の重量及び複雑さが大幅に増加することである。この影響は、航空機が複合材料で作られたベース構造(機体など)を多く使用するので、重い金属デバイスが、稲妻及び所謂EMI電磁障害に関する影響を中和するために必要となる、という事実によって増大する。
【0008】
したがって、配線の大量使用、及び機内、特に航空機の乗客用キャビンにおけるビット伝送速度の要求が増すことにより、軽量で、EMIタイプの障害の影響を受けない高性能通信技術の設定が必要となる。
【0009】
従来技術の書類は、データを送信するために、飛行機のキャビン内において光ファイバの使用を報告している。例えば、米国特許出願公開第2010/0139948号明細書、米国特許出願公開第2005/0247820号明細書、米国特許出願公開第2005/0258676号明細書、及び米国特許出願公開第2012/0141066号明細書を引用することが可能である。しかし、これらの書類において開発されたソリューションは、航空機の乗客用キャビン内における電気ケーブルまたは同様に光ファイバの設定専用の、最適化された方法が記載されている。光経路によるデータの管理、及び分配のための全体的なアーキテクチャは、これらの書類には記載されていない。
【0010】
さらに、従来技術のソリューションは、乗客用キャビンの再装備に順応し得る規格化されたアーキテクチャ、特により複雑なセキュリティ規範と互換可能な、規格化されたアーキテクチャを提供していない。そのため全体的に、かなりの保全時間及び固定化サイクルを伴う、各キャビンの再構成における新規のアーキテクチャの設計及び実現が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許出願公開第2010/0139948号明細書
【文献】米国特許出願公開第2005/0247820号明細書
【文献】米国特許出願公開第2005/0258676号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0141066号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
対照的に、本発明は、許される範囲で軽量な、EMIタイプの障害の影響を受けない高性能のデータ通信を目的とし、キャビンの再装備に順応できる。したがって、本発明は、データ供給者と、データを利用及び/または供給するデバイスとの間の送信が行き渡るよう、パラメータ化可能な優先順位に応じて、これらのデバイスに受け渡されるデータの光分配を介して構築された、データの双方向分配を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
より正確には、本発明の対象は、視聴覚送信システム、キャビンからの外部通信システム及び/もしくはキャビンシステムを備える「システム」部のデータリソースと、データの光信号への変換を介した受信用キャビンのデバイスから成るこれらのデータの「利用」部との間で、データストリームを分配するための規格化されたアーキテクチャが装備された、乗客用キャビンにおけるデータ管理の方法である。この管理方法は、システム部のうちの少なくとも1つのシステムによって、単一の集中構成インターフェースに供給されたデータの送信、所謂下方向から成る。この集中構成インターフェースは、受信用デバイスによるリソースのデータを導き、非光データを光信号に変換し、次に波長を光信号に割り振って、それらを多重化、ならびに受信用デバイスに応じた優先順位のパラメータ化、及び/またはリソース及び所与のリソースのデバイスに応じたリソースによって、分配する。それによって、光信号のこれらの多重化されたストリームを、少なくとも1つの光分配ネットワークの経路で、中間インターフェースを介して利用部の受信用デバイスへ送信する。この中間インターフェースは、光信号の波長を管理し、それらを必要に応じて、デバイスに適合する信号に再変換する。データの送信は、各インターフェースにおける逆の処理に従い、キャビンのデバイスから関連のリソースへ、関連のリソースに応じた中間インターフェースと、光分配ネットワークと、次に関連のリソースに送信する集中構成インターフェースとを介して、逆の所謂上方向にも行われる。
【0014】
