(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-24
(45)【発行日】2023-05-02
(54)【発明の名称】二重特異性抗体製造のための表面電荷を工学的に操作する方法
(51)【国際特許分類】
C07K 16/00 20060101AFI20230425BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20230425BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230425BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20230425BHJP
【FI】
C07K16/00 ZNA
C07K16/46
C12N15/13
C12P21/08
(21)【出願番号】P 2020516972
(86)(22)【出願日】2018-06-04
(86)【国際出願番号】 IB2018053996
(87)【国際公開番号】W WO2018224950
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-06-02
(32)【優先日】2017-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】ネスポール,トーマス
【審査官】西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/046994(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/114325(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
C12N 15/00-15/90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体の等電点を改変する方法であって、
抗体を提供することと、
ここで前記抗体が、
重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドと、
重鎖可変領域を含む第2のポリペプチドと、を含み;
前記抗体の前記第1及び第2のポリペプチドのうちの少なくとも1つにおいて、Kabat番号付けシステムに従って82a及び84位における重鎖可変領域(V
H)の1つ以上のアミノ酸残基を負に帯電したアミノ酸残基と置換することと、
ここで前記置換することが前記抗体の前記等電点を低下させる;
を含む、方法。
【請求項2】
82a及び84位(Kabat番号付け)における前記V
Hの前記1つ以上のアミノ酸残基が前記置換前に中性に帯電したアミノ酸残基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
82a及び84位(Kabat番号付け)における前記V
Hの前記1つ以上のアミノ酸残基が前記置換前に正に帯電したアミノ酸残基である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記抗体が多重特異性抗体であり、前記第1及び第2のポリペプチドが異なる重鎖可変領域を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記置換することが前記第1又は第2のポリペプチドのうちの1つのみにおいて行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記置換することが前記第1又は第2のポリペプチドの両方において行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のポリペプチドの前記1つ以上のアミノ酸残基置換が、前記第2のポリペプチドの前記1つ以上のアミノ酸残基置換とは異なる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1又は第2のポリペプチドのうちの少なくとも1つにおいて、74位(Kabat番号付け)の前記V
Hアミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と置換することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記置換することが、
前記第1又は第2のポリペプチドのうちの少なくとも1つにおいて、82a位(Kabat番号付け)の前記V
Hアミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記置換することが、
前記第1又は第2のポリペプチドのうちの少なくとも1つにおいて、84位(Kabat番号付け)の前記V
Hアミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記置換することが、
前記第1又は第2のポリペプチドのうちの少なくとも1つにおいて、82a及び84位(Kabat番号付け)の両方で前記V
Hアミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記置換することが、
前記第1又は第2のポリペプチドのうちの少なくとも1つにおいて、74、82a及び84位(Kabat番号付け)の3つ全ての位置の前記V
Hアミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記抗体がIgG抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記抗体が、キメラ抗体、ヒト化抗体、又はヒト抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
二重特異性抗体の、その2つの親抗体からの分離を増強する方法であって、
第1及び第2の親抗体を提供することと、
ここで各親抗体は重鎖可変領域を含み;
前記第1及び第2の親抗体のうちの少なくとも1つにおいて、Kabat番号付けシステムによる82a及び84位の重鎖可変領域(V
H)中の1つ以上のアミノ酸残基を負に帯電したアミノ酸残基と置換することと、
ここで前記置換することが、前記第2の親抗体に対する前記第1の親抗体の前記等電点を上昇又は低下させ;
前記置換することの後に、前記2つの親抗体から前記二重特異性抗体を製造することと;
前記製造された二重特異性抗体をその2つの親抗体から分離することと、
ここで前記分離することが前記置換することの結果として増強される;
を含む、方法。
【請求項16】
前記第1の親抗体の82a及び84位(Kabat番号付け)における前記V
Hの前記1つ以上のアミノ酸残基が中性に帯電したアミノ酸残基である場合、前記置換することが、
前記1つ以上の中性に帯電したアミノ酸残基を、1つ以上の負に帯電したアミノ酸残基と交換して、前記第1の親抗体の前記等電点を低下させることを含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の親抗体の82a及び84位(Kabat番号付け)における前記V
Hの前記1つ以上のアミノ酸残基が正に帯電したアミノ酸残基である場合、前記置換することが、
前記1つ以上の正に帯電したアミノ酸残基を、1つ以上の中性又は負に帯電したアミノ酸残基と交換して、前記第1の親抗体の前記等電点を低下させることを含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の親抗体における74位(Kabat番号付け)の前記V
Hアミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と置換して、前記第1の親抗体の前記等電点を低下させることをさらに含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項19】
前記置換することが、
前記第1の親抗体における82a位(Kabat番号付け)の前記V
Hアミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換して、前記第1の親抗体の前記等電点を低下させることを含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項20】
前記置換することが、
前記第1の親抗体における84位(Kabat番号付け)の前記V
Hアミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換して、前記第1の親抗体の前記等電点を低下させることを含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項21】
前記置換することが、
前記第1の親抗体における82a及び84位(Kabat番号付け)の両方の前記V
Hアミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換して、前記第1の親抗体の前記等電点を低下させることを含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項22】
前記置換することが、
前記第1の親抗体における74、82a及び84位(Kabat番号付け)の3つ全ての位置の前記V
Hアミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換して、前記第1の親抗体の前記等電点を低下させることを含む、請求項
15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(配列表)
本出願は、EFS-Webを介して提出される配列表を含み、その全内容は全て参照により本明細書に組み込まれている。2018年5月16日に作成されたASCIIテキストファイルは、ファイル名がJBI5100WOPCTSEQLIST.TXTであり、サイズは18キロバイトである。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、二重特異性抗体製造を増強するために表面電荷を工学的に操作する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
抗体ベースの治療薬は、癌及び自己免疫/炎症性疾患を含む様々な疾患を治療するために成功裏に使用されてきた。しかし、特に臨床的有効性を高めるために、この種類の薬物への改良が依然として必要とされている。探求されている1つの手段は、単一の免疫グロブリン分子が2つの異なる抗原と共係合するように、追加及び新規抗原結合部位を抗体系薬物へ工学的に操作することである。2つの異なる抗原に係合する、かかる代替抗体フォーマットは、二重特異性抗体と呼ばれることが多い。
【0004】
それらの特有の作用機序により、二重特異性抗体は、生物治療候補として益々注目を集めている。従来、IgGタイプ二重特異性抗体の製造は、4つの核酸分子、例えば、所与の抗原に特異的な第1の抗体の重鎖及び軽鎖ポリペプチドをコードする核酸分子、並びに異なる抗原に特異的な第2の抗体の重鎖及び軽鎖ポリペプチドをコードする核酸分子の細胞への導入を含んでいた。この系では、2つの重鎖及び2つの軽鎖をコードする核酸分子の発現、並びに2つの異なる重鎖間及び重鎖と軽鎖との間の一般的にランダムな会合は、重鎖と軽鎖との所望の組み合わせを有するわずかな割合の製造された抗体をもたらした。このようにして製造された10個の抗体のうちの1つのみが、対象とする二重特異性抗体を生成するために適切なHC及びLC対形成を達成する。この問題に対処するために、2つの異なるHCのヘテロ二量化、及び所望の二重特異性を形成するためのそれらのLCパートナーとのHCの適切な対形成が想到された。このような戦略は、電荷、疎水性、立体障害、又はこれらの組み合わせの導入の結果として、望ましくない対形成を不利にする突然変異を導入した。このような種類のアプローチは、二重特異性抗体の割合を大幅に増加させたが、他の望ましくない抗体種は残っていた。これらの望ましくない不純物は、所望の産物に密接に関連しているため、除去するのが困難であり得る。
【0005】
2006年3月16日、Huangら(国際特許出願公開第2006/028936号)は、所望の抗体ヘテロ多量体の精製を容易にするために、抗体のうちの1つ以上のCDR又はフレームワークにおける選択的置換を行うことにより、第1のポリペプチド対と第2のポリペプチド対との間の等電点(pI)における差異を操作することが望ましい場合があることを示唆している。Igawaらによる後続の仕事(米国特許出願公開第20090263392号及び同第20110076275号)は、二重特異性抗体を含む半抗体の一方又は両方を異なるpIを有するように工学的に操作することを伴う二重特異性抗体製造の過程で形成された、望ましくない単特異性ホモ二量体副生成物の除去を強化するための方法を開示した。pIの変化は、抗体の定常領域及び/又は可変領域における1つ以上の特定のアミノ酸置換を導入することによって工学的に操作される。半抗体の一方又は両方のpIの変化の結果として、所望の二重特異性抗体は、カチオン交換を用いて親単特異性ホモ二量体抗体からより容易に精製することができる。同様に、Mooreらへの米国特許公開第20140294823号は、親抗体の1つの重鎖定常領域における特定のアミノ酸置換がヘテロ二量体抗体を生成し、ここで2つの重鎖は異なる等電点(pI)を有する、同様のアプローチを記載した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの努力にもかかわらず、二重特異性抗体の精製のための更なる方法が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、抗体の等電点を改変する方法を目的とする。本方法は、抗体を提供することと、ここで抗体が、重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドと、重鎖可変領域を含む第2のポリペプチドとを含み;抗体の第1及び第2のポリペプチドのうちの少なくとも1つにおいて、Kabat番号付けシステムに従って7、9、11、14、41、70、74、82a、84及び113位における重鎖可変領域(VH)の1つ以上のアミノ酸残基を置換することと、ここで置換することが抗体の等電点を上昇又は低下させる;を含む。
【0008】
本開示の第2の態様は、本明細書に記載される方法により製造される改変された等電点を有する抗体を目的とする。
【0009】
本開示の第3の態様は、二重特異性抗体の、その2つの親抗体からの分離を増強する方法を目的とする。この方法は、第1及び第2の親抗体を提供することと、ここで各親抗体は重鎖可変領域を含み、第1及び第2の親抗体のうちの少なくとも1つにおいて、Kabat番号付けシステムによる7、9、11、14、41、70、74、82a、84及び113位の重鎖可変領域(VH)中の1つ以上のアミノ酸残基を置換することと、ここで置換することが、第2の親抗体に対する第1の親抗体の等電点を上昇又は低下させる。この方法は、置換することの後に2つの親抗体から二重特異性抗体を製造することと;製造された二重特異性抗体をその2つの親抗体から分離することと、ここで二重特異性抗体の分離が置換の結果として増強される;を更に含む。
【0010】
本開示の第4の態様は、多重特異性抗体であって、重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドと、重鎖可変領域を含む第2のポリペプチドと、を含み、第1のポリペプチドの等電点が、第2のポリペプチドの等電点より低い、多重特異性抗体を目的とする。この態様によれば、第1のポリペプチドの重鎖可変領域の9、70、74、82a及び84位(Kabat番号付け)における1つ以上のアミノ酸残基が、中性又は負に帯電したアミノ酸残基を含み、第2のポリペプチドの重鎖可変領域の対応する位置における1つ以上のアミノ酸残基が、第1のポリペプチドと比較して差次的に帯電したアミノ酸残基を含む。
【0011】
本開示の第5の態様は、多重特異性抗体であって、重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドと、重鎖可変領域を含む第2のポリペプチドと、を含み、第1のポリペプチドの等電点が、第2のポリペプチドの等電点より高い、多重特異性抗体を目的とする。この態様によれば、第1のポリペプチドの重鎖可変領域の7、9、11、14、41、74、84及び113位(Kabat番号付け)における1つ以上のアミノ酸残基が中性又は正に帯電したアミノ酸残基を含み、第2のポリペプチドの重鎖可変領域の対応する位置における1つ以上のアミノ酸残基が、第1のポリペプチドと比較して差次的に帯電したアミノ酸残基を含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】CNTO148抗体単一置換変異体のヒトTNFα結合ELISAのグラフである。
図1Aは、野生型(148WT及びCNTO148)と比較した、S75D及びN84D抗体変異体のTNFα結合を示す。
図1Bは、野生型と比較したA88D抗体変異体のTNFα結合を示す。
図1Cは、野生型と比較したG9E及びS71E抗体変異体のTNFα結合を示す。TNFαに結合するCNTO95抗体は陰性対照として示される。
【
図1B】CNTO148抗体単一置換変異体のヒトTNFα結合ELISAのグラフである。
図1Aは、野生型(148WT及びCNTO148)と比較した、S75D及びN84D抗体変異体のTNFα結合を示す。
図1Bは、野生型と比較したA88D抗体変異体のTNFα結合を示す。
図1Cは、野生型と比較したG9E及びS71E抗体変異体のTNFα結合を示す。TNFαに結合するCNTO95抗体は陰性対照として示される。
【
図1C】CNTO148抗体単一置換変異体のヒトTNFα結合ELISAのグラフである。
図1Aは、野生型(148WT及びCNTO148)と比較した、S75D及びN84D抗体変異体のTNFα結合を示す。
図1Bは、野生型と比較したA88D抗体変異体のTNFα結合を示す。
図1Cは、野生型と比較したG9E及びS71E抗体変異体のTNFα結合を示す。TNFαに結合するCNTO95抗体は陰性対照として示される。
【
図2A】CNTO148の単一置換変異体の分析サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)分析を示す。特に、
図2Aは、CNTO148野生型抗体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図2Bは、N84D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図2Cは、S75D変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
【
図2B】CNTO148の単一置換変異体の分析サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)分析を示す。特に、
図2Aは、CNTO148野生型抗体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図2Bは、N84D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図2Cは、S75D変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
【
図2C】CNTO148の単一置換変異体の分析サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)分析を示す。特に、
図2Aは、CNTO148野生型抗体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図2Bは、N84D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図2Cは、S75D変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
【
図3A】CNTO148野生型及びA88D変異体の分析SE-HPLC分析を示す。特に、
図3Aは、CNTO148野生型抗体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図2Bは、A88D変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
【
図3B】CNTO148野生型及びA88D変異体の分析SE-HPLC分析を示す。特に、
図3Aは、CNTO148野生型抗体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図2Bは、A88D変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
【
図4A】CNTO148野生型、G9E及びS71E変異体の分析SE-HPLC分析を示す。特に、
図4Aは、CNTO148野生型抗体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図4Bは、G9E変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図4Cは、S71E変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
【
図4B】CNTO148野生型、G9E及びS71E変異体の分析SE-HPLC分析を示す。特に、
図4Aは、CNTO148野生型抗体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図4Bは、G9E変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図4Cは、S71E変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
【
図4C】CNTO148野生型、G9E及びS71E変異体の分析SE-HPLC分析を示す。特に、
図4Aは、CNTO148野生型抗体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図4Bは、G9E変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図4Cは、S71E変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
【
図5A】CNTO148の単一置換変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示すグラフである。