これらの条件下において、光分配ネットワークは、軽量で、簡略化され、耐久性があり、かつ規格化された高性能アーキテクチャを可能にし、それは、システム部と利用部との間の機能及びプロトコルから独立している。さらに、キャビン全体に沿って設定される大量の相互接続配線を回避し、それによって再装備中に大幅な時間の節約を実現して、セキュリティ(ファイバ上でのデータ交換におけるコンピュータセキュリティ、EMIタイプの障害に対する非感応性、など)を改善することを可能にする。
【0015】
さらに、この方法はいくつかの光ネットワークを使用し、視聴覚システム、通信システム、及びキャビンシステムの中のシステムにおいて、所要の数のカテゴリのために最適化されたいくつかの光ネットワークを適用することによって、実施条件(物理的制約、機能的要求、性能及び予想されるビット伝送速度、キャビン設計の選択など)に適合される。すなわち、システムの1つのカテゴリに対して1つのネットワーク、2つのカテゴリに対して1つまたは2つのネットワーク、及び、3つのシステムのカテゴリに対して1つ、2つ、または3つのネットワークを適用する。
【0016】
波長の割り振り、及び光信号の分配は、プレミアムまたはスタンダードのクラスレベル(すなわちサービスのレベル、デバイスのレベル、及び設備のレベル)に応じて、リソースに対する光ストリームとIFEタイプの視聴覚送信、及び通信(PEDなど)に対するデバイスに応じて、ならびに、リソースのクリティカルなストリームまたは非クリティカルなストリームと、キャビンシステムの技術的デバイスとの間の区別によって行われる。
【0017】
特定のモードによると、この方法は、
-中間インターフェースが、キャビンシステムのデバイス、及び/または通信システムのデバイスに接続されることと、
-中間インターフェースは少なくとも1つの切断インターフェースを備え、この切断インターフェースは、視聴覚システムのデバイス、及び視聴覚システムのデバイスに隣接して位置された外部通信に対するシステムのデバイスにリンクさせるための連係インターフェースに連結され、この連係インターフェースは、光/電気変換の両方向、ならびに波長の割り振り及びデータの分配による管理を保証することと、
-波長の割り振りは、キャビン内のデバイスの位置付け、キャビンの物理的制約、ならびに、例えば光ストリームのプレミアムもしくはスタンダードレベル、または、リソースのクリティカルもしくは非クリティカルとキャビンシステムの技術的デバイスとの間の区別である、クラス及び/もしくはセキュリティのレベルに関する光ストリームのタイプに関連する、機能的サービス特性に応じて実施されることと、
-アーキテクチャは、視聴覚デバイス、通信デバイス、及び/またはキャビンの技術的命令/制御のためのデバイスの、設定中及び/または取り外し中に、集中構成インターフェースに適用されるデジタル処理によって再構成されることと、
-少なくとも集中構成インターフェースを組み込んだ、冗長化アーキテクチャは、規格化されたアーキテクチャの集中構成インターフェースと同一の構成に従って展開され、それによって物理的劣化の制約を回避し、光分配ネットワーク内の考えられる欠陥を警告して、任意で、冗長化アーキテクチャはデバイスへの接続のための中間インターフェースも組み込むことと、
-光分配ネットワークは、このネットワーク内の波長を多重化、及び/または多重分離化することによって、光ストリームを追加及び/または分離することができることと、
-データの送信は、同じ光経路か、または2つの別個の光経路のいずれかで、上方向及び下方向で実施されることと
を提供できる。
【0018】
本発明は、乗客用座席が装備されたキャビンを組み込んだ輸送手段の機内に埋め込まれた、データ管理構造にも関する。この構造は、視聴覚送信システム、キャビンから外部通信のためのシステム及び/またはキャビンシステムを備えるシステムの中央ユニットを組み込んだ、データリソースブロックと、キャビン内でデータストリームを分配するための規格化されたアーキテクチャと、それらのシステムを利用するためのキャビンデバイスと、を備える。この構造において、規格化されたアーキテクチャは、一方ではデータリソースブロックを伴うベース信号、他方では少なくとも1つのネットワークファイバ上のキャビンのデバイスを伴う光信号の、双方向伝達のための、集中構成ボックスを備える。この集中構成ボックスは、ベース信号と、デバイスへ伝達するためのベース信号の光信号への双方向変換と、波長を割り振ること及び下方と上方との光ストリームの分配によるこれらの光信号の管理と、を切り替えることによって処理するためのユニットを組み込む。この集中構成ボックスは、処理ユニットのうちの少なくともいくつかを、リンクされるデバイスに応じて組み込んだ中間ボックスを介して、これらのシステムのデバイスにリンクされる。
【0019】
好ましい実施形態において、
-集中構成ボックスとデータリソースブロックとの間のベース信号は、電気信号、RF信号、及び光信号の中から選択される。
-中間ボックスは、光/電気信号を変換するためのユニット、ならびに/または、通信システム及び/もしくはキャビンシステムを併せたデバイスに応じて、波長を割り振ることによって、切り替え及び/もしくは管理するためのユニット、を組み込んだ少なくとも1つの切断ボックスから成る。
-各切断ボックスは、視聴覚送信システムのデバイスと、光/電気変換及び波長の割り振りの管理のためのユニットを施されたインターフェースボックスを介して、乗客用座席に隣接した通信システムのデバイスと、にリンクされる。
-ベース信号は電気信号であり、中間ボックスは、電気/光変換、及び波長を割り振ることによる管理のためのユニットを組み込んだインターフェースボックスから成り、各インターフェースボックスは、視聴覚送信システム、及び乗客用座席に隣接した通信システムのデバイスに、リンクされる。
-これらの座席は、信号のエミッタ/レシーバによって対応するインターフェースボックスに接続される。
-インターフェースボックスは、互いにリンクされ、かつチェーン構成、バス構成、リング状構成、及び星状構成から選択された構成による切断ボックスに、物理的制約、機能的要求、及び設計選択に応じてリンクされる。
-切断ボックスによるインターフェースボックスへの信号の分配は、チェーン構成の場合の連続的伝達によるコピーオーバと、星状構成の場合の光分離器による選択的伝達と、の中から選択された技術によって、実施される。
-各インターフェースボックスは、電気信号をいくつかの乗客用座席に送信し、デバイスへの下方信号を電気信号に変換し、デバイスからの上方信号を光信号に変換するためのユニットと、少なくとも1つの光ファイバに入って出る、それぞれの光信号を投入して回収するためのOADM多重化装置を組み込んで波長を割り振ることによって管理するためのユニットと、を備える。
-各インターフェースボックスの波長を振り分けることによって管理するユニットは、光信号を投入して抽出するための、所謂ROADM再構成OADM多重化装置を組み入れる。
-波長の割り振りは、システムのタイプ、各切断ボックスの関連付け、1つの同じ切断ボックスにリンクされたインターフェースボックスの関連付け、クラスに応じたデバイスの位置、ならびに/またはインターフェースボックスと集中構成ボックスとの間の下方及び上方ストリームのタイプ、によって選択され得る分配に従って、パラメータ化することができる。
-波長の割り振りを配分することは、インターフェースボックスと集中構成ボックスとの間のデータストリームにおける上方向及び下方向と同一である。
-中間ボックスは、視聴覚システム、通信システム、及び/またはキャビンシステムを併せたデバイスに応じて、波長の割り振りを切り替え、かつ管理するためのユニットを組み込んだ、少なくとも1つの切断ボックスから成り、各切断ボックスは、キャビンシステムのデバイス、及びキャビン内に位置された通信システムのデバイスに直接連結され、かつ視聴覚送信システムのデバイス、及び乗客用座席に隣接した通信システムのデバイスに、光/電気変換及び波長の割り振りによる管理のためのユニットを施されたインターフェースボックスを介して、連結される。
-波長の振り分けがインターフェースボックスから独立している場合、これらのボックスへのアクセスを制御する手段は、障害の危険を避けるために、時分割多重方式すなわちTDM、トークンパッシング方式、及びポーリングタイプの同期サンプリング方式の中から、提供かつ選択される。
-各切り替えユニットは、受信用デバイスに応じた集中構成ボックスによって作動される、リソースデータのステアリング接触器(従来の用語では「スイッチ」)を備える。
-各切り替えユニットは、優先順位を管理するための手段を組み込む。
-各電気/光変換ユニットは、電子-光のエミッタ-レシーバ(従来の用語では「トランシーバ」)を組み込み、これらのトランシーバは、リソースに応じたデータの特定のアダプタに連結させることができる。