図5Aは、63.9℃で発生するCNTO148野生型の凝集の開始を示し、
図5Bは、66.8℃で発生するS75D変異体抗体の凝集の開始を示し、
図5Cは、65.8℃で発生するN84D変異体に対する凝集の開始を示す。
【
図5B】CNTO148の単一置換変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示すグラフである。
図5Aは、63.9℃で発生するCNTO148野生型の凝集の開始を示し、
図5Bは、66.8℃で発生するS75D変異体抗体の凝集の開始を示し、
図5Cは、65.8℃で発生するN84D変異体に対する凝集の開始を示す。
【
図5C】CNTO148の単一置換変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示すグラフである。
図5Aは、63.9℃で発生するCNTO148野生型の凝集の開始を示し、
図5Bは、66.8℃で発生するS75D変異体抗体の凝集の開始を示し、
図5Cは、65.8℃で発生するN84D変異体に対する凝集の開始を示す。
【
図6A】CNTO148野生型及びA88D変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示すグラフである。
図6Aは、野生型について凝集の開始が67.6℃で生じることを示し、
図6Bは、A88D変異体について凝集の開始が66.9℃で生じることを示す。
【
図6B】CNTO148野生型及びA88D変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示すグラフである。
図6Aは、野生型について凝集の開始が67.6℃で生じることを示し、
図6Bは、A88D変異体について凝集の開始が66.9℃で生じることを示す。
【
図7A】CNTO148野生型、G9E及びS71E変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示すグラフである。
図7Aは、野生型について凝集の開始が68.6℃で生じることを示し、
図7Bは、65.7℃でG9E変異体の凝集の開始示し、
図7Cは、S71E変異体について凝集の開始が69.5℃で生じることを示す。
【
図7B】CNTO148野生型、G9E及びS71E変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示すグラフである。
図7Aは、野生型について凝集の開始が68.6℃で生じることを示し、
図7Bは、65.7℃でG9E変異体の凝集の開始示し、
図7Cは、S71E変異体について凝集の開始が69.5℃で生じることを示す。
【
図7C】CNTO148野生型、G9E及びS71E変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示すグラフである。
図7Aは、野生型について凝集の開始が68.6℃で生じることを示し、
図7Bは、65.7℃でG9E変異体の凝集の開始示し、
図7Cは、S71E変異体について凝集の開始が69.5℃で生じることを示す。
【
図8A】CNTO148の単一置換変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図8Aは、野生型についてのアンフォールディング温度が63.9℃で生じることを示し、
図8Bは、S75D変異体についてのアンフォールディング温度67.3℃で生じることを示し、
図8Cは、N84D変異体についてのアンフォールディング温度が65.3℃で生じることを示す。
【
図8B】CNTO148の単一置換変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図8Aは、野生型についてのアンフォールディング温度が63.9℃で生じることを示し、
図8Bは、S75D変異体についてのアンフォールディング温度67.3℃で生じることを示し、
図8Cは、N84D変異体についてのアンフォールディング温度が65.3℃で生じることを示す。
【
図8C】CNTO148の単一置換変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図8Aは、野生型についてのアンフォールディング温度が63.9℃で生じることを示し、
図8Bは、S75D変異体についてのアンフォールディング温度67.3℃で生じることを示し、
図8Cは、N84D変異体についてのアンフォールディング温度が65.3℃で生じることを示す。
【
図9A】CNTO148野生型及びA88D変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図9Aは、野生型のアンフォールディング温度が67.3℃で生じることを示し、
図9Bは、A88D変異体のアンフォールディング温度が66.9℃で生じることを示す。
【
図9B】CNTO148野生型及びA88D変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図9Aは、野生型のアンフォールディング温度が67.3℃で生じることを示し、
図9Bは、A88D変異体のアンフォールディング温度が66.9℃で生じることを示す。
【
図10A】CNTO148野生型、G9E及びS71E変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図10Aは、野生型についてのアンフォールディング温度が68.8℃で生じることを示し、
図10Bは、G9E変異体についてのアンフォールディング温度が65.8℃で生じることを示し、
図10Cは、S71E変異体についてのアンフォールディング温度が69.5℃で生じることを示す。
【
図10B】CNTO148野生型、G9E及びS71E変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図10Aは、野生型についてのアンフォールディング温度が68.8℃で生じることを示し、
図10Bは、G9E変異体についてのアンフォールディング温度が65.8℃で生じることを示し、
図10Cは、S71E変異体についてのアンフォールディング温度が69.5℃で生じることを示す。
【
図10C】CNTO148野生型、G9E及びS71E変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図10Aは、野生型についてのアンフォールディング温度が68.8℃で生じることを示し、
図10Bは、G9E変異体についてのアンフォールディング温度が65.8℃で生じることを示し、
図10Cは、S71E変異体についてのアンフォールディング温度が69.5℃で生じることを示す。
【
図11】CNTO95抗体単一置換変異体のヒトαVβ3結合ELISAのグラフである。
図11は、CNTO95野生型と比較した、S7R、G9R、V11R、P14R、P41R、S71K、A88R及びS119R抗体変異体のαVβ3結合を示す。αVβ3に結合するCNTO148抗体を陰性対照として示す。
【
図12A】CNTO95単一置換変異体の分析サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)分析を示す。特に、
図12Aは、CNTO95野生型抗体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Bは、S7R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Cは、G9R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Dは、V11R変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
図12Eは、P14R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Fは、P41R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Gは、S71K変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Hは、A88R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Iは、S119R変異体のSE-HPLC変異体を示す。
【
図12B】CNTO95単一置換変異体の分析サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)分析を示す。特に、
図12Aは、CNTO95野生型抗体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Bは、S7R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Cは、G9R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Dは、V11R変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
図12Eは、P14R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Fは、P41R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Gは、S71K変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Hは、A88R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Iは、S119R変異体のSE-HPLC変異体を示す。
【
図12C】CNTO95単一置換変異体の分析サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)分析を示す。特に、
図12Aは、CNTO95野生型抗体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Bは、S7R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Cは、G9R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Dは、V11R変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
図12Eは、P14R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Fは、P41R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Gは、S71K変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Hは、A88R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Iは、S119R変異体のSE-HPLC変異体を示す。
【
図12D】CNTO95単一置換変異体の分析サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)分析を示す。特に、
図12Aは、CNTO95野生型抗体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Bは、S7R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Cは、G9R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Dは、V11R変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
図12Eは、P14R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Fは、P41R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Gは、S71K変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Hは、A88R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Iは、S119R変異体のSE-HPLC変異体を示す。
【
図12E】CNTO95単一置換変異体の分析サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)分析を示す。特に、
図12Aは、CNTO95野生型抗体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Bは、S7R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Cは、G9R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Dは、V11R変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
図12Eは、P14R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Fは、P41R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Gは、S71K変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Hは、A88R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Iは、S119R変異体のSE-HPLC変異体を示す。
【
図12F】CNTO95単一置換変異体の分析サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)分析を示す。特に、
図12Aは、CNTO95野生型抗体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Bは、S7R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Cは、G9R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Dは、V11R変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
図12Eは、P14R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Fは、P41R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Gは、S71K変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Hは、A88R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Iは、S119R変異体のSE-HPLC変異体を示す。
【
図12G】CNTO95単一置換変異体の分析サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)分析を示す。特に、
図12Aは、CNTO95野生型抗体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Bは、S7R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Cは、G9R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Dは、V11R変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
図12Eは、P14R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Fは、P41R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Gは、S71K変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Hは、A88R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Iは、S119R変異体のSE-HPLC変異体を示す。
【
図12H】CNTO95単一置換変異体の分析サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)分析を示す。特に、
図12Aは、CNTO95野生型抗体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Bは、S7R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Cは、G9R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Dは、V11R変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
図12Eは、P14R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Fは、P41R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Gは、S71K変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Hは、A88R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Iは、S119R変異体のSE-HPLC変異体を示す。
【
図12I】CNTO95単一置換変異体の分析サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)分析を示す。特に、
図12Aは、CNTO95野生型抗体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Bは、S7R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Cは、G9R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Dは、V11R変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
図12Eは、P14R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Fは、P41R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Gは、S71K変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Hは、A88R変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図12Iは、S119R変異体のSE-HPLC変異体を示す。
【
図13A】CNTO95の単一置換変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示すグラフである。
図13Aは、CNTO95野生型について凝集の開始が68.2℃で生じることを示し、
図13Bは、S7R変異体抗体について凝集の開始が67.2℃で生じることを示し、
図13Cは、G9R変異体について凝集の開始が57.9℃で生じることを示し、
図13Dは、V11R変異体について凝集の開始が63.9℃で生じることを示し、
図13Eは、P14R変異体について凝集の開始が63.5℃で生じることを示し、
図13Fは、P41R変異体について凝集の開始が66.4℃で生じることを示し、
図13Gは、S71K変異体について凝集の開始が64.9℃で生じることを示し、
図13Hは、A88R変異体について凝集の開始が67.6℃で生じることを示し、
図13Iは、S119R変異体について凝集の開始が66.7℃で生じることを示す。
【
図13B】CNTO95の単一置換変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示すグラフである。
図13Aは、CNTO95野生型について凝集の開始が68.2℃で生じることを示し、
図13Bは、S7R変異体抗体について凝集の開始が67.2℃で生じることを示し、
図13Cは、G9R変異体について凝集の開始が57.9℃で生じることを示し、
図13Dは、V11R変異体について凝集の開始が63.9℃で生じることを示し、
図13Eは、P14R変異体について凝集の開始が63.5℃で生じることを示し、
図13Fは、P41R変異体について凝集の開始が66.4℃で生じることを示し、
図13Gは、S71K変異体について凝集の開始が64.9℃で生じることを示し、
図13Hは、A88R変異体について凝集の開始が67.6℃で生じることを示し、
図13Iは、S119R変異体について凝集の開始が66.7℃で生じることを示す。
【
図13C】CNTO95の単一置換変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示すグラフである。
図13Aは、CNTO95野生型について凝集の開始が68.2℃で生じることを示し、
図13Bは、S7R変異体抗体について凝集の開始が67.2℃で生じることを示し、
図13Cは、G9R変異体について凝集の開始が57.9℃で生じることを示し、
図13Dは、V11R変異体について凝集の開始が63.9℃で生じることを示し、
図13Eは、P14R変異体について凝集の開始が63.5℃で生じることを示し、
図13Fは、P41R変異体について凝集の開始が66.4℃で生じることを示し、
図13Gは、S71K変異体について凝集の開始が64.9℃で生じることを示し、
図13Hは、A88R変異体について凝集の開始が67.6℃で生じることを示し、
図13Iは、S119R変異体について凝集の開始が66.7℃で生じることを示す。
【
図13D】CNTO95の単一置換変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示すグラフである。
図13Aは、CNTO95野生型について凝集の開始が68.2℃で生じることを示し、
図13Bは、S7R変異体抗体について凝集の開始が67.2℃で生じることを示し、
図13Cは、G9R変異体について凝集の開始が57.9℃で生じることを示し、
図13Dは、V11R変異体について凝集の開始が63.9℃で生じることを示し、
図13Eは、P14R変異体について凝集の開始が63.5℃で生じることを示し、
図13Fは、P41R変異体について凝集の開始が66.4℃で生じることを示し、
図13Gは、S71K変異体について凝集の開始が64.9℃で生じることを示し、
図13Hは、A88R変異体について凝集の開始が67.6℃で生じることを示し、
図13Iは、S119R変異体について凝集の開始が66.7℃で生じることを示す。
【
図13E】CNTO95の単一置換変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示すグラフである。
図13Aは、CNTO95野生型について凝集の開始が68.2℃で生じることを示し、
図13Bは、S7R変異体抗体について凝集の開始が67.2℃で生じることを示し、
図13Cは、G9R変異体について凝集の開始が57.9℃で生じることを示し、
図13Dは、V11R変異体について凝集の開始が63.9℃で生じることを示し、
図13Eは、P14R変異体について凝集の開始が63.5℃で生じることを示し、
図13Fは、P41R変異体について凝集の開始が66.4℃で生じることを示し、
図13Gは、S71K変異体について凝集の開始が64.9℃で生じることを示し、
図13Hは、A88R変異体について凝集の開始が67.6℃で生じることを示し、
図13Iは、S119R変異体について凝集の開始が66.7℃で生じることを示す。
【
図13F】CNTO95の単一置換変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示すグラフである。
図13Aは、CNTO95野生型について凝集の開始が68.2℃で生じることを示し、
図13Bは、S7R変異体抗体について凝集の開始が67.2℃で生じることを示し、
図13Cは、G9R変異体について凝集の開始が57.9℃で生じることを示し、
図13Dは、V11R変異体について凝集の開始が63.9℃で生じることを示し、
図13Eは、P14R変異体について凝集の開始が63.5℃で生じることを示し、
図13Fは、P41R変異体について凝集の開始が66.4℃で生じることを示し、
図13Gは、S71K変異体について凝集の開始が64.9℃で生じることを示し、
図13Hは、A88R変異体について凝集の開始が67.6℃で生じることを示し、
図13Iは、S119R変異体について凝集の開始が66.7℃で生じることを示す。
【
図13G】CNTO95の単一置換変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示すグラフである。
図13Aは、CNTO95野生型について凝集の開始が68.2℃で生じることを示し、
図13Bは、S7R変異体抗体について凝集の開始が67.2℃で生じることを示し、
図13Cは、G9R変異体について凝集の開始が57.9℃で生じることを示し、
図13Dは、V11R変異体について凝集の開始が63.9℃で生じることを示し、
図13Eは、P14R変異体について凝集の開始が63.5℃で生じることを示し、
図13Fは、P41R変異体について凝集の開始が66.4℃で生じることを示し、
図13Gは、S71K変異体について凝集の開始が64.9℃で生じることを示し、
図13Hは、A88R変異体について凝集の開始が67.6℃で生じることを示し、
図13Iは、S119R変異体について凝集の開始が66.7℃で生じることを示す。
【
図13H】CNTO95の単一置換変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示すグラフである。
図13Aは、CNTO95野生型について凝集の開始が68.2℃で生じることを示し、
図13Bは、S7R変異体抗体について凝集の開始が67.2℃で生じることを示し、
図13Cは、G9R変異体について凝集の開始が57.9℃で生じることを示し、
図13Dは、V11R変異体について凝集の開始が63.9℃で生じることを示し、
図13Eは、P14R変異体について凝集の開始が63.5℃で生じることを示し、
図13Fは、P41R変異体について凝集の開始が66.4℃で生じることを示し、
図13Gは、S71K変異体について凝集の開始が64.9℃で生じることを示し、
図13Hは、A88R変異体について凝集の開始が67.6℃で生じることを示し、
図13Iは、S119R変異体について凝集の開始が66.7℃で生じることを示す。
【
図13I】CNTO95の単一置換変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示すグラフである。
図13Aは、CNTO95野生型について凝集の開始が68.2℃で生じることを示し、
図13Bは、S7R変異体抗体について凝集の開始が67.2℃で生じることを示し、
図13Cは、G9R変異体について凝集の開始が57.9℃で生じることを示し、
図13Dは、V11R変異体について凝集の開始が63.9℃で生じることを示し、
図13Eは、P14R変異体について凝集の開始が63.5℃で生じることを示し、
図13Fは、P41R変異体について凝集の開始が66.4℃で生じることを示し、
図13Gは、S71K変異体について凝集の開始が64.9℃で生じることを示し、
図13Hは、A88R変異体について凝集の開始が67.6℃で生じることを示し、
図13Iは、S119R変異体について凝集の開始が66.7℃で生じることを示す。
【
図14A】CNTO95の単一置換変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図14Aは、野生型についてのアンフォールディング温度が68.8℃で生じることを示し、
図14Bは、S7R変異体についてのアンフォールディング温度が67.9℃で生じることを示し、
図14Cは、G9R変異体についてのアンフォールディング温度が59.4℃で生じることを示し、
図14Dは、V11R変異体についてのアンフォールディング温度が64.8℃で生じることを示し、
図14Eは、P14R変異体についてのアンフォールディング温度が64.3℃で生じることを示し、
図14Fは、P41R変異体についてのアンフォールディング温度が66.8℃で生じることを示し、
図14Gは、S71K変異体についてのアンフォールディング温度が65.8℃で生じることを示し、
図14Hは、A88R変異体についてのアンフォールディング温度が68.0℃で生じることを示し、
図14Iは、S119R変異体についてのアンフォールディング温度が67.6℃で生じることを示す。
【
図14B】CNTO95の単一置換変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図14Aは、野生型についてのアンフォールディング温度が68.8℃で生じることを示し、
図14Bは、S7R変異体についてのアンフォールディング温度が67.9℃で生じることを示し、
図14Cは、G9R変異体についてのアンフォールディング温度が59.4℃で生じることを示し、
図14Dは、V11R変異体についてのアンフォールディング温度が64.8℃で生じることを示し、
図14Eは、P14R変異体についてのアンフォールディング温度が64.3℃で生じることを示し、
図14Fは、P41R変異体についてのアンフォールディング温度が66.8℃で生じることを示し、
図14Gは、S71K変異体についてのアンフォールディング温度が65.8℃で生じることを示し、
図14Hは、A88R変異体についてのアンフォールディング温度が68.0℃で生じることを示し、
図14Iは、S119R変異体についてのアンフォールディング温度が67.6℃で生じることを示す。
【
図14C】CNTO95の単一置換変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図14Aは、野生型についてのアンフォールディング温度が68.8℃で生じることを示し、
図14Bは、S7R変異体についてのアンフォールディング温度が67.9℃で生じることを示し、
図14Cは、G9R変異体についてのアンフォールディング温度が59.4℃で生じることを示し、
図14Dは、V11R変異体についてのアンフォールディング温度が64.8℃で生じることを示し、
図14Eは、P14R変異体についてのアンフォールディング温度が64.3℃で生じることを示し、
図14Fは、P41R変異体についてのアンフォールディング温度が66.8℃で生じることを示し、
図14Gは、S71K変異体についてのアンフォールディング温度が65.8℃で生じることを示し、
図14Hは、A88R変異体についてのアンフォールディング温度が68.0℃で生じることを示し、
図14Iは、S119R変異体についてのアンフォールディング温度が67.6℃で生じることを示す。
【
図14D】CNTO95の単一置換変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図14Aは、野生型についてのアンフォールディング温度が68.8℃で生じることを示し、
図14Bは、S7R変異体についてのアンフォールディング温度が67.9℃で生じることを示し、
図14Cは、G9R変異体についてのアンフォールディング温度が59.4℃で生じることを示し、
図14Dは、V11R変異体についてのアンフォールディング温度が64.8℃で生じることを示し、
図14Eは、P14R変異体についてのアンフォールディング温度が64.3℃で生じることを示し、
図14Fは、P41R変異体についてのアンフォールディング温度が66.8℃で生じることを示し、
図14Gは、S71K変異体についてのアンフォールディング温度が65.8℃で生じることを示し、
図14Hは、A88R変異体についてのアンフォールディング温度が68.0℃で生じることを示し、
図14Iは、S119R変異体についてのアンフォールディング温度が67.6℃で生じることを示す。
【
図14E】CNTO95の単一置換変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図14Aは、野生型についてのアンフォールディング温度が68.8℃で生じることを示し、
図14Bは、S7R変異体についてのアンフォールディング温度が67.9℃で生じることを示し、
図14Cは、G9R変異体についてのアンフォールディング温度が59.4℃で生じることを示し、
図14Dは、V11R変異体についてのアンフォールディング温度が64.8℃で生じることを示し、
図14Eは、P14R変異体についてのアンフォールディング温度が64.3℃で生じることを示し、
図14Fは、P41R変異体についてのアンフォールディング温度が66.8℃で生じることを示し、
図14Gは、S71K変異体についてのアンフォールディング温度が65.8℃で生じることを示し、
図14Hは、A88R変異体についてのアンフォールディング温度が68.0℃で生じることを示し、
図14Iは、S119R変異体についてのアンフォールディング温度が67.6℃で生じることを示す。
【
図14F】CNTO95の単一置換変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図14Aは、野生型についてのアンフォールディング温度が68.8℃で生じることを示し、
図14Bは、S7R変異体についてのアンフォールディング温度が67.9℃で生じることを示し、
図14Cは、G9R変異体についてのアンフォールディング温度が59.4℃で生じることを示し、
図14Dは、V11R変異体についてのアンフォールディング温度が64.8℃で生じることを示し、
図14Eは、P14R変異体についてのアンフォールディング温度が64.3℃で生じることを示し、
図14Fは、P41R変異体についてのアンフォールディング温度が66.8℃で生じることを示し、
図14Gは、S71K変異体についてのアンフォールディング温度が65.8℃で生じることを示し、
図14Hは、A88R変異体についてのアンフォールディング温度が68.0℃で生じることを示し、
図14Iは、S119R変異体についてのアンフォールディング温度が67.6℃で生じることを示す。
【
図14G】CNTO95の単一置換変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図14Aは、野生型についてのアンフォールディング温度が68.8℃で生じることを示し、
図14Bは、S7R変異体についてのアンフォールディング温度が67.9℃で生じることを示し、
図14Cは、G9R変異体についてのアンフォールディング温度が59.4℃で生じることを示し、
図14Dは、V11R変異体についてのアンフォールディング温度が64.8℃で生じることを示し、
図14Eは、P14R変異体についてのアンフォールディング温度が64.3℃で生じることを示し、
図14Fは、P41R変異体についてのアンフォールディング温度が66.8℃で生じることを示し、
図14Gは、S71K変異体についてのアンフォールディング温度が65.8℃で生じることを示し、
図14Hは、A88R変異体についてのアンフォールディング温度が68.0℃で生じることを示し、
図14Iは、S119R変異体についてのアンフォールディング温度が67.6℃で生じることを示す。
【
図14H】CNTO95の単一置換変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図14Aは、野生型についてのアンフォールディング温度が68.8℃で生じることを示し、
図14Bは、S7R変異体についてのアンフォールディング温度が67.9℃で生じることを示し、
図14Cは、G9R変異体についてのアンフォールディング温度が59.4℃で生じることを示し、
図14Dは、V11R変異体についてのアンフォールディング温度が64.8℃で生じることを示し、
図14Eは、P14R変異体についてのアンフォールディング温度が64.3℃で生じることを示し、
図14Fは、P41R変異体についてのアンフォールディング温度が66.8℃で生じることを示し、
図14Gは、S71K変異体についてのアンフォールディング温度が65.8℃で生じることを示し、
図14Hは、A88R変異体についてのアンフォールディング温度が68.0℃で生じることを示し、
図14Iは、S119R変異体についてのアンフォールディング温度が67.6℃で生じることを示す。
【
図14I】CNTO95の単一置換変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図14Aは、野生型についてのアンフォールディング温度が68.8℃で生じることを示し、
図14Bは、S7R変異体についてのアンフォールディング温度が67.9℃で生じることを示し、
図14Cは、G9R変異体についてのアンフォールディング温度が59.4℃で生じることを示し、
図14Dは、V11R変異体についてのアンフォールディング温度が64.8℃で生じることを示し、
図14Eは、P14R変異体についてのアンフォールディング温度が64.3℃で生じることを示し、
図14Fは、P41R変異体についてのアンフォールディング温度が66.8℃で生じることを示し、
図14Gは、S71K変異体についてのアンフォールディング温度が65.8℃で生じることを示し、
図14Hは、A88R変異体についてのアンフォールディング温度が68.0℃で生じることを示し、
図14Iは、S119R変異体についてのアンフォールディング温度が67.6℃で生じることを示す。
【
図15】抗TIM3抗体単一置換変異体のヒトTIM3結合ELISAを示す。
【
図16A】抗TIM3単一置換変異体の分析SE-HPLC分析を示す。
図16Aは、TIM3 S75D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図16Bは、TIM3野生型のSE-HPLCプロファイルを示し、
図16Cは、TIM3 N84D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図16Dは、TIM3 A88D変異体のSE-HPLC変異体を示す。
【
図16B】抗TIM3単一置換変異体の分析SE-HPLC分析を示す。
図16Aは、TIM3 S75D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図16Bは、TIM3野生型のSE-HPLCプロファイルを示し、
図16Cは、TIM3 N84D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図16Dは、TIM3 A88D変異体のSE-HPLC変異体を示す。
【
図16C】抗TIM3単一置換変異体の分析SE-HPLC分析を示す。
図16Aは、TIM3 S75D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図16Bは、TIM3野生型のSE-HPLCプロファイルを示し、
図16Cは、TIM3 N84D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図16Dは、TIM3 A88D変異体のSE-HPLC変異体を示す。
【
図16D】抗TIM3単一置換変異体の分析SE-HPLC分析を示す。
図16Aは、TIM3 S75D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図16Bは、TIM3野生型のSE-HPLCプロファイルを示し、
図16Cは、TIM3 N84D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図16Dは、TIM3 A88D変異体のSE-HPLC変異体を示す。
【
図17A】抗TIM3単一置換変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示す。
図17Aは、S75D変異体について凝集の開始が67.5℃で生じることを示し、
図17Bは、N84D変異体の凝集の開始が68.2℃で生じることを示し、
図17Cは、A88D変異体について凝集の開始が66.7℃で生じることを示し、
図17Dは、野生型について凝集の開始が68.5℃で生じることを示す。
【
図17B】抗TIM3単一置換変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示す。
図17Aは、S75D変異体について凝集の開始が67.5℃で生じることを示し、
図17Bは、N84D変異体の凝集の開始が68.2℃で生じることを示し、
図17Cは、A88D変異体について凝集の開始が66.7℃で生じることを示し、
図17Dは、野生型について凝集の開始が68.5℃で生じることを示す。
【
図17C】抗TIM3単一置換変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示す。
図17Aは、S75D変異体について凝集の開始が67.5℃で生じることを示し、
図17Bは、N84D変異体の凝集の開始が68.2℃で生じることを示し、
図17Cは、A88D変異体について凝集の開始が66.7℃で生じることを示し、
図17Dは、野生型について凝集の開始が68.5℃で生じることを示す。
【
図17D】抗TIM3単一置換変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示す。
図17Aは、S75D変異体について凝集の開始が67.5℃で生じることを示し、
図17Bは、N84D変異体の凝集の開始が68.2℃で生じることを示し、
図17Cは、A88D変異体について凝集の開始が66.7℃で生じることを示し、
図17Dは、野生型について凝集の開始が68.5℃で生じることを示す。
【
図18】SPRによって決定される、抗PD1単一置換変異体のPD1結合動態を示す。
【
図19A】抗PD1抗体単一置換変異体の分析SE-HPLC分析を示す。
図19Aは、PD1 S75D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図19Bは、PD1野生型のSE-HPLCプロファイルを示し、
図19Cは、PD1 S84D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図19Dは、PD1 S88D変異体のSE-HPLC変異体を示す。
【
図19B】抗PD1抗体単一置換変異体の分析SE-HPLC分析を示す。
図19Aは、PD1 S75D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図19Bは、PD1野生型のSE-HPLCプロファイルを示し、
図19Cは、PD1 S84D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図19Dは、PD1 S88D変異体のSE-HPLC変異体を示す。
【
図19C】抗PD1抗体単一置換変異体の分析SE-HPLC分析を示す。
図19Aは、PD1 S75D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図19Bは、PD1野生型のSE-HPLCプロファイルを示し、
図19Cは、PD1 S84D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図19Dは、PD1 S88D変異体のSE-HPLC変異体を示す。
【
図19D】抗PD1抗体単一置換変異体の分析SE-HPLC分析を示す。
図19Aは、PD1 S75D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図19Bは、PD1野生型のSE-HPLCプロファイルを示し、
図19Cは、PD1 S84D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図19Dは、PD1 S88D変異体のSE-HPLC変異体を示す。
【
図20A】抗PD1単一置換変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示す。
図20Aは、S75D変異体について凝集の開始が66.6℃で生じることを示し、
図20Bは、S84D変異体について凝集の開始が66.1℃で生じることを示し、
図20Cは、S88D変異体について凝集の開始が66.5℃で生じることを示し、
図20Dは、野生型について凝集の開始が65.7℃で生じることを示す。
【
図20B】抗PD1単一置換変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示す。
図20Aは、S75D変異体について凝集の開始が66.6℃で生じることを示し、
図20Bは、S84D変異体について凝集の開始が66.1℃で生じることを示し、
図20Cは、S88D変異体について凝集の開始が66.5℃で生じることを示し、
図20Dは、野生型について凝集の開始が65.7℃で生じることを示す。
【