-波長の割り振り、及び下方と上方との光ストリームの分配による管理のための各ユニットは、波長分割多重化装置(すなわちWDM)、密集波長分割多重化装置(すなわち、「dense wavelength division multiplexer」の略称であるDWDM)、粗波長分割多重化装置(すなわち、「coarse wavelength division multiplexer」の略称であるCWDM)、及び超密集波長分割多重化装置(すなわち「ultra-dense wavelength division multiplexer」の略称であるUDWDM)の中から選択される多重化装置によって配分するための、ネットワークを備える。
-波長の配分、及び下方と上方との光ストリームの分配による管理のための各ユニットは、波長分割多重化装置に連結され、光信号の波長の末端多重化装置すなわちOTM、光ネットワークから生じる信号の光波長の多重分離装置すなわちOWD、ある波長で光信号を投入するため、及び光信号を対応するデバイスの受信波長で抽出するための多重化装置すなわちOADM、ならびに/または特定のポートへの波長の光コネクタすなわちOXC(OTM、OWD、OADM、及びOXCはそれぞれ、従来の用語である「optical terminal multiplexer」、「optical wavelength demultiplexer」、「optical add and drop multiplexer」、「optical cross connect」の略称である)から選択される、光信号の特定の管理のための手段も組み込む。
-下方及び上方の光ストリームは、少なくとも1本の光ファイバで共に、または少なくとも2本の光ファイバに分けられて運ばれるが、これは、冗長化、さらなる展開、ビット伝送速度、または性能が理由であり、光ファイバはシングルモード及び/またはマルチモードとすることができる。
-輸送構造は航空機であり、データリソースは、航空機の乗客用キャビンに隣接した、特にアビオニクス装置のベイに位置される。
【0020】
本発明の他のデータ、特性、及び利点は、添付の図を参照して、以下の非限定の説明を読むことで明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】IFEシステム、通信システム、及びキャビンシステムのデバイス用の、航空機の乗客用キャビンに埋め込まれた例示的なデータ管理構造の、ブロック図である。
【
図2】
図1の例示的な構造を再使用した、IFEシステムのデバイス及び通信システム専用のブロック図である。
【
図3】2本の光ファイバで下方及び上方の光ストリームを分離した、
図2のブロック図の別形である。
【
図4】ビット伝送速度及び帯域幅の点で、各座席の要望に応じた適合を可能にする、切断ボックスを省略した
図2のブロック図の別形である。
【
図5】2本の光ファイバで下方及び上方の光ストリームを分離した、
図4のブロック図の別形である。
【
図6】インターフェースボックスを省略した、キャビンシステムの技術的デバイス専用の、
図1のブロック図の別形である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明において、同一の参照記号は、1つの同じの要素、または同じ機能を有する類似の要素に関係し、説明するテキストの引用部分を指す。
【0023】
図1のブロック図は、乗客領域120に座席110が装備された乗客用キャビン100、及びアビオニクス装置のベイ200を組み込んだ航空機に埋め込まれた、例示的なデータ管理構造1aを示す。構造1aは、アビオニクス装置のベイ200に、データリソースブロック210を備える。データリソースブロック210は、3つの中央ユニット211~213、すなわちIFE送信システムの中央ユニット211、キャビン100とキャビンの外部との間の通信システム(例ではインターネット、WIFI)の中央ユニット212、及びフライトクリティカルまたはフライト非クリティカルな技術的デバイスを伴うキャビンシステムの中央ユニット213、を組み込む。
【0024】
構造1aは、キャビン100のデバイスを出入りする、下方ストリームF1及び上方ストリームのデータを分配するための、規格化されたアーキテクチャも備える。下方ストリームF1が、中央ユニット211~213から発信されたデータを利用すること、及び上方ストリームF2が、デバイスから中央ユニット211~213へデータを伝達することを可能にする。これらのデバイスは、キャビン100内で分散される。すなわち、乗客領域120の座席110に組み込まれたIFEシステムの端末E1、これらの座席110に隣接して位置付けられた、乗客のPEDデバイスE2(中央ユニット211及び212によってそれぞれ管理される、端末のE1及びPEDのE2の通信)、ならびに、この例示的な実施形態においては乗客領域120の外側である位置130における、中央ユニット213によって管理されるキャビンシステムの、クリティカル及び非クリティカルの技術的デバイスE3(ポンプのアクチュエータ、温度または圧力検出器、デコーディング/エンコーディングユニット、ギャレーのための調理設備など)、ならびにキャビン100内に位置されて通信システム212の中央ユニットによって管理される通信システムのデバイスE4である。
【0025】
下方データストリームF1の分配は、規格化されたアーキテクチャ10aの集中構成ボックス11によって生成される。ボックス11は双方向伝達に従って、一方ではリソースブロック210の中央ユニット211~213と電気信号を通信し(両矢印F10)、他方では、集中構成ボックス11の光ネットワーク20の1次ループB1を形成する光ファイバ2を介して、キャビン100のデバイスと光信号を通信する。光ネットワーク20は、様々な実施形態によって、キャビン100の天井及び/または床に組み込まれる。
【0026】
このような集中構成ボックス11は、信号111~113のための処理ユニットを組み込む。すなわち、リソースブロック210によって生成された電気信号をデバイスE1~E4に応じて導くための切り替えユニット111、切り替えられた電気信号210を光信号に双方向変換するためのユニット112、ならびに、ネットワーク20における波長に割り振り、及び下方光ストリームF1と上方光ストリームF2とに分配するためのパラメータを介して光信号を管理するための管理ユニット113である。
【0027】
切り替えは、集中構成ボックス11によって作動されるスイッチ(図示せず)によって有利に調整される。集中構成ボックス11は、以下で説明する全ての切り替えユニット111のスイッチも管理する。これらのスイッチは、多重化ネットワーク(以下で特定)によって、物理アドレスまたは別形において論理アドレス信号もしくはポート番号によって特徴付けられた信号の行先に応じて、信号の最適なステアリングを可能にする。
【0028】
集中構成ボックス11は、IFEシステム、通信システム、及びキャビンシステムのE1~E4デバイスに、直列で取り付けられた中間ボックス、示された例においては光ネットワーク20の切断ボックス30を介して、リンクされる。光ネットワーク20は、切断ボックス30を介して1次ループ20に連結された、単一の光ファイバ3を伴う2次チェーンループB2を備える。これら2次ループB2において、接続インターフェースボックス40は、キャビン領域120のデバイスE1及びE2に連結される(両矢印F20)。
【0029】
したがって、切断ボックス30は、電気配線(両矢印F40)を介してキャビン位置130のデバイスE3、E4に、及びインターフェースボックス40を介して乗客領域120のデバイスE1、E2に、電気的に連結される。
【0030】
次に各切断ボックス30は、切断ボックス30に直列でループ状(従来の用語では「デイジーチェーン」)に取り付けられた、いくつか(例では3つ)のインターフェースボックス40にリンクされる。各インターフェースボックス40は、1列の座席12、または別形の実施形態として、数列の座席12に電気的に連結される。代替として、大きさの制限、機能的要求、または設計選択に応じて、インターフェースボックス40は、バス、リング状、または星状に接続させることができる。切断ボックス30によるインターフェースボックス40への信号の分配は、チェーン構成の場合の連続的伝達によるコピーオーバにより、または星状構成の場合の光分離器による選択的送信によって、実施される。
【0031】
これら切断ボックス30の各々は、デバイスE3、及びE4によって生成された電気信号を切り替えるためのユニット111、切り替えられた電気信号を光信号に双方向変換するためのユニット112、ならびに、ネットワーク20における波長の中への割り振り、及び光ストリームの中への分配によって光信号を管理するためのユニット113、を組み込む。
【0032】