図20C】抗PD1単一置換変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示す。
図20Aは、S75D変異体について凝集の開始が66.6℃で生じることを示し、
図20Bは、S84D変異体について凝集の開始が66.1℃で生じることを示し、
図20Cは、S88D変異体について凝集の開始が66.5℃で生じることを示し、
図20Dは、野生型について凝集の開始が65.7℃で生じることを示す。
【
図20D】抗PD1単一置換変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示す。
図20Aは、S75D変異体について凝集の開始が66.6℃で生じることを示し、
図20Bは、S84D変異体について凝集の開始が66.1℃で生じることを示し、
図20Cは、S88D変異体について凝集の開始が66.5℃で生じることを示し、
図20Dは、野生型について凝集の開始が65.7℃で生じることを示す。
【
図21】CNTO148抗体置換組み合わせ変異体のヒトTNF結合ELISAを示す。
【
図22A】CNTO148の組み合わせ変異体の分析サイズ排除クロマトグラフィー分析を示す。
図22Aは、CNTO148野生型のSE-HPLCプロファイルを示し、
図22Bは、CNTO148 N84D/A88D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図22Cは、CNTO148 S75D/A88D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図22Dは、CNTO148 N75D/N84D/A88D変異体のSE-HPLC変異体を示し、
図22Eは、CNTO148 S75D/N84D変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
【
図22B】CNTO148の組み合わせ変異体の分析サイズ排除クロマトグラフィー分析を示す。
図22Aは、CNTO148野生型のSE-HPLCプロファイルを示し、
図22Bは、CNTO148 N84D/A88D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図22Cは、CNTO148 S75D/A88D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図22Dは、CNTO148 N75D/N84D/A88D変異体のSE-HPLC変異体を示し、
図22Eは、CNTO148 S75D/N84D変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
【
図22C】CNTO148の組み合わせ変異体の分析サイズ排除クロマトグラフィー分析を示す。
図22Aは、CNTO148野生型のSE-HPLCプロファイルを示し、
図22Bは、CNTO148 N84D/A88D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図22Cは、CNTO148 S75D/A88D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図22Dは、CNTO148 N75D/N84D/A88D変異体のSE-HPLC変異体を示し、
図22Eは、CNTO148 S75D/N84D変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
【
図22D】CNTO148の組み合わせ変異体の分析サイズ排除クロマトグラフィー分析を示す。
図22Aは、CNTO148野生型のSE-HPLCプロファイルを示し、
図22Bは、CNTO148 N84D/A88D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図22Cは、CNTO148 S75D/A88D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図22Dは、CNTO148 N75D/N84D/A88D変異体のSE-HPLC変異体を示し、
図22Eは、CNTO148 S75D/N84D変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
【
図22E】CNTO148の組み合わせ変異体の分析サイズ排除クロマトグラフィー分析を示す。
図22Aは、CNTO148野生型のSE-HPLCプロファイルを示し、
図22Bは、CNTO148 N84D/A88D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図22Cは、CNTO148 S75D/A88D変異体のSE-HPLCプロファイルを示し、
図22Dは、CNTO148 N75D/N84D/A88D変異体のSE-HPLC変異体を示し、
図22Eは、CNTO148 S75D/N84D変異体のSE-HPLCプロファイルを示す。
【
図23A】CNTO148の組み合わせ変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示す。
図23Aは、CNTO148 N84D/A88D変異体について凝集の開始66.8℃で生じることを示し、
図23Bは、CNTO148 S75D/A88D変異体について凝集の開始が66.8℃で生じることを示し、
図23Cは、S75D/N84D/A88D変異体について凝集の開始が67.2℃で生じることを示し、
図23は、S75D/N84D変異体について凝集の開始が67.1℃で生じることを示す。
図23Eは、野生型について凝集の開始が66.5℃で生じることを示す。
【
図23B】CNTO148の組み合わせ変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示す。
図23Aは、CNTO148 N84D/A88D変異体について凝集の開始66.8℃で生じることを示し、
図23Bは、CNTO148 S75D/A88D変異体について凝集の開始が66.8℃で生じることを示し、
図23Cは、S75D/N84D/A88D変異体について凝集の開始が67.2℃で生じることを示し、
図23は、S75D/N84D変異体について凝集の開始が67.1℃で生じることを示す。
図23Eは、野生型について凝集の開始が66.5℃で生じることを示す。
【
図23C】CNTO148の組み合わせ変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示す。
図23Aは、CNTO148 N84D/A88D変異体について凝集の開始66.8℃で生じることを示し、
図23Bは、CNTO148 S75D/A88D変異体について凝集の開始が66.8℃で生じることを示し、
図23Cは、S75D/N84D/A88D変異体について凝集の開始が67.2℃で生じることを示し、
図23は、S75D/N84D変異体について凝集の開始が67.1℃で生じることを示す。
図23Eは、野生型について凝集の開始が66.5℃で生じることを示す。
【
図23D】CNTO148の組み合わせ変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示す。
図23Aは、CNTO148 N84D/A88D変異体について凝集の開始66.8℃で生じることを示し、
図23Bは、CNTO148 S75D/A88D変異体について凝集の開始が66.8℃で生じることを示し、
図23Cは、S75D/N84D/A88D変異体について凝集の開始が67.2℃で生じることを示し、
図23は、S75D/N84D変異体について凝集の開始が67.1℃で生じることを示す。
図23Eは、野生型について凝集の開始が66.5℃で生じることを示す。
【
図23E】CNTO148の組み合わせ変異体の凝集(コロイド安定性)分析の開始を示す。
図23Aは、CNTO148 N84D/A88D変異体について凝集の開始66.8℃で生じることを示し、
図23Bは、CNTO148 S75D/A88D変異体について凝集の開始が66.8℃で生じることを示し、
図23Cは、S75D/N84D/A88D変異体について凝集の開始が67.2℃で生じることを示し、
図23は、S75D/N84D変異体について凝集の開始が67.1℃で生じることを示す。
図23Eは、野生型について凝集の開始が66.5℃で生じることを示す。
【
図24A】CNTO148の多置換変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図24Aは、野生型についてのアンフォールディング温度が66.4℃で生じることを示、
図24Bは、N84D/A88D変異体についてのアンフォールディング温度が67.1℃で生じること示し、
図24Cは、S75D/A88D変異体についてのアンフォールディング温度が66.8℃で生じることを示し、
図24Dは、S75D/N84D/A88D変異体についてのアンフォールディング温度が66.9℃で生じることを示し、
図24Eは、S75D/N84D変異体についてのアンフォールディング温度が67.3℃で生じることを示す。
【
図24B】CNTO148の多置換変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図24Aは、野生型についてのアンフォールディング温度が66.4℃で生じることを示、
図24Bは、N84D/A88D変異体についてのアンフォールディング温度が67.1℃で生じること示し、
図24Cは、S75D/A88D変異体についてのアンフォールディング温度が66.8℃で生じることを示し、
図24Dは、S75D/N84D/A88D変異体についてのアンフォールディング温度が66.9℃で生じることを示し、
図24Eは、S75D/N84D変異体についてのアンフォールディング温度が67.3℃で生じることを示す。
【
図24C】CNTO148の多置換変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図24Aは、野生型についてのアンフォールディング温度が66.4℃で生じることを示、
図24Bは、N84D/A88D変異体についてのアンフォールディング温度が67.1℃で生じること示し、
図24Cは、S75D/A88D変異体についてのアンフォールディング温度が66.8℃で生じることを示し、
図24Dは、S75D/N84D/A88D変異体についてのアンフォールディング温度が66.9℃で生じることを示し、
図24Eは、S75D/N84D変異体についてのアンフォールディング温度が67.3℃で生じることを示す。
【
図24D】CNTO148の多置換変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図24Aは、野生型についてのアンフォールディング温度が66.4℃で生じることを示、
図24Bは、N84D/A88D変異体についてのアンフォールディング温度が67.1℃で生じること示し、
図24Cは、S75D/A88D変異体についてのアンフォールディング温度が66.8℃で生じることを示し、
図24Dは、S75D/N84D/A88D変異体についてのアンフォールディング温度が66.9℃で生じることを示し、
図24Eは、S75D/N84D変異体についてのアンフォールディング温度が67.3℃で生じることを示す。
【
図24E】CNTO148の多置換変異体のアンフォールディング(立体配座安定性)分析の温度を示すグラフである。
図24Aは、野生型についてのアンフォールディング温度が66.4℃で生じることを示、
図24Bは、N84D/A88D変異体についてのアンフォールディング温度が67.1℃で生じること示し、
図24Cは、S75D/A88D変異体についてのアンフォールディング温度が66.8℃で生じることを示し、
図24Dは、S75D/N84D/A88D変異体についてのアンフォールディング温度が66.9℃で生じることを示し、
図24Eは、S75D/N84D変異体についてのアンフォールディング温度が67.3℃で生じることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、概して、多重特異性抗体の製造及び精製を増強するために表面電荷を工学的に操作する方法に関する。
【0014】
本開示はまた、本発明の方法を用いて生成された抗体にも関する。本開示はまた、本明細書で生成される抗PD1及び抗TIM3抗体及び二重特異性PD-1xTIM3抗体、並びにそれらを作製及び使用する方法にも関する。生成された抗PD-1、抗TIM3、及び二重特異性PD-1xTIM3抗体は、診断及び治療薬として有用である。
【0015】
したがって、本発明の一態様は、抗体の等電点を改変する方法を目的とする。この方法は、重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドと重鎖可変領域を含む第2のポリペプチドとを含む抗体を提供することを含む。本方法は、抗体の第1及び第2のポリペプチドのうちの少なくとも1つにおいて、Kabat番号付けシステムによる7、9、11、14、41、70、74、82a、84及び113位における重鎖可変領域(VH)の1つ以上のアミノ酸残基を置換することを更に含み、置換することは、抗体の等電点を上昇又は低下させる。
【0016】
用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体及びそれに由来するより小さい分子を含む)及びポリクローナル抗体を特に網羅する。用語「抗体」はまた、一価及び多価抗体、例えば、二価抗体、三価抗体、及び四価抗体も包含する。用語「抗体」はまた、単特異性及び多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体も包含する。多重特異性抗体は、同じ抗原の2つ以上の異なる抗原又は2つの異なるエピトープに結合することができる抗体である。したがって、本明細書に記載される抗体の等電点を改変する方法は、多様な抗体に適用可能である。
【0017】
一実施形態では、本明細書に記載の方法に従って修飾された抗体は、免疫グロブリン(Ig)分子であり、少なくとも2つのポリペプチド鎖、すなわち、2つの重(H)鎖を含む。5種類の哺乳類Ig重鎖、α、δ、ε、γ、及びμは既知であり、重鎖の種類は、抗体のクラス(アイソタイプ)を定義する。本開示の抗体は、任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD及びIgA)、及びサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)であり得る。重鎖は、可変領域(VH)のみ、又は可変領域及び定常領域(CH)を含んでもよい。
【0018】
本明細書に記載の方法に従って修飾された抗体は、2つの軽(L)鎖を更に含み得る。重鎖と同様に、軽鎖(すなわち、ラムダ(λ)及びカッパ(κ)軽鎖)は、可変領域(VL)のみ、又は可変領域及び定常領域(CL)を含んでもよい。
【0019】
別の実施形態では、抗体は、一緒に融合して、Fc部分(すなわち、scFv-Fc、例えば、ミニボディ)を有する単鎖可変ドメイン抗体(scFv)又は単鎖可変ドメインを形成する重鎖及び軽鎖可変領域を含む。別の実施形態では、抗体断片は、二価の単鎖可変断片であり、2つのscFvsを、タンデムに(すなわち、タンデムscFv)、又は二量体化してディアボディを形成するように、のいずれかで連結することにより工学的に操作される。更に別の実施形態では、抗体は、三価の単鎖可変断片であり、3つのscFvsを、タンデム又はトリアボディを形成する三量体形成のいずれかで一緒に連結することによって工学的に操作される。別の実施形態では、抗体は、四重鎖単鎖可変断片である。別の実施形態では、抗体は、一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデムFdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)を含む抗体である「直鎖抗体」である(ZapataらProtein Eng、8(10):1057-1062(1995)を参照されたい、その全内容が参照により本明細書に組み込まれている)。
【0020】
本明細書に記載される方法はまた、キメラ抗体(すなわち、重鎖及び軽鎖のそれぞれのアミノ酸配列の1つの部分が、特定の種に由来するか又は特定のクラスに属する抗体中の対応する配列に相同であり、各鎖の残りのセグメントは、別の種又はクラスの対応する配列に相同である抗体)が、CDRグラフト化抗体(すなわち、CDR領域のうちの1つ以上が別の種のCDR領域に置換されている、1つの種の重鎖及び軽鎖可変領域を含む抗体)、及びヒト化抗体の等電点を改変するのにも好適である。
【0021】
本明細書に開示される方法に従って改変するのに好適な抗体は、上記に述べたように、好ましくはヒト抗体又はヒト化抗体(完全又は部分的にヒト化)である。あるいは、抗体は、限定するものではないが、鳥抗体、フカ抗体、鯨抗体、又は非霊長類抗体(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、リャマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、マウスなど)又は非ヒト霊長類抗体(例えば、サル、チンパンジーなど)を含む哺乳類抗体などの動物抗体であり得る。
【0022】
本明細書に記載される方法は、抗体の等電点を改変することを含む。抗体の等電点(pI)は、抗体が正味電荷を担持しないpHである。抗体又は任意のポリペプチドの等電点は、そのアミノ酸組成によって決定される。例えば、多数の塩基性アミノ酸残基を有するポリペプチドは、高いpIを有するのに対し、多数の酸性アミノ酸残基を有するポリペプチドは、低いpIを有する。したがって、本発明の方法は、そのpIを改変するために抗体のアミノ酸組成を改変することを含む。より具体的には、本明細書に記載の方法は、抗体の少なくとも1つの重鎖可変領域内の1つ以上のアミノ酸残基を修飾して、抗体のpIを改変することを含む。
【0023】
抗体の重鎖可変領域のアミノ酸組成は、アミノ酸挿入、欠失、又は置換によって改変され得る。アミノ酸「置換」は、ポリペプチド配列中の特定の位置におけるアミノ酸残基の異なるアミノ酸での置換を包含する。一実施形態では、置換は、その生物内又は任意の生物内で天然に存在しない、特定の位置で天然に存在しないアミノ酸残基の置換を含む。あるいは、1つ以上の置換は、例えば、同一の種からの他の抗体からの配列に頻繁に生じる保存されたアミノ酸残基など、同一の生物中の類似の関連するポリペプチド配列中の残基に頻繁に存在するアミノ酸残基であってもよい。例えば、ヒト配列などの同一の種からの天然に存在する配列からの保存された残基による置換は、1つ以上の置換を保有しているポリペプチドの抗原性の増加の可能性を低減することができる。加えて、同じ生物内の関連するポリペプチドからの配列と比較して、電荷の保存(例えば、同じ正に帯電した、負に帯電した、又は帯電していない種の比較的高い頻度)もまた、置換のためのアミノ酸残基の選択を行う際に考慮される。これらの電荷の考慮事項は、1つ以上のアミノ酸置換を含む抗体の構造及び/又は安定性を維持することに影響を及ぼし得る。抗体のpIを改変する目的で、アミノ酸置換は、中性電荷を有するアミノ酸残基で正電荷又は負電荷を有するアミノ酸残基を置換すること又はその逆を含む。例示的な置換としては、(1)pIを上昇させるための、正に帯電したアミノ酸に対する中性に帯電したアミノ酸の置換、(2)pIを上昇させるための、中性又は正に帯電したアミノ酸に対する負に帯電したアミノ酸の置換、(3)pIを低下させるための、負に帯電したアミノ酸に対する中性に帯電したアミノ酸の置換、及び(4)pIを低下させるための、正に帯電したアミノ酸に対する中性又は負に帯電したアミノ酸の置換が挙げられるがこれらに限定されない。
【0024】
アミノ酸「欠失」は、抗体の等電点を改変するための1つ以上のアミノ酸残基の除去を含み、一方、アミノ酸「挿入」は、抗体の等電点を改変するための1つ以上のアミノ酸残基の添加を含む。例示的な欠失としては、pIを上昇させるための負に帯電したアミノ酸残基の欠失、又はpIを低下させるための正に帯電したアミノ酸残基の欠失が挙げられるが、これらに限定されない。好適なアミノ酸付加としては、抗体のpIを上昇させるための正のアミノ酸残基の添加、又は抗体のpIを低下させるための負のアミノ酸残基の添加が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
当技術分野において既知の正電荷を保有するアミノ酸残基としては、塩基性側鎖、例えば、リジン(K)、アルギニン(R)、及びヒスチジン(H)を有するものが挙げられるが、これらに限定されない。当該技術分野において既知の負電荷を保有するアミノ酸残基としては、酸性側鎖、例えば、グルタミン酸(E)及びアスパラギン酸(D)を有するものが挙げられるが、これらに限定されない。帯電していない側鎖を有するアミノ酸残基は、中性の、例えば、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、グリシン、プロリン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファンであると考えられる。
【0026】
このような置換、挿入、又は欠失は、多くの場合、対象とするアミノ酸残基をコードするコドンを生成するために、少なくとも1つのヌクレオチドを挿入、欠失、又は置換することによって修飾されるポリペプチドをコードする元の核酸分子を修飾する遺伝子操作又は突然変異誘発を伴う。より具体的には、元のアミノ酸残基をコードするコドンは、修飾により導入されるアミノ酸残基をコードするコドンにより置換される。このような核酸修飾は、部位特異的突然変異誘発又はPCR突然変異誘発などの周知の技術を用いて、当業者によって実施することができる。
【0027】
本明細書に記載される方法によると、アミノ酸置換、挿入、又は欠失は、対象とする抗体の重鎖ポリペプチドの1つ以上に導入される。特に、アミノ酸置換、挿入、又は欠失は、対象とする抗体の重鎖可変領域に導入される。重鎖の可変領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる、超変動性の領域に細分される。重鎖の可変領域における3つのCDRは、可変領域のそれぞれについてCDR1、CDR2及びCDR3と呼ばれる。CDRには、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が組み入れられている。これらのFR領域は、抗体の結合能力の大部分に関与するCDRの接触アミノ酸残基を適切な空間構成に配置することに特異的である。各VHは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順で並ぶ、3つのCDR及び4つのFRからなる。これらのCDRの正確な境界は、異なるシステムに従って異なって定義されている。Kabat(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1987)及び(1991)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)によって記載されたシステムは、重鎖可変領域の残基に言及するときに本明細書において使用されるが、抗体の任意の可変領域に適用可能な明白な残基番号付けシステムを提供するだけでなく、3つのCDRを定義する正確な残基境界も提供する。これらのCDRは、Kabat CDRと呼ばれる。