さらに、この例示的な実施形態において、各インターフェースボックス40は、電気信号を光信号に双方向変換するためのユニット112、ならびに、ネットワーク20における波長の割り振り、及び光ストリームの分配によって光信号を管理するためのユニット113も組み込む。波長の割り振りがインターフェースボックス40から独立して配分される場合、いくつかのインターフェースボックス40は、1つの同じ波長で信号を発信または受信する場合がある。このような障害の危険を避けるために、これらのインターフェース40へのアクセスを制御するための手段が、有利に展開される。このようなアクセス制御手段は、分割多重方式すなわちTDM、トークンパッシング方式、及びポーリングタイプの同期サンプリング方式の中から選択される。
【0033】
有利には、各切り替えユニット111は、例えば技術的デバイスE3に送信され、次に通信システムのデバイスE4及びE2に送信され、最後にIFEシステムのデバイスE1に送信される信号の優先順位を付けることによって、様々なデバイスE1~E4に応じた優先順位の管理のためのプロトコルを組み込む。さらに、各電気/光の双方向変換ユニット112は、リソースブロック210のデータシステムのタイプに応じたデータの特定のアダプタ、すなわちこの例におけるIFEシステム、通信システム、及びキャビンシステムに連結された、電子-光のエミッタ-レシーバ(従来の用語で「トランシーバ」)を有利に組み込む。
【0034】
波長の割り振りに関し、波長の割り振り、ならびに「デバイスE1~E4へ向かう集中構成ボックス11」における下方光ストリームF1方向及び反対の上方光ストリームF2方向の分配、によって管理するための各ユニット113は、WDMと称される波長分割多重化装置を備える。代替として、性能、ビット伝送速度及びアドレス付け要求、ならびに物理的制約に応じて、DWDMと称される密集波長分割多重化装置、CWDMと称される粗波長分割多重化装置、またはUDWDMと称される超密集波長分割多重化装置が、有利に使用され得る。
【0035】
有利には、各管理ユニット113は、光信号の特定の管理多重化装置も組み込み、それは、この例示的な実施形態ではOTMと称される光信号の波長の端末多重化装置である、波長分割多重化装置に連結される。代替または組み合わせとして、OWDと称される、光ネットワーク20から生じる信号の光波長多重分離装置、OADMと称される、特定の波長で光信号を投入するため及び対応するデバイスの受信波長で光信号を抽出するための多重化装置、ならびに/またはOXCと称される、特定のポートへの波長の光コネクタ、を組み込むことができる。
【0036】
波長の分配は、システム(IFEシステム、通信システム、及びキャビンシステム)に従って提供されるサービスのタイプによって、有利にパラメータ化される。簡略化のため、波長の配分は、インターフェースボックス40と変換構成ボックス11との間の、上方向F1及び下方向F2の通信ストリームと同一であるが、上方向及び下方向を適切に区別するために、配分の計画は、別形の実施形態によると、これら2方向は異なってよい。この例において、1270~1370nmの帯域における波長は、20nm毎に配分される。
【0037】
代替として、配分パラメータは、切断ボックス30、及び1つの同じ切断ボックス30にリンクされたインターフェースボックス40に応じて、プレミアムまたはスタンダードクラスに応じたデバイスE1~E4の位置、ならびに/または、1つの同じ切断ボックス30にリンクされたインターフェースボックス40と、変換構成ボックス11との間の下方F1及び上方F2ストリームのタイプによって選択され得る。
【0038】
アーキテクチャ10aは、集中構成ボックス11と技術的デバイスE3との間の光ネットワーク20で運ばれた、データのクリティカルまたは非クリティカルの性質を、有利に考慮に入れる。したがって、フライト条件にクリティカルな技術的デバイスE3のために意図されるクリティカルな信号は、AFDXと称されるアビオニクス全二重プロトコルによって運ばれ、その一方で非クリティカルな技術的デバイスE3のために意図される非クリティカルなデータは、イーサネット(登録商標)プロトコルで処理される。
【0039】
図2のブロック図は、簡略化したデータ管理構造1bを示し、上記の
図1aから例えば天井(
図6参照)における別の分配ネットワークによって管理されるキャビンシステムのデバイスE3を省いて再使用する。構造1bは、IFEシステムのデバイスE1、及び乗客領域120のデバイスE2、ならびにキャビン位置130の通信システムのデバイスE4を管理する。この場合、IFEシステム及び通信システムそれぞれの、リソースブロック210の2つの中央ユニット211及び212から生じるデータは、例示の実施形態ではキャビン100の床を通して、1つで同じ分配ネットワーク20のみを使用する。
【0040】
この簡略化した管理構造1bは、切断ボックス30が信号変換ユニットを欠いている規格化されたアーキテクチャ10aを再使用するアーキテクチャ10bを組み込む。なぜなら全ての変換は、この例ではインターフェースボックス40によって実施されるからである。代替として、管理構造1a(
図1参照)のように、切断ボックス30に変換ユニット112が装備される場合、これらの変換ユニットは組み込まれないか、または停止される。各切断ボックス30は、キャビンの再装備に対する通信システムの適合性を促進させるために、OADMまたはROADM多重化装置が装備された、管理ユニット113を組み込む。
【0041】
インターフェースボックス40は、同じ構成、すなわち、光/電気双方向変換ユニット112、及びOADM多重化装置を装備した管理ユニット113を再使用する。別形として、各インターフェースボックス40が独自の波長で動作する場合、座席に厳格にアドレス指定されたデータは、投入すなわちDROP機能及び追加すなわちADD機能を伴うROADM多重化装置によって回収される。ROADM多重化装置は、受信波長に関連付けられた信号のDROPをもたらすことによって、座席に厳格にアドレス指定されたデータを回収できる。ROADM多重化装置は、発信波長と関連付けられた信号のADD機能を実施することによって、座席のファイバによって送り出された信号も送信できる。設計の選択によって、発信波長及び受信波長は異なり得る。
【0042】
さらに、規格化されたアーキテクチャ10aにおいて、光ネットワーク20の各ファイバ2または3は、下方F1及び上方F2データストリームの全てのセットを運ぶ。
【0043】
簡略化したデータ管理構造1bの別形の実施形態1cを示す、
図3のブロック図におけるアーキテクチャ10cにおいて、下方F1及び上方F2データストリームは分離される。このアーキテクチャ10cにおいて、下方データストリームF1の輸送専用の下方ストリームファイバ2aは、集中構成ボックス11を、切断ボックス30及びインターフェースボックス40へ、バイパスファイバの延長2’aを介してリンクさせ、上方データストリームF2の搬送専用の上方ストリームファイバ2bは、インターフェースボックス40を、集中構成ボックス11へリンクさせる。
【0044】
別形において、いくつかの下方ストリームファイバ及び/または上方ストリームファイバは、性能要求、アドレス指定、または物理的制約に応じて使用され得る。
【0045】
図2の簡略化したデータ管理構造1bを再使用した、
図4のブロック図における管理構造1dのアーキテクチャ10dにおいて、切断ボックス30は、ビット伝送速度及び帯域幅の点で各座席の要求に直接順応するよう、取り除かれる。このアーキテクチャ10dにおいて、インターフェースボックス40は、ネットワークループB1を形成する光ファイバ2を介して、集中構成ボックス11に直接接続される。次に通信デバイスE4は、インターフェースボックス40への配線によって連結される。
【0046】
図5の管理構造1eにおけるアーキテクチャ10eによって示されるように、アーキテクチャ10dに基づいて、下方F1及び上方F2データストリームを分離することも可能である。このアーキテクチャ10eにおいて、下方データストリームF1の輸送専用の下方ストリームファイバ2aは、集中構成ボックス11を、直列かつ連続したインターフェースボックス40にリンクさせ、上方データストリームF2の輸送専用の上方ストリームファイバ2bは、インターフェースボックス40を直列かつ連続で、集中構成ボックス11へリンクさせる。ファイバ2a及び2bは、下方F1及び上方F2ストリームに分離された、光ネットワーク21を形成する。
【0047】
キャビンシステム(位置130)の技術的デバイスE3専用のアーキテクチャ10fは、管理構造1a(
図1参照)の集中構成ボックス11を伴い(両矢印F40)、