【0028】
本明細書に記載の方法によると、抗体の等電点は、抗体の重鎖可変領域のうちの少なくとも1つにおいて、重鎖可変領域におけるアミノ酸残基が7、9、11、14、41、70、74、82a、84及び/又は113位(Kabat番号付け)にある少なくとも1つのアミノ酸残基を置換することによって改変される。修飾を受けるアミノ酸残基の数は、特に限定されない。例えば、一実施形態では、1つのアミノ酸置換が、抗体の等電点を十分に改変する。別の実施形態では、2つのアミノ酸置換が、抗体の等電点を十分に改変する。別の実施形態では、抗体の等電点を十分に改変するために、3つ、4つ、又は5つ、又は6つ、又は7つ、又は8つ、又は9つ、又は10個のアミノ酸置換が必要である。
【0029】
一実施形態では、7、9、11、14、41、74、84及び/又は113位(Kabat番号付け)におけるVHの1つ以上のアミノ酸残基は中性に帯電したアミノ酸残基であり、置換工程は、1つ以上の電荷的に帯電したアミノ酸残基を1つ以上の正に帯電したアミノ酸残基と交換することを含む。この置換は、非修飾状態(すなわち、親又は野生型抗体)における抗体に対して抗体の等電点を上昇させる。
【0030】
別の実施形態では、7、9、11、14、41、74、84及び/又は113位(Kabat番号付け)におけるVHの1つ以上のアミノ酸残基は負に帯電したアミノ酸残基であり、置換工程は、当該1つ以上の負に帯電したアミノ酸残基を1つ以上の中性又は正に帯電したアミノ酸残基と交換することを含む。この置換はまた、非修飾状態における抗体の等電点に対して抗体の等電点を上昇させる。
【0031】
更なる実施形態では、9、70、74、82a及び84位(Kabat番号付け)におけるVHの1つ以上のアミノ酸残基は中性に帯電したアミノ酸残基であり、置換工程は、当該1つ以上の中性に帯電したアミノ酸残基を1つ以上の負に帯電したアミノ酸残基と交換することを含む。この置換は、非修飾の親抗体の等電点に対して抗体の等電点を低下させる。
【0032】
更に別の実施形態では、9、70、74、82a及び84位(Kabat番号付け)におけるVHの1つ以上のアミノ酸残基は正に帯電したアミノ酸残基であり、置換は、当該1つ以上の正に帯電したアミノ酸残基を、1つ以上の中性又は負に帯電したアミノ酸残基と交換することを含む。この置換は、非修飾の親抗体の等電点に対して抗体の等電点を低下させる。
【0033】
上記のアミノ酸残基の全てを交換する必要はない。上記のように、重鎖可変領域内の特定された残基の1、2、3、4、6、7、8、9又は10にアミノ酸置換を導入することができる。導入されるアミノ酸置換の数は、所望される等電点における変化又は差の大きさ、すなわち、0.1pH単位変化、0.2pH単位変化、0.3pH単位変化、0.4pH単位変化、0.5pH単位変化、0.6pH単位変化、0.7pH単位変化、0.8pH単位変化、0.9pH単位変化、1.0pH単位変化、又は1.0pH超の単位変化に依存する。改変された抗体の等電点における変化又は差異は、等電点電気泳動法を用いて観察することができる。等電点電気泳動法は、それらの等電点によってタンパク質を分離する電気泳動技術である。タンパク質は、固定pH勾配を含有するポリアクリルアミドゲル(IEFゲル)又は固定化pH勾配(IPG)ストリップに適用することができる。電界が印加され、タンパク質がpH勾配を通って移動し、それらが特定のpIに近づくにつれてpH勾配で固定化される。あるいは、理論的な等電点は、遺伝子及びアミノ酸配列解析ソフトウェア(GENETYXなど)を使用して決定することができる。これは、例えば、親抗体から二重特異性抗体を十分に分離するために、等電点の相当な改変が必要である場合に有用である。
【0034】
一実施形態では、置換は、抗体の第1又は第2の重鎖ポリペプチドのうちの少なくとも1つにおいて、74位(Kabat番号付け)のVHアミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換することを含む。
【0035】
別の実施形態では、置換は、抗体の第1又は第2の重鎖ポリペプチドのうちの少なくとも1つにおいて、82a位(Kabat番号付け)のVHアミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換することを含む。
【0036】
更なる実施形態では、置換は、抗体の第1又は第2の重鎖ポリペプチドのうちの少なくとも1つにおいて、84位(Kabat番号付け)のVHアミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換することを含む。
【0037】
更に別の実施形態では、置換は、抗体の第1又は第2の重鎖ポリペプチドのうちの少なくとも1つにおいて、位置74、82a及び84位(Kabat番号付け)から選択される位置のうちの少なくとも2ヶ所のVHアミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換することを含む。
【0038】
別の実施形態では、置換は、抗体の第1又は第2の重鎖ポリペプチドのうちの少なくとも1つにおいて、74、82a及び84位(Kabat番号付け)の3つの位置全てにおいてVHアミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換することを含む。
【0039】
本明細書に記載される方法を実施する際、その等電点を改変するために抗体になされるアミノ酸置換は、その抗原結合能力を変化させない、すなわち、修飾された抗体は、修飾されていない野生型又は親抗体の抗原結合活性を保持する。本明細書で使用するとき、「抗原結合活性を保持する」とは、抗体が、修飾前の抗体の抗原結合活性の少なくとも75%、少なくとも80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、すなわち96%、97%、98%、99%又は100%を維持することを意味する。抗原への結合のための十分な結合活性が、抗体の機能を発揮するために保持され得る限り、生理学的条件下で37℃で決定される親和性は、例えば、100nM以下、好ましくは50nM以下、より好ましくは10nM以下、更により好ましくは1nM以下であり得る。本明細書に記載の方法によって得られる改変された等電点を有する抗体可変領域を含むポリペプチドが抗原結合活性を保持するかどうかを、Biacore(分子間相互作用分析)、細胞増殖アッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、EIA(酵素免疫測定法)、RIA(放射免疫測定法)、及び蛍光免疫測定法などが挙げられるが、これらに限定されない、当業者に周知の方法を使用して試験することができる。
【0040】
本明細書に記載の方法を実施する際、その等電点を改変するために抗体になされるアミノ酸置換は、抗体の安定性、例えば、その立体構造安定性を変化させない。換言すれば、修飾された抗体は、修飾されていない野生型又は親抗体の実質的に同じ安定性を示す。本明細書で使用するとき、「実質的に同じ安定性」とは、修飾されたタンパク質が安定性の25%未満の変化、安定性の20%未満の変化、安定性の15%未満の変化、安定性の10%未満の変化、安定性の5%、4%、3%、2%又は1%未満の変化を有することを意味する。抗体安定性の指標として測定することができるパラメータとしては、アンフォールディング転移温度、凝集開始温度、及び凝集率が挙げられるが、これらに限定されない。測定され得る抗体安定性の他のパラメータとしては、インビトロでの血清安定性、分解レベル、生物活性、pH、色、透明度、化学的安定性、及び物理的安定性が挙げられる。
【0041】
一実施形態では、改変された等電点を有する抗体は、単特異性抗体である。本実施形態によれば、親単特異性抗体の重鎖可変領域をそれぞれ含む第1及び第2のポリペプチドは、同一であり、1つ以上の同定されたアミノ酸残基位置(すなわち、残基7、9、11、14、41、70、74、82a、84及び/又は113)への置換が、第1及び第2の重鎖ポリペプチドの両方においてなされ、親抗体の等電点とは異なる等電点を有する変異体抗体を生成する。
【0042】
本明細書に記載される方法は、当該技術分野において既知の、又は開発される、実質的に任意の単特異性抗体の等電点を改変するために利用することができる。あくまで一例として、本明細書に記載の方法を使用して修飾された単特異性抗体は、CNTO148として知られるTNFαと結合するモノクローナル抗体である。本明細書に記載されるように、CNTO148抗体の重鎖可変領域は、それぞれ配列番号1(以下に示す)の残基75、84及び88に対応するKabat残基74、82a及び84で改変されて、その等電点を低下させた。
【0043】
【0044】
特に、配列番号1の75位のセリン残基をアスパラギン酸残基(S75D)で置換し、配列番号1の84位のアスパラギン残基をアスパラギン酸残基(N84D)で置換し、配列番号1の88位のアラニン残基をアスパラギン酸残基(A88D)で置換して、CNTO148抗体の等電点を低下させた。これらのアミノ酸置換は、CNTO148抗体の抗原結合能力に影響を及ぼさなかった(
図1A、1B及び1Cを参照されたい)。
【0045】
本明細書に記載の方法を使用して修飾された別の単特異性抗体は、TIMB337として知られるTIM3(CD366)に結合するモノクローナル抗体である。本明細書に記載されるように、TIMB337抗体の重鎖可変領域(TM3H24 HC)を、それぞれ配列番号2(以下に示す)の残基75、84及び88に対応するKabat残基74、82a及び84で改変して、その等電点を低下させた。TIMB337は、配列番号5の軽鎖可変領域を含む。
【0046】
【0047】
【0048】
特に、配列番号2の75位のセリン残基をアスパラギン酸残基(S75D)で置換し、配列番号2の84位のアスパラギン残基をアスパラギン酸残基(N84D)で置換し、配列番号2の88位のアラニン残基をアスパラギン酸残基(A88D)で置換し、TIMB337抗体の等電点を低下させた。これらのアミノ酸置換は、TIMB337抗体の抗原結合能力に影響を及ぼさなかった(
図15を参照)。TIMB337 VH変異体のアミノ酸配列を下に示す。
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
本明細書に記載の方法を使用して修飾された別の単特異性抗体は、PD1B244として既知のPD-1(CD279)に結合するモノクローナル抗体である。本明細書に記載されるように、PD1B244抗体の重鎖可変領域(PD1H170 HC)を、それぞれ配列番号3(以下に示す)の残基75、84及び88に対応するKabat残基74、82a及び84で修飾して、その等電点を低下させた。PD1B2244は、配列番号9の軽鎖可変領域を含む。
【0053】
【0054】
【0055】
特に、配列番号3の75位のセリン残基をアスパラギン酸残基(S75D)で置換し、配列番号3の84位のセリン残基をアスパラギン酸残基(S84D)で置換し、配列番号3の88位のセリン残基をアスパラギン酸残基(S88D)で置換して、PD1B244抗体の等電点を低下させた。これらのアミノ酸置換は、PD1B244抗体の抗原結合能力に影響を及ぼさなかった(
図18を参照されたい)。PD1B244 VH変異体のアミノ酸配列を下に示す。
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
別の実施形態では、改変された等電点を有する抗体は、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体である。本実施形態によると、多重特異性抗体の重鎖可変領域を含む第1及び第2のポリペプチドは異なる。本実施形態によると、本明細書に開示されるアミノ酸置換は、重鎖可変領域のうちの1つのみに存在し得る。あるいは、アミノ酸置換は、重鎖可変領域の両方で行われてもよく、これらの置換は、修飾の目的に応じて同一であっても異なっていてもよい。例えば、多重特異性抗体の半減期/クリアランス速度を変更するために等電点改変が行われる場合、両方の重鎖可変領域における同様の置換が、抗体のpIを上昇又は低下させるように行われ得る。あるいは、抗体のpIを上昇又は低下させるために、両方の重鎖可変領域に異なるアミノ酸置換を行ってもよい。
【0060】
別の実施形態では、アミノ酸置換は、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体の1つの重鎖可変領域のみに存在する。このアプローチは、二重特異性抗体が、類似のpIを有する2つの親抗体から生成されるときに望ましい。同じ又は類似の等電点を有する2つの親抗体を利用して二重特異性抗体を生成する場合、標準的な細胞組換え及び発現技術を使用して生成された二重特異性抗体の分離及び精製がひどく妨害される。したがって、それらの間のpIの差を増加させる親抗体の改変は、その親抗体からより容易に分離され、区別され得る二重特異性抗体の製造をもたらし、それによって二重特異性抗体製造の収率及び純度が増加する。
【0061】
したがって、本開示の別の態様は、その2つの親抗体からの二重特異性抗体の分離を増強する方法を目的とする。この方法は、第1及び第2の親抗体を提供することを含み、各親抗体は重鎖可変領域を含む。本方法は、第1及び第2の親抗体のうちの少なくとも1つにおいて、Kabat番号付けシステムによる7、9、11、14、41、70、74、82a、84及び113位の重鎖可変領域(VH)中の1つ以上のアミノ酸残基を置換することを更に含み、置換することは、第2の親抗体に対して第1の親抗体の等電点を上昇又は低下させる。本方法は、当該置換することの後に2つの親抗体から二重特異性抗体を製造することと、その2つの親抗体から製造された二重特異性抗体を分離することと、を更に含み、その2つの親抗体からの二重特異性抗体の分離は、当該置換することの結果として強化される。
【0062】
この態様によると、第1の親抗体の7、9、11、14、41、74、84及び113位(Kabat番号付け)におけるVH領域の1つ以上のアミノ酸残基が中性に帯電しているアミノ酸残基である場合、これらのアミノ酸残基のうちの1つ以上は、1つ以上の正に帯電したアミノ酸残基で置換され得る。この置換は、第2の親抗体の等電点に対して第1の親抗体の等電点を上昇させる。あるいは、第1の親抗体の7、9、11、14、41、74、84及び113位(Kabat番号付け)におけるVH領域の1つ以上のアミノ酸残基が負に帯電したアミノ酸残基である場合、アミノ酸残基は、1つ以上の負に帯電したアミノ酸残基を1つ以上の中性又は正に帯電したアミノ酸残基と交換することによって置換されてもよい。この置換はまた、第2の親抗体に対して第1の親抗体の等電点を上昇させる。
【0063】
別の実施形態では、第1の親抗体の9、70、74、82a及び84位(Kabat番号付け)におけるVH領域の1つ以上のアミノ酸残基が中性に帯電しているアミノ酸残基である場合、これらのアミノ酸残基のうちの1つ以上は、当該1つ以上の中性に帯電したアミノ酸残基を1つ以上の負に帯電したアミノ酸残基と交換することによって置換されてもよい。この置換は、第2の親抗体に対して第1の親抗体の等電点を低下させることになる。更なる実施形態では、第1の親抗体の9、70、74、82a及び84位(Kabat番号付け)におけるVH領域の1つ以上のアミノ酸残基が正に帯電したアミノ酸残基である場合、これらのアミノ酸残基のうちの1つ以上は、当該1つ以上の正に帯電したアミノ酸残基を1つ以上の中性又は負に帯電したアミノ酸残基と交換することによって置換されてもよい。この置換はまた、第2の親抗体に対して第1の親抗体の等電点を減少させる。
【0064】
上述のように、第1又は第2の親抗体において修飾又は置換されるアミノ酸残基の数は限定されない。一実施形態では、第2の親抗体に対する第1の親抗体の等電点における0.1pH単位、0.2pH単位、0.3pH単位、0.4pH単位、又は0.5pH単位、0.6pH単位、0.7pH単位、0.8pH単位、0.9pH単位、1.0pH単位変化を生成する置換が行われる。別の実施形態では、第2の親抗体に対する第1の親抗体の等電点における>1.0pH単位変化を生成する置換が行われる。これらの変化は、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10のアミノ酸置換により達成することができる。上記のアミノ酸残基置換は、第1又は第2の親抗体のいずれか1つのVH領域、あるいは第1又は第2の親抗体の両方において行われてもよい。アミノ酸置換が第1の親抗体及び第2の親抗体の両方に行われるとき、第1の親抗体のVH領域における1つ以上のアミノ酸置換は、第1の親抗体の等電点を低下させ、第2の親抗体のVH領域における1つ以上のアミノ酸置換は、第2の親抗体の等電点を上昇させるであろう。第1及び第2の親抗体の両方に行われるアミノ酸置換は、同一のアミノ酸残基位置(異なる置換であっても)で行われてもよく、又は異なるアミノ酸残基位置で行われてもよい。
【0065】
一実施形態では、第1の親抗体の74位(Kabat番号付け)におけるVHアミノ酸残基は、第2の親抗体に対して第1の親抗体の等電点を低下させるために、負に帯電したアミノ酸残基と交換される。
【0066】
別の実施形態では、第1の親抗体の82a位(Kabat番号付け)におけるVHアミノ酸残基は、第2の親抗体に対して第1の親抗体の等電点を低下させるために、負に帯電したアミノ酸残基と交換される。
【0067】
別の実施形態では、第1の親抗体の84位(Kabat番号付け)におけるVHアミノ酸残基は、第2の親抗体に対して第1の親抗体の等電点を低下させるために、負に帯電したアミノ酸残基と交換される。
【0068】
更なる実施形態では、第1の親抗体における74、82a及び84位(Kabat番号付け)から選択される位置のうちの少なくとも2ヶ所のVHアミノ酸残基は、第2の親抗体に対して第1の親抗体の等電点を低下させるために、負に帯電したアミノ酸残基と交換される。
【0069】
更に別の実施形態では、第1の親抗体における74、82a及び84位の3つ全ての位置におけるVHアミノ酸残基(Kabat番号付け)は、第2の親抗体に対して第1の親抗体の等電点を低下させるために、負に帯電したアミノ酸残基と交換される。
【0070】
上述のように、第1及び第2の親抗体の等電点の改変は、親抗体のそれぞれとは異なる等電点を有する二重特異性抗体の製造をもたらす。したがって、対象とする二重特異性抗体の分離及び最終的な回収は、イオン交換クロマトグラフィー法を用いて有意に増強される。
【0071】
二重特異性抗体の作製方法は当該技術分野において既知であり、本開示の方法は概して、二重特異性抗体の分離及び精製を強化するために、これらの既知の方法のいずれかに組み込まれ得る。全長二重特異性抗体の従来の製造は、2つの免疫グロブリン重鎖軽鎖対の共発現に基づくものであり、2つの鎖は異なる特異性を有する(Millsteinら、Nature 305:537-539(1983)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖のランダムな組み合わせ及び組換えの結果、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の可能な混合物を生成し、これらのうち1種のみが正しい二重特異的構造を有する。本明細書に開示される方法を使用して、親抗体の等電点の差を増加させることにより、親抗体及び他の副生成物からの、所望の二重特異性抗体の分離及び精製を著しく向上させる。
【0072】
二重特異性抗体を作製するための他の方法としては、米国特許第8,216,805号(Carter)に記載されるような、ヘテロ二量体形成を有利にホモ二量体形成に不利なように立体的影響を生じさせるアミノ酸工学を伴う「ノブ及びホール」技術が挙げられるが、これらに限定されない(Ridgwayら、Protein Engineering 9(7):617(1996)、及びAtwellら、J.Mol.Biol、1997 270:26も参照されたい、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。加えて、Merchantら、Nature Biotech16:677(1998)に記載されている(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)ように、これらの「ノブ及びホール」変異は、ジスルフィド結合と組み合わされて、ヘテロ二量化への形成を歪曲することができる。
【0073】
二重特異性抗体を生成するために使用される追加の技術は、Gunasekaranら、J.Biol.Chem285(25):19637(2010)に記載されるように「静電的操舵」又は「電荷対」と呼ばれることが多い(その全内容が参照により本明細書に組み込まれている)。この方法では、静電気を使用して、形成物を所望のヘテロ二量体化に向けて歪ませる。
【0074】
親抗体から二重特異性抗体を分離することは、当該技術分野において既知の標準的な分離技術を用いて行われる。例えば、イオン交換クロマトグラフィーは、二重特異性抗体をその親抗体と分離するために一般的に使用される。簡潔に言えば、親抗体及び二重特異性抗体の混合物は、ローディングバッファを使用して陽イオン交換材料(又は、あるいは陰イオン交換材料)に結合され、ローディングバッファは、第1の導電性及びpHにある。陽イオン交換材料は、イオン交換材料から汚染物質(すなわち、親抗体)を溶出するように、ローディングバッファよりも高い第2の導電性及び/又はpHの中間緩衝液で洗浄される。陽イオン交換材料を、中間緩衝液よりも低い第3の導電性及び/又はpHである洗浄緩衝液で洗浄し、次いで、中間緩衝液よりも高い第4の導電性及び/又はpHの溶出緩衝液で洗浄して、イオン交換材料から所望の二重特異性抗体を溶出させる。
【0075】
二重特異性抗体の分離及び精製はまた、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除/ゲル濾過クロマトグラフィー、及びFPLC及びHPLCなどのシステムを使用して大気圧又は高圧で実施される逆相クロマトグラフィーなどの他のクロマトグラフィー技術を使用して達成することもできる。精製方法としては、電気泳動、等電点電気泳動法、免疫学的、沈殿、透析、及びクロマトオフ分画技術も挙げられる。タンパク質濃度と共に限外濾過及びダイアフィルトレーション技術も有用である。好適な精製技術における一般的なガイダンスについては、例えば、ROBERT SCOPES、Protein Purification:Principles and Practice、3rd Ed(Springer-Verlag 1994)を参照されたい。この文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0076】
抗体のpIを増加又は減少させるのに好適な1つ以上のアミノ酸置換を含有する本明細書に記載の抗体は、抗体の表面電荷及びpIを改変するのに有用であると以前に同定された1つ以上の追加のアミノ酸置換を更に含んでもよく、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20140294823号(Moore)及び米国特許出願公開第20090263392号(Igawaら)において特定されたアミノ酸置換が挙げられるが、これらに限定されない。同様に、本明細書に記載される抗体は、FcγR結合及び/又はFcRn結合などの様々な追加の機能性を変更することが知られているFc領域における追加のアミノ酸置換を更に含んでもよい。最適化されたFc変異体は、当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第8,188,231号(Lazar)、米国特許第9,040,041号(Desjarlaisら)、及び米国特許第8,802,820号(Chamberlainら)を参照されたい(これらの全ては参照により本明細書に組み込まれる)。
【0077】
上記のように、本明細書に記載の抗体は、単離されたポリヌクレオチド、ベクター、及び宿主細胞を使用した様々な技術のいずれかによって調製することができる。一般に、抗体は、抗体の製造を可能にするために、従来技術又は抗体遺伝子、重鎖及び/若しくは軽鎖の好適な細菌又は哺乳類細胞宿主へのトランスフェクションを介したモノクローナル抗体の生成を含む細胞培養技術によって製造することができ、抗体は組換えであってもよい。標準的な分子生物学技術を使用して、組換え発現ベクターを調製し、宿主細胞を形質移入し、形質転換体を選択し、宿主細胞を培養し、培養培地から抗体を回収する。宿主細胞を形質移入することは、外来性DNAを原核又は真核宿主細胞内に導入するのに一般的に使用される幅広い技法、例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラントランスフェクションなどを用いて実施することができる。原核又は真核宿主細胞のいずれでも本発明の抗体を発現させることが可能ではあるが、真核細胞(特に哺乳類細胞)は、原核細胞よりも、適切に折り畳まれ免疫学的に活性な抗体を構築しかつ分泌する可能性が高いため、そのような真核細胞における抗体の発現が好ましいことがあり、哺乳類宿主細胞における抗体の発現が好ましいことがある。
【0078】
本発明の組換え抗体を発現させるための例示的な哺乳類宿主細胞としては、(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるUrlaub及びChasin、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、77:4216-4220号(1980)に記載のdhfr-CHO細胞を含む)チャイニーズハムスター卵巣(CHO細胞)が挙げられる。他の好適な哺乳類宿主細胞としては、限定するものではないが、NS0骨髄腫細胞、COS細胞、及びSP2細胞が挙げられる。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターを哺乳類宿主細胞に導入すると、抗体は、宿主細胞において抗体を発現させるのに十分な時間、あるいは、より好ましくは、宿主細胞が増殖する培地へ抗体を分泌させるのに十分な時間にわたって、宿主細胞を培養することにより製造される。
【0079】
本開示はまた、本明細書に記載される方法によって製造される改変された等電点を有する抗体を目的とする。上記に述べたように、抗体が可変重質領域を含む限り、実質上任意の抗体の等電点を本明細書に記載の方法を用いて改変することができる。
【0080】
本開示の第4の態様は、重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドと重鎖可変領域を含む第2のポリペプチドとを含み、第1のポリペプチドの重鎖可変領域の9、70、74、82a及び84位(Kabat番号付け)の1つ以上のアミノ酸残基が中性又は負に帯電したアミノ酸残基を含み、第2のポリペプチドの重鎖可変領域の対応する位置にある1つ以上のアミノ酸残基が第1のポリペプチドと比較して、差次的に帯電したアミノ酸残基を含む結果として、第1のポリペプチドの等電点が第2のポリペプチドの等電点よりも小さい、多重特異性抗体を目的とする。
【0081】
抗体を製造する方法、並びにアミノ酸置換を行う形態が上述されている。一実施形態では、第1のポリペプチドの9、70、74、82a及び84位における中性又は負に帯電したアミノ酸残基は、アミノ酸置換によって第1のポリペプチドに導入される。
【0082】
本開示のこの態様によると、本明細書に開示される例示的な二重特異性抗体は、TNFα及びαVβ3と結合する抗体である。この抗体は、軽鎖と共にTNFα(CNTO148)に結合する重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドを有する。この第1の重鎖ポリペプチドの等電点は、抗体の第2の重鎖ポリペプチドの等電点よりも低く、その軽鎖と一緒にαVβ3に結合する。
【0083】
一実施形態では、第1のポリペプチド重鎖可変領域は、配列番号1のアミノ酸配列を含み、75位の残基(Kabat残基74に対応する)は、アスパラギン酸残基(CNTO148 S75D)などの負に帯電したアミノ酸残基である。あるいは、重鎖可変領域は、配列番号1のアミノ酸配列を含み、84位のアミノ酸残基(Kabat残基82aに対応する)は、アスパラギン酸残基(CNTO148 N84D)などの負に帯電したアミノ酸残基である。更に別の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号1のアミノ酸配列を含み、88位のアミノ酸残基(Kabat残基84に対応する)は、アスパラギン酸残基(CNTO148 A88D)などの負に帯電したアミノ酸残基である。
【0084】
更に別の実施形態では、重鎖可変領域は、二重特異性抗体のpIを低下させる、2つ以上のアミノ酸置換を含む。具体的には、一実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号1のアミノ酸配列を含み、84及び88位としてのアミノ酸残基(Kabat残基82a及び84に対応する)は、アスパラギン酸残基(CNTO148 N84D及びA88D)などの負に帯電したアミノ酸残基である。別の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号1のアミノ酸配列を含み、75及び88位としてのアミノ酸残基(Kabat残基74及び84に対応する)は、アスパラギン酸残基(CNTO148 S75D及びA88D)などの負に帯電したアミノ酸残基である。別の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号1のアミノ酸配列を含み、75及び84位としてのアミノ酸残基(Kabat残基74及び82aに対応する)は、アスパラギン酸残基(CNTO148 S75D及びN84D)などの負に帯電したアミノ酸残基である。更に別の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号1のアミノ酸配列を含み、75、84及び88位としてのアミノ酸残基(Kabat残基74、82a及び84に対応する)は、アスパラギン酸残基(CNTO148 S75D、N84D及びA88D)などの負に帯電したアミノ酸残基である。
【0085】
上記のように、この例示的な二重特異性抗体は、軽鎖と共にαVβ3に結合する重鎖可変領域を含む第2のポリペプチドを有する。この第2のポリペプチドは、配列番号4(以下に示す)のアミノ酸配列を有するCNTO95抗体の重鎖可変領域を含む。一実施形態では、この重鎖可変領域の7、9、11、14、41、74、84及び113位における1つ以上のアミノ酸残基は、中性又は正に帯電したアミノ酸残基を含むように置換される。
【0086】
【0087】
本明細書に開示される別の例示的な二重特異性抗体は、TIM3(CD366)及びPD-1(CD279)と結合する抗体である。この抗体は、その軽鎖と共にTIM3に結合する可変領域を有する重鎖(TM3H24)を含む第1のポリペプチドを有する。一実施形態では、この第1の重鎖ポリペプチドの等電点は、抗体の第2の重鎖ポリペプチドの等電点よりも小さく、その軽鎖と共に、PD-1に結合する。この実施形態によると、この重鎖可変領域は、配列番号2のアミノ酸配列を含み、75位の残基(Kabat残基74に対応する)は、アスパラギン酸残基(TM3H24 S75D)などの負に帯電したアミノ酸残基である。あるいは、重鎖可変領域は、配列番号2のアミノ酸配列を含み、84位のアミノ酸残基(Kabat残基82aに対応する)は、アスパラギン酸残基(TM3H24 N84D)などの負に帯電したアミノ酸残基である。更に別の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号2のアミノ酸配列を含み、88位のアミノ酸残基(Kabat残基84に対応する)は、アスパラギン酸残基(TM3H24 A88D)などの負に帯電したアミノ酸残基である。
【0088】
あるいは、可変領域(PD1H170)を有する重鎖を含む第2のポリペプチドは、その軽鎖と共に、PD-1に結合し、TM3H24重鎖のpI及び二重特異性抗体の過剰pIに対してそのpIを低下させるように修飾される。この実施形態によると、PD1H170重鎖可変領域は、配列番号3のアミノ酸配列を含み、75位の残基(Kabat残基74に対応する)は、アスパラギン酸残基(PD1H170 S75D)などの負に帯電したアミノ酸残基である。あるいは、重鎖可変領域は、配列番号3のアミノ酸配列を含み、84位のアミノ酸残基(Kabat残基82aに対応する)は、アスパラギン酸残基(PD1H170 S84D)などの負に帯電したアミノ酸残基である。更に別の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号3のアミノ酸配列を含み、88位のアミノ酸残基(Kabat残基84に対応する)は、アスパラギン酸残基(PD1H170 S88D)などの負に帯電したアミノ酸残基である。
【0089】
本開示の別の態様は、重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドと重鎖可変領域を含む第2のポリペプチドとを含み、第1のポリペプチドの重鎖可変領域の7、9、11、14、41、74、84及び113位(Kabat番号付け)の1つ以上のアミノ酸残基が中性又は正に帯電したアミノ酸残基を含み、第2のポリペプチドの重鎖可変領域の対応する位置における1つ以上のアミノ酸残基が、第1のポリペプチドと比較して、差次的に帯電したアミノ酸残基(すなわち、それぞれ負又は中性に帯電したアミノ酸残基)を含む結果として、第1のポリペプチドの等電点が、第2のポリペプチドの等電点よりも高い、多重特異性抗体を目的とする。
【0090】
一実施形態では、第2のポリペプチドの重鎖可変領域の9、70、74、82a及び84位(Kabat番号付け)における1つ以上のアミノ酸残基は、中性又は負に帯電したアミノ酸残基を含み、第1のポリペプチドの重鎖可変領域の対応する位置における1つ以上のアミノ酸残基は、第1のポリペプチドと比較して、差次的に帯電したアミノ酸残基(すなわち、それぞれ負又は中性に帯電した残基)を含む。
【0091】
一実施形態では、第1の重鎖ポリペプチドの7、9、11、14、41、74、84及び113位の1つ以上の位置における中性又は正に帯電したアミノ酸残基は、アミノ酸置換によって第1のポリペプチドに導入される。同様に、第2の重鎖ポリペプチド中の1つ以上の中性又は負に帯電したアミノ酸残基は、アミノ酸置換によって第2のポリペプチドに導入される。
【0092】
本発明は、配列番号6、7又は8の重鎖可変領域(VH)及び配列番号5の軽鎖可変領域(VL)を含む抗TIM3抗体も提供する。本発明は、配列番号6のVH及び配列番号5のVLを含む抗TIM3抗体も提供する。本発明は、配列番号7のVH及び配列番号5のVLを含む抗TIM3抗体も提供する。本発明は、配列番号8のVH及び配列番号5のVLを含む抗TIM3抗体も提供する。
【0093】
本発明は、配列番号10、11又は12の重鎖可変領域(VH)及び配列番号9の軽鎖可変領域(VL)を含む抗PD-1抗体も提供する。本発明は、配列番号10の重鎖可変領域(VH)及び配列番号9の軽鎖可変領域(VL)を含む抗PD-1抗体も提供する。本発明は、配列番号11の重鎖可変領域(VH)及び配列番号9の軽鎖可変領域(VL)を含む抗PD-1抗体も提供する。本発明は、配列番号12の重鎖可変領域(VH)及び配列番号9の軽鎖可変領域(VL)を含む抗PD-1抗体も提供する。
【0094】
本発明はまた、PD-1に結合する第1のドメインと、TIM3に結合する第2のドメインと、を含む二重特異性PD1xTIM3抗体を提供し、第1のドメインは、配列番号10、11又は12のVH及び配列番号9のVLを含み、第2のドメインは、配列番号6、7又は8のVH及び配列番号5のVLを含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、抗PD-1、抗TIM3、又は二重特異性PD-1xTIM3抗体は、IgG1アイソタイプである。いくつかの実施形態では、抗PD-1、抗TIM3、又は二重特異性PD-1xTIM3抗体は、IgG2アイソタイプである。いくつかの実施形態では、抗PD-1、抗TIM3、又は二重特異性PD-1xTIM3抗体は、IgG3アイソタイプである。いくつかの実施形態では、抗PD-1、抗TIM3、又は二重特異性PD-1xTIM3抗体は、IgG4アイソタイプである。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される抗体は、Fc受容体(FcR)への抗体結合を調節する抗体Fcにおける少なくとも1つの変異を含む。いくつかの実施形態では、FcRはFcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIII又はFcRnである。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される抗体はS228P変異を含む。
【0097】
例示的なIgG4定常ドメインは、配列番号13(S228P変異を有するIgG4)に示される。
【0098】
【0099】
二重特異性PD-1/TIM3抗体は、国際特許出願公開第2011/131746号に記載の方法に従って、2つの単一特異性ホモ二量体抗体のCH3領域に非対称な変異を導入し、ジスルフィド結合を異性化させる還元条件下で、2つの親単一特異性ホモ二量体抗体から二重特異性ヘテロ二量体抗体を形成することによって、セルフリー環境においてインビトロで生成されてもよい。この方法において、第1の単一特異性二価抗体及び第2の単一特異性二価抗体は、ヘテロ二量体の安定性を促進するCH3ドメインにおいてある特定の置換を有するように改変されるが、これらの抗体は、ヒンジ領域におけるシステインがジスルフィド結合を異性化させるのに十分な還元条件下において共にインキュベートされ、それにより、Fabアーム交換により二重特異性抗体が生成される。使用され得る置換は、IgG1抗体における、1つの重鎖においてF405L、もう1つの重鎖においてK409Rである。IgG4抗体において、一方の野生型重鎖及び他方の重鎖におけるF405L/R409K変異を使用し得る。インキュベート条件は、最適には、非還元条件に戻され得る。使用され得る例示的な還元剤は、2-メルカプトエチルアミン(2-MEA)、ジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリスリトール(DTE)、グルタチオン、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、L-システイン、及びβ-メルカプトエタノールである。例えば、少なくとも20℃の温度で、少なくとも25mMの2-MEAの存在下又は少なくとも0.5mMのジチオスレイトールの存在下で、pH5~8、例えばpH7.0又はpH7.4で、少なくとも90分間のインキュベートを用いることができる。
【0100】
いくつかの実施形態では、抗PD-1、抗TIM3、及び二重特異性PD-1xTIM3抗体は、アンタゴニスト抗体である。本明細書で提供されるアンタゴニスト抗体によって誘導される典型的な生物活性は、抗原特異的CD4+又はCD8+T細胞の活性化である。様々な読み出しを使用して、抗原特異的CD4+又はCD8+T細胞によるインターフェロン(IFN)、IL-17 IL-2、IL-6、IL-22、IL-23、又はGM-CSFの増強された増殖又は強化された製造など、本明細書に提供される抗体の拮抗的性質を評価することができる。例示的なアッセイでは、同種異系樹状細胞又は破傷風トキソイド又はCMVなどの特定の抗原によって刺激される、正常ドナーからのT細胞に対する抗体の効果が使用される。この設定では、T細胞活性化の上清サイトカインレベル又はマーカーを測定することにより、抗体処理によるT細胞機能の変化を検出することができる。例示的なアッセイでは、CMV抗原に対して反応性であると判定されたPBMCは、抗原特異的CD4+又はCD8+T細胞の供給源として使用される。1.5×106細胞/mL又は2×106細胞/mLのCMV反応性PBMCを培養プレートに播種し、μ培養物に0.1~0.2g/mLのCMVペプチドを添加する。CMVペプチドは、例えば、JPT Technologiesから購入することができる。試験抗体を10μg/mLの単用量で添加し、プレートを6日間インキュベートし、1μCi/ウェルのメチル-3H-チミジン(PerkinElmer)の添加により6時間し細胞増殖を評価し、各試料中で放射能を測定する。あるいは、細胞によるサイトカイン産生は、ELISA又は既知の多重アッセイを使用して測定される。「アンタゴニスト」又は「拮抗」は、PD-1、TIM-3又は両方に結合すると、PD-1及び/又はTIM-3配位子によって媒介される少なくとも1つの生物活性を抑制する抗体を指す。抗体は、少なくとも1つの生物活性が、アンタゴニストの非存在下(例えば、陰性対照)でよりも、少なくとも約20%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%多く抑制されるとき、又はアンタゴニストの非存在下における抑制と比較して抑制が統計的に有意であるとき、アンタゴニストである。例示的なTIM-3配位子はガレクチン-9である。PD-L1は、PD-1の配位子である。
【0101】
本発明はまた、抗PD-1、抗TIM3、及び本発明の二重特異性PD-1xTIM3抗体、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物も提供する。治療用途では、本発明の抗体は、医薬的に許容される担体中に活性成分として有効量の抗体を含有する医薬組成物として調製することができる。「担体」は、本発明の抗体と一緒に投与される希釈剤、補助剤、賦形剤、又はビヒクルを指す。このようなビヒクルは、水、及び石油、動物、植物、又は合成物由来のものを含む油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの液体であってよい。例えば、0.4%生理食塩水及び0.3%グリシンを用いてよい。これらの溶液は滅菌され、一般には粒子状物質を含まない。これらは、通常の周知の滅菌技術(例えば、濾過)によって滅菌することができる。組成物は、生理学的条件に近づけるために必要とされる医薬的に許容される補助物質、例えば、pH調整剤及び緩衝剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤及び着色剤などを含有し得る。このような医薬製剤中の本発明の抗体又はその抗原結合断片の濃度は、約0.5重量%未満から、通常は少なくとも約1重量%まで、最大で15又は20重量%まで変動し得、また、選択される具体的な投与方法に従って、必要とされる用量、流体体積、粘度などに主に基づいて選択され得る。好適なビヒクル、及び他のヒトタンパク質、例えばヒト血清アルブミンを含む製剤は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,Troy,D.B.ed.,Lipincott Williams and Wilkins,Philadelphia,PA 2006,Part 5,Pharmaceutical Manufacturing pp691-1092に記載され、特にpp.958~989を参照されたい。
【0102】
本発明の抗体は、インビトロ及びインビボにおいて、診断上の有用性、並びに治療及び予防上の有用性を有する。例えば、本発明の抗体を、培養中の細胞にインビトロ若しくはエクスビボで投与して、又は対象に投与して、癌及び感染性疾患などの様々な疾患を治療、予防及び/若しくは診断することができる。
【0103】
また、本発明の方法は、免疫応答を増強する方法であって、免疫応答を改変するのに十分な時間、本発明の抗体又はその抗原結合断片を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0104】
「免疫応答」は、T細胞媒介性及び/又はB細胞媒介性免疫応答を含む。例示的な免疫応答としては、T細胞応答、例えば、サイトカイン産生及び細胞毒性が挙げられる。更に、免疫応答という用語は、T細胞活性化、例えば、抗体製造(体液性応答)及びサイトカイン応答性細胞(例えばマクロファージ)の活性化によって間接的に影響を受ける免疫応答を含む。
【0105】
「増強(enhance)」又は「増強する(enhancing)」又は「亢進(upmodulate)」又は「亢進させる(upmodulation)」は、対象における免疫応答のレベルの、治療又は化合物の非存在下での応答のレベルと比較して、及び/又は、そうでなければ同一であるが未治療の対象における応答のレベルと比較した、検出可能な増加を指す。