図6の管理構造1fのブロック図で示される。このアーキテクチャ10fにおいて、キャビンシステム213の中央ユニットから生じるデータの分配は、キャビンの天井を通してループされた光ネットワーク22を形成するファイバ4を介して行われる。ファイバ4は、直列で取り付けられた切断ボックス30にリンクし、デバイスE3は、エミッタ/レシーバ手段によってこれらのボックス30に連結される。処理されたデータの2つの主な一群は、技術的デバイスE3のクリティカルデータ及び非クリティカルデータであり、それぞれはクリティカル(アクチュエータ、検出器、デコーディング/エンコーディングユニット、光ユニット、ディスプレイ、お知らせなど)及び非クリティカル(ギャレー、照明、換気など)である。
【0048】
別形として、いくつかのファイバ4を並列に展開することが可能である。ファイバの合計本数は、主に、例えば集中構成ボックス11の波長分割多重化装置すなわちWDMによるアドレス付け能力、及び推奨される最大ビット伝送速度に依拠する。クリティカルデータは、例えばAFDXプロトコルによって支持され、非クリティカルデータはイーサネット(登録商標)によって支持され、ボックス11のAFDX及びイーサネット(登録商標)接触器によって導かれる。CANバスプロトコルも、例えば検出器のために、光/電気変換ユニット112(
図1参照)のレベルにおいてボックス11によって使用される。
【0049】
波長の管理及びストリームの分配は、例えばOTM、OWD、OADM、及び/またはROADM多重化装置の組み合わせによって、アーキテクチャ10aのフレームワーク内のみで処理される。
【0050】
クリティカルデータの管理を伴い、いくつかのファイバ4を有する冗長化分配アーキテクチャは、ネットワーク障害の場合に情報を確実に伝達するよう、展開される。
【0051】
本発明は、説明し表わした例に限定されない。アーキテクチャは、集中構成ボックス及び切断ボックスに適用されるデジタルアップデートによって再構成可能である。
【0052】
冗長化アーキテクチャは、物理的劣化制約を回避するよう、及び光分配ネットワーク内の考えられる障害を前もって警告するよう、当初の分配アーキテクチャと同一の構成に従って展開することができる。特に、キャビンシステムのクリティカルデバイスが、これらのアーキテクチャによって利用される場合、冗長化アーキテクチャは、光ネットワークをペアにすることによって設定される。
【0053】
本発明は、実装条件(物理的制約、機能的要求、想定される性能及びビット伝送速度、キャビン設計の選択など)に適合された、様々な数の光ネットワークを使用できる。したがって、冗長化ネットワークを考慮しない、光ネットワークの最適化された数は、システムのカテゴリの所与の数、例えば上記で説明した3つのカテゴリ(視聴覚システム、通信システム、及びキャビンシステム)に適用することができる。すなわち、1つのネットワークをシステムの1つのカテゴリに、共通ネットワークまたはシステムのカテゴリ毎のネットワークを、システムの2つの所与のカテゴリに、及び、共通ネットワーク、2つのネットワーク(共通ネットワーク及び専用ネットワーク)、または3つの専用ネットワークを、システムの3つの所与のカテゴリに適用することができる。しかし本発明は、3つのカテゴリよりも多くから成るシステム部に適用できる。
【0054】
さらに、下方及び上方の光ストリームは、少なくとも1本の光ファイバに共通で、または少なくとも2本の光ファイバに分離されて運ばれる(冗長化、別の展開、ビット伝送速度、または性能などのため)。さらに、光ファイバは、所望の性能によって、シングルモード及び/またはマルチモードとすることができる。
【0055】
さらに、IFE、通信システム、及びキャビンシステムの中央ユニットは、
図1のアーキテクチャ10aによって示されるように、1つの同じ光分配ネットワークに接続されるか、または、例えば
図3~
図6にそれぞれ示されたアーキテクチャ10c~10fによって示されるように、様々な光ネットワークに接続される。
【0056】
さらに、集中構成ボックスと、データリソースブロックとの間のベース信号を、非電気信号、例えば直接光信号にすることができる。それによって、電気/光変換器、特別なエミッタとレシーバとの間のRF経路によって送信される信号、またはアナログ信号へ変換可能な任意のタイプの信号を回避することが可能である。
【0057】
さらに、ファイバが切断された場合、非切断回路を介して、上方向または下方向のいずれかに部分的に供給することによって、システムを作動させることが可能である。