【0106】
一部の実施形態では、対象はヒトである。
【0107】
本発明の抗体は、T細胞媒介性免疫応答などの免疫応答を増強することによって治療され得る障害を有する対象を治療するのに好適である。
【0108】
いくつかの実施形態では、対象は、癌又はウイルス感染を有する。
【0109】
本発明はまた、癌を治療する方法であって、治療有効量の本明細書で提供される単離された抗体又は抗原結合断片を、癌を治療するのに十分な時間にわたって対象に投与することを含む、癌を治療する方法を提供する。
【0110】
「治療する」又は「治療」という用語は、治療的処置及び予防的又は防止的措置の両方を指すものであり、その目的は、望ましくない生理学的変化又は障害を予防又は遅延(緩和)することにある。有益な又は所望の臨床結果としては、検出可能であろうと又は検出不可能であろうと、症状の緩和、疾患の程度の軽減、安定した(すなわち、悪化しない)疾患状態、疾患の進行の遅延又は鈍化、疾患状態の改善又は緩和、及び寛解(部分的であろうと又は全体的であろうと)が挙げられる。「治療」はまた、対象が治療を受けていない場合に予想される生存期間と比較して、生存期間を延長させることを意味し得る。治療を要する者には、既に状態若しくは疾患を有している者、及び、状態若しくは疾患を有しやすい者、又は状態若しくは疾患を予防しようとする者が含まれる。
【0111】
「治療有効量」は、必要な投薬量及び期間で所望の治療結果を得るための有効量を指す。治療有効量は、個体の病態、年齢、性別、及び体重などの要因、並びに個体において所望の応答を引き出す治療薬又は治療薬の組み合わせの能力によって様々であり得る。例えば、患者の改善された健康を含む、有効な治療薬又は治療薬の組み合わせの例示的な指標。
【0112】
癌は、過剰増殖状態又は障害、固体腫瘍、血液悪性疾患、軟組織腫瘍、又は転移病変であってもよい。
【0113】
「癌」は、病理学的な種類又は侵襲性の段階に関係なく、全ての種類の癌性成長又は発癌プロセス、転移組織又は悪性腫瘍形質転換細胞、組織、又は器官を含むことを意味する。癌の例としては、固形腫瘍、血液悪性腫瘍、軟組織腫瘍、及び転移性病変が挙げられる。例示的な固形腫瘍としては、肝臓、肺、乳房、リンパ系、胃腸(例えば結腸)、生殖器系(例えば腎、尿上皮細胞)、前立腺及び咽頭に影響を及ぼすものなどの様々な臓器系の悪性腫瘍、例えば非上皮性悪性腫瘍、及び上皮性悪性腫瘍(腺癌及び扁平上皮癌を含む)、などの悪性腫瘍が挙げられる。腺癌には、最も結腸癌、直腸癌、腎細胞癌、肝臓癌、肺の非小細胞癌、小腸の癌、及び食道の癌などの悪性腫瘍が挙げられる。扁平上皮癌としては、例えば、肺、食道、皮膚、頭及び頸部領域、口腔、肛門、及び子宮頸部の悪性腫瘍が挙げられる。
【0114】
いくつかの実施形態では、癌は黒色腫である。
【0115】
癌の転移性病変は、本明細書に記載される本発明の方法及び抗体を使用して治療又は予防されてもよい。
【0116】
本発明の抗体を使用して増殖が阻害又は低減され得る例示的な癌としては、免疫療法に応答し得る癌が挙げられる。例示的なかかる癌としては、黒色腫、腎癌、前立腺癌、乳癌、結腸癌、消化管癌、胃癌、食道癌、肺癌、転移性悪性黒色腫、透明細胞癌、ホルモン不応性前立腺腺癌、非小細胞肺癌又は頭部頸部癌が挙げられる。難治性又は再発性悪性腫瘍は、本明細書に記載される本発明の抗体を使用して治療され得る。
【0117】
本発明の抗体で治療され得る例示的な他の癌は、肛門癌、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及びCNS癌、卵管の癌、膣癌、外陰部癌、皮膚又は眼内悪性黒色腫、経食道癌、精巣癌、卵巣癌、膵臓癌、直腸癌、子宮癌、原発性CNSリンパ腫;中枢神経系(CNS)の腫瘍、子宮頸癌、絨毛癌、直腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、眼癌;上皮内腫瘍、腎臓癌、喉頭癌、肝癌;小細胞肺癌、神経芽腫、口腔癌(例えば、唇、舌、口、及び咽頭)、鼻咽頭癌、網膜芽腫、横紋筋肉腫、呼吸器系の癌、肉腫、甲状腺癌、泌尿器系の癌、肝癌、肛門領域の癌、肛門の癌、卵管の癌、膣癌、外陰部癌、小腸癌、内分泌系癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟組織の肉腫、尿道の癌、ペニスの癌、小児の固形腫瘍、腫瘍血管新生、脊髄軸腫瘍、脳幹膠腫、下垂体腺腫、カポジ肉腫、メルケル細胞癌、上皮細胞癌、扁平上皮癌、アスベストによって誘導されるものを含む環境誘導性癌、並びに他の癌腫及び肉腫、並びに当該癌の組み合わせが挙げられる。
【0118】
本発明の抗体で治療され得る例示的な血液悪性腫瘍としては、白血病、リンパ腫、及び骨髄腫、例えば前駆B細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫及びB細胞非ホジキンリンパ腫、急性前骨髄球性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、B細胞慢性リンパ球性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)、B細胞急性リンパ球性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)(低グレード、中間グレード及び高グレードFL、皮膚濾胞中心リンパ腫、辺縁領域B細胞リンパ腫(MALT型、ノード及び脾臓型)、毛状細胞白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、バーキットリンパ腫(BL)、形質細胞腫、多発性骨髄腫(MM)、形質細胞白血病、移植後リンパ増殖性疾患、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、形質細胞疾患、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、T細胞急性リンパ球性白血病、原発性全身性アミロイドーシス(例えば、軽鎖アミロイドーシス)、前リンパ球/骨髄球性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、大顆粒リンパ球(LGL)白血病、NK細胞白血病、及びホジキンリンパ腫が挙げられる。
【0119】
「形質細胞疾患」は、クローン性形質細胞によって特徴付けられる疾患を指し、多発性骨髄腫、軽鎖アミロイドーシス、及びワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症を含む。軽鎖アミロイドーシス及びワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症は、多発性骨髄腫とは無関係に発症し得る。これらはまた、多発性骨髄腫と同時に存在し、多発性骨髄腫の進行より前又はそれより後のいずれかに進行し得る。
【0120】
例示的なB細胞非ホジキンリンパ腫は、リンパ腫様肉芽腫症、原発性滲出性リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、重鎖病(γ、μ、及びα病を含む)、免疫抑制剤による療法によって誘発されるリンパ腫、例えばシクロスポリン誘発性リンパ腫及びメトトレキサート誘発性リンパ腫である。
【0121】
PD-L1を発現する転移性癌を含む癌を有する患者は、本発明の抗体で治療され得る。癌は、黒色腫、腎細胞癌、扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)、非扁平上皮NSCLC、大腸直腸癌、性腺摘除抵抗性前立腺癌、卵巣癌、胃癌、腺癌(ACA)、扁平上皮細胞癌(SCC)、肝細胞癌(HCC)、膵臓癌、頭部及び頸部の扁平上皮細胞癌、食道、消化管及び乳房の癌であり得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、対象は、PD-L1を発現する腫瘍を有する。
【0123】
いくつかの実施形態では、対象は、PD-L1抗体による治療後に難治性及び/又は再発性である。いくつかの実施形態では、PD-L1抗体は、アベルマブチ、デュルバルマブ、又はアテゾリズマブである。様々な定性的及び/又は定量的方法が、疾患の再発又は難治性を決定するために使用され得る。再発又は耐性に関連し得る症状は、例えば、患者の健康状態の低下若しくはプラトー状態、固体腫瘍に関連する様々な症状の復元若しくは悪化、及び/又は1つの場所から他の臓器、組織若しくは細胞への体内の癌性細胞の拡がりである。
【0124】
本発明はまた、ウイルス感染を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の本明細書で提供される単離された抗体又は抗原結合断片を、ウイルス感染を治療するのに十分な時間にわたって投与することを含む、方法を提供する。
【0125】
本発明の抗体により治療可能であり得る例示的なウイルス感染としては、HIV、肝炎(A、B、又はC)、ヘルペスウイルス(例えば、VZV、HSV-1、HAV-6、HSV-II、及びCMV、エプスタインバーウイルス)、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コルノウイルス(cornovirus)、呼吸器合胞体ウイルス、ムンプスウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウウイルス、HTLVウイルス、デンググウイルス、パピローマウイルス、軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルス、及びアルボウイルス脳炎ウイルスが挙げられる。
【0126】
本発明の更なる実施形態
本明細書の他の箇所の開示に従う、本発明の特定の更なる実施形態を以下に記載する。本明細書に開示される本発明に関連するものとして上述された本発明の実施形態の特徴は、これらの番号付けされた更なる実施形態のうちの1つ1つにもまた関係する。
【0127】
実施形態1。配列番号6、7又は8の重鎖可変領域(VH)及び配列番号5の軽鎖可変領域(VL)を含む抗TIM3抗体。
【0128】
実施形態2。配列番号6のVH、及び配列番号5のVLを含む抗TIM3抗体。
【0129】
実施形態3。配列番号7のVH、及び配列番号5のVLを含む抗TIM3抗体。
【0130】
実施形態4。配列番号8のVH、及び配列番号5のVLを含む抗TIM3抗体。
【0131】
実施形態5。配列番号10、11又は12のVH、及び配列番号9のVLを含む抗PD-1抗体。
【0132】
実施形態6。配列番号10のVH、及び配列番号9のVLを含む抗PD-1抗体。
【0133】
実施形態9。配列番号11のVH、及び配列番号9のVLを含む抗PD-1抗体。
【0134】
実施形態10。配列番号12のVH、及び配列番号9のVLを含む抗PD-1抗体。
【0135】
実施形態11。PD-1に結合する第1のドメイン及びTIM3に結合する第2のドメインを含む二重特異性PD-1xTIM3抗体であって、第1のドメインが、配列番号10、11又は12のVH及び配列番号9のVLを含み、第2のドメインが、配列番号6、7又は8のVH及び配列番号5のVLを含む、二重特異性PD-1xTIM3抗体。
【0136】
実施形態12。第1のドメインが、配列番号10のVH及び配列番号9のVLを含み、第2のドメインが配列番号6のVH及び配列番号5のVLを含む、実施形態11に記載の二重特異性PD-1xTIM3抗体。
【0137】
実施形態13。第1のドメインが、配列番号11のVH及び配列番号9のVLを含み、第2のドメインが配列番号6のVH及び配列番号5のVLを含む、実施形態11に記載の二重特異性PD-1xTIM3抗体。
【0138】
実施形態14。第1のドメインが、配列番号12のVH及び配列番号9のVLを含み、第2のドメインが配列番号6のVH及び配列番号5のVLを含む、実施形態11に記載の二重特異性PD-1xTIM3抗体。
【0139】
実施形態15。第1のドメインが、配列番号10のVH及び配列番号9のVLを含み、第2のドメインが配列番号7のVH及び配列番号5のVLを含む、実施形態11に記載の二重特異性PD-1xTIM3抗体。
【0140】
実施形態16。第1のドメインが、配列番号11のVH及び配列番号9のVLを含み、第2のドメインが配列番号7のVH及び配列番号5のVLを含む、実施形態11に記載の二重特異性PD-1xTIM3抗体。
【0141】
実施形態17。第1のドメインが、配列番号12のVH及び配列番号9のVLを含み、第2のドメインが配列番号7のVH及び配列番号5のVLを含む、実施形態11に記載の二重特異性PD-1xTIM3抗体。
【0142】
実施形態18。第1のドメインが、配列番号10のVH及び配列番号9のVLを含み、第2のドメインが配列番号8のVH及び配列番号5のVLを含む、実施形態11に記載の二重特異性PD-1xTIM3抗体。
【0143】
実施形態19。第1のドメインが、配列番号11のVH及び配列番号9のVLを含み、第2のドメインが配列番号8のVH及び配列番号5のVLを含む、実施形態11,に記載の二重特異性PD-1xTIM3抗体。
【0144】
実施形態20。第1のドメインが、配列番号12のVH及び配列番号9のVLを含み、第2のドメインが配列番号8のVH及び配列番号5のVLを含む、実施形態11に記載の二重特異性PD-1xTIM3抗体。
【0145】
実施形態21。抗体がIgG4アイソタイプである、実施形態1~20のいずれか1つに記載の抗体。
【0146】
実施形態22。配列番号13の野生型IgG4と比較して、S228P変異を含む、実施形態1-21のいずれか1つに記載の抗体。
【0147】
実施形態23。抗体がアンタゴニスト抗体である、実施形態1~22のいずれか1つに記載の抗体。
【0148】
実施形態24。実施形態1~23のいずれか1つに記載の抗体を含む医薬組成物。
【0149】
実施形態25。治療において使用するための、実施形態1~23のいずれか1つに記載の抗体又は実施形態24に記載の医薬組成物。
【0150】
実施形態24。癌を有する対象を治療する際に使用するための、実施形態1~23のいずれか1つに記載の抗体又は実施形態24に記載の医薬組成物。
【0151】
実施形態25.癌が固形腫瘍又は血液悪性疾患である、実施形態24に記載の使用のための抗体又は医薬組成物。
【実施例】
【0152】
以下の実施例は、本発明の実施形態を例示するために提供されるが、その範囲を限定することを意図するものではない。
【0153】
実施例1-モノクローナル及び二重特異性抗TNFα抗体の等電点改変
表面電荷を増加又は減少させるように置換され得る可変領域の表面内のアミノ酸残基を同定するために、CNTO148抗体を用いた。CNTO148は、TNFαと結合するモノクローナル抗体である。抗体結晶構造は利用可能である。CNTO148抗体の等電点は~9である。9、70、74、82a及び84(Kabat番号付け)(配列番号1のアミノ酸位置9、71、75、84及び88に対応する)における可変重鎖領域におけるアミノ酸置換を最初に試験して、CNTO148抗体の等電点(pI)を低下させる能力を決定した。これらの置換は、重鎖可変領域をコードする核酸分子の修飾を介して、単独で又は組み合わせて導入した(実施例4を参照のこと)。変異体は、Expi293細胞を使用して発現させた。
【0154】
【0155】
変異体は、キャピラリー等電点電気泳動法(cIEF)、ドデシル硫酸ナトリウム電気泳動法(cSDS)又はドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS-PAGE)、及びサイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)を使用して特徴付けられた。製造元のプロトコルに従ってProtein Simple社のiCE3分析器を使用して、pH8~10.5のアンホライトと組み合わせて、pH5~8又はpH3~10でiCEFを行った。Caliper社のLab Chip GXIIで、Protein Expressチップ及びHT Protein Express Reagent Kitを使用して、cSDSを行った。SDS-PAGEは、Novex NuPAGE 1-12% Bis-Tris Gel、Invitrogen SeeBlue Plus2 Prestained Standard(1X)、及び1X MES Running Bufferを使用して行った。SE-HPLCは、TOSOH Bioscience Bioassist G35W、内径7.8mm、30cmカラムを使用してWaters Allianceで行った。
【0156】
変異体はまた、抗原結合の変化について特徴付けられた。抗原結合は、Jackson ImmunoresearchからF(ab’)2断片ロバ抗ヒトFcでコーティングされたMaxisorpプレート(Nunc)を使用して測定し、Superblock(Pierce)でブロッキングした。次いで、変異体の連続希釈物をプレートに添加し、結合させた。TNFに結合するCNTO148を測定するために、ビオチン化ヒトTNFを加え、続いてストレプトアビジン-HRP(Jackson Immunoresearch)を加え、TMB基質(Fitzgerald)を用いて結合されたTNFを検出した。
【0157】
サンプルのアンフォールディング温度(Tm)及び凝集開始温度(Tagg)もまた、Activa Optim 2、又は更新されたUNCLE器具のいずれかを使用して分析した。これらの機器は、凝集開始の指標として温度を上昇させたタンパク質のアンフォールディング及び光散乱の指標として、温度を上昇させて固有蛍光を測定する。タンパク質がアンフォールディング又は凝集し始める温度は、その構造的安定性を示すことができる。この分析のために、毎分0.3℃で20℃~85℃の温度ステップを使用した。
【0158】
結果
CNTO148変異体の特性評価を以下の表2に要約する。CNTO148 S75D及びN84D変異体の実験的に測定されたpIは、9.1のpIを有する野生型(WT)と比較して、それぞれ8.9及び9.0であった。別個の実験において、CNTO148 A88D変異体のpIは、9.2.のpIを有するWTと比較して9.1であった。更に別の実験では、CNTO148 G9E及びS71E変異体のpIは、8.9のpIを有するWTと比較してそれぞれ8.7及び8.7であった。実験間のWT CNTO148のpIの差は、通常の日間変動性及び電解質の組成のわずかな変化に起因している可能性が高い。少なくとも野生型対照と同様にTNFαと結合したS75D、N84D、A88D、G9E及びS71E変異体では、
図1Aは、野生型(148WT及びCNTO148)と比較して、S75D及びN84D変異体の結合を示し、
図1Bは、野生型CNTO148とA88D変異体を比較し、
図1Cは、G9E及びS71E変異体の結合をWT CNTO148と比較する。CNTO95を陰性対照として使用した。変異体はまた、WTと非常に類似したSE-HPLCプロファイルをもたらした。
図2A~2Cは、CNTO148野生型(
図2A)、N84D(
図2B)、及びS75D(
図2C)のSE-HPLCプロファイルを示し、
図3A~3Bは、CNTO148野生型(
図3A)及びA88D変異体(
図3B)のSE-HPLCプロファイルの比較を示す。
図4A~4Cは、CNTO148野生型(
図4A)、G9E(
図4B)、及びS71E(
図4C)のSE-HPLCプロファイルの比較を示す。
【0159】
【0160】
凝集開始時の温度を、コロイド安定性の指標として測定した。S75D変異体及びN84D変異体の凝集の開始(T
agg)は、66.8℃及び65.8℃で発生し(それぞれ
図5B及び5Cを参照されたい)、これは、この実験で63.9℃で発生した野生型CNTO148の凝集の開始よりもそれほど高くない場合に類似していた(
図5Aを参照のこと)。別の実験では、A88D変異体の凝集の開始は66.9℃(
図6B)で発生すことが見出され、これは67.6℃(
図6A)での野生型コンストラクトと同様であった。別の実験では、68.6℃(
図7A)での野生型CNTO148と比較して、G9E変異体及びS71E変異体についての凝集開始が、65.7℃(
図7B)及び69.5℃(
図7C)でそれぞれ発生することが出された。
【0161】
アンフォールディング温度は、立体配座安定性の指標として測定された。S75D変異体及びN84D変異体のアンフォールディング温度(T)は、67.3℃(
図8B)及び65.3℃(
図8C)でそれぞれ生じ、これは63.9℃で発生した野生型CNTO148のアンフォールディング温度と同様であった(
図8A)。別個の実験では、A88D変異体のアンフォールディング温度は66.9℃(
図9B)で生じ、れは67.3℃で生じた実験における野生型コンストラクトと類似していた(
図9A)。更に別の実験では、68.8℃で生じたこの実験の野生型CNTO148(
図10A)と比較して、G9E変異体及びS71E変異体のアンフォールディング温度は、65.8℃(
図10B)及び69.6℃(
図10C)で生じることが見出された。T
m及びT
aggにおいて2℃を超える低下を示した変異体は、安定性の低下を有すると見なされた。これらの変異体のうち、G9E変異体のみが、WTと比較して結合の低減を示し、Tmが3℃低く、凝集の開始が2.9℃低かった。
【0162】
実施例2-モノクローナル及び二重特異性抗αVβ3抗体の等電点改変
表面電荷を増加又は減少させるように置換され得る可変領域の表面内のアミノ酸残基を同定するために、CNTO95抗体を用いた。CNTO95は、αVβ3と結合するモノクローナル抗体である。結晶構造は利用可能である。CNTO95抗体の等電点は約9である。7、9、11、14、41、74、84及び113位(Kabat番号付け)(配列番号4のアミノ酸位置7、9、11、14、41、71、88及び119に対応する)における可変重鎖領域におけるアミノ酸置換を最初に試験して、CNTO95抗体の等電点(pI)を低下させる能力を決定した。これらの置換は、重鎖可変領域をコードする核酸分子の修飾を介して単独で又は組み合わせて導入した。変異体は、Expi293を用いて発現させた。
【0163】
【0164】
変異体は、キャピラリー等電点電気泳動法(cIEF)、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS-PAGE)、及びサイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE-HPLC)を使用して特徴付けられた。cIEFは、製造元のプロトコルに従って、pH3~10及びpH8~10.5のアンホライトを用いて、Protein Simple社のiCE3分析器を使用して行った。SDS-PAGEは、Novex NuPAGE 1-12% Bis-Tris Gel、Invitrogen SeeBlue Plus2 Prestained Standard(1X)、及び1X MES Running Bufferを使用して行った。SE-HPLCは、TOSOH Bioscience Bioassist G35W、内径7.8mm、30cmカラムを使用してWaters Allianceで行った。
【0165】
変異体はまた、抗原結合の変化について特徴付けられた。抗原結合は、Jackson ImmunoresearchのF(ab’)2断片ロバ抗ヒトFcでコーティングされたMaxisorpプレート(Nunc)を使用して測定し、Superblock(Pierce)でブロッキングした。次いで、変異体の連続希釈物をプレートに添加し、結合させた。αVβ3に結合するCNTO95を測定するために、ビオチン化ヒトαVβ3を添加し、続いてストレプトアビジン-HRP(Jackson Immunoresearch)を加え、TMB基質(Fitzgerald)を用いて結合αVβ3を検出した。
【0166】
サンプルはまた、更新されたUNCLE器具を使用して分析された。この機器は、凝集開始の指標として温度を上昇させたタンパク質のアンフォールディング及び光散乱の指標として、温度を上昇させて固有蛍光を測定する。タンパク質がアンフォールディング又は凝集し始める温度は、その構造的安定性を示すことができる。この分析のために、毎分0.3℃で20℃~85℃の温度ステップを使用した。
【0167】
結果
CNTO95変異体の特性評価を以下の表4に要約する。CNTO95 S7R、G9R、V11R、P14R、P41R、S71K、A88R及びS119R変異体のpIは、9.05.のpIを有するCNTO95野生型と比較して、それぞれ9.2、9.2、9.2、9.2、9.2、9.1、9.2及び9.2であった。全ての変異体は、少なくとも野生型対照と同様にαVβ3に結合した。
図11は、野生型(CNTO95)と比較した上記変異体の結合を示す。陰性対照として、CNTO148を用いた。変異体はまた、WTと非常に類似したSE-HPLCプロファイルをもたらした。
図12A~12Iは、CNTO95野生型(
図12A)、S7R(
図12B)、G9R(
図12C)、V11R(
図12D)、P14R(
図12E)、P41R(
図12F)、S71K(
図12G)、A88R(
図12H)及びS119R(
図12I)のSE-HPLCプロファイルを示す。
【0168】
【0169】
S7R、G9R、V11R、P14R、P41R、S71K、A88R及びS119R変異体についての凝集の開始(T
agg)は、68.2℃で発生した野生型CNTO95についての凝集の開始(
図13Aを参照)と比較して、67.2℃(
図13B)、57.9℃(
図13C)、63.9℃(
図13D)、63.5℃(
図13E)、66.4℃(
図13F)、64.9℃(
図13G)、67.6℃(
図13H)、及び66.7℃(
図13I)で発生した。
【0170】
S7R、G9R、V11R、P14R、P41R、S71K、A88R及びS119R変異体のアンフォールディング温度(T
m)は、68.8℃(
図14A)で発生した野生型CNTO95のアンフォールディング温度と比較して、それぞれ67.9℃(
図14B、59.4℃(
図14C、64.8℃(
図14D)64.3℃(
図14E)66.8℃(
図14F)65.8℃(
図14G)68.0℃(
図14H)、及び67.6℃(
図14I)で発生した。T
m及びT
aggの2℃低下を示した変異体は、安定性が低下したと見なされ、5℃を超える低下を示した変異体は、安定性が大幅に低下したと見なされた。これらの変異体のうち、G9R変異体のみが安定性を大幅に低下させ、9.4℃低いT
m及び、10.3℃凝集の開始を有した。V11R、P14R、P41R及びS71K変異体は、安定性の低下を示した。これらは、それぞれ4℃、4.5℃、2℃、及び3℃低いT
mを有し、それぞれ4.3℃、4.7℃、1.8℃、及び3.2℃低いT
aggを有した。
【0171】
実施例3-モノクローナル及び二重特異性抗TIM3及び抗PD1抗体の等電点改変
重鎖可変領域におけるKabat位置74、82a及び84位における等電点を改変するためのアミノ酸置換の有用性を更に調べるために、2つの追加抗体、抗TIM3及び抗PD1抗体の変異体を試験した。TIMB337は、TIM3に結合するモノクローナル抗体(CD366)であり、PD1B244は、PD-1に結合するモノクローナル抗体(CD279)である。TIMB337及びPD1B244のpIは、7.26及び7.06(IgG4バージョンについて)であり、したがって、これら2つのホモ二量体とこれら2つを組み合わせて形成される二重特異性との間のpIの差は、0.1単位未満である。これは、解像度が0.1.であることが観察されたCEXカラムで反射された。
【0172】
74、82a位及び84位(Kabat番号付け)(それぞれ、配列番号2及び配列番号3のアミノ酸位置75、84及び88に対応)でのTIM337及びPD1B244の重鎖可変領域におけるアミノ酸置換を最初に試験して、これらの抗体の等電点(pI)を低下させる能力を決定した(表5及び6を参照されたい)。これらの置換は、重鎖可変領域をコードする核酸分子の修飾を介して単独で又は組み合わせて導入した。この変異体を、24ウェルプレート中のExpi293細胞を用いて発現させた。
【0173】
【0174】
【0175】
TIMB377及びPD1B244変異体を24ウェルプレートで発現させ、精製した。CNTO148変異体の特性評価に使用される方法と同じパネルを使用して、cSDS、SE-HPLC、cIEFを含み、TIMB377及びPD1B244変異体を分析した。この場合、cIEFは、pH3~10及びpH5~8のアンホライトで行った。安定性は、前のように、Activa Optim2を使用して測定した。抗原結合もPOC抗体のそれぞれについて測定した。ELISAを使用してTIM3結合を測定した。簡潔に述べると、Maxisorpプレート(Nunc)をストレプトアビジンでコーティングし、次いで、0.4%BSAのPBSでブロッキングした。次いで、0.4%BSAのPBS中1ug/mLの濃度で、R&D systemsのビオチン化ヒトTIM3-Fc融合物を結合させた。次いで、変異体の連続希釈物を添加し、結合させた。次に、0.4%BSAのPBSへの1:5000希釈でペルオキシダーゼ結合ヤギ抗ヒトカッパ(Southern Biotech)を添加した(TIM3-Fc融合物の結合を回避するために抗FCを使用しなかった)。最後に、TMB基質(Fitzgerald)を使用して、検出を行った。
【0176】
PD1に対する電荷変異体の結合を測定するために、Proteon SPR器具を使用した。このため、GLC型センサチップは、全ての6つのチャネル(約5000RU)のフローセル上でヤギ抗ヒト/抗マウスFc抗体(酢酸Na(pH4.5)中)を共有結合的に固定することによって調製した。次に、抗PD1 mAbsをPBSTEで0.001mg/mLに希釈し、全ての配位子チャネル(約180RU)にわたって捕捉した。最後に、ヒトPD1抗原(PBSTEの4倍希釈で100nM~0.4nM)を抗PD1mAb捕捉チャネルの上に注入し、会合/解離プロファイルをそれぞれ4及び30分間モニターした。0.85%H3PO4を用いて、各滴定サイクルの終了時に再生を行った。データを分析して、捕捉及び結合相互作用を確認した。
【0177】
結果
TIMB377変異体の分析は、野生型と同様に全ての挙動を示した(表7を参照されたい)。3つのS75D N84D及びA88D変異体全てのpIは、8.7のpIを有するWTと比較して8.5であった。3つの変異体の全ては、少なくともWTと同様にTIM3に結合し(
図15)、それぞれは、WTと非常に類似したSE-HPLCプロファイルをもたらした(
図16A~16D)。加えて、67.5℃、68.2℃及び66.7℃でのS75D、N84D及びA88D変異体の凝集の開始は、68.5℃でのWT開始と同様であった(
図17A~17D)。
【0178】
【0179】
PD1B244単一置換変異体特性評価結果を以下の表8に示す。これらの実験では、野生型抗PD1は、SE-HPLCにより証明されるように凝集する傾向を示し、これは、置換が凝集に影響を及ぼすかどうかを判定することを困難にした。SE-HPLCによる野生型純度は78%モノマーであったが、単一の変異体は51%~95%モノマーの範囲であった。PD-1抗体を特徴付ける、以前の実験は、この抗体の凝集が温度及びpHに敏感であり、したがって、モノマーの割合の変動は、試料の処理中の実験条件の違いに起因し得ることを示した。このため、一部の変異体に見られるモノマーの可変割合は、更なる評価からこれらの置換を除外する有効な基準とは見なされず、%モノマーは、PD-1抗体変異体の最終分析に含まれなかった。しかしながら、更なる研究は、プロセスの最適化を通して、このような凝集を大幅に最小限に抑えることができ、現在記載されている実験を、このような最適化なしにPBS中で実施したことを示した。
【0180】
S75D、S84D及びS88D変異体のpIは、8.9のpIを有するWTと比較して、8.6、8.6及び8.7であった。3つの変異体は全て、WTと類似したKDでヒトPD1に結合した(
図18)。これらはまた、WTと非常に類似したSE-HPLCプロファイルをもたらした。この場合、WT抗PD1抗体のSE-HPLCプロファイルは、推定モノマーピークよりも早く溶出したいくつかのバンドを含んでいた。これらのピークの数及び外観は、電荷置換によって影響を受けなかった(
図19A~19D)。加えて、66.6℃、66.1℃及び66.5℃でのS75D、S84D及びS88D変異体の凝集の開始は、65.7℃でのWT開始と類似していた(
図20A~20D)。モノマー%についての可変SE-HPLC結果とは別に、他の全てのデータは、試験した3つの単一変異が全てWT様であったことを示す。
【0181】
【0182】
実施例4-CNTO148複数置換変異体特性評価
S75D、N84D又はA88Dからなる4つの複数置換CNTO148変異体のpIを、以下の表9に示す。CNTO148抗体については、置換の2つを組み合わせて、0.25~0.31pH単位のpIの低下をもたらした。3つ全てを組み合わせると、0.45pH単位が減少した。
【0183】
【0184】
図21に示されるように、全ての組み合わせ変異体は、野生型CNTO148と同様にTNFに結合している。これらはまた、WTと非常に類似したSE-HPLCプロファイルをもたらした(
図22A~22E)。加えて、変異体の立体構造及びコロイド安定性の両方は、WTと類似していた(下記の表10、
図23A~23E及び
図24A~24E)。変異体(Tm)の立体配座安定性は、WTの0.5℃以内であり、コロイド安定性(凝集開始)は、WTの0.7℃以内であった。
【0185】
【0186】
好ましい実施形態を本明細書で詳細に描写及び説明するが、本発明の趣旨から逸脱することなく様々な修正、追加、置換などを行うことができ、したがって、これらは以下の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内であると考えられることは、当業者には明らかであろう。
以下の態様を包含し得る。
[1] 抗体の等電点を改変する方法であって、
抗体を提供することと、
ここで前記抗体が、
重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドと、
重鎖可変領域を含む第2のポリペプチドと、を含み;
前記抗体の前記第1及び第2のポリペプチドのうちの少なくとも1つにおいて、Kabat番号付けシステムに従って7、9、11、14、41、70、74、82a、84及び113位における重鎖可変領域(V
H
)の1つ以上のアミノ酸残基を置換することと、
ここで前記置換することが前記抗体の前記等電点を上昇又は低下させる;
を含む、方法。
[2] 7、9、11、14、41、74、84及び113位(Kabat番号付け)における前記V
H
の前記1つ以上のアミノ酸残基が、中性に帯電したアミノ酸残基である場合、前記置換することが、
前記1つ以上の中性に帯電したアミノ酸残基を、1つ以上の正に帯電したアミノ酸残基と交換して、前記抗体の前記等電点を上昇させることを含む、上記[1]に記載の方法。
[3] 7、9、11、14、41、74、84及び113位(Kabat番号付け)における前記V
H
の前記1つ以上のアミノ酸残基が負に帯電したアミノ酸残基である場合、前記置換することが、
前記1つ以上の負に帯電したアミノ酸残基を、1つ以上の中性又は正に帯電したアミノ酸残基と交換して、前記抗体の前記等電点を上昇させることを含む、上記[1]に記載の方法。
[4] 9、70、74、82a及び84位(Kabat番号付け)における前記V
H
の前記1つ以上のアミノ酸残基が中性に帯電したアミノ酸残基である場合、前記置換することが、
前記1つ以上の中性に帯電したアミノ酸残基を、1つ以上の負に帯電したアミノ酸残基と交換して、前記抗体の前記等電点を低下させることを含む、上記[1]に記載の方法。
[5] 9、70、74、82a及び84位(Kabat番号付け)における前記V
H
の前記1つ以上のアミノ酸残基が正に帯電したアミノ酸残基である場合、前記置換することが、
前記1つ以上の正に帯電したアミノ酸残基を、1つ以上の中性又は負に帯電したアミノ酸残基と交換して、前記抗体の前記等電点を低下させることを含む、上記[1]に記載の方法。
[6] 前記抗体が多重特異性抗体であり、前記第1及び第2のポリペプチドが異なる重鎖可変領域を含む、上記[1]に記載の方法。
[7] 前記置換することが前記第1又は第2のポリペプチドのうちの1つのみにおいて行われる、上記[6]に記載の方法。
[8] 前記置換することが前記第1又は第2のポリペプチドの両方において行われる、上記[6]に記載の方法。
[9] 前記第1のポリペプチドの前記1つ以上のアミノ酸残基置換が、前記第2のポリペプチドの前記1つ以上のアミノ酸残基置換とは異なる、上記[8]に記載の方法。
[10] 前記置換することが、
前記第1又は第2のポリペプチドのうちの少なくとも1つにおいて、74位(Kabat番号付け)の前記V
H
アミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換することを含む、上記[1]に記載の方法。
[11] 前記置換することが、
前記第1又は第2のポリペプチドのうちの少なくとも1つにおいて、82a位(Kabat番号付け)の前記V
H
アミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換することを含む、上記[1]に記載の方法。
[12] 前記置換することが、
前記第1又は第2のポリペプチドのうちの少なくとも1つにおいて、84位(Kabat番号付け)の前記V
H
アミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換することを含む、上記[1]に記載の方法。
[13] 前記置換することが、
前記第1又は第2のポリペプチドのうちの少なくとも1つにおいて、74、82a及び84位(Kabat番号付け)から選択される位置のうちの少なくとも2ヶ所で前記V
H
アミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換することを含む、上記[1]に記載の方法。
[14] 前記置換することが、
前記第1又は第2のポリペプチドのうちの少なくとも1つにおいて、74、82a及び84位(Kabat番号付け)の3つ全ての位置の前記V
H
アミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換することを含む、上記[1]に記載の方法。
[15] 前記抗体がIgG抗体である、上記[1]に記載の方法。
[16] 前記抗体が、キメラ抗体、ヒト化抗体、又はヒト抗体である、上記[1]に記載の方法。
[17] 上記[1]に記載の方法により製造される改変された等電点を有する抗体。
[18] 二重特異性抗体の、その2つの親抗体からの分離を増強する方法であって、
第1及び第2の親抗体を提供することと、
ここで各親抗体は重鎖可変領域を含み;
前記第1及び第2の親抗体のうちの少なくとも1つにおいて、Kabat番号付けシステムによる7、9、11、14、41、70、74、82a、84及び113位の重鎖可変領域(V
H
)中の1つ以上のアミノ酸残基を置換することと、
ここで前記置換することが、前記第2の親抗体に対する前記第1の親抗体の前記等電点を上昇又は低下させ;
前記置換することの後に、前記2つの親抗体から前記二重特異性抗体を製造することと;
前記製造された二重特異性抗体をその2つの親抗体から分離することと、
ここで前記分離することが前記置換することの結果として増強される;
を含む、方法。
[19] 前記第1の親抗体の7、9、11、14、41、74、84及び113位(Kabat番号付け)における前記V
H
の前記1つ以上のアミノ酸残基が、中性に帯電したアミノ酸残基である場合、前記置換することが、
前記1つ以上の中性に帯電したアミノ酸残基を、1つ以上の正に帯電したアミノ酸残基と交換して、前記第1の親抗体の前記等電点を上昇させることを含む、上記[18]に記載の方法。
[20] 前記第1の親抗体の7、9、11、14、41、74、84及び113位(Kabat番号付け)における前記V
H
の前記1つ以上のアミノ酸残基が負に帯電したアミノ酸残基である場合、前記置換することが、
前記1つ以上の負に帯電したアミノ酸残基を、1つ以上の中性又は正に帯電したアミノ酸残基と交換して、前記第1の親抗体の前記等電点を上昇させることを含む、上記[18]に記載の方法。
[21] 前記第1の親抗体の9、70、74、82a及び84位(Kabat番号付け)における前記V
H
の前記1つ以上のアミノ酸残基が中性に帯電したアミノ酸残基である場合、前記置換することが、
前記1つ以上の中性に帯電したアミノ酸残基を、1つ以上の負に帯電したアミノ酸残基と交換して、前記第1の親抗体の前記等電点を低下させることを含む、上記[18]に記載の方法。
[22] 前記第1の親抗体の9、70、74、82a及び84位(Kabat番号付け)における前記V
H
の前記1つ以上のアミノ酸残基が正に帯電したアミノ酸残基である場合、前記置換することが、
前記1つ以上の正に帯電したアミノ酸残基を、1つ以上の中性又は負に帯電したアミノ酸残基と交換して、前記第1の親抗体の前記等電点を低下させることを含む、上記[18]に記載の方法。
[23] 前記置換することが、
前記第1の親抗体における74位(Kabat番号付け)の前記V
H
アミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換して、前記第1の親抗体の前記等電点を低下させることを含む、上記[18]に記載の方法。
[24] 前記置換することが、
前記第1の親抗体における82a位(Kabat番号付け)の前記V
H
アミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換して、前記第1の親抗体の前記等電点を低下させることを含む、上記[18]に記載の方法。
[25] 前記置換することが、
前記第1の親抗体における84位(Kabat番号付け)の前記V
H
アミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換して、前記第1の親抗体の前記等電点を低下させることを含む、上記[18]に記載の方法。
[26] 前記置換することが、
前記第1の親抗体における74、82a及び84位(Kabat番号付け)から選択される位置のうちの少なくとも2ヶ所の前記V
H
アミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換して、前記第1の親抗体の前記等電点を低下させることを含む、上記[18]に記載の方法。
[27] 前記置換することが、
前記第1の親抗体における74、82a及び84位(Kabat番号付け)の3つ全ての位置の前記V
H
アミノ酸残基を、負に帯電したアミノ酸残基と交換して、前記第1の親抗体の前記等電点を低下させることを含む、上記[18]に記載の方法。
[28] 多重特異性抗体であって、
重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドと、
重鎖可変領域を含む第2のポリペプチドと、を含み、前記第1のポリペプチドの等電点が、前記第2のポリペプチドの等電点より低く、前記第1のポリペプチドの前記重鎖可変領域の9、70、74、82a及び84位(Kabat番号付け)における1つ以上のアミノ酸残基が、中性又は負に帯電したアミノ酸残基を含み、前記第2のポリペプチドの前記重鎖可変領域の対応する位置における1つ以上のアミノ酸残基が、前記第1のポリペプチドと比較して差次的に帯電したアミノ酸残基を含む、多重特異性抗体。
[29] 前記第2のポリペプチドの前記重鎖可変領域の7、9、11、14、41、74、84及び113位における1つ以上のアミノ酸残基が、中性又は正に帯電したアミノ酸残基を含み、前記第1のポリペプチドの前記重鎖可変領域の対応する位置における1つ以上のアミノ酸残基が、前記第2のポリペプチドと比較して、差次的に帯電したアミノ酸残基を含む、上記[28]に記載の多重特異性抗体。
[30] 1つ以上の位置9、70、74、82a及び84位(Kabat番号付け)における前記中性又は負に帯電したアミノ酸残基がアミノ酸置換である、上記[28]に記載の多重特異性抗体。
[31] 多重特異性抗体であって、
重鎖可変領域を含む第1のポリペプチドと、
重鎖可変領域を含む第2のポリペプチドと、を含み、前記第1のポリペプチドの等電点が、前記第2のポリペプチドの等電点より高く、前記第1のポリペプチドの前記重鎖可変領域の7、9、11、14、41、74、84及び113位(Kabat番号付け)における1つ以上のアミノ酸残基が中性又は正に帯電したアミノ酸残基を含み、前記第2のポリペプチドの前記重鎖可変領域の対応する位置における1つ以上のアミノ酸残基が、前記第1のポリペプチドと比較して差次的に帯電したアミノ酸残基を含む、多重特異性抗体。
[32] 前記第2のポリペプチドの前記重鎖可変領域の9、70、74、82a及び84位(Kabat番号付け)における1つ以上のアミノ酸残基が中性又は負に帯電したアミノ酸残基を含み、前記第1のポリペプチドの前記重鎖可変領域の対応する位置における1つ以上のアミノ酸残基が、前記第2のポリペプチドと比較して差次的に帯電したアミノ酸残基を含む、上記[30]に記載の多重特異性抗体。
[33] 1つ以上の位置7、9、11、14、41、74、84及び113位(Kabat番号付け)における前記中性又は正に帯電したアミノ酸残基がアミノ酸置換である、上記[31]に記載の多重特異性抗体。
[34] 前記多重特異性抗体が、二重特異性抗体である、上記[28]~[33]のいずれか一項に記載の多重特異性抗体。
【配列表】